説明

通信システム、送信機および方法、並びに受信機および方法

【課題】低コストでより安全なキーレスエントリーシステムを実現することができるようにする。
【解決手段】送信機101は、操作部の操作に対応して、車載機102に対して送信すべき情報を表す信号を、所定の通信速度の信号として送出する。車載機102は、自動車110の内部に取り付けられ、送信機101から送信された電波を受信して、自動車110のドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4のモータ、スライドドアアクチュエータ125のモータなどを駆動させる制御信号を出力する。送信機101から送信される信号の通信速度を変更することにより、ドアロックに関する信号の到達距離よりも、スライドドアに関する信号の到達距離を短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、送信機および方法、並びに受信機および方法に関し、特に、低コストでより安全なキーレスエントリーシステムを実現することができるようにする通信システム、送信機および方法、並びに受信機および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、車両のエントリーシステムとして、いわゆるキーレスエントリーシステムが実用化されている。キーレスエントリーシステムは、例えば、ユーザが所持する送信機と車両に装着された受信機で構成される。
【0003】
キーレスエントリーシステムは、例えば、ユーザが送信機に装備されたスイッチを押すと、押されたスイッチの組み合わせに応じた信号を出力し、受信機の受信回路で復号された情報を受信機内のプロセッサが正規の信号と認識した場合、ドアの施錠や開錠を行うシステムである。近年、キーレスエントリーシステムの制御の対象がトランク、ヘッドライトなどにも広がってきている。
【0004】
ドアと比べてヘッドライトなどは、自動車に遠い距離から操作できることが望ましい。そのために、送信機から信号を送信する時の送信強度を切替えることができるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、送信機からの信号のデューティ比を切替えることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−141151号公報
【0006】
【特許文献2】特開平10−166966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、キーレスエントリーシステムによれば、送信機からの信号が届くエリア内でユーザが送信機のスイッチ操作を行うと、車両に装着された受信機は復号した信号の情報に従って処理を行う。送信機から発せられる全ての信号がユーザの意図した操作に基づいていれば問題ないが、送信機をポケットやカバンの中にいれていた場合に、偶然スイッチ部分に当たってユーザの意図しない信号が出力されることがある。
【0008】
例えば、ドアロックの施錠または開錠を行う処理であれば、ドアが可動することはないが、トランクオープナーや電動スライドドアの開放などの処理の場合、トランクやドアが実際に可動するため、誤って動作してしまうと危険を伴ったり、盗難につながる恐れがある。
【0009】
そこで、電波信号の到達距離を車両近傍のみに制限することで、受信機による処理が行われたことを、ユーザがより気づきやすくなるようにすることが考えられるが、例えば、電波信号の到達距離を制御する技術として、送信側で出力パワーの制御を行ったり、受信側で電界強度の大小を比較するなどの方式を採用した場合、数点の制御用、または計測用の回路、部品などの追加が必要となりコストアップ要因となる。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低コストでより安全なキーレスエントリーシステムを実現することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による通信システムは、ユーザが携帯可能な送信機と、送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する車両に搭載された受信機とからなる通信システムにおいて、送信機は、ユーザの操作が、複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定する操作特定手段と、予め記憶している複数の情報のうち、特定された操作に対応する情報を、情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成するデータ生成手段と、データ生成手段により生成されたデータの信号を変調する変調手段と、変調された信号を無線送信する送信手段とを備え、受信機は、送信機から送信された信号を受信して信号をデータに復調する復調手段と、復調手段により復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタであって、第2の通信速度のデータを、第1の通信速度のデータより大きく減衰させるフィルタと、フィルタを通過したデータの電圧レベルを、閾値と比較する比較手段と、比較手段の比較により閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力する制御手段とを備える通信システムである。
【0012】
本発明の通信システムにおいては、送信機により、ユーザの操作が、複数の機器のいずれに対応する操作であるかが特定され、予め記憶している複数の情報のうち、特定された操作に対応する情報が、情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成され、生成されたデータの信号が変調され、変調された信号が無線送信される。また、受信機により、送信機から送信された信号が受信されて信号がデータに復調され、復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタにより、第2の通信速度のデータが、第1の通信速度のデータより大きく減衰させられ、フィルタを通過したデータの電圧レベルが、閾値と比較され、比較により閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて車両に搭載された機器を制御するための制御信号が出力される。
