説明

角速度または角度の検出方法及びロボットの制御方法

【課題】ドリフト現象による誤差と感度の変動による誤差とを較正する方法を提供する。
【解決手段】角速度センサーを用いた角度検出方法にかかわる。角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へ変更し、その間の角速度センサーの出力を積分した第1出力積分16aと変更に要した第1経過時間17とを検出する。角速度センサーの姿勢を第2姿勢から第1姿勢と同じ姿勢の第3姿勢へ変更し、第1姿勢から第3姿勢13へ変更する間の角速度センサーの出力を積分した第2出力積分16bと第1姿勢から第3姿勢へ変更する間の第2経過時間18とを検出する。第2出力積分16bを第2経過時間18にて除算してオフセット補正係数を演算する。第1出力積分16aからオフセット補正係数と第1経過時間17との乗算値を引き算した第1正味出力積分19aを演算し、第1姿勢と第2姿勢との回転角度の差を第1正味出力積分19aにて除算して感度係数を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度または角度の検出方法及びロボットの制御方法にかかわり、特に角速度センサーを用いて角速度または角度を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多軸ロボットはアーム(以後、腕部と称す)を複数備えている。そして、腕部を回転させるサーボモーター等のアクチュエーターに角度センサーを配置して腕部の姿勢を検出している。そして、腕部を移動させるときに腕部が振動するので、腕部の振動を少なくする駆動方法が求められている。そして、腕部の振動を少なくする方法が特許文献1に開示されている。それによると、腕部に角速度センサーを配置し、アクチュエーターの角度センサーと腕部の角速度センサーとを用いて、腕部の姿勢制御を行っている。
【0003】
角速度センサーの較正方法が特許文献2に開示されている。これによると、加速度センサーを用いて重力方向を検出する。次に、角速度センサーを用いてロボットの姿勢を算出し、重力方向との差を検出している。そして、角速度センサーの出力のドリフト現象による誤差を較正していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3883544号公報
【特許文献2】特開2004−264060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
角速度センサーにはドリフト現象による誤差に加え、感度が変動することによる誤差がある。そこで、ドリフト現象による誤差と感度の変動による誤差を分離して較正する方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる角速度または角度の検出方法は、角速度センサーを用いた角速度または角度の検出方法であって、前記角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へ変更する第1変更工程と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第1出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更するのに要した時間である第1経過時間と、を検出する第1検出工程と、前記角速度センサーの姿勢を前記第2姿勢から前記第1姿勢と同じ姿勢である第3姿勢へ変更する第2変更工程と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第2出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更するのに要した時間である第2経過時間と、を検出する第2検出工程と、前記角速度センサーの角速度が零のときの出力をオフセット補正係数とし、前記角速度センサーの角速度変化量と前記角速度センサーの出力の関係を示す係数を感度係数とするとき、前記第2出力積分を前記第2経過時間にて除算して前記オフセット補正係数を演算し、前記第1出力積分から前記オフセット補正係数と前記第1経過時間との乗算値を引き算した第1正味出力積分を演算し、前記第1姿勢と前記第2姿勢との回転角度の差を前記第1正味出力積分にて除算して感度係数を演算する係数算出工程と、前記角速度センサーが第3経過時間の間に姿勢を変更するとき、変更する間における前記角速度センサーの出力と前記オフセット補正係数と感度係数とを用いて前記角速度センサーの角速度または姿勢を検出する姿勢検出工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この角速度または角度の検出方法によれば、第1姿勢と第3姿勢とにおいて角速度センサーを同じ姿勢にしている。そして、第2経過時間の間に変化した角速度センサーの出力の差を第2経過時間にて除算することにより、オフセット補正係数を算出している。
【0009】
第1姿勢から第2姿勢へ変更する間のオフセットによる誤差はオフセット補正係数と第1経過時間とを乗算して算出される。そして、角速度センサーの出力を積分した値からオフセットによる誤差を引き算して第1正味出力積分を算出することによりオフセットによる誤差を除いている。次に、第1姿勢と第2姿勢との回転角度の差を第1正味出力積分にて除算して感度係数を演算している。
【0010】
従って、角速度センサーの出力のうちオフセットによる誤差を除いている。そして、オフセット誤差のない角速度センサーの出力を用いて角速度センサーの感度係数を演算している。その結果、精度良く角速度センサーの角速度及び姿勢を検出することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる角速度または角度の検出方法において、前記角速度センサーはセンサー支持部に配置され、前記センサー支持部は、回転軸と前記センサー支持部の回転角度を検出する回転角度検出器とを有し、前記角速度センサーの姿勢は前記回転角度検出器を用いて検出することを特徴とする。
【0012】
この角速度または角度の検出方法によれば、角速度センサーが静止しているときの角速度センサーの回転角度は回転角度検出器を用いて所望のときに検出することができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる角速度または角度の検出方法において、前記角速度センサーは振動子型ジャイロスコープであることを特徴とする。
【0014】
この角速度または角度の検出方法によれば、角速度センサーに振動子型ジャイロスコープを用いている。回転型ジャイロスコープに比べて振動子型ジャイロスコープは回転機構を用いないので小型にすることができる。従って、小型のセンサーにて回転角度の変動を検出することができる。
【0015】
[適用例4]
上記適用例にかかる角速度または角度の検出方法において、前記回転角度検出器はロータリーエンコーダーを用いて回転角度を検出することを特徴とする。
【0016】
この角速度または角度の検出方法によれば、回転角度検出器にロータリーエンコーダーを用いている。ロータリーエンコーダーは目盛りを配置した円板と目盛りの検出器を備えている。そして、目盛りの個数を多くすることにより、高い分解能を実現することができる。従って、高い分解能のロータリーエンコーダーを用いることにより精度良く角速度センサーの回転角度を検出することができる。
【0017】
[適用例5]
本適用例にかかるロボットの制御方法は、角速度センサーを用いて可動部の姿勢を検出するロボットの制御方法であって、前記角速度センサーを較正する較正工程と、前記可動部の姿勢を検出する姿勢検出工程と、を有し、前記較正工程は、前記角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へ変更する第1変更工程と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第1出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更するのに要した時間である第1経過時間と、を検出する第1検出工程と、前記角速度センサーの姿勢を前記第2姿勢から前記第1姿勢と同じ姿勢である第3姿勢へ変更する第2変更工程と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第2出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更するのに要した時間である第2経過時間と、を検出する第2検出工程と、時間の経過にともなって変化する前記角速度センサーの前記出力の変化率をオフセット補正係数とし、前記角速度センサーの角度変化量と前記角速度センサーの出力の関係を示す係数を感度係数とするとき、前記第2出力積分を前記第2経過時間にて除算して前記オフセット補正係数を演算し、前記第1出力積分からオフセット補正係数と前記第1経過時間との乗算値を引き算した第1正味出力積分を演算し、前記第1姿勢と前記第2姿勢との回転角度の差を前記第1正味出力積分にて除算して感度係数を演算する係数算出工程と、を有し、前記姿勢検出工程は、前記角速度センサーが第3経過時間の間に姿勢を変更するとき、変更する間における前記角速度センサーの出力と前記オフセット補正係数と感度係数とを用いて前記角速度センサーの角速度または姿勢を検出する姿勢検出工程を有し、検出した前記角速度センサーの角速度の情報を用いて前記可動部の角速度検出、または検出した前記角速度センサーの姿勢の情報を用いて前記可動部の姿勢検出をすることを特徴とする。
