説明

脱穀機

【課題】穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図り、また穀粒を検出する手段に不具合が発生した場合でも、穀粒及び塵埃の選別をするフィン同士の間隔及び唐箕の風量の調節を継続して行うことができる脱穀機を提供する。
【解決手段】コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数から一の関数を選択するためのボリュームスイッチを設け、選択された関数を参照して、ロスセンサにより検出されたロス量が前記許容ロス量以上であるか否か判断し、ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記サーボモータ70を動作させて、ロス量を減少させる。またサーボモータ70が動作しない場合には、排桿の押圧による排ワラガイド棒51、ばね体54及び回動レバー52等の動作により、フィン18a同士の間隔及び唐箕の風量の調節を継続する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀桿から脱穀された穀粒を、品種及び圃場条件等に応じて効率的に回収することができる脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、走行機体に設けてある刈刃により穀桿を刈取り、刈取った穀桿を扱胴へ搬送している。該扱胴の下方には、複数のチャフフィンを有する揺動選別装置を設けてあり、該揺動選別装置の下方には唐箕を配置してある。走行機体の後部には排塵口を設けてあり、該排塵口には塵埃を吸引する排塵ファンを設けてある。前記扱胴にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃は前記揺動選別装置に落下し、揺動選別装置の揺動により、比重の大きい穀粒はチャフフィン同士の隙間から漏下し、比重の小さな塵埃、例えばワラくずは揺動選別装置の後方へ送られる。また穀粒と共に漏下した細かな塵埃は、前記唐箕の起風作用により後方へ送られ、揺動選別装置の後方へ送られたワラくずと共に前記排塵ファンに吸引されて排塵口から排出される。またワラくずに混入した穀粒の一部も前記排塵口から排出される。
【0003】
またチャフフィンの後部に、透孔を有するストローラックを設けてあり、枝が付いた状態の穀粒(以下穂切れ物という)は揺動選別装置の後方へ送られて前記透孔から落下し、落下した穂切れ物はコンベヤにより扱胴に還元される。
【0004】
前記排塵口には、排塵口から排出される穀粒量を検出するグレン損失検出器を設けてある。また前記チャフフィン及び唐箕に二つの油圧シリンダをそれぞれ連結してあり、二つの該油圧シリンダには、圧油の給排を切り替える二つの電磁弁をそれぞれ連結してある。更に従来のコンバインは、走行機体の走行速度及び排塵口から排出されることが許容される穀粒量(以下排塵口から排出されることが許容される穀粒量を許容ロス量という)の関係を示す関数を記録してある記録媒体を有している。走行機体の速度が大きくなるにつれて、刈刃により刈取られる穀桿も増加し、脱穀される穀桿も増加するので、前記記録媒体に記録してある関数は、速度が大きくなるにつれて許容ロス量も増加する関係を示している。
前記関数及びグレン検出器の出力に基づいて、前記電磁弁を作動させて、排塵口から排出される穀粒量(以下ロス量という)が、許容ロス量を超えないように、チャフフィンの角度を調整して、前記チャフフィン同士の間隔を調整すると共に前記唐箕の風量を調整していた(特許文献1)。
【0005】
また扱胴から排出された排桿を搬送する排桿搬送部に、排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設けてあり、また唐箕の吸気口にシャッタを設けてあるコンバインが従来から提案されている。前記回動レバーと、前記チャフフィン及びシャッタとはワイヤにて連結してある。該コンバインは、排桿の増減に応じて回動レバーを回動させて、前記ワイヤを移動させ、前記チャフフィンの選別のための角度を調整すると共にシャッタの開閉を調整し、前記唐箕の風量を調整する構成にしてある(特許文献2)。
【特許文献1】特開昭61−234714号公報
【特許文献2】特開平10−295168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のコンバインは、走行中の振動によりグレン損失検出器に不具合が発生した場合には、前記チャフフィンの角度及び前記唐箕の風量を調整することができない。
【0007】
また穂切れ物の発生しやすい品種を収穫する場合は、チャフフィンの角度を小さくして、穂切れ物がチャフフィンの同士の隙間から落下することを防いでストローラックに送り、穂切れ物の再処理を促進すると共に、唐箕の風量を大きくして細かな塵埃を排出して穀粒の選別精度を向上させることが望ましい。また土壌の水分が少ない圃場で収穫を行う場合は穀粒の比重が比較的小さいので、チャフフィンの角度を大きくし、唐箕の風量を小さくして、ロス量を減少させるようにすることが望ましい。しかし特許文献2に記載のコンバインは、排桿の圧力に応じて、チャフフィンの角度を調整し、また唐箕の風量を調整するようにしてある。そのため品種及び圃場条件に応じて、チャフフィンの角度及び唐箕の風量を調整することができず、穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図ることができない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部での選別精度を調整する調整機構を設け、該調整機構の動作を補助する補助機構を設け、前記選別部から排出される前記ロス量を検出する穀粒検出手段を設けることにより、該穀粒検出手段により検出されたロス量に基づいて、前記補助機構の動作を制御し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させ、穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図ることができる。また前記穀粒検出手段に不具合が発生し、前記補助機構が動作しない場合でも、前記調整機構の動作によりフィンの選別のための角度及び唐箕の風量の調節を継続することができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0009】
