説明

ソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム

【課題】全体的な大きさを縮小し、装着性を向上すると共に、モータを使う際に関連する運動切換構成部品の数を減らし、原価と重量を節減する電子ウェッジブレーキシステムを提供する。
【解決手段】電子ウェッジブレーキシステムを1個のモータ13から発生する動力を利用して主制動機能を具現するとともに、パッド設定間隔の維持機能とフェイルセーフ機能、およびEPB機能と同じさまざまな付加機能が、主制動機能モータ13の作動に連動して作動するソレノイドメカニズムのオン・オフ制御により、NSL(Non−Self Locking)タイプでスクリュー結合したプッシュロッド軸31の前進移動が拘束されたり解除されることを利用して行われる。また、動力を発生する1個のモータ13だけで全ての機能が具現され、全体的な部品の使用の縮小はもちろん、構造をより単純化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェッジブレーキシステムに関し、より詳しくは、ソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にブレーキシステムは、走行する自動車を減速または停止させると同時に、駐車状態を維持するために用いる制動装置である。
【0003】
このようなブレーキシステムは通常、運動エネルギーを摩擦力を利用して熱エネルギーに変え、それを大気中に放出し制動作用する摩擦式ブレーキが用いられ、これは、車輪と共に回転するディスクをその両側からパッドが油圧によって押されながら制動機能を行うようになる。
【0004】
しかし、このような油圧式ブレーキは、制動時に油圧を用いてパッドを強くディスク側に押す方法で具現されることで、ペダル操作力を倍加するブースターを通じて作動し油圧を発生するマスタシリンダーと、ホイールシリンダー側につながる油圧ラインはもちろん、これらを制御して補助する各種装置により複雑な構成が形成されざるを得ない。このような構成の複雑さと、油圧使用に伴う制動性能の信頼性低下が、安定性強化にある程度の限界要因として作用し得る脆弱性がある。
【0005】
これにより、油圧式ブレーキが備えることができない構成の単純さを備え、制動性能の信頼性強化と駐車ブレーキ作用もともに具現できると共に、ABS(Anti Brake System)の応答性と性能向上、さらに統合シャーシ制御を最適に具現できるよう電子ウェッジブレーキシステム(EWB:Electro Wedge Brake)を開発および適用している趨勢である。
【0006】
このような電子ウェッジブレーキのEWBは制動時、アクチュエータにより作動するウェッジアセンブリを利用し、ブレーキパッドをディスク側に加圧することにより摩擦させることで、制動作用を具現する方式を利用するようになる。
【0007】
この際、このようなEWBは12Vの電圧を使うモータを利用しても、油圧式ブレーキの制動力を具現することができる。これはEWBが、ウェッジ(Wedge)現象を用いた自己倍力(Self−Energizing)作用を行うためである。すなわち、アクチュエータの駆動によりウェッジが移動し、パッドを加圧するとともにパッドとディスク間の摩擦力が追加的な入力(Input Force)として作用するようになり、こうしたウェッジ構造に伴うウェッジ効果作用でモータによる力が小さくても大きな制動力を具現できるようになる。
【0008】
さらに、このようなEWBはパッドの設定された間隔を常に維持するようエンジン始動時ごとに自動的にパッド間隔を補正する。すなわち、ウェッジアセンブリをパッド側に移動させ、摩耗等でパッドとディスク間の間隔が設定値からずれた状態を調整する機能が与えられる。
【0009】
また、このようなEWBはフェイルセーフ(Fail−Safe)すなわち、ブレーキフェイル(Brake Fail)時に、制動力が解除されず継続的に制動力が作用することにより、正常運行時の車体の非正常的な回転が起こりうる素地を遮断するため、ブレーキフェイル時にディスクに提供されていた制動力を解除する機能も具現できるようになる。
さらに、このようなEWBは電子式駐車ブレーキであるEPB(Electric Parking Brake)機能も共に行うことができる。
【0010】
しかし、こうしたEWBに、主制動機能以外にさまざまな付加機能であるパッド設定間隔の維持機能と、フェイルセーフ機能およびEPB機能がすべて具現されることにより、全体的な部品構成が非常に複雑になることはもちろん、特に制動機能のためのモータと共にさまざまな付加機能を行うための別のモータの使用により、少なくとも2個のモータが必要になる脆弱性がある。
【0011】
また、このようにそれぞれ別の動力を発生させる2個のモータを使用することにより、モータ受容空間による全体的な大きさの増大をもたらし、このような大きさの増大が車輪に対する装着上の制約条件をもたらす不都合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような点を鑑みて発明されたもので、電子ウェッジブレーキ(EWB)が1個のモータから発生する動力を利用して主制動機能を具現し、主制動モータと連動したソレノイドメカニズム(Solenoid Mechanism)を用いて、さまざまな付加機能であるパッド設定間隔の維持機能と、フェイルセーフ機能および電子駐車ブレーキであるEPB機能を具現したことにより、使用されるモータを1つに減らして全体的な大きさを縮小し、装着性を向上すると共に、モータを使う際に関連する運動切換構成部品の数を減らし、原価と重量を節減することにその目的がある。
【0013】
また本発明は、電子ウェッジブレーキ(EWB)で具現されるさまざまな付加機能のパッド設定間隔の維持機能とフェイルセーフ機能およびEPB機能の具現が、モータではないソレノイドメカニズムを用いて行われることにより、モータを使う時に比べ関連部品間の運動切換構造をより簡単に構成でき、全体的な設計を容易にすることができるようにすることにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステムは、車両制動のために運転手が操作する電子ペダルと、車両制動の時、車両で測定された情報を利用して制御信号を発生するECUと、車輪と共に回転するディスクを覆い、その内部に前記ディスクの両側に配置され、前記ディスクを加圧するインナー・アウターパッドアセンブリを備え、前記ディスク側に前記インナーパッドアセンブリが移動するときに反対側に位置した前記アウターパッドアセンブリも前記ディスク側に移動するように連動作用を具現するトルクメンバーからなるウェッジキャリパーと、前記ECUにより、正・逆回転する1個のモータから発生した回転力を軸方向運動に切換え、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側面に移動させ、直径を有するウェッジローラの位置移動にともなうウェッジ現象による自己倍力で前記ディスクに対する加圧力により制動力を具現するとともに、前記ECUが制御する前記1個のモータ駆動に連動して作動するソレノイドメカニズムのオン・オフ制御により、NSL(Non−Self Locking)タイプでスクリュー結合したプッシュロッド軸の前進移動が拘束されたり解除されることを利用し、パッド設定間隔の維持と共にフェイルセーフ機能および電子駐車ブレーキ(EPB)機能を具現するウェッジアクチュエータアセンブリと、前記ウェッジアクチュエータアセンブリをその内部に装着し、前記ウェッジキャリパーの側面部に結合するハウジングとで構成されたことを特徴とする。
前記構成においては、前記ECUと前記ウェッジアクチュエータアセンブリの前記モータおよび前記ソレノイドは、補助バッテリーで補助的な電源回路をさらに構成することが好ましい。
【0015】
また、前記ウェッジアクチュエータアセンブリは、前記ECUが制御する前記1個のモータから発生した動力で制動力を発生する制動モータユニットと、前記モータの回転力を軸方向運動に切換え、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側に押すと共に、前記ディスクから加えられる前記インナーパッドアセンブリの動きによる前記ウェッジローラの位置移動で自己倍力作用が発生し、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側に加圧する入力に切換えさせるウェッジ制動ユニットと、前記インナー・アウターパッドアセンブリの設定間隔の維持をはじめとして、モータ故障にともなう前記フェイルセーフ機能と共に、前記電子駐車ブレーキ機能具現のために、前記モータの駆動に連動して作動する前記ソレノイドメカニズムとで構成されたことが好ましい。
【0016】
また、前記制動モータユニットは、前記ハウジングの一方の空間で前記ハウジング部に固定された固定ブラケットを介し結合し前記ECUが制御する前記モータと、前記モータの出力軸に結合し、モータ回転に対し軸方向に前・後進移動する直線運動変換部と、前記直線運動変換部に結合して、前記直線運動変換部の軸方向移動にしたがい共に移動する連動ロッドとで構成されたことが好ましい。
【0017】
