説明

給湯装置

【課題】風呂追い焚き時に十分な能力を確保し、効率を損なわず利便性の高い給湯装置を提供する。
【解決手段】水を加熱する加熱手段2と、前記加熱させた水を貯湯する貯湯槽1と、前記水の沸き上げ温度を決定する沸き上げ温度決定手段9と、浴槽3と、前記貯湯槽1内の湯と前記浴槽3の湯とを熱交換する風呂追い焚き手段4と、前記風呂追い焚き手段4による加熱時間を記憶する追い焚き時間記憶手段17とを備え、前記追い焚き時間記憶手段17の記憶内容に基づいて、前記沸き上げ温度のみを変更する場合と、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する場合とを選択できる構成としたことを特徴とする給湯装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸き上げた湯を貯湯槽に貯えて使用するとともに、この湯の熱を利用して風呂の追い焚きを行う給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置は、貯湯槽と、この貯湯槽の水を加熱する加熱手段と、浴槽と、前記貯湯槽の湯と前記浴槽の湯を熱交換して風呂の追い焚きを行うための熱交換器が貯湯槽の上部に設けられ、この貯湯槽上部に85℃以上の高温の湯を貯め、その下方に65℃〜85℃の中温の湯が貯まるように加熱手段の沸き上げ温度を制御し、風呂追い焚き用には上部の高温の湯を用い、給湯用には貯湯槽の中間部に取り出し口を設けて中温の湯6を用いる構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−42952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、貯湯槽1上部に高温の湯があることによって風呂の追い焚きが高速におこなわれるものの、風呂の追い焚きが少ない家庭では貯湯槽1上部の高温の湯は貯湯槽1外に放熱するだけで全く無駄となってしまう。また、加熱手段2がヒートポンプの場合は沸き上げ温度が低いほど効率が高くなる特性があるので、高温の湯5をつくることは効率の低い運転をすることになり、ここでも無駄が生じるという課題があった。
【0005】
また、風呂追い焚き運転の利便性を確保しつつ、効率を低下を抑える手段として、
タンク内を全量沸かさず沸き上げ温度のみを上げる方法もあるが、急な給湯量の増加や
風呂追い焚き運転の増加に対して十分対応できず、湯切れするなどの課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、必要に応じて風呂追い焚き時に十分な能力を確保し、効率を損なわずに利便性の高い給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、水を加熱する加熱手段と、前記加熱させた水を貯湯する貯湯槽と、前記水の沸き上げ温度を決定する沸き上げ温度決定手段と、浴槽と、前記貯湯槽内の湯と前記浴槽の湯とを熱交換する風呂追い焚き手段と、前記風呂追い焚き手段による加熱時間を記憶する追い焚き時間記憶手段とを備え、前記追い焚き時間記憶手段の記憶内容に基づいて、前記沸き上げ温度のみを変更する場合と、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する場合とを選択できる構成としたことを特徴とするものである。
【0008】
これによって、利用者が風呂追い焚きを使用する実績すなわち風呂追い焚きを使用する時間に応じて、必要な沸き上げ温度の湯を貯湯槽に確保するように加熱手段の運転を行うため、風呂の追い焚きが長い場合は加熱手段による沸き上げ温度を上げ、風呂の沸かし直しなど追い焚き時間がより長い場合は沸き上げ温度を上げ、かつ、貯湯槽に貯めるお湯の量を増やすことにより、風呂の追い焚きの時間を短くできる。
【0009】
逆に風呂追い焚きをあまり使用しない家庭や時期など、必要なときだけ早い風呂追い焚き時間を可能にし、それ以外は、給湯負荷を賄える必要最低限の沸き上げ温度とすることにより、貯湯槽からの放熱を抑え、また加熱手段がヒートポンプである場合の高効率運転を実現し、使い勝手向上、追い焚きによる湯切れ防止と効率の高さを両立することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、必要に応じて風呂追い焚き時に十分な能力を確保し、効率を損なわずに湯切れがなく利便性の高い給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の構成図
