説明

配線基板及びその製造方法

【課題】電極間距離が一定で第1電極と第2電極との短絡を防止するとともに、寿命を確保し信頼性を向上させた配線基板、その製造方法及びそれを用いた電子機器を得ることを目的とする。
【解決手段】配線基板1は、第1基板102及び第1電極103を有する第1導電部形成基板104と、第2基板105及び第2電極106を有する第2導電部形成基板107と、第1導電部形成基板104及び第2導電部形成基板107の間に挟まれた誘電部2とを備えている。誘電部2は、熱圧着時に溶融しない誘電体膜3及びその時に溶融する接着絶縁部4を有している。誘電体膜3表面には濡れ性を向上させる処理がなされており、熱圧着時に溶融した接着絶縁部4は誘電体膜3と密着しやすくなっている。第1電極103と第2電極106との間に誘電体膜3を介在させてその間の距離を一定にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に、コンデンサ、インダクタ、あるいはその両方の機能を備えた配線基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の配線基板の構成を示す断面図である。図11において、従来の配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に複数形成された第1導電部である導電性の第1電極103とを有する第1導電部形成基板104を備えている。また、配線基板101は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された第2導電部である導電性の第2電極106とを有する第2導電部形成基板107を備えている。この第1導電部形成基板104及び第2導電部形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板101は、第1導電部形成基板104と第2導電部形成基板107との間に介在した誘電体の誘電部108を備えている。
【0003】
このように構成された配線基板101は、この配線基板101の内部で第1電極103と第2電極106とが誘電部108を介して対向して配置されて、平行板コンデンサとしての構成をとることができるので、その分だけ配線基板101上にコンデンサを配置する必要がなくなり、配線基板101を小型化できるというメリットがある。
【0004】
また、特開平2001−077539公報に、配線基板の誘電部に透磁率の高い粉末材料を混入させることにより配線基板の内部にインダクタを形成することが示されている。即ち、配線基板101は、誘電部108に透磁率の高い粉末材料を混入することにより、コンデンサだけでなく配線基板101の内部にインダクタも形成することができ、さらに配線基板101を小型化できる。
【0005】
次に、この配線基板101の製造方法について説明する。図12乃至図14は、配線基板101を製造する手順を示す模式図である。まず、第1基板102上に複数の第1電極103を形成して第1導電部形成基板104を形成する。次に、第1導電部形成基板104の第1電極103側に誘電性シート109を重ねてから、金属箔110をその上に重ねる(図12)。誘電性シート109は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、所定の温度で溶融しさらに温度が上昇すると硬化するものである。その後、徐々に温度を上昇させて誘電性シート109を溶融させながら、積層された第1導電部形成基板104、誘電性シート109及び金属箔110をステンレス板で挟みつけて積層方向に押圧するが、金属箔110と第1電極103との間に所定の間隔ができるように押圧力を調整する。この調整は誘電性シート109が硬化するまで続ける。このようにして、誘電性シート109は、第1導電部形成基板104及び金属箔110に密着した誘電部108として形成される(図13)。その後、金属箔110をエッチングし、第2電極106を形成する(図14)。最後に、例えばガラスエポキシ基材を加熱して溶融し誘電部108の第2電極105側に第2基板106を形成して、図11に示す配線基板101を製造する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにして配線基板101は製造されるが、このような製造方法では、誘電性シート109全体が溶融している状態で、第1導電部形成基板104と金属箔110とが互いに近づく向きに押圧されるので、第1導電部形成基板104及び金属箔110の外周部側では誘電性シート109が外に流出しやすく内部側に近づくにつれて逃げ場が少なくなり流出しにくくなる。従って、完成した配線基板101は、第1電極103及び第2電極106間における誘電部108の厚さがその配線基板101の外周部側で小さく内部側で大きくなる傾向にある。このことから、互いに対向する第1電極103及び第2電極106の面積が同一であっても、配線基板101の外周部側と内部側とで間に介在する誘電部108の厚さが異なるので、それらのコンデンサとしての容量値も異なる。特に、このコンデンサの容量を大きくするために第1電極103と第2電極106との間の距離(以下、電極間距離という)が小さくなっていると、それだけ電極間距離の差がコンデンサの容量に大きく影響するため、この配線基板101の外周部側と内部側とでコンデンサ容量が大きく異なって、配線基板101内の各箇所で容量値のばらつきが大きくなるという問題点があった。
また、例えば第1電極103と金属箔110との間に異物が介在していたり、直接第1電極103と金属箔110とが接触したりして、配線基板101において第1電極103と第2電極106とが短絡した状態となり、コンデンサとしての機能を果たさなくなる虞もあるという問題点もあった。
さらに、第1電極103と第2電極106との距離にばらつきがあったり第1電極103と第2電極106とが短絡したりすることにより、内部にインダクタが形成されている場合であっても、そのインダクタンスも同様に配線基板101の外周部側と内部側とで大きく異なるという問題点もあった。
【0007】
また、実際の使用において、配線基板は内部での剥離によって寿命が決定されることも多く、この剥離の発生を抑制して配線基板の寿命を確保する必要があるという問題点もあった。
