説明

脱穀機

【課題】刈取部にて刈取った穀桿を脱穀部に搬送している状態にあるのか(刈取モード)、手刈りした穀桿を搬送している状態にあるのか(手扱モードという)、又は穀桿の脱穀部への搬送を行っていない状態にあるのか(待機モード)を判断し、各モードに応じて、穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部での選別精度を機械的及び自動的に調整し、ロス量を低減させる。
【解決手段】排桿量に応じて機械的に回動する回動レバー52に、サーボモータ70を連結する。刈取スイッチ、脱穀スイッチ、穀桿センサ及び速度センサから出力された信号をコントローラに入力して、入力された信号に基づいて、刈取モード、手扱モード又は待機モードを判断する。コントローラは、各モードに応じてサーボモータ70を作動させて、機械的及び自動的に回動レバー52を回動させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀桿から脱穀された穀粒を、作業状態に応じて効率的に回収する脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、走行機体に設けてある刈取部により穀桿を刈取り、刈取った穀桿を扱胴へ搬送している。該扱胴の下方には、複数のチャフフィンを有する揺動選別装置を設けてあり、該揺動選別装置の下方には唐箕を配置してある。走行機体の後部には排塵口を設けてあり、該排塵口には塵埃を吸引する排塵ファンを設けてある。前記扱胴にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃は前記揺動選別装置に落下し、揺動選別装置の揺動により、比重の大きい穀粒はチャフフィンの隙間から漏下し、比重の小さな塵埃、例えばワラくずは揺動選別装置の後方へ送られる。また穀粒と共に漏下した細かな塵埃は、前記唐箕の起風作用により後方へ送られ、揺動選別装置の後方へ送られたワラくずと共に前記排塵ファンに吸引されて排塵口から排出される。またワラくずに混入した穀粒の一部も前記排塵口から排出される。
【0003】
前記排塵口には、排塵口から排出される穀粒量を検出するグレン損失検出器を設けてある。また前記チャフフィン及び唐箕に二つの油圧シリンダをそれぞれ連結してあり、二つの該油圧シリンダには、圧油の給排を行う二つの電磁弁をそれぞれ連結してある。前記グレン検出器の出力に基づいて、前記電磁弁を作動させて、排塵口から排出される穀粒量(以下ロス量という)が、排塵口から排出されることが許容される穀粒量を超えないように前記チャフフィンの角度及び前記唐箕の風量を調整している。
また予め刈取ってある穀桿をユーザが扱胴へ送給している場合、及び穀桿の扱胴への搬送・送給を行っていない場合(例えば穀桿のない畦畔付近にてコンバインを回行させている場合及びコンバインを停止して籾の排出を行っている場合)には、揺動選別装置にて選別される穀粒の量は、穀桿を刈取って扱胴へ搬送している場合に比して少ないので、チャフフィンを傾倒させた状態で固定し、チャフフィン同士の間隔を狭くして精選別を行っている。(特許文献1参照)。
【0004】
また扱胴から排出された排桿を搬送する排桿搬送部に、排桿に押圧されて回動する回動レバーを設け、唐箕の吸気口にシャッタを設けて、前記回動レバーと、前記チャフフィン及びシャッタとをワイヤにて連結してあるコンバインが従来から提案されている。該コンバインは、排桿の増減に応じて回動レバーの回動方向を変更させて、前記ワイヤを移動させ、前記チャフフィンの角度を調整すると共に、シャッタを開閉して吸気口の開口面積を変更し、前記唐箕の風量を調整する構成にしてある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭61−234714号公報
【特許文献2】特開平10−295168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコンバインは、前記刈取部による穀桿の刈取りを終了した直後にコンバインを回行させている場合に、多量の穀粒が前記揺動選別装置に送られているが、チャフフィン同士の間隔を狭くしているため、前記ロス量は増加する。
【0006】
また特許文献2に記載のコンバインは、多量の穀粒を有する品種を刈取る場合も、少量の穀粒を有する品種を刈取る場合も、排桿量が同じであれば前記回動レバーの回動量は略同じであり、いずれの場合も前記チャフフィンの角度及び前記唐箕の風量の調整に実質的な差はない。そのため多量の穀粒を有する品種を刈取る場合には、前記ロス量は増加する。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、穀桿から分離した穀粒及び塵埃の選別精度を調整する調整機構の作動を補助する補助機構を設け、前記刈取部及び脱穀部の作動状態を示す情報を取り込む情報取込手段を設けることにより、該情報取込手段に取り込まれた情報に基づいて、前記刈取部にて刈取った穀桿を脱穀部に搬送している状態にあるのか(以下刈取部にて刈取った穀桿を脱穀部に搬送している状態を刈取モードという)、手刈りした穀桿を搬送している状態にあるのか(以下手刈りした穀桿を脱穀部へ搬送している状態を手扱モードという)、又は穀桿の脱穀部への搬送を行っていない状態にあるのか(以下穀桿の脱穀部への搬送を行っていない状態を待機モードという)を判断し、各モードに応じて前記補助機構を制御し、ロス量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0008】
また前記刈取部から前記脱穀部に搬送される穀桿を検出する穀桿検出手段及び前記走行機体の速度を検出する速度検出手段等の複数の検出手段を設け、また前記ロス量を検出する穀粒検出手段を設け、前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す関数を記録してある関数記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から刈取モードであると判断された場合には、前記関数記録手段に記録してある関数を参照し、前記ロス量に基づいて、前記補助機構を作動させて、多量の穀粒を有する品種を刈取っている場合のロス量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0009】
また穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部から排出されることが許容される閾値穀粒量を記録してある閾値記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から手扱モードであると判断された場合には、前記ロス量が閾値穀粒量以上であるときに、前記補助機構を作動させて手扱モードでのロス量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0010】
また前記関数を参照して前記補助機構の作動が行われたことを示す情報を記録する手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記関数を参照して前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録してあるときは、直前まで刈取モードでの脱穀作業が行われており、多量の穀粒が選別部に残留しているので、所定時間が経過するまでは、刈取モードでの選別作業と同様な選別作業を行い、待機モードにおいて多量の穀粒が選別部に残留している場合に、選別部に残留している穀粒を速やかに減少させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0011】
また前記関数を参照して前記補助機構の作動が行われたことを示す情報を記録する手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記情報記録手段に関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録されていないとき又は前記所定時間の計測が終了したときは、選別部に残留している穀粒は少量であり、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であるか否かを判断し、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であると判断された場合に前記補助機構を作動させて、待機モードでのロス量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0012】
また前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、該回動レバーに動力源を設けることにより、該動力源の動力にて前記調整機構を作動させて、前記ロス量を低減させることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0013】
