説明

電子キーシステム及び電子キーの電源供給方法

【課題】電池切れによってユーザが困惑してしまう状態に陥らせ難くすることができる電子キーシステムを提供する。
【解決手段】電子キーシステムは、スマート通信と、ワイヤレス通信との両方の通信が可能である。電子キーシステムは、車両2に設けられ、スマート通信の際に、車両2に設置した車外発信機22及び車内発信機23から、電子キー1のスマート通信時における電源として電力電波Svvを発信させる発信制御部21bと、電子キー1に設けられ、スマート通信の際に電力電波Svvを取得して、電子キー1に搭載されたコンデンサ14に充電を行う充電制御部11bと、電子キー1に設けられ、電子キー1がワイヤレス通信を行う際、コンデンサ14を電源として電子キー1を動作させる電源選択部11cとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両キーとして電子キーを用いる電子キーシステム及び電子キーの電源供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のキーシステムにおいては、車両キーとしての電子キーからキーコードとしてIDコードを車両へ無線発信してID照合を実行させる電子キーシステムが種々の車種で採用されている。この電子キーシステムでは、車両の周囲にIDコードの返信要求としてLF帯の信号でリクエストの通信エリアを形成し、この通信エリアに電子キーが入り込んでリクエストを受け取ると、電子キーがIDコードをRF帯の信号で車両に返信する。そして、車両は、このIDコードを受信するとID照合を行い、ID照合が成立すれば、ドアロックの施解錠やエンジンの始動を許可又は実行する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電子キーシステムでは、車両からリクエストが定期的に発信され、車外において電子キーがリクエストを受信して、リクエストに応答する形で電子キーが返信したIDコードで車両がID照合(車外照合)を実行する。車両は、車外照合が成立した場合にはドアロックの施解錠を許可又は実行する。また、電子キーシステムでは、車内において電子キーがIDコードを受信して、リクエストに応答する形で電子キーが返信したIDコードで車両がID照合(車内照合)を実行する。車両は、車内照合が成立した場合にはエンジンの始動を許可又は実行する。
【0004】
上記の電子キーは、電池を電源として稼働しているため、使用年月(使用回数)の経過に伴って電池電圧が限界動作電圧付近に至ると、ID照合ができなくなる状況に陥る。なお、目安として電池は交換しないで1年以上使用可能である。そこで、このような電子キーの電池切れに備えて、電子キーにはメカニカルキーが収納され、電池切れ時のドアロック施解錠はメカニカルキーを使用することによって対応する。さらに、電子キーにはトランスポンダが内蔵され、電池切れ時のエンジン始動は電子キーを車内のコイルアンテナに近づけて、トランスポンダによるID照合を成立させることによって対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−29385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このように電子キーにメカニカルキーやトランスポンダを搭載することで電子キーに電池切れ対策を施しておいても、電子キーが電池切れになる状況は稀である。このため、実際に電池切れになった際には、メカニカルキーやトランスポンダを使用すれば対処可能であるにも拘わらず、実際のところユーザは電子キーを所持していても車両を操作することができない状況に直面することで、困惑する状況に陥ってしまう現状があった。よって、電子キーが電池切れに陥ることを要因とする困惑状態にユーザを陥らせることのない新たな技術が要望されていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池切れによってユーザが困惑してしまう状態に陥り難くすることができる電子キーシステム及び電子キーの電源供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、通信対象から発信されたIDコードの返信要求に応答して電子キーがIDコードを発信してID照合を行うスマート通信と、前記電子キーに設けられた操作手段に対する操作により発信された前記IDコードのID照合成立を条件に、前記通信対象に設置された機器の操作が可能となるワイヤレス通信との両方の通信が可能な電子キーシステムにおいて、前記通信対象に設けられ、前記スマート通信の際に、前記通信対象に設置した電力伝送装置から、前記電子キーのスマート通信時における電源として電力電波を発信させる電力発信手段と、前記電子キーに設けられ、前記スマート通信の際に前記電力伝送装置から出される前記電力電波を取得して、当該電子キーに搭載された充電部に充電を行う充電実行手段と、前記電子キーに設けられ、前記電子キーが前記ワイヤレス通信を行う際、前記充電部を電源として前記電子キーを動作させる電源切換手段とを備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、電子キーが通信対象とスマート通信を行う際、通信対象の電力伝送装置から電力電波を発信させ、この電力電波を電源として電子キーにスマート通信を実行させる。また、このスマート通信時に通信対象から発信される電力電波を電子キーの充電部に充電し、電子キーがワイヤレス通信を行う際には、充電部を電源として電子キーにワイヤレス通信を実行させる。以上により、両通信ともに電子キーに個別の電池を持たせなくとも実行可能となるので、電子キーが電池切れになる状況を想定せずに済み、ユーザを電池切れによる困惑状態に陥らせずに済む。