説明

電子部品の製造方法および電子部品

【課題】セラミック基板を含む積層構成において、耐衝撃性に優れ、インナービアおよび二次実装の電気接続信頼性の高い電子部品を実現する。
【解決手段】セラミック基板と、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体を有した絶縁性樹脂シートと、多層回路基板もしくは金属箔とが積層された積層体の両側に、セラミックベースを介して加圧加熱して絶縁性樹脂シートを硬化させ、分割し電子部品を作製する製造方法を用いる。また、セラミックス基板の両面に絶縁性樹脂が形成された電子部品を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板と樹脂材料との異種材料を積層した部品内蔵構造を有する電子部品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを中心とする電子部品が実装された電子部品モジュールは、情報通信機器、事務用電子機器、家庭用電子機器、医療用電子機器などの、小型化、薄型化、高性能化に大きく寄与している。特に、情報通信機器の分野での小型化、薄型化の要求に対し、半導体チップ等の電子部品の実装密度をより高めるために、電子部品の電極ピッチおよび電子部品を実装する配線基板の配線ルールの微細化が益々進んでいる。
【0003】
最近では、配線基板の表面に電子部品を実装する従来の2次元的な実装だけでなく、配線基板に電子部品を内蔵し、実装面積を大幅に縮小し、小型高密度化を図る3次元的な実装方法を用いた部品内蔵モジュールの開発も盛んに行われている。
【0004】
また、半導体チップ等の電子部品をパソコンや携帯電話等の電子機器のマザー基板に実装する場合、微細な配線ルールの電子部品と電子部品に対して配線ルールが比較的粗なマザー基板との配線ルールの調整を図るために、インターポーザー基板やモジュール基板と呼ばれる配線基板に電子部品を実装した後、半田ボールを用いたBGA(Ball grid array)実装や電極部半田印刷によるLGA(Land gird array)実装によってマザー基板に二次実装するといった段階的な実装形態が採られることが多い。このマザー基板には通常、樹脂基板が使用されることが多いが、インターポーザー基板やモジュール基板には電子部品およびマザー基板の配線ルール、必要とされる基板の面積や厚さ、および電子部品の放熱性等さまざまな観点から樹脂基板もしくはセラミック基板が選択されて用いられている。ここでインターポーザー基板やモジュール基板としてセラミック基板を用いた場合、セラミック基板とマザー基板との熱膨張係数が大きく異なるため、二次実装部分に大きな応力がかかり、例えばBGA実装の半田ボールにクラックが発生する等の電気接続不良が発生することがあった。この様な異種材料を用いることに起因する不良発生に対し、セラミック材料で構成されるインターポーザー基板またはモジュール基板の、マザー基板実装面に樹脂層を形成することで応力を緩和させ不良発生を防ぐ方法(特許文献1)が提案されている。
【特許文献1】特開2003−124435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている方法には、マザー基板への二次実装する前のセラミック基板と樹脂基板との異種積層接続構造の状態において、二次実装する面に反りがないことが求められる。セラミック基板は剛性が高く樹脂基板との異種積層接続構造において反りの発生は少ないが、反りが発生しにくい分、応力を内在的に含んでいることが多い。この内部応力が大きくなると、例えば一気にセラミック基板の欠け、割れ等の破損に繋がるといった様々な問題の原因となることが多かった。そのため、セラミック基板と樹脂基板の異種積層接続構造において、特許文献1に開示されているようにセラミック基板に樹脂層を形成する構造によって、樹脂面同士の接続により応力緩和をする方法がある。しかし、セラミック基板に直接樹脂層を形成する積層構造では、BGA実装やLGA実装のように極小的なグリッドパターン接続ではなく全面接着となるため、熱膨張係数の差によって大きな反りが発生することでマザー基板への二次実装性を著しく損なうことになる。セラミック基板の厚さと樹脂層の厚さの関係によっても、異種積層構造に起因する内部応力や反りは変化しやすいため、どのような異種積層構造においても、マザー基板への二次実装の信頼性を高いものにすることは非常に困難であった。
【0006】
以下に、図13(a)〜図13(e)と図14と図15を用いて従来の電子部品の製造方法と電子部品について説明する。
【0007】
図13(a)において、セラミック基板301の配線パターン302aに回路部品311bと311cを実装したセラミック基板333と、導電性樹脂組成物にて構成されるビアホール導体334を形成した絶縁性樹脂シート335と、転写形成材のキャリア層323上に転写形成材の配線パターン324が形成された転写シート325を準備する。ビアホール導体334で、セラミック基板の配線パターン302aと転写形成材の配線パターン324を電気接続するように位置合わせを行い積層する。図13(b)〜図13(e)に示す様に、上述の積層体を熱プレス装置にて加圧加熱することで、絶縁性樹脂シートを熱硬化して積層体を一体化する。356は金属プレート、352はクッション材、353は熱プレス機の加熱プレートである。更に、ぞの後、セラミック基板の配線パターン302b上に回路部品311aと半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子312を実装した後、転写シートのキャリア層を剥離して電子部品の前駆体343(図14)を作製する。電子部品の前駆体343を切断ライン355に沿って切断して個片に分割することで電子部品を作製する。しかし、加圧加熱する際にセラミック基板と絶縁性樹脂シートや転写シートあるいは樹脂多層基板との異種積層構造による熱膨張係数差によって図15に示す様にビアホール導334に歪みが発生し、配線パターンとの位置合わせずれにより、信頼性の高い接続を得ることができなかった。