ロボットアーム及び搬送装置
【課題】ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度を要求することなく、その動作を実現することができるロボットアーム及びこれを用いた搬送装置を提供すること。
【解決手段】ガイド機構10は、上述のガイド軸15と、これらガイド軸15の動きをガイドする部材としてガイドプレート16とを備えている。ガイドプレート16には、ガイド軸15が挿通されるガイド穴17aを形成するためのガイド穴形成部材17が固定されている。ガイド穴17aは、一方向であるX軸方向に長い形状に形成され、ガイドプレート16をベースとしてガイド軸15がX軸方向に移動するようにそれの動きをガイドする。軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間には隙間Qが設けられている。これにより、実質的に重力方向でガイド軸15の自由度を維持でき、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保される。
【解決手段】ガイド機構10は、上述のガイド軸15と、これらガイド軸15の動きをガイドする部材としてガイドプレート16とを備えている。ガイドプレート16には、ガイド軸15が挿通されるガイド穴17aを形成するためのガイド穴形成部材17が固定されている。ガイド穴17aは、一方向であるX軸方向に長い形状に形成され、ガイドプレート16をベースとしてガイド軸15がX軸方向に移動するようにそれの動きをガイドする。軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間には隙間Qが設けられている。これにより、実質的に重力方向でガイド軸15の自由度を維持でき、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節型のロボットアーム及びこれを用いた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多関節型のロボットアームを用いた搬送装置として、特許文献1には、大型の基板を、コンパクトなスペースで搬送する搬送装置が開示されている。この搬送装置は、レバー11及び12でなる平行リンクとレバー15及び20でなる平行リンクとを有する搬送アームと、これらの平行リンクの間に接続されたリニアガイド22とを備えている。リニアガイド22は、レバー21の支点Eをスライド可能に支持するガイドレール24を有するガイドブロック16を備えている。リニアガイド22が設けられることにより、レバー15及び20による平行リンクの作用点であるレバー21の直線上での移動量を大きくしている(例えば、特許文献1の明細書段落[0007]、[0008]、[0019]、図1、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4022461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の搬送装置では、レバー15の支点Eがガイドレール24に締結された状態であるので、搬送アームが所望の動作を行うためには、リニアガイド22を構成する各部材に非常に高いアライメント精度が要求される。
【0005】
特に、実際に搬送アームが基板を搬送する場合において、特許文献1の図3(a)(または図3(c))に示す状態では、レバー15及び21でなる平行リンクには、その自重及び基板の重量によって、レバー21の部分が最も下に位置するように撓みが発生する。その撓みの発生により、レバー15の支点Eとガイドブロック16との締結部分には応力が発生するので、上記のようにその締結部分のアライメント精度を非常に高く維持していない場合、締結部分の磨耗等が激しくなる等、その締結部分の耐久性の問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度を要求することなく、その動作を実現することができるロボットアーム及びこれを用いた搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るロボットアームは、第1の平行リンク機構と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを具備する。
前記第2の平行リンク機構は、作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0008】
本発明の一形態に係る搬送装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットとを具備する。
前記ロボットアームは、第1の平行リンク機構と、保持部と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを有する。
前記保持部は、搬送対象物を保持することが可能である。
前記第2の平行リンク機構は、前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度を要求することなく、ロボットアームの動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る多関節型のロボットアームを搭載した搬送装置を示す斜視図である。
【図2】ガイド機構の一方のガイド軸の付近を拡大して示した断面図である。
【図3】ガイド機構のガイド穴付近をさらに拡大して示した断面図である。
【図4】第1アーム、第2アーム、第3アーム、リンク部材及びガイド機構の相互の接続関係を示す図である。
【図5】旋回ブロック内の構造及び駆動ユニットの一部を示す模式的な断面図である。
【図6】旋回ブロック内のギアの係合状態を示す平面図である。
【図7】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が後方側にある状態を示している。
【図8】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が中央にある状態を示している。
【図9】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が前方側にある状態を示している。
【図10】図7に対応するロボットアームの斜視図である。
【図11】図8に対応するロボットアームの斜視図である。
【図12】ロボットアームの作用効果の1つを説明するための図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るガイド機構の軸受ローラ付近を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一形態に係るロボットアームは、第1の平行リンク機構と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを具備する。
前記第2の平行リンク機構は、作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0012】
ガイド穴によるガイド方向にのみガイド軸の自由度が設けられるのではなく、ガイド軸がガイド部材に対してガイド方向とは異なる方向に動くための自由度も確保されている。したがって、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度は不要となり、従来のように部材同士の締結部分の磨耗等も低減されるため、高い耐久性も不要となる。
【0013】
前記ロボットアームは、前記ガイド穴内で前記ガイド軸に装着された軸受ローラをさらに具備してもよい。これにより、ガイド軸がガイド穴でそのガイド方向に移動する時にガイド軸が安定し、その移動時の摺動抵抗を減らすことができる。
【0014】
