説明

作業機

【課題】 本発明は、圃場状況や作業条件に対応して、整地ロータによる整地作用を適正に得られるようにすることを課題とする。
【解決手段】 走行車体の後側に昇降可能に作業部を設け、整地ロータを有する整地装置を作業部に設け、走行車体の走行速度に対する整地ロータの回転速度を変更するロータ変速装置を設け、畦際の近くでの作業であることを判別する畦際作業判別装置を設け、畦際作業判別装置により畦際の近くでの作業であることを判別されるのに連動してロータ変速装置を高速側に切り換える連動装置を設けた作業機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、整地装置を有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
苗植付部である作業部を備えた苗移植機である作業機において、苗植付部による苗植付の直前で圃場を均平化するための整地装置を備えたものが知られている。この整地装置は、中央と左右の計3箇所に整地ロータを備えて構成され、該整地ロータは、走行車体の走行速度に対する一定の速度比で回転して駆動する構成となっている(特許文献1参照)。
【0003】
(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−5739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術によると、整地ロータは、走行車体の走行速度に対する一定の速度比で回転して駆動するので、畦際の近く等の著しく荒れている圃場においては、整地ロータの回転速度が所望よりも低いために、十分に整地作用が得られないことが考えられる。逆に、あまり荒れていない圃場においては、整地ロータの回転速度が所望よりも高いために、整地ロータにより圃場を逆に荒らしたり、整地ロータの駆動で発生する泥流や水流が激しくなって作業部による作業に悪影響を与えたりすることが考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、圃場状況や作業条件に対応して、整地ロータによる整地作用を適正に得られるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行車体(2)の後側に昇降可能に作業部(4)を設け、整地ロータ(27)を有する整地装置(A)を作業部(4)に設け、走行車体(2)の走行速度に対する整地ロータ(27)の回転速度を変更するロータ変速装置(B)を設け、畦際の近くでの作業であることを判別する畦際作業判別装置を設け、畦際作業判別装置により畦際の近くでの作業であることを判別されるのに連動してロータ変速装置(B)を高速側に切り換える連動装置を設けた作業機とした。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、次行程の指標となる圃場面に線を引く線引きマーカ(48)を設け、畦際作業判別装置は、線引きマーカ(48)が線引きしない状態であると畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1に記載の作業機とした。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、畦際作業判別装置は、作業部(4)により作業を行った後、機体が180度に満たない所定の旋回角度で旋回した状態で整地装置(A)により整地作業を行う場合、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1又は請求項2に記載の作業機とした。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、作業部(4)を圃場面に追従させて昇降制御する構成とし、畦際作業判別装置は、前記昇降制御の制御感度が鈍感側に設定されていると、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の作業機とした。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、作業部(4)は、複数の苗植付装置(25)により複数条に苗を植え付ける構成とし、複数の苗植付装置(25)のうちの一部の苗植付装置(25)への伝動を断つ植付ユニットクラッチ(130)を複数設け、畦際作業判別装置は、複数の植付ユニットクラッチ(130)のうちの少なくとも何れか1個が非伝動状態であると、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の作業機とした。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、機体の旋回時にはロータ変速装置(B)により自動的に整地ロータ(27)の駆動を停止する構成とし、ロータ変速装置(B)により整地ロータ(27)が駆動停止状態になると、全ての植付ユニットクラッチ(130)を伝動状態へ切り替える自動復帰装置を設けた請求項5に記載の作業機とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、圃場の荒れが激しい畦際の近くでは、整地ロータ(27)の回転速度が高速となるので、確実な整地作用を得ることができる。畦際の近く以外のあまり荒れていない圃場においては、整地ロータ(27)の回転速度が低速となるので、整地ロータ(27)により圃場を逆に荒らしたり、整地ロータ(27)の駆動で発生する泥流や水流が激しくなって作業部(4)による作業に悪影響を与えたりするようなことを防止できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、線引きマーカ(48)が線引きしない状態であることに基づいて、畦際の近くでの作業と判別することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、作業部(4)により作業を行った後、機体が180度に満たない所定の旋回角度で旋回し、その後に整地装置(A)により整地作業を行う場合、畦際の近くでの作業と判別することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明の効果に加えて、作業部(4)の昇降制御の制御感度が鈍感側に設定されていることに基づいて、畦際の近くでの作業と判別することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明の効果に加えて、複数の植付ユニットクラッチ(130)のうちの少なくとも何れか1個が非伝動状態であることに基づいて、畦際の近くでの作業と判別することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、機体の旋回時にロータ変速装置(B)により整地ロータ(27)が駆動停止状態にすると、全ての植付ユニットクラッチ(130)を伝動状態へ自動的に切り替え、植付ユニットクラッチ(130)を伝動状態へ切り替えるのを忘れて機体の旋回後に不適正な作業を行うようなことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】乗用型田植機の畦クラッチと苗送りベルトへの動力伝動入切装置の要部の背面図である。
【図4】乗用型田植機の畦クラッチとその作動用のケーブルの接続部の構成図である。