また前記補助機構の作動を開始することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の作動のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知して、前記走行機体を減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0014】
また前記補助機構の作動が不可能であることを表示する手段を設けることにより、前記補助機構の作動が不可能であることをユーザに報知し、前記走行機体を速やかに減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0015】
また前記走行機体に駆動力を供給する駆動源及び脱穀部の間に介在する第1クラッチの継合が検出された場合に、前記補助機構の作動を制御する補助制御手段による制御を開始することを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による前記補助機構の監視が行われていることをユーザに報知し、ユーザに安心感を与えることができる脱穀機を提供することを目的とする。
【0016】
また前記選別部から排出される穀粒量の増減を表示する手段を設けることにより、ユーザにロス量の増減を報知し、ユーザがロス量の増減に対応した操作を行うことができる脱穀機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る脱穀機は、圃場を走行する走行機体と、該走行機体に設けてあり、走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部から搬送された穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構とを備える脱穀機において、前記調整機構の作動を補助する補助機構と、前記刈取部及び脱穀部の作動状態を示す情報を取り込む情報取込手段と、該情報取込手段に取り込まれた情報に基づいて前記補助機構の作動を制御する補助制御手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、前記調整機構の作動を補助する補助機構を設け、前記情報取込手段を設けることにより、前記情報取込手段に取り込まれた情報に基づいて、刈取モード、手扱モード又は待機モードを判断し、各モードに応じて前記補助機構を制御する。
【0019】
本発明に係る脱穀機は、前記選別部から排出される穀粒量を検出する穀粒検出手段と、前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す関数を記録してある関数記録手段と、前記走行機体に駆動力を供給する駆動源と、該駆動源及び脱穀部の間に介在する第1クラッチと、該第1クラッチの継断を検出する第1継断検出手段と、前記駆動源及び刈取部の間に介在する第2クラッチと、該第2クラッチの継断を検出する第2継断検出手段と、前記刈取部から前記脱穀部に搬送される穀桿を検出する穀桿検出手段と、前記走行機体の速度を検出する速度検出手段とを備え、前記情報取込手段は、前記第1継断検出手段、第2継断検出手段、穀桿検出手段及び速度検出手段から検出結果を取り込む検出結果取込手段を備え、前記補助制御手段は、前記第1クラッチの継合を示す検出結果、前記第2クラッチの継合を示す検出結果、所定速度以上の速度を示す検出結果、及び穀桿の存在を示す検出結果を前記検出結果取込手段が取り込んだ場合に、前記関数記録手段に記録してある関数を参照し、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記補助機構を作動させる関数制御手段を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、前記第1継断検出手段、第2継断検出手段、穀桿検出手段及び速度検出手段を設け、前記関数記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から刈取モードであると判断された場合には、前記関数記録手段に記録してある関数を参照し、前記ロス量に基づいて、前記補助機構を作動させる。
【0021】
本発明に係る脱穀機は、前記選別部から排出されることが許容される閾値穀粒量を記録してある閾値記録手段と、前記検出結果取込手段が、前記第1クラッチの継合を示す検出結果、穀桿の存在を示す検出結果、並びに前記第2クラッチの継合を示す検出結果又は所定速度未満の速度を示す検出結果を取り込んだ場合に、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であるか否かを判断する第1閾値判断手段とを備え、前記補助制御手段は、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であると前記第1閾値判断手段が判断した場合に、前記補助機構を作動させる手段を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、前記閾値記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から手扱モードであると判断された場合には、前記ロス量が閾値穀粒量以上であるときに、前記補助機構を作動させる。
【0023】
本発明に係る脱穀機は、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報を記録する情報記録手段と、前記第1クラッチの継合を示す検出結果及び穀桿の不存在を示す検出結果を前記検出結果取込手段が取り込んだ場合に、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が前記情報記録手段に記録してあるか否か判断する情報判断手段と、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録してあると前記情報判断手段が判断した場合に所定時間の経過を計測する計時手段と、該計時手段による所定時間の計測が終了するまで、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われた状態に前記調整機構を維持する手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、前記情報記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記関数を参照して前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録してあるときは、直前まで刈取モードでの脱穀作業が行われており、多量の穀粒が選別部に残留しているので、所定時間が経過するまでは、刈取モードでの選別作業と同様な選別作業を行い、選別部に残留している穀粒を速やかに減少させる。
【0025】
本発明に係る脱穀機は、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録されていないと前記情報判断手段が判断した場合又は前記計時手段による所定時間の計測が終了した場合に、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であるか否かを判断する第2閾値判断手段を備え、前記補助制御手段は、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であると前記第2閾値判断手段が判断した場合に前記補助機構を作動させる手段を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、前記情報記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記情報記録手段に関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録されていないとき又は前記所定時間の計測が終了したときは、選別部に残留している穀粒は少量であり、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であるか否かを判断し、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であると判断された場合に前記補助機構を作動させる。
【0027】
本発明に係る脱穀機は、前記調整機構は前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを備えており、前記補助機構は前記回動レバーを回動させる動力源を備え、該動力源の動力により、前記調整機構を作動させるようにしてあることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、該回動レバーに動力源を設けて、該動力源の動力により前記調整機構を作動させる。
【0029】
本発明に係る脱穀機は、前記補助機構の作動を開始する場合に、前記補助機構の作動を開始することを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、前記補助機構の作動を開始することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の作動のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知し、前記走行機体を減速させるようユーザに促す。
