光干渉素子の入力光の特性測定方法
【課題】 光干渉素子の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる、光干渉素子の入力光の特性測定方法を提供する。
【解決手段】 光干渉素子の入力光の特性測定方法は、入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【解決手段】 光干渉素子の入力光の特性測定方法は、入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉素子に入力する光の特性を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源としての半導体レーザと光干渉素子とを集積化した光半導体デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光半導体デバイスにおいて、光源となる半導体レーザの特性を検査しようとする場合、光干渉素子からの出力を観測することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−78002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体レーザから光干渉素子を通過した光を用いて、半導体レーザの特性を検査するためには、光干渉素子の影響を回避することが好ましい。このためには、光干渉素子の出力がピークになるように干渉特性を調整する方法がある。しかしながら、個々の光干渉素子の干渉特性は、半導体アームの製造ばらつきなどに起因して異なることがある。したがって、光干渉素子の影響を回避するためには、各光干渉素子に対して個々に異なる干渉特性を調整して適切な光出力を得る必要があった。
【0005】
もちろん、光干渉素子の干渉特性の調整は、光半導体デバイスの出荷までのいずれかの工程において実施される。しかしながら、光干渉素子の干渉特性の調整の時点まで半導体レーザの特性を検査できないことになる。したがって、光干渉素子の干渉特性の調整を実施した後に半導体レーザの不良が発見された場合には、個々に行った煩雑な光干渉素子の干渉特性の調整工数が無駄になってしまう。
【0006】
本発明は、光干渉素子の干渉特性の調整を素子毎に条件を変えて行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる、光干渉素子の入力光の特性測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法は、入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする。半導体アームの光吸収特性は半導体材料に依存し、干渉特性よりも素子毎の差は小さい。このため、本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法によれば、光干渉素子の干渉特性の調整を素子毎に変えて行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0008】
前記光干渉素子は、マッハツェンダ変調器としてもよい。前記第1ステップにおいて、前記半導体アームに逆バイアスを印加することで、光吸収特性を生じさせてもよい。前記半導体アームは、位相制御部と、変調制御部とを有し、前記第1ステップにおいて、前記逆バイアスは、前記位相制御部および前記変調制御部のいずれかあるいは両方に印加されてもよい。
【0009】
前記光干渉素子の入力カプラには、半導体レーザの出力が接続されてもよい。前記光干渉素子は、前記半導体レーザと共通の半導体基板上に設けられていてもよい。前記半導体レーザは、波長可変半導体レーザとしてもよい。前記第1ステップにおける光吸収率を20dB以上としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法によれば、光干渉素子の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法の対象とする光半導体デバイスの全体構成を示す平面図である。
【図2】(a)は半導体レーザの拡大平面図であり、(b)は(a)のα−α線断面図である。
【図3】(a)は光干渉素子の上面模式図の例であり、(b)は(a)のβ−β間の断面模式図の例であり、(c)は(a)のγ−γ間の断面模式図の例である。
【図4】一方の半導体アームに逆バイアスを印加することによって光吸収させた場合の各半導体アームからの出力および光干渉素子の消光比を示す図である。
【図5】(a)は一方の半導体アームに逆バイアスを印加した場合の光干渉素子300の光出力パワーの例を示す図であり、(b)は半導体アームに印加される逆バイアスと当該半導体アームを通過する光パワーとの関係を示す図である。
【図6】(a)は実施例1に係る測定方法のフローを示し、(b)は実施例1に係る測定方法に用いる装置図である。
【図7】実施例2に係る測定方法に用いる装置図である。
【図8】実施例2に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法の対象とする光半導体デバイス100の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、光半導体デバイス100は、半導体レーザ200と光干渉素子300とが集積化された構造を有する。本実施例においては、半導体レーザ200として波長可変レーザを用いる。また、光干渉素子300として、マッハツェンダ変調器を用いる。なお、図1においては、光半導体デバイス100の光導波路が透過して見えている。
【0014】
図2(a)は、半導体レーザ200の拡大平面図である。図2(b)は、図2(a)のα−α線断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、半導体レーザ200は、SG−DFB(Sampled Grating Distributed Feedback)領域A、CSG−DBR(Chirped Sampled Grating Distributed Reflector)領域B、光吸収領域C、およびSOA(Semiconductor Optical Amplifier)領域Dが連結された構造を有する。本実施例においては、SOA領域D、SG−DFB領域A、CSG−DBR領域B、光吸収領域Cの順に連結されている。
