説明

アライメント方法およびその装置

【課題】本発明は、種々の処理装置に組み込むことによって作業効率の向上および品質のばらつき抑制を実現するアライメント方法およびその装置を提供することである。
【解決手段】吸着テーブル4上に配設された複数の基板保持プレート17の夫々にアライメントマーク20を有する被処理基板18を保持し、アライメントマーク撮像用カメラ19で撮像して得られた被処理基板18のアライメントマーク20の位置データに基づいて吸着テーブル4の基板保持プレート17に対応する両側に配設されたアライメント機構を制御し、夫々のアライメント機構に設けられた基板保持プレート用支持ピン10a、10bを介して基板保持プレート17をX、Yおよびθ方向に制御して被処理基板18のアライメントを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアライメント方法およびその装置に関するものであり、詳しくは、ステージ上で被処理基板をアライメントする方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネル等に使用するガラス基板を切断する方法として、例えば、以下に示すような切断(以下、スクライブともいう)方法が提案されている。それは図5に示すように、アライメントマークが形成されたワーク(ガラス基板)Wを夫々X、Yおよびθの各方向に移動可能なテーブルTx、TyおよびTθ上に載置し、所定の位置に配置されたカメラ50でワークWのアライメントマークを撮像して、得られた画像をデータ処理することによってアライメントマークの位置を算出する。算出されたアライメントマークの位置データは予め正規の位置に対応するように設定された位置データと比較され、その差分に基づいてテーブルTx、Ty、Tθの夫々をX、Yおよびθの夫々の方向に移動させることによってワークWを所定の位置に位置させる。
【0003】
その後、テーブルTxをX方向に往復移動させながらチップホルダー51に回転自在に支持されたカッターホイールチップ52によってワークWをX方向にスクライブするものである。その際、スクライブ方向変更時にはチップホルダー51がスクライブ間隔に対応した位置に補正されると共に、チップホルダー51を180°回転させることによってチップホルダー51に支持されたカッターホイールチップ52がスクライブ方向に対応した方向に向けられる。
【0004】
このようにしてワークWに対するX方向のスクライブが完了するとテーブルTθが90°回転され、上述したX方向のスクライブと同様の手順によってワークWにY方向のスクライブが行なわれて1枚のワークWに対するスクライブ工程が完了するというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−119030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記ガラススクライブ方法で複数のワーク(ガラス基板)Wをスクライブする場合は、ワークWを1枚毎にテーブルTx、TyおよびTθ上に載置してスクライブする方法とテーブルTx、TyおよびTθ上に載置した複数のガラス基板を順次スクライブする方法が考えられる。
【0006】
前者の場合は1枚毎のワークWの交換作業に伴う労力・時間の浪費が作業効率を低下させるものであり、それに対し後者の場合は前者に比べて作業効率は良好ではあるが、スクライブするワークW1枚毎にスクライブ加工前にテーブルをX、Yおよびθ方向に移動させてアライメントする必要があり、そのためにアライメント時のテーブルTx、TyおよびTθの機械的な移動による時間的な損失が発生することになる。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、種々の処理装置に組み込むことによって作業効率の向上および品質のばらつきの抑制を実現するアライメント方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、テーブル上に複数の被処理基板を夫々正規の位置に揃えるアライメント方法であって、
(1)テーブル上に載置された複数の基板保持プレートの夫々にアライメントマークが形成された被処理基板を保持するステップと、
(2)前記被処理基板に形成されたアライメントマークをアライメントマーク撮像用カメラで撮像した画像から得られた位置データと、予め正規の位置に対応するように設定された位置データとの差に基づいてアライメント機構を制御することによって該アライメント機構に連動して動く前記基板保持プレートの位置を調整して前記位置データの差を縮小するステップと、
(3)前記位置データの差が予め設定された範囲内に至るまで前記ステップ(2)を繰り返すステップと、