前記ガイド部材は、前記ガイド穴を形成する内側壁を有し、前記軸受ローラは、前記内側壁との間に隙間をあけて設けられていてもよい。これにより、軸受ローラの軸方向及びそのガイド方向に直交する方向の両自由度を確保することができる。例えばガイド軸の軸方向が重力(または重力成分を含む)方向である場合には、第1及び第2の平行リンク機構の相対的位置によっては、ガイド軸が上下動する方向あるいは傾く方向の力がガイド軸に加えられる場合がある。そのような場合に、ガイド軸がその重力方向で上下できる程度の自由度を維持できることにより、ガイド軸及びガイド部材等の磨耗等による劣化を抑えることができる。
【0015】
前記軸受ローラは、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部を有する外周面を有してもよい。これにより、軸受ローラがガイド穴の内側壁に当接する時に、両者に働く極圧作用を緩和することができる。
【0016】
前記ガイド部材による前記ガイド軸の前記ガイド方向は、前記ガイド軸に垂直な面内で、かつ、前記作用端の動く方向に直交する方向であってもよい。
【0017】
一形態に係る搬送装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットとを具備する。
前記ロボットアームは、第1の平行リンク機構と、保持部と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを有する。
前記保持部は、搬送対象物を保持することが可能である。
前記第2の平行リンク機構は、前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る多関節型のロボットアームを搭載した搬送装置を示す斜視図である。
【0020】
搬送装置100は、搬送対象物としての基板Gを、真空下で処理する各処理室等の間で搬送する。基板Gとしては、ディスプレイ装置に搭載されるガラス基板が挙げられる。搬送装置100は、上部に設けられた2つのロボットアーム30と、これらのロボットアーム30の下方側でこれらのロボットアーム30に接続され、ロボットアーム30を駆動する駆動ユニット50とを備える。
【0021】
2つのロボットアーム30に共通の旋回ブロック8は、駆動ユニット50内で駆動される1本の旋回シャフト73(図5参照)により旋回可能となっている。旋回ブロック8が旋回することにより2つのロボットアーム30が共に旋回する。2つのロボットアーム30の構成は実質的に同じであり、以下、一方のロボットアーム30の構成について説明する。
【0022】
ロボットアーム30は、第1アーム1及び第2アーム2を有している。これら第1アーム1及び第2アーム2のそれぞれの一端には駆動軸11が接続され、駆動軸11は、旋回ブロック8を介して駆動ユニット50に接続されている。駆動軸11の並ぶ方向を、説明の便宜上、図1中においてY軸方向とする。後述するように、これらの駆動軸11は、駆動ユニット50に設けられた1本の共通のシャフト71(または72)(図5参照)に、旋回ブロック8を介して接続されている。
【0023】
第1アーム1及び第2アーム2のそれぞれの他端には第1の連結軸12が接続されている。これら第1の連結軸12を介して、第1アーム1及び第2アーム2に、第3アーム3及び第4アーム4が回転可能にそれぞれ連結されている。第1アーム1及び第2アーム2の、駆動軸11及び第1の連結軸12の間にはそれぞれ第2の連結軸14が設けられている。これら第2の連結軸14を介して、第1アーム1及び第2アーム2にはリンク部材5が連結されている。リンク部材5は、その長手方向が図1中のY軸方向に沿うように設けられている。第2の連結軸14は、駆動軸11及び第1の連結軸12の中間位置より第1の連結軸12に近い側に配置されている。
【0024】
駆動軸11同士を結ぶY軸方向の線分、第1アーム1、第2アーム2及びリンク部材5により平行四辺形が形成される。そして、これらの部材により第1の平行リンク機構31が構成される。すなわち、この第1の平行リンク機構31は、駆動軸11により、第1アーム1及び第2アーム2の平行を維持した状態、また、リンク部材5の長手方向が実質的に常にY軸方向に沿った状態で、実質的に水平面である一平面(X−Y平面)内で回転する。
【0025】
第3アーム3及び第4アーム4のそれぞれの他端である作用端には、基板Gを保持する保持部67が接続されている。保持部67は、例えばT字状で板状のハンドベース6と、このハンドベース6に取り付けられた2本の長いハンド部材7とを有する。ハンドベース6は、作用端軸13を介して第3アーム3及び第4アーム4にそれぞれ回転可能に接続されている。ハンド部材7には、例えば真空吸着により基板Gを支持する図示しない機構が設けられている。
【0026】
第3アーム3及び第4アーム4の各作用端とは反対側の端部には、後述のガイド機構10のガイド軸15が回転可能に接続されている。第3アーム3及び第4アーム4の、作用端軸13及びガイド軸15の間において、上述の第1の連結軸12が接続されている。第1の連結軸12は、作用端軸13よりガイド軸15に近い側に配置されている。
【0027】
各ガイド軸15を結ぶY軸方向の線分(または第1の連結軸12を結ぶ線分)、各作用端軸13を結ぶY軸方向の線分、第3アーム3及び第4アーム4により平行四辺形が形成される。そして、これら第3アーム3、第4アーム4、ハンドベース6等の部材により第2の平行リンク機構32が構成される。すなわち、この第2の平行リンク機構32は、第1の平行リンク機構31が駆動されることにより、第3アーム3及び第4アーム4の平行を維持した状態、また、保持部67の姿勢を維持した状態で、第1の平行リンク機構31の動きと同期するように実質的に水平面であるX−Y平面内で回転する。
なお、一方のロボットアーム30の動きと、他方のロボットアーム30の動きとが干渉しないような設計とされている。例えばそれぞれの第2の平行リンク機構32及び保持部67の高さ位置が異なるように、第1の連結軸12などの長さが設計されている。
【0028】
ガイド機構10は、上述のガイド軸15と、これらガイド軸15の動きをガイドする部材としてガイドプレート16とを備えている。ガイドプレート16の、第2の連結軸14が設けられる位置と反対側の端部には、ガイド軸15が挿通されるガイド穴17aを形成するためのガイド穴形成部材17が固定されている。ガイド穴17aは、一方向であるX軸方向に長い形状に形成され、ガイドプレート16をベースとしてガイド軸15がX軸方向に移動するようにそれの動きをガイドする。
【0029】
図2は、ガイド機構10の一方のガイド軸15の付近を拡大して示した断面図である。図3は、そのガイド穴17a付近をさらに拡大して示した断面図である。
【0030】
ガイドプレート16は、その上面に設けられた開口16aを有し、また、中空部16bを有している。開口16aには上記ガイド穴形成部材17が嵌合するように固定されている。このような構成により、ガイドプレート16の外部と中空部16bとが、ガイド穴17aを介して連通する。
【0031】
ガイド機構10は、軸受ローラ18を有し、軸受ローラ18は、ガイド穴17a内に配置されるようにガイド軸15の下端部15aに配置されている。すなわち、図3に示すように、軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の、ガイド穴17aを形成する内側壁17bとが対面するように、軸受ローラ18がガイド穴17a内に配置される。軸受ローラ18は、公知の軸受の構造を有していればよい。例えば軸受ローラ18の内輪18bがガイド軸15に固定され、外輪18cが、保持器18eに保持された転動体18dにより内輪18bに対して回転自在な構造を有する。
【0032】
軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間には隙間Qが設けられている。この隙間Qは、ガイド軸15(及び軸受ローラ18)が、少なくとも実質的に垂直方向であるZ軸方向で規制されないように、すなわち実質的に重力方向でガイド軸15の自由度を維持できるように設けられている。また、この隙間Qにより、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保される。