【図5】乗用型田植機の苗送りベルトとその作動用のケーブルの接続部の構成図である。
【図6】苗植付部の要部側面図である。
【図7】苗載台の支持構造の要部背面図である。
【図8】苗植付部の要部平面図である。
【図9】苗植付部のロータの2段切換クラッチ機構の構成図(図9(a))と図9(a)のS方向からの矢視図(図9(b))である。
【図10】一実施例の苗植付部の昇降装置付近の側面図である。
【図11】ロータ変速装置の変形例の一部断面図である。
【図12】変形例のロータ変速装置の一部断面図である。
【図13】ロータ変速装置の変形例(電動モータ使用)のロータ整地装置である。
【図14】乗用型田植機の制御ブロック図である。
【図15】操作盤の正面図である。
【図16】操作盤に設置可能なロータ高さ調整ダイヤルである。
【図17】センタフロートの上下方向の位置を植付深さモータの駆動機構図である。
【図18】ロータの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0021】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0022】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。尚、植付クラッチケース25内には、疎植用の広い植付株間で植え付けるために苗植付部4へ不等速伝動するための疎植伝動切替装置285を設けている。
【0023】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0024】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
一方の側(図2には左側の例を示す)の予備苗載台38はそれぞれ傾斜支持部材で三段に構成されている。最上段の第1予備苗載台38aの中央部側面と第2予備苗載台38bの最前部側面がそれぞれ回動自在に第1移動リンク部材39aの両端で支持され、また最上段の第1予備苗載台38aの最後部側面と第2予備苗載台38bの中央部側面と第三予備苗載台38cの最前部側面がそれぞれ回動自在に第2移動リンク部材39bの両端と中央部に支持され、また第2予備苗載台38bの後部側面と最下段の第三予備苗載台38cの最前部側面とがそれぞれ回動自在に第三移動リンク部材39cの両端で支持されている。
【0025】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0026】
座席31の近傍に配置される操作盤150には、旋回時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御機構として、ハンドル34を左右いずれかの方向に200度回転させたときに自動リフト切換スイッチ151をオンにしていると制御装置200による指令で油圧バルブを切り替えて油圧シリンダ46を作動させ苗植付部4を上昇させる構成を備えている。
【0027】
なお、前記苗植付深さの調節は、図14に示す植付深さ調節ダイヤル158と前後進変速レバーセンサ166の操作量に応じて制御装置200によりセンタフロート55の上下方向の位置を植付深さモータ207(図17)の駆動を制御して行う。
【0028】
すなわち、センタフロート55の前後にはそれぞれ前部アーム231と後部アーム218が回動自在に取り付けられており、後部アーム218の先端にはギヤ216aを備えたアーム216が固着している。該アーム216のギヤ216aは植付深さモータ207の駆動力で回転するギヤ214と噛合している。
【0029】
また、センタフロート55の前部には上向きの前部アーム231の基部が回動自在に接続し、アーム231の先端部は平行リンクの上側リンク221の中間部に回動自在に連結している。平行リンクの上側リンク221と下側リンク222は縦方向に設けられる小ロッド220と大ロッド223に平行移動自在に連結している。
【0030】
大ロッド223の上端部側にはフロート迎角センサ224が固定されている。また大ロッド223の下端部側にはスプリング226とアーム227の各下端部をそれぞれ連結した支持アーム225が回動自在に連結している。フロート迎角センサ224には揺動アーム228の基部が回動自在に連結し、揺動アーム228の先端にはアーム227の上端部が回動自在に連結している。また、スプリング226の上端部はケーブル230の下端部に接続し、該ケーブル230は大ロッド223と一体の取付板229に支持固定されている。また、平行リンクの下側リンク222には、ねじ付きアーム219の前端部が回動自在に連結し、ねじ付きアーム219の後端部がアーム216の中間部に回動自在に連結している。なお、ねじ付きアーム219の前端部のねじ部分でねじ付きアーム219の長さを調節可能になっている。
【0031】
上記構成からなるセンタフロート55が圃場面に対応して、その前後方向の傾きが変化するとポテンショメータからなるフロート迎角センサ224に回動自在に設けられた揺動アーム228の揺動角度に応じた出力がフロート迎角センサ224で検知できるのでフロート55の前後方向の傾斜角度が分かる。通常の植付時は、前記傾斜角度が目標値となるよう、制御装置200により油圧バルブを制御して苗植付部4を昇降制御し、苗植付部4の対地高さを所望に維持させる。
【0032】
また、前記傾斜角度の目標値を変更することにより、苗植付部4の昇降制御の制御感度を変更する感度設定ダイヤル(感度設定装置)283を設けている。これにより、前記目標値がフロートの前下がり側に設定されれば制御感度が敏感になり、前記目標値がフロートの前上がり側に設定されれば制御感度が鈍感になる。
【0033】
また圃場への苗の植付深さの調節量を植付深さ調節ダイヤル158で設定し、その植付深さの調節量に応じて制御装置200が植付深さモータ(図示せず)207を駆動させると、後部アーム218が矢印方向に回動するのでセンタフロート55の後部側の沈み込み量に応じて苗植付装置52の苗植付深さが決まる。
【0034】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における指標となる機体走行経路の中央の表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ48等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動がフロート迎角センサ224により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0035】
左右一対の線引きマーカ48は、マーカ用電動モータにより機体側方に倒伏して圃場面に突入する線引き状態と、起立して対地浮上する非線引き状態とに切り替えられる。尚、線引きマーカ48は、苗植付部4の上昇に連動してマーカ用電動モータにより必ず非線引き状態に切り替えられ、苗植付部4が下降した状態でのみ線引き状態に切替できる構成となっている。操作盤150には線引きマーカ48の作動パターンを切り替えるスイッチ165を設けており、該スイッチ165を「自動」位置に操作すると、未作業(未植付)側の線引きマーカ48のみが線引き状態となるよう、機体の旋回に連動して線引きする線引きマーか48を自動的に切り替える。スイッチ165を「切」位置に操作すると、左右の線引きマーカ48が共に非線引き状態になる。
【0036】
