説明

部品集合体

【課題】高精度に、かつ、容易に主基板に内蔵することのできる部品集合体を提供する。
【解決手段】線膨脹係数αが小さい複数のコンデンサ52を配列して内蔵する集合体基板の部品内蔵層の線膨脹係数αが、集合体基板が埋設される部品内蔵基板1の部品内蔵層5の線膨張係数αより小さく形成されているため、例えばリフローにおける加熱や、雰囲気の温度変動により各部材が膨脹することにより生じる応力を緩和することができ、各部材間における電気的な接続部分に応力が集中することにより各接続部分に不具合が生じることを防止でき、コンデンサ52に対する電気的接続の信頼性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子部品を一体的に基板に内蔵する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電子部品、例えば複数のセラミックコンデンサの外部電極同士が電気的に接続されることにより一体化されて形成されたコンデンサユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。コンデンサユニットが部品内蔵基板に内蔵されることにより、セラミックコンデンサを個別に部品内蔵基板に内蔵するよりも、同じ数のセラミックコンデンサを部品内蔵基板に容易に内蔵することができる。
【0003】
また、小容量の安価な汎用のセラミックコンデンサによりコンデンサユニットを形成することで、コンデンサユニットを大容量のコンデンサとして機能させることができるため、大容量の高価なコンデンサを使用する必要がなく、部品内蔵基板の製造コストを低減することができる。また、コンデンサユニットを構成するセラミックコンデンサの数や種類を変更することで、所望の特性を有するコンデンサユニットを容易に形成することができるため効率がよい。
【0004】
このようなコンデンサユニット500の形成方法の一例について図7を参照して説明する。まず、キャビティを有する金型が用意され、キャビティ内に所定数のセラミックコンデンサ501が収納される。このとき、セラミックコンデンサ501は、隣接するセラミックコンデンサ501の外部電極502同士が近接あるいは接触するようにキャビティ内に収納される。
【0005】
なお、この例におけるセラミックコンデンサ501は、所謂、チップ型の積層セラミックコンデンサとして形成されており、誘電体セラミック層503と、誘電体セラミック層503を介して対向するように配設された内部電極504と、セラミックコンデンサ501本体の端面まで引出された内部電極504と接続される外部電極502とにより構成されている。
【0006】
次に、外部電極502表面の低融点金属層が溶融する温度まで加熱されると、図7(a)に示すように、隣接している外部電極502同士が接着されて、複数のセラミックコンデンサ501が一体化したコンデンサユニット500が形成される。
【0007】
図7(b)に示すように、隣接する外部電極502同士が一体化して電気的に接続されているため、複数のセラミックコンデンサ501が電気的に一つのコンデンサとして機能する。すなわち、複数のセラミックコンデンサ501が部材として一体化するとともに、電気的にも相互に接続されることによって、コンデンサユニット500が構成されている。なお、図7は従来のコンデンサユニット500の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)はコンデンサユニット500のA−A線矢視断面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−81183号公報(段落[0026]〜[0029]、図3,5、要約書など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、コンデンサユニット500に代表される部品集合体を部品内蔵基板に内蔵するときに、部品集合体の電極と部品内蔵基板の配線層とは、はんだやビア導体などを用いて接続される。部品集合体をはんだにより部品内蔵基板の配線層と接続すれば、部品集合体を周知の表面実装技術で配線層に容易に実装して部品内蔵基板に部品集合体を内蔵できるため、部品内蔵基板の製造コストを低減できる。
【0010】
また、一般に積層基板の基板材料(コア、プリプレグ)は、同一の樹脂材料で構成され、部品内蔵用の積層基板も同様に同一の樹脂材料で構成される。部品内蔵基板の製造コスト低減のために汎用の樹脂材料、すなわち、部品内蔵基板をガラス転移温度(Tg)の低い樹脂材料や線膨張係数の大きい樹脂材料で構成することにより部品内蔵基板の製造コストを低減することが考えられる。しかしながら、この場合、部品集合体が配線層にはんだにより実装された部品内蔵基板をマザー基板にはんだにより実装したり、前記部品内蔵基板の表面に他の電子部品をはんだに実装したりするときに、例えばリフローにおいて、部品内蔵基板が加熱されることにより部品集合体を部品内蔵基板の配線層に実装するはんだが再溶融するとともに部品内蔵基板が変形し、熱による変形により生じた部品内蔵基板の隙間から溶融したはんだがフラッシュしたり、溶融したはんだによるブリッジが発生するおそれがある。そのため、熱による変形が防止された部品内蔵基板を形成しなければならず、使用可能な樹脂材料に制約があるため、部品内蔵基板の製造コストの低減が難しい。なお、ガラス転移温度(Tg)の低い樹脂材料や線膨張係数の大きい樹脂材料で部品内蔵基板を構成すると、製造された部品内蔵基板がリフローに対応できないなど、部品内蔵基板の適用範囲に制約が生じることになる。
【0011】