【0008】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、内部の電極間距離が一定で第1電極と第2電極との短絡を防止するとともに、内部での剥離の発生を抑制して寿命を確保し信頼性を向上させた配線基板及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る配線基板は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在した誘電部とを備え、熱圧着により少なくとも前記誘電部が形成された配線基板であって、前記誘電部は、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有しており、前記接着絶縁部は、前記誘電体膜の前記第1導電部形成基板側及び前記第2導電部形成基板側のいずれにも設けられ、前記誘電体膜は、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在する複数の電極間部と、各前記電極間部の間を渡って撓んで設けられた可撓性の渡り部とを有し、前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されている。
【0010】
また、前記貫通孔は、レーザーにより形成されており、前記第1導電部は、前記誘電部側の面に前記レーザーの反射率を低下させる処理がなされている。
【0011】
また、前記誘電体膜の表面には、前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされている。
【0012】
また、前記誘電体膜は、少なくとも、誘電性の母材と、前記母材内に混入された前記母材よりも透磁率の高い粉末とからなる。
【0013】
また、この発明に係る配線基板の製造方法は、前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜に前記濡れ性を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、面状の導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上に前記導電体膜を複数の前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1導電部及び前記誘電体膜の間、前記第1導電部に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着誘電部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【0014】
第1基板、及び前記第1基板の平面上に間隔を置いて形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在するとともに、表面に前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされ、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備え、かつ前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されている配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜の一面に前記濡れ性を向上させる処理をし、他面に前記第2導電部との密着力を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、前記一面を前記接着用絶縁膜に向けて前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜の前記他面に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上に前記導電体膜を前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は前記第1導電部及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっている。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る配線基板は、第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在した誘電部とを備え、熱圧着により少なくとも前記誘電部が形成された配線基板であって、前記誘電部は、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有しており、前記接着絶縁部は、前記誘電体膜の前記第1導電部形成基板側及び前記第2導電部形成基板側のいずれにも設けられ、前記誘電体膜は、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在する複数の電極間部と、各前記電極間部の間を渡って撓んで設けられた可撓性の渡り部とを有し、前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されているので、前記第1導電部及び前記第2導電部の間の距離の場所による差が小さくなるとともに、前記配線基板上にインダクタを配置するスペースが不要になり、前記配線基板を小型化できる。
【0016】
また、前記貫通孔は、レーザーにより形成されており、前記第1導電部は、前記誘電部側の面に前記レーザーの反射率を低下させる処理がなされているので、前記レーザーによる前記貫通孔の形成時に、前記レーザーのエネルギを前記第1導電部が容易に吸収でき、その吸収による温度上昇により容易に前記貫通孔が形成できる。
【0017】
また、前記誘電体膜の表面には、前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされているので、前記誘電体膜と前記接着絶縁部との密着力が大きくなって前記誘電体膜と前記接着絶縁部との間で剥離しにくくなる。
【0018】
また、前記誘電体膜は、少なくとも、誘電性の母材と、前記母材内に混入された前記母材よりも透磁率の高い粉末とからなるので、前記内部インダクタが形成された場合に、そのインダクタンスを大きくすることができる。
【0019】
また、この発明に係る配線基板の製造方法は、前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜に前記濡れ性を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、面状の導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上に前記導電体膜を複数の前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1導電部及び前記誘電体膜の間、前記第1導電部に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着誘電部により前記誘電部が形成されるようになっているので、短時間でしかも容易に前記配線基板が製造される。また、前記レーザーによる前記貫通孔の形成が容易に、かつ、短時間ででき、前記配線基板の製造時間を短縮できる。
