説明

光半導体素子搭載基板、および光送信モジュール

【課題】 小信号通過特性(S21)におけるピーキングの抑圧と小信号反射係数(S11)の低減を両立できる単一電源駆動方式の光送信モジュール構造を実現ずる。
【解決手段】 半絶縁性半導体基板上に光変調器集積レーザを形成した半導体チップ22を用い、入力伝送線路27と光変調器素子21のアノード電極とを第一のボンディングワイヤ31で接続し、光変調器素子21のアノード電極と終端抵抗素子24の一端とを第二のボンディングワイヤ32で接続し、光変調器素子21のカソード電極と終端抵抗素子24の他の一端とを第三のボンディングワイヤ33で接続し、光変調器素子21のカソード電極と接地電極25とを第四のボンディングワイヤ34で接続し、第一のボンディングワイヤ31と入力伝送線路27との接続部を第四のボンディングワイヤ34と接地電極25との接続部に対して半導体チップ22を挟んだ反対側に配置した光送信モジュールより解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信用の光送信モジュールにかかり、特に高速伝送レート(例えば、10Gbit/s)を有する光トランシーバの送信部に用いられる光送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザを用いた光送信モジュールは光ファイバー伝送用トランシーバのキーデバイスの一つである。光送信モジュールは近年のブロードバンドネットワークの普及とともに高速化がはかられ、ビットレートが10Gbit/sまでのものが広く用いられるようになっている。上記用途に適した光送信モジュールとしては小型、低コストであるとともに、良好な送信波形品質を実現することが強く要求されている。
【0003】
従来、高周波特性の改善を目的とした光送信モジュールとして、特許文献1〜2に示すものが開示されている。特許文献1および特許文献2には、電界吸収型光変調器集積レーザダイオードの変調器と信号線とを接続する第一のボンディングワイヤと、変調器と終端抵抗とを接続する第二のボンディングワイヤとのインダクタンスの関係を最適化して、高周波入力側の特性インピーダンス50オームに対する小信号反射係数(S11)の低減と、光変調器の小信号通過特性(S21)における3dB帯域の確保の両立を図った光送信モジュールが記載されている。
【0004】
これらの文献に記載されているように、従来の光送信モジュールでは終端抵抗の一端はボンディングワイヤにより変調器に接続するが、他の一端は変調器には接続せずにグラウンドビアなどを介して接地電極に接続されていた。また変調器集積レーザダイオードにはチップ裏面に電界吸収型変調器のカソード電極あるいはアノード電極が設けられていた。
【0005】
一方、特許文献3には、他のデバイス構造の電界吸収型光変調器集積レーザダイオードが記載されており、半絶縁性半導体基板上に光変調器素子とレーザダイオード素子を設け、各デバイスのアノードとカソードを電気的に分離することにより、単一電源による駆動を可能にしている。
【0006】
【特許文献1】特開2001-257412号公報
【特許文献2】特開2001-308130号公報
【特許文献3】特開2005-353910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
10Gbit/s光ファイバー伝送用トランシーバの市場は、従来のSONET/SDH方式からEthernet(Ethernetは登録商標)方式へと拡大している。トランシーバへの供給電源として、前者では正負の2電源が外部から供給可能であったのに対し、後者では正電源のみの単一電源供給方式への変更が強く求められている。
【0008】
従来の正負2電源で駆動する電界吸収型光変調器集積レーザダイオードをトランシーバの送信部に用いた場合、上記の単一電源供給方式へ対応するためにはトランシーバ内部で別途、負電源を確保しなくてはならず、例えば、トランシーバ内部に新たにDC-DCコンバータ等を搭載する必要がある。このため、搭載部品数およびその搭載面積が増加し、トランシーバの小型化と低コスト化において極めて不利である。
【0009】
このような問題を解決する一手段として、上記特許文献3に示されるような半絶縁性半導体基板上に光変調器素子とレーザダイオード素子を集積化した単一電源による駆動が可能な光変調器集積レーザダイオードを光送信モジュールに適用することが挙げられる。上記特許文献1および特許文献2に開示されているような終端抵抗の一端を接地電極に接続する回路形式を採用した場合、上記特許文献3に開示されている光変調器集積レーザダイオードチップを用いるためには、チップ表面に設けた光変調器素子のカソード端子あるいはアノード端子をボンディングワイヤにて接地電極に接続する必要がある。
【0010】
しかし、この回路形式では追加したボンディングワイヤの微小なインダクタンスが光変調器の小信号通過特性(S21)において不要な利得(ピーキング)を生じさせることとなる。その結果、接地電極へのボンディングワイヤ長を実装上可能な範囲で短縮して特性の改善を図ったとしても、良好な出力波形品質を得ることが困難となる。
【0011】
本発明の目的は、単一電源駆動方式の光送信モジュールにおいて光変調器の出力波形を良好にするため、小信号通過特性(S21)におけるピーキングの抑圧と小信号反射係数(S11)の低減とを両立する構造を提案し、高速信号(例えば10Gbit/s)用光伝送トランシーバに最適な光送信モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は基板表面上にカソード電極が設けられた光変調器を有する光変調器集積レーザ素子と接地電極と前記光変調器へ電気信号を入力する入力伝送線路と入力された電気信号に対する終端抵抗とを基板上に搭載した光送信モジュールにおいて、前記終端抵抗の接地側の電極と、前記接地電極と接続された前記光変調器のカソード電極もしくはアノード電極とをボンディングワイヤにて接続することによって達成できる。
【0013】
なお、光変調器のアノード電極と入力伝送路とのボンディングワイヤによる接続部と、光変調器部のカソード電極と接地電極とのボンディングワイヤによる接続部とは、光変調器集積レーザ素子を挟んで互いに反対側に配置されることが望ましい。
【0014】
