車輌ドアシステム
【課題】安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる車輌ドアシステムを提供する。
【解決手段】車輌周辺監視部500からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部910と、該周辺状況判定部910の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部600と、からなり、該乗員信頼度データベース310に記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部910のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部810及び該周辺状況判定部910の両方を動作させるかを選択する。
【解決手段】車輌周辺監視部500からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部910と、該周辺状況判定部910の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部600と、からなり、該乗員信頼度データベース310に記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部910のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部810及び該周辺状況判定部910の両方を動作させるかを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌からの降車時ドアを開ける動作を行う際に、乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車輌を駐車し降車する際、乗員は駐車する場所によって適切な行動をとらないと、路上では後続車にドアを接触させたり、駐車場では開けたドアを隣接する他車輌や障害物に接触させることとなる。こうしたことは免許を取得した者にとっては安全意識として常識であるが、免許を持たない者、特に子供などにとっては知識の外であり、降車の際にトラブルを起こすことは珍しくない。そこで、このような問題に対処するための車輌ドアシステムが種々提案さている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平4−62283号公報)には、車輌の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段と、車輌ドアの開動作を抑制するドア開作動抑制手段と、上記周囲状況検出手段の検出状況に応じて上記ドア開作動抑制手段を作動させるドア開作動抑制動作制御手段とを備えてなる車輌のドア開閉装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開平10−176462号公報)には、障害物を検出する障害物検出手段と、この障害物検出手段によって障害物が検出されたときにドアの開放を制動するドア制動機構とを備えた車載用ドアシステムにおいて、前記障害物検出手段が、自車の後方から接近する障害物までの距離を測定する測距部を備え、前記ドア制動機構に、前記測距部によって障害物が検出されたときに当該障害物までの距離に応じて前記ドアの開放を制動する制御をする制御部を併設したことを特徴とする車載用ドアシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平4−62283号公報
【特許文献2】特開平10−176462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2のいずれに記載のものも、後方から近づいてくる障害物に対するセンシングを行い、これに対処するようにして、ドアの開放を抑制したり、制動したりといったドア制御するものである。
【0006】
ところで、上記各特許文献に記載されているような車載安全システムを駆使してドア制御を行ったとしても、乗員がこのような車載安全システムを無視してドアを開けるようなことがしばしば行われてしまう、という現状がある。すなわち、いくら車輌に安全システムが取り付けられているとしても、安全意識の低い乗員の行動に対してシステムは無力で、事故を未然に防止することができない、という問題があった。
【0007】
このようにシステムが無力であるのは、従来のものが、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を繰り返し徹底し、すり込むような対策がとられていなかった点に問題があった、ということができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車輌からの降車時乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムであって、車内の乗員それぞれの画像を撮像する画像撮像部と、該画像撮像部で撮影された画像を基に画像解析処理によって各乗員を特定するとともに、各乗員の安全確認動作を認識する画像認識を行う画像認識部と、特定された乗員それぞれの信頼度ステータスを記憶する乗員信頼度データベースと、車輌周辺の状況を監視する車輌周辺監視部と、該画像認識部によって撮影された画像によって乗員の安全確認動作の適否を判定する適正安全確認動作判定部と、該車輌周辺監視部からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部と、該周辺状況判定部の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部と、からなり、該乗員信頼度データベースに記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させるかを選択することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車輌ドアシステムにおいて、該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「高」、「低」2つの設定があり、信頼度ステータスが「高」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させ、信頼度ステータスが「低」である乗員の場合は、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車輌ドアシステムにおいて、さらに該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「無」の設定があり、信頼度ステータスが「無」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車輌ドアシステムにおいて、該ドア制御部は仮ロック制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る車輌ドアシステムによれば、画像認識部によって各乗員を特定し、乗員信頼度データベースの信頼度ステータスに応じて、乗員の安全確認動作をチェックする構成となっているので、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る車輌ドアシステムによれば、信頼度ステータスとして「高」、「低」2つが設定される構成となっており、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る車輌ドアシステムによれば、信頼度ステータスとして「無」が設定される構成となっており、例えば、まだ安全確認をすることができない子供などの乗員に対応することができるようになっている。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る車輌ドアシステムによれば、該ドア制御部は仮ロック制御を行うので、乗員が不用意にドアを開放し、後続車輌が接触する事故や、開けたドアを隣接車輌や障害物に接触させるミスを解消することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのブロック構成を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の室内の図であり、図3は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の上面図である。なお、本実施形態では、車輌ドアシステムを搭載した車輌は左右2枚ずつの計4枚のドアを具備するものを例にとるが、このドアの枚数は本発明を限定するものではない。
【0017】
