説明

電気化学デバイス、及び電気化学デバイスの製造方法

【課題】出力を向上させることができると共に、外装体の開口部における歪み及び隙間の形成を抑制できる電気化学デバイスを提供すること。
【解決手段】正極、負極がセパレータを挟んで積層された電極体4a、4b、電極体4a、4bの積層体6を収容した外装体8、正極、負極に1つずつ接続され、積層体6から外装体8の外部に伸びるリード10、及びリード10の周囲に密着し、外装体8の開口部14に挟まれて開口部14を封止する封止部材12を備え、電極体4a、4bは、開口部14で電極体の積層方向に重なるリードの数が互いに異なる部分が生じるように積層され、各電極体に接続された2つのリード10が電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、電極体の積層方向における外装体8表面からリード10表面までの封止部材12の厚さを、リード10の一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を有する、電気化学デバイス2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学デバイス、及び電気化学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、薄型化、及び高出力化に伴い、電子機器用の電源の小型化、薄型化、及び高出力化が求められている。
【0003】
電子機器用の電源としては、例えば、下記特許文献1に示すように、正極板と負極板の間にフィルム状電解質を介在させたフィルム状発電要素がその両面に配置された外装体で封止されているフィルム状電池が挙げられる。このフィルム状電池では、フィルム状発電要素の正極端子と負極端子の取出し部において、その両面に配置されたフィルム状シール材を介して正極端子と負極端子が封止されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−329382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器用の電源を高出力化する方法の一つとしては、フィルム状発電要素を複数積層することによって、フィルム状発電要素を直列接続することが考えられる。すなわち、一方のフィルム状発電要素の正極端子又は負極端子の一つと、他方のフィルム状発電要素の負極端子又は正極端子の一つとを重ねて接続し、また互いに接続されない正極端子及び負極端子は積層方向で重ならないようにして、フィルム状発電要素を積層する方法が考えられる。
【0006】
しかし、上述のようにフィルム状発電要素を複数積層した積層体では、その積層方向の厚みが不均一となってしまう。厚みが不均一な積層体を電池の外装体に収容すると、外装体の開口部に位置する積層体のシール材(封止部材)の厚みも不均一となる。このような状態で開口部を封止すると、封止後の開口部に封止部材の存在しない隙間が形成され、外装体の密閉性が低下し、電池の耐湿性が悪化する傾向があった。
【0007】
また、開口部に位置する積層体の封止部材の厚みが不均一であると、開口部と封止部材との融着時に開口部が均一に成形されず、封止後の開口部が歪む傾向があった。開口部が歪んだ電池を電子機器に搭載すると、電池を平坦な面に正常に設置できず、電子機器内における負極端子又は正極端子の位置が所定の位置からずれる可能性があった。また、開口部の歪みに起因して電池に不要な応力が作用し、電池が故障したりする可能性があった。さらに、開口部の歪みに伴って開口部に位置する正極端子又は負極端子が変形したり、開口部における正極端子又は負極端子の位置ずれが生じたりして、電池の信頼性が低下する傾向があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、出力を向上させることができると共に、外装体の開口部における歪み及び隙間の形成を抑制できる電気化学デバイス、及び電気化学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気化学デバイスは、正極と負極とがセパレータを挟んで積層された電極体と、2つ以上の電極体を積層してなる積層体を収容した外装体と、正極及び負極にそれぞれ1つずつ接続され、積層体から外装体の外部に伸びる板状のリードと、リードの周囲に密着し、外装体の開口部に挟まれて該開口部を封止している封止部材と、を備え、2つ以上の電極体は、開口部において電極体の積層方向に重なっているリードの数が互いに異なる部分が生じるように積層され、1つの電極体に接続された2つのリードが電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、電極体の積層方向における外装体表面からリード表面までの封止部材の厚さを、リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を有する。
【0010】
開口部において電極体の積層方向に重なっているリードの数が互いに異なる部分のうち、積層方向に隣接して重なり合い、且つ互いに極性の異なる電極に接続された一対のリード同士を電気的に接続することによって、電極体同士を直列接続し、電気化学デバイスの出力を向上させることができる。
【0011】
また、1つの電極体に接続された2つのリードが電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、電極体の積層方向における外装体表面からリード表面までの封止部材の厚さを、リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせることによって、電極体の積層方向において、開口部のリード取り出し部に位置する封止部材及びリードの総厚さが略均一となる。そのため、リードの周囲に密着した封止部材で開口部内が隙間なく満たされて、封止された開口部における歪みを抑制できる。
