配線基板及びその製造方法
【課題】多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板を含んで構成される配線基板において、クラックの発生が防止されて高い信頼性が得られる配線基板を提供する。
【解決手段】厚み方向に貫通する多数の貫通導体TCが設けられた酸化アルミニウム基板部10と、酸化アルミニウム基板部10の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部10xとを備えた複合基板5と、貫通導体TCに接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層BWとを含む。
【解決手段】厚み方向に貫通する多数の貫通導体TCが設けられた酸化アルミニウム基板部10と、酸化アルミニウム基板部10の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部10xとを備えた複合基板5と、貫通導体TCに接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層BWとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、上下面側を導通可能にする多数の貫通導体を備えた配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップを実装するための多層配線基板がある。多層配線基板では、コア基板の両面側にビルドアップ配線が形成され、一方の面に半導体チップを実装するためのチップ接続用パッドが設けられ、他方の面に外部接続用パッドが設けられている。
【0003】
特許文献1には、陽極酸化法により形成された多孔質酸化アルミニウムの多数の貫通孔のうち、電極が配置される領域の貫通孔に導電材料を埋め込み、それ以外の領域の貫通孔に絶縁材料を埋め込むことに基づいて配線基板を構成することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、複数のスルーホール導体を備えたポーラスアルミナ基板の両面に、選択されたスルーホール導体を露出させる開口部を備えた絶縁層を形成した後に、その開口部内のスルーホール導体に接続される配線を形成することにより、回路基板を構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−273480号公報
【特許文献2】特開2009−147241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後述するように、関連技術では、多数の貫通導体が設けられた薄型の酸化アルミニウム基板にビルドアップ配線層を形成することに基づいて配線基板が製造される。多数の貫通導体を備えた酸化アルミニウム基板は基板の剛性が弱く脆い状態となっている。
【0007】
このため、酸化アルミニウム基板にビルドアップ配線層を形成する際に、酸化アルミニウム基板にクラックが発生しやすい。
【0008】
また、酸化アルミニウム基板の端部まで微細な貫通導体が設けられているため、製造工程などで機械的衝撃を与えると、酸化アルミニウム基板の端部から貫通導体が剥がれ落ちてくることがある。
【0009】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板を含む配線基板において、クラックの発生が防止されて高い信頼性が得られる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は配線基板に係り、厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部と、前記酸化アルミニウム基板部の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部とを備えた複合基板と、前記貫通導体に接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明で使用される複合基板は、アルミニウム基板を部分的に陽極酸化することに基づいて多数のスルーホールを形成した後に、スルーホールに貫通導体を充填することによって得られる。
【0012】
本発明では、基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部の周囲に基板強度の強い枠状のアルミニウム基板部が連結されるので、基板全体の基板強度を向上させることができる。これにより、配線層を形成する諸工程において酸化アルミニウム基板部にクラックが発生することが防止される。
【0013】
また、多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部の周縁端部がアルミニウム基板部で保護されている。このため、配線基板の端部が機械的な衝撃を受けるとしても、貫通導体が剥がれ落ちてくるなどの不具合が発生するおそれがなく、信頼性の高い配線基板を構成することができる。
【0014】
本発明の一つの好適な態様では、配線層は、酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて貫通導体に接続される配線部と、アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて配線部と分離された基板補強用電極部とを含む。
【0015】
特に、配線層の基板補強用電極部が酸化アルミニウム基板部を取り囲むようにして繋がって配置している場合、アルミニウム基板部がさらに補強されるため、基板強度のさらなる向上を図ることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明は配線基板の製造方法に係り、厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた複数の酸化アルミニウム基板部と、前記複数の酸化アルミニウム基板部を連結するアルミニウム基板部とを備える複合基板を用意する工程と、前記貫通導体に接続されるn層(nは1以上の整数)の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
上記した発明において、複合基板を用意する工程では、以下の方法が採用される。まず、アルミニウム基板の上に、酸化アルミニウム基板部を得る領域に開口部が設けられた絶縁樹脂層を形成する。次いで、絶縁樹脂層の開口部を通してアルミニウム基板を厚み方向に陽極酸化することにより、多数のホールが設けられた酸化アルミニウム基板部を得る。
【0018】
続いて、酸化アルミニウム基板部の下側のアルミニウム部をホールが露出するまで除去することにより、厚み方向に貫通する多数のスルーホールが設けられた酸化アルミニウム基板部とそれに連結される前記アルミニウム基板部とを得る。その後に、スルーホールに貫通導体を充填する。
【0019】
以上の製造方法を使用することにより、上記した配線基板を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の配線基板では、クラックの発生が防止されて高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)〜(d)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図5】図5(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図7】図7(a)及び(b)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態の配線基板を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の第1実施形態の半導体パッケージを示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第2実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は本発明の第3実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は本発明の第4実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
(関連技術)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関連する関連技術について説明する。図1〜図3は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0024】
関連技術の配線基板の製造方法では、図1(a)に示すように、まず、アルミニウム(Al)基板100aを用意する。アルミニウム基板100aは多面取り用の基板であり、複数の配線基板用領域Aが画定されている。
【0025】
次いで、図1(b)に示すように、アルミニウム基板100aを表面側から陽極酸化することにより酸化アルミニウム基板100を得る。このとき、酸化アルミニウム基板100の表面全体から厚み方向に向かって多数の微細なホールHが同時に形成される。また、酸化アルミニウム基板100の下側に陽極酸化されていないアルミニウム部100bが残された状態となる。
【0026】
続いて、図1(c)に示すように、酸化アルミニウム基板100の下側に残されたアルミニウム部100bをエッチングにより除去する。これにより、上面から下面まで貫通する多数のスルーホールTHが横方向に並んで設けられた酸化アルミニウム基板100が得られる。酸化アルミニウム基板100は100μm程度の厚みに薄型化されて形成される。
【0027】
次いで、図1(d)に示すように、多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板100の下面にめっき給電層(不図示)を配置し、電解めっきによってスルーホールTH内に底部から上部にかけて銅めっきを施すことにより貫通導体TCを充填する。
【0028】
これにより、多数のスルーホールTHに貫通導体TC(線状導体)がそれぞれ充填された酸化アルミニウム基板100が得られる。
【0029】
次いで、図2(a)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側に絶縁樹脂からなる第1層間絶縁層200をそれぞれ形成する。さらに、両面側の第1層間絶縁層200をCO2レーザによって加工することにより貫通導体TCの両端部に到達する第1ビアホールVH1をそれぞれ形成する。第1ビアホールVH1内に配置される複数の貫通導体TCが酸化アルミニウム基板100の両面側を導通させる貫通ビアとして機能する。
【0030】
続いて、図2(b)に示すように、両面側の第1層間絶縁層200の上に、第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCに接続される第1配線層300をそれぞれ形成する。両面側の第1配線層300は貫通導体TCを介して相互接続される。
【0031】
次いで、図2(c)に示すように、同様な方法により、酸化アルミニウム基板100の両面側に、第1配線層300の接続部に到達する第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層220をそれぞれ形成する。さらに、両面側の第2層間絶縁層220の上に、第2ビアホールVH2を介して第1配線層300に接続される第2配線層320をそれぞれ形成する。
【0032】
次いで、図3(a)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側に、第2配線層320の接続部上に開口部240aが設けられたソルダレジスト240をそれぞれ形成する。
【0033】