また、部品集合体をビア導体により部品内蔵基板の配線層と接続すれば、部品集合体を構成する電子部品の高さにはばらつきがあるため、ビア孔を形成するレーザ加工におけるレーザの出力調整を行いながら、部品内蔵基板にレーザ加工によりビア孔を形成し、形成されたビア孔に導電性ペーストを充填したり、ビアフィルめっきを施したりなどしてビア導体を設けなければならず手間がかかり、部品内蔵基板の製造コストが上昇する。また、ビア導体と電子部品との接続部分において、電子部品と前記汎用樹脂材料との線膨脹係数の差が大きく、リフローなどの際に熱が加えられたときの各部材の膨脹率が大きく異なるため各部材間に応力が生じる。このように、線膨脹係数の差に起因して部材間に生じる応力が前記接続部分に集中することにより、電子部品とビア導体との接続における信頼性に問題が生じるおそれがある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高精度に、かつ、容易に主基板に内蔵することのできる部品集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成するために、本発明の部品集合体は、主基板の部品内蔵層に内蔵される部品集合体において、前記主基板の部品内蔵層に内蔵される集合体基板と、前記集合体基板の部品内蔵層に配列して内蔵された複数の電子部品とを備え、前記主基板の部品内蔵層の線膨張係数αと、前記集合体基板の部品内蔵層の線膨張係数αと、前記電子部品の線膨張係数αとの関係が、α>α>αであることを特徴としている(請求項1)。
【0014】
また、請求項1に記載の部品集合体において、前記集合体基板は、一主面に複数の電極パッドが形成され、前記各電極パッドに前記各電子部品が電気的に接続されていることを特徴としている(請求項2)。
【0015】
また、請求項1または2に記載の部品集合体において、前記集合体基板の部品内蔵層および前記主基板の部品内蔵層は、ともに樹脂層であることを特徴としている(請求項3)。
【0016】
また、請求項1ないし3のいずれかに記載の部品集合体において、前記各電子部品は、コンデンサであることを特徴としている(請求項4)。
【0017】
請求項1ないし4のいずれかに記載の部品集合体において、半導体回路部が前記主基板の一主面に実装されて、前記主基板の一主面側の配線層に接続され、前記主基板の一主面側の配線層はビア導体により前記主基板の他方の主面側の配線層に接続され、前記集合体基板の一主面側の各電極パッドが前記主基板の一主面側の配線層に電気的に接続されていることを特徴としている(請求項5)。
【0018】
また、請求項1ないし4のいずれかに記載の部品集合体において、半導体回路部が前記主基板の一主面に実装されて、前記主基板の一主面側の配線層に接続され、前記集合体基板に内蔵された前記各電子部品は、前記集合体基板の一主面側の各電極パッドが前記主基板の一主面側の配線層に電気的に接続され、かつ、前記集合体基板の他方の主面側の電極パッドが前記主基板の他方の主面側の配線層に電気的に接続され、前記集合体基板の両主面の前記配線層間の接続導体としても機能することを特徴としている(請求項6)。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、線膨脹係数αが小さい電子部品を配列して内蔵する集合体基板の部品内蔵層の線膨脹係数αが、集合体基板が埋設される主基板の部品内蔵層の線膨張係数αより小さく形成されている(α>α>α)。したがって、電子部品を内蔵する集合体基板が主基板に内蔵された状態で、電子部品と集合体基板の部品内蔵層との線膨張係数の差、集合体基板の部品内蔵層と主基板の部品内蔵層との線膨張係数の差が小さくなる。したがって、例えばリフローにおける加熱や、雰囲気の温度変動により各部材が膨脹することにより生じる応力が緩和され、各部材間の接続部分に応力が集中することにより前記接続部分に不具合が生じることが防止されるので、例えば、電子部品に対する電気的な接続の信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、集合体基板は、一主面に複数の電極パッドが形成されており、各電極パッドは、集合体基板の部品内蔵層側の面に各電子部品が電気的に接続されているため、集合体基板の一主面に設けられた電極パッドを介して各電子部品との電気的な接続を行うことができるため、実用的である。
【0021】
また、例えばはんだにより各電子部品と各電極パッドの裏面側とが電気的に接続された集合体基板が主基板に内蔵されたときに、集合体基板が内蔵された主基板が例えばリフローにより加熱されても、集合体基板が熱により変形するのが抑制されるため、再溶融したはんだが集合体基板から噴出したり、溶融したはんだにより各電極パッドや各電子部品がブリッジを形成したりすることを低減することができる。
【0022】
また、各電子部品は集合体基板に埋設されて主基板に内蔵されており、集合体基板の一主面に設けられた電極パッドを介して各電子部品との電気的な接続を行うために、例えば電極パッドに接続されるビア導体を、各電子部品の高さのばらつきに影響されずにレーザ加工およびめっき技術を用いて容易に形成することができるため実用的である。
【0023】
