説明

扉体開閉制御システム

【課題】住宅に設けられた扉体をペットに応じて自動開閉することにより、住人及びペット双方にとっての利便性を向上させる。
【解決手段】ペットに携帯させたペット用通信装置PK1,PK2等がペット専用出入口K1〜K3等のそれぞれの扉121,122及び室内ドア23等の近傍の所定エリア内に進入した場合、ペット用通信装置PK1,PK2等からペット個別の識別情報及びペット特有の情報が送信され、これらの情報が開閉装置D1,D2,D3等の通信部m1で受信される。各開閉装置D1,D2,D3等は、ペット識別情報や、ペット特有情報に含まれるペットの身体や行動特徴の情報等に基づいて、扉121,122や室内ドア23等をペットに応じて開閉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に設けられた扉体をペットに応じて自動開閉する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の内外又は住宅内の部屋間等をペットが自由に行き来するためのペット専用出入口が知られている。例えば、特許文献1の「ペット用出入口」は、サッシ戸、扉、壁又は間仕切り等の一部に方形状の開口部を設け、部屋の戸や扉を閉じたままでもその開口部を通してペットが部屋や屋内外を自由に出入りすることを可能としている。
【特許文献1】実開平6−51486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、ペット用出入口によるペットの出入を禁止又は許可するために、住人が出入口に設けられた扉等の施錠又は解錠を管理する必要がある。しかしながら、住人が施錠をし忘れた場合には、例えばペットが自由に出入を行い住人の目の届かない場所で問題行動を起こしたり、ペット以外の動物等が出入してしまう事態も想定される。一方、住人が解錠し忘れた場合には、例えばペットが住宅内に入ることができず屋外に長時間放置されたり、指定の給餌時間に給餌場所へ進入することができないといった事態が生じ得る。このため、住人が常時ペットの行動に注意を向けなければならず、労力を要することとなる。
【0004】
この労力を軽減する目的で予め解錠時間帯を設定しておき、自動で解錠状態としておくことも考えられる。しかしながら、その時間帯にタイミング良くペットが出入するとは限らず、またペット以外の動物等が出入してしまう事態がなお想定される。
【0005】
本発明は、住宅に設けられた扉体をペットに応じて自動開閉することにより、住人及びペット双方にとっての利便性を向上させる制御システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
本発明の扉体開閉制御システムは、住宅(住宅10)の開口部(出入口K1〜K3等)に設けられた扉体(扉121、扉122、室内ドア23等)を自動開閉するものであり、扉体近傍の所定エリア内にペットが進入したことを検知する検知手段(各開閉装置の制御部m3等)と、検知手段が前記進入を検知した場合にその検知結果に基づいて扉体を開閉させる開閉制御手段(各開閉装置の制御部m3等)とを備える。
【0008】
上記構成によれば、扉体近傍にペットが接近した場合にその検知結果に基づいて扉体が自動開閉されるため、従来のように住人が施解錠の管理を行わなくてもペットの行動又は特徴等に合わせて扉体の開閉が行われる。このため、住人の労力が軽減されると共に、ペットの出入が無駄に妨げられることがなく、住人及びペット双方にとっての利便性を高めることができる。また、解錠状態(開放状態)がむやみに継続されることがなく、特にペット以外の動物等について出入が防止されるという利点を得ることができる。
【0009】
開閉制御手段は、ペットを対象として扉体を開閉させるために予め設定された開閉制御情報を参照して扉体を開閉させることが好ましい。
【0010】
開閉制御情報として、例えば、ペットの移動速度が住人の歩行速度と相違するのであればそれに応じた扉体の開放時間の情報が設定されているとよい。また、ペットの入室が禁止される時間帯の情報等が設定されているとよい。こうした情報の設定により、ペットに応じた開閉制御を行うことができる。これにより、ペットにとっては出入を行う際の快適性が確保され、また住人にとっては施錠管理に伴う労力が軽減される。
【0011】
各ペットに携帯させる携帯型のペット用通信装置(ペット用通信装置PK1,PK2)と、前記所定エリア内に進入した当該携帯型通信装置と無線通信を行い当該携帯型通信装置に記憶されている各ペット個別の識別情報(ペットID)を受信する扉体通信装置(通信部m1を備えた各開閉装置)とを備えた構成であるとよい。
【0012】
そして、検知手段は、前記扉体通信装置にて受信したペット識別情報により前記所定エリア内にペットが進入したことを検知し、開閉制御手段は、扉体通信装置がペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットに対応した開閉制御情報に基づいて扉体を開放させることが好ましい。 ペットに携帯型の通信装置を携帯させ、そのペット用通信装置からペット識別情報を受信する扉体通信装置を設けておけば、扉体に接近したペットの識別情報を手掛かりとしてペットにとって最適な扉体開閉制御を行うことが可能となる。また、扉体の開放をペットに対応して最小必要限度で行うことができるため、開放の都度発生し得る空調の無駄等が抑制され、住人にとっても快適性が高められる。
【0013】
開閉制御情報には、各ペットの身体的特徴から決定される扉体の開度の情報が含まれていることが好ましい。この場合、開閉制御手段は、受信したペット識別情報で特定されるペットに対応した開度で扉体を開放させることができる。
【0014】
この構成では、各ペットの体高、体長、体幅、通過可能な最小スペース寸法等の身体的特徴に対応させて扉体の開度を異ならせることができるため、例えば開度が不足してペットが困惑するという事態が回避され、出入の際の快適性がさらに高められる。また、ペットに対応した最小必要限度で開放が行われるため、住人にとっても開放時に発生し得る無駄を抑制できるという利点が得られる。
【0015】
開閉制御情報には、各ペットの身体的特徴から決定される扉体の開放時間の情報が含まれていることが好ましい。この場合、開閉制御手段は、受信したペット識別情報で特定されるペットに対応した開放時間だけ扉体を開放させることができる。
【0016】
