乗用作業機
【課題】本発明では、旋回後に所定の動作を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた乗用作業機において、旋回走行中に旋回内側の車輪が滑らないで旋回後の諸作業動作の自動制御が正確に働くようにすることが課題である。
【解決手段】乗車機体を支持する前輪と後輪の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sで支持すると共に前輪或は後輪の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出する伝動軸回転数センサを設け、さらに、該前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sの弾性支持力を制御する制御装置を設け、該制御装置で前記伝動軸回転数センサの検出回転数から算出する旋回角度が所定角度を超えると前記前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sの旋回内側の弾性支持力を外側の弾性支持力に対して相対的に硬くなるように変更すべく制御した乗用作業機の走行安定制御とした。
【解決手段】乗車機体を支持する前輪と後輪の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sで支持すると共に前輪或は後輪の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出する伝動軸回転数センサを設け、さらに、該前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sの弾性支持力を制御する制御装置を設け、該制御装置で前記伝動軸回転数センサの検出回転数から算出する旋回角度が所定角度を超えると前記前輪サスペンション機構と後輪サスペンション機構3Sの旋回内側の弾性支持力を外側の弾性支持力に対して相対的に硬くなるように変更すべく制御した乗用作業機の走行安定制御とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業者が搭乗して走行しながら農作業や土木作業を行う乗用作業機で旋回後に一連の作業動作を自動で行うようにした乗用作業機において、作業地面の凹凸に関わらず安定した旋回が出来て旋回後の作業動作をタ自動でタイミング良く行えるようにする乗用作業機の走行安定制御に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用水田作業機において、凹凸の激しい圃場を機体の揺動や振動を抑えて安定的に走行するために、機体を支持する四輪の内の後輪を装着した後車軸ケースをサスペンション機構で機体に弾性支持する構成が、例えば、特開2007−89417号公報に記載されている。
【0003】
また、同じく乗用水田作業機において、旋回内側の車輪駆動軸の回転数検出に基づいて、旋回後に例えば旋回前に持ち上げた苗植付部を旋回後に圃場に降下させて苗の植え付けを再開する等の作業動作を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた構成が、特開2004−344020号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2007−89417号公報
【特許文献2】特開2004−344020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の状態は、柔らかく車輪が沈み易かったり逆に固く車輪が浮き上がったりすることが有り、このような圃場で旋回を行うと車輪が滑ることがある。前記の旋回内側の車輪の回転数の検出に基づいて旋回後の作業を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた乗用作業機では、旋回内側の車輪が滑ると例えば旋回前に持ち上げた苗植付部を旋回後に圃場に降下させるタイミングがずれて制御設定通りの植付作業再開が出来なくなる。
【0005】
そこで、本発明では、旋回後に所定の動作を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた乗用作業機において、旋回走行中に旋回内側の車輪が滑らないで旋回後の諸作業動作の自動制御が正確に働くようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、乗車機体(1)を支持する前輪(2),(2)と後輪(3),(3)の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)で支持すると共に、前輪(2),(2)或は後輪(3),(3)の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出して機体の旋回角度を判断する伝動軸回転数センサ(125)を設け、さらに、該前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の弾性支持力を制御すると共に、前記伝動軸回転数センサ(125)の検出回転数から機体が旋回状態であることを判断すると、前記前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更すべく制御する制御装置(115)を設けた乗用作業機とした。
【0007】
この構成で、旋回時に旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更して、旋回角度を判断するための旋回内側の旋回角度検出センサ125が正確に回転数を検出するようになるので、旋回後の諸作業動作の自動制御をタイミング良く行う。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、前記前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sが軟らかい圃場や硬い圃場でも旋回時に旋回内側の車輪の弾性支持力を旋回外側の車輪の弾性支持力よりも強く保持されて内側車輪がスリップすることなく、伝動軸回転数センサ125で正確に回転数を検出して旋回後の諸作業動作の自動制御をタイミング良く行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1及び図2は、乗用作業機の実施例として、乗用型の四条植田植機を示すものであり、乗車機体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。乗車機体1上の前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、乗車機体1の後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席9の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。乗車機体1上のエンジンE前方に該乗車機体1の前後方向及び左右方向の傾斜角度を検出する車体傾斜センサ37を設けている。
【0010】
前記ステアリングハンドル5は、これの回動操作によりステアリングポスト17内のステアリング軸18からステアリングケース内を経て減速回転されるステアリング出力軸100、ピットマンアーム101及び左右ロッド102等を介して左右の前輪2,2を操向させ操舵するようになっている。
【0011】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリ20からベルト25を介して油圧式無段変速装置(HST)21の入力プーリ22で入力軸23に伝えられ、この入力軸23からこれと同一軸芯上に設けられた伝動軸を介して油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、油圧式無段変速装置21の出力軸からミッションケース26のミッション入力軸に伝えられるようになっている。
【0012】
前記油圧式無段変速装置21は、フロントカバー10の下方に配置してあり、フロントカバー10の上部近傍には、該油圧式無段変速装置21を変速操作する主変速レバー27が配置され、この主変速レバー27の前後方向の操作で油圧式無段変速装置21を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。さらに、フロントカバー10の上部には、ミッションケース26のギア変速を走行・植付・PTOに切り換える副変速レバー28を設けている。
【0013】
図3に示すように、後輪伝動ケース30は、後輪3の後輪車軸31より前側の回動支点軸P回りに上下回動可能に構成している。走行フレーム32には後輪伝動ケース30を下方に向けて回動付勢する後弾発ばね部34を設けてあり、通常の走行時には機体の自重で後弾発ばね部34が縮んで後輪3が上限状態となり、機体の前進で後輪3に所定以上の駆動負荷が生じたときにはその駆動反力により後輪伝動ケース30が下側へ回動して後輪3が下動状態となるよう構成して後輪サスペンション機構3Sを構成している。
【0014】
