絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法
【課題】半導体チップの熱膨張係数とほぼ同様の絶縁基板を製作でき、これを用いて印刷回路基板の反り・捻れを防ぐことができ、半導体チップ及び印刷回路基板との接続材に応力が発生せず、温度変化により半導体チップや鉛フリーハンダのような接続材にクラックや剥離が発生しなくて放熱効果を高めることができる、絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による絶縁シートの製造方法は、熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、補強基材に積層された上記熱可塑性樹脂層をコア基板に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明による絶縁シートの製造方法は、熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、補強基材に積層された上記熱可塑性樹脂層をコア基板に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器は、小型化、薄型化、軽量化され、これに伴って半導体チップの搭載接続方式はワイヤーボンディング方式から端子数の多いフリップチップボンディング方式になってきている。そして、半導体チップを搭載接続する多層印刷回路基板においても高信頼性や高密度性が求められている。
【0003】
従来の多層印刷回路基板は、補強基材としてガラス繊維織布が用いられ、通常ガラス繊維成分としてはE−ガラスなどが用いられている。
【0004】
ガラス繊維織布に熱硬化性樹脂組成物のレジン(resin)を含浸・乾燥してB−ステージ状態の絶縁層シートを製作し、これを用いて銅張積層板に加工する。この銅張積層板を用いて内層用コア印刷回路基板を製作し、この両面にビルドアップ(Build-up)用B−ステージ状態の絶縁層シートを配置、積層して多層印刷回路基板を製作する。
【0005】
上記多層印刷回路基板の構成において、熱膨張係数の大きい(通常、縦横方向の熱膨張係数が18〜100ppm/℃である)ビルドアップ用樹脂組成物を多くの層に配置し、各層には熱膨張係数が17ppm/℃である銅(Cu)層が含まれ、最外層には熱膨張係数の大きい(通常、50〜150ppm/℃である)ソルダーレジスト層が形成される。そして、最終的に得られる多層印刷回路基板の全体の縦横方向の熱膨張係数は13〜30ppm/℃位となる。
【0006】
ガラス繊維織布に含浸される熱硬化性樹脂として高耐熱性樹脂を使用したり、樹脂に無機フィラーを添加したり、または熱膨張係数が小さいガラス繊維織布基材などを使用したりして多層印刷回路基板を形成する場合にも印刷回路基板の熱膨張係数は10〜20ppm/℃位しかなっていない。
【0007】
上記のように製作された印刷回路基板の熱膨張係数は、半導体チップの熱膨張係数2〜3ppm/℃に比べて相対的に大きい。このような差のため、現在環境問題から鉛フリーとなっているハンダによるフリップチップ接続における温度サイクル試験などの信頼性試験で不良発生の恐れがある。信頼性試験時に、加熱により膨張及び収縮する多層印刷回路基板にてハンダ及び半導体チップが縦横方向に引っ張られて鉛フリーハンダのクラックや剥離、または半導体チップの破壊などの不良が発生し得る。
【0008】
さらに、片面に半導体チップを搭載接続した半導体プラスチックパッケージでは、リフロー時に、半導体チップと多層印刷回路基板との熱膨張係数が大きく異なることから、反りまたは捻れも大きくなる。
【0009】
このような多層印刷回路基板に半導体チップを搭載接続時に発生する応力を緩和するために熱膨張係数が13〜20ppm/℃である多層印刷回路基板の最外層に熱膨張係数が小さい絶縁層を形成する方法が日本特許公開2001−274556号公報に提案されている。上記引用特許では、熱緩衝用有機絶縁層シートとして熱膨張係数が約9ppm/℃のアラミド繊維(aramid fiber)織布基材と熱硬化性樹脂とを含浸させたプリプレグを使用した多層印刷回路基板の製造方法が具体的に提示されている。
【0010】
しかし、上記引用特許には、実施例での信頼性試験結果も具体的に提示されておらず、さらに6〜12ppm/℃の熱緩衝用有機絶縁層シートを用いて印刷回路基板を製造した場合は、内層用コア印刷回路基板の大きい熱膨張係数のために、熱緩衝用有機絶縁層シートが引っ張られて伸び、製造済みの多層印刷回路基板全体の熱膨張係数が10ppm/℃を超えるという問題点がある。
【0011】
上記のように製造された多層印刷回路基板上に、鉛フリーハンダで半導体チップを搭載接続して温度サイクル試験などの信頼性試験を行うと、半導体チップと製造済みの多層印刷回路基板との熱膨張係数の差のために、半導体チップと接続される鉛フリーハンダにクラックや剥離のような不良が生じ、熱緩衝用有機絶縁層シートは大きな効果はなく、不良を発生することが多々あった。
【0012】
また、金属コアを用いた印刷回路基板におけるコア用金属板としてインバー(Invar)や銅インバー(Copper/Invar)を用いた印刷回路基板があり、この金属板に積層して用いられる樹脂組成物としてはエポキシ樹脂などのB−ステージ状態の熱硬化性樹脂組成物シートがある。
【0013】
しかし、この印刷回路基板は、積層された樹脂層と低熱膨張係数のコア用金属板との熱膨張係数の差が非常に大きいために、印刷回路基板の切断時などのように印刷回路基板に応力が加えられると、コア用金属板と樹脂層とが分離するなどの不良が生じて、印刷回路基板としての信頼性が落ちる問題点があった。
【0014】
また、高密化になっている半導体チップを印刷回路基板に実装して作動する際に半導体チップからの熱により不良の発生する恐れがある。
【特許文献1】日本特許公開第2001−274556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、半導体チップまたは鉛フリーハンダなどの破壊や剥離がなく、反り・捻れもない、放熱効果のある半導体プラスチックパッケージを製作できる絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、補強基材に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含む絶縁シートの製造方法が提供される。
【0017】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及び、アルミニウムを含むことができる。
【0018】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含んでもよく、無機繊維はガラス繊維を含んでもよい。
【0019】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。
【0020】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0021】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、補強基材と、補強基材に積層される熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、を含む絶縁シートが提供される。
【0023】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことがよい。
【0024】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0025】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。
【0026】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0027】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0028】
また、コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことができる。
【0029】
本発明のまた他の実施形態によれば、熱可塑性樹脂層が両面に積層された補強基材を提供するステップと、補強基材の両面に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、露出した熱可塑性樹脂層に回路パターンを形成するステップと、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0030】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことができる。
【0031】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0032】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含んでもよい。
【0033】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0034】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0035】
本発明のまた他の実施形態によれば、補強基材と、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、露出した熱可塑性樹脂層に形成される回路パターンと、を含む印刷回路基板が提供される。
【0036】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことができる。
【0037】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0038】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含んでもよい。
【0039】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0040】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0041】
また、コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明による絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法は、半導体チップの熱膨張係数に近い絶縁基板を製作することができ、これを用いた印刷回路基板は、反りや捻れを防止でき、半導体チップと印刷回路基板との接続材に応力が発生しないので、温度変化によって半導体チップあるいは鉛フリーハンダのような接続材にクラックや剥離が生じない、熱放出性に優れた半導体プラスチックパッケージを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0044】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0045】
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
図2〜図5は、本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図である。図2〜図5を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板30が示されている。
【0047】
本実施例の絶縁シート及びその製造方法は、補強基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層し、補強基材の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板に形成し、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧することを特徴とする。
【0048】
先ず、図2に示すように、補強基材10を形成し、補強基材10の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層20を積層する。本実施例では好ましい実施例として、図3に示すように、補強基材10の両面に熱可塑性樹脂層20が積層されることを説明する。
【0049】
ここで、補強基材10の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材10は有機繊維または無機繊維を含む織布や不織布が使用可能である。
【0050】
無機繊維としては特に限定はないが、例えば無機繊維はE−ガラス、D−ガラス、NE−ガラス、及びT(S)−ガラス繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0051】
有機繊維についても特に限定はないが、縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲である低熱膨張係数を有する有機繊維を用いる方がよい。例えば、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0052】
また、ポリベンゾオキサゾールには、ポリイミドベンゾオキサゾール、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどがある。また、全芳香族ポリアミドは、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、コポリ−(パラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)などが挙げられる。ただ、全芳香族ポリアミド繊維やポリベンゾオキサゾール繊維は、印刷回路基板の部品実装での、最高温度である260℃では溶解したりしないので特に問題はないが、液晶ポリエステル繊維は融点が260℃に近いものもあり、これを補強基材10として使用する場合には補強効果が薄ばれる。したがって、液晶ポリエステル繊維を補強基材として用いる場合は、補強基材10に積層される熱可塑性樹脂層20の融点よりは10℃以上高いものが好ましい。
【0053】
さらには、補強基材10として縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲である低熱膨張係数を有するポリイミドフィルム、全芳香族ポリアミドフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、積層される熱可塑性樹脂層20の融点より高い融点を有する液晶ポリエステルフィルムなどを使用できる。
【0054】
これらの補強基材10は、樹脂との密着性を向上させるために、補強基材10の表面に公知の処理、例えば、シランカップリング剤処理、プラズマ処理、コロナ処理、各種薬品処理、ブラスト処理などを行なうことができる。
【0055】
また、補強基材10の厚さは特に限定はないが、一般には4〜200μmであり、好適には10〜150μmである。
【0056】
熱可塑性樹脂層20は、特に限定はないが、縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、本実施例では液晶ポリエステル樹脂を例に挙げて説明する。また、補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高い。
【0057】
より具体的に説明すると、液晶ポリエステル樹脂層20は特に限定はないが、液晶ポリエステル樹脂層の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であるものがよい。環境問題からは液晶ポリエステル樹脂層の分子内にハロゲン原子を含まないものが好ましい。分子構造は特に限定はなく、熱膨張係数が9ppm/℃以下になるように分子設計をし、これをシート状にするかまたは溶剤に溶解して使用できる。
【0058】
上記液晶ポリエステル樹脂中には熱膨張係数及び目標特性に影響がない程度に各種添加物を適当量添加して使用できる。例えば、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の樹脂、公知の有機・無機充填剤、染料、顔料、増粘剤、消泡剤、分散剤、光沢剤などの各種添加剤が適当量添加され、液晶ポリエステル樹脂組成物層20を形成できる。
【0059】
