説明

三次元ワーク測定方法

【課題】 厳格な位置決めを必要とせず、ワークを測定できる三次元ワーク測定方法を提供する
【解決手段】 測定対象であるワーク40を、測定用ロボット20により三次元測定するための三次元ワーク測定方法であって、ワーク40上に設定された基準点のうち一点を位置決めピン12aに位置合わせして、基準点を測定する第1測定工程(ステップS5、S9、S21〜S37)と、ワーク40と同様の基準点が設定された設計値通りの理想ワークを、該基準点のうちの一点を位置決めピン12aに合わせた所定の姿勢で配置したと想定して、該理想ワーク上の基準点とワーク40の基準点の測定結果とを比較する比較工程(ステップS38)と、比較結果に基づいて、ワーク40上の測定点を測定するための前記ロボットの測定位置を補正する補正工程(ステップS6、S10、S41)と、補正した測定位置から、ワーク40上の測定点を測定する第2測定工程(ステップS42〜S48)と、を有する三次元ワーク測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを三次元測定するための三次元ワーク測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品などのワークは、製造後に測定され、設計原図に対してどの程度ずれているか判定される。これにより、製造されたワークが良品か不良品かが判別される。
【0003】
ワークの判定方法としては、測定用ロボットによりワークを測定して、測定結果により判定する判定方法が知られている。この方法では、まず、最初のワークの計測すべき計測箇所の周辺にマークを施す。施したマークを撮影できるように、カメラを装備したロボットの経路をティーチングする。ティーチングの際に、各マークを撮影する。撮影した画像を基本画像とする。以降のワークについては、ティーチング通りにロボットを動かし、ワークの各部を撮影する。撮影した画像を、基本画像と比較し、その誤差に基づいて、ワークの良否を判定する(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−207610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記判定方法では、最初のワーク以外にはマークを施さず、ティーチング通りにロボットが移動しワークを撮影していく。したがって、最初のワークと以降の測定ワークとが全く同じ位置に配置されていないと、ロボットの経路、すなわち、カメラが撮像する範囲から、ワークの計測箇所が外れてしまう。
【0005】
これでは、測定ワークを測定台などに非常に慎重に配置しなくてはならず、複雑な手順が必要になったりして、位置決めが非常に煩雑になってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、厳格な位置決めを必要とせず、ワークを測定できる三次元ワーク測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の三次元ワーク測定方法は、測定対象であるワークを、測定用ロボットにより三次元測定するための三次元ワーク測定方法であって、前記ワーク上に設定された基準点のうち一点を所定の位置に位置合わせして、前記基準点を測定する第1測定工程と、前記ワークと同様の基準点が設定された設計値通りの理想ワークを、該基準点のうちの一点を前記所定の位置に合わせた所定の姿勢で配置したと想定して、該理想ワーク上の基準点と前記ワークの基準点の測定結果とを比較する比較工程と、比較結果に基づいて、前記ワーク上の測定点を測定するための前記ロボットの測定位置を補正する補正工程と、補正した前記測定位置から、前記ワーク上の測定点を測定する第2測定工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の三次元ワーク測定方法によれば、理想ワークを所定の姿勢で配置したと想定して、理想ワーク上の基準点とワーク上の基準点の測定結果とを比較し、比較結果に基づいて、測定位置を補正する。したがって、仮想的な理想ワークとは異なる姿勢でワークがワーク置き台に載置されても、ワークの姿勢に左右されずに、ロボットの測定位置(姿勢)を変えることによって、正確にワークを測定できる。結果として、ワークをワーク置き台に載置する際に、厳格な位置合わせが必要なく、ワークの載置が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(構成)
図1はワーク測定に関する概略構成を示す斜視図、図2はワーク置き台を示す斜視図である。なお、図1では、説明の容易のために、ロボットの先端部を一部切り欠いて図示している。
【0011】
図1に示すように、ワークを測定する構成には、ワーク置き台10と、ロボット20と、制御装置30とが含まれる。
【0012】
