説明

振動波リニアモータ及びそれを用いたレンズ装置

【課題】駆動系と被駆動系双方間の誤差を吸収でき且つ簡単な構成で小型化を可能にした振動波リニアモータ及びそれを用いたレンズ装置を提供する。
【解決手段】振動波リニアモータ120は2個の振動子74及び75がハウジング122の上下に収容され、ハウジング122の両側面を挿通するシャフト78がハウジング内で振動子74及び75に挟持されて長手方向に進退駆動される。ハウジング122の上下から抱き込むように付勢係合部材123−1と123−2が組み付けられ、連結止めピン126−1、126−2を支点にし、引き螺旋バネ129−1、129−2に付勢されて、一方では振動子74をピン部材115を介して下方に付勢し他方では振動子75をピン部材115を介して上方に付勢して振動子74及び75をシャフト78に圧接させる。シャフト78の一端にナット131を介して横に突設された駆動係合ピン132が被駆動体と係合して移動力を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子を用いた振動波リニアモータに関し、特に簡単な構成で小型化を可能にした振動波リニアモータ及びそれを用いたレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、超音波モータ(振動波モータ)が注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータに比べて、a:ギヤ無しで低速高推力が得られ、b:保持力が大きく、c:ストロークが長く高分解能であり、d:静穏性に富み、e:磁気的ノイズを発生せずノイズの影響も受けない、などの利点を有している。
【0003】
このような利点を有する従来の超音波モータとしては、移動部に2個の振動子板を設け、これら振動子板の対向面に形成されたそれぞれ1個の突起部の対向部間に1本のガイドシャフトを挟み、2個の振動子板の振動により、ガイドシャフトに沿って移動部が移動するリニア超音波モータが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平09−051687号公報(段落[0011]〜[0012]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、ガイドシャフトを挟んで向かい合う振動子板のそれぞれの駆動突起部が1個であるため、ガイドシャフトと振動子板の駆動方向で形成される面内で、駆動突起部を支点とした傾きが生じやすい。
【0005】
駆動突起部での楕円振動の振幅は、ガイドシャフトとの垂直方向では振動子板とガイドシャフトとを離隔させる作用、ガイドシャフトとの水平方向ではガイドシャフトを相対的に駆動させる作用を持っている。これらの作用を満たすように駆動突起部の楕円振動を最適化しているので、傾きが生じると駆動に悪影響を及ぼす。
【0006】
傾きが大きくなりすぎると、駆動突起部以外の所、例えば振動子板とガイドシャフトが当接することになり、そこでの振動は通常、駆動接触部での楕円振動を阻害する方向に作用し、また、無用な接触状態での振動は、接触部分の破壊につながる虞がある。
【0007】
したがって、先ず、ガイドシャフトを本体装置側に固定する固定部材が必要であることは言うまでもないが、更に移動部においては駆動突起部がガイドシャフトに対して傾かないように位置決めするためのガイドシャフトに対する係合部が最低2箇所必要である。
【0008】
このように必須な構成が多くなると全体構成を小型化することが困難になるだけでなく上記従来の構成は、移動部がガイドシャフトにガタなく支持されているため、この構成のリニア超音波モータを、多少の誤差が許容される例えばカメラの鏡枠等の駆動に応用しようとした場合、双方間の誤差を吸収するための連結部材が必要になると思われる。
【0009】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、駆動系と被駆動系双方間の誤差を吸収でき且つ簡単な構成で小型化を可能にした振動波リニアモータ及びそれを用いたレンズ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先ず、第1の発明の振動波リニアモータは、被駆動体と、該被駆動体を所定の一定方向に駆動する2個以上の駆動接触部を有する第1の振動子と、上記被駆動体を上記第1の振動子による駆動と同一向きに駆動する1個以上の駆動接触部を有する第2の振動子と、上記第1又は第2の振動子のいずれか一方を固定して支持する第1の支持部と、上記第1又は第2の振動子のいずれか他方を揺動可能に支持する第2の支持部と、該第2の支持部により揺動可能に支持される上記第1又は第2の振動子を上記被駆動体に付勢する付勢手段と、を有して構成される。
【0011】
この振動波リニアモータにおいて、例えば、上記第1又は第2の振動子の少なくともいずれか一方の駆動接触部は、上記被駆動体の形状に合わせて該被駆動体を上記所定の一定方向に案内する形状を有して構成される。
【0012】
また、上記第2の振動子の1個以上の上記駆動接触部は、例えば上記第1の振動子の2個以上の上記駆動接触部の間に対向して配置されるように構成される。
また、上記第1の振動子は、例えば上記駆動接触部を有する面と反対面を上記第1の支持部に固定されるように構成され、また、例えば振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して上記第1の支持部に固定されるように構成される。
【0013】
また、上記第2の支持部は、例えば揺動可能に支持する上記第1又は第2の振動子を上記所定の一定方向に沿う方向に位置固定して支持するように構成される。
また、上記第2の振動子は、例えば上記駆動接触部を有する反対面を上記第2の支持部により上記被駆動体の傾きに合わせて揺動自在に位置固定されるように構成される。この場合、上記第2の振動子は、例えば振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して上記被駆動体に付勢されるように構成してもよく、更に、例えば振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して第2の支持部により上記被駆動体の傾きに合わせて揺動自在に支持されるように構成してもよい。
【0014】
また、この振動波リニアモータの構成においては、例えば上記第1の振動子の節の位置に設けられたピンと上記第2の振動子の節の位置に設けられたピンとの間に引き付勢部材を張り渡して、上記第1及び第2の振動子を上記被駆動体に付勢するように構成してもよい。
【0015】
また、上記第1の振動子は、例えば振動が極小となる節の位置を2点有し、該節の位置にそれぞれ固定されたピンにより上記第1の支持部に支持されるように構成してもよい。
更に、例えば上記第1の振動子の節の位置に設けられたピンと、上記第2の振動子の2個の節の位置に設けられたピン間に差し渡された部材とに係合する引き付勢部材により、上記第1及び第2の振動子を上記被駆動体に付勢するように構成してもよい。
【0016】
また、この振動波リニアモータにおいては、例えば上記第1及び第2の振動子ともに、上記被駆動体を介して対向する2箇所の位置にそれぞれ上記駆動接触部を備えるように構成してもよい。
【0017】
次に、第2の発明のレンズ装置は、上記に記載のいずれかの振動波リニアモータを、合焦用レンズの駆動源として搭載して構成される。
【発明の効果】
【0018】
先ず、第1の発明によれば、2個以上の駆動接触部を有する第1の振動子と1個以上の駆動接触部を有する第2の振動子の少なくとも一方の振動子が支持部に固定された状態で上記2つの振動子が被駆動体を挟み込んで被駆動体を駆動方向へ案内しながら駆動するので、駆動時における案内部材が不要になり、装置全体の小型化が可能になる。
【0019】
次に、第2の発明によれば、リニア駆動により合焦レンズを直接駆動出来るため、機械損失が低減できて装置寿命が長くなるだけでなく、合焦時間を短縮することがき、ユーザの速い撮影動作にも対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明において、上記第1の振動子は例えば振動子74等から成り、上記第2の振動子は例えば振動子75等から成り、上記付勢手段は例えば弾性部材からなる第2の支持部77、圧縮バネ79、引きバネ118等から成り、そして上記被駆動体は例えばシャフト78等から成る。
【0021】
<実施形態の基本構成>
図1(a) は、本発明の振動波リニアモータを搭載したレンズ装置を示す外観斜視図であり、同図(b) は、同図(a) に示すレンズ装置のA−A´矢視断面を同図(a) の矢印a方向から見た図であり、レンズユニット各部の概略の構成を示している。
【0022】
尚、図1(a) には、レンズ装置1と共に例えばカメラなどの本体装置のハウジング内に組み込まれるこのレンズ装置1の各部の駆動を制御する制御回路を備えた回路基板2の一部も共に示している。
【0023】
同図(a) に示すレンズ装置1は、特には図示しない本体装置のハウジングの撮影レンズ窓から撮影光軸O1(図では鉛直方向で示している)に沿ってレンズL1に入射する被写体からの光束を、レンズL1と一体なプリズムによって、水平方向にほぼ直角に(図では斜め右上方向に)折れ曲がるように反射させる。このレンズ装置1は、上記折り曲げられた同図(b) に示す第2の光軸O2に沿って、上記の入射光束を、レンズ装置1の端部(図では斜め右上方向端部)に配設されている例えばCCD(charge coupled device)などからなる撮像素子14まで導いて撮像画像を生成する。
【0024】
同図(b) に示すように、レンズ装置1の内部には、上記水平方向に折り曲げられた第2の光軸O2に沿って、レンズL1及びレンズL2からなる第1の固定レンズ部8、レンズL3及びレンズL4からなる第1の移動レンズ部9、レンズL5、レンズL6及びレンズL7からなる第2の移動レンズ部11、レンズL8からなる第3の移動レンズ部12、並びにレンズL9からなる第2の固定レンズ部13で構成される複数のレンズを備えている。そして、これらのレンズ群の終端には撮像素子14が配置されている。
【0025】
上記第1の固定レンズ部8のレンズL1は、上述した撮影レンズ窓から撮影光軸O1に沿って入射する被写体からの光束をほぼ90°水平方向に反射して折り曲げて、第2の光軸O2に沿って光束の進路を変更するプリズムと一体化されており、レンズ2と共に第1の固定鏡枠部15に保持されてレンズ装置1内で固定されている。また、上記第2の固定レンズ部13は、第2の固定鏡枠部16に保持されてレンズ装置1内で固定されている。