その後に、図3(b)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側において、第2配線層320の接続部にニッケル/金めっき層を形成してコンタクト層340をそれぞれ得る。さらに、酸化アルミニウム基板100の両面側において、ソルダレジスト240の開口部240aに第2配線層320に接続されるはんだバンプ360を形成する。
【0034】
これにより、酸化アルミニウム基板100の複数の配線基板用領域Aにビルドアップ配線層がそれぞれ形成されて構成される配線部材400が得られる。
【0035】
次いで、図3(c)に示すように、図3(b)の配線部材400を各配線基板用領域Aの間で切断することにより、個々の配線基板420を得る。さらに、半導体チップ500の接続部を配線基板420のはんだバンプ360にフリップチップ接続する。これにより、配線基板420の上に半導体チップ500が実装されて構成される半導体パッケージ440が得られる。
【0036】
以上のように、関連技術の配線基板の製造方法では、多数の貫通導体TCが設けられた薄型の酸化アルミニウム基板100にビルドアップ配線層を形成することに基づいて配線基板420が製造される。酸化アルミニウム基板100は、その厚みが100μm程度に薄型化されていると共に、全体にわたって貫通導体TCが設けられている構造であるため、基板の剛性が弱く脆い状態となっている。
【0037】
このため、酸化アルミニウム基板100の両面側にビルドアップ配線層を形成する際に、酸化アルミニウム基板100にクラック(ひび割れ)が発生しやすい。また、配線基板420に半導体チップ500を実装して半導体パッケージ440を構成した後においても、十分な基板強度が得られない。
【0038】
さらには、酸化アルミニウム基板100の周縁端部まで微細な貫通導体TCが設けられているため、製造工程及び半導体パッケージを構成した後に、機械的衝撃を与えると酸化アルミニウム基板100の周縁端部から貫通導体TCが剥がれ落ちてくることがある。
【0039】
このように、関連技術の配線基板の製造方法では、十分な製造歩留りを得ることは困難であると共に、配線基板及び半導体パッケージの信頼性が問題になるおそれがある。
【0040】
以下に説明する本発明の実施形態の配線基板では、そのような不具合を解消することができる。
【0041】
(第1の実施の形態)
図4〜図7は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法示す断面図、図8は同じく第1実施形態の配線基板を示す断面図、図9は同じく第1実施形態の半導体パッケージを示す断面図である。
【0042】
第1実施形態の配線基板の製造方法では、図4(a)に示すように、まず、アルミニウム(Al)基板10aを用意する。アルミニウム基板10aは多面取り用の基板であり、複数の配線基板用領域Aが画定されている。図4(a)では2つの配線基板用領域Aが例示されているが、任意の数で配線基板用領域Aを画定することができる。
【0043】
次いで、図4(b)に示すように、アルミニウム基板10aの上に各配線基板用領域Aの中央主要部に開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11を形成する。絶縁樹脂層11の開口部11aはアルミニウム基板10aの陽極酸化する領域に配置される。
【0044】
開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11は、感光性のエポキシ樹脂などをアルミニウム基板10aの上に形成した後に、フォトリソグラフィによって露光・現像を行うことにより得られる。好適には、絶縁樹脂層11としてフォトレジストが使用される。
【0045】
あるいは、絶縁樹脂層11として、開口部が予め設けられた接着性テープをアルミニウム基板10aの上に貼付してもよい。
【0046】
図4(b)の縮小平面図に示すように、絶縁樹脂層11の開口部11aは絶縁樹脂層11のパターンが格子状になるように配置され、各開口部11aの間がダイシング領域Dとなり、ダイシング領域Dが絶縁樹脂層11で被覆される。ダイシング領域Dは多面取り用の基板を切断して個々の配線基板を得るための切断領域である。
【0047】
次いで、図4(c)に示すように、シュウ酸溶液などを処理浴として用いて、アルミニウム基板10aを陽極として電気分解することにより、絶縁樹脂層11の開口部11a内のアルミニウム基板10aを厚み方向に陽極酸化して酸化アルミニウム基板部10を得る。
【0048】
陽極酸化の条件によっては、酸化アルミニウムが絶縁樹脂層11の下側で成長することもあるが、陽極酸化条件の最適化によりその成長を抑制することができる。
【0049】
このとき、アルミニウム基板10aが陽極酸化によって多孔質化されることで、絶縁樹脂層11の開口部11a内の酸化アルミニウム基板部10の表面から厚み方向に向かって多数の微細なホールHが同時に形成される。
【0050】
また、酸化アルミニウム基板部10の下側には陽極酸化されていない薄膜のアルミニウム部10bが残された状態となる。
【0051】
絶縁樹脂層11で被覆されたアルミニウム基板10aの部分(ダイシング領域D)は、陽極酸化されないため、上面から下面までアルミニウム基板部10xとして残される。
【0052】
続いて、図4(d)に示すように、酸化アルミニウム基板部10の下側に残されたアルミニウム部10bをホールHが露出するまでエッチングにより除去する。
【0053】
これにより、上面から下面まで貫通する多数のスルーホールTHが横方向に並んで設けられた酸化アルミニウム基板部10が得られると同時に、複数の酸化アルミニウム基板部10の間にアルミニウム基板部10xが連結される。
【0054】
図4(d)の部分平面図に示すように、多数のスルーホールTHは酸化アルミニウム基板部10を介して相互に分離された状態で基板方向に並んで配置される。
【0055】
好適な例としては、酸化アルミニウム基板部10の厚みは70〜120μm程度に設定され、スルーホールTHの径は60〜200nmに設定され、スルーホールTHのピッチは100〜300nmに設定される。
【0056】
このようにして、絶縁樹脂層11の開口部11aに対応する領域に多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板部10が配置され、ダイシング領域Dに対応する領域に未酸化のアルミニウム基板部10xが配置される。
【0057】
以上により、複数の酸化アルミニウム基板部10がアルミニウム基板部10xで連結された構造の複合基板5が得られる。
【0058】
関連技術で説明したように、全体にわたって多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板部10は基板強度が弱いため後の製造工程でクラックが発生しやすい。本実施形態では、複数の酸化アルミニウム基板部10は基板強度が比較的強いアルミニウム基板部10xで連結されているため、基板全体の強度が補強されて後の製造工程でクラックが発生することが防止される。
【0059】
なお、図4(c)の陽極酸化工程において、アルミニウム基板10aの下面に保護金属層(不図示)を形成した状態で、アルミニウム基板10aを陽極酸化してもよい。この場合、アルミニウム基板10aの下面により近い部分まで陽極酸化することができる。そして、保護金属層及びアルミニウム部10bがエッチングにより除去される。
【0060】
また、アルミニウム基板10aの代わりに、タンタル(Ta)基板又はチタン(Ti)基板を使用してもよい。この場合は、同様な工程を遂行することにより、複数の酸化タンタル基板部(又は酸化チタン基板部)がタンタル基板部(又はチタン基板部)で連結された複合基板が得られる。
【0061】
続いて、図5(a)に示すように、複合基板5の絶縁樹脂層11が形成された面と反対面側にめっき給電層12を形成する。めっき給電層12としては、銅箔などを仮接着してもよいし、あるいは、下から順にチタン(Ti)層/銅(Cu)層をスパッタ法で形成してもよい。
【0062】
さらに、めっき給電層12をめっき給電経路に利用する電解めっきによって、酸化アルミニウム基板部10のスルーホールTH内に底部から上部にかけて銅(Cu)めっきを施すことにより貫通導体TC(線状導体)を充填する。銅めっきの代わりにニッケル(Ni)めっきを施して貫通導体TCをニッケルから形成してもよい。
【0063】
あるいは、電解めっきの代わりに無電解めっきによって酸化アルミニウム基板部10のスルーホールTHに選択的に貫通導体TCを充填することも可能である。
【0064】
その後に、図5(b)に示すように、めっき給電層12が複合基板5から除去される。さらに、複合基板5に形成された絶縁樹脂層11を除去する。絶縁樹脂層11としてフォトレジストを使用する場合は、アッシングや有機溶剤(レジストストリッパ)によって除去される。あるいは、絶縁樹脂層11として接着性テープを使用する場合は、接着性テープが引き剥がされる。
【0065】
これにより、多数の貫通導体TCが設けられた複数の酸化アルミニウム基板部10とそれらを連結するアルミニウム基板部10xとを備えた複合基板5が得られる。図5(b)の部分平面図に示すように、多数の貫通導体TCは酸化アルミニウム基板部10(絶縁体)で相互に絶縁された状態で基板方向に並んで配置される。
【0066】
複合基板5のアルミニウム基板部10xは、後の製造工程において基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10を補強すると共に、ダイシング領域D(図4(b))で切断された後に配線基板の周縁側に枠状のスティフナ(補強板)として残される。
【0067】
次に、そのような構造の複合基板5の両面側にビルドアップ配線層を形成する方法について説明する。
【0068】
図5(c)に示すように、まず、複合基板5の両面側にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂からなる第1層間絶縁層20をそれぞれ形成する。第1層間絶縁層20の膜厚は20〜40μmに設定される。
【0069】
さらに、図5(d)に示すように、複合基板5の両面側において、CO2レーザによって第1層間絶縁層20を加工することにより、酸化アルミニウム基板部10に設けられた貫通導体TCの上端及び下端に到達する第1ビアホールVH1をそれぞれ形成する。第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1内に配置される複数の貫通導体TCが複合基板5の両面側を導通可能にする貫通ビアとして機能する。
【0070】
あるいは、複合基板5の両面側に感光性の絶縁樹脂を形成した後に、フォトリソグラフィによって露光・現像することにより第1ビアホールVH1を形成してもよい。
【0071】
本実施形態では、多数の貫通導体TCが予め設けられた酸化アルミニウム基板部10の任意の位置に第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1を配置することにより、両面側を導通可能にする貫通ビア構造を容易に構築することができる。従って、貫通ビアのレイアウトが制約されることなく、高密度な接続ビア構造を低コストで形成することができる。
【0072】
次いで、図6(a)に示すように、両面側の第1層間絶縁層20の上に、第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCの上端及び下端に接続される第1配線層30をそれぞれ形成する。第1配線層30は例えばセミアディティブ法によって形成される。
【0073】
詳しく説明すると、複合基板5の両面側において、第1層間絶縁層20の上及び第1ビアホールVH1内にシード層(不図示)を形成する。シード層として、下から順に、膜厚が50nmのチタン(Ti)層と膜厚が500nmの銅層との積層膜が使用される。
【0074】