【0031】
本発明に係る脱穀機は、前記補助機構の作動が可能か否か判断する手段と、該手段が、前記補助機構の作動が不可能であると判断した場合に、前記補助機構の作動が不可能であることを表示する手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、前記補助機構の作動が不可能であることを表示する手段を設けることにより、前記補助機構の作動が不可能であることをユーザに報知し、前記走行機体を速やかに減速させるようユーザに促す。
【0033】
本発明に係る脱穀機は、前記第1継断検出手段により前記第1クラッチの継合が検出された場合に、前記補助制御手段による制御を開始することを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明においては、前記第1クラッチの継合が検出された場合に、前記補助制御手段による制御を開始することを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による前記補助機構の監視が行われていることをユーザに確認させる。
【0035】
本発明に係る脱穀機は、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記選別部から排出される穀粒量の増減を表示する手段を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、前記選別部から排出される穀粒量の増減を表示する手段を設けることにより、ユーザにロス量の増減を報知し、ユーザにロス量の増減に対応した操作を促す。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る脱穀機にあっては、穀桿から分離した穀粒及び塵埃の選別精度を調整する調整機構の作動を補助する補助機構を設け、前記刈取部及び脱穀部の作動状態を示す情報を取り込む情報取込手段を設けることにより、該情報取込手段に取り込まれた情報に基づいて、刈取モード、手扱モード又は待機モードを判断し、各モードに応じて前記補助機構を制御し、ロス量を低減させることができる。
【0038】
また前記第1継断検出手段、第2継断検出手段、穀桿検出手段及び速度検出手段を設け、また前記ロス量を検出する穀粒検出手段を設け、前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す関数を記録してある関数記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から刈取モードであると判断された場合には、前記関数記録手段に記録してある関数を参照し、前記穀粒検出手段により検出されたロス量に基づいて、前記補助機構を作動させて、多量の穀粒を有する品種を刈取っている場合のロス量を低減させることができる。
【0039】
また穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部から排出されることが許容される閾値穀粒量を記録してある閾値記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から手扱モードであると判断された場合には、前記ロス量が閾値穀粒量以上であるときに、前記補助機構を作動させて手扱モードでのロス量を低減させることができる。
【0040】
また前記情報記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記関数を参照して前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録してあるときは、直前まで刈取モードでの脱穀作業が行われており、多量の穀粒が選別部に残留しているので、所定時間が経過するまでは、刈取モードでの選別作業と同様な選別作業を行い、待機モードにおいて多量の穀粒が選別部に残留している場合に、選別部に残留している穀粒を速やかに減少させることができる。
【0041】
また前記情報記録手段を設けることにより、複数の前記検出手段の検出結果から待機モードであると判断された場合であって、前記情報記録手段に関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録されていないとき又は前記所定時間の計測が終了したときは、選別部に残留している穀粒は少量であり、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であるか否かを判断し、前記ロス量が前記閾値穀粒量以上であると判断された場合に前記補助機構を作動させて、待機モードでのロス量を低減させることができる。
【0042】
また前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを設け、該回動レバーに動力源を設けることにより、該動力源の動力にて前記調整機構を作動させて、前記ロス量を低減させることができる。
【0043】
また前記補助機構の作動を開始することを表示する手段を設けることにより、前記調整機構の作動のみではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知して、前記走行機体を減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0044】
また前記補助機構の作動が不可能であることを表示する手段を設けることにより、前記補助機構の作動が不可能であることをユーザに報知し、前記走行機体を速やかに減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0045】
また前記走行機体に駆動力を供給する駆動源及び脱穀部の間に介在する第1クラッチの継合が検出された場合に、前記補助機構の作動を制御する補助制御手段による制御を開始することを表示する手段を設けることにより、前記補助制御手段による前記補助機構の監視が行われていることをユーザに報知し、ユーザに安心感を与えることができる。
【0046】
また前記選別部から排出される穀粒量の増減を表示する手段を設けることにより、ユーザにロス量の増減を報知し、ユーザがロス量の増減に対応した操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図、図2は脱穀装置の略示一部破断側面断面図、図3は穀桿センサの要部構成を示す模式図、図4はコンバインの伝動機構図、図5はチャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す側面図、図6はキャビン内部を示す模式図である。
【0048】
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上方に脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取穀桿と非刈取穀桿とを区別する分草板3a、穀桿を刈取る刈刃3b、及び穀桿を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4を設けてあり、前記脱穀装置2の左部には穀桿を搬送するフィードチェン5が設けてある。また該フィードチェン5に対向させて穀桿を挟持する挟持部材6が設けてある。前記フィードチェン5の始端部付近には縦搬送装置7が配設してある。なお前記穀粒タンク4には穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aが設けてある。また前記穀粒タンク4の前側にユーザを収容するキャビン8が設けてある。
【0049】
また前記フィードチェン5の近傍に、フィードチェン5に搬送される穀桿を検出する穀桿センサ9が設けてある。該穀桿センサ9はポテンショメータ部9aを備えており、該ポテンショメータ部9aには枢軸9bが設けてある。該枢軸9bには図示しない摺動子が連結してあり、枢軸9bの回動により、図示しない抵抗皮膜上を前記摺動子が移動し、ポテンショメータ部9aから出力される電圧が変動する構成にしてある。前記枢軸9bには、フィードチェン5にて搬送される穀桿が接触する接触棒9cが、フィードチェン5に対して直角に連結してある。また前記枢軸9bには弦巻ばね9dが設けてある。
【0050】
前記刈取部3にて刈り取られた穀桿は、図示しない横搬送装置及び前記縦搬送装置7を経て前記フィードチェン5の始端部に送られる。前記フィードチェン5により、図3の矢印にて示す如く穀桿は搬送され、前記接触棒9cに接触し、図3の白抜矢符にて示す如く、前記接触棒9cは傾倒する。該傾倒により、前記枢軸9bは回動し、前記ポテンショメータ部9aから穀桿が搬送されていることを示す電圧が後述するコントローラ90に出力される。なお穀桿が前記接触棒9cに接触していない場合は、前記弦巻ばね9dの復元力により前記接触棒9cは起立し、前記ポテンショメータ部9aから穀桿が搬送されていないことを示す電圧がコントローラ90に出力される。
【0051】