また、前記ウェッジ制動ユニットは、前記モータの回転にともなう軸方向移動力を受けるように前記モータ側に連結する連結ロッドと、前記アウターパッドアセンブリの反対側の前記ディスク側に位置した前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側で加圧させるように、一体で形成された前記連結ロッドにより移動するウェッジ移動プレートと、前記ウェッジ移動プレートに向かい合うよう平行に配列されたウェッジベースプレートと、一対のプレート間に形成された転がり接触面間に位置し、前記ウェッジ移動プレートの移動時、摩擦力を発生する前記ウェッジローラとで構成されることが好ましい。
【0018】
また、前記ソレノイドメカニズムは、前記NSLタイプでスクリュー結合した前記プッシュロッド軸を備え、前記パッド設定間隔の維持と前記フェイルセーフ機能具現および前記電子駐車ブレーキ機能具現時、前記ディスク側に軸方向移動するアジャストユニットと、前記アジャストユニットの作動のためにオン・オフになり、拘束力を解除・ロックするソレノイドユニットと、前記電子駐車ブレーキ作動時、駐車制動性能維持のために前記プッシュロッド軸を拘束するように、前記モータにより移動するウェッジ移動プレート部に固定されたEPBスプリングとで構成されていることが好ましい。
【0019】
また、前記ソレノイドメカニズムを用いた前記パッド設定間隔の維持具現は、エンジン始動時、前記ECUにより駆動された前記モータの回転力が軸方向直線移動に切換えられ、前記ウェッジローラにより、ウェッジ効果を発生する前記ウェッジ移動プレートが移動すると、前記パッドの前記ディスクに対する密着状態を維持する前記アジャストユニットの前記プッシュロッド軸に対する拘束を解除するよう、前記ECUは前記ソレノイドユニットのソレノイドをオフにし、前記ECUは前記モータを再駆動して、前記パッドと前記ディスク間の設定された間隔維持が確立されるように前記ウェッジ移動プレートを移動させた後、前記プッシュロッド軸を拘束するように前記ソレノイドをオンにした後、前記ECUは前記モータを逆回転させ前記ウェッジ移動プレートを初期状態に復帰させることが好ましい。
【0020】
また、前記アジャストユニットは、外周面に刻まれた溝の係止端を形成し、前記ハウジングの位置拘束端にはめ込まれる支持ナットと、前記支持ナットに前記NSLタイプでスクリュー結合されるように外周面にプッシュロッドスクリューを形成する前記プッシュロッド軸と、前記プッシュロッドスクリューを形成しない前記プッシュロッド軸の軸区間で外周面に形成されたラッチと、前記プッシュロッド軸の前記ラッチ形成部前後に配置された一対の前・後端ベアリングと、一端が前記支持ナット部に固定され他端は前記前端ベアリング側に持続的な軸方向力を加える加圧ばねとで構成されていることが好ましい。
【0021】
また、前記ソレノイドユニットは、前記ハウジングの一方に受容され前記ECUによりオン・オフとなる前記ソレノイドと、前記ソレノイドの作動時に引き出し・引き込まれる移動軸を通じ、ヒンジ軸を中心にシーソー(Seesaw)運動するスイッチングレバーとからなることが好ましく、前記スイッチングレバーは、前記ソレノイドの移動軸の移動経路に一致するように位置する加圧部と、前記ハウジング部を利用して、ヒンジ締結された前記加圧部の末端で折り曲げられ長く延び、ヒンジ点を中心に動くラッチ接触部および前記プッシュロッド軸に形成されたラッチに噛み合わさるように前記ラッチ接触部の外周面に形成された接触端とからなることが好ましい。
【0022】
ここで、前記スイッチングレバーには、前記ソレノイドの引き出される移動軸が加える力を受けるとき、前記ヒンジ点を中心に下方向移動する力を発生させるように前記加圧部の長さ方向に沿って下降傾斜した接触傾斜面を形成していることが好ましい。
【0023】
また、前記EPBスプリングは、前記ウェッジ移動プレート部で固定される固定端と、前記固定端から突出するように折り曲げられ、長く延びた連結端および前記連結端の末端から下方向に折り曲げられ、前記ソレノイドがオフになった状態で、前記プッシュロッド軸の軸方向移動を拘束するように加圧力を発生させる加圧端とからなることが好ましい。
【0024】
また、前記EPBスプリングの加圧端は前記プッシュロッド軸のラッチ側面に位置した後端ベアリングを押して拘束力を発生したり、または前記プッシュロッド軸のラッチの裏側に形成されたEPBスプリング位置フランジを押して拘束力を発生することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通り、本発明によれば、制動時の主制動のための動力を発生する1個のモータを用いる電子ウェッジブレーキ(EWB)を構成すると共に、1個のモータに連動されて作動するソレノイドメカニズムを利用して、パッド設定間隔の維持とフェイルセーフ具現および電子駐車ブレーキ作動と同じさまざまな付加機能が具現されることにより、動力発生用モータを1つだけ使用し、電子ウェッジブレーキの全体的な大きさを縮小し、装着性を向上する効果がある。
【0026】
また、本発明は、電子ウェッジブレーキが主制動と共にパッド設定間隔の維持とフェイルセーフ具現、および電子駐車ブレーキ作動と同じさまざまな付加機能を1個のモータを使用し具現することにより、モータを使う時に発生する運動切換構成部品の数を減らし、原価と重量を節減できる効果がある。
【0027】
さらに、本発明は、電子ウェッジブレーキにより具現されるさまざまな付加機能のパッド設定間隔の維持とフェイルセーフ機能、およびEPB機能具現が、モータでないソレノイドメカニズムを用いて具現されることにより、モータを使う時に比べて、関連部品間の運動切換構造をより簡単に構成でき、全体的な設計を容易にできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を添付した例示図面を参照し詳細に説明する。図1は、本発明に係るソレノイドメカニズム(Solenoid Mechanism)を用いた、付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステムの構成図である。本発明の単一モータの電子ウェッジブレーキシステムは、車両制動のために運転手が操作する電子ペダル1と、制動時車両情報を考慮した制御を行うECU2、車輪と共に回転するディスク5を加圧し、制動を行うウェッジキャリパー6、および制動時にECU2が制御する1個のモータ13から発生した動力によりパッドをディスク5側に加圧し制動を行うと共に、パッド設定間隔の維持とフェイルセーフ(Fail−Safe)機能と共にEPB(Electric Parking Brake)具現のためのソレノイドメカニズムを備えたウェッジアクチュエータアセンブリ10とで構成される。
【0029】
前記単一モータの電子ウェッジブレーキシステムには、補助バッテリー4がさらに備えられ、補助バッテリー4はECU2とアクチュエータアセンブリ10のモータ13、ソレノイド41のための予備バッテリーとして用いられる。
【0030】
また、前記単一モータの電子ウェッジブレーキシステムには駐車ブレーキ作動時、ECU2が駐車ブレーキ切換状態を認識するよう信号が入力され、一例として運転席で別の電気信号をECU2側に発生させる駐車ブレーキボタンを用いる。
【0031】
また、前記単一モータの電子ウェッジブレーキシステムにはウェッジアクチュエータアセンブリ10を内部に受容するようハウジング60がさらに備えられ、ハウジング60はウェッジキャリパー6を用いて結合される。
【0032】
ここで、ウェッジキャリパー6とハウジング60は多様な方式で互いに結合し、一例として、ウェッジキャリパー6部に突出し嵌められるガイドを形成してハウジング60を結合する構造となり得る。
【0033】
そして、ECU2は操作される電子ペダル1の踏込量情報と共に、車両に装着されたヨーモーメントセンサ3による車両姿勢情報などが提供され、制動時に要求される制御を行う。
【0034】
これと共に前記ウェッジキャリパー6とそれに結合されたウェッジアクチュエータアセンブリ10部にもさまざまなセンサが装着され、ECU2に測定信号を伝送する。一例として、パッドの設定間隔の超過に伴うディスク5間の間隔増大を感知し、常に設定された間隔を維持するためのパッド摩耗感知センサはもちろん、制動時にウェッジローラの作用によりパッドをディスク5側に加圧する際、発生するホイールジャミング(Wheel Jamming)を防止するための荷重センサなどを備える。
【0035】
また、ウェッジキャリパー6は車輪と共に回転するディスク5を覆い、その内部にはディスク5の両側に配置されディスク5を加圧するインナー・アウターパッドアセンブリ7、8を備える。
【0036】
このようなウェッジキャリパー6は、インナーパッドアセンブリ7がディスク5側に加圧される時にその反対側に位置するアウターパッドアセンブリ8もディスク5側に移動するよう連動作用を行うトルクメンバー(通常的なキャリパータイプのブレーキの作用である)を備える。
【0037】