【図2】(a)同給湯装置の沸き上げ動作のフローチャート(b)同給湯装置の浴槽保温や風呂追い焚き動作時のフローチャート
【図3】同給湯装置の動作概念図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、水を加熱する加熱手段と、前記加熱させた水を貯湯する貯湯槽と、前記水の沸き上げ温度を決定する沸き上げ温度決定手段と、浴槽と、前記貯湯槽内の湯と前記浴槽の湯とを熱交換する風呂追い焚き手段と、前記風呂追い焚き手段による加熱時間を記憶する追い焚き時間記憶手段とを備え、前記追い焚き時間記憶手段の記憶内容に基づいて、前記沸き上げ温度のみを変更する場合と、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する場合とを選択できる構成としたことを特徴とする給湯装置である。
【0013】
これによって、利用者が風呂追い焚きを使用する実績すなわち風呂追い焚きを使用する時間に応じて、必要な沸き上げ温度の湯を貯湯槽に確保するように加熱手段の運転を行うため、風呂の追い焚きが長い場合は加熱手段による沸き上げ温度を上げ、風呂の沸かし直しなど追い焚き時間がより長い場合は沸き上げ温度を上げ、かつ、貯湯槽に貯めるお湯の量を増やすことにより、風呂の追い焚きの時間を短くできる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記追い焚き時間記憶手段による記憶時間が第1の設定時間以上の場合は、前記沸き上げ温度のみの変更を行い、前記記憶時間が、前記第1の設定時間より長い第2の設定時間以上の場合は、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する構成としたことを特徴とするものである。
【0015】
これによって、逆に風呂追い焚きをあまり使用しない家庭や時期など、必要なときだけ早い風呂追い焚き時間を可能にし、それ以外は、給湯負荷を賄える必要最低限の沸き上げ温度とすることにより、貯湯槽からの放熱を抑え、また加熱手段がヒートポンプである場合の高効率運転を実現し、使い勝手向上、追い焚きによる湯切れ防止と効率の高さを両立することが可能となる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、加熱手段に、ヒートポンプサイクルを用いた構成としたもので、必要なときだけ高温の沸き上げ温度として、できるだけ低い沸き上げ温度を適用できる結果、高効率の特性を最大限に引き出せる。
【0017】
第4の発明は、特に、第3の発明において、ヒートポンプサイクルは、運転圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷媒回路であり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により水を加熱する構成としたもので、沸き上げ温度を高温にできるので、利用できる熱量の増大と湯切れ防止性を向上することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における給湯装置の構成を示す図である。
【0020】
図1において、給湯装置は、貯湯槽1と、この貯湯槽1の水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット2と、貯湯槽1内の深さ方向の湯温を検知するように設けられた複数個の貯湯槽温検知手段8と、これら複数個の貯湯槽温検知手段8による貯湯槽1内の湯の増減度合から使用湯量を求め、記憶された過去の一定期間の使用湯量実績に基づき、その日の沸き上げ温度を決定する沸き上げ温度決定手段9とを備えている。
【0021】
また、給湯装置は、浴槽3と、貯湯槽1の湯と前記浴槽3の湯を熱交換して風呂の追い焚きを行う風呂追い焚き手段としての追い焚き熱交換器4および追い焚きポンプ10、風呂循環ポンプ11とを備えている。
【0022】