さらに、該光変調器が前記接地電極もしくは入力伝送線路のパターン電極の上になるように配置されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単一電源駆動方式の光送信モジュールにおいて光変調器の出力波形を良好にするための小信号通過特性(S21)におけるピーキングの抑圧と小信号反射係数(S11)の低減とを両立できる構造を得ることができ、高速信号(例えば10Gbit/s)用光伝送トランシーバに最適な光送信モジュールを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。なお、ここでは高速変調信号として10Gbit/sの伝送レートを有する信号を用いて説明するが、後述するように、この速度の信号に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
本発明の第1の実施例を図1〜図3および図9〜図13により説明する。
図1は本実施例における光送信モジュールの主要部分を示す構造図、図2は光送信モジュールの主要回路図、図3は光半導体素子を搭載するキャリア基板部分の詳細図、図9は周波数と光送信モジュールの電気-光小信号通過特性S21との関係を示す図、図10は光送信モジュールの光出力波形、図11〜図13はそれぞれ光変調器素子へ接続するボンディングワイヤのインダクタンスを変化させた時の過剰利得、3dB帯域、入力反射特性S11を示すグラフである。
【0018】
まず図1を用いて光送信モジュールの構成を説明する。光送信モジュールは筐体としてCAN型(円筒の片側から端子が出た構造)のパッケージ筐体を用い、1がその金属ステム、2が主要部搭載用の金属台座である。金属ステム1には円筒状の貫通穴(貫通穴下部10および貫通穴上部12、貫通穴下部9および貫通穴上部11)を通して円柱状のリードピン3、4を設け、封止ガラス5により固定する。金属台座2上には、伝送線路8が設けられた中継基板7と、キャリア基板23とを搭載する。
【0019】
キャリア基板23の表面上には高周波信号の終端用の抵抗素子24、接地電極25、入力伝送線路27の各パターンを設け、接地電極25はビアホール26によりキャリア基板23の裏面電極に接続する。キャリア基板23には半導体チップ22およびバイパスコンデンサ28を搭載する。半導体チップ22は、半絶縁性半導体ウエハの表面に半導体レーザダイオード素子20と光変調器素子21とを形成した光変調器集積レーザチップである。
【0020】
半導体レーザダイオード素子20から出力される連続レーザ光は、光変調器素子21を通過した後に結合レンズ(図中省略)を介して光ファイバーへ出射される。光変調器素子21は外部の駆動用ICからの概ね10Gbit/sのビットレートを持つ電気変調信号によって、連続的に発光するレーザ光を光変調信号に変調する。また金属ステム1上にはモニタ用フォトダイオード6を設け、半導体レーザダイオード素子20の後方出力光を受光できる位置に固定する。
【0021】
第一のボンディングワイヤ31は入力伝送線路27のパターン電極と光変調器素子21のアノード電極とを接続し、第二のボンディングワイヤ32は光変調器素子21のアノード電極と抵抗素子24の一端とを接続する。第三のボンディングワイヤ33は抵抗素子24の他の一端と光変調器素子21のカソード電極とを接続し、第四のボンディングワイヤ34は光変調器素子21のカソード電極と接地電極25とを接続する。またキャリア基板23上の入力伝送線路27と中継基板7上の伝送線路8とは、複数のボンディングワイヤ(あるいはリボンワイヤ)38によって、より低いインダクタンスとなるように接続する。伝送線路8とリードピン3とはAuSn合金等により接合する。これらによりリードピン3から光変調器素子21への電気信号入力経路が構成される。
【0022】
半導体レーザダイオード素子20はアノード電極をボンディングワイヤ37を介して接地電極25に接続し、カソード電極をボンディングワイヤ35、36を介してリードピン4に接続する。リードピン4に外部負電源を接続することでレーザダイオード素子20に順方向直流電流が供給される。モニタ用フォトダイオード6の出力は、他のリードピン(図中省略)を通じて外部に出力する。
【0023】
CAN型のパッケージ筐体としては例えば直径5.6mmのTO-56型の筐体等を用いる。金属ステム1、金属台座2の材料としては安価な鉄を用いると低コスト化に好適である。中継基板7およびキャリア基板23はアルミナ、窒化アルミ等の誘電体材料で構成する。キャリア基板23を熱伝導率の高い窒化アルミとした場合、半導体チップ22から金属台座2に至る熱抵抗を低減し、素子温度上昇を抑えるのに好適である。
【0024】
また、キャリア基板23は窒化アルミ等の誘電体基板と銅タングステンなどの金属板との貼り合わせ基板で構成しても良く、この構成では熱抵抗をさらに低減するのに好適である。抵抗素子24は窒化タンタル膜で構成し、レーザトリミングにより抵抗値を50オームとなるよう調整する。バイパスコンデンサ28としては単層の高誘電体基板で構成した平行平板型チップコンデンサを用いると、小型化に好適である。
【0025】
次に図2を用いて回路構成を説明する。駆動用IC61が出力した電気変調信号は、外部伝送線路60と、貫通穴下部10とリードピン3と封止ガラス5で構成される同軸線路T10と、貫通穴上部12とリードピン3と空気で構成される同軸線路T12と、中継基板7上の伝送線路8と、ボンディングワイヤ38が有するインダクタンスL38とから構成されるキャリア基板23への入力系統を通じてキャリア基板23の入力伝送線路27に入力される。駆動用IC61の出力インピーダンスは50オームとする。
【0026】
外部伝送線路60は駆動用IC61を搭載するプリント基板上の伝送線路と該プリント基板とリードピン3を接続するフレキシブル基板上の伝送線路とで構成し、特性インピーダンスは50オームとする。同軸線路T10の特性インピーダンスは30オーム、同軸線路T12と伝送線路8および入力伝送線路27の特性インピーダンスは50オームとする。R24は抵抗素子24が有する抵抗、L31、L32、L33、L34はそれぞれ第一、第二、第三、第四のボンディングワイヤ31、32、33、34が有するインダクタンスである。電気変調信号はこれらの回路素子を介して光変調器素子21のアノード電極とカソード電極間に入力される。C21は光変調器素子21のカソード電極と裏面電極との間に生じる寄生容量を示す。
【0027】