請求項3の発明によれば、集合体基板の部品内蔵層および主基板の部品内蔵層はともに樹脂層であるため、集合体基板の樹脂層に容易に複数の電子部品を埋設することができ、主基板の部品内蔵層に容易に集合体基板を内蔵することができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、各電子部品をコンデンサにより構成すれば、小容量の安価な汎用のコンデンサを集合体基板に埋設することで、集合体基板に埋設された複数のコンデンサの集合体を、大容量のコンデンサとして機能させることができるため、大容量の高価なコンデンサを使用する必要がなく、また、集合体基板に埋設されるコンデンサの数や種類を変更することで、集合体基板に埋設された複数のコンデンサの集合体を、所望の特性を有するコンデンサとして機能させることができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、主基板の一主面に半導体回路部が実装されて主基板の一主面側の配線層に半導体回路部が接続されており、各電子部品は、集合体基板の一主面側の各電極パッドが主基板の一主面側の配線層に直接接続されて主基板に内蔵されているため、従来のように各電子部品がビア導体などの導体パターンを介して配線層に接続されておらず、各電子部品と半導体回路部との距離を近づけることができ、各電子部品から半導体回路部までの配線の長さを短くすることができる。これにより、各電子部品から半導体回路部までの配線に寄生するインダクタンスを小さくすることができ、この配線におけるノイズ伝搬を抑制することができる。例えば、電子部品がコンデンサの場合、ノイズの吸収性能を向上させることができる。
【0026】
また、集合体基板の一主面側の各電極パッドが一主面側の配線層に直接接続されているので、集合体基板から半導体回路部までの配線の長さが各電子部品の高さのばらつきの影響を受けないため、集合体基板から半導体回路部までの配線の長さをほぼ一定にでき、これにより、集合体基板および半導体回路部間の配線の寄生インダクタンスを各電子部品の高さのばらつきに影響されずにほぼ一定にできるため、この配線におけるノイズ抑制を安定させることができる。例えば、電子部品がコンデンサの場合、ノイズの吸収性能を安定させることができる。
【0027】
また、主基板の一主面側の配線層をビア導体により他方の主面側の配線層と電気的に接続することにより、両配線層を接続するための配線をビア導体により主基板内に容易に設けることができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、主基板の一主面に半導体回路部が実装されて主基板の一主面側の配線層に半導体回路部が接続されている。そして、集合体基板に内蔵された各電子部品は、集合体基板の一主面側の各電極パッドが主基板の一主面側の配線層に直接接続されて主基板に内蔵されているため、従来のように各電子部品がビア導体などの導体パターンを介して配線層に接続されていない。そのため、各電子部品と半導体回路部との距離を近づけることができるため、各電子部品から半導体回路部までの配線の長さを短くすることができる。したがって、各電子部品から半導体回路部までの配線に寄生するインダクタンスを小さくすることができるため、この配線におけるノイズ伝搬を抑制することができる。
【0029】
また、各電子部品は、集合体基板の他方の主面側の電極パッドが主基板の他方の主面側の配線層に電気的に接続されて、集合体基板の両主面の配線層間の接続導体としても機能するため、両配線層間を接続するための接続路としてのビア導体などを形成するためのスペースを主基板内に確保する必要がなく、主基板内にその他の配線としてのビア導体などを形成するスペースが確保されるため、基板設計の自由度を大きくすることができる。
【0030】
また、各電子部品が主基板の一主面側および他の主面側の両配線層の接続導体に兼用されているため、一主面側の配線層と、他方の主面側の配線層とを接続するための接続路としてのビア導体などを主基板内に別途設ける必要がなく、これにより、主基板内の集合体基板配置のためのスペースを確保することができるため、主基板に内蔵する集合体基板の数量、サイズ、配置場所などの制約を緩和することができる。
【0031】
また、各電子部品は集合体基板に埋設されて主基板に内蔵されて、集合体基板の他方の主面側の電極パッドと他方の主面側の配線層とが接続されているが、集合体基板から他方の主面側の配線層までの配線の長さが各電子部品の高さのばらつきの影響を受けないため、集合体基板から他方の主面側の配線層までの配線の長さをほぼ一定にできる。これにより、集合体基板および他方の主面側の配線層間の配線の寄生インダクタンスを各電子部品の高さのばらつきに影響されずにほぼ一定にすることができ、この配線におけるノイズ抑制を安定させることができる。
【0032】
また、各電子部品は集合体基板に埋設されて主基板に内蔵されているため、集合体基板の他方の主面側の電極パッドと主基板の他方の主面側の配線層とを接続するために、例えばビア導体を、各電子部品の高さのばらつきに影響されずにレーザ加工およびめっき技術を用いて容易に形成することができ、実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】部品集合体の一例を示す図である。
【図3】本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第2実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第3実施形態を示す断面図である。
【図5】部品集合体の一例を示す図である。
【図6】部品集合体の高さがほぼ一定であることを説明するための図である。
【図7】従来のコンデンサユニットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1実施形態>
本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第1実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。
【0035】
(部品内蔵基板)
図1は、部品集合体10が内蔵された部品内蔵基板1(本発明の「主基板」に相当)の第1実施形態を示す断面図である。図1に示すように、部品内蔵基板1は、端子電極層2,8と、配線層3,4,6,7と、部品内蔵層5とが積層され一体化されて形成されている。また、CPUやMPUなどの半導体回路からなる電子部品IC(本発明の「半導体回路部」に相当)の端子電極と、端子電極層2とがはんだバンプなどを介して接続されて、部品内蔵基板1の一主面に電子部品ICが実装されている。