また前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す複数の関数を記録してある記録手段と、該記録手段に記録してある複数の関数から一の関数を選択するための選択手段を設けることにより、ユーザが選択手段を操作して、品種及び圃場条件に対応した一の関数を選択し、選択された関数を参照して前記ロス量と前記許容ロス量とを比較し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させ、穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図ることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0010】
また送風器の風量を調節する風量調節機構及び複数のフィンを設けることにより、前記フィンの選別のための角度及び風量調節機構の動作を調整して、ロス量を調整することができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0011】
また前記フィン及び風量調節機構に連結してあり、排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、前記回動レバーを回動させる動力源を設けることにより、前記動力源の動力を前記回動レバーに伝達し、前記フィン又は風量調節機構を動作させて、ロス量を調整することができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0012】
また前記走行機体に駆動力を供給する駆動源を設け、該駆動源及び脱穀部の間にクラッチを介在させて、該クラッチの継断を検出する継断検出手段を設け、更に該継断検出手段により前記クラッチの継合が検出された場合に、前記補助機構を制御する補助制御手段により制御が開始されたことを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による制御が行われていることをユーザに報知し、前記補助制御手段が正常に動作していることをユーザが確認することができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0013】
また前記補助機構により前記調整機構の動作を補助する場合に、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の動作のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知して、前記走行機体を減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0014】
また前記補助機構の動作させることの可否を判断する手段を設けることにより、前記補助機構の動作が不可能であると判断された場合に、前記走行機体を強制的に減速させて、穀桿の刈取量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る脱穀機は、圃場を走行する走行機体に設けてあり、走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部にて刈取られた穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構と、前記選別部から排出される穀粒量を検出する穀粒検出手段とを備える脱穀機において、前記調整機構の動作を補助する補助機構と、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記補助機構の動作を制御する補助制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、前記調整機構の動作を補助する補助機構を設け、前記選別部から排出される前記ロス量を検出する穀粒検出手段を設けることにより、該穀粒検出手段により検出されたロス量に基づいて、前記補助機構の動作を制御し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させる。また前記穀粒検出手段に不具合が発生し、前記補助機構が動作しない場合でも、前記調整機構の動作によりフィンの選別のための角度及び唐箕の風量の調節を継続する。
【0017】
本発明に係る脱穀機は、前記走行機体の速度を検出する速度検出手段と、前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す複数の関数を記録してある記録手段と、該記録手段に記録してある複数の関数から一の関数を選択するための選択手段とを備え、前記補助制御手段は、前記選択手段により選択された関数を参照し、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量及び前記速度検出手段により検出された速度に基づいて、前記補助機構を動作させる手段を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す複数の関数を記録してある記録手段と、該記録手段に記録してある複数の関数から一の関数を選択するための選択手段を設けることにより、ユーザが選択手段を操作して、品種及び圃場条件に対応した一の関数を選択し、選択された関数を参照して前記ロス量と前記許容ロス量とを比較し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させる。
【0019】
本発明に係る脱穀機は、前記選別部は送風器及び複数のフィンを備えており、該送風器の風量を調節する風量調節機構を備え、前記調整機構は、風量調節機構の動作及び前記フィンの選別のための角度を調整する機構を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、送風器の風量を調節する風量調節機構及び複数のフィンを設けることにより、前記フィンの選別のための角度及び風量調節機構の動作を調整して、ロス量を調整する。
【0021】
本発明に係る脱穀機は、前記調整機構は、前記フィン及び風量調節機構に連結してあり、前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを備えており、前記補助機構は前記回動レバーを回動させる動力源を備え、該動力源の動力により、前記フィン又は風量調節機構の動作を調整するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、前記フィン及び風量調節機構に連結してあり、排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、前記回動レバーを回動させる動力源を設けることにより、前記動力源の動力を前記回動レバーに伝達し、前記フィン又は風量調節機構を動作させて、ロス量を調整する。