ところで、操縦席31の左側には、走行速度に対する苗植付部の駆動速度を変更して植付株間を変更する植付株間レバー286を設けている。この植付株間レバー286を操作して疎植用の株間設定に切り替えると、疎植伝動切替装置285が苗植付部4へ不等速伝動する状態に切り替えられると共に、無段変速装置(HST)23を変速操作して走行速度を変速する変速レバー287の操作荷重が大きくなる。尚、変速レバー287の操作荷重の変更は、植付株間レバー286の操作で連動用のケーブルを介して変速レバー287の回動軸上に設けたブレーキライニングの押付力を変更することにより行う。これにより、疎植時には走行速度の急激な加減速が抑えられるので、苗植付部4を不等速で作動させることによる激しい脈動を防止することができる。尚、変速レバー287の操作に基づいて変速アクチュエータを介して走行速度を変速操作する構成の場合は、疎植時に変速アクチュエータの作動速度すなわち変速操作速度を遅くすることにより同様の効果を得ることができる。また、変速レバー287の操作に基づいて無段変速装置(HST)23だけでなくエンジン回転数も変更されるオートアクセル機能を有する場合、疎植時には、変速レバー287の操作位置に対するエンジンの設定回転数を低くし、変速レバー287の操作量に対するエンジン回転数の変化量が小さくなるように、疎植用のエンジン回転数の設定モードを設定するとよい。これによれば、変速レバー287の最高速位置に操作したときの走行速度の最高速を低く抑えることができる。尚、エンジン回転数は、スロットルを操作するスロットルモータや、電子燃料噴射制御により制御することができる。
【0037】
また、ミッションケース12内のギヤ切替式の副変速装置を操作する副変速レバー288を設け、該副変速レバー288の操作により、路上走行用の速い走行速となる移動速と、植付作業用の遅い走行速となる植付速に切替できる構成となっている。そして、副変速レバー288の操作位置を検出する副変速レバーセンサを設け、植付速のときは変速レバー287の操作量に対するエンジン回転数の変化量が大きくなるようエンジン回転数を設定し、移動速のときは変速レバー287の操作量に対するエンジン回転数の変化量が小さくなるようエンジン回転数を設定すれば、植付作業時の作業負荷に対抗して所望の走行駆動力を得ることができると共に、路上走行時は急激な加減速を防止し燃費向上も図ることができる。尚、上述は、植付速のときにエンジン回転数の変化量が大きくなるようにしたが、植付作業をフロート迎角センサ224によるフロートの接地により判別し、フロートが接地しているときにエンジン回転数の変化量が大きくなる構成とすればよい。尚、植付作業を判別する手段としては、後述する旋回後の苗の植始めの位置を後輪11の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モード)に設定されているときや、線引きマーカ48の作動パターンを切り替えるスイッチ165が「自動」位置に操作されているとき等があり、以上の植付作業を判別する複数の手段が同時に植付作業と判別するときにのみ、エンジン回転数の変化量が大きくなるように構成してもよい。
【0038】
また、植付装置52の作動及び停止を隣接する2条づつの単位で切り替える植付ユニットクラッチ130が設けられている。このクラッチ130は、畦際での作業時に「切」に操作されることが多いことから、通常「畦クラッチ」と呼んでいる。畦クラッチ130の入・切操作は、ハンドルポストに設けた畦クラッチレバー14で行う。
【0039】
本実施例の伝動ケース50内には、苗植付装置52、…の作動を2条づつの単位で入り・切りする計3個の畦クラッチ130が設けられている。
図3には畦クラッチ130と苗送りベルト51bへの動力伝動入切装置の要部の背面図を示す。畦クラッチレバー14で作動制御される畦クラッチ作動用のケーブル131は苗植付部4までは3本(6条植えの場合)であるが、本実施例では該ケーブル131を作動させると同時に苗送りベルト51bを作動させ、また同時に非作動させる構成にする。
【0040】
苗載台51の裏面に配置される図示しないフレームには畦クラッチ作動用の3つの畦クラッチ操作部133をそれぞれ固定し、該畦クラッチ操作部133にはそれぞれ揺動アーム134を設け、該揺動アーム134の中心部を回転支点として、該アーム134の一端に各畦クラッチ作動用のケーブル131を連結する。また揺動アーム134の他端に苗送りベルト51b作動用のケーブル135の先端を固定する。
【0041】
また、図4には畦クラッチ130とその作動用のケーブル131の接続部を示し、図5には苗送りベルト51bとその作動用のケーブル135の接続部を示す。伝動ケース50内に設けられた畦クラッチ130は苗植付装置52の伝動軸52bに固着した駆動側クラッチ体137と該クラッチ体137のクラッチ歯137aと係脱自在のクラッチ歯138aを有する受動側クラッチ体138を備えており、該受動側クラッチ体138はスプリング139とスプロケット140とワッシャ141により常時伝動軸52b側に付勢されており、常時は畦クラッチ130は作動状態にある(畦クラッチケーブル131を引いた状態)。
【0042】
受動側クラッチ体138の側面にはクラッチピン溝138bが設けられており該溝内にケーブル131の先端に接続された畦クラッチピン144が挿脱自在に設けられている。畦クラッチピン144は伝動ケース50の壁面の穴を貫通するように穴内に設けられ、かつスプリング143でケース50の壁面からケース50の内側に突出自在になっている。従ってケーブル131を引くと畦クラッチピン144は受動側クラッチ体138のクラッチピン溝138bから引き抜かれる方向に移動される。畦クラッチピン144は受動側クラッチ体138のクラッチピン溝138b内を所定の引き抜き量で引き抜かれると、スプリング143の付勢力により畦クラッチ130が「入」となる。畦クラッチ130は苗の植え付けを行わない時(畦クラッチ130:「切」)は定位置停止クラッチとなっており、ケーブル131を引くと畦クラッチ130が「入」となる。
【0043】
畦クラッチ130を切にするときは、ケーブル131が弛められるので、圧縮スプリング143の付勢により畦クラッチピン144がクラッチピン溝138bに入り、その状態で受動側クラッチ体138が回転することにより、クラッチピン溝138bの案内により受動側クラッチ体138が圧縮スプリング139に抗して徐々に該圧縮スプリング139側に移動し、受動側クラッチ体138の所定の回転位置(クラッチピン溝138bの回転方向端部に畦クラッチピン144が位置する状態)でクラッチ歯137a、138aの係合が初めて外れ、受動側クラッチ体138が定位置で停止する。
【0044】
なお、圧縮スプリング139の付勢力で、圧縮スプリング143が縮んで畦クラッチピン144がケーブル131側へ押し戻されることはない。
また、畦クラッチ130は定位置停止クラッチになっている。その理由は苗植付装置52の植付具を所定の位置で停止させる(一方の植付具は苗掻き取り直前で、他方の植付具は植え付けた後となる位相で停止させる)ためであり、該植付具が苗を保持したまま停止しないようにしているためである。ちなみに、受動側クラッチ体138と一体回転するスプロケット140から苗植付装置52の伝動軸52bへのチェーン146による伝動比は、2分の1に減速されており、苗植付装置52の作動周期は前記伝動軸52bの1回転の2分の1(半回転)であるから、受動側クラッチ体138による一箇所の停止位置に対して、苗植付装置52の伝動軸52bは180度位相が異なる2箇所で停止する構成としている。 畦クラッチ130が「入」となると、スプロケット140に係止しているチェーン146が駆動され、苗植付装置52が作動する。