【0012】
本発明に係る電気化学デバイスの製造方法は、正極と負極とがセパレータを挟んで積層された電極体を形成する電極体形成工程と、1つ又は2つの板状のリードの一部を、帯状の封止部材でリードの両面から挟み込み、1つ又は2つのリードと封止部材とからなる端子部材を形成する端子部材形成工程と、電極体の正極及び負極にそれぞれ端子部材のリードを1つずつ電気的に接続して、封止部材が付着した2つのリードが1つの電極体に接続された素体を形成する素体形成工程と、2つ以上の素体を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、開口部を有する外装体内に積層体を収容する収容工程と、積層体の封止部材と開口部とを融着し、リードが開口部のリード取り出し部から外装体の外部に伸びた状態で開口部を封止する封止工程と、を備え、積層体形成工程において、2つ以上の素体は、開口部において素体の積層方向に重なっているリードの数が互いに異なる部分が生じるように積層し、封止工程後に1つの電極体に接続された2つのリードが電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、封止工程において、電極体の積層方向における外装体表面からリード表面までの封止部材の厚さを、リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を設けて、積層体の封止部材と開口部との融着を行う。
【0013】
上記本発明の製造方法によれば、上記本発明の電気化学デバイスを容易に製造することが可能となる。すなわち、上記の製造方法では、積層体形成工程において、2つ以上の素体を、開口部において素体の積層方向に重なっているリードの数が互いに異なる部分が生じるように積層することによって、積層方向に隣接して重なり合い、且つ互いに極性の異なる電極に接続された一対のリード同士を電気的に接続することが可能となり、電極体を直列接続し、電気化学デバイスの出力を向上させることができる。
【0014】
また、封止工程後に1つの電極体に接続された2つのリードが電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、封止工程において、電極体の積層方向における外装体表面からリード表面までの封止部材の厚さを、リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を設けて、積層体の封止部材と開口部との融着を行うことによって、リードの周囲に密着した封止部材で開口部内が隙間なく満たされて、封止された開口部における歪みを抑制できる。
【0015】
上記本発明では、封止工程において、電極体の積層方向におけるリードの一方の面側及び他方の面側に配置される前記封止部材の合計の厚さを、開口部における全てのリード取り出し部において略同一にして、積層体の封止部材と開口部との融着を行うことが好ましい。
【0016】
これにより、外装体の開口部における歪み及び隙間の形成を抑制するという本発明の効果が顕著となる。
【0017】
上記本発明では、端子部材形成工程において、封止部材は、2つのリードの一部を挟み、且つ、外装体の開口部における全てのリード取り出し部まで伸びる長さのものを用いることが好ましい。
【0018】
外装体の開口部における全てのリード取り出し部まで伸びる長さの封止部材を用いて形成した端子部材を、素体の一部として積層体形成工程で互いに積層することによって、封止工程において、電極体の積層方向におけるリードの一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材の合計の厚さを、開口部における全てのリード取り出し部において略同一とすることが容易となる。また、2つのリードと封止部材とからなる端子部材を1つ用いることによって、1つのリードと封止部材とからなる端子部材を2つ用いる場合に比べて、素体の形成が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、出力を向上させることができると共に、外装体の開口部における歪み及び隙間の形成を抑制できる電気化学デバイス、及び電気化学デバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な一実施形態であるリチウムイオン2次電池(以下、電池2と記す。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
(リチウムイオン2次電池)
図1、2に示すように、本実施形態に係る電池2では、正極と負極とがセパレータを挟んで積層された2つの電極体4a、4bを積層してなる積層体6が、外装体8に収容されている。なお、図1、2中、正極、負極、及びセパレータは省略されている。
【0022】
積層体6において、2つの電極体4a、4bは隔壁(図示せず)を介して積層されている。隔壁は2つの電極体4a、4bにそれぞれ含まれる電解液を透過させない材料からなる。隔壁を設けることにより、2つの電極体4a、4bにそれぞれ含まれる電解液が互いに混合することが抑制され、電池2の電圧低下を抑制できる。
【0023】
電極体4aが有する正極及び負極には、それぞれ1つずつ板状のリード10a、10bが電気的に接続されている。電極体4bが有する正極及び負極には、それぞれ1つずつ板状のリード10c、10dが電気的に接続されている。
【0024】
リード10a〜10dの周囲には封止部材12が密着しており、この封止部材12は外装体8の開口部14に挟まれて開口部14を封止している。積層体6から伸びるリード10a〜10dは、開口部14において、外装体8の外部へ突き出ている。
【0025】