ワーク置き台10は、後述するマスターワークや測定ワーク40を載置するための台である。ワーク置き台10には、図2に示すように、位置決めピン12a、bが設けられている。位置決めピン12a、bは、ワーク40の穴部に対応する箇所に設けられている。ワーク40の穴部42に位置決めピン12a、bが通るように、ワーク40がワーク置き台10上に載置される。
【0013】
位置決めピン12aは、ワーク40の穴部42と略合致する太さを有する。一方、位置決めピン12bは、ワーク40の穴部42よりも細い太さを有する。したがって、ワーク40をワーク置き台10上に載置する際には、まず、位置決めピン12aがワーク40の所定の穴部42に嵌るように位置決めし、あとは、適当に、位置決めピン12bがワーク40の所定の穴部42を通るようにする。これにより、位置決めピン12aの位置では、精度良くワーク40の位置が規制され、位置決めピン12bの位置では、ワーク40の位置がある程度自由である。このように、位置決めピン12a、bにより、ワーク40の置かれ方が簡単に規制される。
【0014】
なお、位置決めピン12aの位置は、図1に示すXYZ空間の原点(X,Y,Z)=(0,0,0)である。XYZ空間は、後述のワーク40の姿勢を算出する際のワーク40の絶対位置を決定するために定義される空間である。
【0015】
ワーク置き台10には、図示しないクランプ機構が設けられている。クランプ機構は、ワーク40を挟み込んで固定し、ワーク測定中にワーク40が動くことを防止する。
【0016】
ロボット20は、ワーク置き台10の略正面に配置されている。ロボット20は、多関節ロボット20であり、自由な姿勢に動いて、ワーク40を測定する。測定のために、ロボット20の先端には、カメラ22(撮影手段)と、レーザ距離計24とを備える。
【0017】
カメラ22は、ワーク40上の測定点を含む平面画像を撮影する。カメラ22が撮影する平面は、たとえば、図1に示すXY平面である。ワークの測定点の位置や向きによっては、カメラ22は、XZ平面や、YZ平面や、これらより傾いた平面を撮影できる。測定点とは、ワーク40の測定時に測定される点であり、ワーク40上の穴部42などの特徴的な部分に設定される。以下では、ワーク40に設けられた穴部42に測定点が設定されているものとして説明する。
【0018】
レーザ距離計24は、レーザをワーク40表面に照射することにより、ワーク40との直線距離を測り、ワーク40の奥行き方向の位置を測定する。奥行き方向の位置とは、たとえば、図1に示すZ方向の位置である。ワークの測定点の位置や向きによっては、レーザ距離計24は、X方向や、Y方向や、これらより傾いた方向の位置を測定できる。
【0019】
カメラ22により撮像した画像およびレーザ距離計24により測定した距離は、ロボット20に接続されている制御装置30に送信される。
【0020】
制御装置30は、カメラ22の撮影画像およびレーザ距離計24の計測結果に基づいて、ワークのXYZ空間での位置を算出する。また、制御装置30は、ワーク40上の測定点を測定するためのロボット20の測定位置を記憶する。測定位置は、作業者により教示され、複数の測定点ごとに複数設定される。測定位置は、作業者がロボット20を手動で動かすことにより、測定時のロボット20の動作の一環として教示される。制御装置30は、ロボット20による測定結果も記憶する。
【0021】
また、制御装置30は、ロボット20によりワーク40を測定した結果を演算し、上記測定位置を補正する。
【0022】
(三次元ワーク測定方法)
次に、三次元ワーク測定方法の手順を説明する。
【0023】
図3は三次元ワーク測定方法の流れを示すフローチャートである。なお、以下では、測定対象となるワークは、図1に示すように平らな部品であり、カメラ22によりXY平面画像が撮影され、レーザ距離計24により垂直位置が計測されるものとする。
【0024】
まず、通常の測定工程の前に、作業者により、マスターワークが用意され、精密に測定される(ステップS1)。ここで、マスターワークとは、所望の設計図に基づいて作成したワークであり、たとえば、量産されるワークのうち、最初に製造されたものである。また、マスターワークの精密な測定は、たとえば、接触式の測定機により実行される。
【0025】
次に、精密測定により得られたマスターワークの形状と、設計値通りの理想ワークの形状との誤差が算出される(ステップS2)。誤差は、たとえば、コンピュータにより算出される。この場合、接触式の測定機によるマスターワークの測定値や、理想ワークの設計値は、作業者によりコンピュータに入力される。誤差は、制御装置30に送信される。
【0026】
マスターワークが、通常の測定工程に搬入される(ステップS3)。この通常の測定工程とは、上述のロボット20によりワークを測定する工程である。
【0027】