次いで、第1配線層30が配置される部分に開口部が設けられためっきレジスト(不図示)をシード層の上に形成する。続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジストの開口部に金属めっき層(不図示)を形成する。金属めっき層として、膜厚が20μm程度の銅層が使用される。
【0075】
さらに、めっきレジストを除去した後に、金属めっき層をマスクにしてシード層をエッチングすることにより、シード層と金属めっき層とによって構成される第1配線層30を得る。
【0076】
第1配線層30と貫通導体TCの接続部において、第1配線層30は複数の貫通導体TCに電気的に接続される。
【0077】
また、第1配線層30は、酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて貫通導体TCに接続される第1配線部30aと、アルミニウム基板部10xに対応する両面側に第1層間絶縁層20を介して配置される第1基板補強用電極部30bを含んで形成される。
【0078】
第1基板補強用電極部30bは第1配線部30aと分離されて形成され、貫通導体TCや第1配線部30aなどで構成される電気回路には接続されないフローティング電極として形成される。
【0079】
図6(a)の縮小部分平面図に示すように、第1基板補強用電極部30b(斜線部)は複数の酸化アルミニウム基板部10を取り囲むようにして繋がった状態でアルミニウム基板部10xに対応する部分に配置される。つまり、上側からみると、第1基板補強用電極部30bは格子状パターンで配置されたアルミニウム基板部10xより一回り小さな格子状パターンで形成される。
【0080】
アルミニウム基板部10xの両面側に格子状の第1基板補強用電極部30bを配置することにより、複合基板5の基板強度をさらに向上させることができる。
【0081】
第1基板補強用電極部30bを相互に分離して配置してもよいが、リング状に繋げて配置する方が基板強度をより強化することができる。
【0082】
続いて、図6(b)に示すように、同様な方法により、複合基板5の両面側に、第1配線層30の上に第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層22をそれぞれ形成する。
【0083】
次いで、図6(c)に示すように、同様な方法により、両面側の第2層間絶縁層22の上に、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30に接続される第2配線層32を形成する。
【0084】
第2配線層32は、第1配線層30と同様に、第2配線部32aと第2基板補強用電極部32bとを含んで形成される。第2配線部32aは、酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置され、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30の第1配線部30aに接続される。また、第2基板補強用電極部32bは、アルミニウム基板部10xに対応する両面側に第2層間絶縁層22を介して配置される。
【0085】
第2配線層32の第2基板補強用電極部32bにおいても、第1配線層30と同様に、アルミニウム基板部10xに対応する部分にリング状に繋がって配置されることが好ましい。また同様に、第2配線層32の第2基板補強用電極部32bは、電気回路には接続されずにフローティング電極として形成される。
【0086】
アルミニウム基板部10xの両面側に第1配線層30の第1基板補強用電極部30bと第2配線層32の第2基板補強用電極部32bとを積層することにより、複合基板5の基板強度をさらに向上させることができる。
【0087】
第1、第2配線層30,32の第1、第2基板補強用電極部30b,32bは電気回路に接続されないため、第2ビアホールVH2で接続する必要はなく、第2層間絶縁層22によって電気絶縁された状態で形成される。なお、第1基板補強用電極部30bと第2基板補強用電極部32bとを第2ビアホールVH2を介して接続しても差し支えない。
【0088】
その後に、図7(a)に示すように、複合基板5の両面側に、第2配線層32の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト24を形成する。ソルダレジスト24の膜厚は20μm程度である。
【0089】
さらに、図7(b)に示すように、複合基板5の両面側において、第2配線層32の接続部上にコンタクト層34を形成する。コンタクト層34の好適な例としては、下から順に膜厚が3μm程度のニッケル層と膜厚が0.1μm程度の金(Au)層とが無電解めっきによって形成される。
【0090】
さらに、複合基板5の両面側において、第2配線層32上のコンタクト層34に接続されるはんだなどからなるバンプ電極36をそれぞれ形成する。
【0091】
このようにして、複合基板5の両面側に、貫通導体TCの上端及び下端に接続される2層のビルドアップ配線層BWがそれぞれ形成される。
【0092】
以上により、複合基板5の複数の配線基板用領域A(図4(b))にビルドアップ配線層BWがそれぞれ形成された配線部材6が得られる。図7(b)の例では、2層のビルドアップ配線層BW(第1、第2配線層30,32)を形成しているが、ビルドアップ配線層はn層(1以上の整数)で任意に形成することができる(単層又は積層)。
【0093】
なお、ビルドアップ配線層BWは複合基板5の片面側のみに形成してもよい。この場合は、ビルドアップ配線層BWと反対側の酸化アルミニウム基板部10の面に貫通導体TCに接続されるバンプ電極が設けられる。
【0094】
次いで、図8に示すように、図7(b)の配線部材6をアルミニウム基板部10xに対応する部分(ダイシング領域Dの中央部(図4(b))で上面から下面まで切断することにより、個々の配線基板1を得る。
【0095】
以上説明したように、第1実施形態の配線基板の製造方法では、まず、複数の配線基板用領域Aが画定されたアルミニウム基板10aを用意し、陽極酸化する領域に開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11を形成する。
【0096】
次いで、絶縁樹脂層11の開口部11aを通してアルミニウム基板10aをその厚み方向に陽極酸化する。これにより、アルミニウム基板10aに、多数のホールHが設けられた酸化アルミニウム基板部10が部分的に形成される。
【0097】
次いで、下側に残されたアルミニウム部10bが除去されて、酸化アルミニウム基板部10に厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられる。さらに、酸化アルミニウム基板部10の多数のスルーホールTHに貫通導体TCが充填される。
【0098】
このような製造方法を採用することにより、基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10が基板強度の強いアルミニウム基板部10xで補強されるため、全体にわたって酸化アルミニウム基板とする場合より基板全体の強度を向上させることができる。
【0099】
これにより、酸化アルミニウム基板部10に設けられた貫通導体TCに接続されるビルドアップ配線層BWを形成する諸工程において、酸化アルミニウム基板部10にクラックが発生することが防止される。その結果、配線基板の製造歩留りを向上させることができると共に、信頼性の高い配線基板を得ることができる。
【0100】
図8に示すように、第1実施形態の配線基板1では、厚み方向の中央部にコア基板として機能する複合基板5が配置されている。複合基板5は、平面視して四角状の酸化アルミニウム基板部10とその周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部10xとを備えている。
【0101】
酸化アルミニウム基板部10は、アルミニウム基板10aが陽極酸化されることによって得られ、厚み方向に貫通する多数のスルーホールTHが設けられている。スルーホールTH内には貫通導体TCが充填されており、貫通導体TCは酸化アルミニウム基板部10の両面側を導通させる貫通ビアとして機能する。
【0102】
複合基板5の両面側には、酸化アルミニウム基板部10に設けられた多数の貫通導体TCのうち貫通ビアとして機能させる貫通導体TCの上に第1ビアホールVH1が設けられた第1層間絶縁層20がそれぞれ形成されている。第1層間絶縁層20で被覆された貫通導体TCは、酸化アルミニウム基板部10(絶縁体)で相互に電気絶縁されており、上下側の導通には関与しないようになっている。
【0103】
また、両面側の第1層間絶縁層20の上には第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCの上端及び下端に接続される第1配線層30がそれぞれ形成されている。第1配線層30と貫通導体TCの接続部において、第1配線層30は複数の貫通導体TCに電気的に接続されている。
【0104】
また、第1配線層30は第1配線部30aとそれと同一層から形成された第1基板補強用電極部30bとを含んで形成される。
【0105】
第1配線部30aは酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて第1ビアホールVH1を介して貫通電極TCに接続されている。一方、第1基板補強用電極部30bはアルミニウム基板部10xに対応する両面側に配置されて第1配線部30aと分離されている。
【0106】
さらに、複合基板5の両面側には、第1配線層30の接続部上に第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層22がそれぞれ形成されている。両面側の第2層間絶縁層22の上には、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30に接続される第2配線層32がそれぞれ形成されている。
【0107】
第2配線層32は、第1配線層30と同様に、第2配線部32aとそれと同一層から形成された第2基板補強用電極部32bとを含んで形成される。そして、第2配線部32aは酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて第2ビアホールVH2を介して第1配線層30の第1配線部30aに接続されている。一方、第2基板補強用電極部32bはアルミニウム基板部10xに対応する両面側に配置されて第2配線部32aと分離されている。
【0108】
第1、第2基板補強用電極部30b,32bはアルミニウム基板部10xに対応する部分にリング状に繋がって配置されている。
【0109】
さらに、複合基板5の両面側には、第2配線層32の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト24がそれぞれ形成されている。両面側の第2配線層32の接続部にはニッケル/金めっき層などからなるコンタクト層34がそれぞれ形成されている。
【0110】
さらに、複合基板5の両面側には、第2配線層32上のコンタクト層34に接続されるはんだなどからなるバンプ電極36がそれぞれ形成されている。
【0111】
第1実施形態に配線基板1では、多数の貫通導体TCが予め設けられた酸化アルミニウム基板部10の任意の位置に第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1を配置することにより、両面側を導通可能にする貫通ビア構造を容易に構築することができる。
【0112】
また、多数の貫通導体TCが設けられて基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10の周囲に基板強度の強い枠状のアルミニウム基板部10xが連結して設けられている。つまり、第1実施形態の配線基板1では、周縁側にアルミニウム基板部10xからなるスティフナ(補強板)が連結されて基板強度が補強されている。
【0113】
