説明

給湯装置

【課題】重要な音声ガイドを出力することができ、しかもその音声ガイドが途中で途切れることがなく、また、通話も途中で途切れ難い給湯機用リモコンを提供する。
【解決手段】親リモコン27と、親リモコン27との間の通話がインターホン機能にて可能な風呂リモコン20とを備えると共に、風呂リモコン20は音声ガイド機能を具備した給湯装置である。音声ガイド機能による音声ガイド内容に優先順位を付与する。インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なったときに、上位の音声ガイドを通話よりも優先して出力する。下位の音声ガイドを通話の後に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給湯装置として、親リモコンと、この親リモコンとの間の通話がインターホン機能にて可能な風呂リモコンとを備えるものがある。すなわち、親リモコンが台所等に配置され、風呂リモコンが浴室に配置されている。また、風呂リモコンに、給湯装置(給湯機)の作動状況(運転状況)等を音声で知らせる音声ガイド機能を具備するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、通話が終了して通話信号の入力が停止されてから所定時間にわたって音声案内の発音を禁止するようにしている。このため、音声案内の信号の途中で通話が終了しても、音声案内の途中から以降の部分も所定時間内に終了し、音声案内が途中から発音されるという不具合を解消するようにしている。
【特許文献1】特開2004−309062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通話機能と音声ガイド機能とを同時に機能させる指令が出力されれば、後から指令された機能が優先され、通話や音声ガイドが途切れる場合があった。
【0005】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、重要な音声ガイドを出力することができ、しかもその音声ガイドが途中で途切れることがなく、また、通話も途中で途切れ難い給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで請求項1の給湯装置は、親リモコン27と、この親リモコン27との間の通話がインターホン機能にて可能な風呂リモコン20とを備えると共に、上記風呂リモコン20は音声ガイド機能を具備した給湯装置において、上記音声ガイド機能による音声ガイド内容に優先順位を付与し、インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なったときに、優先順位上位の音声ガイドを通話よりも優先して出力することを特徴としている。
【0007】
請求項2の給湯装置は、親リモコン27又は風呂リモコン20のスイッチ操作確認用の音声ガイドのような下位の音声ガイドを、通話の後に出力することを特徴としている。
【0008】
請求項3の給湯装置は、通話が終了した後、所定設定時間経過後には、下位の音声ガイドを出力させないことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の給湯装置によれば、インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なったときに、上位の音声ガイドを出力する。このため、ユーザは重要な音声ガイド内容を聞くことができる。
【0010】
請求項2の給湯装置によれば、下位の音声ガイド内容を、通話の後に出力することができる。このため、あまり重要でない音声ガイド内容であっても、通話後聞くことができる。
【0011】
請求項3の給湯装置によれば、通話が終了した後、所定設定時間経過後には、下位の音声ガイドを出力させない。すなわち、下位の音声ガイドとは、例えば、風呂リモコンのスイッチ操作が行われたことを確認するための音声であるため、所定設定時間経過後にこの音声ガイドを聞く必要性が低いからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明の給湯装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は給湯装置の全体簡略図である。給湯装置はヒートポンプ式給湯機であって、貯湯タンク1を有するタンクユニット2と、冷凍サイクル3を有する熱源ユニット(ヒートポンプユニット)4と、タンクユニット2とヒートポンプユニット4とを制御する制御手段Sと、台所等に配置された親リモコン27と、浴室に配置される風呂リモコン20と備え、貯湯タンク1の水(温湯)をヒートポンプユニット2にて加熱するものである。