【0020】
第1基板、及び前記第1基板の平面上に間隔を置いて形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在するとともに、表面に前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされ、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部とを備え、かつ前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されている配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、前記誘電体膜の一面に前記濡れ性を向上させる処理をし、他面に前記第2導電部との密着力を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、前記一面を前記接着用絶縁膜に向けて前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、導電体膜を前記誘電体膜の前記他面に設ける導電体膜積層工程と、前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、前記誘電体膜上に前記導電体膜を前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は前記第1導電部及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっているので、短時間でしかも容易に前記配線基板が製造される。また、前記レーザーによる前記貫通孔の形成が容易に、かつ、短時間ででき、前記配線基板の製造時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下にこの発明の実施の形態について説明するが、従来例のものと同一又は同等部材、部位は、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。図1において、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第1基板102と、この第1基板102の平面上に形成された第1導電部である板状の第1電極103とを有する第1導電部形成基板104を備えている。また、配線基板1は、例えばガラスエポキシ基材である第2基板105と、この第2基板105に複数形成された第2導電部である板状の第2電極106とを有する第2導電部形成基板107を備えている。この第1導電部形成基板104及び第2導電部形成基板107は、第1電極103と第2電極106とを互いに対向させて配置されている。また、配線基板1は、第1導電部形成基板104と第2導電部形成基板107との間に介在した誘電性材料の誘電部2を備えている。誘電部2は、融点の異なる誘電体膜3と接着絶縁部4とを有している。
【0022】
第1導電部形成基板104において、第1電極103は、例えば厚さ18μmで、第1基板102の平面上にその厚さの分だけ突出して形成されている。また、第1電極103は、間隔を置いて複数形成されており、各第1電極103間に凹部5が形成されている。
【0023】
第2導電部形成基板107において、第2電極106は、例えば厚さ18μmで、第1導電部形成基板104側の面を露出させて第2基板105に埋め込まれている。
【0024】
誘電体膜3は、例えば、6μmの一定の厚さで形成された誘電率3の例えばポリフェニレンサルファイド膜であり、第1電極103及び第2電極106の間に介在する電極間部6と、各電極間部6の間を渡って設けられた渡り部7とから構成されている。この誘電体膜3は、可撓性であり、渡り部7が凹部5側に撓んで設けられている。また、誘電体膜3の接着絶縁部4に接触している表面には、例えばコロナ放電処理がなされている。
【0025】
接着絶縁部4は、誘電体膜3の第1導電部形成基板104側に設けられた第1接着絶縁部4aと、誘電体膜3の第2導電部形成基板107側に設けられた第2接着絶縁部4bとから構成されている。この接着絶縁部4の材質は、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂であり、誘電体膜3と第1導電部形成基板104とを接着し、及び誘電体膜3と第2導電部形成基板107とを接着している。第1接着絶縁部4aは、渡り部7と凹部5とで囲まれた空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第1導電部形成基板104に接着している。第2接着絶縁部4bは、撓んでいる渡り部7と第2基板105との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第2電極106と電極間部6との間に薄く介在して、誘電体膜3を第2導電部形成基板107に接着している。
【0026】
このような構成の配線基板1は、厚さが一定の電極間部6が第1電極103と第2電極106との間に介在し、しかも接着絶縁部4は、第1電極103と第2電極106との間に、電極間距離に影響を与えない程度に薄くしか介在していないので、電極間距離が電極間部6の厚さで決定され、従来例に比べて電極間距離が場所によって大きく異なることがなく、内部に構成されているコンデンサの容量のばらつきが抑制されている。
【0027】
また、異なる材質である誘電体膜3と接着絶縁部4とは、通常、互いに密着しにくいが、誘電体膜3の表面に例えばコロナ放電処理がなされていることから、密着力が向上して剥離が発生しにくくなっている。
【0028】
次に、このような配線基板1の製造方法について説明する。図2乃至図5は、配線基板1の製造工程でのそれぞれの状態を示す模式図である。これら図2乃至図5に示すように、まず、第1基板102の例えば縦横340mmの平面上に例えば厚さ18μmの第1電極103を例えば第1基板102の平面の周囲部30mmを除き10mmおきにマトリックス状に784個従来と同様に形成して、第1導電部形成基板104を形成する(第1導電部形成基板工程、図2)。次に、例えば約150℃で溶融粘度が10P、約180℃で硬化する熱硬化性エポキシ樹脂の接着用絶縁膜である第1接着用絶縁膜10を第1導電部形成基板104の第1電極103側に重ね(第1絶縁膜積層工程)、誘電体膜3をこの第1接着用絶縁膜10の上に重ねる(誘電体膜積層工程)。この誘電体膜3はこの誘電体膜積層工程までに、表面にコロナ放電処理をして溶融した接着用絶縁膜との濡れ性を向上させる処理を行っている。この濡れ性を向上させる処理は、オゾン処理あるいは酸素プラズマ処理であっても構わない(誘電体膜処理工程)。そして、さらにその上に第1接着用絶縁膜10と同様の材質の接着用絶縁膜である第2接着用絶縁膜11を重ねる(第2絶縁膜積層工程)。ここで、第1接着用絶縁膜10の厚さは、第1電極103の厚さよりも小さい例えば10μmとなっており、第2接着用絶縁膜11の厚さは、例えば5μmとなっている。また、誘電体膜3の厚さは、上述のように例えば6μmとなっている。