このため、全体にわたって酸化アルミニウム基板部10とする場合(関連技術)より基板強度を向上させることができる。
【0114】
また、第1、第2配線層30,32の第1、第2基板補強用電極部30b,32bがアルミニウム基板部10xの両面側に補強用として配置されている観点からも基板強度を向上させることができる。さらに、複合基板5を軸として対称な構造となっているので反りの発生を防止することができる。
【0115】
しかも、多数の貫通導体TCが設けられた酸化アルミニウム基板部10の周縁端部はアルミニウム基板部10xで保護されており外部に露出していない。このため、配線基板1の端部に機械的な衝撃を与える場合であっても、貫通導体TCが剥がれ落ちてくるなどの不具合が発生するおそれがなく、信頼性の高い配線基板を構成することができる。
【0116】
図8の配線基板1では、上面側のバンプ電極36が半導体チップに接続されるチップ接続部となり、下面側のバンプ電極36が実装基板(マザーボードなど)に接続される外部接続部となる。
【0117】
そして、図9に示すように、図8の配線基板1の上面側のバンプ電極36に半導体チップ40(LSIチップ)の接続部をリフローはんだ付けによりフリップチップ接続する。半導体チップ40と配線基板1との隙間にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0118】
これにより、第1実施形態の半導体パッケージ(半導体装置)2が得られる。半導体パッケージ2においても、同様な理由により、基板強度を向上させることができると共に、高い信頼性が得られるようになる。
【0119】
(第2の実施の形態)
図10は本発明の第2実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0120】
第2実施形態の特徴は、前述した第1実施形態の陽極酸化のマスクとして使用した絶縁樹脂層11(図4(b)〜図5(a))を除去せずに残すことにある。
【0121】
従って、第2実施形態では、図10(a)に示すような配線部材6aが得られる。つまり、複合基板5のアルミニウム基板部10xの上面に絶縁樹脂層11(点ハッチング部)が残され、絶縁樹脂層11の上に第1層間絶縁層20が形成される。
【0122】
第2実施形態のように絶縁樹脂層11を残す場合は、層間絶縁層としてそのまま使用できる永久レジストが好適に使用される。
【0123】
そして、図10(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(a)の配線部材6aがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1aが得られる。
【0124】
第2実施形態では、絶縁樹脂層11が残されること以外は第1実施形態と同一である。
【0125】
第2実施形態では、絶縁樹脂層11を除去する工程を省略できるので、第1実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0126】
さらに、図10(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(b)の配線基板1aの上側のバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2a(半導体装置)が構成される。
【0127】
(第3の実施の形態)
図11は本発明の第3実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0128】
図11(a)に示すように、第3実施形態の特徴は、前述した第1実施形態においてビルドアップ配線層BWの形成方法で最初に形成される第1層間絶縁層20(図5(c)及び(d))が省略される。
【0129】
従って、図11(a)に示すように、第3実施形態で得られる配線部材6bでは、第1層間絶縁層20を介さずに、第1配線層30の第1配線部30aが酸化アルミニウム基板部10の両面に直接形成され、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bがアルミニウム基板部10xの両面に直接形成される。
【0130】
そして、図11(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(a)の配線部材6bがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1bが得られる。
【0131】
第3実施形態では、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bがアルミニウム基板部10xに接触して形成されるが、第1基板補強用電極部30b及びアルミニウム基板部10xは電気回路に接続されないため何ら問題はない。
【0132】
第3実施形態では、第1層間絶縁層20が省略されること以外は第1実施形態と同一である。
【0133】
第3実施形態では、アルミニウム基板部10xの両面に第1基板補強用電極部30bが直接形成されることから、補強用のアルミニウム基板部10xの厚みが実質的に厚くなるので、第1、第2実施形態より基板強度を向上させることができる。
【0134】
また、第1層間絶縁層20及び第1ビアホールVH1を形成する工程を省略できるので、第1実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0135】
さらに、図11(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図11(b)の配線基板1bの上側にバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2b(半導体装置)が構成される。
【0136】
(第4の実施の形態)
図12は本発明の第4実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0137】
第4実施形態の特徴は、第2実施形態と同様に、陽極酸化のマスクとして使用した絶縁樹脂層11(図4(b)〜図5(a))を残し、かつ第3実施形態と同様に、ビルドアップ配線層BWの第1層間絶縁層20(図5(c)及び(d))を省略することにある。
【0138】
従って、図12(a)に示すように、第4実施形態で得られる配線部材6cでは、第1配線層30の第1配線部30aは第1層間絶縁層20を介さずに酸化アルミニウム基板部10の両面に直接形成される。また、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bは、アルミニウム基板部10xの上面側では絶縁樹脂層11(点ハッチング部)を介して形成され、アルミニウム基板部10xの下面側では絶縁層を介さずに直接形成される。
【0139】
そして、図12(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図12(a)の配線部材6cがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1cが得られる。
【0140】
第4実施形態では、絶縁樹脂層11を残すこと及び第1層間絶縁層20を省略すること以外は第1実施形態と同一である。
【0141】
第4実施形態では、絶縁樹脂層11を除去する工程、第1層間絶縁層20を形成する工程及び第1ビアホールVH1を形成する工程を省略できるので、第1〜第3実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0142】
さらに、図12(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図12(b)の配線基板1cの上側のバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2c(半導体装置)が構成される。
【0143】
(その他の実施形態)
前述した第1〜図4実施形態では、複合基板5にビルドアップ配線層BWを作り込むことにより配線基板を製造している。その他の形態として、接続部を備えた配線部材を複合基板5と別に予め用意し、はんだなどの導電材で複合基板5の貫通導体TCに配線部材の接続部を接合することに基づいて配線部材(配線基板)を製造してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1,1a〜1c…配線基板、2,2a〜2c…半導体パッケージ、5…複合基板、6,6a〜6c…配線部材、10…酸化アルミニウム基板部、10a…アルミニウム基板、10b…アルミニウム部、10x…アルミニウム基板部、11…絶縁樹脂層、11a,24a…開口部、12…めっき給電層、20…第1層間絶縁層、22…第2層間絶縁層、24…ソルダレジスト、30…第1配線層、30a…第1配線部、30b…第1基板補強用電極部、32…第2配線層、32a…第2配線部、32b…第2基板補強用電極部、34…コンタクト層、36…バンプ電極、A…配線基板用領域、D…ダイシング領域、H…ホール、TH…スルーホール、TC…貫通導体、VH1…第1ビアホール、VH2…第2ビアホール。
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、上下面側を導通可能にする多数の貫通導体を備えた配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップを実装するための多層配線基板がある。多層配線基板では、コア基板の両面側にビルドアップ配線が形成され、一方の面に半導体チップを実装するためのチップ接続用パッドが設けられ、他方の面に外部接続用パッドが設けられている。
【0003】
特許文献1には、陽極酸化法により形成された多孔質酸化アルミニウムの多数の貫通孔のうち、電極が配置される領域の貫通孔に導電材料を埋め込み、それ以外の領域の貫通孔に絶縁材料を埋め込むことに基づいて配線基板を構成することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、複数のスルーホール導体を備えたポーラスアルミナ基板の両面に、選択されたスルーホール導体を露出させる開口部を備えた絶縁層を形成した後に、その開口部内のスルーホール導体に接続される配線を形成することにより、回路基板を構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−273480号公報
【特許文献2】特開2009−147241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後述するように、関連技術では、多数の貫通導体が設けられた薄型の酸化アルミニウム基板にビルドアップ配線層を形成することに基づいて配線基板が製造される。多数の貫通導体を備えた酸化アルミニウム基板は基板の剛性が弱く脆い状態となっている。
【0007】
このため、酸化アルミニウム基板にビルドアップ配線層を形成する際に、酸化アルミニウム基板にクラックが発生しやすい。
【0008】
また、酸化アルミニウム基板の端部まで微細な貫通導体が設けられているため、製造工程などで機械的衝撃を与えると、酸化アルミニウム基板の端部から貫通導体が剥がれ落ちてくることがある。
【0009】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板を含む配線基板において、クラックの発生が防止されて高い信頼性が得られる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は配線基板に係り、厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部と、前記酸化アルミニウム基板部の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部とを備えた複合基板と、前記貫通導体に接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明で使用される複合基板は、アルミニウム基板を部分的に陽極酸化することに基づいて多数のスルーホールを形成した後に、スルーホールに貫通導体を充填することによって得られる。