【0013】
従って、操作に応じた信号の到達距離を設定することができる。
【0014】
本発明による送信機は、ユーザが携帯可能な送信機と、送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する送信機であって、ユーザの操作が、複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定する操作特定手段と、予め記憶している複数の情報のうち、特定された操作に対応する情報を、情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成するデータ生成手段と、データ生成手段により生成されたデータの信号を変調する変調手段と、変調された信号を無線送信する送信手段とを備える送信機である。
【0015】
前記第1の通信速度のデータは、車両のドアロックの制御に関するデータとされ、第2の通信速度のデータは、車両のスライドドアの制御に関するデータとされるようにすることができる。
【0016】
従って、車両のスライドドアの制御に関する操作の信号の到達距離を、車両のドアロックの制御に関する操作の信号の到達距離より短くすることができる。
【0017】
本発明の送信方法は、ユーザが携帯可能な送信機と、送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する送信機の送信方法であって、ユーザの操作が、複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定し、予め記憶している複数の情報のうち、特定された操作に対応する情報を、情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成し、生成されたデータの信号を変調し、変調された信号を無線送信するステップを含む送信方法である。
【0018】
本発明の送信機および方法においては、ユーザの操作が、複数の機器のいずれに対応する操作であるかが特定され、予め記憶している複数の情報のうち、特定された操作に対応する情報が、情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成され、生成されたデータの信号が変調され、変調された信号が無線送信される。
【0019】
本発明による受信機は、ユーザが携帯可能な送信機と、送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する受信機であって、送信機から送信された信号を受信して信号をデータに復調する復調手段と、復調手段により復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタであって、第2の通信速度のデータを、第1の通信速度のデータより大きく減衰させるフィルタと、フィルタを通過したデータの電圧レベルを、閾値と比較する比較手段と、比較手段の比較により閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力する制御手段とを備える受信機である。
【0020】
前記制御手段は、第1の通信速度のデータが供給された場合、車両のドアロックの制御に関する制御信号を出力し、第2の通信速度のデータが供給された場合、車両のスライドドアの制御に関する制御信号を出力するようにすることができる。
【0021】
従って、車両のスライドドアの制御に関する操作の信号の到達距離を、車両のドアロックの制御に関する操作の信号の到達距離より短くすることができる。
【0022】
本発明による受信方法は、ユーザが携帯可能な送信機と、送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する受信機の受信方法であって、送信機から送信された信号を受信して信号をデータに復調し、復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタにより、第2の通信速度のデータを、第1の通信速度のデータより大きく減衰させ、フィルタを通過したデータの電圧レベルを、閾値と比較し、比較により閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力するステップを含む受信方法である。
【0023】
本発明の受信機および方法においては、送信機から送信された信号が受信されて信号がデータに復調され、復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタにより、第2の通信速度のデータが、第1の通信速度のデータより大きく減衰させられ、フィルタを通過したデータの電圧レベルが、閾値と比較され、比較により閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて車両に搭載された機器を制御するための制御信号が出力される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低コストでより安全なキーレスエントリーシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明は、本発明を適用した通信システムの一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。この通信システム100は、送信機と受信機により構成されるものである。通信システム100は、例えば、自動車のキーレスエントリーシステムとして構成され、送信機は、ユーザにより携帯され、受信機は、例えば、自動車に取り付けられる車載機として構成される。同図の例では、送信機101と、自動車110に取り付けられた車載機102とにより通信システム100が構成される。
