点火プラグ用主体金具の製造方法及び点火プラグの製造方法
【課題】製造コストの増大を招くことなく、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を効果的に小さくする。
【解決手段】主体金具3は、軸線CL1方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部15を有する。主体金具3の製造工程は、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2を備える主体金具筒状中間体MI2を形成する工程と、主体金具筒状中間体MI2にねじ部15を形成する転造工程とを含む。転造工程においては、主体金具筒状中間体MI2に挿入され転造ダイスD1,D2の加工面との間で主体金具筒状中間体MI2を挟み込む受け部材RCを、主体金具筒状中間体MI2に挿入した上で少なくとも第一筒状部CY1と第二筒状部CY2とに対して同時に転造加工が施される。
【解決手段】主体金具3は、軸線CL1方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部15を有する。主体金具3の製造工程は、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2を備える主体金具筒状中間体MI2を形成する工程と、主体金具筒状中間体MI2にねじ部15を形成する転造工程とを含む。転造工程においては、主体金具筒状中間体MI2に挿入され転造ダイスD1,D2の加工面との間で主体金具筒状中間体MI2を挟み込む受け部材RCを、主体金具筒状中間体MI2に挿入した上で少なくとも第一筒状部CY1と第二筒状部CY2とに対して同時に転造加工が施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等に使用される点火プラグ、及び、点火プラグに用いられる点火プラグ用主体金具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等の燃焼装置に使用される点火プラグは、例えば、軸線方向に延びる中心電極と、中心電極の外周に設けられる絶縁体と、絶縁体の外側に組付けられる円筒状の主体金具とを備える。また、主体金具の先端部には接地電極が接合され、中心電極と接地電極との間には、火花放電を生じさせるための間隙(火花放電間隙)が形成される。加えて、主体金具の内周面には、径方向内側に突出形成され絶縁体の外周面が係止される突条部が設けられ、一方で、主体金具の外周面には、燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部が形成される。
【0003】
ところで、主体金具は、一般に押出成形加工や切削加工を施すことにより形成される。具体的には、所定の金属材料からなる柱状の主体金具中間体を筒状の金型の内部に配置した上で、所定の治具により主体金具中間体の先端側及び後端側を加圧変形させることにより、主体金具中間体の先端側及び後端側に穴部を形成する。そして、形成された穴部を複数の治具を用いて段階的に深く、かつ、径大となるように加圧変形させ、最終的に主体金具中間体の両端部の穴部を連通させる。このとき、主体金具中間体の内周面には、前記突条部となる環状の突出部が形成される。次いで、主体金具中間体の内周面のうち前記突出部よりも先端側の部位などに切削加工等を施し、主体金具中間体の形状を整えることで、筒状の主体金具筒状中間体が得られる。そして最後に、主体金具筒状中間体の外周面に転造加工を施し、ねじ部を形成することで、主体金具が得られる(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4210611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、主体金具の内周面のうち、その先端側を切削加工により形成する一方で、その後端側を押出成形により形成すること(つまり、先端側の穴部と後端側の穴部とを異なる製造装置を用いて形成すること)や、押出成形時における治具の傾き等に起因して、主体金具筒状中間体の先端部に位置する筒状部(第一筒状部)の中心軸と、軸方向に沿って第一筒状部と異なる位置の筒状部(第二筒状部;例えば、突条部よりも後端側に位置する筒状部)の中心軸との間に偏心(軸ずれや傾き)が生じてしまうおそれがある。このような偏心が生じてしまうと、主体金具に対して絶縁体を組付けた際に、絶縁体の先端部の中心軸と主体金具の先端部の中心軸との間に位置ずれが生じてしまい、ひいては主体金具の先端部と中心電極の先端部との間の径方向に沿った距離が一部において過度に接近してしまうおそれがある。その結果、中心電極と主体金具との間で異常な火花放電が生じてしまい、失火等の不具合が生じてしまうことが懸念される。
【0006】
特に、主体金具が比較的小径化され、中心電極の先端部と主体金具の先端部との間の径方向に沿った距離が比較的小さくなるように設定された点火プラグにおいては、失火等を防止すべく、主体金具の先端部の中心軸と、中心電極の先端部の中心軸とを精度よく合わせる必要がある。しかしながら、上述のように第一筒状部と第二筒状部との間で偏心が生じてしまい、かつ、その偏心が比較的大きくなってしまうと、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸とを精度よく位置合わせすることが非常に難しい。
【0007】
そこで、第一筒状部と第二筒状部との偏心を小さくすべく、主体金具に対して別途の加工を施すことが考えられるが、この場合には、製造コストの増大を招いてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストの増大を招くことなく、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を効果的に小さくすることができる点火プラグ用主体金具の製造方法、及び、点火プラグの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
【0010】
構成1.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、軸線方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部を有する筒状の点火プラグ用主体金具(以下、単に「主体金具」と称することもある)の製造方法であって、
前記点火プラグ用主体金具となるべき主体金具中間体に筒状部が形成された主体金具筒状中間体を形成する主体金具筒状中間体形成工程と、
前記主体金具筒状中間体に対して転造ダイスを用いて転造加工を施すことにより、前記ねじ部を形成する転造工程とを含み、
前記主体金具筒状中間体形成工程は、
前記主体金具中間体の端部に筒状の第一筒状部を形成する第一筒状部形成工程と、
前記第一筒状部と異なる部位の少なくとも一部に筒状の第二筒状部を形成する第二筒状部形成工程とを含み、
前記転造工程においては、
前記主体金具筒状中間体に挿入され前記転造ダイスの加工面との間で前記主体金具筒状中間体を挟み込む受け部材を、前記主体金具筒状中間体に挿入した上で少なくとも前記第一筒状部と前記第二筒状部とに対して同時に転造加工を施すことにより、前記転造加工後の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心が、前記転造加工前の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心よりも小さくされることを特徴とする。
【0011】
上記構成1によれば、第一筒状部及び第二筒状部を有する主体金具筒状中間体に対して受け部材を挿入した上で、少なくとも両筒状部に対して転造加工が施される。このため、転造加工時に、主体金具筒状中間体の外周面が転造ダイスにより押圧されることで、主体金具筒状中間体のうち特に厚みの大きい部分が、受け部材と転造ダイスとで挟まれる形で潰れ変形することとなる。これにより、第一筒状部や第二筒状部の内周面の傾きを修正することができるとともに、第一筒状部(の内周面)の中心軸と第二筒状部(の内周面)の中心軸とを受け部材の中心軸と一致するように矯正することができる。その結果、転造加工前と比較して、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心を効果的に小さくすることができる。
【0012】
また、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を小さくするにあたっては、別途の加工を施すことなく、ねじ部を形成する際に一般に行われる転造加工が利用されるため、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0013】
構成2.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1において、前記受け部材は、棒状をなすとともに、
前記第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、
前記第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とを有することを特徴とする。
【0014】
上記構成2によれば、受け部材には、第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とが設けられる。従って、転造加工時に、第一筒状部及び第二筒状部の双方をより確実に矯正することができる。その結果、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を一層小さくすることができる。
【0015】
構成3.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1又は2において、前記主体金具筒状中間体は、前記第一筒状部と前記第二筒状部との間に、前記第一筒状部及び前記第二筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有することを特徴とする。
【0016】
第一筒状部と第二筒状部との間に、それぞれの内径よりも内径の小さい部位が設けられる場合には、主体金具中間体の一方の端部側から両筒状部を形成することが難しいため、一方の端部側から第一筒状部を形成し、他方の端部側から第二筒状部を形成することが行われ得る。しかしながら、この場合には、両筒状部の偏心が比較的大きなものとなってしまいやすい。
【0017】
この点、上記構成3によれば、主体金具筒状中間体が、第一筒状部と第二筒状部との間に、両筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有するため、両筒状部の偏心がより大きくなってしまうことが懸念されるが、上記構成1等を採用することで、両筒状部の偏心を十分に小さくできる。換言すれば、上記構成1等は、主体金具筒状中間体が、第一筒状部と第二筒状部との間に、両筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有する場合において、特に有意である。
【0018】
構成4.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記転造工程において、前記受け部材が挿入された前記主体金具筒状中間体の前記第一筒状部及び第二筒状部の径方向の断面における前記主体金具筒状中間体の内径と前記受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされることを特徴とする。
【0019】
上記構成4によれば、第一筒状部及び第二筒状部のそれぞれの断面において、主体金具筒状中間体の内径と受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされる。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体が転造ダイスと受け部材とでより確実に挟み込まれることとなり、主体金具筒状中間体をより確実に変形させることができる。その結果、両筒状部の偏心を一層確実に小さくすることができる。
