説明

プリント配線板、プリント配線板の製造方法および電子装置

【課題】 単純な構成で、電子部品等との接続信頼性を向上させることができる、プリント配線板を提供する。
【解決手段】 本発明のプリント配線板10は、基板11の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された電子部品配置領域12と、前記電子部品配置領域12の全周を囲むように設けられた溝13とを有し、さらに、分断層14を有し、前記基板11の前記電子部品配置領域12の下方の一部が、前記分断層14により上下に分断されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、プリント配線板の製造方法および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の発展に伴い、電子部品の基板への実装方法は変遷してきた。現在では、前記電子部品を前記基板表面に実装する(表面実装部品)のが主流である。しかしながら、BGA(Ball Grid Array)等のシリコンチップ、封止樹脂等で構成された表面実装部品は、その線膨張係数が小さい。一方、有機材料と銅等からなるプリント配線板は、その線膨張係数が大きい。このため、前記プリント配線板上に、前記電子部品を前記プリント配線板と平行に実装した構造では、線膨張係数差により変形が生じる。この変形により、前記電子部品と前記プリント配線板との間のはんだ接合部の断線、または各部材の変形、破壊等が生じる。この結果、接続信頼性が低下する。
【0003】
前述の線膨張係数差による変形の一例を、図6に示す。図示のとおり、プリント配線板101とBGA102との線膨張係数差により、プリント配線板101とBGA102とが変形する。この変形が、プリント配線板101とBGA102との間の、はんだ111による接合部に大きな影響を与える。この場合、プリント配線板101およびBGA102が変形することで、発生する応力を緩和しているが、大型のBGAを用いる場合または線膨張係数差が大きくなる組み合わせ等では、はんだによる接合部への負荷がより大きくなる。この結果、接続信頼性が低下する。
【0004】
そこで、高い信頼性で接合することを目的に、ランドグリッドアレイ型半導体パッケージとプリント配線基板とが、応力緩和用接続媒体を介して電気的接続された応力緩和型実装体が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−236898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の応力緩和型実装体では、前記線膨張係数差等による応力を緩和して、接続信頼性を向上させるのに、前記応力緩和用接続媒体が必要である。このため、その構造が複雑である。
【0007】
本発明の目的は、単純な構成で、電子部品等との接続信頼性を向上させることができる、プリント配線板、プリント配線板の製造方法および電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のプリント配線板は、
基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された電子部品配置領域と、前記電子部品配置領域の全周を囲むように設けられた溝とを有し、
さらに、分断層を有し、
前記基板の前記電子部品配置領域の下方の一部が、前記分断層により上下に分断されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、
基板の電子部品配置領域の下方の一部に分断層を形成して、前記一部を前記分断層により上下に分断する分断工程と、
前記基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された前記電子部品配置領域を形成する電子部品配置領域形成工程と、
前記基板における電子部品が配置される面に、前記電子部品配置領域の全周を囲むように溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子装置は、
プリント配線板と、電子部品とを含み、
前記プリント配線板が、前記本発明のプリント配線板、または前記本発明の製造方法により製造されたプリント配線板であり、
前記電子部品が、前記電子部品配置領域に実装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、単純な構成で、電子部品等との接続信頼性を向上させることができる、プリント配線板、プリント配線板の製造方法および電子装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、本発明のプリント配線板における実施形態1の一例の構成を示す断面図である。(b)は、図1(a)に示すプリント配線板のI−I方向に見た断面図である。
【図2】図1(a)に示すプリント配線板のII−II方向に見た断面図である。
【図3】本発明のプリント配線板における実施形態1のその他の例の構成を示す断面図である。
【図4】(a)は、本発明のプリント配線板における実施形態2の一例の構成を示す断面図である。(b)は、図4(a)に示すプリント配線板のIII−III方向に見た断面図である。
【図5】本発明のプリント配線板における実施形態3の一例の構成を示す断面図である。
【図6】線膨張係数差による変形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、「電子部品配置領域の下方」とは、電子部品配置領域における、その電子部品配置領域に配置される電子部品側とは反対側の方を意味する。
【0014】
以下、本発明のプリント配線板、プリント配線板の製造方法および電子装置について、例を挙げて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。なお、以下の図1から図6において、同一部分には、同一符号を付している。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なる場合がある。
【0015】
(実施形態1)
本実施形態のプリント配線板について、電子部品としてBGA−PKG(Ball Grid Array−Package)が、前記電子部品配置領域に実装されている状態を例にとり説明する。ただし、本発明のプリント配線板は、電子部品が実装されている状態には、限定されない。また、本発明のプリント配線板の前記電子部品配置領域に、電子部品としてBGA−PKGが実装されている状態は、本発明の電子装置の一例であるということができる。ただし、本発明のプリント配線板および電子装置は、この例に限定されない。
