撮像装置
【課題】 電子的観察状態でも広い測光レンジを確保し、かつフラッシュ撮影時のレリーズタイムラグを短縮する。
【解決手段】 撮像装置100は、光路切換部材1と、撮像素子14の露光量を制御するシャッタ9と、第1の受光素子12とを有する。また、光路切換部材を第2の位置に配置してシャッタを開くことにより電子表示素子28を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニット400の発光を制御する制御ユニット50を有する。制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前にシャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定する。
【解決手段】 撮像装置100は、光路切換部材1と、撮像素子14の露光量を制御するシャッタ9と、第1の受光素子12とを有する。また、光路切換部材を第2の位置に配置してシャッタを開くことにより電子表示素子28を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニット400の発光を制御する制御ユニット50を有する。制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前にシャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフデジタルカメラ等の撮像装置に関し、さらに詳しくは、フラッシュ撮影が可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10および図11には、本出願人が提案している一眼レフデジタルカメラの概略構成を示している(特許文献1参照)。同図において、801はカメラボディ、820はカメラボディ801に対して着脱可能な撮影レンズ(交換レンズ)である。802は撮影レンズ820からの光束をファインダ光学系に導くダウン位置(図10)と該光束を撮像素子に向かわせるアップ位置(図11)とに移動可能な光路切換部材としてのミラーである。
【0003】
803はピント板、804はペンタプリズム、805はアイピースである。806はシャッタ、807はCCDセンサ等の撮像素子である。また、808は液晶ディスプレイ等の画像表示素子である。
【0004】
さらに、810は測光センサであり、被写体の測光を行う。809は測光レンズであり、撮影レンズ820によりピント板803上に結像された被写体像を、測光センサ810上に再結像するためのレンズである。821は光量を調節する絞りである。
【0005】
830はカメラボディ820に着脱可能な外付けフラッシュユニットである。831はキセノン(Xe)管、832,833はXe管831から発せられた光を集光して、被写体に対して照射する反射笠とフレネルレンズである。
【0006】
このカメラでは、撮影直前にフラッシュユニット830(Xe管831)を所定の光量で予備発光させ、該予備発光による被写体輝度を測光センサ810を用いて測光する。そして、その測光結果と設定された絞り値と撮像素子807の感度等に応じた適正露光量に対する偏差を求め、その偏差に相当する光量を加算することで、撮影時の本発光量を決定する。
【0007】
測光センサ810は、公知の対数圧縮アンプを介して測光を行うので、20段程度のレンジを測光することが可能である。これにより、近接した被写体から遠距離の被写体まで正確に測光することが可能である。
【0008】
このような一眼レフデジタルカメラにおいては、従来ファインダ光学系を介して被写体観察を行うことが一般的であったが、最近では、液晶ディスプレイ等の画像表示素子を介して被写体観察を行う機能(電子ビューファインダ機能)が要求されている。この電子ビューファインダ機能を実現するには、図12に示す撮影時と同様に、ミラー802をアップ位置に配置して、シャッタ806を開放し、撮像素子807を用いて被写体画像を生成して画像表示素子808に表示すればよい。
【特許文献1】特開平9−61898号公報(段落0013〜0031、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ミラー803がアップ位置に配置されている状態では、測光センサ810に撮影レンズ820からの光束を導くことができないので、測光を行うことができない。このため、電子ビューファインダを使用している状態から測光センサ810を用いて予備発光時の測光を行うためには、図11の状態からミラー803を一旦ダウン位置に移動させて図10の状態として予備発光および測光を行う必要がある。そして、予備発光の後は、ミラー803を再びアップ位置に移動させて撮像および本発光を行う。したがって、撮像が指示されてから実際の撮像を行うまでの時間(レリーズタイムラグ)が長くなってしまう。
【0010】
なお、予備発光時の測光を撮像素子807を測光センサとして用いて行うことも可能である。しかし、一般的な撮像素子のダイナミックレンジは約8段であり、これを越えた測光を行うことはできない。特に、撮像素子の出力のリニアリティを考慮すると、4〜5段程度のレンジでしか測光できないのが実情である。したがって、撮像素子では近距離から遠距離までの被写体測光をカバーすることができない。このため、外付けフラッシュユニットの特徴である大光量発光の能力を生かすことができない。
【0011】
また、予備発光時に取得した画像の明るさレベルが撮像素子のダイナミックレンジに入るまで予備発光量を順次変更しながら予備発光と測光を繰り返すことにより、測光レンジを広げることは可能である。しかし、この方法でも、レリーズタイムラグが長くなってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、電子ビューファインダを使用した状態(電子的観察状態)でも広い測光レンジを確保でき、かつフラッシュ撮影時のレリーズタイムラグを短縮することができるようにした撮像装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としての撮像装置は、被写体像の光電変換を行う撮像素子と、該撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、ファインダ光学系と、被写体からの光束をファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、撮像素子の露光量を制御するシャッタと、第1の受光素子とを有する。さらに、該撮像装置は、光路切換部材を第2の位置に配置してシャッタを開くことにより電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有する。そして、制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前にシャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、被写体像の光電変換を行う撮像素子と、該撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、ファインダ光学系と、被写体からの光束をファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、被写体から撮像素子への光路上に配置され、電気的に透過率を制御可能な光学電気素子と、第1の受光素子とを有する。さらに、該撮像装置は、光路切換部材を第2の位置に配置して光学電気素子の透過率を第1の透過率に設定することにより電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットを有する。そして、制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に、光学電気素子の透過率を第1の透過率よりも低い第2の透過率に設定し、該光学電気素子での反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子的観察状態からフラッシュ撮像を行う場合に、撮像素子とは別の第1の受光素子を用いて測光を行い、該測光結果に基づいてフラッシュ発光量を設定することができる。このため、撮像素子を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニットの発光量を適切に設定することができる。
【0016】
しかも、光路切換部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させることなく測光からフラッシュ撮像までを行うことができるので、光路切換部材を移動させる場合に比べて、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1には、本発明の実施例1である一眼レフカメラシステムの構成を示している。図1において、100は撮像装置としての一眼レフデジタルカメラ本体(以下、単にカメラ本体という)であり、300は該カメラ本体100に着脱可能な交換式撮影レンズ(以下、単に撮影レンズという)である。
【0019】
カメラ本体100において、1は主ミラーであり、光学ファインダ観察状態では撮影光路内に配置され(この位置を以下、ダウン位置という)、電子ファインダ観察状態および撮影状態では撮影光路外に退避する(この位置を以下、アップ位置という)。主ミラー1はハーフミラーによって構成されており、ダウン位置に配置されているときは、撮影レンズ300からの光束の一部を透過させる。
【0020】
2はピント板であり、このピント板2には、撮影レンズ300により形成された被写体像が、撮影光路内に配置された主ミラー1で反射されて投影される。
【0021】
3はサブミラーであり、光学ファインダ観察状態においては、ダウン位置に配置された主ミラー1の背後に配置され(この位置を以下、ダウン位置という)、電子ファインダ観察状態および撮影状態では、アップ位置に配置された主ミラー1と同様に撮影光路外に退避する(この位置を以下、アップ位置という)。サブミラー3は、光学ファインダ観察状態において、主ミラー1を透過した光束を下方に反射して、後述する焦点検出ユニット8に導く。
【0022】
4はピント板2からの光束をアイピース5および後述する測光センサ7に導くペンタプリズムである。撮影者はアイピース5からピント板2を観察することで、被写体像を観察することができる。この状態を、以下、光学ファインダモード(OVFモード:光学的観察状態)と称する。
【0023】
測光センサ7は、ペンタプリズム4から射出した光束を結像レンズ6を介して受光する。第2の受光素子を含む測光センサ7は、受光強度に応じた信号を出力し、該出力は、ファインダ観察画面内の被写体輝度を測定するために用いられる。測光センサ7は、内部に公知の対数圧縮回路を備えており、その出力は対数圧縮されたものとなる。
【0024】
焦点検出ユニット8は、サブミラー3からの光束を用いて一対又は複数対の被写体像を不図示のラインセンサ上に形成する。そして、該被写体像間の間隔(位相差)に応じた信号を出力する。これにより、位相差検出方式での焦点検出を行うことができる。
【0025】
9はフォーカルプレーンシャッタであり、先幕と後幕を走行させて、後述する撮像素子14に対する露光量を制御する。本実施例では、後述するように、EVFモードにおいて、先幕のうち被写体側の面(以下、単に先幕面という)に形成された被写体像の測光を行うため、先幕面に入射光束を拡散反射させるための処理を施している。但し、撮像時における先幕面での乱反射によるゴーストの発生を回避するよう配慮されている。
【0026】
撮像素子14は、CCDセンサやCMOSセンサ等から構成される光電変換素子である。
【0027】
11は結像レンズであり、主ミラー1およびサブミラー3がアップ位置に配置された状態でのフラッシュ調光制御時において、フォーカルプレンシャッタ9の先幕面に形成された被写体像(つまりは、先幕面からの反射光)を、第1の受光素子を含む調光センサ12上に結像させる。調光センサ12は、測光センサ7と同様に、内部に公知の対数圧縮回路を備えており、その出力は対数圧縮されたものとなる。
【0028】
16は撮像素子14からのアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16およびD/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22および制御ユニットとしてのシステムコントローラ50により制御される。
【0029】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ又はメモリ制御回路22からのデータに対して画素補間処理や色変換処理等の所定の処理を施す。画像処理回路20は、撮像された画像データに対して所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいて、TTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0030】
メモリ制御回路22は、システムコントローラ50からの指令に応じて、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30および圧縮・伸長回路32を制御する。
【0031】
A/D変換器16からの出力データは、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24又ははメモリ30に書き込まれる。なお、A/D変換器16からの出力データが、メモリ制御回路22から画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれるようにしてもよい。
【0032】
28はTFT,LCD等から構成される画像表示パネルである。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介して画像表示パネル28に表示される。
【0033】
主ミラー1およびサブミラー3がアップし、シャッタ9が開いた状態で、撮像素子14からの出力信号を処理して生成された映像を画像表示パネル28に表示すれば、電子ファインダ機能を実現することができる。この状態を、以下、電子ファインダモード(EVFモード:電子的観察状態)と称する。
【0034】
メモリ30は生成された静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ30は、システムコントローラ50の作業領域メモリとしても使用される。
【0035】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理や伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0036】
40はフォーカルプレンシャッタ9を制御するシャッタ制御回路であり、41は主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置とダウン位置との間で移動させるモータとその駆動回路とからなるミラー制御回路である。
【0037】
システムコントローラ50は、カメラ本体100の動作全体を制御する。52はシステムコントローラ50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0038】
54はシステムコントローラ50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する情報表示ユニットであり、動作音や警告音を発する発音素子やスピーカを備えている。この情報表示ユニット54は、LCDやLED等により構成され、カメラ本体100の外面うち視認し易い位置に1つ又は複数設置されている。また、情報表示ユニット54には、ピント板2の下部に所定の情報を表示するものも含まれている。
