基板の移載装置、およびその方法
【課題】ベルヌーイチャックで基板を吸引保持するときのハンド部の位置精度を緩やかなものとしながら、吸引保持した基板の位置決めを基板自身で自動的に行なって、非接触状態での基板の移載を高速度で能率よく行なえる移載装置を提供する。
【解決手段】パラレルメカニズムのハンド部に、基板を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、基板を位置決めする複数個のガイド体とを設ける。基板を吸引する際には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態にして基板を吸引保持する。吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めする。以上により、基板を吸引保持するときのハンド部の位置精度を緩やかにできる。さらに、吸引保持した基板の位置決めを基板自身で自動的に行なえる。
【解決手段】パラレルメカニズムのハンド部に、基板を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、基板を位置決めする複数個のガイド体とを設ける。基板を吸引する際には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態にして基板を吸引保持する。吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めする。以上により、基板を吸引保持するときのハンド部の位置精度を緩やかにできる。さらに、吸引保持した基板の位置決めを基板自身で自動的に行なえる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をベルヌーイチャックで非接触状態のまま捕捉して移載する基板の移載装置とその方法に関する。基板としては、例えば太陽電池用の矩形状のシリコンウェハーがある。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用の基板をベルヌーイチャックで吸引保持して移載することは特許文献1に公知である。そこでは、四角形状のハンド部の下面中央に1個のベルヌーイチャックを配置し、ハンド部の対角隅部に吸着パッドを配置している。吸着パッドの近傍には、ブラシ状の摺接体が設けてある。移載時には、吸着パッドで基板の対角隅部を吸着し、同時にベルヌーイチャックで基板の中央部を吸引保持する。摺接体を基板の隅部に接触させた状態でハンド部を上昇させることにより、移載対象の基板の下面に密着していた基板を強制的に分離して、最上面の基板のみを取り出して移載できる。
【0003】
本発明では、ベルヌーイチャックで吸引保持した基板を、ガイド体で所定姿勢に位置決めした状態で移載するが、この種のガイド体を備えた移載装置は特許文献2に開示してある。そこでは、四角形の支持プレートの下面に7個のベルヌーイチャックを配置し、支持プレートの隣接する辺部のそれぞれに、位置決め用の2個のガイド体を配置している。この移載装置では、基板(ガラス基板)を吸引保持した状態のベルヌーイチャックを、水平面、および垂直面に対して斜めに傾けて基板を吸着面に沿って自重で滑り移動させ、その隣接する辺部を2組のガイド体で受け止めて縦横方向に位置決めする。
【0004】
本発明では、移載装置の主要部をパラレルメカニズムで構成するが、パラレルメカニズムの基本構造は、本出願人の出願に係る特許文献3に公知である。そこでは、ベースに配置される3個の駆動モーターと、各駆動モーターで駆動操作される3組のアームユニットと、アームユニットで支持されるハンド部と、ハンド部に設けた旋回軸に回転動力を伝動する旋回駆動軸などでパラレルメカニズムを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−118859号公報(段落番号0033、図4)
【特許文献2】特開2000−191334号公報(段落番号0022、図4、図5)
【特許文献3】国際公開第2008/059659号パンフレット(段落番号0018、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の移載装置では、ベルヌーイチャックと吸着パッドとで基板を吸着保持するので、移載時に基板がベルヌーイチャックの吸着面に沿ってずれ動くのを吸着パッドで確実に防止できる。しかし、吸着パッドで基板の表面隅部を吸着固定するので、他物との接触を嫌う基板の移載に適さない。
【0007】
その点、特許文献2の移載装置によれば、ベルヌーイチャックで吸引保持した基板の周縁を2組のガイド体で位置決めするので、非接触状態で基板を移載できるのはもちろん、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。また、基板をベルヌーイチャックで吸引保持したのちに位置決め動作を独立して行なうので、吸引開始位置において基板を吸引保持するときのベルヌーイチャックの位置精度を緩やかにできる。しかし、ベルヌーイチャックを各辺部に設けたガイド体ごとに、個別に、異なる方向へ傾斜させて位置決めを行なう必要があるので、位置決めに多くの時間が掛かるのを避けられず、基板の移載を能率よく行なうことができない。
【0008】
本発明の目的は、基板を吸引保持するときのハンド部の位置精度を緩やかにしながら、さらに、吸引保持した基板の位置決めを基板自身で自動的に行なって、全体として基板の移載を高速度で能率よく行なえる基板の移載装置とその方法を提供することにある。
本発明の目的は、基板をベルヌークチャックで吸引保持した状態において、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致させて、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる基板の移載装置とその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る移載装置は、移載機構のハンド部に、四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、前記ベルヌーイチャックに吸引保持された基板を位置決めする複数個のガイド体とを設ける。ベルヌーイチャックには、圧縮空気をチャック凹部の内部に吹き出して負圧を生じさせる複数のノズル穴を設ける。ガイド体は、ベルヌーイチャックの吸着面の周囲を囲む状態で分散配置する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャックは、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるよう、ハンド部で位置保持される。そして、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする。
【0010】
ハンド部に、ベルヌーイチャックを垂直軸回りに旋回操作する旋回軸を設ける。旋回軸に、ベルヌーイチャックおよびガイド体をそれぞれ同行旋回可能に設ける。ガイド体を旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置においてガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0011】
吸引開始位置における基板を、吸引開始位置におけるガイド体に対して、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置する。吸引開始位置におけるガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持する。
【0012】
ベルヌーイチャックは、ハンド部の下面側に固定されるチャックベースと、チャックベースの下面に固定される複数個のチャックユニットとで構成する。個々のチャックユニットにおいて、チャック凹部に同じ向きの旋回気流が生じるようにノズル穴を形成する。
【0013】
ガイド体は、丸軸状の軸部と、軸部の下端に設けられる下すぼまりテーパー状の導入軸部と、基板の辺部を受け止める規制軸部とで構成する。
【0014】
ガイド体は、基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で基板を受け止めるように配置する。
【0015】
基板の各辺部の中点から、ガイド体で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定して、基板の対向する辺部を受け止める各ガイド体を、基板の中心を対称中心にして点対称となる状態で配置する。
【0016】
移載機構はパラレルメカニズムで構成する。
【0017】
チャックベースの上面に、ベルヌーイチャックで吸引保持された基板の上面全体を覆う遮蔽板を固定する。
【0018】
基板をコンベアで吸引開始位置へ向かって搬送する間に、基板の画像を取り込むとともに、その画像情報から基板の搬送位置および姿勢を特定する撮像装置と、該搬送位置および姿勢情報を取得して前記移載機構を制御する制御部とを備えている。制御部から出力される指令信号に基づき、パラレルメカニズムによりハンド部を駆動操作するとともに旋回軸を旋回操作して、吸引開始位置におけるガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0019】
本発明に係る基板の移載方法は、移載機構のハンド部に設けたベルヌーイチャックで、吸引開始位置に載置された四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体で基板を位置決めした状態で移載位置へと移載する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャックは、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるよう、ハンド部で位置保持する。吸引保持された基板を、ベルヌーイチャックのノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする。
【0020】
ベルヌーイチャックで基板を吸引保持するときのガイド体の位置に関して、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックおよびガイド体を、ハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0021】
あるいは、吸引開始位置における基板を、吸引開始位置におけるガイド体に対して、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0022】
ハンド部が移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、ガイド体を旋回軸で旋回操作して、基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の移載装置においては、移載機構のハンド部にベルヌーイチャックと複数個のガイド体とを設けて、基板表面を非接触状態で吸引保持し、ガイド体で位置決めできるようにした。また、基板を吸引する際には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるようにした。さらに、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めできるようにした。
【0024】
上記のように、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持すると、吸着前の基板と各ガイド体の間に十分な余裕隙間を確保した状態で基板を吸引保持でき、ガイド体の下降中に基板がガイド体の導入軸部や規制軸部と接触して擦られたり、導入軸部の先端と接触して破損されたりするのを解消できる。さらに、吸引保持した後の基板をノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させてガイド体で位置決めするので、全体として、基板を吸引する際のハンド部の位置決めを厳密に行なう必要がない。したがって、本発明の移載装置によれば、基板を吸引する際のハンド部の位置精度を緩やかにでき、その分だけハンド部の位置決めをより迅速に行なって、移載機構をより高速度で作動させて基板の移載能率を向上できる。さらに、基板をベルヌーイチャックで吸引保持した状態において、基板の位置決めを基板自身で自動的に行なって、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致させることができるので、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。なお、基板を吸引開始位置までコンベア搬送するような場合には、基板の移動量をコンベアに設けたエンコーダーからの出力信号によって求めることができる。その際に、コンベアベルトの蛇行や伸びによって、基板の実際の位置と、先の出力信号を基に計算して得られた位置との間に誤差が生じたとしても、基板はガイド体と接触することなく吸引保持される。