また、異種積層構造による熱膨張係数差によって反りの発生も大きく、100×100mmサイズで5〜8mm程度の反りが発生していた。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、セラミック基板を含む電子部品の異種積層構造に起因するビアホール導体334の歪みや反りの発生を抑制し、電子部品のマザー基板への二次実装の電気的接続信頼性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子部品の製造方法は、少なくとも一方の主面の配線パターン上に、回路部品を実装したセラミック基板を準備する工程と、ビアホールに導電性樹脂組成物を充填してなる、ビアホール導体を有した未硬化の絶縁性樹脂シートAおよびBを準備する工程と、キャリア層と、配線パターンの少なくとも2層からなる転写形成材を準備する工程と、第2の転写形成材または、配線パターンを有した樹脂多層基板または、金属箔を準備する工程と、前記転写形成材、前記未硬化の絶縁性樹脂シートA、前記セラミック基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートBおよび第2の転写形成材または、配線パターンを有した樹脂多層基板または、金属箔を順次積層し前記ビアホール導体によって、前記セラミック基板の一方の主面の配線パターンと前記転写形成材の配線パターンおよび、前記セラミック基板の他方の主面の配線パターンと第2の転写形成材または、配線パターンを有した樹脂多層基板または、金属箔が電気的に接続されるように位置合わせして積層する工程と、前記工程により積層された積層体の上下面にセラミックベースを配置し、加圧加熱して前記未硬化の絶縁性樹脂シートAおよびBを硬化させ、前記転写形成材、前記未硬化の絶縁性樹脂シートA、前記セラミック基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートBおよび第2の転写形成材または、配線パターンを有した樹脂多層基板または、金属箔とを一体化する工程と、前記転写形成材のキャリア層を除去し、前記絶縁樹脂シートに埋め込まれた配線パターンを形成し電子部品の前駆体を作製する工程と、前記電子部品の前駆体を分割し電子部品を作製する工程とを含むものである。
【0010】
この構成によると、前記積層体を加圧加熱して前記絶縁樹脂シートを硬化する際に、積層体の上下面にセラミックベースを配置しておくだけで、特別な工程を加えることなく、前記絶縁樹脂シート内に形成したビアホール導体に歪みを起こさず反りが発生しにくい高信頼性の電子部品を簡単に作成することができる。また、ビアホール導体に歪みを起こさず反りが発生しにくいことから、大判で一括形成できるので、作製時間の大幅な増加なく、電子部品を作製することができる。
【0011】
また、本発明の電子部品の製造方法は、少なくとも一方の主面の配線パターン上に、回路部品を実装したセラミック基板を準備する工程と、ビアホールに導電性樹脂組成物を充填してなる、ビアホール導体を有した未硬化の絶縁性樹脂シートAおよびBを準備する工程と、配線パターンを有した樹脂多層基板またはかつ、金属箔を準備する工程と、前記樹脂多層基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートA、前記セラミック基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートBおよび第2の樹脂多層基板または、金属箔を順次積層し、前記ビアホール導体によって、前記セラミック基板の一方の主面の配線パターンと前記樹脂多層基板の配線パターンおよび、前記セラミック基板の他方の主面の配線パターンと第2の樹脂多層基板または、金属箔が電気的に接続されるように位置合わせして積層する工程と、前記工程により積層された積層体の上下面にセラミックベースを配置し、加圧加熱して前記未硬化の絶縁性樹脂シートAおよびBを硬化させ、樹脂多層基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートA、前記セラミック基板、前記未硬化の絶縁性樹脂シートBおよび第2の樹脂多層基板または、金属箔とを一体化し電子部品の前駆体を作製する工程と、前記電子部品の前駆体を分割し電子部品を作製する工程とを含むものである。
【0012】
この構成においても、上記本発明の電子部品の製造方法と同様の効果が得られる。また、配線転写パターンに替わり多層フレキ基板を用いていることにより、反りの発生無く配線収容性を高めることができるので設計の自由度を妨げることはない。
【0013】
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記電子部品の前駆体の前記金属箔を加工して配線パターンを形成する工程と、前記金属箔を加工した配線パターン上に回路部品を実装する工程と、前記電子部品の前駆体を分割し電子部品を作製する工程とを含むものである。
【0014】
この構成によると前記セラミック基板の両面に接着された前記絶縁性樹脂シートに回路部品を内蔵したうえ、さらに前記絶縁性樹脂シートの上に形成された配線パターンに回路部品を実装することで、回路部品が高密度に三次元実装された電子部品となる。
【0015】
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記電子部品の前駆体の前記第2の樹脂多層基板の配線パターン上に回路部品を実装する工程を含むものである。この構成によると上記発明の電子部品の製造方法と同じ効果を得ることができる。
【0016】
具体的には、前記樹脂多層基板がポリイミド、アラミド、PET、PPS、PEN、テフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも一つのフィルムベース材を用いたフレキ基板であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば前記セラミック基板の両面に積層される前記絶縁性樹脂シートによる反り緩和構造以外のアンバランス要因である樹脂多層基板が電子部品の反りに与える影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