【0026】
上記第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16は、第2の光軸O2に対し垂直な面で切られた断面がほぼL字形状を成す後述する金属フレームの長手方向の端部に一体的に樹脂成形により形成されている。
【0027】
これら第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16との間に、上記第1の移動レンズ部9を保持する第1の移動鏡枠17、第2の移動レンズ部11を保持する第2の移動鏡枠18、及び第3の移動レンズ部12を保持する第3の移動鏡枠19が配置されている。
【0028】
上記第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18、及び第3の移動鏡枠19は、上記の第1の移動レンズ部9、第2の移動レンズ部11及び第3の移動レンズ部12を、上記のレンズL1(以下、プリズムL1ともいう)によりほぼ直角に折り曲げられた第2の光軸O2に沿って、それぞれ独立に移動可能に保持している。
【0029】
上記第1の移動レンズ部9及び第2の移動レンズ部11は、このレンズ装置1の光学系の第2の光軸O2に沿って入射する被写体の光束の焦点距離を変化させるために設けられている。換言すれば、これら第1の移動レンズ部9及び第2の移動レンズ部11を保持する第1の移動鏡枠17及び第2の移動鏡枠18は、レンズ系のズーム比調節用のために設けられている。
【0030】
また、第3の移動レンズ部12は、上記の光束が撮像素子14上に結像する焦点調節のために設けられている。換言すれば、この第3の移動レンズ部12を保持する第3の移動鏡枠19は、第2の光軸O2方向に移動自在な合焦用の鏡枠として設けられている。
【0031】
また、上記第1の移動レンズ部9と第2の移動レンズ部11の間の21は、絞りの位置を示している。
また、このレンズユニットは、上下の厚み(実際には撮影用のレンズユニットとしては奥行き方向の厚みとなる)を極力薄くするように、径の比較的大きなレンズL2、L5、L8を含む第1の固定レンズ部8、第2の移動レンズ部11、第3の移動レンズ部12をそれぞれ保持する第1の固定鏡枠部15、第2の移動鏡枠18、第3の移動鏡枠19の枠壁の、第2の光軌O2に対し上下方向の一方の一部又は全部(図1(b) の例では下方のレンズ下端部に対応する部分)が切り欠かれて、切欠部15−1、18−1、19−1が形成されている。
【0032】
そして、この切り欠かれて枠壁が欠如した分だけ強度が弱くなる鏡枠の、第1の固定鏡枠15のように特に他に補強部分を持たない第2、第3の移動鏡枠18、19については、上記の切り欠き部に第2の光軸O2を挟んで対向する側、つまり上側の枠壁に、外部に突出する後述する凸部を設けている。図において、第2、第3の移動鏡枠18,19の上側枠壁がやや厚く見えるのは、上記凸部の断面を示しているためである。
【0033】
また、更に、第3の移動鏡枠19については、全体が左右に薄くて弱いので、上記の凸部による補強だけでは不十分の虞があるので、レンズL8の下部側に形成されている切欠部19−1の反対側に形成されているレンズ胴付部から、レンズL8の有効光線の範囲外となる左方面の周囲に回り込むように、突設部19−2が設けられている。
【0034】
図2は、上記のレンズ装置1を、上方から見た分解斜視図である。
図3は、同じく上記レンズ装置1を天地を逆にして下方から見た分解斜視図である。尚、上記の図2及び図3には、図1(a),(b) に示した構成と同一の構成部分には図1(a),(b) と同一の番号を付与して示している。
【0035】
上記の図2及び図3に示すように、レンズ装置1は、主固定鏡枠22を備えている。この主固定鏡枠22の内外に図2又は図3に示す全ての構成要素が組み付けれて収納されたとき、全体が、対向する長方形の2つの主面と該2つの主面に挟まれた扁平な空間内に構成要素が詰め込まれてなる装置本体の図1(a) に示す外形形状を形成する。
【0036】
上記の主固定鏡枠22は、上記2つの主面の少なくとも一方の主面を形成する金属フレーム23aを備えている。このレンズ装置1の構成において、他方の主面は開放されている。この金属フレーム23aで形成される一方の主面と開放されている他方の主面とで挟まれた扁平な空間の長手方向の一方の側面も、一方の主面の金属フレーム23aからほぼ直角に連設される金属フレーム23bで構成される。
【0037】
また、短手方向の一方の側面(図2、図3では斜め左下方の短手方向側面)も上記主面の金属フレーム23a及び長手方向側面の金属フレーム23bにそれぞれほぼ直角に連設される金属フレーム23cで構成される。
【0038】
これにより、金属フレーム23(23a、23b)は、長手方向(前述した折り曲げられた第2の光軸O2方向でもある)に直角な断面が、1つの主面と長手方向の1つの側面からなるL字型のフレームを構成し、少量の材料で剛性を形成する理想的な構造のフレームとなっている。
【0039】
この金属フレーム23の長手方向の両端部には、それぞれ金属フレーム23にアウトサート成形により一体成型された固定成形部が形成されている。これら2つの固定成形部が、図1(b) にも示した第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16である。
【0040】
そして、第1の固定鏡枠部15は図1(b) にも示したプリズムL1及び図2と図3には図示を省略しているがレンズL2が保持されて固定される。また第2の固定鏡枠部16には、これも図2と図3には図示を省略しているが図1(b) に示したレンズL9が保持されて固定される
これら第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16との間に、図1(b) にも示した3つの移動鏡枠(第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18、及び第3の移動鏡枠19)が配置される。
【0041】
これら3つの移動鏡枠及び上記2つの固定鏡枠には、それぞれレンズを保持して固定する接着剤が周囲にあふれ出ないようにする接着剤溜まり部24(図2参照)が形成されている。この接着剤溜まり部24は、固定されるレンズの周面と鏡枠との間に形成されている僅かな間隙である。
【0042】
尚、第3の移動鏡枠19及び第2の固定鏡枠部16の接着剤溜まり部は図では陰になって見えない。また、第1の固定鏡枠部15の接着剤溜まり部も図では定かに見えないが、レンズL1と一体なプリズムの側面に対応する部分に設けられている。
【0043】
上記3つの移動鏡枠が組み込まれるに先立って、ズーム用シャフトカム25が、主固定鏡枠22の開放側の長手方向側面の且つ第1の固定鏡枠部15の側部に近接して配置される。ズーム用シャフトカム25は、カム部のカム溝が設けられた周面を形成する太径部と、太径部の両端から同軸に突設された細径部26(26a、26b)を有しており、撮像素子14とは反対側端部に突設されている細径部26aにはギア27が固設されている。
【0044】
ズーム用シャフトカム25は、第1の固定鏡枠部15の金属フレーム23cとの一体化融着部に形成されている軸受嵌合孔28内に一方の細径部26aを一旦挿通した後、図の斜め右方に引きながら他方の細径部26bを図では陰になって見えない第1の固定鏡枠部15に形成されている軸受け孔に嵌入させ、一方の細径部26aを軸受嵌合孔28内において軸受29と係合させる。これによりズーム用シャフトカム25は第1の固定鏡枠部15に対し回転可能に支持される。
【0045】
ズーム用シャフトカム25の一方の細径部26aの突端には更に径の小さな凸部31が形成されており、この凸部31は、一方の細径部26aが軸受29と係合したとき軸受29から上方外部に突出する。この凸部31を付勢板バネ32により押し付勢されることにより、ズーム用シャフトカム25は上下の軸受けに位置決めされて安定して保持される。
【0046】
付勢板バネ32には、ほぼ四角な本体部から切り目によって一部を分離され下方に折り曲げられ更にその先端を水平に折り曲げられて形成された3個の曲がり足部32−1と、本体部中央を切り欠いて形成された止め切片32−2、及び本体部から一体に延設された付勢バネ部32−3とから構成されている。
【0047】
他方、金属フレーム23c側には、上記付勢板バネ32の3個の曲がり足部32−1に対応する位置に、3個の切欠部33が形成され、これら3個の切欠部33に囲まれたほぼ中央に、上記付勢板バネ32の止め切片32−2に対応する凸部34が形成されている。
【0048】
付勢板バネ32の3個の曲がり足部32−1を金属フレーム23cの3個の切欠部33に係合させながら、付勢板バネ32の本体部が金属フレーム23c側に押し込まれると、止め切片32−2の先端が凸部34の周面に係止することにより、付勢板バネ32が金属フレーム23cの外面に位置固定され、その付勢バネ部32−3の先端部によりズーム用シャフトカム25の凸部31が押し付勢されて、位置決めされる。
【0049】
これにより、ズーム用シャフトカム25は、その中心軸が主固定鏡枠22の長手方向すなわち第2の光軸O2に平行する向きで、第1の固定鏡枠部15に保持されるプリズムL1の近傍に配置され、少なくとも軸方向での一部分がプリズムL1の側面に隣接するように配置される。
【0050】
続いて、ズーム用モータユニット35が、レンズ(プリズム)L1の反射面裏側を保持する第1の固定鏡枠部15の斜面と金属フレーム23cによりに形成される略三角柱形状の空間部(図3参照)に配置され、その減速ギア列36がズーム用シャフトカム25のギア27に係合する。このズーム用モータユニット35は、ギア軸固定部37及び止め板固定部38の2箇所の止め部(図3参照)が、第1の固定鏡枠部15に形成されている位置決め孔39及び止め孔41にネジ止めされることによって第1の固定鏡枠部15に固定される。
【0051】
上記に続いて、主固定鏡枠22に、絞り・シャッタユニット42が組み付けられる。絞り・シャッタユニット42は(以下、図2参照)、第2の光軸O2を形成する反射光の通過光量を規制する絞りとシャッタを備えた絞り・シャッタ部43と、この絞り・シャッタ部43の絞りとシャッタとをそれぞれ機械的に駆動するロータリーソレノイド44及び45を備えている。
【0052】
絞り・シャッタ部43は図1(b) に示した絞りの位置21に配置され、2個のロータリーソレノイド44及び45はズーム用シャフトカム25の下方に配置される。
更に、この絞り・シャッタユニット42の下方に、第3の移動鏡枠19を移動駆動するための振動波リニアモータ46と磁気センサユニット47とが、主固定鏡枠22の短手方向に並んで重なるようにして配置される。