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信対象に設けられ、前記スマート通信の照合成立後、前記電力伝送装置からの前記電力電波の発信を、一定時間の間において継続させる電力電波発信継続手段を備え、前記充電実行手段は、前記スマート通信の照合成立後に前記電力伝送装置から前記電力電波を得て、前記充電部への充電を実行することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、スマート通信の照合成立後、続けて電力伝送装置から受け付ける電力電波によって電子キーの充電部を充電する。このため、電力伝送装置から電子キーの電源として得る電力電波を、スマート通信の電源と充電部の充電とで時系列を分けて使用することが可能となるので、いずれにも十分な電力を供給することができる。また、これら2処理を同時に行わずに済むため、電源制御を容易にすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信対象に設けられ、前記電子キーに前記充電部への充電を開始させる要求として、充電要求を前記電力伝送装置から前記電子キーに向けて発信させる充電要求発信手段を備え、前記充電実行手段は、前記電力伝送装置から前記充電要求を受信すると、前記充電部への充電を実行することをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、電力伝送装置から充電要求を受信することをトリガとして、充電実行手段は充電部への充電を開始するので、通信対象から充電開始の指示を受けるという好適なタイミングで充電を開始することが可能となる。このため、電子キーが充電するべきときを把握し、通信対象から発信される電力電波を的確に充電することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信対象に設けられ、前記充電部の充電電圧が閾値未満であるか否かを判定する判定手段を備え、前記充電要求発信手段は、前記充電部の充電電圧が閾値未満であると前記判定手段が判定した際に、前記電子キーに充電部への充電を開始させるべく当該電子キーに前記充電要求を発信することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、電子キーの充電電圧が閾値未満であると通信対象が認識すると、通信対象が電子キーに対して充電要求を発信し、電子キーは充電要求を受信することをトリガとして充電部の充電を開始する。このため、充電部への充電が真に必要なときに、充電部への充電を実行することが可能となるので、充電部の充電残量が残っているにも拘わらず、充電動作を実行してしまうような無駄な処理を実行させずに済む。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、前記充電部は、前記電子キーが少なくともワイヤレス通信を行うのに充分な電力を蓄電可能なコンデンサであることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、充電部としてコンデンサを使用したが、この種のコンデンサは二次電池と異なり電気化学反応を伴わないので、充放電回数の制限が無く、内部抵抗が低く短時間で充放電を行うことが可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、通信対象から発信されたIDコードの返信要求に応答してIDコードを発信してID照合を行うスマート通信と、自身に設けられた操作手段に対する操作により発信された前記IDコードのID照合成立を条件に、前記通信対象に設置された機器の操作が可能となるワイヤレス通信との両方の通信が可能な電子キーの電源供給方法において、前記通信対象に設置した電力伝送装置から発信された電力電波を、前記電子キーのスマート通信時における電源とし、前記スマート通信の際に前記電力伝送装置から出される前記電力電波を取得して、当該電子キーに搭載された充電部に充電を行い、前記ワイヤレス通信を行う際、前記充電部を電源とすることをその要旨としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電池切れによってユーザが困惑してしまう状態に陥らせ難くすることができる電子キーシステム及び電子キーの電源供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】スマート通信時の電子キー側の電力無線供給を示す概略構成図。
【図3】充電時の電子キー側の電力無線供給を示す概略構成図。
【図4】ID照合時の電子キーと車両との動作を示すタイムチャート。
【図5】ワイヤレス通信時の電子キー側の電力供給を示す概略構成図。
【図6】ワイヤレス通信時の通信動作を示すシーケンスチャート。
【図7】ID照合時の通信動作を示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる電子キーシステムを車両に具体化した一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、車両2には、車両キーとして電子キー1を使用して、無線により電子キー1のIDコードを車両2に発信してID照合を行う電子キーシステムが搭載されている。この電子キーシステムには、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくても機器としてのドアロックの施解錠やエンジンの始動及び停止等の車両動作を行うことが可能なキー操作フリーシステムが含まれる。また、電子キーシステムには、電子キー1におけるボタン操作によって遠隔操作で車載機器を動作させるワイヤレスキーシステムも含まれている。