そして、ウェッジアクチュエータアセンブリ10は、ECU2が制御する1個のモータ13から発生した動力により制動力を発生する制動モータユニット11と、制動モータユニット11に連動しウェッジキャリパー6の一方でパッドアセンブリ7、8をディスク5側に加圧させるウェッジ制動ユニット16、およびパッドアセンブリ7、8の設定間隔の維持をはじめとして、モータ故障に伴うフェイルセーフ機能と共に電子駐車ブレーキ機能のEPB具現のためのソレノイドメカニズムとで構成される。
【0038】
また、制動モータユニット11は、制動時にECU2の制御によりブレーキ機能具現のための動力を発生するようになる。これはウェッジキャリパー6の側面に結合されたハウジング60の一方の空間に位置する1個のモータ13だけを動力源として使用し、ディスク5の片面に配置されたインナーパッドアセンブリ7部を加圧するウェッジ制動ユニット16を作動させる。
【0039】
このために、制動モータユニット11は、図1、2に示すように、ウェッジキャリパー6の側面に結合されたハウジング60の一方の空間でハウジング60部を利用して固定された固定ブラケット12を介して結合し、ECU2が制御するモータ13と、モータ13の出力軸に結合されモータ回転に対し軸方向に前・後進移動する直線運動変換部14と、直線運動変換部14に結合し直線運動変換部14の軸方向移動にしたがい共に移動する連動ロッド15とで構成される。
【0040】
ここで、直線運動変換部14は、モータ13と共に回転軸が回転すると、前記回転軸の外周面に形成されたねじと内面結合し、回転軸の回転方向にしたがい軸方向に前・後進移動するように構成される。このような構成は通常、車両のEWB(Electro Wedge Brake)に適用されている構造である。
【0041】
一例として連動ロッド15の形状が多少違うが、図2(ロ)に図示された直線運動変換部14は、モータ13の回転により、モータ軸方向に前・後移動するように構成される。また、電子駐車ブレーキ(EPB)で軸方向張力を具現する際に使用される方法または他の類似構造の方法である。
【0042】
そして、連動ロッド15は、ハウジング60を斜めに横切りモータ13の反対側に位置し、モータ13の回転に伴う直線運動変換部14の軸方向移動と共に移動し、直線運動変換部14を通じて移動力が均一になるよう直線運動変換部14の上下で2つが対を成すよう構成される。
【0043】
このような連動ロッド15の斜めの配列は、ハウジング60内の空間の活用のためのものであり、ハウジング60内の連動ロッド15が占める空間を減らしコンパクトなハウジング60形状を形成する。
【0044】
また、ウェッジ制動ユニット16は、モータ13の回転による軸方向移動力を受けるようモータ13側に固定される連結ロッド18と、アウターパッドアセンブリ8の反対側のディスク5側に位置したインナーパッドアセンブリ7をディスク5側に加圧させるよう一体形成された連結ロッド18により移動するウェッジ移動プレート17と、移動プレート17に向かい合うよう平行に配列されたウェッジベースプレート20と、一対のプレート17、20の間に形成された転がり接触面17a、20aの間に位置し摩擦力を発生するウェッジローラ19とで構成される。
【0045】
そして、連結ロッド18は、モータ13の回転による直線運動変換部14により軸方向移動する連動ロッド15の末端に固定され、連動ロッド15の移動方向にウェッジプレート17を共に移動させるようになる。
また、連結ロッド18はウェッジ移動プレート17の上下においてその面に対して直角に長く延び、ボルトなどを介し連動ロッド15の末端に固定される。
【0046】
そして、ウェッジローラ19は、互いに向かい合うよう配列された一対のプレート17、20間に位置し円柱形状に形成され、プレート17、20の動きにより発生する摩擦力により自己倍力(Self−Energizing)作用を行うウェッジ現象を発生させ、パッドを加圧する入力(Input Force)により作用される。
【0047】
このために、ウェッジローラ19は、互いに向かい合う一対のプレート17、20面に各々多数形成されたV溝断面形状の転がり接触面17a、20a間に位置している。このようなV溝断面形状の転がり接触面17a、20aは、ウェッジローラ19との摩擦力の発生と共に、ウェッジローラ19の位置変化に応じて一方のプレート(ウェッジプレート17)をパッド側に移動させる作用を同時に行うようになる。
【0048】
また、ウェッジベースプレート20は、モータ13の動力で移動するウェッジ移動プレート17に比べ固定された状態を維持するようになり、このためにウェッジベースプレート20はウェッジキャリパー6の側面に結合するハウジング60の一部分を用いて形成される。
【0049】
そして、EWB作動時に制動モータユニット11とウェッジ制動ユニット16による主制動機能を行う以外にさまざまな付加機能を行うソレノイドメカニズムは、NSL(Non−Self Locking)タイプでスクリュー結合され、パッド補正機能の具現とフェイルセーフ機能の具現および電子駐車ブレーキ機能の具現時にディスク5側に軸方向移動するアジャストユニット30が備えられ、アジャストユニット30の作動のためにオン・オフされ拘束力を解除・ロックするソレノイドユニット40と、さらに電子駐車ブレーキ作動時に駐車制動性能維持のためにアジャストユニット30を拘束するEPBスプリング50とで構成される。
【0050】
ここで、アジャストユニット30は、図1、図3(イ)に示すように外周面に刻まれた溝の係止端32aを形成し、ハウジング60の位置拘束端60aにはめ込まれた支持ナット32と、支持ナット32にねじ締結されるよう外周面にプッシュロッドスクリュー31bを形成し回転と共に軸方向移動するプッシュロッド軸31と、プッシュロッド軸31のプッシュロッドスクリュー31bを形成しない軸区間の外周面に形成されたラッチ31aの前・後に配置された一対の前・後端ベアリング33、34と、一端が支持ナット32に固定され他端は前端ベアリング33側に持続的な軸方向力を加える加圧ばね35とで構成される。
【0051】
また、プッシュロッド軸31と支持ナット32は、NSLタイプのスクリュー、すなわちリード角(Lead Angle)が非常に大きいタイプのスクリューを用いることにより、軸方向に力が加えられると大きいリード角により自動的に回転しながら軸方向移動する。
そして、前端ベアリング33は、軸方向力を受けながら回転を拘束しないニードル(Needle)ベアリングからなり、後端ベアリング34は、スラスト(Thrust)ベアリングからなる。
【0052】
また、加圧ばね35は、初期組み立て時、支持ナット32と前端ベアリング33間で前端ベアリング33側に持続的な力を加える状態で組み立てられている。
【0053】
そして、アジャストユニット30は、プッシュロッド軸31により加圧力が均一にウェッジベースプレート20に作用するよう、ウェッジ制動ユニット16を成すウェッジベースプレート20の中央位置に配列される。
【0054】
また、ソレノイドユニット40は、ハウジング60の一方に受容され、ECU2によってオン(On)・オフ(Off)になるソレノイド41と、ソレノイド41の作動時に引き出し・引き込まれる移動軸42によりヒンジ軸を中心にシーソー(Seesaw)運動するスイッチングレバー43とからなる。
【0055】
ここで、スイッチングレバー43は、ソレノイド41の移動軸42の移動経路に一致するように位置する加圧部44と、ハウジング60部を利用してヒンジ締結された加圧部44の末端で折り曲げられ長く延び、ヒンジ点を中心に動くラッチ接触部45とからなる。このとき、スイッチングレバー43は、ソレノイド41の加圧解除時に、初期状態に復帰するよう通常スプリング支持される。
【0056】
また、加圧部44は、ソレノイド41の引き出し移動軸42が加える力を受けるとき、ヒンジ点を中心に下方向移動する力を発生させるよう加圧部44の長さ方向に沿って下降傾斜した接触傾斜面44aを形成する。
【0057】
さらに、ラッチ接触部45にはアジャストユニット30を成すプッシュロッド軸31に形成されたラッチ31aに噛み合わさるように、接触端45aが外周面に形成される。
【0058】
これに伴い、アジャストユニット30とソレノイドユニット40は、図3(ロ)に示すように、アジャストユニット30を成すプッシュロッド軸31の軸方向にソレノイド41が配置され、ヒンジ軸を中心にシーソー(Seesaw)運動するスイッチングレバー43がプッシュロッド軸31のラッチ31aに噛み合わさった状態で組み立てられ、ソレノイド41がオフ(Off)にならない限りプッシュロッド軸31の軸方向移動を拘束する。
【0059】
そして、ソレノイド41がアジャストユニット30を成すプッシュロッド軸31の軸方向に平行に配列されると、ソレノイド41を含むハウジング60全体の空間活用度を高めることができる。
【0060】
また、アジャストユニットのプッシュロッド軸を拘束して解除するソレノイドユニットは多様な変形を加えられる。一例として、図4(イ)に示すように、ソレノイドユニット400を成すソレノイド401をアジャストユニット30のプッシュロッド軸31に対する直角位置に配列することができる。
【0061】
このようなソレノイド401の配列位置は、ソレノイド401部が突出することによって、ソレノイド401を含むハウジング60全体の空間活用度を低下させるが、ソレノイド401で要求される荷重はソレノイドがプッシュロッド軸の軸方向に平行に配列される際に比べて小さくなる。
【0062】