【0053】
これにより、振動波リニアモータ46は、ズーム用シャフトカム25の軸の延長方向の位置で且つ撮像面側に配置される。
磁気センサユニット47は(図3参照)、磁気センサホルダ48、磁気センサ49、磁気スケール51、及び付勢バネ52を備えている。
【0054】
尚、上記の振動波リニアモータ46と、磁気センサユニット47については更に詳しくは後述する。
このように、上述した各部材が配置された後、図1(b) に示した移動レンズ部9、11、及び12(図2と図3には図示を省略)をそれぞれ接着剤で固定された第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18、及び第3の移動鏡枠19が組み付けられる。
【0055】
これらの第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18、及び第3の移動鏡枠19に保持される図1(b) に示した移動レンズ部9、11及び12の各レンズL3〜L8は、図1(b) では側断面図のため定かではないが、レンズは図1(a) に示すレンズ装置1に対して上下(図1(b) でも上下)を切除されて上下の周面が平坦な周面を形成して、レンズを正面で見ると小判形の形状を成している。
【0056】
そして、第1、第2、第3の移動鏡枠17、18、19のレンズ保持部外周は上記小判形の形状のレンズを保持することに対応して、第2の光軸O2に沿った上下(図1(a) に示すレンズ装置1における上下、図1(b) に示すレンズユニットでの上下)の周面が平面的に形成されており、これによりレンズ装置1に組み込まれる移動鏡枠の薄型化が図られている。
【0057】
また、第2、第3の移動鏡枠18、19は、更なる薄型化を図るために、レンズを保持する鏡枠の下部(図2では下方の部分、図3では上方の部分)の、レンズ下部の平坦周面部分に対応する枠壁が切り欠かれて図1(b) に示した切欠部18−1、19−1が形成され、レンズ後部の平坦周面部分が露出している。
【0058】
尚、上記の切欠部は、第2の移動鏡枠18については図2及び図3で見える部分にあるが、第3の移動鏡枠19については、残る周囲の鏡枠の陰になって定かには見えない。
これら第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18及び第3の移動鏡枠19は(図2参照)、それぞれ、軸受部53(53−1、53−2、53−3)を備え、これらの軸受部53には、それぞれ、ガイド孔54(54−1、54−2、54−3)が設けられている。
【0059】
また、これら第1の移動鏡枠17、第2の移動鏡枠18、及び第3の移動鏡枠19には、上記軸受部53と対向する端部に、それぞれU字切欠部55(55−1、55−2、55−3)を備えている(図3参照)。
【0060】
更に、第1の移動鏡枠17の上記軸受部53−1とU字切欠部55−1とを有する後端部と対向する前端部外面56と(図2参照)上記軸受部53−1が配置される側面部57との境界に形成される段差部58には、光反射部材59が貼着されて配置される。
【0061】
また、第1の移動鏡枠17の軸受部53−1に一体に横に突設された部分と、第2の移動鏡枠18の軸受部53−2に一体に上に延設された部分に、それぞれカムフォロア61(61−1、61−2)が形成されている。
【0062】
また、第3の移動鏡枠19の軸受部53−3に一体に横方向に立設される側面には光反射部材62が貼着されている。
また、第2の移動鏡枠18及び第3の移動鏡枠19には、上記軸受部53(53−2、53−3)とU字切欠部55(55−2、55−3)とを有する後端部と対向する前端部外面に図1(b) で説明した補強用の凸部63(63−2、63−3)が形成されている。この凸部63は、上述した装置全体を薄型にするために小判形のレンズの後部平坦部分に対応する枠壁が切り欠かれて欠如している鏡枠の強度を補強するために設けられている。
【0063】
また、上記3個の移動鏡枠のガイド孔54には、第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16のそれぞれ開口側面と開口主面に最も近接する角部に形成されたガイド軸支持孔64(64−1、64−2)に両端を支持される第1のガイド軸65が挿通される。
【0064】
これにより、第1,第2及び第3の移動鏡枠17、18及び19(つまり3個の移動レンズ部9、11、12)は、図1(b) に示す光軸O2方向に移動可能に支持される。
また、第1のガイド軸65を支持するガイド軸支持孔64(64−1、64−2)が、開口側面と開口主面に最も近接する角部に形成されていることにより、第1のガイド軸65は、主固定鏡枠22により形成されるレンズ装置1本体内において、開放された側面と開放された主面とが交わる最外部に可及的に近接して配置される。このように最外部に可及的に近接して配置された第1のガイド軸65に軸受部53が支持されることにより、3個の移動鏡枠は、狭い扁平な装置本体内部において空間に無駄なく配置される。
【0065】
この第1のガイド軸65の挿通に際しては、第1の移動鏡枠17の軸受部53−1と、第2の移動鏡枠18の軸受部53−2との間に、押し付勢力を有する圧縮バネ66が、第1のガイド軸65に外嵌して介装される。
【0066】
また、上記3個の移動鏡枠の組み付けに先立って、第1の固定鏡枠部15と第2の固定鏡枠部16のそれぞれ金属フレーム23bで構成される閉側面と開口主面とに最も近接する位置に形成された他の2つのガイド軸支持孔67(図3参照)により両端を支持されて第2のガイド軸68が配置される。
【0067】
上記3個の移動鏡枠の組み付けに際しては、上述したU字切欠部55が上記第2のガイド軸68に横から嵌合して摺動自在に支持された後、その第2のガイド軸68を支点にして各移動鏡枠を内側に回動させることにより、第1の移動鏡枠17及び第2の移動鏡枠18に配設されているカムフォロア61が、ズーム用シャフトカム25のカム溝に滑動自在に嵌入して係合する。
【0068】
すなわち、ズーム用シャフトカム25には、複数の鏡枠(この例では第1の移動鏡枠17及び第2の移動鏡枠18)に対応するカム(カムフォロア61−1、61−2が係合するカム溝)がそれぞれ形成されている。
【0069】
上記のようにカムフォロア61がズーム用シャフトカム25のカム溝に嵌入することにより、ズーム用シャフトカム25と第1の移動鏡枠17及び第2の移動鏡枠18とが摺動自在に係合する。
【0070】
また、これと共に、第1の移動鏡枠17の上部外面56(図2参照)が一方の主面を形成している金属フレーム23aの裏面に近接して配置され、第2の移動鏡枠18及び第3の移動鏡枠19の前端部外面に形成されている補強用の凸部63が、同じく金属フレーム23aに形成されている開口部69に嵌入する。
【0071】
この開口部69は、第2の移動鏡枠18及び第3の移動鏡枠19の移動によって移動する移動レンズ(図1(b) のレンズL5〜L8参照)の移動との干渉を回避するために、つまり凸部63が移動することへの妨害となるのを回避すべく、上記移動レンズの移動ストロークに応じた上下に長い開口部を形成している。
【0072】
この後、上述した第1のガイド軸65が各移動鏡枠の軸受部53のガイド孔54及び両端部のガイド軸支持孔64に挿通される。これにより、上記二本のガイド軸(65、68)は、ズーム用シャフトカム25に隣接し且つズーム用シャフトカム25の軸と平行に配置される。
【0073】
このように、軸形状部材が、相互に隣接し且つ並行して配置されるので、装置全体の小型化に貢献できる。
これら二本のガイド軸により支持されて、3個の移動鏡枠(17、18、19)が、光軸O2方向に摺動可能に規制され且つ一方のガイド軸により他方のガイド軸周りの回転を禁止され、光軸O2に直角方向の位置決めをされて主固定鏡枠22内に配置される。
【0074】
また、第1の移動鏡枠17の軸受部53−1と第2の移動鏡枠18の軸受部53−2との間に圧縮バネ66が第1のガイド軸65に外嵌して介装されることにより、第1の移動鏡枠17と第2の移動鏡枠18は互いに相反する方向に付勢されている。
【0075】
これにより、ズーム用シャフトカム25のカム溝に係合するそれぞれのカムフォロア61−1、61−2が、ズーム用シャフトカム25のカム溝の溝壁のそれぞれ相反する片側に押し付けられるようになり、したがって、ズーム用シャフトカム25の回転駆動時のカム溝とカムフォロア間に生じる遊びが解消される、これにより、左移動時と右移動時における位置関係が正しく制御される。
【0076】
上記の配置において、第1のガイド軸65は、ズーム用シャフトカム25とほぼ並行に且つ隣接して配置される。
この後、撮像素子14が第2の固定鏡枠部16の下面に取り付けられる。また、金属フレーム23aと同一面にある第1の固定鏡枠部15の面の、第1の移動鏡枠17に取り付けられている光反射部材59に対応する位置にフォトセンサ取付孔71が設けられており、このフォトセンサ取付孔71にフォトセンサ72が配置される。
【0077】
このフォトセンサ72は、第1の移動鏡枠の絶対位置を検知する。その検知した絶対位置からの第1の移動鏡枠の移動距離は、ズーム用モータユニット35のステップ駆動されるズームモータのステップ数を、不図示の制御装置がカウントすることにより移動位置を検出して決定される。
【0078】
また、第2の固定鏡枠部16の開放されている側面に面する側の、第3の移動鏡枠19に取り付けられている光反射部材62に対応する位置に、他のフォトセンサ73が配置される。このフォトセンサ73は、第3の移動鏡枠19に取り付けられた光反射部材62からの反射光を検出して第3の移動鏡枠19の絶対位置を検知する。
【0079】
これら絶対位置の決定後、ズーム用モータユニット35におけるモータの順逆両方向の回転により、ズーム用シャフトカム25が所定範囲の角度内で順逆両方向に回動する。このズーム用シャフトカム25の外周に設けられた2つのカム溝に、第1の移動鏡枠17のカムフォロワ61−1及び第2の移動鏡枠18のカムフォロワ61−2が係合していることにより、上記ズーム用シャフトカム25の回動に応じて、第1の移動鏡枠17と第2の移動鏡枠18(つまり第1の移動レンズ部9及び第2の移動レンズ部11)が、第2の光軸O2方向に沿って離接の移動を行って、光軸O2方向に進む光束の映像に対し縮小/拡大のズームを行う。
【0080】
また、図1(b) に示した第1、第2の移動レンズ部9、11の間の絞り位置21に絞り・シャッタ部43が配置される絞り・シャッタユニット42によって、光軸O2を進行する光束の進路が開閉されるとともに、光学フィルタ(NDフィルタ)によって撮像面への光量が制御される。
【0081】