図1乃至図3において、1は車輌ドアシステムを搭載した車輌、2は右前ドア、3は右後ドア、4は左前ドア、5は左後ドア、100はECU(判定処理部)、200は画像情報取得部、210は画像撮像部、220は画像認識部、230は画像情報データベース、300は乗員信頼性学習部、310は乗員信頼度データベース、400はドアタッチセンサ部、410は右前ドアタッチセンサ、420は右後ドアタッチセンサ、430は左前ドアタッチセンサ、440は左後ドアタッチセンサ、500は車輌周辺監視部、510は遠距離後方監視用センサ、520は右側監視用センサ、530は左側監視用センサ、540は近距離周辺監視用センサ、550は右前ドア範囲監視用センサ、560は右後ドア範囲監視用センサ、570は左前ドア範囲監視用センサ、580は左後ドア範囲監視用センサ、600はドア制御部、610は右前ドア仮ロック制御部、620は右後ドア仮ロック制御部、630は左前ドア仮ロック制御部、640は左後ドア仮ロック制御部、700は入出力部、710はキー入力部、720は音声出力部、800は安全確認動作チェック部、810は適正安全確認動作判定部、900は周辺状況解析部、910は周辺状況判定部をそれぞれ示している。
【0018】
本実施形態の車輌ドアシステムは、主たる構成として図1に示すように、ECU(判定処理部)100、画像情報取得部200、乗員信頼性学習部300、ドアタッチセンサ部400、車輌周辺監視部500、ドア制御部600、入出力部700、安全確認動作チェック部800、周辺状況解析部900を有するものである。
【0019】
ECU100はエレクトロニックコントロールユニットであり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。
【0020】
画像情報取得部200は、本実施形態においては車輌1内の画像データを取得する画像撮像部210と、この画像撮像部210を解析することによって車輌の乗員の判別を行う画像認識部220と、取得された画像データや画像データに付随する画像認識用のデータなどを記録する画像情報データベース230とから構成されている。
【0021】
画像撮像部210は、例えばCCDカメラなどによって構成されており、図2に示す車輌1室内のバックミラー及びルーフ部に設置される。バックミラーに設置された画像撮像部210によってフロントシートに座る乗員の画像を撮影し、ルーフ部に設置された画像撮像部210によってフロントシートに座る乗員の画像を撮影する。これらの画像撮像部210によって撮影された乗員の画像データは、画像認識部220で画像解析処理され、個人毎の顔の特徴点などによって、個人特定の判断を行う。このような画像解析処理による個人特定の判断のためのアルゴリズムは周知のものを用いることができる。また、画像認識部220は、乗員が適正に安全確認道を行ったかどうかを、例えば乗員の視線の向きなどから判定する処理を行う。画像撮像部210で撮影された画像データや、画像認識部220で特定された情報などは互いに関連づけされた上で、画像情報データベース230に格納される。
【0022】
なお、本実施形態ではバックミラーとルーフ部に画像撮像部210を設けるようにしたが、車輌1のAピラー、ダッシュボード、サイドミラー、座席のヘッドレスト、センターピラーなどに設けるようにしてもよく、要は乗員の様子を明瞭に撮影することができる位置であればどこでもよい。
【0023】
乗員信頼性学習部300は、車輌1の乗員それぞれの信頼性を学習したり、設定したりする構成である。ここで、本明細書でいう「信頼度」の高い乗員や「信頼性」のある乗員とは、ドアを開放する際に、ミラー目視、窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行い、かつ、安全な状況下ドアを開放する乗員のことであり、逆に「信頼度」の低い乗員や「信頼性」のない乗員とは、それらを行わない乗員のことをいう。乗員信頼度データベース310は、各乗員の信頼度が記憶保存されるものであり、適宜参照し得るようになっている。
【0024】
図8は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの乗員信頼度データベースのデータ構造を示す図である。各乗員の信頼度を記憶する乗員信頼度データベース310では、それぞれ乗員個人毎に設定されている「乗員ID」、乗員IDに対応する人の画像情報データベース230へのリンクとなる「画像認識用画像情報データインデックス」、乗員IDに対応する人の信頼度が記憶されている「信頼度ステータス」、信頼度を設定するための尺度となる「現在ポイント」の各データが記憶されている。乗員信頼性学習部300は、「画像認識用画像情報データインデックス」の情報をキーとして、画像情報データベース230を参照して個人を特定し、その個人に対応した「信頼度ステータス」や「現在ポイント」を設定したり、更新したりすることができる。
【0025】
次に、乗員信頼度データベース310に記憶される各乗員の「信頼度ステータス」について説明する。この「信頼度ステータス」には、先に説明した乗員個人毎の信頼度の「高」、「低」とともに、信頼度「無」という設定をすることができる。この信頼度ステータスにおける信頼度が「無」いというのは、例えば、まだ安全確認をすることができない子供など設定しておくステータスである。
【0026】
また、「信頼度ステータス」が「低」が設定されている人は、適切な安全確認動作等を行うようにすれば、「高」のステータスに移行するようになっている。この移行のための基準として用いられるのが、「現在ポイント」である。「信頼度ステータス」が「高」が設定されている人には、「現在ポイント」は記憶されない。
【0027】
ドアタッチセンサ部400は、例えば人が触れることによる静電容量の変化などを検出するタッチセンサであり、図4に示されるようにドアのドアノブなどに設けられる。図4は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの左後ドアの外観斜視図である。本実施形態では、車輌ドアシステムがどのドアが開放されようとしているのかを判断するために当該タッチセンサの検出結果が用いられる。このドアタッチセンサ部400は、右前ドア2に設けられる右前ドアタッチセンサ410、右後ドア3に設けられる右後ドアタッチセンサ420、左前ドア4に設けられる左前ドアタッチセンサ430、左後ドア5に設けられる左後ドアタッチセンサ440から構成されている。
【0028】
車輌周辺監視部500は、車輌1周囲に存在する他の車輌を監視するためのものであり、本実施形態では、近距離の監視を行う近距離周辺監視用センサ540、遠距離の監視を行う遠距離後方監視用センサ510の2種類のセンサを備えてなるものである。これら近距離周辺監視用センサ540、遠距離後方監視用センサ510にはレーザーレーダーやソナーなどの探知手段、撮像装置を備えてなる画像処理手段、変調赤外線光源とCMOSセンサーとからなる画像距離カメラなどを用いることができる。
【0029】
ここで、近距離周辺監視用センサ540は、ドアが最大に開放したときの略ドア幅程度の距離の監視を行うためのセンサであり、遠距離後方監視用センサ510は、それ以上の距離の監視を行うためのセンサである。なお、「ドア幅」とはドアを最大限に開放したときのボディーからの距離として定義される。また、遠距離後方監視用センサ510は、近距離周辺監視用センサ540がセンシングを行う距離より遠い距離の監視を行うものである、と定義される。
【0030】
図5は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける遠距離後方監視用センサの稼働状況を示す図であり、図6は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける近距離周辺監視用センサの稼働状況を示す図である。監視センサによるセンシング領域については網掛けの領域にて示されている。
【0031】
図5に示されるように、車輌1が路上を走行中には右側監視用センサ520、左側監視用センサ530によって、後方の自動車やオートバイなどの走行状態のセンシングを行う。また、車輌1が路肩などに停車しているときなどにおいて、これらの右側監視用センサ520、左側監視用センサ530によって、後方から接近する車輌がないかをセンスして、ドア開放の安全のための情報として役立てる。
【0032】
図6は、車輌1が駐車スペースで停車している状況を示しており、このような状況では、近距離のみのセンシングで対応することができるので、右前ドア範囲監視用センサ550、右後ドア範囲監視用センサ560、左前ドア範囲監視用センサ570、左後ドア範囲監視用センサ580を稼働させる。そして、これらのドア範囲監視用センサによって、ドアを開放する上で、他の車輌に接触しないか否かなどを判定するための情報を収集する。
【0033】
本実施形態では、遠距離後方監視用センサ510として、右サイドミラー部に右側監視用センサ520を、また、左サイドミラー部に左側監視用センサ530を配置するように構成したが、必ずしもこのような配置に限定されるものではない。
【0034】
また、本実施形態では、近距離周辺監視用センサ540として、右側のAピラーに右前ドア範囲監視用センサ550を、右側ルーフ部に右後ドア範囲監視用センサ560を、左側のAピラーに左前ドア範囲監視用センサ570を、左側ルーフ部に左後ドア範囲監視用センサ580を、配置するように構成したが、必ずしもこのような配置に限定される必要はない。
【0035】