【0012】
本発明では、基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部の周囲に基板強度の強い枠状のアルミニウム基板部が連結されるので、基板全体の基板強度を向上させることができる。これにより、配線層を形成する諸工程において酸化アルミニウム基板部にクラックが発生することが防止される。
【0013】
また、多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部の周縁端部がアルミニウム基板部で保護されている。このため、配線基板の端部が機械的な衝撃を受けるとしても、貫通導体が剥がれ落ちてくるなどの不具合が発生するおそれがなく、信頼性の高い配線基板を構成することができる。
【0014】
本発明の一つの好適な態様では、配線層は、酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて貫通導体に接続される配線部と、アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて配線部と分離された基板補強用電極部とを含む。
【0015】
特に、配線層の基板補強用電極部が酸化アルミニウム基板部を取り囲むようにして繋がって配置している場合、アルミニウム基板部がさらに補強されるため、基板強度のさらなる向上を図ることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明は配線基板の製造方法に係り、厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた複数の酸化アルミニウム基板部と、前記複数の酸化アルミニウム基板部を連結するアルミニウム基板部とを備える複合基板を用意する工程と、前記貫通導体に接続されるn層(nは1以上の整数)の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
上記した発明において、複合基板を用意する工程では、以下の方法が採用される。まず、アルミニウム基板の上に、酸化アルミニウム基板部を得る領域に開口部が設けられた絶縁樹脂層を形成する。次いで、絶縁樹脂層の開口部を通してアルミニウム基板を厚み方向に陽極酸化することにより、多数のホールが設けられた酸化アルミニウム基板部を得る。
【0018】
続いて、酸化アルミニウム基板部の下側のアルミニウム部をホールが露出するまで除去することにより、厚み方向に貫通する多数のスルーホールが設けられた酸化アルミニウム基板部とそれに連結される前記アルミニウム基板部とを得る。その後に、スルーホールに貫通導体を充填する。
【0019】
以上の製造方法を使用することにより、上記した配線基板を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の配線基板では、クラックの発生が防止されて高い信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)〜(d)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図5】図5(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図7】図7(a)及び(b)は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態の配線基板を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の第1実施形態の半導体パッケージを示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第2実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【図11】図11(a)〜(c)は本発明の第3実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は本発明の第4実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0023】
(関連技術)
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関連する関連技術について説明する。図1〜図3は関連技術の配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0024】
関連技術の配線基板の製造方法では、図1(a)に示すように、まず、アルミニウム(Al)基板100aを用意する。アルミニウム基板100aは多面取り用の基板であり、複数の配線基板用領域Aが画定されている。
【0025】
次いで、図1(b)に示すように、アルミニウム基板100aを表面側から陽極酸化することにより酸化アルミニウム基板100を得る。このとき、酸化アルミニウム基板100の表面全体から厚み方向に向かって多数の微細なホールHが同時に形成される。また、酸化アルミニウム基板100の下側に陽極酸化されていないアルミニウム部100bが残された状態となる。
【0026】
続いて、図1(c)に示すように、酸化アルミニウム基板100の下側に残されたアルミニウム部100bをエッチングにより除去する。これにより、上面から下面まで貫通する多数のスルーホールTHが横方向に並んで設けられた酸化アルミニウム基板100が得られる。酸化アルミニウム基板100は100μm程度の厚みに薄型化されて形成される。
【0027】
次いで、図1(d)に示すように、多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板100の下面にめっき給電層(不図示)を配置し、電解めっきによってスルーホールTH内に底部から上部にかけて銅めっきを施すことにより貫通導体TCを充填する。
【0028】
これにより、多数のスルーホールTHに貫通導体TC(線状導体)がそれぞれ充填された酸化アルミニウム基板100が得られる。
【0029】
次いで、図2(a)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側に絶縁樹脂からなる第1層間絶縁層200をそれぞれ形成する。さらに、両面側の第1層間絶縁層200をCO2レーザによって加工することにより貫通導体TCの両端部に到達する第1ビアホールVH1をそれぞれ形成する。第1ビアホールVH1内に配置される複数の貫通導体TCが酸化アルミニウム基板100の両面側を導通させる貫通ビアとして機能する。
【0030】
続いて、図2(b)に示すように、両面側の第1層間絶縁層200の上に、第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCに接続される第1配線層300をそれぞれ形成する。両面側の第1配線層300は貫通導体TCを介して相互接続される。
【0031】
次いで、図2(c)に示すように、同様な方法により、酸化アルミニウム基板100の両面側に、第1配線層300の接続部に到達する第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層220をそれぞれ形成する。さらに、両面側の第2層間絶縁層220の上に、第2ビアホールVH2を介して第1配線層300に接続される第2配線層320をそれぞれ形成する。
【0032】
次いで、図3(a)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側に、第2配線層320の接続部上に開口部240aが設けられたソルダレジスト240をそれぞれ形成する。
【0033】
その後に、図3(b)に示すように、酸化アルミニウム基板100の両面側において、第2配線層320の接続部にニッケル/金めっき層を形成してコンタクト層340をそれぞれ得る。さらに、酸化アルミニウム基板100の両面側において、ソルダレジスト240の開口部240aに第2配線層320に接続されるはんだバンプ360を形成する。
【0034】
これにより、酸化アルミニウム基板100の複数の配線基板用領域Aにビルドアップ配線層がそれぞれ形成されて構成される配線部材400が得られる。
【0035】
次いで、図3(c)に示すように、図3(b)の配線部材400を各配線基板用領域Aの間で切断することにより、個々の配線基板420を得る。さらに、半導体チップ500の接続部を配線基板420のはんだバンプ360にフリップチップ接続する。これにより、配線基板420の上に半導体チップ500が実装されて構成される半導体パッケージ440が得られる。
【0036】
以上のように、関連技術の配線基板の製造方法では、多数の貫通導体TCが設けられた薄型の酸化アルミニウム基板100にビルドアップ配線層を形成することに基づいて配線基板420が製造される。酸化アルミニウム基板100は、その厚みが100μm程度に薄型化されていると共に、全体にわたって貫通導体TCが設けられている構造であるため、基板の剛性が弱く脆い状態となっている。
【0037】
このため、酸化アルミニウム基板100の両面側にビルドアップ配線層を形成する際に、酸化アルミニウム基板100にクラック(ひび割れ)が発生しやすい。また、配線基板420に半導体チップ500を実装して半導体パッケージ440を構成した後においても、十分な基板強度が得られない。
【0038】
さらには、酸化アルミニウム基板100の周縁端部まで微細な貫通導体TCが設けられているため、製造工程及び半導体パッケージを構成した後に、機械的衝撃を与えると酸化アルミニウム基板100の周縁端部から貫通導体TCが剥がれ落ちてくることがある。
【0039】
このように、関連技術の配線基板の製造方法では、十分な製造歩留りを得ることは困難であると共に、配線基板及び半導体パッケージの信頼性が問題になるおそれがある。
【0040】
以下に説明する本発明の実施形態の配線基板では、そのような不具合を解消することができる。
【0041】
(第1の実施の形態)
図4〜図7は本発明の第1実施形態の配線基板の製造方法示す断面図、図8は同じく第1実施形態の配線基板を示す断面図、図9は同じく第1実施形態の半導体パッケージを示す断面図である。
【0042】
第1実施形態の配線基板の製造方法では、図4(a)に示すように、まず、アルミニウム(Al)基板10aを用意する。アルミニウム基板10aは多面取り用の基板であり、複数の配線基板用領域Aが画定されている。図4(a)では2つの配線基板用領域Aが例示されているが、任意の数で配線基板用領域Aを画定することができる。
【0043】
次いで、図4(b)に示すように、アルミニウム基板10aの上に各配線基板用領域Aの中央主要部に開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11を形成する。絶縁樹脂層11の開口部11aはアルミニウム基板10aの陽極酸化する領域に配置される。
【0044】
開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11は、感光性のエポキシ樹脂などをアルミニウム基板10aの上に形成した後に、フォトリソグラフィによって露光・現像を行うことにより得られる。好適には、絶縁樹脂層11としてフォトレジストが使用される。
【0045】
あるいは、絶縁樹脂層11として、開口部が予め設けられた接着性テープをアルミニウム基板10aの上に貼付してもよい。
【0046】
図4(b)の縮小平面図に示すように、絶縁樹脂層11の開口部11aは絶縁樹脂層11のパターンが格子状になるように配置され、各開口部11aの間がダイシング領域Dとなり、ダイシング領域Dが絶縁樹脂層11で被覆される。ダイシング領域Dは多面取り用の基板を切断して個々の配線基板を得るための切断領域である。