また、前記後輪伝動ケース30は、後輪車軸31を挟む位置で上下に分割して半割アッパーケース30aと半割ロワーケース30bとからなる構成としてあり、回動支点軸Pを半割ロワーケース30b側に設定すると共に、半割アッパーケース30a側には、独立スイングのストッパー部35を進行方向前側に設けた構成としている。
【0015】
さらに、図4に示すように、走行フレーム32には、後輪車軸31の上下位置を検出する後輪上下位置センサ39を設け、後弾発ばね部34を押し下げる後輪押圧ソレノイド49と半割アッパーケース30aの突起48にロッド47を当てて後輪3の上下動を規制する後輪上下動規制ソレノイド46を設けている。
【0016】
後弾発ばね部34は、図5に示す如く、走行フレーム32のフレーム支持プレート32aと半割アッパーケース30aのケース支持プレート30aaとの間に後外ばね34aと後内ばね34bを介在させて、後内ばね34bの下側を受ける内ばね受座30abを調圧ソレノイド95で後内ばね34bの作用位置と非作用位置に移動切換可能にしている。即ち、弾発力を強くするには調圧ソレノイド95を伸ばして内ばね受座30abを後内ばね34bが作用する位置とし、弾発力を弱くするには調圧ソレノイド95を縮めて後内ばね34bが作用しないようにするのである。
【0017】
なお、回動支点軸Pは、走行フレーム32から下方に突設するブラケット33に軸支してあり、且つ、後輪3の外径内に設定している。要するに、左右後輪の伝動ケース30は、後弾発ばね部34を介して回動支点軸P回りに左右独立的にスイングする後輪サスペンション機構3Sである。
【0018】
次に、図6により左右の前輪2,2の支持構成について説明する。左右のフロントアクスルケース40,40内には左右前輪駆動軸43,43を軸架し、左右フロントアクスルケース40,40の左右端部には左右縦筒体部41a,41aを設け、この左右縦筒体部41a,41aに左右前輪支持ケース42,42を外嵌合し、縦軸回りに回動自在で、且つ、上下動自在に支持している。左右前輪支持ケース42,42内には左右第二前輪駆動軸44,44を軸架し、左右前輪支持ケース42,42の下部には左右前輪軸2a,2aを介して左右前輪2,2を支架している。
【0019】
また、この左右第二前輪駆動軸44,44の上部を縦筒体部41a,41aに挿入し、左右前輪駆動軸43,43側の第一ベベルギヤG1と左右第二前輪駆動軸44,44に上下動自在にスプライン嵌合した第二ベベルギヤG2とを噛み合わせ、左右第二前輪駆動軸44,44の下端部の第三ベベルギヤG3と左右前輪軸2a,2aの第四ベベルギヤG4,G4とを噛み合わせている。また、縦筒体部41a,41aの上部空間筒部42a,42aに前外バネ45aと前内ばね45bからなる前弾発ばね部45を内装し、左右第二前輪駆動軸44,44を下方に押圧付勢し、左右前輪支持ケース42,42が上下動しても左右前輪2,2に動力を伝達するように構成している。
【0020】
前弾発ばね部45は、縦筒体部41aの上内壁と左右第二前輪駆動軸44の受座98との間に前外バネ45aと前内ばね45bを介在して弾発し、前内ばね45bの前内ばね受座97は前調圧ソレノイド96のロッド先端に取り付け、弾発力を強くするには前調圧ソレノイド96を伸ばして前内ばね受座97を前内ばね45bが作用する位置とし、弾発力を弱くするには前調圧ソレノイド96を縮めて前内ばね45bが作用しないようにするのである。
【0021】
左右フロントアクスルケース40,40と左右前輪支持ケース42,42との間に左右前輪支持ケース42,42の上下動で前輪2の動きを検出する前輪上下位置センサ69を設けている。
【0022】
ここで、ステアリングハンドル5にて前輪2,2が操向操作される部分の構成について図7と図8に基づいて説明する。
ステアリングハンドル5は、ステアリングポスト17内に設けられたステアリング軸上部に固定されており、ステアリング軸の回転はミッションケース26内に設けられたステアリング変速歯車を介して減速されてステアリング出力軸100に伝動される。そして、ステアリング出力軸100の下端は、ミッションケース26底面から突出してピットマンアーム101が固定されている。該ピットマンアーム101の前部左右側と左右前輪支持ケース19(図1)とは左右ロッド102,102にて連結されている。
【0023】
従って、ステアリングハンドル5を回動操作すると、ステアリング軸、ステアリング変速歯車、ステアリング出力軸100、ピットマンアーム101、左右ロッド102,102、左右前輪支持ケース19,19へと伝達されて、左右前輪6、6が左右に操向操作される。
【0024】
一方、ピットマンアーム101の後部上面には、作動ローラ103が回転自在に設けられており、その作動ローラ103の左右両側を囲むように平面視でコ字状に切り欠かれた切欠き部104を有する従動体105がミッションケース26の底面に回動自在に支持されている。そして、従動体105の左右両側部には、前記左右クラッチ操作アーム107,107に連結された左右ロッド106,106の前部が連結されている。従って、ステアリングハンドル5を所定量(機体を右旋回させる意思を持って作業者が右に回す量)以上右に回すと、ピットマンアーム101も右回動し、作動ローラ103が(ハ)方向に回動し従動体105の切欠き部104の左側面104aを押すために、従動体105を(ニ)方向に回動させ右ロッド106を引き、右クラッチ操作アーム107が操作されて右サイドクラッチが切れ、旋回中心側の右後輪3が遊転状態となるので、右後輪3が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒らしてしまうようなこともなく、右旋回がスムーズできれいにできる。
【0025】
逆に、ステアリングハンドル5を所定量以上左に回すと、ピットマンアーム101も左回動し、作動ローラ103が反(ハ)方向に回動し、従動体105の切欠き部104の右側面104bを押すために、従動体105を反(ニ)方向に回動させ、左ロッド106を引き、左クラッチ操作アーム107が操作されて左サイドクラッチが切れ、旋回中心側の左後輪3が遊転状態となるので、左後輪3が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒らしてしまうようなこともなく、左旋回がスムーズできれいにできる。
【0026】
更に、ピットマンアーム101の前部上面には、左右センサ押片108,108が設けられており、ステアリングハンドル5を左右何れかに200度回転させると、ミッションケース26の底面に固定されたオートリフトスイッチ109(図10)がONになる(ステアリングハンドル5は左右に最大360度〜400度回転する)。
【0027】
次に、後進時に苗植付部6を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、図9に示すように、チェーンジレバー98を後進速に操作すると、チェーンジレバー98の基部に設けた接当片110が接当してONになるバックリフトスイッチ111が設けられており、制御装置115(図10)の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ116を制御して油圧シリンダ117にて苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0028】
このように、チェーンジレバー98を後進速に操作すると、自動的に苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付部6は最大位置まで上昇しているので、苗植付部6が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0029】
また、前記ステアリングハンドル5を左右何れかに200度回転させて図10に示すオートリフトスイッチ109がONになると、制御装置115の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ116を制御して油圧シリンダ117にて苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0030】
このように、畦際で機体を旋回させるためにステアリングハンドル16を左右何れかに最大限まで回転させると、オートリフトスイッチ109がONになり、自動的に苗植付部6は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付部6を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
【0031】
さらに、オートリフトスイッチ109は左右にそれぞれ設けて、旋回内側の前輪サスペンション機構2Sの前弾発ばね部45と後輪サスペンション機構3Sの後弾発ばね部34の弾発支持力を旋回外側の弾発支持力より相対的に強く調整する。例えば、右側のオートリフトスイッチ109がONすると左側前弾発ばね部45の前調圧ソレノイド96を作動させて前内ばね45bを非作用状態にして弾発支持力を弱くし、同時に左側後弾発ばね部34の調圧ソレノイド95を作動させて後内ばね34bを非作用状態にして弾発支持力を弱くする。逆に、左右の前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sの前内ばね45bと後内ばね34bを非作用にしておいて、旋回時に内側の前内ばね45bと後内ばね34bを作用させて旋回内側の弾発支持力を強くするようにしても良い。
