説明

撮像装置

【課題】細径化が図られた内視鏡等の撮像装置と、これに用いられる固体撮像装置とを提供する。
【解決手段】撮像装置は、レンズ25と、入射光を信号に変換する画素が行列状に配置されてなる撮像部16、撮像部16から見て行方向に隣接する垂直走査回路4、撮像部16から読み出された信号を処理するための周辺回路、及び複数の端子17がそれぞれ上面に設けられた固体撮像装置1と、撮像部16上に直接設置され、入射光を前記撮像部へと導くプリズム2とを備える。固体撮像装置1から出力された信号の大きさに応じてプロセッサ20から出力される光の明るさが変動することで、露光調節が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡等の撮像機器に用いられる固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像装置を内部に組み込んだ電子内視鏡が広く用いられている。医療分野では電子内視鏡が検査や低侵襲手術などに用いられているが、患者の不快感を低減するため、あるいは術後の回復を早めるために電子内視鏡の細径化が望まれている。
【0003】
特許文献1には、CCD(Charge Coupling Device)が設けられた撮像部と周辺回路とを1チップ上に形成した固体撮像装置を備えた内視鏡が開示されている(第1の従来例)。撮像部と周辺回路とを同一基板上に形成することで、内視鏡の挿入部における信号線数が削減され、内視鏡の先端部の細径化が図られている。
【0004】
また、特許文献2には、挿入部にCCD型固体撮像装置が搭載された内視鏡が開示されている(第2の従来例)。従来の内視鏡において、外部から入射した光の光軸は固体撮像装置の撮像部上に搭載されたプリズムによって直角に曲げられ、入射光は撮像部に垂直に照射される。固体撮像装置は、基板面が内視鏡の軸に対して平行になるように搭載されている。この構成により、固体撮像装置の基板面を内視鏡の軸に対して垂直に配置する場合に比べて内視鏡の挿入部を細径化することができる。
【特許文献1】特開平11−32982号公報
【特許文献2】特開昭63−303580号公報(第1図、第2図)
【特許文献3】特開平5−268535号公報
【特許文献4】特開2000−333081号公報
【特許文献5】特開昭62−255913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1の従来例に係る内視鏡においては、固体撮像装置に接続される信号線数を低減できるものの、撮像部と周辺回路とを同一基板上に形成しているため、基板の対角長が増大し、内視鏡の径がかえって大きくなる場合がある。これに対し、固体撮像装置としてCMOSセンサを用いれば、撮像部内の画素回路と周辺回路とを同一基板上に容易に集積化することができるようになり、低消費電力化も図れるが、同様に基板の対角長が増大し、十分に内視鏡の径を細くすることは難しかった。
【0006】
また、固体撮像装置を第2の従来例のように配置した場合には、挿入部の細径化が固体撮像装置の短辺長さ、すなわち行(ロー)方向長さにより制限される。しかし、従来の固体撮像装置、特にCMOSセンサを用いた場合では固体撮像装置の行方向長さは十分に短くできず、内視鏡の径をさらに小さくすることが難しかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、細径化が図られた内視鏡等の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の撮像装置は、外部からの入射光を集めるレンズと、前記入射光を信号に変換する画素が行方向及び列方向の2次元状に配置されてなる撮像部、前記撮像部から見て行方向に隣接し、前記信号の読み出しを行う前記画素を行ごとに選択する垂直走査回路、前記撮像部から読み出された前記信号を処理するための周辺回路、及び前記信号を出力する信号用端子を含む複数の端子がそれぞれ上面に設けられた固体撮像装置と、前記撮像部上に直接設置され、前記レンズを通った前記入射光の光軸を曲げて前記入射光を前記撮像部へと導くプリズムとを備え、前記周辺回路は、前記撮像部から見て列方向の一方である第1の方向に配置され、前記複数の端子は前記周辺回路から見て前記第1の方向に配置されており、前記レンズの光軸と前記第1の方向とが平行に揃えられている。