【0036】
部品内蔵基板1は、例えば、電子部品ICをソケットなどを介してマザー基板に搭載するためのパッケージを構成する部品として用いられるものであって、この実施形態では、DC−DCコンバータや大容量コンデンサなどを用いて外部に設けられた電源回路部の直流電源が、マザー基板および部品内蔵基板1を介して電子部品ICに給電される。そして、この実施形態の部品内蔵基板1は、電子部品ICに給電される直流電源を、電子部品ICの消費電流の変化によらず安定化させる機能を有している。
【0037】
部品内蔵層5は、封止用の樹脂層51に、複数のコンデンサ52(本発明の「電子部品」に相当)が内蔵された部品集合体10が設けられて形成されている。また、部品内蔵層5には必要に応じて銅などの導電性ペーストの充填、ビアフィルめっき等により形成された層間接続導体(ビア導体)53が設けられている。
【0038】
樹脂層51は例えば熱硬化性の樹脂により形成されている。熱硬化性の樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などがある。
【0039】
配線層3,4,6,7は、樹脂層51と同様の樹脂層31,41,61,71を有し、各樹脂層31,41,61,71の必要な箇所にビア構造の層間接続導体32,42,62,72および電極パターン33,43,63,73が設けられて形成されている。なお、配線層3,4は、電子部品ICに狭ピッチで多数形成されている接続用の端子電極の間隔を広げるために設けられている。
【0040】
端子電極層2,8は、それぞれ部品内蔵基板1の一主面および他方の主面に設けられ、例えば銅箔を配線パターンにしたがってレーザ加工やエッチング加工などして形成される。そして、端子電極層2,8として形成されたランドやパッドなどに層間接続導体32,72の端面が圧接し、電極パターン33に層間接続導体42の端面が圧接し、電極パターン43,63に層間接続導体53の端面が圧接し、電極パターン73に層間接続導体62の端面が圧接することにより、部品内蔵基板1の一主面側の配線層3,4と、他方の主面側の配線層6,7とが電気的に接続される。
【0041】
また、この実施形態では、部品集合体10は、一主面に形成された複数の電極パッド11と、部品内蔵基板1の他方の主面側の配線層6の電極パターン63とが、ビア導体や配線パターンなどを介さずにはんだを用いて直接接続されて部品内蔵層5に内蔵されている。なお、電極パッド11と電極パターン63とを、ろう付け、めっき、導電性接着剤などにより接続してもよい。部品集合体10については後で詳細に説明する。
【0042】
そして、図示省略された電源回路部の直流電源が、端子電極層8から各層3〜7の層間接続導体32,42,53,62,72および電極パターン33,43,63,73を通って、端子電極層2を介して一主面側の配線層3,4に接続された電子部品ICに給電される。以上のように、端子電極層2,8、配線層3,4,6,7、層間接続導体53が「給電路」を形成する。以下、直流電源が電子部品ICに給電される経路を「給電路」と称し、この実施形態では、部品集合体10の電極パッド11が電極パターン63に接続されることで、コンデンサ52が内蔵された部品集合体10が給電路に接続されている。
【0043】
次に、図1の部品内蔵基板1の製造方法の一例についてその概略を説明する。まず、ステンレスなどの板が準備され、準備された板に部品集合体10が載置されて、部品集合体10が埋まるように未硬化の樹脂層51が充填されて加熱硬化された後、硬化した樹脂層51に層間接続導体53が形成されて部品内蔵層5が形成される。そして、部品内蔵層5に、予め準備された配線層3,4が積層される。そして、部品内蔵層5から板が取り除かれて、部品内蔵層5の配線層3,4と反対側の面に、予め準備された配線層6,7が積層されて、端子電極層2,8が形成されることにより、部品内蔵基板1が完成する。
【0044】
なお、部品内蔵基板1の製造方法は、上記した製造方法に限られず、周知のどのような製造方法により部品内蔵基板1を製造してもよい。また、層間接続導体32,42,53,62,72、電極パターン33,43,63,73、端子電極層2,8の形成方法および形成材料も、適宜、周知の手法を選択して採用すればよい。
【0045】
(部品集合体)
図2は部品集合体10の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は右側断面図である。
【0046】
部品集合体10は部品内蔵基板1に内蔵されるものであり、図2(a)〜(c)に示すように、部品内蔵基板1に内蔵される集合体基板12と、集合体基板12の部品内蔵層13にアレイ状に配列して内蔵された複数のコンデンサ52と、集合体基板12の一主面に形成された複数の電極パッド11とを備えており、部品内蔵層13は樹脂層14により形成されている。また、各コンデンサ52が埋設された集合体基板12の部品内蔵層13を形成する樹脂層14はガラス転移温度が例えば約180℃〜190℃の樹脂により形成されており、集合体基板12が埋設される部品内蔵基板1の部品内蔵層5を形成する樹脂層51のガラス転移温度(約140℃〜150℃)よりも高く構成されている。
【0047】
また、集合体基板12は、積層セラミックコンデンサ、3端子形状の積層セラミックコンデンサ、導電性高分子コンデンサなどのチップ型のコンデンサ52が封止用の樹脂層14により形成される部品内蔵層13に埋設されて形成されている。また、コンデンサ52の左右端部に、錫、銅、金などのめっきが施された(外部)電極52aが設けられており、この実施形態では、各コンデンサ52の電極52aは、各電極パッド11の集合体基板の部品内蔵層側の面にはんだにより電気的に接着されている。