【0025】
吸引開始位置におけるガイド体をハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる移載装置によれば、吸引開始位置における基板の姿勢が一定しない状況であっても、的確に基板を吸引保持して位置決めできる。例えば、ランダムな姿勢で吸引開始位置へ搬送される基板であっても、確実に吸引保持して、適正に位置決めできる。
【0026】
吸引開始位置における基板を、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置する移載装置によれば、基板の姿勢を一律に揃えた後にコンベアで搬送する場合などに、ガイド体の姿勢を一定にした状態で基板を吸引保持できるので移載動作を単純化できる。つまり、ハンド部は吸引開始位置と移載先との間を単純に往復するだけでよく、移載動作を簡素化できる分だけ基板を能率よく移載できる。ガイド体の姿勢を調整するための構造を省いて、移載構造を簡素化できる利点もある。
【0027】
複数個のチャックユニットを吸着要素とするベルヌーイチャックによれば、移載対象となる基板の形状や大きさ等に応じて、チャックユニットの配置個数や配置形態を変更することにより、無駄のないベルヌーイチャックを構成できる。また、個々のチャックユニットのチャック凹部に同じ向きの旋回気流を生じさせることにより、吸引保持された基板を一方向へ強制的に旋回させてガイド体で位置決めできる。
【0028】
丸軸状の軸部と導入軸部と規制軸部とで構成したガイド体によれば、規制軸部の周面で基板の辺部を受け止めるときの状態を点接触にすることができる。したがって、基板が他物と接触してダメージを受けるのを防止しながら、安定した状態で的確に位置決めできる。また、基板の姿勢がガイド体で矯正されるときの接触抵抗を極力小さなものとして、基板の位置決めをより円滑に行なえる。軸部の下端に下すぼまりテーパー状の導入軸部を設けるので、ガイド体を基板に対して位置決めするときの位置座標に関して、導入軸部の水平成分に相当する寸法も余裕分として見込むことができ、例えば、外乱による装置の振動など、想定外の位置精度の悪化要因にも対応できることとなる。
【0029】
基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で基板を受け止めるようにガイド体を配置すると、基板の中心(中央)からより離れた位置で各辺部を位置決めすることになるので、基板をより高い精度で位置決めできる。また、各ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる際に、各ガイド体を吸着前の基板の辺部からできるだけ遠くに離れた位置に位置させて両者間に大きな余裕隙間を確保でき、ハンド部の位置精度をさらに緩やかにできる。
【0030】
上記のように、隅部側へ片寄した位置で辺部をガイド体で受け止め、さらに、各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定すると、最初に当接する辺部がどのガイド体であっても、基板の変位量を概ね一定にして、基板の姿勢を速やかに適正化できる。因みに、先の片寄距離が個々のガイド体で大小に異なる場合には、最初の辺部がどのガイド体に当接するかで基板の変位量が異なるので、位置決めに時間が掛かる場合がある。
【0031】
移載機構をパラレルメカニズムで構成した移載装置によれば、例えば多関節型のロボットで移載機構を構成する場合に比べて、可動部にモーターや減速機がなく、移載機構の軽量化を実現できるので、その動作速度を高速化でき、したがって、基板の移載作業を能率よく行なえる。
【0032】
チャックベースの上面に遮蔽板を固定し、ベルヌーイチャックで吸引保持された基板の上面全体を遮蔽板で覆うようにすると、ハンド部が上方へ移動するときの空気の流れを遮蔽板で遮って、基板に下向きの空気抵抗が作用するのを大幅に削減できる。したがって、基板に作用する空気抵抗によって、基板の吸引保持状態が不安定になって揺れ動き、あるいはベルヌーイチャックから落下するのを防止でき、基板を安定した状態のもとに高速度で移載できる。
【0033】
吸引開始位置へ向かって搬送される基板の画像を撮像装置で取り込み、その画像情報から基板の搬送位置および姿勢を特定して、制御部で吸引位置におけるガイド体の姿勢を制御する移載装置によれば、ランダムな姿勢で搬送される基板の吸引保持を確実に行なえる。また、コンベア搬送時の基板の姿勢を厳密に規定する必要がないので、基板を吸引開始位置へ搬送する前の基板の向きを揃える装置が不要となる。
【0034】
本発明に係る基板の移載方法においては、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持する。さらに、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めする。
【0035】
上記のように、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持すると、吸着前の基板と各ガイド体の間に十分な余裕隙間を確保した状態で基板を吸引保持でき、その間に基板がガイド体と接触して擦られるのを解消できる。さらに、吸引保持した後の基板をノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させてガイド体で位置決めするので、全体として、基板を吸引する際のハンド部の位置決めを厳密に行なう必要がない。したがって、本発明の移載方法によれば、基板を吸引する際のハンド部の位置精度を緩やかにでき、その分だけハンド部の位置決めをより迅速に行なって、移載機構をより高速度で作動させて基板の移載能率を向上できる。さらに、基板をベルヌーイチャックで吸引保持した状態において、基板の位置決めが自動的に行なわれ、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致できるので、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。なお、基板を吸引開始位置までコンベア搬送するような場合には、基板の移動量をコンベアに設けたエンコーダーからの出力信号によって求めることができる。その際に、コンベアベルトの蛇行や伸びによって、基板の実際の位置と、先の出力信号を基に計算して得られた位置との間に誤差が生じたとしても、基板はガイド体と接触することなく吸引保持される。
【0036】
ガイド体をハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置におけるガイド体を基板の外郭線の外に位置させるようにすると、吸引開始位置における基板の姿勢が一定でない状況であっても、的確に基板を吸引保持して位置決めできる。例えば、ランダムな姿勢で吸引開始位置へ搬送される基板であっても、確実に吸引保持して、適正に位置決めできる。
【0037】
吸引開始位置における基板を、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置すると、ガイド体の姿勢を一定にした状態で基板を吸引保持できるので移載動作を単純化できる。詳しくは、ハンド部は吸引開始位置と移載先との間を単純に往復するだけでよく、移載動作を簡素化できる分だけ基板を能率よく移載できる。
【0038】
ハンド部が移載機構で移載位置へ変位操作される間にガイド体を旋回軸で旋回操作して、基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更すると、基板を移載するのに要するサイクルタイムを短縮して、基板の移載をさらに能率よく行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の移載装置のベルヌーイチャック、および規制ピンの縦断面図である。
【図2】パラレルメカニズムの正面図である。
【図3】パラレルメカニズムの平面図である。
【図4】ベルヌーイチャックの縦断面図である。
【図5】ジョイント体、チャックベース、および遮蔽体の分解斜視図である。
【図6】ベルヌーイチャックの分解斜視図である。
【図7】ベルヌーイチャックの底面図である。
【図8】チャックユニットの底面図である。
【図9】移載装置の使用例を示す平面図である。
【図10】吸着時のガイド体の位置関係を示す説明図である。
【図11】吸着後の基板の旋回動作を示す説明図である。
【図12】基板を移載姿勢に戻すときの旋回動作を示す説明図である。
【図13】規制ピンの別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0040】
図1ないし図12は本発明に係る基板の移載装置の実施例を示す。図2において移載装置は、コンベアを跨ぐ高剛性の架台1を基体にして構成したパラレルメカニズムを移載構造にして構成する。移載対象の基板Wは、太陽電池を構成する四角形のシリコンウェハーからなり、その縦横寸法は125mm×125mm、もしくは156mm×156mm、厚み寸法は0.1ないし0.2mmである。図2に示すように、パラレルメカニズムは、架台1に固定されるベース2と、ベース2の下面に配置される3個の駆動モーター3と、各モーター3で駆動される3組のアームユニット4と、各アームユニット4で支持されるハンド部5などで構成する。ハンド部5には旋回駆動軸6を介して旋回駆動される旋回軸7が設けられている。また、ハンド部5の下面側にはジョイント体8と、ベルヌーイチャック9と、複数個のガイド体10とが設けられている。
【0041】
駆動モーター3はモーターブラケットを介してベース2に組み付けられており、その出力軸にアームユニット4の上端が連結されている。駆動モーター3は、サーボモーターと減速機とを一体に備えており、減速機で減速された往復旋回動力をアームユニット4に出力する。
【0042】
アームユニット4は、駆動アーム13と、駆動アーム13の旋回動作をハンド部5に伝える一対の平行なロッド14とで構成する。ロッド14の上端および下端は、それぞれボール継手15を介して駆動アーム13およびハンド部5に連結してある。両ロッド14はばね16で互いに接近する向きに付勢されている。各アームユニット4を駆動モーター3で駆動することにより、ハンド部5を所定の3次元空間内で自由に変位操作できる。
【0043】
ハンド部5の3次元変位に追随しながら旋回動力を伝動するために、伸縮自在なボールスプライン軸18と、その上下端に連結したユニバーサルジョイント19とで旋回駆動軸6を構成している。上側のユニバーサルジョイント19はモーター20の出力軸に、下側のユニバーサルジョイント19は旋回軸7にそれぞれ連結されている。旋回駆動軸6を駆動するモーター20は、先の駆動モーター3と同様にサーボモーターと減速機とで構成されており、ベース2の上面に配置されている。
【0044】
図3に示すようにハンド部5は、三又状の板状ブロックからなり、その中央部に先の旋回軸7がクロスローラーベアリング21で回転自在に軸支されている(図4参照)。旋回軸7の下面にジョイント体8が固定され、さらにジョイント体8の下面にベルヌーイチャック9が固定されている。図5に示すように、ジョイント体8は下向きに開口する浅い有底筒状に形成してあり、その筒壁の下端周面の4個所にベルヌーイチャック9を締結するための締結座23が張り出し形成されている。軽量化のために、ジョイント体8の全体を例えばアルミニウム合金やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック材、あるいは繊維強化プラスチック(FRP)などの高強度の材料で形成し、さらに、ジョイント体8の上端壁に多数個の減肉穴を上下貫通状に形成している。
【0045】
ベルヌーイチャック9は、ジョイント体8の下面に固定される平板状のチャックベース26と、チャックベース26の下面に固定される4個のチャックユニット27と、チャックベース26の上面に固定される遮蔽板28などで構成する。チャックベース26の基本形状は、基板Wよりひとまわり回り大きな正方形に形成されている。図5に示すように、チャックベース26の板面の4個所には、チャックユニット27を締結するためのリング状のチャック締結座31が設けられている。これらのチャック締結座31の間に、ジョイント体8を締結するための部分円弧状のジョイント締結座32が形成されている。また、チャックベース26の各辺部には、ガイド体10を締結するためのガイド締結座33が直線状に形成されている。
【0046】