【0033】
図4は、以上説明した、第1アーム1、第2アーム2、第3アーム3、リンク部材5及びガイド機構10の相互の接続関係を示す図であり、各部材の一部を断面で示している。
【0034】
第1アーム1に取り付けられた軸受25と、第3アーム3に取り付けられた軸受22とが同軸で配置され、これら軸受25及び22に第1の連結軸12が嵌着されている。ガイド軸15は、第3アーム3の端部に取り付けられた軸受21に接続されている。第2アーム2(及び第1アーム1)に取り付けられた軸受23と、ガイドプレート16に取り付けられた軸受24とが同軸で配置され、これら軸受23及び24に第2の連結軸14が嵌着されている。
【0035】
なお、リンク部材5は、第1アーム1及び第2アーム2の下面側にも接続されている(図示せず)。
【0036】
図5は、旋回ブロック8内の構造及び駆動ユニット50の一部を示す模式的な断面図である。図6は旋回ブロック8内のギアの係合状態を示す平面図である。
【0037】
駆動ユニット50は、回転シャフト71、72及び旋回シャフト73を有する。回転シャフト71、72及び旋回シャフト73は、例えば図示しないベルト及びプーリ等の伝達機構を介して図示しない3つのモータにそれぞれ接続されている。旋回シャフト73及び回転シャフト72は、それぞれ中空状に形成されている。旋回シャフト73内にそれより小さい径を有する回転シャフト72が配置され、回転シャフト72内にそれより小さい径を有する回転シャフト71が配置される。これにより、これらのシャフト71、72及び73は、3軸同軸でそれぞれ独立して回転駆動される。
【0038】
また、回転シャフト71と回転シャフト72との間には真空シール軸受82が設けられ、同様に、回転シャフト72と旋回シャフト73との間にも真空シール軸受82が設けられている。これらの真空シール軸受82により、例えばロボットアーム30が配置される側と駆動ユニット50が配置される側とをそれぞれ異なるガス圧の状態に設定することが可能となる。典型的には、ロボットアーム30が配置される側が真空状態とされる。
【0039】
旋回ブロック8は、旋回シャフト73に固定されたケース37を有する。ケース37内において、回転シャフト71にはギア41が固定され、回転シャフト72にはギア42が固定されている。ギア42の中央には、回転シャフト71が通る穴42aが形成され、これらのギア41及び42は同軸で配置されている。
【0040】
一方のロボットアーム30の第1アーム1及び第2アーム2にそれぞれ接続された駆動軸11には、上記ギア41に噛み合うギア35a及び35bがそれぞれ固定されている。これらのギア35a及び35bは、水平面内で並んで配置されている。
【0041】
また、同様に、他方のロボットアーム30の第1アーム1及び第2アーム2にそれぞれ接続された駆動軸11には、ギア42に噛み合うギア36a及び36bがそれぞれ固定されている。これらのギア36a及び36bは、水平面内で並んで配置されている。
【0042】
図5に示すように、ギア35a及び35bが並ぶ面の高さは、ギア36a及び36bが並ぶ面の高さと異なる。なお、図5を分かりやすくするため、一方のロボットアーム30の駆動軸11を図示し、他方のロボットアーム30の駆動軸11を図示していない。旋回ブロック8内において、駆動軸11は、軸受33を介して筒状のケース34にそれぞれ収容されている。これらケース34は、旋回ブロック8のケース37に固定されている。
【0043】
このような構成により、駆動ユニット50は、同軸の回転シャフト71及び72を用いて両ロボットアーム30を独立して伸縮駆動し、それらに同軸の旋回シャフト73を用いて両ロボットアーム30を旋回させることができる。
【0044】
なお、旋回シャフト73により、旋回ブロック8が旋回する時、慣性力により駆動軸11が、ケース37に相対的に回転するので、その回転を抑えるように回転シャフト71及び72が駆動されてもよい。あるいは、旋回シャフト73の回転駆動に同期するように、回転シャフト71及び72が駆動されてもよい。
【0045】
次に、図7〜11を参照してロボットアーム30の動作、特にガイド機構10の動作について説明する。なお、図7〜9に示したロボットアーム30の平面図において、一方のロボットアーム30のみを示し、他方のロボットアーム30を省略している。
【0046】
図7に示す状態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17a内の、外側端部17dより内側端部17cにやや近い側に配置される。図10は、この時のロボットアーム30の斜視図を示している。
【0047】
図7に示した状態から、保持部67をY軸の正方向に移動させるために第1の平行リンク機構31が駆動ユニット50により駆動されると、第1の平行リンク機構31及び第2の平行リンク機構32が縮んでいく。そして、図8に示すように、第1の平行リンク機構31及び第2の平行リンク機構32が実質的に平行になると、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17a内の外側端部17dに配置される。図11は、この時のロボットアーム30の斜視図を示している。
【0048】
図8に示した状態から、保持部67をY軸の正方向にさらに移動させるように第1の平行リンク機構31が駆動ユニット50により駆動されると、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17aの内側端部17cに近づいていく。そして、図9に示すように、ロボットアーム30がほぼ伸びきった状態では、ガイド軸15(及び軸受ローラ18)はガイド穴17aの内側端部17c付近に配置される。
【0049】
以上のように、ガイド機構10は、第2の平行リンク機構32の端部の動きを、ガイド軸15に垂直な面内で、かつ、保持部67の動く方向に直交する方向、つまり、X軸方向でガイドする。すなわち、ガイド機構10は、第2の平行リンク機構32の端部の動きをY軸方向には拘束するように作用する。したがって、第2の平行リンク機構32の作用端である保持部67の動作及びそのポジショニングを高精度に制御することができる。また、ガイド機構10により、ロボットアーム30の小型化を実現しつつ、大型の基板Gの搬送時においても、要求されるその大型の基板Gの占有フットプリントに見合う、ロボットアーム30の動作範囲を確保することができる。
【0050】
なお、上記「垂直」や「直交」という文言は、ロボットアーム30を構成する各部材に、高いアライメント精度を要求することなく、その動作を実現することができれば、厳密な意味での「垂直」、「直交」でなくてもよい。つまり、実質的な「垂直」、「直交」を意味する。
【0051】
本実施形態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド方向であるX軸方向の動きの自由度を有するだけではなく、軸受ローラ18とガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間に隙間Qが設けられているので、例えばZ軸方向に動きの自由度が維持される。また、その隙間Qにより、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保することができる。したがって、ロボットアーム30を構成する部材に、高いアライメント精度は不要となり、特に特許文献1における図1に示された支点Eの部分の磨耗等も低減されるため、高い耐久性も不要となる。磨耗が低減される結果、粉塵の発生も抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ガイド穴17a内でガイド軸15に軸受ローラ18が装着されているので、ガイド軸15がガイド穴17aでガイド方向に移動する時にガイド軸15が安定し、その移動時の摺動抵抗を減らすことができる。