一方半導体レーザダイオード素子20には外部の電流駆動回路62より順方向直流電流Ibiasを供給し、レーザ光を出力させる。ここでL35、L36、L37はボンディングワイヤ35、36、37が有するインダクタンス、C28はバイパスコンデンサ28の容量を示す。通常、光変調器素子21には逆方向バイアス電圧を印加して動作させるため、本実施例1では-5.2V等の単一負電源を駆動用IC61および電流駆動回路62に用いる。
【0028】
次に図3と図23とを用いてキャリア基板部分の構成を説明する。
半導体チップ22の素子構造の概略模式図を、図23に示す。半導体チップ22としては、Fe-dope型半絶縁性InP基板の表面に分布帰還型レーザダイオード(Distributed FeedBack - Laser Diode:DFB-LD)である半導体レーザダイオード素子20と電界吸収型変調器(Electro-Absorption Modulator:EAM)である光変調器素子21を集積したものを用いる。
【0029】
半絶縁性InP基板300の上部の素子形成部は、導電性n型層301、各デバイスに必要な半導体層302、最上部にp型コンタクト層303を結晶成長し、各素子間の領域をイオンインプランテーション等の手法により高抵抗化し(高抵抗層304)、各素子を電気的に分離する。半導体チップ22の表面には半導体レーザダイオード素子20のアノード電極305とカソード電極306および光変調器素子21のアノード電極307とカソード電極308とを設ける。チップ裏面にはキャリア基板23への接合用の裏面電極309を設け、表面に設けた他の電極に対し電気的に分離する。
【0030】
図3において、第一のボンディングワイヤ31と第四のボンディングワイヤ34は実装制約上の可能な範囲内で短くすることによって、各々のワイヤのインダクタンスL31、L34を低減することが可能となる。また、第一のボンディングワイヤ31と入力伝送線路27との接続部は第四のボンディングワイヤ34と接地電極25との接続部に対し半導体チップ22を挟んだ反対側に配置する。
【0031】
これは、第一のボンディングワイヤ31と第四のボンディングワイヤ34を近接して平行に配置した場合、両者に流れる変調信号電流は互いに逆向きなので、各々のワイヤのインダクタンスL31、L34は相互インダクタンスの発生により増大してしまい、光送信モジュールの特性劣化を引き起こす。本実施例1では上記の配置とすることにより相互インダクタンスの発生を抑え、インダクタンスL31、L34を低減することができる。
【0032】
一方、後に説明するように第二のボンディングワイヤ32と第三のボンディングワイヤ33はある程度の長さにして各々のワイヤのインダクタンスL32、L33の総和を所望の値に近づけることが望ましい。我々の検討によるとその値(L32とL33の総和)は、実装形態や光変調器素子の電気的特性にもよるが、おおよそ0.6nHないし0.8nH程度の値が望ましい。
【0033】
第二のボンディングワイヤ32と第三のボンディングワイヤ33とを隣接して平行に配置した場合、両者に流れる変調信号電流は互いに逆向きなので、各々のワイヤインダクタンスL32、L33は相互インダクタンスの発生により増加させることができる。この効果により第二のボンディングワイヤ32と第三のボンディングワイヤ33の長さを短縮しても所望のインダクタンス値を得ることが可能となり、キャリア基板23の小型化および光送信モジュールの小型化に好適である。
【0034】
また、図3に示すように光変調器素子21のアノード電極を中継点として、第一のボンディングワイヤ31と第二のボンディングワイヤ32を一本のワイヤにより直線的に形成した場合、光変調器素子21のアノード電極の面積を最小限に抑えることができ、光変調器素子21の素子容量を低減する上で好適である。
【0035】
ところで、図23に示すように、光変調器素子21のカソード電極308は素子導電層の中で最下層に位置する導電性n型層301に接続している。そのため裏面電極309との間に生じる寄生容量を最小限に抑えた場合でも、カソード電極-裏面電極間容量C21はアノード電極307と裏面電極309との間の容量に比較して大きくなる。
【0036】
本実施例1では裏面電極309を接地電極25上に接合し、カソード電極308を第四のボンディングワイヤ34を介して接地電極25に接続することで、カソード電極308および-裏面電極間の容量C21による回路動作上の特性劣化を最小限に抑えることができ、良好な光送信モジュール特性を得るのに好適である。なお、ここでは変調器部の裏面電極がキャリア基板の接地電極上に位置するよう、接地電極のパターンが形成されているが、入力伝送路のパターン電極が変調器部の裏面電極下になるように入力伝送路の電極を形成してもよい。
【0037】
次に、本実施例の光送信モジュールの特性を図9、図10を用いて説明する。これらは回路シミュレータを用いて算出した特性である。本実施例において、例えば第一のボンディングワイヤによるインダクタンスL31を0.2nH、第二のボンディングワイヤ32と第三のボンディングワイヤ33のインダクタンスの総和Lterm(=L32+L33)を0.6nHとする。また、第四のボンディングワイヤ34により生じる光変調器素子21のカソード電極から接地電極までのインダクタンスをLgnd(=L34)と記述すると、Lgndを0.2nHとした場合には図9に示される小信号通過特性(S21)および図10に示される光出力波形特性が得られる。
【0038】
図9が示すようにS21特性は帯域内で不要なピーキングを持たず、3dB帯域特性も12GHzと充分高く良好な特性が得られている。この特性により、図10の光出力波形が示すような良好な波形品質を得ることができる。
【0039】
比較として、図14と図15に第三のボンディングワイヤを設けず、終端抵抗の一端を接地電極に接続する従来の回路方式の場合の小信号通過特性(S21)と光出力波形の算出結果を示す。インダクタンスLgnd(=0.2nH)により図14が示すようにS21特性において帯域内で2dB程度の大きさの不要なピーキング(過剰利得)が発生し、図15が示すように光出力波形においてオーバシュートを伴う重大な波形品質劣化が生じる。
【0040】
次に、本発明の効果を図11、図12および図13を用いて説明する。
図11には、小信号通過特性(S21)におけるピーキングによる過剰利得のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示す。これによれば、本発明による回路構成によればLgndを0から0.3nHまで変化させても過剰利得に対する影響はほとんどなく、Ltermの値をだけで一義的にほぼ制御可能であることを示している。例えば過剰利得を完全に抑圧するにはLtermを0.6nH以下にすればよいことが判る。