チャックベース26は、軽量であると同時に、基板Wに対向するチャックユニット27の下面が略同一平面になるように、反りやたわみが小さく、曲げ強度が高い材料で形成する。この種の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)にガラス繊維や無機フィラーを充填複合した板材を加熱積層した市販素材(商品名ユニレート)を適用できる。また、先のチャック締結座31、ジョイント締結座32、およびガイド締結座33の周囲に減肉空間を形成して、軽量化を図っている。このように各締結座31・32・33以外の部分を除去して減肉空間とすることにより、チャックベース26の重量を削減して運動慣性力を小さくすることができる。
【0047】
図1においてチャックユニット27は、下向きに開口する有底丸筒状の上チャック体40と、上向きに開口する有底丸筒状の下チャック体41とで構成する。上チャック体40、および下チャック体41のうち、少なくとも下チャック体41は、太陽電池用シリコンウェーハーと接触する可能性を考慮して、以下の材料で形成する。超高分子量ポリエチレン(UHPE)、PEEK、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ABSのひとつ、あるいはこれらのいくつかを組み合わせたポリマーアロイである。上チャック体40は、チャックベース26の下面に締結固定され、下チャック体41は、上チャック体40の下面開口側に密閉状態で締結固定されている。これにより、上下のチャック体40・41の間に略円柱状の空気チャンバー42が形成される。図4に示すように、空気チャンバー42は、上チャック体40の周面に連結した空気通路(ゴムホース)43を介して、図示していない圧縮空気供給源に接続されている。
【0048】
下チャック体41の下面には、下向きに開口する浅いチャック凹部45が形成され、チャック凹部45の開口周縁に連続して平坦面46が形成されている。空気チャンバー42とチャック凹部45とは、8個のノズル穴47を介して連通されている。図1および図8に示すように、ノズル穴47は、空気チャンバー42の側からチャック凹部45の周縁隅部の側へ向かって下り傾斜する状態で、しかもノズル穴47の中心軸線がチャック凹部45の開口縁と所定の角度で交差するように形成する。これにより、ノズル穴47から吹き出される空気流の中心軸は、チャック凹部45の開口縁の下方へ向かって指向される。図8に示すように、これらの噴出空気の全体の流れは、チャックユニット27を底面から見る状態において、反時計回転方向へ旋回する旋回気流となり、平面視における噴出空気の全体の流れは時計回転方向の旋回気流となる(図11参照)。
【0049】
上記のように、浅いチャック凹部45の開口縁の下方を指向する状態で、圧縮空気をノズル穴47から吹き出すと、チャック凹部45の中央部側の圧力を負圧にできる。この負圧作用によって移載対象の基板Wが吸引保持される。なお、平坦面46を含むチャック凹部45の開口面をベルヌーイチャック9の吸着面とするとき、吸引保持された基板Wと吸着面とは、図1に示すように僅かな隙間Eを介して上下に対向している。ノズル穴47から吹き出された空気流は、先の隙間Eを介して大気中に排出される。
【0050】
上記のように、基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持して搬送する際には、基板Wの表面に空気抵抗が作用して、ベルヌーイチャックによる基板Wの吸引保持状態が不安定になるおそれがある。とくに、運動速度が速いパラレルメカニズムの場合には、大きな空気抵抗が基板Wの表面に作用し、基板Wがベルヌーイチャック9から落下するおそれがある。このような、空気抵抗による基板Wの揺れ動きや落下を防ぐために、チャックベース26の上面に、基板Wの上面全体を覆う遮蔽板28を締結固定している。
【0051】
図5に示すように遮蔽板28は、チャックベース26と同じ正方形を基本形状とするプラスチック板材からなる。遮蔽板28の板面の中央には、ジョイント体8とチャックユニット27の外郭線に沿う逃げ穴49を形成して軽量化してある。逃げ穴49の周囲壁のうち、チャックベース26の減肉空間に臨む4個所には、空気通路43を通すための通気穴50が丸穴状に形成してある。
【0052】
このように、遮蔽板28で基板Wの上方空間を覆うと、ハンド部5が上方へ移動するときの空気の流れを遮蔽板28で遮って、基板Wに下向きの空気抵抗が作用するのを解消でき、したがって基板Wがベルヌーイチャック9から落下するのを防止できる。なお、チャック部の垂直投影面においては、ジョイント体8の上壁に8個の穴が開口しているが、その真上に近接してハンド部5が配置してあるので、気流が先の穴を通過して基板Wに直撃することはない。
【0053】
ベルヌーイチャック9で吸引保持した状態の基板Wは、ベルヌーイチャック9の吸着面に沿って滑り移動しやすい。このような滑り移動を規制して基板Wを位置決めするために、チャックベース26の各辺部に4個のガイド体10を下向きに突出する状態で固定している。詳しくは、図7に向かって、チャックベース26の上辺部の右隅寄りおよび下辺部の左隅寄りと、左辺部の上隅寄りおよび右辺部の下隅寄りの、合計4個所にガイド体10を配置している。各ガイド体10はボルト54でチャックベース26のガイド締結座33の下面に締結固定する。
【0054】
上記のように、ガイド体10をチャックベース26の各隅部側へ片寄した位置に設けることにより、基板Wの各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置をガイド体10で受け止めることができる。基板Wの各辺部の中点から、ガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離は、対向する辺部において等距離に設定してある。したがって、上下辺部のガイド体10・10を結ぶ直線と、左右辺部のガイド体10・10を結ぶ直線とは、ベルヌーイチャック9の中心で交差する。また、基板Wの対向する辺部を受け止める各ガイド体10・10は、基板Wの重心を対称中心にして点対称の関係となる。
【0055】
図1に示すように、ガイド体10は、丸軸状の軸部51と、軸部51の下端に形成される下すぼまりテーパー状の導入軸部52と、導入軸部52の上側に連続する規制軸部53とで、全体が銃弾状に形成してある。規制軸部53は軸部51より小径の丸軸からなり、その周面で基板Wの辺部を受け止めることにより滑り移動を規制し、吸引保持された状態の基板Wを位置決めする。そのために、ベルヌーイチャック9の吸着面が、規制軸部53の上下方向中途部と交差する水平面上に位置するように、ガイド体10の上下位置を設定する。軽量化のために、軸部51と規制軸部53とは下すぼまりテーパー状の軸部分を介して連続している。
【0056】
ガイド体10は耐久性に優れたプラスチック材を素材にして形成してある。具体的には、基板Wが太陽電池用シリコンウェーハーである場合のプラスチック材としては、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリイミド(PI)、ABSなどのプラスチック材を用いることが好ましい。しかし、超高分子量ポリエチレンやポリイミドは射出成形が困難であるので、棒状の素材に旋削加工を施して形成すると、寸法精度に優れたガイド体10を低コストで簡単に形成できる。
【0057】
上記のように構成した移載装置は、例えば図9に示すように、第1コンベア60で移送されてくる個々の基板Wを、同コンベア60に隣接する第2コンベア61上のトレー62に移載する際に使用する。そこでは、各コンベア60・61を駆動するモーターMの駆動状態を、それぞれエンコーダー63を介して制御部64へフィードバックする。また、第1コンベア60で搬送される基板Wの位置信号と姿勢情報とが、カメラ部と画像処理部とからなる撮像装置65によって撮影画像から求められ、制御部64へ出力される。さらに、第1コンベア60で搬送されるトレー62の位置情報が光学センサー66を介して制御部64へ出力される。
【0058】
基板Wの移載動作は以下の手順で行なう。まず、基板Wが所定の吸引開始位置まで達する前に、基板Wの画像を撮像装置65で取り込み、画像情報から基板Wの重心位置と搬送姿勢を特定する。具体的には、撮像装置65のカメラ部で撮影された画像情報に基づき、撮像装置65の持つ座標系(X1・Y1・Z1)における基板Wの位置と傾きを検出する。撮像装置65の座標系は、例えばカメラ部の撮像面をX1−Y1平面とし、光軸をZ1方向として定義できる。この座標系における基板Wの重心位置と基板Wの傾き(図9のθ1)を撮像装置内のCPUで座標変換し、パラレルメカニズムの座標系(X2・Y2・Z2)における基板Wの重心位置と傾きを算出する。これらの情報を撮像装置65から制御部64へ出力する。制御部64では、第1コンベア60のエンコーダー信号をリアルタイムで検出しているため、基板Wを撮像した時点からの送り量を算出して、基板Wの現在の重心位置を特定することができる。これにより、第1コンベア60の搬送動作に追従して、ハンド部5の目標位置を逐次更新し、基板Wを吸引するまでハンド部5の位置を制御する。なお、基板Wの傾き角度θ1は個々の基板Wごとに異なっており、マイナスの値となることもある。
【0059】
基板Wが所定の吸引開始位置まで達するタイミングに合わせて、ハンド部5およびベルヌーイチャック9を基板Wの真上へと変位操作しながら、その間に旋回軸7を角度θだけ旋回駆動して、ベルヌーイチャック9の姿勢を基板Wの姿勢に適合させる。図10に示すように、旋回軸7の旋回角度θは、ベルヌーイチャック9の水平中心軸71が位置基準69と一致している状態をゼロにして、先の基板Wの傾き角度θ1に、プラス方向の余裕旋回角度θ2を加えた値とする。つまり、(θ=θ1+θ2)として、旋回軸7を位置基準69から旋回角度θ分だけ旋回操作する。
【0060】
上記のように、旋回軸7を旋回角度θ分だけ旋回操作することにより、図10に示すように、吸引開始位置における各ガイド体10は、基板Wの外郭線の外に位置することになる。この状態でハンド部5およびベルヌーイチャック9を操作して、ガイド体10の下端を第1コンベア60の上面に接触させることなく、基板Wを吸着可能な所定高さまで下降させる。このとき、基板Wはベルヌーイチャック9の旋回流による回転モーメントと、発生する負圧による吸引力とを受けるが、吸引力のほうが十分に大きいため、先に第1コンベア60の表面から離間する。その結果、コンベア上にあった基板Wは、ベルヌーイチャック9により吸引保持される。吸引保持された基板Wは、各チャックユニット27により、図11に矢印で示すように時計回転方向の旋回気流を受ける。そのため、吸引保持された当初、図11に想像線で示す位置にあった基板Wは、全体が時計回転方向へ滑り移動して、その辺部が実線で示すようにガイド体10の規制軸部53で受け止められる。つまり、基板Wは自らが旋回移動してガイド体10に当接し、自己完結的に位置決めされる。ここで、第1コンベア60のベルトは1本の平ベルトとしているが、より細い幅の複数の平ベルトとしてもよく、さらに、複数の丸ベルトで構成してもよい。個々のベルト幅を細くし、隙間を大きくとることで、万一の場合、ガイド体10がベルトを突き破ることを回避できる。あるいは、間隙を狙ってより下方までガイド体10を降下させるようにベルヌーイチャック9の位置を制御してもよい。一方、トレー62は、第2コンベア61上を搬送される途中で、光学センサー66によりその先端位置が検出される。光学センサー66と、第2コンベア61のエンコーダー信号とは、リアルタイムで制御部64に送信されているため、制御部64では任意時間のトレー位置を算出可能である。即ち、ハンド部5が基板Wを移載する際の目標位置は、逐次更新され、基板Wをトレー62上に載置するまで、ハンド部5の位置は制御される。
【0061】
吸引保持した基板Wをトレー62側へ移送する間に、図12に示すように旋回軸7を先の旋回方向とは逆向きに(マイナス方向へ)角度θだけ旋回駆動して、ベルヌーイチャック9の水平中心軸71を先の位置基準69に合致させ、トレー62に適合した移載姿勢に戻す。図12には、ベルヌーイチャック9が旋回操作される前の状態を想像線で示し、ベルヌーイチャック9が旋回操作された後の状態を実線で示している。移載姿勢に戻った状態でハンド部5およびベルヌーイチャック9をトレー62の移載位置へ下降させ、空気チャンバー42への圧縮空気の供給を停止することにより、基板Wをトレー62上に落下させて移載を完了する。
【0062】
移載後のハンド部5およびベルヌーイチャック9は、依然として先の位置基準69を向いているので、以後、上記の動作を繰り返し行なうことにより、第1コンベア60上の基板Wを、第2コンベア61上のトレー62に適正に移載できる。基板Wは、トレー62に対して縦横に直線列を構成する状態で整然と移載される。なお、トレー62に対する移載姿勢が、先の位置基準69と異なる場合には、移載姿勢に合致する状態で旋回軸7を所定角度だけ旋回操作するとよい。
【0063】
