説明

電子カメラ

【課題】一般ユーザーが独自にピント補正を容易に行なえるAFキャリブレーション機能を有する電子カメラを提供する。
【解決手段】半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、前記補正量算出モード時において、被写体状態を識別する被写体状態識別手段と、前記被写体状態識別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告を行なう警告手段を有することを特徴とする電子カメラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子カメラに関し、撮影者が独自にピント補正を行なえるキャリブレーション機能を備えた電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のカメラは機能の自動化が進み、自動的にピント合わせを行うオートフォーカス(以降、AF)機能や、様々な撮影シーンにおいても最適な露出を提供する自動露出機能を備えたカメラが一般的となってきており、撮影者はピント合わせや露出の決定というカメラの主要で、かつ難しい操作から開放され、誰にでも簡単に高品位な写真を撮影することができるようになっている。
【0003】
また最近は、AF機能の向上と共に撮影者の合焦レベルに対する評価も向上したため、撮影者が納得できる合焦精度を必要とするようになった。
【0004】
そのため、撮像素子の合焦位置調整をより正確に、かつ簡略に行なえる電子的撮像装置を提供しなければならない。
【0005】
特許文献1においては、位相差AF+コントラストAFを持つカメラにおいて、撮影モードとは異なるテストモードを有しテストモードでは、互いに共役な位置に配されたAFセンサモジュール及びイメージセンサからそれぞれAFデータを得てこれらAFデータの相対ずれデータを記憶しておき、撮影モードにおいてはこのAFの相対ずれデータに基づいて撮影レンズを駆動する。
【0006】
すなわち、テストモードで、位相差AFとコントラストAFの相対ずれデータを測定・記録し、通常撮影モード時は、位相差AFに相対ずれデータを加味してAFする電子カメラは知られている。
【特許文献1】特開2000−292684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の提案においては、合焦調整を行なうための調整設備を整える必要がある。カメラの生産現場やカメラを専門的に取り扱っているような場所においては合焦調整を行なう設備はそれなりに整っているが、一般のカメラユーザーはそのような設備を備えることは不可能である。
【0008】
通常、合焦調整を行なうためには専用チャートを用いて調整を行なう。
【0009】
AF調整を行なうために専用の調整チャートとしては白黒のストライプ模様を一般的には用いることが多い。このチャートを用いれば、精度の良い合焦調整を行なうことが出来るからである。
【0010】
本発明においては、専用の設備を必要とせず、ユーザーが簡単にAFキャリブレーションを行なえることを目的とし、そのために、被写体情報を事前に加味し、精度の保証が出来る被写体条件の時のみAFキャリブレーション行なう。
【0011】
焦点検出用のセンサにも被写体の輝度、色、パターンなどにより得意、不得意とする条件が存在するからである。
【0012】
精度保証が出来ない調整状態時には警告、動作の禁止でユーザーに知らせ、精度の高い合焦調整が行なえる調整状態を導くことで誰にでも簡単に合焦調整が出来るAFキャリブレーション機能付きカメラを提供することを目的とする。
【0013】
(発明の目的)
本発明の目的は、被写体や撮影状態識別を精度良く行い、カメラのAFキャリブレーションを適正な状態にて合焦精度調整を誰にでも簡単に行なえることを目的とし、快適な操作性を与えることのできるAFキャリブレーション機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0014】
本発明の第1の目的では、被写体状態識別を精度良く行い、被写体状態に応じた最適なAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な撮影操作性を与えることのできるAFキャリブレショーン機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0015】
本発明の第2の目的は、撮影状態識別を精度良く行い、撮影状態に応じた最適なAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な撮影操作性を与えることのできるAFキャリブレショーン機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0016】
本発明の第3の目的では、被写体までの距離の識別を精度良く行い、被写体距離に応じた最適なAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な撮影操作性を与えることのできるAFキャリブレショーン機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0017】
本発明の第4以降では、被写体状態判別を行なうパラメータとして、被写体コントラスト、被写体の色、被写体パターン、被写体の動き、被写体までの距離を選択し、撮影状態判別を行なうパラメータとして、外界の温度、姿勢差、手ぶれを選択して精度良く自動判別し、良好なAFキャリブレーションが行なえるか否かを判定し、行なえない場合は警告もしくは禁止をして、それぞれの状態に応じた最適なAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な操作性を与えることのできるAFキャリブレーション機能付きカメラを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
被写体状態を判別する被写体状態判別手段と、
前記被写体状態判別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告及び動作禁止をおこなう手段を有する機能付きAFキャリブレーション機能付きカメラとするものである。
【0019】
また、上記第2の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
カメラの撮影状態を判別する撮影状態判別手段と、
前記撮影状態判別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告及び動作禁止をおこなう手段を有する機能付きAFキャリブレーション機能付きカメラとするものである。