その後、この第2接着用絶縁膜11の上に例えば厚さ18μmの銅箔である導電性の導電体膜12を重ねて(導電体膜積層工程)、図3に示す状態とする。
【0029】
その後、これら第1導電部形成基板104、第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3、第2接着用絶縁膜11及び導電体膜12を第1導電部形成基板104側と導電体膜12側とから圧着板であるステンレス板で挟んで互いに近づく向きに押圧する。このとき、押圧するとともに、昇温速度6℃/minで、約180℃即ち熱硬化性エポキシ樹脂が硬化する温度まで加熱している(熱圧着工程)。ここで、誘電体膜3の材質は、この熱圧着工程における最高温度でも溶融しない可撓性の材質となっており、例えば接着用絶縁膜が硬化する約180℃でも溶融しないポリフェニレンサルファイドである。これに対して、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜の材質は、この熱圧着工程において溶融し硬化する熱硬化性エポキシ樹脂である。従って、熱圧着工程において昇温していくと、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11のみが溶融する。
【0030】
また、第1電極103は、第1基板102にその厚さの分だけ突出して形成されているので、ステンレス板の挟み付ける押圧力は第1電極103と導電体膜12との間に存在する第1接着用絶縁膜10、誘電体膜3及び第2接着用絶縁膜11に直接働く。このことから、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、昇温により溶融するとこの押圧力により第1電極103と導電体膜12との間から押し出される。このとき、第1接着用絶縁膜10は凹部5に流れ込み、第2接着用絶縁膜11は押し出される圧力により誘電体膜3が撓んで形成された空間に流れ込む。そして、約180℃まで昇温されて硬化し、第1接着用絶縁膜10は第1接着絶縁部4aとして形成され、第2接着用絶縁膜11は第2接着絶縁部4bとして形成される。この流れ込むスペースを確保するために、第1接着用絶縁膜10と第2接着用絶縁膜11との厚さの合計が第1電極103の厚さ、即ち凹部5の深さよりも小さくなるようにしている。即ち、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が第1電極103と導電体膜12との間からそれぞれ凹部5に流れ込み、誘電体膜3を撓ませて形成された空間に流れ込むことで増加する厚さの分だけ第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計が第1電極103の厚さより小さくなっている。従って、第1電極103の第1基板102の平面に占める面積率が大きいと第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11の厚さの合計は第1電極103の厚さに比べて大きく差をつける必要があり、逆に面積率が小さいとその差を小さくする必要がある。また、第2接着用絶縁膜11は、その厚さが大きいほど誘電体膜3を大きく撓ませることとなり、誘電体膜3に負担をかけて寿命等に影響を及ぼす可能性があるので、誘電体膜3を大きく撓ませない適切な厚さとする。導電体膜12この第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11は、第1電極103と導電体膜12との間からすべて押し出されるわけではなく、接着のために必要な極めて薄い層だけは残っている。
【0031】
誘電体膜3は、この熱圧着工程においては溶融しないので、第1電極103と導電体膜12との間には厚さを一定に保ったまま電極間部6として残り、溶融した第2接着用絶縁膜11の圧力で撓んで各電極間部6の間で渡り部7として形成され、図4に示す状態となる。
【0032】
その後、導電体膜12をエッチング等により第1電極103に対向する箇所に残して第2電極106として形成して(第2導電部形成工程)、図5に示す状態とする。最後に、誘電体膜3の第2電極106側に従来例と同様にして第2基板105を形成して、第2導電部形成基板107を形成し(第2導電部形成基板工程)、図1に示す配線基板1を製造する。
【0033】
従って、上記のような構成の配線基板1を容易に製造することができ、しかも例えば第1電極103と第2電極106との間に異物が混入しても第1電極103と第2電極106とが短絡する可能性も極端に小さくなる。
【0034】
なお、第1導電部形成基板工程及び導電体膜積層工程において、第1電極103及び導電体膜12は、当然のことながら、銅以外の金属、例えば亜鉛、ニッケル、金、銀、アルミニウムあるいはそれらの合金、又はポリチオフェンに代表される導電性高分子等、導電性があれば何でも構わない。また、第1電極103及び導電体膜12の形成方法も、気相法あるいは導電性のペーストを塗布して焼成する方法等、どのような方法でも構わない。
【0035】
また、誘電体膜3の材質は、ポリフェニレンサルファイドである必要はなく、熱圧着工程において溶融、分解しないものであればよいので、ポリフェニルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルオキサイド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリシラン、ポリエチルエーテルケトン、アセテート、ポリプロピレン等であっても構わない。
さらに、誘電体膜3は、熱圧着工程における温度でヤング率が低くなると押圧力により変形しやすくなって直接電極間距離のばらつきに影響することから、誘電体膜3は、熱圧着工程における温度でもこの押圧力で容易に厚さが変化しない程度のヤング率、例えば1GPa以上を確保できるものであることが望ましい。
【0036】