上記構成の移載装置においては、各ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させた状態で、基板Wの吸引保持を行なうので、図10に示すように、吸着前の基板Wと各ガイド体10の間には十分な余裕隙間が確保される。そのため、ハンド部5およびベルヌーイチャック9を基板Wに対して位置決めするときの目標値(X・Y・Z座標)に関して、先の余裕隙間を限界とするばらつきを見込むことができ、その分だけハンド部5の位置精度を緩やかにすることができる。コンベアの蛇行や伸びに起因する基板Wの位置ずれにも対応が可能となる。また、基板Wに対する位置精度が緩やかな分だけ、ハンド部5およびベルヌーイチャック9の位置決めをより迅速に行なうことができ、パラレルメカニズムをより高速度で作動させて基板Wの移載能率を向上できる。
【0064】
また、基板Wの各辺部の中央から隅部側へ片寄した位置をガイド体10で受け止めて基板Wを位置決めすることにより、基板Wの各辺部の中央付近をガイド体10で受け止めて基板Wを位置決めする場合に比べて、基板Wの位置決め精度を向上できる。さらに、各ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させる際に、吸着前の基板Wと各ガイド体10の間に大きな余裕隙間を確保して、ハンド部5の位置精度をさらに緩やかにできる。
【0065】
基板Wの各辺部の中央からガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を、対向する辺部において等距離に設定すると、最初に当接する辺部がどのガイド体10であっても、基板Wの変位量を概ね一定にして、基板Wの姿勢を速やかに適正化できる。因みに、先の片寄距離が個々のガイド体10で大小に異なる場合には、最初の辺部がどのガイド体10に当接するかで基板Wの変位量が異なるので、位置決めに時間が掛かる場合がある。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る基板の移載方法においては、移載機構のハンド部5に設けたベルヌーイチャック9で、吸引開始位置に載置された四角形の基板Wを非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体10で基板Wを位置決めした状態で移載位置へと移載する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャック9は、ガイド体10が基板Wの外郭線の外に位置する状態で基板Wを吸引保持できるよう、ハンド部5で位置保持されている。吸引保持された基板Wを、ベルヌーイチャックのノズル穴47から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板Wの辺部をガイド体10で受け止めることにより位置決めする。
【0067】
具体的には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャック9およびガイド体10を、ハンド部5に設けた旋回軸7で旋回操作することにより、ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させることができる。
【0068】
好ましくは、ハンド部5が移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、ガイド体10を旋回軸7で旋回操作して、基板Wの姿勢を移載姿勢に姿勢変更する。
【0069】
図13はガイド体10の別の実施例を示す。そこでは軸部51の下端に下すぼまりテーパー状の導入軸部52を設けて、導入軸部52が規制軸部53を兼ねるようにした。そのために、ベルヌーイチャック9の吸着面が、導入軸部52の上下方向中途部と交差する水平面上に位置するように、ガイド体10の上下位置を設定した。導入軸部52のテーパー角度は90度とした。
【0070】
このように下すぼまりテーパー状の導入軸部52で基板Wを位置決めすると、上記の実施例と同様に、ベルヌーイチャック9で吸引保持した基板Wを的確に位置決めできる。また、空気抵抗や、装置への外乱等による外力を受けた基板Wが、ベルヌーイチャック9の吸着面側へ押し付けられるような場合に、基板Wの周縁を導入軸部52で受け止めて、基板Wが限界位置を越えて移動するのを規制でき、基板Wがベルヌーイチャック9の平坦面46に接触して傷つくのを防止できる。また、先の実施例のガイド体10に比べて、第1コンべア60やトレー62の表面にベルヌーイチャック9をより近付けることが可能なため、吸引開始から保持するまでの時間を短縮できるとともに、吸引力により基板Wがベルヌーイチャック9の平坦面に衝突する可能性を小さくできる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
上記の実施例では、ランダムな姿勢の基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持する場合について説明したが、基板Wが所定の姿勢に揃えてある場合には、ベルヌーイチャック9を旋回軸7で旋回操作する必要はなく、したがって旋回軸7を省略することができる。その場合には、吸引開始位置における基板Wを、その外郭線がガイド体10の占有位置を避ける状態で載置して、ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させる。
【0072】
詳しくは、基板Wの水平中心軸70が位置基準69に対してマイナス方向へ余裕旋回角度θ2分だけずれた状態で、基板Wを吸引開始位置に載置しておく。この状態の基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持すると、基板Wがベルヌーイチャック9の吸着面に沿って旋回移動してガイド体10で位置決めされ、その水平中心軸70が位置基準69と一致する。以後は、先の実施例と同様にして、基板Wをトレー62に移載する。
【0073】
上記の実施例では、4個のチャックユニット27でベルヌーイチャック9を構成したが、その必要はなく、より大径の1個のチャックユニット27を基板Wの吸着要素にしてベルヌーイチャック9を構成することができる。その場合には、チャックユニット27をジョイント体8に直接固定することができ、さらに、チャックユニット27を利用してガイド体10を固定することができる。ジョイント体8とチャックベース26は一体に形成してもよい。
【0074】
ガイド体10の配置個数および配置形態は、基板Wの大きさや形状、あるいは基板Wの移載方向に応じて変更することができ、少なくとも3個が基板Wの辺部に当接すればよい。例えば、チャックベース26の隣接する3辺部にガイド体10を1個ずつ設けて、基板Wの隣接する3辺部を各ガイド体10で受け止めれば一意に位置が決まる。残る1辺には、その方向へ慣性力が働いて基板Wが飛び出すようなおそれがなければ、ガイド体10は不要である。あるいは、万一の場合に基板Wが飛び出すことのないよう、基板Wとガイド体10との間に所定の隙間を設けて、残る一辺にもガイド体10を配置するようにしてもよい。基板Wの各辺部の中点からガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離は大小に異なっていてもよく、各辺部の中点と、いずれか一方の隅部との間に先の当接位置があればよい。移載構造としては、パラレルメカニズムが好適であるが、多関節型のロボットであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
5 移載構造のハンド部
7 旋回軸
9 ベルヌーイチャック
10 ガイド体
26 チャックベース
45 チャック凹部
47 ノズル穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をベルヌーイチャックで非接触状態のまま捕捉して移載する基板の移載装置とその方法に関する。基板としては、例えば太陽電池用の矩形状のシリコンウェハーがある。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用の基板をベルヌーイチャックで吸引保持して移載することは特許文献1に公知である。そこでは、四角形状のハンド部の下面中央に1個のベルヌーイチャックを配置し、ハンド部の対角隅部に吸着パッドを配置している。吸着パッドの近傍には、ブラシ状の摺接体が設けてある。移載時には、吸着パッドで基板の対角隅部を吸着し、同時にベルヌーイチャックで基板の中央部を吸引保持する。摺接体を基板の隅部に接触させた状態でハンド部を上昇させることにより、移載対象の基板の下面に密着していた基板を強制的に分離して、最上面の基板のみを取り出して移載できる。
【0003】
本発明では、ベルヌーイチャックで吸引保持した基板を、ガイド体で所定姿勢に位置決めした状態で移載するが、この種のガイド体を備えた移載装置は特許文献2に開示してある。そこでは、四角形の支持プレートの下面に7個のベルヌーイチャックを配置し、支持プレートの隣接する辺部のそれぞれに、位置決め用の2個のガイド体を配置している。この移載装置では、基板(ガラス基板)を吸引保持した状態のベルヌーイチャックを、水平面、および垂直面に対して斜めに傾けて基板を吸着面に沿って自重で滑り移動させ、その隣接する辺部を2組のガイド体で受け止めて縦横方向に位置決めする。
【0004】
本発明では、移載装置の主要部をパラレルメカニズムで構成するが、パラレルメカニズムの基本構造は、本出願人の出願に係る特許文献3に公知である。そこでは、ベースに配置される3個の駆動モーターと、各駆動モーターで駆動操作される3組のアームユニットと、アームユニットで支持されるハンド部と、ハンド部に設けた旋回軸に回転動力を伝動する旋回駆動軸などでパラレルメカニズムを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−118859号公報(段落番号0033、図4)
【特許文献2】特開2000−191334号公報(段落番号0022、図4、図5)
【特許文献3】国際公開第2008/059659号パンフレット(段落番号0018、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の移載装置では、ベルヌーイチャックと吸着パッドとで基板を吸着保持するので、移載時に基板がベルヌーイチャックの吸着面に沿ってずれ動くのを吸着パッドで確実に防止できる。しかし、吸着パッドで基板の表面隅部を吸着固定するので、他物との接触を嫌う基板の移載に適さない。
【0007】
その点、特許文献2の移載装置によれば、ベルヌーイチャックで吸引保持した基板の周縁を2組のガイド体で位置決めするので、非接触状態で基板を移載できるのはもちろん、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。また、基板をベルヌーイチャックで吸引保持したのちに位置決め動作を独立して行なうので、吸引開始位置において基板を吸引保持するときのベルヌーイチャックの位置精度を緩やかにできる。しかし、ベルヌーイチャックを各辺部に設けたガイド体ごとに、個別に、異なる方向へ傾斜させて位置決めを行なう必要があるので、位置決めに多くの時間が掛かるのを避けられず、基板の移載を能率よく行なうことができない。
【0008】
本発明の目的は、基板を吸引保持するときのハンド部の位置精度を緩やかにしながら、さらに、吸引保持した基板の位置決めを基板自身で自動的に行なって、全体として基板の移載を高速度で能率よく行なえる基板の移載装置とその方法を提供することにある。
本発明の目的は、基板をベルヌークチャックで吸引保持した状態において、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致させて、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる基板の移載装置とその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る移載装置は、移載機構のハンド部に、四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、前記ベルヌーイチャックに吸引保持された基板を位置決めする複数個のガイド体とを設ける。ベルヌーイチャックには、圧縮空気をチャック凹部の内部に吹き出して負圧を生じさせる複数のノズル穴を設ける。ガイド体は、ベルヌーイチャックの吸着面の周囲を囲む状態で分散配置する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャックは、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるよう、ハンド部で位置保持される。そして、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする。
【0010】
ハンド部に、ベルヌーイチャックを垂直軸回りに旋回操作する旋回軸を設ける。旋回軸に、ベルヌーイチャックおよびガイド体をそれぞれ同行旋回可能に設ける。ガイド体を旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置においてガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0011】