この構成では、各ペットの体長、移動速度(動きの迅速性)等の身体的特徴に対応させて扉体の開放時間を異ならせることができるため、例えば開放時間が不足してペットが困惑するという事態が回避され、出入の際の快適性がさらに高められる。また、ペットに対応した最小必要限度で開放が行われるため、住人にとっても開放時に発生し得る無駄を抑制できるという利点が得られる。
【0017】
扉体が設けられた部屋又は空間部の外側に前記所定エリアが設けられている場合、開閉制御情報に、ペットに関して前記部屋又は空間部への進入(入室)を許可するか否かの情報が含まれていることが好ましい。そして、前記開閉制御手段は、扉体通信装置が所定エリア内で前記ペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットの進入(入室)が許可されるときのみ扉体を開放させるとよい。なおこのとき、複数の部屋又は空間部が存在している場合には、その部屋又は空間部ごとに、進入(入室)を許可するか否かの情報が定められていることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、例えば特定の場所で問題行動を起こしがちなペットに関してその室内への入室が許可されない情報が得られ、ペットが扉体に接近しても扉体は開放されない。したがって、住人の目の届かない場所でペットが問題行動を起こすという事態が防止され、特に住人にとって大きな利点を得ることができる。
【0019】
なお、ここでいう「部屋又は空間部」とは、住宅に設けられた居室、玄関、廊下、トイレ等の各場所を示し、「部屋又は空間部の外側」とは、居室等の室外側や玄関ドアの屋外側を示す。
【0020】
前記扉体が設けられた部屋又は空間部にペットが存在するか否かの判定手段(各開閉装置の制御部m3等)をさらに備えることが好ましい。この判定手段は、例えばあるペットが部屋へ進入した後に、前記扉体通信装置がそのペットの識別情報を受信していない場合は、そのペットがその部屋に存在すると判定する。また、前記部屋又は空間部の外側に前記所定エリアが設けられており、前記開閉制御情報には、各ペットに関して同室を禁止される他のペットが存在するか否かの情報が含まれていることが好ましい。そして、前記開閉制御手段は、前記扉体通信装置が前記所定エリア内でペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報から特定されるペットが、前記部屋又は空間部に存在するペットと同室を禁止されないときのみ前記扉体を開放させるとよい。
【0021】
複数のペットを飼育している住宅では、例えば、犬と猫の組合せや、相性の悪いペット同士の組合せ等、ペットによっては同室を禁止した方がよい場合がある。上記構成では、あるペットが部屋等に存在する場合、その部屋等に他のペットが入室しようとすると、当該他のペットが同室を禁止されるか否かの情報が得られる。そして、同室禁止の情報が得られた場合は扉体が開放されないため、ペット同士の無用な争いを避けることができる。また、乱闘により室内の物品が破損する等の問題を回避することができるため、住人にとっても利点となる。
【0022】
住宅の住人に携帯される携帯型の住人用通信装置(住人用通信装置UK1〜UK4)と、扉体が設けられた部屋又は空間部に設置され、住人用通信装置が記憶している住人ごとの個別の識別情報(住人ID)を受信する受信装置(通信ポイント31)とをさらに有する場合、開閉制御情報には、ペットに関して住人と同室を禁止されるか否かの情報が含まれていることが好ましい。そして、前記開閉制御手段は、受信装置が住人識別情報を受信し、かつ、扉体通信装置が前記部屋又は空間部の外側に設けた所定エリア内でペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットが同室を禁止されないときのみ扉体を開放させるとよい。
【0023】
例えば、ペットが苦手な住人やペットと同室が禁止される乳児や高齢者等、住人によっては同室が禁止されるペットがいる場合がある。上記構成では、このような住人が存在する室がリアルタイムで把握され、かつ、当該住人との同室が禁止されるペットの情報が得られるため、当該室内に設けられた扉体にそのペットが接近しても扉体は開放されない。したがって、住人とっての快適性及び安全性が確保され、ひいてはペットが理不尽に忌避されるという事態を防止することができる。
【0024】
開閉制御情報に扉体の開放が許可される時間帯の情報が含まれていることが好ましい。そして、前記開閉制御手段は、扉体通信装置が所定エリア内でペット識別情報を受信した場合に、その時点が開放許可時間帯内であるときのみ扉体を開放させるとよい。
【0025】
上記構成によれば、例えば、住人の留守中や夜中等、ペットの入室を回避したい時間帯は開放許可時間帯とされず、その時点で扉体にペットが接近しても扉体は開放されない。したがって、外出時や睡眠時等にペットを拘束する必要がなく、住人にとっては利便性が向上し、ペットにとっては快適性が向上する。
【0026】
検知手段は扉体近傍の所定エリア内に進入したペットの大きさを検知するものであり、開閉制御手段は、検知した大きさで特定されるペットに対応した制御情報に基づいて扉体を開閉させることが好ましい。
【0027】
この構成では、例えば、検知手段が体幅20cmのペットを検知した場合、開閉制御手段は扉体を当該幅より多少広く開閉させることができる。あるいは、検知手段が体高50cmのペットを検知した場合、制御手段は扉体を当該高さより多少高く開閉させることができる。すなわち、ペットの大きさに適した開閉を行うことができるため、ペットの出入時の快適性が確保される。また、扉体の開放をペットに応じて最小必要限度で行うことができるため、開放の都度発生し得る空調の無駄等が抑制される。
【0028】
前記扉体として、同扉体を挟む2つの部屋又は空間部のいずれ側にも回動可能な構成を採用することが考えられる。この場合、ペットが前記扉体を挟む2つの部屋又は空間部のいずれ側から進入するのかを判定する進入方向判定手段を備え、前記開閉制御手段は、ペットの進入側とは反対側に前記扉体を回動させることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、扉体がペットの進行方向へ開放されるため、ペットのスムーズな通過が妨げられることがない。
【0030】
なお、進入方向判定手段としては、例えば、扉体を挟む2つの部屋又は空間部にそれぞれ移動体検知センサを設けておき、その検知センサの検知結果によりいずれの方向からペットが進入するかを判定する。また、扉体を挟む2つの部屋又は空間部にそれぞれ通信装置(ペット識別情報を受信する受信装置)を設けておき、その通信装置による受信結果によりいずれの方向からペットが進入するかを判定する。