【0020】
また、上記第3の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
被写体までの距離を判別する被写体距離判別手段と、
前記被写体距離判別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告及び動作禁止をおこなう手段を有する機能付きAFキャリブレーション機能付きカメラとするものである。
【0021】
また、上記第1の目的を達成するために、請求項5〜9に記載の発明は、被写体状態判別を行なうパラメータとして、被写体コントラスト、被写体の色、被写体パターン、被写体の動き、被写体までの距離を選択し、それぞれの状態に応じたAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な操作性を与えることのできるAFキャリブレーション機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0022】
また、上記第2の目的を達成するために、請求項10〜12に記載の発明は、撮影状態判別を行なうパラメータとして、外界の温度、姿勢差、手ぶれを選択して精度良く自動判別し、それぞれの状態に応じたAFキャリブレーション制御を行うとともに、快適な操作性を与えることのできるAFキャリブレーション機能付きカメラを提供しようとするものである。
【0023】
また、上記第1から第4の目的を達成するために、請求項13に記載の発明は、警告表示および禁止表示を外部表示手段に表示を行なう。
【0024】
請求項14に記載の発明は、警告表示および禁止表示をファインダ内部の表示手段に表示を行なう。
【0025】
請求項15に記載の発明は、警告および禁止を音声発生手段にて音声警告を行なう。
【0026】
請求項16に記載の発明は、警告及び禁止をバイブレータ手段により本体またはその一部を振動させて警告を行なうことを特徴とする。
【0027】
請求項17に記載の発明は、禁止手段によりAFキャリブレーションの動作を禁止して行なえないようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被写体状態と撮影状態、被写体までの距離を識別し、その結果を基づき精度良く、最適なAFキャリブレーションを行うとともに、快適な操作性を与えることができるAFキャリブレーション機能付きカメラを提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1は本発明の実施の第1の形態に係る一眼レフカメラの主要部分を示す構成図である。
【0031】
図1において、40は本体、1は撮影レンズ(簡略して2枚のみで図示)であり、その構成レンズの一部1aは焦点位置を調節するフォーカス用レンズであり、1bはぶれ補正用のシフトレンズであって、図面上の垂直な平面において移動することが可能となっており、それによってレンズの結像面内で結像位置が変化させることによって公知の手ぶれ補正を行えるようになっている。2は主ミラーであり、ファインダ系による被写体像の観察状態と被写体像の撮影状態に応じて撮影光路へ斜設され、あるいは待避される。3はサブミラーであり、前記主ミラー2を透過した光束をカメラボディの下方の後述する焦点検出装置6へ向けて反射する。kは撮影光軸である。
【0032】
4はシャッタ、5は撮影レンズ1の焦点面に位置するフィルムないし固体撮像素子である画像記録部材である。6は焦点検出装置であり、結像面近傍に配置された視野マスク61、フィールドレンズ62、反射ミラー63、66、二次結像レンズ65、絞り64、公知の位相差検出方式の焦点検出用ラインセンサ67等から構成されている。この焦点検出装置6は、最近では画面の中央だけでなく、その周辺においても焦点検出を行うための領域である複数の焦点検出点を設けたものが実現されている。本実施の形態においても、このような複数の焦点検出点を備えた焦点検出装置を想定しているが、これは既に公知な技術であり、その詳細な説明は省略する。
【0033】
7は撮影レンズ1の予定結像面に配置されたピント板、8は視野枠、9はペンタプリズムである。10と11はそれぞれファインダ観察面内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサであり、測光センサ11は画面内の複数の領域を測光できるように複数のフォトダイオードから構成されている。
【0034】
12はファインダ光路内に設けた半透過ミラーであり、ファインダ光の一部は図面上方に反射され、結像レンズ13によって公知の被写体認識用エリアセンサ14にピント板7に結像している被写体像を再結像する。一方、透過したファインダ光は接眼レンズ15に導かれ、撮影者が被写体像を拡大しできるようになっている。
【0035】
16はファインダ視野外に撮影情報を表示するためのファインダ内LCDで、照明用LED17(F−LED)によって照明され、LCD16を透過した光が三角プリズム18によってファインダ内に導かれ、ファインダ視野外に表示され、撮影者は撮影情報を知ることが出来る。
【0036】
19は、撮影者の手ぶれを検出するために光軸に対してピッチ方向とヨー方向の角速度を検出するように配置された振動ジャイロなどのメカニカルな検出手段であるぶれ検出センサである。なお、このぶれ検出センサ19は、他にも加速度を検出する加速度検出センサを用いても良い。
【0037】
20は姿勢差検出センサで水銀スイッチを用いたものなどが良く使われる。21は温湿度検出センサで、温度検出センサはサーミスタが、湿度検出にはセラミック湿度サンサが良く用いられる。
【0038】
22は撮影レンズ1内に設けた絞り、23は絞り駆動装置、24はフォーカスレンズ駆動用モータ、25は駆動ギヤ等から成るフォーカスレンズ駆動装置である。26はフォトカプラとフォーカスレンズ駆動装置25に取り付けたパルス板から成るエンコーダーであり、前記フォーカスレンズ駆動装置25の駆動量を検知してレンズ制御回路104に伝えており、レンズ制御回路104はこの情報とカメラからフォーカスレンズ駆動量の情報に基づいてレンズ駆動用モータ24を所定量駆動させフォーカスレンズ1aを合焦位置に移動させるようになっている。
【0039】