【0013】
冷凍サイクル3は、圧縮機5と、水熱交換器6と、膨張弁7と、蒸発器8とを順に接続して構成される。そして、タンクユニット2は、上記貯湯タンク1と循環路9とを備え、この循環路9には、水循環用ポンプ10と熱交換路11とが介設されている。この場合、熱交換路11は水熱交換器6にて構成される。
【0014】
すなわち、圧縮機5を駆動させると共に、ポンプ10を駆動(作動)させると、貯湯タンク1の底部に設けた取水口から貯溜水(温湯)が循環路9に流出し、これが熱交換路11を流通する。そのときこの温湯は水熱交換器6によって加熱され(沸上げられ)、湯入口から貯湯タンク1の上部に返流される。これによって、貯湯タンク1に高温の温湯を貯めるものである。
【0015】
この貯湯タンク1内の湯が浴槽12等に供給される。また、浴槽12には、この浴槽12内の湯を保温するための保温用循環路13が接続されている。保温用循環路13は、循環配管14と、この循環配管14に介設されるポンプ15及び保温用電気ヒータ16とで構成される。すなわち、循環配管14は、第1配管14aと第2配管14bとからなり、第1配管14aにポンプ15が介設され、第2配管14bに保温用電気ヒータ16が介設されている。このため、ポンプ15が駆動することによって、浴槽12内の湯がこの循環配管14の第1配管14aに導入され、この第1配管14aから第2配管14bに入り、保温用電気ヒータ16にて暖められて浴槽に返流する。そして、この循環が継続することによって、浴槽12内の湯が約一定の温度に維持される。
【0016】
また、この保温用循環路13は貯湯タンク1の出湯口17に接続される配管18に接続される。配管18には開閉弁19が介設され、この開閉弁19が開状態のときに、貯湯タンク1の高温の湯がこの配管18及び保温用循環路13を介して浴槽12に供給され、浴槽12への湯はり運転が行われる。そして、この開閉弁19が閉状態のときに、上記したように、保温用循環路13を浴槽12の湯が循環することによって、保温運転が行われる。なお、配管18には台所等に配置されるカラン31が接続されている。
【0017】
そして、上記浴槽12が配置された浴室には、風呂リモコン20がその壁面に付設されている。風呂リモコン20は、上記各種の運転操作を行う運転機能と、通話機能(インターホン機能)とを具備する。ここで、インターホン機能とは、風呂リモコン20と親リモコン27間での会話を可能とするものである。
【0018】
図2に示すように、このリモコン20は、各種の運転を指令する複数個の操作ボタン21・・と、モニター画面22と、音声発生部(スピーカ部)23と音声送信部(マイク部)24とを有する通話機能構成部25とを備える。なお、図2において、26は電源用スイッチである。
【0019】
また、風呂リモコン20が親リモコン27に接続されている。この親リモコン27には、図示省略するが、風呂リモコン20と同様、音声発生部(スピーカ部)と音声送信部(マイク部)とを有する通話機能構成部とが設けられている。
【0020】
このため、風呂リモコン20において、通話機能構成部25の音声送信部24にユーザが音声を入力すれば、その通話信号が音声送信部24から親リモコン27に送信される。そして、親リモコン27の音声発生部から通話信号に基づく音声が発生される。逆に、親リモコン27の音声送信部にユーザが音声を入力すれば、その通話信号が音声送信部から風呂リモコン20に送信される。そして、風呂リモコン20の音声発生部から通話信号に基づく音声が発生される。このように、リモコン20と親リモコン28との間において会話が可能となっている。
【0021】
また、風呂リモコン20は音声ガイド機能を備える。ここで、音声ガイド機能には、「注意喚起」や「お知らせ」等を音声ガイドする機能である。「注意喚起」は、例えば、給湯装置に異常が発生したときに異常を知らせたり、異常ではないが注意を促す必要がある場合にそのことを知らせたりものであって、上記通話機能構成部25の音声発生部(スピーカ部)23から「注意喚起」を示す音声を発生させる。この異常には、タンクユニット2側の異常とヒートポンプユニット4側の異常とがある。
【0022】