【0023】
本発明に係る脱穀機は、前記走行機体に駆動力を供給する駆動源と、該駆動源及び脱穀部の間に介在するクラッチと、該クラッチの継断を検出する継断検出手段と、該継断検出手段により前記クラッチの継合が検出された場合に、前記補助制御手段による制御を開始することを表示する手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、前記走行機体に駆動力を供給する駆動源を設け、該駆動源及び脱穀部の間にクラッチを介在させて、該クラッチの継断を検出する継断検出手段を設け、更に該継断検出手段により前記クラッチの継合が検出された場合に、前記補助機構を制御する補助制御手段により制御が開始されたことを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による制御が行われていることをユーザに報知する。
【0025】
本発明に係る脱穀機は、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助する場合に、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助することを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助する場合に、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の動作のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知する。
【0027】
本発明に係る脱穀機は、前記補助機構を動作させることの可否を判断する手段と、該手段により前記補助機構の動作が不可能であると判断された場合に、前記走行機体を強制的に減速させる手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、前記補助機構を動作させることの可否を判断する手段を設けることにより、前記補助機構の動作が不可能であると判断された場合に、前記走行機体を強制的に減速させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る脱穀機にあっては、穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部での選別精度を調整する調整機構を設け、該調整機構の動作を補助する補助機構を設け、前記選別部から排出される前記ロス量を検出する穀粒検出手段を設けることにより、該穀粒検出手段により検出されたロス量に基づいて、前記補助機構の動作を制御し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させ、穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図ることができる。また前記穀粒検出手段に不具合が発生し、前記補助機構が動作しない場合でも、前記調整機構の動作によりフィンの選別のための角度及び唐箕の風量の調節を継続することができる。
【0030】
また前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す複数の関数を記録してある記録手段と、該記録手段に記録してある複数の関数から一の関数を選択するための選択手段を設けることにより、ユーザが選択手段を操作して、品種及び圃場条件に対応した一の関数を選択し、選択された関数を参照して前記ロス量と前記許容ロス量とを比較し、前記ロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記補助機構を動作させて、ロス量を十分に減少させ、穀粒の選別精度の向上とロス量の低減との調和を図ることができる。
【0031】
また送風器の風量を調節する風量調節機構及び複数のフィンを設けることにより、前記フィンの選別のための角度及び風量調節機構の動作を調整して、ロス量を調整することができる。
【0032】
また前記フィン及び風量調節機構に連結してあり、排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、前記回動レバーを回動させる動力源を設けることにより、前記動力源の動力を前記回動レバーに伝達し、前記フィン又は風量調節機構を動作させて、ロス量を調整することができる。
【0033】
また前記走行機体に駆動力を供給する駆動源を設け、該駆動源及び脱穀部の間にクラッチを介在させて、該クラッチの継断を検出する継断検出手段を設け、更に該継断検出手段により前記クラッチの継合が検出された場合に、前記補助機構を制御する補助制御手段により制御が開始されたことを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による制御が行われていることをユーザに報知し、前記補助制御手段が正常に動作していることをユーザが確認することができる。
【0034】
また前記補助機構により前記調整機構の動作を補助する場合に、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の動作のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知して、前記走行機体を減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0035】
また前記補助機構の動作させることの可否を判断する手段を設けることにより、前記補助機構の動作が不可能であると判断された場合に、前記走行機体を強制的に減速させて、穀桿の刈取量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図、図2は脱穀装置の略示一部破断側面断面図、図3はコンバインの伝動機構図、図4はチャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す側面図、図5はキャビン内部を示す模式図である。
【0037】