【0018】
このロボットの制御方法によれば、較正工程において、オフセット補正係数と角速度センサーの感度係数とを演算している。そして、オフセット誤差のない角速度センサーの出力を用いて角速度センサーの感度係数を演算している。従って、精度良く角速度センサーの姿勢を検出することができる為、精度良くロボットの姿勢を制御することができる。
【0019】
[適用例6]
上記適用例にかかるロボットの制御方法において、前記ロボットが作業を行う作業工程を有し、前記較正工程は前記作業工程と並行して行われることを特徴とする。
【0020】
このロボットの制御方法によれば、較正工程と作業工程とが並行して行われる。従って、較正工程と作業工程とを別々に行う方法に比べて生産性良く角速度センサーの較正を行うことができる。
【0021】
[適用例7]
上記適用例にかかるロボットの制御方法において、前記第1姿勢と前記第3姿勢とにおいて前記角速度センサーは同じ場所に位置することを特徴とする。
【0022】
このロボットの制御方法によれば、第1姿勢と第3姿勢とにおいて角速度センサーの姿勢が同じ姿勢のとき角速度センサーが同じ場所に位置している。角速度センサーが同じ場所に位置させるときにロボットの姿勢を同じ姿勢となるように駆動することにより角速度センサーの姿勢を同じにすることができる。従って容易に角速度センサーの姿勢を同じ姿勢にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態にかかわり、(a)は、角度検出装置の構成を示す概略斜視図、(b)は、角度検出装置の構成を示す模式断面図。
【図2】腕部の角度を検出する工程を示すフローチャート。
【図3】腕部の角度を検出する方法を説明するための模式図。
【図4】回転角度検出器及び角速度センサーの出力と演算結果の推移を示すタイムチャート。
【図5】(a)は、腕部の角度を検出する方法を説明するための模式図であり、図(b)は、角速度センサーの出力と演算結果の推移を示すタイムチャート。
【図6】第2の実施形態にかかわり、(a)は、ロボットシステムの構成を示す概略斜視図、(b)は、ロボットの構成を示す模式断面図。
【図7】ロボットの姿勢を説明するための模式図。
【図8】部品の移動工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態における角度検出装置とこの角度検出装置を用いた特徴的な角度検出方法について図1〜図5に従って説明する。
【0025】
図1(a)は、角度検出装置の構成を示す概略斜視図であり、図1(b)は、角度検出装置の構成を示す模式断面図である。図1に示すように、角度検出装置1は平板状に形成された基台2を備えている。基台2の水平面上の1方向をX方向とする。そして、重力方向と逆の方向をZ方向とし、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向とする。
【0026】
基台2上には支持台3が配置されている。支持台3の内部には空洞が形成され、この空洞は支持板4により上下に分割されている。支持板4の下側にはモーター5が配置され、モーター5の下側には回転角度検出器6が配置されている。モーター5は電気信号によって回転方向を制御可能であればよく、直流モーター、パルスモーター、超音波モーター等のモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、直流モーターを採用している。回転角度検出器6は、モーター5の駆動軸の回転角度を検出可能であれば良く、光学式エンコーダー、磁気式エンコーダー等のロータリーエンコーダーを用いることができる。本実施形態では、例えば、光学式のロータリーエンコーダーを採用している。
【0027】
支持板4の上側には減速機7が配置され、モーター5の回転軸5aと接続されている。そして、減速機7の上側には出力軸7aが配置されている。そして、モーター5の回転軸5aの回転速度を減速した回転速度にて出力軸7aが回転する。減速機7は歯車減速機、ハーモニックドライブ(登録商標)、ローラドライブ(登録商標)等を採用することができる。本実施形態では、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)を採用している。支持台3の上面には孔部3aが形成され、孔部3aから出力軸7aが突出して配置されている。
【0028】
出力軸7aと接続して略直方体状のセンサー支持部としての腕部8が配置され、腕部8は出力軸7aを中心に回転する。腕部8において出力軸7aと反対側には角速度センサー9が配置されている。角速度センサー9の種類は特に限定されず、回転型ジャイロスコープ、振動型ジャイロスコープ、ガス型ジャイロスコープ、リングレーザジャイロ等のジャイロスコープを用いることができる。本実施形態では、例えば、振動型ジャイロスコープに属する振動子型ジャイロスコープを採用している。
【0029】
モーター5が回転するとき、出力軸7aが回転することにより、腕部8が回転させられる。角速度センサー9は腕部8と共に回転するので、角速度センサー9は腕部8の回転速度を検出する。そして、角速度センサー9の回転速度を所定の間で積分することにより腕部8が回転する角度を検出することができる。また、モーター5の回転角度は回転角度検出器6を用いて検出できるので、回転角度検出器6を用いて腕部8の回転角度を検出することができる。そして、回転角度検出器6を用いて検出した腕部8の回転角度と角速度センサー9を用いて検出した腕部8の回転角度とを比較することにより、角速度センサー9の較正を行うことができる。
【0030】
基台2の図中右側には制御装置10が配置されている。制御装置10には中央演算装置、記憶部、インターフェース、モーター5を駆動するモーター駆動回路、入力装置、表示装置等を備えている。回転角度検出器6及び角速度センサー9はインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。モーター5はモーター駆動回路と接続され、モーター駆動回路はインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。記憶部には角度検出装置1を制御する動作手順を示したプログラムソフトや角度データが記憶されている。そして、中央演算装置はモーター5を所定の角度回転させて、回転角度検出器6及び角速度センサー9の出力を記憶部に記憶することができる。さらに、中央演算装置は回転角度検出器6及び角速度センサー9の出力を比較して較正するための演算を行う。
【0031】
(角度検出方法)
次に、上述した角度検出装置1を用いて、腕部8の角度を検出する方法について図2〜図5にて説明する。図2は、腕部の角度を検出する工程を示すフローチャートである。図3〜図5は、腕部の角度を検出する方法を説明するための模式図及びタイムチャートである。
【0032】
図2に示すフローチャートにおいて、ステップS1とステップS2とは並行して行われる。ステップS1は、第1変更工程に相当し、腕部を回転して角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へと変更する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS2は、第1検出工程に相当する。回転角度検出器の出力と角速度センサーの出力とを検出する。そして、角速度センサーの姿勢が第1姿勢から第2姿勢へと変更する間の角速度センサーの出力を積分した第1出力積分と、角速度センサーの出力を積分する間の時間とを検出する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は、第2変更工程に相当し、腕部を回転して角速度センサーの姿勢を第2姿勢から第1姿勢と同じ姿勢である第3の姿勢へと変更する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS4はステップS1及びステップS3と並行して行なわれる。ステップS4は、第2検出工程に相当する。回転角度検出器の出力と角速度センサーの出力とを検出する。そして、角速度センサーの姿勢が第1姿勢から第2姿勢を経て第3の姿勢へと変更する間の角速度センサーの出力を積分した第2出力積分と、角速度センサーの出力を積分する間の時間とを検出する工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は、係数算出工程に相当する。時間の経過にともなって変化する角速度センサーの出力の積分値の変化率であるオフセット補正係数を演算する。さらに、角速度センサーの角速度変化量と角速度センサーの出力の関係を示す感度係数を演算する。ステップS1〜ステップS5は、ステップS11の較正工程に相当し、角速度センサーの係数を較正する工程である。次にステップS6及びステップS7に移行する。