前記フィードチェン5により搬送されている穀桿は、前記挟持部材6にて挟持された状態で前記脱穀装置2に送給されて脱穀処理される。脱穀後の穀粒は前記穀粒タンク4に送給され、穀粒タンク4に送給された穀粒は必要に応じて前記排出オーガ4aから排出される。
【0052】
前記脱穀装置2は扱室10を有しており、該扱室10に、穀桿を脱穀するドラム状の扱胴11が前後方向に沿って軸架してある。該扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12を設けてある。前記扱胴11の後側には扱胴11から排出された排出物を再処理する処理胴13を設けてあり、前記扱胴11の左側には後述する二番スクリュー26により搬送されてきた搬送物を脱穀処理する処理ロータ14を設けてある。
【0053】
前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働してワラくずを揉みほぐすクリンプ網15を配置してある。該クリンプ網15の下側には、穀粒及びワラくずの選別を行う揺動選別装置16が設けてある。該揺動選別装置16は前記クリンプ網15の下側に配置してあり、穀粒及びワラくずを均平化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及びワラくずの粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、ワラくずに混入した穀粒を後述する二番穀粒板25に落下させるストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有しており、該透孔から穀粒は落下する。また揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及びワラくずの精選別を行うグレンシーブ20を備える。前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してあり、該揺動アーム21の揺動により前記揺動選別装置16が揺動して、穀粒及びワラくずの選別が行われる。
【0054】
前記グレンシーブ20の下方に一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、穀粒を前記穀粒タンク4に送給する一番スクリュー23が設けてある。前記一番穀粒板22は、前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒が前記一番スクリュー23に向けて滑落するように傾斜している。
【0055】
前記一番穀粒板22の後部に、後方に向かうにつれて下向きに傾斜する傾斜板24が連ねてあり、該傾斜板24の後端部に二番穀粒板25が連ねてある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に、前記ストローラック19から落下した落下物を前記処理ロータ14に搬送する二番スクリュー26が設けてある。前記二番穀粒板25は、前記ストローラック19から落下した落下物が前記二番スクリュー26に向けて滑落するように傾斜している。
【0056】
前記一番スクリュー23の前方であって、前記揺動選別盤17の下方に、後方に向けて送風する唐箕27が設けてある。該唐箕27と前記一番スクリュー23との間に二つの整流板28、28を配設してある。前記唐箕27により起風された気流が、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16の下側にある風路を通って、後述する排塵口33及び排気通路37から外部へ排出されるようにしてある。
【0057】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。該排気通路37には圧電素子からなり、ロス量を検出するロスセンサ34を設けてある。
また下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、軸流ファンからなり、ワラくずを吸引排出する排塵ファン32を配設してある。該排塵ファン32の後方に排塵口33を設けてあり、該排塵口33にもロスセンサ34を設けてある。前記排塵ファン32に吸引されたワラくずは前記排塵口33から外部に排出される。
【0058】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理胴13の下方に、前方に向かうにつれて下向きに傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理胴13にて処理された処理物は、処理胴13から前記流下樋35に落下し、前記流下樋35を滑落して、前記ストローラック19に落下する。
【0059】
図4に示すように、コンバインは前記走行クローラ1を駆動するエンジン40を備えており、該エンジン40はHST41を介して、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するための走行ミッション42に連結してある。該走行ミッション42には、ホール素子を有しており、コンバインの速度を検出する速度センサ43を設けてある。該速度センサ43は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)の回転数を検出するようにしてある。
【0060】
前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13に連結してあり、また偏心クランク45にも連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してあり、偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動するようにしてある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してあり、更に脱穀後の排桿を切断するカッタ46に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び刈取クラッチ47を介して前記刈取部3に連結してある。
【0061】
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を前記カッタ46に向けて搬送する排ワラチェン50が設けてある。該排ワラチェン50に対向させて排ワラガイド棒51が設けてあり、該排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を、排ワラチェン50の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0062】
図5に示す如く、前記排ワラガイド棒51の下側にL形の回動レバー52が設けてあり、該回動レバー52は前後方向に長い前後軸52aと、該前後軸52aの前端部から上方に突出した上下軸52bとを備えている。該上下軸52b及び前後軸52aとの角部分には枢軸52cが設けてある。
前記排ワラガイド棒51と前記前後軸52aの後端部とが連結棒53を介して連結してあり、該連結棒53の周囲にばね体54が固定してある。前記排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を移動する排桿が増加するに連れて、前記排ワラガイド棒51は押圧されて下側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして後方に回動する(図5実線矢印参照)。このとき前記ばね体54は圧縮される。一方排桿が減少するにつれて、圧縮されたばね体54の復元力により前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして前方に回動する(図5破線矢印参照)。
【0063】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。前記チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体(図示せず)を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右の枠材の間に、左右方向に延びる多数のフィン18a、18a、・・・、18aを前後方向に沿って並設してある。該フィン18a、18a、・・・、18aの各上部は枠材に枢支してあり、各フィン18a、18a、・・・、18aの下部は前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢支してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してあり、該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。前記回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してあり、該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下軸52bに連結してある。