27は、撮影レンズ1の絶対位置を検出し、カメラから被写体までの距離を得るために設けた被写体距離検出手段であり、例えば至近位置から無限遠までを4bit程度のコードパターンから成り、不図示のブラシ接点を用いて合焦位置での被写体距離が検出できるようになっている。28は撮影レンズ1の焦点距離を検出する焦点距離検出手段であり、不図示のブラシ接点を用いてズーミングするレンズに応じた焦点距離情報が検出できるようになっている。29はブレ補正用レンズを図面上の垂直な平面において移動させることを可能とするシフトレンズ駆動装置であり、これを駆動することによってブレ補正を行わせる。30は、前記シフトレンズ1bをシフトしないようにメカニカルに固定したり、所定範囲内でシフト可能な状態いわゆるフリー状態にするシフトレンズロック・アンロック駆動手段である。31は公知のカメラとレンズとの電気的インターフェイスとなるマウント接点である。
【0040】
32は外部表示を行なうための、背面表示モニターである。
【0041】
図2はカメラ本体の背面図である。
【0042】
41は電源スイッチ、32はモニター表示部、42はファインダ接眼部、43はサブ電子ダイヤル、44はCFカードなどの記録部材を挿入するためのCFカードスロットカバーを開放する開閉つまみ、45は前記開閉つまみにて開閉をするCFカードスロットカバー、46は電池である。
【0043】
図3はカメラの上面図である。42はファインダの接眼部、47は撮影モード選択スイッチ、48はAFモード選択スイッチ、49は測光モード選択スイッチ、50は上面表示パネル、51は撮影モード、シャッタースピード、露出値など切替えるメイン電子ダイヤル、52はレリーズスイッチである。
【0044】
図4は、上記構成の一眼レフカメラに内蔵された電気回路の構成を示すブロック図であり、図1と同一のものは同じ番号を付してある。
【0045】
カメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータのカメラ制御用中央処理装置(以下、CPUと記す)101は、その内部において、被写体状態識別回路101a、被写体状態記憶部101b、カメラの撮影状態識別回路101c、撮影状態記憶部101d、被写体距離識別回路101e、被写体距離記憶部fとブレ補正時のブレ補正パラメータなどのカメラの制御パラメータを記憶するEEPROM(図示省略)を備えている。そして、このCPU101には、カメラの諸機能を制御するために以下の各種回路が接続されている。
【0046】
測光回路102は、測光センサ11からの信号を増幅後、対数圧縮、A/D変換し、画面内の複数の領域に対応する各センサの輝度情報としてCPU101に送信する。焦点検出回路103は、画面内の複数の位置で位相差方式の焦点検出が行えるように複数組から成るラインセンサ67からの出力をAD変換し、CPU101に送信する。撮影レンズ1に配置されたレンズ制御回路104は、マウント接点31を介してCPU101からの制御情報をもとに、フォーカスレンズ駆動装置25の制御や絞り駆動装置23の制御やシフトレンズ駆動装置28の制御、さらにはシフトレンズロック・アンロック駆動手段30の制御を行なう。
【0047】
スイッチSW−1は、図示しないレリーズ釦の第一ストロークでONし、測光、AF(オートフォーカス)及び手ぶれ補正システムを開始させるためのものである。スイッチSW−2は、レリーズ釦の第二ストロークでONし、レリーズ動作を開始させるものである。これらのスイッチ及び図示はしていないがカメラの各所に配置された各種スイッチの状態信号が、SW信号入力回路105に入力され、データバスによってCPU101に送信される。
【0048】
LCD駆動回路106は、ファインダ内表示LCD17や外部表示の背面モニター表示部32、上面表示パネル211を表示駆動させるための公知の構成よりなるもので、CPU101からの信号に従い、絞り値、シャッタ秒時、設定した撮影モード等の表示をおこなう。シャッタ制御回路107は、通電により先幕を走行させるシャッタマグネットMg−1 51と後幕を走行させるシャッタマグネットMg−2 52を制御し、感光部材に所定光量を露光させる。モータ制御回路108は、フィルムの巻き上げ、巻き戻しを行うモータM1 53と主ミラー2及びシャッタ4のチャージを行なうモータM2 54を制御すためのものである。これらシャッタ制御回路107とモータ制御回路108により、一連のカメラのレリーズシーケンスが行われる。
【0049】
発音体117は警告情報が発せられた時に警告音にて撮影者へ異常があることを知らせる。
【0050】
118は本体全体もしくは本体の一部分を振動させて撮影者へ警告をするバイブレータである。
【0051】
ここで、説明をわかりやすくするためにCPU101の内部で構成されるカメラの識別回路へ接続されている回路を中心に説明する。
【0052】
まず、ブレ検出センサ19はカメラのピッチ方向ヨー方向の振動を出力し、ブレ検出回路111はこの出力をハイパスフィルタを通して、バイアス成分や長周期のドリフト成分を除去して手ブレによる角速度を取り出した後、CPU101へ『Bure』データとして撮影状態識別回路にカメラのブレ情報を送信する。
【0053】
次に、姿勢差検出センサ20にてカメラの姿勢状態を検出する。本AFキャリブレーションを行なう上でカメラ本体の姿勢状態は重要で略正位置でAFキャリブレーションを行なうことが望ましい。姿勢差検出回路110にてカメラの姿勢位置を判断しCPU101へ『Posture』データとして撮影状態識別回路にカメラの姿勢情報を送信する。
【0054】
次に、温湿度検出センサ21について説明をする。温湿度検出センサは温度検出部21−aと湿度検出部21−bとから構成され外界の温湿度を測定する。この際に用いる温度センサ21−aはサーミスタや糸状の形状記憶合金の形状変化を検知するリーフスイッチを使用した温度検出センサなどを用いる。検知した温度データを温湿度検出回路109で取り込んで『Temp』データとしてCPU101へ撮影状態識別回路に外界温度情報として送信する。
【0055】
湿度においても、湿度検出センサ21−bによって外界湿度の検知が行われる。湿度センサ21−aは、セラミック湿度センサ、高分子型湿度センサ、熱式湿度センサ等からなり、検知した湿度データは温湿度検出回路109で取り込んで『Humidi』データとしてCPU101へ撮影状態識別回路に外界湿度情報として送信する。
【0056】
すると、撮影状態識別回路では、他の情報と合わせて後述するアルゴリズムによって、カメラの状態の識別を行う。そしてCPU101は、この結果に基づいてAFキャリブレーションの補正動作を変更するなど、合焦位置補正制御を変更する。
【0057】
次に、撮影レンズ1内に設けた被写体距離検出手段27、焦点距離検出手段28の信号からレンズ位置検出回路112によって被写体距離情報と撮影レンズの焦点距離情報がCPU101内の被写体距離識別回路101eに入力されるようになっている。
【0058】