【0033】
ステップS6とステップS7とは並行して行われる。ステップS6は、第3変更工程に相当し、腕部を回転して角速度センサーの姿勢を変更する工程である。ステップS7は、第3検出工程に相当し、角速度センサーの出力を用いて角速度センサーの姿勢を検出することにより腕部の角度を検出する工程である。ステップS6及びステップS7は、ステップS12の姿勢検出工程に相当し、姿勢が変化する角速度センサーの角速度を検出する。さらに、角速度センサー及び腕部の姿勢を検出する工程である。以上により、腕部の角度を検出する方法を終了する。
【0034】
次に、図3〜図5を用いて、図2に示したステップと対応させて、腕部の角度を検出する方法を詳細に説明する。図3(a)はステップS1の第1変更工程とステップS2の第1検出工程とに対応する図である。図3(a)において、支持台3のY方向に角速度センサー9が位置するように制御装置10は腕部8を配置する。このときの角速度センサー9の姿勢を第1姿勢11とする。制御装置10はモーター5を駆動して腕部8を時計回りに回転させる。その結果、図3(b)に示すように、支持台3のX方向に角速度センサー9が位置するように腕部8が配置される。角速度センサー9のこの姿勢を第2姿勢12とする。角速度センサー9が第1姿勢11から第2姿勢12になる間の角速度センサー9の出力を制御装置10は入力して積分する。そして、積分した結果の推移を記憶部に記憶する。さらに、腕部8が回転する間の回転角度検出器6の出力を制御装置10は入力して記憶部に記憶する。さらに、腕部8が回転する間の時間の経過を制御装置10は記憶部に記憶する。
【0035】
ステップS3の第2変更工程において、制御装置10はモーター5を駆動して腕部8を反時計回りに回転させる。その結果、図3(c)に示すように角速度センサー9の姿勢が第3姿勢13になる。この第3姿勢13は第1姿勢11と同じ姿勢となっている。ステップS4の第2検出工程では、角速度センサー9の姿勢が第1姿勢11から第2姿勢12を経て第3姿勢13になる間の角速度センサー9の出力を制御装置10が入力して積分する。そして、積分した結果の推移を記憶部に記憶する。さらに、腕部8が回転する間の回転角度検出器6の出力を制御装置10は入力して記憶部に記憶する。さらに、腕部8が回転する間の時間の経過を制御装置10は記憶部に記憶する。
【0036】
図4は、ステップS1〜ステップS4とステップS5の係数算出工程に対応する図であり、回転角度検出器及び角速度センサーの出力と演算結果の推移を示すタイムチャートである。図4において、横軸は時間の経過を示し、図中左から右へ時間が推移する。縦軸には、4つの要素が配置されている。図中上側から順に角度、角速度、角度、角度が配置されている。縦軸の角度は図中下側より上側が時計回りの角度が大きくなっている。縦軸の角速度は図中下側より上側が時計回り方向の角速度が大きくなっている。
【0037】
上段の角度検出器出力推移線14は回転角度検出器6の出力を示している。縦軸の角度は横軸と交差する場所が零点であり、腕部8がY方向に延在するときの角度を零とする。そして、角度検出器出力推移線14が横軸の上側では腕部8がY方向から時計回りの方向に回転した場所に位置することを示している。
【0038】
ステップS1の第1変更工程において、まず、角速度センサー9の姿勢は第1姿勢11となっており、角度検出器出力推移線14は零となっている。次に、腕部8が時計回りに回転することにより角速度センサー9の姿勢が第1姿勢11から第2姿勢12に移行する。従って、角度検出器出力推移線14は上側へ推移する。このときの角度検出器出力推移線14の値を回転角度差14aとする。回転角度差14aは第1姿勢11と第2姿勢12とにおける回転角度検出器6の回転角度差を示している。
【0039】
ステップS3の第2変更工程において腕部8が反時計回りに回転することにより角速度センサー9が第2姿勢12から第3姿勢13に移行する。従って、角度検出器出力推移線14は下側へ推移する。そして、第3姿勢13は第1姿勢11と同じであり、腕部8がY方向に延在するので角度検出器出力推移線14が零となる。
【0040】
上から2段目の角速度センサー出力推移線15は角速度センサー9の出力を示している。縦軸の角速度は横軸と交差する場所が零点である。腕部8が静止しているとき、角速度センサー9の出力は所定の値となっており、この値をオフセット値と称す。オフセット値は角速度センサー9の温度等の環境により変動する。ステップS1の第1変更工程においてモーター5が腕部8を回転させる前では角速度センサー9が静止しているので、角速度センサー出力推移線15はオフセット出力15aとなっている。
【0041】
ステップS1の第1変更工程において、腕部8が時計回りに回転することにより、角速度センサー9が時計回りに回転する。そして、回転速度と比例した値が角速度センサー9から出力される。角速度センサー9が時計回りに回転するとき角速度センサー出力推移線15はオフセット出力15aの上側を推移する。腕部8の回転速度と対応して角速度センサー9が角速度値を出力する。そして、角速度センサー出力推移線15は腕部8の回転速度と対応した形状になる。ステップS3の第2変更工程では腕部8が反時計回りに回転する。そして、角速度センサー9が反時計回りに回転するとき角速度センサー出力推移線15はオフセット出力15aの下側を推移し、腕部8の回転速度と対応した形状になる。
【0042】
上から3段目の角速度出力積分推移線16は角速度センサー出力推移線15を時間軸において積分した値を示した線である。角速度出力積分推移線16はステップS2の第1検出工程及びステップS4の第2検出工程にて演算される。角度検出装置1が第1姿勢11から第2姿勢12に変化する間に角速度出力積分推移線16が変化した量を第1出力積分16aとする。そして、角度検出装置1が第1姿勢11から第2姿勢12に変化する間の時間を第1経過時間17とする。ステップS2では第1出力積分16a及び第1経過時間17が制御装置10の記憶部に記憶される。尚、第1出力積分16a及び第1経過時間17は角速度センサー9の出力の振動が安定したときの値を用いるのが好ましい。このとき、腕部8が振動することの影響を少なくすることができる為、精度良く較正することができる。
【0043】
角度検出装置1が第1姿勢11から第3姿勢13に変化する間に角速度出力積分推移線16が変化した量を第2出力積分16bとする。そして、角度検出装置1が第1姿勢11から第3姿勢13に変化する間の時間を第2経過時間18とする。ステップS4では第2出力積分16b及び第2経過時間18が制御装置10の記憶部に記憶される。
【0044】
ステップS5の係数算出工程において、角速度センサー9の角速度が零のときの出力であるオフセット補正係数を演算する。オフセット補正係数は第2出力積分16bを第2経過時間18にて除算して算出する。従って、オフセット補正係数は第2経過時間18におけるオフセット出力15aの平均値に相当する。オフセット線16cはオフセット補正係数による角度の推移を示す線である。オフセット線16cは第1姿勢11と第3姿勢13とにおいて角速度出力積分推移線16と一致する直線となっている。
【0045】
上から4段目の正味出力積分推移線19は、角速度出力積分推移線16の縦軸の値からオフセット線16cの示す縦軸の値を引いた曲線である。つまり、正味出力積分推移線19は、角速度出力積分推移線16からオフセットによる角度誤差を引いた値が示す線となっている。角速度センサー9が第2姿勢12のときにおける正味出力積分推移線19の値を第1正味出力積分19aとする。第1正味出力積分19aは第1出力積分16aからオフセット補正係数と第1経過時間17との乗算値を引き算した値となる。次に、回転角度差14aを第1正味出力積分19aにて除算した値を感度係数とする。感度係数は回転角度検出器6の出力が示す角速度と角速度センサー9の出力が示す角速度との関係を示す係数である。感度係数は回転角度検出器6の出力が示す角度と角速度センサー9の出力の積分値が示す角度とから算出することができる。
【0046】
図5(a)はステップS6の第3変更工程に対応する図である。図5(a)に示すように、ステップS6において、制御装置10はモーター5を駆動して腕部8を時計回りに回転させる。その結果、支持台3のX方向に対して斜めの方向に角速度センサー9が位置するように腕部8が配置される。このときの、角速度センサー9の姿勢を第4姿勢22とする。従って、ステップS6では角速度センサー9の姿勢が第3姿勢13から第4姿勢22へと変更される。
【0047】
図5(b)はステップS7の第3検出工程に対応する図であり、角速度センサーの出力と演算結果の推移を示すタイムチャートである。図5(b)において、横軸は時間の経過を示し、図中左から右へ時間が推移する。縦軸には、4つの要素が配置されている。図中上側から順に、角速度、角度、角度、角度が配置されている。縦軸の角度は図中下側より上側が時計回りの角度が大きくなっている。縦軸の角速度は図中下側より上側が時計回り方向の角速度が大きくなっている。