【0022】
この電子キーシステムには、車両2から電子キー1の電源となる電波(以下、電力電波Svv)を電子キー1に発信して、この電力電波Svvによって電子キー1を動作させる電力伝送システムが設けられている。本例の電子キーシステムは、キー操作フリーシステムの通信、いわゆるスマート通信時の電子キー1の電源を、車両2からの電力電波Svvによってまかなう電力伝送式となっている。そして、本例の電子キーシステムは、この電力伝送システムの電力電波Svvに情報を載せて、電子キー1と車両2との間で狭域無線通信(スマート通信)を行う。
【0023】
車両2には、電子キー1との間で狭域無線通信を行う際にID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)21と、車載モータやリレー等の動作を管理するメインボディECU31とが設けられている。照合ECU21には、車両2の各ドアに埋設されて車外にRF(Radio Frequency)帯の電波を発信可能な電力伝送装置としての車外発信機22と、車内床下等に埋設されて車内にRF帯の電波を発信可能な電力伝送装置としての車内発信機23と、車内後方の車体等に埋設されてRF帯の電波を受信可能なRF受信機24とが接続されている。これら車外発信機22、車内発信機23は、電子キーシステムに準ずる電波(以下、リクエスト信号Srq)と、前述した電力電波Svvとの両方を発信可能となっている。
【0024】
また、照合ECU21には、車外発信機22及び車内発信機23の発信動作を管理する電力発信手段としての発信制御部21bが設けられている。発信制御部21bは、スマート通信時において車外発信機22及び車内発信機23から、リクエスト信号Srq及び電力電波Svvを定期的に発信させる。
【0025】
照合ECU21には、例えばドアロック施解錠等を管理するメインボディECU31が車内LAN(Local Area Network)30を介して接続されている。メインボディECU31には、例えば電気錠からなるドアロック装置38が接続されている。
【0026】
照合ECU21は、車外発信機22からリクエスト信号Srqを発信したときに、電子キー1が返信するIDコード信号Sidによって、ID照合(車外照合)が成立することを確認すると、ドアロックの施解錠を許可する。そして、この許可状態において、照合ECU21は、操作手段としての車外ドアハンドル27のタッチセンサ28がタッチ操作された際にはドアロック装置38を駆動させてドアロックを解錠させる。一方、照合ECU21は、車外ドアハンドル27のロックボタン29が押圧操作された際にはドアロック装置38を駆動させてドアロックを施錠させる。
【0027】
また、車両2には、照合ECU21のID照合成立結果を基に、エンジンの点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU32が設けられている。エンジンECU32は、車内LAN30を通じて照合ECU21等の各種ECUに接続されている。車両2の運転席には、車両2の電源状態(電源ポジション)を切り換える際に操作されるエンジンスイッチ33が設けられている。エンジンスイッチ33は、押し操作される度に電源状態をACCオン→IGオン→電源オフの順に繰り返し遷移させ、エンジン停止時にブレーキペダルが踏み込み操作された状態で操作されると、エンジンを始動に切り換える。
【0028】
照合ECU21は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、ドアが開けられて運転者が乗車したことを例えばカーテシスイッチ37で認識すると、車内発信機23からリクエスト信号Srqを発信して、ID照合(車内照合)を実行する。照合ECU21は、車内照合が成立することを確認すると、エンジンスイッチ33による電源状態の切り換えを許可する。
【0029】
一方、電子キー1には、車両2との間で電子キーシステムに準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部11が設けられている。通信制御部11は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ11aを備えている。通信制御部11には、スマート通信時にRF電波を送受信するキー送受信部12が接続されている。キー送受信部12には、同キー送受信部12において受信機能を満たす回路として受信回路12bが設けられている。受信回路12bは、受信電波を復調したり、又は増幅したりする回路である。この受信回路12bには、車両2から受信した電力電波Svvを直流変換して通信制御部11に供給する整流回路12cが設けられている。整流回路12cは、整流後の電力(無線電力Jw)を、電子キー1(通信制御部11及びキー送受信部12)に電源として供給する。
【0030】
また、キー送受信部12には、同キー送受信部12において発信機能を満たす回路として発信回路12aが設けられている。発信回路12aは、電子キー1から受信する電力電波Svvを、そのまま「0」又は「1」の信号に変えて電波発信する電波反射型(パッシブ式)をとっている。即ち、発信回路12aは、受信した電力電波Svvを変調することで反射して例えば「1」を生成し、電力電波Svvを反射しないことで例えば「0」を生成して、これらを組み合わせて情報を返信する。
【0031】
また、通信制御部11には、通信制御部11の指令に従いRF帯の電波を発信可能なRF発信部15が接続されている。RF発信部15は、通信制御部11から得た通信データを変調し、発信電波として生成する。RF発信部15は、ワイヤレスキーシステムの通信、いわゆるワイヤレス通信時において、電子キー1でのボタン操作(施錠ボタン17、解錠ボタン18)に応じてRF電波、つまりワイヤレス信号(施錠信号Sl、解錠信号Sul)を発信可能となっている。