さらに、給湯装置は、追い焚き熱交換器4に追い焚きポンプ10を介して貯湯槽1のお湯を導く追い焚き循環回路12を備えている。また追い焚き熱交換器4に風呂循環ポンプ11を介して浴槽3のお湯を導く風呂循環回路14と風呂循環回路中に風呂温度を検出する風呂温度検出器15を備えている。また、前記風呂循環ポンプ11、風呂温度検出器15、追い焚きポンプ10を制御する風呂追い焚き制御手段16と、風呂追い焚き制御手段16に追い焚きポンプ10運転時間T1を記憶させる追い焚き時間記憶手段17を持たせている。
【0023】
この追い焚き時間記憶手段17の記憶内容に基づいて、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度のみを変更する場合と、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度および貯湯槽1に蓄える湯量を変更する場合を選択する加熱量制御手段18とを備えている。加熱量制御手段18の選択結果沸き上げ温度決定手段9に送りヒートポンプユニット2の沸き上げ運転を制御する。また19は利用者が浴槽の保温や風呂追い焚きを行う風呂追い焚きスイッチである。なお、沸き上げ温度決定手段9、風呂追い焚き制御手段16、追い焚き時間記憶手段17、加熱量制御手段18は制御装置20内に設けられている。
【0024】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
基本的な動作としては、沸き上げ前は貯湯槽1に低温の水が多く満たされており、運転を開始すると、沸き上げ用循環ポンプ21によりヒートポンプ往き口22からヒートポンプユニット2に送出され、そこで加熱されて高温の湯がヒートポンプ戻り口23から貯湯槽1に戻される。
【0026】
これによって、貯湯槽1には上方から順次高温の湯が貯えられていく。沸き上げ後の給湯利用の際には、給湯口24から貯湯槽1の高温の湯が送られ、この湯が給水配管25からの給水と湯水混合弁26で設定された給湯温度に調節されて給湯栓27から供給される。また、給湯に使用された湯量相当の水が給水配管28を通じて貯湯槽1下部の給水口29から流入する。
【0027】
また、風呂追い焚きや浴槽3のお湯の保温は、風呂追い焚きスイッチ19が利用者によって押される場合や浴槽のお湯はり後など、風呂循環ポンプ11と追い焚きポンプ10が起動し、貯湯槽1の風呂追い焚き往き口30を通じて貯湯槽1内の湯と浴槽3内の湯が追い焚き熱交換器4に送られることにより行われ、熱交換された後の湯は風呂追い焚き戻り
口31から貯湯槽1に戻される。
【0028】
ここで、沸き上げ温度決定手段9は、複数個の貯湯槽温検知手段8の出力から過去一定期間の残湯量から、お湯の使用量を算出し、それができるだけ少なくなるように、ヒートポンプユニット2による沸き上げ温度と貯湯槽1に蓄える湯量(沸き上げ停止量)を決めている。これによって残湯による無駄な放熱と、ヒートポンプユニット2の高効率運転を実現する。しかし、利用される家庭の湯の使用量が少なくなって沸き上げ温度が低くなるということは、風呂の沸き上げを行う際に追い焚き熱交換器4に送られる湯の温度も低くなって、風呂追い焚きに時間がかかることになる。風呂追い焚きをあまり使用しない家庭では不便を感じることは少ないが、使う頻度の高い場合には非常に使い勝手が悪いものとなる。
【0029】
本実施の形態の給湯装置は、浴槽3のお湯の保温運転時や風呂追い焚きスイッチ20が利用者によって押されると、追い焚き時間記憶手段17で追い焚きポンプ10の運転時間積算値T1を記憶させ、記憶した運転時間積算値T1に基づいて加熱量制御手段18が、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度のみを変更する場合と、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度および貯湯槽1に蓄える湯量を変更する場合の選択を行い、選択結果を沸き上げ温度決定手段9に送り、沸き上げ温度決定手段9で、沸き上げ温度と貯湯槽1に蓄える湯量(沸き上げ停止量)を決めて、ヒートポンプユニット2の沸き上げ運転を制御する。
【0030】
このように構成された給湯装置について、図2(a)、(b)のフローチャートによって沸き上げ動作と浴槽保温や風呂追い焚き動作時の動作を説明する。
【0031】
図2(a)に沸き上げ動作のフローチャートを示す。
【0032】