【0016】
図1および図2に、本実施形態のプリント配線板の一例の構成を示す。図1(a)は、本実施形態のプリント配線板の断面図である。図1(b)は、図1(a)のI−I方向に見た断面図である。図2は、図1(a)のII−II方向に見た断面図である。図1および図2に示すとおり、このプリント配線板10は、基板11を有する。基板11は、コア層11aと第1の電子部品配置面側絶縁層11bと第2の電子部品配置面側絶縁層11cとを含む。第1の電子部品配置面側絶縁層11bは、コア層11a上に設けられている。第2の電子部品配置面側絶縁層11cは、第1の電子部品配置面側絶縁層11b上に設けられている。本実施形態での前記「第1の電子部品配置面側絶縁層」および前記「第2の電子部品配置面側絶縁層」は、本発明の「電子部品配置面側絶縁層」に相当する。
【0017】
本実施形態のプリント配線板10は、第2の電子部品配置面側絶縁層11cのコア層11a側とは反対側の面(図1(a)において、上側の面)に、導体配線が配線された電子部品配置領域12と、電子部品配置領域12の全周を囲むように設けられた溝13とを有する。電子部品配置領域12は、図1(a)における二点鎖線で示された、第2の電子部品配置面側絶縁層11c上のBGA−PKG12Aが配置される領域である。溝13は、第2の電子部品配置面側絶縁層11cから第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に配置されている、レーザ加工限界マークとしての銅箔パターン15上(コア層11a上面)まで形成されている。前記レーザ加工については、後述する。
【0018】
本実施形態のプリント配線板10は、さらに、剥離シート14を有する。剥離シート14は、例えば、耐熱性を有し、かつ、化学的に安定な樹脂を含浸したシートを重ねたものである。前記樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、ポリイミド等があげられる。剥離シート14は、基板11をその平面と平行方向に見た場合に、電子部品配置領域12の下方の中央部分付近がくりぬかれた枠状のシートである(図1(b)の符号14参照)。剥離シート14は、第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に、溝13に連続して設けられている。剥離シート14の前記くりぬかれた部分では、コア層11aと第1の電子部品配置面側絶縁層11bとが積層されて一体をなしている(一体をなす領域)。本実施形態での前記「剥離シート」は、本発明の「分断層」に相当する。
【0019】
第2の電子部品配置面側絶縁層11c上の電子部品配置領域12には、電子部品であるBGA−PKG12Aが、はんだ18を介して前記導体配線に電気的に接続されている。第1の電子部品配置面側絶縁層11bには、層間配線17bが配線されている。第2の電子部品配置面側絶縁層11cには、層間配線17cが配線されている。第1の電子部品配置面側絶縁層11bと第2の電子部品配置面側絶縁層11cとの間には、再配線層16bが配置されている。第2の電子部品配置面側絶縁層11cの基板11表面側の面には、再配線層16cが配置されている。電子部品配置領域12は、基板11の第2の電子部品配置面側絶縁層11c面に配置されている。前記両再配線層および前記両層間配線により、BGA−PKG12Aからの電気配線が、再配線される。これにより、前記電気配線が、電子部品配置領域12の下方における前記中央部分付近にまとめて配線されることで、例えば、本実施形態のプリント配線板10とBGA−PKG12Aとの電気的接続が確保されている。
【0020】
本実施形態のプリント配線板10では、前述のとおり、電子部品配置領域12の全周を囲むように設けられた溝13により、第1の電子部品配置面側絶縁層11bおよび第2の電子部品配置面側絶縁層11c(基板11)は、電子部品配置領域12の下方と、それ以外の領域とに分断されている。なお、溝13で囲まれた領域の基板11平面と平行方向の広さは、例えば、BGA−PKG12Aの最外周の電極、および前記一体をなす領域との大きさにより最小の範囲を限定される。また、前記広さは、例えば、電子部品配置領域12に隣接する部品と緩衝しない範囲で、その最大の範囲を限定される。
【0021】
また、本実施形態のプリント配線板10では、前述のように、剥離シート14が設けられている。この剥離シート14により、電子部品配置領域12の下方の、前記一体をなす領域以外が、上下に分断されている。本実施形態での前記「電子部品配置領域12の下方の、一体をなす領域以外の部分」は、本発明の「基板の電子部品配置領域の下方の一部」に相当する。なお、剥離シート14は、例えば、後述する製造方法において、前記両電子部品配置面側絶縁層および前記両再配線層を形成(積層)するのに、障害とならない位置または厚さである。例えば、前記両電子部品配置面側絶縁層の厚さが、35〜100μmの範囲であり、前記両再配線層の厚さが、18〜40μmの場合には、前記剥離シートの厚さは、20μm程度である。
【0022】
本発明において、電子部品等との接続信頼性を向上可能であるメカニズムを、本実施形態のプリント配線板の構造を、その一例として説明する。ただし、本発明により得られる効果は、本実施形態の構造のみに限定されない。
【0023】
一般に、前記BGA−PKGを構成する部材は、実装されるプリント配線板との間に線膨張係数差がある。前記BGA−PKGの方が、前記プリント配線板と比較して、線膨張係数が小さい。このため、前記BGA−PKGが実装されたプリント配線板を用いた電子装置では、その稼動時における温度上昇等の変化により、前記線膨張係数差による寸法差が生じる。この寸法差により前記BGA−PKGと前記プリント配線板との接続部分に応力が発生する。この結果、プリント配線板に反りが発生する。
【0024】