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上方に脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取穀桿と非刈取穀桿とを区別する分草板3a、穀桿を刈取る刈刃3b、及び穀桿を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4を設けてあり、前記脱穀装置2の左部には穀桿を搬送するフィードチェン5が設けてある。また該フィードチェン5に対向させて穀桿を挟持する挟持部材6が設けてある。前記フィードチェン5の始端部付近には縦搬送装置7が配設してある。なお穀粒タンク4には穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aが設けてある。また穀粒タンク4の前側にユーザを収容するキャビン8が設けてある。
【0038】
前記刈取部3にて刈り取られた穀桿は、図示しない横搬送装置及び前記縦搬送装置7を経てフィードチェン5の始端部に送られ、前記挟持部材6にて穀桿を挟持した状態で前記脱穀装置2に送給されて脱穀処理される。脱穀後の穀粒は前記穀粒タンク4に送給され、穀粒タンク4に送給された穀粒は必要に応じて前記排出オーガ4aから排出される。
【0039】
前記脱穀装置2は扱室10を有しており、該扱室10に、穀桿を脱穀するドラム状の扱胴11が前後方向に沿って軸架してある。該扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12を設けてある。前記扱胴11の後側には扱胴11から排出された排出物を再処理する処理胴13を設けてあり、前記扱胴11の左側には後述する二番スクリュー26により搬送されてきた搬送物を脱穀処理する処理ロータ14を設けてある。
【0040】
前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働してワラくずを揉みほぐすクリンプ網15を配置してある。該クリンプ網15の下側には、穀粒及びワラくずの選別を行う揺動選別装置16が設けてある。該揺動選別装置16は前記クリンプ網15の下側に配置してあり、穀粒及びワラくずを均平化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及びワラくずの粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、ワラくずに混入した穀粒を後述する二番穀粒板25に落下させるストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有しており、該透孔から穀粒は落下する。また揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及びワラくずの精選別を行うグレンシーブ20を備える。前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してあり、該揺動アーム21の揺動により前記揺動選別装置16が揺動して、穀粒及びワラくずの選別が行われる。
【0041】
前記グレンシーブ20の下方に一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、穀粒を前記穀粒タンク4に送給する一番スクリュー23が設けてある。前記一番穀粒板22は、前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒が前記一番スクリュー23に向けて滑落するように傾斜している。
【0042】
前記一番穀粒板22の後部に、後方に向かうにつれて下向きに傾斜する傾斜板24が連ねてあり、該傾斜板24の後端部に二番穀粒板25が連ねてある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に、前記ストローラック19から落下した落下物を前記処理ロータ14に搬送する二番スクリュー26が設けてある。前記二番穀粒板25は、前記ストローラック19から落下した落下物が前記二番スクリュー26に向けて滑落するように傾斜している。
【0043】
前記一番スクリュー23の前方であって、前記揺動選別盤17の下方に、後方に向けて送風する唐箕27が設けてある。該唐箕27と前記一番スクリュー23との間に二つの整流板28、28を配設してある。前記唐箕27により起風された気流が、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16の下側にある風路を通って、後述する排塵口33及び排気通路37から外部へ排出されるようにしてある。
【0044】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。該排気通路37には圧電素子からなり、ロス量を検出するロスセンサ34を設けてある。
また前記下部吸引カバー30の上方に、上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、軸流ファンからなり、ワラくずを吸引排出する排塵ファン32を配設してある。該排塵ファン32の後方に排塵口33を設けてあり、該排塵口33にもロスセンサ34を設けてある。前記排塵ファン32に吸引されたワラくずは前記排塵口33から外部に排出される。
【0045】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理胴13の下方に、前方に向かうにつれて下向きに傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理胴13にて処理された処理物は、処理胴13から前記流下樋35に落下し、前記流下樋35を滑落して、前記ストローラック19に落下する。
【0046】
図3に示すように、コンバインは前記走行クローラ1を駆動するエンジン40を備えており、該エンジン40はHST41を介して、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するための走行ミッション42に連結してある。前記HST41には、図示しない作動油の流量を調整する機構と、該機構を制御する変速回路41aとが設けてある。該変速回路41aの制御により、作動油の流量が調整されて速度が調整される。また前記走行ミッション42には、ホール素子を有しており、コンバインの速度を検出する速度センサ43を設けてある。該速度センサ43は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)の回転数を検出するようにしてある。
【0047】