【0048】
上段の角速度センサー出力推移線23は角速度センサー9の出力を示している。縦軸の角速度は横軸と交差する場所が零点である。角度検出装置1が第3姿勢13のとき腕部8は停止しており、角速度センサー9の出力はオフセット出力23aとなっている。そして、モーター5は加速して減速することにより、角度検出装置1の姿勢を第4姿勢22に変更する。従って、角速度センサー出力推移線23は山形に推移する。
【0049】
上から2段目の角速度出力積分推移線24は角速度センサー出力推移線23を時間軸において積分した値を示した線である。角速度出力積分推移線24はステップS7の第3検出工程にて演算される。角度検出装置1が第3姿勢13から第4姿勢22に変化する間に角速度出力積分推移線24が変化した量を第3出力積分24aとする。そして、角速度センサー9が第3姿勢13から第4姿勢22に変化する間の時間を第3経過時間25とする。ステップS7では第3出力積分24a及び第3経過時間25が制御装置10の記憶部に記憶される。
【0050】
オフセット線24bはオフセット補正係数による角度の推移を示す線である。オフセット補正係数と第3経過時間25とを乗算した値をオフセット補正量24cとする。オフセット補正量24cは第3経過時間25に対応するオフセットによる誤差である。そして、第3出力積分24aからオフセット補正量24cを引き算した値を第2正味出力積分24dとする。第2正味出力積分24dは角速度センサー9からオフセットによる誤差を除いた値である。
【0051】
上から3段目の正味出力積分推移線26は角速度出力積分推移線24の縦軸の値からオフセット線24bの示す縦軸の値を引いた曲線である。つまり、正味出力積分推移線26は、角速度出力積分推移線24からオフセットによる誤差を除いた線となっている。そして、角速度センサー9が第4姿勢22のとき、第3経過時間25の値は第2正味出力積分24dとなる。
【0052】
上から4段目のセンサー角度推移線27は、正味出力積分推移線26の縦軸の値に感度係数を乗算した値からなる曲線である。そして、センサー角度推移線27は角速度センサー9の出力が示す角速度センサー9の回転角度の推移を示している。第4姿勢角度27aは、角度検出装置1が第4姿勢22のときに角速度センサー9が示す角速度センサー9の角度である。そして、第4姿勢角度27aは第4姿勢22におけるセンサー角度推移線27の値となっている。
【0053】
つまり、第3出力積分24aからオフセット補正量24cを引き算して第2正味出力積分24dを演算する。次に、第2正味出力積分24dと感度係数とを乗算して第4姿勢角度27aを算出する。さらに、角速度センサー出力推移線23から角速度を算出する。つまり、角速度センサー出力推移線23からオフセット出力23aを減算する。次に、減算した値に感度係数を乗算することにより、角速度を算出する。以上の工程により腕部の角度を検出する工程を終了する。
【0054】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS5の係数算出工程において角速度センサー9の出力のうちオフセット出力15aによる誤差を除いている。そして、オフセット誤差のない角速度センサー9の出力を用いて角速度センサー9の感度係数を演算している。従って、精度良く角速度センサー9の姿勢を検出することができる。
【0055】
(2)本実施形態によれば、角度検出装置1は回転角度検出器6を備えている。そして、回転角度検出器6が検出する角度と角速度センサー9の角度とは相関関係があるように角速度センサー9と回転角度検出器6とが配置されている。従って、角速度センサー9の回転角度は回転角度検出器6を用いて所望のときに検出することができる。そして、角速度センサー9が所望の場所に静止して位置するときに角速度センサー9を較正することができる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、角速度センサー9に振動子型ジャイロスコープを用いている。回転型ジャイロスコープに比べて振動子型ジャイロスコープは回転機構を用いないので小型にすることができる。従って、小型のセンサーにて回転角度の変動を検出することができる。そして、小型であることから、腕部8に配置する場所を設定し易くすることができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、回転角度検出器6にロータリーエンコーダーを用いている。ロータリーエンコーダーは目盛りを配置した円板と目盛りの検出器を備えている。そして、目盛りの個数を多くすることにより、高い分解能を実現することができる。従って、高い分解能のロータリーエンコーダーを用いることにより精度良く回転角度検出器6の回転角度を検出することができる。
【0058】
(5)本実施形態によれば、角速度センサー9は腕部8の一端に配置されている。そして、モーター5が腕部8を回転させるとき、腕部8及び減速機7が変形する。このとき、角速度センサー9は腕部8が変形する変位の影響を含んだ回転角度を検出することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、ロボットシステムの一実施形態について図6〜図7を用いて説明する。本実施形態は第1の実施形態をロボットシステムの制御に応用した1例である。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0060】
図6(a)は、ロボットシステムの構成を示す概略斜視図であり、図6(b)は、ロボットの構成を示す模式断面図である。すなわち、本実施形態では、図6に示すように、ロボットシステム30はワーク供給装置31、ロボット32、ワーク収納装置33及び制御装置34を備えている。
【0061】
ワーク供給装置31はワークとしての部品35を供給する装置である。部品35の形状や材質は特に限定されない、例えば、実施形態において部品35は金属製の直方体となっている。
【0062】
ワーク供給装置31は部品整列装置36と搬送装置37とを備えている。部品整列装置36は円錐状の皿部36a及び皿部36aを支持する支持台36b等から構成されている。そして、皿部36aと支持台36bの間には図示しない振動装置が配置されている。皿部36aの内側には螺旋状の段差が形成されている。段差は所定の幅の平坦部を有し、平坦部は部品35が通過する通路になっている。平坦部は皿部36aの底から上部まで連続して形成されている。そして、振動装置が皿部36aを振動させるとき部品35が平坦部に沿って移動するようになっている。平坦部の幅は部品35が1個に限って通過可能な幅に形成されているので、部品35が通路を通過することにより部品35は1列に配列する。
【0063】
搬送装置37の上側にはベルトコンベア37aが配置されている。ベルトコンベア37aは1方向に長く延在して配置されている。この方向をY方向とする。そして水平方向においてY方向と直交する方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とする。搬送装置37は内部にステップモーター及びプーリーを備え、ベルトコンベア37aを移動及び停止することができる。ベルトコンベア37aの一端は部品整列装置36の上部と接続されている。皿部36aの上部まで移動した部品35はベルトコンベア37aの上に移動する。そして、部品35はベルトコンベア37aにより順次図中右側へ移動し、所定の場所に停止するようになっている。従って、ベルトコンベア37a上には部品35が配列して配置される。
【0064】
ロボット32は平板状に形成された基台38を備えている。基台38上には支持台39が配置されている。支持台39の内部は空洞が形成され、この空洞は支持板40により上下に分割されている。支持板40の下側には第1モーター41が配置され、第1モーター41の下側には第1回転角度検出器42が配置されている。第1回転角度検出器42は第1モーター41の回転角度を検出する。
【0065】
支持板40の上側には第1減速機43が配置され、第1モーター41の回転軸41aと接続されている。そして、第1減速機43の上側には出力軸43aが配置されている。そして、第1モーター41の回転軸41aの回転速度を減速した回転速度にて出力軸43aが回転する。第1減速機43は各種の減速機を採用することができる。本実施形態では、例えば、ハーモニックドライブ(登録商標)を採用している。支持台39の上面には孔部39aが形成され、孔部39aから出力軸43aが突出して配置されている。
【0066】
出力軸43aと接続して略直方体状の可動部としての第1腕部44が配置され、第1腕部44は出力軸43aを中心に回転する。第1腕部44において出力軸43aと反対側には第1角速度センサー45が配置されている。従って、第1モーター41が回転するとき、第1腕部44が回転させられる。そして、第1腕部44が回転する角度を第1回転角度検出器42及び第1角速度センサー45が検出可能になっている。
【0067】