【0041】
図12には、小信号通過特性(S21)における3dB帯域のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示す。これによれば、3dB帯域向上にはLgndの低減とLtermの増加が有効であることが示されている。すなわち、過剰利得を抑圧した上で3dB帯域を最適にするには、Ltermを0.6nHとし、Lgndを実装可能な範囲で低減することが望ましい。例えばLtermを0.6nH、Lgndを0.3nHとした場合にでも3dB帯域として12GHzが得られ、10Gbit/sでの動作に対して十分な帯域特性を確保できる。
【0042】
図13には、周波数範囲0-8GHzにおける入力反射特性S11の最大値のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示すが、反射特性を極小にする組合せが存在し、Lgndが0.1nH〜0.3nHの場合にLtermを0.6nH〜0.8nHの範囲の値を選ぶことが好適であることが示されている。例えばLtermを0.6nHの場合にはLgndを0.1nHとすることでS11を-20dB以下にすることができるが、Lgndを0.3nHまで増加場合にでも-15dB以下のS11得られ、10Gbit/sでの動作に対して良好な入力反射特性を確保できる。
【0043】
比較として、図16〜18に、それぞれ第三のボンディングワイヤを設けず終端抵抗の一端を接地電極に接続する従来の回路方式を採用した場合の過剰利得、3dB帯域、入力反射特性S11を示す。
まず、図16には小信号通過特性(S21)におけるピーキングによる過剰利得のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示すが、Lgndを0から0.3nHまで変化するに従い過剰利得が急激に増大することが示される。Ltermの値を低減することで過剰利得はある程度減少することができるが、例えばLgndが0.2nHの場合、Ltermを0.2nHに低減しても0.4dBの過剰利得が生じることが判る。
【0044】
図17には、小信号通過特性(S21)における3dB帯域のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示すが、3dB帯域向上にはLgndの低減とLtermの増加が有効であることが示されている。
【0045】
一方、図18には周波数範囲0-8GHzにおける入力反射特性S11の最大値のボンディングワイヤインダクタンスLterm、Lgndによる依存性を示すが、Lgndを0から0.3nHまで変化するに従いS11が急激に増大(悪化)することが示されている。Ltermを減少した場合にはさらにS11が増加し、例えばLgndが0.2nHの場合に過剰利得を低く抑えるためにLtermを0.2nHまで低減すると、S11は-11dBまで増大する。
このように我々の検討によると、従来の回路方式ではLgndが増加した場合の特性劣化が激しく、他のインダクタンス値等による最適設計が困難である。
【0046】
以上説明した通り、本発明の回路方式によればビットレートが概ね10Gbit/sの光トランシーバへの適用に対し、好適な光送信モジュールを実現することができる。ここで概ね10Gbit/sのビットレートとは、ビットレートが9.95Gbit/s、10.7Gbit/s、11.1Gbit/sのSONET仕様およびビットレートが10.3Gbit/s、11.3Gbit/sの10ギガビットイーサ仕様を含み、これらに限られない。
【0047】
なお、本実施例において、貫通穴10とリードピン3と封止ガラス5で構成される同軸線路T10の特性インピーダンスを30オームとしたが、その部材形状および封止に適するガラス材の選択により同軸線路の特性インピーダンスをたとえば20〜50オームの範囲で変化しても良い。また抵抗素子24の抵抗値を50オームとしたが、実際のトランシーバに搭載される駆動ICとの相性によりこれを例えば40〜60オームの範囲で変更しても良い。
【0048】
変形例として、本実施例の図2における回路構成において、全ての接地電位を例えば+5.0Vなどの一定電圧電位としても良い。その場合駆動用IC61および電流駆動回路62を+5.0Vなどで駆動することができ、単一の正電源のみを用いて動作する光送信モジュールを実現できる。また、駆動用IC61と光送信モジュールとの間にバイアスティーを挿入し、光変調器素子21の逆方向バイアス電圧を別の直流電圧源により印加ても良い。その場合駆動用IC61は電気変調信号の電圧振幅成分のみを駆動すれば良いため、より低電圧電源での動作が可能となり、トランシーバの低消費電力化に好適である。
【0049】
また他の変形例として、本実施例では光送信モジュールの筐体をCAN型の金属パッケージ筐体としたがこれに限られるものではなく、例えばセラミックと金属を用いた箱形のパッケージ筐体としてもよい。また、半導体レーザダイオード素子および光変調器素子の温度を精密に制御するため、キャリア基板の下部にペルチェ素子を配置してもよい。これらの変形例は後述する第2実施例および第3実施例においても共通である。
【0050】
さらに他の変形例として、本実施例では半導体チップ22の素子形成部の結晶構造を半絶縁性半導体基板上に下から導電性n型層、各デバイスに必要な半導体層、そして最上部にp型コンタクト層の順としたが、半導体層の導電性を逆にして導電性p型層、各デバイスに必要な半導体層、最上部にn型コンタクト層の順としても良い。導電性を逆にすることに伴い、図2における半導体チップ22、光変調器素子21、駆動用IC61、電流駆動回路62の極性は各々逆となる。その場合駆動用IC61および電流駆動回路62を+5.0Vなどで駆動することができ、単一の正電源のみを用いて動作する光送信モジュールを実現できる。
【実施例2】
【0051】
本発明の第2実施例を図4〜6、図19〜22により説明する。
図4は本実施例における光送信モジュールの主要部分を示す構造図、図5は光送信モジュールの主要回路図、図6はのキャリア基板部分の詳細図、図19は本実施例の入力反射特性S11を示すグラフ、図20は小信号通過特性S21を示すグラフである。
【0052】