【0031】
扉体は、住人用扉体にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたものであることが好ましい。
【0032】
住人用の扉体とは別にペット専用の出入口(開口部)を設け、そこに扉体を設置することで、ペットが出入口を通過する際の開放空間を縮小することができ、開放時に発生し得る空調の無駄等が抑制される。また、ペットの出入のために住人用扉体を開放する必要がないため、住人の予測しない時に不意に住人用扉体が開放されて住人が動転するという事態を回避することができる。
【0033】
一方、扉体は、室の壁面にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたものであってもよい。ペットの移動経路に出入口(開口部)を設けることができれば、ペットの自然な行動を妨げることがない。
【0034】
さらに、扉体は、住人用の扉体より上位置の壁面にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたもであってもよい。いわゆる欄間のように住人用扉体より高い位置に形成された出入口(開口部)であれば住人の視界に入りにくくなり、住宅内のデザインに与える影響を小さく留めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、本発明の扉体開閉制御システムを具現化した一実施形態を図面に基づいて説明する。最初に、二階建て住宅10における一階部分の間取り例を図1に基づいて説明する。
【0036】
図1に示すように、住宅10は、主な屋内スペースとして、玄関11、廊下12、和室13、リビング14、ダイニング15、キッチン16、洗面室17、トイレ18及び浴室19を備えている。なお、リビング14、ダイニング15及びキッチン16は、連続した一体空間(LDK空間)として形成されているが、リビング14と、ダイニング15及びキッチン16との間には間仕切り24(アコーディオンカーテン)が設置され、二つの空間に区切られている。
【0037】
玄関11には玄関ドア21が設けられており、住人は主にこの玄関ドア21を開閉して屋内外の出入を行う。廊下12とそれに隣接する各部屋との間には、それら各部屋に出入するためのドア等がそれぞれ設けられている。具体的には、和室13の出入口には引き戸22が設けられ、ダイニング15の出入口には室内ドア23が設けられている。
【0038】
また、住宅10には、ペット専用の出入口が設けられている。例えば図3(a)に示すように、玄関ドア21の脇にペット専用出入口K1が設けられており、ペットはこの出入口K1に設けられた扉121の開閉により屋内外の出入を行う。扉121はその上辺が出入口開口周縁の上辺に回動自在に軸支され、屋内側及び屋外側のいずれの方向にも揺動自在となっている。扉121は、開閉装置D1に備えられたアクチュエータ(後述する)によって揺動し開放/閉鎖される。
【0039】
また、図3(b)に示すように、和室13の引き戸22より上位置にも、いわゆる欄間のように構成されたペット専用出入口K2が設けられている。この出入口K2は住人の視界に入りにくいため、住宅10内のデザインに与える影響は小さく留まっている。ペットはこの出入口K2に設けられた扉122の開閉により室内外の出入を行う。扉122も前記扉121と同様に上辺が出入口開口周縁の上辺に回動自在に軸支され、開閉装置D2に備えられたアクチュエータ(後に詳述する)によって室内側及び室外側のいずれの方向にも揺動し開放/閉鎖される。扉122よりも低位置には、それぞれ高さが異なる足場f1、f2及びf3が設けられており、ペットは最も低い足場f1から順にf2,f3を伝って出入口を通過することができる。なお、図示していないが、和室13側にも同様に高さが異なる足場が複数設けられており、ペットは最も高い足場から順に伝って床面に降りることができる。
【0040】
一方、図3(c)に示すように、リビング14の室内ドア23は、側辺の軸支部分を軸にして開閉する一般的な開き戸(片開き戸)であり、住人が出入を行うための出入口K3に設けられたものであるが、この室内ドア23の開閉によりペットの出入が行われる。室内ドア23は、ドア開閉装置D3に備えられたアクチュエータ(後述する)によって開放/閉鎖される。
【0041】
なお、住宅10内には、二階部分を含め他にもペットが通過可能な出入口に扉又はドア等が設けられており、これらの扉又はドア等も本実施形態の自動開閉制御の対象となり得るが、説明の便宜上ここでは他の扉又はドア等の説明を割愛する。
【0042】
図2は、本制御システムの概要を示すブロック図である。なお図2では、玄関11のペット専用出入口に設けられた扉121と、和室13に設けられたペット専用出入口の扉122と、リビング14の出入口に設けられた室内ドア23を制御対象とする事例について説明する。
【0043】
図2において、開閉装置D1、開閉装置D2及び開閉装置D3は、それぞれ扉121、扉122及び室内ドア23を自動開閉するための装置である。
【0044】
開閉装置D1、開閉装置D2及び開閉装置D3は、外部装置との間で無線通信を行うための通信部m1と、扉又はドア等の自動開閉を行うためのアクチュエータm2と、アクチュエータm2を制御する制御部m3と、扉又はドア等が開放状態か閉鎖状態かを検知する開閉状態検出センサm4と、メモリm5等を有している。なお、開閉装置D2,D3では、室外側アンテナx及び室内側アンテナyがそれぞれ開閉装置D2,D3と離れた位置に設置されているが、開閉装置D1においては室外側アンテナx及び室内側アンテナyが通信部m1に内蔵されており、図2では図示していない。
【0045】
これらの開閉装置D1,D2,D3等は共通の信号線32に接続されており、同信号線32には管理サーバ33が接続されている。各開閉装置D1,D2,D3等は、管理サーバ33から送信される信号を参照して、扉又はドア等の自動開閉制御を行う。
【0046】