被写体認識用エリアセンサ14は主に被写体の情報を検出するために必要な画素数(約数10万画素)を備えたカラーエリアセンサであり、公知のCCDやC−MOSセンサから成り、センサ制御回路113にて、公知の駆動方法で制御されている。このセンサ制御回路113に出力された被写体画像は画像処理回路114に送られてA/D変換され、CPU101内の被写体状態識別回路101aは必要に応じてメモリ部の被写体状態記憶部101bに記憶させるとともに、所定のアルゴリズムにしたがって被写体識別回路115に画像データを供給する。
【0059】
前記被写体識別回路115には撮影画面に相当する画像データが、前記被写体像動きベクトル検出回路116には所定の時間差を持った画像データが、画像処理回路114より出力される。すると、被写体識別回路115は、例えば被写体に顔があれば人物でポートレート撮影、画像全体が白黒でストライプ模様ならばAFキャリブレーション用の白黒チャートと被写体を認識する。
【0060】
つまり主被写体領域と推定できる領域を画面内に設定し、被写体識別情報として被写体状態識別回路101aに出力する。また、被写体像動きベクトル検出回路116は、画面内の動きベクトルを検出すべく複数の領域毎に現在のフィールドの画像データと被写体状態記憶部101bに記憶された1フィールド前の画像データとを比較して、フィールド間の動きの方向と量を求める。これは、時間差のある画像データから2次元の相関演算を行い、相関値が最大となる画素単位のシフト量から動きベクトルを検出するものである。これにより画面内の複数の領域での動きベクトルが求められ、被写体状態識別回路aに出力される。
【0061】
以上のように、温湿度検出回路109、姿勢差検出回路110、ぶれ検出回路111、レンズ位置検出回路112、被写体認識回路115、動きベクトル検出回路116がCPU101に接続され、CPU101内のそれぞれの状態識別回路に対し、撮影者のカメラぶれ情報、被写体識別情報(被写体像の動きベクトル情報、被写体領域情報)、カメラの撮影状態(環境)である温湿度情報、姿勢差情報、更にはレンズの焦点距離情報がそれぞれ入力されるようになっている。
【0062】
図5は、請求項1における実施形態のカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【0063】
まず、ステップ#101において、電源スイッチ41がONモードに設定されると、カメラに電源が供給され、撮影準備状態となる。そして、次のステップ#102において、モード切換えスイッチ47にて通常撮影を行なう通常撮影モードか、AFキャリブレーションを行なう補正量算出モードかを選択する。通常撮影モードを選択されている時は#118へ、補正量算出モードが選択されている時は#103へそれぞれ進む。#103では、レリーズ釦52の第一ストロークでONするスイッチSW−1がONしているかを検出し、ONしていればステップ#104へ進み、OFFであればステップ#103の検出を繰り返す。
【0064】
ステップ#104へ進むと、焦点検出用ラインセンサ67の出力を取り込み、選択された焦点検出点のディフォーカス量を算出する。続くステップ#105においては、CPU101はレンズ制御回路104に信号を送ってフォーカスレンズを前記ディフォーカス量に応じて所定量だけ駆動させ、レンズの焦点調節を行う。次にステップ#106へ進み、CPU101は測光回路102に測光を行わせる。測光回路102は全測光領域の輝度を検出するとともに合焦した焦点検出点を含む測光領域を中心として重み付けを行う測光演算を行い、CPU101に入力する。
【0065】
次のステップ#107においては、被写体状態を識別すべき被写体情報の読み込みを行なう。
【0066】
被写体認識用エリアセンサ14で被写体の情報を検出し検出された情報を、センサ制御回路113にて制御する。このセンサ制御回路113に出力された被写体画像は画像処理回路114に送られてA/D変換され、CPU101内の被写体状態識別回路は必要に応じて被写体状態記憶部に記憶させるとともに、所定のアルゴリズムにしたがって被写体識別回路115に画像データを供給する。
【0067】
また、同時に取り込んだフレームの被写体画像と次のフレームの被写体画像から被写体動きベクトル検出回路116に被写体像の動きベクトルを検出させ、被写体状態識別回路に取り込む。
【0068】
次いでステップ#108では、被写体識別回路が被写体状態がどのような状態であるかを識別するための処理を行なう。識別を行なうパラメータとして被写体コントラスト、被写体の色、被写体パターン、被写体の動き、被写体までの距離などがある。
【0069】
次に被写体識別を行うためのパラメータについて説明をする。
【0070】
被写体のコントラスト検出方法としては、撮影領域に蓄積された画素を、数画素単位にまとめたブロックを形成させ、そのブロック単位で読み出しを行う。各ブロックの輝度が低輝度、中輝度、高輝度かを所定の閾値と比較した上で、低輝度と高輝度の領域が隣接するブロック領域が撮影領域の50%以上占めていることを識別する。たとえば、AFキャリブレーションを行うための調整チャートは白黒ストライプを用いるので上記識別条件で白黒チャートの識別が可能である。
【0071】
被写体の色検出方法としては、エリアセンサ13の各画素のR、G、Bの値から明度、色相、彩度、色度、色差といった色の特徴量を求める。ここで求める特徴量は白色領域と黒色領域を判定すべき色空間での特徴量を求める事になる。読み込まれた画素が予め定められた白色と黒色の範囲を所定値以上入っていれば対象画素が白色と黒色を多く含んだAFキャリブレーションを行なう白黒ストライプ調整チャートであると識別をする。ここで色抽出を行なう際に測光センサ11がフリッカーを検知し、蛍光燈と判断しても適正な検出が行なえるように光源による補正を行っているので、如何なる光源かでも同一の色抽出を行なうことが可能である。
【0072】
被写体パターンの検出方法としては、エリアセンサ13の出力のコントラスト分布に基づいて被写体パターンが現れる。
【0073】
この被写体パターンは光の強度により分布が異なる。これに基づきAFキャリブレーションで用いる調整用チャートの分布状態を予め認識させておき、調整用チャートに略同等と認識できるか、否かで被写体パターン検出を行なう。
【0074】
つまり、白黒ストライプ調整チャートならばストライプ状の被写体パターンとなる。また、調整に用いられると思われる数種類のチャートパターンを記憶させて識別基準とすることも可能である。
【0075】
被写体の動き検出方法としては、被写体の動作を確認するため画面に占める割合はそれほど大きくはないが被写体がかなり移動するので、ここでは画面内の中心約70%の領域を初期の認識対象領域として限定するようにパラメータを設定する。動き検出を行なうべくエリアセンサ13に蓄積動作を行わせ、動き検出を行う領域の被写体画像の読み込み行なう。読み込まれたエリアセンサ13の各画素のR,G,Bの値から輝度信号成分としてG成分のみを用いて画像に対してエッジ検出処理を施す。