前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13に連結してあり、また偏心クランク45にも連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してあり、偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動するようにしてある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してあり、更に脱穀後の排桿を切断するカッタ46に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び刈取クラッチ47を介して前記刈取部3に連結してある。
【0048】
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を前記カッタ46に向けて搬送する排ワラチェン50が設けてある。該排ワラチェン50に対向させて排ワラガイド棒51が設けてあり、該排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を、排ワラチェン50の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0049】
図4に示す如く、前記排ワラガイド棒51の下側にL形の回動レバー52が設けてあり、該回動レバー52は前後方向に長い前後軸52aと、該前後軸52aの前端部から上方に突出した上下軸52bとを備えている。該上下軸52b及び前後軸52aとの角部分に枢軸52cが設けてある。
前記排ワラガイド棒51と前記前後軸52aの後端部とが連結棒53を介して連結してあり、該連結棒53の周囲にばね体54が固定してある。前記排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を移動する排桿が増加するに連れて、前記排ワラガイド棒51は押圧されて下側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして後方に回動する(図4実線矢印参照)。このとき前記ばね体54は圧縮される。一方排桿が減少するにつれて、圧縮されたばね体54の復元力により前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして前方に回動する(図4破線矢印参照)。
【0050】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。前記チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体(図示せず)を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右の枠材の間に、左右方向に延びる多数のフィン18a、18a、・・・、18aを前後方向に並設してある。該フィン18a、18a、・・・、18aの各上部は枠材に枢支してあり、各フィン18a、18a、・・・、18aの下部は前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢支してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してあり、該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。前記回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してあり、該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下軸52bに連結してある。
また前記軸体18iには回動板18cの位置を検出するポテンショメータ型のフィンセンサ18jを設けてある。該フィンセンサ18jの出力に基づいてフィン角(フィン18a、18a、・・・、18aと連結桿18bとのなす角度)rを検出する構成にしてある。
【0051】
また前記軸体18iに、図示しない手動レバーに操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結してある。
また前記回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部が連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0052】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動し、前記連結桿18bは後方へ移動し、前記フィン18a、18a、・・・、18aは起立してフィン角rは大きくなり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(図4実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときには、前記ばね体18fの復元力により、前記回動板18cは時計回りに回動し、前記連結桿18bは前方へ移動し、前記フィン18a、18a、・・・、18aは傾倒してフィン角rは小となり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(図4破線矢印参照)。また手動レバーの操作により、前記手動ワイヤ18gを牽引するか又は弛緩させて、前記手動板18h及び回動板18cを回動させ、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を調整できるようにしてある。また前記手動レバーは、適当な位置で固定することができる構成にしてある。
【0053】
次に唐箕27の吸気口55付近の構成について説明する。前記唐箕27の一側に、唐箕27に吸い込まれる空気が通流する矩形の吸気口55が設けてある。該吸気口55の中央部に、吸気口55の一部を覆う前後方向に長い矩形の固定板56が設けてあり、該固定板56の上側部に沿って矩形板状のシャッタ57が隣接してある。該シャッタ57はその一端部を前記脱穀装置2に枢支してあり、前記シャッタ57が上方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56から離間して前記吸気口55の開口面積が拡大し、前記シャッタ57が下方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56に接近して前記吸気口55の開口面積が縮小する。
【0054】