【0009】
この構成によれば、周辺回路や複数の端子が撮像部から見て第1の方向に配置された上でレンズの光軸と前記第1の方向とが平行に揃えられているので、固体撮像装置の行方向長さを縮小することができ、これによって撮像装置の径を小さくすることができる。
【0010】
特に、前記固体撮像装置から出力された前記信号の大きさに応じた明るさの光を出力するプロセッサと、前記プロセッサから出力された光を外部に照射する送光部材とをさらに備えている場合、固体撮像装置から出力された信号の大きさに基づいて露光を調節できるため、垂直走査回路にいわゆる電子シャッター機能を持たせる必要がなくなり、垂直走査回路の構成を簡素化することができる。そのため、固体撮像装置の列方向長さを増大させることなく垂直走査回路の行方向の長さを縮小することができ、結果として撮像装置の径を小さくすることが可能となる。
【0011】
本発明の第2の撮像装置は、入射光を信号に変換する画素が行方向及び列方向の2次元状に配置されてなる撮像部と、前記撮像部から見て行方向に隣接し、前記信号の読み出しを行う前記画素を行ごとに選択する垂直走査回路とが上面に設けられた固体撮像装置と、前記撮像部上に直接設置され、前記入射光の光軸を曲げて前記入射光を前記撮像部へと導くプリズムと、前記画素の列ごとに設けられ、前記画素から読み出された前記信号をアナログ/デジタル変換するカラムADCと、前記画素から行ごとにパラレルに読み出された前記信号をシリアル信号に変換するPS変換回路と、前記画素から読み出された信号を選択して順次前記信号用端子から出力させる水平走査回路と、前記垂直走査回路及び前記水平走査回路に制御信号を供給するタイミングジェネレータと、前記固体撮像装置のうち前記撮像部から見て列方向の一方である第1の方向に位置する領域上に配置または積層された1つ以上の半導体チップとを備え、前記カラムADC、前記PS変換回路、前記水平走査回路、及び前記タイミングジェネレータは、前記1つ以上の半導体チップ上及び前記固体撮像装置のうち前記撮像部から見て前記第1の方向に位置する領域上に分かれて配置されている。
【0012】
この構成によれば、信号の読み出しに用いられる周辺回路を1つ以上の半導体チップ上に分けて形成することで、固体撮像装置の列方向の長さを短くすることができる。また、周辺回路は平面的に見て撮像部の列方向の一方に配置されている。このため、撮像装置に用いた場合に、挿入部の長さを短くして機動性が高く、径の細い撮像装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮像装置によれば、周辺回路や複数の端子が撮像部から見て第1の方向に配置された上でレンズの光軸と前記第1の方向とが平行に揃えられているので、固体撮像装置の行方向長さを縮小することができ、細径化を図ることができる。
【0014】
特に、固体撮像装置から出力された信号の大きさに基づいて露光を調節する場合には、垂直走査回路にいわゆる電子シャッター機能を持たせる必要がなくなり、垂直走査回路の構成を簡素化することができる。そのため、固体撮像装置の列方向長さを増大させることなく垂直走査回路の行方向の長さを縮小することができ、結果として撮像装置の径を大幅に小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
−全体構成−
図1(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置を概略的に示す側面図及び平面図である。また、図2は、図1(a)、(b)に示す固体撮像装置を搭載した本実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。図2では、撮像装置の例として内視鏡を示している。また、本明細書では、図1に示す縦方向を固体撮像装置1の列方向(長辺方向)とし、横方向を固体撮像装置1の行方向(短辺方向)として説明する。
【0016】