【0032】
このように、旋回内側の前輪サスペンション機構2Sの前弾発ばね部45と後輪サスペンション機構3Sの後弾発ばね部34の弾発支持力を旋回外側の弾発支持力より相対的に強く調整することで、後述する伝動軸回転数センサ125が検出する旋回回転数が正確となり、苗植付部6を圃場に降下するタイミングを良くする。
【0033】
また、前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sは、大きな凹凸圃場を走行して乗車機体1が大きく上下する場合や平坦な圃場で乗車機体1がほとんど上下しない場合にもその弾発支持力を強くすることでより安定する。
【0034】
なお、前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sは、エアーサスペンションに構成し、エアー圧を調整することで弾性支持力を変更する構成にしても良い。
一方、操作ボックス4には、苗植付部6の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替えスイッチ113が設けられており、即ち、自動リフト切替えスイッチ113を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ111がONになるかオートリフトスイッチ109がONになると自動的に苗植付部6は制御装置115の田植装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替えスイッチ113をOFFにしていると、バックリフトスイッチ111がONになってもオートリフトスイッチ109がONになっても苗植付部6は自動上昇されない。
【0035】
次に、ステアリングハンドル5の旋回操作に伴う苗植付部6の連動制御のフローを図11に示す。
まず、左右後輪3,3の後輪車軸31の回転数を伝動軸回転数センサ125で検出し、また基準値N1(旋回開始から機体が90°旋回するまでの内側ドライブシャフト回転信号設定値)、N2(機体が90°旋回してから植付クラッチ「入り」までのドライブシャフト回転信号設定値)、θ1(直進操作時のハンドル切り設定角度の下限値)、θ2(直進操作時のハンドル切り設定角度の上限値)をセットする。
【0036】
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ等の圃場条件の相違に対応するために、前記回転数N1、N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節するθ1の設定ダイヤル126とθ2の設定ダイヤル127とN1の設定ダイヤル128とN2の設定ダイヤル129により、補正値n0を設定する。
【0037】
苗植付部6の植込杆12が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー121の操作に伴う制御装置115の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付部6の作動が「切り」状態に入ってからステアリングハンドル5の切り操作開始までの後輪3の後輪車軸31の回転数nを伝動軸回転数センサ125で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ステアリングハンドル5の切り角度(操舵角度)θをステアリングハンドル5のシャフトに設けた図示しないポテンショメータで検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれかの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
【0038】
左旋回中であると左後輪3の後輪車軸31の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付部6を下げる。この苗植付部6の降下で枕地が均平化される。
【0039】
引き続き、左後輪3の後輪車軸31の回転数を検出して、回転数n2がn2≧N2+n+n0になると、苗植付部6を作動させて苗の植え付けを開始させる。
右旋回の場合にも左旋回時と全く同様の制御が行われる。
【0040】
ステアリングハンドル5の左右側部には、苗箱を載せ置く上苗箱支持枠131と下苗箱支持枠132を乗車機体1から立設する支柱131で支持する苗置部130を設けている。
【0041】
図15と図16には苗置部130の別実施例を示している。ステアリングハンドル5の左右側部において、前後に前支柱135と後支柱136を乗車機体1に立設し、下枠134は前支柱135と後支柱136に固定し、中枠137は前端を前支柱135に枢支した中支持ロッド138に枢支し中フック142を後支柱136の後ピン141に引掛けて水平に保持し、上枠139は後端を後支柱136に枢支した上支持ロッド140に枢支し上フック144を前支柱135の前ピン143に引掛けて水平に保持し、下枠134と中枠137と上枠139で三段に保持するようにしている。そして、図16の如く、中枠137を後ピン141から外してその後端に設ける後フック145を下枠134の前端に引っ掛け、上枠139を前ピン143から外してその前端に設ける前フック146を下枠134の後端に引っ掛けて、中枠137と上枠139を下枠134と同一平面とすることで、苗箱を道路端から滑らせながら積み込むことが出来る。
【0042】
乗車機体1の運転席9後側には、二条分植付装置13へ肥料を供給する肥料タンク29を設けている。この肥料タンク29内には肥料の重量を感知する肥料センサ74を設けている。
【0043】
肥料タンク29の肥料を繰り出す肥料モータの施肥駆動タイミングを制御装置で制御して、走行速度が一定速度以下では苗植付部6の植付と施肥を同時に行い、走行速度が一定速度以上になれば苗植付部6の植付と施肥を交互に行うように制御する。こうすると、肥料が無駄なく苗に供給されるようになる。
【0044】
図18から図20に植付と施肥の動作タイミングをメカ的に行う構成とその動作状態を示している。ギヤケース154に上下スライドで植付クラッチを入・切にする植付クラッチピン165と、回転によって施肥クラッチを入・切にする施肥クラッチシフタ161を設けている。ギヤケース154に取り付けたモータ取付プレート155に植付施肥クラッチモータ156を取り付けている。植付施肥クラッチモータ156の出力軸157に固着する作動アーム158の先端に作動ローラ159を設けて、この作動ローラ159に交互に接触するカム部を形成した施肥クラッチアーム160と植付クラッチアーム166をモータ取付プレート155に立設する枢支ピン164に枢支している。施肥クラッチアーム160は施肥クラッチリンク163と施肥クラッチアーム162で施肥クラッチシフタ161に連結し、植付クラッチアーム166は植付クラッチピン165に連結している。
【0045】
図18の状態は、作動ローラ159が施肥クラッチアーム160のカム部に係合して施肥クラッチシフタ161を回して施肥を行っている状態である。植付施肥クラッチモータ156を駆動して、図19の状態になると作動ローラ159が施肥クラッチアーム160と植付クラッチアーム166のカム部から外れて施肥も植付も行われない状態となる。さらに植付施肥クラッチモータ156が回って図20の状態に作動ローラ159が植付クラッチアーム166のカム部に係合すると植付クラッチピン165をスライドして植付を行う状態になる。
【0046】
次に、苗植付部6の周りの構成を図12から図14で説明する。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成であり、本例では、油圧シリンダ8の引き側で苗植付部6を上昇させる構成としている。そして、昇降用油圧シリンダ8のシリンダ支点軸Q1と昇降リンク機構7のリンク下支点軸Q2とリンク上支点軸Q3とは一枚のプレート15で結び、これらシリンダ支点軸Q1とリンク下支点軸Q2とリンク上支点軸Q3を互いに突っ張ることにより強度をもたせた構成になっている。なお、苗植付部6は操作ボックス4に設ける植付昇降レバー16(図1)で昇降させる。
【0047】
また、この苗植付部6には、左右に往復動する苗載タンク11、一株分の苗を切取って土中に植込む植込杆12を有する二条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地する左サイドフロート14L、右サイドフロート14R、センターフロート14S等を備えている。そして、苗載タンク11内には重量によって苗の量を検出する苗量センサ38を設けている。
【0048】
また、苗載タンク11は苗植付部6のフレームを兼ねる伝動ケース51に基部が固定された矩形状の支持枠体52の支持ローラ52aで受けて左右方向にスライドする構成で、苗載台左右位置センサ72で左右位置を検出し、苗植付部左右傾斜センサ77で左右の傾きを検出する。また、この苗載タンク11は、苗植付部ローリングモータ81で左右傾斜角を変更可能にしている。
【0049】