具体的には、前記絶縁性樹脂シートが、無機フィラー50%体積〜75%体積%と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなるものである。この構成によると、無機フィラーを混合することで、異種積層構造における内部応力の原因の一つである絶縁性樹脂シートの熱膨張係数を小さくする効果がある。また配合比について、75体積%以上であると、粉体量に対し、液体量が少なすぎ、シート化が難しくなり、50体積%以下ではあると、無機フィラーを混合したことによる熱膨張の低減や放熱性の向上等の効果が少なくなる。加圧加熱して半導体チップ等の回路部品を絶縁性樹脂シートに内蔵する時に、回路部品に損傷を与えない粘度であれば、無機フィラーの配合率は大きい方が好ましい。
【0019】
具体的には、前記無機フィラーが、Al23、SiO2、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも一つの無機フィラーを含むものである。これらの無機フィラーを用いることで、絶縁性樹脂シートの放熱性が高くなり、熱膨張係数が小さい効果がある。
【0020】
具体的には、前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも一つの熱硬化性樹脂を含むものである。これらの樹脂は多種多様な種類が市販されており、これらの樹脂を用いることで耐熱性や電気的絶縁性に優れたものとなる。
【0021】
具体的には、前記導電性樹脂組成物が、金、銀、銅、およびニッケルから選ばれる少なくとも一つの金属を含む金属粒子を導電性成分として含み、かつ、エポキシ樹脂を樹脂成分として含むものである。上記金属は電気抵抗が低く、また、エポキシ樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。特に、銅粉をコア材として、表面に銀でコートした金属粒子は、機械的強度が強く安価である銅粉と、酸化しにくく低抵抗である銀粉の両方の特性を併せ持ち、好適である。
【0022】
本発明の電子部品は、第1の配線パターンを有したセラミック基板層と、前記セラミック基板層の第1の主面に接着され、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体を有した絶縁性樹脂シート層と、前記絶縁性樹脂シート層に接着され、前記ビアホール導体により前記第1の配線パターンと電気的に接続される第2の配線パターンまたは、第2の配線パターンを有した樹脂多層基板層と、前記セラミック基板の第2の主面に接着される絶縁性樹脂シート層とを備えたものである。この構成によると、異種材料の積層に起因する反りを、セラミック基板層の両面に絶縁性樹脂シート層を形成しているため応力バランスがとれ反りのない二次実装信頼性の高い電子部品にすることができる。また、セラミック基板層の第1の主面に絶縁性樹脂シート層を介して接着される第2の配線パターンまたは第2の配線パターンを有した樹脂多層基板層を積層することによって生じる応力バランスの不整合を、セラミック基板層の両面に接着される絶縁性樹脂シート層の厚みを変えることで容易に応力バランスの整合をとることが可能であり、必ずしも完全な対称構造としなくても反りのない電子部品となる。
【0023】
また本発明の電子部品は、前記セラミック基板層の第1の主面および第2の主面の少なくとも一方に、前記絶縁性樹脂シート層に内蔵した状態で、前記第1の配線パターンに実装した回路部品をさらに備えたものでもよい。この構成においてセラミック基板層の両面に回路部品を実装した形態では対称構造に近くなり応力緩和ができるため好ましい。この構造においても内蔵回路部品構成を含んだ応力バランスの不整合を、セラミック基板層の両面に接着される絶縁性樹脂シート層の厚みを変えることで容易に応力バランスの整合をとることが可能であり、必ずしも完全な対称構造としなくても反りのない電子部品となる。
【0024】
具体的には、前記回路部品が半導体チップを含むものである。この構成によると、反りが発生しにくいことに基づき。特に、微細なピッチの外部電極が形成されたベアチップ半導体もしくは半導体パッケージが実装されている場合において、反りに起因するベアチップ半導体もしくは半導体パッケージ実装の電気接続の悪化が起こりにくい。
【0025】
また本発明の電子部品は、前記セラミック基板層の第2の主面に接着され、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体を有した絶縁性樹脂シート層と、前記絶縁性樹脂シート層に接着される第3の配線パターンまたは、第3の配線パターンを有した樹脂多層基板層または、導電性膜層を備え、前記ビアホール導体によって前記セラミック基板層の第1の配線パターンと、前記第3の配線パターンまたは導電性膜層とが電気的に接続されたものでもよい。この構成において前記ビアホール導体を内蔵された回路部品の周辺に配置してグランドに接続することによって磁気シールド効果を得ることができる。また、第3の配線パターンまたは、第3の配線パターンを有した樹脂多層基板上にさらに回路部品を実装することにより高密度に部品実装された電子部品となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、回路部品が実装されたセラミック基板の両面に、導電性樹脂ペーストが充填されたビアホール導体を有した未硬化の熱硬化性樹脂シートと、配線パターンが形成された転写シートまたは樹脂多層基板または金属箔のいずれかを積層した積層体を加圧加熱して一体化する際に、積層体の上下面にセラミックベースを配置して加圧加熱することで、電子部品の異種積層に起因するビアホール導体の歪み、および、反りの発生を抑制することができる。これは、加熱時に発生するセラミック基板と樹脂・金属材料の熱膨張係数の差によって生ずる歪みを、セラミック基板をコアとして両面にセラミックベースを配して圧力をかけることで間にある樹脂・金属材料の熱膨張を抑制することができ、絶縁性樹脂シートに形成されたビアホール導体の歪み生じさせず配線パターンとの位置ずれを発生させない。セラミック基板の両面に接着される絶縁性樹脂シートの厚みを電子部品構成に応じて変えることで、応力対称構造を容易に構成できるため反りの発生を制御できる。この製造方法によればセラミック基板の両面に回路部品を実装した状態で加熱加圧できるため工程を単純化できる。また、電子部品内のビアホール導体の歪みおよびの反りを低減することで、マザー基板の二次実装性、そして二次実装後の電気接続信頼性および耐落下衝撃信頼性を高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図12を用いて説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の電子部品の製造方法を図1(a)〜図1(m)の模式的な工程断面図を参照して説明する。
