説明

基板搬送装置

【課題】2段のピンセットによる搬入出動作を同じタイミングで行い、基板搬送に係る処理時間を短縮する。
【解決手段】基台上に相対向して立設された一対の第一及び第二の昇降軸7,8と、前記第一の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、第一のピンセット15をステージに対し進退移動させる第一の進退移動手段13と、前記第一の進退移動手段を前記第一の昇降軸に沿って昇降移動させる第一の昇降手段11と、前記第二の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、第二のピンセット16をステージに対し進退移動させる第二の進退移動手段14と、前記第二の進退移動手段を前記第二の昇降軸に沿って昇降移動させる第二の昇降手段12と、前記第一及び第二の進退移動手段の駆動制御、及び前記第一及び第二の昇降手段の駆動制御を行う制御手段19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板を載置可能なステージに対し被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(フラットパネルディスプレイ)や半導体デバイスの製造においては、被処理基板であるガラス基板、或いは半導体ウエハに所定の膜を形成した後、フォトレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、回路パターンに対応してレジスト膜を露光し、これを現像処理するという、いわゆるフォトリソグラフィ技術により回路パターンを形成する。このフォトリソグラフィ技術では、被処理基板は、主な工程として、洗浄処理→脱水ベーク→レジスト塗布→プリベーク→露光→現像→ポストベークという一連の処理を経てレジスト層に所定の回路パターンを形成する。
【0003】
このような処理は、基板処理を行う各処理ユニットを搬送路の両側にプロセスフローを意識した形態で配置した処理システムにより行われる。前記搬送路の両側に配置された処理ユニットの間には、各処理ユニットへの被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置が1つまたは複数配置される。このような処理システムは、前記基板搬送装置により基本的にランダムアクセスが可能であるから、処理の自由度が極めて高い。
【0004】
前記基板搬送装置においては、通常、被処理基板を載置し保持するためのピンセットを備えている。このピンセットは、各処理ユニットへの被処理基板の搬入出を行うため、各処理ユニットに対し進退自在、且つ水平方向に回動自在に設けられる。
また、この基板搬送装置にあっては、基板搬送効率を向上させるために2つのピンセットを上下2段に設けているものがある。ここで、図9を用いて、2段のピンセットを具備する従来の基板搬送装置の構成について説明する。
【0005】
図9に示す基板搬送装置50は、例えば半導体ウエハなどの被処理基板を保持可能な2つのピンセット51,52を上下2段に有する搬送基台53と、搬送基台53をZ方向に昇降させかつ鉛直軸周りに回転させる昇降回転機構54とを備えている。
ピンセット51,52は、搬送基台53に内蔵された駆動機構(図示せず)によって往復矢印で示す方向に進退自在に設けられている。
【0006】
これにより、ピンセット51,52に保持された被処理基板は、昇降回転機構54によってZ方向に昇降可能となされ、昇降回転機構54の昇降軸55を中心として鉛直軸周りに回転可能となされている。また、ピンセット51,52の各々の進退移動によって各種処理ユニット(図示せず)に被処理基板を搬入出することができるようになされている。
即ち、処理システムにおいて配置の異なる各種処理ユニット(図示せず)に対して、搬送装置50によって被処理基板の搬入及び搬出が可能となっている。
尚、このように2段のピンセットを有する基板搬送装置については、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−168167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図9に示したような基板搬送装置50の構成にあっては、2段のピンセット51,52の上下位置関係は固定である。このため、多段の基板収容ステージに対し基板の搬入出を行う際、2段のピンセットと多段ステージとの双方の搬入出条件が一致する場合には、2段のピンセットによる同じタイミングでの搬入出動作が可能である。
しかしながら、そのような場合であっても、基板搬送装置が実施するルーチンワークの工程数によっては、次回のルーチンの同工程において2段のピンセットによる同時の搬入出動作ができないことがあった。
【0009】
図10(a)〜図10(g)を用いて具体的に説明すると、例えばパスユニットUA、塗布ユニットUB、ベークユニットUCに対し、図9に示した構成の基板搬送装置50により、順に被処理基板G(以下、基板Gと呼ぶ)の搬入出動作を行うものとする。
また、パスユニットUAは、上下2段の基板収容ステージを有し、塗布ユニットUB及びベークユニットUCは、それぞれ1段の基板収容ステージを有するものとする。
【0010】