ドア制御部600は、ドアの開放角度をコントロールする制御をするものであり、この制御部は右前ドア2、右後ドア3、左前ドア4、左後ドア5の各ドアに設けられている。右前ドア2には右前ドア仮ロック制御部610が、右後ドア3には右後ドア仮ロック制御部620が、左前ドア4には左前ドア仮ロック制御部630が、左後ドア5には左後ドア仮ロック制御部640がそれぞれ設けられる。
【0036】
ここでそれぞれの仮ロック制御部の動作について説明する。図7は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける仮ロック制御部の動作イメージを示す図である。図7では、右前ドア2の開放時における仮ロック制御の様子を示しており、(A)で示す点線は右前ドア2が閉じている状態を、(B)で示す点線は右前ドア2が仮ロックされている状態を、(C)で示す実践は右前ドア2が完全に開放した状態をそれぞれ示している。
【0037】
乗員が車輌1から降車する際、本発明の車輌ドアシステムでは、乗員の安全などを認識できないとドアは若干開くのみで(図7(B)に示すように途中でロックする)を完全に開けることはできない。これにより、乗員が不用意にドアを開放し、後続車輌が接触する事故や、開けたドアを隣接車輌や障害物に接触させるミスを解消する。このような仮ロック制御のために、近距離周辺監視用センサ540、遠距離後方監視用センサ510で収集された情報が用いられる。
【0038】
本実施形態では、このような仮ロック制御部を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限らず、障害物に対するドアの接触防止のための制御するようなドア制御部であればどのようなものでも利用することができる。
【0039】
入出力部700は、本発明の車輌ドアシステムにおけるユーザーインターフェイス手段であり、キー入力部710は例えば運転席部の操作パネルなどに設けられており、システムの設定などが行えるようになっている。このキー入力部710によって、例えば子供などの信頼度ステータスを「無」として設定する。また、音声出力部720は、スピーカーと、このスピーカーから音声出力するための警報音や警報のアナウンスを記憶する不揮発性の記憶手段や、アンプなどの増幅手段などから構成されるものである。
【0040】
安全確認動作チェック部800は、画像認識部220によって撮影された乗員の行動をチェックするものであり、適正安全確認動作判定部810は、乗員がドアを開放する際に、ミラー目視、首を後方に回す、あるいは上半身を回して窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行ったかどうかを判定する。
【0041】
また、周辺状況解析部900は、遠距離後方監視用センサ510、近距離周辺監視用センサ540からの情報を得て、ドアを開放する上で車輌1周辺が安全な状態にあるのか否かを判定する周辺状況判定部910を有している。
【0042】
次に、以上のように構成される本発明の車輌ドアシステムの動作について説明する。図9は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのドア開放制御処理のフローチャートを示す図である。なお、図9に示すフローチャートのアルゴリズムは本発明の車輌ドアシステムを実施するための一例に過ぎず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、その他のアルゴリズムを用いることも可能である。
【0043】
図9において、ステップS100で、ドア開放制御処理が開始されると、次にステップS101にて、画像情報取得部200で取得された画像データに基づいて画像認識が行われる。
【0044】
続いてステップS102では、認識された認識された画像データが既に、画像情報データベース230に登録されている乗員であるか否かが判定される。
【0045】
ステップS102における判定の結果がYESであるときにはステップS103に進み、ステップS102における判定の結果がNOであるときには、乗員が車輌1に初めて乗車したこととなるので、新たに当該乗員を、画像情報データベース230に登録するためにステップS111に進む。
【0046】
ステップS102における判定の結果がYESであるときに進むステップS103では、既に過去に乗車した乗員が対象であるので、乗員信頼度データベース310を参照して当該乗員の ステータスを調査して、ステータスが「無」の乗員であるか否かが判定される。このステップS103では、対象としている乗員が子供などであるか否かが判定される。
【0047】
ステップS103の判定結果がYESであるときにはステップS115に進み、ステップS103の判定結果がNOであるときにはステップS104に進む。ステップS103の判定結果がYESであるときに進むステップS115では、信頼度ステータス「無」の乗員に対応するサブルーチンを実行する。このサブルーチンについて後に詳しく説明する。
【0048】
ステップS104では、対象とする乗員の乗員信頼度データベース310の信頼度ステータスが「高」であるのか、「低」であるのかが判定される。ステップS104の判定結果が「高」であるときには、対象乗員は安全確認動作等において信頼度が高い乗員であるので、それに対応したドア開放の処理を行うために、ステップ105へと進む。
【0049】
ステップS104の判定結果が「低」であるときには、対象乗員は安全確認動作等において信頼度が低い乗員であるので、ドア開放時、安全確認動作等を適切に行うかどうかのテストを行うための処理を実行するために、ステップ114へと進む。ステップS114では、対象とする乗員の信頼度をテストするためのテストサブルーチンを実行する。このテストサブルーチンについては後に説明する。
【0050】
ステップS105において、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。なお、本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0051】
ステップS106では、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。ステップS107では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0052】
ステップS107における判定結果がYESであるときにはステップS108に進み、ステップS107における判定結果がNOであるときにはステップS109に進む。
【0053】
ステップS107における判定結果がYESであるとき進むステップS108では、安全な状況下でのドア開放であることが判明しているので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を解除して、乗員の動作に応じてドアを開放できるようにする。ステップS116で、ドア開放制御処理を終了する。
【0054】
ステップS107における判定結果がNOであるとき進むステップS109では、安全な状況下でのドア開放ではないので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。ステップS110では、音声出力部720で安全確認警告の音声案内を音声出力し、続いてステップS106に戻る。
【0055】
次にステップS102における判定の結果がNOであるとき進むステップS111以降について説明する。ステップS102における判定の結果がNOであるときには、乗員が車輌1に初めて乗車したこととなるので、ステップS111で、新たに当該乗員を、画像情報データベース230に登録する。ステップS112では、当該乗員を乗員信頼度データベース310に新規登録するが、その際には、当該乗員の信頼度ステータスは「低」として登録しておく。
【0056】
次の、ステップS113では、その乗員の信頼度をテストするためのテストサブルーチンに進む。そして、ステップS116で処理を終了する。
【0057】
次に、ステップS113及びステップS114におけるテストサブルーチンについて図10に基づいて説明する。図10は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるテストサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0058】
図10において、ステップS200でテストサブルーチンが開始されると、続くステップS201では、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0059】
ステップS202においては、安全確認動作チェック部800の適正安全確認動作判定部810が、ドアを開放しようとしている乗員は安全確認動作を適切に行っているか否かをチェックするする。安全確認動作チェック部800は、画像認識部220によって撮影された乗員の行動をチェックする。
【0060】
ステップS203では、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。