苗載タンク11の下部は、図17に示す如く、支持枠体52の受け枠150で左右にスライドするように受けている。そしてこの受け枠150のスライド部149にはオイルを自動で供給するようにしている。オイルの供給タイミングは、苗載タンク11側の下部支持レール151に設けた摩擦ローラ148の回転を摩擦回転センサ147で検出し、回転が多くなれば摩擦が大きくなってオイル切れていると判断してオイル供給部を駆動してスライド部149へオイルを供給するようにしている。摩擦回転センサ147は苗載タンク11の底板152に取り付けても良い。
【0050】
苗載タンク11の下部裏側には植込杆12に苗を送る苗送り装置24を設けて、苗送りレバーで送り量を調整する。送り量は苗送りレバー以外でも調整可能にしているが、苗送りレバーを動かすとこの苗送りレバーの位置で送り量を変更する。
【0051】
また、苗載タンク11は、その上部裏側を支持枠体52に横軸で枢支し、左右側部を支持枠体52に着脱可能にすることで、横軸を中心に跳ね上げて苗載タンク11の裏側に設ける苗植付部ローリングモータ81等のメンテナンスを容易にしている。
【0052】
苗植付部6の下部には圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ50(左サイドフロート14Lと右サイドフロート14Rの各々の前方に配置された左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rとセンターフロート14Sの前方に配置された中央整地ロータ50Sを総称する。)が取り付けられている。
【0053】
図12の側面図と図13の背面図に整地ロータ支持構造の要部を示し、図14に左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rと中央整地ロータ50Sと左サイドフロート14Lと右サイドフロート14Rとセンターフロート14Sと二条分植付装置13の要部平面図を示す。
【0054】
苗載タンク11の前記支持枠体52に基部を固着した左アーム52Lと右アーム52Rの先端に回動自在に支持された梁部材53と該梁部材53の両端に固着した左支持アーム54Lと右支持アーム54Rと該左支持アーム54Lと右支持アーム54Rに各々回動自在に取り付けられた左整地ロータ支持フレーム55Lと右整地ロータ支持フレーム55Rが設けられている。該左整地ロータ支持フレーム55Lと右整地ロータ支持フレーム55Rの下端には左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rの左右駆動軸57L,57Rが左軸受け部56Lと右軸受け部56Rで回転自在に支持されて取り付けられている。また、該左整地ロータ支持フレーム55Lと左整地ロータ支持フレーム55Lの下端部近くは伝動ケース51に基部が回動自在に取り付けられた左連結部材58Lと右連結部材58Rが連結されている。
【0055】
そして、左ロー夕支持フレーム55Lと右ロー夕支持フレーム55Rの下端が左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rを回転自在に支持する左軸受け部56Lと右軸受け部56Rは、各左右後輪3,3の左右中心線上の位置になっており、左右後輪3,3により掻き乱された泥面は左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rにより良好に整地され、適切な苗の移植作業が行なえる。
【0056】
また、左右サイドフロート14L,14Rとセンターフロート14Sの配置位置の関係で、センターフロート14Sの前方にある中央整地ロータ50Sは左右サイドフロート14L,14Rの前方にある左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rより前方に配置されている。即ち、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rの左右駆動軸57L,57Rの各々の内側から機体前方に向けて左チェーンケース60Lと左チェーンケース60Lを配置し、該左チェーンケース60Lと右チェーンケース60R間に中央整地ロータ50Sの中央駆動軸57Sを軸支して、中央整地ロータ50Sを設けている。
【0057】
そして、後輪3の左ギヤケース61L内のギアから自在継手59を介して左整地ロータ50Lの左駆動軸57Lに動力を伝達し、該左駆動軸57Lから左チェーンケース60L内のチェーンにて中央整地ロータ50Sの央駆動軸57Sに伝達し、そして、央駆動軸57Sから右チェーンケース60R内のチェーンにて右整地ロータ50Rの右駆動軸57Rに動力を伝達する構成となっている。
【0058】
左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rと中央整地ロータ50Sの駆動を常時回転する駆動軸に嵌合したクラッチスプロケットからのチェーン駆動で行う構造の場合に、クラッチスプロケットの駆動を切ると回転する駆動軸とクラッチスプロケットの嵌合部で空回りが生じるので、このクラッチスプロケットの嵌合部にオイルを供給するために駆動軸側にオイル供給用のスプライン溝を形成することが行われる。
【0059】
左ギヤケース61Lと右ギヤケース61Rには、それぞれミッションケース26内の左サイドクラッチ83Lと右サイドクラッチ83Rから伝動されるので、左右旋回時には旋回内側の駆動が断たれて後輪3の片側の駆動が停止する。
【0060】
また、上記梁部材53に基部が固着されたリンク部材62の先端に上下方向の支持部材63を回動自在に連結し、該支持部材63に設けた複数の係合孔に上部を係合させたスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部はその左右方向中央部が吊り下げられた構成となっている。
【0061】
次に、整地ロータ50を上下位置調節する構成及び収納位置に動かす構成を説明する。
苗載タンク11の前記支持枠体52の左右方向中央部に基部を固定して下方に向けて設けたコ字状体52bに整地ロータ昇降用モータ67を取り付けている。また、整地ロータ昇降用モータ67の下端部には折曲片68が固着されており、整地ロータ昇降用モータ67が機体左右方向に回動すると、支持枠体52のコ字状体52bに回動自在に支持された梁部材53に固着された突出部53aに下方から接当して折曲片68が上下に回動する。
【0062】
折曲片68は前記突出部53aの下方と接当しているので、該突出部53aが整地ロータ昇降用モータ67の機体右方向(図4の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材53を中心として回動する。該梁部材53の上向きの回動により左右支持アーム54L,54Rと左右整地ロータ支持フレーム55L,55Rとが上方に移動するので、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rは上方に移動し、且つ、梁部材53に基部が固着されたリンク部材62と支持部材63も上方に移動しスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部も上方に移動する。
【0063】
逆に、整地ロータ昇降用モータ67を機体左方向に回動すると、折曲片68は前記突出部53aの下方から離れるので整地ロータ50の重みで突出部53aは下向きに梁部材53を中心として回動する。該梁部材53の下向きの回動により左右支持アーム54L,54Rと左右整地ロータ支持フレーム55L,55Rとが下方に移動するので、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rは下方に移動し、且つ、梁部材53に基部が固着されたリンク部材62と支持部材63も下方に移動しスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部も下方に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明実施例の乗用型田植機の側面図である。
【図2】本発明実施例の乗用型田植機の平面図である。
【図3】後輪車軸の拡大側面図である。
【図4】後輪車軸の詳細拡大側断面図である。
【図5】一部の拡大断面図である。
【図6】前輪軸部の拡大正断面図である。
【図7】操向機構の平面図である。
【図8】操向機構の斜視図である。
【図9】ステアリングハンドル周りの斜視図である。
【図10】自動制御の制御ブロック図である。
【図11】旋回連動制御のフローチャート図である。
【図12】苗植付部の拡大側面図である。
【図13】整地ロータの支持部を示す背面図である。
【図14】乗用型田植機の後部平面図である。
【図15】別実施例の苗箱支持枠の側面図である。
【図16】別実施例の苗箱支持枠の変形側面図である。
【図17】苗載タンク下部の部分拡大断面図である。
【図18】施肥と植付の連動機構の実施例平面図である。
【図19】上記の作動状態が異なった実施例平面図である。
【図20】上記の作動状態が異なった実施例平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1乗車機体
2前輪
3後輪
2S前輪サスペンション機構
3S後輪サスペンション機構
115制御装置
