説明

光導波路デバイス

本発明は、光導波路を伝搬した光を限られた基板サイズの範囲内で十分なパワーを保って所望の基板側面から導き出すことのできる光導波路デバイスを提供すること目的とする。このため、本発明の光導波路デバイスは、光導波路の形成された基板に対して、光導波路の光出力側の端部近傍に溝を形成し、その溝の側壁を反射面として光導波路から出力される光を反射して、当該反射光が所望の基板側面から出射されるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、光通信システムに用いられる光導波路デバイスに関し、特に、光出力をモニタするための光回路の小型化などに有効な光導波路の構造に関する。
【背景技術】
光導波路デバイスは、誘電体媒質中に形成された屈折率の高い部分に光を閉じ込めて伝搬させる光導波路を使用して様々な機能を実現したデバイスである。例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO:以下LNと表記する)等の誘電体を使用してマッハツェンダ干渉計を構成した光導波路デバイスは、電気光学定数が非常に高く、熱光学(Thermal Optic:TO)効果をもつデバイスと比較して応答速度が速いため、光変調器や光スイッチ、可変光アッテネータなどとして広く用いられている。
しかし、上記のようなLN等の誘電体基板を用いた光導波路デバイスは、温度変化により動作点がシフトする温度ドリフトと呼ばれる現象や、直流信号を流すことにより動作点がシフトするDCドリフトと呼ばれる現象が潜在的に発生することが知られている。温度ドリフトやDCドリフトの発生により動作点がシフトすると、光導波路デバイスの光出力特性が変動してしまうため、例えば光変調器においては常に一定な状態で変調を行うことができなくなる。
具体的に、マッハツェンダ型の光変調器の光出力はcos(Δφ/2)に従って変化する。上記のパラメータΔφは、マッハツェンダ干渉計の相互作用部で与えられる位相変化量であり、Z−カットのLN基板を用いた場合にはΔφ={π・ne・γ33・l/(λ・d)}・Vの関係で表される。ただし、neは光導波路の屈折率、γ33は電気光学定数、lは2本の平行な光導波路上に設けられた電極の長さ、λは光波長、dは電極間の距離、Vは印加電圧である。この光変調器の光出力特性は、横軸を印加電圧Vとすると図19に示すような曲線となる。
上記のような光変調器については、通常、電極への印加電圧が0Vの時にオンとオフの中間の状態となるように動作点を設定することが望まれる。しかし、実際の動作点は、製造誤差や様々な応力などが原因で所望の動作点からずれてしまうことが多い。この動作点のずれに対しては、直流バイアスを印加することによって所望の動作点への調整が行われることが一般的であるが、直流バイアスにより調整された動作点は前述したようなDCドリフトによりシフトしてしまう。このため、所望の動作点を安定して実現するには、光出力を常にモニタしてその結果を基に直流バイアスを制御することが必要となる。このような光出力のモニタは、光変調器の用途だけに限られるものではなく、例えばマッハツェンダ型の可変光アッテネータなどでも、温度変化等に対応して光減衰量を調整するために必要となる。
上記のような光出力モニタの必要性に対応して、従来、光導波路デバイスの内部に光出力モニタ用の受光素子を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】 特開2002−182050号公報
ところで、従来の光導波路デバイスは、光導波路の端面から出射される主信号光をレンズ結合系を介して出力光ファイバに導く構成のものや、光導波路の端面と出力光ファイバとを直接突き合わせるバットジョイント(butt joint)型のものが知られている。レンズ結合系を用いた構成では、光導波路デバイスの主信号光が出力される基板側面とレンズ結合系との間には所要のスペースが存在するため、そのスペースを利用して光出力モニタ用の受光素子を配置することができ、十分なモニタ光を受光することが可能である。
一方、バットジョイント型の場合では、出力光ファイバが非常に細いので光導波路の端面にファイバを単純に接着しただけでは強度が不足するため、例えば図20(A)に示すように、V溝ファイバブロックやガラスフェルール等のファイバ固定部材120を使用して、出力光ファイバ110を主信号光出力側の光導波路101Aの端面に固定させる必要がある。このようなファイバ固定部材120を使用した構成において、光出力モニタ用の受光素子130をファイバ固定部材120の裏側(光導波路デバイスとは反対側)に配置すると、ファイバ固定部材120が邪魔になってモニタ側の光導波路101Bから出射されるモニタ光を十分に受光することが難しくなってしまう。これを回避するためには、例えば図20(B)に示すように、ファイバ固定部材120の形状等を複雑なものにしなければならない。前述した特許文献1に示されている補強用キャピラリは、より複雑な形状のファイバ固定部材の一例と考えられる。このようなファイバ固定部材の複雑化は、光導波路デバイスのコスト上昇を招いてしまうなどの問題点がある。
上記のようなバットジョイント型の構成における問題点を解消して光出力モニタを確実に行うための1つの方策として、光導波路デバイスの主信号光が出力される基板側面とは異なる基板側面(具体的に図20に示した構成では手前または奥に位置する側面)からモニタ光を導き出すようにするのが有効である。しかし、このような構成を実現するためには、次のような課題を解決する必要がある。