このようなソレノイドユニット400は、図4(ロ)に示すように、ハウジング60の一方に長く配列されるよう受容され、ECU2によりオン(On)・オフ(Off)となるソレノイド401と、ソレノイド401の作動時に、引き出し・引き込まれる移動軸402により、ヒンジ軸を中心にシーソー運動するスイッチングレバー403とからなる。
【0063】
ここで、スイッチングレバー403は、ソレノイド401の移動軸402の移動経路に一致するように位置する加圧部404と、加圧部404の末端に垂直に長く形成され、ハウジング60部を利用し末端がヒンジ締結されたラッチ接触部405とからなる。
【0064】
このとき、ラッチ接触部405には、アジャストユニット30を成すプッシュロッド軸31に形成されたラッチ31aに噛み合わさるように、ラッチ接触部405から突出した接触端405aが形成される。
また、スイッチングレバー403は、ソレノイド401の加圧解除時に、初期状態に復帰するよう通常スプリング支持される。
【0065】
このようなソレノイドユニット400の変形は、ハウジング60の全体的な形状に変化をもたらす。すなわち、図5に示すように全体的な外観を成すハウジング60の片方の空間に、ECU2が制御する1個のモータ13から発生した動力により制動力を発生する制動モータユニット11が位置し、ハウジング60の中央空間にウェッジ制動ユニット16の前面に、アジャストユニット30が位置し、ハウジング60の他方の空間に、ソレノイドユニット400がハウジング60の一部を突出させて位置する。
【0066】
一方、電子駐車ブレーキ機能のEPB具現のためEPBスプリング50は、ウェッジ制動ユニット16部に一端が固定され、他端はアジャストユニット30を成すプッシュロッド軸31のラッチ31a部に位置し、駐車ブレーキ制動時にソレノイド41がオフ(Off)になった状態でEPBスプリング50の一端がプッシュロッド軸31を捉え拘束し、ソレノイド41がオフ(Off)になった状態でアジャストユニット30を拘束するよう作動する。
【0067】
このためにEPBスプリング50は図6に示すように、ウェッジ制動ユニット16を成すウェッジ移動プレート17にスクリュー固定される固定端51と、固定端51から突出するよう折り曲げられ長く延びた連結端52と、連結端52の末端から下方向に折り曲げられソレノイド41がオフ(Off)になった状態でプッシュロッド軸31の軸方向移動を拘束する加圧端53とを形成した構造からなる。
【0068】
このようなEPBスプリング50によるプッシュロッド軸31の拘束は、一例として、EPBスプリング50の加圧端53がプッシュロッド軸31のラッチ31a側面に位置した後端ベアリング34を捉え拘束する。すなわち、加圧端53が後端ベアリング34側に位置し、後端ベアリング34に強い加圧力を加えプッシュロッド軸31の移動を拘束する。
【0069】
このとき、EPBスプリング50は、駐車制動時、最終制動力を発生するようモータ13を通じて移動するウェッジ移動プレート17と共に移動することにより、EPBスプリング50の加圧端53が後端ベアリング34側に位置し、自ら強い弾性力で後端ベアリング34を押しプッシュロッド軸31の移動を拘束する。
【0070】
また、EPBスプリング50は、プッシュロッド軸31の拘束力強化のために、プッシュロッド軸31を上下で拘束するよう一対で形成されることもある。
【0071】
一方、EPBスプリング50は、同様の作用のために多様な変形を加えられる。例えば、図7に示すようにEPBスプリング150が、ウェッジ制動ユニット16に固定端151から連結端152を突出するよう折り曲げ長く伸び、連結端152の末端から下方向に折り曲げられ形成された加圧端153をプッシュロッド軸31のラッチ31a側に位置させる。
【0072】
これによりEPBスプリング150は、EPB作動時にソレノイド41がオフ(Off)になった状態で、EPBスプリング150の加圧端153がプッシュロッド軸31のラッチ31aに挟まれ、プッシュロッド軸31の軸方向移動を拘束する。
【0073】
このようなEPBスプリングによるプッシュロッド軸31の軸方向移動の拘束は、プッシュロッド軸31の変形により行われることもある。すなわち、図8の(イ)、(ロ)に示すように、プッシュロッド軸31のラッチ31a後方にEPBスプリング位置フランジ31cを大きい直径で形成し、EPBスプリング位置フランジ31c部にEPBスプリング50、150の加圧端53、153が位置する構造を備えるようにする。
【0074】
これにより、EPB作動時に、EPBスプリング50、150の加圧端53、153が、プッシュロッド軸31のEPBスプリング位置フランジ31cを拘束するようになり、これによってソレノイド41がオフ(Off)になった状態でプッシュロッド軸31の軸方向移動が拘束される。
【0075】
以下、本発明の作動につき添付した図面を参照し詳細に説明する。本発明の電子ウェッジブレーキ(EWB)システムは、1個のモータ13から発生する動力を利用して主制動機能を具現し、パッド設定間隔の維持機能とフェイルセーフ機能およびEPB機能と同じさまざまな付加機能を、主制動機能モータ13に連動して作動するソレノイドメカニズムのオン(On)・オフ(Off)制御により、NSLタイプでスクリュー結合したプッシュロッド軸31の前進移動が拘束されたり解除されることを利用して具現すると共に、動力を発生する1個のモータ13だけを使用し、全体的な部品の使用の縮小はもちろん、構造をより単純化できる特徴がある。
【0076】
さらに、本発明の電子ウェッジブレーキ(EWB)は、ソレノイドメカニズムを利用して、パッド設定間隔の維持とフェイルセーフ機能およびEPB機能を具現すると共に、モータを利用するときに要求される動力切換および動作具現のための関連部品の数を大幅に縮小し、全体的な設計を容易にする特徴がある。
【0077】
このような本発明のさまざまな特徴は、電子ウェッジブレーキシステムが1個のモータ13を使い、主制動以外のパッド設定間隔の維持とフェイルセーフ機能、およびEPB機能がソレノイドメカニズムを利用して具現できるようにすることに起因している。
【0078】
これにより本発明のEWBは、図1に示すように、インナー・アウターパッドアセンブリ7、8を備えたウェッジキャリパー6が、車輪と共に回転するディスク5部に装着され、電子ペダル1の操作情報を受けるECU2により制御されるウェッジアクチュエータアセンブリ10が、ハウジング60に装着され、ウェッジキャリパー6の側面部に結合される。
【0079】
すなわち、ウェッジアクチュエータアセンブリ10は、ECU2により駆動制御される1個のモータ13により形成され、モータ回転力が直線運動変換部14を介し軸方向移動力に変化することによりパッド部を移動させ、パッドに対する相対的な動きによりウェッジローラ19の位置移動に伴う自己倍力作用によりパッドを再び加圧する入力を発生させるウェッジ構造を有するウェッジ制動ユニット16が備えられる。
【0080】
さらに、ウェッジアクチュエータアセンブリ10は、パッド摩耗時にディスク(D)に対するパッドの間隔を維持するための調整機能を行い、制動状態でモータ13が故障したときに、ウェッジ制動ユニット16の加圧作用を解除するフェイルセーフ機能を具現するように、ソレノイド41と連動作用を行うNSLタイプのスクリューを備えたアジャストユニット30がウェッジ制動ユニット16の中央部に位置している。
【0081】
また、アジャストユニット30には、駐車時に電子ブレーキのEPB機能を行うように、ソレノイド41がオフ(Off)なった状態でアジャストユニット30に対する移動を拘束するEPBスプリング50が備えられている。
【0082】
このような本発明のEWBが1個のモータ13を用いて具現する作用につき、主制動機能とさまざまな付加機能のパッド設定間隔の維持とフェイルセーフおよびEPBに分け、以下詳細に説明する。
本発明の主制動機能は、ECU2が電子ペダル1の踏込量と共に各種センサにより走行中の車両についての情報を分析し、制御信号が発生すると、ECU2が制御するモータ13が回転しながら直線運動変換部14が軸方向、すなわちモータ13の回転方向によりモータ13から引き出され(前進制動時)たり、モータ13側に入る(後進制動時)軸方向移動力を発生させる。
【0083】
さらに、モータ13による直線運動変換部14の軸方向移動力は、直線運動変換部14に結合した連動ロッド15を共に移動させる。このような連動ロッド15の移動は、連続的にその末端に固定されたウェッジ制動ユニット16をパッドと一緒に直線移動させる。ウェッジ制動ユニット16の移動により、ウェッジローラ19を用いたウェッジ構造作用によりパッドをディスク(D)側に押し加圧力を発生させる。
【0084】
すなわち、ハウジング60部に一体に形成され、固定されたウェッジベースプレート20に比べ、モータ13で切換えられた軸方向移動力を通して、連結ロッド18に続いたウェッジ移動プレート17が側面に結合したインナーパッドアセンブリ7と共に移動する。
【0085】
これにより、移動するウェッジ移動プレート17と固定されたウェッジベースプレート20間で転がり接触面17a、20aの中央に位置したウェッジローラ19は図9(イ)に示すように、ウェッジ移動プレート17の移動により摩擦力が発生するようになる。
【0086】