125伝動軸回転数センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業者が搭乗して走行しながら農作業や土木作業を行う乗用作業機で旋回後に一連の作業動作を自動で行うようにした乗用作業機において、作業地面の凹凸に関わらず安定した旋回が出来て旋回後の作業動作をタ自動でタイミング良く行えるようにする乗用作業機の走行安定制御に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用水田作業機において、凹凸の激しい圃場を機体の揺動や振動を抑えて安定的に走行するために、機体を支持する四輪の内の後輪を装着した後車軸ケースをサスペンション機構で機体に弾性支持する構成が、例えば、特開2007−89417号公報に記載されている。
【0003】
また、同じく乗用水田作業機において、旋回内側の車輪駆動軸の回転数検出に基づいて、旋回後に例えば旋回前に持ち上げた苗植付部を旋回後に圃場に降下させて苗の植え付けを再開する等の作業動作を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた構成が、特開2004−344020号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2007−89417号公報
【特許文献2】特開2004−344020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の状態は、柔らかく車輪が沈み易かったり逆に固く車輪が浮き上がったりすることが有り、このような圃場で旋回を行うと車輪が滑ることがある。前記の旋回内側の車輪の回転数の検出に基づいて旋回後の作業を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた乗用作業機では、旋回内側の車輪が滑ると例えば旋回前に持ち上げた苗植付部を旋回後に圃場に降下させるタイミングがずれて制御設定通りの植付作業再開が出来なくなる。
【0005】
そこで、本発明では、旋回後に所定の動作を自動的に行わせる旋回連動自動制御装置を設けた乗用作業機において、旋回走行中に旋回内側の車輪が滑らないで旋回後の諸作業動作の自動制御が正確に働くようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、乗車機体(1)を支持する前輪(2),(2)と後輪(3),(3)の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)で支持すると共に、前輪(2),(2)或は後輪(3),(3)の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出して機体の旋回角度を判断する伝動軸回転数センサ(125)を設け、さらに、該前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の弾性支持力を制御すると共に、前記伝動軸回転数センサ(125)の検出回転数から機体が旋回状態であることを判断すると、前記前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更すべく制御する制御装置(115)を設けた乗用作業機とした。
【0007】
この構成で、旋回時に旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更して、旋回角度を判断するための旋回内側の旋回角度検出センサ125が正確に回転数を検出するようになるので、旋回後の諸作業動作の自動制御をタイミング良く行う。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明では、前記前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sが軟らかい圃場や硬い圃場でも旋回時に旋回内側の車輪の弾性支持力を旋回外側の車輪の弾性支持力よりも強く保持されて内側車輪がスリップすることなく、伝動軸回転数センサ125で正確に回転数を検出して旋回後の諸作業動作の自動制御をタイミング良く行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1及び図2は、乗用作業機の実施例として、乗用型の四条植田植機を示すものであり、乗車機体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。乗車機体1上の前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、乗車機体1の後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席9の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。乗車機体1上のエンジンE前方に該乗車機体1の前後方向及び左右方向の傾斜角度を検出する車体傾斜センサ37を設けている。
【0010】
前記ステアリングハンドル5は、これの回動操作によりステアリングポスト17内のステアリング軸18からステアリングケース内を経て減速回転されるステアリング出力軸100、ピットマンアーム101及び左右ロッド102等を介して左右の前輪2,2を操向させ操舵するようになっている。
【0011】
エンジンEの回転動力は、エンジン出力プーリ20からベルト25を介して油圧式無段変速装置(HST)21の入力プーリ22で入力軸23に伝えられ、この入力軸23からこれと同一軸芯上に設けられた伝動軸を介して油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、油圧式無段変速装置21の出力軸からミッションケース26のミッション入力軸に伝えられるようになっている。
【0012】
前記油圧式無段変速装置21は、フロントカバー10の下方に配置してあり、フロントカバー10の上部近傍には、該油圧式無段変速装置21を変速操作する主変速レバー27が配置され、この主変速レバー27の前後方向の操作で油圧式無段変速装置21を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。さらに、フロントカバー10の上部には、ミッションケース26のギア変速を走行・植付・PTOに切り換える副変速レバー28を設けている。
【0013】
図3に示すように、後輪伝動ケース30は、後輪3の後輪車軸31より前側の回動支点軸P回りに上下回動可能に構成している。走行フレーム32には後輪伝動ケース30を下方に向けて回動付勢する後弾発ばね部34を設けてあり、通常の走行時には機体の自重で後弾発ばね部34が縮んで後輪3が上限状態となり、機体の前進で後輪3に所定以上の駆動負荷が生じたときにはその駆動反力により後輪伝動ケース30が下側へ回動して後輪3が下動状態となるよう構成して後輪サスペンション機構3Sを構成している。
【0014】
また、前記後輪伝動ケース30は、後輪車軸31を挟む位置で上下に分割して半割アッパーケース30aと半割ロワーケース30bとからなる構成としてあり、回動支点軸Pを半割ロワーケース30b側に設定すると共に、半割アッパーケース30a側には、独立スイングのストッパー部35を進行方向前側に設けた構成としている。
【0015】
さらに、図4に示すように、走行フレーム32には、後輪車軸31の上下位置を検出する後輪上下位置センサ39を設け、後弾発ばね部34を押し下げる後輪押圧ソレノイド49と半割アッパーケース30aの突起48にロッド47を当てて後輪3の上下動を規制する後輪上下動規制ソレノイド46を設けている。
【0016】
後弾発ばね部34は、図5に示す如く、走行フレーム32のフレーム支持プレート32aと半割アッパーケース30aのケース支持プレート30aaとの間に後外ばね34aと後内ばね34bを介在させて、後内ばね34bの下側を受ける内ばね受座30abを調圧ソレノイド95で後内ばね34bの作用位置と非作用位置に移動切換可能にしている。即ち、弾発力を強くするには調圧ソレノイド95を伸ばして内ばね受座30abを後内ばね34bが作用する位置とし、弾発力を弱くするには調圧ソレノイド95を縮めて後内ばね34bが作用しないようにするのである。
【0017】
なお、回動支点軸Pは、走行フレーム32から下方に突設するブラケット33に軸支してあり、且つ、後輪3の外径内に設定している。要するに、左右後輪の伝動ケース30は、後弾発ばね部34を介して回動支点軸P回りに左右独立的にスイングする後輪サスペンション機構3Sである。
【0018】
次に、図6により左右の前輪2,2の支持構成について説明する。左右のフロントアクスルケース40,40内には左右前輪駆動軸43,43を軸架し、左右フロントアクスルケース40,40の左右端部には左右縦筒体部41a,41aを設け、この左右縦筒体部41a,41aに左右前輪支持ケース42,42を外嵌合し、縦軸回りに回動自在で、且つ、上下動自在に支持している。左右前輪支持ケース42,42内には左右第二前輪駆動軸44,44を軸架し、左右前輪支持ケース42,42の下部には左右前輪軸2a,2aを介して左右前輪2,2を支架している。
【0019】