吸引開始位置における基板を、吸引開始位置におけるガイド体に対して、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置する。吸引開始位置におけるガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持する。
【0012】
ベルヌーイチャックは、ハンド部の下面側に固定されるチャックベースと、チャックベースの下面に固定される複数個のチャックユニットとで構成する。個々のチャックユニットにおいて、チャック凹部に同じ向きの旋回気流が生じるようにノズル穴を形成する。
【0013】
ガイド体は、丸軸状の軸部と、軸部の下端に設けられる下すぼまりテーパー状の導入軸部と、基板の辺部を受け止める規制軸部とで構成する。
【0014】
ガイド体は、基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で基板を受け止めるように配置する。
【0015】
基板の各辺部の中点から、ガイド体で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定して、基板の対向する辺部を受け止める各ガイド体を、基板の中心を対称中心にして点対称となる状態で配置する。
【0016】
移載機構はパラレルメカニズムで構成する。
【0017】
チャックベースの上面に、ベルヌーイチャックで吸引保持された基板の上面全体を覆う遮蔽板を固定する。
【0018】
基板をコンベアで吸引開始位置へ向かって搬送する間に、基板の画像を取り込むとともに、その画像情報から基板の搬送位置および姿勢を特定する撮像装置と、該搬送位置および姿勢情報を取得して前記移載機構を制御する制御部とを備えている。制御部から出力される指令信号に基づき、パラレルメカニズムによりハンド部を駆動操作するとともに旋回軸を旋回操作して、吸引開始位置におけるガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0019】
本発明に係る基板の移載方法は、移載機構のハンド部に設けたベルヌーイチャックで、吸引開始位置に載置された四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体で基板を位置決めした状態で移載位置へと移載する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャックは、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるよう、ハンド部で位置保持する。吸引保持された基板を、ベルヌーイチャックのノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする。
【0020】
ベルヌーイチャックで基板を吸引保持するときのガイド体の位置に関して、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックおよびガイド体を、ハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0021】
あるいは、吸引開始位置における基板を、吸引開始位置におけるガイド体に対して、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる。
【0022】
ハンド部が移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、ガイド体を旋回軸で旋回操作して、基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の移載装置においては、移載機構のハンド部にベルヌーイチャックと複数個のガイド体とを設けて、基板表面を非接触状態で吸引保持し、ガイド体で位置決めできるようにした。また、基板を吸引する際には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持できるようにした。さらに、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めできるようにした。
【0024】
上記のように、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持すると、吸着前の基板と各ガイド体の間に十分な余裕隙間を確保した状態で基板を吸引保持でき、ガイド体の下降中に基板がガイド体の導入軸部や規制軸部と接触して擦られたり、導入軸部の先端と接触して破損されたりするのを解消できる。さらに、吸引保持した後の基板をノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させてガイド体で位置決めするので、全体として、基板を吸引する際のハンド部の位置決めを厳密に行なう必要がない。したがって、本発明の移載装置によれば、基板を吸引する際のハンド部の位置精度を緩やかにでき、その分だけハンド部の位置決めをより迅速に行なって、移載機構をより高速度で作動させて基板の移載能率を向上できる。さらに、基板をベルヌーイチャックで吸引保持した状態において、基板の位置決めを基板自身で自動的に行なって、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致させることができるので、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。なお、基板を吸引開始位置までコンベア搬送するような場合には、基板の移動量をコンベアに設けたエンコーダーからの出力信号によって求めることができる。その際に、コンベアベルトの蛇行や伸びによって、基板の実際の位置と、先の出力信号を基に計算して得られた位置との間に誤差が生じたとしても、基板はガイド体と接触することなく吸引保持される。
【0025】
吸引開始位置におけるガイド体をハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる移載装置によれば、吸引開始位置における基板の姿勢が一定しない状況であっても、的確に基板を吸引保持して位置決めできる。例えば、ランダムな姿勢で吸引開始位置へ搬送される基板であっても、確実に吸引保持して、適正に位置決めできる。
【0026】
吸引開始位置における基板を、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置する移載装置によれば、基板の姿勢を一律に揃えた後にコンベアで搬送する場合などに、ガイド体の姿勢を一定にした状態で基板を吸引保持できるので移載動作を単純化できる。つまり、ハンド部は吸引開始位置と移載先との間を単純に往復するだけでよく、移載動作を簡素化できる分だけ基板を能率よく移載できる。ガイド体の姿勢を調整するための構造を省いて、移載構造を簡素化できる利点もある。
【0027】
複数個のチャックユニットを吸着要素とするベルヌーイチャックによれば、移載対象となる基板の形状や大きさ等に応じて、チャックユニットの配置個数や配置形態を変更することにより、無駄のないベルヌーイチャックを構成できる。また、個々のチャックユニットのチャック凹部に同じ向きの旋回気流を生じさせることにより、吸引保持された基板を一方向へ強制的に旋回させてガイド体で位置決めできる。
【0028】
丸軸状の軸部と導入軸部と規制軸部とで構成したガイド体によれば、規制軸部の周面で基板の辺部を受け止めるときの状態を点接触にすることができる。したがって、基板が他物と接触してダメージを受けるのを防止しながら、安定した状態で的確に位置決めできる。また、基板の姿勢がガイド体で矯正されるときの接触抵抗を極力小さなものとして、基板の位置決めをより円滑に行なえる。軸部の下端に下すぼまりテーパー状の導入軸部を設けるので、ガイド体を基板に対して位置決めするときの位置座標に関して、導入軸部の水平成分に相当する寸法も余裕分として見込むことができ、例えば、外乱による装置の振動など、想定外の位置精度の悪化要因にも対応できることとなる。
【0029】
基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で基板を受け止めるようにガイド体を配置すると、基板の中心(中央)からより離れた位置で各辺部を位置決めすることになるので、基板をより高い精度で位置決めできる。また、各ガイド体を基板の外郭線の外に位置させる際に、各ガイド体を吸着前の基板の辺部からできるだけ遠くに離れた位置に位置させて両者間に大きな余裕隙間を確保でき、ハンド部の位置精度をさらに緩やかにできる。
【0030】
上記のように、隅部側へ片寄した位置で辺部をガイド体で受け止め、さらに、各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定すると、最初に当接する辺部がどのガイド体であっても、基板の変位量を概ね一定にして、基板の姿勢を速やかに適正化できる。因みに、先の片寄距離が個々のガイド体で大小に異なる場合には、最初の辺部がどのガイド体に当接するかで基板の変位量が異なるので、位置決めに時間が掛かる場合がある。
【0031】
移載機構をパラレルメカニズムで構成した移載装置によれば、例えば多関節型のロボットで移載機構を構成する場合に比べて、可動部にモーターや減速機がなく、移載機構の軽量化を実現できるので、その動作速度を高速化でき、したがって、基板の移載作業を能率よく行なえる。
【0032】
チャックベースの上面に遮蔽板を固定し、ベルヌーイチャックで吸引保持された基板の上面全体を遮蔽板で覆うようにすると、ハンド部が上方へ移動するときの空気の流れを遮蔽板で遮って、基板に下向きの空気抵抗が作用するのを大幅に削減できる。したがって、基板に作用する空気抵抗によって、基板の吸引保持状態が不安定になって揺れ動き、あるいはベルヌーイチャックから落下するのを防止でき、基板を安定した状態のもとに高速度で移載できる。
【0033】
吸引開始位置へ向かって搬送される基板の画像を撮像装置で取り込み、その画像情報から基板の搬送位置および姿勢を特定して、制御部で吸引位置におけるガイド体の姿勢を制御する移載装置によれば、ランダムな姿勢で搬送される基板の吸引保持を確実に行なえる。また、コンベア搬送時の基板の姿勢を厳密に規定する必要がないので、基板を吸引開始位置へ搬送する前の基板の向きを揃える装置が不要となる。
【0034】
本発明に係る基板の移載方法においては、吸引開始位置におけるベルヌーイチャックをハンド部で位置保持して、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で基板を吸引保持する。さらに、吸引保持された基板を、ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板の辺部をガイド体で受け止めて位置決めする。
【0035】
上記のように、ガイド体が基板の外郭線の外に位置する状態で、基板をベルヌーイチャックで吸引保持すると、吸着前の基板と各ガイド体の間に十分な余裕隙間を確保した状態で基板を吸引保持でき、その間に基板がガイド体と接触して擦られるのを解消できる。さらに、吸引保持した後の基板をノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させてガイド体で位置決めするので、全体として、基板を吸引する際のハンド部の位置決めを厳密に行なう必要がない。したがって、本発明の移載方法によれば、基板を吸引する際のハンド部の位置精度を緩やかにでき、その分だけハンド部の位置決めをより迅速に行なって、移載機構をより高速度で作動させて基板の移載能率を向上できる。さらに、基板をベルヌーイチャックで吸引保持した状態において、基板の位置決めが自動的に行なわれ、基板の中心とベルヌーイチャックの中心とを精度よく一致できるので、基板を高い位置精度で移載先へ移載できる。なお、基板を吸引開始位置までコンベア搬送するような場合には、基板の移動量をコンベアに設けたエンコーダーからの出力信号によって求めることができる。その際に、コンベアベルトの蛇行や伸びによって、基板の実際の位置と、先の出力信号を基に計算して得られた位置との間に誤差が生じたとしても、基板はガイド体と接触することなく吸引保持される。
【0036】
ガイド体をハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置におけるガイド体を基板の外郭線の外に位置させるようにすると、吸引開始位置における基板の姿勢が一定でない状況であっても、的確に基板を吸引保持して位置決めできる。例えば、ランダムな姿勢で吸引開始位置へ搬送される基板であっても、確実に吸引保持して、適正に位置決めできる。
【0037】