先ず、図10(a)に示すように、基板搬送装置50のピンセット51は基板Gを保持しない空の状態(破線)、ピンセット52は基板Gを保持している状態(実線)とする。
この状態から図10(b)に示すように、上段のピンセット51はパスユニットUAの上段ステージから基板Gを取り、同時に、下段のピンセット52は下段ステージに基板Gを置く。即ち、この条件では、上下のピンセット51,52により同じタイミングでの搬入出動作が可能である。
【0011】
次いで、基板搬送装置50は塗布ユニットUBに向けて方向転換し、図10(c)に示すように、下段のピンセット52が、塗布ユニットUBのステージから塗布処理済みの基板Gを取る。その後、図10(d)に示すように上段のピンセット51が下降して、塗布ユニットUBのステージに未処理の基板Gを置く。
さらに、基板搬送装置50はベークユニットUCに向けて方向転換し、図10(e)に示すように、上段のピンセット51が、ベークユニットUCのステージからベーク処理済の基板Gを取る。その後、図10(f)に示すように、下段のピンセット52が、ベークユニットUCのステージにベーク未処理の基板Gを置く。
【0012】
以上の工程により基板搬送装置50による一ルーチンワークが完了し、次いで、基板搬送装置50は、次回のルーチン、即ち、再びパスユニットUAに対する搬入出動作から実施するために、パスユニットUAに向けて方向転換する。
しかしながら、ここで図10(g)に示すように、上段のピンセット51はベーク処理済の基板Gを保持し、下段のピンセット52は空の状態である。
即ち、図10(a)の状態(下段のピンセット52がベーク処理済の基板Gを保持し、上段のピンセット51は空の状態)とは逆の状態であるため、次回のルーチンの同工程では同時に搬入出動作をすることができなかった。このため、ピンセット51、52のいずれか一方が先に被処理基板の搬入出動作を行う間、他方は待機しなければならず、作業効率が大幅に低下するという課題があった。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、被処理基板を載置可能なステージに対し、上下2段のピンセットを進退移動させ、被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置において、前記2段のピンセットを、多段ステージにおける被処理基板の搬入出条件に対応させることにより、前記2段のピンセットによる搬入出動作を同じタイミングで行い、基板搬送に係る処理時間を短縮することができる基板搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記した課題を解決するために、本発明に係る基板搬送装置は、被処理基板を保持可能な第一のピンセットと、前記第一のピンセットの上方または下方に配置され、被処理基板を保持可能な第二のピンセットとを有し、被処理基板を載置可能なステージに対し、前記ピンセットを進退移動させ、被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置であって、基台上に相対向して立設された一対の第一及び第二の昇降軸と、前記第一の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、前記第一のピンセットを前記ステージに対し進退移動させる第一の進退移動手段と、前記第一の進退移動手段を前記第一の昇降軸に沿って昇降移動させる第一の昇降手段と、前記第二の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、前記第二のピンセットを前記ステージに対し進退移動させる第二の進退移動手段と、前記第二の進退移動手段を前記第二の昇降軸に沿って昇降移動させる第二の昇降手段と、前記第一及び第二の進退移動手段の駆動制御、及び前記第一及び第二の昇降手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えることに特徴を有する。
尚、前記制御手段は、前記第一及び第二の進退移動手段を駆動制御し、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとにより、多段に設けられた前記ステージに対し、同じタイミングでそれぞれ被処理基板の搬入出動作を実行させることが望ましい。
【0015】
このように本発明に係る構成にあっては、第一及び第二のピンセットは、それぞれ独立した昇降軸と進退移動手段とを有する。このため、第一及び第二のピンセットを、互いに干渉させずに相対的に逆方向に昇降移動させ、それらの上下の位置関係を入れ替えることができる。
したがって、多段ステージにおける基板の搬入出条件に合わせて、第一及び第二のピンセットの上下位置関係を設定することにより、それらピンセットによる基板の搬入出動作を同じタイミングで行うことができる。その結果、基板搬送に係る処理時間を大きく短縮することができる。
【0016】
また、前記制御手段は、前記第一の進退移動手段及び第二の進退移動手段を駆動制御し、前記第一のピンセットと第二のピンセットのいずれか一方が進退方向前方に配置されると共に、他方が進退方向後方に配置された状態とし、さらに前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えることが望ましい。