【0015】
SG−DFB領域Aは、基板1上に、下クラッド層2、活性層3、上クラッド層6、コンタクト層7、および電極8が積層された構造を有する。CSG−DBR領域Bは、基板上1に、下クラッド層2、光導波層4、上クラッド層6、絶縁膜9、および複数のヒータ10が積層された構造を有する。各ヒータ10には、電源電極11およびグランド電極12が設けられている。光吸収領域Cは、基板1上に、下クラッド層2、光吸収層5、上クラッド層6、コンタクト層13、および電極14が積層された構造を有する。SOA領域Dは、基板1上に、n型の下クラッド層2、光増幅層19、p型の上クラッド層6、p型のコンタクト層20、および電極21が積層された構造を有する。なお、絶縁膜9は、電極8と電極21との間にも形成されている。
【0016】
SG−DFB領域A、CSG−DBR領域B、光吸収領域C、およびSOA領域Dにおいて、基板1、下クラッド層2、および上クラッド層6は、一体的に形成されている。活性層3,光導波層4,光吸収層5、および光増幅層19は、同一面上に形成されている。
【0017】
回折格子(コルゲーション)18は、SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bの下クラッド層2に所定の間隔を空けて複数箇所に形成されている。SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bは、複数のセグメントにより構成される。ここでセグメントとは、回折格子18が設けられている領域と回折格子18が設けられていないスペース部とが1つずつ連続する領域のことをいう。回折格子18は、下クラッド層2とは異なる屈折率の材料で構成されている。回折格子を構成する材料は、下クラッド層2がInPの場合、例えばGa0.22In0.78As0.47P0.53を用いることができる。
【0018】
また、CSG−DBR領域Bにおいては、少なくとも2つのセグメントの光学的長さが、互いに異なって形成されている。それにより、CSG−DBR領域Bの波長特性のピーク同士の強度は、波長依存性を有するようになる。一方、SG−DFB領域Aにおける各セグメントの光学的長さは、実質的に互いに同一である。これらSG−DFB領域A、CSG−DBR領域Bの組み合わせにより、バーニア効果を利用して、所望の波長で安定してレーザ発振させることができる。
【0019】
基板1は、例えば、n型InPからなる結晶基板である。下クラッド層2はn型、上クラッド層6はp型であり、それぞれ例えばInPによって構成される。下クラッド層2と上クラッド層6は、活性層3、光導波層4、光吸収層5、および光増幅層19を上下で光閉込めしている。
【0020】
活性層3は、利得を有する半導体により構成されている。活性層3は、例えば量子井戸構造を有しており、例えばGa0.32In0.68As0.92P0.08(厚さ5nm)からなる井戸層と、Ga0.22In0.78As0.47P0.53(厚さ10nm)からなる障壁層が交互に積層された構造を有する。光導波層4は、例えばバルク半導体層で構成することができ、例えばGa0.22In0.78As0.47P0.53によって構成することができる。
【0021】
光吸収層5は、半導体レーザ200の発振波長に対して、吸収特性を有する材料が選択される。光吸収層5としては、その吸収端波長が例えば半導体レーザ200の発振波長に対して長波長側に位置する材料を選択することができる。なお、半導体レーザ200の発振波長のうち、もっとも長い発振波長よりも吸収端波長が長波長側に位置していることが好ましい。
【0022】
光吸収層5は、例えば、量子井戸構造で構成することが可能であり、例えばGa0.47In0.53As(厚さ5nm)の井戸層とGa0.28In0.72As0.61P0.39(厚さ10nm)の障壁層が交互に積層された構造を有する。また、光吸収層5はバルク半導体であってよく、例えばGa0.46In0.54As0.98P0.02からなる材料を選択することもできる。なお、光吸収層5は、活性層3と同じ材料で構成してもよく、その場合は、活性層3と光吸収層5とを同一工程で作製することができるから、製造工程が簡素化される。
【0023】
光増幅層19は、電極21からの電流注入によって利得が与えられ、それによって光増幅をなす領域である。光増幅層は、例えば量子井戸構造で構成することができ、例えばGa0.35In0.65As0.99P0.01(厚さ5nm)の井戸層とGa0.15In0.85As0.32P0.68(厚さ10nm)の障壁層が交互に積層された構造とすることができる。また、他の構造として、例えばGa0.44In0.56As0.95P0.05からなるバルク半導体を採用することもできる。コンタクト層20は、例えばp型Ga0.47In0.53As結晶からなる。なお、光増幅層19と活性層3とを同じ材料で構成することもできる。この場合、光増幅層19と活性層3とを同一工程で作製することができるため、製造工程が簡素化される。
【0024】
コンタクト層7,13は、例えばp型Ga0.47In0.53As結晶によって構成することができる。絶縁膜9は、SiN,SiO2等の絶縁体からなる保護膜である。ヒータ10は、NiCr等で構成された薄膜抵抗体である。ヒータ10それぞれは、CSG−DBR領域Bの複数のセグメントにまたがって形成されていてもよい。
【0025】
電極8,14、電源電極11およびグランド電極12は、金等の導電性材料からなる。基板1の下部には、裏面電極15が形成されている。裏面電極15は、SG−DFB領域A、CSG−DBR領域Bおよび光吸収領域Cにまたがって形成されている。
【0026】