【0061】
ステップS204では、適正安全確認動作判定部810が、乗員がドアを開放する際に、ミラー目視、首を後方に回す、あるいは上半身を回して窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行ったかどうかを判定する。
【0062】
ステップS204における判定の結果がYESであるとステップS205に進み、当該乗員の現在ポイントに1点を追加する。また、ステップS204における判定の結果がNOであるとステップS212に進み、当該乗員の現在ポイントから1点を減点する。これらのポイント加減は、乗員信頼度データベース310のデータ更新によって行われる。
【0063】
ステップS206では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0064】
ステップS206における判定結果がYESであるときにはステップS207に進み、当該乗員の現在ポイントに1点を追加する。また、ステップS206における判定結果がNOであるときにはステップS213に進み、当該乗員の現在ポイントから1点を減点する。これらのポイント加減は、乗員信頼度データベース310のデータ更新によって行われる。
【0065】
ステップS208では、安全な状況下でのドア開放であることが判明しているので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を解除して、乗員の動作に応じてドアを開放できるようにする。
【0066】
また、ステップS214では、安全な状況下でのドア開放ではないので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。ステップS215では、音声出力部720で安全確認警告の音声案内を音声出力し、続いてステップS203に戻る。
【0067】
ステップS209においては、乗員信頼度データベース310が参照され、当該乗員の現在ポイントが所定のポイント数を超えたか否かが判定される。
【0068】
ステップS209における判定の結果がYESであるときには、当該乗員は安全確認動作を励行していると判断することができるので、ステップS211に進み、信頼度ステータスを「高」に変更する。
【0069】
ステップS209における判定の結果がNOであるときには、当該乗員は安全確認動作を励行することがまだできていないと判断することができるので、ステップS210に進み、信頼度ステータスを現状維持とする
ステップS216では、サブルーチンからリターンする。
【0070】
このような本発明の処理フローによれば、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を繰り返し徹底し、すり込むようになっているので、安全意識の低い乗員の安全意識を改善することが可能となる。
【0071】
次に、ステップS115におけるステータス「無」乗員対応サブルーチンについて図11に基づいて説明する。図11は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0072】
図11において、ステップS300で、 ステータス「無」乗員対応サブルーチンが開始されると、次にステップS301に進む。ステップS301では、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0073】
ステップS302では、信頼度ステータスが「無」の設定である子供などの場合なので、安全の如何に関わらず、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。
【0074】
ステップS303においては、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。
【0075】
ステップSS304では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0076】
ステップS304における判定結果がYESであるときにはステップS305に進み、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い解除する。そして、ステップS306に進み、リターンする。
【0077】
また、ステップS304における判定結果がNOであるときにはステップS302に戻り、ドアの仮ロック状態を維持するようにする。
【0078】
以上、本発明の車輌ドアシステムによれば、画像認識部によって各乗員を特定し、乗員信頼度データベースの信頼度ステータスに応じて、乗員の安全確認動作をチェックする構成となっているので、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのブロック構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の室内の図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの左後ドアの外観斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける遠距離後方監視用センサの稼働状況を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける近距離周辺監視用センサの稼働状況を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける仮ロック制御部の動作イメージを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの乗員信頼度データベースのデータ構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのドア開放制御処理のフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1・・・車輌、2・・・右前ドア、3・・・右後ドア、4・・・左前ドア、5・・・左後ドア、100・・・ECU(判定処理部)、200・・・画像情報取得部、210・・・画像撮像部、220・・・画像認識部、230・・・画像情報データベース、300・・・乗員信頼性学習部、310・・・乗員信頼度データベース、400・・・ドアタッチセンサ部、410・・・右前ドアタッチセンサ、420・・・右後ドアタッチセンサ、430・・・左前ドアタッチセンサ、440・・・左後ドアタッチセンサ、500・・・車輌周辺監視部、510・・・遠距離後方監視用センサ、520・・・右側監視用センサ、530・・・左側監視用センサ、540・・・近距離周辺監視用センサ、550・・・右前ドア範囲監視用センサ、560・・・右後ドア範囲監視用センサ、570・・・左前ドア範囲監視用センサ、580・・・左後ドア範囲監視用センサ、600・・・ドア制御部、610・・・右前ドア仮ロック制御部、620・・・右後ドア仮ロック制御部、630・・・左前ドア仮ロック制御部、640・・・左後ドア仮ロック制御部、700・・・入出力部、710・・・キー入力部、720・・・音声出力部、800・・・安全確認動作チェック部、810・・・適正安全確認動作判定部、900・・・周辺状況解析部、910・・・周辺状況判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌からの降車時ドアを開ける動作を行う際に、乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車輌を駐車し降車する際、乗員は駐車する場所によって適切な行動をとらないと、路上では後続車にドアを接触させたり、駐車場では開けたドアを隣接する他車輌や障害物に接触させることとなる。こうしたことは免許を取得した者にとっては安全意識として常識であるが、免許を持たない者、特に子供などにとっては知識の外であり、降車の際にトラブルを起こすことは珍しくない。そこで、このような問題に対処するための車輌ドアシステムが種々提案さている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平4−62283号公報)には、車輌の周囲の状況を検出する周囲状況検出手段と、車輌ドアの開動作を抑制するドア開作動抑制手段と、上記周囲状況検出手段の検出状況に応じて上記ドア開作動抑制手段を作動させるドア開作動抑制動作制御手段とを備えてなる車輌のドア開閉装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開平10−176462号公報)には、障害物を検出する障害物検出手段と、この障害物検出手段によって障害物が検出されたときにドアの開放を制動するドア制動機構とを備えた車載用ドアシステムにおいて、前記障害物検出手段が、自車の後方から接近する障害物までの距離を測定する測距部を備え、前記ドア制動機構に、前記測距部によって障害物が検出されたときに当該障害物までの距離に応じて前記ドアの開放を制動する制御をする制御部を併設したことを特徴とする車載用ドアシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平4−62283号公報