また、誘電体膜3は、上記のポリフェニレンサルファイド等の母材内にこの母材よりも誘電率の高い例えばチタン酸バリウム等の粉末が例えば母材に対して20%練り込まれて構成されていると、完成した配線基板1の誘電部2の誘電率がさらに高くなり内部コンデンサの容量を大きくできる。また、誘電体膜3にこのような粉末を混入する比率を変化させて、内部コンデンサの容量密度の大きさを調整することもできる。なお、練り込まれる粉末は、チタン酸バリウムに限定されず、ペロブスカイト構造の無機結晶等であっても構わない。
【0037】
また、第1基板102は、ガラスエポキシ基材に限定する必要はなく、ガラスビスマレイミドトリアジン、ガラスポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、紙フェノール、アルミナ等であっても構わない。
【0038】
また、第2導電部形成工程において、第1電極103と第2電極106とが互いに対向している部分でしか内部コンデンサとしての機能を果たさないことから、各第1電極103間の凹部5に対向する導電体膜12は、そのまま残しても除去してもどちらでも構わない。
【0039】
また、熱圧着工程において、第1接着用絶縁膜10及び第2接着用絶縁膜11が溶融して第1導電部形成基板104、誘電体膜3及び導電体膜12が圧着されればよいので、真空熱プレスあるいはラミネータ等のどのような方法を用いても構わない。
【0040】
また、各工程の順番は、配線基板1が形成できるのであれば、どのように入れ替えてもよく、例えば誘電体膜積層工程及び第2絶縁膜積層工程の後に第1絶縁膜積層工程を行ってもよい。
【0041】
この実施の形態における配線基板1の内部コンデンサは、1kHzにおける容量密度が平均値で理論値に近い4.3pF/mmで、この容量密度の標準偏差が0.2pF/mmであった。比較例として、従来例の方法で誘電性シート109を溶融して誘電部108が形成された配線基板101は、784個の第1電極103のうち21個が第2電極106と短絡してコンデンサとしての機能を果たさず、残りの内部コンデンサの1kHzにおける容量密度が平均値で4.0pF/mmで、この容量密度の標準偏差が2.3pF/mmであった。従って、配線基板1は、内部コンデンサを確実に形成し、その容量値も従来例よりも所望の値により近づけることができることが確認された。また、配線基板1は、内部コンデンサの容量密度のばらつきも従来例よりも小さいことが確認された。
【0042】
また、この実施の形態1での配線基板1をそれぞれ雰囲気温度30℃、相対湿度70%の環境下に500時間あるいは1000時間放置した。その後、はんだ付け状態を仮想して280℃のはんだ浴槽に10秒間浸し、絶縁膜が溶融して形成された接着絶縁部4が配線基板1に及ぼす影響を調べた。比較例として、構成は実施の形態1の配線基板1と同様であるが、誘電体膜3の表面処理がなされていない配線基板を用いた。
その結果、500時間の放置ではどちらの配線基板も剥離箇所は見つからなかったが、1000時間の放置では、実施の形態1の配線基板1、即ち誘電体膜3に表面処理を行った配線基板1はどの箇所にも剥離は発生しなかったが、比較例の放線基板は誘電体膜3と接着絶縁部4との間に剥離が発生していた。従って、誘電体膜処理工程において、コロナ放電処理、オゾン処理あるいは酸素プラズマ処理等の表面処理をすることにより、誘電体膜3と接着絶縁部4との密着力が向上することが確認され、完成した配線基板の信頼性が向上することが確認された。
【0043】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。図6において、配線基板21は、第1導電部形成基板104及び第2導電部形成基板107の間に介在した誘電部22を備えている。誘電部22は、第1導電部形成基板104及び第2導電部形成基板107の間に介在した誘電体膜23と、この誘電体膜23及び第1導電部形成基板104の間にのみ存在する接着絶縁部24とから構成されている。接着絶縁部24は、実施の形態1の接着絶縁部4と同一材質である。また、接着絶縁部24は、誘電体膜23と凹部5との間に形成された空間を満たすとともに、電極間距離に影響を与えない程度に第1電極103と誘電体膜23との間に薄く介在して、誘電体膜23を第1導電部形成基板104に接着している。即ち、配線基板21は、誘電部22が実施の形態1における配線基板1の第2接着絶縁部4bが存在しない構成となっているものである。また、誘電体膜23は、接着絶縁部24側の表面に例えばコロナ放電処理がなされ、第2電極106側の表面に例えば同様にコロナ放電処理がなされている。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0044】
このような構成の配線基板21は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、誘電体膜23の撓みが無くなるので、誘電体膜23の撓みによる負担が小さくなり寿命等が長くなる。
【0045】
また、誘電体膜23の表面に例えばコロナ放電処理がなされているので、誘電体膜23と接着絶縁部24との密着力、及び誘電体膜23と第2電極106との密着力が向上し、配線基板21の信頼性が向上する。
【0046】
次に、このような配線基板21の製造方法について説明する。まず、実施の形態1と同様にして、第1導電部形成基板工程及び第1絶縁膜積層工程を経て、第1導電部形成基板104に第1接着用絶縁膜10と同様の接着用絶縁膜を重ねた状態とする。この接着用絶縁膜の厚さは、後の熱圧着工程において凹部5に流れ込む分だけ第1電極103の厚さよりも小さくなっている。一方、あらかじめ誘電体膜3と同様の材質である例えば厚さ6μmの誘電体膜23の両表面に例えばコロナ放電処理をし(誘電体膜処理工程)、その一方の面に図3における導電体膜12と同様の厚さ18μmの導電体膜を蒸着により形成しておく。このとき、導電体膜の厚さの調整等のため蒸着後に電気メッキにより導電体膜を形成してもよい(導電体膜積層工程)。この導電体膜を積層した誘電体膜23を上記の第1導電部形成基板104に重ねられた接着用絶縁膜に他方の面を向けて重ねて(誘電体膜積層工程)、実施の形態1と同様の熱圧着工程において、接着用絶縁膜が第1電極103と導電体膜との間から押し出されて接着絶縁部24として形成され、この接着絶縁部24及び誘電体膜23により誘電部22が形成される。
その後、実施の形態1と同様に、第2導電部形成工程及び第2導電部形成基板工程を経て、配線基板21が製造される。
【0047】
なお、誘電体膜処理工程においては、誘電体膜23の両表面にコロナ放電処理を行っているが、実施の形態1と同様にオゾン処理あるいは酸素プラズマ処理であってもよく、また、一方の面と他方の面とが異なる表面処理であっても構わない。例えば、一方の面にコロナ放電処理を行い、他方の面にオゾン処理を行っても構わない。