【0029】
図1において、101は厚み0.5mmの6層セラミック基板で無収縮のLTCC(low temperature co−fired ceramics)、102a・102bはセラミック基板101の配線パターンでAg材料を主成分としたペーストにて印刷・焼成形成され厚みは20μmである。111a・111b・111cは、回路部品で抵抗、コンデンサ、インダクタなどのチップ部品であり、112は半導体素子であり、半導体チップ、半導体パッケージ等、124は転写形成材に形成された厚み0.012mmのCu箔からなる配線パターン、123は転写形成材のキャリア層で厚み0.07mmのCu箔または樹脂フィルム、131は厚み0.5mmの絶縁性樹脂シートで内蔵される部品厚みに応じて厚みは調整される。132は厚み0.02mmの保護フィルムでPPS(ポリフェニレンサルファイド)であるが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などを用いても良い。133は直径0.16mmのビアホール、134は導電性樹脂組成物からなるビアホール導体、141は金属箔、151は厚み2mmのセラミックベース、152は厚み2mmのクッション材、154はヒーター、153は熱プレス装置の加熱プレート、143は電子部品の前駆体、155は分割加工ライン、147は本発明の電子部品である。
【0030】
絶縁性樹脂シート131は、無機フィラー50体積%〜75体積%と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなる。ここで無機フィラーは、Al23、SiO2、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも一つの無機フィラーを含み、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂から選ばれる少なくとも一つの熱硬化性樹脂を含むものからなる。さらに、ビアホール導体134を構成する導電性樹脂組成物は、金、銀、銅、およびニッケルから選ばれる少なくとも一つの金属を含む金属粒子を導電性成分として含み、かつ、エポキシ樹脂を樹脂成分として含むものからなる。このような構成は、第2ないし第6の実施の形態においても同様である。
【0031】
図1(a)と図1(b)でセラミック基板101の配線パターン102a・102b上に回路部品111a・111b・11cおよび半導体素子112を実装する。図1(c)と図1(d)で転写形成材121の金属箔122を加工して転写形成材の配線パターン124が形成された転写形成材125を用意する。図1(e)〜図1(h)で絶縁性樹脂シート131の両面に保護フィルム132を貼り合わせ、ビアホール133を開口、導電性樹脂組成物を充填してビアホール導体134を形成、保護フィルム132を除去してビアホール導体134が形成された絶縁性樹脂シート135を用意する。図1(i)で回路部品が実装されたセラミック基板104、ビアホール導体を備えた絶縁性樹脂シート135a、配線パターン形成された転写形成材125および金属箔141を、ビアホール導体134によって、セラミック基板101の一方の主面に形成されたセラミック基板の配線パターン102bと転写形成材の配線パターン124および、セラミック基板101の他方の主面に形成されたセラミック基板の配線パターン102aと金属箔141が電気的に接続されるように位置合わせして積層する。図1(j)で回路部品が実装されたセラミック基板104、ビアホール導体を備えた絶縁性樹脂シート135a・135b、配線パターン形成された転写形成材125および金属箔141が積層された積層体の上下面に、セラミックベース151とクッション材152とを配置し、加熱プレート153にて加圧加熱することで絶縁性樹脂シート131を熱硬化して積層体を一体化する。図1(k)は加圧加熱して一体化された積層体である。図1(l)で転写形成材のキャリア層123を除去する。図1(a)〜図1(l)の工程によって製作される電子部品は、現実的な製造方法としては大判で多数個取りされるのが一般的であり、転写形成材のキャリア層123を除去した段階で図1(m)に示す電子部品の前駆体143が得られる。切断ライン155で分割、個片化し、一つ一つの電子部品147として、本発明の電子部品を作製する。
【0032】
尚、第1の実施の形態では、セラミック基板の両面に回路部品を実装して絶縁性樹脂シートに内蔵しているがそれに限定されず、片面の実装でも良く、さらには厚膜または薄膜で形成されるセラミック基板上への作り込み部品でも良い。また、セラミック基板の他方の主面に接着される絶縁性樹脂シートには、必ずしもビアホール導体を形成することなく部品を内蔵するだけでも良い。
【0033】
加熱時に発生するセラミック基板と樹脂材料の熱膨張係数の差によって生ずる歪みを、セラミック基板101をコアとして両面にセラミックベース151を配して圧力をかけることで、間にある樹脂・金属材料の熱膨張を抑制することができ、絶縁性樹脂シート131に形成されたビアホール導体134に歪みを生じさせないため、ビアホール導体と配線パターンとの位置ずれを発生させない。セラミック基板101の両面に接着される絶縁性樹脂シート131の厚みを電子部品構成に応じて変えることで、応力対称構造が容易に構成できるため反りの発生を制御できる。また、セラミック基板の両面に回路部品を実装した状態で加熱加圧できることで、加圧加熱後に部品を実装する工程を省略でき工程を単純化できる。また、電子部品内のビアホール導体の歪みおよびの反りを低減することで、マザー基板の二次実装性、そして二次実装後の電気接続信頼性および耐落下衝撃信頼性を高めることができるようになる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の電子部品の製造方法を図3(a)〜図3(c)の模式的な工程断面図を参照して説明する。