管理サーバ33は、通信部n1及びメモリn2等を備えている。管理サーバ33のメモリn2には、各開閉装置が自動開閉制御を実行するために必要な各種情報が記憶されている。例えば、各開閉装置が設置されている部屋等について、各ペットの入室が禁止されているか否か(例えば、ペットP1は破損し易い物が置いてある部屋に入室禁止等)の情報(以下、「入室禁止情報」という)や、ペットの進入が禁止される時間帯(例えば夜中、留守中等の時間帯)の情報(以下、「禁止時間帯情報」という)の情報が記憶されている。また、住宅10の住人のうち誰がどのペットと同室禁止とされるか(例えば、乳児や高齢者はいずれのペットとも同室禁止、住人U1はペットP1が苦手でペットP1のみと同室禁止等)の情報(以下、「同室禁止情報」という)が予め記憶されている。これらの情報は住宅10の住人(ペットを飼育する住人)の入力操作、すなわち直接入力によってメモリn2登録され、必要に応じて更新される(書換えられる)。さらに、住人のうち誰がどの部屋等にいるのかの情報(以下、「在室情報」という)が、後述する通信ポイント31からリアルタイムに送信され逐次メモリn2に記憶される。これら自動開閉制御に必要な各種情報は、各開閉装置D1,D2,D3等からの送信要求に応答して通信部n1から信号線32を介して各開閉装置D1,D2,D3等に送信される。各開閉装置D1,D2,D3等はその情報を参照することで自動開閉制御を実行する。
【0047】
本実施形態では、住宅10の住人に飼われているペットとして2匹の猫であるペットP1,P2を想定しており、各ペットP1,P2に携帯型のペット用通信装置PK1,PK2をそれぞれ所持させる。なお、住人に飼われるペットとしては、猫、犬、兎、ハムスター、小鳥、亀、トカゲ等の様々な種類が想定される他、同一種類であっても身体的特徴が異なるペットが想定される。ペット用通信装置PK1,PK2は、各ペットの大きさに合わせて携帯させるのに不都合がない程度に小型化されており、例えば図3に示すように、猫であれば首輪に付して常備させることができる。また、スマートキーシステムで使用される電子キーやICタグをペット用通信装置PK1,PK2として用いたり、超小型の埋め込み式を採用してもよい。ペット毎に、形式・形態の異なる通信装置を使用することも可能である。
【0048】
ペット用通信装置PK1,PK2は通信機能を有しており、例えば全方位1m程度のエリアを通信範囲(送受信範囲)として、各開閉装置D1,D2,D3等の通信部m1との間で無線通信が可能である。また、ペット用通信装置PK1,PK2はメモリを内蔵しており、各通信装置の固有の装置ID(装置固有の識別コード)と各通信装置を携帯させるペットの身体及び行動特徴に関するペット特有情報とを記憶している。ここで各ペット用通信装置PK1,PK2の装置IDは、対応する各ペットP1,P2の識別情報と捉えられるため、以下では「ペットID」と称する。
【0049】
ペットIDは、少なくとも本制御システムで認証されるペットであって、かつ、認証対象とされる複数のペット(例えば一世帯で飼育されるペット)が個別に識別可能となる情報である。また、ペット特有情報のうち、身体に関する情報としては、例えば「体長、体高、体幅、体重、通過可能な最小スペース寸法、毛長」等の各情報が含まれる。同じくペット特有情報のうち、行動特徴に関する情報としては、例えば「移動速度(動きの迅速性)、懐いている住人、給餌の時間帯・給餌場所」等の各情報が含まれる。
【0050】
上記したペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)は、住宅10の住人(ペットを飼育する住人)の入力操作、すなわち直接入力によってメモリに登録され、必要に応じて更新される(書換えられる)。具体的には、ペット用通信装置PK1,PK2に多数の入力ボタン等からなる設定入力部を設けておき、その設定入力部の入力操作によってペット特有情報を登録及び更新する。ペット用通信装置PK1,PK2にディスプレイ部が設けてあれば入力操作が容易となる。また、ペット用通信装置PK1,PK2に直接入力する以外に、管理サーバ33等でペット特有情報を入力し、その入力情報を無線又は有線によりペット用通信装置PK1,PK2に送信してもよい。
【0051】
本制御システムでは、各開閉装置D1,D2,D3等が定期的にリクエスト信号を送信しており、ペット用通信装置PK1,PK2がリクエスト信号の受信エリアに進入すると、リクエスト信号に応答して装置ID及びペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)とを送信する。そして、開閉装置D1,D2,D3等側では、ペット用通信装置PK1,PK2から送信されるペットID及びペット特有情報を受信し、その受信情報に基づいて自動開閉制御を実施する。すなわち、各開閉装置D1,D2,D3等のメモリm5にはアクチュエータ制御プログラムが記憶されており、ペット用通信装置PK1,PK2から送信されたペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)に基づいて扉の開度や開放時間を決定して扉体の開閉制御を行う。
【0052】
また、住宅10内の天井の各所には通信ポイント31が設置されている。なお、図2では廊下12、和室13及びリビング14に設置されたものを示しているが、死角を極力又は完全になくすように全ての部屋又は空間部(廊下12、和室13、リビング14・・・トイレ18、浴室19等)に少なくとも1個は設置されている。
【0053】
これらの通信ポイント31も信号線32に接続されている。各通信ポイント31は、設置場所に対応する固有の場所ID(場所固有の識別コード)により変調された赤外線信号を常時発信する。
【0054】
一方、本実施形態では、住宅10の住人として4人の住人U1,U2,U3,U4を想定しており、各住人U1〜U4によって携帯型の住人用通信装置UK1〜UK4がそれぞれ所持される。各住人用通信装置UK1〜UK4は、赤外線受信機能を備えており、通信ポイント31から発信される赤外線信号を、アンテナを介して受信し、自己が存在する場所を確認する。住人用通信装置UK1〜UK4は、それぞれ固有の装置ID(装置固有の識別コード)を有しており、通信ポイント31に対して、自己の装置IDと認識した場所の場所IDとを送信する。通信ポイント31は、住人用通信装置UK1等から送信された装置ID及び場所IDを管理サーバ33に送信する。これら装置ID及び場所IDは上記「在室情報」であり、この在室情報によって住人のうち誰がどの部屋等にいるのかが把握される。なお、各住人用通信装置UK1〜UK4の装置IDは、対応する各住人U1〜U4の識別情報と捉えられるため、以下では「住人ID」と称する。
【0055】
住人用通信装置UK1〜UK4は、いずれも小型で携帯しても邪魔になりにくく常備しやすいものである。例えば、通信装置本体にリストバンドを取り付けたブレスレット式通信装置や、同通信装置本体にネックチェーンを取り付けたペンダント式通信装置や、同通信装置本体にバネフックやバッジピンを取り付けたバッジ式通信装置等として具現化することが考えられる。また、スマートキーシステムで使用される電子キーを住人用通信装置UK1〜UK4として用いたり、日常的に使用される携帯電話を住人用通信装置UK1〜UK4として用いることもできる。住人毎に、形式・形態の異なる通信装置を使用することも可能である。