【0020】
構成5.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記ねじ部のねじ径がM12以下であることを特徴とする。
【0021】
ねじ部のねじ径が小径である場合には、上述の通り、中心電極の先端部と主体金具の先端部との間の径方向に沿った距離が比較的小さなものとされる。従って、異常放電を防止すべく、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸とを精度よく合わせる必要があり、これを実現するためには、主体金具筒状中間体において、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸とが精度よく合っていることが要求される。
【0022】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができる。換言すれば、上記構成1等は、上記構成5のように、ねじ部のねじ径がM12以下と小径化されており、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸とが精度よく合っていることが要求される主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0023】
構成6.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記点火プラグ用主体金具は、前記軸線方向に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きくされることを特徴とする。
【0024】
上記構成6のように、軸線に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きい主体金具は、絶縁体が組付けられたときに、自身の先端部と絶縁体の先端部との間における偏心がより大きくなってしまいやすい。
【0025】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、軸線に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きな主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0026】
構成7.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至6のいずれかにおいて、前記点火プラグ用主体金具は、自身の外周面に径方向外側に膨出する座部を有し、前記軸線に沿った、前記点火プラグ用主体金具の先端から前記座部までの長さが20mm以上とされることを特徴とする。
【0027】
自身の先端から座部までの軸線に沿った長さ(いわゆるネジリーチ)を比較的大きくした主体金具においては、絶縁体が組み付けられたときに、自身の先端部と絶縁体の先端部との間における偏心がより大きくなものとなってしまいやすい。
【0028】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、ネジリーチが20mm以上の長尺化された主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0029】
構成8.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされることを特徴とする。
【0030】
上記構成8によれば、受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされており、転造加工時に、主体金具筒状中間体とともに受け部材が回転可能とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体と受け部材との間で発生する摩擦力を極力低減させることができ、ひいては転造ダイスと受け部材とで挟み込むことによる主体金具筒状中間体の変形をより促進することができる。その結果、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心を極めて効果的に小さくすることができる。
【0031】
構成9.本構成の点火プラグの製造方法は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法を含むことを特徴とする。
【0032】
上記構成9のように、上記構成1等の技術思想を点火プラグの製造方法に適用することとしてもよい。この場合には、製造された点火プラグにおいて、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心をより確実に小さくすることができる。
【0033】
構成10.本構成の点火プラグの製造方法は、上記構成9において、前記点火プラグは、
前記点火プラグ用主体金具の内周に配置される筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の内周に配置される中心電極と、
前記点火プラグ用主体金具の先端部に配置され、前記中心電極の先端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記間隙の大きさが0.4mm以上とされることを特徴とする。
【0034】
中心電極と接地電極との間に形成される間隙が比較的大きく、前記間隙にて火花放電を生じさせる際の要求電圧が比較的大きなものとなる点火プラグにおいては、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間に若干の偏心が生じただけで、中心電極と主体金具との間で異常放電が生じてしまうおそれがある。
【0035】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間の偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、間隙の大きさが0.4mm以上と大きなものとされ、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間の偏心に伴う異常放電の発生がより懸念される点火プラグを製造する際に、特に有意である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【図2】主体金具中間体の構成を示す斜視図である。
【図3】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図4】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図5】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図6】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図7】第4ワークの構成を示す一部破断正面図である。
【図8】(a)は、主体金具筒状中間体の構成を示す一部破断正面図であり、(b)は、接地電極の接合された主体金具筒状中間体の構成を示す一部破断正面図である。
【図9】主体金具筒状中間体に挿入された受け部材を示す断面図である。
【図10】転造ダイスへの主体金具筒状中間体の搬送態様を示す拡大正面図である。
【図11】転造工程の一過程を示す断面図である。
【図12】(a)は、第一筒状部と第一構成部との径差を説明するための部分拡大断面図であり、(b)は、第二筒状部と第二構成部との径差を説明するための部分拡大断面図である。
【図13】主体金具の構成を示す正面図である。
【図14】(a),(b)は、別の実施形態における受け部材の構成を示す断面図である。
【図15】別の実施形態における転造ダイスの構成を示す平面図である。
【図16】別の実施形態における点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、点火プラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
【0038】
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の点火プラグ用主体金具(以下、「主体金具」と称す)3などから構成されるものである。
【0039】
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
【0040】
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。
【0041】
加えて、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
【0042】
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
【0043】
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼(例えば、炭素成分が0.5質量%以下)等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて膨出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
【0044】
尚、本実施形態においては、点火プラグ1の小径化及び長尺化を図るべく、主体金具3の小径化及び長尺化が図られている。そのため、ねじ部15のねじ径はM12以下(本実施形態では、M10以下)とされており、また、軸線CL1に沿った座部16の先端から主体金具3の先端までの長さ(いわゆるネジリーチ)Lが20mm以上とされている。加えて、主体金具3は、軸線CL1に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きなものとなっている。尚、主体金具3の小径化に伴い、主体金具3の先端内周と絶縁碍子2の先端部との間の軸線CL1と直交する方向に沿った距離が比較的小さなもの(例えば、1.0mm以下)とされている。
【0045】
また、主体金具3の内周面には、径方向内側に膨出する突条部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の突条部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14と突条部21との間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
【0046】
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
【0047】
また、主体金具3の先端部26には、略中間部分が曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部と対向する接地電極27が接合されている。中心電極5の先端部と接地電極27の先端部との間には、間隙としての火花放電間隙28が形成されており、当該火花放電間隙28において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。尚、本実施形態では、火花放電間隙28の大きさ(中心電極5及び接地電極27間の最短距離)Gが0.4mm以上2.0mm以下(例えば、1.1mm)と比較的大きなものとされている。
【0048】
次に、上記のように構成されてなる点火プラグ1の製造方法について説明する。
【0049】
まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、図2に示すように、S17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材等からなる円柱状の主体金具中間体MI1を用意する。そして、主体金具中間筒状体形成工程において、主体金具中間体MI1に対し、複数の金型を用いて冷間にて段階的に押出成形加工を施す。