第1の課題は、例えば図21に示したように、曲がり導波路を使用してモニタ光を導き出した場合に、基板側面での反射および放射損失が問題となることである。すなわち、具体例としてLN変調器を考えると、通常使用されるLN変調器の基板100の幅wは1mm〜2mm程度である。このため、モニタ側の曲がり導波路101Bを伝搬した光が基板側面で全反射しない角度で導き出されるようにするためには、曲がり導波路101Bの曲率半径Rcを1mm〜2mm前後とする必要がある。一方、曲がり導波路101Bにおいて放射損失の発生しない曲率半径Rcは30mm以上が必要である。このため、図21(A)に示したように、曲がり導波路101Bでの放射損失を防ぐために30mm以上の曲率半径Rcを確保すると、モニタ光が基板側面で全反射してしまうと共に、基板サイズの大型化を招くことにもなる。また、図21(B)に示したように、基板側面での全反射を防ぐために曲がり導波路101Bの曲率半径Rcを2mm以下に設定すると、モニタ光が曲がり導波路101Bの途中で導波路外に放射されてしまう。従って、単純に曲がり導波路を形成したのでは十分なモニタ光を受光することが困難となる。
第2の課題は、例えば図22に示すように、基板の表面に発生したチッピングが原因となってモニタ光の受光が難しくなることである。すなわち、LN変調器等を形成するチップは、ダイシング装置などを利用して基板材料をカットして得られるが、そのカットの際にチップの上面や下面に数十μmの凹凸が発生する。この凹凸はチッピングとも言われる。LN変調器チップは、Ti等の拡散処理によりチップの上面に光導波路が形成されており、モニタ光が導き出される基板側面にチッピングが発生していると、十分なモニタ光を得ることが難しくなる。従って、モニタ光を取り出す基板側面についてチッピング対策等を行う必要がある。
第3の課題は、モニタ光を受光するための受光素子を確実に搭載することが困難な場合が生じることである。すなわち、モニタ光用の受光素子の搭載方法の1つとして、モニタ光を導き出す基板側面に受光素子を張り付ける方法が考えられるが、受光素子の大きさが300μm以上あるため、前述したように光導波路が基板上部に形成されている場合に受光素子を基板側面に張り付けると、図23に示すように受光素子がチップの上面からはみ出してしまう。このため、受光素子の張り付けが非常に難しくなり信頼度を含めた問題が発生する。
本発明は上記の各課題に着目してなされたもので、光導波路を伝搬した光を限られた基板サイズの範囲内で十分なパワーを保って所望の基板側面から導き出すことのできる光導波路デバイスを提供することを第1の目的とする。また、基板表面に発生するチッピングの影響を抑えた光導波路デバイスを提供することを第2の目的とする。さらに、基板から導き出される光を受ける受光素子を基板に確実に搭載することのできる光導波路デバイスを提供することを第3の目的とする。
【発明の開示】
このため、本発明に係る光導波路デバイスの1つの態様は、基板に形成した光導波路を備えて構成される光導波路デバイスにおいて、前記基板に対して前記光導波路の光出力側の端部近傍に形成した溝を有し、該溝の側壁を反射面として前記光導波路から出力される光を反射し、当該反射光が基板側面から出射されるものである。
上記のような構成の光導波路デバイスでは、基板に形成された光導波路の端部から出力される光が溝の反射面で反射されて伝搬方向が切り替えられ、その反射光が基板内を伝搬して基板側面から出射されるようになる。これにより、前述した曲がり導波路を用いる場合のような基板側面での反射や放射損失の問題を回避して、基板サイズの大型化を招くことなく所望の基板側面に十分なパワーの光を導き出すことが可能になる。
上記の光導波路デバイスについて、溝の反射面は、基板の表面に垂直な方向に対して斜めに形成され、光導波路から出力された後に基板表面に沿って伝搬する光を、基板表面の下方に逸れた方向に反射するようにしてもよい。これにより、光導波路を伝搬した光が出射される基板側面近くの表面に凹凸(チッピング)が発生していても、そのチッピングよりも下方の基板側面から光が出射されるようになるため、チッピングの影響による光パワーの低下を回避することが可能になる。
また、本発明に係る光導波路デバイスの他の態様は、基板に形成した光導波路を備えて構成される光導波路デバイスにおいて、前記光導波路の一部に基板側面まで達する曲がり導波路を有すると共に、該曲がり導波路の少なくとも半径方向外側に位置し、かつ、前記曲がり導波路の長手方向に沿って形成した溝部を備え、該溝部内の屈折率が、前記基板の光導波路以外の部分の屈折率よりも小さくなるように設定されたものである。
上記のような構成の光導波路デバイスでは、光導波路を伝搬する光は曲がり導波路を通って所望の基板側面から出射されるようになる。この曲がり導波路には、少なくとも半径方向外側に、基板の屈折率よりも小さな屈折率をもつ溝部が長手方向に沿って形成されていて、この溝部による光の閉じ込め効果によって曲がり導波路を伝搬する光の放射損失が抑えられる。これにより、曲率半径の小さな曲がり導波路を用いても十分なパワーの光を所望の基板端面に導き出すことが可能になる。
また、上記の光導波路デバイスについては、曲がり導波路を伝搬した光が出射される基板側面の上部に、基板表面でのチッピングの発生を防ぐブロック材を備えるようにしてもよい。これにより、チッピングの影響による光パワーの低下を回避することが可能になる。さらに、基板側面から出射される光を受光するための受光素子を上記のブロック材を利用して基板側面に張り付けるようにしてもよい。これにより、基板側面への受光素子の搭載を容易かつ確実に行うことができるようになる。
また、本発明に係る光導波路デバイスの別の態様は、基板上に形成されている第1光導波路と、前記基板の端面の上部で前記第1光導波路上に設けたブロック材と、前記第1光導波路から分岐すると共に、前記第1光導波路の端部が位置する前記基板の端面とは異なる端面で、かつ、前記ブロック材の下に、光導波路の端部を有する第2光導波路と、を備えて構成されるものである。
上記のような構成の光導波路デバイスでは、第1光導波路の端部が位置する基板端面でのチッピングの発生と、それとは異なる第2光導波路の端部が位置する基板端面でのチッピングの発生とが共通のブロック材によりそれぞれ防止されるようになるため、第1および第2光導波路から出力される光に対するチッピングの影響を簡略な構成により抑えることが可能になる。