また前記軸体18iには回動板18cの位置を検出するポテンショメータ型のフィンセンサ18jを設けてある。該フィンセンサ18jの出力に基づいてフィン角(フィン18a、18a、・・・、18aと連結桿18bとのなす角度)rを検出する構成にしてある。
【0064】
また前記軸体18iに、図示しない手動レバーに操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には、前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結してある。
また前記回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部が連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0065】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動し、前記連結桿18bは後方へ移動する。そして前記フィン18a、18a、・・・、18aは起立してフィン角rは大きくなり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(図5実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときには、前記ばね体18fの復元力により、前記回動板18cは時計回りに回動し、前記連結桿18bは前方へ移動し、前記フィン18a、18a、・・・、18aは傾倒してフィン角rは小となり、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(図5破線矢印参照)。
【0066】
また手動レバーの操作により、前記手動ワイヤ18gを牽引するか又は弛緩させて、前記手動板18h及び回動板18cを回動させ、フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を調整できるようにしてある。また前記手動レバーは、適当な位置で固定することができる構成にしてある。
【0067】
次に唐箕27の吸気口55付近の構成について説明する。前記唐箕27の一側に、唐箕27に吸い込まれる空気が通流する矩形の吸気口55が設けてある。該吸気口55の中央部に、吸気口55の一部を覆う前後方向に長い矩形の固定板56が設けてあり、該固定板56の上側部に沿って矩形板状のシャッタ57が隣接してある。該シャッタ57はその一端部を前記脱穀装置2に枢支してある。前記シャッタ57が上方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56から離間して前記吸気口55の開口面積が拡大し、前記シャッタ57が下方に回動したときに、前記シャッタ57は前記固定板56に接近して前記吸気口55の開口面積が縮小する。
【0068】
前記シャッタ57の前端部には引張ばね58の上端部が連結してあり、該引張ばね58の下端部は前記脱穀装置2の適所に係止してある。また前記シャッタ57の前端部から前方に軸体59が突出しており、該軸体59の突出端部にシャッタワイヤ60の一端部が連結してある。該シャッタワイヤ60の他端部は前記上下軸52bに連結してある。
【0069】
前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記シャッタワイヤ60は牽引され、前記シャッタ57は上方に回動して、前記吸気口55の開口面積が拡大し、引張ばね58は伸長する(図5実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときに、前記引張ばね58の復元力により、前記シャッタ57は下方に回動して、前記吸気口55の開口面積が縮小する(図5破線矢印参照)。
【0070】
前記回動レバー52の下方にサーボモータ70が配設してあり、該サーボモータ70には、サーボモータ70の回転軸を制動する図示しない電磁ブレーキが設けてある。前記サーボモータ70の回転開始と同時に電磁ブレーキが解除され、回転終了と同時に電磁ブレーキが作動する。また前記サーボモータ70の回転軸は、図示しない減速ギヤボックスを介して、電磁式のモータクラッチ71の一方に連結してある。該モータクラッチ71の他方は前記枢軸52cに連結してある。なお前記サーボモータ70は後述するモータ駆動回路91に接続してあり、前記モータクラッチ71は後述するモータクラッチ駆動回路92に接続してある。
【0071】
前記モータクラッチ71を継合し、前記サーボモータ70の回転により前記回動レバー52が後方に回動したときに、前記排ワラガイド棒51は下側に移動し、前記ばね体54は圧縮される(図5実線矢印参照)。そして前記モータクラッチ71が切断されたときに、前記ばね体54の復元力により、前記排ワラガイド棒51は上側に移動し、前記回動レバー52は前方に回動する(図5破線矢印参照)。
【0072】
次にキャビン8内部の構成について説明する。図6に示す如く、キャビン8内部には運転席80が設けてあり、該運転席80の前側にステアリングホイール81が設けてある。該ステアリングホイール81の下側にダッシュパネル82を配設してあり、該ダッシュパネル82には前記脱穀クラッチ44の継断を行うための脱穀スイッチ83、ロス量の監視を行っていることを示すロスモニタランプ84、前記ロスセンサ34により検出されたロス量に基づいて自動制御を行っていることを表示する自動制御ランプ85、後述するROM90bに記録してあり、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数f1乃至f3から一の関数を選択するためのボリュームスイッチ86、及び前記刈取クラッチ47の継断を行うための刈取スイッチ87が配設してある。
前記ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85は、緑色及び赤色に点灯するようにしてあり、また点滅するようにしてある。
【0073】
図7は脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図である。
コンバインは、脱穀作業を制御するコントローラ90を備えており、該コントローラ90は演算処理、計時処理等を行うCPU90a、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数f1乃至f3(後述する図12参照)、刈取部3での刈取りを正常に行うことができる最低速度Vm、解除ロス量Q(後述する図12参照)、閾値穀粒J及びK(J>K)、並びに前記フィン18aの許容最大角度rmax を記録してあるROM90b、前記ロスセンサ34により検出されたロス量、及び刈取モードでの脱穀作業を直前まで行っていたか否かを判断するための変数Wを記憶するRAM90c、入力インタフェース90d及び出力インタフェース90eを備える。
【0074】
前記入力インタフェース90dには前記脱穀スイッチ83、ボリュームスイッチ86、速度センサ43、刈取スイッチ87、穀桿センサ9、フィンセンサ18j及びロスセンサ34が接続してある。また前記出力インタフェース90eにはロスモニタランプ84、自動制御ランプ85、サーボモータ70に駆動信号を出力するモータ駆動回路91、モータクラッチ71に駆動信号を出力するモータクラッチ駆動回路92が接続してある。
【0075】
次にコンバインのモード判定制御について説明する。図8はモード判定制御の処理手順を示すフローチャートである。なおモード判定制御を開始する前の段階において、前記ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85は消灯しており、脱穀クラッチ44は切断されている。
まずコントローラ90は、前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されたか否か判断する(ステップS1)。前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44の切断を示す信号が入力されている場合は(ステップS1:NO)、ステップS1に戻る。前記脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されている場合は(ステップS1:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに0を代入する(ステップS2)。次にコントローラ90は前記ロスモニタランプ84を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS3)。そしてコントローラ90は前記穀桿センサ9から穀桿の存在を示す信号が入力されているか否か判断する(ステップS4)。前記穀桿センサ9から穀桿の不存在を示す信号が入力されている場合は(ステップS4:NO)、後述する待機モード制御を行う(ステップS11)。
【0076】