【0050】
詳述すると、まず、図3に示す第1金型M1等を用いて、主体金具中間体MI1を冷間にて押出成形する。すなわち、第1金型M1は、軸線CL1方向に延び、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC1を有している。そして、キャビティC1に主体金具中間体MI1を挿入し、キャビティC1の先端側に、筒状のスリーブS1と、当該スリーブS1に挿入され、スリーブS1のキャビティC1側の面よりも後端側に先端部が突出するピンPI1とを配置する。その上で、キャビティC1の大径部分とほぼ同一の外径を有するパンチPU1をキャビティC1の後方側から挿入し、主体金具中間体MI1を軸線CL1方向先端側へと押出成形する。これにより、先端側が小径に形成されるとともに、先端部に穴部HA1を有する第1ワークW1が得られる。
【0051】
次に、図4に示す第2金型M2を用いて、第1ワークW1を冷間にて押出成形する。すなわち、第2金型M2は、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC2を有している。そして、第1ワークW1をキャビティC2に後方側から挿入するとともに、キャビティC2の先端側に、筒状のスリーブS2と当該スリーブS2に挿入され、スリーブS2のキャビティC2側の面よりも後端側に先端部が突出するピンPI2とを配置する。その上で、キャビティC2の大径部分の内径よりも小さい外径を有するパンチPU2をキャビティC2の後方側から挿入する。これにより、第1ワークW1が押出成形され、先端側に穴部HA2を有し、後端側に穴部HB2を有する第2ワークW2が得られる。
【0052】
次いで、図5に示す第3金型M3を用いて、第2ワークW2を冷間にて押出成形する。すなわち、第3金型M3は、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC3を有している。そして、キャビティC3に対して後方側から第2ワークW2を挿入するとともに、キャビティC3の先端側に、筒状のスリーブS3と、先端部がスリーブS3よりも後端側に突出するピンPI3とを配置する。そして、キャビティC3の大径部分の内径よりも小さい外径を有し、外周に段差を有するパンチPU3をキャビティC3の後方側から挿入する。これにより、第2ワークW2が押出成形され、先端側に穴部HA3を有し、後端側に穴部HB3を有する第3ワークW3が得られる。
【0053】
次に、図6に示す第4金型M4を用いて、第3ワークW3を冷間にて押出成形する。すなわち、第4金型M4は、筒状の先端側金型M41と、筒状の後端側金型M42とが同軸状に一体化されてなり、軸線CL1方向に延びるキャビティC4を有している。ここで、後端側金型M42の内周部分は、先端側が大径に形成される一方で、後端側が小径に形成されている。そして、大径部分の内周面は、前記座部16の形状に対応した円筒状に形成されている。一方で、小径部分の内周面のうち少なくとも先端側は、工具係合部19に対応する形状とされている。製造方法の説明に戻り、上述したキャビティC4に後方側から第3ワークW3を挿入するとともに、キャビティC4の先端側にスリーブS4と、先端部が前記スリーブS4よりも後端側に突出するピンPI4とを配置する。その上で、外周に段差を有するパンチPU4をキャビティC4の後方側から挿入し、第3ワークW3の外周面を第4金型M4の内周面に圧接させる。これにより、図7に示すように、工具係合部19と同一の断面形状を有する多角柱部MGと、両穴部HA3,HB3が連通されてなり軸線CL1方向に延びる貫通孔H4とを有する第4ワークW4が得られる。尚、第4ワークW4の内周面には、軸線CL1を中心とする環状の突出部P4(前記突条部21となる部位)が径方向内側に膨出形成される。
【0054】
その後、多角柱部MGの先端側や突出部P4よりも先端側の内周面などに切削加工を施すことにより、図8(a)に示すように、座部16や工具係合部19、突条部21等を有する筒状の(すなわち、筒状部CYを備える)主体金具筒状中間体MI2が得られる。
【0055】
尚、主体金具筒状中間体MI2は、突条部21の先端から軸線CL1方向先端側に延びる円筒状の第一筒状部CY1と、突条部21の後端から軸線CL1方向後端側に延びる円筒状の第二筒状部CY2とを備えている。第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2は、それぞれの内径が突条部21の内径よりも大きくされており、結果として、第一筒状部CY1と第二筒状部CY2との間には、両者の内径よりも小さい内径の部位(すなわち、突条部21)が形成されている。また、第一筒状部CY1の径方向に沿った肉厚、及び、第二筒状部CY2の径方向に沿った肉厚は、それぞれ比較的小さなもの(例えば、5mm以下)とされている。
【0056】
加えて、第一筒状部CY1の内周面は、押出成形後に切削加工を施すことで成形されており、第二筒状部CY2の内周面は、押出成形により成形されている。従って、第一筒状部CY1の内周面の中心軸と第二筒状部CY2の内周面の中心軸とは、径方向に沿って偏心した状態で形成されやすくなっている。尚、上述した押出成形及び切削加工の工程が「第一筒状部形成工程」に相当し、押出成形の工程が「第二筒状部形成工程」に相当する。
【0057】
また、本実施形態では、突条部21の先端から軸線CL1方向先端側に延びる円筒状の部位を第一筒状部CY1とし、突条部21の後端から軸線CL1方向後端側に延びる円筒状の部位を第二筒状部CY2としているが、第一筒状部は、主体金具筒状中間体MI2の端部に位置する筒状部位であればよく、第二筒状部は、第一筒状部と異なる筒状部位であればよい。従って、例えば、主体金具筒状中間体MI2の最先端部を第一筒状部といい、当該第一筒状部の後端から突条部21までの部位を第二筒状部ということもできる。すなわち、第一筒状部は、主体金具筒状中間体MI2の端部に位置する筒状部位であるものの、その軸方向に沿った範囲は特に限定されず、また、第二筒状部は、主体金具筒状中間体MI2のうち第一筒状部以外の筒状部位であればよい。
【0058】
製造方法の説明に戻り、図8(b)に示すように、得られた主体金具筒状中間体MI2の先端部に、直棒状の接地電極27を抵抗溶接する。尚、当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるため、その「ダレ」を除去した後、転造工程において、主体金具筒状中間体MI2のうち第一筒状部CY1から第二筒状部CY2にかけての外周面にねじ部15を形成する。
【0059】
転造工程においては、まず、図9に示すように、主体金具筒状中間体MI2に対して、主体金具筒状中間体MI2よりも硬度の高い所定の金属材料〔例えば、焼き入れ鋼(炭素鋼)や工具鋼など〕からなる棒状の受け部材RCを挿入する。受け部材RCは、外径の異なる第一構成部RC1、中間構成部RC3、及び、第二構成部RC2がそれぞれの中心軸が一致するようにしてこの順序で直列的に接続されており、各構成部RC1,RC2,RC3はそれぞれ分離可能とされている。
【0060】
第一構成部RC1は、中実円柱状をなすとともに、自身の外周面が第一筒状部CY1の内周面に沿った形状とされ、自身の端部に突部RP1を備えている。また、第二構成部RC2は、中実円柱状をなすとともに、自身の外周面が第二筒状部CY2の内周面に沿った形状とされ、自身の端部に突部RP2を備えている。中間構成部RC3は、筒状をなし、第一、第二構成部RC1,RC2の突部RP1,RP2が嵌合可能とされている。
【0061】
受け部材RCを主体金具筒状中間体MI2に挿入する際には、主体金具筒状中間体MI2の先端側から第一構成部RC1が挿入される一方で、主体金具筒状中間体MI2の後端側から第二構成部RC2が挿入され、両構成部RC1,RC2の少なくとも一方の挿入前に、突条部21の内周に中間構成部RC3が配置され、主体金具筒状中間体MI2の内部において、各構成部RC1,RC2,RC3が接続される。例えば、中間構成部RC3を第二構成部RC2から分離し、主体金具筒状中間体MI2の先端側から中間構成部RC3が接続された第一構成部RC1を挿入する一方で、主体金具筒状中間体MI2の後端側から第二構成部RC2を挿入し、主体金具筒状中間体MI2の内部にて、第二構成部RC2と中間構成部RC3とを接続することで、主体金具筒状中間体MI2に受け部材RCを挿入することができる。尚、本実施形態では、軸線CL1と直交する断面において、主体金具筒状中間体MI2の内径と受け部材RCの外径との径差が0.002mm以上とされており、主体金具筒状中間体MI2に対して受け部材RCを容易に挿入可能となっている。
【0062】
受け部材RCが挿入された主体金具筒状中間体MI2は、図10に示すように、外周面に周方向に沿って間欠的に複数の凹部COを有してなる回転搬送装置CAを用いて、複数(本実施形態では、一対)の転造ダイスD1,D2のそれぞれの加工面同士の間に配置される。具体的には、凹部COに主体金具筒状中間体MI2を載置した状態で、回転搬送装置CAを自身の中心軸を回転軸として回転させることで、主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2間に配置される。
【0063】
転造ダイスD1,D2間に主体金具筒状中間体MI2が配置されると、図11に示すように、転造ダイスD1,D2の回転により主体金具筒状中間体MI2に対して転造加工が施される。尚、転造加工時において、受け部材RCは支持されることなく、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能な状態となっている。また、図12(a)に示すように、受け部材RCの挿入された主体金具筒状中間体MI2の第一筒状部CY1の径方向に沿った断面において、主体金具筒状中間体MI2(第一筒状部CY1)の内径と受け部材RC(第一構成部RC1)の外径との径差R1が0.8mm以下とされている。さらに、図12(b)に示すように、受け部材RCの挿入された主体金具筒状中間体MI2の第二筒状部CY2の径方向に沿った断面において、主体金具筒状中間体MI2(第二筒状部CY2)の内径と受け部材RC(第二構成部RC2)の外径との径差R2が0.8mm以下とされている。
【0064】
加えて、転造加工では、少なくとも第一筒状部CY1と第二筒状部CY2とに対して同時に加工が施され、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2の外周面にねじ部15が形成される。その結果、図13に示すように、接地電極27が溶接されてなる主体金具3が得られる。
【0065】
次いで、主体金具3の表面に、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
【0066】
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成形用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に対し、研削加工が施され外形を整形した上で、焼成加工が施されることにより絶縁碍子2が得られる。
【0067】
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金を鍛造加工して中心電極5を作製する。
【0068】
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6が押圧された状態で、焼成炉内にて焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10の表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
【0069】
その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、主体金具3に絶縁碍子2を挿通した上で、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。
【0070】