【0047】
次いで、図4(c)に示すように、シュウ酸溶液などを処理浴として用いて、アルミニウム基板10aを陽極として電気分解することにより、絶縁樹脂層11の開口部11a内のアルミニウム基板10aを厚み方向に陽極酸化して酸化アルミニウム基板部10を得る。
【0048】
陽極酸化の条件によっては、酸化アルミニウムが絶縁樹脂層11の下側で成長することもあるが、陽極酸化条件の最適化によりその成長を抑制することができる。
【0049】
このとき、アルミニウム基板10aが陽極酸化によって多孔質化されることで、絶縁樹脂層11の開口部11a内の酸化アルミニウム基板部10の表面から厚み方向に向かって多数の微細なホールHが同時に形成される。
【0050】
また、酸化アルミニウム基板部10の下側には陽極酸化されていない薄膜のアルミニウム部10bが残された状態となる。
【0051】
絶縁樹脂層11で被覆されたアルミニウム基板10aの部分(ダイシング領域D)は、陽極酸化されないため、上面から下面までアルミニウム基板部10xとして残される。
【0052】
続いて、図4(d)に示すように、酸化アルミニウム基板部10の下側に残されたアルミニウム部10bをホールHが露出するまでエッチングにより除去する。
【0053】
これにより、上面から下面まで貫通する多数のスルーホールTHが横方向に並んで設けられた酸化アルミニウム基板部10が得られると同時に、複数の酸化アルミニウム基板部10の間にアルミニウム基板部10xが連結される。
【0054】
図4(d)の部分平面図に示すように、多数のスルーホールTHは酸化アルミニウム基板部10を介して相互に分離された状態で基板方向に並んで配置される。
【0055】
好適な例としては、酸化アルミニウム基板部10の厚みは70〜120μm程度に設定され、スルーホールTHの径は60〜200nmに設定され、スルーホールTHのピッチは100〜300nmに設定される。
【0056】
このようにして、絶縁樹脂層11の開口部11aに対応する領域に多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板部10が配置され、ダイシング領域Dに対応する領域に未酸化のアルミニウム基板部10xが配置される。
【0057】
以上により、複数の酸化アルミニウム基板部10がアルミニウム基板部10xで連結された構造の複合基板5が得られる。
【0058】
関連技術で説明したように、全体にわたって多数のスルーホールTHが設けられた酸化アルミニウム基板部10は基板強度が弱いため後の製造工程でクラックが発生しやすい。本実施形態では、複数の酸化アルミニウム基板部10は基板強度が比較的強いアルミニウム基板部10xで連結されているため、基板全体の強度が補強されて後の製造工程でクラックが発生することが防止される。
【0059】
なお、図4(c)の陽極酸化工程において、アルミニウム基板10aの下面に保護金属層(不図示)を形成した状態で、アルミニウム基板10aを陽極酸化してもよい。この場合、アルミニウム基板10aの下面により近い部分まで陽極酸化することができる。そして、保護金属層及びアルミニウム部10bがエッチングにより除去される。
【0060】
また、アルミニウム基板10aの代わりに、タンタル(Ta)基板又はチタン(Ti)基板を使用してもよい。この場合は、同様な工程を遂行することにより、複数の酸化タンタル基板部(又は酸化チタン基板部)がタンタル基板部(又はチタン基板部)で連結された複合基板が得られる。
【0061】
続いて、図5(a)に示すように、複合基板5の絶縁樹脂層11が形成された面と反対面側にめっき給電層12を形成する。めっき給電層12としては、銅箔などを仮接着してもよいし、あるいは、下から順にチタン(Ti)層/銅(Cu)層をスパッタ法で形成してもよい。
【0062】
さらに、めっき給電層12をめっき給電経路に利用する電解めっきによって、酸化アルミニウム基板部10のスルーホールTH内に底部から上部にかけて銅(Cu)めっきを施すことにより貫通導体TC(線状導体)を充填する。銅めっきの代わりにニッケル(Ni)めっきを施して貫通導体TCをニッケルから形成してもよい。
【0063】
あるいは、電解めっきの代わりに無電解めっきによって酸化アルミニウム基板部10のスルーホールTHに選択的に貫通導体TCを充填することも可能である。
【0064】
その後に、図5(b)に示すように、めっき給電層12が複合基板5から除去される。さらに、複合基板5に形成された絶縁樹脂層11を除去する。絶縁樹脂層11としてフォトレジストを使用する場合は、アッシングや有機溶剤(レジストストリッパ)によって除去される。あるいは、絶縁樹脂層11として接着性テープを使用する場合は、接着性テープが引き剥がされる。
【0065】
これにより、多数の貫通導体TCが設けられた複数の酸化アルミニウム基板部10とそれらを連結するアルミニウム基板部10xとを備えた複合基板5が得られる。図5(b)の部分平面図に示すように、多数の貫通導体TCは酸化アルミニウム基板部10(絶縁体)で相互に絶縁された状態で基板方向に並んで配置される。
【0066】
複合基板5のアルミニウム基板部10xは、後の製造工程において基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10を補強すると共に、ダイシング領域D(図4(b))で切断された後に配線基板の周縁側に枠状のスティフナ(補強板)として残される。
【0067】
次に、そのような構造の複合基板5の両面側にビルドアップ配線層を形成する方法について説明する。
【0068】
図5(c)に示すように、まず、複合基板5の両面側にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂からなる第1層間絶縁層20をそれぞれ形成する。第1層間絶縁層20の膜厚は20〜40μmに設定される。
【0069】
さらに、図5(d)に示すように、複合基板5の両面側において、CO2レーザによって第1層間絶縁層20を加工することにより、酸化アルミニウム基板部10に設けられた貫通導体TCの上端及び下端に到達する第1ビアホールVH1をそれぞれ形成する。第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1内に配置される複数の貫通導体TCが複合基板5の両面側を導通可能にする貫通ビアとして機能する。
【0070】
あるいは、複合基板5の両面側に感光性の絶縁樹脂を形成した後に、フォトリソグラフィによって露光・現像することにより第1ビアホールVH1を形成してもよい。
【0071】
本実施形態では、多数の貫通導体TCが予め設けられた酸化アルミニウム基板部10の任意の位置に第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1を配置することにより、両面側を導通可能にする貫通ビア構造を容易に構築することができる。従って、貫通ビアのレイアウトが制約されることなく、高密度な接続ビア構造を低コストで形成することができる。
【0072】
次いで、図6(a)に示すように、両面側の第1層間絶縁層20の上に、第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCの上端及び下端に接続される第1配線層30をそれぞれ形成する。第1配線層30は例えばセミアディティブ法によって形成される。
【0073】
詳しく説明すると、複合基板5の両面側において、第1層間絶縁層20の上及び第1ビアホールVH1内にシード層(不図示)を形成する。シード層として、下から順に、膜厚が50nmのチタン(Ti)層と膜厚が500nmの銅層との積層膜が使用される。
【0074】
次いで、第1配線層30が配置される部分に開口部が設けられためっきレジスト(不図示)をシード層の上に形成する。続いて、シード層をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジストの開口部に金属めっき層(不図示)を形成する。金属めっき層として、膜厚が20μm程度の銅層が使用される。
【0075】
さらに、めっきレジストを除去した後に、金属めっき層をマスクにしてシード層をエッチングすることにより、シード層と金属めっき層とによって構成される第1配線層30を得る。
【0076】
第1配線層30と貫通導体TCの接続部において、第1配線層30は複数の貫通導体TCに電気的に接続される。
【0077】
また、第1配線層30は、酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて貫通導体TCに接続される第1配線部30aと、アルミニウム基板部10xに対応する両面側に第1層間絶縁層20を介して配置される第1基板補強用電極部30bを含んで形成される。
【0078】
第1基板補強用電極部30bは第1配線部30aと分離されて形成され、貫通導体TCや第1配線部30aなどで構成される電気回路には接続されないフローティング電極として形成される。
【0079】
図6(a)の縮小部分平面図に示すように、第1基板補強用電極部30b(斜線部)は複数の酸化アルミニウム基板部10を取り囲むようにして繋がった状態でアルミニウム基板部10xに対応する部分に配置される。つまり、上側からみると、第1基板補強用電極部30bは格子状パターンで配置されたアルミニウム基板部10xより一回り小さな格子状パターンで形成される。
【0080】
アルミニウム基板部10xの両面側に格子状の第1基板補強用電極部30bを配置することにより、複合基板5の基板強度をさらに向上させることができる。
【0081】
第1基板補強用電極部30bを相互に分離して配置してもよいが、リング状に繋げて配置する方が基板強度をより強化することができる。
【0082】
続いて、図6(b)に示すように、同様な方法により、複合基板5の両面側に、第1配線層30の上に第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層22をそれぞれ形成する。
【0083】
次いで、図6(c)に示すように、同様な方法により、両面側の第2層間絶縁層22の上に、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30に接続される第2配線層32を形成する。
【0084】
第2配線層32は、第1配線層30と同様に、第2配線部32aと第2基板補強用電極部32bとを含んで形成される。第2配線部32aは、酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置され、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30の第1配線部30aに接続される。また、第2基板補強用電極部32bは、アルミニウム基板部10xに対応する両面側に第2層間絶縁層22を介して配置される。
【0085】
第2配線層32の第2基板補強用電極部32bにおいても、第1配線層30と同様に、アルミニウム基板部10xに対応する部分にリング状に繋がって配置されることが好ましい。また同様に、第2配線層32の第2基板補強用電極部32bは、電気回路には接続されずにフローティング電極として形成される。
【0086】
アルミニウム基板部10xの両面側に第1配線層30の第1基板補強用電極部30bと第2配線層32の第2基板補強用電極部32bとを積層することにより、複合基板5の基板強度をさらに向上させることができる。
【0087】
第1、第2配線層30,32の第1、第2基板補強用電極部30b,32bは電気回路に接続されないため、第2ビアホールVH2で接続する必要はなく、第2層間絶縁層22によって電気絶縁された状態で形成される。なお、第1基板補強用電極部30bと第2基板補強用電極部32bとを第2ビアホールVH2を介して接続しても差し支えない。
【0088】