【0039】
情報表示ユニット54のうち、カメラ本体100の外面に設けられた情報表示ユニットには、シングルショット/連写、セルフタイマー、画像圧縮率、記録画素数、記録枚数、残撮影可能枚数、シャッタスピード、絞り値、露出補正値、フラッシュON、赤目緩和モード、マクロ撮影、ブザー設定、電池残量、日付け・時刻、等が表示される。
【0040】
また、ピント板2の下部に設けられた情報表示ユニットには、合焦、手振れ警告、フラッシュ充電、シャッタスピード、絞り値、露出補正値、等が表示される。
【0041】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROMが用いられる。
【0042】
60、62、64、66、68および70は、システムコントローラ50の各種動作の指示を入力するための操作部材であり、スイッチ、ダイアル、タッチパネルを含み、さらに視線検知によるポインティング装置や音声認識装置等も含む。
【0043】
モードダイアルスイッチ60は、電源のオン/オフを行ったり、撮影モード、再生モード、消去モードおよびPC接続モード等の各機能モードを設定したりするために操作される操作部材である。
【0044】
シャッタスイッチ(SW1)62は、不図示のシャッタボタンの第1ストローク操作(半押し操作)によってオンとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理等の撮像準備動作の開始を指示するための操作部材である。
【0045】
シャッタスイッチ(SW2)64は、シャッタボタンの第2ストローク操作(全押し操作)でオンとなる。このシャッタスイッチ64のオンにより、システムコントローラ50は一連の撮像処理の開始が指示される。撮像処理には、シャッタ制御回路40やフラッシュユニット400を動作させて撮像素子14を露光させる露光処理が含まれる。また、撮像素子14から読み出された信号をA/D変換器16およびメモリ制御回路22を介して画像データとしてメモリ30に書き込む読み出し処理も含まれる。さらに、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理や、メモリ30から画像データを読み出して圧縮・伸長回路32で圧縮を行って記録媒体200に画像データを書き込む記録処理も含まれる。
【0046】
ファインダモード設定スイッチ66は、撮影時にOVFモードとEVFモードのうち一方を選択するために操作される。この機能を利用して、光学ファインダを用いて撮影を行う際に画像表示パネル28への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0047】
クイックレビューON/OFFスイッチ68は、撮影直後に、撮影画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定するための操作部材である。
【0048】
操作部70は、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、単写/連写/セルフタイマー切換ボタン、メニュー移動ボタン、再生画像移動ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等の各種ボタンやタッチパネルを有する。
【0049】
80は電源制御回路であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電ブロックを切り換えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御回路80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果およびシステムコントローラ50からの指示に基づいて、DC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0050】
82、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる電源である。
【0051】
90は記録媒体200とのインタフェース、92は記録媒体200と接続を行うコネクタ、98はコネクタ92に記録媒体200が接続されているか否かを検知する記録媒体検知回路である。
【0052】
110は通信回路であり、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信等の各種通信機能を有する。112は通信回路110によりカメラ本体100を他の機器と接続するためのコネクタである。また、コネクタに代えて、無線通信を行うためのアンテナとしてもよい。
【0053】
記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスク等から構成される記録部202と、カメラ本体100とのインタフェース204と、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206とを備えている。
【0054】
399は後述する撮影レンズ300とシステムコントローラ50との通信を行う通信線であり、499は後述する外付けフラッシュユニット400とシステムコントローラ50との通信を行う通信線である。
【0055】
撮影レンズ300において、301は被写体像を撮像素子14に結像する撮影光学系である。302は撮影光学系301に含まれるフォーカスレンズを光軸方向に駆動してピントを合わせるためのモータとその駆動回路からなるフォーカス制御回路である。
【0056】
303は撮影光学系301に含まれるレンズの位置から被写体距離を検出するエンコーダを含む被写体距離検出回路である。304は撮影時の光量を調節する絞りである。305は絞り304を駆動するモータとその駆動回路からなる絞り制御回路である。
【0057】
306は前述のフォーカス駆動や絞り駆動などを制御するとともに、カメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を制御するレンズ制御マイクロコンピュータである。
【0058】
また、撮影レンズ300は、レンズマウント310を介して、着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、電気的にはシリアル通信線と電源からなるコネクタ311でカメラ本体100に接続される。
【0059】
400はフラッシュユニットである。401はキセノン(Xe)管、402は反射笠、403はXe管401の発光を制御するIGBT等で構成される発光制御回路である。404はXe管401に給電する300V程度の電圧を発生する充電回路である。405は充電回路404に給電する電池などの電源である。406はフラッシュユニット400の発光、充電などを制御するとともに、システムコントローラ50と通信を制御するフラッシュ制御マイクロコンピュータである。
【0060】
また、フラッシュユニット400は、ホットシュー410を介して着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、フラッシュユニット400は、シリアル通信線とX端子(発光端子)からなるコネクタ411により、カメラ本体100に電気的に接続される。
【0061】
次に、図2から図7を用いて、本実施例のカメラシステムの動作について説明する。図2および図3には、本実施例のカメラ本体100に搭載されたシステムコントローラ50により実行される主ルーチンのフローチャートを示している。なお、以下の文中および図中の「S」はステップを示す。また、図2および図3において、同じ丸囲み文字が付されたラインは、互いに繋がっていることを示す。
【0062】
電源オン操作や電池交換等の電源投入によって、システムコントローラ50は、フラグや制御変数等を初期化し(S101)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に初期設定する(S102)。
【0063】
システムコントローラ50は、モードダイアル60の設定位置を判断する(S103)。モードダイアル60が電源OFFに設定されていたならば、各表示部の表示を終了状態に変更し、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。そして、電源制御回路80を通じて、画像表示パネル28を含むカメラ本体100の各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後(S105)、S103に戻る。
【0064】
S103において、モードダイアル60が撮影モードに設定されていたならば、S106に進む。また、モードダイアル60がその他のモードに設定されていたならば、システムコントローラ50は、選択されたモードに応じた処理を実行し(S104)、処理を終えたならばS103に戻る。
【0065】
システムコントローラ50は、電源制御回路80により電源86の残容量やカメラ本体100の動作状況に問題があるか否かを判断し(S106)、問題があるならば情報表示ユニット54を用いて、画像や音声により所定の警告表示を行う(S108)。そして、S103に戻る。
【0066】
電源86に問題が無い場合は(S106)、システムコントローラ50は、記録媒体200の動作状態が、カメラ本体100の記録媒体200に対する画像データの記録再生動作において問題があるか否かを判断する(S107)。問題があるならば、情報表示ユニット54を用いて、画像や音声により所定の警告表示を行った後(S108)、S103に戻る。
【0067】
S107において、記録媒体200の動作状態に問題が無いならば、情報表示ユニット54を用いて、画像や音声によりカメラ本体100の各種設定状態の表示を行う(S109)。なお、画像表示パネル28の画像表示がONであったならば、画像表示パネル28も用いて、画像や音声によりカメラ本体100の各種設定状態の表示を行う。
【0068】
次に、システムコントローラ50は、クイックレビューON/OFFスイッチ68の設定状態を調べ(S110)、クイックレビューONに設定されていたならばクイックレビューフラグを設定する(S111)。また、クイックレビューOFFに設定されていたならば、クイックレビューフラグを解除する(S112)。なお、クイックレビューフラグは、システムコントローラ50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶される。
【0069】
続いて、システムコントローラ50は、ファインダモード設定スイッチ66の設定状態を調べ(S113)、画像表示ONに設定されていたならば、EVFフラグを設定する(S114)。また、画像表示パネル28の画像表示をONに設定し(S115)、さらに撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態を設定する(S116)。その後、S119に進む。
【0070】
スルー表示状態では、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24に逐次書き込まれたデータを、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28に逐次表示させる。これにより、電子ファインダ機能が実現される。
【0071】
画像表示ON/OFFスイッチ66が画像表示OFFに設定されていたならば(S113)、EVFフラグを解除し(S117)、さらに画像表示パネル28の画像表示をOFFに設定して(S118)、S119に進む。
【0072】
画像表示OFFの場合は、画像表示パネル28による電子ファインダ機能を使用せず、光学ファインダ104を用いて撮像を行う。この場合、電力消費量の大きい画像表示パネル28やD/A変換器26等での電力消費を削減することが可能となる。なお、EVFフラグの状態は、システムコントローラ50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶される。
【0073】
S119において、シャッタスイッチSW1が押されていないならば、S103に戻る。シャッタスイッチSW1が押されたならば、システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S120)。そして、EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をフリーズ表示状態に設定して(S121)、S122に進む。
【0074】
フリーズ表示状態においては、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介した画像表示メモリ24の画像データ書き換えが禁止される。そして、最後に書き込まれた画像データを、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28により表示することにより、フリーズした画像を電子ファインダに表示する。
【0075】
S120において、EVFフラグが解除されていたならば、S122に進む。
【0076】
S122において、システムコントローラ50は、焦点検出を行って撮影光学系301の焦点を被写体に合わせ、また測光処理を行って絞り値およびシャッタ時間を決定する(S122)。この測光・焦点検出処理(S122)の詳細については、図4を用いて後述する。
【0077】
測光・焦点検出処理(S122)を終えると、システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S123)。EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をスルー表示状態に設定し(S124)、S125に進む。なお、S124でのスルー表示は、S116でのスルー表示と同じ動作により行われる。
【0078】
S125において、シャッタスイッチSW2が押されず、さらにシャッタスイッチSW1の操作も解除されたならば(S126)、S103に戻る。
【0079】
一方、S125において、シャッタスイッチSW2が押されたならば、システムコントローラ50は内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S127)。EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態を固定色表示状態に設定して(S128)、S129に進む。
【0080】
固定色表示状態においては、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に書き込まれた撮影画像データを固定色の画像データに差し替える。この固定色の画像データが、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28に表示されることにより、固定色の映像が電子ファインダに表示される。
【0081】
S127において、EVFフラグが解除されていたならば、S129に進む。S129においては、システムコントローラ50は、撮像素子14の露光処理および書き込み処理を実行する。この露光および書き込み処理(S129)の詳細については図5および図6を用いて後述する。
【0082】
露光処理が終了すると、システムコントローラ50は、内部メモリ或いはメモリ52に記憶されたクイックレビューフラグの状態を判断する(S130)。クイックレビューフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の画像表示をONに設定し(S131)、クイックレビュー表示を行う(S133)。
【0083】
S130において、クイックレビューフラグが解除されていたならば、S134に進む。