液晶ポリエステル樹脂組成物20を無機あるいは有機繊維の補強基材10に付着する方法は特に限定はなく、例えば、液晶ポリエステル樹脂を有機溶剤のN−メチル−2−ピロリドンなどに溶解した後、これに適当な添加剤を適正量添加し、均一に分散させる。上記補強基材10に分散された溶液を連続的に浸清し、その後、乾燥して溶剤を除去する工程で補強基材10を含浸させ、印刷回路基板用絶縁シートを製造できる。
【0060】
また、本発明の他の有機繊維補強基材の有機フィルムを用いる場合には、適宜に表面処理を施した有機フィルムの少なくとも片面に液晶ポリエステル樹脂組成物が分散された溶液をロールコータなどを用いて連続的に塗布し、乾燥して溶液を蒸発させる。上記有機フィルムの片面あるいは両面に液晶ポリエステル樹脂組成物層20を形成して絶縁シートを製造できる。
【0061】
また、予め押出成形やキャスティングなどで製作されたフィルムを用いて、これを有機フィルムの片面あるいは両面に配置し、その外側に離型フィルムまたは金属板を配置する。上記材料を真空下で加圧・加熱して、液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解、付着することにより印刷回路基板用絶縁シートを製作できる。
【0062】
また、上記液晶ポリエステル樹脂組成物を無機または有機繊維補強基材の片面あるいは両面に配置し、その外側に離型フィルムまたは金属板を配置する。その後、真空下で液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より10〜50℃高い温度で、加圧・加熱して、補強基材内に液晶ポリエステル樹脂組成物を含浸させて、印刷回路基板用絶縁シートを製作できる。
【0063】
補強基材10から測定した液晶ポリエステル樹脂組成物20の厚さについては特に限定はないが、一般には5〜100μmとする方がよい。また、補強基材10を含んだ液晶ポリエステル樹脂組成物層の総厚さも特に限定はないが、一般には20〜500μm、好適には30〜200μmとする。
【0064】
次に、図4に示すように、補強基材10の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板30に形成し、コア基板30に補強基材10と熱可塑性樹脂層20とを熱加圧して接着させる。このとき、補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高いために、熱可塑性樹脂層20の融点より10〜50℃高い温度で1〜50kgf/cm2の圧力を用いて熱加圧してもよい。真空度は10mmHg以下が好ましい。
【0065】
コア基板30の縦横方向への熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は特に限定はないが、好ましくは、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムなどの公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。また、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金類などが使用可能である。特に低熱膨張係数を目的とする印刷回路基板でなく、高周波用途を目的とする印刷回路基板であれば、一般の電解銅箔あるいは圧延銅箔も使用できる。また、低熱膨張係数の印刷回路基板を目的とする場合には、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金の少なくとも片面に銅層が付着された多層金属(Copper/Invar/Copper)などが使用される。
【0066】
これらのコア基板30の表面は樹脂組成物を付着させるために、片面に若干の凹凸を作ったり、表面処理をしたりする方が好ましい。表面処理方法としては公知の処理方法を利用できる。例えば、多層金属(Copper/Invar/Copper)を使用した場合には、銅の表面に黒色酸化銅処理、褐色酸化銅処理、化学的処理などの公知の処理方法により樹脂組成物を接着できる。
【0067】
また、図5に示すように、コア基板30の両面に補強基材10が積層された熱可塑性樹脂層20を各々形成できる。
【0068】
図1は、本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図であり、図6〜図9は、本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【0069】
図6〜図9を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、貫通孔34が示されている。本実施例は図2〜図5の実施例と同じ物質を使用し、コア基板32の構造だけが異なるため、その差について説明する。
【0070】
本実施例を実現するために、先ず、図6に示すように、段階S10で、コア基板32に選択的に貫通孔を形成する。コア基板32の貫通孔は予め形成してもよく、積層・成形した後に貫通孔やブラインドビアホールを形成してもよい。
【0071】
補強基材10が、全芳香族ポリアミド繊維の織布、不織布、あるいはフィルムであるか、ポリベンゾオキサゾール繊維の織布、不織布、あるいはフィルムである場合には、積層される液晶ポリエステル樹脂組成物の融点が200℃〜300℃の範囲であり、この融点より10〜50℃高い温度の真空下で加圧・加熱して積層・成形する。もちろん、液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より50℃以上の高温で積層することも可能であるが、溶解した樹脂の粘度が下がりすぎて、液晶ポリエステル樹脂が横に流れて金属積層板の厚みバラつきが発生することになる。このようなバラつきは反り・捻れの原因となり、印刷回路基板の絶縁性にもバラツキを生じさせ好ましくない。積層温度が液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より低い場合には樹脂が溶解せず、補強基材内部に樹脂が含浸されないことになり、空気が残存するようになるので、積層時にボイドの原因となり易い。特に、無機充填剤などが添加されている場合には、積層後に内部にボイドが残ることもあり、好ましくない。
【0072】
次に、図7に示すように、段階S20で、補強基材10両面に熱可塑性樹脂層20を積層する。補強基材10の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層20を積層することも可能である。
【0073】
次に、図8に示すように、段階S30で、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の片面に形成し、図9に示すように、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の他面に積層する。すなわち、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の両面に形成する。
【0074】
段階S40で、コア基板32に補強基材10と熱可塑性樹脂層20とを熱加圧して接着させる。段階S42で、熱可塑性樹脂層20の融点より10〜50℃高い温度で、1〜50kgf/cm2の圧力を用いて熱加圧することができる。真空度は10mmHg以下が好ましい。
【0075】
図10〜図12は本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図であり、図13〜図14は本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。図10〜図14を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、回路パターン40、金属層42、ランド50、ソルダーレジスト60、ビア70、ハンダボール80、半導体チップ90が示されている。
【0076】
本実施例で、ビア70は印刷回路基板に形成された回路間を電気的に接続させる役割をする。
【0077】
本実施例は、図6〜図9により製造された絶縁シートを用いて半導体プラスチックパッケージを形成する方法である。
【0078】
図10に示すように、最外層の熱可塑性樹脂層20に金属層42を積層する。補強基材10の少なくとも片面に形成された熱可塑性樹脂層20に付着する金属層42としては、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、アルミニウムなどの公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。
【0079】
特に、低熱膨張係数を目的とする印刷回路基板ではなく、高周波用途を目的とする印刷回路基板であれば、一般の電解銅箔あるいは圧延銅箔が使用可能である。また、熱膨張係数が9ppm/℃以下の印刷回路基板を目的とする場合には、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金の少なくとも片面に銅層を圧延法で接着させた多層金属などが使用可能である。
【0080】
補強基材として十分な低熱膨張係数のものを用いる場合には、金属コア基板として銅層を用いても9ppm/℃以下の印刷回路基板が得られる。これら金属コア基板の表面は樹脂組成物を付着させる面に若干の凹凸を作ったり、表面処理をしたりすることが好ましい。表面処理方法は公知の処理方法が使用でき、例えば、多層金属を用いた場合には、銅層の表面に黒色酸化銅処理、褐色酸化銅処理、化学的処理などの公知の処理方法を実施して樹脂組成物を接着することができる。
【0081】
本実施例では、印刷回路基板用有機繊維補強基材10の少なくとも片面に金属層42を配置するが、補強基材10が全芳香族ポリアミド繊維織布、不織布、あるいはフィルムであるか、ポリベンゾオキサゾール繊維の織布、不織布、あるいはフィルムである場合には、積層される液晶ポリエステル樹脂組成物の融点が200℃〜300℃の範囲であるので、この融点よりは10〜50℃高い温度の真空下で加圧・加熱して積層・成形する。
【0082】
もちろん、液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より50℃以上の高温で積層することも可能であるが、溶解した樹脂の粘度が下がりすぎて、液晶ポリエステル樹脂が横に流れて金属積層板の厚みバラツキが発生することになる。このようなバラツキは反り・捻れの原因となり、印刷回路基板の絶縁性にもバラツキを生じさせて好ましくない。積層温度が液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より低い場合には樹脂が溶解せず、補強基材内部へ樹脂が含浸されないことになり、空気が残存するようになるので、積層時にボイドの原因となり易い。特に、樹脂内に無機充填剤などが添加されている場合には、積層後に内部にボイドが発生するので好ましくない。片面金属積層板の場合、金属層を付着しなかった樹脂面にはフッ素樹脂フィルムなどの離型フィルムを用いて積層・成形し、離型して使用する。
【0083】
多層金属積層板の製作時には、金属コア基板32上に、上記無機あるいは有機繊維補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物が積層された絶縁シートを熱加圧して接着させる。また、回路用金属層として低熱膨張の金属箔を用いるときにも無機あるいは有機繊維補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物が積層された絶縁シートを用いる。その他、多層印刷回路基板の製作時には、液晶ポリエステル樹脂組成物以外の樹脂組成物を有機基材、無機基材、有機・無機混合基材に含浸させて得られたプリプレグ、B−ステージ状態の絶縁シートを両面印刷回路基板に組み合わせて使用することも可能である。もちろん、液晶ポリエステルフィルムを組み合わせて使用することもできるが、印刷回路基板の熱膨張係数が9ppm/℃を超えないようにする。
【0084】
本実施例の多層印刷回路基板の製造に使用されるプリプレグ、B−ステージ状態の絶縁シート、両面印刷回路基板は、公知のものであって、一般に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化型樹脂、及び不飽和基含有樹脂などを1種あるいは2種以上組み合わせて使用される。熱硬化性樹脂は一般に公知のものが使用可能である。具体的には、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレーイミド樹脂、ポリイミド樹脂、官能基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、カルド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂などの公知の樹脂が一種以上配合された組成で使用される。
【0085】
貫通孔や回路間のマイグレイション(migration)防止のためには、シアン酸エステル系樹脂が好適に使用される。さらに、フッ素やリンで難燃化された公知の上記樹脂も使用可能である。本実施例の熱硬化性樹脂は、それ自体を加熱することにより硬化するが、硬化速度が遅く、生産性に劣るので、使用される熱硬化性樹脂に硬化剤、熱硬化触媒を適正量添加して使用する。
【0086】
これらの熱硬化性樹脂の組成物としては、公知の種々の添加物を配合したものが一般に使用される。例えば、上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の樹脂、公知の有機・無機充填剤、染料、顔料、増粘剤、潤滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、チクソ性付与剤などの各種添加剤を目的や用途に合わせて適正量添加すればよい。また、難燃剤もリン、フッ素で難燃化されたもの、ノンハロゲンタイプなどの物質が使用可能である。
【0087】
本実施例でプリプレグなどの絶縁シートに好適に使用される熱可塑性樹脂としては、補強基材に積層される液晶ポリエステル樹脂組成物以外にも一般に公知のものが使用できる。具体的に、液晶ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などがあり、一種以上を熱硬化性樹脂と組み合わせて使用することもできる。以外にも前述した各種添加剤を適正量添加できる。
【0088】
上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂以外にも、UV硬化樹脂、ラジカル反応樹脂なども一種以上組み合わせて使用可能である。これらの樹脂にも架橋を促進させる光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、及び前述した各種添加剤を適正量配合して使用できる。
【0089】
しかしながら、本実施例では、印刷回路基板の信頼性などの観点から、熱硬化性樹脂、耐熱熱可塑性樹脂を用いて製作した絶縁シート及び両面印刷回路基板と、無機あるいは有機繊維補強基材と液晶ポリエステル樹脂組成物とが積層された絶縁シートとを組み合わせて多層印刷回路基板を製作できる。
【0090】
本発明での多層印刷回路基板は、通常、公知の方法により製作される多層印刷回路基板であるが、前述したように目的や目標とする熱膨張係数に応じて、本発明での無機あるいは有機繊維補強基材10に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層した絶縁シートと、これを用いて製作された印刷回路基板とを組み合わせて使用することができる。
【0091】
例えば、高周波用途を目的とする多層印刷回路基板である場合には、信号を伝達する層に液晶ポリエステル樹脂組成物層を配置し、その他の層には、エポキシ樹脂組成物層、シアン酸エステル樹脂組成物層などを配置することができる。
【0092】
また、低熱膨張用途を目的とする多層印刷回路基板である場合には、印刷回路基板全体の熱膨張係数を9ppm/℃以下にならなくてはならない場合もあり、このために、内層に熱膨張係数が9ppm/℃以下である両面印刷回路基板を配置し、積層するシートにも熱膨張係数が9ppm/℃以下である無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートを使用することができる。
【0093】
次に、図11に示すように、金属層42に回路パターン40と半導体チップ90が実装されたランド50とを形成し、ビア70を介して絶縁シート両面に形成された回路パターン40を電気的に接続させる。また、回路パターン40を保護するソルダーレジスト60を塗布する。
【0094】