また、ウェッジローラ19は、ウェッジ移動プレート17がより一層前進することにともない、図9(ロ)、(ハ)に示すように、転がり接触面17a、20aの中央位置から外側に位置移動する。このような転がり接触面17a、20aに対するウェッジローラ19の位置移動は、ウェッジ移動プレート17をウェッジベースプレート20からさらに遠ざけるように作用する。
【0087】
これにより、ウェッジ移動プレート17は、直線移動と同時にウェッジローラ19の位置移動にともなう間隔の広がりを生じさせる。このようなウェッジ移動プレート17のウェッジベースプレート20に対する広がりは、インナーパッドアセンブリ7がディスク5を加圧する入力として作用するウェッジローラ19のウェッジ効果を発生させる。
【0088】
また、制動が解除されればECU2は、モータ13を逆回転させながら、図9(ニ)、(ホ)に示すように、直線運動変換部14と連動ロッド15および連結ロッド18を通じて、ウェッジ移動プレート17を初期位置に復帰させるようになる。これによって、ウェッジローラ19も転がり接触面17a、20aの中央位置に復帰し、ウェッジ移動プレート17をディスク(D)側に押した加圧力が解除され制動力も解除される。
【0089】
また、車両の後進制動時にも、前進制動時と同様の方法で制動が形成される。すなわち、電子ペダル1の信号を受けて車両が後進中であることを認識したECU2は、モータ13を逆回転(前進時正回転とする)させる。
次いで、モータ13の逆回転により、直線運動変換部14と連動ロッド15および連結ロッド18がモータ13側に引かれると、ウェッジ移動プレート17はインナーパッドアセンブリ7を共に同じ方向に引く。
【0090】
このようなウェッジ移動プレート17の引き移動は、固定されたウェッジベースプレート20間で転がり接触面17a、20aの中央に位置したウェッジローラ19が、図9(へ)、(ト)に示すように、ウェッジ移動プレート17の移動による摩擦力で位置移動する。
【0091】
すなわち、ウェッジ移動プレート17は、ウェッジローラ19の転がり接触面17a、20aの外側移動でウェッジベースプレート20からさらに離れる。このようなウェッジ移動プレート17の広がりは、インナーパッドアセンブリ7がディスク5を加圧する入力として作動し制動力を発生させる。
【0092】
また、制動が解除されれば、ECU2はモータ13を再び正回転させ、図9(ホ)に示すように、ウェッジローラ19を転がり接触面17a、20aの中央位置に復帰させ制動力を解除する。
【0093】
一方、EWBで具現されるさまざまな付加機能は、ウェッジ制動ユニット16の中央部に位置し、ソレノイド41と連動作用を行うNSLタイプのスクリューを備えたアジャストユニット30を通じてなされる。これをそれぞれの付加機能で区別し説明する。
【0094】
まず、制動状態におけるモータ13の故障時や、またはウェッジローラ19部のホイールジャミング現象発生時、ウェッジ制動ユニット16の加圧作用を解除するフェイルセーフ機能を説明する。ECU2は、ソレノイド41をオフ(Off)にしてアジャストユニット30に対する拘束を解除し、パッドとウェッジ制動ユニット16が加圧しているディスク5に対する加圧力を解除して望まない制動力による車両の異常運動発生を防止する。
【0095】
すなわち、正常制動状態からオン(On)になったソレノイド41は、図10(イ)に示すようにスイッチングレバー43がプッシュロッド軸31のラッチ31aに噛み合わさり、プッシュロッド軸31を拘束するようになる。これによって、プッシュロッド軸31が、制動状態で切換えられたウェッジローラ19部を支持することにより、ディスク5を加圧するパッドの入力として作用するウェッジローラ19のウェッジ効果が解除されず制動状態が維持される。
【0096】
しかし、ECU2がモータ13故障やホイールジャミング現象を認識すると、ECU2はフェイルセーフ状態で認識し、図10(ロ)に示すように、ソレノイド41をオフ(Off)にしスイッチングレバー43をラッチ31aから分離し、プッシュロッド軸31の拘束を解除する。
【0097】
このようなプッシュロッド軸31の拘束解除は、プッシュロッド軸31が加圧ばね35の加圧力を受けるようになる。このような加圧ばね35の加圧力は、支持ナット32とNSLタイプのスクリューを介し結合したプッシュロッド軸31を回転させながら、前進移動する状態に切換える。
【0098】
このようにソレノイド41の拘束力が解除された状態で、加圧ばね35の加圧力により前進移動したプッシュロッド軸31は、パッド(インナーパッドアセンブリ7)側から再び反力を受ける状態に切換えられる。
【0099】
すなわち、プッシュロッド軸31には、インナーパッドアセンブリ7とウェッジ移動プレート17およびウェッジローラ19とウェッジベースプレート20を通じて伝えられる反力が作用するようになる。このような反力を受けるプッシュロッド軸31は、再び支持ナット32側に後退移動し、パッドとディスク5間の制動力維持のためのウェッジローラ19のウェッジ効果を解除するようになる。これにより、制動がなされた状態で非正常による望まない制動がなされないフェイルセーフ状態に切換えられる。
【0100】
このようなプッシュロッド軸31に対するソレノイド41の解除や拘束作用は、スイッチングレバーの構造により各々異なってなされる。図3の場合は、ソレノイド41がオン(On)状態からオフ(Off)状態に切換えられると、ソレノイド41の移動軸42が引き込まれ、スイッチングレバー43を加圧した力が解除、すなわち、スイッチングレバー43の傾斜した接触傾斜面とソレノイド41の移動軸42間の接触にともなうスイッチングレバー43の下方向移動力が解除される。
【0101】
また、ソレノイド41が加える力が解除されたスイッチングレバー43は、加圧部44が上昇することにより、ヒンジ点を中心にして、接触部45がプッシュロッド軸31のラッチ31aから離され、ラッチ31aとの噛み合わさった状態を解除する。
【0102】
また、ソレノイドの変形例の図4の場合は、ソレノイド401がオフ(Off)になり、移動軸402によるスイッチングレバー403の軸方向に加圧力が解除される。これにより、スイッチングレバー403は、ヒンジ点を中心にそれぞれ運動しながら、接触部405がプッシュロッド軸31のラッチ31aから離され、噛み合わさった状態が解除される。
【0103】
一方、EWBにおいて行われるさまざまな付加機能中、パッド設定間隔の維持は、初期組み立て時にパッドとディスク5間に設定された間隔(Clearance)を常に維持する機能として、さまざまな方法で行われる。一例として、エンジン始動時ごとにパッドとディスク5の間隔を移動させ、設定間隔の維持のための調整をしたり、またはECU2がパッド摩耗を感知し、ディスク5に対する設定された間隔の維持のための補正を行う方法により行われる。
【0104】
このようなディスク5とパッド間の設定された初期設定間隔の維持のための作動がエンジン始動時に行われる場合は、図12に示すようにエンジンが始動されるとECU2はモータ13を駆動するようになる。このようなモータ13駆動は、主制動時の作用と同じように直線運動変換部14と連動ロッド15および連結ロッド18を通じて、ウェッジ移動プレート17を移動させ、ディスク5の両側にインナー・アウターパッドアセンブリ7、8が密着する。
【0105】
すなわち、モータ13の駆動力でウェッジ制動ユニット16のウェッジ移動プレート17がインナーパッドアセンブリ7と共に移動すると、図11(イ)のようにプッシュロッド軸31がソレノイド41を通じて拘束された主制動時の作用時と同様に、ウェッジ移動プレート17との摩擦力で転がり接触面17a、20a間に位置されたウェッジローラ19が位置移動するようになる。このようなウェッジ移動プレート17の移動により、ディスク(D)の両側にインナー・アウターパッドアセンブリ7、8が密着する。
【0106】
このようにインナー・アウターパッドアセンブリ7、8がディスク5に密着することにより、インナー・アウターパッドアセンブリ7、8とディスク5間の設定間隔が超過した状態がなくなるので、図11(ロ)のようにECU2はソレノイド41をオフ(Off)にし、プッシュロッド軸31のソレノイド拘束力を解除させる。
【0107】
このようなプッシュロッド軸31の拘束力解除は、NSLタイプのスクリューのプッシュロッド軸31が軸方向移動するように作用する。すなわち、支持ナット32とプッシュロッド軸31間に備わった加圧ばね35が加える軸方向移動力を通じ、プッシュロッド軸31は支持ナット32から外れ前進移動する。
【0108】
このとき、プッシュロッド軸31の前進移動は支持ナット32からA程度外されるまでなされる。これは、ディスク(D)の両側に密着したインナー・アウターパッドアセンブリ7、8の状態を維持するように、プッシュロッド軸31がウェッジベースプレート20の側に接触し支持する間隔である。このような軸移動距離Aは、単一モータの電子ウェッジブレーキの設計仕様に応じ変わる。
【0109】
このようにウェッジベースプレート20とウェッジローラ19およびウェッジ移動プレート17が図11(ロ)のように維持され、また前進移動したプッシュロッド軸31がウェッジベースプレート20側に接触した後、ECU2はモータ13を再駆動し、パッドとディスク5間に設定された維持間隔(Clearance)が確立されるようにウェッジ移動プレート17を移動させる。