【0084】
S134において、システムコントローラ50は、メモリ30に書き込まれた撮影画像データを読み出して、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて各種画像処理を実行する。また、圧縮・伸長回路32を用いて、設定されたモードに応じた画像圧縮処理を行った後、記録媒体200への画像データの書き込み(記録処理)を実行する。この記録処理(S134)の詳細については図7を用いて後述する。
【0085】
記録処理S134が終了した際に、シャッタスイッチSW2が押された状態であったならば(S135)、システムコントローラ50は、内部メモリ或いはメモリ52に記憶された連写フラグの状態を判断する(S136)。連写フラグが設定されていたならば、連続して露光を行うためにS129に戻り、次の露光を行う。
【0086】
連写フラグが設定されていないならば(S136)、シャッタスイッチSW2の操作が放されるまで(S135)、現在の処理を繰り返す。
【0087】
このように、本実施例では、クイックレビュー表示を行う設定がなされている場合において、記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2が押された状態であったときは、シャッタスイッチSW2が放されるまでクイックレビュー表示を継続する。これにより、撮影画像の確認を入念に行うことができる。
【0088】
記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2の操作が解除された状態であったならば、所定のミニマムレビュー時間が経過した(S137)後、S138に進む。また、記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2が押し続けられ、クイックレビュー表示を継続した後にシャッタスイッチSW2の操作が解除されたときも(S135)、所定のミニマムレビュー時間が経過した(S137)後に、S138に進む。
【0089】
S138において、システムコントローラ50は、EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をスルー表示状態に設定して(S139)、S141に進む。この場合、画像表示パネル28でのクイックレビュー表示によって撮影画像を確認した後に、次の撮影のために撮像画像データを逐次表示するスルー表示状態にすることができる。
【0090】
S138において、EVFフラグが解除されていたならば、画像表示パネル28の画像表示をOFF状態に設定して(S140)、S141に進む。この場合、画像表示パネル28でのクイックレビュー表示によって撮影画像を確認した後は、省電力のために画像表示パネル28での表示を停止する。これにより、電力消費量の大きい画像表示パネル28やD/A変換器26等での電力消費を削減することが可能となる。
【0091】
S141において、シャッタスイッチSW1が押された状態であったならば、システムコントローラ50は、S125に戻って次の撮影に備える。また、シャッタスイッチSW1の操作が解除された状態であったならば(S141)、システムコントローラ50は、一連の撮影処理を終えてS103に戻る。
【0092】
図4のフローチャートには、図3のS122における測光・焦点検出処理の詳細な内容を示す。システムコントローラ50は、S200において、EVFフラグが設定されているか否かを判断する。EVFフラグが設定されている場合は、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16を介して画像処理回路20に撮影画像データを逐次読み込む(S201)。この逐次読み込まれた画像データを用いて、画像処理回路20は、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAE(自動露出)処理、AF(オートフォーカス)処理に用いる所定の演算を行う。
【0093】
なお、ここでの各処理は、撮影した全画素数のうちの必要に応じた特定の部分を必要個所分切り取って抽出し、演算に用いる。これにより、TTL方式のAE、AWB、AFの各処理において、中央重点モード、平均モードおよび評価モード毎に最適な演算を行うことが可能となる。
【0094】
次に、システムコントローラ50は、画像処理回路20での演算結果を用いて、露出(AE)が適正と判断されるまで(S202)、絞り304と撮像素子14の電子シャッタとの組み合わせでAE制御を行う(S203)。なお、撮影レンズ300への絞り駆動指令は、カメラ本体100と撮影レンズ300間の通信ライン399を介したシリアル通信にて送信される。
【0095】
次に、システムコントローラ50は、このAE制御で得られた露出(AE)が適正と判断したならば(S202)、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。また、このとき、適正露出での撮像のためにフラッシュ照明が必要と判断した場合は、フラッシュフラグを設定する。フラッシュフラグは、システムコントローラ50の内部メモリ又はメモリ52に記憶される。
【0096】
さらに、システムコントローラ50は、画像処理回路20での演算結果およびAE制御で得られた測定データを用いて、ホワイトバランス(AWB)が適正と判断されるまで(S206)、AWB制御を行う(S207)。AWB制御では、画像処理回路20を用いて色処理のパラメータを調節する。
【0097】
ホワイトバランス(AWB)が適正と判断したならば(S206)、システムコントローラ50は、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。
【0098】
続いて、システムコントローラ50は、焦点状態が合焦と判断されるまで(S208)、通信線399を介して撮影レンズ300にフォーカス駆動指令を送信し、AF制御を行う(S209)。この際、レンズ制御マイクロコンピュータ306は、システムコントローラ50から指令されたフォーカス駆動量あるいはフォーカス駆動速度に従ってフォーカス制御回路302を制御し、撮影光学系301のフォーカスレンズを光軸方向に駆動する。
【0099】
AF制御には、いわゆるコントラスト検出方式が用いられる。これは、フォーカスレンズを光軸方向に駆動して、画像中の焦点検出領域から最も高い高周波成分が得られたフォーカスレンズ位置を合焦位置とするものである。
【0100】
合焦判定を行った後(S208)、システムコントローラ50は、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶し、測光・焦点検出処理ルーチン(S122)を終了する。
【0101】
一方、S200にて、EVFフラグが設定されていない場合、すなわちOVFモードの場合は、S200からS210に進む。S210では、システムコントローラ50は、測光センサ7による測光結果と、設定されている撮像素子14の感度とに応じて、露出値を演算する(S211)。
【0102】
次に、システムコントローラ50は、焦点検出ユニット8によりTTL位相差検出方式で検出されたピントずれ量が所定の合焦範囲内であるか否かを判別する(S212)。合焦範囲内であれば、測光・焦点検出処理を終了する。合焦範囲外であれば(S212)、S209と同様に、フォーカスレンズを駆動してAF制御を行い(S213)、合焦判定を行うためにS212に戻る。
【0103】
図5および図6のフローチャートには、図3のS129における撮像処理のうち露光処理および書き込み処理の詳細な内容を示している。なお、図5および図6において、同じ丸囲み文字が付されたラインは、互いに繋がっていることを示す。
【0104】
システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグが設定状態(EVFモード)であれば、S301に進む。S301では、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、それまでEVFモードで開いていたシャッタ9の先幕を閉じる。次に、フラッシュユニット400がホットシュー410に装着され、電源405がオン状態か否かを判断するとともに、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたフラッシュフラグが設定状態か否かを判断する(S302)。電源405がオン状態で、フラッシュフラグが設定状態である場合はS303に進む。
【0105】
S303では、システムコントローラ50は、後述する予備発光(以下、プリ発光という)の前に被写体を調光センサ12を通じて測光する。このとき、撮影光学系301によって被写体像がシャッタ9の先幕面上に結像しており、該被写体像からの光束、すなわち先幕面での反射光束は結像レンズ11を通して調光センサ12上に像を結ぶ。この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光前における定常光下での被写体の測光を行う。
【0106】
次に、S304では、フラッシュユニット400にプリ発光を行わせる。ここで、プリ発光とは、撮像(露光処理)の前に所定の発光量でフラッシュユニット400を発光させ、被写体に照明光を照射することである。プリ発光指令は、フラッシュユニット400とカメラ本体100との間に設けられた通信線499を介して、シリアル通信で、システムコントローラ50からフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に送信される。フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、このプリ発光指令の前に、電源405の電圧を充電回路404で昇圧している。このため、プリ発光指令を受けると、発光制御回路403を制御し、Xe管401を放電させて所定光量のプリ発光を行う。なお、ここで行われるプリ発光および後述する本発光を含むフラッシュ発光制御に関しては、特許文献1にて開示されている。
【0107】
次に、システムコントローラ50は、プリ発光によって照明された被写体を調光センサ12を用いて測光する(S305)。プリ発光によって照明された被写体からの反射光束は、閉じ状態のシャッタ9の先幕面で反射し、結像レンズ11によって調光センサ12上に像を結ぶ。したがって、この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光時の被写体測光が行われる。
【0108】
次に、システムコントローラ50は、S305で求めたプリ発光時の測光データから、S303で求めた定常光下での測光データを差し引く。前述したように、調光センサ12の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。これにより、プリ発光による被写体からの反射光束の成分のみが抽出される。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S306)。
【0109】
次に、システムコントローラ50は、シャッタスイッチSW2が押されたことに応じて、シャッタ制御回路40を制御し、シャッタ9の先幕を開方向に走行させ(S307)、撮像素子14の露光を開始する(S308)。
【0110】
次に、システムコントローラ50は、再度フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し(S309)、フラッシュフラグが設定状態である場合は、S306で求めた本発光量をフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に指令する(S310)。これにより、フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、指令された発光量での本発光を行う。そして、システムコントローラ50は、設定された露光時間に応じてシャッタ9の後幕を閉じ(S311)、撮像素子14の電荷蓄積を終了して露光を終了する(S312)。
【0111】
一方、S301で、EVFモードでない場合は、S321に進む。S321では、システムコントローラ50は、フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し、プリ発光前に、ダウン位置にある主ミラー1からの反射光束を用いて測光センサ7で被写体を測光する(S322)。このとき、撮影光学系301により被写体像は主ミラー1を介してピント板2上に形成され、その像は結像レンズ6を通して測光センサ7上に結ばれる。この被写体像を測光センサ7で光電変換し、所定時間積分することで、定常光下での被写体測光が行われる。
【0112】
次に、S304と同等に、所定の発光量でフラッシュユニット400をプリ発光させる(S323)。次に、該プリ発光による被写体での反射光束を用いて、S303と同様に測光センサ7で被写体を測光する(S305)。
【0113】
さらに、システムコントローラ50は、S324で求めたプリ発光時の測光データから、S322で求めた定常光下での測光データを差し引くことにより、プリ発光による被写体での反射光束の成分のみが抽出される。前述したように、測光センサ7の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S325)。
【0114】
次に、システムコントローラ50は、シャッタスイッチSW2が押されたことに応じて、ミラー制御回路41を制御して主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置に移動させる。また、通信線399を介して、レンズ制御マイクロコンピュータ306に絞り304を所定の絞り値に絞り込む指令を送信する。レンズ制御マイクロコンピュータ306は、絞り制御回路305を制御して、絞り304を所定絞り値に絞りこむ(S326)。
【0115】
次に、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、シャッタ9の先幕を開方向に走行させ(S327)、撮像素子14の露光を開始する(S328)。
次に、システムコントローラ50は、再度フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し(S329)、フラッシュフラグが設定状態である場合は、S325で求めた本発光量をフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に指令する(S330)。これにより、フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、指令された発光量での本発光を行う。そして、システムコントローラ50は、設定された露光時間に応じてシャッタ9の後幕を閉じ(S331)、撮像素子14の電荷蓄積を終了して露光を終了する(S332)。また、S333では、システムコントローラ50は、主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置からダウン位置に戻し、さらに絞り304を開放状態に駆動する。
【0116】
システムコントローラ50は、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して、メモリ30に撮影画像のデータを書き込む(S340)。このとき、A/D変換器16からメモリ制御回路22を介してメモリ30に撮影画像のデータを書き込むようにしてもよい。
【0117】
次に、システムコントローラ50は、設定された撮影モードに応じて、フレーム処理を行う必要があるか否かを判別する(S341)。必要がある場合は、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出し、垂直加算処理(S342)や色処理(S343)を順次行う。その後、メモリ30に処理を終えた画像データを書き込む。