さらに好適には、信号伝達用金属層や外層の回路パターン40を被覆するソルダーレジスト60層も熱膨張係数が9ppm/℃以下の金属層、液晶ポリエステルフィルム、あるいは無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートを使用できる。多層印刷回路基板の回路パターン40の形成方法はサブトラクティブ法(Subtractive method)、セミ・アディティブ法(Semi-additive method)などを用いることができる。
【0095】
次に、図13に示すように、印刷回路基板の両面に本発明の補強基材10と熱可塑性樹脂層20とが積層された絶縁シートをビルドアップし、最外層に金属層を配置した後、熱加圧して多層印刷回路基板を形成する。
【0096】
本実施例による多層印刷回路基板は、半導体チップ90の熱膨張係数とほぼ同じ熱膨張係数を有する基板が製作できるので、印刷回路基板の反り・捻れを防止することができ、また、温度変化から発生するストレスによる半導体チップや印刷回路基板との接続材に応力が発生しないので、半導体チップまたは鉛フリーハンダバンプなどにクラックや剥離が発生しない、接続信頼性に優れる。
【0097】
本発明の無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートは、熱膨張係数を9ppm/℃以下、好適には−20〜7ppm/℃、さらに好適には−15〜5.5ppm/℃にすることができる。これらの材料を使用して金属コア基板の少なくとも片面に配置し、積層及び成形して両面印刷回路基板を製作できる。また、上記両面印刷回路基板と上記絶縁シートとを組み合わせて多層印刷回路基板を製作することもできる。
【0098】
特に、薄型の印刷回路基板を製作する場合には、印刷回路基板上に搭載・接続する半導体チップの熱膨張係数は2〜3ppm/℃で、非常に小さいので、可能な限り印刷回路基板の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数に近接させることがよい。
【0099】
半導体チップと印刷回路基板との熱膨張係数が大きく異なると、半導体チップの搭載・接続時に反り・捻れが大きくなって、不良の原因となる。また、温度変化から発生するストレスのために、半導体チップと印刷回路基板とを接続させる鉛フリーバンプのクラックや剥離、さらに半導体チップの破壊などの不良が発生し易い。
【0100】
しかし、本発明では、半導体チップと類似の熱膨張係数を有する両面あるいは多層印刷回路基板を製作できるので、反り・捻れが殆どなく、接続材や半導体チップの剥離やクラックが発生しない。また、本発明の印刷回路基板は、半導体チップの接続材部分にアンダーフィルレジンを充填する必要がないので、不良が発生しても再作業が可能であり、経済性に優れる。
【0101】
もちろん、本発明の両面あるいは多層印刷回路基板は、半導体チップの搭載・接続に適した印刷回路基板であるが、ワイヤーボンディング接続も可能である。この場合には、半導体チップを接着剤で接着する下の部分にはパッドを製作せず、最外層にパッドを製作して、ワイヤーボンディング接続を行う。また、その半導体チップは片面あるいは両面から接続が可能である。
【0102】
熱放出性に優れた構造に印刷回路基板を製作するためには、半導体チップ90を搭載・接続するランド50からコア基板32までブラインドビア70で接続でき、コア基板32の反対面から下方の放熱用ランド50までビア70で接続して製造できる。コア基板32を放熱用として使用する場合には、作動する半導体チップ90が発熱した熱をまずコア基板32に伝達して放出する。そして、反対面あるいは側面に熱を伝達させて他の冷却物、例えばメインボードなどに熱を放出させることができる。
【0103】
本発明の金属コア印刷回路基板は、半導体チップの搭載・接続に適した印刷回路基板であるが、ワイヤーボンディング接続も可能である。半導体チップ90は片面あるいは両面からも接続可能である。
【0104】
図15は、本発明の一実施例による絶縁シートを示す断面図であり、図16は、本発明の一実施例による印刷回路基板の断面図である。図15〜図16を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、回路パターン40、ランド50、ソルダーレジスト60、ビア70が示されている。
【0105】
補強基材10は、縦横方向への熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、有機繊維または無機繊維を含む織布や不織布で形成できる。有機繊維は特に限定はないが、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を用いて製作された織布や不織布を含むことができ、無機繊維も特に限定はないが、E−ガラス、D−ガラス、NE−ガラス、T(S)−ガラス繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0106】
熱可塑性樹脂層20は、補強基材10の少なくとも片面に積層されるが、縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高い方がよい。
【0107】
コア基板32は、補強基材10が積層された熱可塑性樹脂層20の少なくとも片面に形成されるが、縦横方向への熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムなど公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。また、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金類などが使用可能である。また、コア基板32にはビア70が形成され、ビア70にメッキ層を形成して絶縁シート両面に形成される回路パターン間を電気的に接続させるビアホールを形成する。
【実施例】
【0108】
[製造例1]コア基板に用いる低熱膨張係数の金属層
(1)厚さ200μmのニッケル−鉄系合金A(インバー;熱膨張係数;0.4ppm/℃)使用。
【0109】
(2)厚さ200μmのインバー両面に圧延銅箔5μm付着品B(熱膨張係数;1.5ppm/℃)使用。
【0110】
[製造例2]積層のために用いる液晶ポリエステル樹脂
厚さ25μmの液晶ポリエステルフィルムD(商品名;FAフィルム、融点281℃、熱膨張係数;−5.0ppm/℃、<株>クラレ製)を準備した。
【0111】
[製造例3]無機繊維補強基材
(1)厚さ50μmのT(S)−ガラス繊維織布E(熱膨張係数;2.8ppm/℃)を使用。
【0112】
[製造例4]低熱膨張係数の有機繊維補強基材
(1)全芳香族ポリアミド繊維布
厚さ50μmのパラ系ポリアミド繊維poly(p-phenylene-3,4-oxydiphenylene terephthalamide)織布F(熱膨張係数;−4.7ppm/℃)を使用。
【0113】
(2)液晶ポリエステル繊維布
厚さ50μmの液晶ポリエステル織布G(融点;301℃、熱膨張係数;−6.5ppm/℃)を使用。
【0114】
[製造例5]低熱膨張係数の有機フィルム補強基材
(1)ポリベンゾオキサゾールフィルム
厚さ25μmの(poly-p-phenylene benzo-bis-oxazol)フィルムH(熱膨張係数;−6.0ppm/℃)を使用。
【0115】
(2)液晶ポリエステルフィルム
厚さ25μmの液晶ポリエステルフィルムI(熱膨張係数;−2.3ppm/℃、融点306℃)を使用。
【0116】
[製造例6]信号伝送用回路形成のための金属層
(1)厚さ20μmのニッケル−鉄系合金J(インバー;熱膨張係数;0.4ppm/℃)を用い、この表面をプラズマ処理して金属層J−1とした。
【0117】
(2)厚さ20μmのインバーの両面に圧延銅箔2μm付着品K(熱膨張係数;3.3ppm/℃)用い、この表面に黒色酸化銅処理して金属層K−1とした。
【0118】
(3)厚さ18μmの電解銅箔L(熱膨張係数;17ppm/℃)使用。
【0119】
[製造例7]ソルダーレジスト形成用樹脂組成物
(1)厚さ25μmの液晶ポリエステル樹脂シートM(熱膨張係数;−5.0ppm/℃)使用。
【0120】
(2)太陽インキ製造<株>製PSR4000AUS308−N(熱膨張係数;59ppm/℃)使用。
【0121】
(3)住友ベークライト<株>製APL−3601A厚さ30μmエポキシ樹脂シート−O(熱膨張係数;27ppm/℃)使用。
【0122】
[実施例1]
無機繊維補強基材Eを用いてこの両面に液晶ポリエステル樹脂シートDを配置し、その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、さらにその外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度293℃、圧力15kgf/cm2、5mmHg真空下で30分間積層して積層用絶縁シートE−[1]を製作した。
【0123】
一方、低熱膨張係数の金属コア基板用金属層A及びBを用いて下記のような方法で金属層A及びBを加工して使用した。
【0124】
金属層A及びBは、上下導通のために、50μmの貫通孔より大きい直径150μmのサイズでクリアランスホールをエッチングして加工し、金属層Aはこの表面をプラズマ処理してA−1にして用い、金属層Bはこの表面に黒色酸化銅処理を実施して金属板B−1にして用いた。また、半導体チップに接続する各コーナーの各々三つのバンプ(合計12個)が形成される位置を、表面の金属層と内部の金属コア基板の金属層とをレーザーで直接加工した。形成された加工孔は表面の金属層と内部の金属コア基板とを直接接続させて放熱用にして用いた。
【0125】
このようにして、表1−1のように組み合わせて金属積層板を製作し、それを印刷回路基板とした。具体的には、離型フッ素樹脂フィルムを剥離して除去し、金属層A−1、B−1の両面に絶縁シートE−[1]を配置し、その両外側に金属層Jー1、K−1、Lを表1−1のように選んで組み合わせて配置した。その後、前述したように積層・成形して、金属コア基板の両面金属積層板P−[1]、P−[2]、P−[3]にした。このような両面金属積層板を用いて樹脂組成物が充填されたクリアランスホールの中央部にクリアランスホールに比べて小さい50μm直径の貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。半導体チップと接続する各コーナーに存在する12個のバンプが形成される部分は、直接内部の金属コア基板と接続するように貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。表面の金属層をエッチングして、金属層と銅メッキとの総厚さが25μmになるようにした。これを用いて、表面に回路を形成し、表面に用いる金属層とソルダーレジストも表1−1のように選択して用いた。金属層の厚さは信号伝達のために15μm程度となるように形成し、金属コア基板の両面印刷回路基板P−[4]、P−[5]、P−[6]とした。コア部分に存在する低熱膨張係数の金属層は電源層やグラウンド層として使用でき、さらに放熱用としても使用できる。評価結果を表1−1に示す。
【0126】
[実施例2]
有機繊維補強基材Fを用いてこの両面に液晶ポリエステル樹脂シートDを配置し、その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、さらにその外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度293℃、圧力15kgf/cm2、5mmHg真空下で30分間積層して積層用絶縁シートF−[1]とした。
【0127】
一方、低熱膨張係数の金属コア基板用金属層AとBを用いての下記のような方法で金属層AとBを加工して使用した。
【0128】
金属層A及びBは、上下導通のために、50μmの貫通孔より大きい150μm直径のクリアランスホールをエッチングして加工し、金属層Aはこの表面をプラズマ処理してA−1にして用い、金属層Bはこの表面に黒色酸化銅処理を実施して金属板B−1にして使用した。また、半導体チップに接続する各コーナーに各々三つのバンプ(合計12個)が形成される位置を、表面の金属層と内部の金属コア基板の金属層とをレーザーで直接加工した。形成された加工孔は表面の金属層と内部の金属コア基板とを直接接続させて放熱用にして用いた。
【0129】
このようにして、表1−2のように組み合わせて金属積層板を製作し、それを印刷回路基板とした。具体的には、絶縁シートF−[1]を用いて実施例1と同じく積層・成形し、金属コア基板の両面金属積層板F−[2]とした。このような両面金属積層板を用いて樹脂組成物が充填されたクリアランスホールの中央部にクリアランスホールより小さい50μm直径の貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。半導体チップと接続する各コーナーに存在する12個のバンプが形成された部分には内部の金属コア基板と直接接続するように貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。表面の金属層をエッチングして、金属層と銅メッキとの総厚さが25μmになるようにした。これを用いて、表面に回路を形成し、表面に用いる金属層とソルダーレジストも表1−2のように選択して用いた。金属層の厚さは信号伝達のために15μm程度になるように形成し、金属コア基板の両面印刷回路基板F−[3]とした。コア部分に存在する低熱膨張係数の金属層は電源層やグラウンド層として使用でき、さらに放熱用としても使用できる。評価結果を表1−2に示す。
【0130】
[実施例3]
有機繊維補強基材Gと絶縁シートG−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をG−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0131】
[実施例4]
有機フィルム補強基材Hと絶縁シートH−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をH−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0132】
[実施例5]
有機フィルム補強基材Iと絶縁シートI−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をI−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0133】
[実施例6]
一方、実施例1から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例1のように加工して、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。この印刷回路基板の表面に黒色酸化銅処理を行い、その両面に各々製作された絶縁シートE−[1]を表2−1のように組み合わせて用いた。最外層に金属層を配置し、上記と同じく積層・成形して、金属コア基板を備えた4層金属積層板を製作した。これにUV−YAGレーザーを用いて孔径50μmのブラインドビアホールを加工してプラズマデスミア処理を実施し、銅メッキでホール内を充填した。表面金属層の総厚さが25μmになるように表面層の銅メッキ部分をエッチングして回路を形成した。その後、黒色酸化銅処理を実施して両面に絶縁シート及び金属層を配置して上記と同じく積層し、ブラインドビアホールを加工してデスミア処理を実施し、銅メッキでホール内を充填し、表面層の銅メッキ部分をエッチングして回路形成を実施して6層印刷回路基板を製作した。この印刷回路基板の両面にソルダーレジスト用樹脂組成物を塗布または積層して付着し、アルカリ現像液を用いて従来と同じ方法で加工した。その他にはUV−YAGレーザーで開口してプラズマエッチング処理を実施することで多層印刷回路基板P−[8]とした。評価結果を表2−1に示す。
【0134】
上記金属コア基板を備えた両面あるいは多層印刷回路基板に鉛フリーハンダを用いてリフロー過程で半導体チップを搭載・接続して半導体プラスチックパッケージを製作した。これはアンダーフィルレジンを用いずに評価を実施した。評価結果を表2−1に示す。
【0135】
上記半導体プラスチックパッケージにおいて、半導体チップ接続方法は上記方法で限定されず、公知の多様な接着方法を用いて接着できる。
【0136】
また、この半導体プラスチックパッケージに用いられる印刷回路基板の製造方法は上記製造方法で限定されず、公知の製造方法を用いることができる。
【0137】
[実施例7]