【特許文献2】特開平10−176462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2のいずれに記載のものも、後方から近づいてくる障害物に対するセンシングを行い、これに対処するようにして、ドアの開放を抑制したり、制動したりといったドア制御するものである。
【0006】
ところで、上記各特許文献に記載されているような車載安全システムを駆使してドア制御を行ったとしても、乗員がこのような車載安全システムを無視してドアを開けるようなことがしばしば行われてしまう、という現状がある。すなわち、いくら車輌に安全システムが取り付けられているとしても、安全意識の低い乗員の行動に対してシステムは無力で、事故を未然に防止することができない、という問題があった。
【0007】
このようにシステムが無力であるのは、従来のものが、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を繰り返し徹底し、すり込むような対策がとられていなかった点に問題があった、ということができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車輌からの降車時乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムであって、車内の乗員それぞれの画像を撮像する画像撮像部と、該画像撮像部で撮影された画像を基に画像解析処理によって各乗員を特定するとともに、各乗員の安全確認動作を認識する画像認識を行う画像認識部と、特定された乗員それぞれの信頼度ステータスを記憶する乗員信頼度データベースと、車輌周辺の状況を監視する車輌周辺監視部と、該画像認識部によって撮影された画像によって乗員の安全確認動作の適否を判定する適正安全確認動作判定部と、該車輌周辺監視部からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部と、該周辺状況判定部の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部と、からなり、該乗員信頼度データベースに記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させるかを選択することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車輌ドアシステムにおいて、該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「高」、「低」2つの設定があり、信頼度ステータスが「高」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させ、信頼度ステータスが「低」である乗員の場合は、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の車輌ドアシステムにおいて、さらに該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「無」の設定があり、信頼度ステータスが「無」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車輌ドアシステムにおいて、該ドア制御部は仮ロック制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る車輌ドアシステムによれば、画像認識部によって各乗員を特定し、乗員信頼度データベースの信頼度ステータスに応じて、乗員の安全確認動作をチェックする構成となっているので、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る車輌ドアシステムによれば、信頼度ステータスとして「高」、「低」2つが設定される構成となっており、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る車輌ドアシステムによれば、信頼度ステータスとして「無」が設定される構成となっており、例えば、まだ安全確認をすることができない子供などの乗員に対応することができるようになっている。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る車輌ドアシステムによれば、該ドア制御部は仮ロック制御を行うので、乗員が不用意にドアを開放し、後続車輌が接触する事故や、開けたドアを隣接車輌や障害物に接触させるミスを解消することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのブロック構成を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の室内の図であり、図3は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の上面図である。なお、本実施形態では、車輌ドアシステムを搭載した車輌は左右2枚ずつの計4枚のドアを具備するものを例にとるが、このドアの枚数は本発明を限定するものではない。
【0017】
図1乃至図3において、1は車輌ドアシステムを搭載した車輌、2は右前ドア、3は右後ドア、4は左前ドア、5は左後ドア、100はECU(判定処理部)、200は画像情報取得部、210は画像撮像部、220は画像認識部、230は画像情報データベース、300は乗員信頼性学習部、310は乗員信頼度データベース、400はドアタッチセンサ部、410は右前ドアタッチセンサ、420は右後ドアタッチセンサ、430は左前ドアタッチセンサ、440は左後ドアタッチセンサ、500は車輌周辺監視部、510は遠距離後方監視用センサ、520は右側監視用センサ、530は左側監視用センサ、540は近距離周辺監視用センサ、550は右前ドア範囲監視用センサ、560は右後ドア範囲監視用センサ、570は左前ドア範囲監視用センサ、580は左後ドア範囲監視用センサ、600はドア制御部、610は右前ドア仮ロック制御部、620は右後ドア仮ロック制御部、630は左前ドア仮ロック制御部、640は左後ドア仮ロック制御部、700は入出力部、710はキー入力部、720は音声出力部、800は安全確認動作チェック部、810は適正安全確認動作判定部、900は周辺状況解析部、910は周辺状況判定部をそれぞれ示している。
【0018】
本実施形態の車輌ドアシステムは、主たる構成として図1に示すように、ECU(判定処理部)100、画像情報取得部200、乗員信頼性学習部300、ドアタッチセンサ部400、車輌周辺監視部500、ドア制御部600、入出力部700、安全確認動作チェック部800、周辺状況解析部900を有するものである。
【0019】
ECU100はエレクトロニックコントロールユニットであり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。
【0020】
画像情報取得部200は、本実施形態においては車輌1内の画像データを取得する画像撮像部210と、この画像撮像部210を解析することによって車輌の乗員の判別を行う画像認識部220と、取得された画像データや画像データに付随する画像認識用のデータなどを記録する画像情報データベース230とから構成されている。
【0021】
画像撮像部210は、例えばCCDカメラなどによって構成されており、図2に示す車輌1室内のバックミラー及びルーフ部に設置される。バックミラーに設置された画像撮像部210によってフロントシートに座る乗員の画像を撮影し、ルーフ部に設置された画像撮像部210によってフロントシートに座る乗員の画像を撮影する。これらの画像撮像部210によって撮影された乗員の画像データは、画像認識部220で画像解析処理され、個人毎の顔の特徴点などによって、個人特定の判断を行う。このような画像解析処理による個人特定の判断のためのアルゴリズムは周知のものを用いることができる。また、画像認識部220は、乗員が適正に安全確認道を行ったかどうかを、例えば乗員の視線の向きなどから判定する処理を行う。画像撮像部210で撮影された画像データや、画像認識部220で特定された情報などは互いに関連づけされた上で、画像情報データベース230に格納される。
【0022】
なお、本実施形態ではバックミラーとルーフ部に画像撮像部210を設けるようにしたが、車輌1のAピラー、ダッシュボード、サイドミラー、座席のヘッドレスト、センターピラーなどに設けるようにしてもよく、要は乗員の様子を明瞭に撮影することができる位置であればどこでもよい。
【0023】
乗員信頼性学習部300は、車輌1の乗員それぞれの信頼性を学習したり、設定したりする構成である。ここで、本明細書でいう「信頼度」の高い乗員や「信頼性」のある乗員とは、ドアを開放する際に、ミラー目視、窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行い、かつ、安全な状況下ドアを開放する乗員のことであり、逆に「信頼度」の低い乗員や「信頼性」のない乗員とは、それらを行わない乗員のことをいう。乗員信頼度データベース310は、各乗員の信頼度が記憶保存されるものであり、適宜参照し得るようになっている。