(4)前記テーブル上に載置された前記全ての基板保持プレートについて前記ステップ(2)および(3)を施すステップを有することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1の前記ステップ(1)において、前記テーブルには多数の吸着孔が設けられていると共に、前記基板保持プレートは窓孔を有する板状部材の一方の面に前記窓孔を塞ぐように基板載置用シートが取り付けられており、前記被処理基板は前記板状部材の窓孔を通して前記基板載置用シート上に保持されることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項2において、前記テーブルに設けられた前記吸着孔は、載置される前記基板保持プレートの夫々に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能な複数の吸着孔群からなっており、前記被処理基板の夫々について前記ステップ(3)終了後に該被処理基板に対応する位置の吸着孔群から空気が吸引されて前記被処理基板が前記基板保持プレートの板状部材に取り付けられた基板載置用シートを介して前記吸着テーブルに吸着固定されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、前記テーブルは前記複数の基板保持プレートが載置された方向に直線的に移動可能であり、前記夫々の基板保持プレートは該基板保持プレートに保持された前記被処理基板がアライメントを施される位置まで前記テーブルの移動によって搬送されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、テーブル上に複数の被処理基板を夫々正規の位置に揃えるアライメント装置であって、
直線的に移動可能なテーブルと、
前記テーブル上の該テーブルの移動方向に載置された、夫々被処理基板を保持する複数の基板保持プレートと、
前記夫々の基板保持プレートを挟んで前記テーブルの移動方向と略直角方向の前記テーブルの両側に配設された、前記基板保持プレートを連動して動かす複数の一対のアライメント機構と、
前記テーブルの上方に配置された、前記被処理基板に形成された一対のアライメントマークを撮像する一対のアライメントマーク撮像用カメラを備え、
前記夫々の基板保持プレートに保持された被処理基板について、前記被処理基板に形成された一対のアライメントマークの夫々を前記一対のアライメントマーク撮像用カメラの夫々で撮像し、撮像した画像から得られた位置データと、予め正規の位置に対応するように設定された位置データとの差に基づいて前記一対のアライメント機構を制御して該アライメント機構に連動して動く前記基板保持プレートの位置が調整されて前記位置データの差が縮小され、前記位置データの縮小が前記位置データの差が予め設定された範囲内に至るまで繰り返されることによってアライメントが完了することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、請求項5において、前記テーブルには多数の吸着孔が設けられていると共に、前記基板保持プレートは窓孔を有する板状部材の一方の面に前記窓孔を塞ぐように基板載置用シートが取り付けられており、前記被処理基板は前記板状部材の窓孔を通して前記基板載置用シート上に保持されることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、請求項6において、前記テーブルに設けられた前記吸着孔は、載置される前記基板保持プレートの夫々に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能な複数の吸着孔群からなっており、前記被処理基板の夫々についてアライメント完了後に該被処理基板に対応する位置の吸着孔群から空気が吸引されて前記被処理基板が前記基板保持プレートの板状部材に取り付けられた基板載置用シートを介して前記吸着テーブルに吸着固定されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項8に記載された発明は、請求項5〜7のいずれか1項において、前記夫々の基板保持プレートは該基板保持プレートに保持された前記被処理基板がアライメントを施される位置まで前記テーブルの移動によって搬送されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアライメント装置は、ステージ上に載置された複数の基板保持プレートの夫々に保持された被処理基板をステージ上で正規の位置にアライメントするようにした。
【0017】
その結果、種々の処理装置に本発明のアライメント装置を組み込むことによって処理速度の高速化が図られるために作業効率が向上し、且つ処理の均一性が確保できるために品質のばらつきが低減できる等の優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図1〜4を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付し、説明は省略する)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1は本実施形態に係わるアライメント装置を示す斜視図である。なお、以下の説明の中に表記するX、Y、Zおよびθの夫々の方向は、図中に矢印で示した方向に対応する。