【0045】
また、図3に示す構成で揺動アーム134の矢印A方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチ130を作動側に動かすことで、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを作動側に動かすことができる。
【0046】
図5には苗送りベルト51bの作動部の構成を示す。ケーブル135はL字状のシフターアーム147の一端部に接続しており該シフターアーム147の他端部は苗送り駆動ローラ149の駆動側クラッチ体170に接続しており、ケーブル135の「入」、「切」側への動きに応じて駆動側クラッチ体170が「入」、「切」に切り替わる構成になっている。駆動側クラッチ体は苗送りローラ149にクラッチ歯149a、170aを介して係脱可能な構成であり、苗送り駆動ローラ149の駆動側クラッチ体170とは反対側には隣接条の苗送り駆動ローラ149に常時噛合したクラッチ歯149b、149cを介して接続している。苗送り駆動ローラ149の並列位置に苗送り従動ローラ171があり、これらのローラ149、171間には苗送りベルト51bが巻かれている。
【0047】
従って、畦クラッチ作動用のケーブル131が畦クラッチ130の受動側クラッチ体138を作動・非作動に切り換えることで苗送りベルト51bの駆動側クラッチ体を作動・非作動に切り換えることができる。こうして図3に示す構成で揺動アーム134の矢印A方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチを作動側に動かし、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを作動側に動かすことができ、揺動アーム134の矢印A方向の反対方向への揺動で畦クラッチ作動用のケーブル131を畦クラッチ130を非作動側に動かし、同時に苗送りベルト51b作動用のケーブル135を苗送りベルト51bを非作動側に動かすことができる。
【0048】
すなわち、各畦クラッチレバー14の作動で畦クラッチ130と苗送りベルト51bを同時に作動させることができ、また同時に非作動とさせることができる。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0049】
苗植付部4には整地装置Aの一例であるロータ27(第1ロータ27a,第2ロータ27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0050】
図6の側面図と図7の背面図にロータ支持構造の要部を示し、図8にロータ27とフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。
ロータ支持構造には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(第1ロータ27a,第2ロータ27b)の駆動軸70(第1駆動軸70a,第2駆動軸70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0051】
図8に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にある第2ロータ27bはサイドフロート56の前方にある第1ロータ27aより前方に配置されている。そのため後輪11のギアケース18内のギアから自在継手72を介して左側の第1ロータ27aを駆動する第1駆動軸70aへ動力が伝達され、さらに第1駆動軸70aに内側の端部に設けられた図示しないベベルギアから、該ベベルギアに噛合するベベルギア(図示せず)を端部に有し、左側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から第2ロータ27bを固着した第2駆動軸70bに動力が伝達される。また第2駆動軸70bの右側端部に設けられたベベルギアを介して、右側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から右側の第1ロータ27aを固着した第1駆動軸70aに動力が伝達される。なお、第1ロータ27aと第2ロータ27bの両方を言うときは単にロータ27ということがある。
【0052】
また、第2ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第1リンク部材76と該第1リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第2リンク部材77からなり、該第2リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
【0053】
またロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向(図7の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動すると、突出部66aの前記回動により第1リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第1リンク部材76の上方への回動により第2リンク部材77とスプリング78を介して第2ロータ27bを上方に上げることができる。第2ロータ27bを上方に移動させると、第2駆動軸70bと第1駆動軸70aを介して第1ロータ27aも同時に上方に移動する。
【0054】
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、第1ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
また、梁部材66にはクラッチレバーを兼ねるロータ収納用レバー84が固着しており、該レバー84を矢印T方向(図6)に回動すると梁部材66の回動に連動して支持アーム67が同じく矢印T方向に回動する。該支持アーム67の矢印T方向への回動で該ロータ支持フレーム68が上方に移動するので、第1、第2ロータ27a,27bを収納位置、すなわち苗載台51の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
【0055】
本実施例ではロータ上下位置調節レバー81の低速位置で圃場面より45mmの高さにあるロータ27a,27bを図7の矢印S方向への回動で低速位置より最大15mm高くでき、図7の矢印S方向の反対方向への回動で低速位置より最大15mm低くできるように設定している。
【0056】
また、図1に示すようにロータ27の後ろ上方には第1ロータカバー37a、第2ロータカバー37bを設けてフロート55,56上に泥が掛からないようにしている。
図8に示すように、左右の第1ロータ27a,27aと中央の第2ロータ27bを互いに前後に偏位させて配置し、両第1ロータ27a,27b間の前後方向に延びる一対の伝動ケース73,73が配置されるが、該伝動ケース73,73は機体平面視で前後傾斜状に配置されている。機体平面視で一対の伝動ケース73,73の互いの前側の幅が後側の幅より小さくなるように構成されている。
【0057】