【0035】
図3において、133は回路部品が実装されたセラミック基板、135a・135bはビアホール導体が形成された絶縁性樹脂シートでそれぞれの構成要素および製造工程は第1の実施の形態と同様である。126は樹脂多層基板、141は金属箔である。
【0036】
図3(a)で回路部品が実装されたセラミック基板133、ビアホール導体を備えた絶縁性樹脂シート135a・135b、樹脂多層基板126、金属箔141とを、ビアホール導体134によってセラミック基板101の一方の主面に形成されたセラミック基板の配線パターン102aと、樹脂多層基板126の配線パターン128bおよび、セラミック基板101の他方の主面に形成されたセラミック基板の配線パターン102bと金属箔141が電気的に接続されるように位置合わせして積層する。図3(b)で回路部品が実装されたセラミック基板133、ビアホール導体を備えた絶縁性樹脂シート135a・135b、樹脂多層基板126および金属箔141が積層された積層体の上下面に、セラミックベース151とクッション材152とを配置し、熱プレス装置の加熱プレート153にて加圧加熱することで絶縁性樹脂シート131を熱硬化して積層体を一体化する。ここで、154は、加熱するためのヒーターである。図3(c)は加圧加熱して一体化された積層体である。図示では個片で示しているが実施の形態1と同様に多数個取りの大判である電子部品の前駆体を分割、個片化して本発明の電子部品を作製する。
【0037】
尚、第2の実施の形態では、セラミック基板の両面に回路部品を実装して絶縁性樹脂シートに内蔵しているがそれに限定されず、片面の実装でも良く、さらには厚膜または薄膜で形成されるセラミック基板上への作り込み部品でも良い。また、セラミック基板の他方の主面に接着される絶縁性樹脂シートには、必ずしもビアホール導体を形成することなく部品を内蔵するだけでも良い。
【0038】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態における効果に加え、単層配線層である転写パターンに代わり樹脂多層基板を用いているので、配線収容性が高く設計の自由度を妨げることのない電子部品となる。また、樹脂多層基板としてポリイミド、アラミド、PET、PPS、PENまたはテフロン(登録商標)などの厚み0.005mmから0.05mmのフィルムベース材を用いたフレキ基板(厚み0.015mmから0.1mm)を用いることでより反りを小さく出来る。
【0039】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の電子部品の製造方法を図4(a)と図4(b)の模式的な工程断面図を参照して説明する。
【0040】
図4において、142は金属箔を加工した配線パターン、114a・114bは回路部品、112と113は、半導体素子で、半導体チップまたは半導体パッケージである。
【0041】
図4(a)と図4(b)にて、第2の実施の形態で作製された電子部品の前駆体の金属箔141をパターンニングして配線パターン142を形成する。次に、配線パターン142上に半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子113および回路部品114a・114bを実装する。さらに多数個取りの大判である電子部品の前駆体を分割、個片化して本発明の電子部品を作製する。尚、電子部品の前駆体として第1の実施の形態で説明した電子部品の前駆体を用いても良い。また、金属箔をパターン加工して配線パターンを形成したが、加圧加熱する際に、転写形成材による配線パターン転写または樹脂多層基板を接着してその配線パターン上に回路部品を実装しても良い。
【0042】
第3の実施の形態では、第2の実施の形態における効果に加え、さらに回路部品が多段に積層されて実装されているため実装密度の高い電子部品となり小型化に優位である。
【0043】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態の電子部品を、図5ないし図12の模式的な断面図を参照して説明する。
【0044】
図5ないし図12において、101は、セラミック基板、102aと102bはセラミック基板101の配線パターン、111a・111b・111cは回路部品で抵抗、コンデンサ、インダクタなどのチップ部品、112は、半導体素子で、半導体チップまたは半導体パッケージ等、124は転写形成材の配線パターン、127は樹脂多層基板、128a・128bは樹脂多層基板の配線パターン、131a・131bは絶縁性樹脂シート、134は導電性樹脂組成物からなるビアホール導体、141は金属箔である。このような構成は、第5の実施の形態においても同様である。尚、金属箔141に代わり、スパッター、蒸着等で形成される金属薄膜や、メッキで形成される金属厚膜または導電性粒子を含んだ印刷ペーストでも形成しても良い。
【0045】
図5における本発明の電子部品は、セラミック基板101の第1の主面に接着され、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体134を有した絶縁性樹脂シート131aと、絶縁性樹脂シート131aに接着され、ビアホール導体134により第1の配線パターンと電気的に接続される第2の転写形成材の配線パターン124と、セラミック基板101の第2の主面に回路部品111aおよび半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子112が実装されると共に、絶縁性樹脂シート131bが接着され、回路部品111aおよび半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子112が絶縁性樹脂シートに内蔵されている。