前記穀桿センサ9から穀桿の存在を示す信号が入力されている場合は(ステップS4:YES)、前記刈取スイッチ87から前記刈取クラッチ47の継合を示す信号が入力されているか否か判断する(ステップS5)。前記刈取スイッチ87から前記刈取クラッチ47の切断を示す信号が入力されている場合は(ステップS5:NO)、後述する手扱モード制御を行う(ステップS10)。前記刈取スイッチ87から前記刈取クラッチ47の継合を示す信号が入力されている場合は(ステップS5:YES)、ROM90bにアクセスして、最低速度Vmを参照する(ステップS6)。次にコントローラ90は、速度センサ43から速度Vを示す信号を取得する。そして速度Vが最低速度Vm以上であるか否か判断する(ステップS8)。速度Vが最低速度Vm以上である場合は(ステップS8:YES)、後述する刈取モード制御を行う(ステップS9)。速度Vが最低速度Vm未満である場合は(ステップS8:NO)、後述する手扱モード制御を行う(ステップS10)。
【0077】
次に刈取モード制御について説明する。図9乃至図11は刈取モード制御の処理手順を示すフローチャート、図12はROMに記録してあるコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数を示すグラフである。
【0078】
コントローラ90はモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS21)。このとき前記回動レバー52は排桿量に応じて回動する。次にコントローラ90は、前記ボリュームスイッチ86から信号を取込み、ROM90bにアクセスして、コンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す一の関数、例えば関数f1を選択する(ステップS22、図12参照)。そして関数f1に基づいて、速度Vに対応する許容ロス量Pを取得する(ステップS23)。次にコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L1を取得する(ステップS24)。そしてロス量L1が許容ロス量P以上であるか否か判断する(ステップS25)。ロス量L1が許容ロス量P未満である場合は(ステップS25:NO)、ステップS3へ戻る。
【0079】
ロス量L1が許容ロス量P以上である場合は(ステップS25:YES)、前記フィンセンサ18jから信号を取込み、フィン角rを取得する(ステップS26)。次にコントローラ90はROM90bにアクセスし、許容最大角度rmax を取得する(ステップS27)。そしてフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否か判断する(ステップS28)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS28:YES)、後述するステップS47へ進む。フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS28:NO)、ロスモニタランプ84を赤色に点灯する信号を出力する(ステップS29)。なお前記ロスモニタランプ84を赤色に点灯することにより、速度を低下させて刈取量を低減することをユーザに促す。そしてコントローラ90は計時を開始する(ステップS30)。
【0080】
次にコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L2を取得する(ステップS31)。そしてロス量L2が許容ロス量P以上であるか否か判断する(ステップS32)。ロス量L2が許容ロス量P未満である場合は(ステップS32:NO)、計時を終了する(ステップS33)。そしてRAM90cにアクセスし、変数Wに1を代入する(ステップS34)。そしてステップS3へ戻る。
【0081】
ロス量L2が許容ロス量P以上である場合は(ステップS32:YES)、計時を開始してから経過した時間Tが所定時間Ts以上であるか否か判断する(ステップS35)。時間Tが所定時間Ts未満である場合は(ステップS35:NO)、ステップS31に戻る。時間Tが所定時間Ts以上である場合は(ステップS35:YES)、計時を終了する(ステップS36)。
【0082】
次にコントローラ90は自動制御ランプ85を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS37)。そしてモータクラッチ駆動回路92に継合信号を出力する(ステップS38)。次にモータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS39)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0083】
そしてコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L3を取得する(ステップS40)。そしてロス量L3が解除ロス量Q未満であるか否か判断する(ステップS41)。ロス量L3が解除ロス量Q未満である場合は(ステップS41:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに1を代入する(ステップS42)。次に自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS43)。そしてステップS3に戻る。なお解除ロス量Qは許容ロス量P以下である(図12参照)。
【0084】
ロス量L3が解除ロス量Q以上である場合は(ステップS41:NO)、前記フィンセンサ18jから信号を取込み、フィン角rを取得する(ステップS44)。次にコントローラ90はROM90bにアクセスし、許容最大角度rmax を取得する(ステップS45)。そしてフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否か判断する(ステップS46)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS46:YES)、ロスモニタランプ84を赤色点滅させる信号を出力する(ステップS47)。そして自動制御ランプ85を赤色点滅させる信号を出力する(ステップS48)。次にロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L5を取得する(ステップS49)。そしてロス量L5が解除ロス量Q未満であるか否か判断する(ステップS50)。ロス量L5が解除ロス量Q未満である場合は(ステップS50:YES)、ステップS42に戻る。ロス量L5が解除ロス量Q以上である場合は(ステップS50:NO)、ステップS49に戻る。
【0085】
フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS46:NO)、ロス量L3が許容ロス量P以上であるか否か判断する(ステップS51)。ロス量L3が許容ロス量P以上である場合は(ステップS51:YES)、ステップS39に戻る。ロス量L3が許容ロス量P未満である場合は(ステップS51:NO)、ロスモニタランプ84を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS52)。そしてコントローラ90は、モータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS53)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0086】
そしてコントローラ90は、ロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L4を取得する(ステップS54)。そしてロス量L4が解除ロス量Q未満であるか否か判断する(ステップS55)。ロス量L4が解除ロス量Q未満である場合は(ステップS55:YES)、ステップS42に戻る。
【0087】
ロス量L4が解除ロス量Q以上である場合は(ステップS55:NO)、前記フィンセンサ18jから信号を取込み、フィン角rを取得する(ステップS56)。次にコントローラ90はROM90bにアクセスし、許容最大角度rmax を取得する(ステップS57
)。そしてフィン角rが許容最大角度rmax 以上であるか否か判断する(ステップS58)。フィン角rが許容最大角度rmax 以上である場合は(ステップS58:YES)、ステップS47に戻る。フィン角rが許容最大角度rmax 未満である場合は(ステップS58:NO)、ステップS53に戻る。
【0088】
次に手扱モード制御について説明する。図13は手扱モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0089】
コントローラ90はモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS71)。このとき前記回動レバー52は排桿量に応じて回動する。次にコントローラ90はROM90bにアクセスして、閾値穀粒Jを取得する(ステップS72)。そしてコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L6を取得する(ステップS73)。そしてロス量L6が閾値穀粒J以上であるか否か判断する(ステップS74)。ロス量L6が閾値穀粒J未満である場合は(ステップS74:NO)、ステップS4へ戻る。
【0090】