一対の伝動ケース73,73の前部には、該ケース73,73より左右内側に第2ロータ27bが配置され、また一対の伝動ケース73,73の後部には、該ケース73,73の外側に第1ロータ27a,27aがそれぞれ配置されている。
【0058】
従って、ロータ27が田植機1ひいては田植機1の植付位置の左右方向全幅にわたり、まんべんなく配置されることになり、圃場の整地幅が広くなり、整地性の向上が図れる。
本実施例の構成ではロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)の回転速度を低速と高速の2段階に切り換え可能にしている。そのために後輪ギヤケース18に連接しているロータ変速装置ケース19内に第1ロータ27a,第2ロータ27bの回転速度を低速と高速の2段階に切り換え可能にしたロータ変速装置Bが開示されている。尚、走行速度に対する整地ロータの周速比を、例えば、低速じからは約1.5〜1.7、高速時は約2.0〜2.3に設定するのが望ましい。
【0059】
上記ロータ27の2段切換クラッチ機構の構成図は平面展開断面図(図9(a))と図9(a)の矢印S方向から見た正面図(図9(b))に示す。
ロータ変速装置ケース19内には後輪ギヤケース18からの動力入力軸64と該入力軸64と平行位置に配置されるロータ軸69と、入力軸64とロータ軸69にそれぞれ一対固着された低速用スプロケット83,85と高速用スプロケット86,87と、前記低速用スプロケット83,85に同士、前記高速用スプロケット86,87同士にそれぞれ掛け渡されるチェーン89,90、ロータ軸69に固着された低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の間のロータ軸69の軸上に遊嵌された移動用クラッチ体91と、該クラッチ体91に常時係止しているシフタ92が装着さている。またクラッチ体91の両側面に爪91a,91bが設けられ、ロータ軸69上の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87のクラッチ体91に対向する側面にはそれぞれ爪85,87aが設けられ、クラッチ体91の両側の各爪91a,91bは低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の各爪85a,87aがそれぞれ係止可能になっている。
【0060】
なお、ロータ軸69には自在継手72(図8)に接続しており、該自在継手72を経由してロータ27を駆動させる。
シフタ92は、ロータ軸69の隣接位置でロータ軸69と平行位置に配置され、シフタ92上に巻き付けられた圧縮スプリング93により常時シフタ92の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87と係止しない位置に保持されるように付勢されている。
【0061】
ロータ変速装置ケース19の外側に突出するシフタ92に対向する位置にロータ変速装置ケース19に固着したカバー102に設けられる回動支点に回動自在に支持されたシフタ操作アーム95が取り付けられている。該シフタ操作アーム95の一端はロータ変速装置ケース19の外部に延出したシフタ92に係止されている。シフタ操作アーム95は前記シフタ92に取り付けられたスプリング93の付勢力に抗してシフタ92を摺動させることができる構成である。
【0062】
シフタ92を操作する操作アーム95の回動支点95aに対して一側には高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96aが連結し、前記回動支点95aに対して他側には低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが連結している。高速用操作ケーブル96のアウター96b及び低速用操作ケーブル97のアウター97bを取付用回動支点99aの周りの回動で移動可能な取付用アーム99に取り付ける。取付用アーム99にはロータの駆動を入切する駆動入切用操作ケーブル100のアウター100bを取り付け、駆動入切用操作ケーブル100のインナーワイヤ100aを機体側の固定部材101に移動しないように連結する。
【0063】
駆動入切用操作ケーブル100の作動はロータ高さ調節レバー106の作動で機体に一端が固定されたインナーワイヤ100aの他端がアウター100bに対して引かれて駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(図9(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が図9(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。
【0064】
図10には苗植付部4の昇降リンク40,41と後輪ギヤケース18付近の側面図を示すが、昇降リンク連動アーム108を苗植付部4の上昇動作させる上リンク40と下リンク41のいずれか(図10に示す例では下リンク41)に設けているので、苗植付部4の昇降スイッチ(図示せず)が上昇操作されると昇降リンク40,41が上昇し、この上昇動作に連動して前記ロータ高さ調節レバー106の作動時と同様に、昇降リンク連動アーム108が作動して駆動入切用操作ケーブル100が引かれ、駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(図9(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が図9(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。こうして苗植付部4を上昇させたときには、ロータ27が高速又は低速ポジションに設定したままで誤作動されることが防止できる。
【0065】
なお、駆動入切用操作ケーブル100はロータ高さ調節レバー106及び昇降リンク連動アーム108に連結するように途中の分岐部116で2本に分岐している。
また、図10に示すように高速用操作ケーブル96及び低速用操作ケーブル97を操作するロータ変速操作装置であるロータ変速レバー105を操縦座席31の近くに配置している。従って、ロータ変速レバー105を高速側又は低速側に切換操作すると、該レバー105に接続した高速用操作ケーブル96又は低速用操作ケーブル97のインナー96a又はインナー97aが引っ張られてシフタ操作アーム95が動き、該シフタ操作アーム95の動きに連動するシフタ92が高速側のスプロケット87又は低速側のスプロケット85を作動させてロータ軸を高速又は低速回転させ、第1ロータ27aと第2ロータ27bが高速又は低速回転することになる。
【0066】
ロータ変速装置Bのシフタ92の部分に泥が付着することによる作動不良を解消するために、シフタ操作アーム95、ケーブル96,97,100のインナーワイヤ96a,97a,100aと取付用アーム99及び固定部材101を覆うカバー102を設け、該カバー102でシフタ92の操作アーム95の回動支点95aの軸及び取付用アーム99の軸の軸受けと兼用した。
【0067】
また、前述のように苗植付部4が上昇すると自動的にロータ27が自動的に回転停止位置(中立位置)に戻るようにした構成において、図10に示すように苗植付部4が上昇すると図10に示すようにロータ変速レバー105がロータ変速装置Bを自動的に高速側から低速側に移動させる位置に復帰する。なお、苗植付部4の上昇時にロータ変速レバー105が前記低速位置に移動しても、前述のように、駆動入切用操作ケーブル100の作動に連動する取付用アーム99により高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛んでいるので、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータ27を駆動させない中立位置に保持される。