実施例2から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例2のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0138】
絶縁シートをF−[1]にし、多層印刷回路基板をF−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0139】
[実施例8]
実施例3から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例3のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0140】
絶縁シートをG−[1]にし、多層印刷回路基板をG−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0141】
[実施例9]
実施例4から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例4のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0142】
絶縁シートをH−[1]にし、多層印刷回路基板をH−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0143】
[実施例10]
実施例5から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例5のように加工して金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0144】
絶縁シートをI−[1]にし、多層印刷回路基板をI−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0145】
[比較例1]
補強基材としてE−ガラス繊維織布100μmと、樹脂層としてビスマレーイミド・シアン酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂とを用いて作られた厚さ100μmのプリプレグを2枚用い、金属層は18μm厚さの電解銅層を両面に配置した両面銅張積層板(商品名;CCL−HL830、三菱ガス化学<株>製)Q−[2]を利用した。上記実施例と同じ方法で貫通孔を加工し、デスミア処理及び銅メッキを実施して回路を形成した。最外層にソルダーレジストを形成して両面印刷回路基板Q−[3]を製作した。ソルダーレジストとしては従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いて、既存の方法で両面印刷回路基板Q−[3]を製作した。また、Q−[2]を用いて製作した内層コア印刷回路基板に黒色酸化銅処理を実施し、この両面に厚さ60μmの積層用プリプレグ(GHPL−830MBH、三菱ガス化学<株>製)Q−[1]を各1枚配置した。その両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置し、温度190℃、圧力20kgf/cm2、5mmHgの真空下で90分間積層して4層両面印刷回路基板を製作した。この基板を用いて、6層多層印刷回路基板Q−[4]を製作した。ソルダーレジストは従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0146】
[比較例2]
補強基材として厚さ200μmの全芳香族ポリアミド繊維不織布(熱膨張係数;−0.2ppm/℃)を用い、樹脂層としてエポキシ樹脂を付着して銅張積層板用絶縁シートR−[1]を製作した。この絶縁シートの金属層は、18μmの電解銅箔を用いて温度175℃、圧力25kgf/cm2、5mmHgの真空下で60分間積層・成形して両面銅張積層板R−[2]を製作した。これを用いて上記と同じ方法で両面印刷回路基板R−[3]を製作した。また、厚さ50μmの全芳香族ポリアミド繊維不織布とエポキシ樹脂とを付着して厚さ60μmの絶縁シートRX−[1]を製作した。これらを用いて上記と同じ方法で6層印刷回路基板R−[4]を製作した。ソルダーレジストは従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0147】
[比較例3]
補強基材として100μmのE−ガラス繊維織布を用いて厚さ50μmの液晶ポリエステル樹脂フィルム(商品名;BIAC、融点335℃、CTE;17.1ppm/℃、ジャパンゴアテックス<株>製)をガラス繊維織布の両面に配置した。その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、その両外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度330℃、圧力25kgf/cm2、5mmHgの真空下で30分間積層・成形してプリプレグS−[1]を製作した。この両面に厚さ18μmの銅箔を配置して上記と同じく積層・成形して両面銅張積層板S−[2]を製作した。この銅張積層板を用いて上記と同じ方法で製作して両面印刷回路基板S−[3]を製作した。また、厚さ40μmのE−ガラス繊維織布を用いて上記両面に液晶ポリエステル樹脂フィルム25μmを配置し、上記と同じ方法で積層して絶縁シートSY−[1]を製作した。これらを用いて上記と同じ方法で製作して多層印刷回路基板S−[4]を製作した。ソルダーレジストも従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0148】
[比較例4]
比較例1で、両面銅張積層板Q−[2]の代わりに厚さ200μmの銅層を準備し、これをエッチングして孔径150μmの貫通孔を形成した。この銅層に黒色酸化銅処理を実施し、この両面にプリプレグQ−[1]を各々1枚ずつ配置し、その両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置した。その後、温度190℃、圧力20kgf/cm2、5mmHgの真空下で90分間積層して両面銅張積層板T−[2]を製作した。これを用いて実施例1と同じく加工して金属コア基板の両面印刷回路基板T−[3]を製作した。また、内層金属コア基板の印刷回路基板を用いて、この表面に黒色酸化銅処理し、その両面にプリプレグQ−[1]を各々1枚ずつ配置した。その後、基板両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置し、上記と同じ方法で積層・成形して4層銅張積層板とし、実施例1と同じ方法で加工した。その後、上記と同じ方法で積層・成形及び加工して6層銅張積層板とし、6層印刷回路基板T−[4]とした。
【0149】
ソルダーレジストも従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。また、コア層の銅層には放熱用ビアが接続しなかった。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表2−1】
【表2−2】
[測定方法]
(1)熱膨張係数
TMAで測定した。25〜150℃の値を示した。
【0150】
(2)反り・捻れ
サイズ40×40mmの印刷回路基板の中央にサイズ10×10mm、厚さ400μmの鉛フリーハンダバンプが形成された半導体チップを一つだけ接続させた。半導体チップと印刷回路基板との間にアンダーフィルレジンを充填していない半導体プラスチックパッケージを各々100個用いて反り・捻れをレーザー測定装置で測定した。最初の印刷回路基板の反り・捻れは50±5μmのものを選択して測定した。半導体チップを搭載接続した後に反り・捻れをレーザー測定装置で測定し、その反り・捻れの増加した最大値を示した。
【0151】
(3)冷熱衝撃試験
(2)と同じ方法で製作した半導体プラスチックパッケージを100個用い、−60℃で30分間維持し、また150℃で30分間維持する温度サイクル試験を1,000サイクル行ってから、電気チェックで半導体チップと印刷回路基板との接続の良否を確認した。抵抗値変化率が±15%を超えるものを不良にした。また、半導体チップの割れ、クロスセクションによるハンダのクラック、剥離も確認した。表に良品数を示した。
【0152】
(4)熱放出性
メインボードに半導体プラスチックパッケージを鉛フリーハンダを用いて接続させた。半導体チップを作動させて半導体チップの温度が85℃になると作動を停止させ、10分経過後に半導体チップの温度を測定した。
【0153】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図10】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図11】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図13】本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図14】本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図15】本発明の一実施例による絶縁シートを示す断面図である。
【図16】本発明の一実施例による印刷回路基板の断面図である。
【符号の説明】
【0155】
10:補強基材
20:熱可塑性樹脂層
30、32:コア基板
34:貫通孔
40:回路パターン
42:金属層
50:ランド
60:ソルダーレジスト
70:ビア
80:ハンダボール
90:半導体チップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器は、小型化、薄型化、軽量化され、これに伴って半導体チップの搭載接続方式はワイヤーボンディング方式から端子数の多いフリップチップボンディング方式になってきている。そして、半導体チップを搭載接続する多層印刷回路基板においても高信頼性や高密度性が求められている。
【0003】
従来の多層印刷回路基板は、補強基材としてガラス繊維織布が用いられ、通常ガラス繊維成分としてはE−ガラスなどが用いられている。
【0004】
ガラス繊維織布に熱硬化性樹脂組成物のレジン(resin)を含浸・乾燥してB−ステージ状態の絶縁層シートを製作し、これを用いて銅張積層板に加工する。この銅張積層板を用いて内層用コア印刷回路基板を製作し、この両面にビルドアップ(Build-up)用B−ステージ状態の絶縁層シートを配置、積層して多層印刷回路基板を製作する。
【0005】
上記多層印刷回路基板の構成において、熱膨張係数の大きい(通常、縦横方向の熱膨張係数が18〜100ppm/℃である)ビルドアップ用樹脂組成物を多くの層に配置し、各層には熱膨張係数が17ppm/℃である銅(Cu)層が含まれ、最外層には熱膨張係数の大きい(通常、50〜150ppm/℃である)ソルダーレジスト層が形成される。そして、最終的に得られる多層印刷回路基板の全体の縦横方向の熱膨張係数は13〜30ppm/℃位となる。
【0006】
ガラス繊維織布に含浸される熱硬化性樹脂として高耐熱性樹脂を使用したり、樹脂に無機フィラーを添加したり、または熱膨張係数が小さいガラス繊維織布基材などを使用したりして多層印刷回路基板を形成する場合にも印刷回路基板の熱膨張係数は10〜20ppm/℃位しかなっていない。
【0007】
上記のように製作された印刷回路基板の熱膨張係数は、半導体チップの熱膨張係数2〜3ppm/℃に比べて相対的に大きい。このような差のため、現在環境問題から鉛フリーとなっているハンダによるフリップチップ接続における温度サイクル試験などの信頼性試験で不良発生の恐れがある。信頼性試験時に、加熱により膨張及び収縮する多層印刷回路基板にてハンダ及び半導体チップが縦横方向に引っ張られて鉛フリーハンダのクラックや剥離、または半導体チップの破壊などの不良が発生し得る。
【0008】
さらに、片面に半導体チップを搭載接続した半導体プラスチックパッケージでは、リフロー時に、半導体チップと多層印刷回路基板との熱膨張係数が大きく異なることから、反りまたは捻れも大きくなる。
【0009】
このような多層印刷回路基板に半導体チップを搭載接続時に発生する応力を緩和するために熱膨張係数が13〜20ppm/℃である多層印刷回路基板の最外層に熱膨張係数が小さい絶縁層を形成する方法が日本特許公開2001−274556号公報に提案されている。上記引用特許では、熱緩衝用有機絶縁層シートとして熱膨張係数が約9ppm/℃のアラミド繊維(aramid fiber)織布基材と熱硬化性樹脂とを含浸させたプリプレグを使用した多層印刷回路基板の製造方法が具体的に提示されている。
【0010】
しかし、上記引用特許には、実施例での信頼性試験結果も具体的に提示されておらず、さらに6〜12ppm/℃の熱緩衝用有機絶縁層シートを用いて印刷回路基板を製造した場合は、内層用コア印刷回路基板の大きい熱膨張係数のために、熱緩衝用有機絶縁層シートが引っ張られて伸び、製造済みの多層印刷回路基板全体の熱膨張係数が10ppm/℃を超えるという問題点がある。
【0011】
上記のように製造された多層印刷回路基板上に、鉛フリーハンダで半導体チップを搭載接続して温度サイクル試験などの信頼性試験を行うと、半導体チップと製造済みの多層印刷回路基板との熱膨張係数の差のために、半導体チップと接続される鉛フリーハンダにクラックや剥離のような不良が生じ、熱緩衝用有機絶縁層シートは大きな効果はなく、不良を発生することが多々あった。
【0012】
また、金属コアを用いた印刷回路基板におけるコア用金属板としてインバー(Invar)や銅インバー(Copper/Invar)を用いた印刷回路基板があり、この金属板に積層して用いられる樹脂組成物としてはエポキシ樹脂などのB−ステージ状態の熱硬化性樹脂組成物シートがある。
【0013】
しかし、この印刷回路基板は、積層された樹脂層と低熱膨張係数のコア用金属板との熱膨張係数の差が非常に大きいために、印刷回路基板の切断時などのように印刷回路基板に応力が加えられると、コア用金属板と樹脂層とが分離するなどの不良が生じて、印刷回路基板としての信頼性が落ちる問題点があった。
【0014】
また、高密化になっている半導体チップを印刷回路基板に実装して作動する際に半導体チップからの熱により不良の発生する恐れがある。
【特許文献1】日本特許公開第2001−274556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、半導体チップまたは鉛フリーハンダなどの破壊や剥離がなく、反り・捻れもない、放熱効果のある半導体プラスチックパッケージを製作できる絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、補強基材に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含む絶縁シートの製造方法が提供される。
【0017】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及び、アルミニウムを含むことができる。
【0018】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含んでもよく、無機繊維はガラス繊維を含んでもよい。
【0019】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。
【0020】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0021】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態によれば、補強基材と、補強基材に積層される熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、を含む絶縁シートが提供される。
【0023】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことがよい。
【0024】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0025】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。
【0026】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0027】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0028】
また、コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことができる。
【0029】