ここで、本実施形態のプリント配線板では、電子部品配置領域12の下方において、前述のように、その一部が、剥離シート14により上下に分断されている。また、前記一体をなす領域において、コア層11aと第1の電子部品配置面側絶縁層11bとが積層されている。従って、BGA−PKG12Aに影響を及ぼす前記基板の長さを短くでき、前記線膨張係数差による応力の発生を、前記溝と前記分断層とで区切られた範囲に限定することができる。すなわち、溝13が前記基板を物理的に分断していることで、溝13が形成されている外側で発生する応力による変形は、電子部品配置領域12には、影響を及ぼさない。また、剥離シート14の下方で発生する応力による変形は、例えば、剥離シート14の高い滑り性により、剥離シート14上の領域に影響を及ぼさない。このため、前記線膨張係数差による応力の発生を小さくすることができ、前記基板全体に影響を与えることなく、BGA−PKG12Aの変形におけるプリント配線板側によるはんだ接続部の拘束が緩和される。この結果、本実施形態のプリント配線板10では、前記はんだ接合部に発生する負荷を相対的に小さくすることができ、例えば、BGA−PKG12Aとの前記はんだ接合部の断線等を抑制することができるため、BGA−PKG12Aとの接続信頼性を向上させることができる。
【0025】
また、前記特許文献1のように、前記線膨張係数差等による応力を緩和して、接続信頼性を向上させるのに、前記応力緩和用接続媒体を必要としないため、本実施形態のプリント配線板10は、その構成が単純である。また、本実施形態のプリント配線板10では、前記応力緩和用接続媒体を必要としないため、例えば、部品点数を削減可能である。
【0026】
また、本実施形態のプリント配線板では、前記線膨張係数差による応力の発生を、前記溝と前記分断層とで区切られた範囲に限定することができる。このため、例えば、前記溝だけで区切った場合と比較して、電子部品に影響を及ぼす応力の発生を格段に低減することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、前記再配線層および前記層間配線は、2段であるが、本発明は、この例に限定されず、例えば、設計により、1段または更に多段とすることもできる。
【0028】
また、本実施形態では、本発明の「分断層」が前記剥離シートであるが、本発明は、この例に限定されない。前記分断層は、前記電子部品配置領域の下方の一部を、上下に分断することができればよく、例えば、前記第2の電子部品配置面側絶縁層と、前記コア層との間に設けられた空間であってもよい。なお、前記分断層が、前記剥離シートであれば、後述する製造方法において、薬品等の不要な生成物、異物の残留および異物の浸入を防ぐことができ好ましい。
【0029】
また、前記分断層は、例えば、プリント配線板成形時温度に対して耐熱性を有し、かつ、例えば、室温等でゴム弾性を示す材料から形成される層(エラストマー層)であってもよい。前記エラストマー層を形成する材料としては、例えば、ポリイミド、熱可塑性エラストマー等があげられる。このようなエラストマー層の中でも、その弾性率が、前記基板の弾性率より小さいものが好ましい。このようなエラストマー層であれば、例えば、前述の線膨張係数差により発生する応力によるずれを、このエラストマー層自らの変形により緩和することができる。この結果、このエラストマー層を分断層として用いた場合には、前記BGA−PKG等の電子部品との接続信頼性を向上可能である。また、前記エラストマー層の弾性率は、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは15℃以上30℃以下の温度条件で、3GPa〜9GPaの範囲である。また、前記エラストマー層の弾性率は、250℃の温度条件で、例えば、3GPa程度であるが、これに限定されない。前記「プリント配線板成形時温度に対して耐熱性を有し、かつ、例えば、室温等でゴム弾性を示す低弾性の材料から形成される層(エラストマー層)」は、本発明の「分断絶縁層」に相当する。
【0030】
前記両電子部品配置面側絶縁層を形成する材料は、絶縁性を有する層である。前記層は、例えば、その弾性率がコア層11aの弾性率より低い層であり、前記エラストマー層であることが好ましい。前記両電子部品配置面側絶縁層として、このような層を用いれば、前記分断層による応力緩和効果に加えて、前記両電子部品配置面側絶縁層全体の変形により、さらに応力緩和効果が得られる。この結果、この層を前記両電子部品配置面側絶縁層として用いた場合には、例えば、前記BGA−PKG等の電子部品との接続信頼性をより向上可能である。また、前記層の弾性率は、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは15℃以上30℃以下の温度条件で、3GPa〜9GPaの範囲である。また、前記層の弾性率は、250℃の温度条件で、例えば、3GPa程度であるが、これに限定されない。
【0031】
前述の線膨張係数差による変形は、実装される電子部品毎に発生する。このため、各電子部品同士は、プリント配線板を介して相互に影響し合う。この結果、これらの電子部品と前記プリント配線板との接続信頼性は、更に低下することとなる。特に、プリント配線板の表裏同位置にBGA−PKGが実装される場合には、プリント配線板の変形が、プリント配線板の表裏から拘束される。このため、はんだ接合部への影響が大きい。この場合の電子部品との接続信頼性は、片面にBGA−PKGが実装される場合と比較して、例えば、その寿命が半分以下に低下することが知られている。
【0032】
ここで、前記プリント配線板の表裏同位置にBGA−PKGが実装される電子装置のプリント配線板に、本発明を適用した一例を、図3に示す。同図において、図面を見やすくするために、前述のプリント配線板10と同一の構成要素に付す符号は、省略している。図示のとおり、このプリント配線板10aでは、基板11aの一方の面(同図において、上側の面)の第2の電子部品配置面側絶縁層11c−1に、電子部品配置領域12−1と、溝13−1とを有する。基板11aの他方の面(同図において、下側の面)の第2の電子部品配置面側絶縁層11c−2に、電子部品配置領域12−2と、溝13−2とを有する。そして、電子部品配置領域12−1の下方の一部が、分断層14−1により上下に分断されている。また、電子部品配置領域12−2の下方の一部が、分断層14−2により上下に分断されている。このようにすれば、分断層14−1および14−2が、例えば、前述のエラストマー層であれば、この層自らの変形により応力を緩和することで、電子部品配置領域12−1に実装されるBGA−PKG12A−1、および電子部品配置領域12−2に実装されるBGA−PKG12A−2と、プリント配線板との接続信頼性を向上させることができる。なお、後述する実施形態2および3についても同様とすることができる。また、本発明のプリント配線板の前記両電子部品配置領域に、電子部品として、前記両BGA−PKGが実装されている状態は、本発明の電子装置の一例(電子装置100a)であるということができる。