【0046】
この構成によると、異種材料の積層に起因する反りを、セラミック基板の両面に絶縁性樹脂シートを形成しているため応力バランスがとれ反りのない二次実装信頼性の高い電子部品にすることができる。また、回路部品を実装することでより複雑な応力が発生しやすい構造を、セラミック基板の両面に接着される絶縁性樹脂シートの厚みを変えることで容易に応力バランスの整合をとることが可能であり、必ずしも完全な対称構造としなくても反りのない電子部品となる。
【0047】
図6における本発明の電子部品は、セラミック基板の第1の主面にも回路部品を実装して、絶縁樹脂シートに内蔵したものである。このことで、セラミック基板の第1の主面に接着される絶縁樹脂シートが、単なるマザー基板への二次実装時の応力緩和機能だけでなく部品内蔵層としての役割も果たし、高密度実装の電子部品となる。
【0048】
図7および図8における本発明の電子部品は、上記で説明した構成に加えて、セラミック基板の第2の主面に接着され回路部品が内蔵される絶縁樹脂シート131bに、さらに金属箔141を接着するとともにビアホール導体134を回路部品111aおよび半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子112を囲むように形成してグランドに接続することで磁気シールド機能を持たせたものである。
【0049】
図9ないし図12における本発明の電子部品は、図5ないし図8で説明した電子部品の構成における転写形成材の配線パターン124に代わり樹脂多層基板126を用いたものである。127は樹脂多層基板のコア材で、好ましくはポリイミド、アラミド、PET、PPS、PENおよびテフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも一つのフィルムベース材を用いたフレキ基板である。
【0050】
単層配線層である転写パターンに代わり樹脂多層基板を用いているので、配線収容性が高く設計の自由度を妨げることのない電子部品となる。また、樹脂多層基板としてポリイミド、アラミド、PET、PPS、PENおよびテフロン(登録商標)などのフィルムベース材を用いたフレキ基板を用いることでより反りを小さく出来る。また、樹脂多層基板は2層基板として図示されているが特にこれに限定されるものではない。
【0051】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態の電子部品を、図4(b)の模式的な断面図を参照して説明する。
【0052】
図4(b)において、148は第4実施の形態で作製された図3(c)に示す本発明の電子部品の一例である。本実施の形態では、金属箔141を配線パターン142に置き換えたものである。配線パターン142上に半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子113や回路部品114a・114bを実装されている。尚、ビアホール導体134は磁気シールド目的に限定されず信号線としても使用する。配線パターンは金属箔をパターン加工しているが、これに限定されるものではなく配線パターン転写や樹脂多層基板を貼り付けたものでも良い。また、マザー基板への二次実装面側には樹脂多層基板を用いているが配線パターン転写による形成でも良い。さらには、セラミック基板への回路部品実装は片面への実装形態でも良い。
【0053】
本発明の電子部品では、回路部品が多段に積層されて実装されているため実装密度の高い電子部品となり小型化に優位である。
【0054】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0055】
(第6の実施の形態)
上述の第1の実施の形態の電子部品の製造方法を、次の(1)〜(7)の手順および図1(a)〜図1(m)および図2の模式的な工程断面図を用いて説明する。
【0056】
なお、第2から第5の実施の形態も同様の製造にて製造した。各層の構成などが各実施の形態で異なるが、プロセス的には同じ製造方法を使用できる。
【0057】
(1)回路部品が実装されたセラミック基板の準備
図1(a)に示す、絶縁性樹脂シート131に形成されたビアホール導体134の接続性を評価するための配線パターンと、回路部品を実装するための配線パターン102a、102bが形成された、サイズ100×100mm、厚み0.4mmの4層で構成される多層のセラミック基板103を準備する。
【0058】
次いで図1(b)に示す、セラミック基板の配線パターン上に、ACF、NCF、SBB、等の手段により半導体チップまたは半導体パッケージなどの半導体素子112をフリップチップ実装する。次にクリーム半田ペーストをスクリーン印刷、ディスペンス等の手段により供給し、回路部品111a・111b・111cを実装し、リフローを行って回路部品が実装されたセラミック基板104を準備する。尚、これら実装部品は絶縁性樹脂シートに内蔵されるが、二次実装時のリフロー工程で半田再溶融によりショートが発生しないように、Sn−Ag−Cu半田より融点が高いSnSb半田の様な高温タイプのクリーム半田や、融点シフト型半田あるいは導電性接着剤を用いることが好ましい。また、回路部品の実装はセラミック基板の片面側だけでも良い。
【0059】
(2)配線パターンを形成した転写形成材の準備
図1(c)は厚み0.07mmキャリア銅箔である転写形成材のキャリア層123上に離型層としてニッケルめっきを介して、厚み0.012mmの銅箔122が積層された転写形成材121(古河サーキットフォイル株式会社F−DP)である。フォトリソグラフィー技術によって、銅箔122を加工して所定のパターンを形成した転写形成材の配線パターン124を形成した転写形成材125を準備する。尚、キャリア銅箔上に配線パターンと逆パターンのレジストパターンを形成して、メッキにて配線パターンを形成後、レジストを除去する方法で転写形成材を作製しても良い。
【0060】
(3)導電性ペーストが充填された樹脂シートの準備