そして最後に、接地電極27の略中間部分を屈曲させるとともに、火花放電間隙28の大きさGを調整する加工が実施されることで、上述の点火プラグ1が得られる。
【0071】
以上詳述したように、本実施形態によれば、主体金具筒状中間体MI2に対して受け部材RCを挿入した上で、少なくとも第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2に対して転造加工が施されている。このため、転造加工時に、主体金具筒状中間体MI2の外周面が転造ダイスD1,D2により押圧されることで、主体金具筒状中間体MI2のうち特に厚みの大きい部分が、受け部材RCと転造ダイスD1,D2とで挟まれる形で潰れ変形することとなる。これにより、第一筒状部CY1や第二筒状部CY2の内周面の傾きを修正することができるとともに、第一筒状部CY1の内周面の中心軸と第二筒状部CY2の内周面の中心軸とを受け部材RCの中心軸と一致するように矯正することができる。従って、転造加工前と比較して、第一筒状部CY1の中心軸と第二筒状部CY2の中心軸との径方向に沿った偏心を効果的に小さくすることができ、ひいては点火プラグ1において、主体金具3の先端部の中心軸と中心電極5の先端部の中心軸との間の偏心を十分に小さくすることができる。その結果、ねじ部15のねじ径がM12以下とされるとともに、ネジリーチLが20mm以上とされ、かつ、火花放電間隙28の大きさGが0.4mm以上とされており、主体金具3の先端部と中心電極5の先端部との間に若干の偏心が生じただけで異常放電が発生してしまうおそれのある点火プラグ1において、異常放電の発生をより確実に抑制することができる。
【0072】
また、第一筒状部CY1の中心軸と第二筒状部CY2の中心軸との偏心を小さくするにあたっては、別途の加工を施すことなく、ねじ部15を形成する際の転造加工が利用されるため、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0073】
さらに、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2のそれぞれの断面において、主体金具筒状中間体MI2の内径と受け部材RCの外径との径差R1,R2が0.8mm以下とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2と受け部材RCとでより確実に挟み込まれることとなり、主体金具筒状中間体MI2をより確実に変形させることができる。その結果、両筒状部CY1,CY2の偏心を一層確実に小さくすることができる。
【0074】
加えて、受け部材RCは、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされており、転造加工時に、主体金具筒状中間体MI2とともに受け部材RCが回転可能とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体MI2と受け部材RCとの間で発生する摩擦力を極力低減させることができ、ひいては転造ダイスD1,D2と受け部材RCとで挟み込むことによる主体金具筒状中間体MI2の変形をより促進することができる。その結果、両筒状部CY1,CY2の偏心をより一層確実に小さくすることができる。
【0075】
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、主体金具筒状中間体のサンプルを複数作製し、各サンプルについて、主体金具筒状中間体の先端(第一筒状部に相当する)の中心軸に対する、主体金具筒状中間体の先端から3mm後端の部位(第二筒状部に相当する)の中心軸の径方向に沿った軸ずれ量をそれぞれ計測した。次いで、各サンプルに受け部材を挿入した上で転造加工を施し、各サンプルの第一筒状部及び第二筒状部の外周面にねじ部を形成するとともに、転造加工後における前記軸ずれ量を計測した。表1に、各サンプルにおける、転造加工前の軸ずれ量と転造加工後の軸ずれ量とをそれぞれ示す。尚、前記径差R1,R2はそれぞれ0.8mm以下となるように設定した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示すように、受け部材を挿入した上で転造加工を施すことにより、転造加工前と比較して、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との軸ずれ量が低減し、両筒状部の偏心をより小さくできることが明らかとなった。これは、転造加工時に、主体金具筒状中間体の外周面が転造ダイスにより押圧されることで、主体金具筒状中間体のうち特に厚みの大きい部分が受け部材と転造ダイスとで挟まれる形で潰れ変形し、その結果、主体金具筒状中間体の内周面の傾きが修正されるとともに、主体金具筒状中間体の内周面の中心軸が受け部材の中心軸と一致するように矯正されたためであると考えられる。
【0078】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0079】
(a)上記実施形態では、ねじ部15のねじ径がM12以下とされているが、ねじ部15のねじ径は特に限定されるものではなく、ねじ部15のねじ径がM12を超えていてもよい。また、ネジリーチLや火花放電間隙28の大きさGも特に限定されるものではなく、ネジリーチLが20mm未満であってもよいし、火花放電間隙28の大きさGが0.4mm未満であってもよい。
【0080】
(b)上記実施形態では、受け部材RCが中間構成部RC3を備えているが、図14(a),(b)に示すように、第一構成部RC1又は第二構成部RC2の端部に、突条部21の内周に挿通可能な小径部SD1,SD2を設け、中間構成部RC3を省略してもよい。また、この場合には、両構成部RC1,RC2のうちの一方の端部に突部を設けるとともに、両構成部RC1,RC2のうちの他方の端部に前記突部を嵌合可能な穴部を設け、前記突部を前記穴部に嵌合することにより、両構成部RC1,RC2を接続可能としてもよい。
【0081】
(c)上記実施形態では、受け部材RCは金属材料により形成されているが、受け部材RCの構成材料は特に限定されるものではない。従って、例えば、受け部材RCをセラミックにより構成してもよい。セラミックにより受け部材RCを構成することとすれば、転造加工時に、受け部材RCの外周面と主体金具筒状中間体MI2との間で生じる摩擦力をより低減させることができる。その結果、受け部材RCから主体金具筒状中間体MI2に加えられる径方向に沿った力を増大させることができ、偏心の矯正効果をより向上させることができる。
【0082】
(d)上記実施形態では、転造加工が一対の転造ダイスD1,D2により行われているが、転造ダイスの数は特に限定されるものではない。従って、例えば、図15に示すように、それぞれの回転軸同士が等間隔となるように配置された3つの転造ダイスD3,D4,D5を用いて、主体金具筒状中間体MI2に転造加工を施すこととしてもよい。
【0083】
(e)上記実施形態では、主体金具3の内周面に突条部21が設けられており、主体金具筒状中間体MI2には、第一筒状部CY1と第二筒状部CY2との間に両者の内径よりも小さい内径の部位が設けられている。これに対して、図16に示すように、絶縁碍子2の大径部11が主体金具3のうち座部16の内周側に形成された段部29に係止される点火プラグ1Aでは、主体金具3の内周面に突条部21を設けないように構成してもよい。
【0084】
(f)本発明の技術思想を用いて製造可能な主体金具3は、火花放電により混合気等へと着火する点火プラグに設けられるものだけに限定されるものではない。従って、例えば、プラズマを生成することで混合気等へと着火するプラズマジェット点火プラグに設けられる主体金具を製造する際に、本発明の技術思想を用いてもよい。
【0085】
(g)上記実施形態では、回転搬送装置CAにより複数の主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2間へと連続的に搬送される構成となっているが、転造ダイス間への主体金具筒状中間体MI2の配置手法は特に限定されるものではない。従って、主体金具筒状中間体MI2を転造ダイス前に配置した上で、主体金具筒状中間体MI2及び転造ダイスのうちの一方が他方に対して接近することにより、転造ダイス間に主体金具筒状中間体MI2を配置してもよい。また、主体金具筒状中間体MI2に対する受け部材RCの挿入は転造加工前であればよく、受け部材RCの挿入タイミングは特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1…点火プラグ、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具(点火プラグ用主体金具)、5…中心電極、15…ねじ部、16…座部、27…接地電極、28…間隙(火花放電間隙)、CL1…軸線、CY…筒状部、CY1…第一筒状部、CY2…第二筒状部、D1,D2…転造ダイス、MI1…主体金具中間体、MI2…主体金具筒状中間体、RC…受け部材、RC1…第一構成部、RC2…第二構成部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等に使用される点火プラグ、及び、点火プラグに用いられる点火プラグ用主体金具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等の燃焼装置に使用される点火プラグは、例えば、軸線方向に延びる中心電極と、中心電極の外周に設けられる絶縁体と、絶縁体の外側に組付けられる円筒状の主体金具とを備える。また、主体金具の先端部には接地電極が接合され、中心電極と接地電極との間には、火花放電を生じさせるための間隙(火花放電間隙)が形成される。加えて、主体金具の内周面には、径方向内側に突出形成され絶縁体の外周面が係止される突条部が設けられ、一方で、主体金具の外周面には、燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部が形成される。
【0003】
ところで、主体金具は、一般に押出成形加工や切削加工を施すことにより形成される。具体的には、所定の金属材料からなる柱状の主体金具中間体を筒状の金型の内部に配置した上で、所定の治具により主体金具中間体の先端側及び後端側を加圧変形させることにより、主体金具中間体の先端側及び後端側に穴部を形成する。そして、形成された穴部を複数の治具を用いて段階的に深く、かつ、径大となるように加圧変形させ、最終的に主体金具中間体の両端部の穴部を連通させる。このとき、主体金具中間体の内周面には、前記突条部となる環状の突出部が形成される。次いで、主体金具中間体の内周面のうち前記突出部よりも先端側の部位などに切削加工等を施し、主体金具中間体の形状を整えることで、筒状の主体金具筒状中間体が得られる。そして最後に、主体金具筒状中間体の外周面に転造加工を施し、ねじ部を形成することで、主体金具が得られる(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4210611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、主体金具の内周面のうち、その先端側を切削加工により形成する一方で、その後端側を押出成形により形成すること(つまり、先端側の穴部と後端側の穴部とを異なる製造装置を用いて形成すること)や、押出成形時における治具の傾き等に起因して、主体金具筒状中間体の先端部に位置する筒状部(第一筒状部)の中心軸と、軸方向に沿って第一筒状部と異なる位置の筒状部(第二筒状部;例えば、突条部よりも後端側に位置する筒状部)の中心軸との間に偏心(軸ずれや傾き)が生じてしまうおそれがある。このような偏心が生じてしまうと、主体金具に対して絶縁体を組付けた際に、絶縁体の先端部の中心軸と主体金具の先端部の中心軸との間に位置ずれが生じてしまい、ひいては主体金具の先端部と中心電極の先端部との間の径方向に沿った距離が一部において過度に接近してしまうおそれがある。その結果、中心電極と主体金具との間で異常な火花放電が生じてしまい、失火等の不具合が生じてしまうことが懸念される。
【0006】