【0020】
アライメント装置1は、床面あるいは装置等に固定された架台2の上に一対の第1のガイドレール3が平行に並設され、架台2の上方には前記第1のガイドレール3に該ガイドレール3の延長方向(Y方向)に摺動自在に支持された吸着テーブル4が配置されている。
【0021】
吸着テーブル4には多数の吸着孔(図示せず)が設けられていると共に、該吸着孔は吸着テーブル4上に載置される基板保持プレート(後述する)に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能な複数の吸着孔群からなっている。
【0022】
そして、吸着テーブル4の両側の対向する位置に、夫々互いの方向(X方法)に向かって延びた第2のガイドレール5a、5bが配設され、第2のガイドレール5a、5bに該ガイドレール5a、5bの延長方向(X方向)に摺動自在に支持された第1のスライダ6a、6bが配置されている。
【0023】
また、第1のスライダ6a、6b上には、該第1のスライダ6a、6bを摺動自在に支持する第2のガイドレール5a、5bに直角な方向(Y方向)に向かって延びる第3のガイドレール7a、7bが配設され、第3のガイドレール7a、7bに該第3のガイドレール7a、7bの延長方向(Y方向)に摺動自在に支持された第2のスライダ8a、8bが配置されている。
【0024】
そして、夫々の第1のスライダ6a、6b上には第1のアクチュエータ9a、9bが配設されていると共に夫々の第2のスライダ8a、8bには吸着テーブル4に垂直な方向(Z方向)に延びた基板保持プレート用支持ピン10a、10bが設けられており、第1のアクチュエータ9a、9bの各ロッド11a、11bは夫々基板保持プレート用支持ピン10a、10bに連結されている。
【0025】
また、吸着テーブル4の第1のスライダ6aが配置された側には第2のアクチュエータ12が配設されており、第2のアクチュエータ12のロッド11cは第1のスライダ6aに連結されている。
【0026】
吸着テーブル4上には図2に示すような、両端部にピン嵌挿孔13a、13bが設けられると共に中央部に窓孔14が設けられた板状部材15の一方の面に前記窓孔14を塞ぐように基板載置用シート16が取り付けられた基板保持プレート17が載置され、ピン嵌挿孔13a、13bの夫々には基板保持プレート用支持ピン10a、10bが嵌挿されている。
【0027】
板状部材15は金属、非金属あるいは高分子材料等のうちから選択されたもの、あるいはそれらを組み合わせたものからなり、例えば、ガラスエポキシ樹脂等も使用できる。また、基板載置用シート16は金属、非金属あるいは高分子材料等のうちから選択されたもの、あるいはそれらを組み合わせたものからなり、後述するように被処理基板18が基板載置用シート16を介して吸着テーブル4に吸着固定できるように加工されたものであればよい。例えば、多孔質シート、吸着孔を設けたガラスエポキシ樹脂等も使用できる。
【0028】
なお、アライメントが施される被処理基板は図1および図2に示すように、板状部材15の窓孔14を通して基板載置用シート16上に保持される。このとき、被処理基板18の基板載置用シート16に保持された面と反対側の面は板状部材15の面よりも突出している。つまり、基板保持プレート17の板状部材15はアライメントが施される被処理基板18よりも薄くなるように設定されている。
【0029】
更に、吸着テーブル4の上方には一対のアライメントマーク撮像用カメラ19が略基板保持プレート用支持ピン10a、10b同士を結ぶ方向(X方向)に移動自在に配設されており、各基板保持プレート17に保持された被処理基板18に形成された一対のアライメントマーク20を撮像してその画像からアライメントマーク20の所定の位置からのずれを算出するものである。
【0030】
なお、第2のガイドレール5b、第3のガイドレール7b、第2のスライダ8bおよびロッド11bの夫々は吸着テーブル4の第1のスライダ6bが配置された側に位置するが、吸着テーブル4の陰に隠れているために図面には記載していない。
【0031】
以上説明したような、吸着テーブル4の両側に配設された一対のアライメント機構は、吸着テーブル4の該吸着テーブル4の架台2に対する摺動方向(Y方向)に複数並設されており、吸着テーブル4に並設されるアライメント機構の数は、吸着テーブル4上に載置される基板保持プレート17の数と同一またはそれより多く、また、アライメントが施される被処理基板の形状・寸法、アライメント装置の形状・寸法、作業性、設備投資額等の種々の条件を考慮して総合的に判断される。
【0032】
また、基板保持プレート17が載置される吸着テーブル4には多数の吸着孔(図示せず)が設けられており、それら吸着孔は載置される各基板保持プレート17に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能なように複数の吸着孔群からなっている。
【0033】
次に、上述のアライメント装置を使用して被処理基板のアライメントを行なう方法について図1および図3を参照して詳細に説明する。図3はアライメント機構の動きを説明するための模式図である。