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態の撮像装置は、光電変換を行う受光部が複数個配置されてなる撮像部16が上面上に設けられた固体撮像装置1と、固体撮像装置1の撮像部16上に直接設置され、入射光の光軸を垂直に曲げて入射光を撮像部16へと導くプリズム2と、固体撮像装置1上で撮像部16から見て列方向の一方(第1の方向)に位置する複数の端子17とを備えている。複数の端子17は、例えば電源電圧及び接地電圧を固体撮像装置1にそれぞれ供給するためのVDD端子及びGND端子と、固体撮像装置1から出力される画像信号を差動伝送するための第1のLVDS端子及び第2のLVDS端子とを含んでいる。
【0017】
固体撮像装置1の上面には、上述の撮像部16と、撮像部16の行方向に隣接して設けられた垂直走査回路4と、撮像部16から見て列方向の一方(第1の方向)にそれぞれ設けられたカラムADC(Column Analogue Digital Converter)5、ラインメモリ(line memory)6、水平走査回路7、PS(Parallel Serial)変換回路10、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)回路9、タイミングジェネレータ(TG;Timing Generator)8、及びDAC(Digital Analogue Converter)11が集積化されている。撮像部16において受光部で生成された信号は、後述するように複数のMOSトランジスタで構成された信号読み出し回路により読み出される。信号の読み出しは、垂直走査回路4によって受光部の行ごとに順次行われる。
【0018】
撮像部16から出力された信号は受光部(画素)の列ごとに設けられたカラムADCによってディジタル信号に変換された後、LVDS回路9によって差動信号に変換され、第1のLVDS端子及び第2のLVDS端子(信号用端子)から出力される。信号が出力されるタイミングは水平走査回路7によって制御され、各列の受光部から出力された信号は、PS変換回路10によってシリアル信号に変換された状態で出力される。固体撮像装置1から出力された信号は、TAB(Tape Automated Bonding)基板3を介して外部の信号処理回路へと伝送される。なお、DAC11はカラムADC5にアナログ信号を供給する。TG8は、垂直走査回路4、DAC11、カラムADC5、水平走査回路7等の周辺回路に所定のデジタル制御信号を供給する。
【0019】
本実施形態の撮像装置では、垂直走査回路4を除く複数の周辺回路と複数の端子17とが撮像部16から見て同一の方向(第1の方向)に配置されているので、固体撮像装置1の行方向の長さを従来の固体撮像装置に比べて小さくすることができる。また、本実施形態の固体撮像装置1はMOS型センサであるため、CCD型センサを用いる場合に比べて複数の周辺回路を撮像部16と同一基板上に集積化することが容易となり、平面サイズを小さくすることが可能となる。なお、LVDS回路9は固体撮像装置1の動作に必須の回路ではないが、LVDS回路9を設けることで高速シリアルデータ伝送が可能となり、ピン数を大幅に削減することができ、固体撮像装置1の行方向長さが入出力端子により制約を受けることがなくなる。さらに、低電圧、小電流で信号を伝送できるので、固体撮像装置1での消費電力を大幅に低減することができる。
【0020】
次に、図2に示すように、本実施形態の撮像装置は、屈曲可能な管状部を有しており、管状部の先端に位置する挿入部18の内部にはレンズ25、固体撮像装置1、及びプリズム2などが設けられている。すなわち本実施形態の撮像装置は、外部から入射する光を集めるレンズ25と、図1(b)に示す本実施形態の固体撮像装置1と、プリズム2と、固体撮像装置1から出力された信号を伝送するケーブル24と、ケーブル24を介して入力された信号の大きさに応じた強度の光を出力するプロセッサ20と、管状部内に設けられ、プロセッサ20から出力された光を挿入部18から外部に照射する光ファイバ(送光部材)29とを備えている。
【0021】
プロセッサ20は、固体撮像装置1から出力された信号を処理する信号処理回路22と、光ファイバ29に光を出力する光源23と、信号処理回路22により処理された信号の大きさに応じて光源23から出力される光の強度(明るさ)を制御するコントローラ21とを有している。光源23としては、例えばLEDやレーザなどが用いられる。
【0022】