続いて、光干渉素子300について説明する。図3(a)は、光干渉素子300の上面模式図の例である。図3(a)に示すように、光干渉素子300は、半導体基板上のメサ状の光導波路の経路を組み合わせて構成される。なお、図3(a)においては、各光導波路が透過して見えている。図3(b)は、図3(a)のβ−β間の断面模式図の例であり、図3(c)は、図3(a)のγ−γ間の断面模式図の例である。
【0027】
図3(b)を参照して、光導波路は、半導体基板41上に形成されている。半導体基板41は、図2(b)の半導体基板1と共通の半導体基板であってもよい。光導波路は、半導体基板41上において、下クラッド層42a、コア43、上クラッド層42bがこの順にメサ状に積層された構造を有している。半導体基板41の上面、光導波路の上面および側面には、パッシベーション膜44および絶縁膜45が順に積層されている。
【0028】
半導体基板41は、InPなどの半導体からなる。下クラッド層42aおよび上クラッド層42bは、InPなどの半導体からなる。コア43は、下クラッド層42aおよび上クラッド層42bよりもバンドギャップエネルギが小さい半導体からなり、InGaAsP系バルク層、AlGaInAsP系量子井戸構造層などである。コア43を通過する光は、下クラッド層42aおよび上クラッド層42bによって閉じ込められる。パッシベーション膜44は、InPなどの半導体からなる。絶縁膜45は、SiNなどの絶縁体からなる。
【0029】
図3(a)を参照して、光干渉素子300には、第1入力端31aに接続された第1入力光導波路32aが設けられ、第2入力端31bに接続された第2入力光導波路32bが設けられている。第1入力光導波路32aおよび第2入力光導波路32bは、入力カプラ33で合流し、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bに分岐する。光干渉素子300の長手方向を対称軸とした場合に、第1半導体アーム34aは第1入力端31aと同じ側に配置され、第2半導体アーム34bは第2入力端31bと同じ側に配置されている。本実施例においては、入力カプラ33は、2×2のMMI(Malti Mode Interference)である。また、半導体レーザ200の出力端は、第1入力端31aと光結合している。
【0030】
第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bは出力カプラ35で合流し、第1出力端37aに接続された第1出力光導波路36aと、第2出力端37bに接続された第2出力光導波路36bとに分岐する。光干渉素子300の長手方向を対称軸とした場合に、第1出力端37aは第2半導体アーム34bと同じ側に配置され、第2出力端37bは第1半導体アーム34aと同じ側に配置されている。本実施例においては、出力カプラ35は、2×2のMMIである。
【0031】
第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bのそれぞれには、位相調整用電極46および変調用電極47が設けられている。位相調整用電極46および変調用電極47は、互いに離間している。位相調整用電極46および変調用電極47の位置関係は特に限定されるものではないが、本実施例においては、位相調整用電極46は変調用電極47よりも光入力端側に配置されている。
【0032】
図3(c)を参照して、変調用電極47は、上クラッド層42b上において、コンタクト層49を介して配置されている。コンタクト層49は、InGaAsなどの半導体からなる。なお、上クラッド層42bとコンタクト層49との間には、パッシベーション膜44および絶縁膜45は設けられていない。また、位相調整用電極46および変調用電極47は、Auなどの金属からなる。
【0033】
各位相調整用電極46および各変調用電極47に電圧が印加されると、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bにおいてコア43の屈折率が変化し、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bを通過する光の位相が変化する。光干渉素子300を変調器として用いる場合には、各変調用電極47に差動信号が入力され、各位相調整用電極46には第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光との位相差を調整するためのDC電圧が印加される。
【0034】
光干渉素子300においては、半導体レーザ200から入力される入力光は、入力カプラ33によって、第1半導体アーム34aと第2半導体アーム34bとに均等に分配される。出力カプラ35においては、第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光とが位相差に応じて互いに干渉し、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから光信号が出力される。
【0035】
第1半導体アーム34aの長さと第2半導体アーム34bの長さとの間には、製造時に所定の関係が付与されている。しかしながら、製造時に個体差が生じることから、第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光との位相差は、0〜πまでばらつく可能性があり、この位相差に応じて第1出力光導波路36aと第2出力光導波路36bとに光出力が配分される。したがって、第1半導体アーム34aと第2半導体アーム34bとに印加する電圧を同じに設定しても、個体差に起因して、出力カプラ35において入力される光が全て第1出力光導波路36aから出力される場合から全て第2出力光導波路36bから出力される場合までばらつく可能性がある。したがって、半導体レーザ200の特性を検査する際に光干渉素子300の出力を通して観測する場合、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することは困難である。そこで、本実施例においては、光干渉素子300の個体差に起因するばらつきを回避して、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定する方法について説明する。