【0048】
なお、各コンデンサ52の電極52aが、ろう付け、めっき、導電性接着剤などにより集合体基板12の電極パッド11の集合体基板の部品内蔵層側の面に電気的に接着されるようにしてもよい。また、この実施形態では、複数のコンデンサ52は、各コンデンサ52同士が離間されて集合体基板12の部品内蔵層13に埋設されているが、各コンデンサ52の電極52a同士をはんだなどの接合材により電気的に接続して、接合された各コンデンサ52を一体的に部品内蔵層13に埋設してもよい。また、アレイ状に一体的に配列された複数のコンデンサ52の集合体が、複数層に積層されて一体的に形成されたコンデンサ52の集合体を部品内蔵層13に埋設してもよい。
【0049】
また、各コンデンサ52が埋設された集合体基板12の部品内蔵層13を形成する樹脂層14の線膨張係数αは例えば約20ppm/℃〜30ppm/℃の樹脂により形成されており、集合体基板12が埋設される部品内蔵基板1の部品内蔵層5を形成する樹脂層51の線膨張係数α(約30ppm/℃〜60ppm/℃)よりも低く構成されている。なお、各コンデンサ52の線膨張係数αは約10ppm/℃〜20ppm/℃に形成されている。
【0050】
次に、図2の部品集合体10の製造方法の一例についてその概略を説明する。まず、ステンレスなどの板が準備され、準備された板に電極パッド11が載置されて、各電極パッド11と各電極52aとの間にはんだペーストを介した状態で複数のコンデンサ52が載置される。そして、各コンデンサ52が埋まるように未硬化の樹脂層14が充填されて加熱硬化されることにより、部品内蔵層13が形成されて集合体基板12が形成される。そして、リフローにより各電極パッド11と各電極52aとがはんだにより電気的に接着されて部品集合体10が完成する。なお、説明した部品集合体10の製造方法は一例であって、周知のどのような製造方法により部品集合体10を製造してもよい。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、複数のコンデンサ52が配列して埋設された集合体基板12(部品集合体10)の部品内蔵層13のガラス転移温度が、部品内蔵基板1の部品内蔵層5のガラス転移温度よりも高く構成されているため、集合体基板12が内蔵された部品内蔵基板1が例えばリフローにおいて加熱されても、集合体基板12が熱により変形するのが抑制されるため、集合体基板12を部品内蔵基板1に高精度に内蔵することができる。
【0052】
また、上記した実施形態では、はんだにより各コンデンサ52の電極52aと各電極パッド11の裏面側とが電気的に接着された集合体基板12が部品内蔵基板1に内蔵されているが、集合体基板12が内蔵された部品内蔵基板1が例えばリフローにより加熱されても、集合体基板12はガラス転移温度が高い樹脂層14により構成される部品内蔵層13により形成されており、集合体基板12が熱により変形するのが抑制されるため、再溶融したはんだが集合体基板12から噴出したり、溶融したはんだにより各電極パッド11や各コンデンサ52の電極52aが短絡したりすることを低減できる。
【0053】
ところで、コンデンサ52などの電子部品が、ビア導体により部品内蔵基板1の配線層3,4に直接接続される場合、例えばリフローにおける加熱により、セラミックなどで形成された電子部品と部品内蔵層5を形成する樹脂層51との線膨張係数の差により生じる応力が電子部品と配線層3,4とを接続するビア導体に集中し、ビア導体に亀裂や破断が生じるおそれがある。
【0054】
しかしながら、上記した実施形態では、線膨脹係数αが小さいコンデンサ52をアレイ状に配列して内蔵する部品内蔵層13の樹脂層14の線膨脹係数αが、部品内蔵基板1の部品内蔵層5を形成する樹脂層51の線膨張係数αより小さく形成された部品集合体10が、部品内蔵基板1の部品内蔵層5を形成する樹脂層51に内蔵されるため、コンデンサ52と部品集合体10の部品内蔵層13との線膨張係数の差、部品集合体10と部品内蔵基板1の部品内蔵層5との線膨張係数の差が小さくなり、例えばリフローにおける加熱や、雰囲気の温度変動により各部材が膨脹することにより生じる応力が緩和されるため、各部材間における電気的な接続部分に応力が集中することにより各接続部分に不具合が生じることが防止されるので、コンデンサ52に対する電気的接続の信頼性の向上を図ることができる。
【0055】
また、部品内蔵基板1をガラス転移温度が高く、線膨張係数が低い樹脂材料で形成すると、樹脂材料が高価であるため、部品内蔵基板1の製造コストを低減するのは困難である。しかしながら、部品内蔵基板1の部品内蔵層5に内蔵される部品集合体10のみをガラス転移温度が高く、線膨張係数の低い樹脂材料で形成することにより、部品内蔵基板1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0056】
また、部品集合体10は、従来のビルドアップ工法により形成することができるため、部品集合体10を形成するための特別な工法や製造プロセスなどが必要なく、部品集合体10の製造コストが上昇することを抑制することができる。
【0057】
また、複数のコンデンサ52が埋設された集合体基板12を部品内蔵基板1に内蔵するときに、各コンデンサ52の高さのばらつきに影響されずに、複数のコンデンサ52が埋設された集合体基板12の電極パッド11と部品内蔵基板1の配線層4,6とをはんだやビア導体などを用いて電気的に接続することができるため、容易に集合体基板12を部品内蔵基板1に内蔵することができる。例えば、上記した実施形態では、はんだにより各電極パッド11と電極パターン63とが接続されているが、配線層6(電極パターン63)と電極パッド11とをビア導体により接続するときには、各電極パッド11に接続されるビア導体を、各コンデンサ52の高さのばらつきに影響されずにレーザ加工およびめっき技術を用いて容易に形成することができる。