吸引開始位置における基板を、基板の外郭線がガイド体の占有位置を避ける状態で配置すると、ガイド体の姿勢を一定にした状態で基板を吸引保持できるので移載動作を単純化できる。詳しくは、ハンド部は吸引開始位置と移載先との間を単純に往復するだけでよく、移載動作を簡素化できる分だけ基板を能率よく移載できる。
【0038】
ハンド部が移載機構で移載位置へ変位操作される間にガイド体を旋回軸で旋回操作して、基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更すると、基板を移載するのに要するサイクルタイムを短縮して、基板の移載をさらに能率よく行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の移載装置のベルヌーイチャック、および規制ピンの縦断面図である。
【図2】パラレルメカニズムの正面図である。
【図3】パラレルメカニズムの平面図である。
【図4】ベルヌーイチャックの縦断面図である。
【図5】ジョイント体、チャックベース、および遮蔽体の分解斜視図である。
【図6】ベルヌーイチャックの分解斜視図である。
【図7】ベルヌーイチャックの底面図である。
【図8】チャックユニットの底面図である。
【図9】移載装置の使用例を示す平面図である。
【図10】吸着時のガイド体の位置関係を示す説明図である。
【図11】吸着後の基板の旋回動作を示す説明図である。
【図12】基板を移載姿勢に戻すときの旋回動作を示す説明図である。
【図13】規制ピンの別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0040】
図1ないし図12は本発明に係る基板の移載装置の実施例を示す。図2において移載装置は、コンベアを跨ぐ高剛性の架台1を基体にして構成したパラレルメカニズムを移載構造にして構成する。移載対象の基板Wは、太陽電池を構成する四角形のシリコンウェハーからなり、その縦横寸法は125mm×125mm、もしくは156mm×156mm、厚み寸法は0.1ないし0.2mmである。図2に示すように、パラレルメカニズムは、架台1に固定されるベース2と、ベース2の下面に配置される3個の駆動モーター3と、各モーター3で駆動される3組のアームユニット4と、各アームユニット4で支持されるハンド部5などで構成する。ハンド部5には旋回駆動軸6を介して旋回駆動される旋回軸7が設けられている。また、ハンド部5の下面側にはジョイント体8と、ベルヌーイチャック9と、複数個のガイド体10とが設けられている。
【0041】
駆動モーター3はモーターブラケットを介してベース2に組み付けられており、その出力軸にアームユニット4の上端が連結されている。駆動モーター3は、サーボモーターと減速機とを一体に備えており、減速機で減速された往復旋回動力をアームユニット4に出力する。
【0042】
アームユニット4は、駆動アーム13と、駆動アーム13の旋回動作をハンド部5に伝える一対の平行なロッド14とで構成する。ロッド14の上端および下端は、それぞれボール継手15を介して駆動アーム13およびハンド部5に連結してある。両ロッド14はばね16で互いに接近する向きに付勢されている。各アームユニット4を駆動モーター3で駆動することにより、ハンド部5を所定の3次元空間内で自由に変位操作できる。
【0043】
ハンド部5の3次元変位に追随しながら旋回動力を伝動するために、伸縮自在なボールスプライン軸18と、その上下端に連結したユニバーサルジョイント19とで旋回駆動軸6を構成している。上側のユニバーサルジョイント19はモーター20の出力軸に、下側のユニバーサルジョイント19は旋回軸7にそれぞれ連結されている。旋回駆動軸6を駆動するモーター20は、先の駆動モーター3と同様にサーボモーターと減速機とで構成されており、ベース2の上面に配置されている。
【0044】
図3に示すようにハンド部5は、三又状の板状ブロックからなり、その中央部に先の旋回軸7がクロスローラーベアリング21で回転自在に軸支されている(図4参照)。旋回軸7の下面にジョイント体8が固定され、さらにジョイント体8の下面にベルヌーイチャック9が固定されている。図5に示すように、ジョイント体8は下向きに開口する浅い有底筒状に形成してあり、その筒壁の下端周面の4個所にベルヌーイチャック9を締結するための締結座23が張り出し形成されている。軽量化のために、ジョイント体8の全体を例えばアルミニウム合金やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック材、あるいは繊維強化プラスチック(FRP)などの高強度の材料で形成し、さらに、ジョイント体8の上端壁に多数個の減肉穴を上下貫通状に形成している。
【0045】
ベルヌーイチャック9は、ジョイント体8の下面に固定される平板状のチャックベース26と、チャックベース26の下面に固定される4個のチャックユニット27と、チャックベース26の上面に固定される遮蔽板28などで構成する。チャックベース26の基本形状は、基板Wよりひとまわり回り大きな正方形に形成されている。図5に示すように、チャックベース26の板面の4個所には、チャックユニット27を締結するためのリング状のチャック締結座31が設けられている。これらのチャック締結座31の間に、ジョイント体8を締結するための部分円弧状のジョイント締結座32が形成されている。また、チャックベース26の各辺部には、ガイド体10を締結するためのガイド締結座33が直線状に形成されている。
【0046】
チャックベース26は、軽量であると同時に、基板Wに対向するチャックユニット27の下面が略同一平面になるように、反りやたわみが小さく、曲げ強度が高い材料で形成する。この種の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)にガラス繊維や無機フィラーを充填複合した板材を加熱積層した市販素材(商品名ユニレート)を適用できる。また、先のチャック締結座31、ジョイント締結座32、およびガイド締結座33の周囲に減肉空間を形成して、軽量化を図っている。このように各締結座31・32・33以外の部分を除去して減肉空間とすることにより、チャックベース26の重量を削減して運動慣性力を小さくすることができる。
【0047】
図1においてチャックユニット27は、下向きに開口する有底丸筒状の上チャック体40と、上向きに開口する有底丸筒状の下チャック体41とで構成する。上チャック体40、および下チャック体41のうち、少なくとも下チャック体41は、太陽電池用シリコンウェーハーと接触する可能性を考慮して、以下の材料で形成する。超高分子量ポリエチレン(UHPE)、PEEK、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ABSのひとつ、あるいはこれらのいくつかを組み合わせたポリマーアロイである。上チャック体40は、チャックベース26の下面に締結固定され、下チャック体41は、上チャック体40の下面開口側に密閉状態で締結固定されている。これにより、上下のチャック体40・41の間に略円柱状の空気チャンバー42が形成される。図4に示すように、空気チャンバー42は、上チャック体40の周面に連結した空気通路(ゴムホース)43を介して、図示していない圧縮空気供給源に接続されている。
【0048】
下チャック体41の下面には、下向きに開口する浅いチャック凹部45が形成され、チャック凹部45の開口周縁に連続して平坦面46が形成されている。空気チャンバー42とチャック凹部45とは、8個のノズル穴47を介して連通されている。図1および図8に示すように、ノズル穴47は、空気チャンバー42の側からチャック凹部45の周縁隅部の側へ向かって下り傾斜する状態で、しかもノズル穴47の中心軸線がチャック凹部45の開口縁と所定の角度で交差するように形成する。これにより、ノズル穴47から吹き出される空気流の中心軸は、チャック凹部45の開口縁の下方へ向かって指向される。図8に示すように、これらの噴出空気の全体の流れは、チャックユニット27を底面から見る状態において、反時計回転方向へ旋回する旋回気流となり、平面視における噴出空気の全体の流れは時計回転方向の旋回気流となる(図11参照)。
【0049】
上記のように、浅いチャック凹部45の開口縁の下方を指向する状態で、圧縮空気をノズル穴47から吹き出すと、チャック凹部45の中央部側の圧力を負圧にできる。この負圧作用によって移載対象の基板Wが吸引保持される。なお、平坦面46を含むチャック凹部45の開口面をベルヌーイチャック9の吸着面とするとき、吸引保持された基板Wと吸着面とは、図1に示すように僅かな隙間Eを介して上下に対向している。ノズル穴47から吹き出された空気流は、先の隙間Eを介して大気中に排出される。
【0050】
上記のように、基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持して搬送する際には、基板Wの表面に空気抵抗が作用して、ベルヌーイチャックによる基板Wの吸引保持状態が不安定になるおそれがある。とくに、運動速度が速いパラレルメカニズムの場合には、大きな空気抵抗が基板Wの表面に作用し、基板Wがベルヌーイチャック9から落下するおそれがある。このような、空気抵抗による基板Wの揺れ動きや落下を防ぐために、チャックベース26の上面に、基板Wの上面全体を覆う遮蔽板28を締結固定している。
【0051】
図5に示すように遮蔽板28は、チャックベース26と同じ正方形を基本形状とするプラスチック板材からなる。遮蔽板28の板面の中央には、ジョイント体8とチャックユニット27の外郭線に沿う逃げ穴49を形成して軽量化してある。逃げ穴49の周囲壁のうち、チャックベース26の減肉空間に臨む4個所には、空気通路43を通すための通気穴50が丸穴状に形成してある。
【0052】
このように、遮蔽板28で基板Wの上方空間を覆うと、ハンド部5が上方へ移動するときの空気の流れを遮蔽板28で遮って、基板Wに下向きの空気抵抗が作用するのを解消でき、したがって基板Wがベルヌーイチャック9から落下するのを防止できる。なお、チャック部の垂直投影面においては、ジョイント体8の上壁に8個の穴が開口しているが、その真上に近接してハンド部5が配置してあるので、気流が先の穴を通過して基板Wに直撃することはない。
【0053】
ベルヌーイチャック9で吸引保持した状態の基板Wは、ベルヌーイチャック9の吸着面に沿って滑り移動しやすい。このような滑り移動を規制して基板Wを位置決めするために、チャックベース26の各辺部に4個のガイド体10を下向きに突出する状態で固定している。詳しくは、図7に向かって、チャックベース26の上辺部の右隅寄りおよび下辺部の左隅寄りと、左辺部の上隅寄りおよび右辺部の下隅寄りの、合計4個所にガイド体10を配置している。各ガイド体10はボルト54でチャックベース26のガイド締結座33の下面に締結固定する。
【0054】
上記のように、ガイド体10をチャックベース26の各隅部側へ片寄した位置に設けることにより、基板Wの各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置をガイド体10で受け止めることができる。基板Wの各辺部の中点から、ガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離は、対向する辺部において等距離に設定してある。したがって、上下辺部のガイド体10・10を結ぶ直線と、左右辺部のガイド体10・10を結ぶ直線とは、ベルヌーイチャック9の中心で交差する。また、基板Wの対向する辺部を受け止める各ガイド体10・10は、基板Wの重心を対称中心にして点対称の関係となる。
【0055】
図1に示すように、ガイド体10は、丸軸状の軸部51と、軸部51の下端に形成される下すぼまりテーパー状の導入軸部52と、導入軸部52の上側に連続する規制軸部53とで、全体が銃弾状に形成してある。規制軸部53は軸部51より小径の丸軸からなり、その周面で基板Wの辺部を受け止めることにより滑り移動を規制し、吸引保持された状態の基板Wを位置決めする。そのために、ベルヌーイチャック9の吸着面が、規制軸部53の上下方向中途部と交差する水平面上に位置するように、ガイド体10の上下位置を設定する。軽量化のために、軸部51と規制軸部53とは下すぼまりテーパー状の軸部分を介して連続している。
【0056】
ガイド体10は耐久性に優れたプラスチック材を素材にして形成してある。具体的には、基板Wが太陽電池用シリコンウェーハーである場合のプラスチック材としては、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリイミド(PI)、ABSなどのプラスチック材を用いることが好ましい。しかし、超高分子量ポリエチレンやポリイミドは射出成形が困難であるので、棒状の素材に旋削加工を施して形成すると、寸法精度に優れたガイド体10を低コストで簡単に形成できる。
【0057】