【0034】
まず、吸着テーブル4上に載置された夫々の基板保持プレート17の基板載置用シート16上にアライメントマーク20が形成された被処理基板18を載せてそのまま保持する。このとき、各被処理基板18は、被処理基板18の隣接する2辺の端面を基板保持プレート17の板状部材15に設けられた窓孔14の隣接する2辺の端面に突き当てた状態で保持されている。
【0035】
つまり、各被処理基板18は、被処理基板18を保持する夫々の基板保持プレート17に対して予備的な位置決めがなされたことになる。また、夫々の基板保持プレート17は予め位置および方向が大まかに揃えられており、基板保持プレート17についても同様に予備的な位置決めが施されているものである。従って、夫々の被処理基板18は基板保持プレート17に保持された時点で粗いアライメントが施された状態にあることになる。
【0036】
また、一対のアライメントマーク撮像用カメラ19も、予め被処理基板18の一対のアライメントマーク20の正規の位置に対応する位置に移動させてある。
【0037】
そして、アライメント装置1の始動操作を行なうと、架台2上に配設された第1のガイドレール3に沿って吸着テーブル4が摺動され、最初の基板保持プレート17に保持された被処理基板18の一対のアライメントマーク20がカメラ19に捕らえられて、得られたアライメントマーク20のいずれか一方または両方の画像の位置データが正規の位置データに対して所定の範囲内に入ったときに吸着テーブル4の摺動が停止する。
【0038】
すると、この時点から被処理基板18に対する高精度のアライメントが開始される。それは、カメラで撮像されて得られた被処理基板18の一対のアライメントマーク20の夫々の画像の位置データと、アライメントマーク20の夫々の正規の位置に対応するように予め設定された位置データとの差を、X方向およびY方向に分けて算出する。
【0039】
そして、算出されたX方向の差およびY方向の差の夫々に基づいて第1のアクチュエータ9a、9bと第2のアクチュエータ12の3つのアクチュエータを個別に制御し、基板保持プレート用支持ピン10a、10bを介して基板保持プレート17の位置・方向を調整して被処理基板18の位置を正規の位置に近づける。
【0040】
ここで、第1のアクチュエータ9a、9bと第2のアクチュエータ12の3つのアクチュエータの作動と基板保持プレート用支持ピン10a、10bの移動方向および被処理基板の制御方向の関係を説明する(図3参照)。
【0041】
第1のアクチュエータ9aを作動させると第1のアクチェータ9aのロッド11aはY方向に伸縮する。すると、ロッド11aは第1のアクチュエータ9aが配設された第1のスライダ6a上にY方向に摺動自在に支持された第2のスライダ8aに設けられた基板保持プレート用支持ピン10aに接続されており、第1のアクチュエータ9aが作動してロッド11aが伸縮すると基板保持プレート用支持ピン10aはY方向に移動する。
【0042】
同様に、第1のアクチュエータ9bを作動させると第1のアクチュエータ9bのロッド11bはY方向に伸縮する。すると、ロッド11bは第1のアクチュエータ9bが配設された第1のスライダ6b上にY方向に摺動自在に支持された第2のスライダ8bに設けられた基板保持プレート用支持ピン10bに接続されており、第1のアクチュエータ9bが作動してロッド11bが伸縮すると基板保持プレート用支持ピン10bはY方向に移動する。
【0043】
従って、第1のアクチュエータ9a、9bを作動させることによって、基板保持プレート用支持ピン10a、10bを介して基板保持プレート17をY方向に移動したりθ方向に回転することが可能となる。その結果、基板保持プレート17に載置された被処理基板18のY方向およびθ方向の制御が可能となる。
【0044】
また、第2のアクチュエータ12を作動させると第2のアクチュエータ12のロッド11cはX方向に伸縮する。すると、ロッド11cは吸着テーブル4に配設された第2のガイドレール5aにX方向に摺動自在に支持された第1のスライダ6aに接続されており、第2のアクチュエータ12が作動してロッド11cが伸縮すると第1のスライダ6aはX方向に移動する。
【0045】
このとき、第1のスライダ6aには第1のアクチェータ9aと共に基板保持プレート用支持ピン10aが設けられた第2のスライダ8aが配設されており、よって第2のアクチュエータ12aが作動してロッド11cが伸縮すると第1のスライダ6aがX方向に移動することによって基板保持プレート用支持ピン10aがX方向に移動する。
【0046】
すると、基板保持プレート用支持ピン10aが嵌挿された基板保持プレート17が基板保持プレート用支持ピン10aのX方向の移動に伴って同様にX方向に移動する。このとき、基板保持プレート17に嵌挿された他方の基板保持プレート用支持ピン10bも基板保持プレート17を介してX方向に移動する。
【0047】