続いて、合焦用の第3の移動レンズ部12を保持する第3の鏡枠の移動を駆動する振動波リニアモータについて説明する。
図4(a) は、本例において用いられる振動波リニアモータの基本構成を示す側面図であり、同図(b) は、その正面図である。同図(c) は、基本構成の他の例を示す側面図、同図(d) は、その正面図である。
【0082】
本例における振動波リニアモータの同図(a),(b) に示す第1の基本構成は、先ず、直方体形状をした上下2個の振動子本体71及び72と、この2個の振動子本体71及び72の上下対向する面にそれぞれ振動子本体71及び72と一体に形成された又は別体で接着された突起形状の少なくとも1個以上の(図の例では上の振動子本体71に2個、下の振動子本体72に1個)の駆動接触部73(73−1、73−2、73−3)とから成る2個の振動子74及び75を備えている。
【0083】
更に、この振動波リニアモータの基本構成において、上記振動子74を固定して支持する第1の支持部76と、振動子75を揺動可能に支持する弾性部材からなる第2の支持部77を有し、この第2の支持部77の弾性より、振動子74と振動子75は双方の対向部に向けて相対的に付勢されるように構成される。
【0084】
そして、第1の振動子としての振動子74は、駆動接触部73(73−2、73−3)を有する面と反対面を第1の支持部76に固定されている。
また、この振動波リニアモータの基本構成においては、上記双方の対向部に向けて相対的に付勢されている振動子74及び75の駆動接触部73に圧接されて2つの振動子74及び75に挟持されると共に、双方の対向部の相対する方向に直交する長手方向(同図(a) では図面左右方向、同図(b) では図面奥行き方向)に移動可能に支持されたシャフト78が備えられる。
【0085】
また、同図(c),(d) に示す本例の振動波リニアモータの他の基本構成は、上記第2の支持部77の弾性に代えて、押し付勢力を有する圧縮バネ79が、第1の支持部76と同様の剛体の支持部77´と振動子75の下面との間に介装され、支持部77´と圧縮バネ79とで第2の支持部が構成されている。
【0086】
なお、同図(a),(b) に示す第1の基本構成と同図(c),(d) に示す他の基本構成とは、上記のように第2の支持部の構成が異なるのみであるので、同図(c),(d) には、説明に必要な構成以外の部分には番号の図示を省略している。
【0087】
上記第2の支持部77の弾性による付勢力、又は圧縮バネ79による付勢力は、振動子本体72の振動の節部となる中央部80に加えられ、更に振動子本体71に対して相対的にシャフト78及び2個の駆動接触部73を介して振動子本体71の振動の節部となる中央部80に加えられるので、上記第2の支持部77の弾性による付勢力又は圧縮バネ79による付勢力は、振動子本体71及び72の中央より前後(図4(a) の図の左右方向)に均等に配分されて、上下3個の駆動接触部73がシャフト78に付勢される。
【0088】
上記3個の駆動接触部73は、詳しくは後述するように、少なくとも1つは楕円運動を行なって上記のシャフト78を相対的に移動させるように構成されている。
ここに示す基本構成のみならず、以下に示す種々の変形例、及び実際の組み立て上がり後の振動波リニアモータにおいても、上記の振動子本体71及び72は、それぞれ直方体形状に形成されており、上記のシャフト78は、その移動方向の長さにおいて各振動子74及び75の長さよりも長く形成されている。
【0089】
また、シャフト78は、直線形状の形状で中空又はムクの棒状部材からなる。尚、図4(a),(b) ではムクの棒として示している。また、このシャフト78は、棒状部材の一方の端部から他方の端部まで同一の幅で形成され、図4(a) に示すように断面が円形、つまり同図(b) に示すように全体が円柱形状に形成されている。勿論、円柱形状に限るものではなく、特には図示しないが、相対する駆動接触部の変形例に応じて、三角、四角、その他の多角形の断面を有する柱形状としてもよい。要は一定方向への移動が可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0090】
そして、このシャフト78に圧接する3個の駆動接触部73は、シャフト78の移動方向に沿って配置されている。これらの駆動接触部73は、シャフト78との接触部がU字形又はV字形の断面を有している(図4(a) ではU字形、V字形については後述する)。
【0091】
このように、本発明の振動波リニアモータによれば、2個の振動子74及び75によりシャフト78を駆動するので、シャフト78の移動に対して大きな駆動力を伝えることが出来る。
【0092】
また、上述したように少なくとも2個以上の駆動接触部を有する第1の振動子74と、少なくとも1個以上の駆動接触部を有する第2の振動子75とで、上の2個の駆動接触部73の間に下の1個の駆動接触部73が配置される形状で、長尺円柱型の被駆動体であるシャフト78を上下から挟み込み、相互に付勢され且つ2個以上の駆動接触部73を有する第1の振動子74が水平にも上下にも回転できない状態で支持部に固定された構成であるので、シャフト78が上下に傾くことなく且つ駆動接触部73からの規制によって駆動方向が一定した方向に規制される。
【0093】
このように振動子74又は75の駆動接触部73によってシャフト78の駆動方向が規制されるので、シャフト78を駆動方向に案内する案内部材を別個に設ける必要がないので、すなわち案内部材が不要となるので、部品点数が削減でき小型化の実現、コストの低減に貢献できる。
【0094】
また、上述したように、第2の支持部77の弾性による付勢力又は圧縮バネ79による付勢力は、振動子本体71及び72のそれぞれ中央より前後に均等に配分されるので、駆動接触部73が常にシャフト78の動きに合わせてシャフト78に接触していることができ、そのため振動子74及び75の駆動力をシャフト78に正確に効率よく伝えることが可能となる。
【0095】
また、万一、シャフト78が傾いた場合でも、下方に配置された第2の振動子45が揺動自在にシャフト78に対して付勢されているので、シャフト78の傾きに追随して常に一定の圧力で付勢が行われ、これによりシャフト78の駆動を円滑に行うことが出来る。
【0096】
また、支持部に固定される振動子は、駆動接触部を有する面の反対面が支持部に固定されるので、つまり振動子の一面を利用して支持部に固定されるので、簡単な構成で振動子を固定することが可能となる。
【0097】
図5(a),(b) は、駆動接触部73のシャフト78との接触面の断面形状の例を示す図であり、同図(c),(d),(e) は、駆動接触部の振動子本体への配置例を示す図である。
同図(a) は、図4(a) の場合と同一であり、駆動接触部73のシャフト78との接触部がU字形(又は円弧状)の断面となっている。そして、同図(b) は、駆動接触部73のシャフト78との接触部がV字形の断面の場合を示している。いずれの場合も、駆動接触部73は、シャフト78との接触面がシャフト78を半ば抱き込むように凹状に形成されている。
【0098】
このように、振動子74及び75の少なくともいずれか一方(図4(a) 〜(d) に示す例では両方)の駆動接触部73の形状は、シャフト78の移動方向を所定の一定方向(同図(a),(c) では図面左右方向、同図(b),(d) では図面奥行き方向)に規制する形状、換言すれば所定の一定方向に案内する形状に設定されている。
【0099】
なお、同図(a) では、上下2個の振動子74、75ともに駆動接触部73がシャフト78を抱くU字又はV字の断面形状に構成されているが、実際にはどちらか一方の振動子の駆動接触部73だけをシャフト78を抱く形状に構成してもシャフト78が案内は可能である。
【0100】
また、同図(c) は、図4(a),(b) に示したと同一の駆動接触部73の配置構成であり、この構成を換言すれば、上の振動子74に設けられた複数の駆動接触部73の間に、下の振動子75に設けられた少なくとも1個の駆動接触部73が対向配置されている、といえる構成である。なお、上記の構成は、全体として見ると、両振動子74及び75の上述した振動子本体71及び72の振動の節部となる中央部80を通る直線81に対称な構成となっていることが分かる。
【0101】
また、同図(d),(e) は、配置の上では上下の振動子74及び75が共に2個の駆動接触部73を備えた構成を示しており、この場合も、振動子本体71及び72の振動の節部となる中央部80を通る直線81に対して対称な構成となっている。また、図示を省略したシャフト78の中心軸82にも対称な構成となっている。
【0102】
いずれにしても、振動子74及び75は、少なくとも振動子本体71及び72の振動の節部となる中央部80を通る直線81に対称な構成、又はシャフト78の中心軸82に対称な構成であることが好ましい。
【0103】
また、同図(a) 〜(e) に示す駆動接触部73は、振動子本体71又は72とは別体の部材で構成し、組み立て時に接着によって振動子本体71又は72と一体化されるように構成される。
【0104】
ここで、本例における振動波リニアモータの振動子本体71(又は72、以下同様)の構成を説明する。
図6(a) は、上記振動波リニアモータの振動子本体71の正面図であり、同図(b) は、その側面図、同図(c) は、同図(a),(b) に示す振動子本体71の圧電体シートと電極配置を示する図、同図(d),(e) は、振動子本体の他の構成例を2例示す図である。
【0105】
同図(a),(b) に示すように、振動子本体71は、積層された圧電体シート86から成る圧電体シート層87とその下方に積層された弾性体シート88から成る弾性体シート層89とで構成される。
【0106】
圧電体シート層87の上面と、弾性体シート層89の下面には、それぞれ絶縁体シート91が貼着されている。尚、この絶縁体シート91は、元来が絶縁体である弾性体シート88と同一部材を用いることもできる。また、図4及び図5に示した駆動接触部73又は連結型駆動接触部85は、いずれか一方の絶縁体シート91のそれぞれ外側面に密着して形成されている。
【0107】
上記振動子本体71の圧電体シート層87は、主に強制振動を与えるための圧電体部を構成しており、弾性体シート層89は、圧電体部と合わせて特定の振動モードを励起する励起部を構成している。ただし、圧電体部だけで所望の振動モードを励起することができれば、励起部は必ずしも必要ではない。
【0108】
圧電体シート層87を形成する圧電体シート86と、弾性体シート層89の弾性体シート88は、図6(c) に示す内部電極処理が施されているかいないかの違いだけで、本来は例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の同一材質から成る薄い矩形状のシート部材である。具体的には例えば縦10mm、横2.5mm、高さ(積層方向の厚さ)80μmの形状を有している。