【0036】
いずれか一方の半導体アームに逆バイアスを印加して吸収バンド端を長波長側にシフトさせることによって、当該半導体アームに光吸収特性を生じさせることができる。このように、一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせることによって、出力カプラ35における光干渉の影響を回避することができる。この場合、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号の光強度は、光干渉素子300に入力される光強度と相関した強度になる。本実施例においては、一方の半導体アームに十分に光を吸収させることによって、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号の光強度は、光干渉素子300の光出力ピーク値の1/4になる。このため、光干渉素子300に入力される入力光の強度を精度よく測定することができる。なお、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号には強度差が生じ得る。この強度差の要因として、入力カプラ33、出力カプラ35、第1半導体アーム34a、第2半導体アーム34bなどのロス差が挙げられる。しかしながら、このロスの素子ごとのバラツキは、光干渉素子300の干渉のばらつきに比べて十分に小さいため、無視することができる。
【0037】
半導体アームに十分に光を吸収させるための逆バイアスは、光干渉素子300の材料によって決まる値であることから、素子ごとに逆バイアス値は大きく変わらない。したがって、いずれの素子に対しても、逆バイアス値を一律に設定することができるため、光干渉素子300に対する干渉特性の調整を行わなくてもよい。
【0038】
半導体アームの光吸収が十分でないと、出力カプラにおける干渉により、光出力が揺らぐことがある。本発明を実施する場合、この揺らぎを、出力カプラと結合される光ファイバ出力に許容される範囲に収めることが望まれる。たとえば、光ファイバの出力揺らぎを+/−1dBに収める場合、20dB程度のロスを半導体アームに与える必要がある。また、半導体アームに30dB程度のロスを与えると、光ファイバの出力揺らぎは+/−0.3dB程度にまで抑えることができる。一例として、半導体アームに20dB程度の光吸収を行わせるための逆バイアスは、−8V程度であり、30dB程度の光吸収を行わせるための逆バイアスは、−10V程度である。
【0039】
図4は、第2半導体アーム34bに逆バイアスを印加することによって第2半導体アーム34bに光吸収させた場合の各半導体アームからの出力および光干渉素子300の消光比を示す。図4において、横軸は逆バイアスの印加による第2半導体アーム34bにおけるパワーロスを示し、左側の縦軸は光干渉素子300の出力ピーク値に対する第1半導体アーム34aの出力比および第2半導体アーム34bの出力比を示し、右側の縦軸は光干渉素子300の消光比を示す。
【0040】
図4に示すように、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bからの出力への寄与が等しければ、初期位相差に起因する出力のバラツキは無限大になる。ただし、実際のデバイスでは前述したように入力カプラ33、出力カプラ35、第1半導体アーム34a、第2半導体アーム34bなどのロス差に起因して20dB程度のバラツキ(光出力が1〜1/100までばらつく)となる。第2半導体アーム34bにおける光吸収量を多くすることによって、光干渉素子300の消光比が低下する。第2半導体アーム34bの吸収損を30dB程にした場合には、上記バラツキは+/−0.3dB程度に収まる。以上のことから、一方の半導体アームに十分に光を吸収させることによって、光干渉素子300の光出力のばらつきを十分に小さくすることができる。その結果、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。本実施例においては、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することができる。
【0041】
図5(a)は、第1半導体アーム34aまたは第2半導体アーム34bに逆バイアスを印加した場合の光干渉素子300の光出力パワーの例を示す図である。図5(a)の各線は、第1半導体アーム34aの変調用電極47に逆バイアスを印加した例、第1半導体アーム34aの位相調整用電極46に逆バイアスを印加した例、第2半導体アーム34bの変調用電極47に逆バイアスを印加した例、および第2半導体アーム34bの位相調整用電極46に逆バイアスを印加した例を示す。
【0042】
図5(a)に示すように、逆バイアスの印加に従って光干渉素子300の光出力パワーは変動しつつ低下し、逆バイアス値を大きくするに従って、光干渉素子300の光出力パワーの低下幅は安定する。図5(a)の例では、−10V程度の逆バイアスを印加することによって、光干渉素子300の光出力パワーは、逆バイアスを印加していない状態(−8dB)から6dB程度の低下で安定する(4分の1程度で安定する)。これは、一方の半導体アームでほとんどの光が吸収されたことを意味する。
【0043】
図5(b)は、半導体アームに印加される逆バイアスと、当該半導体アームを通過する光パワーとの関係を示す図である。図5(b)に示すように、逆バイアスを−10V程度印加することによって、当該半導体アームにおいて十分に光を吸収させることができている。
【0044】
続いて、光干渉素子の入力光の特性測定方法の具体例について説明する。図6(a)は、本実施例に係る測定方法のフローを示す。図6(b)は、本実施例に係る測定方法に用いる装置図である。図6(b)に示すように、本実施例に係る測定方法においては、制御装置400、複数のDC電源500、光パワーメータ600などを用いる。制御装置400は、CPU(中央演算装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)などを備える。DC電源500は、電気プローブなどであり、制御装置400からの指示に応じたDC電流を各部に供給する。光パワーメータ600は、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bのいずれか一方からの出力光強度を測定し、その測定結果を制御装置400に与える。