【0110】
このとき、パッドとディスク5間の間隔が、設定された維持間隔より大きい間隔を有する場合は、パッドとディスク5間の間隔が設定された維持間隔に一致するようにECU2はウェッジ移動プレート17をさらに押す方向にモータ13を再駆動(正回転と定義)する。
【0111】
しかし、パッドとディスク5間の間隔が設定された維持間隔より小さい間隔を有する場合は、パッドとディスク5間の間隔が設定された維持間隔に一致するようにECU2は、ウェッジ移動プレート17を引く(制動時の移動と反対方向移動)方向にモータ13を再駆動(逆回転と定義)する。
【0112】
このようなECU2のモータ13駆動制御は、パッドとディスク5間の間隔が、調整作業がなされる度に常に設定された維持間隔が維持されるように作用する。
【0113】
また、ECU2はソレノイド41をオン(On)にし、図11(ハ)に示すように、A程度前進移動したプッシュロッド軸31が固定状態に切換えられるように、スイッチングレバー43をラッチ31aに噛み合わさるようにする。これは、ソレノイド41の移動軸42が、スイッチングレバー43をヒンジ点を中心に動かすことにより、スイッチングレバー43の接触端45aがラッチ31aに噛み合わさりなされる。
【0114】
このようにプッシュロッド軸31をソレノイド41を通じて、固定状態に切換えた後、ECU2はモータ13を逆回転させ、図11(ハ)に示すように、ウェッジベースプレート20とウェッジローラ19およびウェッジ移動プレート17を初期状態に切換えると、ディスク5に対するインナー・アウターパッドアセンブリ7、8の超過した設定間隔が除去され、制動時になされるウェッジローラ19のウェッジ効果により制動力維持が同一になされる。
【0115】
このようなエンジン始動と同時にパッド維持間隔のための手順がなされず、ECU2がパッド摩耗を認識した状態で設定間隔の維持のための過程の場合も同じようになされる。ただし、エンジン始動と共にモータ13が駆動されるか否かの差があるだけで、すべての遂行手順は図12に図示したような手順により同一になされる。
【0116】
すなわち、パッドの摩耗量を測定するセンサ情報を通じて、ECU2がディスク5と設定された間隔から逸脱するほどパッドが摩耗したと判断すると、前記ECU2はモータ13を駆動させ、エンジン始動時に行われる方法と同じようにディスク5の両側にインナー・アウターパッドアセンブリ7、8を密着させる。
【0117】
これにより、ウェッジベースプレート20の転がり接触面20aに位置したウェッジローラ19が、ウェッジ移動プレート17と共に図11(ロ)のように位置移動し、これによってインナー・アウターパッドアセンブリ7、8とディスク5間パッド摩耗にともなう設定間隔の超過は除去された状態になる。
【0118】
また、ECU2はソレノイド41をオフ(Off)にし、加圧ばね35を介しプッシュロッド軸31が軸方向に前進移動するようにした後、モータ13を再駆動して、パッドとディスク5間の密着した状態が確立されるようにウェッジ移動プレート17を移動させる。
【0119】
このような動作の後、図11(ハ)のようにECU2はソレノイド41をオン(On)にし、プッシュロッド軸31を再び固定状態に切換えると共に、モータ13を逆回転させ初期状態に切換えると、ディスク5とパッド間には再び設定間隔が維持され制動時に常に同一の制動力を維持できる。
【0120】
そして、ECU2がパッド摩耗を認識した状態でパッドの設定間隔を維持するようになると、パッドの間隔の維持作業と共にパッド交替時期を把握できる便利さがある。すなわち、ECU2によるパッド摩耗認識はパッドが設定値以上摩耗したとき、運転手にパッドの交換時期を知らせる情報としてECU2に用いられる。
【0121】
一方、EWBによる電子駐車ブレーキ作動時の制動維持機能は、ソレノイド41がオフ(Off)状態に切換えられることにより、EPBスプリング50を通じたプッシュロッド軸31の拘束によりなされる。
すなわち、駐車制動状態に切換えられることをECU2が認識(これはボタンを用いてECUに信号を与える方法や、これと類似の方法を利用する)すると、ECU2はソレノイド41をオフ(Off)状態に切換え、ラッチ31aからスイッチングレバー43を離すようにしてプッシュロッド軸31の拘束を解除させる。
【0122】
このようなソレノイド41による拘束が解除されることにより、加圧ばね35の加圧力を受けるプッシュロッド軸31が支持ナット32から外れ前進移動する。このようなプッシュロッド軸31の前進移動は、後段ベアリング34を通じてウェッジベースプレート20を押し、ウェッジローラ19が位置するウェッジ移動プレート17とそこに結合したインナーパッドアセンブリ7をディスク5側に押す。
【0123】
また、ソレノイド41のオフ(Off)によるプッシュロッド軸31の前進移動を通して、パッドとディスク5間の接触がなされると、ECU2はモータ13を駆動し、制動力を維持する。
【0124】
すなわち、モータ13の駆動で直線運動変換部14と連動ロッド15および連結ロッド18の順次的作用によりウェッジ移動プレート17が移動すると、ウェッジ移動プレート17はインナーパッドアセンブリ7をディスク5側に押す。
【0125】
このようにウェッジ移動プレート17が移動することにより、ウェッジ移動プレート17と摩擦力を通じて、ウェッジローラ19も位置移動がなされる。このようなウェッジローラ19の位置移動は、ウェッジ移動プレート17をディスク5側に加圧する入力として作用する。
【0126】
このようなウェッジローラ19の位置移動は、図13(ロ)に示すように、プッシュロッド軸31を通じ、B程度初期移動したウェッジ移動プレート17をC程度さらに移動させ、これに伴いウェッジ移動プレート17に結合したインナーパッドアセンブリ7がディスク5を加圧し、駐車制動力を発生する。
【0127】
このような駐車制動時には、通常主制動時に比べ、さらに押し出されるようになる。すなわち、一例として図13(イ)、(ロ)に示すように主制動時ウェッジローラ19の位置移動によるウェッジ移動プレート17の移動Bが最大2mmの時に比べて、駐車制動にともなうウェッジ移動プレート17の移動Cは、Bがなされた状態から約0.8mm程度さらに移動して駐車制動力を維持する。このような追加的な移動は、モータ13によるウェッジ移動プレート17の軸方向移動を通してなされる。
【0128】
このとき、記述された移動値(2mm、または0.8mm)は、ウェッジキャリパーの設計仕様に応じ異なる値であり、作動具現のための限定された値として作用するのではなく、一例として説明するのみである。
【0129】
このように、モータ13駆動で駐車制動のためのパッドの追加的な移動がなされ、プッシュロッド軸31も前進移動がなされると、前進移動したプッシュロッド軸31はオフ(Off)になったソレノイド41の代わりに、EPBスプリング50の作用で拘束力を維持する。
【0130】
すなわち、モータ13の駆動で移動したウェッジ移動プレート17と共にEPBスプリング50が移動すると、EPBスプリング50の加圧端53は、プッシュロッド軸31の後端ベアリング34の上端部に位置する。
【0131】
このようなEPBスプリング50の位置移動は、加圧端53部が自らの弾性力で後段ベアリング34を押すように作用する。このようなEPBスプリング50の加圧力は、ソレノイド41の拘束力が解除されたプッシュロッド軸31に対する拘束力と切換えられ、プッシュロッド軸31の移動を拘束し、駐車ブレーキ作動にともなう制動力が維持されるように作用する。
【0132】
また、EPBスプリングによるプッシュロッド軸31の拘束は、EPBスプリングの多様な変形構造によっても同様に行われる。すなわち、EPBスプリング150の加圧端153を内側に折り畳むようにした構造では、図7に示すように初期駐車制動後モータ13を通じてウェッジ移動プレート17と共にEPBスプリング150が移動し、EPBスプリング150の加圧端153がプッシュロッド軸31の後端ベアリング34の側面部を拘束することにより、プッシュロッド軸31の移動が拘束され駐車ブレーキ作動による制動を維持する。
【0133】
また、このようなEPBスプリングによる駐車制動力維持の他の変形である図8(イ)、(ロ)の場合は、EPBスプリング50がプッシュロッド軸31のラッチ31a後方に形成されたEPBスプリング位置フランジ31cを拘束すると共に行われる。
【0134】
すなわち、駐車制動力を発生するようにモータ13により移動したウェッジ移動プレート17と共にEPBスプリング50、150が移動すると、EPBスプリング50、150の加圧端53、153はプッシュロッド軸31のEPBスプリング位置フランジ31cに位置する。これにより移動したプッシュロッド軸31は、EPBスプリング位置フランジ31cを加圧する加圧端53、153により拘束状態を維持する。
【0135】
このとき、加圧端53が外に広がるEPBスプリング50は、プッシュロッド軸31のEPBスプリング位置フランジ31c部を上から下に押し加圧し、加圧端153が外に広がるEPBスプリング150は、プッシュロッド軸31のEPBスプリング位置フランジ31c部を側面から押し加圧することにより、駐車制動状態が維持されるように拘束状態を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明に係るソレノイドメカニズムを用いた、付加機能具現タイプ単一モータの電子ウェッジブレーキシステムの構成図である。