【0109】
尚、本例において使用するPZT材は、Qm値が2000というように大きいハード系材料が選択されて使用される。弾性体シートも同様である。また、圧電体シート層87と弾性体シート層89を上下から挟持する絶縁体シート91は、同じPZT材で、厚さは40μmの形状である。これらの絶縁体シートは圧電体シートと同一材料ではあるが電極が設けられていないので未分極状態であり、圧電性は無く、したがって、実質的に絶縁体としての特性を有している。
【0110】
圧電体シート層87の圧電体シート86は、内部電極処理が施された電極のパターンのみが異なる2種類のシート状圧電素子で構成される。これら2種類の圧電体シート86は同図(c) に示すように、一方は左右二方に分けてほぼ全面にA+内部電極箔94とB−内部電極箔95を形成された圧電体シート86mである。上記A+内部電極箔94とB−内部電極箔95には、それぞれ左右両端に近い位置に、外部と接続するための端子94−1と端子95−1が圧電体シート86mの一方の側方に突出して形成されている
他方は同じく左右二方に分けてほぼ前面にA−内部電極箔96とB+内部電極箔97を形成された圧電体シート86nである。上記A−内部電極箔96とB+内部電極箔97には、それぞれ左右の中央に近い位置に、外部と接続するための端子96−1と端子97−1が圧電体シート86nの上記と同じ一方の側方に突出して形成されている。
【0111】
上記の内部電極箔は、その電極材料としては銀パラジウム合金もしくは銀が用いられ、例えば蒸着とフォトリソグラフィー技術によって、厚さ4μmの形状となるように形成されている。
【0112】
本例では、圧電体シート層87は、これら2種類の圧電体シート86mと86nとを、それぞれ24枚づつ合計48枚のシート層として、交互に重ねて構成されている。
このようにして、最上部と最下部を除く中間部では、一枚の内部電極箔が自身が形成されている圧電体シート86(86n又は86m)と、自身に接する圧電体シート86(86m又は86n)の両方へ反対電位の電圧を印加する内部電極を構成している。
【0113】
上記のA+内部電極箔94、A−内部電極箔96、B+内部電極箔97、及びB−内部電極箔95からそれぞれ圧電体シート86(86m、86n)の一方の側方に突出して形成されている外部接続用の端子94−1、95−1、96−1及び97−1は、同図(a) に示す振動子本体71の一方の側面において、焼き付け銀より成るA+電極接続外部端子98、A−電極接続外部端子99、B+電極接続外部端子101、及びB−電極接続外部端子102にそれぞれ接続されている。
【0114】
上記の一方のA+電極接続外部端子98とA−電極接続外部端子99はA相電極として構成され、他方のB+電極接続外部端子101とB−電極接続外部端子102はB相電極として構成されている。尚、この場合、A−電極接続外部端子99とB−電極接続外部端子102は、それぞれA相とB相のグラウンド(GND)接続用として構成するものであるので、その場合は同一のリード線等に接続して電気的に同電位となるように構成しても良い。これらA相とB相の電極接続外部端子を介して特には図示しない駆動回路から電圧が圧電体シート層87に印加されて、振動子本体71は後述する超音波楕円振動を発生する。
【0115】
尚、本例における振動子本体71の寸法は、例えば、長手方向の寸法が10mm、短手方向の寸法が2mm、そして高さが2.5mmの形状で構成されている。この振動子本体71には、図6(a) に示すように、上記のA相電極とB相電極のほぼ中間つまり図4(b) 及び図5(c),(d),(e),(g) に示した振動の節部となる中央部80の位置に、ピン部材取り付け孔103が形成されている。このピン部材取り付け孔103については後述する。
【0116】
また、圧電体部としては必ずしも圧電体シート層87でなくても以下のようなものでもよい。図6(d) は圧電体部として、積層圧電体又は圧電素子からなる圧電体105と、たとえば真鍮材からなる振動子本体主要部106、振動子本体部品107とを接着結合して振動子本体としたものである。振動子本体主要部106、振動子本体部品107が励起部をなす。
【0117】
また、図6(e) は、直方体形状のたとえば真鍮部材の弾性体部108に薄い単板圧電体109を接着した構成を示している。弾性体部108が励起部をなす。これらの部材の接着時には十分な押圧をかけて接着することが、振動伝達効率を上げるために重要である。
【0118】
図7(a),(b) は、上記の構成において電極への電圧印加により発振駆動される振動波リニアモータ70の振動子本体71の超音波楕円振動を模式的に説明する斜視図であり、同図(c) は、同図(b) の2次の屈曲振動を分かり易く振動子本体の輪郭線のみで示す図である。
【0119】
先ず、図6(a) に示した振動子本体71のA相電極98,99、及びB相電極101、102に、同位相である共振周波数近傍の交番電圧を印加すると、図7(a) に示すように、振動子本体71には、静止位置111と共振縦振動位置112からなる1次の縦振動が励起される。この場合、振動子本体71は長手方向に伸縮すると共に、中央部の上下左右の寸法が伸縮する。
【0120】
また、図6(a) において、上記A相電極98,99、及びB相電極101、102に、逆位相である共振周波数近傍の交番電圧を印加すると、図7(b) に示すように、振動子本体71には、静止位置113と共振屈曲振動位置114からなる2次の屈曲振動が励起される。
【0121】
これらの振動は、有限要素法を用いてコンピュータ解析することにより予想されたものであるが、実際の超音波振動測定の結果でも、それらの予想が実証された。
尚、図7(c) では、静止位置113と共振屈曲振動位置114のほかに、図4(b) に示した振動子本体71に配置された駆動接触部73−1及び73−2の構成の場合の2つの駆動接触部の動きを上部に示し、これまでの図では未だ示していなかったが、2つの駆動接触部の振動子本体の長手方向両端に配置した場合の2つの駆動接触部の動きを下部に示している。
【0122】
このように、振動子から被駆動体(シャフト)に効率良く動力を伝達するためには、駆動接触部は、振動子の被駆動体との対向方向の振動が最も高くなる位置又はその近傍に固定されて配置されることが望ましい。
【0123】
また、図7(a),(b) には、同図(c) に示す振動の節部(振動が極小になる節の位置)となる中央部80の位置に形成された図6(a),(d),(e) に示したピン部材取り付け孔103に取り付けられたピン部材115を示している。
【0124】
尚、本実施の形態では、共振周波数に関して、屈曲2次振動の共振周波数を縦1次振動の共振周波数より数%程度(望ましくは3%程度)低くなるように設計している。このように構成することで、後述するように振動波リニアモータとしての出力特性を大幅に向上させることができる。
【0125】
次に、振動子本体71のA相電極98,99、及びB相電極101、102に位相がπ/2だけ異なる共振周波数近傍の交番電圧を印加すると、振動子本体71の図7(c) に示す振動子本体の長手方向両端に配置した2個の駆動接触部73の位置と、振動子本体72の図7(c) に示す端部と中央とのほぼ中間に配置した2個の駆動接触部73の位置とで、楕円振動を観測することが出来た。
【0126】
この場合、振動子本体71の底面にある駆動接触部73の位置での超音波振動による楕円振動の回転の向きと、振動子本体72の上面に配置してある駆動接触部73の位置での超音波振動による楕円振動の回転の向きとは逆になる。(図8参照。)
図8(a),(b) は、位相がπ/2だけ異なる共振周波数近傍の交番電圧を印加したときの振動子の駆動接触部の楕円振動を模式的に示す図である。尚、同図(a),(b) に示す連結型駆動接触部85の駆動接触部73の配置が上下で異なるが、同一の番号で連結型駆動接触部85として示している。また、駆動接触部73が、それぞれが単独の駆動接触部である場合も以下に説明する楕円振動の動きは同一である。
【0127】
図8(a) は、A相電極98,99が、B相電極101、102よりも、印加される交番電圧の位相がπ/2だけ進んでいる場合の動作を示しており、振動子本体71の底面の駆動接触部73は時計回り方向の回転をしており、他方、振動子本体72の上面の駆動接触部73は反時計回り方向の回転をしている。
【0128】
そして、図8(b) は、A相電極98,99が、B相電極101、102よりも、印加される交番電圧の位相がπ/2だけ遅れている場合の動作を示しており、振動子本体71の底面の駆動接触部73は反時計回り方向の回転をしており、他方、振動子本体72の上面の駆動接触部73は時計回り方向の回転をしている。
【0129】
このように、同じ振動子の駆動接触部は同じ向きに回転するような位置に配置し、且つ対向側の振動子の駆動接触部は反対向きに回転する位置に配置されることが好ましい。これにより最も効率よくシャフト78に対する駆動力を取り出すことができるようになる。
【0130】
すなわち、上記振動子本体71及び72の縦振動と屈曲振動とから合成される楕円振動が、4個の駆動接触部73を介してガイド軸78に作用し、シャフト78が、振動子本体71及び72の各駆動接触部73の接触面によるガイドに従って、図4(a),(b) で示した同図(a) の図面奥行き方向、同図(b) では図面左右方向に進退移動する。これが、本発明における振動波リニアモータの動作原理である。
【0131】
尚、本実施の形態では、圧電体部が、A相電極98,99が配設されるA相とB相電極101、102が配設されるB相の2個所で構成されているが、圧電体部は2個所と限ることなく、縦振動と屈曲振動を起こさせることができれば3個所以上であってもよい。
【0132】
また、本例では、振動子本体71が、ほぼ直方体形状であるので、このような場合は、縦振動と屈曲振動により上記の駆動力が得られるが、駆動接触部に楕円振動を起こして駆動力を得られるのであれば、振動子は他の形状でもよい。また、1または複数の、同じまたは整数倍の周波数のモードを同時に励起しても、同じような振動運動を得ることができる。
【0133】
更に、駆動接触部は、振動波リニアモータとして最も高レベルの出力特性が得られる任意の位置、すなわち、振動子本体71又は72の最も高レベルの超音波楕円振動が行われる位置に設けられるのが望ましいが、一般には、楕円振動を行うことが駆動の源となるため少なくとも1個以上の駆動接触部では楕円振動が起こっており、少なくとも全ての駆動接触部の部位で生ずる振動による駆動力の総和が0にならないように駆動接触部を配置すればよい。