【0045】
図6(a)を参照して、光半導体デバイス100をキャリアに搭載し、温調可能なステージに固定する(ステップS1)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS2)。具体的には、DC電源500を用いて、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bのいずれか一方に逆バイアス電圧を印加する。本実施例においては、第2半導体アーム34bに20dB程度の光吸収が生じるように逆バイアス電圧を印加する。逆バイアス電圧は、位相調整用電極46および変調用電極47のいずれか一方または両方に印加することができる。
【0046】
次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS3)。具体的には、DC電源500を用いて、半導体レーザ200の電極8に所定の駆動電流を注入するとともに、各ヒータ10をそれぞれ所定の温度で発熱させる。また、半導体レーザ200の温度を図示しない温度制御装置(TEC:Thermoelectric cooler)によって、所定の値に制御する。この場合、SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bは、共振器部として機能する。それにより、SG−DFB領域AとCSG−DBR領域Bとによって選択された波長により、レーザ発振がなされる。
【0047】
次に、光パワーメータ600を用いて光干渉素子300の第1出力光導波路36aまたは第2出力光導波路36bからの出力光を測定することによって、半導体レーザ200の出力光強度などの特性を測定する(ステップS4)。
【0048】
以上の手順によれば、光干渉素子300の干渉特性の調整を省略することができる。また、光干渉素子300の出力カプラ35における干渉の影響を回避しつつ、半導体レーザ200の特性を測定することができる。それにより、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0049】
なお、光干渉素子300の干渉特性の調整をしてから半導体レーザ200の出力光を測定する場合においては、光干渉素子300の各個体に対して干渉特性の調整をして適切なマッハツェンダ干渉を実現させた状態を得る工程を事前に実施する必要がある。光半導体デバイス100の製造工程においては、光干渉素子300の干渉特性の調整はいずれかの工程において必ず実施されるので、一見してこのク干渉特性の調整をした上で半導体レーザ200の出力光を測定してもデメリットが無いとも思われる。
【0050】
しかしながら、半導体レーザ200の電気的特性はパッケージ封入の前後で変化するので、半導体レーザ200の電気的特性は、パッケージ封入後に実施する必要がある。この場合、光干渉素子300の干渉特性の調整は、光半導体デバイス100をパッケージに封入した後に実施されるものである。したがって、半導体レーザ200の不良が確認された場合、パッケージ封入工程および干渉特性の調整工程が無駄になる。これに対して、本実施例によれば、干渉特性の調整を実施せずに半導体レーザ200の特性を測定することができるため、工数の無駄を省くことができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2においては、パッケージ封入後における半導体レーザ200の波長チューニングを実施する工程を含めた測定方法について説明する。図7は、本実施例に係る測定方法に用いる装置図である。図6(a)と異なる点は、波長メータ700が新たに設けられている点である。図8は、実施例2に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法のフローを示す図である。
【0052】
図8に示すように、光半導体デバイス100をキャリアに搭載し、温調可能なステージに固定する(ステップS1)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS2)。次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS3)。次に、光パワーメータ600を用いて光干渉素子300の第1出力光導波路36aまたは第2出力光導波路36bからの出力光を測定することによって、半導体レーザ200の出力光強度などの特性を測定する(ステップS4)。
【0053】
次に、光半導体デバイス100をパッケージに封入し、当該パッケージを温調可能なステージに固定する(ステップS5)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS6)。次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS7)。次に、波長メータ700を用いて半導体レーザ200の波長チューニングを実施する(ステップS8)。
【0054】
本実施例によれば、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。その結果、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することができる。
【0055】
(他の例)
光半導体デバイス100をパッケージに封入した後に、実施例1を実施してもよい。この場合においても、干渉特性の調整を実施する前に半導体レーザ200の特性を測定することができる。したがって、半導体レーザ200が不良であった場合に、干渉特性の調整を実施する工程を省略することができる。
【0056】