図4および図6に示すように、実施例1との主要な違いは半導体チップ122の表面電極のアノードとカソードの配置を左右反転した点と、入力伝送線路127を光変調器素子21下部まで延長した点にある。半導体チップ122の裏面には光変調器素子121と半導体レーザダイオード素子120の各々の下部に独立した裏面電極を設ける。本実施例では、接地電極125は半導体レーザダイオード素子下部のみに配置し、光変調器素子121の下部には配置しない。
【0053】
第一のボンディングワイヤ131は入力伝送線路127のパターン電極と光変調器素子121のカソード電極とを接続し、第二のボンディングワイヤ132は光変調器素子121のカソード電極と抵抗素子24の一端とを接続する。第三のボンディングワイヤ133は抵抗素子24の他の一端と光変調器素子121のアノード電極とを接続し、第四のボンディングワイヤ134は光変調器素子121のアノード電極と接地電極125とを接続する。
【0054】
図5において、L131、L132、L133、L134はそれぞれ第一、第二、第三、第四のボンディングワイヤ131、132、133、134が有するインダクタンスである。C121は光変調器素子121のカソード電極と裏面電極との間に生じる寄生容量を示す。駆動用IC161および電流駆動回路162には+5.0V等の単一正電源を用いる。
【0055】
光変調器素子121のカソード電極は素子導電層の中で最下層に位置する導電性n型層に接続している。そのため裏面電極との間に生じる寄生容量を最小限に抑えた場合でも、カソード電極-裏面電極間容量C121はアノード電極-裏面電極間に比較して大きくなる。本実施例2では光変調器素子121の裏面電極を入力伝送線路127上に接合しカソード電極を第一のボンディングワイヤ131を介して入力伝送線路127に接続することで、カソード電極-裏面電極間容量C121による回路動作上の特性劣化を最小限に抑えることができ、良好な光送信モジュール特性を得るのに好適である。なお、ここでは変調器部の裏面電極が入力伝送路のパターン電極上に位置するよう、電極のパターンが形成されているが、図3に示す第1の実施例のように接地電極が変調器部の裏面電極下になるように電極パターンを形成してもよい。
【0056】
本実施例の効果を図14および図15用いてさらに説明する。
図14および図15は回路シミュレーションを用いて算出した反射特性S11および小信号通過特性S21であり、カソード電極-裏面電極間容量C121を一例として0.2pFと仮定し、そのS11およびS21に与える影響をシミュレーションにて解析したものである。
【0057】
本実施例では、容量C121は入力伝送線路127とカソード電極間に位置する。この場合図14に示されるようにS11の上昇、および図15に示されるように3dB帯域の低下が生じるものの、その程度は比較的小さい。比較として図21および図22に光変調器素子121の下部に接地電極125を配置した場合の容量C121(0.2pFと仮定する)が反射特性S11および小信号通過特性S21に与える影響を示した。この配置では容量C121は接地電極125とカソード電極間に位置する。その場合図21に示されるようにS11が5dB程度と大幅に増大し、図22に示されるように3dB帯域は1.2GHz程度低下する。これらの結果より、本実施例2の構成とすることにより容量C121が反射特性S11および小信号通過特性S21におよぼす劣化量を最小限に抑えられることが判る。
【実施例3】
【0058】
本発明の第3実施例を図7および図8により説明する。
図7は本実施例における光送信モジュールの主要部分を示す構造図、図8は光送信モジュールの主要回路図である。前述した第2実施例との主な違いは光変調器素子21を差動の電気変調信号により駆動した点にある。
【0059】
まず、図7を用いて光送信モジュールの構成を説明する。光送信モジュールは筐体としてCAN型のパッケージ筐体を用い、1がその金属ステム、2が主要部搭載用の金属台座である。金属ステム1には円筒状の貫通穴209、210を通して円柱状のリードピン3、4を設け、封止ガラス5により固定する。金属台座2上には中継基板205、207とキャリア基板223を搭載する。中継基板205上には伝送線路206、中継基板207上には伝送線路208を各々設ける。
【0060】
キャリア基板223の表面上には抵抗素子24、接地電極225、第一の入力伝送線路227、第二の入力伝送線路226を設け、接地電極225はビアホール26によりキャリア基板223の裏面電極に接続する。キャリア基板223には半導体チップ122およびバイパスコンデンサ28を搭載する。半導体チップ122は半絶縁性半導体ウエハの表面に半導体レーザダイオード素子120と光変調器素子121を形成した光変調器集積レーザチップである。
【0061】
半導体レーザダイオード素子120から出力される連続レーザ光は、光変調器素子121を通過した後に結合レンズ(図中省略)を介して光ファイバーへ出射される。光変調器素子121は外部の駆動用ICからの概ね10Gbit/sのビットレートを持つ電気変調信号により連続レーザ光を光変調信号に変調する。また金属ステム1上にはモニタ用フォトダイオード6を設け、半導体レーザダイオード素子120の後方出力光を受光できる位置に固定する。
【0062】
第一のボンディングワイヤ131は第一の入力伝送線路227のパターン電極と光変調器素子121のカソード電極とを接続し、第二のボンディングワイヤ132は光変調器素子121のカソード電極と抵抗素子24の一端とを接続する。第三のボンディングワイヤ133は抵抗素子24の他の一端と光変調器素子121のアノード電極とを接続し、第四のボンディングワイヤ134は光変調器素子121のアノード電極と第二の入力伝送線路226のパターン電極とを接続する。またキャリア基板223上の第一の入力伝送線路227と中継基板207上の伝送線路208とは複数のボンディングワイヤ(あるいはリボンワイヤ)38により、低いインダクタンスになるようにして接続する。
【0063】
同様に、キャリア基板223上の第二の入力伝送線路226と中継基板205上の伝送線路206とは複数のボンディングワイヤ(あるいはリボンワイヤ)238により、低いインダクタンスで接続する。伝送線路208とリードピン3、および伝送線路206とリードピン4とはAuSn合金等により接合する。これらによりリードピン3およびリードピン4から光変調器素子21への電気信号入力経路が構成される。
【0064】