なお、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面に関連する実施態様についての以下の説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す斜視図である。
図2は、図1のA−A’断面を拡大して示した図である。
図3は、第1実施形態における光導波路の形成工程を示す図である。
図4は、第1実施形態における反射溝の形成工程を示す図である。
図5は、第1実施形態における電極の形成工程を示す図である。
図6は、第1実施形態においてLNチップをカットする前の基板材料を示す図である。
図7は、第1実施形態に関連した反射溝の他の構成例を示す断面図である。
図8は、図7の反射溝に関連した光導波路デバイスの応用例を示す斜視図である。
図9は、図8の応用例に関連した改良例を示す斜視図である。
図10は、第1実施形態に関連してY分岐カプラを使用した場合の構成例を示す斜視図である。
図11は、本発明の第2実施形態による光導波路デバイスの構成を示す斜視図である。
図12は、図11の出力側カプラおよびモニタ光出力導波路付近を拡大して示した上面図である。
図13は、図12のB−B’断面を拡大して示した図である。
図14は、第2実施形態におけるモニタ光の閉じ込め効果を確認するためのシミュレーション結果を示す図である。
図15は、第2実施形態におけるモニタ光の閉じ込め効果を確認するための実験結果を示す図である。
図16は、第2実施形態に関連した光導波路デバイスの応用例を示す斜視図である。
図17は、図16の応用例に関連した改良例を示す斜視図である。
図18は、第2実施形態に関連してY分岐カプラを使用した場合の構成例を示す斜視図である。
図19は、一般的なマッハツェンダ型光変調器の光出力特性を示す図である。
図20は、従来のバットジョイント型についての問題点を説明する図である。
図21は、曲がり導波路を適用した場合の課題を説明する図である。
図22は、モニタ光に対するチッピングの影響を説明する図である。
図23は、従来のモニタ光用受光素子の搭載方法の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る光導波路デバイスの実施形態について添付図面に基づいて説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
図1は、本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す斜視図である。
図1において、本実施形態の光導波路デバイスは、例えば、基板10の表面に形成したマッハツェンダ型の光導波路11と、その光導波路11に沿って基板10の表面に形成した電極12と、光導波路11のモニタ光出力側の端部近傍に形成した反射溝13と、その反射溝13で反射され基板10の側面から出射されるモニタ光を受光する受光素子14と、光入出力端でのチッピングの影響を防ぐブロック材15と、を備えて構成される。
基板10は、例えばZ−カットのLN基板等が使用される。光導波路11は、入力導波路11A、入力側カプラ11B、平行導波路11C,11D、出力側カプラ11E、主信号光出力導波路11Fおよびモニタ光出力導波路11Gからなり、マッハツェンダ干渉計を構成している。入力導波路11Aは、基板10の一側面(図1中の左側側面)に臨む一端から光Lが入力され、他端が入力側カプラ11Bの2つの入力ポートうちの一方に接続されている。入力側カプラ11Bは、入力導波路11Aからの光Lを2つに分岐して各平行導波路11C,11Dに与える。出力側カプラ11Eは、各々の平行導波路11C,11Dを合波した後に主信号光Lsおよびモニタ光Lmに分岐して主信号光出力導波路11Fおよびモニタ光出力導波路11Gにそれぞれ与える。ここでは、入力側および出力側のカプラ11B,11Eとして、例えば方向性結合器またはマルチモード干渉(MMI)カプラが使用される。
電極12は、例えば、電極パターン12A,12Bおよび電極パッド12Cから構成される。電極パターン12Aは、平行導波路11D上を通る所要の形状にパターニングされている。一方、電極パターン12Bは、電極パターン12Aとは一定の距離を隔てて、平行導波路11C上を通る所要の形状にパターニングされている。電極パッド12Cは、各電極パターン12A,12Bに高周波電気信号を印加するための端子に相当するものであり、ここではモニタ光が導き出される基板側面(図1中の奥側に位置する側面)の近くに配置されている。なお、一方の電極パターンを接地電極として使用する場合には、その電極パッドを接地端子に接続する。
反射溝13は、例えばフォトリソグラフィー法などを利用して、基板10表面の所定の位置に所望の形状の溝を設けることによって、モニタ光出力導波路11Gの終端から基板10内に放射されるモニタ光Lmを反射する反射面13Aを形成し、その反射光Lm’が基板側面(図1中の奥側に位置する側面)に向けて伝搬するようにしたものである。この反射溝13は、例えば図2のA−A’断面図に示すように、反射面13Aが基板10の垂直方向に対して斜めに傾いており、基板10の表面に沿って伝搬するモニタ光Lmの反射光Lm’が基板10の下方に若干逸れて伝搬するようになっている。
なお、図2中の符号16は、基板10の表面全体に形成したバッファ層を示しており、符号17は、バッファ層16上に形成したSi膜を示している。バッファ層16は、電極12による光の吸収損失防止とインピーダンス整合とを実現するためのものであり、具体的にはSiO等からなる。また、Si膜17は、温度ドリフトを抑圧するためのものである。
受光素子14は、反射溝13で反射されて基板側面から出射されるモニタ光Lm’を受光し、モニタ光Lm’のパワーに応じて変化する電気信号を発生する。この受光素子14は、基板側面から出射されるモニタ光Lm’を受光可能な任意の位置に配置することができ、例えば、基板側面に張り付けてもよく、また、基板側面から所要の距離隔てた位置に取り付けてもよい。