本実施形態の撮像装置では、固体撮像装置1の列方向の辺(長辺)及び上述の第1の方向がレンズ25の光軸に対して揃えられ、互いに平行(実装上の誤差等を含む)になるように固体撮像装置1が配置されている。固体撮像装置1の行方向の長さは上述した通り、従来の固体撮像装置に比べて短くなっているため、このようなプリズム2を用いて屈曲光学系を採用することで、挿入部18の径は従来の内視鏡に比べて細くなっている。
【0023】
また、本実施形態の撮像装置では、固体撮像装置1から出力される信号の大きさが大きい場合には光源23に流す電流量を小さくして出射光の強度を弱め、固体撮像装置1から出力される信号の大きさが小さい場合には光源23に流す電流量を小さくして出射光の強度を強める。このように、固体撮像装置1から出力される画像信号を用いて露光の調整を行うことができるので、本実施形態の撮像装置では、垂直走査回路4の構成を従来よりも簡素化することができる。このため、固体撮像装置1の行方向の長さをより縮小することが可能になっている。また、固体撮像装置1の列方向の長さは一般的な構成の垂直走査回路を用いる場合と変わらないため、挿入部において、屈曲できない硬質部分を長くすることなく細径化を図ることができる。垂直走査回路4の具体的な構成例を以下に説明する。
【0024】
−垂直走査回路の構成例−
図3は、本実施形態の固体撮像装置の垂直走査回路4の具体構成例と、撮像部16を構成する各画素の構成とを示す図である。
【0025】
図3の右下に示すように、撮像部16に行列状に配置された画素の各々は、フォトダイオード等の受光部と、転送トランジスタTr3、増幅トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2を有している。
【0026】
図3の左上に示す垂直走査回路4は、TG8から出力されたクロック信号CLK1、CLK2と制御用データ(図3左上図に示す「Data」)とを受けるシフトレジスタと、共にシフトレジスタの出力を受ける複数の第1のNANDゲート32a及び複数の第2のNANDゲート32bとで構成されている。シフトレジスタは画素の行ごとに設けられたラッチ回路30で構成される。第1のNANDゲート32aは画素の行ごとに設けられ、同じ行に対応するラッチ回路30からの出力と、制御信号Rgとを受けて転送トランジスタのゲート電極に制御信号Transを供給する。第2のNANDゲート32bは画素の行ごとに設けられ、同じ行に対応するラッチ回路30からの出力と、制御信号Tgとを受けてリセットトランジスタのゲート電極に制御信号Resetを供給する。図3に示す例では、上から数えて奇数番目のラッチ回路30はクロック信号CLK1によって信号の出力タイミングが制御され、偶数番目のラッチ回路30はクロック信号CLK2によって信号の出力タイミングが制御される。なお、ラッチ回路30は、例えば図3の左下に示すように、2つのトランスファーゲートと、3つのインバータと、1つのANDゲートとを組み合わせて構成される。撮像装置の挿入部の径を小さくするために、ラッチ回路30はなるべく面積の小さい回路構成をとることが好ましい。以上の構成により、上から下へ、あるいは下から上へ、信号の読み出しまたはリセットを行う画素を行ごとに順次選択することができる。
【0027】
ここで、従来の固体撮像装置では、信号読み出し用のシフトレジスタ及びNANDゲートの他に、露光を制御するためのいわゆる電子シャッター機能が搭載されていた。このため、例えば垂直走査回路内に、シフトレジスタとNANDゲートをさらに一組設ける必要があった。
【0028】
これに対し、本実施形態の撮像装置では、画像信号を用いて光源23の光量を調節することで露光制御が可能になるため、電子シャッター機能を省略することができ、垂直走査回路4の列方向の長さを変えずに行方向の長さを大幅に縮小することができる。このため、挿入部の硬質部分の長さを長くすることなく撮像装置の径をさらに小さくすることができ、患者の負担をより小さくすることができる。この構成によれば、例えば設計ルールが0.18μmプロセス以降である場合には、垂直走査回路4の行方向の長さを200μm以下にすることが可能となる。なお、本実施形態の撮像装置では、次に説明するような画素構成をとることで、垂直走査回路4の構成が従来よりもさらに簡素化されている。
【0029】
−画素の回路構成例−