【0056】
扉体の自動開閉制御の流れを図4のフローチャートに基づいて説明する。この制御処理は、各開閉装置D1,D2,D3等の制御部m3によって所定の時間周期で実行される。
【0057】
図4においてステップS11ではリクエスト信号を送信し、続くステップS12では、リクエスト信号に応答してペットIDとペット特有情報とを受信したか否かを判定する。応答が無い場合、すなわちペットIDとペット特有情報とを受信していない場合、そのまま本処理を終了する。
【0058】
一方、応答が有る場合、すなわちペットIDとペット特有情報とを受信している場合、ステップS13に移行し、受信したペットIDに基づいてペット認証を実施する。そして、ステップS14で認証OKであれば(ステップS14でYES)、後続のステップS15に進み、一方認証NGであれば(ステップS14でNO)、そのまま本処理を終了する。なお、複数の通信装置からペットIDとペット特有情報とを受信している場合は、各通信装置からの受信情報のうち少なくともいずれかが認証OKであればステップS15に進む。
【0059】
ステップS15では、ペット特有情報に基づいて自動開閉制御処理を実行する。この自動開閉制御処理について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0060】
ステップS151において、ペットIDとペット特有情報とが開閉装置側で受信されてから所定の待ち時間(例えば数秒程度)が経過したことが確認されると(ステップS151でYES)、ステップS152において、認証されたペットが室内側に居る(外室しようとしている)のか室外側に居る(入室しようとしている)のかが確認される。すなわち、ペットIDとペット特有情報とが室内側アンテナyで受信されたのか、室外側アンテナxで受信されたのかが確認され、室内側に居る(外室しようとしている)ことが確認された場合はステップS157に移行する。一方、室外側(入室しようとしている)ことが確認された場合は後続のステップS153に進む。
【0061】
ステップS153では、認証されたペットがその部屋に入室を禁止されているか否かの判定を行う。この判定ために、開閉装置は管理サーバ33側へ入室禁止情報の送信要求信号を送信する。送信要求に対し管理サーバ33から送信されてきた入室禁止情報を参照し、認証されたペットの入室が禁止されていることが確認されれば(ステップS153でYES)、ステップS159に移行する。ステップS159では、扉又はドア等が閉鎖状態であれば開放を許可せず、扉又はドア等が開放状態であることが検知されれば閉鎖する。なお、扉又はドア等が閉鎖状態であるか開放状態であるかは、開閉状態検出センサm4によって検知されている。一方、認証されたペットの入室が禁止されていないことが確認されれば(ステップS153でNO)ステップS154に移行する。
【0062】
ステップS154では、禁止時間帯か否かの判定を行う。すなわち、その開閉装置が設置されている部屋等にペットの進入が禁止される時間帯か否かを判定する。この判定ために、開閉装置は管理サーバ33側へ禁止時間帯情報の送信要求信号を送信する。送信要求に対し管理サーバ33から送信されてきた禁止時間帯情報を参照し、例えば夜中や留守中等の禁止時間帯であれば(ステップS154でYES)、ステップS159に移行する。ステップS159では、その時点で扉又はドア等が閉鎖状態であることが検知されれば開放を許可せず、その時点で扉又はドア等が開放状態であることが検知されれば閉鎖する。一方、禁止時間帯でなければ(ステップS154でNO)ステップS155に移行する。
【0063】
ステップS155に移行すると、その部屋に住人が居るか否かが確認される。ここでも、開閉装置から管理サーバ33へ情報送信要求を行い、それに対し管理サーバ33は、逐次記憶されている在室情報を送信する。開閉装置では、送信されてきた情報を参照することで、その部屋に住人が居るか否かが確認される。住人が居ないことが確認されると(ステップS155でNO)ステップS157に移行し、居ることが確認されると(ステップS155でYES)後続のステップS156に進む。
【0064】
ステップS156に進んだ場合、前述の在室情報ではどの住人が居るのかを特定できるので、認証されたペットが特定された住人と同室禁止とされているか否かが判定される。このため、特定された住人に対応した同室禁止情報を、管理サーバ33へ送信要求し、送信されてきた同室禁止情報を参照することで判定を行う。
【0065】
認証されたペットが特定住人と同室禁止とされている場合は(ステップS156でYES)ステップS159に移行し、扉又はドア等が閉鎖状態であれば開放を許可せず、開放状態であれば閉鎖する。一方、同室禁止とされていない場合は(ステップS156でNO)ステップS157に移行する。
【0066】
ステップS157に移行すると、扉又はドア等が閉鎖状態であれば、認証されたペットに対応した開閉制御を実施する。すなわち、ペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)に基づいて扉又はドア等の開度や開放時間を決定して扉体の開閉を行う。例えば、体高や体幅によって扉又はドア等の開度を決定し、体長や移動速度(動きの迅速性)によって扉又はドア等の開放時間を決定する。そして、決定された開度に基づいてアクチュエータm2を制御して扉又はドア等を開放させる。この場合、扉又はドア等が室内側及び室外側の両方向に開閉可能であれば、ペットの進行方向側(ペットが室外に居れば室内側、ペットが室内に居れば室外側)へ開放される(図3を参照)。一方、扉又はドア等が開放状態であればそのまま開放状態を維持するのみとする。なお、ここでも扉又はドア等が閉鎖状態であるか開放状態であるかは、開閉状態検出センサm4によって検知されている。扉又はドア等が開放された後、あるいは、扉又はドア等の開放状態が維持された後は、ステップS158において開放時間が経過した時点で扉を閉鎖する。
【0067】
ここで本実施形態では、扉121、扉122等は上辺が軸支された揺動式とされているが、室内ドア23等は側辺の軸支部分を軸にして開閉する一般的な開き戸(片開き戸)であり、また間仕切り24等は水平方向に開閉するアコーディオンカーテンである。本実施形態では、いずれの扉又はドア等もアクチュエータm2によって自動開閉される構成となっており、各ペットに対応した開度及び開放時間に基づいて扉又はドア等が自動開閉される。
【0068】