特に、主体金具が比較的小径化され、中心電極の先端部と主体金具の先端部との間の径方向に沿った距離が比較的小さくなるように設定された点火プラグにおいては、失火等を防止すべく、主体金具の先端部の中心軸と、中心電極の先端部の中心軸とを精度よく合わせる必要がある。しかしながら、上述のように第一筒状部と第二筒状部との間で偏心が生じてしまい、かつ、その偏心が比較的大きくなってしまうと、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸とを精度よく位置合わせすることが非常に難しい。
【0007】
そこで、第一筒状部と第二筒状部との偏心を小さくすべく、主体金具に対して別途の加工を施すことが考えられるが、この場合には、製造コストの増大を招いてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストの増大を招くことなく、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を効果的に小さくすることができる点火プラグ用主体金具の製造方法、及び、点火プラグの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
【0010】
構成1.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、軸線方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部を有する筒状の点火プラグ用主体金具(以下、単に「主体金具」と称することもある)の製造方法であって、
前記点火プラグ用主体金具となるべき主体金具中間体に筒状部が形成された主体金具筒状中間体を形成する主体金具筒状中間体形成工程と、
前記主体金具筒状中間体に対して転造ダイスを用いて転造加工を施すことにより、前記ねじ部を形成する転造工程とを含み、
前記主体金具筒状中間体形成工程は、
前記主体金具中間体の端部に筒状の第一筒状部を形成する第一筒状部形成工程と、
前記第一筒状部と異なる部位の少なくとも一部に筒状の第二筒状部を形成する第二筒状部形成工程とを含み、
前記転造工程においては、
前記主体金具筒状中間体に挿入され前記転造ダイスの加工面との間で前記主体金具筒状中間体を挟み込む受け部材を、前記主体金具筒状中間体に挿入した上で少なくとも前記第一筒状部と前記第二筒状部とに対して同時に転造加工を施すことにより、前記転造加工後の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心が、前記転造加工前の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心よりも小さくされることを特徴とする。
【0011】
上記構成1によれば、第一筒状部及び第二筒状部を有する主体金具筒状中間体に対して受け部材を挿入した上で、少なくとも両筒状部に対して転造加工が施される。このため、転造加工時に、主体金具筒状中間体の外周面が転造ダイスにより押圧されることで、主体金具筒状中間体のうち特に厚みの大きい部分が、受け部材と転造ダイスとで挟まれる形で潰れ変形することとなる。これにより、第一筒状部や第二筒状部の内周面の傾きを修正することができるとともに、第一筒状部(の内周面)の中心軸と第二筒状部(の内周面)の中心軸とを受け部材の中心軸と一致するように矯正することができる。その結果、転造加工前と比較して、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心を効果的に小さくすることができる。
【0012】
また、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を小さくするにあたっては、別途の加工を施すことなく、ねじ部を形成する際に一般に行われる転造加工が利用されるため、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0013】
構成2.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1において、前記受け部材は、棒状をなすとともに、
前記第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、
前記第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とを有することを特徴とする。
【0014】
上記構成2によれば、受け部材には、第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とが設けられる。従って、転造加工時に、第一筒状部及び第二筒状部の双方をより確実に矯正することができる。その結果、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との偏心を一層小さくすることができる。
【0015】
構成3.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1又は2において、前記主体金具筒状中間体は、前記第一筒状部と前記第二筒状部との間に、前記第一筒状部及び前記第二筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有することを特徴とする。
【0016】
第一筒状部と第二筒状部との間に、それぞれの内径よりも内径の小さい部位が設けられる場合には、主体金具中間体の一方の端部側から両筒状部を形成することが難しいため、一方の端部側から第一筒状部を形成し、他方の端部側から第二筒状部を形成することが行われ得る。しかしながら、この場合には、両筒状部の偏心が比較的大きなものとなってしまいやすい。
【0017】
この点、上記構成3によれば、主体金具筒状中間体が、第一筒状部と第二筒状部との間に、両筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有するため、両筒状部の偏心がより大きくなってしまうことが懸念されるが、上記構成1等を採用することで、両筒状部の偏心を十分に小さくできる。換言すれば、上記構成1等は、主体金具筒状中間体が、第一筒状部と第二筒状部との間に、両筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有する場合において、特に有意である。
【0018】
構成4.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記転造工程において、前記受け部材が挿入された前記主体金具筒状中間体の前記第一筒状部及び第二筒状部の径方向の断面における前記主体金具筒状中間体の内径と前記受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされることを特徴とする。
【0019】
上記構成4によれば、第一筒状部及び第二筒状部のそれぞれの断面において、主体金具筒状中間体の内径と受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされる。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体が転造ダイスと受け部材とでより確実に挟み込まれることとなり、主体金具筒状中間体をより確実に変形させることができる。その結果、両筒状部の偏心を一層確実に小さくすることができる。
【0020】
構成5.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記ねじ部のねじ径がM12以下であることを特徴とする。
【0021】
ねじ部のねじ径が小径である場合には、上述の通り、中心電極の先端部と主体金具の先端部との間の径方向に沿った距離が比較的小さなものとされる。従って、異常放電を防止すべく、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸とを精度よく合わせる必要があり、これを実現するためには、主体金具筒状中間体において、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸とが精度よく合っていることが要求される。
【0022】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができる。換言すれば、上記構成1等は、上記構成5のように、ねじ部のねじ径がM12以下と小径化されており、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸とが精度よく合っていることが要求される主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0023】
構成6.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記点火プラグ用主体金具は、前記軸線方向に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きくされることを特徴とする。
【0024】
上記構成6のように、軸線に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きい主体金具は、絶縁体が組付けられたときに、自身の先端部と絶縁体の先端部との間における偏心がより大きくなってしまいやすい。
【0025】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、軸線に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きな主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0026】
構成7.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至6のいずれかにおいて、前記点火プラグ用主体金具は、自身の外周面に径方向外側に膨出する座部を有し、前記軸線に沿った、前記点火プラグ用主体金具の先端から前記座部までの長さが20mm以上とされることを特徴とする。
【0027】
自身の先端から座部までの軸線に沿った長さ(いわゆるネジリーチ)を比較的大きくした主体金具においては、絶縁体が組み付けられたときに、自身の先端部と絶縁体の先端部との間における偏心がより大きくなものとなってしまいやすい。
【0028】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、ネジリーチが20mm以上の長尺化された主体金具を製造する際に、特に有意である。
【0029】
構成8.本構成の点火プラグ用主体金具の製造方法は、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされることを特徴とする。
【0030】
上記構成8によれば、受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされており、転造加工時に、主体金具筒状中間体とともに受け部材が回転可能とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体と受け部材との間で発生する摩擦力を極力低減させることができ、ひいては転造ダイスと受け部材とで挟み込むことによる主体金具筒状中間体の変形をより促進することができる。その結果、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心を極めて効果的に小さくすることができる。
【0031】
構成9.本構成の点火プラグの製造方法は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法を含むことを特徴とする。
【0032】
上記構成9のように、上記構成1等の技術思想を点火プラグの製造方法に適用することとしてもよい。この場合には、製造された点火プラグにおいて、絶縁体の先端部と主体金具の先端部との間における偏心をより確実に小さくすることができる。
【0033】
構成10.本構成の点火プラグの製造方法は、上記構成9において、前記点火プラグは、