上記のように構成した移載装置は、例えば図9に示すように、第1コンベア60で移送されてくる個々の基板Wを、同コンベア60に隣接する第2コンベア61上のトレー62に移載する際に使用する。そこでは、各コンベア60・61を駆動するモーターMの駆動状態を、それぞれエンコーダー63を介して制御部64へフィードバックする。また、第1コンベア60で搬送される基板Wの位置信号と姿勢情報とが、カメラ部と画像処理部とからなる撮像装置65によって撮影画像から求められ、制御部64へ出力される。さらに、第1コンベア60で搬送されるトレー62の位置情報が光学センサー66を介して制御部64へ出力される。
【0058】
基板Wの移載動作は以下の手順で行なう。まず、基板Wが所定の吸引開始位置まで達する前に、基板Wの画像を撮像装置65で取り込み、画像情報から基板Wの重心位置と搬送姿勢を特定する。具体的には、撮像装置65のカメラ部で撮影された画像情報に基づき、撮像装置65の持つ座標系(X1・Y1・Z1)における基板Wの位置と傾きを検出する。撮像装置65の座標系は、例えばカメラ部の撮像面をX1−Y1平面とし、光軸をZ1方向として定義できる。この座標系における基板Wの重心位置と基板Wの傾き(図9のθ1)を撮像装置内のCPUで座標変換し、パラレルメカニズムの座標系(X2・Y2・Z2)における基板Wの重心位置と傾きを算出する。これらの情報を撮像装置65から制御部64へ出力する。制御部64では、第1コンベア60のエンコーダー信号をリアルタイムで検出しているため、基板Wを撮像した時点からの送り量を算出して、基板Wの現在の重心位置を特定することができる。これにより、第1コンベア60の搬送動作に追従して、ハンド部5の目標位置を逐次更新し、基板Wを吸引するまでハンド部5の位置を制御する。なお、基板Wの傾き角度θ1は個々の基板Wごとに異なっており、マイナスの値となることもある。
【0059】
基板Wが所定の吸引開始位置まで達するタイミングに合わせて、ハンド部5およびベルヌーイチャック9を基板Wの真上へと変位操作しながら、その間に旋回軸7を角度θだけ旋回駆動して、ベルヌーイチャック9の姿勢を基板Wの姿勢に適合させる。図10に示すように、旋回軸7の旋回角度θは、ベルヌーイチャック9の水平中心軸71が位置基準69と一致している状態をゼロにして、先の基板Wの傾き角度θ1に、プラス方向の余裕旋回角度θ2を加えた値とする。つまり、(θ=θ1+θ2)として、旋回軸7を位置基準69から旋回角度θ分だけ旋回操作する。
【0060】
上記のように、旋回軸7を旋回角度θ分だけ旋回操作することにより、図10に示すように、吸引開始位置における各ガイド体10は、基板Wの外郭線の外に位置することになる。この状態でハンド部5およびベルヌーイチャック9を操作して、ガイド体10の下端を第1コンベア60の上面に接触させることなく、基板Wを吸着可能な所定高さまで下降させる。このとき、基板Wはベルヌーイチャック9の旋回流による回転モーメントと、発生する負圧による吸引力とを受けるが、吸引力のほうが十分に大きいため、先に第1コンベア60の表面から離間する。その結果、コンベア上にあった基板Wは、ベルヌーイチャック9により吸引保持される。吸引保持された基板Wは、各チャックユニット27により、図11に矢印で示すように時計回転方向の旋回気流を受ける。そのため、吸引保持された当初、図11に想像線で示す位置にあった基板Wは、全体が時計回転方向へ滑り移動して、その辺部が実線で示すようにガイド体10の規制軸部53で受け止められる。つまり、基板Wは自らが旋回移動してガイド体10に当接し、自己完結的に位置決めされる。ここで、第1コンベア60のベルトは1本の平ベルトとしているが、より細い幅の複数の平ベルトとしてもよく、さらに、複数の丸ベルトで構成してもよい。個々のベルト幅を細くし、隙間を大きくとることで、万一の場合、ガイド体10がベルトを突き破ることを回避できる。あるいは、間隙を狙ってより下方までガイド体10を降下させるようにベルヌーイチャック9の位置を制御してもよい。一方、トレー62は、第2コンベア61上を搬送される途中で、光学センサー66によりその先端位置が検出される。光学センサー66と、第2コンベア61のエンコーダー信号とは、リアルタイムで制御部64に送信されているため、制御部64では任意時間のトレー位置を算出可能である。即ち、ハンド部5が基板Wを移載する際の目標位置は、逐次更新され、基板Wをトレー62上に載置するまで、ハンド部5の位置は制御される。
【0061】
吸引保持した基板Wをトレー62側へ移送する間に、図12に示すように旋回軸7を先の旋回方向とは逆向きに(マイナス方向へ)角度θだけ旋回駆動して、ベルヌーイチャック9の水平中心軸71を先の位置基準69に合致させ、トレー62に適合した移載姿勢に戻す。図12には、ベルヌーイチャック9が旋回操作される前の状態を想像線で示し、ベルヌーイチャック9が旋回操作された後の状態を実線で示している。移載姿勢に戻った状態でハンド部5およびベルヌーイチャック9をトレー62の移載位置へ下降させ、空気チャンバー42への圧縮空気の供給を停止することにより、基板Wをトレー62上に落下させて移載を完了する。
【0062】
移載後のハンド部5およびベルヌーイチャック9は、依然として先の位置基準69を向いているので、以後、上記の動作を繰り返し行なうことにより、第1コンベア60上の基板Wを、第2コンベア61上のトレー62に適正に移載できる。基板Wは、トレー62に対して縦横に直線列を構成する状態で整然と移載される。なお、トレー62に対する移載姿勢が、先の位置基準69と異なる場合には、移載姿勢に合致する状態で旋回軸7を所定角度だけ旋回操作するとよい。
【0063】
上記構成の移載装置においては、各ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させた状態で、基板Wの吸引保持を行なうので、図10に示すように、吸着前の基板Wと各ガイド体10の間には十分な余裕隙間が確保される。そのため、ハンド部5およびベルヌーイチャック9を基板Wに対して位置決めするときの目標値(X・Y・Z座標)に関して、先の余裕隙間を限界とするばらつきを見込むことができ、その分だけハンド部5の位置精度を緩やかにすることができる。コンベアの蛇行や伸びに起因する基板Wの位置ずれにも対応が可能となる。また、基板Wに対する位置精度が緩やかな分だけ、ハンド部5およびベルヌーイチャック9の位置決めをより迅速に行なうことができ、パラレルメカニズムをより高速度で作動させて基板Wの移載能率を向上できる。
【0064】
また、基板Wの各辺部の中央から隅部側へ片寄した位置をガイド体10で受け止めて基板Wを位置決めすることにより、基板Wの各辺部の中央付近をガイド体10で受け止めて基板Wを位置決めする場合に比べて、基板Wの位置決め精度を向上できる。さらに、各ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させる際に、吸着前の基板Wと各ガイド体10の間に大きな余裕隙間を確保して、ハンド部5の位置精度をさらに緩やかにできる。
【0065】
基板Wの各辺部の中央からガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を、対向する辺部において等距離に設定すると、最初に当接する辺部がどのガイド体10であっても、基板Wの変位量を概ね一定にして、基板Wの姿勢を速やかに適正化できる。因みに、先の片寄距離が個々のガイド体10で大小に異なる場合には、最初の辺部がどのガイド体10に当接するかで基板Wの変位量が異なるので、位置決めに時間が掛かる場合がある。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る基板の移載方法においては、移載機構のハンド部5に設けたベルヌーイチャック9で、吸引開始位置に載置された四角形の基板Wを非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体10で基板Wを位置決めした状態で移載位置へと移載する。吸引開始位置におけるベルヌーイチャック9は、ガイド体10が基板Wの外郭線の外に位置する状態で基板Wを吸引保持できるよう、ハンド部5で位置保持されている。吸引保持された基板Wを、ベルヌーイチャックのノズル穴47から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する基板Wの辺部をガイド体10で受け止めることにより位置決めする。
【0067】
具体的には、吸引開始位置におけるベルヌーイチャック9およびガイド体10を、ハンド部5に設けた旋回軸7で旋回操作することにより、ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させることができる。
【0068】
好ましくは、ハンド部5が移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、ガイド体10を旋回軸7で旋回操作して、基板Wの姿勢を移載姿勢に姿勢変更する。
【0069】
図13はガイド体10の別の実施例を示す。そこでは軸部51の下端に下すぼまりテーパー状の導入軸部52を設けて、導入軸部52が規制軸部53を兼ねるようにした。そのために、ベルヌーイチャック9の吸着面が、導入軸部52の上下方向中途部と交差する水平面上に位置するように、ガイド体10の上下位置を設定した。導入軸部52のテーパー角度は90度とした。
【0070】
このように下すぼまりテーパー状の導入軸部52で基板Wを位置決めすると、上記の実施例と同様に、ベルヌーイチャック9で吸引保持した基板Wを的確に位置決めできる。また、空気抵抗や、装置への外乱等による外力を受けた基板Wが、ベルヌーイチャック9の吸着面側へ押し付けられるような場合に、基板Wの周縁を導入軸部52で受け止めて、基板Wが限界位置を越えて移動するのを規制でき、基板Wがベルヌーイチャック9の平坦面46に接触して傷つくのを防止できる。また、先の実施例のガイド体10に比べて、第1コンべア60やトレー62の表面にベルヌーイチャック9をより近付けることが可能なため、吸引開始から保持するまでの時間を短縮できるとともに、吸引力により基板Wがベルヌーイチャック9の平坦面に衝突する可能性を小さくできる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
上記の実施例では、ランダムな姿勢の基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持する場合について説明したが、基板Wが所定の姿勢に揃えてある場合には、ベルヌーイチャック9を旋回軸7で旋回操作する必要はなく、したがって旋回軸7を省略することができる。その場合には、吸引開始位置における基板Wを、その外郭線がガイド体10の占有位置を避ける状態で載置して、ガイド体10を基板Wの外郭線の外に位置させる。
【0072】
詳しくは、基板Wの水平中心軸70が位置基準69に対してマイナス方向へ余裕旋回角度θ2分だけずれた状態で、基板Wを吸引開始位置に載置しておく。この状態の基板Wをベルヌーイチャック9で吸引保持すると、基板Wがベルヌーイチャック9の吸着面に沿って旋回移動してガイド体10で位置決めされ、その水平中心軸70が位置基準69と一致する。以後は、先の実施例と同様にして、基板Wをトレー62に移載する。
【0073】
上記の実施例では、4個のチャックユニット27でベルヌーイチャック9を構成したが、その必要はなく、より大径の1個のチャックユニット27を基板Wの吸着要素にしてベルヌーイチャック9を構成することができる。その場合には、チャックユニット27をジョイント体8に直接固定することができ、さらに、チャックユニット27を利用してガイド体10を固定することができる。ジョイント体8とチャックベース26は一体に形成してもよい。
【0074】
ガイド体10の配置個数および配置形態は、基板Wの大きさや形状、あるいは基板Wの移載方向に応じて変更することができ、少なくとも3個が基板Wの辺部に当接すればよい。例えば、チャックベース26の隣接する3辺部にガイド体10を1個ずつ設けて、基板Wの隣接する3辺部を各ガイド体10で受け止めれば一意に位置が決まる。残る1辺には、その方向へ慣性力が働いて基板Wが飛び出すようなおそれがなければ、ガイド体10は不要である。あるいは、万一の場合に基板Wが飛び出すことのないよう、基板Wとガイド体10との間に所定の隙間を設けて、残る一辺にもガイド体10を配置するようにしてもよい。基板Wの各辺部の中点からガイド体10で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離は大小に異なっていてもよく、各辺部の中点と、いずれか一方の隅部との間に先の当接位置があればよい。移載構造としては、パラレルメカニズムが好適であるが、多関節型のロボットであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
5 移載構造のハンド部
7 旋回軸
9 ベルヌーイチャック
10 ガイド体
26 チャックベース
45 チャック凹部