【0032】
図1〜図3に示されるように、本例の電力伝送システムには、電子キー1に固有電源として搭載された充電部としてのコンデンサ14を、電力電波Svvによって充電する充電機能が設けられている。本例の電力伝送システムは、スマート通信時の電子キー1の電源を電力電波Svvによって供給しつつ、スマート通信実行後、電力電波Svvを一定時間において発信することにより、電子キー1のコンデンサ14を電力電波Svvによって充電するシステムである。
【0033】
コンデンサ14は、切換部13を介して通信制御部11及びキー送受信部12(整流回路12c)の両者に接続されている。コンデンサ14は、例えば電気二重層コンデンサが使用されている。電気二重層コンデンサは、内部抵抗が低く短時間で充放電を行うことが可能であり、充放電による劣化がないので長寿命である。また、電気二重層コンデンサは、他のコンデンサと比較して大容量であり、ワイヤレス通信を行う際には大きな電力が必要であるがこの電力をまかなうことが可能である。
【0034】
切換部13は、通信制御部11及び受信回路12bとコンデンサ14との間に接続され、通信制御部11の指令に基づいて電子キー1(通信制御部11)の電源をコンデンサ14と電力電波Svvとのいずれかに切り換えるスイッチである。詳しくは、図2、図3、及び図5に示されるように、切換部13は、通信制御部11等の電源を整流回路12c及びコンデンサ14のどちらか一方に切り換える電源スイッチ13aと、整流回路12c及びコンデンサ14の接続を入り切りする充電スイッチ13bとを備えている。切換部13の電源スイッチ13aは、通常、整流回路12c側に接続されて無線電力Jwを電源として電子キー1を動作させる。また、切換部13の充電スイッチ13bは、通常、OFF状態をとり、通信制御部11からの指令によってON状態に切り換わり可能となっている。なお、電源スイッチ13aは、電源切換手段として機能する。
【0035】
また、通信制御部11には、電子キー1の電源を無線電力Jw及び充電電力Jcの一方に設定する電源切換手段としての電源選択部11cが設けられている。本例の電源選択部11cは、通常、電源スイッチ13aを整流回路12c側に繋げて、無線電力Jwを電子キー1の電源として供給する。また、電源選択部11cは、施錠ボタン17又は解錠ボタン18が押圧された際、即ち電子キー1においてワイヤレス通信の開始操作が行われた際には、電源スイッチ13aをコンデンサ14側に繋げて、充電電力Jcを電子キー1の電源として供給する。
【0036】
通信制御部11には、切換部13の動作を制御する充電実行手段としての充電制御部11bが設けられている。充電制御部11bは、コンデンサ14の電圧値を定期的に取得し、IDコード信号Sidの発信時に同IDコード信号Sidにコンデンサ電圧情報を含ませて発信する。ここで、コンデンサ電圧情報は、電子キー1の動作に必要な閾値、すなわち限界動作電圧以上である場合には「0」、限界動作電圧未満である場合には「1」で示す1ビットのコードである。コンデンサ電圧が充電電圧として機能する。
【0037】
一方、照合ECU21には、コンデンサ14の充電を車両2側において管理する電力電波発信継続手段としての充電実行部21cが設けられている。充電実行部21cは、スマート照合の成立後、同通信時に取得するコンデンサ電圧情報を基にコンデンサ電圧を確認し、コンデンサ電圧が限界動作電圧未満であることを確認すると、ワイヤレス通信を電子キー1のコンデンサ14で実行できないと認識し、スマート通信の終了後に車外発信機22(車内発信機23)による電力電波Svvの発信動作を継続させ、コンデンサ14に充電させるべく供給する。
【0038】
次に、本例のキー操作フリーシステムの動作を図2〜図6を参照して説明する。
まずは、スマート通信時の動作について図2〜図4に従って説明する。このとき、電子キー1は、通常のモードとして、図2に示されるように、電源スイッチ13aが整流回路12c側に繋がり、充電スイッチ13bがOFF状態をとることで、無線電力電源モード(電池レススマートモード)をとっている。よって、電子キー1は、車両2から受信する電力電波Svvを電源として取得し、自身が持つコンデンサ14の電力は使わずに、同電力電波Svvによって動作する。
【0039】
図4に示されるように、照合ECU21は、駐車時において、電子キー1とスマート通信を実行する際、まず停止状態(スリープ状態)になっている電子キー1を起動させるべく、ウェイク電力電波Svwを車外発信機22から発信させる。ウェイク電力電波Svwは、通信制御部11を起動させるためのウェイクコードSwkと、電力電波Svvとを含む電波である。ウェイク電力電波Svwは、車外発信機22から一定間隔をおいて繰り返し発信され、車両2の周囲における電子キー1の有無が監視される。また、ウェイク電力電波Svwは、電子キー1の発信動作も電力電波Svvで賄えるように、電子キー1が発信動作を完了するであろう時間まで発信される。
【0040】
電子キー1がウェイク電力電波Svwの車外通信エリアに入り込むと、このとき電子キー1は無線電力電源モードに設定されているので、電子キー1は受信した無線電力Jwを電源として、ウェイク電力電波Svwに含まれるウェイクコードSwkを受信する。キー送受信部12は、ウェイクコードSwkの正否を判定し、正規のものであれば、通信制御部11をスリープ状態から起動状態に切り換える。通信制御部11は、起動状態に切り換わると、アック信号Sacを反射電波によってキー送受信部12から発信する。
【0041】