前記点火プラグ用主体金具の内周に配置される筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の内周に配置される中心電極と、
前記点火プラグ用主体金具の先端部に配置され、前記中心電極の先端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記間隙の大きさが0.4mm以上とされることを特徴とする。
【0034】
中心電極と接地電極との間に形成される間隙が比較的大きく、前記間隙にて火花放電を生じさせる際の要求電圧が比較的大きなものとなる点火プラグにおいては、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間に若干の偏心が生じただけで、中心電極と主体金具との間で異常放電が生じてしまうおそれがある。
【0035】
この点、上記構成1等を採用することで、両筒状部における偏心の小さい主体金具をより確実に得ることができ、ひいては主体金具に絶縁体を組付けた状態において、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間の偏心を十分に小さくすることができる。換言すれば、上記構成1等は、間隙の大きさが0.4mm以上と大きなものとされ、主体金具の先端部の中心軸と中心電極の先端部の中心軸との間の偏心に伴う異常放電の発生がより懸念される点火プラグを製造する際に、特に有意である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【図2】主体金具中間体の構成を示す斜視図である。
【図3】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図4】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図5】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図6】主体金具筒状中間体形成工程の一過程を示す断面図である。
【図7】第4ワークの構成を示す一部破断正面図である。
【図8】(a)は、主体金具筒状中間体の構成を示す一部破断正面図であり、(b)は、接地電極の接合された主体金具筒状中間体の構成を示す一部破断正面図である。
【図9】主体金具筒状中間体に挿入された受け部材を示す断面図である。
【図10】転造ダイスへの主体金具筒状中間体の搬送態様を示す拡大正面図である。
【図11】転造工程の一過程を示す断面図である。
【図12】(a)は、第一筒状部と第一構成部との径差を説明するための部分拡大断面図であり、(b)は、第二筒状部と第二構成部との径差を説明するための部分拡大断面図である。
【図13】主体金具の構成を示す正面図である。
【図14】(a),(b)は、別の実施形態における受け部材の構成を示す断面図である。
【図15】別の実施形態における転造ダイスの構成を示す平面図である。
【図16】別の実施形態における点火プラグの構成を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、点火プラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、点火プラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側を点火プラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
【0038】
点火プラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の点火プラグ用主体金具(以下、「主体金具」と称す)3などから構成されるものである。
【0039】
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
【0040】
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。
【0041】
加えて、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
【0042】
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
【0043】
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼(例えば、炭素成分が0.5質量%以下)等の金属により筒状に形成されており、その外周面には点火プラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて膨出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
【0044】
尚、本実施形態においては、点火プラグ1の小径化及び長尺化を図るべく、主体金具3の小径化及び長尺化が図られている。そのため、ねじ部15のねじ径はM12以下(本実施形態では、M10以下)とされており、また、軸線CL1に沿った座部16の先端から主体金具3の先端までの長さ(いわゆるネジリーチ)Lが20mm以上とされている。加えて、主体金具3は、軸線CL1に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きなものとなっている。尚、主体金具3の小径化に伴い、主体金具3の先端内周と絶縁碍子2の先端部との間の軸線CL1と直交する方向に沿った距離が比較的小さなもの(例えば、1.0mm以下)とされている。
【0045】
また、主体金具3の内周面には、径方向内側に膨出する突条部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の突条部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、段部14と突条部21との間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
【0046】
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
【0047】
また、主体金具3の先端部26には、略中間部分が曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部と対向する接地電極27が接合されている。中心電極5の先端部と接地電極27の先端部との間には、間隙としての火花放電間隙28が形成されており、当該火花放電間隙28において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。尚、本実施形態では、火花放電間隙28の大きさ(中心電極5及び接地電極27間の最短距離)Gが0.4mm以上2.0mm以下(例えば、1.1mm)と比較的大きなものとされている。
【0048】
次に、上記のように構成されてなる点火プラグ1の製造方法について説明する。
【0049】
まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、図2に示すように、S17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材等からなる円柱状の主体金具中間体MI1を用意する。そして、主体金具中間筒状体形成工程において、主体金具中間体MI1に対し、複数の金型を用いて冷間にて段階的に押出成形加工を施す。
【0050】
詳述すると、まず、図3に示す第1金型M1等を用いて、主体金具中間体MI1を冷間にて押出成形する。すなわち、第1金型M1は、軸線CL1方向に延び、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC1を有している。そして、キャビティC1に主体金具中間体MI1を挿入し、キャビティC1の先端側に、筒状のスリーブS1と、当該スリーブS1に挿入され、スリーブS1のキャビティC1側の面よりも後端側に先端部が突出するピンPI1とを配置する。その上で、キャビティC1の大径部分とほぼ同一の外径を有するパンチPU1をキャビティC1の後方側から挿入し、主体金具中間体MI1を軸線CL1方向先端側へと押出成形する。これにより、先端側が小径に形成されるとともに、先端部に穴部HA1を有する第1ワークW1が得られる。
【0051】
次に、図4に示す第2金型M2を用いて、第1ワークW1を冷間にて押出成形する。すなわち、第2金型M2は、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC2を有している。そして、第1ワークW1をキャビティC2に後方側から挿入するとともに、キャビティC2の先端側に、筒状のスリーブS2と当該スリーブS2に挿入され、スリーブS2のキャビティC2側の面よりも後端側に先端部が突出するピンPI2とを配置する。その上で、キャビティC2の大径部分の内径よりも小さい外径を有するパンチPU2をキャビティC2の後方側から挿入する。これにより、第1ワークW1が押出成形され、先端側に穴部HA2を有し、後端側に穴部HB2を有する第2ワークW2が得られる。
【0052】
次いで、図5に示す第3金型M3を用いて、第2ワークW2を冷間にて押出成形する。すなわち、第3金型M3は、後端側が大径に形成される一方で、先端側が小径に形成されたキャビティC3を有している。そして、キャビティC3に対して後方側から第2ワークW2を挿入するとともに、キャビティC3の先端側に、筒状のスリーブS3と、先端部がスリーブS3よりも後端側に突出するピンPI3とを配置する。そして、キャビティC3の大径部分の内径よりも小さい外径を有し、外周に段差を有するパンチPU3をキャビティC3の後方側から挿入する。これにより、第2ワークW2が押出成形され、先端側に穴部HA3を有し、後端側に穴部HB3を有する第3ワークW3が得られる。
【0053】
次に、図6に示す第4金型M4を用いて、第3ワークW3を冷間にて押出成形する。すなわち、第4金型M4は、筒状の先端側金型M41と、筒状の後端側金型M42とが同軸状に一体化されてなり、軸線CL1方向に延びるキャビティC4を有している。ここで、後端側金型M42の内周部分は、先端側が大径に形成される一方で、後端側が小径に形成されている。そして、大径部分の内周面は、前記座部16の形状に対応した円筒状に形成されている。一方で、小径部分の内周面のうち少なくとも先端側は、工具係合部19に対応する形状とされている。製造方法の説明に戻り、上述したキャビティC4に後方側から第3ワークW3を挿入するとともに、キャビティC4の先端側にスリーブS4と、先端部が前記スリーブS4よりも後端側に突出するピンPI4とを配置する。その上で、外周に段差を有するパンチPU4をキャビティC4の後方側から挿入し、第3ワークW3の外周面を第4金型M4の内周面に圧接させる。これにより、図7に示すように、工具係合部19と同一の断面形状を有する多角柱部MGと、両穴部HA3,HB3が連通されてなり軸線CL1方向に延びる貫通孔H4とを有する第4ワークW4が得られる。尚、第4ワークW4の内周面には、軸線CL1を中心とする環状の突出部P4(前記突条部21となる部位)が径方向内側に膨出形成される。
【0054】
その後、多角柱部MGの先端側や突出部P4よりも先端側の内周面などに切削加工を施すことにより、図8(a)に示すように、座部16や工具係合部19、突条部21等を有する筒状の(すなわち、筒状部CYを備える)主体金具筒状中間体MI2が得られる。
【0055】
尚、主体金具筒状中間体MI2は、突条部21の先端から軸線CL1方向先端側に延びる円筒状の第一筒状部CY1と、突条部21の後端から軸線CL1方向後端側に延びる円筒状の第二筒状部CY2とを備えている。第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2は、それぞれの内径が突条部21の内径よりも大きくされており、結果として、第一筒状部CY1と第二筒状部CY2との間には、両者の内径よりも小さい内径の部位(すなわち、突条部21)が形成されている。また、第一筒状部CY1の径方向に沿った肉厚、及び、第二筒状部CY2の径方向に沿った肉厚は、それぞれ比較的小さなもの(例えば、5mm以下)とされている。