開口部14において、リード10が外装体8内から封止部材12を突き抜けて外装体8の外部へ伸びている部分を、リード取り出し部14a、14b、14cという。電池2では、外装体8の一方の面が凹凸状に成形されることにより、3つのリード取り出し部14a、14b、14cが形成されている。また、外装体8の他方の面は平坦であり、電子機器に搭載される際に基準面に設置される。外装体8の一方の面が凹凸状に成形されることによって、開口部14と封止部材12との融着時に、封止部材12がリード取り出し部14a、14b、14cに位置する各リードの周囲に集中するため、開口部14の密閉性が向上する。
【0026】
電池2において、2つの電極体4a、4bは、開口部14において電極体4a、4bの積層方向に重なっているリード10の数が互いに異なる部分が生じるように積層されている。すなわち、開口部14の一端側のリード取出し部14aには、リード10aが1つ配置され、他端側のリード取出し部14cには、リード10dが1つ配置され、開口部14の中央に位置するリード取り出し部14bには、積層方向に重なっている2つのリード10b、10cが配置されている。リード取り出し部14bに位置する2つのリード10b、10cは、一方が正極に接続されたものであり、他方が負極に接続されたものである。
【0027】
本実施形態では、開口部14において電極体4a、4bの積層方向に重なっているリードの数が互いに異なる部分のうち、積層方向に隣接して重なり合い、且つ互いに極性の異なる電極に接続された一対のリード10b、10c同士を電気的に接続することによって、2つの電極体4a、4b同士を直列接続し、電池2の電圧を向上させることができる。
【0028】
図2に示すように、電極体4a、4bの積層方向における外装体8の表面からリード10表面までの封止部材12の厚さは、リード12の一方の面側(上方)と他方の面側(下方)とで異なっている。具体的には、リード10aとその上方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さは、リード10aとその下方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さより大きくなっている。また、リード10dとその下方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さは、リード10dとその上方に位置する外装体8との間を満たす封止め部材12の厚さより大きくなっている。このように、電極体4a、4bの積層方向における外装体8の表面からリード10a、10d表面までの封止部材12の各厚さが、リード10a、10dの一方の面側(上方)と他方の面側(下方)とで異なることによって、電極体4aに接続されたリード10a、10bが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置され、電極体4bに接続されたリード10c、10dも、電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置される。
【0029】
また、電極体4aに接続された2つのリード10a、10b、電極体4bに接続された2つのリード10c、10dが、それぞれ電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、電極体4a、4bの積層方向における外装体8の表面からリード10a、10d表面までの封止部材12の厚さを、リード10a、10dの一方の面側と他方の面側とで異ならせることによって、電極体4a、4bの積層方向においてリード取り出し部14a、14b、14cにそれぞれ位置する封止部材12及びリード10の総厚さが略均一となる。そのため、リード10a〜10dの周囲に密着した封止部材12で開口部14内が隙間なく満たされて、封止された開口部14の歪みを抑制できる。
【0030】
電極体4a、4bがそれぞれ有する正極は、シート状の正極用集電体と、正極用集電体においてセパレータ及び負極に対向する面を覆う正極用活物質層とを備える。電極体4a、4bがそれぞれ有する負極は、シート状の負極用集電体と、負極用集電体においてセパレータ及び正極に対向する面を覆う負極用活物質層と、を備える。
【0031】
正極用集電体及び負極用集電体としては、公知の電池に用いられている集電体を用いることができ、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル等を帯状に成形したものを用いることができる。
【0032】
正極用活物質層は、正極活物質(カソード活物質)、導電助剤、結着剤等を含む層である。カソード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知の電極活物質を使用できる。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素またはVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0033】
負極用活物質層は、負極活物質(アノード活物質)、導電助剤、結着剤等を含む層である。アノード活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のアノード活物質を使用できる。このような活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、Al、Si、Sn、Si等のリチウムと化合することのできる金属、SiO、SiO、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)、TiOが挙げられる。中でも、炭素材料が好ましく、層間距離d002が0.335〜0.338nmであり、且つ、結晶子の大きさLc002が30〜120nmである炭素材料がより好ましい。このような条件を満たす炭素材料としては、人造黒鉛、MCF(メソカーボンファイバ)、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等が挙げられる。なお、上記層間距離d002及び結晶子の大きさLc002は、X線回折法により求めることができる。