ロス量L6が閾値穀粒J以上である場合は、ロスモニタランプ84を赤色に点灯する信号を出力する(ステップS75)。そして自動制御ランプ85を緑色に点灯する信号を出力する(ステップS76)。そしてモータクラッチ駆動回路92に継合信号を出力する(ステップS77)。次にモータ駆動回路91にサーボモータ70を所定数回転させる信号を出力する(ステップS78)。このとき前記回動レバー52は後方に回動する(図5実線矢印参照)。
【0091】
次にコントローラ90は、ROM90bにアクセスして閾値穀粒Kを取得する(ステップS79)。次にコントローラ90はロスセンサ34からの信号を取込み、ロス量L7を取得する(ステップS80)。そしてロス量L7が閾値穀粒K以下であるか否か判断する(ステップS81)。ロス量L7が閾値穀粒Kを超過している場合は(ステップS81:NO)、ステップS78へ戻る。
【0092】
ロス量L7が閾値穀粒K以下である場合は(ステップS81:YES)、RAM90cにアクセスし、変数Wに0を代入する(ステップS82)。そして自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS83)。そしてステップS3へ戻る。
【0093】
次に待機モード制御について説明する。図14は待機モード制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【0094】
コントローラ90はRAM90cにアクセスし、変数Wに1が代入してあるか否か判断する(ステップS91)。変数Wに0が代入してある場合は(ステップS91:NO)、ステップS71へ戻る。
【0095】
変数Wに1が代入してある場合は(ステップS91:YES)、計時を開始する(ステップS92)。そして計時を開始してから経過した時間Tが所定時間Tu以上であるか否か判断する(ステップS93)。時間Tが所定時間Tu以上である場合は(ステップS93:YES)、計時を終了する(ステップS94)。そしてステップS71へ戻る。
【0096】
次に割込制御について説明する。割込制御とは、脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されている場合であって、脱穀スイッチ83からコントローラ90に脱穀クラッチ44の切断を示す信号が入力されたときに、モード判定制御、刈取モード制御、手扱モード制御、及び待機モード制御を強制的に終了する制御をいう。割込制御は、脱穀スイッチ83から前記脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されている場合に随時割込実行される。図15は割込制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0097】
コントローラ90は、脱穀スイッチ83から脱穀クラッチ44の切断を示す信号が入力されたか否か判断する(ステップS101)。脱穀スイッチ83から脱穀クラッチ44の継合を示す信号が入力されている場合には(ステップS101:NO)、割込制御を終了する。脱穀スイッチ83から脱穀クラッチ44の切断を示す信号が入力された場合には(ステップS101:YES)、ロスモニタランプ84を消灯する信号を出力する(ステップS102)。次に自動制御ランプ85を消灯する信号を出力する(ステップS103)。そしてモータクラッチ駆動回路92に切断信号を出力する(ステップS104)。
【0098】
実施の形態に係るコンバインにあっては、前記刈取スイッチ87、脱穀スイッチ83、穀桿センサ9及び速度センサ43から出力された信号をコントローラ90に入力し、入力された信号に基づいて、刈取モード、手扱モード又は待機モードを判断し、各モードに応じて前記サーボモータ70を作動させて、ロス量を低減させることができる。
【0099】
また脱穀クラッチ44を継合してあり、フィードチェン5により穀桿が搬送されており、刈取クラッチ47を継合してあり、また速度Vが最低速度Vm以上である場合には刈取モードであると判断する。そしてコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す関数を参照し、前記ロスセンサ34により検出されたロス量に基づいて、前記サーボモータ70を作動させて、多量の穀粒を有する品種を刈取っている場合のロス量を低減させることができる。
【0100】
また脱穀クラッチ44を継合してあり、フィードチェン5により穀桿が搬送されており、更に刈取クラッチ47を切断してあるか又は速度Vが最低速度Vm未満である場合には手扱モードであると判断する。そしてロス量が閾値穀粒J以上である場合に、前記サーボモータ70を作動させて、ロス量を低減させる。またロス量が閾値穀粒K以下である場合には、自動制御を解除し、前記回動レバー52を排桿量に応じて回動させて、選別精度の向上を図る。
【0101】
また脱穀クラッチ44を継合してあり、フィードチェン5により穀桿が搬送されていない場合には、待機モードであると判断する。そしてWに1が代入してある場合は、直前まで刈取モードでの脱穀作業が行われており、多量の穀粒が揺動選別装置16に残留しているので、所定時間Tuが経過するまでは、刈取モードでの選別作業と同様な選別作業を行い、待機モードにおいて多量の穀粒が揺動選別装置16に残留している場合には、揺動選別装置16に残留している穀粒を速やかに減少させることができる。
【0102】
また待機モードであると判断された場合であって、Wに0が代入してあるとき又は所定時間Tuの計測が終了したときは、揺動選別装置16に残留している穀粒は少量である。このときロス量が閾値穀粒J以上であるか否かを判断し、閾値穀粒J以上である場合に前記サーボモータ70を作動させて、待機モードでのロス量を低減させる。またロス量が閾値穀粒K以下である場合には、自動制御を解除し、前記回動レバー52を排桿量に応じて回動させて、選別精度の向上を図る。
【0103】
また前記扱胴11から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバー52を設け、該回動レバー52にサーボモータ70を設けることにより、該サーボモータ70の動力にて前記フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔及びシャッタ57の開閉を調整して、ロス量を低減させることができる。
【0104】
また前記自動制御ランプ85を緑色に点灯して、回動レバー52を排桿量に応じて回動させているだけではロス量を十分に低減させることができない状態にあることをユーザに報知して、コンバインを減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0105】
また前記ロスモニタランプ84及び自動制御ランプ85を赤色で点滅させて、前記フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を大きくすることが不可能であることをユーザに報知し、コンバインを速やかに減速し穀桿の刈取量を低減することをユーザに促すことができる。
【0106】
また脱穀クラッチ44の継合を示す信号が脱穀スイッチ83からコントローラ90に入力されている場合は、ロスモニタランプ84を緑色に点灯して、前記フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔及びシャッタ57の開閉を監視していることをユーザに報知し、コントローラ90が正常に作動していることをユーザが確認することができる。
【0107】
またロスセンサ34にて検出されるロス量が増大した場合には、前記ロスモニタランプ84の点灯色を緑色から赤色に変更し、ロスセンサ34にて検出されるロス量が減少した場合には、前記ロスモニタランプ84の点灯色を赤色から緑色に変更して、ユーザにロス量の増減を報知し、ユーザがロス量の増減に対応した操作を行うことができる。
【0108】
なおロスセンサ34として、排塵口33及び排気通路37付近に衝突する穀粒の音を検出する音センサを使用しても良い。またサーボモータ70に代えて、前記回動レバー52に油圧シリンダを連結しても良く、電磁石を設けて磁力により回動レバー52を回動させても良い。またキャビン8内に表示画面を設け、該表示画面に回動レバー52を排桿量に応じて回動させているだけではロス量を十分に低減させることができない状態にあること、前記フィン18a、18a、・・・、18a同士の間隔を大きくすることが不可能であること等を表示しても良い。また唐箕27の回転軸に無段階変速機を設け、該無段階変速機を操作して回転数を調節し、風量を調節しても良い。またサーボモータ70はモータ及びポテンショメータを有しており、その構成についてはモータ及びポテンショメータを含むユニットであるか又はモータ及びポテンショメータを組み合わせた構成であるかは問わない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施の形態に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】実施の形態に係るコンバインの脱穀装置の略示一部破断側面断面図である。
【図3】実施の形態に係るコンバインの穀桿センサの要部構成を示す模式図である。
【図4】実施の形態に係るコンバインの伝動機構図である。