【0056】
加えて、第一筒状部CY1の内周面は、押出成形後に切削加工を施すことで成形されており、第二筒状部CY2の内周面は、押出成形により成形されている。従って、第一筒状部CY1の内周面の中心軸と第二筒状部CY2の内周面の中心軸とは、径方向に沿って偏心した状態で形成されやすくなっている。尚、上述した押出成形及び切削加工の工程が「第一筒状部形成工程」に相当し、押出成形の工程が「第二筒状部形成工程」に相当する。
【0057】
また、本実施形態では、突条部21の先端から軸線CL1方向先端側に延びる円筒状の部位を第一筒状部CY1とし、突条部21の後端から軸線CL1方向後端側に延びる円筒状の部位を第二筒状部CY2としているが、第一筒状部は、主体金具筒状中間体MI2の端部に位置する筒状部位であればよく、第二筒状部は、第一筒状部と異なる筒状部位であればよい。従って、例えば、主体金具筒状中間体MI2の最先端部を第一筒状部といい、当該第一筒状部の後端から突条部21までの部位を第二筒状部ということもできる。すなわち、第一筒状部は、主体金具筒状中間体MI2の端部に位置する筒状部位であるものの、その軸方向に沿った範囲は特に限定されず、また、第二筒状部は、主体金具筒状中間体MI2のうち第一筒状部以外の筒状部位であればよい。
【0058】
製造方法の説明に戻り、図8(b)に示すように、得られた主体金具筒状中間体MI2の先端部に、直棒状の接地電極27を抵抗溶接する。尚、当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるため、その「ダレ」を除去した後、転造工程において、主体金具筒状中間体MI2のうち第一筒状部CY1から第二筒状部CY2にかけての外周面にねじ部15を形成する。
【0059】
転造工程においては、まず、図9に示すように、主体金具筒状中間体MI2に対して、主体金具筒状中間体MI2よりも硬度の高い所定の金属材料〔例えば、焼き入れ鋼(炭素鋼)や工具鋼など〕からなる棒状の受け部材RCを挿入する。受け部材RCは、外径の異なる第一構成部RC1、中間構成部RC3、及び、第二構成部RC2がそれぞれの中心軸が一致するようにしてこの順序で直列的に接続されており、各構成部RC1,RC2,RC3はそれぞれ分離可能とされている。
【0060】
第一構成部RC1は、中実円柱状をなすとともに、自身の外周面が第一筒状部CY1の内周面に沿った形状とされ、自身の端部に突部RP1を備えている。また、第二構成部RC2は、中実円柱状をなすとともに、自身の外周面が第二筒状部CY2の内周面に沿った形状とされ、自身の端部に突部RP2を備えている。中間構成部RC3は、筒状をなし、第一、第二構成部RC1,RC2の突部RP1,RP2が嵌合可能とされている。
【0061】
受け部材RCを主体金具筒状中間体MI2に挿入する際には、主体金具筒状中間体MI2の先端側から第一構成部RC1が挿入される一方で、主体金具筒状中間体MI2の後端側から第二構成部RC2が挿入され、両構成部RC1,RC2の少なくとも一方の挿入前に、突条部21の内周に中間構成部RC3が配置され、主体金具筒状中間体MI2の内部において、各構成部RC1,RC2,RC3が接続される。例えば、中間構成部RC3を第二構成部RC2から分離し、主体金具筒状中間体MI2の先端側から中間構成部RC3が接続された第一構成部RC1を挿入する一方で、主体金具筒状中間体MI2の後端側から第二構成部RC2を挿入し、主体金具筒状中間体MI2の内部にて、第二構成部RC2と中間構成部RC3とを接続することで、主体金具筒状中間体MI2に受け部材RCを挿入することができる。尚、本実施形態では、軸線CL1と直交する断面において、主体金具筒状中間体MI2の内径と受け部材RCの外径との径差が0.002mm以上とされており、主体金具筒状中間体MI2に対して受け部材RCを容易に挿入可能となっている。
【0062】
受け部材RCが挿入された主体金具筒状中間体MI2は、図10に示すように、外周面に周方向に沿って間欠的に複数の凹部COを有してなる回転搬送装置CAを用いて、複数(本実施形態では、一対)の転造ダイスD1,D2のそれぞれの加工面同士の間に配置される。具体的には、凹部COに主体金具筒状中間体MI2を載置した状態で、回転搬送装置CAを自身の中心軸を回転軸として回転させることで、主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2間に配置される。
【0063】
転造ダイスD1,D2間に主体金具筒状中間体MI2が配置されると、図11に示すように、転造ダイスD1,D2の回転により主体金具筒状中間体MI2に対して転造加工が施される。尚、転造加工時において、受け部材RCは支持されることなく、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能な状態となっている。また、図12(a)に示すように、受け部材RCの挿入された主体金具筒状中間体MI2の第一筒状部CY1の径方向に沿った断面において、主体金具筒状中間体MI2(第一筒状部CY1)の内径と受け部材RC(第一構成部RC1)の外径との径差R1が0.8mm以下とされている。さらに、図12(b)に示すように、受け部材RCの挿入された主体金具筒状中間体MI2の第二筒状部CY2の径方向に沿った断面において、主体金具筒状中間体MI2(第二筒状部CY2)の内径と受け部材RC(第二構成部RC2)の外径との径差R2が0.8mm以下とされている。
【0064】
加えて、転造加工では、少なくとも第一筒状部CY1と第二筒状部CY2とに対して同時に加工が施され、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2の外周面にねじ部15が形成される。その結果、図13に示すように、接地電極27が溶接されてなる主体金具3が得られる。
【0065】
次いで、主体金具3の表面に、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
【0066】
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成形用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に対し、研削加工が施され外形を整形した上で、焼成加工が施されることにより絶縁碍子2が得られる。
【0067】
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金を鍛造加工して中心電極5を作製する。
【0068】
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6が押圧された状態で、焼成炉内にて焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10の表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
【0069】
その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、主体金具3に絶縁碍子2を挿通した上で、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。
【0070】
そして最後に、接地電極27の略中間部分を屈曲させるとともに、火花放電間隙28の大きさGを調整する加工が実施されることで、上述の点火プラグ1が得られる。
【0071】
以上詳述したように、本実施形態によれば、主体金具筒状中間体MI2に対して受け部材RCを挿入した上で、少なくとも第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2に対して転造加工が施されている。このため、転造加工時に、主体金具筒状中間体MI2の外周面が転造ダイスD1,D2により押圧されることで、主体金具筒状中間体MI2のうち特に厚みの大きい部分が、受け部材RCと転造ダイスD1,D2とで挟まれる形で潰れ変形することとなる。これにより、第一筒状部CY1や第二筒状部CY2の内周面の傾きを修正することができるとともに、第一筒状部CY1の内周面の中心軸と第二筒状部CY2の内周面の中心軸とを受け部材RCの中心軸と一致するように矯正することができる。従って、転造加工前と比較して、第一筒状部CY1の中心軸と第二筒状部CY2の中心軸との径方向に沿った偏心を効果的に小さくすることができ、ひいては点火プラグ1において、主体金具3の先端部の中心軸と中心電極5の先端部の中心軸との間の偏心を十分に小さくすることができる。その結果、ねじ部15のねじ径がM12以下とされるとともに、ネジリーチLが20mm以上とされ、かつ、火花放電間隙28の大きさGが0.4mm以上とされており、主体金具3の先端部と中心電極5の先端部との間に若干の偏心が生じただけで異常放電が発生してしまうおそれのある点火プラグ1において、異常放電の発生をより確実に抑制することができる。
【0072】
また、第一筒状部CY1の中心軸と第二筒状部CY2の中心軸との偏心を小さくするにあたっては、別途の加工を施すことなく、ねじ部15を形成する際の転造加工が利用されるため、製造コストの増大抑制を図ることができる。
【0073】
さらに、第一筒状部CY1及び第二筒状部CY2のそれぞれの断面において、主体金具筒状中間体MI2の内径と受け部材RCの外径との径差R1,R2が0.8mm以下とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2と受け部材RCとでより確実に挟み込まれることとなり、主体金具筒状中間体MI2をより確実に変形させることができる。その結果、両筒状部CY1,CY2の偏心を一層確実に小さくすることができる。
【0074】
加えて、受け部材RCは、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされており、転造加工時に、主体金具筒状中間体MI2とともに受け部材RCが回転可能とされている。従って、転造加工時において、主体金具筒状中間体MI2と受け部材RCとの間で発生する摩擦力を極力低減させることができ、ひいては転造ダイスD1,D2と受け部材RCとで挟み込むことによる主体金具筒状中間体MI2の変形をより促進することができる。その結果、両筒状部CY1,CY2の偏心をより一層確実に小さくすることができる。
【0075】
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、主体金具筒状中間体のサンプルを複数作製し、各サンプルについて、主体金具筒状中間体の先端(第一筒状部に相当する)の中心軸に対する、主体金具筒状中間体の先端から3mm後端の部位(第二筒状部に相当する)の中心軸の径方向に沿った軸ずれ量をそれぞれ計測した。次いで、各サンプルに受け部材を挿入した上で転造加工を施し、各サンプルの第一筒状部及び第二筒状部の外周面にねじ部を形成するとともに、転造加工後における前記軸ずれ量を計測した。表1に、各サンプルにおける、転造加工前の軸ずれ量と転造加工後の軸ずれ量とをそれぞれ示す。尚、前記径差R1,R2はそれぞれ0.8mm以下となるように設定した。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示すように、受け部材を挿入した上で転造加工を施すことにより、転造加工前と比較して、第一筒状部の中心軸と第二筒状部の中心軸との軸ずれ量が低減し、両筒状部の偏心をより小さくできることが明らかとなった。これは、転造加工時に、主体金具筒状中間体の外周面が転造ダイスにより押圧されることで、主体金具筒状中間体のうち特に厚みの大きい部分が受け部材と転造ダイスとで挟まれる形で潰れ変形し、その結果、主体金具筒状中間体の内周面の傾きが修正されるとともに、主体金具筒状中間体の内周面の中心軸が受け部材の中心軸と一致するように矯正されたためであると考えられる。
【0078】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0079】