【0068】
また、苗植付部4が上昇中に畦クラッチ130を「入」にしてくことで、次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れる不具合を防止できる。
すなわち、圃場での作業機が一条分の苗を植え付けで畦際に来ると畦クラッチ130を「切」として圃場を旋回する。そして旋回を終了した時点で苗植付部4を圃場に降ろして次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れやすく、そのまま苗を圃場に植え付けないに作業機を前進させるおそれがある。そのため苗植付部4が上昇すると畦クラッチ130を「入」にしておく。
【0069】
そのために、図10に示すように苗植付部4が上昇すると昇降リンク連動アーム108に引かれたケーブル110が畦クラッチ(植付ユニットクラッチ)レバー14を操作して畦クラッチ130を「入」状態にする。
【0070】
なお、苗植付部4の上昇時に畦クラッチ130を「入」しておいても、苗植付部4の上昇時には苗植付ギヤケース25から苗植付部に動力伝達がされていないので苗植付部4が作動することはない。
【0071】
上記ロータ変速装置Bは、ロータ27の回転速度を高速状態と低速状態に切り換え可能であるが、ロータ変速装置Bのクラッチ体91を高速用スプロケットと低速用スプロケットの係合しない中立状態に維持することで可能となり、別途クラッチ機構を設ける必要が無い。
【0072】
また、スイッチ165を「切」位置に操作して左右の線引きマーカ48が共に非線引き状態であるとき、該スイッチ165からの入力信号により制御装置200を介して電動式のロータ高速用シリンダ280によりロータ変速レバー105を押して強制的に高速側へ切り替え、ロータ変速装置Bを高速側に切り換える。これにより、左右の線引きマーカ48を共に非線引き状態で作業を行う枕地での作業に連動して、自動的に整地装置Aを高速で駆動させることができる。
【0073】
また、昇降リンク装置3に設けた昇降リンクセンサ281により苗植付部4が最上昇位置に上昇したことを検出すると、進行方位センサ282により機体の旋回前の進行方位を検出して制御装置200へ入力する。その後、苗植付部4を下降して整地装置Aを駆動し得る状態となったことを昇降リンクセンサ281により検出したとき、進行方位センサ282により機体の旋回後の進行方位を検出して制御装置200へ入力する。そして、制御装置200により、前記旋回前の進行方位と前記旋回後の進行方位の差が135度未満の場合、ロータ高速用シリンダ280によりロータ変速レバー105を押して強制的に高速側へ切り替え、ロータ変速装置Bを高速側に切り換える。これにより、枕地での作業行程へ移る機体の90度旋回に連動して、自動的に整地装置Aを高速で駆動させることができる。尚、上記は、整地装置Aを駆動し得る状態となったことの検出に基づいて前記旋回後の進行方位を検出する構成としたが、整地装置Aが駆動を開始したことをシフタ操作アーム95の位置を検出するセンサ等で検出し、この検出に基づいて前記旋回後の進行方位を検出してもよい。
【0074】
また、感度設定ダイヤル283が所定よりも鈍感側(例えば、敏感側から鈍感側にかけて7段階に設定できる感度設定ダイヤル283を、最も鈍感となる第7段階)に設定したとき、制御装置200は、ロータ高速用シリンダ280によりロータ変速レバー105を押して強制的に高速側へ切り替え、ロータ変速装置Bを高速側に切り換える。これにより、枕地を含む畦際近く等の圃場が荒れている場合は、確実に整地するために苗植付部4の昇降制御の制御感度を鈍感に設定するが、これに連動して自動的に整地装置Aを高速で駆動させることができる。
【0075】
また、植付ユニットクラッチとなる畦クラッチ130のうちの少なくとも何れか1個が非伝動状態に切り替えられたことを畦クラッチレバーセンサ159で検出すると、制御装置200は、ロータ高速用シリンダ280によりロータ変速レバー105を押して強制的に高速側へ切り替え、ロータ変速装置Bを高速側に切り換える。これにより、枕地作業の直前で植付条数の調整のために畦クラッチ130を非伝動状態に切り替えたことに連動して、畦際近くで自動的に整地装置Aを高速で駆動させることができる。
【0076】
尚、上述したロータ高速用シリンダ280は、所定時間(5秒間)のみ作動する構成であり、ロータ変速レバー105を押して強制的に高速側へ切り替えた後、元の状態に復帰する。従って、手動によりロータ変速レバー105を低速側へ操作することも可能である。
【0077】
また、駆動入切用操作ケーブル100により整地装置Aの駆動が停止されるのに連動して、駆動入切用操作ケーブル100に連動して作動する自動復帰用ケーブル284を介して畦クラッチレバー14を強制的に伝動状態に切り替える自動復帰装置を構成している。これにより、機体の旋回時にロータ変速装置Bにより整地ロータ27が駆動停止状態になると、全ての植付ユニットクラッチ130を伝動状態へ自動的に切り替え、植付ユニットクラッチ130を伝動状態へ切り替えるのを忘れて機体の旋回後の枕地作業で一部の植付条で植付が行われないような不適正な作業を防止できる。
【0078】
次に、ロータ変速用モータ113によりシフタ操作アーム95を操作して整地装置Aの駆動速度を変更する別の構成について説明する。この場合は、上述のロータ高速用シリンダ280に代えて、前記ロータ変速用モータ113の作動により、自動的に整地装置Aを高速で駆動させることができる。
【0079】
従来のロータ27は、ロータ27の回転速度が後輪11の周速に対して約1.7倍前後と一定であり、この回転比は苗の植付速度が最大となる状態で作業を行っても、隣接条への水押しや泥押しの影響が出ない様に設定しているため、枕地でロータ27の圃場の均平化処理で凹凸の多い圃場面を低速で走行する場合には十分な均平が得られないことがあった。
【0080】
そこで、図9に示すロータ27回転速度の高速と低速の切り換え可能にして圃場の均平化処理が効果的に行えるようにすることができるが、図11にはロータ27変速装置のロータ27の回転速度の高速と低速の切り換えを電動式のロータ変速用モータ113により行う構成を示す。
【0081】
図11に示す構成は図9に示すケーブル96,97,100に代えてロータ変速用モータ113を用いてシフタ操作アーム95を作動させるための構成であり、ロータ変速用モータ113により作動する回動軸に固着した回動アーム118とその回転軸を挟んで互いに反対側にそれぞれ一端を係止させたスプリング117からなり、該スプリング117の他端をシフタ操作アーム95に係止させた構成である。
【0082】
この場合は、畦クラッチレバーセンサ159で畦クラッチ130が「切」であると検知されると枕地処理中であると判断して、畦クラッチ130の「切」時は制御装置200はロータ変速用モータ113を作動させてロータ変速装置Bによりロータ27を高速回転にして圃場の荒れを素早く直し、畦クラッチ「入」時はロータ変速用モータ113により素早く低速回転に切り換える。
【0083】