【0076】
そして、この値が所定の閾値よりも大きければ対象画素をエッジ画素として2値化する。
【0077】
検出されたエッジ画像を図示しない所定のメモリに記憶させる。
【0078】
次フレームの画像読み出しを行なう。上記と同じように輝度信号成分としてのG成分のみを用いて画像に対してエッジ検出処理を施す。
【0079】
前フレームのエッジ画像をメモリから読み出して今回のフレームの画像との相関を演算し、その相関値に基づいて画像の動きを検出する。
算出式としては前フレームの画像fi−1(x,y)、
現フレームの画像fi(x,y)とするとずらし量ξ、ηにおいて
min ΣΣ[fi−1(x−ξ、y−η)−fi(fx、y)]2…(1)
又は
min ΣΣ|fi−1(x−ξ、y−η)−fi(fx、y)|…(1)’
となり、これを求める事となる。
【0080】
具体的には、連続する2フレームの画像を比較するわけであるが、この比較はメモリに記憶させた画像データの読み出し位置を一画素づつずらしながら行なう。
【0081】
両者の各画素の差の和を求め、その値を1画素ずらす毎に異なる領域に記憶していく。
【0082】
各画素の差の和はbit比較を行い、異なるbitの数を数える事で行う。
【0083】
次ライン以降も同様の比較を行い、その際の各画素の差の和を1ライン目の値が記憶されている領域に加算していき、これが相関値となる。
【0084】
この相関値が最も小さくなったところを求めて、その領域における前回からの動きベクトル(動き量)とする。すなわち、相関値が最小になった際の垂直水平方向にずらした画素数が垂直水平方向の動き量となる。なおこのような手段ではなく、水平方向と垂直方向に射影像を作り
その相関値(重心位置の移動量)から動きベクトルを求めても良い。
【0085】
以上の被写体識別パラメータより1つもしくは複数の条件を選択して高精度のAFキャリブレーション設定を構築することが可能である。
【0086】
次のステップ#109へ進み、CPU101はこの結果を被写体識別回路115より識別情報処理部(図示省略)に取り込み被写体識別結果に応じた処理を行なう。
【0087】
#110では被写体情報結果を基にAFキャリブレーションの補正が可能か否かを判定する。補正可能ならば#111へ補正が行なえないならば#117へ進む。
【0088】
#111では被写体識別結果より補正量を算出し設定する。
【0089】
#112で算出された補正量データをCPU101の補正量記憶回路に記憶しておく。
【0090】
#113では先に決定された補正量に応じてシフトレンズを駆動させて、被写体を合焦させる。
【0091】
次にステップ#114においては、レリーズ釦の第二ストロークでONするスイッチSW−2がONしているかを検出し、OFFしていればステップ#106に戻り、前述の動作を繰り返す。一方、ONしていればステップ#115へ進み、カメラのレリーズシーケンスを実行する。
【0092】
具体的には、まず、モータ制御回路108がモータM2 54に通電して、主ミラー2をアップさせ、レンズ制御回路104が絞り駆動装置23を駆動して所定の開口まで絞り込む。次に、シャッタ制御回路107にて所定のシャッタ秒時でシャッタを走行させ、画像記録部材への画像を取り込み終了させる。その後、モータM2 54に再度通電し、ミラーダウン、シャッタチャージを行なうとともにモータM1 53にも通電する。
【0093】
#115では取り込んだ画像の確認を行なう。AFキャリブレーションにより新しい合焦状態になった被写体画像が実際に自分が望んでいた合焦状態で撮影されたかを確認して問題がなければ#116へ、再度AFキャリブレーションを行なって再調整を行ないたいならば#106へ戻り、一連の動作を繰り返し行なう。
【0094】
#116では確認を終えた画像をメモリに記憶しておく。AFキャリブレーション情報を知りたい時には、この画像を読み出すことで詳細な情報を知ることが出来る。
【0095】
#102で通常撮影モード選択した場合は#118で焦点検出用ラインセンサ67の出力を取り込み、選択された焦点検出点のディフォーカス量を算出する。続くステップ#119においては、CPU101はレンズ制御回路104に信号を送ってフォーカスレンズを前記ディフォーカス量に応じて所定量だけ駆動させ、レンズの焦点調節を行なう。次にステップ#120へ進み、CPU101は測光回路102に測光を行わせる。測光回路102は全測光領域の輝度を検出するとともに合焦した焦点検出点を含む測光領域を中心として重み付けを行なう測光演算を行い、CPU101に入力する。以降、#114へ進み前述した一連の動作を#116まで繰り返す。
【0096】
前記#110にて補正範囲外と判定され#117へ進むと、撮影者へ警告を行う。
【0097】
以下、警告手段について詳細を述べる。
【0098】
図14は第一の警告手段を表したファインダ内表示である。
【0099】
8は視野枠、321は測距点表示、322は合焦マーク、323はAV表示、324はシャッタースピード表示、325は撮影枚数、326はAFキャリブレーションモード状態を示すAFキャリブレーション表示である。AFキャリブレーションを正常に行っている時はAFキャリブレーション表示326の『CAL』マークが点灯した状態で補正可能を表し、点滅時は補正範囲外で補正不可を表す構成になっている。
【0100】
また、点灯、点滅以外の表示形態として『NG』表示はAFキャリブレーション補正範囲外、『OK』はAFキャリブレーション補正範囲内、また、『×』、『○』マークなどの表示形態でもなんら問題はない。
【0101】
次に第二の警告手段について説明をする。
【0102】
図13は図3カメラ上面に有る上面表示パネル50の液晶表示部を詳細に表したものである。
【0103】
図13において、301は標準撮影モード表示部、302は絞り値、303はシャッタ速度、304はAFモード表示、305はドライブモード表示部、306は露出段数目盛表示、307は電池残量表示、308は測光モード表示、309はAFキャリブレーション表示である。
【0104】
本実施例では、『CAL』が点灯時は補正可能を表し、点滅は補正範囲外で補正不可を表す。
【0105】
また、点灯、点滅以外の表示方法として『NG』表示はAFキャリブレーション補正範囲外、『OK』はAFキャリブレーション補正範囲内、また、『×』、『○』マークなどの表示形態でもなんら問題はない。
【0106】
次に第三の警告手段について説明をする。
【0107】
図12はカメラ本体の背面にあるモニター表示部32を詳細に表したものである。
【0108】