【0027】
送信機101は、その操作表面には、例えば、押しボタン式の操作部を有する構成とされ、操作部には後述するように複数のスイッチが設けられている。また、送信機101は、内蔵電池など有しており、操作部の操作に対応して、車載機102に対して送信すべき情報を表す信号を、送出するようになされている。
【0028】
車載機102は、例えば、自動車110の内部に取り付けられ、自動車110のドア付近などに取り付けられたアンテナを介して送信機101から送信された電波を受信できるように取り付けられる。
【0029】
車載機102は、自動車110のドアの開施錠機構のモータなどを駆動させるドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4、自動車110のスライドドアを開放させるために駆動されるモータなどを駆動させるスライドドアアクチュエータ125などと制御用配線などにより接続され、送信機101から送信された電波に対応してドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4のモータ、スライドドアアクチュエータ125のモータなどを駆動させる制御信号を出力する。
【0030】
なお、車載機102と送信機101との距離に応じて、車載機102が受信する送信機からの信号の強度は変化する。すなわち、車載機102と送信機101との距離が小さければ、受信した信号の強度は大きく、車載機102と送信機101との距離が大きければ、受信した信号の強度は小さくなる。従って、車載機102と送信機101とが通信可能となる距離の限界(通信可能範囲)は、予め定められているものとする。
【0031】
図2は、送信機101の構成例を示すブロック図である。上述したように、送信機101の外部には、操作部131が設けられており、操作部131には、人が操作できるスイッチA乃至スイッチDが設けられている。
【0032】
例えば、スイッチAは、ドアの施錠(ドアロック)のためのスイッチとされ、スイッチBは、ドアの開錠(ドアロックの解除)のためのスイッチとされる。また、スイッチCは、スライドドアの開扉のためのスイッチとされ、スイッチDは、スライドドアの閉扉のためのスイッチとされる。
【0033】
制御部141は、例えば、マイクロコンピュータと入出力インタフェースなどから構成される。また、制御部141を構成するマイクロコンピュータに実装されるプログラムなどのソフトウェアは、少なくとも操作特定部とデータ生成部とを含む機能的構成を有するものとされる。
【0034】
例えば、ユーザがスイッチAを押すと、制御部141のマイクロコンピュータでプログラムが実行され、操作特定部が、例えば、スイッチAの接点の状態を入力として読み込んで、スイッチAが操作されたことを特定し、データ生成部がスイッチAに対応した所定の情報を2値化されたデジタルデータとして生成し、生成したデジタルデータを変調回路143に出力する。このスイッチAに対応した情報はマイクロコンピュータのメモリ等に予め記憶されており、同様にそれぞれスイッチB乃至スイッチDに対応した情報も、マイクロコンピュータのメモリ等に予め記憶されている。
【0035】
スイッチA乃至スイッチDに対応した所定の情報を2値化したデジタルデータには、プリアンブル、送信機固有のIDコードや暗号化のためのローリングコードなどが含まれる。
【0036】
スイッチA乃至スイッチDに対応した所定の情報を2値化したデジタルデータのうち、それぞれのスイッチ毎に異なっている部分は機能コードと呼ばれ、例えば、機能コードが「0101」であればドア施錠を意味するように設定されている。
【0037】
変調回路143は、このようなデジタルデータをベースバンド信号としてASK(Amplitude Shift Keying)変調を加える。
【0038】
そして、この変調された信号が送信回路142に送られて、アンテナ145を介して送信される。
【0039】
また、制御部141、変調回路143および送信回路142は、複数の種類の通信速度により信号を送信できるようになされている。送信機101においては、スイッチA乃至スイッチDに対応した通信速度(ボーレート)が予め設定されており、例えば、スイッチAとスイッチBに対応したデータの通信速度f1は、2Kbpsに設定されている。スイッチCとスイッチDに対応したデータの通信速度f2は、4Kbpsに設定されている。
【0040】
制御部141により生成されるデジタルデータの通信速度、並びに変調回路143および送信回路142が送信する信号の通信速度は、制御部141のマイクロコンピュータのソフトウェアにより選択されるようにしてもよいし、所定のハードウェアによって選択されるようにしてもよい。
【0041】
上述したように、スイッチAまたはスイッチBが操作された場合、送信機101から送信される信号は、通信速度f1とされ、スイッチCまたはスイッチDが操作された場合、送信機101から送信される信号は、通信速度f2とされる。
【0042】
すなわち、スイッチAが操作されると、制御部141により、例えば、図3Aに示されるようなベースバンド信号(デジタルデータ)が生成され、スイッチCが操作されると、制御部141により、例えば、図3Bに示されるようなベースバンド信号(デジタルデータ)が生成される。
【0043】
いまの場合、図3Aは、通信速度が2Kbpsのデジタルデータなので、周波数が2KHzのパルス信号となり、図3Bは、通信速度が4Kbpsのデジタルデータなので、周波数が4KHzのパルス信号となる。
【0044】
そして、変調回路143が、図3Aまたは図3Bに示されるようなベースバンド信号を、図4に示されるような搬送波を用いてASK変調する。
【0045】
その結果、スイッチAが操作されると、図5Aに示されるようなボーレートが2Kbpsの、ASK変調された信号が送信機から送信され、スイッチCが操作されると、図5Bに示されるようなボーレートが4Kbpsの、ASK変調された信号が送信機から送信されることになる。
【0046】
ここでは、変調方式としてASK変調を採用する場合を例として説明しているが、FSK(Frequency Shift Keying)変調、PSK(Phase Shift Keying)変調などの他の変調方式が採用されるようにしてもよい。