或いは、前記第一のピンセットを前記第一の昇降軸側を軸として回動させる第一の傾斜回動手段と、前記第二のピンセットを前記第二の昇降軸側を軸として回動させる第二の傾斜回動手段とを備え、前記制御手段は、前記第一及び第二の傾斜回動手段を駆動制御し、前記第一及び第二のピンセットが回動して傾斜した状態とし、さらに前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えるようにしてもよい。
このように、いずれの構成によっても、第一及び第二のピンセットを、互いに干渉させずに相対的に逆方向に昇降移動させ、それらの上下の位置関係を入れ替えることができる。
【0017】
また、前記第一及び第二の昇降軸が立設された基台を鉛直軸周りに回動させる水平回動手段を備えることが望ましい。
このように水平回動手段を備えることにより、基板搬送装置を方向転換させ、複数の基板処理装置に対する基板搬入出を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被処理基板を載置可能なステージに対し、上下2段のピンセットを進退移動させ、被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置において、前記2段のピンセットを、多段ステージにおける被処理基板の搬入出条件に対応させることにより、前記2段のピンセットによる搬入出動作を同じタイミングで行い、基板搬送に係る処理時間を短縮することができる基板搬送装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る基板搬送装置を適用可能な塗布現像処理システムの平面ブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る基板搬送装置の一実施形態の全体概略構成を示す正面図である。
【図3】図3は、図2の基板搬送装置を下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、図2の基板搬送装置を上方から見た斜視図である。
【図5】図5(a)〜図5(g)は、本発明に係る基板搬送装置の基板搬入出動作を模式的に示す状態遷移図である。
【図6】図6は、本発明に係る基板搬送装置の変形例を示す平面図である。
【図7】図7は、図6の基板搬送装置を下方から見た斜視図である。
【図8】図8(a)〜図8(d)は、本発明に係る基板搬送装置の変形例であって、ピンセットの上下位置を入れ替える動作の状態遷移を示す正面図である。
【図9】図9は、従来の基板搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【図10】図10(a)〜図10(g)は、従来の基板搬送装置の基板搬入出動作を模式的に示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる実施の形態につき、図に基づいて説明する。図1は、本発明に係る基板搬送装置を適用できる塗布現像処理システムの平面ブロック図である。
この塗布現像処理システム100は、クリーンルームに設置され、例えばFPD用のガラス基板を被処理基板とし、FPD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィ工程中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像及びポストベーク等の一連の処理を行うものである。
【0021】
塗布現像処理システム100は、中央に横長のプロセスステーション20を配置し、その長手方向(X方向)の両端部にカセットステーション21とインターフェイスステーション22を配置している。
カセットステーション21は、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容したカセットを搬入出するポートである。
プロセスステーション20は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理を工程順に配置している。
具体的には、ラインAには、カセットステーション21から基板Gを受け渡すパスユニット23、基板洗浄を行うスクラバ洗浄ユニット24、脱水ベーク処理を行うデハイドレーションベークユニット25、基板Gを所定温度まで冷却する冷却ユニット26が配置されている。さらに、基板Gを一次収容するバッファ/パスユニット27、レジスト溶剤を蒸発させるプリベークユニット28、基板Gを所定温度まで冷却する冷却ユニット29が配置されている。
【0022】
一方、ラインBには、露光処理後の基板Gを現像する現像ユニット30、現像後の基板Gを乾燥させるポストベークユニット31、基板Gを所定温度まで冷却する冷却ユニット32、基板Gを一次収容するバッファ/パスユニット33が配置されている。
また、平行に配置されたラインAとラインBとの間のスペースには、本発明に係る基板搬送装置がそれぞれ適用可能な3基の基板搬送ユニット1、2、3が配置され、さらに、それら基板搬送ユニット1〜3の間には、基板Gにレジスト液を塗布するレジスト塗布ユニット34、基板Gを減圧環境下で乾燥させる減圧乾燥ユニット35、複数の基板Gを一次収容可能なバッファユニット36が配置されている。