車両2は、ウェイク電力電波Svwを発信した後の所定時間内にアック信号Sacを受信すると、電子キー1が車外通信エリアに存在すると認識し、スマート通信を継続する。このとき、発信制御部21bは、車外発信機22からの電力電波Svvの発信を継続し、これを電子キー1の電源としてスマート通信が終了するまで同電子キー1に供給し続ける。
【0042】
照合ECU21は、ウェイク電力電波Svwの応答としてアック信号Sacを受信した際、電力電波Svvを継続発信するとともに、ビークルID信号Sviを車外発信機22から発信する。このビークルID信号Sviには、車両2を識別するための車両固有のIDとしてビークルIDが含まれている。ビークルID信号Sviを受信した電子キー1は、メモリ11aに登録されたコードと照らし合わせるビークルID照合を行い、照合が一致すると、アック信号Sacを反射電波によってキー送受信部12から発信する。
【0043】
車両2は、ビークルID信号Sviを発信した後の所定時間内にアック信号Sacを受信すると、自身に対応する電子キー1が車外通信エリアに存在すると認識し、今度はチャレンジ信号Sccを車外発信機22から発信する。チャレンジ信号Sccには、発信の度に毎回値が変わるチャレンジコードと、電子キー1のキー番号とが含まれている。なお、キー番号は、何番目のマスターキーであるか、又は何番目のサブキーであるかを通知するものである。
【0044】
電子キー1の通信制御部11は、キー送受信部12でチャレンジ信号Sccを受信すると、このチャレンジ信号Sccのキー番号の正否を見る番号照合を実行し、自身がこのときの通信相手であるか否かを判断する。なお、この番号照合は、通信相手の電子キー1についてマスター又はサブのキー種を判定する照合である。そして、この番号照合が成立すると、通信制御部11は、チャレンジ信号Sccに含まれるチャレンジコードを、自身の暗号鍵によって演算することにより、レスポンスコードを生成する。通信制御部11は、レスポンスコードの生成が終了すると、自身のメモリ11aに登録されたIDコードと、このレスポンスコードとを含むレスポンス信号Sreを反射電波によってキー送受信部12から発信させる。なお、レスポンス信号Sre内におけるIDコードとレスポンスコードとの並び順は、適宜変更可能である。
【0045】
また、充電制御部11bは、レスポンス信号Sreを車両2に発信する際、このレスポンス信号Sreにコンデンサ電圧情報を含ませて発信する。このコンデンサ電圧情報は、照合時におけるコンデンサ電圧をビットにより表したものである。よって、充電制御部11bは、チャレンジレスポンス認証のレスポンスを車両2に返す際、これと同時にコンデンサ電圧情報も車両2に通知する。
【0046】
照合ECU21は、チャレンジ信号Sccを発信する際、自身が持つ暗号鍵によってチャレンジコードを演算して、自らもレスポンスコードを生成する。そして、照合ECU21は、電子キー1からレスポンス信号SreをRF受信機24で受信すると、電子キー1のレスポンスコードと、自身が演算したレスポンスコードとを照らし合わせて、レスポンス照合を実行する。照合ECU21は、このレスポンス照合が成立することを確認すると、レスポンス信号Sreに含まれるIDコードの正否を照合する。そして、照合ECU21は、レスポンス照合及びIDコード照合が成立することを確認すると、これを以てスマート照合を成立として処理する。
【0047】
また、照合ECU21は、レスポンス信号Sreを受信した際、このレスポンス信号Sreに含まれるコンデンサ電圧情報を判定手段としての充電実行部21cによって判定する。このとき、充電実行部21cは、コンデンサ電圧が限界動作電圧以上であることを確認すると、コンデンサ14を電源としてワイヤレス通信が可能であると認識し、電力電波Svvの発信を停止する。
【0048】
一方、充電実行部21cは、コンデンサ電圧が限界動作電圧未満であれば、コンデンサ14を電源としてワイヤレス通信ができないと認識する。そして、充電実行部21cは、コンデンサ電圧低下フラグをメモリ21aに立てる。これにより、充電実行部21cは、電子キー1に充電動作を実行させる要求として充電要求電力電波Svkを車外発信機22から発信させる。充電要求電力電波Svkには、前述した電力電波Svvと、電子キー1にコンデンサ14への充電開始を指示する充電要求信号Scdとが含まれている。これにより、充電実行部21cは、スマート通信後、電子キー1に電力電波Svvを一定時間の間において供給し続ける。なお、充電実行部21cは、充電要求発信手段として機能する。
【0049】
充電制御部11bは、車両2からの充電要求電力電波Svkをキー送受信部12で受信すると、この充電要求電力電波Svkの中に含まれる充電要求信号Scdによって、電子キー1を図3に示す充電モードに切り換える。この充電モードは、電源スイッチ13aが整流回路12c側に繋がった状態を維持しつつ、充電スイッチ13bがON状態になったときのモードである。これにより、整流回路12cから流れ出る無線電力Jwがコンデンサ14に至り、この無線電力Jwによってコンデンサ14が一定時間の間、充電される。
【0050】
なお、ここでは、車外照合時における車両2及び電子キー1の動作について説明したが、車内照合のときも同様の動作を行うので、車内照合の説明は省略する。
続いて、ワイヤレス通信時の動作について図5及び図6に従って説明する。まず、図6に示されるように、電子キー1は通常状態において無線電力電源モードに設定されている(ステップS21)。すなわち、電源スイッチ13aが整流回路12c側に接続され、充電スイッチ13bがOFF状態に設定されている。
【0051】