ブロック材15は、上述したような基板10の表面に発生するチッピングが入出力光に影響を与えないようにするために、基板10の対向する両側面(図1中の左側および右側の各側面)の上部にガラスやLNブロック等を張り付けたものである。ただし、このブロック材15は、入出力光に対するチッピングの影響が小さい場合には省略することも可能である。
なお、主信号光Lsが出力される基板10の側面には、図示を省略したが、主信号光出力導波路11Fの一端にバットジョイントされる出力光ファイバを固定するためのファイバ固定部材(例えば、V溝ファイバブロックやガラスフェルール等)が設けられている(図20参照)。
ここで、上記のような光導波路デバイスの製造方法について具体的に説明する。
まず、例えば図3に示す各工程に従って、LN基板10に対する光導波路11の形成を行う。具体的には、LN基板10に対して光導波路11となるべきチタン(Ti)等の蒸着を行い、1000Å程度のTi膜を形成する(図3(A)および(B))。そして、そのTi層上にフォトレジストを1μm前後塗布した後、一般的なフォトリソグラフィー法によりマッハツェンダ干渉計に対応させてレジストをパターニングし、さらに、そのレジストをマスクとしてTi膜のパターン化を行う(図3(C))。なお、上記のパターン化に際しては、ドライエッチングを適用してもウェットエッチングを適用してもよい。Ti膜のパターン化が終わると、Tiを1000℃〜1100℃にてLN基板10内に拡散して表面近傍にマッハツェンダ型の光導波路11を形成する(図3(D))。
なお、上記の工程では、Tiを熱拡散させてLN基板10に光導波路11を形成する一例を示したが、例えば、Tiに代えてMgを用いてもよい。また、Ti膜をパターン化した後にプロトン交換法を用いて光導波路11を形成することも可能である。
次に、例えば図4に示す各工程に従って反射溝13の形成を行う。まず、上記光導波路11の形成の場合と同様にして、フォトリソグラフィー法により基板10上の所定の位置に反射溝形成用のパターンを作成する。その際、反射溝13の反射面13Aを基板10の垂直方向に対して斜めに形成するべく、例えば、レジストを段階状にずらしてパターニングして斜めのレジストを実現する(図4(A))。そして、このレジストをマスクとして、ドライエッチングにより基板10に対して反射溝13を形成する(図4(B))。このとき、レジストが斜めに形成されているので反射溝13の側壁は斜めに形成されるようになる(図4(C))。
光導波路11および反射溝13の形成が終わると、次に、例えば図5に示す各工程に従って電極12の形成を行う。まず、電極による光の吸収損失を防止すると共にインピーダンスの整合をとるためのバッファ層16を、スパッタや電子ビーム(EB)蒸着器等を使用して、基板10の表面に形成する(図5(A)および(B))。このバッファ層の厚さは、必要帯域や電気反射量に応じて最適化されるが、0.5μm〜1.0μmが一般的である。バッファ層16が形成されると、温度ドリフトを抑圧するためのSi膜17を、スパッタ等にてバッファ層16上に蒸着する(図5(C))。Si膜17の厚さは、0.1μm前後とするのがよい。次に、電極形成用の下地として金(Au)の蒸着を行う。この金の蒸着はEB蒸着器等を用いて0.1μm程度の厚さで行う。そして、前述の光導波路11の形成の場合と同様にしてレジストのパターン化後にエッチングを行い、さらに、電極用の金メッキを行う(図5(D))。この金メッキの厚さも、バッファ層の厚さと同様に、必要帯域や電気反射量に応じて最適化されるが、5〜20μm程度が一般的である。
上記のようにして基板10に対する光導波路11、反射溝13、バッファ層16、Si膜17および電極12の形成が終わると、次に、基板10の光入出力端の上部にチッピング防止用のブロック材15を張り付ける。図6は、ブロック材15が張り付けられた基板材料の上面図である。この基板材料のブロック材上の点線部分と各LNチップの境界部とをダイシング装置などを利用してカットした後、モニタ光が導き出される基板側面の所定の位置に受光素子14を取り付ける。
上述したような一連の工程により製造された光導波路デバイスでは、基板10の光入力側面に与えられた光Lが、入力導波路11Aを伝搬して入力側カプラ11Bで2分岐され、各平行導波路11C,11Dをそれぞれ伝搬する。このとき、電極パターン12A,12Bに印加される電気信号に応じて、各平行導波路11C,11Dを伝搬する光に位相差が与えられ、出力側カプラ11Eで各々の光が合波された後に主信号光Lsおよびモニタ光Lmにそれぞれ分岐される。主信号光Lsは、主信号光導波路11Fを伝搬して基板10の側面から出射され、主信号光導波路11Fの端面にバットジョイントされた出力光ファイバに導かれる。
一方、出力側カプラ11Eで分岐されたモニタ光Lmは、モニタ光出力導波路11Gを伝搬して、その端面から基板10内に放射され、反射溝13の反射面13Aに到達して反射される。反射面13Aで反射されたモニタ光Lm’は、前述の図2に示したように反射面13Aが基板10の垂直方向に対して斜めになっているので、基板10の表面に対して下方に逸れた方向に向けて基板10内を伝搬し、主信号光Lsの出射側面とは異なる基板側面に導き出される。このため、基板側面に到達したモニタ光Lm’は、基板表面に発生するチッピングよりも下方の位置から出射されるようになり、チッピングの影響を受けることなく受光素子14で受光されるようになる。なお、チッピングは基板の表面だけでなく裏面にも発生するため、基板側面に到達するモニタ光Lm’が表裏面のチッピングの中間の位置から導き出されるように、反射面13Aの傾斜角度を設定するのが望ましい。
そして、受光素子14では、受光したモニタ光Lm’が電気信号に変換され、その電気信号が図示しない制御部等に送られて光導波路デバイスの動作点などのフィードバック制御に利用される。