図1(e)〜図1(h)に示す様に、まず、無機フィラーと熱硬化性樹脂の混合物からなる絶縁性樹脂シートを作製した。エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製エピキュアYH−306)10重量%、アルミナフィラー(昭和電工製AS−40)90重量%を含む混合物を10分攪拌し、この混合物からドクターブレード法によって厚さ0.1mmの絶縁性樹脂シート131を作製した。次に、この絶縁性樹脂シート5枚と上下面に厚み0.02mmのPPSフィルム132を重ねてラミネートし、100×100×0.54mmの絶縁性樹脂シートを作製した後、パンチャーまたはレーザーを用いてインナービアとなる直径0.16mmの貫通穴133を形成し、この貫通穴に導電性樹脂ペーストをスクリーン印刷により充填した後、PPS保護フィルムを剥離した。ここで使用した導電性樹脂ペーストは、球形状の銅粒子85重量%と、樹脂成分としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製「エピコート828」)3重量%と、グリシジルエステル系エポキシ樹脂(東都化成社「YD−171」)9重量%と、硬化剤としてアミンアダクト硬化剤(味の素社製「MY−24」)3重量%とを三本ロールを用いて混錬して調整した。尚、内蔵する回路部品のサイズなど状況に応じて、絶縁性樹脂シートに回路部品を内蔵するためのキャビティを加工してもかまわない。
【0061】
(4)積層体の準備
図1(i)に示す様に、先ほど準備した転写形成材125、ビアホール導体134が形成された絶縁性樹脂シート135a、回路部品が実装されたセラミック基板104、ビアホール導体が形成された絶縁性樹脂シート135bおよび厚さ0.035mmの銅箔でなる金属箔141を、絶縁性樹脂シートに形成されたビアホール導体134によって、セラミック基板の一方の主面に形成される配線パターン102aと転写形成材の配線パターン124および、セラミック基板の他方の主面に形成される配線パターン102bと銅箔からなる金属箔141とが電気接続する様に位置合わせされた積層体を準備する。
【0062】
(5)熱プレスにより絶縁性樹脂シートを硬化して積層体を一体化する
図1(j)〜図1(i)に示す様に、先ほど準備した積層体の上下面に厚み2mmのセラミックベース151と、厚み2mmのクッション材152を置き加熱プレート153にて加圧加熱することで一体化させた後、転写形成材のキャリア層123を剥離して本発明の電子部品の前駆体を作製した。ここで、154は、加熱するためのヒーターである。加圧加熱は熱プレス機を用いて、加熱温度は200℃、圧力は3MPa、加圧加熱時間は2時間とした。絶縁性樹脂シートおよびビアホール導体に含まれるエポキシ樹脂も完全に硬化し、絶縁性樹脂シートに形成されたビアホール導体を通してセラミック基板の配線パターン102a・102bと、転写形成材の配線パターン124および金属箔108が電気接続された。上述のクッション材152は、熱プレスの加熱プレートの平行度や平面度の狂い等を吸収して均圧化を図るのが目的である。
【0063】
積層体を、金属プレートやクッション材で直接挟んで加圧加熱した場合、セラミック基板101と、金属プレート、クッション材、転写形成材のキャリア層、銅箔および絶縁性樹脂シート131との熱膨張係数の違いによって、絶縁性樹脂シートのセラミック接触面と、逆の接触面との熱膨張量が厚み部分で異なり、このことにより図15(a)と図15(b)に示す様に、導電性樹脂シートに形成されるビアホール導体が歪むこととなる。図15(a)は、ビアホール導体の断面、図15(b)はその上面図である。積層体の上下面にセラミックベース151を配置して、セラミック基板をコアとして上下の樹脂材料や金属材料をセラミックベースで挟み込み加圧することで、加熱されても樹脂や金属材料の伸びをセラミック材料で押さえ込むことができ、図2(a)、図2(b)に示す様にビアホール導体が歪まない。図2(a)は、断面図、図2(b)は上面図である。また、セラミック基板の両面に絶縁性樹脂層を形成することで対称構造に近い構成とし、かつ加圧加熱する際に絶縁性樹脂層の伸びを押さえ込んでいるため、100×100mサイズにおいて反りが0〜0.7mmと非常に小さい。
【0064】
(6)電子部品の作製
先ほど作製された電子部品の前駆体を分割加工ライン155に沿ってダイシング加工によって分割し、20×20mm、厚み1.6mmの本発明の電子部品を(16個/基板)作製した。
【0065】
(7)二次実装
次に、作製した電子部品を厚み1mmのFR−4の配線基板に、半田ペーストを使用してLGA実装によって二次実装した電子部品搭載装置を作製した。
【0066】
ここで比較例として図16に示す、セラミック基板の他方の主面には絶縁性樹脂層が無い電子部品を作製しLGA実装によって二次実装した電子部品搭載装置を作製した。
【0067】
評価は、本発明の電子部品を二次実装した電子部品搭載装置および比較の電子部品搭載装置、各50個を用い、液槽熱衝撃試験(−55℃の恒温槽に5分浸漬後に125℃の恒温槽に5分浸漬)を1000回行い、ビアホール導体と二次実装部の電気接続抵抗で行った。その結果、比較例の電子部品搭載装置では18個がビアホール導体、42個が二次実装の電気接続不良が発生したのに対して、本発明の電子部品を二次実装した電子部品搭載装置ではビアホール導体および二次実装の電気接続不良が発生しなかった。
【0068】
尚、本実施例1では、二次実装面の配線パターンを転写パターンとしたが、多層フレキ基板でも良い。また、回路部品の実装面は片面でも良い。
【0069】
このように本発明の電子部品は、セラミック基板の両面に絶縁性樹脂シートと配線パターンが形成された基材の積層体を、加圧加熱して一体化する際に、積層体の上下面にセラミックベースを配置することで、異種積層構成に起因するビアホール導体の歪みと基板反りを緩和し、二次実装の電気接続信頼性を高める効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、セラミック基板を含む異種積層構造において、耐衝撃性に優れ、インナービア接続および、二次実装の電気接続信頼性の高い電子部品および、その電子部品を製造する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】(a)〜(m)本発明の第1の実施の形態における電子部品の製造方法示す工程断面図