そして、通信制御部11は、施錠ボタン17又は解錠ボタン18が操作される(ステップS22)と、コンデンサ電源モードに設定する(ステップS23)。すなわち、図5に示されるように、電源選択部11cは、これらワイヤレス通信用のボタンが操作されたことを検出すると、電源スイッチ13aを整流回路12c側からコンデンサ14側に切り換えさせる。そして、電子キー1は、コンデンサ14からの充電電力Jcを電源として動作する。そして、図6に示されるように、通信制御部11は、自身のIDコードを含ませた施錠信号Sl又は解錠信号SulをRF発信部15から発信する(ステップS24)。
【0052】
照合ECU21は、RF受信機24で施錠信号Sl又は解錠信号Sulを受信して無線通信(ワイヤレス通信)が確立し、自身のメモリ21aに登録されたIDコードと電子キー1のIDコードとを照らし合わせてID照合(ワイヤレス照合)を行う。そして、照合ECU21は、ワイヤレス照合が成立する(ステップS25)と、メインボディECU31にドアロックの施錠指令又は解錠指令を出力し、ドアロック装置38にドアロックを施錠又は解錠させる(ステップS26)。
【0053】
さて、本例の電子キーシステムでは、スマート通信時に車両2から電力電波Svvを発信して、これを電源に電子キーを動作させるので、電子キー1にスマート通信用の個別の電源(例えば一次電池)を持たせずに済む。また、スマート通信時に受ける電力電波Svvを電子キーのコンデンサ14に充電し、ワイヤレス通信の際にはコンデンサ14を電源として電子キーを動作させるので、電子キー1は自ら個別の電源を持たなくても、ワイヤレス通信を実行することが可能となる。このように、本例の電子キー1は電源管理、即ち電池交換に気を使わなくてもよいものとなるので、ユーザを電池切れによる困惑状態に陥らせずに済む。
【0054】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)電子キー1がスマート通信時に必要とする電源を電力電波Svvによってまかない、スマート通信時においてこの電力電波Svvを電子キー1のコンデンサ14に充電し、ワイヤレス通信の際はコンデンサ14を電源として電子キー1を動作させる。このため、電子キー1に例えば一次電池等の個別の電源を搭載せずに済むので、電池管理が不要となり、結果としてユーザを電池切れによる困惑状態に陥り難くすることができる。また、ユーザが意識することなくスマート通信の電力電波Svvでコンデンサ14に自動的に充電が行われる。そして、電力電波Svvを使うことで電池レスの電子キー1とアンテナや回路などの大部分を共用することができる。
【0055】
(2)スマート通信終了の後、電力電波Svvの発信を継続してコンデンサ14を充電する。このため、電力電波Svvをスマート通信の電源と、コンデンサ14の充電とに切り分けて使用することができ、いずれにも十分な電力を供給することができる。また、これら2処理を同時に行わずに済むため、電源制御を容易にすることができる。
【0056】
(3)車両2から電子キー1に充電要求電力電波Svkを発信し、この充電要求信号Scdによって電子キー1にコンデンサ14への充電を開始させる。このため、電子キー1は充電すべき好適なタイミングを把握可能となるので、車両2から発信される電力電波Svvを的確に充電することができる。
【0057】
(4)電子キー1のコンデンサ電圧が限界動作電圧未満であると車両2が認識すると、車両2が電子キー1に対して充電要求信号Scdを発信し、充電要求信号Scdを受信した電子キー1はコンデンサ14への充電を開始する。このため、電子キー1は自身のコンデンサ電圧が低下して充電が必要なときに、コンデンサ14への充電を実行することが可能となる。よって、充電すべきときを把握することができ、必要なタイミングで的確に充電することができる。
【0058】
(5)電子キー1はコンデンサ14に無線電力Jwを充電する。このコンデンサ14は、二次電池と異なり電気化学反応を伴わないので、充放電回数の制限が無く、内部抵抗が低く短時間で充放電を行うことが可能である。電子キー1に用いるには小型軽量、且つ長寿命なものが求められるため、ワイヤレス通信に用いる電源としてコンデンサ14は種々の面で利点が多い。
【0059】
(6)スマート通信時に電子キー1が車両2に返す種々の応答信号(例えば、IDコード信号Sid等)は、電力電波Svvをそのまま「0」又は「1」の2値情報で返す反射電波によって発信される。このため、新たに無線信号を発信する発信手段を設ける必要がなく、電力電波Svvを利用して発振型の消費電力と比較して低消費電力で車両2へ無線信号を発信することができる。
【0060】
(7)リクエスト信号Srqと電力電波Svvとを同じ1つの車外発信機22及び車内発信機23から発信可能としたので、各電波用に個別の発信機を用意しなくて済み、車両2に搭載する部品点数を少なく抑えることができる。
【0061】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、無線電力Jwのコンデンサ14への充電をスマート通信後に行うようにしたが、スマート通信前に行うようにしてもよい。例えば、図7に示されるように、車両2が前回スマート通信時に取得したコンデンサ電圧が限界動作電圧未満であった場合について説明する。電子キー1は、無線電力電源モードに設定されている(ステップS31)。車両2は、コンデンサ電圧が限界動作電圧未満であれば、充電要求信号Scdを載せた電力電波Svvを一定時間発信する(ステップS32)。充電制御部11bは、起動し(ステップS33)、充電モードに設定する(ステップS34)。すなわち、充電制御部11bは、充電スイッチ13bにON信号を入力し、充電スイッチ13bをON状態に設定する。そして、無線電力Jwをコンデンサ14に一定時間充電する(ステップS35)。電子キー1は、充電が終了すると、無線電力電源モードに設定する(ステップS36)。すなわち、充電制御部11bは、充電スイッチ13bにOFF信号を入力し、充電スイッチ13bをOFF状態に設定する。車両2は、充電要求信号Scdを載せた電力電波Svvに続いて、リクエスト信号Srqを載せた電力電波Svvを発信する。電子キー1は、リクエスト信号Srqを受信すると、IDコード信号Sidを載せた反射電波を発信する(ステップS37)。車両2は、IDコード信号Sidを載せた反射電波を受信してスマート通信が確立すると、ID照合を行い、ドアロックの施解錠を許可する。