このため、この給湯装置は、異常が発生した際にその異常を検出する異常検出手段を備える。例えば、湯水の循環系においては、ポンプ10、14等に異常が発生した場合には、電圧値に変動があり、異常検出手段として、この変動を検出するものであればよい。また、ヒートポンプユニット4では、運転効率(COP)を向上させるために、圧縮機5の吐出管温度を制御する運転がある。このため、圧縮機5の吐出管の温度を吐出管温度検出手段(例えば、温度サーミスタ)にて検出していた。しかしながら、この吐出管温度検出手段が不良である場合には、吐出管温度検出手段が正しい吐出管の温度よりも低い温度を示す場合がある。このように、吐出管温度が低く検出されれば、非常に高い吐出ガス温度で圧縮機を運転することになる。このため、圧縮機の信頼性、COPの低下を招くことになっていた。すなわち、吐出管温度検出手段にて異常検出手段を構成することができる。
【0023】
ところで、例えば浴槽12にお湯を補充する高温足し湯動作の場合に、高温の湯が出湯されるので、入浴中のユーザが高温の湯にふれるおそれがある。このため、故障等の異常状態ではないが、このような足し湯動作等の際に、「高温湯が出湯します」との「注意喚起」の音声ガイドが出力される。さらに、湯張り動作、設定温度を高温側に変更する操作時にも同様に、「高温湯が出湯します」との「注意喚起」の音声ガイドが出力される。また、誤操作時、例えば、優先度のないリモコン(例えば、風呂リモコン20)で給湯温度設定を行うような場合にも、「注意喚起」の音声ガイドが出力される。
【0024】
「お知らせ」とは、例えば、保温時間設定、湯張り量の設定のような各種設定を変更した際の確認メッセージのような音声ガイドである。浴槽12に自動的に湯を貯める運転を行う「自動湯張り」において、湯張り完了の直前(例えば、5分前)に「あと5分で湯張りが完了する」旨等の音声ガイドも含まれる。また、音声ガイドの「お知らせ」として、貯湯タンク1の残湯量が少なくなった時に、その旨を知らせるものであってもよい。なお、「注意喚起」や「お知らせ」の音声ガイドを行う際に、これらを示すが画像をモニター画面22上に表示してもよい。
【0025】
音声ガイド内容の出力は、スイッチ30の手動操作又は制御手段Sからの出力指令に基づくものである。すなわち、音声ガイドを、スイッチ30の手動操作によって出力したり、制御手段Sからの出力指令に基づいて出力したりすることができる。この給湯装置は、手動モードと自動モードとの運転が可能である。例えば、手動モードにおいては、スイッチ30を操作することによって、各種の運転を行うことになるが、このスイッチ操作を行えば、その運転等に応じた音声ガイドが出力される。また、自動モードにおいては、上記のように、異常検出手段にて異常状態が検出されれば、制御手段Sからの出力指令によって、スイッチ操作がなされることなく、異常である旨の「注意喚起」の音声ガイドが出力させる。
【0026】
この場合、風呂リモコン20は記憶手段(例えば、フラッシュメモリ)を備え、スイッチ30が操作されたり、制御手段Sから指令されたりした場合に、音声ガイド信号が風呂リモコン20に入力される。そして、音声ガイド信号が入力されると、その音声ガイド信号は一旦記憶手段に格納される。このように、記憶手段に音声ガイド信号が格納されると、格納されたことを示す信号が風呂リモコン20の制御部(マイクロコンピュータ)に入力される。これによって、風呂リモコン20は音声ガイド機能を発揮する。
【0027】
ところで、スイッチ30を操作することによって、制御手段Sによる各種の運転を行う場合、スイッチ操作した際に、音声ガイドの認識の音声を発生するようにすることができる。すなわち、音声ガイドの認識の音声は音声ガイド内容と相違する音声であって、例えば、スイッチ操作したときに出力されるブザー音等のである。この音声も「お知らせ」に含まれる。
【0028】
上記のように構成された給湯装置においては、浴室に設けられたリモコン20を使用して、運転信号を発信させたり、通話信号を発信させたりすることができる。すなわち、図3に示すフローチャートに示すように機能させることができる。つまり、この給湯装置では、音声ガイド内容において、「注意喚起」が「お知らせ」よりも上位であり、音声ガイド内容が「注意喚起」であれば、通話内容よりも優先し、音声ガイド内容が「お知らせ」であれば、音声ガイド内容よりも通話内容を優先するのである。以下に、このフローチャートに従ってその機能を説明する。
【0029】
まず、ステップS1で通話と音声ガイドの出力指令が重なったか否かを判断して、重なっていれば、ステップS2へ移行し、重なっていなければ、ステップS3へ移行する。ステップS3ではその出力指令されたもの、例えば、通話信号が出力指令されれば、通話信号が出力され、音声ガイド信号が出力指令されれば、音声ガイド信号が出力される。ステップS2ではその出力指令された音声ガイド内容が上位か否かを判断する。つまり、音声ガイドが「注意喚起」であるのか、「お知らせ」であるのかが判断される。