図12において、310は撮影画像の表示を行う撮影画像再生表示モニター、311は撮影シャッタ速度表示、312は撮影絞り表示、313は露出補正量、314はAFキャリブレーション表示、315は撮影時に選択された撮影モード、316は撮影時に選択されたISO感度表示、317は撮影時に表示されたホワイトバランスモード、318は撮影日時、319は撮影画像のファイル番号、320はヒストグラム表示である。
【0109】
本実施例では、『CAL』が点灯時は補正可能を表し、点滅は補正範囲外で補正不可を表す。
【0110】
また、点灯、点滅以外の表示方法として『NG』表示はAFキャリブレーション補正範囲外、『OK』はAFキャリブレーション補正範囲内、また、『×』、『○』マークなどの表示形態でもなんら問題はない。
【0111】
次に第四の警告手段について説明をする。
【0112】
第四の警告手段として目で目視による確認とは異なる表示以外の警告手段としては図2の発音体117による警告音により撮影者へ警告を行う警告手段である。
【0113】
AFキャリブレーションの補正が行えないと判定されたときに、発音体による警告音で警告を行なう。
【0114】
第五の警告手段としては本体グリップ部をバイブレータにより振動させて、警告する手段である。
【0115】
以上の警告手段の1つもしくは複数の警告手段を取り入れることでAFキャリブレーション補正を円滑に行うことが可能である。
【0116】
次に請求項2における撮影状態識別手段によるAFキャリブレーションの実施形態について説明をする。
【0117】
図6は、請求項2における撮影状態識別手段によるAFキャリブレーションのカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【0118】
#601では、レリーズ釦52の第一ストロークでONするスイッチSW−1がONしているかを検出し、ONしていればステップ#602へ進み、OFFであればステップ#601の検出を繰り返す。
【0119】
ステップ#602へ進むと、焦点検出用ラインセンサ67の出力を取り込み、選択された焦点検出点のディフォーカス量を算出する。続くステップ#603においては、CPU101はレンズ制御回路104に信号を送ってフォーカスレンズを前記ディフォーカス量に応じて所定量だけ駆動させ、レンズの焦点調節を行なう。次にステップ#604へ進み、CPU101は測光回路102に測光を行わせる。測光回路102は全測光領域の輝度を検出するとともに合焦した焦点検出点を含む測光領域を中心として重み付けを行う測光演算を行い、CPU101に入力する。
【0120】
次のステップ#605では撮影状態の識別を行うべき撮影状態情報の読み込みを行う。
【0121】
#606で読み込み情報から撮影状態の識別を行う。
撮影状態の識別を行なうパラメータとして撮影時の環境温湿度、カメラの姿勢差、カメラのブレなどがある。
【0122】
次に撮影状態識別を行うためのパラメータについて説明をする。
【0123】
温度、湿度の検出方法としては、先に記述した温湿度検出手段により検知した温度データを温湿度検出回路109で取り込んで『Temp』データとしてCPU101へ撮影状態識別回路101cに外界温度情報として送信し、撮影状態記憶部101dにて記憶する。
【0124】
湿度においても、検知した湿度データを温湿度検出回路109で取り込んで『Humidi』データとしてCPU101へ撮影状態識別回路101cに外界湿度情報として送信し、撮影状態記憶部101dにて記憶する。
【0125】
撮影状態識別回路101cでは温湿度の閾値に基づき良好なAFキャリブレーションが行えるか否かを見極める。
【0126】
姿勢差の検出方法としては、姿勢差検出センサ20にてカメラの姿勢状態を検出する。姿勢差検出センサ20としては、良く知られている水銀スイッチを用いたセンサにて説明をする。なお、詳細な図については割愛させてもらう。カメラ本体40が横位置に構えた時には水銀スイッチの一方の接点が導通して縦横検出器が横位置にあることを検出し、縦位置に構えた時にはもう一方の接点が導通して縦横検出器が縦位置にあることを検出する。
【0127】
本AFキャリブレーションを行なう上でカメラ本体の姿勢状態は重要で略正位置でAFキャリブレーションを行なうことが望ましい。姿勢差検出回路110にてカメラの姿勢位置を判断しCPU101へ『Posture』データとして撮影状態識別回路101cにカメラの姿勢差情報を送信し、撮影状態記憶部101dにて記憶する。
【0128】
本体ブレの検出方法としては、ブレ検出センサ19はカメラのピッチ方向ヨー方向の振動を出力し、ブレ検出回路111はこの出力をハイパスフィルタを通して、バイアス成分や長周期のドリフト成分を除去して手ブレによる角速度を取り出した後、CPU101へ『Bure』データとして撮影状態識別回路101cにカメラのブレ情報を送信し、撮影状態記憶部101dにて記憶する。
【0129】
以上の撮影状態識別パラメータより、1つもしくは複数の条件を選択して高精度のAFキャリブレーション設定を構築することが可能である。
【0130】
次のステップ#607へ進み、CPU101はこの結果を内部の撮影状態識別回路101cで識別情報処理を行い撮影状態の識別結果に応じた処理を行なう。
【0131】
#608では撮影状態の情報結果を基にAFキャリブレーションの補正が可能か否かを判定する。補正可能ならば#609へ補正が行なえないならば#615へ進む。
【0132】
#609では撮影状態識別結果より補正量を算出し設定する。
【0133】
#610で算出された補正量データをCPU101の撮影状態記憶部101dに記憶しておく。
【0134】
#611では先に決定された補正量に応じてシフトレンズを駆動させて、被写体を合焦させる。
【0135】
次にステップ#612においては、レリーズ釦の第二ストロークでONするスイッチSW−2がONしているかを検出し、OFFしていればステップ#602に戻り、前述の動作を繰り返す。一方、ONしていればステップ#613へ進み、カメラのレリーズシーケンスを実行する。
【0136】
具体的には、まず、モータ制御回路108がモータM2に通電して、主ミラー2をアップさせ、レンズ制御回路104が絞り駆動装置22を駆動して所定の開口まで絞り込む。次に、シャッタ制御回路107にて所定のシャッタ秒時でシャッタを走行させ、画像記録部材への画像を取り込み終了させる。その後、モータM2に再度通電し、ミラーダウン、シャッタチャージを行なうとともにモータM1にも通電する。
【0137】
#613では取り込んだ画像の確認を行なう。AFキャリブレーションにより新しい合焦状態になった被写体画像が実際に自分が望んでいた合焦状態で撮影されたかを確認して問題がなければ#614へ、再度AFキャリブレーションを行なって再調整を行ないたいならば#602へ戻り、一連の動作を繰り返し行なう。