本発明のまた他の実施形態によれば、熱可塑性樹脂層が両面に積層された補強基材を提供するステップと、補強基材の両面に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、露出した熱可塑性樹脂層に回路パターンを形成するステップと、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0030】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことができる。
【0031】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0032】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含んでもよい。
【0033】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0034】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0035】
本発明のまた他の実施形態によれば、補強基材と、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、露出した熱可塑性樹脂層に形成される回路パターンと、を含む印刷回路基板が提供される。
【0036】
コア基板の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含むことができる。
【0037】
また、補強基材の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材は有機繊維または無機繊維を含むことができ、有機繊維は、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含み、無機繊維はガラス繊維を含むことができる。
【0038】
このとき、熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、熱可塑性樹脂層は液晶ポリエステル樹脂を含んでもよい。
【0039】
また、補強基材の融点は熱可塑性樹脂層の融点より高い方がよい。
【0040】
熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことができる。
【0041】
また、コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明による絶縁シート及びその製造方法並びにこれを用いた印刷回路基板及びその製造方法は、半導体チップの熱膨張係数に近い絶縁基板を製作することができ、これを用いた印刷回路基板は、反りや捻れを防止でき、半導体チップと印刷回路基板との接続材に応力が発生しないので、温度変化によって半導体チップあるいは鉛フリーハンダのような接続材にクラックや剥離が生じない、熱放出性に優れた半導体プラスチックパッケージを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0044】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0045】
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
図2〜図5は、本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図である。図2〜図5を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板30が示されている。
【0047】
本実施例の絶縁シート及びその製造方法は、補強基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層し、補強基材の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂層をコア基板に形成し、コア基板に補強基材と熱可塑性樹脂層とを熱加圧することを特徴とする。
【0048】
先ず、図2に示すように、補強基材10を形成し、補強基材10の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層20を積層する。本実施例では好ましい実施例として、図3に示すように、補強基材10の両面に熱可塑性樹脂層20が積層されることを説明する。
【0049】
ここで、補強基材10の縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、補強基材10は有機繊維または無機繊維を含む織布や不織布が使用可能である。
【0050】
無機繊維としては特に限定はないが、例えば無機繊維はE−ガラス、D−ガラス、NE−ガラス、及びT(S)−ガラス繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0051】
有機繊維についても特に限定はないが、縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲である低熱膨張係数を有する有機繊維を用いる方がよい。例えば、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0052】
また、ポリベンゾオキサゾールには、ポリイミドベンゾオキサゾール、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどがある。また、全芳香族ポリアミドは、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、コポリ−(パラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)などが挙げられる。ただ、全芳香族ポリアミド繊維やポリベンゾオキサゾール繊維は、印刷回路基板の部品実装での、最高温度である260℃では溶解したりしないので特に問題はないが、液晶ポリエステル繊維は融点が260℃に近いものもあり、これを補強基材10として使用する場合には補強効果が薄ばれる。したがって、液晶ポリエステル繊維を補強基材として用いる場合は、補強基材10に積層される熱可塑性樹脂層20の融点よりは10℃以上高いものが好ましい。
【0053】
さらには、補強基材10として縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲である低熱膨張係数を有するポリイミドフィルム、全芳香族ポリアミドフィルム、ポリベンゾオキサゾールフィルム、積層される熱可塑性樹脂層20の融点より高い融点を有する液晶ポリエステルフィルムなどを使用できる。
【0054】
これらの補強基材10は、樹脂との密着性を向上させるために、補強基材10の表面に公知の処理、例えば、シランカップリング剤処理、プラズマ処理、コロナ処理、各種薬品処理、ブラスト処理などを行なうことができる。
【0055】
また、補強基材10の厚さは特に限定はないが、一般には4〜200μmであり、好適には10〜150μmである。
【0056】
熱可塑性樹脂層20は、特に限定はないが、縦横方向の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、本実施例では液晶ポリエステル樹脂を例に挙げて説明する。また、補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高い。
【0057】
より具体的に説明すると、液晶ポリエステル樹脂層20は特に限定はないが、液晶ポリエステル樹脂層の熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であるものがよい。環境問題からは液晶ポリエステル樹脂層の分子内にハロゲン原子を含まないものが好ましい。分子構造は特に限定はなく、熱膨張係数が9ppm/℃以下になるように分子設計をし、これをシート状にするかまたは溶剤に溶解して使用できる。
【0058】
上記液晶ポリエステル樹脂中には熱膨張係数及び目標特性に影響がない程度に各種添加物を適当量添加して使用できる。例えば、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の樹脂、公知の有機・無機充填剤、染料、顔料、増粘剤、消泡剤、分散剤、光沢剤などの各種添加剤が適当量添加され、液晶ポリエステル樹脂組成物層20を形成できる。
【0059】
液晶ポリエステル樹脂組成物20を無機あるいは有機繊維の補強基材10に付着する方法は特に限定はなく、例えば、液晶ポリエステル樹脂を有機溶剤のN−メチル−2−ピロリドンなどに溶解した後、これに適当な添加剤を適正量添加し、均一に分散させる。上記補強基材10に分散された溶液を連続的に浸清し、その後、乾燥して溶剤を除去する工程で補強基材10を含浸させ、印刷回路基板用絶縁シートを製造できる。
【0060】
また、本発明の他の有機繊維補強基材の有機フィルムを用いる場合には、適宜に表面処理を施した有機フィルムの少なくとも片面に液晶ポリエステル樹脂組成物が分散された溶液をロールコータなどを用いて連続的に塗布し、乾燥して溶液を蒸発させる。上記有機フィルムの片面あるいは両面に液晶ポリエステル樹脂組成物層20を形成して絶縁シートを製造できる。
【0061】
また、予め押出成形やキャスティングなどで製作されたフィルムを用いて、これを有機フィルムの片面あるいは両面に配置し、その外側に離型フィルムまたは金属板を配置する。上記材料を真空下で加圧・加熱して、液晶ポリエステル樹脂組成物を溶解、付着することにより印刷回路基板用絶縁シートを製作できる。
【0062】
また、上記液晶ポリエステル樹脂組成物を無機または有機繊維補強基材の片面あるいは両面に配置し、その外側に離型フィルムまたは金属板を配置する。その後、真空下で液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より10〜50℃高い温度で、加圧・加熱して、補強基材内に液晶ポリエステル樹脂組成物を含浸させて、印刷回路基板用絶縁シートを製作できる。
【0063】
補強基材10から測定した液晶ポリエステル樹脂組成物20の厚さについては特に限定はないが、一般には5〜100μmとする方がよい。また、補強基材10を含んだ液晶ポリエステル樹脂組成物層の総厚さも特に限定はないが、一般には20〜500μm、好適には30〜200μmとする。
【0064】
次に、図4に示すように、補強基材10の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板30に形成し、コア基板30に補強基材10と熱可塑性樹脂層20とを熱加圧して接着させる。このとき、補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高いために、熱可塑性樹脂層20の融点より10〜50℃高い温度で1〜50kgf/cm2の圧力を用いて熱加圧してもよい。真空度は10mmHg以下が好ましい。
【0065】
コア基板30の縦横方向への熱膨張係数は−20〜9ppm/℃の範囲であり、コア基板は特に限定はないが、好ましくは、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムなどの公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。また、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金類などが使用可能である。特に低熱膨張係数を目的とする印刷回路基板でなく、高周波用途を目的とする印刷回路基板であれば、一般の電解銅箔あるいは圧延銅箔も使用できる。また、低熱膨張係数の印刷回路基板を目的とする場合には、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金の少なくとも片面に銅層が付着された多層金属(Copper/Invar/Copper)などが使用される。
【0066】
これらのコア基板30の表面は樹脂組成物を付着させるために、片面に若干の凹凸を作ったり、表面処理をしたりする方が好ましい。表面処理方法としては公知の処理方法を利用できる。例えば、多層金属(Copper/Invar/Copper)を使用した場合には、銅の表面に黒色酸化銅処理、褐色酸化銅処理、化学的処理などの公知の処理方法により樹脂組成物を接着できる。
【0067】
また、図5に示すように、コア基板30の両面に補強基材10が積層された熱可塑性樹脂層20を各々形成できる。
【0068】
図1は、本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図であり、図6〜図9は、本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【0069】
図6〜図9を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、貫通孔34が示されている。本実施例は図2〜図5の実施例と同じ物質を使用し、コア基板32の構造だけが異なるため、その差について説明する。
【0070】
本実施例を実現するために、先ず、図6に示すように、段階S10で、コア基板32に選択的に貫通孔を形成する。コア基板32の貫通孔は予め形成してもよく、積層・成形した後に貫通孔やブラインドビアホールを形成してもよい。
【0071】
補強基材10が、全芳香族ポリアミド繊維の織布、不織布、あるいはフィルムであるか、ポリベンゾオキサゾール繊維の織布、不織布、あるいはフィルムである場合には、積層される液晶ポリエステル樹脂組成物の融点が200℃〜300℃の範囲であり、この融点より10〜50℃高い温度の真空下で加圧・加熱して積層・成形する。もちろん、液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より50℃以上の高温で積層することも可能であるが、溶解した樹脂の粘度が下がりすぎて、液晶ポリエステル樹脂が横に流れて金属積層板の厚みバラつきが発生することになる。このようなバラつきは反り・捻れの原因となり、印刷回路基板の絶縁性にもバラツキを生じさせ好ましくない。積層温度が液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より低い場合には樹脂が溶解せず、補強基材内部に樹脂が含浸されないことになり、空気が残存するようになるので、積層時にボイドの原因となり易い。特に、無機充填剤などが添加されている場合には、積層後に内部にボイドが残ることもあり、好ましくない。
【0072】
次に、図7に示すように、段階S20で、補強基材10両面に熱可塑性樹脂層20を積層する。補強基材10の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層20を積層することも可能である。
【0073】
次に、図8に示すように、段階S30で、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の片面に形成し、図9に示すように、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の他面に積層する。すなわち、補強基材10の両面に積層された熱可塑性樹脂層20をコア基板32の両面に形成する。
【0074】
段階S40で、コア基板32に補強基材10と熱可塑性樹脂層20とを熱加圧して接着させる。段階S42で、熱可塑性樹脂層20の融点より10〜50℃高い温度で、1〜50kgf/cm2の圧力を用いて熱加圧することができる。真空度は10mmHg以下が好ましい。
【0075】
図10〜図12は本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図であり、図13〜図14は本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。図10〜図14を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、回路パターン40、金属層42、ランド50、ソルダーレジスト60、ビア70、ハンダボール80、半導体チップ90が示されている。
【0076】
本実施例で、ビア70は印刷回路基板に形成された回路間を電気的に接続させる役割をする。
【0077】
本実施例は、図6〜図9により製造された絶縁シートを用いて半導体プラスチックパッケージを形成する方法である。
【0078】
図10に示すように、最外層の熱可塑性樹脂層20に金属層42を積層する。補強基材10の少なくとも片面に形成された熱可塑性樹脂層20に付着する金属層42としては、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、アルミニウムなどの公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。