【0048】
また、導電体膜積層工程において、導電体膜は、銅以外にも例えばニッケル、亜鉛あるいはクロムによる蒸着により形成されていてもよく、溶媒に溶かしたポリチオフェンに代表される導電性ポリマーあるいは導電性ペーストの印刷により形成されたものであってもよい。この導電体膜の材質は、第2導電部形成工程においてエッチングしやすい材質、例えば銅、ニッケルあるいは亜鉛等を主成分とする材質であることが望ましい。
【0049】
ここで、誘電体膜処理工程における表面処理によって、誘電体膜23が導電体膜及び接着絶縁部24との密着力が向上していることを確認するために、実施の形態1と同様にして配線基板21をそれぞれ雰囲気温度30℃、相対湿度70%の環境下に500時間あるいは1000時間放置し、はんだ付け状態を仮想して280℃のはんだ浴槽に10秒間浸すことにより配線基板21内の剥離状態を調べた。
その結果、この配線基板21は、500時間及び1000時間のどちらの放置でも、どの箇所にも剥離は発生しなかった。従って、誘電体膜処理工程において、コロナ放電処理、オゾン処理あるいは酸素プラズマ処理等の表面処理をすることにより、誘電体膜23と接着絶縁部24との密着力だけでなく、誘電体膜23と導電体膜との密着力も向上することが確認され、配線基板21の信頼性が向上していることが確認された。
【0050】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3に係る配線基板の構成を示す断面図、図8は、図7のVIII-VIII線に沿った矢視断面図、図9は、図7のIX-IX線に沿った矢視断面図である。なお、図7は、図8あるいは図9のVII-VII線に沿った矢視断面図となっている。図7乃至図9において、配線基板31は、互いに誘電部2を介して一部が対向する第1導電部である第1導電線32及び第2導電部である第2導電線33を備えている。第1導電線32及び第2導電線33の材質は、実施の形態1の第1電極103及び第2電極106の材質と同一である。この第1導電線32及び第2導電線33は、図8及び図9に示すように、それぞれの内側端部32a及び33aからそれぞれ外側端部32b及び33bに向かって互いに逆周りとなるように渦状に形成されている。また、誘電部2には、第1導電線32の内側端部32aから第2導電線33の内側端部33aに通じる貫通孔34が設けられており、この貫通孔34内、内側端部32a及び内側端部33aに例えば銅メッキされて電気接続部35が形成され、第1導電線32と第2導電線33との電気的接続がなされている。なお、図8及び図9において、第1導電線32及び第2導電線33が誘電部2を介して互いに対向する部分を編み目模様で示している。
他の構成は実施の形態1と同様である。
【0051】
このような構成の配線基板31は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、内部で第1導電線32及び第2導電線33が巻き方向が同一となるように電気接続部35により電気的に接続されているので、第1導電線32、第2導電線33及び電気接続部35によりスパイラルインダクタを内部に形成することができ、その分だけ配線基板31上のインダクタ配置スペースを削減することができる。また、第1導電線32と第2導電線33との間隔が誘電体膜3の厚さで決定されることから、配線基板31内のどの箇所でも内部インダクタのインダクタンスが大きく異なるようなことは抑制できる。
【0052】
次に、このような配線基板31の製造方法について説明する。この配線基板31の製造方法は、第2導電部形成基板工程の手前までほぼ実施の形態1と同様であるが、第1導電部形成基板工程において第1導電部を第1電極103ではなく第1導電線32として形成し、第2導電部形成工程においてエッチング等により第2導電部を第2電極106ではなく第2導電線33として形成しているところが実施の形態1と異なる。このようにして、実施の形態1とほぼ同様の製造工程を辿って第2導電部形成基板工程の手前の図10に示すような状態とする。その後、誘電部2の第2導電線33側から第1導電線32に向けて、即ち矢印40の向きに例えば炭酸ガスレーザーを照射し、誘電部2に貫通孔34を形成する。このとき、炭酸ガスレーザーは、第2導電線33の内側端部33aを接するとともに誘電部2を介して第1導電線32の内側端部32aに当たるような経路で照射される(貫通孔形成工程)。それから、貫通孔形成工程において形成された貫通孔34内、内側端部32a及び内側端部33aに化学銅メッキを行って電気接続部35を形成し、第1導電線32と第2導電線33との電気的接続を行う(電気的接続工程)。
その後、実施の形態1と同様の第2導電部形成基板工程を経て、配線基板31が完成する。
【0053】
この実施の形態における配線基板31の内部インダクタは、1kHzにおけるインダクタンスが平均値で6.3nHであり、このインダクタンスの標準偏差が0.17nHであった。比較例として、従来例の方法で誘電性シート109を溶融して誘電部108が形成されていることを除き、この実施の形態3と同様にして製造された配線基板を用いたところ、その内部インダクタは1kHzにおけるインダクタンスが平均値で2.1nHで、このインダクタンスの標準偏差が1.9nHであった。従って、配線基板31は、内部コンデンサと同様に内部インダクタも従来例に比べて確実に形成され、そのインダクタンスのばらつきも比較例に比べて小さいことが確認された。
【0054】
なお、貫通孔形成工程において、貫通孔34の形成は炭酸ガスレーザーに限定する必要はなく、貫通孔34が形成できればよいので、例えばエキシマレーザー、YAGレーザーあるいはドリル等によっても構わない。
【0055】
また、電気的接続工程において、電気接続部35の形成は貫通孔34内に化学銅メッキをすることに限定することはなく、例えば上記のような導電性ポリマー等を貫通孔34内に充填してもよいし、亜鉛、ニッケル等のメッキでも構わない。また、化学メッキ後、電気メッキを行ってメッキ層の厚さを増加させても構わない。
【0056】
また、誘電体膜3は、実施の形態1と同様なポリフェニレンサルファイド等の母材にこの母材よりも透磁率の高い例えばNi−Zn系フェライトの粉末が母材に対して例えば20%練り込まれて構成されていると、さらに誘電部2の透磁率が高くなり内部インダクタのインダクタンスが大きくなる。また、この粉末を誘電部2内で第1導電線32及び第2導電線33に近づけて配置することにより、さらに内部インダクタのインダクタンスを大きくすることができる。さらに、このような透磁率の高い材質の粉末を誘電体膜3に混入する比率あるいは配置位置を変化させて、内部インダクタのインダクタンスの大きさを調整することもできる。なお、練り込まれる粉末はNi−Zn系フェライトに限定されず、パーマロイ、Mn−Zn系フェライトあるいはカルボニル鉄等であっても構わない。