半導体レーザダイオード素子120はカソード電極をボンディングワイヤ37を介して接地電極225に接続し、アノード電極をボンディングワイヤ35、36を介して他のリードピン(図中省略)に接続する。そのリードピンに外部正電源を接続することでレーザダイオード素子120に順方向直流電流が供給される。モニタ用フォトダイオード6の出力は、他のリードピン(図中省略)を通じて外部に出力する。
【0065】
CAN型のパッケージ筐体としては例えば直径5.6mmのTO-56型の筐体等を用いる。金属ステム1、金属台座2の材料としては安価な鉄を用いると低コスト化に好適である。中継基板205、207およびキャリア基板223はアルミナ、窒化アルミ等の誘電体材料で構成する。キャリア基板223を熱伝導率の高い窒化アルミとした場合、半導体チップ122から金属台座2に至る熱抵抗を低減し、素子温度上昇を抑えるのに好適である。
【0066】
また、キャリア基板223は窒化アルミ等の誘電体基板と銅タングステンなどの金属板との貼り合わせ基板で構成しても良く、この構成では熱抵抗をさらに低減するのに好適である。抵抗素子24は窒化タンタル膜で構成し、レーザトリミングにより抵抗値を50オームとなるよう調整する。バイパスコンデンサ28としては単層の高誘電体基板で構成した平行平板型チップコンデンサを用いると、小型化に好適である。
【0067】
次に図8を用いて回路構成を説明する。まず差動駆動用IC261が出力した差動の電気変調信号は、外部伝送線路259、260、貫通穴209とリードピン4と封止ガラス5で構成される同軸線路T209、貫通穴210とリードピン3と封止ガラス5で構成される同軸線路T210、中継基板205上の伝送線路206、中継基板207上の伝送線路208、ボンディングワイヤ238が有するインダクタンスL238、ボンディングワイヤ38が有するインダクタンスL38を通じてキャリア基板の第一の入力伝送線路227と第二の入力伝送線路226に入力される。差動駆動用IC261の出力の差動インピーダンスは50オームとする。
【0068】
伝送線路259、260は差動駆動用IC261を搭載するプリント基板上の伝送線路とプリント基板とリードピン3、4を接続するフレキシブル基板上の伝送線路とで構成し、特性インピーダンスは25オームとする。同軸線路T209および210の特性インピーダンスは20オーム、伝送線路206、208および第一、第二の入力伝送線路227、226の特性インピーダンスは25オームとする。R24は抵抗素子24が有する抵抗、L131、L132、L133、L134はそれぞれ第一、第二、第三、第四のボンディングワイヤ131、132、133、134が有するインダクタンスである。電気変調信号はこれらの回路素子を介して光変調器素子121のカソード電極とアノード電極間に入力される。C121は光変調器素子121のカソード電極と裏面電極との間に生じる寄生容量を示す。
【0069】
一方、半導体レーザダイオード素子120には外部の電流駆動回路162より順方向直流電流Ibiasを供給し、レーザ光を出力させる。ここでL35、L36、L37はボンディングワイヤ35、36、37の有するインダクタンス、C28はバイパスコンデンサ28の容量を示す。通常光変調器素子121には逆方向バイアス電圧を印加して動作させるため、本実施例では+5.0V等の単一正電源を差動駆動用IC261および電流駆動回路162に用いる。
【0070】
光変調器素子121のカソード電極は素子導電層の中で最下層に位置する導電性n型層に接続している。そのため裏面電極との間に生じる寄生容量を最小限に抑えた場合でも、カソード電極-裏面電極間容量C121はアノード電極-裏面電極間に比較して大きくなる。本実施例では光変調器素子121の裏面電極を第一の入力伝送線路227上に接合しカソード電極を第一のボンディングワイヤ131を介して第一の入力伝送線路227に接続することで、カソード電極-裏面電極間容量C121による回路動作上の特性劣化を最小限に抑えることができ、良好な光送信モジュール特性を得るのに好適である。
【0071】
また、本実施例では差動駆動用IC261から光送信モジュールまでの信号線路を差動伝送線路とすることにより、光トランシーバ内部における送信部から受信部へのクロストークや光トランシーバ外部への電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)を低減するのに好適である。加えて、駆動用ICの一方の出力のみを用いて光変調器素子を駆動(シングルエンデッド駆動)した場合に比べ、光変調器素子を駆動できる電圧振幅をほぼ2倍に増加することができ、光出力信号の消光比を向上するに効果的である。
【0072】
変形例として、差動駆動用IC261と光送信モジュールとの間の差動線路の各々にバイアスティーを挿入し、別の直流電圧源にを用いて光変調器素子121の逆方向バイアス電圧を印加させても良い。その場合差動駆動用IC261は電気変調信号の電圧振幅成分のみを駆動すれば良いため、より低電圧電源での動作が可能となり、トランシーバの低消費電力化に好適である。
【0073】
本実施例においては伝送線路259と260の特性インピーダンスを各々25オームとしたが、これら2つの線路で1対の差動伝送線路を形成し、その差動インピーダンスを50オームとしてもよい。また、同軸線路T209およびT210の特性インピーダンスを20オームとしたが、その部材形状および封止に適するガラス材の選択により同軸線路の特性インピーダンスを、たとえば20〜30オームの範囲で変化しても良い。さらに、抵抗素子24の抵抗値を50オームとしたが、実際のトランシーバに搭載される差動駆動用ICとの相性により、これを、例えば40〜60オームの範囲で変更しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による実施例1の光送信モジュールの主要部分を示す構造図である。
【図2】本発明による実施例1の光送信モジュールの主要回路図である。
【図3】本発明による実施例1のキャリア基板部分の詳細図である。
【図4】本発明による実施例2の光送信モジュールの主要部分を示す構造図である。
【図5】本発明による実施例2の光送信モジュールの主要回路図である。
【図6】本発明による実施例2のキャリア基板部分の詳細図である。
【図7】本発明による実施例3の光送信モジュールの主要部分を示す構造図である。
【図8】本発明による実施例3の光送信モジュールの主要回路図である。
【図9】本発明の効果を説明する周波数と光送信モジュールの電気-光小信号通過特性S21との関係を示す図である。