上記各実施例においては、半導体レーザ200と光干渉素子300とを集積化してあるが、これに限られない。例えば、半導体レーザ200と光干渉素子300とが互いに独立したチップであってもよい。この場合においても、パッケージに実装するなどして半導体レーザ200と光干渉素子300との位置関係が固定された後では、半導体レーザ200の光干渉素子300経由後の出力光の測定しかできないため、上記各実施例の効果が得られる。
【0057】
また、半導体レーザ200と光干渉素子300との位置関係が固定されていなくても、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0058】
また、上記各実施例においては、2本の半導体アームを有する光干渉素子について説明したが、3本以上の半導体アームを有する光干渉素子についても本発明を適用することができる。具体的には、複数の半導体アームのうち1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせ、出力カプラから出力される入力光の特性を測定することによって、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0059】
また、上記各実施例においては、光干渉素子としてマッハツェンダ変調器を用いたが、入力カプラと複数の半導体アームと出力カプラとを備える光干渉であれば本発明を適用することができる。例えば、光周波数ダブラなどに本発明を適用することができる。また、上記各実施例においては、入力カプラおよび出力カプラとして2×2MMIを用いているが、1×2MMI(2×1MMI)などを用いてもよい。または、入力カプラおよび出力カプラとして方向性結合器などを用いてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
33 入力カプラ
34a 第1半導体アーム
34b 第2半導体アーム
35 出力カプラ
46 位相調整用電極
47 変調用電極
100 光半導体デバイス
200 半導体レーザ
300 光干渉素子
400 制御装置
500 DC電源
600 光パワーメータ
700 波長メータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉素子に入力する光の特性を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源としての半導体レーザと光干渉素子とを集積化した光半導体デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光半導体デバイスにおいて、光源となる半導体レーザの特性を検査しようとする場合、光干渉素子からの出力を観測することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−78002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体レーザから光干渉素子を通過した光を用いて、半導体レーザの特性を検査するためには、光干渉素子の影響を回避することが好ましい。このためには、光干渉素子の出力がピークになるように干渉特性を調整する方法がある。しかしながら、個々の光干渉素子の干渉特性は、半導体アームの製造ばらつきなどに起因して異なることがある。したがって、光干渉素子の影響を回避するためには、各光干渉素子に対して個々に異なる干渉特性を調整して適切な光出力を得る必要があった。
【0005】
もちろん、光干渉素子の干渉特性の調整は、光半導体デバイスの出荷までのいずれかの工程において実施される。しかしながら、光干渉素子の干渉特性の調整の時点まで半導体レーザの特性を検査できないことになる。したがって、光干渉素子の干渉特性の調整を実施した後に半導体レーザの不良が発見された場合には、個々に行った煩雑な光干渉素子の干渉特性の調整工数が無駄になってしまう。
【0006】
本発明は、光干渉素子の干渉特性の調整を素子毎に条件を変えて行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる、光干渉素子の入力光の特性測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法は、入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする。半導体アームの光吸収特性は半導体材料に依存し、干渉特性よりも素子毎の差は小さい。このため、本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法によれば、光干渉素子の干渉特性の調整を素子毎に変えて行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0008】
前記光干渉素子は、マッハツェンダ変調器としてもよい。前記第1ステップにおいて、前記半導体アームに逆バイアスを印加することで、光吸収特性を生じさせてもよい。前記半導体アームは、位相制御部と、変調制御部とを有し、前記第1ステップにおいて、前記逆バイアスは、前記位相制御部および前記変調制御部のいずれかあるいは両方に印加されてもよい。
【0009】
前記光干渉素子の入力カプラには、半導体レーザの出力が接続されてもよい。前記光干渉素子は、前記半導体レーザと共通の半導体基板上に設けられていてもよい。前記半導体レーザは、波長可変半導体レーザとしてもよい。前記第1ステップにおける光吸収率を20dB以上としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法によれば、光干渉素子の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法の対象とする光半導体デバイスの全体構成を示す平面図である。
【図2】(a)は半導体レーザの拡大平面図であり、(b)は(a)のα−α線断面図である。
【図3】(a)は光干渉素子の上面模式図の例であり、(b)は(a)のβ−β間の断面模式図の例であり、(c)は(a)のγ−γ間の断面模式図の例である。