【0023】
また、インターフェイスステーション22は、プロセスステーション20と露光装置50との間で基板Gの受け渡しを行う。このインターフェイスステーション22のラインA側にはコンベア搬送装置37と回転パスユニット38が順に配置され、ラインB側には回転パスユニット39とコンベア搬送装置40とが順に配置されている。
【0024】
このような塗布現像処理システム100においては、カセットステーション21からパスユニット23を介してスクラバ洗浄ユニット24に搬入された基板Gは、紫外線洗浄処理及びスクラビング洗浄処理が施される。
次に基板Gはデハイドレーションベークユニット25において脱水ベーク処理がなされ、冷却ユニット26において所定温度まで冷却され、バッファ/パスユニット27の載置ステージに収容される。
【0025】
バッファ/パスユニット27に収容された基板Gは、基板搬送ユニット2によりレジスト塗布ユニット34に搬送され、基板上にレジスト液が塗布される。
レジスト塗布された基板Gは、基板搬送ユニット2により減圧乾燥ユニット35に搬送され、そこで減圧環境下とされて乾燥処理を受ける。
減圧乾燥処理がなされた基板Gは、基板搬送ユニット2によってバッファ/パスユニット27に戻された後、プリベークユニット28に搬送され、レジスト中の溶剤を蒸発させる処理が施される。
そして、冷却ユニット29において所定の温度に冷却された基板Gは、コンベア搬送装置27によって回転パスユニット38に搬送され、基板搬送ユニット3によって、一旦バッファユニット36に収容される。
【0026】
一方、基板搬送ユニット3は、露光装置50の処理が可能な状態になると、バッファユニット36に収容されている基板Gを取り出し、取り出した基板Gを露光装置50に渡す。露光装置50に搬入された基板Gは、所定のマスクパターンを用いた露光処理が施される。
また、露光処理を終えた基板Gは、基板搬送ユニット3によって取り出され、回転パスユニット39に渡される。
【0027】
回転パスユニット39に置かれた基板Gはコンベア搬送装置40によって現像ユニット30に搬送され、現像処理が施され、さらにポストベークユニット31において乾燥処理が施される。
そして、冷却ユニット32において所定温度に冷却された基板Gは、バッファユニット33に搬送された後、基板搬送ユニット1によって取り出され、カセットステーション21に戻される。
【0028】
次に、図2乃至図4に基づき、基板搬送ユニット1(2,3)の構成について説明する。図2は、基板搬送ユニット1(2,3)の全体の概略構成を示す正面図、図3は、基板搬送ユニット1(2,3)を下方から見た斜視図、図4は上方から見た斜視図である。
この基板搬送ユニット1(2,3)は、水平に配置された板状の基台4と、その長手方向の両端において、相対向するように立設された一対の支持板5,6とを備える。
前記支持板5,6の内面5a、6aには、それぞれ垂直方向に延びる昇降軸(第一及び第二の昇降軸)としてのレール7,8が相対向して敷設されている。
【0029】
また、前記支持板5,6の内面5a、6aには、前記レール7,8に沿ってスライド自在にアーム支持部9,10が設けられている。それらアーム支持部9,10は、例えばステッピングモータ11,12(第一及び第二の昇降手段)と、ボールねじを利用した昇降機構(図示せず)とにより、それぞれレール7,8に沿って昇降可能となされている。
また、アーム支持部9,10には、それぞれ複数(図では3本)のリンク部材が連結されてなるアーム13,14(第一及び第二の進退移動手段)が水平方向に回動自在に接続され、それらの先端には基板Gを載置し保持するためのピンセット15,16(第一及び第二のピンセット)が設けられている。
【0030】
また、アーム13,14は、例えばアーム支持部9,10に内蔵されたモータ(図示せず)及びリンク部材間の関節を曲げるためのアクチュエータ(図示せず)によって、前方或いは後方に延びる状態とすることができる。
即ち、この基板搬送ユニット1(2,3)にあっては、ピンセット15,16をそれぞれ独立して昇降移動させることができ、また、ピンセット15,16をそれぞれ前後方向に独立して進退移動させることができる構成となっている。
【0031】
また、図2に示すように、基台4の中央は回転軸17によって支持され、回転軸17はステッピングモータ18により鉛直軸周りに回動可能となされている(即ち回転軸17及びステッピングモータ18により水平回動手段が構成される)。そのため、塗布現像処理システム100において配置の異なる周囲の各種処理ユニットに対してピンセット15,16を進退させ、基板Gの搬入出が可能な構成となっている。
また、ステッピングモータ11,12、18など、この基板搬送ユニット1(2,3)における駆動源は、所定の基板搬送動作に係るコンピュータプログラムが実行される制御部19(制御手段)によって制御される。
【0032】
また、このように構成された基板搬送ユニット1(2、3)においては、例えば図3、図4に示すように、一方のピンセット16のアーム14が進退方向前方に延び、他方のピンセット15のアーム13が進退方向後方に延びることで、ピンセット15の前方にピンセット16が位置する状態とすることができる。