【0057】
ここで、貫通孔形成工程における貫通孔34形成のメカニズムを説明する。炭酸ガスレーザー等が誘電部2に照射されると、そのエネルギは一部が誘電部2に吸収されるがその大半が誘電部2を透過して第1導電線32の内側端部32aにまで到達する。内側端部32aは、この到達した炭酸ガスレーザーのエネルギを吸収することにより温度が上昇する。この温度上昇により内側端部32aに密着している誘電部2が溶融、気化して貫通孔34が形成される。従って、貫通孔34は、内側端部32aの温度上昇速度が大きければそれだけ速く形成される。このことから、内側端部32aが炭酸ガスレーザーのエネルギを効率良く吸収できれば、貫通孔34を速く形成することができる。
【0058】
そこで、第1導電部形成基板工程の後に第1導電線32の表面に炭酸ガスレーザー等のエネルギを効率良く吸収させるようにする処理、例えば無水酢酸等の有機酸に第1導電線32の表面を浸漬する有機酸処理を行う(第1導電部処理工程)ことにより、第1導電線32の表面の反射率が低下し、炭酸ガスレーザーのエネルギの吸収率を良くすることができる。なお、例えば水酸化ナトリウム水溶液あるいは水酸化カリウム水溶液に第1導電線32の表面を浸漬するアルカリ処理を行っても同様に第1導電線32の表面の反射率を低下させることができる。実際に有機酸処理及びアルカリ処理のどちらの処理によっても、第1導電線32の表面の炭酸ガスレーザーに対する反射率は、20%以下とすることができた。
【0059】
実際には、炭酸ガスレーザーのパルスを誘電部2に当てて貫通孔34を形成していることから、全く表面処理を行っていない第1導電線32を用いたものと、表面に有機酸処理あるいはアルカリ処理を行った第1導電線32を用いたものとで、貫通孔34が形成されるまでのパルスの回数を調べて貫通孔34の形成速度を比較した。その結果、全く表面処理が行われていない第1導電線32を用いたものでは、貫通孔34が形成されるまでのパルスの回数が7回であったのに対して、表面に有機酸処理あるいはアルカリ処理を行った第1導電線32を用いたものでは、1回で貫通孔34が形成された。
このことから、配線基板31の製造工程中に第1導電部処理工程が挿入されることにより、誘電部2に貫通孔34を容易に形成することができ、配線基板31の製造時間も短くなる。また、炭酸ガスレーザーを発生するレーザー加工機の負担も小さくなり、この加工機の寿命も長くなる。
【0060】
なお、当然のことながら、有機酸処理あるいはアルカリ処理は、エキシマレーザーあるいはYAGレーザー等に対する反射率も効率的に低下させることができる。また、第1導電線32の表面処理は、貫通孔34を形成するために照射されるレーザーに対する反射率を低下させる処理であればよいので、有機酸処理あるいはアルカリ処理に限ることなく、例えばカーボンフィラーを混ぜたインクを第1導電線32の表面に塗布する処理をしても構わない。
【0061】
なお、この実施の形態3においては、第2接着絶縁部4bを有している実施の形態1の配線基板1の製造方法を基本として内部インダクタを有した配線基板31が製造されているが、当然のことながら、第2接着絶縁部4bを有していない実施の形態2の配線基板21の製造方法を基本として内部インダクタを有した配線基板を製造しても構わない。
【0062】
また、同一層に内部コンデンサ及び内部インダクタを同時に形成された配線基板であっても構わない。この場合、誘電体膜3の母材に透磁率の高い粉末及び誘電率の高い粉末の両方を練り込んでいれば、内部コンデンサが形成された部分では、誘電率の高い粉末により容量密度が大きくなり、内部インダクタが形成された部分では、透磁率の高い粉末によりインダクタンス密度が大きくなる。
このように1つの配線基板内に内部コンデンサ及び内部インダクタが形成されることから、例えば内部インダクタを内部コンデンサに電気的に接続してLCフィルタ及びバイパスコンデンサとして機能する回路を形成することができる。従って、配線基板表面にチップコンデンサあるいはフィルタ素子を配置する必要がなくなり、従来例の配線基板101よりもさらに小型化した配線基板を得ることができる。その結果、携帯電話あるいはデジタルカメラ等の電子機器への適用も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の実施の形態1に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図2】第1導電部形成基板工程後の状態を示す模式図である。
【図3】第1絶縁膜積層工程、誘電体膜処理工程、誘電体膜積層工程、第2絶縁膜積層工程、及び導電体膜積層工程後の状態を示す模式図である。
【図4】熱圧着工程後の状態を示す模式図である。
【図5】第2導電部形成工程後の状態を示す模式図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【図8】図7のVIII-VIII線に沿った矢視断面図である。
【図9】図7のIX-IX線に沿った矢視断面図である。
【図10】貫通孔形成工程の前の状態を示す模式図である。
【図11】従来の配線基板の構成を示す断面図である。
【図12】第1導電部形成基板に誘電性シート及び金属箔を重ねた状態を示す模式図である。
【図13】図12の状態のものを熱圧着した後の状態を示す模式図である。
【図14】図13の状態の金属箔を第2電極として形成した後の状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
1,21,31 配線基板、2,22 誘電部、3,23 誘電体膜、4,24 接着絶縁部、4a 第1接着絶縁部、4b 第2接着絶縁部、10 第1接着用絶縁膜、11 第2接着用絶縁膜、12 導電体膜、32 第1導電線(第1導電部)、33 第2導電線(第2導電部)、34 貫通孔、35 電気接続部、102 第1基板、103 第1電極(第1導電部)、104 第1導電部形成基板、105 第2基板、106 第2電極(第2導電部)、107 第2導電部形成基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板、及び前記第1基板の平面上に形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、
第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、
前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在した誘電部と
を備え、