【0033】
本発明のプリント配線板は特に制限されないが、前記本発明の製造方法により製造することが好ましい。また、前記本発明の製造方法において、前記各工程を行う順序は特に制限されず、どのような順序でもよく、逐次でも同時でもよい。以下、本実施形態のプリント配線板の製造方法の一例を、図1を参照して説明する。
【0034】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、ビルドアップ(BU:Build Up)工法の要領で、前述の剥離シートを形成することができる。
【0035】
まず、基板11におけるコア層11aとなる配線板の表面で、かつ電子部品配置領域12の下方にあたる部分に、前述の剥離シート14を設置する。または、積層が終了したコア層11aの積層面の一層における電子部品配置領域12の下方にあたる部分に、前述の剥離シート14を積層する。前述の剥離シート14は、予めBGA−PKG12Aのサイズに合わせたサイズで、切り出しておく。そして、前記設置または前記積層時に、コア層11aの表面に形成されている銅箔パターン15を目印にして、設置または積層する。この銅箔パターン15の幅は、例えば、後述のレーザ加工のスポット径と位置決め精度とを足した幅である。
【0036】
つぎに、第1の電子部品配置面側絶縁層11bおよび第2の電子部品配置面側絶縁層11cを、前記順序で、コア層11a上に積層する。これらの両電子部品配置面側絶縁層を、その弾性率がコア層11aの弾性率より低い層としてもよく、前述のエラストマー層とするのが好ましい。また、前記両電子部品配置面側絶縁層の弾性率を、前述のようにするのがより好ましい。この積層の際には、前述の両再配線層および前述の両層間配線を形成する。このようにして、前記分断層である剥離シート14により、電子部品配置領域12の一部を、上下に分断する(分断工程)。
【0037】
つぎに、基板11の第2の電子部品配置面側絶縁層11c面に、導体配線を配線して電子部品配置領域12を形成する(電子部品配置領域形成工程)。
【0038】
つぎに、積層された基板11の第2の電子部品配置面側絶縁層11c側からレーザ加工により、溝13を形成する。前記レーザ加工では、銅箔パターン15を目標にすることで、電子部品配置領域12の全周を囲むようにして、コア層11a上面まで形成された溝13を形成する(溝形成工程)。このレーザ加工による溝13の形成と同時に、銅箔パターン15上に積層されている剥離シート14が連続して形成される。このようにして、図1に示す本実施形態のプリント配線板を製造可能である。ただし、本実施形態のプリント配線板10を製造する方法は、この例に限定されない。
【0039】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、上記のようにして製造されるため、前記特許文献1に記載の応力緩和用接続媒体を必要としない。このため、例えば、BGA−PKG毎に異なる応力緩和用接続媒体を準備する必要がない。したがって、例えば、製造にかかるコストを低減可能である。また、その製造工程において、例えば、前記応力緩和用接続媒体をプリント配線板またはBGA−PKGに実装しておく必要がないため、それに伴う組み立てコストが不要であり、製造にかかるコストを低減可能である。また、例えば、電子部品の実装後の後加工も不要であるため、製造にかかるコストを低減可能である。
【0040】
前述のようにして、製造した本実施形態のプリント配線板10の電子部品配置領域12に、BGA−PKG12Aを実装することで、図1(a)に示すように、本発明の電子装置100を製造可能である。ただし、本発明の電子装置を製造する方法は、この例に限定されない。
【0041】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、例えば、前述のエラストマー層としてもよい。この場合、前記エラストマー層の弾性率は、例えば、前述のとおりである。このエラストマー層は、例えば、前記剥離シートの場合と同様にして、設置または積層可能である。
【0042】
また、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、空間としてもよい。この空間は、例えば、コア層11a上に第1の電子部品配置面側絶縁層11bとなる絶縁層を途中まで形成し、この絶縁層の分断層に対応する位置を、例えば、薬品を用いて除去する。その後、さらに、絶縁層を積層して、コア層11a上に第1の電子部品配置面側絶縁層11bを積層する。このようにして、前記空間を形成する。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態のプリント配線板について、電子部品として、メモリ等の長手方向を有するBGA−PKGが、前記電子部品配置領域に実装されている状態を例にとり説明する。ただし、本発明のプリント配線板は、電子部品が実装されている状態には、限定されない。また、本発明のプリント配線板の前記電子部品配置領域に、電子部品として、メモリ等の長手方向を有するBGA−PKGが実装されている状態は、本発明の電子装置の一例であるということができる。ただし、本発明のプリント配線板および電子装置は、この例に限定されない。
【0044】
図4に、本実施形態のプリント配線板の一例の構成を示す。図4(a)は、本実施形態のプリント配線板の断面図である。図4(b)は、図4(a)のIII−III方向に見た断面図である。図4(b)における左右方向の矢印は、本実施形態のプリント配線板に実装されるメモリ等のBGA−PKGの長手方向を示す。図4に示すとおり、このプリント配線板20は、複数のエラストマー層24aおよび24bを有する。エラストマー層24aおよび24bは、例えば、前述のプリント配線板成形時温度に対して耐熱性を有し、かつ、例えば、室温等でゴム弾性を示す材料から形成される層であり、例えば、圧縮方向、引張り方向それぞれに変形可能である。エラストマー層24bは、それぞれ、第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に、溝13に連続して設けられている。エラストマー層24aは、第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に、エラストマー層24bとは基板11平面と平行方向に、互いに離れて、長手方向を有するBGA−PKG22Aの電子部品配置領域22の長手方向に直交する向きで設けられている。両エラストマー層24bの方が、エラストマー層24aより、その前記長手方向の幅が広い。エラストマー層24aと両エラストマー層24bとの間の部分では、コア層11aと第1の電子部品配置面側絶縁層11bとが積層されて一体をなしている(一体をなす領域)。本実施形態のプリント配線板20では、前記一体をなす領域が、複数である。なお、本実施形態のプリント配線板では、前記分断層は、例えば、剥離シートであってもよい。前記剥離シートは、例えば、前述の耐熱性を有し、かつ、化学的に安定な樹脂を含浸したシートを重ねたものであってもよい。前記樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、ポリイミド等があげられる。