ワーク上の所定の測定点を測定できる測定位置に、作業者が順にロボット20を動かし、ロボット20に測定位置を教示し、各測定位置においてロボット20に測定点の画像を撮影させ、撮った画像を登録させる(ステップS4)。教示された測定位置や撮影された画像は、ロボット20から制御装置30に送信され、記憶される。
【0028】
続けて、ロボット20および制御装置30により、マスターワークの姿勢が算出される(ステップS5)。マスターワークの姿勢の算出について、詳細は後述する。
【0029】
ステップS5において算出されたマスターワークの姿勢を考慮して、マスターワークが測定される(ステップS6)。ここで、マスターワークの測定について、詳細は後述する。
【0030】
ロボット20の測定位置ごとに、ステップS2で算出された理想ワークとの誤差が算出されて、該誤差情報が対応付けられて、制御装置30に記憶される(ステップS7)。
【0031】
そして、マスターワークが測定工程から搬出される(ステップS8)。
【0032】
続けて、測定ワーク40が測定工程に搬入される(ステップS9)。ここで、測定ワーク40とは、たとえば、マスターワークの次に製造され、製品として適当かどうかが測定されるための測定対象となるワークである。
【0033】
ロボット20および制御装置30により、測定ワーク40の姿勢が算出される(ステップS10)。測定ワーク40の姿勢の算出は、ステップS5のマスターワークの姿勢の算出と同様である。マスターワークの姿勢の算出と共に、詳細は後述する。
【0034】
ステップS10において算出された測定ワーク40の姿勢を考慮して、測定ワーク40が測定される(ステップS11)。ここで、測定ワーク40の測定は、ステップS6のマスターワークの測定と同様である。マスターワークの測定と共に、詳細は後述する。
【0035】
測定ワーク40の測定結果に基づいて、理想ワークに対する誤差が算出される(ステップS12)。測定ワーク40と理想ワークとの算出は、次のように行われる。まず、測定ワーク40の測定結果(上記ステップS11)とマスターワークの測定結果(上記ステップS6)との誤差が算出される。これは、上述のロボット20のカメラ22の撮影画像の比較、およびレーザ距離計24の奥行き位置の測定結果の誤差により算出される。この誤差に、ステップS7において測定位置ごとに対応付けられているマスターワークと理想ワークとの誤差を加える。これにより、マスターワークを基準として、測定ワーク40と理想ワークとの誤差を算出できる。
【0036】
算出された誤差について、許容範囲内か否か、すなわち、製品としてワークがOKかNGかが判断される(ステップS13)。この判断は、たとえば、制御装置30により実行される。
【0037】
誤差が許容範囲内である場合(ステップS13:YES)、測定された測定ワーク40は製品として規格内の良品であるので、良品格納用のOKシュートに搬出される(ステップS14)。一方、誤差が許容範囲内でない場合(ステップ13:NO)、測定ワーク40は不良品なので、不良品格納用のNGシュートに搬出される(ステップS15)。
【0038】
測定すべき全ての測定ワーク40について測定が終了したか否かが判断される(ステップS16)。全ての測定ワーク40について測定が終了していない場合(ステップS16:NO)、ステップS9の処理に戻り、次の測定ワーク40が搬入される。
【0039】
測定すべき全ての測定ワーク40について測定が終了した場合(ステップS15:YES)、測定工程が終了される。
【0040】
次に、上述の測定工程におけるステップS5およびステップS10の「ワーク姿勢算出」、ステップS6およびステップS11の「ワーク測定」の処理を詳細に説明する。
【0041】
(ワーク姿勢算出)
図4はワークの姿勢を算出する流れを示すフローチャートであり、図5はワークの例を示す図、図6は垂直位置の測定を説明するための図である。マスターワークおよび測定ワーク40のいずれの姿勢を算出する手順も同様である。以下では、ワーク40には、測定ワークおよびマスターワークの両者が含まれるものとする。
【0042】
まず、ロボット20が基準位置に移動される(ステップS21)。基準位置とは、ワーク40上の基準点をロボット20が測定するための位置である。基準点は、ワーク40の姿勢を算出するために予め設定された点であり、測定点に含まれている。基準点は、図5に示すように、ワーク40の穴部42などの特徴的な部分に設定され、ワークの姿勢を調べるために、少なくとも3箇所に設けられる。基準点は、ワークの外縁近傍に設定されることが好ましい。
【0043】
ロボット20のカメラ22によりワーク40の測定点の画像が撮影される(ステップS22)。すなわち、ワーク40の測定点のXY平面の画像が撮影される。
【0044】
撮影された画像が制御装置30により解析され、撮影画像に含まれる穴部42の中心O、つまり中心Oの座標が算出される(ステップS23)。穴部42の中心座標は、穴部42を直径で2分割する直線44を2本適当に引き、それらの交点を求めることにより算出できる。