沸き上げ温度決定手段9は、複数個の貯湯槽温検知手段8の出力を用いて残湯量を逐次検出し、貯湯槽1内の湯の増減度合から1日の使用湯量を求めて記憶する。(ステップ記載無し)記憶された過去の一定期間の使用湯量実績を学習し(ステップ01)その学習結果に基づき、沸き上げ開始時刻になると(ステップ記載無し)その日の沸き上げ量(沸き上げ温度および沸き上げ停止する量)を決定する(ステップ02)。
【0033】
次に、設定された沸き上げ温度をセットし(ステップ03)、設定された沸き上げ停止量が貯湯槽(タンク)1全量か判断する。(ステップ04)
過去のお湯の使用量が少なければ、沸き上げ停止量が貯湯槽(タンク)1全量沸かさない部分量がセットされ(ステップ5)、逆に過去のお湯の使用量が多ければ貯湯槽(タンク)1全量がセットされる(ステップ06)。
【0034】
次に沸き上げ温度決定手段9によりセットされた沸き上げ温度、沸き上げ停止量に対し、加熱量制御手段18は、追い焚き時間記憶手段17の記憶内容を参照し(ステップ07)、追い焚きポンプ10運転時間積算値T1が所定時間TA以下であれば、(ステップ08)セットされた沸き上げ温度、沸き上げ停止量で沸き上げを開始する。逆に追い焚きポンプ10の運転時間積算値T1が所定時間TA以上であれば(ステップ08)、セットされた沸き上げ温度が上限温度か判断する(ステップ09)。沸き上げ温度が設定できる上限温度以下の場合は、再度沸き上げ温度を前日より5℃以上高いか判断する(ステップ10)し、5℃以下の場合は沸き上げ温度を5℃上げて再セットする(ステップ11)。
【0035】
次に、沸き上げ温度が上限温度の場合、沸き上げ温度を前日より5℃以上高い場合、および沸き上げ温度を5℃上げた後は、再度追い焚きポンプ10の運転時間積算値T1が所定時間TB以上か判断する(ステップ12)。
【0036】
追い焚きポンプ10の運転時間積算値T1が所定時間TB以上の場合(ステップ12)は沸き上げ停止量がタンク全量沸き上げ停止量か判断し(ステップ13)沸き上げ停止量がタンク全量でない場合は、タンク全量にセットする(ステップ14)。
【0037】
逆に追い焚きポンプ10の運転時間積算値T1が所定時間TB以下の場合(ステップ12)は再セットされた沸き上げ温度(ステップ11)または上限の沸き上げ温度(ステップ9)で、初期にセットされた沸き上げ停止量(ステップ5、ステップ6)にて沸き上げを開始する。
【0038】
図2(b)に浴槽保温や風呂追い焚き動作時のフローチャートを示す。風呂追い焚き制御手段16は浴槽3の保温および、追い焚きを行う制御手段であり、まず浴槽3に湯張りが完了すると保温運転に入る。
【0039】
保温運転が開始されると、貯湯槽1の水の流れは図1で示す斜線矢印の方向、浴槽水の流れは図1で示す黒矢印の方向になる。
【0040】
次に保温タイマー(図示せず)が起動し(ステップ15)、所定時間になれば風呂循環ポンプ11が駆動し(ステップ16)、風呂循環回路15を介して、追い焚き熱交換器4へ浴槽水を循環させる。この時、風呂温度検出器15で浴槽水温Th1を検出する(ステップ
17)。
【0041】
次に、浴槽水目標湯温ThAと現在の浴槽水温Th1を比較し(ステップ18)、浴槽水温Th1が目標湯温ThAより低ければ、追い焚きポンプ10を駆動させる(ステップ19)。
【0042】
追い焚きポンプ10駆動により貯湯槽1の風呂追い焚き往き口30を通じて貯湯槽1内の湯と浴槽3内の湯が追い焚き熱交換器4に送られることにより行われ、熱交換された後の湯は風呂追い焚き戻り口31から貯湯槽1に戻される。
【0043】
この時、追い焚きポンプ10運転時間を積算し値T1を記憶する(ステップ20)し
その後、浴槽水温Th1検出に戻る。上記の循環を繰り返し、浴槽水温Th1が目標湯温ThAを越えれば、追い焚きポンプ10、風呂循環ポンプ11が停止し(ステップ21)、保温タイマー起動に戻る(ステップ15)。なお追い焚きポンプ10で昇温したお湯は、一定水量の風呂循環ポンプ11で風呂循環回路15から浴槽3へ送られる。
【0044】
次に、使用者が浴槽3の水を強制的に追い焚きしたい場合には、追い焚きスイッチ19を押す。追い焚きスイッチ19が押されると、保温運転タイマーのシーケンスを通らない制御動作に入り、上記と同様の制御動作となる。
【0045】