【0047】
また、ここでは、説明が簡単になるように、ベースバンド信号が2値化された「0」または「1」の情報の通り、レベルが「0」または「1」に変化するパルスとして生成される例について説明したが、例えば、マンチェスタ符合など他のデータ体系に基づいてベースバンド信号が生成されるようにしてもよい。
【0048】
なお、送信機101のスイッチは、必ずしも制御対象ごとに1つずつ存在する必要はなく、例えば1つのスイッチを2つの制御対象に対応させてもよい。具体的には、スイッチを短い間だけ押した場合には、ドア開錠に関する信号が送信され、所定時間以上の長い間スイッチを押した場合には、スライドドア開扉に関する信号が送信されるようにしてもよい。
【0049】
図6は、車載機102の構成例を示すブロック図である。
【0050】
送信機101から送信されてきた信号はアンテナ166で受信され、信号処理部165において信号が増幅され、搬送波が図示せぬ局部発振部からの信号と混合され中間周波数に変換されて検波部164に供給される。すなわち、いわゆるスーパーヘテロダイン方式を用いて受信した信号が処理される。
【0051】
信号処理部165により中間周波数に変換された信号は検波部164において、包絡線検波されてベースバンド信号に復調される。復調されたベースバンド信号は、例えば、送信機101の制御部141が出力したデジタルデータと同じデータとなる。
【0052】
検波部164で復調されたデータはフィルタ部163に供給される。フィルタ部163は、図7に示されるような特性を有するフィルタとして構成されており、所定の周波数の信号の利得を下げるようになされている。図7では、縦軸が利得、横軸が周波数とされ、フィルタ部163のフィルタの特性が線191で示されている。
【0053】
図7に示されるように、周波数f1を超える所定の値以上の周波数の信号がフィルタ部163を通過すると、利得が下げられて信号が減衰することになる。一方、その所定の値以下の周波数の信号がフィルタ部163を通過すると、利得は変化せず、信号は減衰しないことになる。換言すれば、信号の周波数に応じてフィルタ部163を通過する信号の減衰量が変化するようになされている。
【0054】
送信機101から送信された信号の周波数(通信速度)がf1の場合には、検波部164で復調されたデータの周波数もやはりf1となる。図3乃至図5を参照して上述したように、送信機101から送信されるASK変調された信号のボーレート(通信速度)が2Kbpsの場合、変調前のベースバンド信号は、2KHzのパルス信号だからである。従って、送信機101のスイッチAまたはスイッチBの操作に対応する信号が受信された場合、検波部164で復調されたデータがフィルタ部163を通過しても減衰しない。
【0055】
送信機101から送信された信号の周波数(通信速度)がf2の場合には、検波部164で復調されたデータの周波数もやはりf2となる。図3乃至図5を参照して上述したように、送信機101から送信されるASK変調された信号のボーレート(通信速度)が4Kbpsの場合、変調前のベースバンド信号は、4KHzのパルス信号だからである。従って、送信機101のスイッチCまたはスイッチDの操作に対応する信号が受信された場合、検波部164で復調されたデータがフィルタ部163を通過すると減衰する。
【0056】
図7に示した例では、フィルタ部163がいわゆるローパスフィルタにより構成される例として説明したが、例えば、フィルタ部163がバンドパスフィルタやハイパスフィルタで構成されるようにしても構わない。要は、f2の周波数における減衰量がf1の周波数における減衰量より大きく設定できるフィルタであれば良い。
【0057】
また、フィルタ部163は、複数のフィルタで構成されるようにしてもよい。この場合、例えば、2つのフィルタを直列にならべて、1段目の減衰量と2段目の減衰量との総和に基づいて、f1の周波数での減衰量とf2の周波数での減衰量に差を設ければよい。
【0058】
図6に戻って、フィルタ部163を通過したデータは、コンパレータ162に供給される。コンパレータ162は、フィルタ部163から供給されたデータの電圧レベルを、所定の閾値と比較し、データの電圧レベルが閾値以上であれば、そのデータを制御部161に出力し、データの電圧レベルが閾値未満であれば、そのデータは全て「0」あるいは無信号として制御部161に出力されるようになされている。
【0059】
制御部161は、マイクロコンピュータ等を有する構成とされ、データが制御部161に入力されると、制御部161は入力されたデータに含まれるIDコードや機能コードなどとマイクロコンピュータのメモリなどに予め記憶されているデータとの照合を行う。コンパレータ162から入力されたデータに含まれる機能コードが記憶されているデータ(複数の機能コードを表すデータ)のうちのいずれかと一致した場合、制御部161は、その機能コードに応じて所定の制御を実行する。
【0060】
例えば、機能コードがドア施錠を表す「0101」であると制御部161が判定した場合、車載機102からドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4を駆動させるための制御信号を出力する。これにより、ドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4は、ドアをロックするようにモータ等を駆動する。
【0061】
本発明においては、操作されたスイッチに応じて送信機101から送信された信号に基づいて、車載機102を動作させることが可能となる距離(車載機102と送信機101との距離)が異なるようになされている。
【0062】
ここで、フィルタ部163とコンパレータ162の動作についてさらに詳しく説明する。
【0063】
まず最初に、送信機101から送信される信号の通信速度がf1(=2Kbps)の場合の例について説明する。
【0064】