【0045】
求めた中心座標から少なくとも穴部42の半径以上離れた位置46において、垂直位置を測定できるように、ロボット20の基準位置が補正される(ステップS24)。ここで、垂直位置の測定は、中心座標から等距離の複数点、たとえば、図6に示すように、120度間隔の3点にそれぞれレーザが照射されることにより実行される(ステップS25)。この場合、ロボット20の基準位置が3回補正される。
【0046】
そして、中心座標の周りの3点の平均値が、基準点の奥行き方向の位置として、制御装置30に記憶される(ステップS26)。
【0047】
全ての基準位置について、測定が終了したか否かが制御装置30により判断される(ステップS27)。全ての基準位置の測定が終了していない場合(ステップS27:NO)、ステップS21の処理に戻る。
【0048】
全ての基準位置の測定が終了した場合(ステップS27:YES)、理想ワークがワーク置き台10に所定の姿勢で置かれたときの基準点と、上記ステップS21〜ステップS26において測定されたワーク40の基準点とが比較され(ステップS28)、ワーク40の姿勢が算出される(ステップS29)。
【0049】
ここで、ワーク40の姿勢の算出では、まず、仮想的にワーク置き台10に置かれた理想ワークと、実際にワーク置き台10に置かれたワーク40とが、位置決めピン12aが嵌挿された穴部42の位置で位置合わせされる。つまり、原点で合わせられる。そして、残りの2つの穴部42の位置で、理想ワークに対してワークがXY平面、YZ平面でどれだけ傾いているかが算出される。これにより、理想ワークに対するワークの姿勢が算出される。
【0050】
(ワーク測定)
図7は、ワークを測定する流れを示すフローチャートである。マスターワークおよび測定ワーク40のいずれを測定する手順も同様である。以下では、ワーク40には、測定ワークおよびマスターワークの両者が含まれるものとする。
【0051】
まず、測定位置が補正される(ステップS31)。ここでは、既に、上記のステップS21〜S29において、ワーク40の姿勢が算出されているので、理想ワークとの姿勢の違いがわかっている。したがって、理想ワークとの姿勢の違いに合わせて、ロボット20の測定位置も補正される。
【0052】
次に、ロボット20が補正された測定位置に移動される(ステップS32)。そして、ロボット20のカメラ22により、ワーク40上の測定部が撮影される(ステップS33)。
【0053】
続けて、上述のステップS23と同様に、測定点の穴部42中心の座標が算出される(ステップS34)。そして、上述のステップS24と同様に、ロボット20のレーザ距離計24のレーザ光が穴部42を通過しないように、測定位置が3点に分割され補正される(ステップS35)。補正された3点の測定位置について、奥行き位置が測定され(ステップS36)、測定結果が制御装置30に記憶される(ステップS37)。
【0054】
最後に、全ての測定位置において測定が終了したか否かが判断される(ステップS38)。全ての測定位置が終了していない場合(ステップS38:NO)、ステップS31の処理に戻る。
【0055】
全ての測定位置が終了した場合(ステップS38:YES)、ワーク40測定の処理が終了される。
【0056】
以上のように、マスターワークおよび測定ワーク40のいずれも、カメラ22およびレーザ距離計24により、ワークの2次元画像および奥行き位置が測定され、制御装置30に記憶される。マスターワークの測定結果については、上述のステップS11において、測定ワークと理想ワークとの誤差を算出するために用いられる。
【0057】
なお、マスターワークを用いて、測定位置を教示する際にマスターワーク上の測定点を一度は測定している。しかし、実際にロボット20を教示に従って動かした場合、ロボットの移動による慣性などにより、必ずしも教示の動きと一致するとは限らない。したがって、マスターワークについても、ステップS5、ステップS6において、教示通りに測定することによって、測定ワークの測定結果と同条件で比較しえる情報が得られる。
【0058】
(効果)
以上のような三次元ワーク測定方法によれば、理想ワークの仮想的な基準点と、ワーク40上の基準点の測定値とに基づいて、ワーク40の姿勢を算出し、測定位置を補正する。したがって、マスターワークおよび測定ワーク40のいずれを測定する場合においても、ワークの姿勢に左右されずに、ロボット20の測定位置(姿勢)を変えることによって、正確に測定ワーク40を測定できる。結果として、測定ワークをワーク置き台10に載置する際に、厳格な位置合わせが必要なく、ワークの載置が容易になる。
【0059】