前記シャッタ57の前端部には引張ばね58の上端部が連結してあり、該引張ばね58の下端部は前記脱穀装置2の適所に係止してある。また前記シャッタ57の前端部から前方に軸体59が突出しており、該軸体59の突出端部にシャッタワイヤ60の一端部が連結してある。該シャッタワイヤ60の他端部は前記上下軸52bに連結してある。
【0055】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記シャッタワイヤ60は牽引され、前記シャッタ57は上方に回動して、前記吸気口55の開口面積が拡大し、引張ばね58は伸長する(図4実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときに、前記引張ばね58の復元力により、前記シャッタ57は下方に回動して、前記吸気口55の開口面積が縮小する(図4破線矢印参照)。
【0056】
前記回動レバー52の下方にサーボモータ70が配設してあり、該サーボモータ70には、サーボモータ70の回転軸を制動する図示しない電磁ブレーキが設けてある。前記サーボモータ70の回転開始と同時に電磁ブレーキが解除され、回転終了と同時に電磁ブレーキが作動する。また前記サーボモータ70の回転軸は、図示しない減速ギヤボックスを介して、電磁式のモータクラッチ71の一方に連結してある。該モータクラッチ71の他方は前記枢軸52cに連結してある。なお前記サーボモータ70は後述するモータ駆動回路91に接続してあり、前記モータクラッチ71は後述するモータクラッチ駆動回路92に接続してある。
【0057】
前記モータクラッチ71を継合し、前記サーボモータ70の回転により前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記排ワラガイド棒51は下側に移動し、前記ばね体54は圧縮される(図4実線矢印参照)。そして前記モータクラッチ71が切断されたときに、前記ばね体54の復元力により、前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は前方に回動する(図4破線矢印参照)。
【0058】
次にキャビン8内部の構成について説明する。図5に示す如く、キャビン8内部には運転席80が設けてあり、該運転席80の前側にステアリングホイール81が設けてある。該ステアリングホイール81の下側にダッシュパネル82を配設してあり、該ダッシュパネル82には前記脱穀クラッチ44の継断を行うための脱穀スイッチ83、前記脱穀クラッチ44が継合していることを示す制御表示ランプ84、前記ロスセンサ34、34により検出された穀粒量が所定値以上であることを表示するロス量増大ランプ85、及び後述するROM90bに記録してあり、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数f1乃至f3から一の関数を選択するためのボリュームスイッチ86が配設してある。
【0059】
図6は脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図、図7はROMに記録してあるコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数を示すグラフである。
コンバインは、脱穀作業を制御するコントローラ90を備えており、該コントローラ90は演算処理、計時処理等を行うCPU90a、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数f1乃至f3(図7参照)、刈取部3での刈取りを正常に行うことができる最低速度Vm、解除ロス量Q及びフィン角限界値rmax を記録してあるROM90b、脱穀制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM90c、入力インタフェース90d及び出力インタフェース90eを備える。
【0060】
前記入力インタフェース90dには前記脱穀スイッチ83、ボリュームスイッチ86、速度センサ43、ロスセンサ34、34及びフィンセンサ18jが接続してある。また前記出力インタフェース90eには前記制御表示ランプ84、ロス量増大ランプ85、サーボモータ70に駆動信号を出力するモータ駆動回路91、モータクラッチ71に駆動信号を出力するモータクラッチ駆動回路92及び変速回路41aが接続してある。なお図6において二つのロスセンサ34、34を単にロスセンサ34と表記してあり、以下同様に表記する。
【0061】
次にチャフシーブ及びシャッタの動作制御について説明する。図8及び図9はチャフシーブ及びシャッタの動作制御の処理手順を示すフローチャートである。なおチャフシーブ及びシャッタの動作制御を実行する前段階として、前記モータクラッチ71は切断してある。
コントローラ90は、前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を継合することを示す信号が入力されたか否か判断する(ステップS1)。前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を切断することを示す信号が入力されているときは(ステップS1:NO)、ステップS1に戻る。前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を継合することを示す信号が入力されているときは(ステップS1:YES)、制御表示ランプ84を点灯する信号を出力する(ステップS2)。
【0062】
次にコントローラ90はROM90bにアクセスして、穀桿の刈取りを行うことができる最低速度Vmを参照する(ステップS3)。そして前記速度センサ43から信号を取込み、速度Vを取得する(ステップS4)。次にコントローラ90は速度Vが最低速度Vm以上であるか否か判断する(ステップS5、図7参照)。速度Vが最低速度Vm未満である場合は(ステップS5:NO)、ステップS5に戻る。速度Vが最低速度Vm以上である場合は(ステップS5:YES)、前記ボリュームスイッチ86から信号を取込み、ROM90bにアクセスして、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す一の関数、例えば関数f1を選択する(ステップS6、図7参照)。そして関数f1に基づいて、速度Vに対応する許容ロス量Lを参照する(ステップS7)。次にコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量Laを取得する(ステップS8)。
【0063】