従って、第2のアクチュエータ12を作動させることによって、基板保持プレート用支持ピン10a、10bを介して基板保持プレート17をX方向に移動することが可能となる。その結果、基板保持プレート17に載置された被処理基板18のX方向の制御が可能となる。
【0048】
このように、カメラで撮像されて得られたアライメントマーク20の画像の位置データと、アライメントマーク20の夫々の正規の位置に対応するように予め設定された位置データによって算出されたX方向の差およびY方向の差の夫々に基づいて第1のアクチュエータ9a、9bと第2のアクチュエータ12の3つのアクチュエータを適宜制御することによって被処理基板18の位置を正規の位置に近づけることができる。
【0049】
以上説明したアライメント機構によって被処理基板18の位置調整が行なわれた後、同様にカメラによるアライメントマーク20の撮像、位置データの算出、被処理基板18の位置修正を繰り返すことによって被処理基板18を正規の位置に限りなく近づける。
【0050】
そして、各アライメントマーク20の位置と正規の位置の差が設定値の範囲内に達した時点でアライメント処理が完了する。
【0051】
被処理基板18のアライメントが完了すると、吸着テーブル4に設けられた吸着孔のうち、その被処理基板18が保持された基板保持プレート17に対応する位置の吸着孔群から空気が吸引され、被処理基板18が基板保持プレート17の板状部材15に取り付けられた基板載置用シート16を介して吸着テーブル4に吸着固定される。
【0052】
このような工程を経てアライメントが完了した被処理基板18が吸着テーブル4上の正規の位置に固定されると、架台2上に配設された第1のガイドレール3に沿って吸着テーブル4が摺動され、次の基板保持プレート17に保持された被処理基板18がアライメントされる。
【0053】
このような工程を経て順次被処理基板18がアライメントされることによって、全ての被処理基板18が吸着テーブル4上の正規の位置に固定されてアライメント作業が完了する。
【0054】
上記アライメント工程の流れを、夫々被処理基板18を保持した2枚の基板保持プレート17と吸着テーブル4とアライメントマーク撮像用カメラ19とによって示したものが図4である。
【0055】
まず、(a)のように吸着テーブル4上に配設された2枚の基板保持プレート17の夫々に被処理基板18を保持する。そしてアライメント装置の始動操作を行なうと、(b)のように吸着テーブル4が摺動して最初の被処理基板18がカメラ19の下でアライメントされる。最初の被処理基板18のアライメントが完了すると、(c)のように再度吸着テーブル4が摺動して次の被処理基板がカメラ19の下でアライメントされる。すると、(d)のように2枚の被処理基板18が吸着テーブル4上の正規の位置に固定されてアライメント作業が完了する。
【0056】
上述したような、複数の被処理基板を吸着テーブル上で正規の位置にアライメントするアライメント装置は、種々の処理装置に組み込むことによって有効に活用できる。例えば、被処理基板を切断するためのスクライブ装置に組み込んだ場合、吸着テーブル上の全ての被処理基板はアライメントが完了して正規の位置に固定されており、スクライブ装置のカッタと吸着テーブルとの相対的な直線運動によって複数の被処理基板に連続的にスクライブラインを形成することができる。
【0057】
その結果、スクライブ速度が上がって作業効率が向上するため、製造コストの低減に繋がる。また、複数の被処理基板において均一なスクライブラインが形成できるため、スクライブ後に切断して小片化された被処理基板同士の品質のばらつきを抑制することが可能となる。なお、レーザ光によるスクライブ装置に組み込んだ場合も同様の効果を奏する。
【0058】
このように、本発明のアライメント装置は、種々の処理装置に組み込むことによって処理等の高速化が図られるために作業効率が向上し、且つ処理の均一性が確保できるために品質のばらつきが低減できる等の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のアライメント装置の斜視図である。
【図2】本発明のアライメント装置を構成する基板保持プレートの斜視図である。
【図3】本発明のアライメント装置に係わるアライメント機構の動きを示す模式図である。
【図4】本発明のアライメントの流れを示す概略図である。
【図5】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 アライメント装置
2 架台
3 第1のガイドレール
4 吸着テーブル
5a、5b 第2のガイドレール
6a、6b 第1のスライダ
7a、7b 第3のガイドレール
8a、8b 第2のスライダ
9a、9b 第1のアクチュエータ
10a、10b 基板保持プレート用支持ピン
11a、11b、11c ロッド
12 第2のアクチュエータ
13a、13b ピン嵌挿孔
14 窓孔
15 板状部材
16 基板載置用シート
17 基板保持プレート
18 被処理基板
19 カメラ
20 アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に複数の被処理基板を夫々正規の位置に揃えるアライメント方法であって、