また、測定ワーク40姿勢算出および測定ワーク40測定において、測定ワーク40上の基準点や測定点の奥行き位置を測定する際、まず穴部42の中心を求め、中心から該穴部42の半径以上離れた位置にレーザ照射するので、レーザが誤って穴部42を通り抜けることがない。したがって、レーザを確実にワーク表面に照射でき、ワークの基準点および測定点の位置を正確に測定できる。
【0060】
さらに、上記三次元ワーク測定方法によれば、ステップS6のマスターワークの測定値とステップS11の測定ワーク40の測定値との誤差に、ステップS2のマスターワークの測定値と理想ワークの設計値との誤差を加えて、理想ワークに対する測定ワーク40の誤差を求めている。したがって、実在しない理想ワークと、測定ワーク40との誤差を、マスターワークを介して求められる。これにより、測定ワーク40の良否を判定できる。
【0061】
なお、上記説明では、カメラ22によりワークの測定点のXY平面を撮影し、レーザ距離計24により測定点のZ方向の位置を測定していた。しかし、これに限定されない。カメラ22により、測定点のYZ平面や、XZ平面や、これらに対して傾いた平面画像を撮影し、レーザ距離計24により、該平面画像に垂直な距離を測定してもよい。すなわち、カメラ22によりいかなる方向の平面を撮影してもよく、レーザ距離計24によりこの平面に垂直な距離を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ワーク測定に関する概略構成を示す斜視図である。
【図2】ワーク置き台を示す斜視図である。
【図3】三次元ワーク測定方法の流れを示すフローチャートである。
【図4】ワークの姿勢を算出する流れを示すフローチャートである。
【図5】測定ワークの例を示す図である。
【図6】奥行き位置の測定を説明するための図である。
【図7】測定ワークを測定する流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10…ワーク置き台、
12a、12b…位置決めピン、
20…ロボット、
22…カメラ、
24…レーザ距離計、
30…制御装置、
40…ワーク、
42…穴部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象であるワークを、測定用ロボットにより三次元測定するための三次元ワーク測定方法であって、
前記ワーク上に設定された基準点のうち一点を所定の位置に位置合わせして、前記基準点を測定する第1測定工程と、
前記ワークと同様の基準点が設定された設計値通りの理想ワークを、該基準点のうちの一点を前記所定の位置に合わせた所定の姿勢で配置したと想定して、該理想ワーク上の基準点と前記ワークの基準点の測定結果とを比較する比較工程と、
比較結果に基づいて、前記ワーク上の測定点を測定するための前記ロボットの測定位置を補正する補正工程と、
補正した前記測定位置から、前記ワーク上の測定点を測定する第2測定工程と、
を有する三次元ワーク測定方法。
【請求項2】
前記測定位置を補正する工程は、
前記比較工程の比較結果に基づいて、前記ワークの前記理想ワークに対する姿勢の誤差を算出する工程と、
算出した姿勢の誤差に基づいて、前記測定点が測定できるように、前記測定位置を補正する工程と、
を含む請求項1に記載の三次元ワーク測定方法。
【請求項3】
前記第1測定工程および第2測定工程は、
前記ロボットに設けられた撮像装置およびレーザ距離計により実行され、
前記ワーク上の前記測定点の画像を前記撮像装置により撮影する工程と、
撮影画像に含まれる穴部の中心を求め、該中心から前記穴部の半径以上離れた位置に、前記レーザ距離計によりレーザ照射して、奥行き位置を測定する工程と、
を含む請求項1または請求項2に記載の三次元ワーク測定方法。
【請求項4】
設計値に基づいて作成したマスターワークを、予め前記ロボットは用いずに精密測定し、さらに、予め前記ロボットを用いて前記ワークと同様に測定する工程と、
前記第2測定工程により測定した前記ワークの測定値と前記ロボットにより測定した前記マスターワークの測定値との誤差に、精密測定により測定した前記マスターワークの精密測定値と前記理想ワークの設計値との誤差を加えて、前記理想ワークに対する前記ワークの誤差を求め、求めた誤差が所定値以下の場合に前記ワークが良品であると判断する良否判定方法をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の三次元ワーク測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−308500(P2006−308500A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133671(P2005−133671)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000253455)株式会社ヨロズ (22)
【Fターム(参考)】