次に、具体的な自動開閉制御動作について図6のタイムチャートを参照して説明する。図6(a)は、各ペットP1,P2が和室13の扉122を通って「P1→P2」の順で入室しようとした場合の制御操作を示し、図6(b)は、各ペットP1,P2がリビング14の室内ドア23を通って「P2→P1」の順で入室しようとした場合の制御操作を示す。なお、ここでは、上述した図2のシステム構成を前提とする。
【0069】
まず、図6(a)に示す和室13の扉122に対する自動開閉制御の具体例を説明する。図6(a)において、タイミングt1で廊下12に居たペットP1が扉122に近くづくと、ペットP1のペットIDとペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)とが室外側アンテナxで受信される(図3(b)を参照)。そして、その情報受信を受けて、所定の待ち時間Ta(例えば数秒程度)が経過したタイミングt2にて、扉122が室内側へ開放される。このとき、開閉装置D2で受信されるペット特有情報には、ペットP1の体長、体高、体幅や、通過可能な最小スペース寸法、移動速度(動きの迅速性)等が含まれており、開閉装置D2はこれら情報に基づいて扉122の開度及び開放時間を決定する。ペットP1の場合、体格が小柄であるため小さい開度に決定され、動きが迅速であるため短い開放時間に決定されており、この決定に従って扉122が開閉制御される。
【0070】
次に、タイミングt3で和室13に居るペットP2が扉122に近づくと、ペットP2のペットIDとペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)とが室内側アンテナyで受信される。そして、その情報受信を受けて、所定の待ち時間Taが経過したタイミングt4にて、扉122が室外側へ開放される。ペットP2の場合、ペットP1に比して大柄であるため開度が大きく決定され、緩慢な動きであるため開放時間が長く決定されており、この決定に従って扉122が開閉制御される。
【0071】
一方、図6(b)では、最初に住人U1の住人ID及びリビング14の場所IDが通信ポイント31で受信されている。これにより、住人U1がリビング14に居ることが把握される。その後、タイミングt11で廊下12に居たペットP2が室内ドア23に近づくと、ペットP2のペットP1のペットIDとペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)とが室外側アンテナxで受信される(図3(c)を参照)。そして、その情報受信を受けて、所定の待ち時間Taが経過したタイミングt12にて、室内ドア23が室内側へ開放される。ペットP2の場合、大きい開度及び長い開放時間に決定されており、この決定に従って室内ドア23が開閉制御される。
【0072】
次に、タイミングt13で廊下12に居たペットP1が室内ドア23に近づくと、ペットP1のペットIDとペット特有情報(身体や行動特徴に関する情報)とが室外側アンテナxで受信される。ここで、住人U1についてはペットP1が同室禁止とされているため、所定の待ち時間Taが経過したタイミングt14になっても室内ドア23は開放されない(開放されないことが一点鎖線で示されている)。室内ドア23が閉鎖状態のまま継続されるので、タイミングt15でペットP2が室内ドア23から離れている。
【0073】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0074】
各開閉装置D1,D2,D3等は、ペット用通信装置PK1,PK2からのペットID及びペット特有情報を受信した場合に扉又はドア等の自動開閉制御を行う。このため、従来のように住人がペットのために扉又はドア等の施解錠の管理を行う必要がなく、住人の労力が軽減される。また、ペット以外の動物等が扉又はドア等に接近しても開閉制御が行われないため、これら動物等の自由な出入を防止することができる。
【0075】
ペット特有情報には、各ペットの身体及び行動特徴に関する情報が含まれており、各開閉装置D1,D2,D3等は、各ペットに応じた開度、開放時間によって扉又はドア等の開閉を行うことができる。このため、例えば開度や開放時間が足りずペットが困惑するという事態を回避できる。また、扉又はドア等の開放がペットに対応した最小必要限度で行われるため、開放の都度発生し得る空調の無駄を抑制することができる。
【0076】
入室禁止情報により、例えば特定の場所で問題行動を起こしがちなペットが扉又はドア等に接近しても開放されない。したがって、住人の目の届かない場所でペットが問題行動を起こすという事態が防止される。
【0077】
また、在室情報でペットが苦手な住人やペットと同室が禁止される乳児や高齢者等が部屋に居ることが把握された場合、同室禁止情報により、同室が禁止されたペットが扉又はドア等に接近しても開放されない。したがって、住人の快適性や安全性が確保され、ひいてはペットが理不尽に忌避される事態を回避することができる。
【0078】
さらに、禁止時間帯情報により、例えば特定の部屋等について、留守中や夜中等に入室することが禁止され、その時間帯にペットが扉又はドア等に接近しても開放されない。したがって、外出時や睡眠時等にペットを拘束する必要がなく、住人にとっては利便性が向上し、ペットにとっては快適性が向上する。
【0079】
室内側及び室外側(屋内側及び屋外側)のいずれの方向にも開閉可能な扉又はドア等は、ペットの進行方向側へ開放されるので、スムーズな通過が妨げられることがない。
【0080】
各開閉装置D1,D2,D3等の開閉状態検出センサm4によって、扉又はドア等が開放状態であることが検出された場合(例えば複数のペットが続けて出入口を通過する場合、最初のペットのために扉又はドア等が開放された直後に次のペットが通過しようとする場合)、扉又はドア等を開放することが決定されても開放状態を維持する構成としている。これにより無駄な制御を回避し、アクチュエータm2等の耐久性向上やエネルギー節約を期待することができる。
【0081】
一方、開閉状態検出センサm4によって、扉又はドア等が開放状態であることが検出され、なおかつ扉又はドア等を開放しないことが決定された場合は、扉又はドア等の閉鎖制御を行う構成としている。したがって、例えば前のペットのために開放状態が維持されていても、後のペットの進入を適切に防止することができる。
【0082】
