説明

ドア装置

【課題】ドア操作時の安全性及び防犯性に優れ、簡単な構造の組み合わせにて施工汎用性が高いドア装置の提供を目的とする。
【解決手段】ドアと、ドアクローザと、電気錠と、開操作アシスト具と、枠とを備えたドア装置とし、ドアの屋外側に握手がなく、ドアクローザはドアの閉じる方向に回動力を付与し、電気錠は解錠信号を受けたときに解錠し、開操作アシスト具はドアと枠との間に設け電気錠の解錠に連動して作動しドア開き角度がドアクローザの最大トルク値を受ける角度(2〜3度)よりも大きく、ドアの戸先と枠との隙間寸法が30mm以上300mm以下の開き範囲における任意位置までドアが屋外側に向けて開く方向に回動力を付与するものであるとともに、任意位置よりもドアを開く操作を行わないか、またはドアを開いたと制御部が判断したときには作動前の状態に退避するように制御した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関等に使用するドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開きドアの解錠を外部信号でリモートコントロールする方法は公知である。
例えば、特開平1−192979号(特許第2594449号)公報には、ドア錠固有のキーコード信号をリモートコントロール信号として発信し、これを受けたドア錠が解錠状態になり、ドアクローザの閉成勢力に抗して所定時間ドアを開いた状態にするドア駆動手段を備えたドア自動開閉装置を開示する。
しかし上記技術においては、ドアを開くドア駆動手段はドアクローザに設けた専用ものであるため、すでに一般的なドアクローザを取り付けたドアに後付けする場合には、既設のドアクローザを取り外す必要が生じ、汎用性が無く高価であるばかりでなく、不用意なリモートコントロールの作動によりドアが開く恐れや、ドアの外側近傍に立つ人に不本意に当たることも想定され、安全性に問題があった。
【0003】
また、特開2000−54721号公報の図11には、電動モーターの回転によって突出する押し開き杆を開示するが、発明の目的が初期開扉の補助にあり、ドアの開き操作そのものは手動操作であるために、例えば、両手に荷物を持っている場合等には一旦、荷を床に置かなければならず、使い勝手がよくない。
さらに、ドアノブやハンドル等を備える必要があり、このドアノブやハンドルを破壊してドアを開ける侵入事件も発生している点で防犯に対する対策が不充分であった。
【0004】
【特許文献1】特開平1−192979号公報
【特許文献2】特開2000−54721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に内在する技術的課題に鑑みて、ドア操作時の安全性及び防犯性に優れ、簡単な構造の組み合わせにて施工汎用性が高いドア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明におけるドア装置は、ドアと、ドアクローザと、電気錠と、開操作アシスト具と、枠とを備え、ドアは、屋外側に握手を有していなく、ドアクローザは、ドアの閉じる方向に回動力を付与し、最大トルク値がドア開き角度2度乃至3度の範囲にあり、電気錠は、解錠信号を受けたときに解錠し、開操作アシスト具は、ドアと枠との間に設け、電気錠の解錠に連動して作動し、ドア開き角度が、ドアクローザの最大トルク値を受ける角度よりも大きく、かつ、ドアの戸先と枠との隙間寸法が30mm以上300mm以下の開き範囲における予め設定した任意位置までドアが屋外側に向けて開く方向に回動力を付与するものであるとともに、任意位置よりもドアを開く操作を行わないか、または任意位置よりもドアを開いたと制御部が判断したときには、作動前の状態に退避するように制御したことを特徴とする。
【0007】
ここで、ドアは屋外側に握手を有していなくとは、ドアの戸先と枠との隙間寸法を30mm以上開くように開操作アシスト具が作動するので、その隙間に指を入れて戸先に引っかけてドアを開くことができるため、ドアの屋外側に握手が必要でないとの意味である。
また、ドア開き角度がドアクローザの最大トルク値を受ける角度よりも大きくとしたのは、開操作アシスト具がドアの開くのに最も力のいるドアクローザの最大トルク値を越えるまでは、最少限ドアの開きをアシストする趣旨である。
【0008】
任意位置よりもドアを開く操作を行わないときにも作動前の状態に退避するようにしたのは、不用意にドアが開き、そのままになるのを防止する趣旨である。
ここで、作動前の状態に退避するとは、開操作アシスト具がドア側に向けて開くように回動力を付与する突出手段が後退することをいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明におけるドア装置においては、解錠信号を受けて電気錠を解錠した後に、ドアの戸先と枠との隙間寸法が30mm以上300mm以下の開き範囲にて、予め設定した任意位置までドアが開くように開操作アシスト具が作動する。
従って、戸先が枠より30mm以上開くことにより、戸先に指先を引っかけてドアを開くことができるので、ドアの屋外側から握手を無くすことができる。
これにより、ドア面からノブやハンドル等の突出物が無いので、ノブ等を破壊しドアを開けて侵入する行為を防いだ防犯性に優れたドア装置となる。
また従来のドアは、ノブやハンドルを操作して開く必要があるため、ノブ等に手が届かない子供等はドアを開くことができなかったが、戸先が枠より所定の隙間だけ開くことにより、上下方向のどの位置にも指先等が引っ掛かり子供等でも簡単にドアを開けることができる。
ドアの開き範囲を300mm以下におさえたことにより、ドアの外側に立つ人に不本意に当たる恐れが無くなり安全性に優れる。
任意位置よりもドアを開く操作を行わないか、または任意位置よりもドアを開いたと制御部が判断したときには、作動前の状態に退避するように開操作アシスト具を制御したことにより、ドア側に向けて開くように回動力を付与する突出手段がドアを開けた状態で外部から見えず、見栄えが良い。