47 ノズル穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載機構のハンド部に、四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、前記ベルヌーイチャックに吸引保持された基板を位置決めする複数個のガイド体とが設けられており、
前記ベルヌーイチャックには、圧縮空気をチャック凹部の内部に吹き出して負圧を生じさせる複数のノズル穴が設けられており、
前記ガイド体は、前記ベルヌーイチャックの吸着面の周囲を囲む状態で分散配置されており、
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックは、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で前記基板を吸引保持できるよう、前記ハンド部で位置保持されており、
吸引保持された前記基板を、前記ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する前記基板の辺部を前記ガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする基板の移載装置。
【請求項2】
前記ハンド部に、前記ベルヌーイチャックを垂直軸回りに旋回操作する旋回軸が設けられており、
前記旋回軸に、前記ベルヌーイチャックおよび前記ガイド体がそれぞれ同行旋回可能に設けられており、
前記ガイド体を前記旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置において前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項1に記載の基板の移載装置。
【請求項3】
吸引開始位置における前記基板が、吸引開始位置における前記ガイド体に対して、前記基板の外郭線が前記ガイド体の占有位置を避ける状態で配置されており、
吸引開始位置における前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で、前記基板を前記ベルヌーイチャックで吸引保持する請求項1に記載の基板の移載装置。
【請求項4】
前記ベルヌーイチャックが、前記ハンド部の下面側に固定されるチャックベースと、前記チャックベースの下面に固定される複数個のチャックユニットとで構成されており、
個々の前記チャックユニットにおいて、前記チャック凹部に同じ向きの旋回気流が生じるように前記ノズル穴が形成してある請求項1から3のいずれかに記載の基板移載装置。
【請求項5】
前記ガイド体が、丸軸状の軸部と、軸部の下端に設けられる下すぼまりテーパー状の導入軸部と、前記基板の辺部を受け止める規制軸部とで構成してある請求項1から4のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項6】
前記ガイド体が、前記基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で前記基板を受け止めるように配置してある請求項5に記載の基板の移載装置。
【請求項7】
前記基板の各辺部の中点から、前記ガイド体で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定して、前記基板の対向する辺部を受け止める前記各ガイド体が、前記基板の中心を対称中心にして点対称となる状態で配置してある請求項6に記載の基板の移載装置。
【請求項8】
前記移載機構がパラレルメカニズムで構成してある請求項1から7のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項9】
前記チャックベースの上面に、前記ベルヌーイチャックで吸引保持された前記基板の上面全体を覆う遮蔽板が固定してある請求項1から8のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項10】
前記基板をコンベアで吸引開始位置へ向かって搬送する間に、前記基板の画像を取り込むとともに、その画像情報から基板Wの搬送位置および姿勢を特定する撮像装置と、該搬送位置および姿勢情報を取得して前記移載機構を制御する制御部とを備えており、
前記制御部から出力される指令信号に基づき、パラレルメカニズムによりハンド部を駆動操作するとともに旋回軸を旋回操作して、吸引開始位置における前記ガイド体を前記基板の外郭線の外に位置させる請求項2、および4から9のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項11】
移載機構のハンド部に設けたベルヌーイチャックで、吸引開始位置に載置された四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体で前記基板を位置決めした状態で移載位置へと移載する基板の移載方法であって、
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックは、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で前記基板を吸引保持できるよう、前記ハンド部で位置保持されており、
吸引保持された前記基板を、前記ベルヌーイチャックのノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する前記基板の辺部を前記ガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする基板の移載方法。
【請求項12】
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックおよび前記ガイド体を、前記ハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項11に記載の基板の移載方法。
【請求項13】
吸引開始位置における前記基板が、吸引開始位置における前記ガイド体に対して、前記基板の外郭線が前記ガイド体の占有位置を避ける状態で配置して、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項12に記載の基板の移載方法。
【請求項14】
前記ハンド部が前記移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、前記ガイド体を前記旋回軸で旋回操作して、前記基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更する請求項11ないし13に記載の基板の移載方法。
【請求項1】
移載機構のハンド部に、四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持するベルヌーイチャックと、前記ベルヌーイチャックに吸引保持された基板を位置決めする複数個のガイド体とが設けられており、
前記ベルヌーイチャックには、圧縮空気をチャック凹部の内部に吹き出して負圧を生じさせる複数のノズル穴が設けられており、
前記ガイド体は、前記ベルヌーイチャックの吸着面の周囲を囲む状態で分散配置されており、
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックは、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で前記基板を吸引保持できるよう、前記ハンド部で位置保持されており、
吸引保持された前記基板を、前記ノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する前記基板の辺部を前記ガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする基板の移載装置。
【請求項2】
前記ハンド部に、前記ベルヌーイチャックを垂直軸回りに旋回操作する旋回軸が設けられており、
前記旋回軸に、前記ベルヌーイチャックおよび前記ガイド体がそれぞれ同行旋回可能に設けられており、
前記ガイド体を前記旋回軸で旋回操作して、吸引開始位置において前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項1に記載の基板の移載装置。
【請求項3】
吸引開始位置における前記基板が、吸引開始位置における前記ガイド体に対して、前記基板の外郭線が前記ガイド体の占有位置を避ける状態で配置されており、
吸引開始位置における前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で、前記基板を前記ベルヌーイチャックで吸引保持する請求項1に記載の基板の移載装置。
【請求項4】
前記ベルヌーイチャックが、前記ハンド部の下面側に固定されるチャックベースと、前記チャックベースの下面に固定される複数個のチャックユニットとで構成されており、
個々の前記チャックユニットにおいて、前記チャック凹部に同じ向きの旋回気流が生じるように前記ノズル穴が形成してある請求項1から3のいずれかに記載の基板移載装置。
【請求項5】
前記ガイド体が、丸軸状の軸部と、軸部の下端に設けられる下すぼまりテーパー状の導入軸部と、前記基板の辺部を受け止める規制軸部とで構成してある請求項1から4のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項6】
前記ガイド体が、前記基板の各辺部の中点から隅部側へ片寄した位置で前記基板を受け止めるように配置してある請求項5に記載の基板の移載装置。
【請求項7】
前記基板の各辺部の中点から、前記ガイド体で受け止められる各辺部の当接位置までの片寄距離を等距離に設定して、前記基板の対向する辺部を受け止める前記各ガイド体が、前記基板の中心を対称中心にして点対称となる状態で配置してある請求項6に記載の基板の移載装置。
【請求項8】
前記移載機構がパラレルメカニズムで構成してある請求項1から7のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項9】
前記チャックベースの上面に、前記ベルヌーイチャックで吸引保持された前記基板の上面全体を覆う遮蔽板が固定してある請求項1から8のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項10】
前記基板をコンベアで吸引開始位置へ向かって搬送する間に、前記基板の画像を取り込むとともに、その画像情報から基板Wの搬送位置および姿勢を特定する撮像装置と、該搬送位置および姿勢情報を取得して前記移載機構を制御する制御部とを備えており、
前記制御部から出力される指令信号に基づき、パラレルメカニズムによりハンド部を駆動操作するとともに旋回軸を旋回操作して、吸引開始位置における前記ガイド体を前記基板の外郭線の外に位置させる請求項2、および4から9のいずれかに記載の基板の移載装置。
【請求項11】
移載機構のハンド部に設けたベルヌーイチャックで、吸引開始位置に載置された四角形の基板表面を非接触状態で吸引保持し、複数個のガイド体で前記基板を位置決めした状態で移載位置へと移載する基板の移載方法であって、
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックは、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置する状態で前記基板を吸引保持できるよう、前記ハンド部で位置保持されており、
吸引保持された前記基板を、前記ベルヌーイチャックのノズル穴から吹き出される空気流で一方向へ旋回させ、旋回変位する前記基板の辺部を前記ガイド体で受け止めて位置決めすることを特徴とする基板の移載方法。
【請求項12】
吸引開始位置における前記ベルヌーイチャックおよび前記ガイド体を、前記ハンド部に設けた旋回軸で旋回操作して、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項11に記載の基板の移載方法。
【請求項13】
吸引開始位置における前記基板が、吸引開始位置における前記ガイド体に対して、前記基板の外郭線が前記ガイド体の占有位置を避ける状態で配置して、前記ガイド体が前記基板の外郭線の外に位置させてある請求項12に記載の基板の移載方法。
【請求項14】
前記ハンド部が前記移載機構で吸引開始位置から移載位置へ変位操作される間に、前記ガイド体を前記旋回軸で旋回操作して、前記基板の姿勢を移載姿勢に姿勢変更する請求項11ないし13に記載の基板の移載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−57314(P2011−57314A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206180(P2009−206180)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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