【0053】
また、本実施形態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18の動きのZ及びY軸方向の自由度が維持されることにより、ロボットアーム30は、以下のような問題を解決することができる。
【0054】
例えば、図7に示した状態と、図9に示した状態とでは、ガイド機構10を中心として、第2の平行リンク機構32及び作用端である保持部67の位置がY軸方向で逆となる。したがって、図7で示した状態と、図9に示した状態とで、ロボットアーム30の重心位置が変わり、ガイド機構10の各部材に加えられる力の方向が変わる。その結果、図7で示した状態ではガイド軸15の上端部が、保持部67が位置する側にわずかに傾くことができ、図9で示した状態では、ガイド軸15はその逆方向にわずかに傾くことができる。すなわち、Z及びY軸方向の自由度が維持されることによって、ガイド軸15が傾く姿勢を取ることができ、また、その傾く姿勢を変えることができるので、ロボットアーム30を構成する各部材のアライメント精度の誤差を吸収することができる。その結果、ガイド軸15、ガイド機構10を構成する各部材等の磨耗等による劣化を抑えることができる。
【0055】
さらに、ガイド軸15及び軸受ローラ18の動きのZ及びY軸方向の自由度が維持されることにより、以下のような作用効果も得られる。
【0056】
図12(A)は、ロボットアーム30が、例えば図8で示した状態から図9で示した状態まで駆動される途中において、Y軸の正方向に保持部67が加速しようとする時の、軸受ローラ18及びガイド穴17aの状態を示す模式的な平面図である。図12(A)に示す状態では、軸受ローラ18は、他の各部材との接続関係からY軸の正方向に加速して移動する。
【0057】
図12(B)は、ロボットアーム30が、例えば図8で示した状態から図7で示した状態まで駆動される途中において、Y軸の負方向に保持部67が加速しようとする時の、ガイド軸15及びガイド穴17aの状態を示す模式的な平面図である。図12(B)に示す状態では、軸受ローラ18は、他の各部材との接続関係からY軸の負方向に加速して移動する。
【0058】
すなわち、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の自由度がない場合に比べ、つまり隙間Q(図3参照)がない場合に比べ、本実施形態では、軸受ローラ18がガイド穴17aの内側壁17bに与える押圧力を小さくすることができる。これにより、主に軸受ローラ18及び内側壁17bに加えられる応力を低減することができ、それらの磨耗による劣化を抑制することができる。
【0059】
図13は、本発明の他の実施形態に係るガイド機構の軸受ローラ付近を拡大して示した断面図であり、図3に対応する図である。
【0060】
本実施形態に係るガイド機構110の軸受ローラ118は、内輪118b、外輪118c、転動体118d及び保持器118eを有する。外輪118cの外周面118aの一部であって、ガイド穴17aの内側壁17bに対面する部分には、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部118fが設けられている。このクラウニング加工部118fは、Z軸の周りに沿って連続的に設けられている。クラウニング加工部118fのZ軸方向の幅は、ガイド穴17aの内側壁17bのZ軸方向の長さと同じかまたはそれより長く形成されている。
【0061】
このようなクラウニング加工部118fを有する軸受ローラ118が設けられることにより、例えば図12(A)及び(B)で示したように、軸受ローラ118が内側壁17bに当接する場合において、両者に働く極圧作用を緩和することができる。これにより、軸受ローラ118及び内側壁17bの磨耗による劣化を抑えることができる。
【0062】
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態がある。
【0063】
上記実施形態では、ガイド軸15に軸受ローラ18、118が設けられていたが、必ずしも軸受ローラ18、118はなくてもよい。
【0064】
上記実施形態では、ガイド穴17aによるガイド軸15のガイド方向がX軸方向とされた。しかし、必ずしもX軸方向でなくてもよく、例えばX及びY軸方向の間の方向であってもよい。
【0065】
上記実施形態に係る搬送装置100は、搬送対象物としてガラス基板Gを搬送するものを例に挙げたが、半導体ウェハ基板を搬送する搬送装置にも本発明を適用可能である。あるいは、ロボットアーム30は、基板を搬送するものに限られず、様々な機械部品等を搬送するものであってもよく、広く産業用ロボットとして適用され得る。
【符号の説明】
【0066】
10、110…ガイド機構
12…第1の連結軸
13…作用端軸
14…第2の連結軸
15…ガイド軸
17…ガイド穴形成部材
17a…ガイド穴
18.118…軸受ローラ
30…ロボットアーム
31…第1の平行リンク機構
32…第2の平行リンク機構
50…駆動ユニット
100…搬送装置
118f…クラウニング加工部
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節型のロボットアーム及びこれを用いた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多関節型のロボットアームを用いた搬送装置として、特許文献1には、大型の基板を、コンパクトなスペースで搬送する搬送装置が開示されている。この搬送装置は、レバー11及び12でなる平行リンクとレバー15及び20でなる平行リンクとを有する搬送アームと、これらの平行リンクの間に接続されたリニアガイド22とを備えている。リニアガイド22は、レバー21の支点Eをスライド可能に支持するガイドレール24を有するガイドブロック16を備えている。リニアガイド22が設けられることにより、レバー15及び20による平行リンクの作用点であるレバー21の直線上での移動量を大きくしている(例えば、特許文献1の明細書段落[0007]、[0008]、[0019]、図1、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4022461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の搬送装置では、レバー15の支点Eがガイドレール24に締結された状態であるので、搬送アームが所望の動作を行うためには、リニアガイド22を構成する各部材に非常に高いアライメント精度が要求される。
【0005】
特に、実際に搬送アームが基板を搬送する場合において、特許文献1の図3(a)(または図3(c))に示す状態では、レバー15及び21でなる平行リンクには、その自重及び基板の重量によって、レバー21の部分が最も下に位置するように撓みが発生する。その撓みの発生により、レバー15の支点Eとガイドブロック16との締結部分には応力が発生するので、上記のようにその締結部分のアライメント精度を非常に高く維持していない場合、締結部分の磨耗等が激しくなる等、その締結部分の耐久性の問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度を要求することなく、その動作を実現することができるロボットアーム及びこれを用いた搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るロボットアームは、第1の平行リンク機構と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを具備する。
前記第2の平行リンク機構は、作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0008】
本発明の一形態に係る搬送装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットとを具備する。