送信機101と車載機102との距離が予め設定された通信可能範囲(例えば、約10m)内であれば、図8Aに示されるような信号が車載機102のアンテナ166で受信され、図8Bに示されるような包絡線検波された2Kbpsのデータ、すなわち2KHzのパルス信号は、図8Cに示されるようにフィルタ部163では減衰せずに、コンパレータ162に送られる。図7を参照して上述したように、フィルタ部163のフィルタ特性により、通信速度(周波数)f1のデータは減衰しないからである。この場合、図8Dに示されるように、コンパレータ162に供給されたデータの電圧レベルは図中点線で示される閾値以上のものとなり、図8Eに示されるようなデータが制御部161に供給される。
【0065】
一方、送信機101と車載機102との距離が予め設定された通信可能範囲(例えば、約10m)を超えている場合、車載機102で受信された時点において既に信号の強度は小さいため、包絡線検波後にフィルタ部163で減衰しないにも関わらず、コンパレータ162において閾値未満の電圧レベルと判定される。そのため、制御部161に供給されるデータは全て「0」となり、送信機101から送信されたデータは、車載機102では検出できないことになる。
【0066】
従って、送信機101が通信速度f1の信号を送信する場合、すなわちスイッチAまたはスイッチBが操作された場合、送信機101と車載機102との距離が予め設定された通信可能範囲内であれば、送信機101から送信された信号に基づいて、車載機102を動作させることが可能となる。
【0067】
次に、送信機101から送信される信号の通信速度がf2=4Kbpsの場合の例について説明する。
【0068】
通信速度がf2=4Kbpsの場合、図9Aに示されるような信号が車載機102のアンテナ166で受信され、図9Bに示されるような車載機102で包絡線検波された4Kbpsのデータ、すなわち4KHzのパルス信号は、図9Cに示されるようにフィルタ部163で減衰して、コンパレータ162に送られる。すなわち、図9Bに示されるパルス信号と比較して、図9Cに示されるパルス信号は、振幅が小さく、電圧レベルが低いものとなっている。図7を参照して上述したように、フィルタ部163のフィルタ特性により、通信速度(周波数)f2のデータは減衰させられるからである。
【0069】
従って、車載機102のアンテナ166で受信した信号の強度が充分に大きくなければ、図9Dに示されるように、コンパレータ162に供給されたデータの電圧レベルは図中点線で示される閾値未満となってしまう。例えば、送信機101と車載機102との距離が約10mであれば、本来通信可能範囲であるにも係らず車載機102のアンテナ166で受信した信号の強度はあまり大きいものではないので、コンパレータ162に供給されるデータの電圧レベルが閾値未満となってしまい、制御部161に供給されるデータは、図9Eに示されるように全て「0」となる。
【0070】
通信速度がf2の場合、送信機101と車載機102との距離が充分に近ければ、車載機102で包絡線検波されたデータはフィルタ部163で減衰して電圧レベルが小さくなるものの、アンテナ166で受信されたときの信号の強度が充分大きいために、コンパレータ162において電圧レベルが閾値以上と判定されることになる。そのため、フィルタ部163を通過してコンパレータ162に供給されたデータが制御部161にも出力されることになる。
【0071】
従って、通信速度がf2の場合、通信速度がf1の場合における通信可能範囲よりも小さい通信可能範囲が擬似的に設定されることになる。通信速度がf2の場合の通信可能範囲を擬似的通信可能範囲と称することにし、擬似的通信可能範囲は、例えば、約1mと設定されていることとする。
【0072】
上述したように、制御部161では、供給されたデータに含まれる機能コードを、メモリなどに記憶されているデータと照合し、データの機能コードに応じて所定の制御信号を出力する。例えば、供給されたデータに含まれる機能コードが、スライドドアを開扉することを意味する機能コード「1010」であると制御部161が判定した場合、スライドドアアクチュエータ125を駆動させるための制御信号が出力される。これにより、スライドドアアクチュエータ125はモータ等を駆動し、自動車110のスライドドアが開くことになる。
【0073】
一方、送信機101と車載機102との距離が設定された擬似的通信可能範囲(約1m)を超えていれば、アンテナ166で受信されたときの信号の強度が小さくなり、車載機102で包絡線検波されたデータはフィルタ部163で減衰して電圧レベルがさらに小さくなって、もはやコンパレータ162において電圧レベルが閾値以上と判定されることはない。そのため、フィルタ部163を通過してコンパレータ162に供給されたデータが制御部161には出力されず、送信機101からの信号は車載機102で受信されなかったことと同じことになる。
【0074】
いま、送信機101と車載機102との距離が、擬似的通信可能範囲(約1m)から通信可能範囲(約10m)の間の距離(例えば、5m)であるとする。
【0075】
いまの場合、例えば、ユーザがスイッチCを押すと、通信速度f2で機能コード「1010」を含むデータがASK変調されて送信機から送信される。そして、送信機101と車載機102との距離が擬似的通信可能範囲(約1m)内であるときに比べて弱い強度で車載機102は送信された信号を受信する。このため、包絡線検波されたデータがフィルタ部163で減衰されてコンパレータ162で閾値未満と判定され、制御部161にはデータが供給されず、自動車110のスライドドアは開かない。
【0076】
一方、例えば、ユーザがスイッチAを押すと、通信速度f1で機能コード「0101」を含むデータがASK変調されて送信機から送信され、車載機102は送信された信号を受信するが、包絡線検波されたデータがフィルタ部163で減衰されないのでコンパレータ162で閾値以上と判定され、制御部161にはデータが供給される。この結果、自動車110のドアがロックされる。
【0077】
従って、例えば、自動車110から5mの距離に居る運転者がスイッチAを押してドアをロックすることはできるが、スイッチCを押してスライドドアを開けることはできないことになる。スライドドアを開けるためには、自動車110から1m以内までに近づいてスイッチCを押さなければならない。