【0118】
次に、システムコントローラ50は、メモリ30から画像データを読み出し、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に表示画像データの転送を行う(S344)。こうして一連の処理を終えると、露光および書き込み処理ルーチン(S129)を終了する。
【0119】
図7のフローチャートには、図3のS134における記録処理の詳細な内容を示している。
【0120】
システムコントローラ50は、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30に書き込まれた撮影画像データを読み出し、該画像データに対して縦横画素比率を1:1に補間する画素正方化処理を行う(S401)。そして、メモリ30に処理を終えた画像データを書き込む。
【0121】
次に、システムコントローラ50は、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出して、設定されたモードに応じた画像圧縮処理を圧縮・伸長回路32により行う(S402)。そして、インタフェース90およびコネクタ92を介して、記録媒体200へ圧縮した画像データの書き込みを行う(S403)。
【0122】
記録媒体200への書き込みが終わると、システムコントローラ50は、記録処理ルーチン(S134)を終了する。
【0123】
以上説明したように、本実施例では、主ミラー1がアップ位置に配置されたEVFモードにおいて、シャッタ9で反射した光束を用いて、撮像素子14とは別の調光センサ12を用いて測光を行うことができる。さらに、調光センサ12の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、撮像素子14を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニット400の発光量を適切に設定することができる。
【0124】
しかも、EVFモードにおける撮像時に、主ミラー1をアップ位置から一旦ダウン位置に移動させて測光を行い、再び主ミラー1をアップ位置に戻して撮像(露光処理)を行うという動作が不要になるので、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0125】
また、本実施例では、OVFモードからフラッシュ撮像を行う場合においては、測光センサ7からの出力に基づいて本発光量を設定する。さらに、測光センサ7の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、OVFモードでもEVFモードでも、フラッシュユニット400の発光量を適切に設定することが可能な一眼レフカメラを実現することができる。
【実施例2】
【0126】
実施例1では、EVFモードにおいて、閉じ状態のシャッタ9の先幕面で反射した光束を調光センサ12で受けて被写体測光を行う場合について説明した。これに対し、本実施例では、シャッタ9よりも被写体側に、電気的に透過率を変化させることができる光学電気素子を配置している。この光学電気素子は、通電により入射光束の大部分を拡散(散乱)反射する低透過率状態となり、通電を停止することにより入射光束の大部分を透過させる高透過率状態になる。このような素子としては、例えば、エレクトロクロミック素子がある。
【0127】
そして、本実施例では、プリ発光の前に該光学電気素子を低透過率状態とし、この状態で該光学電気素子の被写体側の面に形成された被写体像を用いて測光を行う。これにより、実施例1のようにシャッタ9の先幕面に拡散処理をする必要がなくなり、該先幕面での乱反射によるゴーストの発生の可能性を排除することができる。また、一般に、メカニカルなシャッタ9に比べて、光学電気素子の方が状態切換え動作が速い。このため、EVFモードにおいて開いていたシャッタ9を閉じる前に、調光センサ12を用いた測光を行うことが可能になり、レリーズタイムラグをより短縮することができる。
【0128】
図8には、本発明の実施例2である一眼レフカメラシステムの構成を示している。実施例1と同じ構成要素には、実施例1と同じ符号を付与して説明に代える。
【0129】
同図において、43は光学電気素子としてのエレクトロクロミック素子である。42は該エレクトロクロミック素子43を駆動するエレクトロクロミック制御回路である。
【0130】
次に、図9および図6のフローチャートを用いて、本実施例におけるシステムコントローラ50の動作のうち露光・現像処理での動作について説明する。なお、図9のフローチャートは、実施例1の図5のフローチャートのうちS303からS306が、S501かからS506に置き換わったものに相当する。ここでは、S501からS506を中心に説明する。また、図6のフローチャートは、実施例1と共通である。
【0131】
システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグが設定状態(EVFモード)であれば、S301に進む。S301では、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、それまでEVFモードで開いていたシャッタ9の先幕を閉じる。次に、フラッシュユニット400がホットシュー410に装着され、電源405がオン状態か否かを判断するとともに、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたフラッシュフラグが設定状態か否かを判断する(S302)。電源405がオン状態で、フラッシュフラグが設定状態である場合はS501に進む。
【0132】
S501では、システムコントローラ50は、エレクトロクロミック制御回路42を制御して、EVFモードにおいてそれまで無通電状態(高透過率状態)であったエレクトロクロミック素子43に所定の通電を行う。これにより、エレクトロクロミック素子43は低透過率状態になり、入射した光束の大部分を拡散反射する。このときの透過率は、0%に近いほどよい。
【0133】
次に。S502では、システムコントローラ50は、プリ発光の前に被写体を調光センサ12を通じて測光する。このとき、撮影光学系301によって被写体像がエレクトロクロミック素子43上に形成されており、該被写体像からの光束、すなわちエレクトロクロミック素子43での反射光束は結像レンズ11を通して調光センサ12上に像を結ぶ。この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光前における定常光下での被写体の測光を行う。
【0134】
次に、S503では、フラッシュユニット400にプリ発光を行わせる。プリ発光指令は、フラッシュユニット400とカメラ本体100との間に設けられた通信線499を介して、シリアル通信で、システムコントローラ50からフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に送信される。フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、このプリ発光指令の前に、電源405の電圧を充電回路404で昇圧している。このため、プリ発光指令を受けると、発光制御回路403を制御し、Xe管401を放電させて所定光量のプリ発光を行う。なお、ここで行われるプリ発光および後述する本発光を含むフラッシュ発光制御は、実施例1と同じである。
【0135】
次に、システムコントローラ50は、プリ発光によって照明された被写体を調光センサ12を用いて測光する(S504)。プリ発光によって照明された被写体からの反射光束は、低透過率状態のエレクトロクロミック素子43で拡散反射し、結像レンズ11によって調光センサ12上に像を結ぶ。したがって、この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光時の被写体測光が行われる。
【0136】
次に、システムコントローラ50は、エレクトロクロミック制御回路42を制御して、エレクトロクロミック素子43への通電をオフする(S505)。これにより、エレクトロクロミック素子43は高透過率状態になり、入射した光束の大部分を透過する。このときの透過率は、100%に近いほどよい。
【0137】
次に、システムコントローラ50は、S504で求めたプリ発光時の測光データから、S502で求めた定常光下での測光データを差し引く。実施例1と同様に、調光センサ12の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。これにより、プリ発光による被写体からの反射光束の成分のみが抽出される。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S506)。
【0138】
そして、S307に進み、これ以降は実施例1と同様に動作する。また、OVFモードでは、実施例1と同様に動作する。
【0139】
以上説明したように、本実施例では、主ミラー1がアップ位置に配置されたEVFモードにおいて、エレクトロクロミック素子43で反射した光束を用いて、撮像素子14とは別の調光センサ12を用いてプリ発光前およびプリ発光時の測光を行う。さらに、調光センサ12の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、撮像素子14を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニット400の発光量を適切に設定することができる。
【0140】
しかも、EVFモードにおける撮像時に、主ミラー1をアップ位置から一旦ダウン位置に移動させて測光を行い、再び主ミラー1をアップ位置に戻して撮像(露光処理)を行うという動作が不要になるので、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0141】
また、本実施例でも、実施例1と同様に、OVFモードからフラッシュ撮像を行う場合においては、測光センサ7からの出力に基づいて本発光量を設定する。さらに、測光センサ7の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、OVFモードでもEVFモードでも、フラッシュユニット400の発光量を適切に設定することが可能な一眼レフカメラを実現することができる。
【0142】
なお、上記各実施例では、撮像前にプリ発光を行い、撮像時に本発光を行う場合について説明したが、本発明は、プリ発光を行わずに撮像時にフラッシュ発光を行う場合にも適用することができる。
【0143】
また、上記各実施例では、撮影光路内のアップ位置と撮影光路外のダウン位置との間で移動可能なミラー(光路切換部材)を有するカメラについて説明したが、本発明はこのような光路切換部材を有する撮像装置に限らず適用することができる。例えば、撮影光路内において撮影光学系からの光束をファインダ光学系に反射する位置と、同じく撮影光学系からの光束を透過させて撮像素子に向かわせる位置と、撮影光路外に退避する位置とに移動可能なミラーを備えた撮像装置にも適用することができる。また、一部に反射膜が形成された透明体を、該反射膜が撮影光路上に配置される位置と、反射膜が形成されていない透光部分が撮影光路上に配置される位置とに移動させる撮像装置にも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施例1である一眼レフデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図3】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図4】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図5】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図6】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図7】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例2である一眼レフデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図9】実施例2のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図10】従来の一眼レフデジタルカメラ(ミラーダウン状態)の構成を示す断面図。
【図11】従来の一眼レフデジタルカメラ(ミラーアップ状態)の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0145】
1 主ミラー
3 サブミラー
9 フォーカルプレーンシャッタ
14 撮像素子
28 画像表示パネル
43 エレクトロクロミック素子
50 システムコントローラ
100 カメラ本体
300 撮影レンズ
400 フラッシュユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフデジタルカメラ等の撮像装置に関し、さらに詳しくは、フラッシュ撮影が可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10および図11には、本出願人が提案している一眼レフデジタルカメラの概略構成を示している(特許文献1参照)。同図において、801はカメラボディ、820はカメラボディ801に対して着脱可能な撮影レンズ(交換レンズ)である。802は撮影レンズ820からの光束をファインダ光学系に導くダウン位置(図10)と該光束を撮像素子に向かわせるアップ位置(図11)とに移動可能な光路切換部材としてのミラーである。
【0003】
803はピント板、804はペンタプリズム、805はアイピースである。806はシャッタ、807はCCDセンサ等の撮像素子である。また、808は液晶ディスプレイ等の画像表示素子である。
【0004】
さらに、810は測光センサであり、被写体の測光を行う。809は測光レンズであり、撮影レンズ820によりピント板803上に結像された被写体像を、測光センサ810上に再結像するためのレンズである。821は光量を調節する絞りである。
【0005】
830はカメラボディ820に着脱可能な外付けフラッシュユニットである。831はキセノン(Xe)管、832,833はXe管831から発せられた光を集光して、被写体に対して照射する反射笠とフレネルレンズである。
【0006】
このカメラでは、撮影直前にフラッシュユニット830(Xe管831)を所定の光量で予備発光させ、該予備発光による被写体輝度を測光センサ810を用いて測光する。そして、その測光結果と設定された絞り値と撮像素子807の感度等に応じた適正露光量に対する偏差を求め、その偏差に相当する光量を加算することで、撮影時の本発光量を決定する。
【0007】
測光センサ810は、公知の対数圧縮アンプを介して測光を行うので、20段程度のレンジを測光することが可能である。これにより、近接した被写体から遠距離の被写体まで正確に測光することが可能である。
【0008】
このような一眼レフデジタルカメラにおいては、従来ファインダ光学系を介して被写体観察を行うことが一般的であったが、最近では、液晶ディスプレイ等の画像表示素子を介して被写体観察を行う機能(電子ビューファインダ機能)が要求されている。この電子ビューファインダ機能を実現するには、図12に示す撮影時と同様に、ミラー802をアップ位置に配置して、シャッタ806を開放し、撮像素子807を用いて被写体画像を生成して画像表示素子808に表示すればよい。