【0058】
また、複数のコンデンサ52が埋設された集合体基板12が部品内蔵基板1に内蔵されることで、コンデンサ52を個別に部品内蔵基板1に内蔵するよりも、同じ数のコンデンサ52を部品内蔵基板1に容易に内蔵することができるため効率がよく、コンデンサ52の部品内蔵基板1への実装にかかるコストを低減することができる。
【0059】
また、集合体基板12は、一主面に複数の電極パッド11が形成されており、各電極パッド11は、集合体基板の部品内蔵層側の面に各コンデンサ52の電極52aがはんだにより電気的に接着されているため、集合体基板12の一主面に設けられた電極パッド11を介して各コンデンサ52との電気的な接続を行うことができるため、実用的である。
【0060】
また、集合体基板12および部品内蔵基板1の部品内蔵層13,5は樹脂層14,51であるため、集合体基板12の樹脂層14に容易に複数のコンデンサ52を埋設することができ、部品内蔵基板1の部品内蔵層5に容易に集合体基板12を内蔵することができる。また、部品内蔵層13を形成する樹脂層14の材質を容易に変更することができるため、部品内蔵基板1の部品内蔵層5のガラス転移温度よりも高い特性を有する樹脂層14により容易にガラス転移温度の高い部品内蔵層13を有する集合体基板12を形成することができる。
【0061】
また、ガラス転移温度が高く設定された部品内蔵層13を有する集合体基板12を、部品内蔵基板1の部品内蔵層5に埋設することで、部品内蔵基板1内を部分的にガラス転移温度の高い材質で形成することができ、部品内蔵基板1を形成する際に、部品内蔵層5のみガラス転移温度が高い樹脂層51を積層して形成するのに比べ、簡単に部品内蔵基板1内の材質を部分的に異なるものとすることができる。
【0062】
また、小容量の安価な汎用のコンデンサ52を集合体基板12に埋設することで、集合体基板12に埋設された複数のコンデンサ52の集合体を、大容量のコンデンサとして機能させることができるため、大容量の高価なコンデンサを使用する必要がなく、また、集合体基板12に埋設されるコンデンサ52の数や種類を変更することで、集合体基板12に埋設された複数のコンデンサ52の集合体を、所望の特性を有するコンデンサとして機能させることができるため効率がよい。
【0063】
また、部品内蔵基板1の一主面側の配線層3,4を層間接続導体53により他方の主面側の配線層6,7と電気的に接続することにより、ビア導体(層間接続導体53)による給電路を部品内蔵基板1内に容易に設けることができる。
【0064】
<第2実施形態>
本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第2実施形態について、図3を参照して説明する。図3は、部品集合体10が内蔵された部品内蔵基板100の第2実施形態を示す断面図である。
【0065】
この第2実施形態が、上記した第1実施形態と異なる点は、図3に示すように、各コンデンサ52の電極52aの電極面として、部品集合体10(集合体基板12)の一主面に形成された電極パッド11が、部品内蔵基板100の一主面側の配線層4の電極パターン143と電気的に接続されている点である。その他の構成は上記した第1実施形態と同様であるため、その構成の説明は同一符号および相当符号を付すことにより省略する。なお、上記したように、各電極パッド11の裏面側に、各コンデンサ52の各電極52aがはんだなどにより電気的に接着されて、集合体基板12の一主面に電極面(電極パッド11)が形成されている。
【0066】
以上のように、この実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、以下の効果を奏することができる。すなわち、電源回路部の直流電源を部品内蔵基板100の内部を通って部品内蔵基板100の一主面に実装された電子部品ICに給電する給電路に各コンデンサ52を内蔵する部品集合体10が接続されているが、各コンデンサ52は、集合体基板12の一主面側の電極パッド11が部品内蔵基板100の一主面側の配線層4(給電路)に直接接続されて部品内蔵基板100に内蔵されている。
【0067】
したがって、従来のように集合体基板12(コンデンサ52)がビア導体などの導体パターンを介して配線層4に接続されておらず、集合体基板12と電子部品ICとの距離を従来よりも近づけることができるため、集合体基板12から電子部品ICまでの給電路の長さを短くすることができ、これにより、集合体基板12から電子部品ICまでの給電路に寄生するインダクタンスを小さくすることができるため、この配線におけるノイズ伝搬を抑制することができると共に、電子部品ICの応答特性を向上することができる。
【0068】
また、集合体基板12の一主面側の電極パッド11面が部品内蔵基板100の一主面側の配線層4に直接接続されているので、集合体基板12から電子部品ICまでの配線の長さが各コンデンサ52の高さのばらつきの影響を受けないため、集合体基板12から電子部品ICまでの配線の長さをほぼ一定にでき、これにより、集合体基板12および電子部品IC間の配線の寄生インダクタンスを各コンデンサ52の高さのばらつきに影響されずにほぼ一定にできるため、この配線におけるノイズ抑制を安定させることができると共に、電子部品ICの応答特性を安定させることができる。
【0069】
また、上記した構成とすることで、電子部品ICから集合体基板12(コンデンサ52)までの給電路の寄生インダクタンスを従来よりも低減することができ、これにより、電子部品ICの応答特性が向上するため、電子部品ICの応答特性を向上させるためのコンデンサ52の数を抑制することができ、部品内蔵基板1を製造するコストの低減を図ることができる。