前記ロボットアームは、第1の平行リンク機構と、保持部と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを有する。
前記保持部は、搬送対象物を保持することが可能である。
前記第2の平行リンク機構は、前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度を要求することなく、ロボットアームの動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る多関節型のロボットアームを搭載した搬送装置を示す斜視図である。
【図2】ガイド機構の一方のガイド軸の付近を拡大して示した断面図である。
【図3】ガイド機構のガイド穴付近をさらに拡大して示した断面図である。
【図4】第1アーム、第2アーム、第3アーム、リンク部材及びガイド機構の相互の接続関係を示す図である。
【図5】旋回ブロック内の構造及び駆動ユニットの一部を示す模式的な断面図である。
【図6】旋回ブロック内のギアの係合状態を示す平面図である。
【図7】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が後方側にある状態を示している。
【図8】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が中央にある状態を示している。
【図9】ロボットアームの動作を説明するための平面図であり、保持部が前方側にある状態を示している。
【図10】図7に対応するロボットアームの斜視図である。
【図11】図8に対応するロボットアームの斜視図である。
【図12】ロボットアームの作用効果の1つを説明するための図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るガイド機構の軸受ローラ付近を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一形態に係るロボットアームは、第1の平行リンク機構と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを具備する。
前記第2の平行リンク機構は、作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0012】
ガイド穴によるガイド方向にのみガイド軸の自由度が設けられるのではなく、ガイド軸がガイド部材に対してガイド方向とは異なる方向に動くための自由度も確保されている。したがって、ロボットアームを構成する部材に、高いアライメント精度は不要となり、従来のように部材同士の締結部分の磨耗等も低減されるため、高い耐久性も不要となる。
【0013】
前記ロボットアームは、前記ガイド穴内で前記ガイド軸に装着された軸受ローラをさらに具備してもよい。これにより、ガイド軸がガイド穴でそのガイド方向に移動する時にガイド軸が安定し、その移動時の摺動抵抗を減らすことができる。
【0014】
前記ガイド部材は、前記ガイド穴を形成する内側壁を有し、前記軸受ローラは、前記内側壁との間に隙間をあけて設けられていてもよい。これにより、軸受ローラの軸方向及びそのガイド方向に直交する方向の両自由度を確保することができる。例えばガイド軸の軸方向が重力(または重力成分を含む)方向である場合には、第1及び第2の平行リンク機構の相対的位置によっては、ガイド軸が上下動する方向あるいは傾く方向の力がガイド軸に加えられる場合がある。そのような場合に、ガイド軸がその重力方向で上下できる程度の自由度を維持できることにより、ガイド軸及びガイド部材等の磨耗等による劣化を抑えることができる。
【0015】
前記軸受ローラは、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部を有する外周面を有してもよい。これにより、軸受ローラがガイド穴の内側壁に当接する時に、両者に働く極圧作用を緩和することができる。
【0016】
前記ガイド部材による前記ガイド軸の前記ガイド方向は、前記ガイド軸に垂直な面内で、かつ、前記作用端の動く方向に直交する方向であってもよい。
【0017】
一形態に係る搬送装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットとを具備する。
前記ロボットアームは、第1の平行リンク機構と、保持部と、第2の平行リンク機構と、第1の連結軸と、ガイド軸と、ガイド部材と、第2の連結軸とを有する。
前記保持部は、搬送対象物を保持することが可能である。
前記第2の平行リンク機構は、前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する。
前記第1の連結軸は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する。
前記ガイド軸は、前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されている。
前記ガイド部材は、前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有する。また、前記ガイド部材は、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドする。
前記第2の連結軸は、前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る多関節型のロボットアームを搭載した搬送装置を示す斜視図である。
【0020】
搬送装置100は、搬送対象物としての基板Gを、真空下で処理する各処理室等の間で搬送する。基板Gとしては、ディスプレイ装置に搭載されるガラス基板が挙げられる。搬送装置100は、上部に設けられた2つのロボットアーム30と、これらのロボットアーム30の下方側でこれらのロボットアーム30に接続され、ロボットアーム30を駆動する駆動ユニット50とを備える。
【0021】
2つのロボットアーム30に共通の旋回ブロック8は、駆動ユニット50内で駆動される1本の旋回シャフト73(図5参照)により旋回可能となっている。旋回ブロック8が旋回することにより2つのロボットアーム30が共に旋回する。2つのロボットアーム30の構成は実質的に同じであり、以下、一方のロボットアーム30の構成について説明する。
【0022】
ロボットアーム30は、第1アーム1及び第2アーム2を有している。これら第1アーム1及び第2アーム2のそれぞれの一端には駆動軸11が接続され、駆動軸11は、旋回ブロック8を介して駆動ユニット50に接続されている。駆動軸11の並ぶ方向を、説明の便宜上、図1中においてY軸方向とする。後述するように、これらの駆動軸11は、駆動ユニット50に設けられた1本の共通のシャフト71(または72)(図5参照)に、旋回ブロック8を介して接続されている。
【0023】
第1アーム1及び第2アーム2のそれぞれの他端には第1の連結軸12が接続されている。これら第1の連結軸12を介して、第1アーム1及び第2アーム2に、第3アーム3及び第4アーム4が回転可能にそれぞれ連結されている。第1アーム1及び第2アーム2の、駆動軸11及び第1の連結軸12の間にはそれぞれ第2の連結軸14が設けられている。これら第2の連結軸14を介して、第1アーム1及び第2アーム2にはリンク部材5が連結されている。リンク部材5は、その長手方向が図1中のY軸方向に沿うように設けられている。第2の連結軸14は、駆動軸11及び第1の連結軸12の中間位置より第1の連結軸12に近い側に配置されている。
【0024】
駆動軸11同士を結ぶY軸方向の線分、第1アーム1、第2アーム2及びリンク部材5により平行四辺形が形成される。そして、これらの部材により第1の平行リンク機構31が構成される。すなわち、この第1の平行リンク機構31は、駆動軸11により、第1アーム1及び第2アーム2の平行を維持した状態、また、リンク部材5の長手方向が実質的に常にY軸方向に沿った状態で、実質的に水平面である一平面(X−Y平面)内で回転する。