【特許文献1】特開平9−61898号公報(段落0013〜0031、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ミラー803がアップ位置に配置されている状態では、測光センサ810に撮影レンズ820からの光束を導くことができないので、測光を行うことができない。このため、電子ビューファインダを使用している状態から測光センサ810を用いて予備発光時の測光を行うためには、図11の状態からミラー803を一旦ダウン位置に移動させて図10の状態として予備発光および測光を行う必要がある。そして、予備発光の後は、ミラー803を再びアップ位置に移動させて撮像および本発光を行う。したがって、撮像が指示されてから実際の撮像を行うまでの時間(レリーズタイムラグ)が長くなってしまう。
【0010】
なお、予備発光時の測光を撮像素子807を測光センサとして用いて行うことも可能である。しかし、一般的な撮像素子のダイナミックレンジは約8段であり、これを越えた測光を行うことはできない。特に、撮像素子の出力のリニアリティを考慮すると、4〜5段程度のレンジでしか測光できないのが実情である。したがって、撮像素子では近距離から遠距離までの被写体測光をカバーすることができない。このため、外付けフラッシュユニットの特徴である大光量発光の能力を生かすことができない。
【0011】
また、予備発光時に取得した画像の明るさレベルが撮像素子のダイナミックレンジに入るまで予備発光量を順次変更しながら予備発光と測光を繰り返すことにより、測光レンジを広げることは可能である。しかし、この方法でも、レリーズタイムラグが長くなってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、電子ビューファインダを使用した状態(電子的観察状態)でも広い測光レンジを確保でき、かつフラッシュ撮影時のレリーズタイムラグを短縮することができるようにした撮像装置を提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面としての撮像装置は、被写体像の光電変換を行う撮像素子と、該撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、ファインダ光学系と、被写体からの光束をファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、撮像素子の露光量を制御するシャッタと、第1の受光素子とを有する。さらに、該撮像装置は、光路切換部材を第2の位置に配置してシャッタを開くことにより電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有する。そして、制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前にシャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、被写体像の光電変換を行う撮像素子と、該撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、ファインダ光学系と、被写体からの光束をファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、被写体から撮像素子への光路上に配置され、電気的に透過率を制御可能な光学電気素子と、第1の受光素子とを有する。さらに、該撮像装置は、光路切換部材を第2の位置に配置して光学電気素子の透過率を第1の透過率に設定することにより電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットを有する。そして、制御ユニットは、電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に、光学電気素子の透過率を第1の透過率よりも低い第2の透過率に設定し、該光学電気素子での反射光を受けた第1の受光素子からの出力に基づいてフラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子的観察状態からフラッシュ撮像を行う場合に、撮像素子とは別の第1の受光素子を用いて測光を行い、該測光結果に基づいてフラッシュ発光量を設定することができる。このため、撮像素子を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニットの発光量を適切に設定することができる。
【0016】
しかも、光路切換部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させることなく測光からフラッシュ撮像までを行うことができるので、光路切換部材を移動させる場合に比べて、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1には、本発明の実施例1である一眼レフカメラシステムの構成を示している。図1において、100は撮像装置としての一眼レフデジタルカメラ本体(以下、単にカメラ本体という)であり、300は該カメラ本体100に着脱可能な交換式撮影レンズ(以下、単に撮影レンズという)である。
【0019】
カメラ本体100において、1は主ミラーであり、光学ファインダ観察状態では撮影光路内に配置され(この位置を以下、ダウン位置という)、電子ファインダ観察状態および撮影状態では撮影光路外に退避する(この位置を以下、アップ位置という)。主ミラー1はハーフミラーによって構成されており、ダウン位置に配置されているときは、撮影レンズ300からの光束の一部を透過させる。
【0020】
2はピント板であり、このピント板2には、撮影レンズ300により形成された被写体像が、撮影光路内に配置された主ミラー1で反射されて投影される。
【0021】
3はサブミラーであり、光学ファインダ観察状態においては、ダウン位置に配置された主ミラー1の背後に配置され(この位置を以下、ダウン位置という)、電子ファインダ観察状態および撮影状態では、アップ位置に配置された主ミラー1と同様に撮影光路外に退避する(この位置を以下、アップ位置という)。サブミラー3は、光学ファインダ観察状態において、主ミラー1を透過した光束を下方に反射して、後述する焦点検出ユニット8に導く。
【0022】
4はピント板2からの光束をアイピース5および後述する測光センサ7に導くペンタプリズムである。撮影者はアイピース5からピント板2を観察することで、被写体像を観察することができる。この状態を、以下、光学ファインダモード(OVFモード:光学的観察状態)と称する。
【0023】
測光センサ7は、ペンタプリズム4から射出した光束を結像レンズ6を介して受光する。第2の受光素子を含む測光センサ7は、受光強度に応じた信号を出力し、該出力は、ファインダ観察画面内の被写体輝度を測定するために用いられる。測光センサ7は、内部に公知の対数圧縮回路を備えており、その出力は対数圧縮されたものとなる。
【0024】
焦点検出ユニット8は、サブミラー3からの光束を用いて一対又は複数対の被写体像を不図示のラインセンサ上に形成する。そして、該被写体像間の間隔(位相差)に応じた信号を出力する。これにより、位相差検出方式での焦点検出を行うことができる。
【0025】
9はフォーカルプレーンシャッタであり、先幕と後幕を走行させて、後述する撮像素子14に対する露光量を制御する。本実施例では、後述するように、EVFモードにおいて、先幕のうち被写体側の面(以下、単に先幕面という)に形成された被写体像の測光を行うため、先幕面に入射光束を拡散反射させるための処理を施している。但し、撮像時における先幕面での乱反射によるゴーストの発生を回避するよう配慮されている。
【0026】
撮像素子14は、CCDセンサやCMOSセンサ等から構成される光電変換素子である。
【0027】
11は結像レンズであり、主ミラー1およびサブミラー3がアップ位置に配置された状態でのフラッシュ調光制御時において、フォーカルプレンシャッタ9の先幕面に形成された被写体像(つまりは、先幕面からの反射光)を、第1の受光素子を含む調光センサ12上に結像させる。調光センサ12は、測光センサ7と同様に、内部に公知の対数圧縮回路を備えており、その出力は対数圧縮されたものとなる。
【0028】
16は撮像素子14からのアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16およびD/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22および制御ユニットとしてのシステムコントローラ50により制御される。
【0029】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ又はメモリ制御回路22からのデータに対して画素補間処理や色変換処理等の所定の処理を施す。画像処理回路20は、撮像された画像データに対して所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいて、TTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0030】
メモリ制御回路22は、システムコントローラ50からの指令に応じて、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30および圧縮・伸長回路32を制御する。
【0031】
A/D変換器16からの出力データは、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24又ははメモリ30に書き込まれる。なお、A/D変換器16からの出力データが、メモリ制御回路22から画像表示メモリ24又はメモリ30に書き込まれるようにしてもよい。
【0032】
28はTFT,LCD等から構成される画像表示パネルである。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介して画像表示パネル28に表示される。
【0033】
主ミラー1およびサブミラー3がアップし、シャッタ9が開いた状態で、撮像素子14からの出力信号を処理して生成された映像を画像表示パネル28に表示すれば、電子ファインダ機能を実現することができる。この状態を、以下、電子ファインダモード(EVFモード:電子的観察状態)と称する。
【0034】
メモリ30は生成された静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ30は、システムコントローラ50の作業領域メモリとしても使用される。
【0035】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理や伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0036】
40はフォーカルプレンシャッタ9を制御するシャッタ制御回路であり、41は主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置とダウン位置との間で移動させるモータとその駆動回路とからなるミラー制御回路である。
【0037】
システムコントローラ50は、カメラ本体100の動作全体を制御する。52はシステムコントローラ50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0038】
54はシステムコントローラ50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する情報表示ユニットであり、動作音や警告音を発する発音素子やスピーカを備えている。この情報表示ユニット54は、LCDやLED等により構成され、カメラ本体100の外面うち視認し易い位置に1つ又は複数設置されている。また、情報表示ユニット54には、ピント板2の下部に所定の情報を表示するものも含まれている。
【0039】
情報表示ユニット54のうち、カメラ本体100の外面に設けられた情報表示ユニットには、シングルショット/連写、セルフタイマー、画像圧縮率、記録画素数、記録枚数、残撮影可能枚数、シャッタスピード、絞り値、露出補正値、フラッシュON、赤目緩和モード、マクロ撮影、ブザー設定、電池残量、日付け・時刻、等が表示される。
【0040】
また、ピント板2の下部に設けられた情報表示ユニットには、合焦、手振れ警告、フラッシュ充電、シャッタスピード、絞り値、露出補正値、等が表示される。
【0041】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROMが用いられる。
【0042】
60、62、64、66、68および70は、システムコントローラ50の各種動作の指示を入力するための操作部材であり、スイッチ、ダイアル、タッチパネルを含み、さらに視線検知によるポインティング装置や音声認識装置等も含む。
【0043】
モードダイアルスイッチ60は、電源のオン/オフを行ったり、撮影モード、再生モード、消去モードおよびPC接続モード等の各機能モードを設定したりするために操作される操作部材である。
【0044】
シャッタスイッチ(SW1)62は、不図示のシャッタボタンの第1ストローク操作(半押し操作)によってオンとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理等の撮像準備動作の開始を指示するための操作部材である。
【0045】
シャッタスイッチ(SW2)64は、シャッタボタンの第2ストローク操作(全押し操作)でオンとなる。このシャッタスイッチ64のオンにより、システムコントローラ50は一連の撮像処理の開始が指示される。撮像処理には、シャッタ制御回路40やフラッシュユニット400を動作させて撮像素子14を露光させる露光処理が含まれる。また、撮像素子14から読み出された信号をA/D変換器16およびメモリ制御回路22を介して画像データとしてメモリ30に書き込む読み出し処理も含まれる。さらに、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理や、メモリ30から画像データを読み出して圧縮・伸長回路32で圧縮を行って記録媒体200に画像データを書き込む記録処理も含まれる。
【0046】
ファインダモード設定スイッチ66は、撮影時にOVFモードとEVFモードのうち一方を選択するために操作される。この機能を利用して、光学ファインダを用いて撮影を行う際に画像表示パネル28への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0047】
クイックレビューON/OFFスイッチ68は、撮影直後に、撮影画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定するための操作部材である。
【0048】
操作部70は、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、単写/連写/セルフタイマー切換ボタン、メニュー移動ボタン、再生画像移動ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等の各種ボタンやタッチパネルを有する。
【0049】
80は電源制御回路であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電ブロックを切り換えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御回路80は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果およびシステムコントローラ50からの指示に基づいて、DC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0050】