次にコントローラ90はROM90bにアクセスして、フィン角限界値rmax を取得する(ステップS9)。そしてフィンセンサ18jから信号を取込み、フィン角rを取得する(ステップS10)。次にフィン角rがフィン角限界値rmax 以上であるか否か判断する(ステップS11)。フィン角rがフィン角限界値rmax 以上である場合は(ステップS11:YES)、前記変速回路41aに所定速度低下させる低速信号を出力する(ステップS12)。そしてステップS4へ戻る。
【0064】
フィン角rがフィン角限界値rmax 未満である場合は(ステップS11:NO)、ロス量Laが許容ロス量L以上であるか否か判断する(ステップS13)。ロス量Laが許容ロス量L未満である場合は(ステップS13:NO)、後述するステップS27へ移る。
【0065】
ロス量Laが許容ロス量L以上である場合は(ステップS13:YES)、モータクラッチ駆動回路41aに継合信号を出力する(ステップS14)。そしてモータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS15)。そしてロス量増大ランプ85に点灯信号を出力する(ステップS16)。次にコントローラ90はROM90bにアクセスして、解除ロス量Qを参照する(ステップS17)。なお解除ロス量Qは許容ロス量L以下である。次にコントローラ90はロスセンサ34から信号を取込み、ロス量Lbを取得する(ステップS18)。
【0066】
次にロス量Lbが解除ロス量Q以下であるか否か判断する(ステップS19)。ロス量Lbが解除ロス量Qよりも大きい場合は(ステップS19:NO)、ROM90bにアクセスして、フィン角限界値rmax を取得する(ステップS20)。そしてフィンセンサ18jから信号を取込み、フィン角rを取得する(ステップS21)。次にフィン角rがフィン角限界値rmax 以上であるか否か判断する(ステップS22)。フィン角rがフィン角限界値rmax 以上である場合は(ステップS22:YES)、前記変速回路41aに低速信号を出力する(ステップS23)。そしてステップS4へ戻る。フィン角rがフィン角限界値rmax 未満である場合は(ステップS22:NO)、モータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS24)。そしてステップS18へ戻る。
【0067】
ロス量Lbが解除ロス量Q以下である場合は(ステップS19:YES)、モータクラッチ駆動回路41aに切断信号を出力する(ステップS25)。そしてロス量増大ランプ85に消灯信号を出力する(ステップS26)。次にコントローラ90は脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を切断することを示す信号が入力されたか否か判断する(ステップS27)。前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を継合することを示す信号が入力されているときは(ステップS27:NO)、ステップS3に戻る。脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44を切断することを示す信号が入力されているときは(ステップS27:YES)、制御表示ランプ84に消灯信号を出力する(ステップS28)。
【0068】
実施の形態に係る脱穀機にあっては、品種及び圃場条件に応じてボリュームスイッチ86をユーザが操作して関数を選択し、選択された関数を参照して、前記ロスセンサ34により検出されたロス量が前記許容ロス量以上である場合に、前記サーボモータ70を動作させて、ロス量を十分に減少させ、穀粒の選別精度の向上及びロス量の低減の調和を図ることができる。また前記ロスセンサ34に不具合が発生し、前記サーボモータ70が動作しない場合には、排桿の押圧による前記排ワラガイド棒51、ばね体54及び回動レバー52等の動作により、フィン角r及び唐箕27の風量の調節を継続することができる。
【0069】
また前記サーボモータ70の動力を、ギヤボックス72及び補助ワイヤ74等を介して前記回動レバー52に伝達し、前記フィン18a、18a、・・・、18aの角度及びシャッタ57の開閉を調整して、ロス量を減少させることができる。
【0070】
また脱穀スイッチ83がオンになり前記脱穀クラッチ44が継合された場合に、制御表示ランプ84を点灯して、前記コントローラ90による制御が行われていることをユーザに報知し、前記コントローラ90が正常に動作していることをユーザが確認することができる。
【0071】
また前記サーボモータ70により前記回動レバー52の動作を補助する場合に、前記ロス量増大ランプ85を点灯し、排桿の押圧による前記排ワラガイド棒51、ばね体54及び回動レバー52等の動作のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知し、コンバインの速度を低下させて穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0072】
また前記フィン角rがフィン角限界値rmax 以上である場合には、HST41内にある作動油の流量を調節し、コンバインを強制的に減速させて、穀桿の刈取量を低減させることができる。
【0073】
また前記手動レバーは適当な位置で固定することができるので、前記コントローラ90が故障した場合には手動でフィン角rを設定することができる。
【0074】
なおロスセンサ34として、排塵口33及び排気通路37付近に衝突する穀粒の音を検出する音センサを使用しても良い。またサーボモータ70に代えて、前記回動レバー52に油圧シリンダを連結しても良く、電磁石を設けて磁力により回動レバー52を回動させても良い。またコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す二つ又は四つ以上の関数をROMに記録しておき、ボリュームスイッチにて二つ又は四つ以上の関数から一の関数を選択する構成としても良い。またボリュームスイッチ86に代えて押圧式スイッチを設け、該押圧式スイッチを押圧する度に選択された関数が変更される構成にしても良い。またキャビン8内に表示画面を設け、前記サーボモータ70により前記回動レバー52の動作を補助している場合には、該表示画面にコンバインの速度を低下させることを表示しても良い。また唐箕27の回転軸に無段階変速機を設け、該無段階変速機を操作して回転数を調節し、風量を調節しても良い。またサーボモータ70の動作を解除するスイッチを設け、該スイッチによりサーボモータ70の動作を解除して手動レバーにてフィン角rを調整することができる構成にしても良い。また前記排ワラガイド棒51に二つの回動レバーを連結し、二つの該回動レバーに前記フィン18a及びシャッタ57をそれぞれ連結し、各回動レバーに二つのサーボモータをそれぞれ設けて、フィン角及びシャッタの開閉の少なくとも一方をサーボモータにて制御しても良い。またサーボモータ70はモータ及びポテンショメータを有しており、その構成についてはモータ及びポテンショメータを含むユニットであるか又はモータ及びポテンショメータを組み合わせた構成であるかは問わない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施の形態に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】実施の形態に係るコンバインの脱穀装置の略示一部破断側面断面図である。