【0078】
このような構成にすることによって、スライドドアを開閉するためには、自動車の状況が良く見える距離(例えば、1m以内)でスイッチを操作しなければならないので、安全性が高くなる。また、遠距離で誤ってスイッチCやスイッチDが押された場合、スライドドアは開閉しないため安全性が高い。
【0079】
例えば、送信機101をポケットやカバンの中にいれていた場合に、偶然スイッチ部分に当たってユーザの意図しない信号が出力されることがある。
【0080】
例えば、ドアロックの施錠または開錠を行う処理であれば、ドアが可動することはないが、スライドドアの開放などの処理の場合、スライドドアが実際に可動するため、誤って動作してしまうと危険を伴ったり、盗難につながる恐れがある。
【0081】
本発明においては、スライドドアの開扉、または閉扉の信号の到達距離を、車両近傍のみに制限することが可能であり、車載機102により、実際にスライドドアを開く(または閉じる)処理が行われたことを、ユーザがより気づきやすくなるようにすることが可能である。従って、キーレスエントリーシステムの安全性を高めることができる。
【0082】
ここでは、スライドドアの開閉の場合、信号の到達距離を、車両近傍のみに制限する例について説明したが、例えば、トランク開錠やハッチバックドアの開閉などの場合、信号の到達距離を、車両近傍のみに制限するようにしてもよい。
【0083】
また、本発明では、通信速度f1と通信速度f2の切り替えは送信機101のマイクロコンピュータのソフトウェアで制御できるために、特別なハードウェアは必要とされないので、小型化や低コスト化が実現できる。また、車載機102も、通信速度f1の信号と通信速度f2の信号とを同じフィルタを用いて抽出できるので、余分なハードウェアは必要とされず、やはり小型化や低コスト化が実現できる。
【0084】
なお、車載機102において、受信した信号のノイズの除去のために用いられるフィルタを、フィルタ部163のフィルタとして用いるようにすることも可能である。このようにすることで、さらなる小型化や低コスト化が実現できる。
【0085】
次に、図10のフローチャートを参照して、送信機101による送信処理について説明する。この処理は、例えば、ユーザが送信機101の操作部131のスイッチを操作したとき実行される。
【0086】
ステップS21において、制御部141は、操作されたスイッチがどのスイッチであったかを判定し、そのスイッチに対応して処理を進める。
【0087】
ステップS21において、スイッチAまたはスイッチBが操作されたと判定された場合、処理は、ステップS22に進む。
【0088】
ステップS22において、制御部141は、例えば、マイクロコンピュータのメモリ等に予め記憶されている、スイッチAまたはスイッチBに対応した機能コードを読み出す。
【0089】
ステップS23において、制御部141は、ステップS22の処理で読み出された機能コードと、プリアンブル、送信機固有のIDコードや暗号化のためのローリングコードなどを含んだデジタルデータを、通信速度f1(周波数f1)のベースバンド信号として生成する。
【0090】
ステップS21において、スイッチCまたはスイッチDが操作されたと判定された場合、処理は、ステップS24に進む。
【0091】
ステップS24において、制御部141は、例えば、マイクロコンピュータのメモリ等に予め記憶されている、スイッチCまたはスイッチDに対応した機能コードを読み出す。
【0092】
ステップS25において、制御部141は、ステップS24の処理で読み出された機能コードと、プリアンブル、送信機固有のIDコードや暗号化のためのローリングコードなどを含んだデジタルデータを、通信速度f2(周波数f2)のベースバンド信号として生成する。
【0093】
ステップS26において、変調回路143は、ステップS23またはステップS25の処理で生成されたベースバンド信号にASK変調を加える。
【0094】
ステップS27において、送信回路142は、ステップS26の処理で変調された信号を、アンテナ145を介して送信する。
【0095】
このようにして、送信機101からユーザが所望する処理であって、例えば、ドアロックまたは解除の処理、またはスライドドアの開閉の処理に対応する信号が送信機101から車載機102に送信される。
【0096】
次に、図11のフローチャートを参照して、車載機102の受信処理について説明する。この処理は、例えば、送信機101から送信されてきた信号が車載機102のアンテナ166で受信されたとき実行される。
【0097】
ステップS41において、信号処理部165は、いわゆるスーパーへテロダイン方式により受信した信号を中間周波数の信号に変換する。
【0098】
ステップS42において、検波部164は、ステップS41の処理の結果得られた信号を、包絡線検波してベースバンド信号に復調する。
【0099】
ステップS43において、フィルタ部163は、ステップS42の処理の結果得られたベースバンド信号に対してフィルタ処理を施す。このとき、例えば、図7に示されるような特性に対応して所定の周波数の信号の利得が下げられ、周波数f1を超える周波数の信号がフィルタ部163を通過すると、利得が下げられて信号が減衰することになるが、周波数f1以下の周波数の信号がフィルタ部163を通過すると、利得は変化せず、信号は減衰しない。
【0100】
ステップS44において、コンパレータ162は、ステップS43の処理を経てフィルタ部163から供給されたデータの電圧レベルを、所定の閾値と比較し、データの電圧レベルが閾値以上であれば、ステップS45で、そのデータを制御部161に出力する。データの電圧レベルが閾値未満であれば、コンパレータ162は、ステップS46で、そのデータは全て「0」あるいは無信号として制御部161に出力する。
【0101】