【0070】
なお、各層3〜7および集合体基板12は型により高精度に形成されるため、各層3〜7および集合体基板12はほぼ設計上の厚みで形成される。
【0071】
<第3実施形態>
本発明の部品集合体が内蔵された部品内蔵基板の第3実施形態について、図4〜6を参照して説明する。
【0072】
この第3実施形態が、上記した第2実施形態と異なる点は、図4に示すように、部品集合体10aの構成が異なる点であり、以下では上記した第1および第2実施形態と異なる点を中心に説明し、第1および第2実施形態と同様の構成の説明は同一符号および相当符号を付すことにより省略する。
【0073】
(部品内蔵基板)
図4は、部品集合体10aが内蔵された部品内蔵基板200の第3実施形態を示す断面図である。図4に示すように、この実施形態では、部品内蔵層5は、封止用の樹脂層51に、一主面および他方の主面にそれぞれ電極パッド11,15が形成された部品集合体10aが設けられて形成されている。
【0074】
また、部品集合体10aの一主面に形成された電極パッド11は、部品内蔵基板200の一主面側の配線層4の電極パターン243に、はんだなどにより電気的に直接接続されている。また、部品集合体10aの他方の主面に形成された電極パッド15は、部品内蔵基板200の他方の主面側の配線層6の電極パターン263と、部品内蔵層5に形成された層間接続導体253を介して電気的に接続されている。このように、この実施形態では、コンデンサ52(電極52a)が両配線層4,6間の給電路導体(接続導体)に兼用されている。
【0075】
(部品集合体)
図5は部品集合体10aの一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は右側断面図である。
【0076】
図5(a)〜(c)に示すように、部品集合体10aは、集合体基板12の一主面に形成された複数の電極パッド11と、他方の主面に形成された電極パッド15とを備えている。そして、各コンデンサ52の電極52aの一方側が、各電極パッド11の裏面側にはんだにより電気的に接着されており、他方側が、各電極パッド15に層間接続導体16を介して電気的に接続されている。
【0077】
なお、この実施形態では、電極パッド15は、集合体基板12の他方の主面に銅めっきにより形成されている。したがって、部品内蔵基板200の部品内蔵層5の樹脂層51に埋設された集合体基板12の電極パッド15に接続される層間接続導体253を形成する際に、銅はレーザの反射率が高いため、レーザ加工において容易にビア孔を精度よく形成でき、これにより、集合体基板12の電極パッド15と、部品内蔵基板200の配線層6の電極パターン263とを接続する層間接続導体253を容易に形成できる。
【0078】
なお、この実施形態において集合体基板12に内蔵されるコンデンサ52としては、上下面に外部電極が設けられたものであれば、どのようなコンデンサ52を用いてもよい。
【0079】
以上のように、この実施形態によれば、上記した第1および第2実施形態と同様の効果を奏することができる。また、集合体基板12(コンデンサ52)は、集合体基板12の他方の主面側の電極パッド15が部品内蔵基板200の他方の主面側の配線層6,7に電気的に接続されて両配線層4,6間の給電路導体(接続導体)に兼用されている。したがって、両配線層4,6間を接続するための給電路(接続路)としてのビア導体などを形成するためのスペースを部品内蔵基板200内に確保する必要がなく、部品内蔵基板200内に給電路以外の配線としてのビア導体などを形成するスペースが確保される。したがって、部品内蔵基板200を設計するときの自由度を大きくすることができる。また、基板サイズを多くせずとも部品内蔵基板200内部に種々の配線を設けることができ、部品内蔵基板200の小型化を図ることができる。
【0080】
また、集合体基板12(コンデンサ52)が部品内蔵基板200の一主面側および他の主面側の両配線層4,6の接続導体に兼用されることにより、集合体基板12を端子電極層8に接続される電源回路部と電子部品ICとを接続する給電路導体に兼用することができ、上記した第1および第2実施形態のように、部品内蔵基板200の一主面側の配線層3,4と、他方の主面側の配線層6,7とを接続するための給電路としてのビア導体などを部品内蔵基板200内に別途設ける必要がなく、これにより、部品内蔵基板200内の集合体基板12配置のためのスペースを確保することができるため、部品内蔵基板200に内蔵される集合体基板12の数量、サイズ、配置場所などの制約を緩和することができる。
【0081】
また、図6に示すように、各コンデンサ52は集合体基板12に埋設されて部品内蔵基板200に内蔵されているため、各コンデンサ52の高さにばらつきがあっても、集合体基板12は型により高精度に形成されるため、集合体基板12の高さHはほぼ一定に形成される。したがって、集合体基板12が部品内蔵基板200の部品内蔵層5に埋設された状態で、集合体基板12の他方の主面側の電極パッド15と部品内蔵基板200の他方の主面側の配線層6の電極パターン263とを電気的に接続するためのビア導体(層間接続導体253)を、各コンデンサ52の高さのばらつきに影響されずにレーザ加工およびめっき技術を用いて容易に精度よく形成することができるため、集合体基板12と配線層6との接続安定性が向上する。なお、図6は、部品集合体10aの高さHがほぼ一定であることを説明するための図である。
【0082】