【図4】一方の半導体アームに逆バイアスを印加することによって光吸収させた場合の各半導体アームからの出力および光干渉素子の消光比を示す図である。
【図5】(a)は一方の半導体アームに逆バイアスを印加した場合の光干渉素子300の光出力パワーの例を示す図であり、(b)は半導体アームに印加される逆バイアスと当該半導体アームを通過する光パワーとの関係を示す図である。
【図6】(a)は実施例1に係る測定方法のフローを示し、(b)は実施例1に係る測定方法に用いる装置図である。
【図7】実施例2に係る測定方法に用いる装置図である。
【図8】実施例2に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法の対象とする光半導体デバイス100の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、光半導体デバイス100は、半導体レーザ200と光干渉素子300とが集積化された構造を有する。本実施例においては、半導体レーザ200として波長可変レーザを用いる。また、光干渉素子300として、マッハツェンダ変調器を用いる。なお、図1においては、光半導体デバイス100の光導波路が透過して見えている。
【0014】
図2(a)は、半導体レーザ200の拡大平面図である。図2(b)は、図2(a)のα−α線断面図である。図2(a)および図2(b)に示すように、半導体レーザ200は、SG−DFB(Sampled Grating Distributed Feedback)領域A、CSG−DBR(Chirped Sampled Grating Distributed Reflector)領域B、光吸収領域C、およびSOA(Semiconductor Optical Amplifier)領域Dが連結された構造を有する。本実施例においては、SOA領域D、SG−DFB領域A、CSG−DBR領域B、光吸収領域Cの順に連結されている。
【0015】
SG−DFB領域Aは、基板1上に、下クラッド層2、活性層3、上クラッド層6、コンタクト層7、および電極8が積層された構造を有する。CSG−DBR領域Bは、基板上1に、下クラッド層2、光導波層4、上クラッド層6、絶縁膜9、および複数のヒータ10が積層された構造を有する。各ヒータ10には、電源電極11およびグランド電極12が設けられている。光吸収領域Cは、基板1上に、下クラッド層2、光吸収層5、上クラッド層6、コンタクト層13、および電極14が積層された構造を有する。SOA領域Dは、基板1上に、n型の下クラッド層2、光増幅層19、p型の上クラッド層6、p型のコンタクト層20、および電極21が積層された構造を有する。なお、絶縁膜9は、電極8と電極21との間にも形成されている。
【0016】
SG−DFB領域A、CSG−DBR領域B、光吸収領域C、およびSOA領域Dにおいて、基板1、下クラッド層2、および上クラッド層6は、一体的に形成されている。活性層3,光導波層4,光吸収層5、および光増幅層19は、同一面上に形成されている。
【0017】
回折格子(コルゲーション)18は、SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bの下クラッド層2に所定の間隔を空けて複数箇所に形成されている。SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bは、複数のセグメントにより構成される。ここでセグメントとは、回折格子18が設けられている領域と回折格子18が設けられていないスペース部とが1つずつ連続する領域のことをいう。回折格子18は、下クラッド層2とは異なる屈折率の材料で構成されている。回折格子を構成する材料は、下クラッド層2がInPの場合、例えばGa0.22In0.78As0.47P0.53を用いることができる。
【0018】
また、CSG−DBR領域Bにおいては、少なくとも2つのセグメントの光学的長さが、互いに異なって形成されている。それにより、CSG−DBR領域Bの波長特性のピーク同士の強度は、波長依存性を有するようになる。一方、SG−DFB領域Aにおける各セグメントの光学的長さは、実質的に互いに同一である。これらSG−DFB領域A、CSG−DBR領域Bの組み合わせにより、バーニア効果を利用して、所望の波長で安定してレーザ発振させることができる。
【0019】
基板1は、例えば、n型InPからなる結晶基板である。下クラッド層2はn型、上クラッド層6はp型であり、それぞれ例えばInPによって構成される。下クラッド層2と上クラッド層6は、活性層3、光導波層4、光吸収層5、および光増幅層19を上下で光閉込めしている。
【0020】
活性層3は、利得を有する半導体により構成されている。活性層3は、例えば量子井戸構造を有しており、例えばGa0.32In0.68As0.92P0.08(厚さ5nm)からなる井戸層と、Ga0.22In0.78As0.47P0.53(厚さ10nm)からなる障壁層が交互に積層された構造を有する。光導波層4は、例えばバルク半導体層で構成することができ、例えばGa0.22In0.78As0.47P0.53によって構成することができる。
【0021】
光吸収層5は、半導体レーザ200の発振波長に対して、吸収特性を有する材料が選択される。光吸収層5としては、その吸収端波長が例えば半導体レーザ200の発振波長に対して長波長側に位置する材料を選択することができる。なお、半導体レーザ200の発振波長のうち、もっとも長い発振波長よりも吸収端波長が長波長側に位置していることが好ましい。
【0022】
光吸収層5は、例えば、量子井戸構造で構成することが可能であり、例えばGa0.47In0.53As(厚さ5nm)の井戸層とGa0.28In0.72As0.61P0.39(厚さ10nm)の障壁層が交互に積層された構造を有する。また、光吸収層5はバルク半導体であってよく、例えばGa0.46In0.54As0.98P0.02からなる材料を選択することもできる。なお、光吸収層5は、活性層3と同じ材料で構成してもよく、その場合は、活性層3と光吸収層5とを同一工程で作製することができるから、製造工程が簡素化される。