【0079】
特に、低熱膨張係数を目的とする印刷回路基板ではなく、高周波用途を目的とする印刷回路基板であれば、一般の電解銅箔あるいは圧延銅箔が使用可能である。また、熱膨張係数が9ppm/℃以下の印刷回路基板を目的とする場合には、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金の少なくとも片面に銅層を圧延法で接着させた多層金属などが使用可能である。
【0080】
補強基材として十分な低熱膨張係数のものを用いる場合には、金属コア基板として銅層を用いても9ppm/℃以下の印刷回路基板が得られる。これら金属コア基板の表面は樹脂組成物を付着させる面に若干の凹凸を作ったり、表面処理をしたりすることが好ましい。表面処理方法は公知の処理方法が使用でき、例えば、多層金属を用いた場合には、銅層の表面に黒色酸化銅処理、褐色酸化銅処理、化学的処理などの公知の処理方法を実施して樹脂組成物を接着することができる。
【0081】
本実施例では、印刷回路基板用有機繊維補強基材10の少なくとも片面に金属層42を配置するが、補強基材10が全芳香族ポリアミド繊維織布、不織布、あるいはフィルムであるか、ポリベンゾオキサゾール繊維の織布、不織布、あるいはフィルムである場合には、積層される液晶ポリエステル樹脂組成物の融点が200℃〜300℃の範囲であるので、この融点よりは10〜50℃高い温度の真空下で加圧・加熱して積層・成形する。
【0082】
もちろん、液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より50℃以上の高温で積層することも可能であるが、溶解した樹脂の粘度が下がりすぎて、液晶ポリエステル樹脂が横に流れて金属積層板の厚みバラツキが発生することになる。このようなバラツキは反り・捻れの原因となり、印刷回路基板の絶縁性にもバラツキを生じさせて好ましくない。積層温度が液晶ポリエステル樹脂組成物の融点より低い場合には樹脂が溶解せず、補強基材内部へ樹脂が含浸されないことになり、空気が残存するようになるので、積層時にボイドの原因となり易い。特に、樹脂内に無機充填剤などが添加されている場合には、積層後に内部にボイドが発生するので好ましくない。片面金属積層板の場合、金属層を付着しなかった樹脂面にはフッ素樹脂フィルムなどの離型フィルムを用いて積層・成形し、離型して使用する。
【0083】
多層金属積層板の製作時には、金属コア基板32上に、上記無機あるいは有機繊維補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物が積層された絶縁シートを熱加圧して接着させる。また、回路用金属層として低熱膨張の金属箔を用いるときにも無機あるいは有機繊維補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物が積層された絶縁シートを用いる。その他、多層印刷回路基板の製作時には、液晶ポリエステル樹脂組成物以外の樹脂組成物を有機基材、無機基材、有機・無機混合基材に含浸させて得られたプリプレグ、B−ステージ状態の絶縁シートを両面印刷回路基板に組み合わせて使用することも可能である。もちろん、液晶ポリエステルフィルムを組み合わせて使用することもできるが、印刷回路基板の熱膨張係数が9ppm/℃を超えないようにする。
【0084】
本実施例の多層印刷回路基板の製造に使用されるプリプレグ、B−ステージ状態の絶縁シート、両面印刷回路基板は、公知のものであって、一般に熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、UV硬化型樹脂、及び不飽和基含有樹脂などを1種あるいは2種以上組み合わせて使用される。熱硬化性樹脂は一般に公知のものが使用可能である。具体的には、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレーイミド樹脂、ポリイミド樹脂、官能基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、カルド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂などの公知の樹脂が一種以上配合された組成で使用される。
【0085】
貫通孔や回路間のマイグレイション(migration)防止のためには、シアン酸エステル系樹脂が好適に使用される。さらに、フッ素やリンで難燃化された公知の上記樹脂も使用可能である。本実施例の熱硬化性樹脂は、それ自体を加熱することにより硬化するが、硬化速度が遅く、生産性に劣るので、使用される熱硬化性樹脂に硬化剤、熱硬化触媒を適正量添加して使用する。
【0086】
これらの熱硬化性樹脂の組成物としては、公知の種々の添加物を配合したものが一般に使用される。例えば、上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、その他の樹脂、公知の有機・無機充填剤、染料、顔料、増粘剤、潤滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、チクソ性付与剤などの各種添加剤を目的や用途に合わせて適正量添加すればよい。また、難燃剤もリン、フッ素で難燃化されたもの、ノンハロゲンタイプなどの物質が使用可能である。
【0087】
本実施例でプリプレグなどの絶縁シートに好適に使用される熱可塑性樹脂としては、補強基材に積層される液晶ポリエステル樹脂組成物以外にも一般に公知のものが使用できる。具体的に、液晶ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などがあり、一種以上を熱硬化性樹脂と組み合わせて使用することもできる。以外にも前述した各種添加剤を適正量添加できる。
【0088】
上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂以外にも、UV硬化樹脂、ラジカル反応樹脂なども一種以上組み合わせて使用可能である。これらの樹脂にも架橋を促進させる光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、及び前述した各種添加剤を適正量配合して使用できる。
【0089】
しかしながら、本実施例では、印刷回路基板の信頼性などの観点から、熱硬化性樹脂、耐熱熱可塑性樹脂を用いて製作した絶縁シート及び両面印刷回路基板と、無機あるいは有機繊維補強基材と液晶ポリエステル樹脂組成物とが積層された絶縁シートとを組み合わせて多層印刷回路基板を製作できる。
【0090】
本発明での多層印刷回路基板は、通常、公知の方法により製作される多層印刷回路基板であるが、前述したように目的や目標とする熱膨張係数に応じて、本発明での無機あるいは有機繊維補強基材10に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層した絶縁シートと、これを用いて製作された印刷回路基板とを組み合わせて使用することができる。
【0091】
例えば、高周波用途を目的とする多層印刷回路基板である場合には、信号を伝達する層に液晶ポリエステル樹脂組成物層を配置し、その他の層には、エポキシ樹脂組成物層、シアン酸エステル樹脂組成物層などを配置することができる。
【0092】
また、低熱膨張用途を目的とする多層印刷回路基板である場合には、印刷回路基板全体の熱膨張係数を9ppm/℃以下にならなくてはならない場合もあり、このために、内層に熱膨張係数が9ppm/℃以下である両面印刷回路基板を配置し、積層するシートにも熱膨張係数が9ppm/℃以下である無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートを使用することができる。
【0093】
次に、図11に示すように、金属層42に回路パターン40と半導体チップ90が実装されたランド50とを形成し、ビア70を介して絶縁シート両面に形成された回路パターン40を電気的に接続させる。また、回路パターン40を保護するソルダーレジスト60を塗布する。
【0094】
さらに好適には、信号伝達用金属層や外層の回路パターン40を被覆するソルダーレジスト60層も熱膨張係数が9ppm/℃以下の金属層、液晶ポリエステルフィルム、あるいは無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートを使用できる。多層印刷回路基板の回路パターン40の形成方法はサブトラクティブ法(Subtractive method)、セミ・アディティブ法(Semi-additive method)などを用いることができる。
【0095】
次に、図13に示すように、印刷回路基板の両面に本発明の補強基材10と熱可塑性樹脂層20とが積層された絶縁シートをビルドアップし、最外層に金属層を配置した後、熱加圧して多層印刷回路基板を形成する。
【0096】
本実施例による多層印刷回路基板は、半導体チップ90の熱膨張係数とほぼ同じ熱膨張係数を有する基板が製作できるので、印刷回路基板の反り・捻れを防止することができ、また、温度変化から発生するストレスによる半導体チップや印刷回路基板との接続材に応力が発生しないので、半導体チップまたは鉛フリーハンダバンプなどにクラックや剥離が発生しない、接続信頼性に優れる。
【0097】
本発明の無機あるいは有機繊維の補強基材に液晶ポリエステル樹脂組成物を積層させた絶縁シートは、熱膨張係数を9ppm/℃以下、好適には−20〜7ppm/℃、さらに好適には−15〜5.5ppm/℃にすることができる。これらの材料を使用して金属コア基板の少なくとも片面に配置し、積層及び成形して両面印刷回路基板を製作できる。また、上記両面印刷回路基板と上記絶縁シートとを組み合わせて多層印刷回路基板を製作することもできる。
【0098】
特に、薄型の印刷回路基板を製作する場合には、印刷回路基板上に搭載・接続する半導体チップの熱膨張係数は2〜3ppm/℃で、非常に小さいので、可能な限り印刷回路基板の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数に近接させることがよい。
【0099】
半導体チップと印刷回路基板との熱膨張係数が大きく異なると、半導体チップの搭載・接続時に反り・捻れが大きくなって、不良の原因となる。また、温度変化から発生するストレスのために、半導体チップと印刷回路基板とを接続させる鉛フリーバンプのクラックや剥離、さらに半導体チップの破壊などの不良が発生し易い。
【0100】
しかし、本発明では、半導体チップと類似の熱膨張係数を有する両面あるいは多層印刷回路基板を製作できるので、反り・捻れが殆どなく、接続材や半導体チップの剥離やクラックが発生しない。また、本発明の印刷回路基板は、半導体チップの接続材部分にアンダーフィルレジンを充填する必要がないので、不良が発生しても再作業が可能であり、経済性に優れる。
【0101】
もちろん、本発明の両面あるいは多層印刷回路基板は、半導体チップの搭載・接続に適した印刷回路基板であるが、ワイヤーボンディング接続も可能である。この場合には、半導体チップを接着剤で接着する下の部分にはパッドを製作せず、最外層にパッドを製作して、ワイヤーボンディング接続を行う。また、その半導体チップは片面あるいは両面から接続が可能である。
【0102】
熱放出性に優れた構造に印刷回路基板を製作するためには、半導体チップ90を搭載・接続するランド50からコア基板32までブラインドビア70で接続でき、コア基板32の反対面から下方の放熱用ランド50までビア70で接続して製造できる。コア基板32を放熱用として使用する場合には、作動する半導体チップ90が発熱した熱をまずコア基板32に伝達して放出する。そして、反対面あるいは側面に熱を伝達させて他の冷却物、例えばメインボードなどに熱を放出させることができる。
【0103】
本発明の金属コア印刷回路基板は、半導体チップの搭載・接続に適した印刷回路基板であるが、ワイヤーボンディング接続も可能である。半導体チップ90は片面あるいは両面からも接続可能である。
【0104】
図15は、本発明の一実施例による絶縁シートを示す断面図であり、図16は、本発明の一実施例による印刷回路基板の断面図である。図15〜図16を参照すると、補強基材10、熱可塑性樹脂層20、コア基板32、回路パターン40、ランド50、ソルダーレジスト60、ビア70が示されている。
【0105】
補強基材10は、縦横方向への熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、有機繊維または無機繊維を含む織布や不織布で形成できる。有機繊維は特に限定はないが、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を用いて製作された織布や不織布を含むことができ、無機繊維も特に限定はないが、E−ガラス、D−ガラス、NE−ガラス、T(S)−ガラス繊維を用いて製作された織布や不織布が使用可能である。
【0106】
熱可塑性樹脂層20は、補強基材10の少なくとも片面に積層されるが、縦横方向の熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、液晶ポリエステル樹脂を含むことができる。補強基材10の融点は熱可塑性樹脂層20の融点より高い方がよい。
【0107】
コア基板32は、補強基材10が積層された熱可塑性樹脂層20の少なくとも片面に形成されるが、縦横方向への熱膨張係数が−20〜9ppm/℃の範囲であり、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムなど公知の金属を単独で、あるいはそれらの合金を使用できる。また、ニッケル−鉄系の合金やニッケル−鉄−コバルト系の合金類などが使用可能である。また、コア基板32にはビア70が形成され、ビア70にメッキ層を形成して絶縁シート両面に形成される回路パターン間を電気的に接続させるビアホールを形成する。
【実施例】
【0108】
[製造例1]コア基板に用いる低熱膨張係数の金属層
(1)厚さ200μmのニッケル−鉄系合金A(インバー;熱膨張係数;0.4ppm/℃)使用。
【0109】
(2)厚さ200μmのインバー両面に圧延銅箔5μm付着品B(熱膨張係数;1.5ppm/℃)使用。
【0110】
[製造例2]積層のために用いる液晶ポリエステル樹脂
厚さ25μmの液晶ポリエステルフィルムD(商品名;FAフィルム、融点281℃、熱膨張係数;−5.0ppm/℃、<株>クラレ製)を準備した。
【0111】
[製造例3]無機繊維補強基材
(1)厚さ50μmのT(S)−ガラス繊維織布E(熱膨張係数;2.8ppm/℃)を使用。
【0112】
[製造例4]低熱膨張係数の有機繊維補強基材
(1)全芳香族ポリアミド繊維布
厚さ50μmのパラ系ポリアミド繊維poly(p-phenylene-3,4-oxydiphenylene terephthalamide)織布F(熱膨張係数;−4.7ppm/℃)を使用。
【0113】
(2)液晶ポリエステル繊維布
厚さ50μmの液晶ポリエステル織布G(融点;301℃、熱膨張係数;−6.5ppm/℃)を使用。
【0114】
[製造例5]低熱膨張係数の有機フィルム補強基材
(1)ポリベンゾオキサゾールフィルム
厚さ25μmの(poly-p-phenylene benzo-bis-oxazol)フィルムH(熱膨張係数;−6.0ppm/℃)を使用。
【0115】
(2)液晶ポリエステルフィルム
厚さ25μmの液晶ポリエステルフィルムI(熱膨張係数;−2.3ppm/℃、融点306℃)を使用。
【0116】
[製造例6]信号伝送用回路形成のための金属層
(1)厚さ20μmのニッケル−鉄系合金J(インバー;熱膨張係数;0.4ppm/℃)を用い、この表面をプラズマ処理して金属層J−1とした。
【0117】
(2)厚さ20μmのインバーの両面に圧延銅箔2μm付着品K(熱膨張係数;3.3ppm/℃)用い、この表面に黒色酸化銅処理して金属層K−1とした。
【0118】
(3)厚さ18μmの電解銅箔L(熱膨張係数;17ppm/℃)使用。
【0119】
[製造例7]ソルダーレジスト形成用樹脂組成物
(1)厚さ25μmの液晶ポリエステル樹脂シートM(熱膨張係数;−5.0ppm/℃)使用。
【0120】
(2)太陽インキ製造<株>製PSR4000AUS308−N(熱膨張係数;59ppm/℃)使用。
【0121】
(3)住友ベークライト<株>製APL−3601A厚さ30μmエポキシ樹脂シート−O(熱膨張係数;27ppm/℃)使用。
【0122】
[実施例1]