図4(a)は、受光部と3つのMOSトランジスタとで画素を構成する場合の一般的な例を示す図であり、(b)は、受光部と4つのMOSトランジスタとで画素を構成する場合の一般的な例を示す図である。また、図5(a)は、本実施形態の固体撮像装置における画素の構成例を示す回路図であり、(b)は、画素における信号の読み出し動作を説明するための波形図である。
【0030】
図4(b)に示すように、4つのトランジスタ(転送トランジスタTr3、増幅トランジスタTr1、リセットトランジスタTr2、及び選択トランジスタTr4)を含む画素構成を採用した場合、画素の微細化が困難である上、垂直走査回路から互いに独立なTrans(電荷読み出し用信号)、Select(行選択用信号)、Reset(電荷リセット用信号)の3種類の信号を画素に供給する必要がある。そのため、垂直走査回路の構成が複雑になる。また、図4(a)に示す例では、選択トランジスタが画素ごとに設けられていないので、画素の面積を小さくすることはできるが、図4(b)に示す例と同様にTrans、Select、Resetの3種類の信号を垂直走査回路から供給する必要があるため、垂直走査回路の構成を簡素化することはできない。
【0031】
これに対し、図3の下図及び図5(a)に示すように、本実施形態の固体撮像装置では、電源線52は垂直走査回路4を介さずにリセットトランジスタTr2のドレイン及び増幅トランジスタTr1のドレインに接続されている。電源線52には図1(b)に示すVDD端子から供給された電圧がTGを介して後述するタイミングでハイレベル状態のときに供給される。このため、垂直走査回路4からは転送トランジスタ(第1のトランジスタ)Tr3のゲート電極に印加されるTransと、リセットトランジスタ(第3のトランジスタ)Tr2のゲート電極に印加されるResetのみを画素に供給すればよいので、垂直走査回路4の構成を図3の左上図にように簡素化することができる。
【0032】
−画素からの信号読み出し動作−
本実施形態の画素においては、図5(b)に示すように、X行目(Xは自然数)の画素を選択する際には、時間(1)で、ResetXをハイレベルにしてリセットトランジスタTr2をオン状態にさせつつ、電源線52にハイレベルの電圧を供給してFD(Floating Diffusion;検出部)部の電位をハイレベルに固定する。その後、ResetXをローレベルにしてリセットトランジスタTr2をオフ状態にする。次に、時間(2)でTransXをローレベルからハイレベルに短期間のみ切り換えて転送トランジスタTr3を所定期間オン状態にし、受光部に蓄積された信号をFD部に転送する。増幅トランジスタ(第2のトランジスタ)Tr1のドレインにはハイレベルの電圧が供給されたままになっている。すると、受光部に蓄積された電荷量に応じてFD部の電位が変動し、増幅トランジスタTr1のソースに接続された信号線50の電位が変動する。信号線50の電位の変化分が信号としてカラムADCに伝達される。その後、ResetXがローレベルからハイレベルに変化する。次に、時間(3)では、電源線52に供給する電圧をローレベルにして増幅トランジスタTr1をオフ状態にして画素選択を解除し、FD部の電位をローレベルにする。次いで、時間(4)では、電源線52に印加する電圧をハイレベルに戻す。なお、選択されていない行の画素については時間(1)〜(4)までの期間を通してReset、Transともローレベルになっている。
【0033】
図6は、垂直走査回路による信号読み出し動作を説明するための図である。上述の読み出し動作を1行目の画素次の行の画素へと順次行う際には、垂直走査回路において、まず1行目のシフトレジスタに所定期間ハイレベルの信号(Data)を入力し、クロック信号CK1をハイレベルにして1行目のシフトレジスタの出力をハイレベルにする。この期間中に、制御信号Rg、Tgを図6の下図のように変化させることで、垂直走査回路4から図5(b)及び図6下図に示すResetX、TransXが出力される。次に、1行目の画素からの信号読み出しが終了すると、クロック信号CK2がハイレベルとなり、2行目の2行目のシフトレジスタの出力がハイレベルになり、2行目の画素からの読み出し動作が開始される。以下、順次行ごとに画素から信号が読み出される。
【0034】
−カラムADCの構成−