【0030】
ステップS2で音声ガイド内容が上位であれば、ステップS4へ移行して音声ガイドを出力する。そして、この音声ガイドの出力が終了すると、ステップS6へ移行して、通話信号を出力する。ステップS2で音声ガイド内容が上位でなければ、ステップS5へ移行して通話内容を優先的に出力する。ステップS5からはステップS7へ移行して、例えば、風呂リモコン20の操作によって保温時間設定、湯張り量の設定のような各種設定を変更してからの経過時間を計測する。ステップS7で所定設定時間を経過していなければ、ステップS8へ移行して、音声ガイドを出力する。ステップS7で所定設定時間を経過していれば、ステップS9へ移行して、音声ガイドを出力させない。
【0031】
上記給湯装置では、インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なったときに、上位の音声ガイドを出力する。このため、ユーザは重要な音声ガイド内容を聞くことができる。また、インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なって、上位の音声ガイドを優先的に出力されても、下位の音声ガイド内容を、通話の後に出力することができる。このため、このようなときであっても、あまり重要でない音声ガイド内容であっても、通話後聞くことができる。
【0032】
また、通話が終了した後、所定設定時間経過後には、下位の音声ガイドを出力させない。すなわち、下位の音声ガイドとは、主として、風呂リモコンのスイッチ操作が行われたことを確認するための音声である。このため、所定設定時間経過後にこの音声ガイドを聞く必要性が低いからである。
【0033】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、給湯装置として、上記実施の形態では、加熱源としてヒートポンプユニットを使用したヒートポンプ式給湯機であったが、加熱源を他の電気ヒータ等を使用したものであってもよい。また、貯湯タンクを有さないものであってもよい。さらに、図3のステップS8での所定設定時間としては任意に設定することができる。また、寝室や子供部屋等に子リモコンを配置し、この子リモコンと親リモコンとの間の通話、子リモコンと風呂リモコンとの間の通話、子リモコン間の通話を可能とするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の給湯装置を使用した給湯装置の簡略図である。
【図2】上記給湯装置の簡略図である。
【図3】この発明の給湯装置の機能を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0035】
20・・風呂リモコン、27・・親リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親リモコン(27)と、この親リモコン(27)との間の通話がインターホン機能にて可能な風呂リモコン(20)とを備えると共に、上記風呂リモコン(20)は音声ガイド機能を具備した給湯装置において、上記音声ガイド機能による音声ガイド内容に優先順位を付与し、インターホン機能による通話と音声ガイド機能による音声ガイドの出力指令が重なったときに、優先順位上位の音声ガイドを通話よりも優先して出力することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
親リモコン(27)又は風呂リモコン(20)のスイッチ操作確認用の音声ガイドのような下位の音声ガイドを、通話の後に出力することを特徴とする請求項1の給湯装置。
【請求項3】
通話が終了した後、所定設定時間経過後には、下位の音声ガイドを出力させないことを特徴とする請求項1又は請求項2の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−46875(P2007−46875A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234590(P2005−234590)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【特許番号】特許第3856042号(P3856042)
【特許公報発行日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】