【0034】
セパレータとしては、例えば、電気絶縁性の多孔体から形成されたものを用いることができる。電気絶縁性の多孔体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体又は積層体、樹脂の混合物の延伸膜、又はセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なとも1種の構成材料からなる繊維不織布等が挙げられる。
【0035】
正極、負極、及びセパレータの内部には電解質溶液(図示せず)が含有されている。電解質溶液は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解質溶液が使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)等の塩が使用される。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、電解質溶液は、高分子等を添加することによりゲル状としてもよい。
【0036】
電解質溶液用の有機溶媒としては、公知の電池に使用されている溶媒を使用することができ、例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、ラクトン類、エステル類などの単独溶媒または混同溶媒を使用することができる。より具体的には、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
【0037】
外装体8としては、アルミニウムやステンレスで構成される金属缶やアルミニウムやステンレスの金属箔を樹脂フィルムでラミネートしたものを用いることができる。
【0038】
封止部材12としては、開口部14との熱融着時に開口部14との密着性が良好である材料を用いればよく、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、ポリプロピレン重合体、等を用いることができる。
【0039】
正極用集電体又は負極用集電体の厚さは、5〜50μm程度である。正極用活物質層又は負極用活物質層の厚さは、1〜200μm程度である。セパレータの厚さは、5〜50μm程度である。電極体4a、4bの厚さは0.25〜5mm程度である。隔壁の厚さは、10〜100μm程度である。リード10a〜10dの厚さは、50〜1000μm程度である。外装体8の壁の厚さは、10〜500μm程度である。取り出し部14a〜14cにおける電池2の最大厚さは、0.5〜10mm程度であり、取り出し部14a〜14cの間における電池2の厚さは0.5〜10mm程度である。電極体4a、4bの積層方向に垂直な方向における電池2の長手方向の長さLは10〜50mm程度であり、幅Wは10〜50mm程度である。
【0040】
(リチウムイオン2次電池の製造方法)
次に、本発明の電気化学デバイスの製造方法の好適な一実施形態である電池2の製造方法について詳細に説明する。本実施形態に係る電池2の製造方法は、電極体形成工程、端子部材形成工程、素体形成工程、積層体形成工程、収容工程、及び封止工程を備える。
【0041】
<電極体形成工程>
電極体形成工程では、正極と負極とをセパレータを介して積層し、電極体4a、4bを形成する。
【0042】
<端子部材形成工程>
端子部材形成工程では、1つ又は2つの板状のリード10の一部を、帯状の封止部材12でリード10の両面から挟み込み、1つ又は2つのリード10と封止部材12とからなる端子部材16を形成する。
【0043】
端子部材16としては、図3、4に示すように、1つのリード10と封止部材12aとからなる端子部材16a、及び1つのリード10と封止部材12bとからなる端子部材16bを用いることができる。なお、封止部材12a及び封止部材12bは、それらが一体化した封止部材12cの一部分をそれぞれ示すものである。端子部材16aは、帯状の封止部材12aの中央部で、リード10の一部を両面から挟み込むことによって形成できる。端子部材16bは、帯状の封止部材12bの中央部から端部までの間で、リード10の一部を両面から挟み込むことによって形成することができる。なお、リード10a〜10dの厚さが50〜1000μmであるとき、封止部材12a、12bの厚さは、60〜1200μm程度である。また、端子部材16aと端子部材16bとは(すなわち、封止部材12aと封止部材12bとは)必ずしも一体化していなくてもよい。また、端子部材16bの部分を、端子部材16aと封止部材12a単独とを一体化することなく組み合わせた部材で代用しても良い。
【0044】
端子部材16aでは、リード10からその短手方向の一方側へ伸びる封止部材12aの長さL1と、リード10からその短手方向の他方側へ伸びる封止部材12aの長さL2とが等しい。一方、端子部材16bでは、リード10からその短手方向の一方側へ伸びる封止部材12aの長さL3より、リード10からその短手方向の他方側へ伸びる封止部材12aの長さL4が長い。
【0045】
端子部材形成工程においては、2つのリード10の一部を挟み、且つ、外装体8の開口部14における全てのリード取り出し部14a、14b、14cまで伸びる長さの封止部材12cを用いることが好ましい。すなわち、2つの板状のリード10の一部を、封止部材12aと封止部材12bとが一体となった帯状の封止部材12cでリード10の両面から挟み込むことによって、端子部材16aと端子部材16bとが一体となった構造を有する端子部材16cを形成することが好ましい。以下では、端子部材16cを用いた電池2の製造方法について説明する。
【0046】
<素体形成工程>