【図5】実施の形態に係るコンバインのチャフシーブ及びシャッタの要部構成を示す側面図である。
【図6】実施の形態に係るコンバインのキャビン内部を示す模式図である。
【図7】実施の形態に係るコンバインの脱穀作業を制御するコントローラ周りの構成を示すブロック図である。
【図8】コントローラによるモード判定制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】コントローラによる刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】コントローラによる刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】コントローラによる刈取モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】ROMに記録してあるコンバインの速度及び許容ロス量の関係を示す複数の関数を示すグラフである。
【図13】コントローラによる手扱モード制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】コントローラによる待機モード制御の処理手順を説明するフローチャートである。
【図15】コントローラによる割込制御の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
1 走行クローラ
2 脱穀装置
3 刈取部
9 穀桿センサ
16 揺動選別装置(選別部)
18 チャフシーブ
18a フィン
18b 連結桿(調整機構)
18c 回動軸(調整機構)
18d 引張ばね(調整機構)
18e チャフワイヤ(調整機構)
27 唐箕(選別部)
33 排塵口
34 ロスセンサ
40 エンジン
43 速度センサ
44 脱穀クラッチ(第1クラッチ)
47 刈取クラッチ(第2クラッチ)
50 排ワラチェン
51 排ワラガイド棒(調整機構)
52 回動レバー
53 連結棒(調整機構)
54 ばね体(調整機構)
55 吸気口
56 固定板
57 シャッタ(調整機構)
58 引張ばね(調整機構)
59 軸体(調整機構)
60 シャッタワイヤ(調整機構)
70 サーボモータ(補助機構)
71 電磁ブレーキ(補助機構)
72 減速ギヤボックス(補助機構)
73 ワイヤ巻取軸(補助機構)
74 補助ワイヤ(補助機構)
83 脱穀スイッチ(第1継断検出手段)
84 ロスモニタランプ
85 自動制御ランプ
86 ボリュームスイッチ
87 刈取スイッチ(第2継断検出手段)
90 コントローラ
90a CPU
90b ROM
90c RAM
90d 入力インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行機体と、該走行機体に設けてあり、走行中に穀桿を刈取る刈取部と、該刈取部から搬送された穀桿を脱穀する脱穀部と、該脱穀部にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別する選別部と、該選別部での選別精度を調整する調整機構とを備える脱穀機において、
前記調整機構の作動を補助する補助機構と、
前記刈取部及び脱穀部の作動状態を示す情報を取り込む情報取込手段と、
該情報取込手段に取り込まれた情報に基づいて前記補助機構の作動を制御する補助制御手段と
を備えることを特徴とする脱穀機。
【請求項2】
前記選別部から排出される穀粒量を検出する穀粒検出手段と、
前記走行機体の速度及び前記選別部から排出されることが許容される穀粒量の関係を示す関数を記録してある関数記録手段と、
前記走行機体に駆動力を供給する駆動源と、
該駆動源及び脱穀部の間に介在する第1クラッチと、
該第1クラッチの継断を検出する第1継断検出手段と、
前記駆動源及び刈取部の間に介在する第2クラッチと、
該第2クラッチの継断を検出する第2継断検出手段と、
前記刈取部から前記脱穀部に搬送される穀桿を検出する穀桿検出手段と、
前記走行機体の速度を検出する速度検出手段とを備え、
前記情報取込手段は、前記第1継断検出手段、第2継断検出手段、穀桿検出手段及び速度検出手段から検出結果を取り込む検出結果取込手段を備え、
前記補助制御手段は、前記第1クラッチの継合を示す検出結果、前記第2クラッチの継合を示す検出結果、所定速度以上の速度を示す検出結果、及び穀桿の存在を示す検出結果を前記検出結果取込手段が取り込んだ場合に、前記関数記録手段に記録してある関数を参照し、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記補助機構を作動させる関数制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の脱穀機。
【請求項3】
前記選別部から排出されることが許容される閾値穀粒量を記録してある閾値記録手段と、
前記検出結果取込手段が、前記第1クラッチの継合を示す検出結果、穀桿の存在を示す検出結果、並びに前記第2クラッチの継合を示す検出結果又は所定速度未満の速度を示す検出結果を取り込んだ場合に、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であるか否かを判断する第1閾値判断手段とを備え、
前記補助制御手段は、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であると前記第1閾値判断手段が判断した場合に、前記補助機構を作動させる手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の脱穀機。
【請求項4】
前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報を記録する情報記録手段と、
前記第1クラッチの継合を示す検出結果及び穀桿の不存在を示す検出結果を前記検出結果取込手段が取り込んだ場合に、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が前記情報記録手段に記録してあるか否か判断する情報判断手段と、
前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録してあると前記情報判断手段が判断した場合に所定時間の経過を計測する計時手段と、
該計時手段による所定時間の計測が終了するまで、前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われた状態に前記調整機構を維持する手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の脱穀機。
【請求項5】
前記関数制御手段による前記補助機構の作動が行われたことを示す情報が記録されていないと前記情報判断手段が判断した場合又は前記計時手段による所定時間の計測が終了した場合に、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であるか否かを判断する第2閾値判断手段を備え、
前記補助制御手段は、前記穀粒検出手段により検出された穀粒量が前記閾値記録手段に記録してある閾値穀粒量以上であると前記第2閾値判断手段が判断した場合に前記補助機構を作動させる手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の脱穀機。
【請求項6】
前記調整機構は前記脱穀部から排出される排桿の増減に応じて回動方向が変更される回動レバーを備えており、
前記補助機構は前記回動レバーを回動させる動力源を備え、
該動力源の動力により、前記調整機構を作動させるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項7】
前記補助機構の作動を開始する場合に、前記補助機構の作動を開始することを表示する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項8】
前記補助機構の作動が可能か否か判断する手段と、
該手段が、前記補助機構の作動が不可能であると判断した場合に、前記補助機構の作動が不可能であることを表示する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項9】
前記第1継断検出手段により前記第1クラッチの継合が検出された場合に、前記補助制御手段による制御を開始することを表示する手段を備えることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項10】
前記穀粒検出手段により検出された穀粒量に基づいて、前記選別部から排出される穀粒量の増減を表示する手段を備えることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか一つに記載の脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−225686(P2009−225686A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72230(P2008−72230)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】