【図2】(イ)、(ロ)は、図1において軸方向移動するモータ部に対する部分詳細構成図である。
【図3】(イ)、(ロ)は、本発明に適用されたパッド摩耗にともなう調整のためのアジャストユニットの構成図である。
【図4】(イ)、(ロ)は、本発明のアジャストユニットを拘束・解除するソレノイドユニットの変形例である。
【図5】図4に係る変形したソレノイドユニットを用いた単一モータの電子ウェッジブレーキシステムの構成図である。
【図6】本発明に適用された電子式駐車ブレーキの作用のためのEPBスプリングの装着位置図である。
【図7】図6に係るEPBスプリングの変形例である。
【図8】(イ)、(ロ)は、本発明に適用されたEPBスプリングの作用のためのアジャストユニットを成すプッシュロッド軸間の変形図である。
【図9】本発明に係る単一モータタイプの電子ウェッジブレーキシステムの主制動時のウェッジ作動状態図である。
【図10】(イ)、(ロ)は、本発明に係るフェイルセーフ作動状態図である。
【図11】(イ)、(ロ)、(ハ)は、本発明に係るパッド設定間隔の維持作動図である。
【図12】図11に係るパッド設定間隔の維持に伴う補正作業のフローチャートである。
【図13】(イ)、(ロ)は、本発明に適用された電子式駐車ブレーキ作用時、EPBスプリングとアジャストユニットを成すベアリング間の作動図である。
【符号の説明】
【0137】
1 電子ペダル
2 ECU
3 ヨーモーメントセンサ
4 補助バッテリー
5 ディスク
6 ウェッジキャリパー
7,8 インナー・アウターパッドアセンブリ
10 ウェッジアクチュエータアセンブリ
11 制動モータユニット
12 固定ブラケット
13 モータ
14 直線運動変換部
15 連動ロッド
16 ウェッジ制動ユニット
17 ウェッジ移動プレート
17a,20a 転がり接触面
18 連結ロッド
19 ウェッジローラ
20 ウェッジベースプレート
30 アジャストユニット
31 プッシュロッド軸
31a ラッチ
31b プッシュロッドスクリュー
31c EPBスプリング位置フランジ
32 支持ナット
32a 係止端
33,34 前・後端ベアリング
35 加圧ばね
40,400 ソレノイドユニット
41,401 ソレノイド
42,402 移動軸
43,403 スイッチングレバー
44,404 加圧部
44a 接触傾斜面
45,405 ラッチ接触部
45a,405a 接触端
50 EPBスプリング
51 固定端
52 連結端
53 加圧端
60 ハウジング
60a 位置拘束端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制動のために運転手が操作する電子ペダルと、
車両制動の時、車両で測定された情報を利用して制御信号を発生するECUと、
車輪と共に回転するディスクを覆い、その内部に前記ディスクの両側に配置され、前記ディスクを加圧するインナー・アウターパッドアセンブリを備え、前記ディスク側に前記インナーパッドアセンブリが移動するときに反対側に位置した前記アウターパッドアセンブリも前記ディスク側に移動するように連動作用を具現するトルクメンバーからなるウェッジキャリパーと、
前記ECUにより、正・逆回転する1個のモータから発生した回転力を軸方向運動に切換え、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側面に移動させ、直径を有するウェッジローラの位置移動にともなうウェッジ現象による自己倍力で前記ディスクに対する加圧力により制動力を具現するとともに、前記ECUが制御する前記1個のモータ駆動に連動して作動するソレノイドメカニズムのオン・オフ制御により、NSL(Non−Self Locking)タイプでスクリュー結合したプッシュロッド軸の前進移動が拘束されたり解除されることを利用し、パッド設定間隔の維持と共にフェイルセーフ機能および電子駐車ブレーキ(EPB)機能を具現するウェッジアクチュエータアセンブリと、
前記ウェッジアクチュエータアセンブリをその内部に装着し、前記ウェッジキャリパーの側面部に結合するハウジングとで構成されたことを特徴とするソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項2】
前記ECUと前記ウェッジアクチュエータアセンブリの前記モータおよび前記ソレノイドは、補助バッテリーで補助的な電源回路をさらに構成する請求項1に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項3】
前記ECUは、前記電子ペダルの踏込量信号、車両に装着されたヨーモーメントセンサによる車両姿勢情報と共に、前記ウェッジキャリパーとそこに結合した前記ウェッジアクチュエータアセンブリ部に備わったパッド摩耗感知センサと、ホイールジャミング(Wheel Jamming)防止のための荷重センサなどによる情報が提供され、前記モータを制御する請求項1に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ウェッジキャリパーの側面部にはめ込まれている請求項1に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項5】
前記ウェッジアクチュエータアセンブリは、前記ECUが制御する前記1個のモータから発生した動力で制動力を発生する制動モータユニットと、
前記モータの回転力を軸方向運動に切換え、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側に押すと共に、前記ディスクから加えられる前記インナーパッドアセンブリの動きによる前記ウェッジローラの位置移動で自己倍力作用が発生し、前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側に加圧する入力に切換えさせるウェッジ制動ユニットと、
前記インナー・アウターパッドアセンブリの設定間隔の維持をはじめとして、モータ故障にともなう前記フェイルセーフ機能と共に、前記電子駐車ブレーキ機能具現のために、前記モータの駆動に連動して作動する前記ソレノイドメカニズムとで構成された請求項1に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項6】
前記制動モータユニットは、前記ハウジングの一方の空間で前記ハウジング部に固定された固定ブラケットを介し結合し前記ECUが制御する前記モータと、前記モータの出力軸に結合し、モータ回転に対し軸方向に前・後進移動する直線運動変換部と、前記直線運動変換部に結合して、前記直線運動変換部の軸方向移動にしたがい共に移動する連動ロッドとで構成された請求項5に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項7】
前記連動ロッドは、前記モータ位置でその反対側に前記ハウジングを斜めに横切るように配列される請求項6に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項8】
前記連動ロッドは、2つが一対で形成され、前記直線運動変換部の上下に結合する請求項6または請求項7に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項9】
前記ウェッジ制動ユニットは、前記モータの回転にともなう軸方向移動力を受けるように前記モータ側に連結する連結ロッドと、
前記アウターパッドアセンブリの反対側の前記ディスク側に位置した前記インナーパッドアセンブリを前記ディスク側で加圧させるように、一体で形成された前記連結ロッドにより移動するウェッジ移動プレートと、
前記ウェッジ移動プレートに向かい合うよう平行に配列されたウェッジベースプレートと、
一対のプレート間に形成された転がり接触面間に位置し、前記ウェッジ移動プレートの移動時、摩擦力を発生する前記ウェッジローラとで構成される請求項5に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項10】
前記連結ロッドは、前記モータの回転にともなう前記直線運動変換部に結合し、軸方向移動する前記連動ロッドの末端に固定される請求項9に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項11】
前記連結ロッドは、前記ウェッジ移動プレートに対し直角に長く延びて形成されている請求項10に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項12】
前記連結ロッドは、前記ウェッジ移動プレートの上下に形成されている請求項11に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項13】
前記ウェッジローラは、互いに向かい合うよう配列された一対のプレート間に位置した円柱形状で形成され、互いに向かい合い対を成す前記ウェッジ移動プレートと前記ウェッジベースプレートとの面に各々多数形成された転がり接触面間に位置する請求項9に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項14】