第1腕部44上において第1角速度センサー45の第1モーター41側には第2減速機46、第2モーター47、第2回転角度検出器48がこの順に重ねて配置されている。そして、第2減速機46の出力軸46aが図中下方向に配置されている。第1腕部44には第2減速機46と対向する場所に孔部44aが形成され、孔部44aから出力軸46aが突出して配置されている。
【0068】
第2モーター47の回転軸には第2回転角度検出器48が接続され、第2回転角度検出器48は第2モーター47の回転軸の回転角度を検出する。さらに、第2モーター47の回転軸は第2減速機46と接続されている。そして、第2モーター47の回転軸の回転速度を減速した回転速度にて出力軸46aが回転する。
【0069】
第1モーター41及び第2モーター47は電気信号によって回転方向を制御可能であればよく、各種のモーターを用いることができる。本実施形態では、例えば、直流モーターを採用している。第1回転角度検出器42は第1モーター41の駆動軸の回転角度を検出可能であれば良く、第2回転角度検出器48は第2モーター47の駆動軸の回転角度を検出可能であれば良い。第1回転角度検出器42及び第2回転角度検出器48には各種のロータリーエンコーダーを用いることができる。本実施形態では、例えば、光学式のロータリーエンコーダーを採用している。
【0070】
出力軸46aと接続して略直方体状の可動部としての第2腕部49が配置され、第2腕部49は出力軸46aを中心に回転する。第2腕部49において出力軸46aと反対側には第2角速度センサー50が配置されている。第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の種類は特に限定されず、各種のジャイロスコープを用いることができる。本実施形態では、例えば、振動子型ジャイロスコープを採用している。
【0071】
第2腕部49上において第2角速度センサー50の第2モーター47側には回転装置51が配置されている。そして、第2腕部49には回転装置51と対向する場所に孔部49aが形成され、孔部49aから回転装置51の回転軸51aが突出して配置されている。第2腕部49の下側において回転装置51と対向する側には昇降装置52が配置され、昇降装置52は回転軸51aと接続されている。従って、回転装置51は昇降装置52を回転することができる。
【0072】
昇降装置52の下側には手部53が配置されている。昇降装置52は上下に移動する直動機構を有し、手部53を昇降することができる。手部53は略直方体状の2つの指部53aと直動機構とを有し、直動機構が2つの指部53aの間隔を変更することができる。そして、手部53は指部53aの間に部品35を挟んで保持することが可能になっている。
【0073】
ロボット32の図中右上にはワーク収納装置33が配置されている。ワーク収納装置33には複数の容器56が配置されている。容器56は外形が略直方体であり、深さが浅く形成されている。容器56には仕切板が配置され、4つの部屋に分割されている。そして、各部屋に部品35が配置される。
【0074】
ワーク収納装置33は内部に供給用昇降装置57、除材用昇降装置58とが並んで配置されている。供給用昇降装置57及び除材用昇降装置58の上側には容器56が重ねて配置されている。そして、供給用昇降装置57及び除材用昇降装置58は上下方向に移動する直動機構を備え、容器56を上昇及び下降することが可能になっている。供給用昇降装置57の上側の容器56は空になっている。そして、除材用昇降装置58の上側の容器56には部品35が配置されている。
【0075】
ワーク収納装置33において図中左側の側面には直動機構を備えた押出装置59が配置されている。押出装置59は供給用昇降装置57の上側に重ねて配置された容器56の内最上段の容器56を図中右下方向に押し出す。そして、押出装置59は容器56を供給用昇降装置57の上側から除材用昇降装置58の上側へ移動させる。
【0076】
ロボット32が供給用昇降装置57の上側に位置する容器56内に部品35を移動させることにより、容器56が部品35で満たされる。そして、容器56を押出装置59が供給用昇降装置57の上側から除材用昇降装置58の上側へ移動させる。その後、除材用昇降装置58が容器56を下降させる。続いて、供給用昇降装置57が空の容器56を上昇させる。従って、ロボット32が部品35を空の容器56内に移動させることができる。
【0077】
昇降装置52、手部53、供給用昇降装置57、除材用昇降装置58、押出装置59に配置された直動機構の種類は特に限定されない。例えば、直動機構にボールネジとパルスモーターとのを組み合わせたユニット、リニアモーター、エアーシリンダー等を用いることができる。本実施形態では、例えば、昇降装置52、手部53、供給用昇降装置57、除材用昇降装置58の直動機構にボールネジとパルスモーターとを組み合わせたユニットを採用した。そして、押出装置59の直動機構には、例えば、エアーシリンダーを採用した。
【0078】
ロボット32の図中左側には制御装置34が配置されている。制御装置34は中央演算装置、記憶部、インターフェース、第1モーター41及び第2モーター47を駆動するモーター駆動回路を備えている。他にも、制御装置34は、回転装置51と昇降装置52と手部53とを駆動する駆動回路、入力装置、表示装置等を備えている。第1回転角度検出器42、第1角速度センサー45、第2回転角度検出器48、第2角速度センサー50はインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。第1モーター41及び第2モーター47はモーター駆動回路と接続され、モーター駆動回路はインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。さらに、ワーク供給装置31及びワーク収納装置33もインターフェースを介して中央演算装置と接続されている。
【0079】
記憶部にはロボットシステム30を制御するための動作手順を示したプログラムソフトや角度データ等が記憶されている。そして、中央演算装置は第1モーター41及び第2モーター47を所定の角度回転させて、第1回転角度検出器42、第1角速度センサー45、第2回転角度検出器48、第2角速度センサー50の出力を記憶部に記憶することができる。さらに、中央演算装置は第1回転角度検出器42及び第1角速度センサー45の出力を比較して較正するための演算を行う。他にも、中央演算装置は第2回転角度検出器48及び第2角速度センサー50の出力を比較して較正するための演算等を行う。
【0080】
(ロボット制御方法)
次に、上述したロボットシステム30においてロボット32を制御する方法について図7及び図8にて説明する。尚、部品35をワーク供給装置31からワーク収納装置33へロボット32が移動させる1例を用いて説明する。図7は、ロボットの姿勢を説明するための模式図であり、図8は、部品の移動工程を示すフローチャートである。
【0081】
図7(a)において、手部53がベルトコンベア37a上の部品35を把持する予定の場所と対向する場所に位置している。このときのロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60及びロボット第3姿勢61とする。ロボット第1姿勢60とロボット第3姿勢61とは同じ姿勢である。
【0082】
ロボット32がロボット第1姿勢60のときの第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第1姿勢45aとし、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第1姿勢50aとする。そして、ロボット32がロボット第3姿勢61のときの第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第3姿勢45bとし、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第3姿勢50bとする。第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の場所と姿勢とはロボット第1姿勢60とロボット第3姿勢61とで同じになっている。従って、第1センサー第1姿勢45aと第1センサー第3姿勢45bとは同じ姿勢であり、第2センサー第1姿勢50aと第2センサー第3姿勢50bとは同じ姿勢となっている。
【0083】
図7(b)において、手部53がワーク収納装置33上の容器56と対向する場所に位置している。容器56において左上の場所を第1の場所56a、右上の場所を第2の場所56b、右下の場所を第3の場所56c、左下の場所を第4の場所56dとする。そして、手部53が部品35を第1の場所56aに置くときに、手部53が第1の場所56aと対向する場所に位置する。このときのロボット32の姿勢をロボット第2姿勢62とする。同様に、手部53が第2の場所56b、第3の場所56c、第4の場所56dと対向する場所に位置するときのロボット32の姿勢をそれぞれ、ロボット第4姿勢、ロボット第5姿勢、ロボット第6姿勢とする。そして、ロボット32の姿勢がロボット第2姿勢62のときの第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第2姿勢45cとし、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第2姿勢50cとする。