図7(a)は、画素から読み出され、シリアル変換されたアナログ信号をAD変換する場合の固体撮像装置のレイアウト例を示す図であり、(b)は、各列の信号線ごとにカラムADCが設けられた場合の固体撮像装置のレイアウト例を示す図である。
【0035】
図7(a)に示す構成を採用する場合、各列の信号を一括してAD変換器37でAD変換するため、ノイズキャンセラー39が必要であり、画素の列ごとに容量C1、C2を有する列信号蓄積部を設ける必要がある。この容量C1、C2は平面面積が大きいため、列方向に固体撮像装置を縮小するのが困難である。また、すべての列から読み出した信号を一括してAD変換するため、面積の大きなAD変換器37が必要となり、行方向に固体撮像装置を縮小するのも困難である。
【0036】
これに対し、本実施形態の固体撮像装置では、図7(b)に示すカラムADCを採用している。カラムADC5を構成する各列のカラムADCは、例えば、DAC11から出力された参照信号と画素から出力された信号とがそれぞれ入力される比較器47と、比較器47の出力を受け、カウンタクロック信号により動作制御を受けるUD(Up-Down)カウンタ49と、UDカウンタ49の出力を記憶するメモリ51とを有している。水平走査回路7によってメモリの動作は制御され、ディジタル信号に変換された信号が順次出力端子に出力される。この構成によれば、面積の大きい容量素子を有するノイズキャンセラー39を設ける必要がなくなるので、列方向に固体撮像装置の長さを縮小することが可能となる。また、面積の大きいAD変換器37を設ける必要がなくなるので、固体撮像装置の行方向の長さも縮小することができる。なお、カラムADC5は、列ごとにAD変換を行うことができる構成であれば図7に示す以外の回路で構成されていてもよい。
【0037】
以上で説明したように、本実施形態の固体撮像装置は、従来の固体撮像装置と比べて行方向の長さを大幅に縮小しつつ、列方向の長さを従来と同等以下にすることができるので、従来よりも大幅に細い径を有する撮像装置を実現することができる。このため、患者の負担を低減し、撮像装置の機動性をさらに向上させることが可能となる。
【0038】
なお、図1(b)に示す例ではクロック信号はTG8内部で生成するが、クロック信号を固体撮像装置の外部から供給してもよい。
【0039】
また、同期信号を外部から供給し同期信号と同期するようにクロック周波数を制御する機能を持たせることも可能である。また、静止画撮像モードや動画撮像モードなど、固体撮像装置が複数のモードで駆動可能である場合には、モードを切り換えるための駆動制御信号を外部から供給してもよい。これらの場合には、複数の端子17のいずれかをクロック信号や制御信号、あるいは同期信号用の端子とすることができる。なお、同期信号入力端子を設ける場合には、外部の映像機器との間で同期を取ることが可能となる。
【0040】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置を概略的に示す側面図である。
【0041】
同図に示すように、本実施形態の撮像装置は、上面上に撮像部、垂直走査回路、カラムADC、及びTGが設けられた固体撮像装置101と、固体撮像装置101の撮像部上に直接設置され、入射光の光軸を垂直に曲げて入射光を撮像部へと導くプリズム106と、バンプ108を介して固体撮像装置101の上面上にフリップチップ接続された第1の半導体チップ102と、第1の半導体チップ102上に設けられた第2の半導体チップ103と、第2の半導体チップ103上にバンプ等によって接続された第3の半導体チップ104とを備えている。
【0042】
第1の半導体チップ102上には、1行分の画素から読み出されたパラレル信号をシリアル信号に変換するPS変換回路が設けられており、第2の半導体チップ103上には画素から読み出された信号を差動信号に変換するLVDS回路が設けられており、第3の半導体チップ104上には、固体撮像装置101上の回路に電源電圧を供給する電源ICが設けられている。
【0043】
また、本実施形態の撮像装置において、電源ICやLVDS回路と固体撮像装置101上の回路とは、コンデンサ107を有するTAB基板105及びバンプによって電気的に接続されている。
【0044】