素体形成工程では、電極体4aの正極及び負極にそれぞれ端子部材16cのリード10を1つずつ電気的に接続することによって、図4に示すように、封止部材16cが付着した2つのリード10a、10bが1つの電極体4a(図示せず)に接続された素体18aを形成する。また、素体18aの場合と同様に、封止部材16cが付着した2つのリード10c、10dが1つの電極体4b(図示せず)に接続された素体18bを形成する。
【0047】
<積層体形成工程>
積層体形成工程では、図4に示すように、電極体4a、4bを用いて形成した2つの素体18a、18bを、外装体8の開口部12(図1、2参照)において電極体4a、4bの積層方向に重なっているリード10の数が互いに異なる部分が生じるように積層し、素体18a、18bからなる積層体(以下、積層体と記す。)を形成する。すなわち、図4に示すように、素体18a、18bの積層方向においてリード10b、10cを重ね、素体18aのリード10aと素体18bのリード10dでリード10b、10cを挟むような位置関係で、素体18a、18bを積層する。また、リード10b、10cは、一方が正極に接続されたものであり、他方が負極に接続されたものとする。このようにして得られた積層体においては、2つのリード10を挟む込む1対の封止部材12cを封止部材12cの1単位として数える時、素体18a、18bの積層数と封止部材12cの単位数とを一致する。これにより、積層体において、電極体4a、4bの積層方向におけるリード10a〜10dの一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12cの合計の厚さを、略同一とすることができる。
【0048】
<収容工程>
収容工程では、積層体が備えるリード10a〜10d及びそれらを挟み込む封止部材12cを、外装体8の開口部14に配置させるように、積層体を外装体8内に収容する。
【0049】
<封止工程>
封止工程では、図1、2に示すように、積層体の封止部材12cと開口部14とを融着し、リード10a〜10dがそれぞれ開口部12のリード取り出し部14a〜14cから外装体8の外部に伸びた状態で開口部14を封止する。また、封止工程後に電極体4aに接続されたリード10a、10bが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置され、且つ電極体4bに接続されたリード10c、10dが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、封止工程において、電極体4a、4bの積層方向における外装体8の表面から各リード10a〜10dの表面までの封止部材12cの厚さを、各リード10a〜10dの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を設けて、積層体の封止部材12cと開口部14との融着を行う。これにより、電池2が得られる。
【0050】
好ましくは、封止工程において、電極体4a、4bの積層方向におけるリード10a〜10dの一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12c(電池2における封止部材12)の合計の厚さを、開口部12における全てのリード取り出し部14a〜14cにおいて略同一にして、積層体の封止部材12cと開口部14との融着を行う。これにより、外装体8の開口部14における歪み及び隙間の形成を抑制する効果が顕著となる。なお、「略同一」とは、得られる電気2の開口部14において歪みや隙間が生じない程度に、融着前の状態で、各リード取り出し部14a〜14cに対応する部分の封止部材12cの合計の厚さのばらつきが小さいことを意味する。より具体的には、得られる電池2の一つのリード取り出し部に対応する部分の、融着前の状態における封止部材12の合計の厚さに対して、それに隣接するリード取り出し部に対応する部分の、融着前の状態における封止部材12の合計の厚さを、85〜115%の範囲内とすることが好ましい。なお、融着後においては、得られる電池2の一つのリード取り出し部における封止部材12及びリード10の合計の厚さに対して、それに隣接するリード取り出し部における封止部材12及びリード10の合計の厚さを、40〜160%の範囲内とすることが好ましい。
【0051】
本実施形態においては、積層体形成工程において、2つの素体18a、18bを、開口部14におい電極4a、4bの積層方向(素体18a、18bの積層方向)に重なっているリード10の数が互いに異なる部分が生じるように積層する。すなわち、リード取り出し部14a、14cのように、それぞれ1つのリード10が配置された部分と、リード取り出し部14bのように、積層方向に2つのリード10b、10cが重なっている部分とが生じている。これにより、リード10b、10cを電気的に接続することが可能となり、電極体4a、4bを直列接続し、電地2の電圧を向上させることができる。
【0052】
また本実施形態では、封止工程後に電極体4aに接続されたリード10a、10bが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置され、且つ電極体4bに接続されたリード10c、10dが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、封止工程において、電極体4a、4bの積層方向における外装体8の表面から各リード表面までの封止部材12cの厚さを、各リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を設けて、積層体の封止部材12cと開口部14との融着を行うことによって、得られる電池2において、リード10a〜10dの周囲に密着した封止部材12で開口部14内が隙間なく満たされて、開口部14における歪みを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、外装体8の開口部14における全てのリード取り出し部14a、14b、14cまで伸びる長さの封止部材12cを用いて形成した端子部材16cを、素体18a、18bの一部として積層体形成工程で互いに積層することによって、封止工程において、電極体4a、4bの積層方向におけるリード10の一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12cの合計の厚さを、全てのリード取り出し部14a、14b、14cにおいて略同一とすることが容易となる。また、2つのリード10とこれらを挟み込む一対の封止部材12cとからなる端子部材16cを1つ用いることによって、1つのリードと封止部材とからなる端子部材16a、16bを組み合わせて用いる場合に比べて、素体18a、18bの形成が容易となる。