また、この左右第二前輪駆動軸44,44の上部を縦筒体部41a,41aに挿入し、左右前輪駆動軸43,43側の第一ベベルギヤG1と左右第二前輪駆動軸44,44に上下動自在にスプライン嵌合した第二ベベルギヤG2とを噛み合わせ、左右第二前輪駆動軸44,44の下端部の第三ベベルギヤG3と左右前輪軸2a,2aの第四ベベルギヤG4,G4とを噛み合わせている。また、縦筒体部41a,41aの上部空間筒部42a,42aに前外バネ45aと前内ばね45bからなる前弾発ばね部45を内装し、左右第二前輪駆動軸44,44を下方に押圧付勢し、左右前輪支持ケース42,42が上下動しても左右前輪2,2に動力を伝達するように構成している。
【0020】
前弾発ばね部45は、縦筒体部41aの上内壁と左右第二前輪駆動軸44の受座98との間に前外バネ45aと前内ばね45bを介在して弾発し、前内ばね45bの前内ばね受座97は前調圧ソレノイド96のロッド先端に取り付け、弾発力を強くするには前調圧ソレノイド96を伸ばして前内ばね受座97を前内ばね45bが作用する位置とし、弾発力を弱くするには前調圧ソレノイド96を縮めて前内ばね45bが作用しないようにするのである。
【0021】
左右フロントアクスルケース40,40と左右前輪支持ケース42,42との間に左右前輪支持ケース42,42の上下動で前輪2の動きを検出する前輪上下位置センサ69を設けている。
【0022】
ここで、ステアリングハンドル5にて前輪2,2が操向操作される部分の構成について図7と図8に基づいて説明する。
ステアリングハンドル5は、ステアリングポスト17内に設けられたステアリング軸上部に固定されており、ステアリング軸の回転はミッションケース26内に設けられたステアリング変速歯車を介して減速されてステアリング出力軸100に伝動される。そして、ステアリング出力軸100の下端は、ミッションケース26底面から突出してピットマンアーム101が固定されている。該ピットマンアーム101の前部左右側と左右前輪支持ケース19(図1)とは左右ロッド102,102にて連結されている。
【0023】
従って、ステアリングハンドル5を回動操作すると、ステアリング軸、ステアリング変速歯車、ステアリング出力軸100、ピットマンアーム101、左右ロッド102,102、左右前輪支持ケース19,19へと伝達されて、左右前輪6、6が左右に操向操作される。
【0024】
一方、ピットマンアーム101の後部上面には、作動ローラ103が回転自在に設けられており、その作動ローラ103の左右両側を囲むように平面視でコ字状に切り欠かれた切欠き部104を有する従動体105がミッションケース26の底面に回動自在に支持されている。そして、従動体105の左右両側部には、前記左右クラッチ操作アーム107,107に連結された左右ロッド106,106の前部が連結されている。従って、ステアリングハンドル5を所定量(機体を右旋回させる意思を持って作業者が右に回す量)以上右に回すと、ピットマンアーム101も右回動し、作動ローラ103が(ハ)方向に回動し従動体105の切欠き部104の左側面104aを押すために、従動体105を(ニ)方向に回動させ右ロッド106を引き、右クラッチ操作アーム107が操作されて右サイドクラッチが切れ、旋回中心側の右後輪3が遊転状態となるので、右後輪3が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒らしてしまうようなこともなく、右旋回がスムーズできれいにできる。
【0025】
逆に、ステアリングハンドル5を所定量以上左に回すと、ピットマンアーム101も左回動し、作動ローラ103が反(ハ)方向に回動し、従動体105の切欠き部104の右側面104bを押すために、従動体105を反(ニ)方向に回動させ、左ロッド106を引き、左クラッチ操作アーム107が操作されて左サイドクラッチが切れ、旋回中心側の左後輪3が遊転状態となるので、左後輪3が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒らしてしまうようなこともなく、左旋回がスムーズできれいにできる。
【0026】
更に、ピットマンアーム101の前部上面には、左右センサ押片108,108が設けられており、ステアリングハンドル5を左右何れかに200度回転させると、ミッションケース26の底面に固定されたオートリフトスイッチ109(図10)がONになる(ステアリングハンドル5は左右に最大360度〜400度回転する)。
【0027】
次に、後進時に苗植付部6を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、図9に示すように、チェーンジレバー98を後進速に操作すると、チェーンジレバー98の基部に設けた接当片110が接当してONになるバックリフトスイッチ111が設けられており、制御装置115(図10)の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ116を制御して油圧シリンダ117にて苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0028】
このように、チェーンジレバー98を後進速に操作すると、自動的に苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付部6は最大位置まで上昇しているので、苗植付部6が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0029】
また、前記ステアリングハンドル5を左右何れかに200度回転させて図10に示すオートリフトスイッチ109がONになると、制御装置115の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ116を制御して油圧シリンダ117にて苗植付部6を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0030】
このように、畦際で機体を旋回させるためにステアリングハンドル16を左右何れかに最大限まで回転させると、オートリフトスイッチ109がONになり、自動的に苗植付部6は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付部6を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
【0031】
さらに、オートリフトスイッチ109は左右にそれぞれ設けて、旋回内側の前輪サスペンション機構2Sの前弾発ばね部45と後輪サスペンション機構3Sの後弾発ばね部34の弾発支持力を旋回外側の弾発支持力より相対的に強く調整する。例えば、右側のオートリフトスイッチ109がONすると左側前弾発ばね部45の前調圧ソレノイド96を作動させて前内ばね45bを非作用状態にして弾発支持力を弱くし、同時に左側後弾発ばね部34の調圧ソレノイド95を作動させて後内ばね34bを非作用状態にして弾発支持力を弱くする。逆に、左右の前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sの前内ばね45bと後内ばね34bを非作用にしておいて、旋回時に内側の前内ばね45bと後内ばね34bを作用させて旋回内側の弾発支持力を強くするようにしても良い。
【0032】
このように、旋回内側の前輪サスペンション機構2Sの前弾発ばね部45と後輪サスペンション機構3Sの後弾発ばね部34の弾発支持力を旋回外側の弾発支持力より相対的に強く調整することで、後述する伝動軸回転数センサ125が検出する旋回回転数が正確となり、苗植付部6を圃場に降下するタイミングを良くする。
【0033】
また、前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sは、大きな凹凸圃場を走行して乗車機体1が大きく上下する場合や平坦な圃場で乗車機体1がほとんど上下しない場合にもその弾発支持力を強くすることでより安定する。
【0034】
なお、前輪サスペンション機構2Sと後輪サスペンション機構3Sは、エアーサスペンションに構成し、エアー圧を調整することで弾性支持力を変更する構成にしても良い。
一方、操作ボックス4には、苗植付部6の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替えスイッチ113が設けられており、即ち、自動リフト切替えスイッチ113を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ111がONになるかオートリフトスイッチ109がONになると自動的に苗植付部6は制御装置115の田植装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替えスイッチ113をOFFにしていると、バックリフトスイッチ111がONになってもオートリフトスイッチ109がONになっても苗植付部6は自動上昇されない。
【0035】
次に、ステアリングハンドル5の旋回操作に伴う苗植付部6の連動制御のフローを図11に示す。
まず、左右後輪3,3の後輪車軸31の回転数を伝動軸回転数センサ125で検出し、また基準値N1(旋回開始から機体が90°旋回するまでの内側ドライブシャフト回転信号設定値)、N2(機体が90°旋回してから植付クラッチ「入り」までのドライブシャフト回転信号設定値)、θ1(直進操作時のハンドル切り設定角度の下限値)、θ2(直進操作時のハンドル切り設定角度の上限値)をセットする。