その後に、図7(a)に示すように、複合基板5の両面側に、第2配線層32の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト24を形成する。ソルダレジスト24の膜厚は20μm程度である。
【0089】
さらに、図7(b)に示すように、複合基板5の両面側において、第2配線層32の接続部上にコンタクト層34を形成する。コンタクト層34の好適な例としては、下から順に膜厚が3μm程度のニッケル層と膜厚が0.1μm程度の金(Au)層とが無電解めっきによって形成される。
【0090】
さらに、複合基板5の両面側において、第2配線層32上のコンタクト層34に接続されるはんだなどからなるバンプ電極36をそれぞれ形成する。
【0091】
このようにして、複合基板5の両面側に、貫通導体TCの上端及び下端に接続される2層のビルドアップ配線層BWがそれぞれ形成される。
【0092】
以上により、複合基板5の複数の配線基板用領域A(図4(b))にビルドアップ配線層BWがそれぞれ形成された配線部材6が得られる。図7(b)の例では、2層のビルドアップ配線層BW(第1、第2配線層30,32)を形成しているが、ビルドアップ配線層はn層(1以上の整数)で任意に形成することができる(単層又は積層)。
【0093】
なお、ビルドアップ配線層BWは複合基板5の片面側のみに形成してもよい。この場合は、ビルドアップ配線層BWと反対側の酸化アルミニウム基板部10の面に貫通導体TCに接続されるバンプ電極が設けられる。
【0094】
次いで、図8に示すように、図7(b)の配線部材6をアルミニウム基板部10xに対応する部分(ダイシング領域Dの中央部(図4(b))で上面から下面まで切断することにより、個々の配線基板1を得る。
【0095】
以上説明したように、第1実施形態の配線基板の製造方法では、まず、複数の配線基板用領域Aが画定されたアルミニウム基板10aを用意し、陽極酸化する領域に開口部11aが設けられた絶縁樹脂層11を形成する。
【0096】
次いで、絶縁樹脂層11の開口部11aを通してアルミニウム基板10aをその厚み方向に陽極酸化する。これにより、アルミニウム基板10aに、多数のホールHが設けられた酸化アルミニウム基板部10が部分的に形成される。
【0097】
次いで、下側に残されたアルミニウム部10bが除去されて、酸化アルミニウム基板部10に厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられる。さらに、酸化アルミニウム基板部10の多数のスルーホールTHに貫通導体TCが充填される。
【0098】
このような製造方法を採用することにより、基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10が基板強度の強いアルミニウム基板部10xで補強されるため、全体にわたって酸化アルミニウム基板とする場合より基板全体の強度を向上させることができる。
【0099】
これにより、酸化アルミニウム基板部10に設けられた貫通導体TCに接続されるビルドアップ配線層BWを形成する諸工程において、酸化アルミニウム基板部10にクラックが発生することが防止される。その結果、配線基板の製造歩留りを向上させることができると共に、信頼性の高い配線基板を得ることができる。
【0100】
図8に示すように、第1実施形態の配線基板1では、厚み方向の中央部にコア基板として機能する複合基板5が配置されている。複合基板5は、平面視して四角状の酸化アルミニウム基板部10とその周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部10xとを備えている。
【0101】
酸化アルミニウム基板部10は、アルミニウム基板10aが陽極酸化されることによって得られ、厚み方向に貫通する多数のスルーホールTHが設けられている。スルーホールTH内には貫通導体TCが充填されており、貫通導体TCは酸化アルミニウム基板部10の両面側を導通させる貫通ビアとして機能する。
【0102】
複合基板5の両面側には、酸化アルミニウム基板部10に設けられた多数の貫通導体TCのうち貫通ビアとして機能させる貫通導体TCの上に第1ビアホールVH1が設けられた第1層間絶縁層20がそれぞれ形成されている。第1層間絶縁層20で被覆された貫通導体TCは、酸化アルミニウム基板部10(絶縁体)で相互に電気絶縁されており、上下側の導通には関与しないようになっている。
【0103】
また、両面側の第1層間絶縁層20の上には第1ビアホールVH1を介して貫通導体TCの上端及び下端に接続される第1配線層30がそれぞれ形成されている。第1配線層30と貫通導体TCの接続部において、第1配線層30は複数の貫通導体TCに電気的に接続されている。
【0104】
また、第1配線層30は第1配線部30aとそれと同一層から形成された第1基板補強用電極部30bとを含んで形成される。
【0105】
第1配線部30aは酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて第1ビアホールVH1を介して貫通電極TCに接続されている。一方、第1基板補強用電極部30bはアルミニウム基板部10xに対応する両面側に配置されて第1配線部30aと分離されている。
【0106】
さらに、複合基板5の両面側には、第1配線層30の接続部上に第2ビアホールVH2が設けられた第2層間絶縁層22がそれぞれ形成されている。両面側の第2層間絶縁層22の上には、第2ビアホールVH2を介して第1配線層30に接続される第2配線層32がそれぞれ形成されている。
【0107】
第2配線層32は、第1配線層30と同様に、第2配線部32aとそれと同一層から形成された第2基板補強用電極部32bとを含んで形成される。そして、第2配線部32aは酸化アルミニウム基板部10に対応する両面側に配置されて第2ビアホールVH2を介して第1配線層30の第1配線部30aに接続されている。一方、第2基板補強用電極部32bはアルミニウム基板部10xに対応する両面側に配置されて第2配線部32aと分離されている。
【0108】
第1、第2基板補強用電極部30b,32bはアルミニウム基板部10xに対応する部分にリング状に繋がって配置されている。
【0109】
さらに、複合基板5の両面側には、第2配線層32の接続部上に開口部24aが設けられたソルダレジスト24がそれぞれ形成されている。両面側の第2配線層32の接続部にはニッケル/金めっき層などからなるコンタクト層34がそれぞれ形成されている。
【0110】
さらに、複合基板5の両面側には、第2配線層32上のコンタクト層34に接続されるはんだなどからなるバンプ電極36がそれぞれ形成されている。
【0111】
第1実施形態に配線基板1では、多数の貫通導体TCが予め設けられた酸化アルミニウム基板部10の任意の位置に第1層間絶縁層20の第1ビアホールVH1を配置することにより、両面側を導通可能にする貫通ビア構造を容易に構築することができる。
【0112】
また、多数の貫通導体TCが設けられて基板強度の弱い酸化アルミニウム基板部10の周囲に基板強度の強い枠状のアルミニウム基板部10xが連結して設けられている。つまり、第1実施形態の配線基板1では、周縁側にアルミニウム基板部10xからなるスティフナ(補強板)が連結されて基板強度が補強されている。
【0113】
このため、全体にわたって酸化アルミニウム基板部10とする場合(関連技術)より基板強度を向上させることができる。
【0114】
また、第1、第2配線層30,32の第1、第2基板補強用電極部30b,32bがアルミニウム基板部10xの両面側に補強用として配置されている観点からも基板強度を向上させることができる。さらに、複合基板5を軸として対称な構造となっているので反りの発生を防止することができる。
【0115】
しかも、多数の貫通導体TCが設けられた酸化アルミニウム基板部10の周縁端部はアルミニウム基板部10xで保護されており外部に露出していない。このため、配線基板1の端部に機械的な衝撃を与える場合であっても、貫通導体TCが剥がれ落ちてくるなどの不具合が発生するおそれがなく、信頼性の高い配線基板を構成することができる。
【0116】
図8の配線基板1では、上面側のバンプ電極36が半導体チップに接続されるチップ接続部となり、下面側のバンプ電極36が実装基板(マザーボードなど)に接続される外部接続部となる。
【0117】
そして、図9に示すように、図8の配線基板1の上面側のバンプ電極36に半導体チップ40(LSIチップ)の接続部をリフローはんだ付けによりフリップチップ接続する。半導体チップ40と配線基板1との隙間にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0118】
これにより、第1実施形態の半導体パッケージ(半導体装置)2が得られる。半導体パッケージ2においても、同様な理由により、基板強度を向上させることができると共に、高い信頼性が得られるようになる。
【0119】
(第2の実施の形態)
図10は本発明の第2実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0120】
第2実施形態の特徴は、前述した第1実施形態の陽極酸化のマスクとして使用した絶縁樹脂層11(図4(b)〜図5(a))を除去せずに残すことにある。
【0121】
従って、第2実施形態では、図10(a)に示すような配線部材6aが得られる。つまり、複合基板5のアルミニウム基板部10xの上面に絶縁樹脂層11(点ハッチング部)が残され、絶縁樹脂層11の上に第1層間絶縁層20が形成される。
【0122】
第2実施形態のように絶縁樹脂層11を残す場合は、層間絶縁層としてそのまま使用できる永久レジストが好適に使用される。
【0123】
そして、図10(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(a)の配線部材6aがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1aが得られる。
【0124】
第2実施形態では、絶縁樹脂層11が残されること以外は第1実施形態と同一である。
【0125】
第2実施形態では、絶縁樹脂層11を除去する工程を省略できるので、第1実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0126】
さらに、図10(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(b)の配線基板1aの上側のバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2a(半導体装置)が構成される。
【0127】
(第3の実施の形態)
図11は本発明の第3実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0128】
図11(a)に示すように、第3実施形態の特徴は、前述した第1実施形態においてビルドアップ配線層BWの形成方法で最初に形成される第1層間絶縁層20(図5(c)及び(d))が省略される。
【0129】
従って、図11(a)に示すように、第3実施形態で得られる配線部材6bでは、第1層間絶縁層20を介さずに、第1配線層30の第1配線部30aが酸化アルミニウム基板部10の両面に直接形成され、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bがアルミニウム基板部10xの両面に直接形成される。
【0130】
そして、図11(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図10(a)の配線部材6bがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1bが得られる。
【0131】
第3実施形態では、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bがアルミニウム基板部10xに接触して形成されるが、第1基板補強用電極部30b及びアルミニウム基板部10xは電気回路に接続されないため何ら問題はない。