この状態において、ピンセット15,16とアーム13,14とはそれぞれ干渉することがないため、アーム支持部9,10を、相対的に逆方向に昇降移動させ、ピンセット15とピンセット16の高さ位置を入れ替えることができるようになされている。
【0033】
続いて、この基板搬送ユニット1(2、3)による基板Gの搬入出動作について、基板搬送ユニット2を例にして、図5(a)〜図5(g)に基づき説明する。尚、図5(a)〜図5(g)は、基板搬送ユニット2による基板搬入出動作の例を模式的に示す状態遷移図である。
先ず、図5(a)の状態において、基板搬送ユニット2のピンセット16は基板Gを保持しない空の状態(破線)、ピンセット15は基板Gを保持している状態(実線)とする。
この状態において、ピンセット16はバッファ/パスユニット27の上段ステージから基板Gを取り、同時に、ピンセット15は下段ステージに基板Gを置く(図5(b))。即ち、この条件では、2つのピンセット15,16により、同じタイミングで搬入出がなされる。
【0034】
次いで、基板処理ユニット2は、塗布ユニット34に向けて方向転換し、図5(c)に示すように、ピンセット15により、塗布ユニット34のステージから塗布処理済みの基板Gを取る。
その後、図5(d)に示すように、ピンセット15が上昇移動されると共に、ピンセット16が下降移動され、ピンセット15、16の上下の位置が入れ替えられる。そして、ピンセット16により、塗布ユニット34のステージに未処理の基板Gが置かれる。
尚、この上下位置の入れ替え動作においては、図4に示したようにピンセット16が進退方向前方に配置され、ピンセット15がその後方に配置された状態、或いは、その逆の状態で、それぞれレール7,8に沿って相対的に逆方向に昇降移動される。
【0035】
次いで、基板処理ユニット2は、減圧乾燥ユニット35に向けて方向転換し、図5(e)に示すように、ピンセット16により、減圧乾燥ユニット35のステージからベーク処理済の基板Gを取る。
その後、図5(f)に示すように、高さ変更がなされたピンセット15により、減圧乾燥ユニット35のステージにベーク未処理の基板Gが置かれる。この処理をもって、基板搬送ユニット2の一ルーチンワークが終了する。
【0036】
次いで、基板搬送ユニット2は、ルーチンワークの最初の工程に戻るため、バッファ/パスユニット27に向けて方向転換する。
ここで、図5(g)に示すように、上段のピンセット15が空の状態、下段のピンセット16がベーク処理済の基板Gを保持した状態、即ち、図5(a)の状態と同じ状態である。したがって、次のルーチンワークの最初の工程においても、再び、図5(b)に示すように2つのピンセット15,16による搬入出動作が同じタイミングでなされることとなる。
このように、図5(b)の工程においては、その前のルーチンワークにおいて、図5(d)に示したように、必要に応じてピンセット15,16の上下の位置を入れ替えることが可能である。このため、毎回、ルーチンワークの同工程において、2枚の基板Gの搬入出動作を同じタイミングで行うことができる。
【0037】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、基板搬送ユニット1(2,3)において、2つのピンセット15,16は、それぞれ独立した昇降軸と進退移動手段(アーム13,14)とを有する。このため、2つのピンセット15,16を、互いに干渉させずに相対的に逆方向に昇降移動させ、それらの上下の位置関係を入れ替えることができる。
したがって、多段ステージにおける基板の搬入出条件に合わせて、2本のピンセット15,16の上下位置関係を設定することにより、それらピンセット15,16による基板Gの搬入出動作を同じタイミングで行うことができる。その結果、基板搬送に係る処理時間を大きく短縮することができる。
【0038】
尚、前記実施の形態においては、2つのピンセット15,16を進退移動させる手段として、複数のリンク部材からなるアーム13,14を例に説明したが、その構成に限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、ピンセット15,16の支持部15a、16aがレール41,42に沿ってそれぞれ進退移動可能な構成とし、さらに、図7に示すようにレール41,42が、それぞれ昇降軸43,44に沿って独立して昇降移動可能な構成としてもよい。
また、図6では、例えば、被処理基板が半導体ウエハの場合を示し、ピンセット15,16の形状を半導体ウエハの形状に沿ったものとしているが、被処理基板がガラス基板の場合には、図2乃至図4に示したようにガラス基板に沿った形状にするのが好ましい。
このように、図6に示した構成によっても、例えば、図示するようにピンセット15が搬入出動作を実施している間に、ピンセット16の高さ位置を変更して互いの高さ位置を入れ替えることができる。
【0039】
また、前記実施の形態においては、2つのピンセット15,16の位置を進退方向に沿って前後にずらすことにより、互いに干渉しない状態とするものであったが、それに限定されるものではない。
例えば、いずれのピンセット15,16も被処理基板を保持しない状態であれば、図8(a)に模式的に示すように、アーム支持部9、10とアーム13、14との間にそれぞれ回動軸45、46(第一及び第二の傾斜回動手段)を設け、図示しない駆動源により、その軸周りにアーム13,14が回動する構成としてもよい。