ステップS47において制御部161は、ステップS45またはステップS46の処理の結果供給されたデータに含まれるIDコードや機能コードなどとメモリなどに予め記憶されているデータと照合し、コンパレータ162から供給されたデータに対応する機能コードが特定できたか否かを判定する。ステップS47において、コンパレータ162から供給されたデータに含まれる機能コードが、予め記憶されているデータ(複数の機能コードを表すデータ)のうちのいずれかと一致して、機能コードが特定できたと判定された場合、処理は、ステップS48に進む。
【0102】
ステップS48において、制御部161は、ステップS47で特定できたと判定された機能コードに応じて所定の制御を実行する。
【0103】
例えば、機能コードがドア施錠を表す「0101」であると制御部161が判定した場合、車載機102からドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4を駆動させるための制御信号を出力する。これにより、ドアロックアクチュエータ121−1乃至121−4は、ドアをロックするようにモータ等を駆動する。
【0104】
一方、ステップS47において、機能コードが特定できなかったと判定された場合、ステップS48の処理はスキップされる。
【0105】
このようにして車載機102による受信処理が実行される。このようにすることで、上述したように、操作されたスイッチに応じて送信機101から送信された信号に基づいて、車載機102を動作させることが可能となる距離(車載機102と送信機101との距離)が異なるようにすることができる。
【0106】
なお、上述した一連の処理をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば図12に示されるような汎用のパーソナルコンピュータ500などに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0107】
図12において、CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502に記憶されているプログラム、または記憶部508からRAM(Random Access Memory)503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM503にはまた、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0108】
CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504を介して相互に接続されている。このバス504にはまた、入出力インタフェース505も接続されている。
【0109】
入出力インタフェース505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部506、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部507、ハードディスクなどより構成される記憶部508、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部509が接続されている。通信部509は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0110】
入出力インタフェース505にはまた、必要に応じてドライブ510が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア511が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部508にインストールされる。
【0111】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構
成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディア511などからなる記録媒体からインストールされる。
【0112】
なお、この記録媒体は、図12に示される、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア511により構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM502や、記憶部508に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0113】
また、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明を適用した通信システムの一実施の形態に係る構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の送信機の構成例を示すブロック図である。
【図3】送信機により生成される信号の例を説明する図である。
【図4】送信機により生成される信号の例を説明する図である。
【図5】送信機により生成される信号の例を説明する図である。
【図6】図1の車載機の構成例を示すブロック図である。
【図7】フィルタ部のフィルタの特性の例を示す図である。
【図8】車載機で処理される信号の例を説明する図である。
【図9】車載機で処理される信号の例を説明する図である。
【図10】送信処理を説明するフローチャートである。
【図11】受信処理を説明するフローチャートである。
【図12】パーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0115】
100 通信システム,
110 自動車,
101 送信機,
102 車載機,
121−1乃至121−4 ドアロックアクチュエータ,
125 スライドドアアクチュエータ,
131 操作部,
141 制御部,
142 送信回路,
143 変調回路,
161 制御部,
162 コンパレータ,
163 フィルタ,
164 検波部,
165 信号処理部,
501 CPU,
502 ROM,
508 記憶部,
511 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯可能な送信機と、前記送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する前記車両に搭載された受信機とからなる通信システムにおいて、