【図10】本発明の効果を説明する光送信モジュールの光出力波形を示す図である。
【図11】本発明の効果を説明する光送信モジュールの過剰利得特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図12】本発明の効果を説明する光送信モジュールの3dB帯域特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図13】本発明の効果を説明する光送信モジュールの入力反射特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図14】従来の回路形式を用いた場合の特性を示す図である。
【図15】従来の回路形式を用いた場合の特性を示す図である。
【図16】従来の回路方式を用いた場合の光送信モジュールの過剰利得特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図17】従来の回路方式を用いた場合の光送信モジュールの3dB帯域特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図18】従来の回路方式を用いた場合の光送信モジュールの入力反射特性のワイヤインダクタンス依存性を示す図である。
【図19】本発明による実施例2の効果を説明する光送信モジュールの入力反射特性S11を示すグラフである。
【図20】本発明による実施例2の効果を説明する光送信モジュールの小信号通過特性S21を示すグラフである。
【図21】実施例2の構造を適用しなかった場合の光送信モジュールの入力反射特性S11を示すグラフである。
【図22】実施例2の構造を適用しなかった場合の光送信モジュールの小信号通過特性S21を示すグラフである。
【図23】本発明の実施例1における光変調器集積レーザチップの構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0075】
1…金属ステム、2…金属台座、3、4…リードピン、5…封止ガラス、6…モニタ用フォトダイオード、7…中継基板、8…伝送線路、9、10、11、12…貫通穴、20…半導体レーザダイオード素子、21…光変調器素子、22…半導体チップ、23…キャリア基板、24…抵抗素子、25…接地電極、26…ビアホール、27…入力伝送線路、28…バイパスコンデンサ、31…第一のボンディングワイヤ、32…第二のボンディングワイヤ、33…第三のボンディングワイヤ、34…第四のボンディングワイヤ、35、36、37…ボンディングワイヤ、38…ボンディングワイヤ、60…伝送線路、61…駆動用IC、62…電流駆動回路、120…半導体レーザダイオード素子、121…光変調器素子、122…半導体チップ、125…接地電極、127…入力伝送線路、131…第一のボンディングワイヤ、132…第二のボンディングワイヤ、133…第三のボンディングワイヤ、134…第四のボンディングワイヤ、161…駆動用IC、162…電流駆動回路、205…中継基板、206…伝送線路、207…中継基板、206、208…伝送線路、209、210…貫通穴、223…キャリア基板、225…接地電極、226…第二の入力伝送線路、227…第一の入力伝送線路、259、260…伝送線路、261…差動駆動用IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器を有する光半導体素子が搭載され、接地電極と該光変調器へ電気信号を入力する入力伝送路と入力された電気信号に対する終端抵抗とが基板表面上に形成された光半導体素子搭載基板であって、
前記光半導体素子の表面上にはボンディングワイヤにて前記接地電極と接続される前記光変調器のアノード電極が設けられており、前記終端抵抗の接地側の電極と前記光変調器のアノード電極とが他のボンディングワイヤにて接続されることを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項2】
光変調器を有する光半導体素子が搭載され、接地電極と該光変調器へ電気信号を入力する入力伝送路と入力された電気信号に対する終端抵抗とが基板表面上に形成された光半導体素子搭載基板であって、
前記光半導体素子の表面上にはボンディングワイヤにて前記接地電極と接続される前記光変調器のカソード電極が設けられており、前記終端抵抗の接地側の電極と前記光変調器のカソード電極とが他のボンディングワイヤにて接続されることを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載の光半導体素子搭載基板であって、
前記光変調器が前記接地電極上に配置されていることを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項4】
素子の表面上にアノード電極およびカソード電極が設けられた光変調器を有する光半導体素子が搭載され、接地電極と該光変調器へ電気信号を入力する入力伝送線路のパターン電極とが基板表面上に形成された光半導体素子搭載基板であって、
前記入力伝送線路のパターン電極と前記光変調器のアノード電極とを接続するボンディングワイヤの当該パターン電極上の接合部と、前記接地電極と当該光変調器のカソード電極とを接続するボンディングワイヤの当該接地電極上の接合部とは、当該光半導体素子を挟んだ両側に位置することを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項5】
素子の表面上にアノード電極およびカソード電極が設けられた光変調器を有する光半導体素子が搭載され、接地電極と該光変調器へ電気信号を入力する入力伝送線路のパターン電極とが基板表面上に形成された光半導体素子搭載基板であって、
前記入力伝送線路のパターン電極と前記光変調器のカソード電極とを接続するボンディングワイヤの当該パターン電極上の接合部と、前記接地電極と当該光変調器のアノード電極とを接続するボンディングワイヤの当該接地電極上の接合部とは、当該光変調器を挟んだ両側に位置することを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項6】
請求項4に記載の光半導体素子搭載基板であって、
前記入力伝送線路に入力された電気信号に対する終端抵抗が前記光半導体素子搭載基板の表面上に形成されており、
前記終端抵抗の接地側の電極と、前記接地電極とボンディングワイヤにて接続された前記光変調器のカソード電極とを、他のボンディングワイヤで接続することを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項7】