【0024】
図8は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの乗員信頼度データベースのデータ構造を示す図である。各乗員の信頼度を記憶する乗員信頼度データベース310では、それぞれ乗員個人毎に設定されている「乗員ID」、乗員IDに対応する人の画像情報データベース230へのリンクとなる「画像認識用画像情報データインデックス」、乗員IDに対応する人の信頼度が記憶されている「信頼度ステータス」、信頼度を設定するための尺度となる「現在ポイント」の各データが記憶されている。乗員信頼性学習部300は、「画像認識用画像情報データインデックス」の情報をキーとして、画像情報データベース230を参照して個人を特定し、その個人に対応した「信頼度ステータス」や「現在ポイント」を設定したり、更新したりすることができる。
【0025】
次に、乗員信頼度データベース310に記憶される各乗員の「信頼度ステータス」について説明する。この「信頼度ステータス」には、先に説明した乗員個人毎の信頼度の「高」、「低」とともに、信頼度「無」という設定をすることができる。この信頼度ステータスにおける信頼度が「無」いというのは、例えば、まだ安全確認をすることができない子供など設定しておくステータスである。
【0026】
また、「信頼度ステータス」が「低」が設定されている人は、適切な安全確認動作等を行うようにすれば、「高」のステータスに移行するようになっている。この移行のための基準として用いられるのが、「現在ポイント」である。「信頼度ステータス」が「高」が設定されている人には、「現在ポイント」は記憶されない。
【0027】
ドアタッチセンサ部400は、例えば人が触れることによる静電容量の変化などを検出するタッチセンサであり、図4に示されるようにドアのドアノブなどに設けられる。図4は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの左後ドアの外観斜視図である。本実施形態では、車輌ドアシステムがどのドアが開放されようとしているのかを判断するために当該タッチセンサの検出結果が用いられる。このドアタッチセンサ部400は、右前ドア2に設けられる右前ドアタッチセンサ410、右後ドア3に設けられる右後ドアタッチセンサ420、左前ドア4に設けられる左前ドアタッチセンサ430、左後ドア5に設けられる左後ドアタッチセンサ440から構成されている。
【0028】
車輌周辺監視部500は、車輌1周囲に存在する他の車輌を監視するためのものであり、本実施形態では、近距離の監視を行う近距離周辺監視用センサ540、遠距離の監視を行う遠距離後方監視用センサ510の2種類のセンサを備えてなるものである。これら近距離周辺監視用センサ540、遠距離後方監視用センサ510にはレーザーレーダーやソナーなどの探知手段、撮像装置を備えてなる画像処理手段、変調赤外線光源とCMOSセンサーとからなる画像距離カメラなどを用いることができる。
【0029】
ここで、近距離周辺監視用センサ540は、ドアが最大に開放したときの略ドア幅程度の距離の監視を行うためのセンサであり、遠距離後方監視用センサ510は、それ以上の距離の監視を行うためのセンサである。なお、「ドア幅」とはドアを最大限に開放したときのボディーからの距離として定義される。また、遠距離後方監視用センサ510は、近距離周辺監視用センサ540がセンシングを行う距離より遠い距離の監視を行うものである、と定義される。
【0030】
図5は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける遠距離後方監視用センサの稼働状況を示す図であり、図6は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける近距離周辺監視用センサの稼働状況を示す図である。監視センサによるセンシング領域については網掛けの領域にて示されている。
【0031】
図5に示されるように、車輌1が路上を走行中には右側監視用センサ520、左側監視用センサ530によって、後方の自動車やオートバイなどの走行状態のセンシングを行う。また、車輌1が路肩などに停車しているときなどにおいて、これらの右側監視用センサ520、左側監視用センサ530によって、後方から接近する車輌がないかをセンスして、ドア開放の安全のための情報として役立てる。
【0032】
図6は、車輌1が駐車スペースで停車している状況を示しており、このような状況では、近距離のみのセンシングで対応することができるので、右前ドア範囲監視用センサ550、右後ドア範囲監視用センサ560、左前ドア範囲監視用センサ570、左後ドア範囲監視用センサ580を稼働させる。そして、これらのドア範囲監視用センサによって、ドアを開放する上で、他の車輌に接触しないか否かなどを判定するための情報を収集する。
【0033】
本実施形態では、遠距離後方監視用センサ510として、右サイドミラー部に右側監視用センサ520を、また、左サイドミラー部に左側監視用センサ530を配置するように構成したが、必ずしもこのような配置に限定されるものではない。
【0034】
また、本実施形態では、近距離周辺監視用センサ540として、右側のAピラーに右前ドア範囲監視用センサ550を、右側ルーフ部に右後ドア範囲監視用センサ560を、左側のAピラーに左前ドア範囲監視用センサ570を、左側ルーフ部に左後ドア範囲監視用センサ580を、配置するように構成したが、必ずしもこのような配置に限定される必要はない。
【0035】
ドア制御部600は、ドアの開放角度をコントロールする制御をするものであり、この制御部は右前ドア2、右後ドア3、左前ドア4、左後ドア5の各ドアに設けられている。右前ドア2には右前ドア仮ロック制御部610が、右後ドア3には右後ドア仮ロック制御部620が、左前ドア4には左前ドア仮ロック制御部630が、左後ドア5には左後ドア仮ロック制御部640がそれぞれ設けられる。
【0036】
ここでそれぞれの仮ロック制御部の動作について説明する。図7は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける仮ロック制御部の動作イメージを示す図である。図7では、右前ドア2の開放時における仮ロック制御の様子を示しており、(A)で示す点線は右前ドア2が閉じている状態を、(B)で示す点線は右前ドア2が仮ロックされている状態を、(C)で示す実践は右前ドア2が完全に開放した状態をそれぞれ示している。
【0037】
乗員が車輌1から降車する際、本発明の車輌ドアシステムでは、乗員の安全などを認識できないとドアは若干開くのみで(図7(B)に示すように途中でロックする)を完全に開けることはできない。これにより、乗員が不用意にドアを開放し、後続車輌が接触する事故や、開けたドアを隣接車輌や障害物に接触させるミスを解消する。このような仮ロック制御のために、近距離周辺監視用センサ540、遠距離後方監視用センサ510で収集された情報が用いられる。
【0038】
本実施形態では、このような仮ロック制御部を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限らず、障害物に対するドアの接触防止のための制御するようなドア制御部であればどのようなものでも利用することができる。
【0039】
入出力部700は、本発明の車輌ドアシステムにおけるユーザーインターフェイス手段であり、キー入力部710は例えば運転席部の操作パネルなどに設けられており、システムの設定などが行えるようになっている。このキー入力部710によって、例えば子供などの信頼度ステータスを「無」として設定する。また、音声出力部720は、スピーカーと、このスピーカーから音声出力するための警報音や警報のアナウンスを記憶する不揮発性の記憶手段や、アンプなどの増幅手段などから構成されるものである。
【0040】
安全確認動作チェック部800は、画像認識部220によって撮影された乗員の行動をチェックするものであり、適正安全確認動作判定部810は、乗員がドアを開放する際に、ミラー目視、首を後方に回す、あるいは上半身を回して窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行ったかどうかを判定する。
【0041】
また、周辺状況解析部900は、遠距離後方監視用センサ510、近距離周辺監視用センサ540からの情報を得て、ドアを開放する上で車輌1周辺が安全な状態にあるのか否かを判定する周辺状況判定部910を有している。
【0042】
次に、以上のように構成される本発明の車輌ドアシステムの動作について説明する。図9は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのドア開放制御処理のフローチャートを示す図である。なお、図9に示すフローチャートのアルゴリズムは本発明の車輌ドアシステムを実施するための一例に過ぎず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、その他のアルゴリズムを用いることも可能である。
【0043】