このように第1実施形態の光導波路デバイスによれば、モニタ光出力導波路の先に反射溝13を設けてモニタ光Lmを反射させるようにしたことで、基板サイズの大型化を招くことなく主信号光Lsの出射側面とは異なる基板側面にモニタ光Lm’を導き出すことができるようになる。これにより、バットジョイント型の場合においても受光素子14で十分なモニタ光を受光することができ、光導波路デバイスの動作点などのフィードバック制御を確実に行うことが可能になる。また、基板10の表面に垂直な方向に対して斜めの反射面13Aを形成したことで、モニタ光が導き出される基板側面にチッピングが発生していても、そのチッピングよりも下方からモニタ光が出射されるようになるため、チッピングの影響によるモニタ光の低下を回避することができる。さらに、電極12の電極パッド12Cが配置される側と同じ側に位置する基板側面にモニタ光を導き出すようにしたことで、電気信号配線の外部とのインターフェースを基板10の1つの側面に集めることができるため、光導波路デバイスを外部回路等に効率的に搭載することが可能になる。このような光導波路デバイスは、例えば光変調器や光スイッチ、可変光アッテネータなどの用途に有用である。
なお、上記の第1実施形態では、モニタ光を導き出す基板側面でのチッピングの影響を考慮して斜めの反射面13Aを設けるようにしたが、チッピングの影響が小さい場合には、例えば図7のA−A’断面図に示すように基板10の表面に垂直となるような反射面13Aを形成して、反射面13Aで反射されたモニタ光Lm’が基板表面に沿って伝搬されるようにしても構わない。また、図7のような垂直な反射面13Aを設けた場合の応用例として、例えば図8に示すように、モニタ光が導き出される基板側面の上部にブロック材16を張り付けるようにすれば、主信号光Lsの出力側面と同様にして、モニタ光に対するチッピングの影響を抑えることが可能である。この場合、ブロック材16を利用して受光素子14を基板側面に張り付けることが可能になるため、受光素子14の搭載を容易に行うことができ信頼度の向上を図ることも可能になる。さらに、例えば図9に示すように、主信号光Lsの出力側面の上部に設けたブロック材15の下方に位置する基板側面からモニタ光が導き出されるように、ブロック材15の形状や反射溝13の配置などを設計することにより、ブロック材の部品点数を減らしてコストの削減を図ることが可能になる。加えて、上記図8や図9の構成において、厚さが300μm以上のブロック材を使用するようにすれば、基板側面およびブロック材に対して受光素子14の全面を張り付けることができるため、一層安定した受光素子14の取り付けが可能になる。
また、上記の第1実施形態では、マッハツェンダ型の光導波路11を構成する入力側および出力側の各カプラ11B,11Eとして方向性結合器またはMMIカプラを使用する場合を説明したが、例えば図10に示すように、Y分岐型カプラ11B’,11E’を用いてマッハツェンダ型の光導波路11を構成したときにも本発明は有効である。この場合、各平行導波路11C,11Dを伝搬する光にπの奇数倍の位相差が与えられると、各々の光は出力側カプラ11E’で合波されることで互いに打ち消し合って主信号光Lsがオフ状態となる。このとき、打ち消し合った光は出力導波路11Fの外に漏れ出して基板10内に放射されることになる。この出力導波路11F外の基板10内を伝搬する放射モード光の一部(図10では出力導波路11Fよりも奥側の基板内に放射された光)をモニタ光Lmとして反射溝13で反射させ、その反射光Lm’を主信号光Lsの出力側面とは異なる基板側面に導き出すことで、前述の第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることが可能になる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図11は、第2実施形態の光導波路デバイスの構成を示す斜視図である。
図11において、本実施形態の光導波路デバイスの構成が上述の図1に示した第1実施形態の場合と異なる部分は、モニタ光出力導波路11Gに曲率半径の小さな曲がり導波路を適用すると共に、その曲がり導波路の半径方向外側に溝部20を形成した部分である。上記以外の他の部分の構成は第1実施形態の場合と同様である。このため、ここではモニタ光出力導波路11Gおよび溝部20の構成について詳しく説明する。
図12は、図11における出力側カプラ11Eおよびモニタ光出力導波路11G付近を拡大して示した上面図である。また、図13は、図12のB−B’断面を示す図である。
モニタ光出力導波路11Gは、図12に示すように、出力側カプラ11Eの一方の出力ポートに繋がる直線部分と、その直線部分の先に繋がる曲がり部分とから構成される。モニタ光出力導波路11Gの曲がり部分は、ここでは一定の曲率半径Rcを有し、その先端が主信号光の出力側面とは異なる基板側面まで伸びている。上記の曲率半径Rcは、例えば0.5〜5mm程度の小さな値に設定され、幅の狭い基板10でも基板サイズの大型化を招くことなく基板側面でモニタ光が全反射しないようになっている。
溝部20は、上記曲がり導波路の半径方向外側に位置する周囲の基板10を曲がり導波路の長手方向に沿って除去したものである。この溝部20は、例えば図13のB−B’断面図に示すように、基板10を取り除いて形成した一方の側壁の上端がモニタ光出力導波路11Gに接するようになっている。このような溝部20は、曲率半径Rcの小さな曲がり導波路を伝搬するモニタ光の閉じ込め効果を増大させる。
ここで、上記の溝部20によるモニタ光の閉じ込め効果について具体的に説明する。