請求項5に記載の光半導体素子搭載基板であって、
前記入力伝送線路に入力された電気信号に対する終端抵抗が前記光半導体素子搭載基板の表面上に形成されており、
前記終端抵抗の接地側の電極と、前記接地電極とボンディングワイヤにて接続された前記光変調器のアノード電極とを、他のボンディングワイヤで接続することを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載の光半導体素子搭載基板であって、
前記光変調器が前記接地電極上、もしくは前記入力伝送線路のパターン電極上に配置されていることを特徴とする光半導体素子搭載基板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光半導体素子搭載基板を有する光送信モジュール。
【請求項10】
素子の表面上にアノード電極およびカソード電極が設けられた光変調器と半導体レーザとを有する光変調器集積レーザ素子が搭載され、接地電極と前記光変調器へ電気信号を入力する入力伝送線路のパターン電極と入力された電気信号に対する終端抵抗とが基板表面上に形成されたキャリア基板を用いた光送信モジュールであって、
前記入力伝送線路のパターン電極と前記光変調器のアノード電極とを接続する第1のボンディングワイヤと、
前記光変調器のアノード電極と前記終端抵抗素子の第1の電極とを接続する第2のボンディングワイヤと、
前記光変調器のカソード電極と前記終端抵抗素子の第2の電極とを接続する第3のボンディングワイヤと、
前記光変調器のカソード電極と前記接地電極とを接続する第4のボンディングワイヤと、
を有することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項11】
素子の表面上にアノード電極およびカソード電極が設けられた光変調器と半導体レーザとを有する光変調器集積レーザ素子が搭載され、接地電極と前記光変調器へ電気信号を入力する入力伝送線路のパターン電極と入力された電気信号に対する終端抵抗とが基板表面上に形成されたキャリア基板を用いた光送信モジュールであって、
前記入力伝送線路のパターン電極と前記光変調器のカソード電極とを接続する第1のボンディングワイヤと、
前記光変調器のカソード電極と前記終端抵抗素子の第1の電極とを接続する第2のボンディングワイヤと、
前記光変調器のアノード電極と前記終端抵抗素子の第2の電極とを接続する第3のボンディングワイヤと、
前記光変調器のアノード電極と前記接地電極とを接続する第4のボンディングワイヤと、
を有することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項12】
請求項10〜11のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
前記第1のボンディングワイヤと前記入力伝送線路のパターン電極との接合部と、前記第4のボンディングワイヤと前記接地電極との接合部とは、前記光変調器集積レーザ素子を挟んだ両側に位置することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
前記光変調器が前記接地電極上、もしくは前記入力伝送線路のパターン電極上に配置することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項14】
素子の表面上にアノード電極およびカソード電極が設けられた光変調器と半導体レーザとを有する光変調器集積レーザ素子が搭載され、接地電極と前記光変調器へ差動電気信号を入力する第1入力伝送線路のパターン電極および第2伝送線路のパターン電極と該第1伝送線路および第2伝送線路に入力された電気信号に対する終端抵抗とが基板表面上に形成されたキャリア基板を用いた光送信モジュールであって、
前記第1入力伝送線路のパターン電極と前記光変調器のカソード電極とを接続する第1のボンディングワイヤと、
前記光変調器のカソード電極と前記終端抵抗の第1の電極とを接続する第2のボンディングワイヤと、
前記光変調器のアノード電極と前記終端抵抗の第2の電極とを接続する第3のボンディングワイヤと、
前記光変調器のアノード電極と前記第2入力伝送線路パターン電極とを接続する第4のボンディングワイヤと、
を有することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項15】
請求項14に記載の光送信モジュールであって、
前記第1のボンディングワイヤと前記第1入力伝送線路のパターン電極との接合部と、前記第4のボンディングワイヤと前記第2の入力伝送線路のパターン電極との接合部とは、前記光変調器集積レーザ素子を挟んだ両側に位置することを特徴とする光送信モジュール。
【請求項16】
請求項14〜15のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
前記光変調器が前記第1入力伝送線路のパターン電極上または前記第2入力伝送線路のパターン電極上に配置されていることを特徴とする光送信モジュール。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
前記第2のボンディングワイヤと前記第3のボンディングワイヤとが隣接してほぼ平行に配置したことを特徴とする光送信モジュール。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
前記電気信号のビットレートが9.95Gbit/s以上、かつ11.3Gbit/s以下であることを特徴とする光送信モジュール。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれかに記載の光送信モジュールであって、
単一極性の電源により前記光変調器集積レーザ素子の半導体レーザと光変調器素子とを駆動することを特徴とする光送信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−286454(P2007−286454A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115147(P2006−115147)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】