【0084】
ロボット32が部品35をベルトコンベア37aから容器56に移動させるとき、制御装置34はロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60からロボット第2姿勢62へ変化させる。そして、ロボット32がベルトコンベア37a上の部品35を把持するとき、制御装置34はロボット32の姿勢をロボット第2姿勢62からロボット第3姿勢61へ変化させる。次に、ロボット32が第2の場所56bに部品35を置くときには、制御装置34はロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60からロボット第4姿勢へ変化させる。同様に、ロボット32が第3の場所56cに部品35を置くときには、制御装置34はロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60からロボット第5姿勢へ変化させる。そして、ロボット32が第4の場所56dに部品35を置くときには、制御装置34はロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60からロボット第6姿勢へ変化させる。
【0085】
ロボット32の姿勢がロボット第1姿勢60からロボット第2姿勢62を経てロボット第3姿勢61に移行する。このとき、第1角速度センサー45の姿勢は第1センサー第1姿勢45aから第1センサー第2姿勢45cを経て第1センサー第3姿勢45bに移行する。そして、第2角速度センサー50の姿勢は第2センサー第1姿勢50aから第2センサー第2姿勢50cを経て第2センサー第3姿勢50bに移行する。
【0086】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、部品の移動工程におけるロボット32の制御方法を説明する。ステップS21は、第1較正工程に相当する。第1の実施形態におけるステップS11の較正工程と同様の方法を用いて、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50を較正する。そして、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50のオフセット補正係数及び感度係数を演算する工程である。
【0087】
次にステップS22に移行する。ステップS22は、移動工程に相当する。制御装置34はロボット32を駆動してロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60にする。このとき、第1角速度センサー45の姿勢は第1センサー第1姿勢45aとなり、第2角速度センサー50の姿勢は第2センサー第1姿勢50aとなる。そして、手部53が部品35を把持する予定の場所と対向する場所に、手部53を移動させる工程である。次にステップS23に移行する。
【0088】
ステップS23は、ワーク供給工程に相当し、ワーク供給装置31がベルトコンベア37a上の所定の場所に部品35を配置する。そして、手部53と対応する場所に部品35を配置する工程である。次にステップS24に移行する。
【0089】
ステップS24は、ワーク把持工程に相当し、制御装置34が手部53に部品35を把持させる工程である。制御装置34は手部53を駆動して、一対の指部53aの間隔を開く。そして、制御装置34は回転装置51を駆動して、一対の指部53aの間と対向する場所に部品35が位置するように手部53を回転させる。次に、制御装置34は昇降装置52を駆動して、手部53を下降させる。続いて、制御装置34は手部53を駆動して、指部53aの間隔を狭くすることにより、手部53に部品35を把持させる。次に、制御装置34は昇降装置52を駆動して、手部53を上昇させる。次にステップS25、ステップS26、ステップS27、ステップS30に移行する。ステップS25とステップS26、ステップS27とは並行して行われる。
【0090】
ステップS25は、第1変更工程に相当し、制御装置34がロボット32の姿勢をロボット第1姿勢60からロボット第2姿勢62へ変更させる工程である。制御装置34はロボット32を駆動して手部53をベルトコンベア37aと対向する場所から容器56と対向する場所に移動させる。このとき、第1角速度センサー45の姿勢は第1センサー第1姿勢45aから第1センサー第2姿勢45cに移行し、第2角速度センサー50の姿勢は第2センサー第1姿勢50aから第2センサー第2姿勢50cに移行する。次にステップS28に移行する。尚、第1の場所56aに部品35が配置されているときには、ロボット第4姿勢に移行する。第1の場所56a及び第2の場所56bに部品35が配置されているときには、ロボット第5姿勢に移行する。第1の場所56a〜第3の場所56cに部品35が配置されているときには、ロボット第6姿勢に移行する。
【0091】
ステップS26は、第1検出工程に相当し、回転角度検出器の出力と角速度センサーの出力とを検出する工程である。第1角速度センサー45の姿勢が第1センサー第1姿勢45aから第1センサー第2姿勢45cに移行する間で、第1角速度センサー45の出力を積分した第1出力積分を検出する。さらに、第2角速度センサー50の姿勢が第2センサー第1姿勢50aから第2センサー第2姿勢50cに移行する間で、第2角速度センサー50の出力を積分した第1出力積分を検出する。さらに、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の出力を積分する間の時間である第1経過時間を検出する。さらに、制御装置34は第1回転角度検出器42及び第2回転角度検出器48の出力を検出して記憶する。この工程は第1の実施形態におけるステップS2の第1検出工程と略同様の工程となっている。次にステップS28に移行する。
【0092】
ステップS27は、姿勢検出工程に相当し、第1腕部44及び第2腕部49の姿勢を検出する工程である。そして、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50における出力を積分する。次に、積分した値からオフセット補正係数と経過時間との乗算値を引き算した第2正味出力積分を演算する。そして、第2正味出力積分と感度係数とを乗算して第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の姿勢を検出する。また、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の出力からオフセット補正量を減算した後、感度係数を乗算することにより、各センサーの角速度を算出する。次に、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の姿勢の情報を用いて第1腕部44及び第2腕部49の姿勢を検出する。尚、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の出力は第1腕部44及び第2腕部49の捩れ等による振動の影響を受けた出力となっている。第1腕部44及び第2腕部49の移動中においても随時角度及び角速度を検出する。この工程は第1の実施形態におけるステップS7の第3検出工程と略同様の工程となっている。次にステップS28に移行する。
【0093】
ステップS28は、ワーク配置工程に相当し、部品35を容器56上に配置する工程である。制御装置34は昇降装置52を駆動して、手部53を下降させる。続いて、制御装置34は手部53を駆動して、指部53aの間隔を広くする。そして、制御装置34は部品35を手部53から離れさせて、部品35を容器56上に載置する。次に、制御装置34は昇降装置52を駆動して、手部53を上昇させる。容器56の4箇所総てに部品35が載置されたときには、ワーク収納装置33は容器56を入れ替える。次にステップS29に移行する。
【0094】
ステップS29は、第2変更工程に相当し、制御装置34がロボット32の姿勢をロボット第2姿勢62からロボット第3姿勢61へ変更させる工程である。制御装置34はロボット32を駆動して手部53を容器56と対向する場所からベルトコンベア37aと対向する場所に移動させる。このとき、第1角速度センサー45の姿勢は第1センサー第2姿勢45cから第1センサー第3姿勢45bに移行し、第2角速度センサー50の姿勢は第2センサー第2姿勢50cから第2センサー第3姿勢50bに移行する。次にステップS31に移行する。
【0095】
ステップS24のワーク把持工程、ステップS25の第1変更工程、ステップS28のワーク配置工程、ステップS29の第2変更工程を合わせてステップS41の作業工程とする。作業工程は部品35を移動する作業を行う工程となっている。
【0096】