【0134】
また、全ての駆動子の位置で楕円運動が起こっている必要はなく、単振動または逆方向の振動が起こってもいても、各振動子からの駆動力の総計が0でなく、ある1方向への駆動力となっていればよい。
【0135】
いずれにしても、電極の配置位置、交番電圧の印加タイミング、駆動接触部の配置位置を適宜に設定することにより、上下2つの振動子を用いて最小限の入力電圧でシャフト78の駆動が可能である。
【0136】
また、図8(a),(b) の示す振動子71の例では、駆動接触部73が振動子本体71の長手方向両端部に形成されているが、このような場合、被駆動体である図4等に示すシャフト78は、その移動方向の長さにおいて振動子の複数の駆動接触部(図8の例では2個)の最大配置長よりも長く形成されていなければならないということになる。
【0137】
<実施形態1〜6>
図9(a),(b) 、図10(a),(b) 、図11(a),(b) 、図12(a),(b) 、図13(a),(b) 及び図14(a),(b) は、それぞれ振動波リニアモータの基本構成に基づく様々な実施形態を示す側面図及び正面図又は分解斜視図及び組立て上がり斜視図である。尚、これらの図において、図4(a) 〜(d) に示した基本構成と同一の構成部分には図4(a) 〜(d) と同一の番号を付与して示している。
【実施例1】
【0138】
図9(a),(b) は、実施形態1としての振動波リニアモータの構成を示す図である。図9(a),(b) に示すように、本例では、第1の支持部76及び第2の支持部77にそれぞれ固定され、振動子74及び75をそれぞれ両側から挟むように配置された断面がコの字形の支持係合部材116が設けられる。この支持係合部材116のピン受け孔116−1が、振動子74及び75のピン部材取り付け孔(図6(a),(d),(e) のピン部材取り付け孔103参照)に挿入されたピン部材115(図7(a),(b) のピン部材115も参照)の両端に係合している。
【0139】
この構成においては、断面がコの字形の支持係合部材116に両側から挟まれて支持されている振動子74はピン部材115と支持係合部材116が接着されていることから、水平及び上下のいずれの方向にも回転することはできない。しかし、振動子75は支持係合部材116を支点としてシーソー状に揺動可能である。
【0140】
また、ここでは、第2の支持部77の弾性が、図4(a),(b) に示したように振動子74を直接付勢するのではなく、上記の支持係合部材116に当接し、これにより支持係合部材116及びピン部材115を介して振動子74を付勢している。
【0141】
このように、振動子本体71の振動の節部となる中央部80に形成されているピン部材取り付け孔に挿通されているピン部材115を介して振動子75を付勢するので、振動子本体の共振による変位を阻害しない構成で、振動子を簡単にシャフト78に付勢することが可能である。また、振動子本体の変位しない中心部で付勢するので、振動子を均一にシャフトへ付勢でき、これにより、シャフト78の安定した駆動が可能となる。このことは、複数の駆動接触部が図8のように配置され、シャフトへ付勢されている場合でも同様である。
【実施例2】
【0142】
図10(a),(b) は、実施形態2としての振動波リニアモータの構成を示す図である。図10(a),(b) に示す振動波リニアモータは、図9(a),(b) の構成において、振動子74の支持係合部材116のピン受け孔116−1にピン部材115の両端が接着されている。これにより、振動子74は、図9(a),(b) の場合のように水平方向に回転することができないだけでなく図10(a),(b) では上下方向の揺動も禁止される。
【0143】
すなわち、本例では、振動子74は、図4(a),(b) に示したように駆動接触部73(73−2、73−3)を有する面と反対面によって第1の支持部76に直接固定されるのではなく、図10(a),(b) に示すように、ピン部材115及び支持係合部材116を介して第1の支持部76に完全に固定される。
【0144】
他方の振動子75は、これも図4(a),(b) に示したように駆動接触部73(73−1)を有する面と反対面によって第2の支持部76から付勢されながら支持されるのではなく、図10(a),(b) に示すように、振動子74と同じく両側から挟むように配置された断面がコの字形の支持係合部材117の、ピン受け孔の代わりに形成されたV字形の係合部117−1のV字の谷によって、振動子本体72のピン部材取り付け孔(図6(a),(d),(e) のピン部材取り付け孔103参照)に挿入されたピン部材115(図7(a),(b) のピン部材115も参照)の両端を下方から支持されている。
【0145】
そして、支持係合部材117が、剛体の支持部77´と圧縮バネ79から成る第2の支持部77により上方に付勢されていることにより、振動子75は、振動が極小になる節の位置に固定されたピン115を介してシャフト78に対して付勢されているという形態となっている。
【0146】
上述した図9(a),(b) 及び図10(a),(b) いずれの場合も、振動子の振動が極小になる節の位置にあるピンを利用して振動子を固定するため、振動子の振動モードを阻害することない。そのため、振動子の駆動力を被駆動体であるシャフトにより多く、つまりより強く伝達することができる。これにより、駆動力の効率が向上する。
【0147】
なお、振動子75は、揺動自在に固定されているため、シャフト78の寸法、動きに合わせて振動子75が姿勢を変えることができるので、シャフト78の駆動を円滑に行うことができる。
【0148】
また、上記のように2つの振動子を、振動子の振動が極小になる節の位置にあるピンを利用して振動子を完全に固定又は揺動自在に位置固定する形態は、後述する図11乃至図14において示す実施の形態においても同様である。
【実施例3】
【0149】
図11(a),(b) は、実施形態3としての振動波リニアモータの構成を示す図である。図11(a),(b) に示すように、本例の振動波リニアモータは、振動子74を、図10(a),(b) の場合と同様に第1の支持部76に固定している。そして、振動子75は、第1の支持部に固定した振動子74に固定されたピン115から引っ張りバネ118等の引き付勢部材により、振動子75に固定されたピン115を介して揺動自在にシャフト78に付勢されている。
【0150】
このように、本例では、2個の振動子74及び75を、それぞれに固定されているピン115を用いてシャフト78に付勢しているので、振動子74及び75の中心位置を合わせてシャフト78に付勢することが可能であり、また、全体構成を小型化することが可能である。
【実施例4】
【0151】
図12(a),(b) は、実施形態4としての振動波リニアモータの構成を示す図である。図12(a),(b) に示す振動波リニアモータは、下方に位置する振動子75の振動本体72の振動態様を屈曲振動のみにして、節の位置を2箇所とする。そして、これら2箇所の節の位置にそれぞれピン115を固定する。
【0152】
そして、これら2個のピン115と剛体の支持部77´に固設された2個の支持係合部材117のV字形の係合部117−1のV字の谷との係合により、振動子75が支持係合部材117を介して支持部77´に固定されている。
【0153】
他方、上方に位置する振動子74については、振動子75に固定したピン115を介して1個の支持係合部材117及び圧縮バネ79を介して揺動自在にシャフト78に付勢されて第1の支持部に位置固定されている。
【0154】
このように、本例では、下に位置する振動子75を2点で支持するため、ピン115を支持部77´に接着等で固定しなくても、振動子75を水平方向にも上下方向にも回転の力が加わらないように固定できる。
【実施例5】
【0155】
図13(a),(b) は、実施形態5としての振動波リニアモータの構成を示す図である。図13(a),(b) に示す振動波リニアモータは、下方に位置する振動子75の振動本体72の振動態様を屈曲振動のみにして節の位置を2箇所とし、これら2箇所の節の位置にそれぞれピン115を固定し、これら2個のピン115と剛体の支持部77´に固設された2個の支持係合部材117のV字形の係合部117−1のV字の谷との係合により、振動子75が支持係合部材117を介して支持部77´に固定される点においては図12(a),(b) の場合と同様である。
【0156】
本例において図12(a),(b) の場合と異なる点は、振動子75の2箇所に所設けたピン115間に、弾性力の小さいループ状の糸状部材119を掛け渡し、この糸状部材119の上方中間部と、上方に位置する振動子74のピン115とに引っ張りバネ118を掛け渡して振動子74をシャフト78に付勢する。
【0157】
このように。本例では、各々の振動子74及び75に固定されたピン115を、ループ状の糸状部材119及び引っ張りバネ118により相互に引っ張り、シャフトに付勢するので、装置が小型化に有効である。
【0158】
また、2個の振動子74及び75とも支持部に固定せずとも水平及び上下方向への回転力が働かず、シャフト78を一定方向(同図(a) では図面左右方向、同図(b) では図面奥行き方向)へ確実に規制又は案内することができる。
【0159】
尚、上述した第1乃至第5の実施形態においては、一方の振動子の駆動接触部を2個とし、他方の振動子の駆動接触部を1個として説明してきたが、基本形態の説明において図5(d),(e) にも示したように、振動子74及び75とも駆動接触部73をそれぞれ2個の構成としても良いことは勿論である。
【0160】
この場合、駆動接触部73の配設位置は、図5(d),(e) にも示したように、シャフト78を介して対向する位置にくるようにするとよい。また、これらそれぞれ2個の駆動接触部73の配置位置は、振動子74又は75の長さ範囲内で、振動子74又は75の駆動力を伝達できる場所に在れば、どの位置に在っても良い。
【0161】
また、シャフト78を介して対向する位置(面)でさえあれば、図5(d),(e) に示したように個々の駆動接触部73同士が対向している必要はなく、一方の振動子の駆動接触部の配置が図5(d) のようであって、他方の振動子の駆動接触部の配置が図5(e) のようであってもよい。
【0162】
このように、駆動接触部を各振動子ともに2個とすることにより、駆動力を向上させることが可能となる。また、駆動接触部が1個のときと比較して安定性が増加すると共にシャフトへの案内性がより向上する。更に、図5(e) に示すように2個の駆動接触部が振動子の両端に有る場合は、シャフトへの案内性はより向上する。
【実施例6】
【0163】