【0025】
第3アーム3及び第4アーム4のそれぞれの他端である作用端には、基板Gを保持する保持部67が接続されている。保持部67は、例えばT字状で板状のハンドベース6と、このハンドベース6に取り付けられた2本の長いハンド部材7とを有する。ハンドベース6は、作用端軸13を介して第3アーム3及び第4アーム4にそれぞれ回転可能に接続されている。ハンド部材7には、例えば真空吸着により基板Gを支持する図示しない機構が設けられている。
【0026】
第3アーム3及び第4アーム4の各作用端とは反対側の端部には、後述のガイド機構10のガイド軸15が回転可能に接続されている。第3アーム3及び第4アーム4の、作用端軸13及びガイド軸15の間において、上述の第1の連結軸12が接続されている。第1の連結軸12は、作用端軸13よりガイド軸15に近い側に配置されている。
【0027】
各ガイド軸15を結ぶY軸方向の線分(または第1の連結軸12を結ぶ線分)、各作用端軸13を結ぶY軸方向の線分、第3アーム3及び第4アーム4により平行四辺形が形成される。そして、これら第3アーム3、第4アーム4、ハンドベース6等の部材により第2の平行リンク機構32が構成される。すなわち、この第2の平行リンク機構32は、第1の平行リンク機構31が駆動されることにより、第3アーム3及び第4アーム4の平行を維持した状態、また、保持部67の姿勢を維持した状態で、第1の平行リンク機構31の動きと同期するように実質的に水平面であるX−Y平面内で回転する。
なお、一方のロボットアーム30の動きと、他方のロボットアーム30の動きとが干渉しないような設計とされている。例えばそれぞれの第2の平行リンク機構32及び保持部67の高さ位置が異なるように、第1の連結軸12などの長さが設計されている。
【0028】
ガイド機構10は、上述のガイド軸15と、これらガイド軸15の動きをガイドする部材としてガイドプレート16とを備えている。ガイドプレート16の、第2の連結軸14が設けられる位置と反対側の端部には、ガイド軸15が挿通されるガイド穴17aを形成するためのガイド穴形成部材17が固定されている。ガイド穴17aは、一方向であるX軸方向に長い形状に形成され、ガイドプレート16をベースとしてガイド軸15がX軸方向に移動するようにそれの動きをガイドする。
【0029】
図2は、ガイド機構10の一方のガイド軸15の付近を拡大して示した断面図である。図3は、そのガイド穴17a付近をさらに拡大して示した断面図である。
【0030】
ガイドプレート16は、その上面に設けられた開口16aを有し、また、中空部16bを有している。開口16aには上記ガイド穴形成部材17が嵌合するように固定されている。このような構成により、ガイドプレート16の外部と中空部16bとが、ガイド穴17aを介して連通する。
【0031】
ガイド機構10は、軸受ローラ18を有し、軸受ローラ18は、ガイド穴17a内に配置されるようにガイド軸15の下端部15aに配置されている。すなわち、図3に示すように、軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の、ガイド穴17aを形成する内側壁17bとが対面するように、軸受ローラ18がガイド穴17a内に配置される。軸受ローラ18は、公知の軸受の構造を有していればよい。例えば軸受ローラ18の内輪18bがガイド軸15に固定され、外輪18cが、保持器18eに保持された転動体18dにより内輪18bに対して回転自在な構造を有する。
【0032】
軸受ローラ18の外周面18aと、ガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間には隙間Qが設けられている。この隙間Qは、ガイド軸15(及び軸受ローラ18)が、少なくとも実質的に垂直方向であるZ軸方向で規制されないように、すなわち実質的に重力方向でガイド軸15の自由度を維持できるように設けられている。また、この隙間Qにより、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保される。
【0033】
図4は、以上説明した、第1アーム1、第2アーム2、第3アーム3、リンク部材5及びガイド機構10の相互の接続関係を示す図であり、各部材の一部を断面で示している。
【0034】
第1アーム1に取り付けられた軸受25と、第3アーム3に取り付けられた軸受22とが同軸で配置され、これら軸受25及び22に第1の連結軸12が嵌着されている。ガイド軸15は、第3アーム3の端部に取り付けられた軸受21に接続されている。第2アーム2(及び第1アーム1)に取り付けられた軸受23と、ガイドプレート16に取り付けられた軸受24とが同軸で配置され、これら軸受23及び24に第2の連結軸14が嵌着されている。
【0035】
なお、リンク部材5は、第1アーム1及び第2アーム2の下面側にも接続されている(図示せず)。
【0036】
図5は、旋回ブロック8内の構造及び駆動ユニット50の一部を示す模式的な断面図である。図6は旋回ブロック8内のギアの係合状態を示す平面図である。
【0037】
駆動ユニット50は、回転シャフト71、72及び旋回シャフト73を有する。回転シャフト71、72及び旋回シャフト73は、例えば図示しないベルト及びプーリ等の伝達機構を介して図示しない3つのモータにそれぞれ接続されている。旋回シャフト73及び回転シャフト72は、それぞれ中空状に形成されている。旋回シャフト73内にそれより小さい径を有する回転シャフト72が配置され、回転シャフト72内にそれより小さい径を有する回転シャフト71が配置される。これにより、これらのシャフト71、72及び73は、3軸同軸でそれぞれ独立して回転駆動される。
【0038】
また、回転シャフト71と回転シャフト72との間には真空シール軸受82が設けられ、同様に、回転シャフト72と旋回シャフト73との間にも真空シール軸受82が設けられている。これらの真空シール軸受82により、例えばロボットアーム30が配置される側と駆動ユニット50が配置される側とをそれぞれ異なるガス圧の状態に設定することが可能となる。典型的には、ロボットアーム30が配置される側が真空状態とされる。
【0039】
旋回ブロック8は、旋回シャフト73に固定されたケース37を有する。ケース37内において、回転シャフト71にはギア41が固定され、回転シャフト72にはギア42が固定されている。ギア42の中央には、回転シャフト71が通る穴42aが形成され、これらのギア41及び42は同軸で配置されている。
【0040】
一方のロボットアーム30の第1アーム1及び第2アーム2にそれぞれ接続された駆動軸11には、上記ギア41に噛み合うギア35a及び35bがそれぞれ固定されている。これらのギア35a及び35bは、水平面内で並んで配置されている。
【0041】
また、同様に、他方のロボットアーム30の第1アーム1及び第2アーム2にそれぞれ接続された駆動軸11には、ギア42に噛み合うギア36a及び36bがそれぞれ固定されている。これらのギア36a及び36bは、水平面内で並んで配置されている。
【0042】
図5に示すように、ギア35a及び35bが並ぶ面の高さは、ギア36a及び36bが並ぶ面の高さと異なる。なお、図5を分かりやすくするため、一方のロボットアーム30の駆動軸11を図示し、他方のロボットアーム30の駆動軸11を図示していない。旋回ブロック8内において、駆動軸11は、軸受33を介して筒状のケース34にそれぞれ収容されている。これらケース34は、旋回ブロック8のケース37に固定されている。
【0043】
このような構成により、駆動ユニット50は、同軸の回転シャフト71及び72を用いて両ロボットアーム30を独立して伸縮駆動し、それらに同軸の旋回シャフト73を用いて両ロボットアーム30を旋回させることができる。
【0044】