ステップS30は、第2検出工程に相当し、回転角度検出器の出力と角速度センサーの出力とを検出する工程である。ステップS30はステップS25、ステップS28、ステップS29と並行して行われる。第1角速度センサー45の姿勢が第1センサー第1姿勢45aから第1センサー第2姿勢45cを経て第1センサー第3姿勢45bに移行する間で、第1角速度センサー45の出力を積分した第2出力積分を検出する。さらに、第2角速度センサー50の姿勢が第2センサー第1姿勢50aから第2センサー第2姿勢50cを経て第2センサー第3姿勢50bに移行する間で、第2角速度センサー50の出力を積分した第2出力積分を検出する。さらに、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の出力を積分する間の時間とを検出する。さらに、制御装置34は第1回転角度検出器42及び第2回転角度検出器48の出力を検出して記憶する。この工程は第1の実施形態におけるステップS4の第2検出工程と略同様の工程となっている。次にステップS31に移行する。
【0097】
ステップS31は、係数算出工程に相当し、オフセット補正係数と感度係数とを演算する工程である。オフセット補正係数と感度係数との演算方法は第1の実施形態におけるステップS5の係数算出工程と略同様の方法にて演算する。オフセット補正係数と感度係数とを用いてステップS27では第1腕部44及び第2腕部49の姿勢を検出する。次にステップS32に移行する。
【0098】
ステップS25の第1変更工程、ステップS26の第1検出工程、ステップS29の第2変更工程、ステップS30の第2検出工程を合わせてステップS42の第2較正工程とする。第2較正工程では制御装置34が、制御装置34がオフセット補正係数と感度係数とを演算する工程となっている。ステップS41の一部とステップS42の第2較正工程とは並行して行われる。
【0099】
ステップS32は、終了判断工程に相当し、作業を継続するか終了するかを判断する工程である。予定した個数の部品35を移動していないとき作業を継続する。次に、ステップS23に移行する。予定した個数の部品35を移動したとき終了する。以上の工程により部品の移動工程を終了する。
【0100】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS21の第1較正工程とステップS31の係数算出工程において、オフセット補正係数と感度係数とを演算している。そして、オフセット誤差のない角速度センサーの出力を用いて角速度センサーの感度係数を演算している。従って、精度良く第1角速度センサー45および第2角速度センサー50の姿勢を検出することができる為、精度良くロボット32の姿勢を制御することができる。
【0101】
(2)本実施形態によれば、ステップS42の第2較正工程とステップS41の作業工程の一部とが並行して行われる。従って、第2較正工程と作業工程とを別々に行う方法に比べて生産性良く第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の較正を行うことができる。
【0102】
(3)本実施形態によれば、ロボット32の姿勢はロボット第1姿勢60からロボット第2姿勢62を経てロボット第3姿勢61へ移動している。そして、ロボット32のロボット第1姿勢60とロボット第3姿勢61とが同じ姿勢に設定されている。ロボット32の姿勢が同じ姿勢のとき、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の位置と姿勢とは同じになる。従って、第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の姿勢を容易に同じ姿勢にすることができる。
【0103】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ステップS2の第1検出工程とステップS4の第2検出工程とを並行して行なった。これに限定されず、ステップS2とステップS4とは別に行なっても良い。工程設計の都合に合わせても良い。同様に、前記第2の実施形態において、ステップS26の第1検出工程とステップS30の第2検出工程とは別に行なっても良い。工程設計の都合に合わせても良い。
【0104】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、制御装置10の記憶部内に動作手順に沿ったプログラムソフトを記憶し、プログラムにより角度検出装置1の制御を行なったが、これに限らず、電気回路にて構成される制御装置にて制御しても良い。周辺機器が手順通りに制御されれば良い。この内容は、前記第2の実施形態にも適用できる。制御装置34は電気回路にて構成される制御装置にて制御しても良い。
【0105】
(変形例3)
前記第2の実施形態では、ロボット32がロボット第1姿勢60のとき、第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第1姿勢45aとし、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第1姿勢50aとした。第1センサー第1姿勢45a及び第2センサー第1姿勢50aはロボット32が他の姿勢のときでも良い。手部53が別の場所に位置するときに第1センサー第1姿勢45a及び第2センサー第1姿勢50aを設定しても良い。この場合にも、第1センサー第1姿勢45aを第1センサー第3姿勢45bと同じ姿勢に設定する。そして、第2センサー第1姿勢50aを第2センサー第3姿勢50bと同じ姿勢に設定することにより前記第1の実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0106】
(変形例4)
前記第2の実施形態では、ステップS26の第1検出工程はロボット32の姿勢がロボット第1姿勢60からロボット第2姿勢62に変更される間にて行なったが、ロボット第2姿勢62以外の姿勢に移行する場合で行なっても良い。ロボット32の姿勢がロボット第4姿勢、ロボット第5姿勢、ロボット第6姿勢の各姿勢に移行するときに行なっても良い。そして、較正する頻度を多くしても良い。較正する頻度が多い方が第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の測定精度を良くすることができる。
【0107】
(変形例5)
前記第2の実施形態では、ロボット32がベルトコンベア37aから容器56に部品35を移動させた。これに限らず、ロボット32が容器56からベルトコンベア37aに部品35を移動させるときに上述の較正方法を用いても良い。このとき、ロボット32の姿勢がロボット第2姿勢62のときに第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第1姿勢45a及び第1センサー第3姿勢45bにする。そして、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第1姿勢50a及び第2センサー第3姿勢50bにする。ロボット32の姿勢がロボット第1姿勢60のときに第1角速度センサー45の姿勢を第1センサー第2姿勢45cにする。そして、第2角速度センサー50の姿勢を第2センサー第2姿勢50cにする。そして、容器56が入れ替わるときにも、ロボット32がロボット第2姿勢62となるときにステップS42の第2較正工程を行うようにしても良い。この場合にも前記第2の実施形態と同様に第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50の較正を行うことができる。
【0108】
(変形例6)
前記第2の実施形態では、ロボット32は第1腕部44と第2腕部49との2つの腕部を備えたが、腕部の数は2つに限定されない。腕部の数は1つでも良く、3つ以上でも良い。この場合にも、同様の方法を用いて角速度センサーの較正を行うことができる。
【0109】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、ステップS1の第1変更工程とステップS3の第2変更工程において、腕部8が回転する間の回転角度検出器6の出力を制御装置10は入力して記憶部に記憶した。制御装置10は、腕部8が回転する間の総ての間において回転角度検出器6の出力を入力しなくとも良い。制御装置10は、第1姿勢11、第2姿勢12、第3姿勢13における回転角度検出器6の出力を入力して記憶部に記憶すれば良い。記憶部の記憶容量を減らすことができる。
【0110】
(変形例8)
前記第1の実施形態では、ステップS5の係数算出工程において、角速度センサー出力推移線15を積分して角速度出力積分推移線16を演算した後、正味出力積分推移線19を算出した。角速度センサー出力推移線15からオフセット出力15aを減算した後、積分の演算をすることにより正味出力積分推移線19を算出しても良い。同様に正味出力積分推移線19を算出することができる。この内容は前記第2の実施形態におけるステップS21の第1較正工程及びステップS31の係数算出工程においても適用することができる。
【0111】
(変形例9)
前記第2の実施形態では、ステップS41の作業工程を行う毎にステップS42の第2較正工程を行ったが、ステップS42は必ずしも毎回行わなくとも良い。適宜設定した頻度にて行っても良い。第2較正工程を省略することにより、演算する時間が減る為、作業速度をあげることができる。