図14(a) は、は実施形態6としての振動波リニアモータの構成を示す分解斜視図、同図(b) はその組立て上がり状態を示す斜視図である。同図(a),(b) に示すように、振動波リニアモータ120は、先ず、図4乃至図13に示した直方体形状をした振動子本体71及び72と複数(図14(a),(b) の例ではそれぞれ2個)の駆動接触部73とから成る振動子74及び75を備えている。これらの振動子74及び75の振動の節部となる中央部には、それぞれピン部材115が挿通され、その両端は振動子74及び75の両側面からそれぞれ外部に突出している。
【0164】
これらの振動子74及び75を上部と下部に収容して長手方向(同図(a),(b) の斜め左下から斜め右上方向)への移動を禁止する一方で、長手方向の両面にシャフト78が挿通されるシャフト挿通孔121−1、121−2を形成されているハウジング122が備えられる。ハウジング122の上部と下部に収容される振動子74及び75の間に、ハウジング122のシャフト挿通孔121−1、121−2を挿通されたシャフト78が介装される。
【0165】
上記のハウジング122の上下から、ハウジング122の上部と下部を抱き込むように付勢係合部材123−1、123−2が組み合わせられる。付勢係合部材123−1、123−2の長手方向の一方の端部(同図(a),(b) の斜め右上方向端部)には、それぞれ係止ピン孔124−1、124−2が形成されており、これらの係止ピン孔に対応して、ハウジング122の上部と下部の長手方向の一方の端部にも、それぞれ係止ピン孔125−1、125−2が形成されている。
【0166】
これら上方の付勢係合部材123−1の係止ピン孔124−1とハウジング122上部の係止ピン孔125−1に連結止めピン126−1が挿通される。この連結止めピン126−1を支点にして付勢係合部材123−1が揺動自在にハウジング122の上端部に係止する。
【0167】
他方、下方の付勢係合部材123−2の係止ピン孔124−2とハウジング122下部の係止ピン孔125−2に連結止めピン126−2が挿通される。この連結止めピン126−2を支点にして付勢係合部材123−2が揺動自在にハウジング122の下端部に係止する。
【0168】
また、付勢係合部材123−1、123−2の長手方向の他方の端部(同図(a),(b) の斜め左下方向端部)には、それぞれ付勢用ピン孔127−1、127−2が形成されている。これら付勢用ピン孔127−1、127−2には、それぞれ付勢用係合ピン128−1、128−2が挿通される。
【0169】
付勢用係合ピン128−1の外部に突出する両端部には、それぞれ円周に沿って切り欠かれた止め溝128−1a、128−1bが形成されており、他方の付勢用係合ピン128−2の外部に突出する両端部にも、それぞれ円周に沿って切り欠かれた止め溝128−2a、128−2bが形成されている。
【0170】
同図(b) には定かには示していないが、上記付勢用係合ピン128−1の手前側の止め溝128−1aと付勢用係合ピン128−2の手前側の止め溝128−2aに、引き付勢力を有する一方の螺旋バネ129−1の両端がそれぞれ係止し、上記付勢用係合ピン128−1の向う側の止め溝128−1bと付勢用係合ピン128−2の向う側の止め溝128−2b(いずれも同図(b) では他部材の陰になって見えない)に、引き付勢力を有する他方の螺旋バネ129−2の両端がそれぞれ係止する。
【0171】
これにより、上の付勢係合部材123−1は、連結止めピン126−1を支点にして全体が下方に付勢され、その係合部123−1−1が、上の振動子74のピン部材115に係合して振動子74を下方に付勢し、下の付勢係合部材123−2は、連結止めピン126−2を支点にして全体が上方に付勢され、その係合部123−2−1が、下の振動子75のピン部材115に係合して振動子75を上方に付勢する。
【0172】
これらの振動子74と振動子75に押圧挟持されるシャフト78の一方の端部(図14(a),(b) の斜め右上方向の端部)には、ナット131が固定され、そのナット131には駆動係合ピン132がシャフト78の軸に直角に且つ水平に且つ向う向き(同図(a),(b) では斜め左上向き)に固定して取り付けられる。
【0173】
尚、駆動係合ピン132の長く延び出す先端は、同図(b) では他部材の陰になって見えない。この駆動係合ピン132は、シャフト78が振動子74と振動子75により長手方向に進退駆動されることに応じて、そのシャフト78の動作に従って移動する。
【0174】
図15(a) は、上記振動波リニアモータ120と、第3の移動鏡枠19との連結方法を説明する斜視図であり、同図(b) は、その連結部のみを取り上げて示す拡大斜視図である。尚、同図(a) は、図3において振動波リニアモータ46(図15(a) では120)と第3の移動鏡枠19を見た図である。また、図15(a) は、シャフト78の端部のナット131に斜め左上向う側に突設されている駆動係合ピン132を、その突設側方向に、分かり易いようにナット131から脱離させて示している。
【0175】
図16(a) は、図15(b) を矢印c方向に見た図、図16(b) は図15(b) のA−A´矢視断面図である。尚、図16(b) には駆動係合ピン132と共にシャフト78とナット131の断面も示している。
【0176】
図15(a) に示すように、第3の移動鏡枠19は、第3の移動レンズ部12を保持する鏡枠本体133と軸受け部53−3と、この軸受部53−3から下方に突設された係合突設部134から構成されている。係合突設部134のほぼ中央部には鏡枠本体133が光軸O2に沿って移動する移動方向に並行する方向に長い長孔135が穿設されている。
【0177】
この長孔135には(以下、図16(a),(b) も参照)、移動出力取出用の駆動係合ピン132を第3の移動鏡枠19との当接個所(係合突設部134の長孔135)に付勢する板バネ136が図の向う側から係合する。
【0178】
板バネ136は、平らな本体部136−1と、この本体部136−1の下方から手前と上方に2段に折り曲げられたけ係止部136−2と、本体部136−1の左横から手前に折り曲げられた付勢部136−3とで構成されている。
【0179】
この板バネ136は、その係止部136−2が、第3の移動鏡枠19の長孔135が形成されている係合突設部134の下端部を向う側から回り込むように挟みつけて係合突設部134に係止する。これにより、板バネ136の本体部136−1が長孔135の向う側開口面に密着し、付勢部136−3が長孔135内の所定の位置に向う側から挿入される。付勢部136−3と長孔135の左端部間には移動出力取出用の駆動係合ピン132が挿通されるだけの間隙が形成されている。
【0180】
第3の移動鏡枠19の鏡枠本体133の向う側の側面133−1と、係合突設部134の手前側の面との間には、ちょうど振動波リニアモータ120の振動子本体71及び72の図6に示したA+電極接続外部端子98、A−電極接続外部端子99、B+電極接続外部端子101、及びB−電極接続外部端子102に接続されるフレキシブル基板が配置されるだけの空隙が形成されている。
【0181】
この空隙に振動波リニアモータ120が配置されたとき、その移動出力取出用の駆動係合ピン132が、図15(b) に示すように、付勢部136−3と長孔135の左端部間に形成されている間隙に挿通される。
【0182】
この係合により、移動出力取出用の駆動係合ピン132は、長孔135内において、第2の光軸O2方向への動きを禁止され、図15(a) では図示を省略している図2に示した金属フレーム23aに図14(b) に示したハウジング122が固定配置される振動波リニアモータ120のシャフト78の第2の光軸O2方向への移動を忠実に第3の移動鏡枠19に伝達する。
【0183】
また、駆動係合ピン132は、他方では、上記の係合において、上下の動きには遊びが許されている。この遊びにより、振動子本体71及び72とシャフト78の、振動子本体71又は72のピン部材115を中心とする上下方向の斜揺動等が吸収される。
【0184】
また、これにより、移動出力取出用の駆動係合ピン132は、上記のようにシャフト78の第2の光軸O2方向への移動の向きと力を第3の移動鏡枠19に正確に伝達する一方で振動子本体71及び72の楕円振動等による上下動に影響されるシャフト78の上下動に応じた上下動は長孔135内における上下動で吸収し、第3の移動鏡枠19に伝達することはない。
【0185】
このように、本例ではシャフト78と第3の移動鏡枠19間の連結には、一方でシャフト78にナット131を介して固定され、他方では板バネ136の付勢力により第3の移動鏡枠19鏡枠との当接個所(係合突設部134の長孔135)に当接するのみの移動出力取出用の駆動係合ピン132による連結状態を形成して、これによりシャフト78の移動力(駆動力)を第3の移動鏡枠19の移動に伝達するようにしている。
【0186】
このように、駆動係合ピン132は、振動波リニアモータ120を或る電子機器、装置等に搭載した場合に、シャフト78の移動駆動力を外部(電子機器内の移動駆動機構、装置内の被移動駆動物)へと伝達するための移動駆動伝達手段である。
【0187】
また、リニア駆動させることで、レンズ鏡枠などの直線移動を行う部材を直接に駆動することが可能となり、機械損失が低減でき、高効率な駆動を実現することができるようになる。
【0188】
また、カメラの鏡枠を被駆動体としたときは、リニア駆動によりレンズ鏡枠つまりレンズを直接駆動出来るため合焦時間を短くすることができ、迅速な撮影動作に対処することが容易に出来るようになる。
【0189】
ところで、前述の図4(a),(b) において、本例における振動波リニアモータは、シャフト78と2つの振動子74及び75とは相対的に移動する関係にあると説明した。
これを図15(a) で説明すると、図15(a) の場合は固定されたハウジング122に対して移動するシャフト78によって、このシャフト78にナット131及び駆動係合ピン132を介して連結された第3の移動鏡枠19が移動するが、例えばシャフト78の移動方向の前後の端部を、シャフト78の振動を阻害しない弾性部材で挟持し、この弾性部材を金属フレーム23aに固定し、ハウジング122との固定連結部を第3の移動鏡枠19の適宜の部位に形成する。
【0190】
そうすれば、シャフト78は固定配置となり、このシャフト78に対して相対的に振動子74及び75つまりハウジング122が移動することになり、すなわちハウジング122に固定連結された形の第3の移動鏡枠19の方が移動するようになる。
【0191】