【0036】
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ等の圃場条件の相違に対応するために、前記回転数N1、N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節するθ1の設定ダイヤル126とθ2の設定ダイヤル127とN1の設定ダイヤル128とN2の設定ダイヤル129により、補正値n0を設定する。
【0037】
苗植付部6の植込杆12が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー121の操作に伴う制御装置115の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付部6の作動が「切り」状態に入ってからステアリングハンドル5の切り操作開始までの後輪3の後輪車軸31の回転数nを伝動軸回転数センサ125で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ステアリングハンドル5の切り角度(操舵角度)θをステアリングハンドル5のシャフトに設けた図示しないポテンショメータで検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれかの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
【0038】
左旋回中であると左後輪3の後輪車軸31の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付部6を下げる。この苗植付部6の降下で枕地が均平化される。
【0039】
引き続き、左後輪3の後輪車軸31の回転数を検出して、回転数n2がn2≧N2+n+n0になると、苗植付部6を作動させて苗の植え付けを開始させる。
右旋回の場合にも左旋回時と全く同様の制御が行われる。
【0040】
ステアリングハンドル5の左右側部には、苗箱を載せ置く上苗箱支持枠131と下苗箱支持枠132を乗車機体1から立設する支柱131で支持する苗置部130を設けている。
【0041】
図15と図16には苗置部130の別実施例を示している。ステアリングハンドル5の左右側部において、前後に前支柱135と後支柱136を乗車機体1に立設し、下枠134は前支柱135と後支柱136に固定し、中枠137は前端を前支柱135に枢支した中支持ロッド138に枢支し中フック142を後支柱136の後ピン141に引掛けて水平に保持し、上枠139は後端を後支柱136に枢支した上支持ロッド140に枢支し上フック144を前支柱135の前ピン143に引掛けて水平に保持し、下枠134と中枠137と上枠139で三段に保持するようにしている。そして、図16の如く、中枠137を後ピン141から外してその後端に設ける後フック145を下枠134の前端に引っ掛け、上枠139を前ピン143から外してその前端に設ける前フック146を下枠134の後端に引っ掛けて、中枠137と上枠139を下枠134と同一平面とすることで、苗箱を道路端から滑らせながら積み込むことが出来る。
【0042】
乗車機体1の運転席9後側には、二条分植付装置13へ肥料を供給する肥料タンク29を設けている。この肥料タンク29内には肥料の重量を感知する肥料センサ74を設けている。
【0043】
肥料タンク29の肥料を繰り出す肥料モータの施肥駆動タイミングを制御装置で制御して、走行速度が一定速度以下では苗植付部6の植付と施肥を同時に行い、走行速度が一定速度以上になれば苗植付部6の植付と施肥を交互に行うように制御する。こうすると、肥料が無駄なく苗に供給されるようになる。
【0044】
図18から図20に植付と施肥の動作タイミングをメカ的に行う構成とその動作状態を示している。ギヤケース154に上下スライドで植付クラッチを入・切にする植付クラッチピン165と、回転によって施肥クラッチを入・切にする施肥クラッチシフタ161を設けている。ギヤケース154に取り付けたモータ取付プレート155に植付施肥クラッチモータ156を取り付けている。植付施肥クラッチモータ156の出力軸157に固着する作動アーム158の先端に作動ローラ159を設けて、この作動ローラ159に交互に接触するカム部を形成した施肥クラッチアーム160と植付クラッチアーム166をモータ取付プレート155に立設する枢支ピン164に枢支している。施肥クラッチアーム160は施肥クラッチリンク163と施肥クラッチアーム162で施肥クラッチシフタ161に連結し、植付クラッチアーム166は植付クラッチピン165に連結している。
【0045】
図18の状態は、作動ローラ159が施肥クラッチアーム160のカム部に係合して施肥クラッチシフタ161を回して施肥を行っている状態である。植付施肥クラッチモータ156を駆動して、図19の状態になると作動ローラ159が施肥クラッチアーム160と植付クラッチアーム166のカム部から外れて施肥も植付も行われない状態となる。さらに植付施肥クラッチモータ156が回って図20の状態に作動ローラ159が植付クラッチアーム166のカム部に係合すると植付クラッチピン165をスライドして植付を行う状態になる。
【0046】
次に、苗植付部6の周りの構成を図12から図14で説明する。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成であり、本例では、油圧シリンダ8の引き側で苗植付部6を上昇させる構成としている。そして、昇降用油圧シリンダ8のシリンダ支点軸Q1と昇降リンク機構7のリンク下支点軸Q2とリンク上支点軸Q3とは一枚のプレート15で結び、これらシリンダ支点軸Q1とリンク下支点軸Q2とリンク上支点軸Q3を互いに突っ張ることにより強度をもたせた構成になっている。なお、苗植付部6は操作ボックス4に設ける植付昇降レバー16(図1)で昇降させる。
【0047】
また、この苗植付部6には、左右に往復動する苗載タンク11、一株分の苗を切取って土中に植込む植込杆12を有する二条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地する左サイドフロート14L、右サイドフロート14R、センターフロート14S等を備えている。そして、苗載タンク11内には重量によって苗の量を検出する苗量センサ38を設けている。
【0048】
また、苗載タンク11は苗植付部6のフレームを兼ねる伝動ケース51に基部が固定された矩形状の支持枠体52の支持ローラ52aで受けて左右方向にスライドする構成で、苗載台左右位置センサ72で左右位置を検出し、苗植付部左右傾斜センサ77で左右の傾きを検出する。また、この苗載タンク11は、苗植付部ローリングモータ81で左右傾斜角を変更可能にしている。
【0049】
苗載タンク11の下部は、図17に示す如く、支持枠体52の受け枠150で左右にスライドするように受けている。そしてこの受け枠150のスライド部149にはオイルを自動で供給するようにしている。オイルの供給タイミングは、苗載タンク11側の下部支持レール151に設けた摩擦ローラ148の回転を摩擦回転センサ147で検出し、回転が多くなれば摩擦が大きくなってオイル切れていると判断してオイル供給部を駆動してスライド部149へオイルを供給するようにしている。摩擦回転センサ147は苗載タンク11の底板152に取り付けても良い。
【0050】
苗載タンク11の下部裏側には植込杆12に苗を送る苗送り装置24を設けて、苗送りレバーで送り量を調整する。送り量は苗送りレバー以外でも調整可能にしているが、苗送りレバーを動かすとこの苗送りレバーの位置で送り量を変更する。
【0051】
また、苗載タンク11は、その上部裏側を支持枠体52に横軸で枢支し、左右側部を支持枠体52に着脱可能にすることで、横軸を中心に跳ね上げて苗載タンク11の裏側に設ける苗植付部ローリングモータ81等のメンテナンスを容易にしている。
【0052】
苗植付部6の下部には圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ50(左サイドフロート14Lと右サイドフロート14Rの各々の前方に配置された左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rとセンターフロート14Sの前方に配置された中央整地ロータ50Sを総称する。)が取り付けられている。
【0053】
図12の側面図と図13の背面図に整地ロータ支持構造の要部を示し、図14に左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rと中央整地ロータ50Sと左サイドフロート14Lと右サイドフロート14Rとセンターフロート14Sと二条分植付装置13の要部平面図を示す。
【0054】