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば以下のように実施されてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、「同室禁止情報」として、住宅10の住人のうち誰がどのペットと同室禁止とされるかの情報を記憶していたが、「同室禁止情報」はこれに限られない。例えば、どのペットとどのペットが同室禁止されるのか(例えば、犬と猫は同室禁止、相性の悪い猫同士は同室禁止等)の情報を、各ペットIDに対応付けたものを「同室禁止情報」としてもよい。この「同室禁止情報」は、あるペットが部屋に居る場合に、他のペットがその部屋に入室できるか否かを判断するために参照される。具体的には、室外側アンテナxが、あるペットのID及びペット特有情報を受信して、開閉装置D1,D2,D3等が自動開閉制御を行うと、そのペットが入室したことになる。その後、そのペットID及びペット特有情報が室内側アンテナyで受信されないままでいると、そのペットはその部屋に滞在していることになる。このとき、他のペットのID及びペット特有情報が室外側アンテナxで受信されると、開閉装置D1,D2,D3等は前記「同室禁止情報」を参照して、当該他のペットが同室を禁止されるペットか否かを判断することができる。ここで同室禁止と判断した場合は、自動開閉制御を行わないことも可能である。これにより、他のペットの入室が禁止され、ペット同士の無用な争いを避けることができる。また、乱闘で室内の物品が破損する等の問題を回避することができるため、住人にとっても利点となる。
【0084】
上記実施の形態では、ペット用通信装置PK1,PK2からの無線信号を開閉装置側で受信することによりペットが扉又はドア等近傍の所定エリアに進入したか否かを検知していたが、検知手段はこれに限られない。例えば、扉又はドア等近傍に物体の高さを検知するセンサを設置して、所定高さの物体が検知されたら所定エリア内にペットが進入したとして自動開閉制御を行う構成としてもよい。あるいは、臭いセンサ、重量センサ、画像センサ等を設置して所定エリア内へのペットの進入を検知してもよい。
【0085】
上記実施の形態では、室外側アンテナx又は室内側アンテナyのいずれがペット用通信装置PK1等の情報を受信したかによってペットが室外側に居るのか室内側に居るのかを検知し進入方向を判定していた。しかしながら、ペットの進入方向を判定する手段はこれに限られず、例えば室外側又は室内側にそれぞれ移動体検知センサを設けて、その検知センサの検知結果によりいずれの方向からペットが進入するかを判定してもよい。
【0086】
上記実施の形態では、ペット用通信装置PK1,PK2を扉又はドア等の開閉制御のために使用していたが、例えば、ペット用の給餌器に受信機能を設け、指定時間に給餌器に対応したペット用通信装置PK1,PK2からの無線信号を受信した場合に自動的に給餌する(餌器の蓋が開放する、一定量の餌を供給する等)構成としてもよい。この構成によって、餌の与え忘れを防止することができ、また、ペットを住宅内に残したまま長期外出することも可能となる。なお、高さセンサ、臭いセンサ、重量センサ、画像センサ等の各種センサを用いてペットを検知し、自動的に給餌する構成としてもよい。
【0087】
あるいは、ペット用の蓋付きトイレに受信機能を設け、トイレに対応したペット用通信装置PK1,PK2からの無線信号を受信した場合に蓋が自動的に開放する構成としてもよい。この場合、受信反応が無くなったら蓋を閉鎖する構成としてもよい。これにより、トイレの蓋を常時開放しておく必要がなく、臭気の飛散を抑制することができる。なお、高さセンサ、臭いセンサ、重量センサ、画像センサ等の各種センサを用いてペットを検知し、自動的に蓋を開放/閉鎖する構成としてもよい。
【0088】
上記実施の形態では、ペットの出入のために扉又はドア等の開閉制御を行っていたが、例えば扉又はドア等の近傍や室内に温度センサを設け、所定の温度値に達したときに扉又はドア等を開放して熱気を逃がし、所定の温度値を下回ったときに扉又はドア等を閉鎖する構成としてもよい。あるいは、湿度センサを設け、所定の湿度値に達したときに扉又はドア等を開放して湿気を逃がし、所定の湿度値を下回ったときに扉又はドア等を閉鎖する構成としてもよい。これにより、室内環境を快適に保つことができる。
【0089】
上記実施の形態では、ペットが出入するのに扉又はドア等を進行方向側へ開放していたが、ペットが検知された側へ開放するようにしてもよい。特に、住人用に設けられた扉又はドア等を利用する場合、一方向にしか開放しないものが想定され、ペットが検知された側へ開放せざるを得ないケースがあり得る。
【0090】
上記実施の形態では、管理サーバ33のメモリn2において自動開閉制御に必要な「入室禁止情報」、「禁止時間帯情報」、「同室禁止情報」等が記憶されていたが、これらの情報を開閉装置D1,D2,D3等側で記憶する構成としてもよい。また、通信ポイント31から直接開閉装置D1,D2,D3等に「在室情報」を送信する構成としてもよい。これにより、管理サーバ33を設置する必要がなくなり、開閉制御システムの構成を簡素化することができる。
【0091】
あるいは、管理サーバ33側で各ケースに対応した開閉制御を演算してその制御信号を各開閉装置D1,D2,D3等側に送信し、開閉装置D1,D2,D3等では受信した制御信号に従ってアクチュエータを制御する構成としてもよい。これにより、開閉装置D1,D2,D3等の構成を簡素化することが可能となる。
【0092】
上記実施の形態では、住宅10の住人が出入するための扉又はドア等と併せてペット専用の扉を設けていたが、例えば住人用の扉又はドア等から離れた壁面に出入口(開口部)を設け、ペット専用の扉を設置してもよい。これにより、ペットにとって最適な通過経路上に出入口を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】住宅の一階部分の間取り例を示す図。
【図2】開閉制御システムの概要を示すブロック図。
【図3】扉又はドア等の例を示す図。
【図4】扉又はドア等の自動開閉制御の流れを示すフローチャート。
【図5】自動開閉制御処理を示すフローチャート。
【図6】具体的な自動開閉制御動作について示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0094】
10…住宅、11…玄関、12…廊下、13…和室、14…リビング、21…玄関ドア、22…扉、23…室内ドア、24…間仕切り、31…通信ポイント、32…信号線、33…管理サーバ、121…扉、122…扉、D1…開閉装置、D2…開閉装置、D3…開閉装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の開口部に設けられた扉体を自動開閉する扉体開閉制御システムであって、