【0045】
第2の電子部品配置面側絶縁層11c上の電子部品配置領域22には、メモリ等(電子部品)の長手方向を有するBGA−PKG22Aが、はんだ18を介して前記導体配線に電気的に接続されている。再配線層16bおよび再配線層16c、並びに層間配線17bおよび17cにより、BGA−PKG22Aからの電気配線が、再配線される。これにより、前記電気配線が、電子部品配置領域22の下方におけるエラストマー層24aと両エラストマー層24bとの間にまとめて配線されることで、例えば、本実施形態のプリント配線板20とBGA−PKG22Aとの電気的接続が確保されている。これらの以外の構成は、前述のプリント配線板10と同様である。このような構成であれば、メモリ等(電子部品)の長手方向を有するBGA−PKGが、プリント配線板に実装された場合でも、実施形態1と同様に、その接続信頼性を向上させることができる。
【0046】
本発明者等は、鋭意検討の結果、メモリ等(電子部品)の長手方向を有するBGA−PKGを、プリント配線板に実装する場合でも、プリント配線板を上記のように構成することで、線膨張係数差により発生する応力を緩和して、その接続信頼性を向上させられることを見出した。以下に本発明者等の検討過程を示す。ただし、下記の検討は、本発明を何ら制限するものではない。
【0047】
メモリ等の長手方向を有するBGA−PKGでは、その電極数が多いため、例えば、前述の実施形態1のように、BGA−PKGの中央部に配線を集めても、BGA−PKG周囲に反り緩和(応力緩和)のスペースを十分に設けられない。ここで、前記層間配線が形成されている領域(層間配線領域)の面積と前記BGA−PKGの投影面積とが、例えば、ほぼ同じとなる場合、プリント配線板と前記BGA−PKGとの電気的接続のための、前記層間配線領域と前記BGA−PKGとが重なる面積を小さくすることで、前記線膨張係数差により発生する応力を緩和する構造を確保する。
【0048】
前記長手方向を有するBGA−PKGでは、前記線膨張係数差が寸法差となって、より大きく表れる長手方向の両端部の付近の領域に、前記分断層(本実施形態では、エラストマー層24b)を設ける。また、前記両端部付近の領域に設けられた分断層とは、前記基板平面と平行方向に互いに離れて(下駄の歯のように)別の分断層(本実施形態では、エラストマー層24a)を設けることで、前記層間配線領域を確保して前記BGA−PKGの配線数を確保する。これらにより、最も大きな応力が発生する、長手方向の反りによる応力を緩和することが可能となる。
【0049】
上記のような構造とすることで、BGA−PKGにおける両端中央部からの電極を左右均等に割り振り等長配線とするのに有利である。前記長手方向を有するBGA−PKGが、凸方向または凹方向のどちらに変形しても、前記分断層を中央部のみ、または両端部のみに設けた場合と比較して、前記BGA−PKGの反りの量を小さく抑えて、応力を緩和することができる。
【0050】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、以下のようにして製造可能である。すなわち、前記分断工程において、基板11におけるコア層11aとなる配線板の表面で、かつ電子部品配置領域22の下方にあたる部分に、エラストマー層24aおよび両エラストマー層24bを、基板11平面の平行方向に互いに離して設置する。または、積層が終了したコア層11aの積層面の一層における電子部品配置領域22の下方にあたる部分に、前述のエラストマー層24aおよび両エラストマー層24bを積層する。これら以外は、前述の実施形態1と同様にして、本実施形態のプリント配線板を製造可能である。ただし、本実施形態のプリント配線板を製造する方法は、この例に限定されない。
【0051】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、上記のようにして製造されるため、実施形態1で示した製造方法と同様に、例えば、製造にかかるコストを低減可能である。
【0052】
前述のようにして、製造した本実施形態のプリント配線板20の電子部品配置領域22に、メモリ等のBGA−PKG22Aを実装することで、図4(a)に示すように、本発明の電子装置200を製造可能である。ただし、本発明の電子装置を製造する方法は、この例に限定されない。
【0053】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、例えば、前述の剥離シートとしてもよい。この層は、例えば、前記エラストマー層の場合と同様にして、設置または積層可能である。
【0054】
また、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、例えば、空間としてもよい。前記空間の形成方法は、例えば、実施形態1で示した形成方法と同様である。
【0055】
(実施形態3)
本実施形態のプリント配線板について、電子部品として、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKGが、前記電子部品配置領域に実装されている状態を例にとり説明する。本実施形態のプリント配線板では、前述の実施形態1のプリント配線板構造を、複数互いに隣接して設置し、この隣接して設置されたプリント配線板構造の電子部品配置領域に、跨るように前記BGA−PKGを実装することができる。ただし、本発明のプリント配線板は、電子部品が実装されている状態には、限定されない。また、本発明のプリント配線板の前記電子部品配置領域に、電子部品として、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKGが実装されている状態は、本発明の電子装置の一例であるということができる。ただし、本発明のプリント配線板および電子装置は、この例に限定されない。