82、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる電源である。
【0051】
90は記録媒体200とのインタフェース、92は記録媒体200と接続を行うコネクタ、98はコネクタ92に記録媒体200が接続されているか否かを検知する記録媒体検知回路である。
【0052】
110は通信回路であり、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信等の各種通信機能を有する。112は通信回路110によりカメラ本体100を他の機器と接続するためのコネクタである。また、コネクタに代えて、無線通信を行うためのアンテナとしてもよい。
【0053】
記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスク等から構成される記録部202と、カメラ本体100とのインタフェース204と、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206とを備えている。
【0054】
399は後述する撮影レンズ300とシステムコントローラ50との通信を行う通信線であり、499は後述する外付けフラッシュユニット400とシステムコントローラ50との通信を行う通信線である。
【0055】
撮影レンズ300において、301は被写体像を撮像素子14に結像する撮影光学系である。302は撮影光学系301に含まれるフォーカスレンズを光軸方向に駆動してピントを合わせるためのモータとその駆動回路からなるフォーカス制御回路である。
【0056】
303は撮影光学系301に含まれるレンズの位置から被写体距離を検出するエンコーダを含む被写体距離検出回路である。304は撮影時の光量を調節する絞りである。305は絞り304を駆動するモータとその駆動回路からなる絞り制御回路である。
【0057】
306は前述のフォーカス駆動や絞り駆動などを制御するとともに、カメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を制御するレンズ制御マイクロコンピュータである。
【0058】
また、撮影レンズ300は、レンズマウント310を介して、着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、電気的にはシリアル通信線と電源からなるコネクタ311でカメラ本体100に接続される。
【0059】
400はフラッシュユニットである。401はキセノン(Xe)管、402は反射笠、403はXe管401の発光を制御するIGBT等で構成される発光制御回路である。404はXe管401に給電する300V程度の電圧を発生する充電回路である。405は充電回路404に給電する電池などの電源である。406はフラッシュユニット400の発光、充電などを制御するとともに、システムコントローラ50と通信を制御するフラッシュ制御マイクロコンピュータである。
【0060】
また、フラッシュユニット400は、ホットシュー410を介して着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、フラッシュユニット400は、シリアル通信線とX端子(発光端子)からなるコネクタ411により、カメラ本体100に電気的に接続される。
【0061】
次に、図2から図7を用いて、本実施例のカメラシステムの動作について説明する。図2および図3には、本実施例のカメラ本体100に搭載されたシステムコントローラ50により実行される主ルーチンのフローチャートを示している。なお、以下の文中および図中の「S」はステップを示す。また、図2および図3において、同じ丸囲み文字が付されたラインは、互いに繋がっていることを示す。
【0062】
電源オン操作や電池交換等の電源投入によって、システムコントローラ50は、フラグや制御変数等を初期化し(S101)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に初期設定する(S102)。
【0063】
システムコントローラ50は、モードダイアル60の設定位置を判断する(S103)。モードダイアル60が電源OFFに設定されていたならば、各表示部の表示を終了状態に変更し、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。そして、電源制御回路80を通じて、画像表示パネル28を含むカメラ本体100の各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後(S105)、S103に戻る。
【0064】
S103において、モードダイアル60が撮影モードに設定されていたならば、S106に進む。また、モードダイアル60がその他のモードに設定されていたならば、システムコントローラ50は、選択されたモードに応じた処理を実行し(S104)、処理を終えたならばS103に戻る。
【0065】
システムコントローラ50は、電源制御回路80により電源86の残容量やカメラ本体100の動作状況に問題があるか否かを判断し(S106)、問題があるならば情報表示ユニット54を用いて、画像や音声により所定の警告表示を行う(S108)。そして、S103に戻る。
【0066】
電源86に問題が無い場合は(S106)、システムコントローラ50は、記録媒体200の動作状態が、カメラ本体100の記録媒体200に対する画像データの記録再生動作において問題があるか否かを判断する(S107)。問題があるならば、情報表示ユニット54を用いて、画像や音声により所定の警告表示を行った後(S108)、S103に戻る。
【0067】
S107において、記録媒体200の動作状態に問題が無いならば、情報表示ユニット54を用いて、画像や音声によりカメラ本体100の各種設定状態の表示を行う(S109)。なお、画像表示パネル28の画像表示がONであったならば、画像表示パネル28も用いて、画像や音声によりカメラ本体100の各種設定状態の表示を行う。
【0068】
次に、システムコントローラ50は、クイックレビューON/OFFスイッチ68の設定状態を調べ(S110)、クイックレビューONに設定されていたならばクイックレビューフラグを設定する(S111)。また、クイックレビューOFFに設定されていたならば、クイックレビューフラグを解除する(S112)。なお、クイックレビューフラグは、システムコントローラ50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶される。
【0069】
続いて、システムコントローラ50は、ファインダモード設定スイッチ66の設定状態を調べ(S113)、画像表示ONに設定されていたならば、EVFフラグを設定する(S114)。また、画像表示パネル28の画像表示をONに設定し(S115)、さらに撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態を設定する(S116)。その後、S119に進む。
【0070】
スルー表示状態では、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24に逐次書き込まれたデータを、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28に逐次表示させる。これにより、電子ファインダ機能が実現される。
【0071】
画像表示ON/OFFスイッチ66が画像表示OFFに設定されていたならば(S113)、EVFフラグを解除し(S117)、さらに画像表示パネル28の画像表示をOFFに設定して(S118)、S119に進む。
【0072】
画像表示OFFの場合は、画像表示パネル28による電子ファインダ機能を使用せず、光学ファインダ104を用いて撮像を行う。この場合、電力消費量の大きい画像表示パネル28やD/A変換器26等での電力消費を削減することが可能となる。なお、EVFフラグの状態は、システムコントローラ50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶される。
【0073】
S119において、シャッタスイッチSW1が押されていないならば、S103に戻る。シャッタスイッチSW1が押されたならば、システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S120)。そして、EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をフリーズ表示状態に設定して(S121)、S122に進む。
【0074】
フリーズ表示状態においては、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介した画像表示メモリ24の画像データ書き換えが禁止される。そして、最後に書き込まれた画像データを、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28により表示することにより、フリーズした画像を電子ファインダに表示する。
【0075】
S120において、EVFフラグが解除されていたならば、S122に進む。
【0076】
S122において、システムコントローラ50は、焦点検出を行って撮影光学系301の焦点を被写体に合わせ、また測光処理を行って絞り値およびシャッタ時間を決定する(S122)。この測光・焦点検出処理(S122)の詳細については、図4を用いて後述する。
【0077】
測光・焦点検出処理(S122)を終えると、システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S123)。EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をスルー表示状態に設定し(S124)、S125に進む。なお、S124でのスルー表示は、S116でのスルー表示と同じ動作により行われる。
【0078】
S125において、シャッタスイッチSW2が押されず、さらにシャッタスイッチSW1の操作も解除されたならば(S126)、S103に戻る。
【0079】
一方、S125において、シャッタスイッチSW2が押されたならば、システムコントローラ50は内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグの状態を判断する(S127)。EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態を固定色表示状態に設定して(S128)、S129に進む。
【0080】
固定色表示状態においては、撮像素子14、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に書き込まれた撮影画像データを固定色の画像データに差し替える。この固定色の画像データが、メモリ制御回路22およびD/A変換器26を介して画像表示パネル28に表示されることにより、固定色の映像が電子ファインダに表示される。
【0081】
S127において、EVFフラグが解除されていたならば、S129に進む。S129においては、システムコントローラ50は、撮像素子14の露光処理および書き込み処理を実行する。この露光および書き込み処理(S129)の詳細については図5および図6を用いて後述する。
【0082】
露光処理が終了すると、システムコントローラ50は、内部メモリ或いはメモリ52に記憶されたクイックレビューフラグの状態を判断する(S130)。クイックレビューフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の画像表示をONに設定し(S131)、クイックレビュー表示を行う(S133)。
【0083】
S130において、クイックレビューフラグが解除されていたならば、S134に進む。
【0084】
S134において、システムコントローラ50は、メモリ30に書き込まれた撮影画像データを読み出して、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて各種画像処理を実行する。また、圧縮・伸長回路32を用いて、設定されたモードに応じた画像圧縮処理を行った後、記録媒体200への画像データの書き込み(記録処理)を実行する。この記録処理(S134)の詳細については図7を用いて後述する。
【0085】
記録処理S134が終了した際に、シャッタスイッチSW2が押された状態であったならば(S135)、システムコントローラ50は、内部メモリ或いはメモリ52に記憶された連写フラグの状態を判断する(S136)。連写フラグが設定されていたならば、連続して露光を行うためにS129に戻り、次の露光を行う。
【0086】
連写フラグが設定されていないならば(S136)、シャッタスイッチSW2の操作が放されるまで(S135)、現在の処理を繰り返す。
【0087】
このように、本実施例では、クイックレビュー表示を行う設定がなされている場合において、記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2が押された状態であったときは、シャッタスイッチSW2が放されるまでクイックレビュー表示を継続する。これにより、撮影画像の確認を入念に行うことができる。
【0088】
記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2の操作が解除された状態であったならば、所定のミニマムレビュー時間が経過した(S137)後、S138に進む。また、記録処理S134が終了した際にシャッタスイッチSW2が押し続けられ、クイックレビュー表示を継続した後にシャッタスイッチSW2の操作が解除されたときも(S135)、所定のミニマムレビュー時間が経過した(S137)後に、S138に進む。
【0089】
S138において、システムコントローラ50は、EVFフラグが設定されていたならば、画像表示パネル28の表示状態をスルー表示状態に設定して(S139)、S141に進む。この場合、画像表示パネル28でのクイックレビュー表示によって撮影画像を確認した後に、次の撮影のために撮像画像データを逐次表示するスルー表示状態にすることができる。
【0090】
S138において、EVFフラグが解除されていたならば、画像表示パネル28の画像表示をOFF状態に設定して(S140)、S141に進む。この場合、画像表示パネル28でのクイックレビュー表示によって撮影画像を確認した後は、省電力のために画像表示パネル28での表示を停止する。これにより、電力消費量の大きい画像表示パネル28やD/A変換器26等での電力消費を削減することが可能となる。
【0091】
S141において、シャッタスイッチSW1が押された状態であったならば、システムコントローラ50は、S125に戻って次の撮影に備える。また、シャッタスイッチSW1の操作が解除された状態であったならば(S141)、システムコントローラ50は、一連の撮影処理を終えてS103に戻る。
【0092】
図4のフローチャートには、図3のS122における測光・焦点検出処理の詳細な内容を示す。システムコントローラ50は、S200において、EVFフラグが設定されているか否かを判断する。EVFフラグが設定されている場合は、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16を介して画像処理回路20に撮影画像データを逐次読み込む(S201)。この逐次読み込まれた画像データを用いて、画像処理回路20は、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAE(自動露出)処理、AF(オートフォーカス)処理に用いる所定の演算を行う。
【0093】