【0054】
従来のように、図6に示すように、外装体8の開口部14における全てのリード取り出し部14a、14b、14cまで伸びるだけの長さのない封止部材12dを用いて形成した端子部材16dを、図7に示すように、積層方向に重なっているリード10の数が互いに異なる部分が生じるように積層すると、積層方向におけるリード10の一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12dの合計の厚さが不均一となってしまう。その結果、図8に示すように、得られる電池2bの開口部14において、封止部材12で満たされていない隙間が生じたり、開口部14及び隔壁が歪んだり、リード10a及びリード10b、又はリード10c及びリード10dが、電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置されなかったりする可能性があるが、本実施形態では、これらの不具合の発生を抑制できる。
【0055】
以上、本発明の電気化学デバイス及びその製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の説明においては、電気化学デバイスが電池2(リチウムイオン二次電池)の場合について説明したが、本発明の電気化学デバイスはリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、金属リチウム二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池、リチウムキャパシタ、または電気二重層キャパシタ(Electric Double Layer Capacitor)等であってもよい。なお、リチウムイオン二次電池以外の電気化学デバイスの場合、電極活物質としては、それぞれの電気化学デバイスに適したものを用いればよい。また、電気二重層キャパシタの場合には、カソード活物質含有層及びアノード活物質含有層中に含まれる活物質として、例えば、アセチレンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭などが用いられる。また、電解質溶液としては、例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイトのような4級アンモニウム塩を、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネイト、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解したものが使用される。
【0056】
また、本発明の電気化学デバイスは、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途にも使用することが可能である。
【0057】
また、図5に示すように、外装体8の開口部14の両面が凹凸状に成形されていてもよい。さらに、積層体6を構成する電極体の数が3つ以上であってもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例)
実施例では、図1、2に示すリチウムイオン2次電池(電池2)を作製した。電池2は、正極と負極とがセパレータを挟んで積層された2つの電極体4a、4bを積層してなる積層体6を収容した外装体8と、正極及び負極にそれぞれ1つずつ接続され、積層体6から外装体8の外部に伸びる板状のリード10a〜10dと、リード10a〜10dの周囲に密着し、外装体8の開口部14に挟まれて開口部14を封止している封止部材12と、を備える。開口部14の一端側のリード取出し部14aには、リード10aが1つ配置され、他端側のリード取出し部14cには、リード10dが1つ配置され、開口部14の中央に位置するリード取り出し部14bには、積層方向に重なっている2つのリード10b、10cが配置されている。リード10aとその上方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さは、リード10aとその下方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さより大きく、リード10dとその下方に位置する外装体8との間を満たす封止部材12の厚さは、リード10dとその上方に位置する外装体8との間を満たす封止め部材12の厚さより大きい。電極体4aに接続されたリード10a、10bが電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置され、電極体4bに接続されたリード10c、10dも、電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置されている。
【0060】
上述のリチウムイオン2次電池を、以下に示すように、電極体形成工程、端子部材形成工程、素体形成工程、積層体形成工程、収容工程、及び封止工程を備える製造方法によって作製した。
【0061】