【0056】
図5の断面図に、本実施形態のプリント配線板の一例の構成を示す。図示のとおり、このプリント配線板30は、第2の電子部品配置面側絶縁層11cのコア層11a側とは反対側の面(図5において、上側の面)に、導体配線が配線された電子部品配置領域32aおよび32b(二点鎖線で囲まれた領域)と、電子部品配置領域32aおよび32bの全周を囲むように設けられた溝13とを有する。電子部品配置領域32aおよび32bとの間に設けられている溝13は、前記両電子部品配置領域に共通である。
【0057】
このプリント配線板30は、複数のエラストマー層34aおよび34bを有する。エラストマー層34aおよび34bは、例えば、前述のプリント配線板成形時温度に対して耐熱性を有し、かつ、例えば、室温等でゴム弾性を示す材料から形成される層であり、例えば、圧縮方向、引張り方向それぞれに変形可能である。エラストマー層34aは、それぞれ、第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に、溝13に連続して設けられている。エラストマー層34bは、それぞれ、第1の電子部品配置面側絶縁層11bとコア層11aとの間に、共通の溝13に連続して設けられている。なお、本実施形態のプリント配線板では、前記分断層は、例えば、前述の剥離シートであってもよい。前記剥離シートは、例えば、前述の耐熱性を有し、かつ、化学的に安定な樹脂を含浸したシートを重ねたものであってもよい。前記樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)、ポリイミド等があげられる。
【0058】
第2の電子部品配置面側絶縁層11c上の電子部品配置領域32aおよび32bには、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKG32Aが、はんだ18を介して、前記両電子部品配置領域に跨って、両導体配線に電気的に接続されている。これら以外の構成は、前述のプリント配線板10と同様である。このような構成であれば、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKG32Aが、プリント配線板に実装された場合でも、実施形態1と同様に、その接続信頼性を向上させることができる。
【0059】
本発明者等は、鋭意検討の結果、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKGを、プリント配線板に実装する場合でも、プリント配線板を上記のように構成することで、線膨張係数差により発生する応力を緩和して、その接続信頼性を向上させられることを見出した。以下に本発明者等の検討過程を示す。ただし、下記の検討は、本発明を何ら制限するものではない。
【0060】
BGA等の電子部品が大型化し、多ピンとなる場合、ファンイン構造となる層間配線では、その配線数が制限されてしまう。また、より面積の大きいBGA等の電子部品と、プリント配線板とでは、その線膨張係数差による膨張収縮差がより広がってしまう。これに対して、本実施形態のプリント配線板では、前述の実施形態1と同様の構造を複数個隣接して設け、これらの構造に跨るように電子部品をプリント配線板に実装する。これらにより、前記配線数を確保し、かつ、プリント配線板とBGA−PKGとの線膨張係数差による応力を緩和することができる。
【0061】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、以下のようにして製造可能である。すなわち、前記電子部品配置領域形成工程において、第2の電子部品配置面側絶縁層11c面に電子部品配置領域32aおよび32bを形成する。これら以外は、前述の実施形態1と同様にして、本実施形態のプリント配線板を製造可能である。ただし、本実施形態のプリント配線板を製造する方法は、この例に限定されない。
【0062】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、上記のようにして製造されるため、実施形態1で示した製造方法と同様に、例えば、製造にかかるコストを低減可能である。
【0063】
前述のようにして、製造した本実施形態のプリント配線板30の電子部品配置領域32aおよび32bに跨って、その面積が大きく、多くの信号用電極が必要なBGA−PKG32Aを実装することで、図5に示すように、本発明の電子装置300を製造可能である。ただし、本発明の電子装置を製造する方法は、この例に限定されない。
【0064】
本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、例えば、前述の剥離シートとしてもよいし、前述のエラストマー層としてもよい。これらの層は、例えば、実施形態1で示したのと同様に、設置または積層可能である。
【0065】
また、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、前記分断工程において、前記分断層を、例えば、空間としてもよい。前記空間の形成方法は、例えば、実施形態1で示した形成方法と同様である。
【実施例】
【0066】
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によってなんら限定ないし制限されない。
【0067】
[実施例1]
本発明のプリント配線板を、10層BU基板(板厚:1.6mm)の場合での具体的な実施例として作製する。この10層BU基板は、コア層11aと、第1の電子部品配置面側絶縁層11bと、第2の電子部品配置面側絶縁層11cとが前記順序で積層された構造である。
【0068】
〔プリント配線板の作製〕
図1および図2に示すプリント配線板10を作製する。本実施例のプリント配線板10は、コア層11aと、BGAからの配線を引き出すための導体配線(表面配線)が配線された第1の電子部品配置面側絶縁層11bおよび第2の電子部品配置面側絶縁層11cとが積層された構造である。なお、本実施例では、前記BGAからの引き出しが、2層の表層で十分であるとする。
【0069】