【0112】
(変形例10)
ステップS25の第1変更工程及びステップS29の第2変更工程において第1腕部44及び第2腕部49の駆動制御を行うとき、第1回転角度検出器42と第2回転角度検出器48とに加えて第1角速度センサー45及び第2角速度センサー50を用いても良い。そして、駆動制御の演算にステップS31にて算出したオフセット補正係数と感度係数を用いても良い。第1腕部44及び第2腕部49の駆動制御を行うとき、第1回転角度検出器42と第2回転角度検出器48とを用いて駆動制御する場合より位置精度良く制御することができる。もしくは、制振性良く制御することができる。
【0113】
(変形例11)
前記第1の実施形態では、ステップS5の係数算出工程において、回転角度差14aを第1正味出力積分19aにて除算することにより感度係数を算出した。感度係数は他の方法にて算出しても良い。角度検出器出力推移線14を時間にて微分することにより、角度微分推移線を算出する。次に、角速度センサー出力推移線15からオフセット出力15aを減算することにより、正味角速度センサー出力推移線を算出する。続いて、角度微分推移線の各時刻の値を正味角速度センサー出力推移線の各時刻の値にて除算することにより各時刻の感度係数を算出する。このとき、角度微分推移線及び正味角速度センサー出力推移線の値が零でないときの値を用いるのが好ましい。感度係数の精度を向上することができる。次に、各時刻の感度係数の平均を算出して感度係数とする。つまり、回転角度検出器6の出力から算出した回転角速度と角速度センサー9の出力とを用いて感度係数を算出しても良い。この場合にも、同様に感度係数を算出することができる。この内容は前記第2の実施形態にも適用することができる。
【0114】
(変形例12)
前記第1の実施形態では、ステップS7の第3検出工程において、正味出力積分推移線26に感度係数を乗算してセンサー角度推移線27を算出した。センサー角度推移線27は他の方法にて算出しても良い。角速度センサー出力推移線23からオフセット出力23aを除算した後、除算結果に感度係数を乗算して角速度推移線を算出する。次に、この角速度推移線を積分することにより、センサー角度推移線27しても良い。この場合にも、同様にセンサー角度推移線27を算出することができる。この内容は前記第2の実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
6…回転角度検出器、8…センサー支持部としての腕部、9…角速度センサー、11…第1姿勢、12…第2姿勢、13…第3姿勢、16a…第1出力積分、16b…第2出力積分、17…第1経過時間、18…第2経過時間、19a…第1正味出力積分、24d…第2正味出力積分、32…ロボット、44…可動部としての第1腕部、45…第1角速度センサー、45a…第1センサー第1姿勢、45b…第1センサー第3姿勢、45c…第1センサー第2姿勢、49a…可動部としての孔部、50…第2角速度センサー、50a…第2センサー第1姿勢、50b…第2センサー第3姿勢、50c…第2センサー第2姿勢。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角速度センサーを用いた角速度または角度の検出方法であって、
前記角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へ変更する第1変更工程と、
前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第1出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更するのに要した時間である第1経過時間と、を検出する第1検出工程と、
前記角速度センサーの姿勢を前記第2姿勢から前記第1姿勢と同じ姿勢である第3姿勢へ変更する第2変更工程と、
前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第2出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更するのに要した時間である第2経過時間と、を検出する第2検出工程と、
前記角速度センサーの角速度が零のときの出力をオフセット補正係数とし、前記角速度センサーの角速度変化量と前記角速度センサーの出力の関係を示す係数を感度係数とするとき、
前記第2出力積分を前記第2経過時間にて除算して前記オフセット補正係数を演算し、前記第1出力積分から前記オフセット補正係数と前記第1経過時間との乗算値を引き算した第1正味出力積分を演算し、前記第1姿勢と前記第2姿勢との回転角度の差を前記第1正味出力積分にて除算して感度係数を演算する係数算出工程と、
前記角速度センサーが第3経過時間の間に姿勢を変更するとき、変更する間における前記角速度センサーの出力と前記オフセット補正係数と感度係数とを用いて前記角速度センサーの角速度または姿勢を検出する姿勢検出工程と、を有することを特徴とする角速度または角度の検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の角速度または角度の検出方法であって、
前記角速度センサーはセンサー支持部に配置され、
前記センサー支持部は、回転軸と前記センサー支持部の回転角度を検出する回転角度検出器とを有し、前記角速度センサーの姿勢は前記回転角度検出器を用いて検出することを特徴とする角速度または角度の検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の角速度または角度の検出方法であって、
前記角速度センサーは振動子型ジャイロスコープであることを特徴とする角速度または角度の検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の角速度または角度の検出方法であって、
前記回転角度検出器はロータリーエンコーダーを用いて回転角度を検出することを特徴とする角速度または角度の検出方法。
【請求項5】
角速度センサーを用いて可動部の姿勢を検出するロボットの制御方法であって、
前記角速度センサーを較正する較正工程と、前記可動部の姿勢を検出する姿勢検出工程と、を有し、
前記較正工程は、
前記角速度センサーの姿勢を第1姿勢から第2姿勢へ変更する第1変更工程と、
前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第1出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢へ変更するのに要した時間である第1経過時間と、を検出する第1検出工程と、
前記角速度センサーの姿勢を前記第2姿勢から前記第1姿勢と同じ姿勢である第3姿勢へ変更する第2変更工程と、
前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更する間の前記角速度センサーの出力を積分した第2出力積分と、前記第1姿勢から前記第2姿勢を経て前記第3姿勢へ変更するのに要した時間である第2経過時間と、を検出する第2検出工程と、
時間の経過にともなって変化する前記角速度センサーの前記出力の変化率をオフセット補正係数とし、前記角速度センサーの角速度変化量と前記角速度センサーの出力の関係を示す係数を感度係数とするとき、
前記第2出力積分を前記第2経過時間にて除算して前記オフセット補正係数を演算し、前記第1出力積分から前記オフセット補正係数と前記第1経過時間との乗算値を引き算した第1正味出力積分を演算し、前記第1姿勢と前記第2姿勢との回転角度の差を前記第1正味出力積分にて除算して感度係数を演算する係数算出工程と、を有し、
前記姿勢検出工程は、前記角速度センサーが第3経過時間の間に姿勢を変更するとき、変更する間における前記角速度センサーの出力と前記オフセット補正係数と感度係数とを用いて前記角速度センサーの角速度または姿勢を検出する姿勢検出工程を有し、検出した前記角速度センサーの角速度の情報を用いて前記可動部の角速度検出、または検出した前記角速度センサーの姿勢の情報を用いて前記可動部の姿勢検出をすることを特徴とするロボットの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットの制御方法であって、
前記ロボットが作業を行う作業工程を有し、
前記較正工程の少なくとも一部は前記作業工程と並行して行われることを特徴とするロボットの制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のロボットの制御方法であって、
前記第1姿勢と前記第3姿勢とにおいて前記角速度センサーは同じ場所に位置することを特徴とするロボットの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247303(P2010−247303A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101654(P2009−101654)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】