そのような構成にすることも可能であり、従ってシャフト78と2つの振動子74及び75とは相対的に移動する関係にあると説明したものである。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】(a) は本発明の振動波リニアモータを搭載したレンズ装置を示す外観斜視図、(b) は(a) に示すレンズ装置のA−A´矢視断面を(a) の矢印a方向から見たレンズユニット各部の概略の構成を示す図である。
【図2】レンズ装置を上方から見た分解斜視図である。
【図3】レンズ装置を天地を逆にして下方から見た分解斜視図である。
【図4】(a) は本例において用いられる振動波リニアモータの基本構成を示す側面図、(b) はその正面図、(c) は基本構成の他の例を示す側面図、(d) はその正面図である。
【図5】(a),(b) は駆動接触部のシャフトとの接触面の断面形状の例を示す図、(c),(d),(e) は駆動接触部の振動子本体への配置例を示す図である。
【図6】(a) は振動波リニアモータの振動子本体の正面図、(b) はその側面図、(c) は(a),(b) に示す振動子本体の圧電体シートと電極配置を示する図、(d),(e) は振動子本体の他の構成例を2例示す図である。
【図7】(a),(b) は電極への電圧印加により発振駆動される振動波リニアモータの振動子本体の超音波楕円振動を模式的に説明する斜視図、(c) は(b) の2次の屈曲振動を分かり易く振動子本体の輪郭線のみで示す図である。
【図8】(a),(b) は位相がπ/2だけ異なる共振周波数近傍の交番電圧を印加したときの振動子の駆動接触部の楕円振動を模式的に示す図である。
【図9】(a),(b) は実施形態1としての振動波リニアモータの構成を示す図である。
【図10】(a),(b) は実施形態2としての振動波リニアモータの構成を示す図である。
【図11】(a),(b) は実施形態3としての振動波リニアモータの構成を示す図である。
【図12】(a),(b) は実施形態4としての振動波リニアモータの構成を示す図である。
【図13】(a),(b) は実施形態5としての振動波リニアモータの構成を示す図である。
【図14】(a) は実施形態6としての振動波リニアモータの構成を示す分解斜視図、(b) はその組立て上がり状態を示す斜視図である。
【図15】(a) は振動波リニアモータと第3の移動鏡枠との連結方法を説明する斜視図、(b) はその連結部のみを取り上げて示す拡大斜視図である。
【図16】(a) は図15(b) を矢印c方向に見た図、(b) は図15(b) のA−A´矢視断面図である。
【符号の説明】
【0193】
1 レンズ装置
2 回路基板
8 第1の固定レンズ部
9 第1の移動レンズ部
11 第2の移動レンズ部
12 第3の移動レンズ部
13 第2の固定レンズ部
14 撮像素子
L1 プリズム一体化レンズ
L2、L9 固定レンズ
L3、L4、L5、L6、L7、L8 移動レンズ
15 第1の固定鏡枠部
15−1 切欠部
16 第2の固定鏡枠部
17 第1の移動鏡枠
18 第2の移動鏡枠
18−1 切欠部
19 第3の移動鏡枠
19−1 切欠部
19−2 突設部
21 絞り位置(シャッタ位置)
22 主固定鏡枠
23(23a、23b、23c) 金属フレーム
24 接着剤溜まり部
25 ズーム用シャフトカム
26(26a、26b) 細径部
27 ギア
28 軸受嵌合孔
29 軸受
31 凸部
32 付勢板バネ
32−1 曲がり足部
32−2 止め切片
32−3 付勢バネ部
33 切欠部
34 凸部
35 ズーム用モータユニット
36 減速ギア列
37 ギア軸固定部
38 止め板固定部
39 位置決め孔
41 止め孔
42 絞り・シャッタユニット
43 絞り・シャッタ部
44、45 ロータリーソレノイド
46 振動波リニアモータ
47 磁気センサユニット
48 磁気センサホルダ
49 磁気センサ
51 磁気スケール
52 付勢バネ
53(53−1、53−2、53−3) 軸受部
54(54−1、54−2、54−3) ガイド孔
55(55−1、55−2、55−3) U字切欠部
56 前端部外面
57 側面部
58 段差部
59 光反射部材
61(61−1、61−2) カムフォロア
62 光反射部材
63(63−2、63−3) 凸部
64(64−1、64−2) ガイド軸支持孔
65 第1のガイド軸
66 圧縮バネ
67 ガイド軸支持孔
68 第2のガイド軸
69 開口部
71、72 振動子本体
73(73−1、73−2、73−3) 駆動接触部
74、75 振動子
76 第1の支持部
77 第2の支持部
77´ 剛体の支持部
78 シャフト
79 圧縮バネ
80 振動の節部となる中央部
81 振動の節部となる中央部を通る直線
82 シャフトの中心軸
86、86m、86n 圧電体シート
87 圧電体シート層
88 弾性体シート
89 弾性体シート層
91 絶縁体シート
94 A+内部電極箔
94−1、95−1 端子
95 B−内部電極箔
96 A−内部電極箔
96−1、97−1 端子
97 B+内部電極箔
98 A+電極接続外部端子
99 A−電極接続外部端子
101 B+電極接続外部端子
102 B−電極接続外部端子
103 ピン部材取り付け孔
105 圧電体
106 振動子本体主要部
107 振動子本体部品
108 弾性体部
109 単板圧電体
111 1次の縦振動の静止位置
112 1次の縦振動の共振縦振動位置
113 2次の屈曲振動の静止位置
114 2次の屈曲振動の共振屈曲振動位置
115 ピン部材
116、117 支持係合部材
118 引っ張りバネ
119 ループ状の糸状部材
120 振動波リニアモータ
121−1、121−2 シャフト挿通孔
122 ハウジング
123−1、123−2 付勢係合部材
123−1−1、123−2−1 係合部
124−1、124−2 係止ピン孔
125−1、125−2 係止ピン孔
126−1、126−2 連結止めピン
127−1、127−2 付勢用ピン孔
128−1、128−2 付勢用係合ピン
129−1、129−2 螺旋バネ
131 ナット
132 駆動係合ピン
133 鏡枠本体
134 係合突設部
135 長孔
136 板バネ
136−1 本体部
136−2 係止部
136−3 付勢部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体と、
該被駆動体を所定の一定方向に駆動する2個以上の駆動接触部を有する第1の振動子と、
前記被駆動体を前記第1の振動子による駆動と同一向きに駆動する1個以上の駆動接触部を有する第2の振動子と、
前記第1又は第2の振動子のいずれか一方を固定して支持する第1の支持部と、
前記第1又は第2の振動子のいずれか他方を揺動可能に支持する第2の支持部と、
該第2の支持部により揺動可能に支持される前記第1又は第2の振動子を前記被駆動体に付勢する付勢手段と、
を有することを特徴とする振動波リニアモータ。
【請求項2】
前記第1又は第2の振動子の少なくともいずれか一方の駆動接触部は、前記被駆動体の形状に合わせて該被駆動体を前記所定の一定方向に案内する形状を有していることを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項3】
前記第2の振動子の1個以上の前記駆動接触部は、前記第1の振動子の2個以上の前記駆動接触部の間に対向して配置される、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項4】
前記第1の振動子は、前記駆動接触部を有する面と反対面を前記第1の支持部に固定されている、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項5】
前記第1の振動子は、振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して前記第1の支持部に固定される、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項6】
第2の支持部は、揺動可能に支持する前記第1又は第2の振動子を前記所定の一定方向に沿う方向に位置固定して支持する、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項7】
前記第2の振動子は、前記駆動接触部を有する反対面を前記第2の支持部により前記被駆動体の傾きに合わせて揺動自在に位置固定されている、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項8】
前記第2の振動子は、振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して前記被駆動体に付勢されている、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項9】
前記第2の振動子は、振動が極小になる節の位置に固定されたピンを介して第2の支持部により前記被駆動体の傾きに合わせて揺動自在に支持されている、ことを特徴とする請求項1記載の振動波リニアモータ。
【請求項10】
前記第1の振動子の節の位置に設けられたピンと前記第2の振動子の節の位置に設けられたピンとの間に引き付勢部材を張り渡して、前記第1及び第2の振動子を前記被駆動体に付勢する、ことを特徴とする請求項5、8又は9記載の振動波リニアモータ。
【請求項11】
前記第1の振動子は、振動が極小となる節の位置を2点有し、該節の位置にそれぞれ固定されたピンにより前記第1の支持部に支持される、ことを特徴とする請求項5記載の振動波リニアモータ。
【請求項12】
前記第1の振動子の節の位置に設けられたピンと、前記第2の振動子の2個の節の位置に設けられたピン間に差し渡された部材とに係合する引き付勢部材により、前記第1及び第2の振動子を前記被駆動体に付勢する、ことを特徴とする請求項11記載の振動波リニアモータ。
【請求項13】
前記第1及び第2の振動子ともに、前記被駆動体を介して対向する2箇所の位置にそれぞれ前記駆動接触部を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至12記載の振動波リニアモータ。
【請求項14】
請求項1乃至13に記載のいずれかの振動波リニアモータを、合焦用レンズの駆動源として搭載したことを特徴とするレンズ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−67712(P2006−67712A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247962(P2004−247962)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】