上述の図21(B)に示したような曲率半径Rcの小さな曲がり導波路については、放射損失の発生を限りなく小さくすることが重要となる。放射損失の低減を図るための1つの手段として、曲がり導波路の周囲の屈折率を小さくして曲がり導波路における光の閉じ込め効果を大きくすることが有効である。具体的に、LN基板上に形成された曲がり導波路の場合、曲がり導波路の周りを囲むLN基板の屈折率は一般的に2.1〜2.2であり、この屈折率をできるだけ小さくすることで放射損失を低減させることが可能となる。このため、第2実施形態では、曲がり導波路の周囲のLN基板、特に、曲がり導波路の半径方向外側に位置するLN基板を除去して溝部20を形成することで、その溝部20の屈折率が理想的には空気の屈折率1.0にまで小さくなるようにして、曲がり導波路を伝搬するモニタ光Lmの閉じ込め効果を増大させている。実際には、図13の断面図に示したように、溝部20の上部にはバッファ層16や接着剤が存在することになるが、これらの屈折率は1.4〜1.5程度でありLN基板の屈折率に比べて十分に小さいため、光の閉じ込め効果は大きい。上記の内容をシミュレーションにより確認した一例を図14に示す。
上記のシミュレーションでは、図14の上段に示すように、曲がり導波路を、それと等価な屈折率分布(a−a’断面における屈折率の変化を参照)を有する直線導波路に見立てて、導波路を伝搬する光の強度を計算している。図14の中段に示すシミュレーション結果は、上述した図21(B)に示したような従来の曲がり導波路について、曲率半径を1mm、導波路の幅wを7μm、導波路周囲の屈折率を2.2に設定して計算を行った一例である。このシミュレーション結果に示すように、従来の曲がり導波路では、光の伝搬後10μm程度で殆ど全ての光が導波路外に漏れ出していることが分かる。一方、図14の下段に示すシミュレーション結果は、曲がり導波路の周囲の屈折率を小さくした場合の一例として、曲率半径を0.5mm、導波路の幅wを5μm、導波路周囲の屈折率を1.0に設定して計算を行った一例である。このシミュレーション結果に示すように、曲率半径を0.5mmまで小さくした場合でも、曲がり導波路に沿って光が伝搬しており、十分な光の閉じ込め効果が得られることが分かる。
また、図15に示す実験結果は、曲がり導波路の半径方向外側における溝部20の形成位置を変化させた場合に放射損失がどのように変化するかを測定した一例である。ここでの実験は、図15の上段に示すように、曲がり導波路の中心と溝部20の側壁の上端との間の距離をRwsとし、そのRwsの値および曲がり導波路の曲率半径Rcを変化させて、曲がり導波路の損失の測定を行っている。具体的に、図15の中段に示した測定データは、曲がり導波路の幅Dを6μmに固定し、曲がり導波路と溝部20の間の距離Rwsを0μm〜3μmの範囲で段階的に設定したときに得られる、曲率半径Rcに対する損失をまとめたものである。この測定データより、Rwsを3μmに設定したとき、すなわち、溝部20の側壁の上端が曲がり導波路に接するような位置関係の場合に損失が最も減少することが分かる。また、Rwsを3μmよりも短くしたとき、すなわち、曲がり導波路の一部を除去した状態においても、曲率半径Rcの設定によっては損失を比較的小さな値に抑えることができることも分かる。さらに、図15の下段に示した測定データは、曲率半径Rcを1mmに固定し、曲がり導波路の幅Dを6μm〜10μmの範囲で段階的に設定したときに得られる、Rwsに対する損失をまとめたものである。この測定データからは、例えば曲がり導波路の幅を6μmとした場合に顕著なように、Rswが3μmを超える、すなわち、曲がり導波路と溝部20が接した状態(Rsw=3μm)から離れて行くと、損失が増大する傾向にあることが分かる。
上記のようなシミュレーションおよび実験の結果より、第2実施形態の光導波路デバイスによれば、モニタ光出力導波路11Gの後半に配置された曲率半径の小さな曲がり導波路に対して溝部20を形成することによって、曲がり導波路を伝搬するモニタ光Lmを導波路内に効果的に閉じ込めておくことができ、特に、曲がり導波路に接するような位置に溝部20を設けるようにすれば、モニタ光出力導波路11Gの曲がり部分での放射損失をより効果的に低減することが可能になる。従って、第1実施形態の場合に得られる効果と同様に、基板サイズの大型化を招くことなく主信号光Lsの出射側面とは異なる基板側面にモニタ光を導き出すことができ、バットジョイント型の場合においても受光素子14で十分なモニタ光を受光することが可能になる。また、電極12の電極パッド12Cが配置される側と同じ側に位置する基板側面にモニタ光を導き出すようにしたことで、電気信号配線の外部とのインターフェースを基板10の1つの側面に集めることができるため、光導波路デバイスを外部回路等に効率的に搭載することが可能になる。このような光導波路デバイスは、例えば光変調器や光スイッチ、可変光アッテネータなどの用途に有用である。
なお、上記の第2実施形態では、モニタ光に対するチッピングの影響について特に考慮していないが、上述の図8に示した場合と同様にして、モニタ光が導き出される基板側面の上部にブロック材16を張り付けて、モニタ光に対するチッピングの影響を抑えるようにすることも勿論可能である。また、上述の図9に示した場合と同様にして、主信号光Lsの出力側面の上部に設けたブロック材15の下方に位置する基板側面からモニタ光が導き出されるように、ブロック材15およびモニタ光出力導波路11Gの形状を設計することにより、ブロック材の部品点数を減らしてコストの削減を図ることが可能になる。上記の図8および図9に対応した第2実施形態の応用例の構成を図16および図17にそれぞれ示しておく。
また、上記の第2実施形態では、曲がり導波路の半径方向外側にだけ溝部20を形成するようにしたが、曲がり導波路の半径方向内側についても、外側と同様の溝部を形成するようにして、いわゆるリッジ導波路と同様な断面形状を有する曲がり導波路とすることも可能である。