前記扉体近傍の所定エリア内にペットが進入したことを検知する検知手段と、
当該検知手段が前記進入を検知した場合に当該検知結果に基づいて前記扉体を開閉させる開閉制御手段と、
を備える扉体開閉制御システム。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、ペットを対象として扉体を開閉させるために予め設定された開閉制御情報を参照して扉体を開閉させることを特徴とする請求項1の扉体開閉制御システム。
【請求項3】
ペットに携帯させる携帯型のペット用通信装置と、前記所定エリア内に進入した当該ペット用通信装置と無線通信を行い当該ペット用通信装置に記憶されているペット個別の識別情報を受信する扉体通信装置とを備えた扉体開閉制御システムであって、
前記検知手段は、前記扉体通信装置にて受信したペット識別情報により前記所定エリア内にペットが進入したことを検知し、
前記開閉制御手段は、前記扉体通信装置が前記ペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットに対応した開閉制御情報に基づいて扉体を開放させることを特徴とする請求項2の扉体開閉制御システム。
【請求項4】
前記開閉制御情報には、ペットの身体的特徴から決定される扉体の開度の情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記受信したペット識別情報で特定されるペットに対応した開度で扉体を開放させることを特徴とする請求項3に記載の扉体開閉制御システム。
【請求項5】
前記開閉制御情報には、ペットの身体的特徴から決定される扉体の開放時間の情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記受信したペット識別情報で特定されるペットに対応した開放時間だけ扉体を開放させることを特徴とする請求項3又は4に記載の扉体開閉制御システム。
【請求項6】
前記扉体が設けられた部屋又は空間部の外側に前記所定エリアが設けられており、
前記開閉制御情報には、ペットに関して前記部屋又は空間部への進入を許可するか否かの情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記扉体通信装置が前記所定エリア内で前記ペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットの進入が許可されるときのみ前記扉体を開放させることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項7】
前記扉体が設けられた部屋又は空間部にペットが存在するか否かの判定手段をさらに備え、
前記部屋又は空間部の外側に前記所定エリアが設けられており、
前記開閉制御情報には、各ペットに関して同室を禁止される他のペットが存在するか否かの情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記扉体通信装置が前記所定エリア内でペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報から特定されるペットが、前記部屋又は空間部に存在するペットと同室を禁止されないときのみ前記扉体を開放させることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項8】
住宅の住人に携帯される携帯型の住人用通信装置と、
前記扉体が設けられた部屋又は空間部に設置され、前記住人用通信装置が記憶している住人の個別の識別情報を受信する受信装置とをさらに備え、
前記開閉制御情報には、ペットに関して住人と同室を禁止されるか否かの情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記受信装置が住人識別情報を受信し、かつ、前記扉体通信装置が前記部屋又は空間部の外側に設けた前記所定エリア内で前記ペット識別情報を受信した場合に、そのペット識別情報で特定されるペットが同室を禁止されないときのみ前記扉体を開放させることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項9】
前記開閉制御情報には、前記扉体の開放が許可される時間帯の情報が含まれており、
前記開閉制御手段は、前記扉体通信装置が前記所定エリア内でペット識別情報を受信した場合に、その時点が開放許可時間帯内であるときのみ前記扉体を開放させることを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項10】
前記検知手段は、前記扉体近傍の所定エリア内に進入したペットの大きさを検知するものであり、
前記開閉制御手段は、当該検知した大きさで特定されるペットに対応した開閉制御情報に基づいて扉体を開閉させることを特徴とする請求項2に記載の扉体開閉制御システム。
【請求項11】
前記扉体として、同扉体を挟む2つの部屋又は空間部のいずれ側にも回動可能な構成を採用した扉体開閉制御システムであって、
ペットが前記扉体を挟む2つの部屋又は空間部のいずれ側から進入するのかを判定する進入方向判定手段を備え、
前記開閉制御手段は、ペットの進入側とは反対側に前記扉体を回動させることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項12】
前記扉体は、住人用扉体にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたものであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項13】
前記扉体は、壁部にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたものであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の扉体開閉制御システム。
【請求項14】
前記扉体は、住人用扉体より上位置の壁面にペットが通過可能な寸法で設けられた開口部に設置されたものであることを特徴とする請求項1から11に記載の扉体開閉制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−280721(P2008−280721A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125191(P2007−125191)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】