6層基板(厚さ:約1.2mm)を、コア層11aとする。コア層11a表面には、配線パターンが形成されている。この配線パターンと共に、溝13をレーザ加工で形成する際に、加工限界を確認し、かつ、電子部品配置領域12の下方に剥離シートを設置するための位置決めの目安となる銅箔パターン15を形成しておく。銅箔パターン15は、レーザ加工での加工限界として機能するように、その厚みを35〜40μmの範囲、その幅を1〜3μmの範囲の形状を確保する。
【0070】
このコア層11aに、銅箔パターン15を目印として、PTFEからなる厚さ5〜10μmの剥離シート14を仮留めして積層する。この方法に代えて、例えば、銅箔付き絶縁体シート(RCC:Resin Coated Copper foil)等の所定位置に、剥離シート14を接着する方法を行ってもよい。
【0071】
この状態で、コア層11aに、剥離シート14を内在させた、厚さ60μmの第1の電子部品配置面側絶縁層11b(プリント配線板における電子部品面側のビルドアップ層(BU層:Build Up))を積層する。さらに、この第1の電子部品配置面側絶縁層11bに層間配線(ビア)17bを形成し、再配線層(パターン)16bを形成する。つぎに、第2の電子部品配置面側絶縁層11cを通常のBU基板と同様に形成する。このようにすることで、厚さ約1.6mmの10層BU基板を得る。
【0072】
10層BU基板を形成した後に、改めてレーザ加工により、電子部品配置領域12の全周を囲むように溝13を形成する。前記レーザ加工に際しては、予めコア層11aの表層に形成しておいた銅箔パターン15上を加工することで、第1の電子部品配置面側絶縁層11bの下方に積層した剥離シート14と、電子部品配置領域12の全周を囲む溝13とを有する、本実施例のプリント配線板10を作製する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のとおり、本発明のプリント配線板は、単純な構成で、電子部品等との接続信頼性を向上させることができる。このため、例えば、特にセラミックBGA(Ball Grid Array)等の電子部品と、有機基板のように線膨張係数差の大きい電子部品との組み合わせにおいても、その接続信頼性を向上させることができる。また、例えば、電子部品をプリント配線板表裏両面に実装する場合のように、複雑な応力を受けて拘束される場合においても、前述のとおり、前記線膨張係数差による影響を限定することができるため、プリント配線板表裏の電子部品からの影響(応力)が緩和される。この結果、接続信頼性を向上させることができる。従って、本発明のプリント配線板を用いた電子装置は、その接続信頼性が高い。このような電子装置の用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
【0074】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下には限定されない。
【0075】
(付記1)基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された電子部品配置領域と、前記電子部品配置領域の全周を囲むように設けられた溝とを有し、
さらに、分断層を有し、
前記基板の前記電子部品配置領域の下方の一部が、前記分断層により上下に分断されていることを特徴とするプリント配線板。
【0076】
(付記2)前記分断層が、分断絶縁層を含み、
前記分断絶縁層の弾性率が、前記基板の弾性率より低いことを特徴とする付記1に記載のプリント配線板。
【0077】
(付記3)前記分断層が、空間を含むことを特徴とする付記1または2に記載のプリント配線板。
【0078】
(付記4)前記基板が、コア層と電子部品配置面側絶縁層とを含み、
前記電子部品配置面側絶縁層は、前記コア層の少なくとも一方の面に設けられ、
少なくとも一方の前記電子部品配置面側絶縁層の前記コア層側とは反対側の面に、前記電子部品配置領域と、前記溝とを有し、
前記電子部品配置面側絶縁層の弾性率が、前記コア層の弾性率より低いことを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のプリント配線板。
【0079】
(付記5)前記分断絶縁層の弾性率が、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることを特徴とする付記2から4のいずれかに記載のプリント配線板。
【0080】
(付記6)前記電子部品配置面側絶縁層の弾性率が、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることを特徴とする付記4または5に記載のプリント配線板。
【0081】
(付記7)前記分断層が、前記溝に連続して設けられていることを特徴とする付記1から6のいずれかに記載のプリント配線板。
【0082】
(付記8)前記分断層が、複数であり、
前記複数の分断層が、前記基板平面と平行方向に互いに離れて設けられていることを特徴とする付記1から7のいずれかに記載のプリント配線板。
【0083】
(付記9)前記電子部品配置領域が、複数であり、
前記複数の電子部品配置領域に跨って、前記電子部品を実装可能であることを特徴とする付記1から8のいずれかに記載のプリント配線板。
【0084】
(付記10)基板の電子部品配置領域の下方の一部に分断層を形成して、前記一部を前記分断層により上下に分断する分断工程と、
前記基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された前記電子部品配置領域を形成する電子部品配置領域形成工程と、
前記基板における電子部品が配置される面に、前記電子部品配置領域の全周を囲むように溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【0085】
(付記11)前記分断工程において、
前記分断層に、その弾性率が前記基板の弾性率より低い分断絶縁層を含ませることを特徴とする付記10に記載のプリント配線板の製造方法。
【0086】
(付記12)前記分断工程において、
前記分断層に、空間を含ませることを特徴とする付記10または11に記載のプリント配線板の製造方法。
【0087】
(付記13)前記基板が、コア層と、その弾性率が前記コア層の弾性率より低い電子部品配置面側絶縁層とを含み、
前記電子部品配置面側絶縁層は、前記コア層の少なくとも一方の面に設けられ、
前記電子部品配置領域形成工程において、