また、各コンデンサ52は集合体基板12に埋設されて部品内蔵基板200に内蔵されて、集合体基板12の他方の主面側の電極パッド15と部品内蔵基板200の他方の主面側の配線層6とが接続されているが、集合体基板12から他方の主面側の配線層6までの配線の長さが各コンデンサ52の高さのばらつきの影響を受けないため、集合体基板12から他方の主面側の配線層6までの配線の長さをほぼ一定にできる。これにより、集合体基板12および他方の主面側の配線層6間の配線(層間接続導体253)の寄生インダクタンスを各コンデンサ52の高さのばらつきに影響されずにほぼ一定にすることができるため、層間接続導体253におけるノイズ抑制を安定させることができる。
【0083】
また、図6に示す構成とすることで、電源回路部から電子部品ICまでの給電路を短くできると共に、上記した第1および第2実施形態に比べ、電源回路部から集合体基板12(コンデンサ52)までの給電路を短くすることができるため、電源回路部から集合体基板12までの給電路に寄生するインダクタンスを小さくすることができ、電源回路部の応答特性を向上することができる。
【0084】
また、集合体基板12(コンデンサ52)は、電源回路部から電子部品ICまでの給電路に介挿されて給電路に接続されることとなるため、給電路と集合体基板12とを接続するための配線を別途設ける必要がなく、給電路および集合体基板12を接続するための配線を別途設けたときにおける、この配線における高周波ノイズ抑制を安定させることができる。
【0085】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、部品内蔵層5に複数の集合体基板12をさらに埋設して、部品内蔵基板1,100,200を形成してもよい。また、上記した実施形態では、電子部品としてコンデンサ52を集合体基板12に埋設し、集合体基板12をデカップリング回路として機能させる例を挙げて説明したが、集合体基板12に埋設される電子部品としてはコンデンサ52に限られず、抵抗素子、コイル素子、ICなど、種々の電子部品を集合体基板12に埋設して部品集合体10,10aを形成してもよく、種々の電子部品を集合体基板12に埋設することにより、部品集合体10,10aをフィルタ回路など、種々の回路として機能させるようにしてもよい。
【0086】
また、部品集合体10,10a(集合体基板12)が部品内蔵基板1,100,200に内蔵された状態で、配線層6から配線層4に向かう給電路の方向とほぼ同方向に内部電極が配設されたコンデンサを採用することで、より一層の低インピーダンス化(低インダクタンス化)を図ることができる。
【0087】
本発明は、複数の電子部品が埋設された状態で主基板に内蔵される集合体基板を備える種々の部品集合体に適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1,100,200 部品内蔵基板(主基板)
3,4,6,7 配線層
10,10a 部品集合体
11 電極パッド
51,13 部品内蔵層
52 コンデンサ(電子部品)
53 層間接続導体(ビア導体)
IC 電子部品(半導体回路部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基板の部品内蔵層に内蔵される部品集合体において、
前記主基板の部品内蔵層に内蔵される集合体基板と、
前記集合体基板の部品内蔵層に配列して内蔵された複数の電子部品とを備え、
前記主基板の部品内蔵層の線膨張係数αと、
前記集合体基板の部品内蔵層の線膨張係数αと、
前記電子部品の線膨張係数αとの関係が、
α>α>α
であることを特徴とする部品集合体。
【請求項2】
請求項1に記載の部品集合体において、
前記集合体基板は、一主面に複数の電極パッドが形成され、
前記各電極パッドに前記各電子部品が電気的に接続されていることを特徴とする部品集合体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品集合体において、
前記集合体基板の部品内蔵層および前記主基板の部品内蔵層は、ともに樹脂層であることを特徴とする部品集合体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の部品集合体において、
前記各電子部品は、コンデンサであることを特徴とする部品集合体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の部品集合体において、
半導体回路部が前記主基板の一主面に実装されて、前記主基板の一主面側の配線層に接続され、
前記主基板の一主面側の配線層はビア導体により前記主基板の他方の主面側の配線層に接続され、
前記集合体基板の一主面側の各電極パッドが前記主基板の一主面側の配線層に電気的に接続されていることを特徴とする部品集合体。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の部品集合体において、
半導体回路部が前記主基板の一主面に実装されて、前記主基板の一主面側の配線層に接続され、
前記集合体基板に内蔵された前記各電子部品は、前記集合体基板の一主面側の各電極パッドが前記主基板の一主面側の配線層に電気的に接続され、かつ、前記集合体基板の他方の主面側の電極パッドが前記主基板の他方の主面側の配線層に電気的に接続され、前記集合体基板の両主面の前記配線層間の接続導体としても機能することを特徴とする部品集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42164(P2013−42164A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230718(P2012−230718)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2012−508087(P2012−508087)の分割
【原出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】