本実施形態の固体撮像装置は、図2に示す撮像装置において、第1の実施形態に係る固体撮像装置と同様に、列方向がレンズ25の光軸方向と平行になるように配置される。レンズ25からプリズム106へと向かう方向を第1の方向とするとき、第1の半導体チップ102、第2の半導体チップ103、及び第3の半導体チップ104は、プリズム106から見て第1の方向に配置される。また、撮像装置の径が大きくならないように、これらの積層された半導体チップの高さはプリズム106の高さを超えないようにすることが好ましい。
【0045】
以上の構成によれば、固体撮像装置101上に設ける回路を第1の実施形態の固体撮像装置に比べて減らすことができるので、固体撮像装置101の列方向の長さを縮小することができ、固体撮像装置全体の列方向の長さも縮小することができる。このため、撮像装置において屈曲できない挿入部の長さを短くすることができるので、本実施形態の固体撮像装置を用いることで、より機動性の高い撮像装置を実現することができる。
【0046】
なお、ここでは固体撮像装置101上に3種類の半導体チップを積層したが、積層された半導体チップがプリズム106を正面から見た場合のプリズム106の投影面内に入っていれば、半導体チップの数や種類は上述の例に限られない。
【0047】
また、上述の例に限らず、電源IC、LVDS回路、カラムADC、PS変換回路、水平走査回路、TGなどの回路が、固体撮像装置101のうち撮像部から見て上述の第1の方向に位置する領域上と、この領域上に形成された1つ以上の半導体チップ上とに任意に分けて設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明の固体撮像装置は、医療分野、工業分野等において内視鏡などの細い形状を有する撮像装置の実現に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置を概略的に示す側面図及び平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置における垂直走査回路の具体構成例と、撮像部を構成する各画素の構成とを示す図である。
【図4】(a)は、受光部と3つのMOSトランジスタとで画素を構成する場合の一般的な例を示す図であり、(b)は、受光部と4つのMOSトランジスタとで画素を構成する場合の一般的な例を示す図である。
【図5】(a)は、第1の実施形態に係る固体撮像装置における画素の構成例を示す回路図であり、(b)は、画素における信号の読み出し動作を説明するための波形図である。
【図6】第1の実施形態に係る固体撮像装置において、垂直走査回路による信号読み出し動作を説明するための図である。
【図7】(a)は、画素から読み出され、シリアル変換されたアナログ信号をAD変換する場合の固体撮像装置のレイアウト例を示す図であり、(b)は、各列の信号線ごとにカラムADCが設けられた場合の固体撮像装置のレイアウト例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置を概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 固体撮像装置
2、106 プリズム
3、105 TAB基板
4 垂直走査回路
5 カラムADC
7 水平走査回路
8 TG
9 LVDS回路
10 PS変換回路
11 DAC
16 撮像部
17 複数の端子
18 挿入部
20 プロセッサ
21 コントローラ
22 信号処理回路
23 光源
24 ケーブル
25 レンズ
29 光ファイバ
30 ラッチ回路
32a 第1のNANDゲート
32b 第2のNANDゲート
37 AD変換器
39 ノイズキャンセラー
47 比較器
49 UDカウンタ
50 信号線
51 メモリ
52 電源線
C1、C2 容量
101 固体撮像装置
102 第1の半導体チップ
103 第2の半導体チップ
104 第3の半導体チップ
106 プリズム
107 コンデンサ
108 バンプ
Tr1 増幅トランジスタ
Tr2 リセットトランジスタ
Tr3 転送トランジスタ
CLK1、CLK2 クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの入射光を集めるレンズと、