<電極体形成工程>
LiCoO、PVdF、アセチレンブラックを、75:15:10の体積比で混合し、NMP中に分散させた塗料を、厚さ0.02mmのアルミニウム箔の両面に塗布し、NMPを除去して活物質層を形成した。アルミニウム箔と活物質層の総厚みは0.12mmとした。活物質層を形成したアルミニウム箔を14mm×10mmの大きさに切断し、正極を得た。但し、切断後の正極の長手方向の端部4mmについては、アルミニウム箔が露出した未塗布部分を両面ともに形成した。
【0062】
黒鉛、PVdF、アセチレンブラックを、75:15:10の体積比で混合し、NMP中に分散させた塗料を、厚さ0.02mmの銅箔の両面に塗布し、NMPを除去して活物質層を形成した。銅箔と活物質層の総厚みは0.10mmとした。活物質層を形成した銅箔を、14mm×10mmの大きさに切断し、負極を得た。但し、切断後の負極の長手方向の端部4mmについては、銅箔が露出した未塗布部分を両面ともに形成した。
【0063】
得られた正極と負極とを、厚さ0.07mmのセパレータ(ポリオレフィン多孔体、寸法:14mm×10mm)を介して積層し、電極体4aと、電極体4bとを作製した。
【0064】
<端子部材形成工程>
端子部材形成工程では、図3、4に示すように、2つの板状のリード10a、10bの一部を、帯状の封止部材12cでリード10の両面から挟み込み、2つのリード10a、10bと封止部材12cとからなる端子部材16cを形成した。同様に、2つのリード10c、10dと封止部材12cとからなる端子部材16cを形成した。端子部材16cでは、封止部材12cの長手方向の中央部のリード10b、10cに対して端部側のリード10a、10dと反対の側には、リードが存在せず封止部材12cのみが存在する部分を形成した。
【0065】
リード10a〜10dとしては、幅2mm×長さ10mm×厚み0.03mmのニッケル箔を用いた。封止部材12cとしては、幅3mm×長さ11mmのポリオレフィンシートを用いた。ポリオレフィンシートの長さ11mmは、外装体8の開口部14の長手方向の長さ11mmと一致させた。すなわち、2つのリード10の一部を挟み、且つ、外装体8の開口部14における全てのリード取り出し部14a、14b、14cまで伸びる長さの封止部材12cを用いて、端子部材16cを形成した。
【0066】
<素体形成工程>
素体形成工程では、電極体4aの負極の未塗布部分端部に端子部材16cのリード10aを超音波溶接し、電極体4aの正極の未塗布部分中央に端子部材16cのリード10bを超音波溶接することによって、図4に示すように、封止部材16cが付着した2つのリード10a、10bが1つの電極体4a(図示せず)に接続された素体18aを形成した。また、電極体4bの負極の未塗布部分中央に端子部材16cのリード10cを超音波溶接し、電極体4bの正極の未塗布部分端部に端子部材16cのリード10dを超音波溶接することによって、封止部材16cが付着した2つのリード10c、10dが1つの電極体4b(図示せず)に接続された素体18bを形成した。
【0067】
<積層体形成工程>
積層体形成工程では、図4に示すように、素体18aと素体18bとを、厚み0.03mmのポリイミドシートを挟んで積層して、積層体を形成した。素体18aと素体18bとの積層では、素体18a、18bの積層方向においてリード10b、10cを重ね、素体18aのリード10aと素体18bのリード10dでリード10b、10cを挟むような位置関係で、素体18a、18bを積層して、電極体4a、4bの積層方向におけるリード10a〜10dの一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12cの合計の厚さを略同一とした。また、得られた積層体のリード10b、10cを互いに超音波溶接した。
【0068】
<収容工程>
収容工程では、アルミラミネートからなる外装体8の開口部14に、積層体が備えるリード10a〜10d及びそれらを挟み込む封止部材12cを配置させるように、積層体を外装体8内に収容した。さらに、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒に3wt%のLiPFを加えた電解液を外装体8内に注入した。
【0069】
<封止工程>
封止工程では、図1、2に示すように、外装体8の開口部14全域に配置された封止部材12cを加熱して、開口部14を封止して、実施例のリチウムイオン2次電池を得た。なお、封止工程においては、電極体4a、4bの積層方向におけるリード10a〜10dの一方の面側及び他方の面側に配置される封止部材12c(電池2における封止部材12)の合計の厚さを、開口部12における全てのリード取り出し部14a〜14cにおいて略同一にして、積層体の封止部材12cと開口部14との融着を行った。これにより、封止工程後に電極体4aに接続されたリード10a、10bを電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置させ、且つ電極体4bに接続されたリード10c、10dを電極体4a、4bの積層方向に垂直な同一面内に配置させた。
【0070】
(比較例)
比較例では、封止部材として、幅3mm×長さ7.5mmのポリオレフィンシートを用いた。すなわち、比較例では、図6、7に示すように、外装体8の開口部14における全てのリード取り出し部14a、14b、14cまで伸びるだけの長さのない封止部材12dを用いて端子部材16dを形成した。このような端子部材16dを備える電極体4a、4bを、図7に示すように、積層方向に重なっているリード10の数が互いに異なる部分が生じるように積層して、積層体を形成した。このように端子部材16dを用いたこと以外は、実施例と同様に比較例のリチウムイオン2次電池を得た。
【0071】
(評価)