【0062】
・スマート通信の前に充電を行う構成において、電力電波Svvを受信すると充電スイッチ13bをON状態に切り換える構成を採用してもよい。この場合、受信した電力電波Svvの電力によって充電スイッチ13bを切り換える構成として、充電スイッチ13bにトランジスタを組み込む構成を採用してもよい。
【0063】
・上記実施形態において、コンデンサ14への充電は、スマート通信の前後に限らず、例えばスマート通信と並行して行われるものでもよい。
・上記実施形態では、電池電圧情報を「0」、「1」の1ビットのコードとしたが、例えば信号の内容を文章の情報として通知するデータでもよい。
【0064】
・上記実施形態において、ワイヤレス通信時に施錠信号Sl又は解錠信号Sulにコンデンサ電圧情報を含ませて発信するようにしてもよい。
・上記実施形態において、コンデンサ電圧情報の通知時期は、ID照合の通信課程の中に含ませることに限らず、独立した情報通知の形式としてもよい。例えば、電子キー1から車両2へのコンデンサ電圧の情報通知が、ID照合の通信に寄らず定期的に行われるものでもよい。
【0065】
・上記実施形態では、無線電力Jwをコンデンサ14に充電するようにしたが、設置スペースを設けることが可能であればコンデンサ14に代えて二次電池を採用してもよい。
・上記実施形態において、コンデンサ14への充電は、車両2からの指示(充電要求信号Scd)によって行われることに限らず、例えば電力電波Svvを受け付けている際に、車両2側からの指示に寄らず、自らが動作して充電を開始するものでもよい。
【0066】
・上記実施形態において、電源スイッチ13a及び充電スイッチ13bは、必ずしもマイクロスイッチに限定されず、例えばトランジスタ等の他のスイッチング素子を使用してもよい。
【0067】
・電子キー1は、通常時、電力電波電源モードをとることに限らず、例えば充電スイッチ13bがON状態をとる充電モードをとっていてもよい。
・上記実施形態において、スマート通信時の電子キー1からの応答信号は、必ずしも反射電波によって発信されることに限らず、搬送波を自ら作り、発信データを変調、増幅して出す一般的な方式で発信されるものでもよい。
【0068】
・上記実施形態では、車外発信機22及び車内発信機23とRF受信機24とを別々に設けたが、車外発信機22及び車内発信機23のアンテナをRF受信機24と共有してRF通信機としてもよい。
【0069】
・上記実施形態において、リクエスト信号Srq及び電力電波Svvは、同じ車外発信機22及び車内発信機23から発信されることに限定されない。即ち、リクエスト信号Srqの発信機と、電力電波Svvの発信機とを、それぞれ個別の部品として設けてもよい。
【0070】
・電子キー1は、電力電波Svvを受信した際、この電力電波Svvの電圧をモニタし、この電圧が閾値よりも高ければ、コンデンサ14に充電を開始するものでもよい。
・上記構成において、車両2に電子キー1と近距離無線通信によりID照合を行うイモビライザーシステムを搭載してもよい。
【0071】
・上記実施形態では、番号照合、レスポンス照合、IDコード照合から認証を行うようにしたが、種々の認証形式が採用可能である。
・上記実施形態において、電子キーシステムで使用する電波の周波数は、必ずしもRFに限定されず、RF以外の周波数(例えば、LF帯)が使用可能である。また、車両2から電子キー1に電波発信するときの周波数と、電子キー1から車両2に電波を返すときの周波数とは、必ずしも同じものに限定されず、これらを異なる周波数としてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、本例の電子キーシステムは、必ずしも車両2のみに適用されることに限らず、電子キーを使用する通信対象であれば、その採用先は特に限定されない。
【0073】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、前記通信対象に設けられ、前記スマート通信の実行前に、前記電力伝送装置からの前記電力電波の発信を、一定時間の間において継続させる電力電波発信前倒し手段を備え、前記充電実行手段は、前記スマート通信前に前記電力伝送装置から前記電力電波を得て、前記充電部への充電を実行することを特徴とする電子キーシステム。
【0074】
同構成によれば、スマート通信の実行前に充電部への充電を行うので、早い段階で充電部に充電を行うことが可能となる。よって、各種通信に必要な電源をまず確保することができ、充電電圧が少ない状態を速やかに改善することができる。
【0075】
(ロ)請求項1〜5及び(イ)のいずれかに記載の電子キーシステムにおいて、前記スマート通信の際に前記電子キーが前記通信対象に返す応答信号は、前記電力電波を「0」又は「1」の2値情報として返す反射電波から構築されていることを特徴とする電子キーシステム。
【0076】
同構成によれば、電子キーから通信対象へ発信する無線信号を電子キーが受信した電力電波を利用して、変調を加える等を行った反射電波とした。このため、新たに無線信号を発信する発信手段を設ける必要がなく、電力電波を利用して効率よく通信対象へ無線信号を発信することができる。
【0077】