なお、旋回シャフト73により、旋回ブロック8が旋回する時、慣性力により駆動軸11が、ケース37に相対的に回転するので、その回転を抑えるように回転シャフト71及び72が駆動されてもよい。あるいは、旋回シャフト73の回転駆動に同期するように、回転シャフト71及び72が駆動されてもよい。
【0045】
次に、図7〜11を参照してロボットアーム30の動作、特にガイド機構10の動作について説明する。なお、図7〜9に示したロボットアーム30の平面図において、一方のロボットアーム30のみを示し、他方のロボットアーム30を省略している。
【0046】
図7に示す状態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17a内の、外側端部17dより内側端部17cにやや近い側に配置される。図10は、この時のロボットアーム30の斜視図を示している。
【0047】
図7に示した状態から、保持部67をY軸の正方向に移動させるために第1の平行リンク機構31が駆動ユニット50により駆動されると、第1の平行リンク機構31及び第2の平行リンク機構32が縮んでいく。そして、図8に示すように、第1の平行リンク機構31及び第2の平行リンク機構32が実質的に平行になると、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17a内の外側端部17dに配置される。図11は、この時のロボットアーム30の斜視図を示している。
【0048】
図8に示した状態から、保持部67をY軸の正方向にさらに移動させるように第1の平行リンク機構31が駆動ユニット50により駆動されると、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド穴17aの内側端部17cに近づいていく。そして、図9に示すように、ロボットアーム30がほぼ伸びきった状態では、ガイド軸15(及び軸受ローラ18)はガイド穴17aの内側端部17c付近に配置される。
【0049】
以上のように、ガイド機構10は、第2の平行リンク機構32の端部の動きを、ガイド軸15に垂直な面内で、かつ、保持部67の動く方向に直交する方向、つまり、X軸方向でガイドする。すなわち、ガイド機構10は、第2の平行リンク機構32の端部の動きをY軸方向には拘束するように作用する。したがって、第2の平行リンク機構32の作用端である保持部67の動作及びそのポジショニングを高精度に制御することができる。また、ガイド機構10により、ロボットアーム30の小型化を実現しつつ、大型の基板Gの搬送時においても、要求されるその大型の基板Gの占有フットプリントに見合う、ロボットアーム30の動作範囲を確保することができる。
【0050】
なお、上記「垂直」や「直交」という文言は、ロボットアーム30を構成する各部材に、高いアライメント精度を要求することなく、その動作を実現することができれば、厳密な意味での「垂直」、「直交」でなくてもよい。つまり、実質的な「垂直」、「直交」を意味する。
【0051】
本実施形態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18は、ガイド方向であるX軸方向の動きの自由度を有するだけではなく、軸受ローラ18とガイド穴形成部材17の内側壁17bとの間に隙間Qが設けられているので、例えばZ軸方向に動きの自由度が維持される。また、その隙間Qにより、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の動きの自由度も確保することができる。したがって、ロボットアーム30を構成する部材に、高いアライメント精度は不要となり、特に特許文献1における図1に示された支点Eの部分の磨耗等も低減されるため、高い耐久性も不要となる。磨耗が低減される結果、粉塵の発生も抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ガイド穴17a内でガイド軸15に軸受ローラ18が装着されているので、ガイド軸15がガイド穴17aでガイド方向に移動する時にガイド軸15が安定し、その移動時の摺動抵抗を減らすことができる。
【0053】
また、本実施形態では、ガイド軸15及び軸受ローラ18の動きのZ及びY軸方向の自由度が維持されることにより、ロボットアーム30は、以下のような問題を解決することができる。
【0054】
例えば、図7に示した状態と、図9に示した状態とでは、ガイド機構10を中心として、第2の平行リンク機構32及び作用端である保持部67の位置がY軸方向で逆となる。したがって、図7で示した状態と、図9に示した状態とで、ロボットアーム30の重心位置が変わり、ガイド機構10の各部材に加えられる力の方向が変わる。その結果、図7で示した状態ではガイド軸15の上端部が、保持部67が位置する側にわずかに傾くことができ、図9で示した状態では、ガイド軸15はその逆方向にわずかに傾くことができる。すなわち、Z及びY軸方向の自由度が維持されることによって、ガイド軸15が傾く姿勢を取ることができ、また、その傾く姿勢を変えることができるので、ロボットアーム30を構成する各部材のアライメント精度の誤差を吸収することができる。その結果、ガイド軸15、ガイド機構10を構成する各部材等の磨耗等による劣化を抑えることができる。
【0055】
さらに、ガイド軸15及び軸受ローラ18の動きのZ及びY軸方向の自由度が維持されることにより、以下のような作用効果も得られる。
【0056】
図12(A)は、ロボットアーム30が、例えば図8で示した状態から図9で示した状態まで駆動される途中において、Y軸の正方向に保持部67が加速しようとする時の、軸受ローラ18及びガイド穴17aの状態を示す模式的な平面図である。図12(A)に示す状態では、軸受ローラ18は、他の各部材との接続関係からY軸の正方向に加速して移動する。
【0057】
図12(B)は、ロボットアーム30が、例えば図8で示した状態から図7で示した状態まで駆動される途中において、Y軸の負方向に保持部67が加速しようとする時の、ガイド軸15及びガイド穴17aの状態を示す模式的な平面図である。図12(B)に示す状態では、軸受ローラ18は、他の各部材との接続関係からY軸の負方向に加速して移動する。
【0058】
すなわち、ガイド軸15及び軸受ローラ18のY軸方向の自由度がない場合に比べ、つまり隙間Q(図3参照)がない場合に比べ、本実施形態では、軸受ローラ18がガイド穴17aの内側壁17bに与える押圧力を小さくすることができる。これにより、主に軸受ローラ18及び内側壁17bに加えられる応力を低減することができ、それらの磨耗による劣化を抑制することができる。
【0059】
図13は、本発明の他の実施形態に係るガイド機構の軸受ローラ付近を拡大して示した断面図であり、図3に対応する図である。
【0060】
本実施形態に係るガイド機構110の軸受ローラ118は、内輪118b、外輪118c、転動体118d及び保持器118eを有する。外輪118cの外周面118aの一部であって、ガイド穴17aの内側壁17bに対面する部分には、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部118fが設けられている。このクラウニング加工部118fは、Z軸の周りに沿って連続的に設けられている。クラウニング加工部118fのZ軸方向の幅は、ガイド穴17aの内側壁17bのZ軸方向の長さと同じかまたはそれより長く形成されている。
【0061】
このようなクラウニング加工部118fを有する軸受ローラ118が設けられることにより、例えば図12(A)及び(B)で示したように、軸受ローラ118が内側壁17bに当接する場合において、両者に働く極圧作用を緩和することができる。これにより、軸受ローラ118及び内側壁17bの磨耗による劣化を抑えることができる。
【0062】
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態がある。
【0063】
上記実施形態では、ガイド軸15に軸受ローラ18、118が設けられていたが、必ずしも軸受ローラ18、118はなくてもよい。