熱圧着により少なくとも前記誘電部が形成された配線基板であって、
前記誘電部は、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有しており、
前記接着絶縁部は、前記誘電体膜の前記第1導電部形成基板側及び前記第2導電部形成基板側のいずれにも設けられ、
前記誘電体膜は、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在する複数の電極間部と、各前記電極間部の間を渡って撓んで設けられた可撓性の渡り部とを有し、
前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記貫通孔は、レーザーにより形成されており、
前記第1導電部は、前記誘電部側の面に前記レーザーの反射率を低下させる処理がなされていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記誘電体膜の表面には、前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記誘電体膜は、少なくとも、誘電性の母材と、前記母材内に混入された前記母材よりも透磁率の高い粉末とからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の配線基板。
【請求項5】
請求項2に記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、
前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、
接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、
前記誘電体膜に前記濡れ性を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、
前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、
前記誘電体膜積層工程の後に、接着用絶縁膜を前記誘電体膜に重ねる第2絶縁膜積層工程と、
面状の導電体膜を前記第2絶縁膜積層工程において重ねられた前記接着用絶縁膜に設ける導電体膜積層工程と、
前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、
前記誘電体膜上に前記導電体膜を複数の前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、
前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、
前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、
前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は、それぞれ前記第1導電部及び前記誘電体膜の間、前記第1導電部に対向する前記導電体膜及び前記誘電体膜の間から前記誘電体膜が撓みつつ押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着誘電部により前記誘電部が形成されるようになっていることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項6】
第1基板、及び前記第1基板の平面上に間隔を置いて形成された渦状の第1導電部を有する第1導電部形成基板と、
第2基板、及び前記第2基板に形成された渦状の第2導電部を有し、前記第2導電部を前記第1導電部に対向させて配置された第2導電部形成基板と、
前記第1導電部形成基板及び前記第2導電部形成基板の間に介在するとともに、少なくとも熱圧着により形成され、前記熱圧着時に溶融する接着絶縁部と、前記第1導電部と前記第2導電部との間に介在するとともに、表面に前記溶融した前記接着絶縁部との濡れ性を向上させる処理がなされ、前記熱圧着時に厚さが保たれる誘電体膜とを有する誘電部と
を備え、かつ前記第1導電部と、前記第2導電部と、前記誘電部に形成された貫通孔に設けられ、巻き方向が同一となるように前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気接続部とから内部インダクタが構成されている配線基板を製造するための配線基板の製造方法であって、
前記第1導電部を前記第1基板上に設けて前記第1導電部形成基板を形成する第1導電部形成基板工程と、
前記第1導電部の表面に前記レーザーの反射率を低下させる処理をする第1導電部処理工程と、
接着用絶縁膜を前記第1導電部形成基板の前記第1導電部側に重ねる第1絶縁膜積層工程と、
前記誘電体膜の一面に前記濡れ性を向上させる処理をし、他面に前記第2導電部との密着力を向上させる処理をする誘電体膜処理工程と、
前記一面を前記接着用絶縁膜に向けて前記誘電体膜を前記接着用絶縁膜に重ねる誘電体膜積層工程と、
導電体膜を前記誘電体膜の前記他面に設ける導電体膜積層工程と、
前記熱圧着で前記接着用絶縁膜を溶融させるとともに互いに近づく向きに前記第1導電部及び前記導電体膜を押圧する熱圧着工程と、
前記誘電体膜上に前記導電体膜を前記第2導電部として形成する第2導電部形成工程と、
前記第2導電部形成基板工程の前に、前記レーザーを前記第1導電部の表面に向けて照射して前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔を通じて前記第1導電部及び前記第2導電部の間に前記電気接続部を形成して前記第1導電部及び前記第2導電部を電気的に接続する電気的接続工程と、
前記第2導電部を前記第2基板で覆って前記第2導電部形成基板を形成する第2導電部形成基板工程とを備え、
前記熱圧着工程では、前記接着用絶縁膜は前記第1導電部及び前記誘電体膜の間から押し出されて前記接着絶縁部として形成され、前記誘電体膜及び前記接着絶縁部により前記誘電部が形成されるようになっていることを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−80561(P2006−80561A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331686(P2005−331686)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【分割の表示】特願2002−141524(P2002−141524)の分割
【原出願日】平成14年5月16日(2002.5.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】