【0132】
第3実施形態では、第1層間絶縁層20が省略されること以外は第1実施形態と同一である。
【0133】
第3実施形態では、アルミニウム基板部10xの両面に第1基板補強用電極部30bが直接形成されることから、補強用のアルミニウム基板部10xの厚みが実質的に厚くなるので、第1、第2実施形態より基板強度を向上させることができる。
【0134】
また、第1層間絶縁層20及び第1ビアホールVH1を形成する工程を省略できるので、第1実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0135】
さらに、図11(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図11(b)の配線基板1bの上側にバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2b(半導体装置)が構成される。
【0136】
(第4の実施の形態)
図12は本発明の第4実施形態の配線基板の製造方法及び半導体パッケージを示す断面図である。
【0137】
第4実施形態の特徴は、第2実施形態と同様に、陽極酸化のマスクとして使用した絶縁樹脂層11(図4(b)〜図5(a))を残し、かつ第3実施形態と同様に、ビルドアップ配線層BWの第1層間絶縁層20(図5(c)及び(d))を省略することにある。
【0138】
従って、図12(a)に示すように、第4実施形態で得られる配線部材6cでは、第1配線層30の第1配線部30aは第1層間絶縁層20を介さずに酸化アルミニウム基板部10の両面に直接形成される。また、第1配線層30の第1基板補強用電極部30bは、アルミニウム基板部10xの上面側では絶縁樹脂層11(点ハッチング部)を介して形成され、アルミニウム基板部10xの下面側では絶縁層を介さずに直接形成される。
【0139】
そして、図12(b)に示すように、第1実施形態と同様に、図12(a)の配線部材6cがダイシング領域D(図4(b))で切断されて個々の配線基板1cが得られる。
【0140】
第4実施形態では、絶縁樹脂層11を残すこと及び第1層間絶縁層20を省略すること以外は第1実施形態と同一である。
【0141】
第4実施形態では、絶縁樹脂層11を除去する工程、第1層間絶縁層20を形成する工程及び第1ビアホールVH1を形成する工程を省略できるので、第1〜第3実施形態より低コスト化を図ることができる。
【0142】
さらに、図12(c)に示すように、第1実施形態と同様に、図12(b)の配線基板1cの上側のバンプ電極36に半導体チップ40の接続部がフリップチップ接続されて半導体パッケージ2c(半導体装置)が構成される。
【0143】
(その他の実施形態)
前述した第1〜図4実施形態では、複合基板5にビルドアップ配線層BWを作り込むことにより配線基板を製造している。その他の形態として、接続部を備えた配線部材を複合基板5と別に予め用意し、はんだなどの導電材で複合基板5の貫通導体TCに配線部材の接続部を接合することに基づいて配線部材(配線基板)を製造してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1,1a〜1c…配線基板、2,2a〜2c…半導体パッケージ、5…複合基板、6,6a〜6c…配線部材、10…酸化アルミニウム基板部、10a…アルミニウム基板、10b…アルミニウム部、10x…アルミニウム基板部、11…絶縁樹脂層、11a,24a…開口部、12…めっき給電層、20…第1層間絶縁層、22…第2層間絶縁層、24…ソルダレジスト、30…第1配線層、30a…第1配線部、30b…第1基板補強用電極部、32…第2配線層、32a…第2配線部、32b…第2基板補強用電極部、34…コンタクト層、36…バンプ電極、A…配線基板用領域、D…ダイシング領域、H…ホール、TH…スルーホール、TC…貫通導体、VH1…第1ビアホール、VH2…第2ビアホール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部と、前記酸化アルミニウム基板部の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部とを備えた複合基板と、
前記貫通導体に接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層とを有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記配線層と前記貫通導体との接続部において、前記配線層は複数の前記貫通導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線層は、前記酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記貫通導体に接続される配線部と、前記アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記配線部と分離された基板補強用電極部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記基板補強用電極部はリング状に繋がって配置されていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた複数の酸化アルミニウム基板部と、前記複数の酸化アルミニウム基板部を連結するアルミニウム基板部とを備える複合基板を用意する工程と、
前記貫通導体に接続されるn層(nは1以上の整数)の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記配線層と前記貫通導体との接続部において、前記配線層が複数の前記貫通導体に電気的に接続されることを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記複合基板を用意する工程は、
アルミニウム基板の上に、前記酸化アルミニウム基板部を得る領域に開口部が設けられた絶縁樹脂層を形成する工程と、
前記絶縁樹脂層の開口部を通して前記アルミニウム基板を厚み方向に陽極酸化することにより、多数のホールが設けられた前記酸化アルミニウム基板部を得る工程と、
前記酸化アルミニウム基板部の下側のアルミニウム部を前記ホールが露出するまで除去することにより、厚み方向に貫通する多数のスルーホールが設けられた前記酸化アルミニウム基板部とそれに連結される前記アルミニウム基板部とを得る工程と、
前記スルーホールに前記貫通導体を充填する工程とを含むことを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記配線層を形成する工程において、
前記配線層は、前記酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記貫通導体に接続される配線部と、前記アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記配線部と分離された基板補強用電極部とを含んで形成されることを特徴とする請求項5に配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記配線層を形成する工程において、
前記基板補強用電極部は前記酸化アルミニウム基板部を取り囲むようにして繋がって配置されることを特徴とする請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記配線層を形成する工程の後に、
前記アルミニウム基板部に対応する部分を切断することにより、周縁側に枠状のアルミニウム基板部を備えた個々の配線基板を得る工程をさらに有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた酸化アルミニウム基板部と、前記酸化アルミニウム基板部の周囲に設けられた枠状のアルミニウム基板部とを備えた複合基板と、
前記貫通導体に接続されたn層(nは1以上の整数)の配線層とを有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記配線層と前記貫通導体との接続部において、前記配線層は複数の前記貫通導体に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記配線層は、前記酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記貫通導体に接続される配線部と、前記アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記配線部と分離された基板補強用電極部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記基板補強用電極部はリング状に繋がって配置されていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
厚み方向に貫通する多数の貫通導体が設けられた複数の酸化アルミニウム基板部と、前記複数の酸化アルミニウム基板部を連結するアルミニウム基板部とを備える複合基板を用意する工程と、
前記貫通導体に接続されるn層(nは1以上の整数)の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記配線層と前記貫通導体との接続部において、前記配線層が複数の前記貫通導体に電気的に接続されることを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記複合基板を用意する工程は、
アルミニウム基板の上に、前記酸化アルミニウム基板部を得る領域に開口部が設けられた絶縁樹脂層を形成する工程と、
前記絶縁樹脂層の開口部を通して前記アルミニウム基板を厚み方向に陽極酸化することにより、多数のホールが設けられた前記酸化アルミニウム基板部を得る工程と、
前記酸化アルミニウム基板部の下側のアルミニウム部を前記ホールが露出するまで除去することにより、厚み方向に貫通する多数のスルーホールが設けられた前記酸化アルミニウム基板部とそれに連結される前記アルミニウム基板部とを得る工程と、
前記スルーホールに前記貫通導体を充填する工程とを含むことを特徴とする請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記配線層を形成する工程において、
前記配線層は、前記酸化アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記貫通導体に接続される配線部と、前記アルミニウム基板部に対応する部分に配置されて前記配線部と分離された基板補強用電極部とを含んで形成されることを特徴とする請求項5に配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記配線層を形成する工程において、
前記基板補強用電極部は前記酸化アルミニウム基板部を取り囲むようにして繋がって配置されることを特徴とする請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記配線層を形成する工程の後に、
前記アルミニウム基板部に対応する部分を切断することにより、周縁側に枠状のアルミニウム基板部を備えた個々の配線基板を得る工程をさらに有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−187863(P2011−187863A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54149(P2010−54149)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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