【0064】
上記実施形態では、ガイド穴17aによるガイド軸15のガイド方向がX軸方向とされた。しかし、必ずしもX軸方向でなくてもよく、例えばX及びY軸方向の間の方向であってもよい。
【0065】
上記実施形態に係る搬送装置100は、搬送対象物としてガラス基板Gを搬送するものを例に挙げたが、半導体ウェハ基板を搬送する搬送装置にも本発明を適用可能である。あるいは、ロボットアーム30は、基板を搬送するものに限られず、様々な機械部品等を搬送するものであってもよく、広く産業用ロボットとして適用され得る。
【符号の説明】
【0066】
10、110…ガイド機構
12…第1の連結軸
13…作用端軸
14…第2の連結軸
15…ガイド軸
17…ガイド穴形成部材
17a…ガイド穴
18.118…軸受ローラ
30…ロボットアーム
31…第1の平行リンク機構
32…第2の平行リンク機構
50…駆動ユニット
100…搬送装置
118f…クラウニング加工部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平行リンク機構と、
作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する第2の平行リンク機構と、
前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する第1の連結軸と、
前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されたガイド軸と、
前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有し、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドするガイド部材と、
前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する第2の連結軸と
を具備するロボットアーム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットアームであって、
前記ガイド穴内で前記ガイド軸に装着された軸受ローラをさらに具備するロボットアーム。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットアームであって、
前記ガイド部材は、前記ガイド穴を形成する内側壁を有し、
前記軸受ローラは、前記内側壁との間に隙間をあけて設けられているロボットアーム。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットアームであって、
前記軸受ローラは、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部を有する外周面を有するロボットアーム。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットアームであって、
前記ガイド部材による前記ガイド軸の前記ガイド方向は、前記ガイド軸に垂直な面内で、かつ、前記作用端の動く方向に直交する方向であるロボットアーム。
【請求項6】
第1の平行リンク機構と、
搬送対象物を保持することが可能な保持部と、
前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する第2の平行リンク機構と、
前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する第1の連結軸と、
前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されたガイド軸と、
前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有し、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドするガイド部材と、
前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する第2の連結軸とを有するロボットアームと、
前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットと
を具備する搬送装置。
【請求項1】
第1の平行リンク機構と、
作用端と、前記作用端の反対側の端部とを有する第2の平行リンク機構と、
前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する第1の連結軸と、
前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されたガイド軸と、
前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有し、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドするガイド部材と、
前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する第2の連結軸と
を具備するロボットアーム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットアームであって、
前記ガイド穴内で前記ガイド軸に装着された軸受ローラをさらに具備するロボットアーム。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットアームであって、
前記ガイド部材は、前記ガイド穴を形成する内側壁を有し、
前記軸受ローラは、前記内側壁との間に隙間をあけて設けられているロボットアーム。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットアームであって、
前記軸受ローラは、クラウニング加工が施されたクラウニング加工部を有する外周面を有するロボットアーム。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットアームであって、
前記ガイド部材による前記ガイド軸の前記ガイド方向は、前記ガイド軸に垂直な面内で、かつ、前記作用端の動く方向に直交する方向であるロボットアーム。
【請求項6】
第1の平行リンク機構と、
搬送対象物を保持することが可能な保持部と、
前記保持部が装着された作用端と、前記作用端と反対側の端部とを有する第2の平行リンク機構と、
前記第2の平行リンク機構の前記作用端及び前記端部の間で、前記第1の平行リンク機構及び前記第2の平行リンク機構を相対的に回転可能に連結する第1の連結軸と、
前記第2の平行リンク機構の前記端部に回転可能に接続されたガイド軸と、
前記ガイド軸が挿通されたガイド穴を有し、前記第2の平行リンク機構の前記作用端の移動のために前記第1の平行リンク機構が駆動される時に、前記ガイド穴に沿って前記ガイド軸を移動させるように、かつ、前記ガイド軸が前記ガイド穴によるガイドの方向とは異なる方向に動くための前記ガイド軸の自由度を維持するように、前記第2の平行リンク機構の前記端部の動きをガイドするガイド部材と、
前記第1の平行リンク機構及び前記ガイド部材を相対的に回転可能に連結する第2の連結軸とを有するロボットアームと、
前記ロボットアームに接続され、前記第1の平行リンク機構を回転駆動する駆動ユニットと
を具備する搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−104695(P2011−104695A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261133(P2009−261133)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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