上記ロータ変速用モータ113を用いて行うロータ27の回転速度の二段切換は、旋回後の苗の植始めの位置を後輪11の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モードの設定ができる構成を備えている作業機において、有効に活用できる。
【0084】
この制御モード設定は旋回開始タイミングをハンドル34の旋回角度センサ161で検知し、該旋回角度センサ161で検知した旋回開始時からの走行距離を車輪(旋回内側に後輪)の回転数に基づき測定し、前記走行距離が所定値に達すると畦クラッチ(苗植付)レバー14の操作をしなくても、制御装置の指令でロータ変速用モータ113が作動することより自動的に苗の植え付けを開始する自動植付開始モードである。
【0085】
また、車速センサ157により検知される車速がゼロから比較的低速であるときは制御装置200はロータ変速用モータ113を作動させてロータ変速装置Bによりロータ27を高速側で回転させ、低速走行でも十分に圃場の均平化処理できるようにし、車速が比較的低速で走行中は自動的にロータ27を高速で回転させて、圃場表面をよりきれいな仕上がり面とする。
【0086】
さらに、上記ロータ変速用モータ113を用いて行うロータ27の2段の回転速度の切り換えは、エンジンの回転センサー162で検知できるエンジン回転数がアイドリング時から低速状態にあるときは、制御装置200はロータ変速用モータ113を作動させて表3に示すようにロータ変速装置Bによりロータ27を高速回転にし、中速回転以上になるとロータ27回転を低速に自動的に切り換える様にしてもよい。
【0087】
この場合は、低速走行時は自動的にロータ27の回転が高速になるために、よりきれいな仕上がりが得られる。
図示しないが、ロータ27の回転速度の2段切換用のロータ変速レバー105を畦クラッチレバー14(図2参照)と共用とすることもできる。畦クラッチレバー14として作用させるために、該ロータ変速レバー105の中間部に畦クラッチ130を入/切するためのケーブル110の端部を接続してもよい。
【0088】
この場合は、通常の苗植付時にはロータ27を低速回転させ、枕地での苗植付時にはロータ27を高速回転させることが多いので、通常の苗植付時には上記ロータ変速レバー105が邪魔にならないように下向きになるようにする。
【0089】
なお、畦クラッチレバー14は、例えば6条植の苗移植機では3本(複数本)あり、これらの畦クラッチレバー14は通常の畦クラッチレバー14として機能させるとともに、これらの畦クラッチレバー14の内、どの畦クラッチレバー14を畦クラッチ130の「切」位置に操作してもロータ27を高速回転となる構成にしている。このとき、何れかの畦クラッチレバー14が畦クラッチ130の切り側に操作されたことを畦クラッチレバーセンサ159で検出するとロータ変速用モータ113でロータ変速装置Bを高速側に切り換えてロータ27を高速回転させる。
【0090】
図12に一部断面図で示すロータ変速装置Bは、該変速装置Bのケース(ロータ出力軸ケース)19の内部に設けられる伝動機構として一対の互いに直交する方向に設けられた入力軸64とロータ軸69にそれぞれ二段の径の異なるベベルギヤの組を設け、キー127の切換により、小径ベベルギヤ121,122の組か大径のベベルギヤ123,124の組のいずれかの組み合わせによりロータ27の回転数の切換を行う構成である。キー127をロータ軸69に沿って摺動することで、二段の径の異なるベベルギヤ121,122の組か大径のベベルギヤ123,124の動力伝動系を切り換える。
【0091】
例えばロータ軸69にあるキー部分の構成を示す一部断面図であるが、キー127をロータ軸69に沿って摺動させるために、移動体128の溝128aにロータ変速レバー105で操作されるピン129が出入させて、キー127をベベルギヤ123またはベベルギヤ121に出力軸125から動力を伝達する。
【0092】
旋回後の苗の植始めの位置を後輪11の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モードの設定ができる構成を備えている作業機においては、自動植付開始モードが作動中はロータ27を収納位置に配置してロータ27を「切」とし、自動植付開始モードが非作動中はロータ27を「入」にしてロータ27による整地作業が行えるようにしている。
【0093】
尚、全ての畦クラッチ「入」時は、ロータ27は収納位置で「切」とし、少なくとも一部の畦クラッチ「切」でロータ27は作動位置で「入」としてロータ27で整地作業を行うこうせいとしてもよい。
【0094】
すなわち、第1ロータ27a,第2ロータ27bの上下位置の調節は、例えば畦クラッチレバー14(図2)が操作されると、該レバー14の操作位置を畦クラッチレバーセンサ159(図14)の検出値により行われる。すなわち、畦クラッチレバー14の操作位置に対応した梁部材66を回動させるロータ整地装置昇降用モータ(ロータ昇降用モータ)114(図13)の作動量を制御部がコントロールする。
【0095】
操作盤150に設けた自動リフト切換スイッチ151をオンとすると、ロータ昇降用モータ114が作動してロータ27を収納状態に上昇させると共に図11に示すロータ変速装置作動用モータ(ロータ変速用モータ)113がロータ27の非作動状態(中立位置)に移動させる制御構成を備えている。
【0096】
また、自動リフト切換スイッチ151をオフ状態であるとロータ昇降用モータ114がロータ27を作業位置に下降させると共にロータ変速用モータ113がロータ27を作動状態(高速位置又は低速位置)にする。
【0097】
さらに、スイッチ165を「自動」状態にすると、ロータ昇降用モータ114を作動させてロータ27を収納位置に上昇させると共に、ロータ変速用モータ113によりロータ27を非駆動状態にする。またスイッチ165を「切」状態にすると、ロータ昇降用モータ114を作動させてロータ27を作業位置に下降させると共に、ロータ変速用モータ113によりロータ27を駆動状態にする。
【0098】
スイッチ165により線引きマーカ48を「自動」状態にする操作を行うことで、電動の線引きマーカ48の「入」時はロータ27を収納位置で「切」とし、線引きマーカ48が「切」のときはロータ27が「入」になるようにできるので、一般的には圃場が荒れている枕地及び枕地近くでは、マーカ48を使わないが、そのマーカ48を使わないのに連動してロータ27を下降させて駆動し、荒れた圃場を整地しようとすることができる。
【0099】
ロータ変速用モータ113で2段切換作動が可能な図11に示すロータ変速装置Bを有する作業機において、図16に示すようにロータ27の高さ調整ダイヤル125を操作盤150に設けた実施例で採用してもよい。このロータ27の高さ調整ダイヤル125は、 ロータ27を収納位置に上昇させる収納操作と、手動で作業時のロータ27の圃場面からの高さを調整出来る手動調整操作と植付深さを調節に連動して自動で作業時のロータ高さを設定できる操作を順次選択択出来る構成である。
【0100】
圃場が凹凸が大きく、苗植付部4の昇降用の油圧バルブ(図示せず)が頻繁に動く時にはロータ27を作業位置に下降させて整地させる。一方、前記油圧バルブがあまり作動しないときは圃場表面が安定しているときであり、ロータ27を収納位置に上昇させるか又は上方寄りに動かしておいて、あまり整地作用させないようにしておくことで水のはき出しを少なくする。このような制御を制御装置200で行う構成とするが、畦際以外では水のはき出し防止のためにロータ27はあまり使わなくても良い。