苗載タンク11の前記支持枠体52に基部を固着した左アーム52Lと右アーム52Rの先端に回動自在に支持された梁部材53と該梁部材53の両端に固着した左支持アーム54Lと右支持アーム54Rと該左支持アーム54Lと右支持アーム54Rに各々回動自在に取り付けられた左整地ロータ支持フレーム55Lと右整地ロータ支持フレーム55Rが設けられている。該左整地ロータ支持フレーム55Lと右整地ロータ支持フレーム55Rの下端には左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rの左右駆動軸57L,57Rが左軸受け部56Lと右軸受け部56Rで回転自在に支持されて取り付けられている。また、該左整地ロータ支持フレーム55Lと左整地ロータ支持フレーム55Lの下端部近くは伝動ケース51に基部が回動自在に取り付けられた左連結部材58Lと右連結部材58Rが連結されている。
【0055】
そして、左ロー夕支持フレーム55Lと右ロー夕支持フレーム55Rの下端が左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rを回転自在に支持する左軸受け部56Lと右軸受け部56Rは、各左右後輪3,3の左右中心線上の位置になっており、左右後輪3,3により掻き乱された泥面は左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rにより良好に整地され、適切な苗の移植作業が行なえる。
【0056】
また、左右サイドフロート14L,14Rとセンターフロート14Sの配置位置の関係で、センターフロート14Sの前方にある中央整地ロータ50Sは左右サイドフロート14L,14Rの前方にある左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rより前方に配置されている。即ち、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rの左右駆動軸57L,57Rの各々の内側から機体前方に向けて左チェーンケース60Lと左チェーンケース60Lを配置し、該左チェーンケース60Lと右チェーンケース60R間に中央整地ロータ50Sの中央駆動軸57Sを軸支して、中央整地ロータ50Sを設けている。
【0057】
そして、後輪3の左ギヤケース61L内のギアから自在継手59を介して左整地ロータ50Lの左駆動軸57Lに動力を伝達し、該左駆動軸57Lから左チェーンケース60L内のチェーンにて中央整地ロータ50Sの央駆動軸57Sに伝達し、そして、央駆動軸57Sから右チェーンケース60R内のチェーンにて右整地ロータ50Rの右駆動軸57Rに動力を伝達する構成となっている。
【0058】
左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rと中央整地ロータ50Sの駆動を常時回転する駆動軸に嵌合したクラッチスプロケットからのチェーン駆動で行う構造の場合に、クラッチスプロケットの駆動を切ると回転する駆動軸とクラッチスプロケットの嵌合部で空回りが生じるので、このクラッチスプロケットの嵌合部にオイルを供給するために駆動軸側にオイル供給用のスプライン溝を形成することが行われる。
【0059】
左ギヤケース61Lと右ギヤケース61Rには、それぞれミッションケース26内の左サイドクラッチ83Lと右サイドクラッチ83Rから伝動されるので、左右旋回時には旋回内側の駆動が断たれて後輪3の片側の駆動が停止する。
【0060】
また、上記梁部材53に基部が固着されたリンク部材62の先端に上下方向の支持部材63を回動自在に連結し、該支持部材63に設けた複数の係合孔に上部を係合させたスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部はその左右方向中央部が吊り下げられた構成となっている。
【0061】
次に、整地ロータ50を上下位置調節する構成及び収納位置に動かす構成を説明する。
苗載タンク11の前記支持枠体52の左右方向中央部に基部を固定して下方に向けて設けたコ字状体52bに整地ロータ昇降用モータ67を取り付けている。また、整地ロータ昇降用モータ67の下端部には折曲片68が固着されており、整地ロータ昇降用モータ67が機体左右方向に回動すると、支持枠体52のコ字状体52bに回動自在に支持された梁部材53に固着された突出部53aに下方から接当して折曲片68が上下に回動する。
【0062】
折曲片68は前記突出部53aの下方と接当しているので、該突出部53aが整地ロータ昇降用モータ67の機体右方向(図4の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材53を中心として回動する。該梁部材53の上向きの回動により左右支持アーム54L,54Rと左右整地ロータ支持フレーム55L,55Rとが上方に移動するので、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rは上方に移動し、且つ、梁部材53に基部が固着されたリンク部材62と支持部材63も上方に移動しスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部も上方に移動する。
【0063】
逆に、整地ロータ昇降用モータ67を機体左方向に回動すると、折曲片68は前記突出部53aの下方から離れるので整地ロータ50の重みで突出部53aは下向きに梁部材53を中心として回動する。該梁部材53の下向きの回動により左右支持アーム54L,54Rと左右整地ロータ支持フレーム55L,55Rとが下方に移動するので、左整地ロータ50Lと右整地ロータ50Rは下方に移動し、且つ、梁部材53に基部が固着されたリンク部材62と支持部材63も下方に移動しスプリング64を介して、中央整地ロータ50Sの前部も下方に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明実施例の乗用型田植機の側面図である。
【図2】本発明実施例の乗用型田植機の平面図である。
【図3】後輪車軸の拡大側面図である。
【図4】後輪車軸の詳細拡大側断面図である。
【図5】一部の拡大断面図である。
【図6】前輪軸部の拡大正断面図である。
【図7】操向機構の平面図である。
【図8】操向機構の斜視図である。
【図9】ステアリングハンドル周りの斜視図である。
【図10】自動制御の制御ブロック図である。
【図11】旋回連動制御のフローチャート図である。
【図12】苗植付部の拡大側面図である。
【図13】整地ロータの支持部を示す背面図である。
【図14】乗用型田植機の後部平面図である。
【図15】別実施例の苗箱支持枠の側面図である。
【図16】別実施例の苗箱支持枠の変形側面図である。
【図17】苗載タンク下部の部分拡大断面図である。
【図18】施肥と植付の連動機構の実施例平面図である。
【図19】上記の作動状態が異なった実施例平面図である。
【図20】上記の作動状態が異なった実施例平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1乗車機体
2前輪
3後輪
2S前輪サスペンション機構
3S後輪サスペンション機構
115制御装置
125伝動軸回転数センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車機体(1)を支持する前輪(2),(2)と後輪(3),(3)の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)で支持すると共に、前輪(2),(2)或は後輪(3),(3)の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出して機体の旋回角度を判断する伝動軸回転数センサ(125)を設け、さらに、該前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の弾性支持力を制御すると共に、前記伝動軸回転数センサ(125)の検出回転数から機体が旋回状態であることを判断すると、前記前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更すべく制御する制御装置(115)を設けた乗用作業機。
【請求項1】
乗車機体(1)を支持する前輪(2),(2)と後輪(3),(3)の四輪を弾性支持力の調整可能な前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)で支持すると共に、前輪(2),(2)或は後輪(3),(3)の左右に旋回時の内側車軸回転数を検出して機体の旋回角度を判断する伝動軸回転数センサ(125)を設け、さらに、該前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の弾性支持力を制御すると共に、前記伝動軸回転数センサ(125)の検出回転数から機体が旋回状態であることを判断すると、前記前輪サスペンション機構(2S)と後輪サスペンション機構(3S)の旋回内側の弾性支持力を旋回外側の弾性支持力に対して相対的に大きくなるように変更すべく制御する制御装置(115)を設けた乗用作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−100170(P2010−100170A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273326(P2008−273326)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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