前記入射光を信号に変換する画素が行方向及び列方向の2次元状に配置されてなる撮像部、前記撮像部から見て行方向に隣接し、前記信号の読み出しを行う前記画素を行ごとに選択する垂直走査回路、前記撮像部から読み出された前記信号を処理するための周辺回路、及び前記信号を出力する信号用端子を含む複数の端子がそれぞれ上面に設けられた固体撮像装置と、
前記撮像部上に直接設置され、前記レンズを通った前記入射光の光軸を曲げて前記入射光を前記撮像部へと導くプリズムとを備え、
前記周辺回路は、前記撮像部から見て列方向の一方である第1の方向に配置され、前記複数の端子は前記周辺回路から見て前記第1の方向に配置されており、
前記レンズの光軸と前記第1の方向とが平行に揃えられている撮像装置。
【請求項2】
前記固体撮像装置から出力された前記信号の大きさに応じた明るさの光を出力するプロセッサと、
前記プロセッサから出力された光を外部に照射する送光部材とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記垂直走査回路は、1つのシフトレジスタと、前記画素の行ごとに配置され、前記シフトレジスタの出力を受ける論理回路とで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画素は、前記入射光を前記信号に変換する受光部と、前記受光部に蓄積された電荷を検出部に転送する第1のトランジスタと、前記検出部に転送された前記信号を増幅する第2のトランジスタと、前記検出部の信号電荷をリセットする第3のトランジスタとで構成され、
前記固体撮像装置は、前記複数の端子のうちの電源端子を直接または間接に介して前記固体撮像装置の外部から供給された電源電圧を前記第2のトランジスタ及び第3のトランジスタのドレインに供給する電源線をさらに有していることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記周辺回路は、前記画素の列ごとに設けられ、前記画素から読み出された前記信号をアナログ/デジタル変換するカラムADCを有していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記周辺回路は、前記画素から行ごとにパラレルに読み出された前記信号をシリアル信号に変換するPS変換回路と、前記画素から読み出された信号を選択して順次前記信号用端子から出力させる水平走査回路と、前記垂直走査回路及び前記水平走査回路及び前記電源線に制御信号を供給するタイミングジェネレータとを有していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
入射光を信号に変換する画素が行方向及び列方向の2次元状に配置されてなる撮像部と、前記撮像部から見て行方向に隣接し、前記信号の読み出しを行う前記画素を行ごとに選択する垂直走査回路とが上面に設けられた固体撮像装置と、
前記撮像部上に直接設置され、前記入射光の光軸を曲げて前記入射光を前記撮像部へと導くプリズムと、
前記画素の列ごとに設けられ、前記画素から読み出された前記信号をアナログ/デジタル変換するカラムADCと、
前記画素から行ごとにパラレルに読み出された前記信号をシリアル信号に変換するPS変換回路と、
前記画素から読み出された信号を選択して順次前記信号用端子から出力させる水平走査回路と、
前記垂直走査回路及び前記水平走査回路に制御信号を供給するタイミングジェネレータと、
前記固体撮像装置のうち前記撮像部から見て列方向の一方である第1の方向に位置する領域上に配置または積層された1つ以上の半導体チップとを備え、
前記カラムADC、前記PS変換回路、前記水平走査回路、及び前記タイミングジェネレータは、前記1つ以上の半導体チップ上及び前記固体撮像装置のうち前記撮像部から見て前記第1の方向に位置する領域上に分かれて配置されている撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−51538(P2010−51538A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219634(P2008−219634)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】