加えて、上記のような曲がり導波路の両側に溝部を形成する構成を応用することにより、マッハツェンダ型の光導波路11を構成する入力側および出力側の各カプラとしてY分岐型カプラを用いた光導波路デバイスについても対応することが可能である。具体的には、例えば図18に示すように、Y分岐型カプラ11B’,11E’を用いてマッハツェンダ型の光導波路11を構成した光導波路デバイスについて、主信号光Lsがオフ状態となるときに出力導波路11Fの外に漏れ出す放射モード光の一部をモニタ光として基板側面に導き出すための1組の曲がり溝部20A,20BをLN基板10に形成する。曲がり溝部20A,20Bによって挟まれたLN基板部分は、曲がり溝部20A,20Bに比べて高い屈折率(2.1〜2.2)を有するため、モニタ光用の曲がり導波路として機能するようになり、前述した第2実施形態の場合と同様の作用効果を得ることが可能になる。
また、上述した第1および第2実施形態では、十分なモニタ光を所望の基板側面に導き出すために、基板10に対して反射溝13を形成したり、曲がり導波路の外側に溝部20を設けたりしたが、このような反射溝13や溝部20を利用した構成は、モニタ光以外の光を限られた基板サイズの範囲内で所望の基板側面に導き出す場合にも応用可能である。例えば、上述した各実施形態の主信号光Ls側の出力導波路についてモニタ光側と同様の構成を適用することにより、幅の狭いLN基板内の長手方向の側面から主信号光Lsを取り出すことが可能になる。
加えて、上述した第1および第2実施形態では、Z−カットのLN基板を使用した一例について説明したが、本発明はこれに限らず、X−カットのLN基板を使用した光導波路デバイスに対しても有効であり、さらには、LN基板以外の各種の基板を用いた光導波路デバイスについても適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明は、基板に対して溝を設けて反射面を形成し、あるいは、曲がり導波路の少なくとも半径方向外側に溝部を設けるようにしたことで、基板サイズの大型化を招くことなく所望の基板側面に十分なパワーの光を導き出すことの可能な光導波路デバイスを提供することができ、また、基板側面付近に発生するチッピングの影響も簡略な構成によって回避することが可能な光導波路デバイスが実現され、このような光導波路デバイスは、例えば、光通信システムに用いられる光変調器や光スイッチ、可変光アッテネータなどとして有用であり、産業上の利用可能性が大である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成した光導波路を備えて構成される光導波路デバイスにおいて、
前記基板に対して前記光導波路の光出力側の端部近傍に形成した溝を有し、該溝の側壁を反射面として前記光導波路から出力される光を反射し、当該反射光が基板側面から出射されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路デバイスであって、
前記光導波路は、入力導波路と、該入力導波路を伝搬した光を2つに分岐する入力側カプラと、該入力側カプラで分岐された各光が与えられる一対の平行導波路と、該各平行導波路を伝搬した光を合波する出力側カプラと、該出力側カプラを伝搬した光が与えられる出力導波路とを備え、マッハツェンダ干渉計を構成し、
前記溝は、前記出力導波路のモニタ光が出力される端部近傍に形成され、前記反射面で反射したモニタ光を基板側面に導き出すことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の光導波路デバイスであって、
前記溝の反射面は、前記基板の表面に垂直な方向に対して斜めに形成され、前記光導波路から出力された後に基板表面に沿って伝搬する光を、基板表面の下方に逸れた方向に反射することを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の光導波路デバイスであって、
前記溝の反射面は、基板表面および基板裏面から予め設定した距離だけそれぞれ離れた領域内に位置する前記基板側面から反射光が出射されるように、前記基板の表面に垂直な方向に対して斜めに形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の光導波路デバイスであって、
前記光導波路から出力され前記溝で反射された光が出射される基板側面の上部に、基板表面でのチッピングの発生を防ぐブロック材を備えたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項6】
請求項2に記載の光導波路デバイスであって、
前記出力導波路から出力され前記溝で反射されたモニタ光が出射される基板側面の上部と、前記出力導波路を伝搬した主信号光が出射される基板側面の上部とに、基板表面でのチッピングの発生を防ぐブロック材をそれぞれ備えたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光導波路デバイスであって、
前記溝で反射されたモニタ光が、主信号光側に対応する前記ブロック材の下方に位置する基板側面から出射されるようにして、モニタ光側に対応する前記ブロック材を主信号光側と共通化したことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項8】
請求項6に記載の光導波路デバイスであって、
モニタ光を受光するための受光素子を備え、該受光素子が、前記ブロック材を利用してモニタ光が出射される基板側面に張り付けられたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項9】
請求項2に記載の光導波路デバイスであって、
前記出力側カプラが、方向性結合器およびマルチモード干渉カプラのいずれかであり、
前記出力導波路は、前記出力側カプラの主信号光が出力されるポートに接続する主信号光出力導波路と、前記出力側カプラのモニタ光が出力されるポートに接続するモニタ光出力導波路と、を有することを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項10】
請求項2に記載の光導波路デバイスであって、