【図3】実施の形態に係るコンバインの伝動機構図である。
【図4】実施の形態に係るコンバインのチャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す側面図である。
【図5】実施の形態に係るコンバインのキャビン内部を示す模式図である。
【図6】実施の形態に係るコンバインの脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態に係るコンバインのROMに記録してあるコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数を示すグラフである。
【図8】実施の形態に係るコンバインのチャフシーブ及びシャッタの動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係るコンバインのチャフシーブ及びシャッタの動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 走行クローラ
2 脱穀装置
3 刈取部
16 揺動選別装置(選別部)
18 チャフシーブ
18a フィン
18c 回動板(調整機構)
18h 手動板(調整機構)
27 唐箕(選別部)
33 排塵口
40 エンジン
43 速度センサ
44 脱穀クラッチ
50 排ワラチェン
51 排ワラガイド棒(調整機構)
52 回動レバー
53 連結棒(調整機構)
54 ばね体(調整機構)
55 吸気口
57 シャッタ
58 引張ばね(調整機構)
59 軸体(調整機構)
60 シャッタワイヤ(調整機構)
70 サーボモータ(動力源)
71 モータクラッチ(補助機構)
83 脱穀スイッチ
84 制御表示ランプ
85 ロス量増大ランプ
86 ボリュームスイッチ(選択手段)
90 コントローラ
90a CPU
90b ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行機体に設けてあり、走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部にて刈取られた穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構と、前記選別部から排出される穀粒量を検出する穀粒検出手段とを備える脱穀機において、
前記調整機構の動作を補助する補助機構と、
前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記補助機構の動作を制御する補助制御手段と
を備えることを特徴とする脱穀機。
【請求項2】
前記走行機体の速度を検出する速度検出手段と、
前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す複数の関数を記録してある記録手段と、
該記録手段に記録してある複数の関数から一の関数を選択するための選択手段とを備え、
前記補助制御手段は、前記選択手段により選択された関数を参照し、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量及び前記速度検出手段により検出された速度に基づいて、前記補助機構を動作させる手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載の脱穀機。
【請求項3】
前記選別部は送風器及び複数のフィンを備えており、
該送風器の風量を調節する風量調節機構を備え、
前記調整機構は、風量調節機構の動作及び前記フィンの選別のための角度を調整する機構を備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載の脱穀機。
【請求項4】
前記調整機構は、前記フィン及び風量調節機構に連結してあり、前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを備えており、
前記補助機構は前記回動レバーを回動させる動力源を備え、
該動力源の動力により、前記フィン又は風量調節機構の動作を調整するようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の脱穀機。
【請求項5】
前記走行機体に駆動力を供給する駆動源と、
該駆動源及び脱穀部の間に介在するクラッチと、
該クラッチの継断を検出する継断検出手段と、
該継断検出手段により前記クラッチの継合が検出された場合に、前記補助制御手段による制御を開始することを表示する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項6】
前記補助機構により前記調整機構の動作を補助する場合に、前記補助機構により前記調整機構の動作を補助することを表示する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項7】
前記補助機構を動作させることの可否を判断する手段と、
該手段により前記補助機構の動作が不可能であると判断された場合に、前記走行機体を強制的に減速させる手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の脱穀機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−225684(P2009−225684A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72178(P2008−72178)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】