少なくとも一方の前記電子部品配置面側絶縁層の前記コア層側とは反対側の面に、前記電子部品配置領域を形成し、
前記溝形成工程において、
前記電子部品配置面側絶縁層における電子部品が配置される面に、前記溝を形成することを特徴とする付記10から12のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【0088】
(付記14)前記分断工程において、
前記分断絶縁層の弾性率を、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲とすることを特徴とする付記11から13のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【0089】
(付記15)前記電子部品配置面側絶縁層の弾性率が、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることを特徴とする付記13または14に記載のプリント配線板の製造方法。
【0090】
(付記16)前記分断工程において、
前記分断層を、前記溝に連続して形成することを特徴とする付記10から15のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【0091】
(付記17)前記分断工程において、
前記分断層を、複数とし、
前記複数の分断層を、前記基板平面と平行方向に互いに離して形成することを特徴とする付記10から16のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【0092】
(付記18)前記電子部品配置領域形成工程において、
前記電子部品配置領域を、複数箇所形成することを特徴とする付記10から17のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
【0093】
(付記19)プリント配線板と、電子部品とを含み、
前記プリント配線板が、付記1から9のいずれかに記載のプリント配線板、または付記10から18のいずれかに記載の製造方法により製造されたプリント配線板であり、
前記電子部品が、前記電子部品配置領域に実装されていることを特徴とする電子装置。
【符号の説明】
【0094】
10、10a、20、30 プリント配線板
11、11a 基板
11a コア層
11b 第1の電子部品配置面側絶縁層(電子部品配置面側絶縁層)
11c、11c−1、11c−2 第2の電子部品配置面側絶縁層(電子部品配置面側絶縁層)
12、12−1、12−2、22、32a、32b 電子部品配置領域
12A、12A−1、12A−2、22A、32A BGA−PKG(電子部品)
13、13−1、13−2 溝
14、14−1、14−2 剥離シート(分断層)
15 レーザ加工限界マークとしての銅箔パターン
16b、16c 再配線層
17b、17c 層間配線
18 はんだ
24a、24b、34a、34b エラストマー層(分断層)
100、100a、200、300 電子装置
101 プリント配線板
102 BGA
111 はんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された電子部品配置領域と、前記電子部品配置領域の全周を囲むように設けられた溝とを有し、
さらに、分断層を有し、
前記基板の前記電子部品配置領域の下方の一部が、前記分断層により上下に分断されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記分断層が、分断絶縁層を含み、
前記分断絶縁層の弾性率が、前記基板の弾性率より低いことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記分断層が、空間を含むことを特徴とする請求項1または2記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記基板が、コア層と電子部品配置面側絶縁層とを含み、
前記電子部品配置面側絶縁層は、前記コア層の少なくとも一方の面に設けられ、
少なくとも一方の前記電子部品配置面側絶縁層の前記コア層側とは反対側の面に、前記電子部品配置領域と、前記溝とを有し、
前記電子部品配置面側絶縁層の弾性率が、前記コア層の弾性率より低いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記分断絶縁層の弾性率が、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記電子部品配置面側絶縁層の弾性率が、15℃以上30℃以下の温度条件で、3MPa〜10GPaの範囲であることを特徴とする請求項4または5記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記分断層が、前記溝に連続して設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項8】
前記分断層が、複数であり、
前記複数の分断層が、前記基板平面と平行方向に互いに離れて設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント配線板。
【請求項9】
基板の電子部品配置領域の下方の一部に分断層を形成して、前記一部を前記分断層により上下に分断する分断工程と、
前記基板の少なくとも一方の面に、導体配線が配線された前記電子部品配置領域を形成する電子部品配置領域形成工程と、
前記基板における電子部品が配置される面に、前記電子部品配置領域の全周を囲むように溝を形成する溝形成工程とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
プリント配線板と、電子部品とを含み、
前記プリント配線板が、請求項1から8のいずれか一項に記載のプリント配線板、または請求項9記載の製造方法により製造されたプリント配線板であり、
前記電子部品が、前記電子部品配置領域に実装されていることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−216743(P2011−216743A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84631(P2010−84631)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】