前記送信機は、
前記ユーザの操作が、前記複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定する操作特定手段と、
予め記憶している複数の情報のうち、前記特定された操作に対応する情報を、前記情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成されたデータの信号を変調する変調手段と、
前記変調された信号を無線送信する送信手段とを備え、
前記受信機は、
前記送信機から送信された信号を受信して前記信号を前記データに復調する復調手段と、
前記復調手段により復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタであって、前記第2の通信速度のデータを、前記第1の通信速度のデータより大きく減衰させるフィルタと、
前記フィルタを通過した前記データの電圧レベルを、閾値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較により前記閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて前記車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力する制御手段と
を備える通信システム。
【請求項2】
ユーザが携帯可能な送信機と、前記送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する前記車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する送信機であって、
前記ユーザの操作が、前記複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定する操作特定手段と、
予め記憶している複数の情報のうち、前記特定された操作に対応する情報を、前記情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成されたデータの信号を変調する変調手段と、
前記変調された信号を無線送信する送信手段とを備える
送信機。
【請求項3】
前記第1の通信速度のデータは、前記車両のドアロックの制御に関するデータとされ、前記第2の通信速度のデータは、前記車両のスライドドアの制御に関するデータとされる
請求項2に記載の送信機。
【請求項4】
ユーザが携帯可能な送信機と、前記送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する前記車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する送信機の送信方法であって、
前記ユーザの操作が、前記複数の機器のいずれに対応する操作であるかを特定し、
予め記憶している複数の情報のうち、前記特定された操作に対応する情報を、前記情報に対応して定まる複数の通信速度であって、少なくとも第1の通信速度、または第2の通信速度のデジタルデータとして生成し、
前記生成されたデータの信号を変調し、
前記変調された信号を無線送信するステップ
を含む送信方法。
【請求項5】
ユーザが携帯可能な送信機と、前記送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する前記車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する受信機であって、
前記送信機から送信された信号を受信して前記信号を前記データに復調する復調手段と、
前記復調手段により復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタであって、前記第2の通信速度のデータを、前記第1の通信速度のデータより大きく減衰させるフィルタと、
前記フィルタを通過した前記データの電圧レベルを、閾値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較により前記閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて前記車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力する制御手段と
を備える受信機。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第1の通信速度のデータが供給された場合、前記車両のドアロックの制御に関する制御信号を出力し、
前記第2の通信速度のデータが供給された場合、前記車両のスライドドアの制御に関する制御信号を出力する
請求項5に記載の受信機。
【請求項7】
ユーザが携帯可能な送信機と、前記送信機から送信された信号を受信し、受信した信号に対応して車両に搭載された複数の機器を制御する前記車両に搭載された受信機とからなる通信システムを構成する受信機の受信方法であって、
前記送信機から送信された信号を受信して前記信号を前記データに復調し、
前記復調されたデータの通信速度に対応して減衰量が定まるフィルタにより、前記第2の通信速度のデータを、前記第1の通信速度のデータより大きく減衰させ、
前記フィルタを通過した前記データの電圧レベルを、閾値と比較し、
前記比較により前記閾値以上の電圧レベルであると判定されたデータの供給を受けて前記車両に搭載された機器を制御するための制御信号を出力するステップ
を含む受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−46930(P2009−46930A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215957(P2007−215957)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】