【0101】
またロータ27を収納している時、畦植で収納のまま忘れてしまうことがあるが上記制御なら自動的にロータ27を作業状態にできる。
図18に示す実施例は、所定角度(位相)ごとにロータ片271を第1駆動軸70a,第2駆動軸70bに沿って左右に並べて構成される整地ロータ27において、隣接するロータ片271の位相が互いに異なるように設け、機体を格納するとき、第1駆動軸70aと第2駆動軸70bに沿ってロータ片271を内側に移動させて隣接するロータ片271が第1駆動軸70a,第2駆動軸70bの軸方向(左右方向)で重なり合うようにして、整地ロータ27の左右幅を縮小させる。こうして機体を車庫などに格納時にスペースを節約できる。
【0102】
尚、左右に並べて構成される整地ロータ27の外径すなわち駆動軸からのロータ片271の距離が互いに異なるように設け、隣接するロータ片271が駆動軸の軸方向(左右方向)で重なり合うようにして、整地ロータ27の左右幅を縮小させる構成としてもよい。このとき、整地ロータ27の左右外側端の外径すなわち最外のロータ片271の駆動軸からの距離をその内側の部分より小さくし、苗植付部4の左右ローリングと共に整地装置Aが左右ローリングすることにより、整地ロータ27の左右外側端が土中に潜り込んで圃場に跡を付けるようなことを防止できる。しかも、整地ロータ27の左右外側端からの排水性が向上し、隣接条の苗へ泥流や水流が及んで苗を倒すようなことを抑制できる。更に、畦側が高位となる傾斜面である畦際の圃場面に対して、整地ロータ27の左右外側端が土中に潜り込むのを抑制できる。
【0103】
また、別の整地ロータの左右幅を縮小する構成として、パイプ軸部と該パイプ軸部内に挿入される挿入軸部とにより伸縮可能にロータの駆動軸を構成し、スクリューコンベアのような形状の弾性変形可能な螺旋体の一端をパイプ軸部に固定し、螺旋体の他端を挿入軸部に固定し、螺旋体の外周の適宜箇所にロータ片を固定して取り付けた整地ロータの構造とし、前記駆動軸を伸縮することにより螺旋体のピッチが変更されて整地ロータの左右幅を変更する構成とすることもできる。これにより、整地ロータの左右幅が大きいときには、螺旋体のピッチが広くなるからロータ片どうしの左右間隔が広くなり、整地ロータの左右幅を大きく構成しながら泥流や水流を後方へ円滑に排出することができ、隣接条へ泥流や水流が及んで隣接条の苗を倒すようなことを防止できる。一方、整地ロータの左右幅が小さいときには、整地ロータの側方に泥流や水流を後方へ排出するスペースが出来るので、隣接条の苗への悪影響を与えず、螺旋体のピッチが狭くなるからロータ片どうしの左右間隔が狭くなってロータ片が密に配置され、整地作用を高めることができる。
【0104】
また、線引きマーカ48を線引き状態にした側に整地ロータを伸ばす構成とすれば、泥流や水流が及んでも問題のない未作業(未植付)側を整地することができ、その分、既作業(既植付)側に泥流や水流を後方へ排出するスペースを構成できるので、隣接条の苗への悪影響を抑えることができる。実施にあたっては、制御装置200がマーカ用電動モータへの指令に基づいて線引き状態の線引きマーカ48を判別し、この判別に基づいて電動モータ等のアクチュエータにてロータの駆動軸を伸長し、同じ側の第1ロータの外端を外側へ移動させる構成とすればよい。
【0105】
尚、整地ロータの左右幅を縮小する構成として、整地ロータの外端部を上側に折りたたむ構成とすることもできる。
尚、ロータ片271を、接地する下死点に位置したときに地面に沿う構成とすれば、圃場の夾雑物をすき込んで圃場内に埋没させる埋没作用を得ることができる。このロータ片271を一部のロータ片271のみに使用し、一部のロータ片271の地面に対する角度を同じ整地ロータで異ならせることができる。これにより、圃場面の均平作用と前記埋没作用を得ることができ、良好な整地作用が得られる。
【0106】
また、作業機の肥料ホッパ60から施肥ホース62を通ってフロート55,56に支持される作溝器160の施肥ガイドに肥料が散布されるが、図18のフロート付近の平面図に示すように作溝器160が通過する部分のロータ27の径を他のロータ27の径より大きくする。こうして、作溝器160が通過する部分のロータ径の大きい部分で予め圃場がえぐられているので、作溝器が通過するとき圃場からの抵抗が小さくなる整地性が良くなり、フロート55,56の整地性も良くなるため苗の植え付けが安定する。
【符号の説明】
【0107】
1:乗用型田植機(作業機)、2:走行車体、4:苗植付部(作業部)、25:苗植付装置、27:整地ロータ、48:線引きマーカ、130:畦クラッチ(植付ユニットクラッチ)、A:整地装置、B:ロータ変速装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後側に昇降可能に作業部(4)を設け、整地ロータ(27)を有する整地装置(A)を作業部(4)に設け、走行車体(2)の走行速度に対する整地ロータ(27)の回転速度を変更するロータ変速装置(B)を設け、畦際の近くでの作業であることを判別する畦際作業判別装置を設け、畦際作業判別装置により畦際の近くでの作業であることを判別されるのに連動してロータ変速装置(B)を高速側に切り換える連動装置を設けた作業機。
【請求項2】
次行程の指標となる圃場面に線を引く線引きマーカ(48)を設け、畦際作業判別装置は、線引きマーカ(48)が線引きしない状態であると畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
畦際作業判別装置は、作業部(4)により作業を行った後、機体が180度に満たない所定の旋回角度で旋回した状態で整地装置(A)により整地作業を行う場合、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
作業部(4)を圃場面に追従させて昇降制御する構成とし、畦際作業判別装置は、前記昇降制御の制御感度が鈍感側に設定されていると、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の作業機。
【請求項5】
作業部(4)は、複数の苗植付装置(25)により複数条に苗を植え付ける構成とし、複数の苗植付装置(25)のうちの一部の苗植付装置(25)への伝動を断つ植付ユニットクラッチ(130)を複数設け、畦際作業判別装置は、複数の植付ユニットクラッチ(130)のうちの少なくとも何れか1個が非伝動状態であると、畦際の近くでの作業と判別する構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の作業機。
【請求項6】
機体の旋回時にはロータ変速装置(B)により自動的に整地ロータ(27)の駆動を停止する構成とし、ロータ変速装置(B)により整地ロータ(27)が駆動停止状態になると、全ての植付ユニットクラッチ(130)を伝動状態へ切り替える自動復帰装置を設けた請求項5に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−92149(P2011−92149A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251555(P2009−251555)
【出願日】平成21年10月31日(2009.10.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】