無機繊維補強基材Eを用いてこの両面に液晶ポリエステル樹脂シートDを配置し、その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、さらにその外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度293℃、圧力15kgf/cm2、5mmHg真空下で30分間積層して積層用絶縁シートE−[1]を製作した。
【0123】
一方、低熱膨張係数の金属コア基板用金属層A及びBを用いて下記のような方法で金属層A及びBを加工して使用した。
【0124】
金属層A及びBは、上下導通のために、50μmの貫通孔より大きい直径150μmのサイズでクリアランスホールをエッチングして加工し、金属層Aはこの表面をプラズマ処理してA−1にして用い、金属層Bはこの表面に黒色酸化銅処理を実施して金属板B−1にして用いた。また、半導体チップに接続する各コーナーの各々三つのバンプ(合計12個)が形成される位置を、表面の金属層と内部の金属コア基板の金属層とをレーザーで直接加工した。形成された加工孔は表面の金属層と内部の金属コア基板とを直接接続させて放熱用にして用いた。
【0125】
このようにして、表1−1のように組み合わせて金属積層板を製作し、それを印刷回路基板とした。具体的には、離型フッ素樹脂フィルムを剥離して除去し、金属層A−1、B−1の両面に絶縁シートE−[1]を配置し、その両外側に金属層Jー1、K−1、Lを表1−1のように選んで組み合わせて配置した。その後、前述したように積層・成形して、金属コア基板の両面金属積層板P−[1]、P−[2]、P−[3]にした。このような両面金属積層板を用いて樹脂組成物が充填されたクリアランスホールの中央部にクリアランスホールに比べて小さい50μm直径の貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。半導体チップと接続する各コーナーに存在する12個のバンプが形成される部分は、直接内部の金属コア基板と接続するように貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。表面の金属層をエッチングして、金属層と銅メッキとの総厚さが25μmになるようにした。これを用いて、表面に回路を形成し、表面に用いる金属層とソルダーレジストも表1−1のように選択して用いた。金属層の厚さは信号伝達のために15μm程度となるように形成し、金属コア基板の両面印刷回路基板P−[4]、P−[5]、P−[6]とした。コア部分に存在する低熱膨張係数の金属層は電源層やグラウンド層として使用でき、さらに放熱用としても使用できる。評価結果を表1−1に示す。
【0126】
[実施例2]
有機繊維補強基材Fを用いてこの両面に液晶ポリエステル樹脂シートDを配置し、その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、さらにその外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度293℃、圧力15kgf/cm2、5mmHg真空下で30分間積層して積層用絶縁シートF−[1]とした。
【0127】
一方、低熱膨張係数の金属コア基板用金属層AとBを用いての下記のような方法で金属層AとBを加工して使用した。
【0128】
金属層A及びBは、上下導通のために、50μmの貫通孔より大きい150μm直径のクリアランスホールをエッチングして加工し、金属層Aはこの表面をプラズマ処理してA−1にして用い、金属層Bはこの表面に黒色酸化銅処理を実施して金属板B−1にして使用した。また、半導体チップに接続する各コーナーに各々三つのバンプ(合計12個)が形成される位置を、表面の金属層と内部の金属コア基板の金属層とをレーザーで直接加工した。形成された加工孔は表面の金属層と内部の金属コア基板とを直接接続させて放熱用にして用いた。
【0129】
このようにして、表1−2のように組み合わせて金属積層板を製作し、それを印刷回路基板とした。具体的には、絶縁シートF−[1]を用いて実施例1と同じく積層・成形し、金属コア基板の両面金属積層板F−[2]とした。このような両面金属積層板を用いて樹脂組成物が充填されたクリアランスホールの中央部にクリアランスホールより小さい50μm直径の貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。半導体チップと接続する各コーナーに存在する12個のバンプが形成された部分には内部の金属コア基板と直接接続するように貫通孔を加工し、貫通孔内部を銅メッキで充填した。表面の金属層をエッチングして、金属層と銅メッキとの総厚さが25μmになるようにした。これを用いて、表面に回路を形成し、表面に用いる金属層とソルダーレジストも表1−2のように選択して用いた。金属層の厚さは信号伝達のために15μm程度になるように形成し、金属コア基板の両面印刷回路基板F−[3]とした。コア部分に存在する低熱膨張係数の金属層は電源層やグラウンド層として使用でき、さらに放熱用としても使用できる。評価結果を表1−2に示す。
【0130】
[実施例3]
有機繊維補強基材Gと絶縁シートG−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をG−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0131】
[実施例4]
有機フィルム補強基材Hと絶縁シートH−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をH−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0132】
[実施例5]
有機フィルム補強基材Iと絶縁シートI−[1]とを用いて金属コア基板の両面印刷回路基板をI−[3]としたことを除いて、実施例2と同じく実験した。評価結果を表1−2に示す。
【0133】
[実施例6]
一方、実施例1から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例1のように加工して、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。この印刷回路基板の表面に黒色酸化銅処理を行い、その両面に各々製作された絶縁シートE−[1]を表2−1のように組み合わせて用いた。最外層に金属層を配置し、上記と同じく積層・成形して、金属コア基板を備えた4層金属積層板を製作した。これにUV−YAGレーザーを用いて孔径50μmのブラインドビアホールを加工してプラズマデスミア処理を実施し、銅メッキでホール内を充填した。表面金属層の総厚さが25μmになるように表面層の銅メッキ部分をエッチングして回路を形成した。その後、黒色酸化銅処理を実施して両面に絶縁シート及び金属層を配置して上記と同じく積層し、ブラインドビアホールを加工してデスミア処理を実施し、銅メッキでホール内を充填し、表面層の銅メッキ部分をエッチングして回路形成を実施して6層印刷回路基板を製作した。この印刷回路基板の両面にソルダーレジスト用樹脂組成物を塗布または積層して付着し、アルカリ現像液を用いて従来と同じ方法で加工した。その他にはUV−YAGレーザーで開口してプラズマエッチング処理を実施することで多層印刷回路基板P−[8]とした。評価結果を表2−1に示す。
【0134】
上記金属コア基板を備えた両面あるいは多層印刷回路基板に鉛フリーハンダを用いてリフロー過程で半導体チップを搭載・接続して半導体プラスチックパッケージを製作した。これはアンダーフィルレジンを用いずに評価を実施した。評価結果を表2−1に示す。
【0135】
上記半導体プラスチックパッケージにおいて、半導体チップ接続方法は上記方法で限定されず、公知の多様な接着方法を用いて接着できる。
【0136】
また、この半導体プラスチックパッケージに用いられる印刷回路基板の製造方法は上記製造方法で限定されず、公知の製造方法を用いることができる。
【0137】
[実施例7]
実施例2から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例2のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0138】
絶縁シートをF−[1]にし、多層印刷回路基板をF−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0139】
[実施例8]
実施例3から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例3のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0140】
絶縁シートをG−[1]にし、多層印刷回路基板をG−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0141】
[実施例9]
実施例4から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例4のように加工することにより、金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0142】
絶縁シートをH−[1]にし、多層印刷回路基板をH−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0143】
[実施例10]
実施例5から製作された金属コア基板の両面金属積層板を用いて実施例5のように加工して金属コア基板を備えた内層用印刷回路基板を製作した。
【0144】
絶縁シートをI−[1]にし、多層印刷回路基板をI−[4]にしたことを除いては、実施例6と同じく実験した。
【0145】
[比較例1]
補強基材としてE−ガラス繊維織布100μmと、樹脂層としてビスマレーイミド・シアン酸エステル樹脂及びエポキシ樹脂とを用いて作られた厚さ100μmのプリプレグを2枚用い、金属層は18μm厚さの電解銅層を両面に配置した両面銅張積層板(商品名;CCL−HL830、三菱ガス化学<株>製)Q−[2]を利用した。上記実施例と同じ方法で貫通孔を加工し、デスミア処理及び銅メッキを実施して回路を形成した。最外層にソルダーレジストを形成して両面印刷回路基板Q−[3]を製作した。ソルダーレジストとしては従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いて、既存の方法で両面印刷回路基板Q−[3]を製作した。また、Q−[2]を用いて製作した内層コア印刷回路基板に黒色酸化銅処理を実施し、この両面に厚さ60μmの積層用プリプレグ(GHPL−830MBH、三菱ガス化学<株>製)Q−[1]を各1枚配置した。その両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置し、温度190℃、圧力20kgf/cm2、5mmHgの真空下で90分間積層して4層両面印刷回路基板を製作した。この基板を用いて、6層多層印刷回路基板Q−[4]を製作した。ソルダーレジストは従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0146】
[比較例2]
補強基材として厚さ200μmの全芳香族ポリアミド繊維不織布(熱膨張係数;−0.2ppm/℃)を用い、樹脂層としてエポキシ樹脂を付着して銅張積層板用絶縁シートR−[1]を製作した。この絶縁シートの金属層は、18μmの電解銅箔を用いて温度175℃、圧力25kgf/cm2、5mmHgの真空下で60分間積層・成形して両面銅張積層板R−[2]を製作した。これを用いて上記と同じ方法で両面印刷回路基板R−[3]を製作した。また、厚さ50μmの全芳香族ポリアミド繊維不織布とエポキシ樹脂とを付着して厚さ60μmの絶縁シートRX−[1]を製作した。これらを用いて上記と同じ方法で6層印刷回路基板R−[4]を製作した。ソルダーレジストは従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0147】
[比較例3]
補強基材として100μmのE−ガラス繊維織布を用いて厚さ50μmの液晶ポリエステル樹脂フィルム(商品名;BIAC、融点335℃、CTE;17.1ppm/℃、ジャパンゴアテックス<株>製)をガラス繊維織布の両面に配置した。その外側に厚さ50μmのフッ素樹脂フィルムを配置し、その両外側に厚さ2mmのステンレス板を配置して、温度330℃、圧力25kgf/cm2、5mmHgの真空下で30分間積層・成形してプリプレグS−[1]を製作した。この両面に厚さ18μmの銅箔を配置して上記と同じく積層・成形して両面銅張積層板S−[2]を製作した。この銅張積層板を用いて上記と同じ方法で製作して両面印刷回路基板S−[3]を製作した。また、厚さ40μmのE−ガラス繊維織布を用いて上記両面に液晶ポリエステル樹脂フィルム25μmを配置し、上記と同じ方法で積層して絶縁シートSY−[1]を製作した。これらを用いて上記と同じ方法で製作して多層印刷回路基板S−[4]を製作した。ソルダーレジストも従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【0148】
[比較例4]
比較例1で、両面銅張積層板Q−[2]の代わりに厚さ200μmの銅層を準備し、これをエッチングして孔径150μmの貫通孔を形成した。この銅層に黒色酸化銅処理を実施し、この両面にプリプレグQ−[1]を各々1枚ずつ配置し、その両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置した。その後、温度190℃、圧力20kgf/cm2、5mmHgの真空下で90分間積層して両面銅張積層板T−[2]を製作した。これを用いて実施例1と同じく加工して金属コア基板の両面印刷回路基板T−[3]を製作した。また、内層金属コア基板の印刷回路基板を用いて、この表面に黒色酸化銅処理し、その両面にプリプレグQ−[1]を各々1枚ずつ配置した。その後、基板両外側に厚さ18μmの電解銅箔を配置し、上記と同じ方法で積層・成形して4層銅張積層板とし、実施例1と同じ方法で加工した。その後、上記と同じ方法で積層・成形及び加工して6層銅張積層板とし、6層印刷回路基板T−[4]とした。
【0149】
ソルダーレジストも従来のアルカリ現像のためのUV硬化型ソルダーレジストNを用いた。また、コア層の銅層には放熱用ビアが接続しなかった。評価結果を表1−3及び表2−2に示す。
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表2−1】
【表2−2】
[測定方法]
(1)熱膨張係数
TMAで測定した。25〜150℃の値を示した。
【0150】
(2)反り・捻れ
サイズ40×40mmの印刷回路基板の中央にサイズ10×10mm、厚さ400μmの鉛フリーハンダバンプが形成された半導体チップを一つだけ接続させた。半導体チップと印刷回路基板との間にアンダーフィルレジンを充填していない半導体プラスチックパッケージを各々100個用いて反り・捻れをレーザー測定装置で測定した。最初の印刷回路基板の反り・捻れは50±5μmのものを選択して測定した。半導体チップを搭載接続した後に反り・捻れをレーザー測定装置で測定し、その反り・捻れの増加した最大値を示した。
【0151】
(3)冷熱衝撃試験
(2)と同じ方法で製作した半導体プラスチックパッケージを100個用い、−60℃で30分間維持し、また150℃で30分間維持する温度サイクル試験を1,000サイクル行ってから、電気チェックで半導体チップと印刷回路基板との接続の良否を確認した。抵抗値変化率が±15%を超えるものを不良にした。また、半導体チップの割れ、クロスセクションによるハンダのクラック、剥離も確認した。表に良品数を示した。
【0152】
(4)熱放出性
メインボードに半導体プラスチックパッケージを鉛フリーハンダを用いて接続させた。半導体チップを作動させて半導体チップの温度が85℃になると作動を停止させ、10分経過後に半導体チップの温度を測定した。
【0153】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の一実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図9】本発明の他の実施例による絶縁シートの製造方法を示す工程図である。
【図10】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図11】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明による絶縁シートを用いた半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図13】本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図14】本発明による絶縁シートを用いた多層半導体プラスチックパッケージの製造方法を示す工程図である。