前記出力側カプラが、Y分岐カプラであり、該Y分岐カプラの合波ポートに前記出力導波路が接続し、主信号光がオフ状態になるときに前記出力導波路外に漏れ出す光をモニタ光として使用することを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項11】
請求項2に記載の光導波路デバイスであって、
前記平行導波路に対応させて設けられた電極を有し、該電極に外部より電気信号を印加するための電極パッドが配置される側の基板側面に、前記溝で反射された光が出射されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項12】
基板に形成した光導波路を備えて構成される光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路の一部に基板側面まで達する曲がり導波路を有すると共に、該曲がり導波路の少なくとも半径方向外側に位置し、かつ、前記曲がり導波路の長手方向に沿って形成した溝部を備え、該溝部内の屈折率が、前記基板の光導波路以外の部分の屈折率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の光導波路デバイスであって、
前記光導波路は、入力導波路と、該入力導波路を伝搬した光を2つに分岐する入力側カプラと、該入力側カプラで分岐された各光が与えられる一対の平行導波路と、該各平行導波路を伝搬した光を合波する出力側カプラと、該出力側カプラから出力される主信号光が与えられる主信号光出力導波路と、前記出力側カプラから出力されるモニタ光が与えられるモニタ光出力導波路と、を備え、マッハツェンダ干渉計を構成し、
前記モニタ光出力導波路の一部に前記曲がり導波路を有し、該曲がり導波路を伝搬したモニタ光が基板側面から出射されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の光導波路デバイスであって、
前記溝部は、その側壁が前記曲がり導波路に接する位置に形成されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項15】
請求項12に記載の光導波路デバイスであって、
前記曲がり導波路を伝搬した光が出射される基板側面の上部に、基板表面でのチッピングの発生を防ぐブロック材を備えたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項16】
請求項13に記載の光導波路デバイスであって、
前記モニタ光出力導波路を伝搬したモニタ光が出射される基板側面の上部と、前記主信号光出力導波路を伝搬した主信号光が出射される基板側面の上部とに、基板表面でのチッピングの発生を防ぐブロック材をそれぞれ備えたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の光導波路デバイスであって、
前記モニタ光出力導波路を伝搬したモニタ光が、主信号光側に対応する前記ブロック材の下方に位置する基板側面から出射されるようにして、モニタ光側に対応する前記ブロック材を主信号光側と共通化したことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項18】
請求項16に記載の光導波路デバイスであって、
モニタ光を受光するための受光素子を備え、該受光素子が、前記ブロック材を利用してモニタ光が出射される基板側面に張り付けられたことを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項19】
請求項13に記載の光導波路デバイスであって、
前記出力側カプラが、方向性結合器およびマルチモード干渉カプラのいずれかであることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項20】
請求項13に記載の光導波路デバイスであって、
前記平行導波路に対応させて設けられた電極を有し、該電極に外部より電気信号を印加するための電極パッドが配置される側の基板側面に、前記曲がり導波路を伝搬したモニタ光が出射されることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項21】
基板に形成した光導波路を備えて構成される光導波路デバイスにおいて、
前記光導波路は、入力導波路と、該入力導波路を伝搬した光を2つに分岐する入力側カプラと、該入力側カプラで分岐された各光が与えられる一対の平行導波路と、該各平行導波路を伝搬した光を合波するY分岐カプラと、該Y分岐カプラから出力される主信号光が与えられる出力導波路と、を備え、マッハツェンダ干渉計を構成し、
前記出力導波路から漏れ出す光をモニタ光として、前記出力導波路を伝搬した主信号光が出射される基板側面とは異なる基板側面に前記モニタ光を導き出すための1組の曲がり溝部を前記基板に形成し、該各曲がり溝部内の屈折率が、各々の曲がり溝部の間に位置する前記基板の屈折率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項22】
基板上に形成した第1光導波路と、
前記基板の端面の上部で前記第1光導波路上に設けたブロック材と、
前記第1光導波路から分岐すると共に、前記第1光導波路の端部が位置する前記基板の端面とは異なる端面で、かつ、前記ブロック材の下に、光導波路の端部を有する第2光導波路と、を備えて構成されることを特徴とする光導波路デバイス。

【国際公開番号】WO2004/092792
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570888(P2004−570888)
【国際出願番号】PCT/JP2003/004845
【国際出願日】平成15年4月16日(2003.4.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】