説明

再生可能なセラミックの粒子フィルタ中の細孔形成剤としてのコポリアミド粉末

【課題】使用されたディーゼル粒子フィルタの濾過性能を高めるために、カーボンブラック粒子を堆積することができる表面積をできる限り大きくする必要がある
【解決手段】ケイ素含有粒子からなる材料を、ポリアミドの存在で熱分解する、ディーゼル車両用の、再生可能なセラミックの粒子フィルタの製造方法。前記方法から製造された粒子フィルタは>350m2/lのBET表面積を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
2008年からそれぞれの新規のディーゼル車両にフィルタを取り付けるとするEURO V規格の導入及びドイツ自動車工業の独自の義務と共に、このようなフィルタシステムの莫大な需要が生じる。同様に、オフロード分野におけるディーゼル粒子フィルタの使用が増加している。
【0002】
ディーゼルガス中の粒子は、主にカーボンブラックと未燃焼の炭化水素とからなる。使用されたエンジンに依存して、カーボンブラック粒子サイズは重点的に約50〜100μmの範囲内にあり、この粒子は相応する堆積後に引き続き再生されるまでフィルタの表面に吸着される。
【0003】
ディーゼルフィルタにおいて特別な使用条件のための機能性のフィルタ材料として、炭化ケイ素が定着している。今日のカーボンブラック粒子フィルタは、SiC粉末の押し出し及び引き続く再結晶化により製造されるか又はケイ素及び炭素の個々の成分から直接製造される。このケイ化温度はこの場合1500〜2300℃である。この粒子フィルタは問題なく高い負荷をかけることができ、次いで熱的にか焼することができ、その際、パーシャルロード作動において高い酸素割合を有する排気ガスは600℃の温度のフィルタに達し、捕集された粒子が熱分解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP 1 741 685 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用されたディーゼル粒子フィルタの濾過性能を高めるために、カーボンブラック粒子を堆積することができる表面積をできる限り大きくする必要がある。今までに使用されていた押出プロセスによって、比較的多孔性の表面を作製することができたが、この表面は最適な吸着特性を示していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
意外にも、特許請求の範囲に記載された方法により、著しく改善された粒子フィルタを製造できることが見出された。SiCからなる押出材料に、5〜15質量%の所定量のコポリアミド粉末を添加し、前記ポリマーを押出後に約350℃で焼き飛ばし、その結果、>350m2/l〜約800m2/lの値までのBETの著しい向上により明らかに改善されたフィルタ特性を有するフィルタ構造が生じる。0〜200μm、有利に0〜80μmの粒度分布を有するコポリアミド粉末を使用するのが有利である。ポリマー成分の焼き飛ばしによって、SiC材料の表面構造は明らかに変化し、より多くのブリッジ(Stege)及び通路がモノリスのSiC構造体の内部に形成され、前記のブリッジ及び通路は濾過性能を向上させ、それによりこのフィルターカートリッジの効率は改善される。ポリアミド粉末の混入及び引き続く熱分解により、排気ガス抵抗圧(Abgasgegendruck)は記載された効果に基づき明らかに低下し、これは明らかにより良好な濾過効果を生じさせる。
【0007】
このセラミック成形品は、測定目的のために、EP 1 741 685 A1により作製され、有利に0.001〜190μmの粒度を有するケイ素含有粒子からなる材料を、有利に0.001〜150μmの粒度を有する600〜1000℃で熱分解される炭素含有粒子と組み合わせて使用することを特徴とする。引き続き、有利に1150〜1700℃で酸素遮断下でケイ化することにより所望のSiC成形品が生じる。
【0008】
前記材料は、ケイ化(Silizierung)の後に300〜450m2/gの内部表面積を有している。粉末状のポリマー、有利にラウリンラクタム、カプロラクタム、ドデカン二酸及びメチルペンタメチレンジアミンをベースとするコポリアミドが添加される。前記コポリアミドは、有利に0〜80μmの粒度分布を有するのが好ましく、その際、粒子の35〜40%、有利に40〜60%が<50μmであるのが好ましい。このポリマーの融点は<150℃、有利に<120℃、最適には<110℃にあるのが好ましい。VESTAMELT 730-P1がこの使用目的のために特に適している。
【0009】
熱分解の前に、5〜15%、有利に7〜10%の量範囲でのポリアミドの添加により、BETによる内部表面積は明らかに600〜800m2/gに高めることができる。熱分解の間にこのコポリアミドはほぼ完全に熱分解され、100〜480μm、有利に220〜350μmの範囲内の壁厚を有する通路壁を形成する。これにより、明らかに拡大された表面積で十分な安定性が生じ、これにより明らかにより小さなフィルタを製造することが可能になる。ディーゼル乗用車の排気ガス分野にとっては、まさに、より小さな体積を有するフィルタを提供することが必要である。
【0010】
コポリアミドの使用による壁厚の低下により、70μmだけの低下の場合でも、同時に通路密度を向上させて、同じ体積でフィルタの内部表面積が明らかに高められる。
【0011】
この多孔性SiC含有セラミック成形品は、多孔性SiC含有セラミック成形体が配置されているフィルタシステムにおける、例えば自動車の排気ガスシステム又は内燃機関の排気ガス処理装置における使用のために適している。同様に、セラミック成形品を触媒担体構造体として並びに相応する触媒システムとして使用することもできる。このための例は、システムにより煤塵が排出される乗用車、船舶エンジン、建設車両並びに内燃機関を備えた装置が挙げられる。
【実施例】
【0012】
試験のために製造されたセラミック成形品は、水性セラミックスラリーからVESTAMELT 730-P1粉末の使用下でEP 1 741 685 A1に従って製造された。このために、0.001〜75μmの範囲内の粒度分布を有するケイ素含有粒子を、0.001〜35μmの範囲内の粒度分布を有する炭素含有粒子と、並びに0〜80μmの粒度分布を有するコポリアミド粉末と混合し、830℃で熱分解した。ここで既にコポリアミド粉末の熱分解が生じるため、この焼き飛ばしプロセスにより内部表面積が向上する。この場合に、BETによる内部表面積は780m2/gに向上させることができた。引き続き、1450℃でのケイ化により、炭化ケイ素SiCが形成され、これは最終的なフィルタ材料であった。
次の材料組成が使用された:
活性炭 8.9%
ケイ素粉末 40.0%
VESTAMELT 730-P1 8.0%
水 24.0%
フェノール樹脂 12.5%
助剤 6.6%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有粒子からなる材料を、ポリアミドの存在で熱分解することを特徴とする、ディーゼル車両用の、再生可能なセラミックの粒子フィルタの製造方法。
【請求項2】
炭化ケイ素にコポリアミド粉末5〜15%を添加し、引き続きこのポリマーを押出の後に約350℃で焼き飛ばすことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コポリアミド粉末が、0〜200μmの粒度分布を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ラウリンラクタム、カプロラクタム、ドデカン二酸及びメチルペンタメチレンジアミンをベースとするコポリアミド粉末を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
コポリアミド粉末が<150℃の融点を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
熱分解を600〜1000℃で行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
>350m2/lのBET表面積を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により製造された、ディーゼル車両用の再生可能なセラミックの粒子フィルタ。
【請求項8】
600〜800m2/lのBET表面積を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法により製造された、ディーゼル車両用の再生可能なセラミックの粒子フィルタ。

【公開番号】特開2009−256199(P2009−256199A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72984(P2009−72984)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】