以上説明した追い焚きポンプ10の運転時間Tと貯湯槽(タンク)1貯湯湯量Qの関係をまとめると図3になり、風呂追い焚きポンプ10の運転時間Tにより、運転時間TA−TB間は主に沸き上げ温度のみを変更する領域で、運転時間TB以上は沸き上げ温度を上げるとともに貯湯槽(タンク)1を全量を沸き上げるようにして、貯湯槽(タンク)1に蓄える湯量を増やすようにしている。逆に運転時間TA以下は風呂追い焚きで沸き上げ温度を上げない
ようにしている。
【0046】
以上のように、給湯量に応じて貯湯温度を調節して過不足の生じない制御を行う場合、
少ない給湯量で貯湯温度が下がって風呂追い焚きに時間がかかる不具合や湯切れを回避するために、日々の風呂追い焚き量の大小を追い焚きポンプの運転時間を積算することにより把握し、風呂追い焚きを使用する家庭に対して必要な貯湯温度と貯湯湯量を確保して利便性を損なわないようにし、風呂追い焚きの使用頻度が低い家庭の場合は高い効率で運転できるよう、低温の沸き上げ温度にすることにより、利便性と省エネルギー性を両立できる。
【0047】
なお、ヒートポンプユニット2の冷凍サイクルは冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。二酸化炭素を冷媒として用いることで沸き上げ温度を高温にできるので、利用できる熱量の増大と湯切れ防止性を向上することができる。
【0048】
また、追い焚き熱交換器4の追い焚き熱量を積算演算し、その演算値の大小によって、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度のみを変更する場合と、沸き上げ温度決定手段9によるヒートポンプユニット2の沸き上げ温度および貯湯槽1に蓄える湯量を変更する場合のどちらかを選択しても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、高い効率性と利便性を両立する制御方式を実現できるので、前記したような家庭用の給湯装置の貯湯槽に適用できるほか、熱源と貯湯槽を有するシステムにおいて業務用などの規模の大きい用途にも適用し、設備の管理者等に対して高い利便性を提供できる。
【符号の説明】
【0050】
1 貯湯槽
2 加熱手段(ヒートポンプユニット)
3 浴槽
4 風呂追い焚き手段(追い焚き熱交換器)
9 沸き上げ温度決定手段
10 追い焚きポンプ
11 風呂循環ポンプ
16 風呂追い焚き制御手段
17 追い焚き時間記憶手段
18 加熱量制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する加熱手段と、前記加熱させた水を貯湯する貯湯槽と、前記水の沸き上げ温度を決定する沸き上げ温度決定手段と、浴槽と、前記貯湯槽内の湯と前記浴槽の湯とを熱交換する風呂追い焚き手段と、前記風呂追い焚き手段による加熱時間を記憶する追い焚き時間記憶手段とを備え、前記追い焚き時間記憶手段の記憶内容に基づいて、前記沸き上げ温度のみを変更する場合と、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する場合とを選択できる構成としたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記追い焚き時間記憶手段による記憶時間が第1の設定時間以上の場合は、前記沸き上げ温度のみの変更を行い、前記記憶時間が、前記第1の設定時間より長い第2の設定時間以上の場合は、前記沸き上げ温度及び前記貯湯槽内に貯湯される湯量を変更する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
加熱手段を、ヒートポンプサイクルとしたことを特徴とする請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項4】
ヒートポンプサイクルは、運転圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷媒回路であることを特徴とする請求項3に記載の給湯装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−21699(P2012−21699A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159428(P2010−159428)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】