(1)テーブル上に載置された複数の基板保持プレートの夫々にアライメントマークが形成された被処理基板を保持するステップと、
(2)前記被処理基板に形成されたアライメントマークをアライメントマーク撮像用カメラで撮像した画像から得られた位置データと、予め正規の位置に対応するように設定された位置データとの差に基づいてアライメント機構を制御することによって該アライメント機構に連動して動く前記基板保持プレートの位置を調整して前記位置データの差を縮小するステップと、
(3)前記位置データの差が予め設定された範囲内に至るまで前記ステップ(2)を繰り返すステップと、
(4)前記テーブル上に載置された前記全ての基板保持プレートについて前記ステップ(2)および(3)を施すステップを有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項2】
前記ステップ(1)において、前記テーブルには多数の吸着孔が設けられていると共に、前記基板保持プレートは窓孔を有する板状部材の一方の面に前記窓孔を塞ぐように基板載置用シートが取り付けられており、前記被処理基板は前記板状部材の窓孔を通して前記基板載置用シート上に保持されることを特徴とする請求項1に記載のアライメント方法。
【請求項3】
前記テーブルに設けられた前記吸着孔は、載置される前記基板保持プレートの夫々に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能な複数の吸着孔群からなっており、前記被処理基板の夫々について前記ステップ(3)終了後に該被処理基板に対応する位置の吸着孔群から空気が吸引されて前記被処理基板が前記基板保持プレートの板状部材に取り付けられた基板載置用シートを介して前記吸着テーブルに吸着固定されることを特徴とする請求項2に記載のアライメント方法。
【請求項4】
前記テーブルは前記複数の基板保持プレートが載置された方向に直線的に移動可能であり、前記夫々の基板保持プレートは該基板保持プレートに保持された前記被処理基板がアライメントを施される位置まで前記テーブルの移動によって搬送されることを特徴とする請求項1〜3に記載のアライメント方法。
【請求項5】
テーブル上に複数の被処理基板を夫々正規の位置に揃えるアライメント装置であって、
直線的に移動可能なテーブルと、
前記テーブル上の該テーブルの移動方向に載置された、夫々被処理基板を保持する複数の基板保持プレートと、
前記夫々の基板保持プレートを挟んで前記テーブルの移動方向と略直角方向の前記テーブルの両側に配設された、前記基板保持プレートを連動して動かす複数の一対のアライメント機構と、
前記テーブルの上方に配置された、前記被処理基板に形成された一対のアライメントマークを撮像する一対のアライメントマーク撮像用カメラを備え、
前記夫々の基板保持プレートに保持された被処理基板について、前記被処理基板に形成された一対のアライメントマークの夫々を前記一対のアライメントマーク撮像用カメラの夫々で撮像し、撮像した画像から得られた位置データと、予め正規の位置に対応するように設定された位置データとの差に基づいて前記一対のアライメント機構を制御して該アライメント機構に連動して動く前記基板保持プレートの位置が調整されて前記位置データの差が縮小され、前記位置データの縮小が前記位置データの差が予め設定された範囲内に至るまで繰り返されることによってアライメントが完了することを特徴とするアライメント装置。
【請求項6】
前記テーブルには多数の吸着孔が設けられていると共に、前記基板保持プレートは窓孔を有する板状部材の一方の面に前記窓孔を塞ぐように基板載置用シートが取り付けられており、前記被処理基板は前記板状部材の窓孔を通して前記基板載置用シート上に保持されることを特徴とする請求項5に記載のアライメント装置。
【請求項7】
前記テーブルに設けられた前記吸着孔は、載置される前記基板保持プレートの夫々に対応する領域毎に独立して真空吸引制御が可能な複数の吸着孔群からなっており、前記被処理基板の夫々についてアライメント完了後に該被処理基板に対応する位置の吸着孔群から空気が吸引されて前記被処理基板が前記基板保持プレートの板状部材に取り付けられた基板載置用シートを介して前記吸着テーブルに吸着固定されることを特徴とする請求項6に記載のアライメント装置。
【請求項8】
前記夫々の基板保持プレートは該基板保持プレートに保持された前記被処理基板がアライメントを施される位置まで前記テーブルの移動によって搬送されることを特徴とする請求項5〜7に記載のアライメント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−85275(P2008−85275A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266782(P2006−266782)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(399041561)常陽工学株式会社 (36)
【Fターム(参考)】