#614では確認を終えた画像をメモリに記憶しておく。AFキャリブレーションデータを知りたい時には、この画像を読み出すことで詳細な情報を知ることが出来る。
【0138】
前記#608にて補正範囲外と判定され#615へ進むと、撮影者へ警告を行う。
【0139】
警告手段としては、請求項1で先に説明を記したファインダ内の撮影視野外に有る表示部(図14参照)、本体外観上部にある上面表示パネル表示部(図13参照)、本体外観背面部にあるモニター表示部(図12参照)にそれぞれ警告表示を行う。また、表示以外の警告手段として発音体による音声やバイブレータによる振動で撮影者へ警告を促す手段を用いる。
【0140】
次に請求項3における撮影状態識別手段によるAFキャリブレーションの実施形態について説明をする。
【0141】
図7は、請求項3における撮影状態識別手段によるAFキャリブレーションのカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【0142】
#401では、レリーズ釦213の第一ストロークでONするスイッチSW−1がONしているかを検出し、ONしていればステップ#402へ進み、OFFであればステップ#401の検出を繰り返す。
【0143】
ステップ#402へ進むと、焦点検出用ラインセンサ67の出力を取り込み、選択された焦点検出点のディフォーカス量を算出する。続くステップ#403においては、CPU101はレンズ制御回路104に信号を送ってフォーカスレンズを前記ディフォーカス量に応じて所定量だけ駆動させ、レンズの焦点調節を行なう。
【0144】
ステップ#404で被写体までの測距結果から被写体までの距離を算出する。
測距部によって行われる被写体距離の測定方式の原理の説明については公知の位相差検出方式なため割愛する。
【0145】
次にステップ#405へ進み、主被写体と思われる測距データより前記主被写体が動態か、静態かを識別する。また、AFキャリブレーションを行える距離範囲であるか否かも同時に識別する。
【0146】
#406では被写体識別情報からAFキャリブレーションを行えるか否かを情報処理する。たとえば、動態ならば不可。至近および望遠距離なら不可とAFキャリブレーションを行える距離範囲を以外か否かを見極める。
【0147】
#407で被写体距離情報処理結果からAFキャリブレーションが行えるか、否かを判定する。
【0148】
AFキャリブレーションが行えるならば#408へ、行えないないならば#415へそれぞれ進む。#408では前記被写体距離情報を基に補正量を算出する。そして、#409で算出された補正量をCPU内の被写体距離記憶部101fへ記憶する。
【0149】
#410においてCPU101は測光回路102に測光を行わせる。測光回路102は全測光領域の輝度を検出するとともに合焦した焦点検出点を含む測光領域を中心として重み付けを行う測光演算を行い、CPU101に入力する。
【0150】
次のステップ#411では先に決定された補正量に応じてシフトレンズを駆動させて、被写体を合焦させる。
【0151】
次にステップ#412においては、レリーズ釦の第二ストロークでONするスイッチSW−2がONしているかを検出し、OFFしていればステップ#402に戻り、前述の動作を繰り返す。一方、ONしていればステップ#413へ進み、カメラのレリーズシーケンスを実行する。
【0152】
具体的には、まず、モータ制御回路108がモータM2に通電して、主ミラー2をアップさせ、レンズ制御回路104が絞り駆動装置22を駆動して所定の開口まで絞り込む。次に、シャッタ制御回路107にて所定のシャッタ秒時でシャッタを走行させ、画像記録部材への画像を取り込み終了させる。その後、モータM2 54に再度通電し、ミラーダウン、シャッタチャージを行なうとともにモータM1 53にも通電する。
【0153】
#413では取り込んだ画像の確認を行なう。AFキャリブレーションにより新しい合焦状態になった被写体画像が実際に自分が望んでいた合焦状態で撮影されたかを確認して問題がなければ#414へ、再度AFキャリブレーションを行なって再調整を行ないたいならば#402へ戻り、一連の動作を繰り返し行なう。
【0154】
#414では確認を終えた画像をメモリに記憶しておく。AFキャリブレーションデータを知りたい時には、この画像を読み出すことで詳細な情報を知ることが出来る。
【0155】
前記#407にて補正範囲外と判定され#415へ進むと、撮影者へ警告を行う。
【0156】
警告手段としては、請求項1で先に説明を記したファインダ内の撮影視野外に有る表示部(図14参照)、本体外観上部にある上面表示パネル表示部(図13参照)、本体外観背面部にあるモニター表示部(図12参照)にそれぞれ警告表示を行う。また、表示以外の警告手段として発音体による音声やバイブレータによる振動で撮影者へ警告を促す手段を用いる。
【0157】
図8は、本実施の第4の実施形態の詳細を示すフローチャートである。
【0158】
この第4の実施形態は先に記述した請求項1、請求項2、請求項3のそれぞれの実施形態を1つにまとめたものである。初めに被写体距離を識別、次に被写体状態を識別し最後に撮影状態を識別する。すべてのパラメータを満足した時にだけAFキャリブレーションを行うことが出来るので最も信頼性の高い調整条件を提供することが出来る。
【0159】
詳細については前述した内容と重複するので割愛させてもらう。
【0160】
図9は、本実施の第5の実施形態の詳細を示すフローチャートである。
【0161】
この第5の実施形態は先に記述した請求項1、請求項2の実施形態を1つにまとめたものである。初めに被写体状態を識別し、次に撮影状態を識別する。被写体状態と撮影状態のパラメータを満足した時にだけAFキャリブレーションを行うことが出来るので単一の識別条件時に比べの高い調整条件を提供することが出来る。
【0162】
詳細については前述した内容と重複するので割愛させてもらう。
【0163】
図10は、本実施の第6の実施形態の詳細を示すフローチャートである。
【0164】
この第6の実施形態は先に記述した請求項1、請求項3の実施形態を1つにまとめたものである。初めに被写体距離を識別し、次に被写体状態を識別する。被写体距離と被写体状態のパラメータを満足した時にだけAFキャリブレーションを行うことが出来るので単一の識別条件時に比べの高い調整条件を提供することが出来る。
【0165】
詳細については前述した内容と重複するので割愛させてもらう。
【0166】
図11は、本実施の第6の実施形態の詳細を示すフローチャートである。
【0167】