前記転がり接触面は、断面がV溝断面形状である請求項13に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項15】
前記ウェッジベースプレートは、前記ウェッジキャリパーの側面に結合した前記ハウジングの一部分を用いて形成され、前記モータの動力で移動する前記ウェッジ移動プレートに比べ、固定された状態を維持する請求項9に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項16】
前記ソレノイドメカニズムは、前記NSLタイプでスクリュー結合した前記プッシュロッド軸を備え、前記パッド設定間隔の維持と前記フェイルセーフ機能具現および前記電子駐車ブレーキ機能具現時、前記ディスク側に軸方向移動するアジャストユニットと、
前記アジャストユニットの作動のためにオン・オフになり、拘束力を解除・ロックするソレノイドユニットと、
前記電子駐車ブレーキ作動時、駐車制動性能維持のために前記プッシュロッド軸を拘束するように、前記モータにより移動するウェッジ移動プレート部に固定されたEPBスプリングとで構成されている請求項5に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項17】
前記ソレノイドメカニズムを用いた前記パッド設定間隔の維持具現は、
エンジン始動時、前記ECUにより駆動された前記モータの回転力が軸方向直線移動に切換えられ、前記ウェッジローラにより、ウェッジ効果を発生する前記ウェッジ移動プレートが移動すると、
前記パッドの前記ディスクに対する密着状態を維持する前記アジャストユニットの前記プッシュロッド軸に対する拘束を解除するよう、前記ECUは前記ソレノイドユニットのソレノイドをオフにし、
前記ECUは前記モータを再駆動して、前記パッドと前記ディスク間の設定された間隔維持が確立されるように前記ウェッジ移動プレートを移動させた後、前記プッシュロッド軸を拘束するように前記ソレノイドをオンにした後、
前記ECUは前記モータを逆回転させ前記ウェッジ移動プレートを初期状態に復帰させる請求項16に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項18】
前記ECUは、前記パッドの摩耗量を測定して設定された維持間隔を超過することを認識するとき、前記モータを駆動させ、前記ソレノイドメカニズムを用いた前記パッド設定間隔の維持を行う請求項17に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項19】
前記アジャストユニットは、前記プッシュロッド軸による加圧力が均一に前記パッド側に伝えられるように、前記インナーパッドアセンブリの初期位置に対して中央部に配列されている請求項16に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項20】
前記アジャストユニットは、外周面に刻まれた溝の係止端を形成し、前記ハウジングの位置拘束端にはめ込まれる支持ナットと、
前記支持ナットに前記NSLタイプでスクリュー結合されるように外周面にプッシュロッドスクリューを形成する前記プッシュロッド軸と、
前記プッシュロッドスクリューを形成しない前記プッシュロッド軸の軸区間で外周面に形成されたラッチと、
前記プッシュロッド軸の前記ラッチ形成部前後に配置された一対の前・後端ベアリングと、
一端が前記支持ナット部に固定され他端は前記前端ベアリング側に持続的な軸方向力を加える加圧ばねとで構成されている請求項16または請求項19に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項21】
前記前端ベアリングは、軸方向力を受け回転を拘束しないニードルベアリングで形成され、前記後端ベアリングはスラストベアリングからなる請求項20に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項22】
前記加圧ばねは、初期組み立て時、前記支持ナットと前記前端ベアリング間で前記前端ベアリング側に持続的な力を加える状態で組み立てられている請求項20に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項23】
前記ソレノイドユニットは、ソレノイドが前記ディスクに対して垂直な方向を成すように前記ハウジングに配列されている請求項16に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項24】
前記ソレノイドユニットは、前記ハウジングの一方に受容され前記ECUによりオン・オフとなる前記ソレノイドと、前記ソレノイドの作動時に引き出し・引き込まれる移動軸を通じ、ヒンジ軸を中心にシーソー(Seesaw)運動するスイッチングレバーとからなる請求項23に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項25】
前記スイッチングレバーは、前記ソレノイドの移動軸の移動経路に一致するように位置する加圧部と、前記ハウジング部を利用して、ヒンジ締結された前記加圧部の末端で折り曲げられ長く延び、ヒンジ点を中心に動くラッチ接触部および前記プッシュロッド軸に形成されたラッチに噛み合わさるように前記ラッチ接触部の外周面に形成された接触端とからなる請求項24に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項26】
前記スイッチングレバーには、前記ソレノイドの引き出される移動軸が加える力を受けるとき、前記ヒンジ点を中心に下方向移動する力を発生させるように前記加圧部の長さ方向に沿って下降傾斜した接触傾斜面を形成している請求項25に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項27】
前記ソレノイドユニットは、ソレノイドが前記ディスクに対し平行な方向を成すように前記ハウジングに配列されている請求項16に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項28】
前記ソレノイドユニットは、前記ハウジングの一方に長く配列されるよう受容され、前記ECUによりオン・オフとなる前記ソレノイドと、前記ソレノイドの作動時、引き出し・引き込まれる移動軸を通じて、ヒンジ軸を中心にシーソー運動するスイッチングレバーとからなる請求項27に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項29】
前記スイッチングレバーは、前記ソレノイドの移動軸の移動経路に一致するように位置する加圧部と、前記加圧部の末端で垂直に長く形成され、前記ハウジング部を利用して、末端がヒンジ締結されたラッチ接触部および前記プッシュロッド軸に形成されたラッチに噛み合わさるように前記ラッチ接触部から突出した接触端が形成されている請求項28に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項30】
前記EPBスプリングは、前記ウェッジ移動プレート部で固定される固定端と、前記固定端から突出するように折り曲げられ、長く延びた連結端および前記連結端の末端から下方向に折り曲げられ、前記ソレノイドがオフになった状態で、前記プッシュロッド軸の軸方向移動を拘束するように加圧力を発生させる加圧端とからなる請求項16に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項31】
前記EPBスプリングの前記加圧端が、前記プッシュロッド軸のラッチ側面に位置した後端ベアリングを押して、拘束力を発生するように、前記後端ベアリングの上部に位置する請求項30に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項32】
前記EPBスプリングの前記加圧端が、前記プッシュロッド軸のラッチ側面に位置した後端ベアリングを押して、拘束力を発生するように、前記後端ベアリングの側面部に位置する請求項30に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。
【請求項33】
前記EPBスプリングは、前記加圧端が前記プッシュロッド軸を直接加圧し、拘束するように、前記プッシュロッド軸のラッチ後方に前記加圧端が接触加圧されるEPBスプリング位置フランジを形成している請求項30に記載のソレノイドメカニズムを用いた付加機能具現タイプの単一モータの電子ウェッジブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−2500(P2009−2500A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309275(P2007−309275)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(503291521)ヒュンダイ モービス カンパニー リミティッド (3)
【Fターム(参考)】