図9において、ステップS100で、ドア開放制御処理が開始されると、次にステップS101にて、画像情報取得部200で取得された画像データに基づいて画像認識が行われる。
【0044】
続いてステップS102では、認識された認識された画像データが既に、画像情報データベース230に登録されている乗員であるか否かが判定される。
【0045】
ステップS102における判定の結果がYESであるときにはステップS103に進み、ステップS102における判定の結果がNOであるときには、乗員が車輌1に初めて乗車したこととなるので、新たに当該乗員を、画像情報データベース230に登録するためにステップS111に進む。
【0046】
ステップS102における判定の結果がYESであるときに進むステップS103では、既に過去に乗車した乗員が対象であるので、乗員信頼度データベース310を参照して当該乗員の ステータスを調査して、ステータスが「無」の乗員であるか否かが判定される。このステップS103では、対象としている乗員が子供などであるか否かが判定される。
【0047】
ステップS103の判定結果がYESであるときにはステップS115に進み、ステップS103の判定結果がNOであるときにはステップS104に進む。ステップS103の判定結果がYESであるときに進むステップS115では、信頼度ステータス「無」の乗員に対応するサブルーチンを実行する。このサブルーチンについて後に詳しく説明する。
【0048】
ステップS104では、対象とする乗員の乗員信頼度データベース310の信頼度ステータスが「高」であるのか、「低」であるのかが判定される。ステップS104の判定結果が「高」であるときには、対象乗員は安全確認動作等において信頼度が高い乗員であるので、それに対応したドア開放の処理を行うために、ステップ105へと進む。
【0049】
ステップS104の判定結果が「低」であるときには、対象乗員は安全確認動作等において信頼度が低い乗員であるので、ドア開放時、安全確認動作等を適切に行うかどうかのテストを行うための処理を実行するために、ステップ114へと進む。ステップS114では、対象とする乗員の信頼度をテストするためのテストサブルーチンを実行する。このテストサブルーチンについては後に説明する。
【0050】
ステップS105において、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。なお、本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0051】
ステップS106では、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。ステップS107では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0052】
ステップS107における判定結果がYESであるときにはステップS108に進み、ステップS107における判定結果がNOであるときにはステップS109に進む。
【0053】
ステップS107における判定結果がYESであるとき進むステップS108では、安全な状況下でのドア開放であることが判明しているので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を解除して、乗員の動作に応じてドアを開放できるようにする。ステップS116で、ドア開放制御処理を終了する。
【0054】
ステップS107における判定結果がNOであるとき進むステップS109では、安全な状況下でのドア開放ではないので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。ステップS110では、音声出力部720で安全確認警告の音声案内を音声出力し、続いてステップS106に戻る。
【0055】
次にステップS102における判定の結果がNOであるとき進むステップS111以降について説明する。ステップS102における判定の結果がNOであるときには、乗員が車輌1に初めて乗車したこととなるので、ステップS111で、新たに当該乗員を、画像情報データベース230に登録する。ステップS112では、当該乗員を乗員信頼度データベース310に新規登録するが、その際には、当該乗員の信頼度ステータスは「低」として登録しておく。
【0056】
次の、ステップS113では、その乗員の信頼度をテストするためのテストサブルーチンに進む。そして、ステップS116で処理を終了する。
【0057】
次に、ステップS113及びステップS114におけるテストサブルーチンについて図10に基づいて説明する。図10は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるテストサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0058】
図10において、ステップS200でテストサブルーチンが開始されると、続くステップS201では、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0059】
ステップS202においては、安全確認動作チェック部800の適正安全確認動作判定部810が、ドアを開放しようとしている乗員は安全確認動作を適切に行っているか否かをチェックするする。安全確認動作チェック部800は、画像認識部220によって撮影された乗員の行動をチェックする。
【0060】
ステップS203では、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。
【0061】
ステップS204では、適正安全確認動作判定部810が、乗員がドアを開放する際に、ミラー目視、首を後方に回す、あるいは上半身を回して窓越しから周囲の状況確認を行うなどの安全確認動作を適切に行ったかどうかを判定する。
【0062】
ステップS204における判定の結果がYESであるとステップS205に進み、当該乗員の現在ポイントに1点を追加する。また、ステップS204における判定の結果がNOであるとステップS212に進み、当該乗員の現在ポイントから1点を減点する。これらのポイント加減は、乗員信頼度データベース310のデータ更新によって行われる。
【0063】
ステップS206では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0064】
ステップS206における判定結果がYESであるときにはステップS207に進み、当該乗員の現在ポイントに1点を追加する。また、ステップS206における判定結果がNOであるときにはステップS213に進み、当該乗員の現在ポイントから1点を減点する。これらのポイント加減は、乗員信頼度データベース310のデータ更新によって行われる。
【0065】
ステップS208では、安全な状況下でのドア開放であることが判明しているので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を解除して、乗員の動作に応じてドアを開放できるようにする。
【0066】
また、ステップS214では、安全な状況下でのドア開放ではないので、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。ステップS215では、音声出力部720で安全確認警告の音声案内を音声出力し、続いてステップS203に戻る。
【0067】
ステップS209においては、乗員信頼度データベース310が参照され、当該乗員の現在ポイントが所定のポイント数を超えたか否かが判定される。
【0068】
ステップS209における判定の結果がYESであるときには、当該乗員は安全確認動作を励行していると判断することができるので、ステップS211に進み、信頼度ステータスを「高」に変更する。
【0069】
ステップS209における判定の結果がNOであるときには、当該乗員は安全確認動作を励行することがまだできていないと判断することができるので、ステップS210に進み、信頼度ステータスを現状維持とする
ステップS216では、サブルーチンからリターンする。
【0070】
このような本発明の処理フローによれば、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を繰り返し徹底し、すり込むようになっているので、安全意識の低い乗員の安全意識を改善することが可能となる。
【0071】
次に、ステップS115におけるステータス「無」乗員対応サブルーチンについて図11に基づいて説明する。図11は本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0072】
図11において、ステップS300で、 ステータス「無」乗員対応サブルーチンが開始されると、次にステップS301に進む。ステップS301では、ドアタッチセンサ部400によって、乗員が開放しようとしているドアがどのドアであるのかを検知する。本実施形態では、ドアタッチセンサ部400に基づいて開放ドアの検知を行うようにしているが、乗員のドア開放動作を画像認識部220で把握して検知するようにしてもよい。
【0073】