この第7の実施形態は先に記述した請求項2、請求項3の実施形態を1つにまとめたものである。初めに被写体距離を識別し、次に撮影状態を識別する。被写体距離と撮影状態のパラメータを満足した時にだけAFキャリブレーションを行うことが出来るので単一の識別条件時に比べの高い調整条件を提供することが出来る。
【0168】
詳細については前述した内容と重複するので割愛させてもらう。
【0169】
上述した実施形態ではAFキャリブレーションが行なえない時は警告手段にて、警告を行ってきたが、警告では無くAFキャリブレーションの動作を禁止したり、各表示部に動作禁止表示を行なったり、動作禁止音、動作禁止を知らせる振動などにて、撮影者へ適正な条件での再調整を促す禁止手段を用いても同様の効果を得ることが出来る。
【0170】
なお本発明は、上記の実施の各形態の構成に限定されるものではなく、請求項で示した機能、または実施の形態がもつ機能が達成できる構成であれば、どのようなものであっても良いことは言うまでもない。
【0171】
また、本発明は、一眼レフカメラに適用した例を述べているが、ビデオカメラや電子スティルカメラなどの種々の形態の撮像装置に対しても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明の実施例におけるカメラの構成図
【図2】図1のカメラの背面図
【図3】図1のカメラの上面図
【図4】図1のカメラの電気回路の構成を示したブロック図
【図5】本発明の第1の実施形態を示すフローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態を示すフローチャート
【図7】本発明の第3の実施形態を示すフローチャート
【図8】本発明の第4の実施形態を示すフローチャート
【図9】本発明の第5の実施形態を示すフローチャート
【図10】本発明の第6の実施形態を示すフローチャート
【図11】本発明の第6の実施形態を示すフローチャート
【図12】図1のカメラの背面モニター表示部を示した図
【図13】図1のカメラの上面表示部を示した図
【図14】図1のカメラのファインダ内表示部を示した図
【符号の説明】
【0173】
1 撮影レンズ
8 視野枠
9 ペンタ
11 測光センサ
13 被写体認識エリアセンサ
19 ブレ検出センサ
20 姿勢差検出センサ
21 温湿度検出センサ
40 カメラ
67 焦点検出用ラインセンサ
41 メイン電源スイッチ
32 背面モニター表示部
47 モード選択スイッチ
50 上面表示部
52 レリーズスイッチ
123、309、326 AFキャリブレーション表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
被写体状態を識別する被写体状態識別手段と、
前記被写体状態識別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告を行なう警告手段
を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
カメラの撮影状態を識別する撮影状態識別手段と、
前記撮影状態識別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告を行なう警告手段
を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
半導体撮像素子により被写体を撮像する電子カメラで、
通常撮影モードと前記通常撮影モードとは異なる補正量算出モードを有し、
前記補正量算出モード時において、
被写体までの距離を識別する被写体距離識別手段と、
前記被写体距離識別手段の結果に基づき補正が行なえるか否かを判定する補正判定手段と、
前記補正判定手段の結果に基づき補正を行なうための補正量を算出・設定する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段の結果を記憶する記憶手段と、
合焦補正を行なう合焦補正手段とを有し、
前記補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると警告を行なう警告手段
を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1、2、3いずれか記載の電子カメラで、
補正判定手段の結果で適正な補正が行なえないと判定されると補正量算出モードを禁止する禁止手段を有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
前記被写体識別手段の被写体識別情報は被写体コントラストであることを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
前記被写体識別手段の被写体識別情報は被写体の色情報であることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【請求項7】
前記被写体識別手段の被写体識別情報は被写体パターンであることを特徴とする電子カメラ。
【請求項8】
前記被写体識別手段の被写体識別情報は被写体の動きであることを特徴とする電子カメラ。
【請求項9】
前記被写体識別手段の被写体識別情報は被写体との距離であることを特徴とする電子カメラ。
【請求項10】
前記撮影状態識別手段の識別情報は外界の温湿度であることを特徴とする電子カメラ。
【請求項11】
前記撮影状態識別手段の識別情報はカメラの姿勢差であることを特徴とする電子カメラ。
【請求項12】
前記撮影状態識別手段の識別情報はカメラのブレ情報であることを特徴とする電子カメラ。
【請求項13】
前記警告手段は外部表示手段に表示をおこなうことを特徴とする電子カメラ。
【請求項14】
前記警告手段はファインダ内表示手段にてファインダ内部に表示をおこなうことを特徴とする電子カメラ。
【請求項15】
前記警告手段は発信音手段により音声にて警告をおこなうことを特徴とする電子カメラ。
【請求項16】
前記警告手段はバイブレータ手段によりカメラの本体もしくはその一部を振動させて警告をおこなうことを特徴とする電子カメラ。
【請求項17】
前記禁止手段はAFキャリブレーションの動作を禁止することを特徴とする電子カメラ。
【請求項18】
前記禁止手段は前述した警告手段と同個所の表示部に禁止表示を行なうことを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−208783(P2006−208783A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21353(P2005−21353)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】