【図15】本発明の一実施例による絶縁シートを示す断面図である。
【図16】本発明の一実施例による印刷回路基板の断面図である。
【符号の説明】
【0155】
10:補強基材
20:熱可塑性樹脂層
30、32:コア基板
34:貫通孔
40:回路パターン
42:金属層
50:ランド
60:ソルダーレジスト
70:ビア
80:ハンダボール
90:半導体チップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、
前記補強基材に積層された前記熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、
前記コア基板上に前記補強基材と前記熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含む絶縁シートの製造方法。
【請求項2】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項3】
前記コア基板が、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含む群より選ばれる何れか一種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項4】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項5】
前記補強基材が、有機繊維または無機繊維を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項6】
前記有機繊維が、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含む群より選ばれる何れか一種を含むことを特徴とする請求項5に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項7】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項5に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項10】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、
前記コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項12】
補強基材と、
前記補強基材に積層される熱可塑性樹脂層と、
前記熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、を含む絶縁シート。
【請求項13】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の絶縁シート。
【請求項14】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12または13に記載の絶縁シート。
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項17】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項18】
前記コア基板に選択的に貫通孔が形成されることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項19】
前記コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項20】
熱可塑性樹脂層が両面に積層された補強基材を提供するステップと、
前記補強基材の両面に積層された前記熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、
前記コア基板上に前記補強基材と前記熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、
露出した前記熱可塑性樹脂層に回路パターンを形成するステップと、を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項22】
前記コア基板が、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含む群より選ばれる何れか一種以上を含むことを特徴とする請求項20〜21のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項23】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項24】
前記補強基材が、有機繊維または無機繊維を含むことを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記有機繊維が、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含む群より選ばれる何れか一種を含むことを特徴とする請求項24に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項24に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項27】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20〜26のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項29】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項20〜28のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項30】
前記熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、
前記コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20〜29のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項31】
補強基材と、
前記補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層と、
前記熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、
露出した前記熱可塑性樹脂層に形成される回路パターンと、を含む印刷回路基板。
【請求項32】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31に記載の印刷回路基板。
【請求項33】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31または32に記載の印刷回路基板。
【請求項34】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31〜33のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項35】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項31〜34のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項36】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項31〜35のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項37】
前記コア基板に選択的に貫通孔が形成されることを特徴とする請求項31〜36のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項38】
前記コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことを特徴とする請求項31〜37のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項1】
熱可塑性樹脂層が積層された補強基材を提供するステップと、
前記補強基材に積層された前記熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、
前記コア基板上に前記補強基材と前記熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、を含む絶縁シートの製造方法。
【請求項2】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項3】
前記コア基板が、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含む群より選ばれる何れか一種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項4】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項5】
前記補強基材が、有機繊維または無機繊維を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項6】
前記有機繊維が、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含む群より選ばれる何れか一種を含むことを特徴とする請求項5に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項7】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項5に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項10】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、
前記コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁シートの製造方法。
【請求項12】
補強基材と、
前記補強基材に積層される熱可塑性樹脂層と、
前記熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、を含む絶縁シート。
【請求項13】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の絶縁シート。
【請求項14】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12または13に記載の絶縁シート。
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項16】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項17】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項18】
前記コア基板に選択的に貫通孔が形成されることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項19】
前記コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の絶縁シート。
【請求項20】
熱可塑性樹脂層が両面に積層された補強基材を提供するステップと、
前記補強基材の両面に積層された前記熱可塑性樹脂層をコア基板上に積層するステップと、
前記コア基板上に前記補強基材と前記熱可塑性樹脂層とを熱加圧するステップと、
露出した前記熱可塑性樹脂層に回路パターンを形成するステップと、を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項22】
前記コア基板が、銅、鉄、ニッケル、マグネシウム、コバルト、タングステン、チタン、及びアルミニウムを含む群より選ばれる何れか一種以上を含むことを特徴とする請求項20〜21のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項23】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項24】
前記補強基材が、有機繊維または無機繊維を含むことを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記有機繊維が、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、及び液晶ポリエステル繊維を含む群より選ばれる何れか一種を含むことを特徴とする請求項24に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項24に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項27】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項20〜26のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項28】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項29】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項20〜28のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項30】
前記熱可塑性樹脂層を積層するステップの前に、
前記コア基板に選択的に貫通孔を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20〜29のいずれか1項に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項31】
補強基材と、
前記補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層と、
前記熱可塑性樹脂層と片面とが対向するように積層されるコア基板と、
露出した前記熱可塑性樹脂層に形成される回路パターンと、を含む印刷回路基板。
【請求項32】
前記コア基板の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31に記載の印刷回路基板。
【請求項33】
前記補強基材の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31または32に記載の印刷回路基板。
【請求項34】
前記熱可塑性樹脂層の縦横方向の熱膨張係数が、−20〜9ppm/℃の範囲であることを特徴とする請求項31〜33のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項35】
前記熱可塑性樹脂層が、液晶ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項31〜34のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項36】
前記補強基材の融点が、前記熱可塑性樹脂層の融点より高いことを特徴とする請求項31〜35のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項37】
前記コア基板に選択的に貫通孔が形成されることを特徴とする請求項31〜36のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【請求項38】
前記コア基板の他面に積層され、補強基材の両面に積層される熱可塑性樹脂層をさらに含むことを特徴とする請求項31〜37のいずれか1項に記載の印刷回路基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−246333(P2009−246333A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274652(P2008−274652)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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