(a)上記実施形態では、ねじ部15のねじ径がM12以下とされているが、ねじ部15のねじ径は特に限定されるものではなく、ねじ部15のねじ径がM12を超えていてもよい。また、ネジリーチLや火花放電間隙28の大きさGも特に限定されるものではなく、ネジリーチLが20mm未満であってもよいし、火花放電間隙28の大きさGが0.4mm未満であってもよい。
【0080】
(b)上記実施形態では、受け部材RCが中間構成部RC3を備えているが、図14(a),(b)に示すように、第一構成部RC1又は第二構成部RC2の端部に、突条部21の内周に挿通可能な小径部SD1,SD2を設け、中間構成部RC3を省略してもよい。また、この場合には、両構成部RC1,RC2のうちの一方の端部に突部を設けるとともに、両構成部RC1,RC2のうちの他方の端部に前記突部を嵌合可能な穴部を設け、前記突部を前記穴部に嵌合することにより、両構成部RC1,RC2を接続可能としてもよい。
【0081】
(c)上記実施形態では、受け部材RCは金属材料により形成されているが、受け部材RCの構成材料は特に限定されるものではない。従って、例えば、受け部材RCをセラミックにより構成してもよい。セラミックにより受け部材RCを構成することとすれば、転造加工時に、受け部材RCの外周面と主体金具筒状中間体MI2との間で生じる摩擦力をより低減させることができる。その結果、受け部材RCから主体金具筒状中間体MI2に加えられる径方向に沿った力を増大させることができ、偏心の矯正効果をより向上させることができる。
【0082】
(d)上記実施形態では、転造加工が一対の転造ダイスD1,D2により行われているが、転造ダイスの数は特に限定されるものではない。従って、例えば、図15に示すように、それぞれの回転軸同士が等間隔となるように配置された3つの転造ダイスD3,D4,D5を用いて、主体金具筒状中間体MI2に転造加工を施すこととしてもよい。
【0083】
(e)上記実施形態では、主体金具3の内周面に突条部21が設けられており、主体金具筒状中間体MI2には、第一筒状部CY1と第二筒状部CY2との間に両者の内径よりも小さい内径の部位が設けられている。これに対して、図16に示すように、絶縁碍子2の大径部11が主体金具3のうち座部16の内周側に形成された段部29に係止される点火プラグ1Aでは、主体金具3の内周面に突条部21を設けないように構成してもよい。
【0084】
(f)本発明の技術思想を用いて製造可能な主体金具3は、火花放電により混合気等へと着火する点火プラグに設けられるものだけに限定されるものではない。従って、例えば、プラズマを生成することで混合気等へと着火するプラズマジェット点火プラグに設けられる主体金具を製造する際に、本発明の技術思想を用いてもよい。
【0085】
(g)上記実施形態では、回転搬送装置CAにより複数の主体金具筒状中間体MI2が転造ダイスD1,D2間へと連続的に搬送される構成となっているが、転造ダイス間への主体金具筒状中間体MI2の配置手法は特に限定されるものではない。従って、主体金具筒状中間体MI2を転造ダイス前に配置した上で、主体金具筒状中間体MI2及び転造ダイスのうちの一方が他方に対して接近することにより、転造ダイス間に主体金具筒状中間体MI2を配置してもよい。また、主体金具筒状中間体MI2に対する受け部材RCの挿入は転造加工前であればよく、受け部材RCの挿入タイミングは特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1…点火プラグ、2…絶縁碍子(絶縁体)、3…主体金具(点火プラグ用主体金具)、5…中心電極、15…ねじ部、16…座部、27…接地電極、28…間隙(火花放電間隙)、CL1…軸線、CY…筒状部、CY1…第一筒状部、CY2…第二筒状部、D1,D2…転造ダイス、MI1…主体金具中間体、MI2…主体金具筒状中間体、RC…受け部材、RC1…第一構成部、RC2…第二構成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部を有する筒状の点火プラグ用主体金具の製造方法であって、
前記点火プラグ用主体金具となるべき主体金具中間体に筒状部が形成された主体金具筒状中間体を形成する主体金具筒状中間体形成工程と、
前記主体金具筒状中間体に対して転造ダイスを用いて転造加工を施すことにより、前記ねじ部を形成する転造工程とを含み、
前記主体金具筒状中間体形成工程は、
前記主体金具中間体の端部に筒状の第一筒状部を形成する第一筒状部形成工程と、
前記第一筒状部と異なる部位の少なくとも一部に筒状の第二筒状部を形成する第二筒状部形成工程とを含み、
前記転造工程においては、
前記主体金具筒状中間体に挿入され前記転造ダイスの加工面との間で前記主体金具筒状中間体を挟み込む受け部材を、前記主体金具筒状中間体に挿入した上で少なくとも前記第一筒状部と前記第二筒状部とに対して同時に転造加工を施すことにより、前記転造加工後の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心が、前記転造加工前の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心よりも小さくされることを特徴とする点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項2】
前記受け部材は、棒状をなすとともに、
前記第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、
前記第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とを有することを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項3】
前記主体金具筒状中間体は、前記第一筒状部と前記第二筒状部との間に、前記第一筒状部及び前記第二筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項4】
前記転造工程において、前記受け部材が挿入された前記主体金具筒状中間体の前記第一筒状部及び第二筒状部の径方向の断面における前記主体金具筒状中間体の内径と前記受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項5】
前記ねじ部のねじ径がM12以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項6】
前記点火プラグ用主体金具は、前記軸線方向に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きくされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項7】
前記点火プラグ用主体金具は、自身の外周面に径方向外側に膨出する座部を有し、
前記軸線に沿った、前記点火プラグ用主体金具の先端から前記座部までの長さが20mm以上とされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項8】
前記受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法を含む点火プラグの製造方法。
【請求項10】
前記点火プラグは、
前記点火プラグ用主体金具の内周に配置される筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の内周に配置される中心電極と、
前記点火プラグ用主体金具の先端部に配置され、前記中心電極の先端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記間隙の大きさが0.4mm以上とされることを特徴とする請求項9に記載の点火プラグの製造方法。
【請求項1】
軸線方向に延びるとともに、外周面に燃焼装置の取付孔に螺合するためのねじ部を有する筒状の点火プラグ用主体金具の製造方法であって、
前記点火プラグ用主体金具となるべき主体金具中間体に筒状部が形成された主体金具筒状中間体を形成する主体金具筒状中間体形成工程と、
前記主体金具筒状中間体に対して転造ダイスを用いて転造加工を施すことにより、前記ねじ部を形成する転造工程とを含み、
前記主体金具筒状中間体形成工程は、
前記主体金具中間体の端部に筒状の第一筒状部を形成する第一筒状部形成工程と、
前記第一筒状部と異なる部位の少なくとも一部に筒状の第二筒状部を形成する第二筒状部形成工程とを含み、
前記転造工程においては、
前記主体金具筒状中間体に挿入され前記転造ダイスの加工面との間で前記主体金具筒状中間体を挟み込む受け部材を、前記主体金具筒状中間体に挿入した上で少なくとも前記第一筒状部と前記第二筒状部とに対して同時に転造加工を施すことにより、前記転造加工後の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心が、前記転造加工前の前記第一筒状部の中心軸と前記第二筒状部の中心軸との径方向に沿った偏心よりも小さくされることを特徴とする点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項2】
前記受け部材は、棒状をなすとともに、
前記第一筒状部の内周面に沿った形状の第一構成部と、
前記第二筒状部の内周面に沿った形状の第二構成部とを有することを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項3】
前記主体金具筒状中間体は、前記第一筒状部と前記第二筒状部との間に、前記第一筒状部及び前記第二筒状部の内径よりも小さい内径を備える部位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項4】
前記転造工程において、前記受け部材が挿入された前記主体金具筒状中間体の前記第一筒状部及び第二筒状部の径方向の断面における前記主体金具筒状中間体の内径と前記受け部材の外径との径差が0.8mm以下とされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項5】
前記ねじ部のねじ径がM12以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項6】
前記点火プラグ用主体金具は、前記軸線方向に沿った自身の長さが自身の外径よりも大きくされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項7】
前記点火プラグ用主体金具は、自身の外周面に径方向外側に膨出する座部を有し、
前記軸線に沿った、前記点火プラグ用主体金具の先端から前記座部までの長さが20mm以上とされることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項8】
前記受け部材は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能とされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の点火プラグ用主体金具の製造方法を含む点火プラグの製造方法。
【請求項10】
前記点火プラグは、
前記点火プラグ用主体金具の内周に配置される筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の内周に配置される中心電極と、
前記点火プラグ用主体金具の先端部に配置され、前記中心電極の先端部との間で間隙を形成する接地電極とを備え、
前記間隙の大きさが0.4mm以上とされることを特徴とする請求項9に記載の点火プラグの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−97939(P2013−97939A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238192(P2011−238192)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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