なお、ここでの各処理は、撮影した全画素数のうちの必要に応じた特定の部分を必要個所分切り取って抽出し、演算に用いる。これにより、TTL方式のAE、AWB、AFの各処理において、中央重点モード、平均モードおよび評価モード毎に最適な演算を行うことが可能となる。
【0094】
次に、システムコントローラ50は、画像処理回路20での演算結果を用いて、露出(AE)が適正と判断されるまで(S202)、絞り304と撮像素子14の電子シャッタとの組み合わせでAE制御を行う(S203)。なお、撮影レンズ300への絞り駆動指令は、カメラ本体100と撮影レンズ300間の通信ライン399を介したシリアル通信にて送信される。
【0095】
次に、システムコントローラ50は、このAE制御で得られた露出(AE)が適正と判断したならば(S202)、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。また、このとき、適正露出での撮像のためにフラッシュ照明が必要と判断した場合は、フラッシュフラグを設定する。フラッシュフラグは、システムコントローラ50の内部メモリ又はメモリ52に記憶される。
【0096】
さらに、システムコントローラ50は、画像処理回路20での演算結果およびAE制御で得られた測定データを用いて、ホワイトバランス(AWB)が適正と判断されるまで(S206)、AWB制御を行う(S207)。AWB制御では、画像処理回路20を用いて色処理のパラメータを調節する。
【0097】
ホワイトバランス(AWB)が適正と判断したならば(S206)、システムコントローラ50は、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。
【0098】
続いて、システムコントローラ50は、焦点状態が合焦と判断されるまで(S208)、通信線399を介して撮影レンズ300にフォーカス駆動指令を送信し、AF制御を行う(S209)。この際、レンズ制御マイクロコンピュータ306は、システムコントローラ50から指令されたフォーカス駆動量あるいはフォーカス駆動速度に従ってフォーカス制御回路302を制御し、撮影光学系301のフォーカスレンズを光軸方向に駆動する。
【0099】
AF制御には、いわゆるコントラスト検出方式が用いられる。これは、フォーカスレンズを光軸方向に駆動して、画像中の焦点検出領域から最も高い高周波成分が得られたフォーカスレンズ位置を合焦位置とするものである。
【0100】
合焦判定を行った後(S208)、システムコントローラ50は、測定データおよび設定パラメータのうち少なくとも一方を内部メモリ或いはメモリ52に記憶し、測光・焦点検出処理ルーチン(S122)を終了する。
【0101】
一方、S200にて、EVFフラグが設定されていない場合、すなわちOVFモードの場合は、S200からS210に進む。S210では、システムコントローラ50は、測光センサ7による測光結果と、設定されている撮像素子14の感度とに応じて、露出値を演算する(S211)。
【0102】
次に、システムコントローラ50は、焦点検出ユニット8によりTTL位相差検出方式で検出されたピントずれ量が所定の合焦範囲内であるか否かを判別する(S212)。合焦範囲内であれば、測光・焦点検出処理を終了する。合焦範囲外であれば(S212)、S209と同様に、フォーカスレンズを駆動してAF制御を行い(S213)、合焦判定を行うためにS212に戻る。
【0103】
図5および図6のフローチャートには、図3のS129における撮像処理のうち露光処理および書き込み処理の詳細な内容を示している。なお、図5および図6において、同じ丸囲み文字が付されたラインは、互いに繋がっていることを示す。
【0104】
システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグが設定状態(EVFモード)であれば、S301に進む。S301では、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、それまでEVFモードで開いていたシャッタ9の先幕を閉じる。次に、フラッシュユニット400がホットシュー410に装着され、電源405がオン状態か否かを判断するとともに、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたフラッシュフラグが設定状態か否かを判断する(S302)。電源405がオン状態で、フラッシュフラグが設定状態である場合はS303に進む。
【0105】
S303では、システムコントローラ50は、後述する予備発光(以下、プリ発光という)の前に被写体を調光センサ12を通じて測光する。このとき、撮影光学系301によって被写体像がシャッタ9の先幕面上に結像しており、該被写体像からの光束、すなわち先幕面での反射光束は結像レンズ11を通して調光センサ12上に像を結ぶ。この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光前における定常光下での被写体の測光を行う。
【0106】
次に、S304では、フラッシュユニット400にプリ発光を行わせる。ここで、プリ発光とは、撮像(露光処理)の前に所定の発光量でフラッシュユニット400を発光させ、被写体に照明光を照射することである。プリ発光指令は、フラッシュユニット400とカメラ本体100との間に設けられた通信線499を介して、シリアル通信で、システムコントローラ50からフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に送信される。フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、このプリ発光指令の前に、電源405の電圧を充電回路404で昇圧している。このため、プリ発光指令を受けると、発光制御回路403を制御し、Xe管401を放電させて所定光量のプリ発光を行う。なお、ここで行われるプリ発光および後述する本発光を含むフラッシュ発光制御に関しては、特許文献1にて開示されている。
【0107】
次に、システムコントローラ50は、プリ発光によって照明された被写体を調光センサ12を用いて測光する(S305)。プリ発光によって照明された被写体からの反射光束は、閉じ状態のシャッタ9の先幕面で反射し、結像レンズ11によって調光センサ12上に像を結ぶ。したがって、この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光時の被写体測光が行われる。
【0108】
次に、システムコントローラ50は、S305で求めたプリ発光時の測光データから、S303で求めた定常光下での測光データを差し引く。前述したように、調光センサ12の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。これにより、プリ発光による被写体からの反射光束の成分のみが抽出される。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S306)。
【0109】
次に、システムコントローラ50は、シャッタスイッチSW2が押されたことに応じて、シャッタ制御回路40を制御し、シャッタ9の先幕を開方向に走行させ(S307)、撮像素子14の露光を開始する(S308)。
【0110】
次に、システムコントローラ50は、再度フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し(S309)、フラッシュフラグが設定状態である場合は、S306で求めた本発光量をフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に指令する(S310)。これにより、フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、指令された発光量での本発光を行う。そして、システムコントローラ50は、設定された露光時間に応じてシャッタ9の後幕を閉じ(S311)、撮像素子14の電荷蓄積を終了して露光を終了する(S312)。
【0111】
一方、S301で、EVFモードでない場合は、S321に進む。S321では、システムコントローラ50は、フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し、プリ発光前に、ダウン位置にある主ミラー1からの反射光束を用いて測光センサ7で被写体を測光する(S322)。このとき、撮影光学系301により被写体像は主ミラー1を介してピント板2上に形成され、その像は結像レンズ6を通して測光センサ7上に結ばれる。この被写体像を測光センサ7で光電変換し、所定時間積分することで、定常光下での被写体測光が行われる。
【0112】
次に、S304と同等に、所定の発光量でフラッシュユニット400をプリ発光させる(S323)。次に、該プリ発光による被写体での反射光束を用いて、S303と同様に測光センサ7で被写体を測光する(S305)。
【0113】
さらに、システムコントローラ50は、S324で求めたプリ発光時の測光データから、S322で求めた定常光下での測光データを差し引くことにより、プリ発光による被写体での反射光束の成分のみが抽出される。前述したように、測光センサ7の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S325)。
【0114】
次に、システムコントローラ50は、シャッタスイッチSW2が押されたことに応じて、ミラー制御回路41を制御して主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置に移動させる。また、通信線399を介して、レンズ制御マイクロコンピュータ306に絞り304を所定の絞り値に絞り込む指令を送信する。レンズ制御マイクロコンピュータ306は、絞り制御回路305を制御して、絞り304を所定絞り値に絞りこむ(S326)。
【0115】
次に、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、シャッタ9の先幕を開方向に走行させ(S327)、撮像素子14の露光を開始する(S328)。
次に、システムコントローラ50は、再度フラッシュフラグが設定状態か否かを判別し(S329)、フラッシュフラグが設定状態である場合は、S325で求めた本発光量をフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に指令する(S330)。これにより、フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、指令された発光量での本発光を行う。そして、システムコントローラ50は、設定された露光時間に応じてシャッタ9の後幕を閉じ(S331)、撮像素子14の電荷蓄積を終了して露光を終了する(S332)。また、S333では、システムコントローラ50は、主ミラー1およびサブミラー3をアップ位置からダウン位置に戻し、さらに絞り304を開放状態に駆動する。
【0116】
システムコントローラ50は、撮像素子14から電荷信号を読み出し、A/D変換器16、画像処理回路20およびメモリ制御回路22を介して、メモリ30に撮影画像のデータを書き込む(S340)。このとき、A/D変換器16からメモリ制御回路22を介してメモリ30に撮影画像のデータを書き込むようにしてもよい。
【0117】
次に、システムコントローラ50は、設定された撮影モードに応じて、フレーム処理を行う必要があるか否かを判別する(S341)。必要がある場合は、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出し、垂直加算処理(S342)や色処理(S343)を順次行う。その後、メモリ30に処理を終えた画像データを書き込む。
【0118】
次に、システムコントローラ50は、メモリ30から画像データを読み出し、メモリ制御回路22を介して画像表示メモリ24に表示画像データの転送を行う(S344)。こうして一連の処理を終えると、露光および書き込み処理ルーチン(S129)を終了する。
【0119】
図7のフローチャートには、図3のS134における記録処理の詳細な内容を示している。
【0120】
システムコントローラ50は、メモリ制御回路22および必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30に書き込まれた撮影画像データを読み出し、該画像データに対して縦横画素比率を1:1に補間する画素正方化処理を行う(S401)。そして、メモリ30に処理を終えた画像データを書き込む。
【0121】
次に、システムコントローラ50は、メモリ30に書き込まれた画像データを読み出して、設定されたモードに応じた画像圧縮処理を圧縮・伸長回路32により行う(S402)。そして、インタフェース90およびコネクタ92を介して、記録媒体200へ圧縮した画像データの書き込みを行う(S403)。
【0122】
記録媒体200への書き込みが終わると、システムコントローラ50は、記録処理ルーチン(S134)を終了する。
【0123】
以上説明したように、本実施例では、主ミラー1がアップ位置に配置されたEVFモードにおいて、シャッタ9で反射した光束を用いて、撮像素子14とは別の調光センサ12を用いて測光を行うことができる。さらに、調光センサ12の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、撮像素子14を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニット400の発光量を適切に設定することができる。
【0124】
しかも、EVFモードにおける撮像時に、主ミラー1をアップ位置から一旦ダウン位置に移動させて測光を行い、再び主ミラー1をアップ位置に戻して撮像(露光処理)を行うという動作が不要になるので、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0125】
また、本実施例では、OVFモードからフラッシュ撮像を行う場合においては、測光センサ7からの出力に基づいて本発光量を設定する。さらに、測光センサ7の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、OVFモードでもEVFモードでも、フラッシュユニット400の発光量を適切に設定することが可能な一眼レフカメラを実現することができる。
【実施例2】
【0126】
実施例1では、EVFモードにおいて、閉じ状態のシャッタ9の先幕面で反射した光束を調光センサ12で受けて被写体測光を行う場合について説明した。これに対し、本実施例では、シャッタ9よりも被写体側に、電気的に透過率を変化させることができる光学電気素子を配置している。この光学電気素子は、通電により入射光束の大部分を拡散(散乱)反射する低透過率状態となり、通電を停止することにより入射光束の大部分を透過させる高透過率状態になる。このような素子としては、例えば、エレクトロクロミック素子がある。
【0127】
そして、本実施例では、プリ発光の前に該光学電気素子を低透過率状態とし、この状態で該光学電気素子の被写体側の面に形成された被写体像を用いて測光を行う。これにより、実施例1のようにシャッタ9の先幕面に拡散処理をする必要がなくなり、該先幕面での乱反射によるゴーストの発生の可能性を排除することができる。また、一般に、メカニカルなシャッタ9に比べて、光学電気素子の方が状態切換え動作が速い。このため、EVFモードにおいて開いていたシャッタ9を閉じる前に、調光センサ12を用いた測光を行うことが可能になり、レリーズタイムラグをより短縮することができる。
【0128】
図8には、本発明の実施例2である一眼レフカメラシステムの構成を示している。実施例1と同じ構成要素には、実施例1と同じ符号を付与して説明に代える。
【0129】