(ハ)請求項1〜5、及び(イ)、(ロ)のいずれかに記載の電子キーシステムにおいて、前記通信対象は車両であって、前記ID照合が成立すると、ドアロックの施解錠やエンジンの始動又は停止が許可又は実行されることを特徴とする電子キーシステム。
【0078】
同構成によれば、通信対象を車両として、ドアロックの施解錠やエンジンの始動又は停止が許可又は実行される電子キーシステムに用いるので、電子キーは電力電波を電源とすることで電池切れの心配がなく、ドアロックの施解錠やエンジンの始動停止が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…電子キー、2…通信対象としての車両、11…通信制御部、11a…メモリ、11b…充電実行手段としての充電制御部、11c…電源切換手段としての電源選択部、12…キー送受信部、12a…発信回路、12b…受信回路、12c…整流回路、13…切換部、13a…電源切換手段としての電源スイッチ、13b…充電実行手段としての充電スイッチ、14…コンデンサ、15…RF発信部、17…施錠ボタン、18…解錠ボタン、21…照合ECU、21a…メモリ、21b…電力発信手段としての発信制御部、21c…電力電波発信継続手段、充電要求発信手段、及び判定手段としての充電実行部、22…電力電送装置としての車外発信機、23…電力電送装置としての車内発信機、24…RF受信機、27…車外ドアハンドル、28…タッチセンサ、29…ロックボタン、31…メインボディECU、32…エンジンECU、33…エンジンスイッチ、37…カーテシスイッチ、38…ドアロック装置、Jc…充電電力、Jw…無線電力、Sac…アック信号、Scc…チャレンジ信号、Scd…充電要求信号、Sid…IDコード信号、Sre…レスポンス信号、Srq…リクエスト信号、Svi…ビークルID信号、Svw…ウェイク電力電波、Svv…電力電波、Swk…ウェイクコード、Vb…電池電圧、Vw…電波電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象から発信されたIDコードの返信要求に応答して電子キーがIDコードを発信してID照合を行うスマート通信と、前記電子キーに設けられた操作手段に対する操作により発信された前記IDコードのID照合成立を条件に、前記通信対象に設置された機器の操作が可能となるワイヤレス通信との両方の通信が可能な電子キーシステムにおいて、
前記通信対象に設けられ、前記スマート通信の際に、前記通信対象に設置した電力伝送装置から、前記電子キーのスマート通信時における電源として電力電波を発信させる電力発信手段と、
前記電子キーに設けられ、前記スマート通信の際に前記電力伝送装置から出される前記電力電波を取得して、当該電子キーに搭載された充電部に充電を行う充電実行手段と、
前記電子キーに設けられ、前記電子キーが前記ワイヤレス通信を行う際、前記充電部を電源として前記電子キーを動作させる電源切換手段とを備えた
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、
前記通信対象に設けられ、前記スマート通信の照合成立後、前記電力伝送装置からの前記電力電波の発信を、一定時間の間において継続させる電力電波発信継続手段を備え、
前記充電実行手段は、前記スマート通信の照合成立後に前記電力伝送装置から前記電力電波を得て、前記充電部への充電を実行する
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子キーシステムにおいて、
前記通信対象に設けられ、前記電子キーに前記充電部への充電を開始させる要求として、充電要求を前記電力伝送装置から前記電子キーに向けて発信させる充電要求発信手段を備え、
前記充電実行手段は、前記電力伝送装置から前記充電要求を受信すると、前記充電部への充電を実行する
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の電子キーシステムにおいて、
前記通信対象に設けられ、前記充電部の充電電圧が閾値未満であるか否かを判定する判定手段を備え、
前記充電要求発信手段は、前記充電部の充電電圧が閾値未満であると前記判定手段が判定した際に、前記電子キーに充電部への充電を開始させるべく当該電子キーに前記充電要求を発信する
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子キーシステムにおいて、
前記充電部は、前記電子キーが少なくともワイヤレス通信を行うのに充分な電力を蓄電可能なコンデンサである
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項6】
通信対象から発信されたIDコードの返信要求に応答してIDコードを発信してID照合を行うスマート通信と、自身に設けられた操作手段に対する操作により発信された前記IDコードのID照合成立を条件に、前記通信対象に設置された機器の操作が可能となるワイヤレス通信との両方の通信が可能な電子キーの電源供給方法において、
前記通信対象に設置した電力伝送装置から発信された電力電波を、前記電子キーのスマート通信時における電源とし、
前記スマート通信の際に前記電力伝送装置から出される前記電力電波を取得して、当該電子キーに搭載された充電部に充電を行い、前記ワイヤレス通信を行う際、前記充電部を電源とする
ことを特徴とする電子キーの電源供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58243(P2011−58243A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208184(P2009−208184)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】