ステップS302では、信頼度ステータスが「無」の設定である子供などの場合なので、安全の如何に関わらず、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い、ドアを仮ロックする。
【0074】
ステップS303においては、周辺状況解析部900で車輌1の周辺状況を解析する。
【0075】
ステップSS304では、ドアが安全な環境でのドア開放であるか否かが周辺状況判定部910によって判定される。
【0076】
ステップS304における判定結果がYESであるときにはステップS305に進み、ドア制御部600におけるドア仮ロック制御を行い解除する。そして、ステップS306に進み、リターンする。
【0077】
また、ステップS304における判定結果がNOであるときにはステップS302に戻り、ドアの仮ロック状態を維持するようにする。
【0078】
以上、本発明の車輌ドアシステムによれば、画像認識部によって各乗員を特定し、乗員信頼度データベースの信頼度ステータスに応じて、乗員の安全確認動作をチェックする構成となっているので、安全意識の低い乗員に対して、安全意識を徹底することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのブロック構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の室内の図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムが搭載された車輌の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの左後ドアの外観斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける遠距離後方監視用センサの稼働状況を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける近距離周辺監視用センサの稼働状況を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムにおける仮ロック制御部の動作イメージを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの乗員信頼度データベースのデータ構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムのドア開放制御処理のフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る車輌ドアシステムの制御処理におけるサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1・・・車輌、2・・・右前ドア、3・・・右後ドア、4・・・左前ドア、5・・・左後ドア、100・・・ECU(判定処理部)、200・・・画像情報取得部、210・・・画像撮像部、220・・・画像認識部、230・・・画像情報データベース、300・・・乗員信頼性学習部、310・・・乗員信頼度データベース、400・・・ドアタッチセンサ部、410・・・右前ドアタッチセンサ、420・・・右後ドアタッチセンサ、430・・・左前ドアタッチセンサ、440・・・左後ドアタッチセンサ、500・・・車輌周辺監視部、510・・・遠距離後方監視用センサ、520・・・右側監視用センサ、530・・・左側監視用センサ、540・・・近距離周辺監視用センサ、550・・・右前ドア範囲監視用センサ、560・・・右後ドア範囲監視用センサ、570・・・左前ドア範囲監視用センサ、580・・・左後ドア範囲監視用センサ、600・・・ドア制御部、610・・・右前ドア仮ロック制御部、620・・・右後ドア仮ロック制御部、630・・・左前ドア仮ロック制御部、640・・・左後ドア仮ロック制御部、700・・・入出力部、710・・・キー入力部、720・・・音声出力部、800・・・安全確認動作チェック部、810・・・適正安全確認動作判定部、900・・・周辺状況解析部、910・・・周辺状況判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌からの降車時乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムであって、
車内の乗員それぞれの画像を撮像する画像撮像部と、
該画像撮像部で撮影された画像を基に画像解析処理によって各乗員を特定するとともに、各乗員の安全確認動作を認識する画像認識を行う画像認識部と、
特定された乗員それぞれの信頼度ステータスを記憶する乗員信頼度データベースと、
車輌周辺の状況を監視する車輌周辺監視部と、
該画像認識部によって撮影された画像によって乗員の安全確認動作の適否を判定する適正安全確認動作判定部と、
該車輌周辺監視部からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部と、
該周辺状況判定部の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部と、からなり、
該乗員信頼度データベースに記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させるかを選択することを特徴とする車輌ドアシステム。
【請求項2】
該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「高」、「低」2つの設定があり、信頼度ステータスが「高」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させ、信頼度ステータスが「低」である乗員の場合は、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させることを特徴とする請求項1に記載の車輌ドアシステム。
【請求項3】
さらに該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「無」の設定があり、信頼度ステータスが「無」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌ドアシステム。
【請求項4】
該ドア制御部は仮ロック制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車輌ドアシステム。
【請求項1】
車輌からの降車時乗員が適切な安全動作確認を行うか否かをチェックする車輌ドアシステムであって、
車内の乗員それぞれの画像を撮像する画像撮像部と、
該画像撮像部で撮影された画像を基に画像解析処理によって各乗員を特定するとともに、各乗員の安全確認動作を認識する画像認識を行う画像認識部と、
特定された乗員それぞれの信頼度ステータスを記憶する乗員信頼度データベースと、
車輌周辺の状況を監視する車輌周辺監視部と、
該画像認識部によって撮影された画像によって乗員の安全確認動作の適否を判定する適正安全確認動作判定部と、
該車輌周辺監視部からの情報によってドアを開放する上で車輌周辺が安全な状態であるか否かを判定する周辺状況判定部と、
該周辺状況判定部の判定結果に基づいてドア接触防止のための制御を行うドア制御部と、からなり、
該乗員信頼度データベースに記憶されている乗員毎の信頼度ステータスに基づいて、該周辺状況判定部のみを動作させるか、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させるかを選択することを特徴とする車輌ドアシステム。
【請求項2】
該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「高」、「低」2つの設定があり、信頼度ステータスが「高」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させ、信頼度ステータスが「低」である乗員の場合は、該適正安全確認動作判定部及び該周辺状況判定部の両方を動作させることを特徴とする請求項1に記載の車輌ドアシステム。
【請求項3】
さらに該乗員信頼度データベースの信頼度ステータスには「無」の設定があり、信頼度ステータスが「無」である乗員の場合は、該周辺状況判定部のみを動作させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌ドアシステム。
【請求項4】
該ドア制御部は仮ロック制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車輌ドアシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−40342(P2009−40342A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209908(P2007−209908)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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