同図において、43は光学電気素子としてのエレクトロクロミック素子である。42は該エレクトロクロミック素子43を駆動するエレクトロクロミック制御回路である。
【0130】
次に、図9および図6のフローチャートを用いて、本実施例におけるシステムコントローラ50の動作のうち露光・現像処理での動作について説明する。なお、図9のフローチャートは、実施例1の図5のフローチャートのうちS303からS306が、S501かからS506に置き換わったものに相当する。ここでは、S501からS506を中心に説明する。また、図6のフローチャートは、実施例1と共通である。
【0131】
システムコントローラ50は、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたEVFフラグが設定状態(EVFモード)であれば、S301に進む。S301では、システムコントローラ50は、シャッタ制御回路40を制御して、それまでEVFモードで開いていたシャッタ9の先幕を閉じる。次に、フラッシュユニット400がホットシュー410に装着され、電源405がオン状態か否かを判断するとともに、内部メモリ又はメモリ52に記憶されたフラッシュフラグが設定状態か否かを判断する(S302)。電源405がオン状態で、フラッシュフラグが設定状態である場合はS501に進む。
【0132】
S501では、システムコントローラ50は、エレクトロクロミック制御回路42を制御して、EVFモードにおいてそれまで無通電状態(高透過率状態)であったエレクトロクロミック素子43に所定の通電を行う。これにより、エレクトロクロミック素子43は低透過率状態になり、入射した光束の大部分を拡散反射する。このときの透過率は、0%に近いほどよい。
【0133】
次に。S502では、システムコントローラ50は、プリ発光の前に被写体を調光センサ12を通じて測光する。このとき、撮影光学系301によって被写体像がエレクトロクロミック素子43上に形成されており、該被写体像からの光束、すなわちエレクトロクロミック素子43での反射光束は結像レンズ11を通して調光センサ12上に像を結ぶ。この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光前における定常光下での被写体の測光を行う。
【0134】
次に、S503では、フラッシュユニット400にプリ発光を行わせる。プリ発光指令は、フラッシュユニット400とカメラ本体100との間に設けられた通信線499を介して、シリアル通信で、システムコントローラ50からフラッシュ制御マイクロコンピュータ406に送信される。フラッシュ制御マイクロコンピュータ406は、このプリ発光指令の前に、電源405の電圧を充電回路404で昇圧している。このため、プリ発光指令を受けると、発光制御回路403を制御し、Xe管401を放電させて所定光量のプリ発光を行う。なお、ここで行われるプリ発光および後述する本発光を含むフラッシュ発光制御は、実施例1と同じである。
【0135】
次に、システムコントローラ50は、プリ発光によって照明された被写体を調光センサ12を用いて測光する(S504)。プリ発光によって照明された被写体からの反射光束は、低透過率状態のエレクトロクロミック素子43で拡散反射し、結像レンズ11によって調光センサ12上に像を結ぶ。したがって、この像を調光センサ12で光電変換し、所定時間積分することで、プリ発光時の被写体測光が行われる。
【0136】
次に、システムコントローラ50は、エレクトロクロミック制御回路42を制御して、エレクトロクロミック素子43への通電をオフする(S505)。これにより、エレクトロクロミック素子43は高透過率状態になり、入射した光束の大部分を透過する。このときの透過率は、100%に近いほどよい。
【0137】
次に、システムコントローラ50は、S504で求めたプリ発光時の測光データから、S502で求めた定常光下での測光データを差し引く。実施例1と同様に、調光センサ12の出力は対数圧縮されているので、演算は加減算にて行うことができる。これにより、プリ発光による被写体からの反射光束の成分のみが抽出される。そして、この反射光束成分と、予めシステムコントローラ50の不図示のメモリに記憶されている、撮像素子14の感度に応じた適正光量時の測光データとの差に基づいて本発光量を求める(S506)。
【0138】
そして、S307に進み、これ以降は実施例1と同様に動作する。また、OVFモードでは、実施例1と同様に動作する。
【0139】
以上説明したように、本実施例では、主ミラー1がアップ位置に配置されたEVFモードにおいて、エレクトロクロミック素子43で反射した光束を用いて、撮像素子14とは別の調光センサ12を用いてプリ発光前およびプリ発光時の測光を行う。さらに、調光センサ12の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、撮像素子14を用いて測光を行う場合に比べて広い測光レンジを確保することができ、近距離被写体から遠距離被写体に対するフラッシュユニット400の発光量を適切に設定することができる。
【0140】
しかも、EVFモードにおける撮像時に、主ミラー1をアップ位置から一旦ダウン位置に移動させて測光を行い、再び主ミラー1をアップ位置に戻して撮像(露光処理)を行うという動作が不要になるので、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0141】
また、本実施例でも、実施例1と同様に、OVFモードからフラッシュ撮像を行う場合においては、測光センサ7からの出力に基づいて本発光量を設定する。さらに、測光センサ7の出力は対数圧縮されて本発光の発光量の設定演算に用いられる。このため、OVFモードでもEVFモードでも、フラッシュユニット400の発光量を適切に設定することが可能な一眼レフカメラを実現することができる。
【0142】
なお、上記各実施例では、撮像前にプリ発光を行い、撮像時に本発光を行う場合について説明したが、本発明は、プリ発光を行わずに撮像時にフラッシュ発光を行う場合にも適用することができる。
【0143】
また、上記各実施例では、撮影光路内のアップ位置と撮影光路外のダウン位置との間で移動可能なミラー(光路切換部材)を有するカメラについて説明したが、本発明はこのような光路切換部材を有する撮像装置に限らず適用することができる。例えば、撮影光路内において撮影光学系からの光束をファインダ光学系に反射する位置と、同じく撮影光学系からの光束を透過させて撮像素子に向かわせる位置と、撮影光路外に退避する位置とに移動可能なミラーを備えた撮像装置にも適用することができる。また、一部に反射膜が形成された透明体を、該反射膜が撮影光路上に配置される位置と、反射膜が形成されていない透光部分が撮影光路上に配置される位置とに移動させる撮像装置にも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施例1である一眼レフデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図3】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図4】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図5】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図6】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図7】実施例1のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例2である一眼レフデジタルカメラシステムの構成を示すブロック図。
【図9】実施例2のカメラシステムの動作を示すフローチャート。
【図10】従来の一眼レフデジタルカメラ(ミラーダウン状態)の構成を示す断面図。
【図11】従来の一眼レフデジタルカメラ(ミラーアップ状態)の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0145】
1 主ミラー
3 サブミラー
9 フォーカルプレーンシャッタ
14 撮像素子
28 画像表示パネル
43 エレクトロクロミック素子
50 システムコントローラ
100 カメラ本体
300 撮影レンズ
400 フラッシュユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像の光電変換を行う撮像素子と、
前記撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、
ファインダ光学系と、
被写体からの光束を前記ファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を前記撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、
前記撮像素子の露光量を制御するシャッタと、
第1の受光素子と、
前記光路切換部材を前記第2の位置に配置して前記シャッタを開くことにより前記電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、前記電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に前記シャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた前記第1の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像の光電変換を行う撮像素子と、
前記撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、
ファインダ光学系と、
被写体からの光束を前記ファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を前記撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、
被写体から前記撮像素子への光路上に配置され、電気的に透過率を制御可能な光学電気素子と、
第1の受光素子と、
前記光路切換部材を前記第2の位置に配置して前記光学電気素子の透過率を第1の透過率に設定することにより前記電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、前記電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に、前記光学電気素子の透過率を前記第1の透過率よりも低い第2の透過率に設定し、該光学電気素子での反射光を受けた前記第1の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記光学電気素子は、エレクトロクロミック素子であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記フラッシュ撮像の前に前記フラッシュユニットに第1の発光を行わせ、該フラッシュ撮像時に前記フラッシュユニットに第2の発光を行わせる制御を行い、
前記制御ユニットは、前記第1の発光時における前記第1の受光素子からの出力に基づいて、前記第2の発光における発光量を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の受光素子からの出力は、対数圧縮されて前記制御ユニットに入力されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の位置に配置された前記光路切換部材および前記ファインダ光学系を介した被写体の光学的観察状態からフラッシュ撮像を行う場合において、前記第2の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記フラッシュユニットの着脱が可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体像の光電変換を行う撮像素子と、
前記撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、
ファインダ光学系と、
被写体からの光束を前記ファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を前記撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、
前記撮像素子の露光量を制御するシャッタと、
第1の受光素子と、
前記光路切換部材を前記第2の位置に配置して前記シャッタを開くことにより前記電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、前記電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に前記シャッタを閉じ動作させ、該シャッタでの反射光を受けた前記第1の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像の光電変換を行う撮像素子と、
前記撮像素子を用いて得られた画像を表示する電子表示素子と、
ファインダ光学系と、
被写体からの光束を前記ファインダ光学系に導く第1の位置および被写体からの光束を前記撮像素子に向かわせる第2の位置に移動可能な光路切換部材と、
被写体から前記撮像素子への光路上に配置され、電気的に透過率を制御可能な光学電気素子と、
第1の受光素子と、
前記光路切換部材を前記第2の位置に配置して前記光学電気素子の透過率を第1の透過率に設定することにより前記電子表示素子を用いた被写体の電子的観察を可能とし、かつ被写体を照明するフラッシュユニットの発光を制御する制御ユニットとを有し、
前記制御ユニットは、前記電子的観察状態からのフラッシュ撮像を行う場合において、該フラッシュ撮像の前に、前記光学電気素子の透過率を前記第1の透過率よりも低い第2の透過率に設定し、該光学電気素子での反射光を受けた前記第1の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記光学電気素子は、エレクトロクロミック素子であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記フラッシュ撮像の前に前記フラッシュユニットに第1の発光を行わせ、該フラッシュ撮像時に前記フラッシュユニットに第2の発光を行わせる制御を行い、
前記制御ユニットは、前記第1の発光時における前記第1の受光素子からの出力に基づいて、前記第2の発光における発光量を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の受光素子からの出力は、対数圧縮されて前記制御ユニットに入力されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の位置に配置された前記光路切換部材および前記ファインダ光学系を介した被写体の光学的観察状態からフラッシュ撮像を行う場合において、前記第2の受光素子からの出力に基づいて前記フラッシュユニットの発光量を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記フラッシュユニットの着脱が可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−20125(P2007−20125A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202311(P2005−202311)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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