【0040】
この場合、図8(a)に示す状態から、ピンセット15,16の高さ位置を入れ替えるには、先ず、図8(b)に示すようにアーム13,14を回動軸45,46周りに回動させてピンセット15,16の側部が上方に傾斜する状態とする。
次いで、図8(c)に示すように、アーム支持部10を降下させてピンセット16を上方へ移動させると共に、アーム支持部9を下降させてピンセット15を下方へ移動させる。これにより、図8(c)に示すように、ピンセット15の上端位置は、ピンセット16の上端よりも低い位置となる。
そして、図8(d)に示すように、アーム13,14を回動軸45,46周りに回動させてピンセット15,16を通常の状態へ戻す。
このような構成によっても、ピンセット15,16の上下の位置関係を入れ替えることができる。
【0041】
また、前記実施の形態においては、ピンセット15とピンセット16の上下位置の入れ替えは、例えば、ピンセット15とピンセット16のいずれか一方が上昇移動されると共に、他方が下降移動されることで実施されるものとした。
しかしながら、本発明に係る構成によれば、その形態に限定されず、ピンセット15とピンセット16のいずれか一方が停止した状態で、他方を昇降移動させることにより、その上下位置を入れ替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 基板搬送ユニット(基板搬送装置)
2 基板搬送ユニット(基板搬送装置)
3 基板搬送ユニット(基板搬送装置)
4 基台
5 支持板
6 支持板
7 レール(第一の昇降軸)
8 レール(第一の昇降軸)
9 アーム支持部
10 アーム支持部
11 ステッピングモータ(第一の昇降手段)
12 ステッピングモータ(第二の昇降手段)
13 アーム(第一の進退移動手段)
14 アーム(第二の進退移動手段)
15 ピンセット(第一のピンセット)
16 ピンセット(第二のピンセット)
19 制御部(制御手段)
G 基板(被処理基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を保持可能な第一のピンセットと、前記第一のピンセットの上方または下方に配置され、被処理基板を保持可能な第二のピンセットとを有し、被処理基板を載置可能なステージに対し、前記ピンセットを進退移動させ、被処理基板の搬入出を行う基板搬送装置であって、
基台上に相対向して立設された一対の第一及び第二の昇降軸と、前記第一の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、前記第一のピンセットを前記ステージに対し進退移動させる第一の進退移動手段と、前記第一の進退移動手段を前記第一の昇降軸に沿って昇降移動させる第一の昇降手段と、前記第二の昇降軸に沿って昇降自在に設けられると共に、前記第二のピンセットを前記ステージに対し進退移動させる第二の進退移動手段と、前記第二の進退移動手段を前記第二の昇降軸に沿って昇降移動させる第二の昇降手段と、前記第一及び第二の進退移動手段の駆動制御、及び前記第一及び第二の昇降手段の駆動制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一及び第二の進退移動手段を駆動制御し、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとにより、多段に設けられた前記ステージに対し、同じタイミングでそれぞれ被処理基板の搬入出動作を実行させることを特徴とする請求項1に記載された基板搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第一の進退移動手段及び第二の進退移動手段を駆動制御し、前記第一のピンセットと第二のピンセットのいずれか一方が進退方向前方に配置されると共に、他方が進退方向後方に配置された状態とし、
さらに前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された基板搬送装置。
【請求項4】
前記第一のピンセットを前記第一の昇降軸側を軸として回動させる第一の傾斜回動手段と、前記第二のピンセットを前記第二の昇降軸側を軸として回動させる第二の傾斜回動手段とを備え、
前記制御手段は、前記第一及び第二の傾斜回動手段を駆動制御し、前記第一及び第二のピンセットが回動して傾斜した状態とし、
さらに前記第一の昇降手段または前記第二の昇降手段を動作させることにより、或いは、前記第一の昇降手段及び前記第二の昇降手段を動作させることにより、前記第一のピンセットと前記第二のピンセットとの上下位置を入れ替えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された基板搬送装置。
【請求項5】
前記第一及び第二の昇降軸が立設された基台を鉛直軸周りに回動させる回動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−146748(P2012−146748A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2344(P2011−2344)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】