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池をそれぞれ100個作成し、各リチウムイオン二次電池のインピーダンスを測定した。実施例のリチウムイオン二次電池100個のインピーダンス値のうち、最小値は96[mΩ]であり、最大値は100[mΩ]であった。一方、比較例のリチウムイオン二次電池100個のインピーダンス値のうち、最小値は128.6[mΩ]であり、最大値は無限大に発散してしまった。この結果から、実施例のリチウムイオン2次電池では、比較例のリチウムイオン2次電池に比べて、インピーダンスを低下させることが可能となることが確認された。これらは、実施例のリチウムイオン2次電池ではリード10a〜10dと電極体4a、4bとの溶接部分における応力が抑制されていることに起因しているものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の電気化学デバイスの好適な一実施形態であるリチウムイオン2次電池を示す斜視図である。
【図2】図1に示すリチウムイオン2次電池を開口部側から見た模式端面図である。
【図3】図1に示すリチウムイオン2次電池の製造方法に用いる端子部材の上面図である。
【図4】図1に示すリチウムイオン2次電池の製造方法に用いる端子部材(素体)の側面図である。
【図5】本発明の電気化学デバイスの他の実施形態であるリチウムイオン2次電池を開口部側から見た模式端面図である。
【図6】従来のリチウムイオン2次電池の製造方法に用いる端子部材の上面図である。
【図7】従来のリチウムイオン2次電池の製造方法に用いる端子部材(素体)の側面図である。
【図8】従来のリチウムイオン2次電池の製造方法によって製造したリチウムイオン2次電池を開口部側から見た模式端面図である。
【符号の説明】
【0073】
2・・・リチウムイオン2次電池、4a、4b・・・電極体、6・・・積層体、8・・・外装体、10a、10b、10c、10d・・・リード、14・・・開口部、14a、14b、14c・・・リード取り出し部、12、12a、12b、12c・・・封止部材、16a、16b、16c・・・端子部材、18a、18b・・・素体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とがセパレータを挟んで積層された電極体と、
2つ以上の前記電極体を積層してなる積層体を収容した外装体と、
前記正極及び前記負極にそれぞれ1つずつ接続され、前記積層体から前記外装体の外部に伸びる板状のリードと、
前記リードの周囲に密着し、前記外装体の開口部に挟まれて該開口部を封止している封止部材と、を備え、
2つ以上の前記電極体は、前記開口部において前記電極体の積層方向に重なっている前記リードの数が互いに異なる部分が生じるように積層され、
1つの前記電極体に接続された2つの前記リードが前記電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、前記電極体の積層方向における前記外装体表面から前記リード表面までの前記封止部材の厚さを、前記リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を有する、電気化学デバイス。
【請求項2】
正極と負極とがセパレータを挟んで積層された電極体を形成する電極体形成工程と、
1つ又は2つの板状のリードの一部を、帯状の封止部材で前記リードの両面から挟み込み、1つ又は2つの前記リードと前記封止部材とからなる端子部材を形成する端子部材形成工程と、
前記電極体の前記正極及び前記負極にそれぞれ前記端子部材の前記リードを1つずつ電気的に接続して、前記封止部材が付着した2つの前記リードが1つの前記電極体に接続された素体を形成する素体形成工程と、
2つ以上の前記素体を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
開口部を有する外装体内に前記積層体を収容する収容工程と、
前記積層体の前記封止部材と前記開口部とを融着し、前記リードが前記開口部のリード取り出し部から前記外装体の外部に伸びた状態で前記開口部を封止する封止工程と、を備え、
前記積層体形成工程において、2つ以上の前記素体は、前記開口部において前記素体の積層方向に重なっている前記リードの数が互いに異なる部分が生じるように積層し、
前記封止工程後に1つの前記電極体に接続された2つの前記リードが前記電極体の積層方向に垂直な同一面内に配置されるように、前記封止工程において、前記電極体の積層方向における前記外装体表面から前記リード表面までの前記封止部材の厚さを、前記リードの一方の面側と他方の面側とで異ならせた部分を設けて、前記積層体の前記封止部材と前記開口部との融着を行う、電気化学デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記封止工程において、前記電極体の積層方向における前記リードの一方の面側及び他方の面側に配置される前記封止部材の合計の厚さを、前記開口部における全ての前記リード取り出し部において略同一にして、前記積層体の前記封止部材と前記開口部との融着を行う、請求項2に記載の電気化学デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記端子部材形成工程において、前記封止部材は、2つの前記リードの一部を挟み、且つ、前記外装体の前記開口部における全ての前記リード取り出し部まで伸びる長さのものを用いる、請求項2又は3に記載の電気化学デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−163928(P2009−163928A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340273(P2007−340273)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】