また、ドアが開き放しになることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図3に本発明に係るドア装置の外観図を示し、図3(イ)が屋外側から見たドア面であり、図3(ロ)が屋内側(室内側)から見たドア面である。
ドア1の屋外側には握手を有していなく、電気錠に解錠信号を送るタッチパネル2と信号認識及び、操作確認において点灯するLED(発光ダイオード)表示部3が備えられている。
ドア1の屋内側(室内側)には、ドア1と枠4との間にドアクローザ5及び開操作アシスト具6が備えられている。
【0011】
図1及び図2に、ドア1とドアクローザ5及び開操作アシスト具6との関係を模式図として示す。
図1はドアを開く動作説明図で、図2はドアが閉じた状態を示す。
ドア1は吊り元側をヒンジ1a等で開閉自在になっている。
ドアクローザ5は、クローザ本体51をドア1の側面に取り付け、枠の図示を省略したが枠側に取り付けた固定板54との間をリンク52、53等で連結し、ドア1が閉じる方向に回動力を付与している。
【0012】
開操作アシスト具6は、アシスト具本体61を枠側(躯体側)に固定し、アシスト具本体から突出又は退避するアシストアーム62を備えている。
この開操作アシスト具は、ドアが屋外側に向けて開く方向に回動力を付与するものである。
従って、アシストアーム62が突出してドア1が開く方向にアシストするものであればどのような機構を用いてもよいが、図1に示した例は電動モーター63の回転により減速機63a等を経由して内側に雌ねじを切ったギヤ64を回転し、この雌ねじ部に雄ねじを切ったアシストアーム62を螺合し、ドア側に突出又は退避するようになっている。
【0013】
次に、本発明に係るドア装置の開閉システムを図3に示す動作線図に基づいて、図1及び図2にて説明する。
人が電子キーを携帯しドアに近づくと、この電子キーから発信しているID情報を認識してID認証をし、LED表示部3が緑色に点灯して表示する。
この状態で人がタッチパネル2をタッチすると、スイッチオンの指令が出てその電気信号を受けて電気錠7の電動ラッチ7aを解錠し、この電気錠の解錠信号に連動して開操作アシスト具6が起動しアシストアーム62を突出してドアを開く方向に押圧する。
なお、タッチパネルに人がタッチしないと電気錠を解錠しないようにしたのは、電子キーの信号を受けて直ちに解錠し、ドアが開くようにすると不意にドアが開く恐れもあるため、タッチパネルをタッチ後にドアが開くようにしてドア操作の安全性を確保した。
アシストアームの突出量は、ドア開き角度θでは、ドアクローザの最大トルク値を受ける2度乃至3度より大きく、戸先と枠との間の隙間寸法Sでは30〜300mmの範囲である。
アシストアームの先端に圧力センサー65を取り付けてあり、人が更にドア1を開くとドアとアーム先端との隙間を検出し、アシストアームが退避収納する。
これにより、人がドアから手を離すとドアが閉じる。
この場合に、不用意にドアが開く等、ドアを人が開けずにそのままになっていると、ドアとアーム先端の隙間を検出しないので再度ID確認を繰り返す。
ID認証ができないとアシストアームが退避してドアが閉じる。
ドアが閉じると、電気錠7の電動ラッチ7aは施錠状態になり、LED表示部が赤色に点灯する。
また、所定のID情報を発信している電子キーを携帯する替わりに、電子キー操作にてID情報を発信するようにしてもよく、また、リモートコントロール操作方式を採用する場合には、リモコンのボタン操作にて例えば、暗証番号を入力して直接、スイッチオン動作に入り、ID認証やタッチパネルのタッチ操作を省略してもよい。
なお、開操作アシスト具によるドア開き角度等を選定するに当たり、ドアクローザの開閉トルクを調査した結果を図5及び図6に示し、最大トルク値はドア開き角度が2度乃至3度の間であり、この範囲を越えてアシストするとともに、指先が入るように戸先と枠との間の隙間寸法を30mm以上にし、人に当たらないように300mm以内にした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るドア装置要部説明図を示し、ドア開動作を示す。
【図2】ドアが閉じた状態を示す。
【図3】ドアの外観を示す。
【図4】本発明に係るドア装置の動作線図を示す。
【図5】ドアクローザの開閉トルクを示す。
【図6】ドアクローザの開閉トルク変化曲線を示す。
【符号の説明】
【0015】
1 ドア
2 タッチパネル
3 LED表示部
4 枠
5 ドアクローザ
6 開操作アシスト具
62 アシストアーム
θ ドア開き角度
S 戸先と枠との間の隙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアと、ドアクローザと、電気錠と、開操作アシスト具と、枠とを備え、
ドアは、屋外側に握手を有していなく、
ドアクローザは、ドアの閉じる方向に回動力を付与し、最大トルク値がドア開き角度2度乃至3度の範囲にあり、
電気錠は、解錠信号を受けたときに解錠し、
開操作アシスト具は、ドアと枠との間に設け、電気錠の解錠に連動して作動し、ドア開き角度が、ドアクローザの最大トルク値を受ける角度よりも大きく、かつ、ドアの戸先と枠との隙間寸法が30mm以上300mm以下の開き範囲における予め設定した任意位置までドアが屋外側に向けて開く方向に回動力を付与するものであるとともに、任意位置よりもドアを開く操作を行わないか、または任意位置よりもドアを開いたと制御部が判断したときには、作動前の状態に退避するように制御したことを特徴とするドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−104814(P2006−104814A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294200(P2004−294200)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000175560)三協アルミニウム工業株式会社 (529)
【Fターム(参考)】