【図2】(a)本発明の第1〜5の実施の形態におけるビアホール導体状態を示す断面図、(b)本発明の第1〜5の実施の形態におけるビアホール導体状態を示す平面図
【図3】(a)〜(c)本発明の第2の実施の形態における電子部品の製造方法示す工程断面図
【図4】(a)と(b)本発明の第3の実施の形態における電子部品の製造方法示す工程断面図
【図5】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図6】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図7】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図8】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図9】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図10】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図11】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図12】本発明の第4の実施の形態における電子部品の断面図
【図13】(a)〜(e)従来の電子部品の製造方法示す工程断面図
【図14】従来の電子部品の前駆体を示す断面図
【図15】(a)従来の電子部品のビアホール導体の状態を示す断面図、(b)従来の電子部品のビアホール導体の状態を示す平面図
【図16】従来の電子部品の断面図
【符号の説明】
【0072】
101、301 セラミック基板
102a、102b、302a、302b 配線パターン
111a〜111c、114a〜114b、311a〜311c 回路部品
112、113、312 半導体素子
121 転写形成材
123、323 転写形成材のキャリア層
124、324 転写形成材の配線パターン
131、131a、131b 絶縁性樹脂シート
134、334 ビアホール導体
141 金属箔
151 セラミックベース
152、352 クッション材
143、343 電子部品の前駆体
126 樹脂多層基板
153、353 加熱プレート
356 金属プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、ビアホールに導電性樹脂組成物を充填してなるビアホール導体を有した未硬化の絶縁性樹脂シートと、樹脂多層基板、または、金属箔とを積層し、
上下面にセラミック板を配置し、加圧加熱して前記未硬化の絶縁性樹脂シートを硬化させ、前駆体を作製し、前記前駆体を分割し電子部品を作製することを含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記セラミックス基板には、電子部品が実装されている請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂多層基板がポリイミド、アラミド、PET、PPS、PEN、テフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも一つのフィルムベース材を用いたフレキ基板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁性樹脂シートが、無機フィラー50%体積〜75%体積と熱硬化性樹脂とを含む混合物からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記無機フィラーが、Al23、SiO2、MgO、BNおよびAlNから選ばれる少なくとも一つの無機フィラーを含むことを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
第1の配線パターンを有するセラミック基板と、
前記セラミック基板の第1の主面に接着され、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体を有した絶縁性樹脂シート層と、
前記絶縁性樹脂シートに接着され、前記ビアホール導体により前記第1の配線パターンと電気的に接続される第2の配線パターンまたは、第2の配線パターンを有する樹脂多層層と、
前記セラミック基板の第2の主面に接着される絶縁性樹脂シート層とを備えたことを特徴とする電子部品。
【請求項7】
前記セラミック基板の第1の主面および第2の主面の少なくとも一方に、前記絶縁性樹脂シートに内蔵した状態で、前記第1の配線パターンに実装した回路部品をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の電子部品。
【請求項8】
前記回路部品が半導体素子を含むことを特徴とする請求項7記載の電子部品。
【請求項9】
前記セラミック基板の第2の主面に接着され、導電性樹脂組成物からなるビアホール導体を有した絶縁性樹脂シート層と、
前記絶縁性樹脂シートに接着される第3の配線パターンまたは、第3の配線パターンを有した樹脂多層基板層または、導電性膜層を備え、前記ビアホール導体によって前記セラミック基板層の第1の配線パターンと、前記第3の配線パターンまたは導電性膜層とが電気的に接続された請求項7または8記載の電子部品。
【請求項10】
前記第3の配線パターンに、回路部品を実装したことを特徴とする請求項9記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−151048(P2011−151048A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125539(P2008−125539)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】