【0023】
光増幅層19は、電極21からの電流注入によって利得が与えられ、それによって光増幅をなす領域である。光増幅層は、例えば量子井戸構造で構成することができ、例えばGa0.35In0.65As0.99P0.01(厚さ5nm)の井戸層とGa0.15In0.85As0.32P0.68(厚さ10nm)の障壁層が交互に積層された構造とすることができる。また、他の構造として、例えばGa0.44In0.56As0.95P0.05からなるバルク半導体を採用することもできる。コンタクト層20は、例えばp型Ga0.47In0.53As結晶からなる。なお、光増幅層19と活性層3とを同じ材料で構成することもできる。この場合、光増幅層19と活性層3とを同一工程で作製することができるため、製造工程が簡素化される。
【0024】
コンタクト層7,13は、例えばp型Ga0.47In0.53As結晶によって構成することができる。絶縁膜9は、SiN,SiO2等の絶縁体からなる保護膜である。ヒータ10は、NiCr等で構成された薄膜抵抗体である。ヒータ10それぞれは、CSG−DBR領域Bの複数のセグメントにまたがって形成されていてもよい。
【0025】
電極8,14、電源電極11およびグランド電極12は、金等の導電性材料からなる。基板1の下部には、裏面電極15が形成されている。裏面電極15は、SG−DFB領域A、CSG−DBR領域Bおよび光吸収領域Cにまたがって形成されている。
【0026】
続いて、光干渉素子300について説明する。図3(a)は、光干渉素子300の上面模式図の例である。図3(a)に示すように、光干渉素子300は、半導体基板上のメサ状の光導波路の経路を組み合わせて構成される。なお、図3(a)においては、各光導波路が透過して見えている。図3(b)は、図3(a)のβ−β間の断面模式図の例であり、図3(c)は、図3(a)のγ−γ間の断面模式図の例である。
【0027】
図3(b)を参照して、光導波路は、半導体基板41上に形成されている。半導体基板41は、図2(b)の半導体基板1と共通の半導体基板であってもよい。光導波路は、半導体基板41上において、下クラッド層42a、コア43、上クラッド層42bがこの順にメサ状に積層された構造を有している。半導体基板41の上面、光導波路の上面および側面には、パッシベーション膜44および絶縁膜45が順に積層されている。
【0028】
半導体基板41は、InPなどの半導体からなる。下クラッド層42aおよび上クラッド層42bは、InPなどの半導体からなる。コア43は、下クラッド層42aおよび上クラッド層42bよりもバンドギャップエネルギが小さい半導体からなり、InGaAsP系バルク層、AlGaInAsP系量子井戸構造層などである。コア43を通過する光は、下クラッド層42aおよび上クラッド層42bによって閉じ込められる。パッシベーション膜44は、InPなどの半導体からなる。絶縁膜45は、SiNなどの絶縁体からなる。
【0029】
図3(a)を参照して、光干渉素子300には、第1入力端31aに接続された第1入力光導波路32aが設けられ、第2入力端31bに接続された第2入力光導波路32bが設けられている。第1入力光導波路32aおよび第2入力光導波路32bは、入力カプラ33で合流し、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bに分岐する。光干渉素子300の長手方向を対称軸とした場合に、第1半導体アーム34aは第1入力端31aと同じ側に配置され、第2半導体アーム34bは第2入力端31bと同じ側に配置されている。本実施例においては、入力カプラ33は、2×2のMMI(Malti Mode Interference)である。また、半導体レーザ200の出力端は、第1入力端31aと光結合している。
【0030】
第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bは出力カプラ35で合流し、第1出力端37aに接続された第1出力光導波路36aと、第2出力端37bに接続された第2出力光導波路36bとに分岐する。光干渉素子300の長手方向を対称軸とした場合に、第1出力端37aは第2半導体アーム34bと同じ側に配置され、第2出力端37bは第1半導体アーム34aと同じ側に配置されている。本実施例においては、出力カプラ35は、2×2のMMIである。
【0031】
第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bのそれぞれには、位相調整用電極46および変調用電極47が設けられている。位相調整用電極46および変調用電極47は、互いに離間している。位相調整用電極46および変調用電極47の位置関係は特に限定されるものではないが、本実施例においては、位相調整用電極46は変調用電極47よりも光入力端側に配置されている。
【0032】
図3(c)を参照して、変調用電極47は、上クラッド層42b上において、コンタクト層49を介して配置されている。コンタクト層49は、InGaAsなどの半導体からなる。なお、上クラッド層42bとコンタクト層49との間には、パッシベーション膜44および絶縁膜45は設けられていない。また、位相調整用電極46および変調用電極47は、Auなどの金属からなる。
【0033】
各位相調整用電極46および各変調用電極47に電圧が印加されると、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bにおいてコア43の屈折率が変化し、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bを通過する光の位相が変化する。光干渉素子300を変調器として用いる場合には、各変調用電極47に差動信号が入力され、各位相調整用電極46には第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光との位相差を調整するためのDC電圧が印加される。
【0034】
光干渉素子300においては、半導体レーザ200から入力される入力光は、入力カプラ33によって、第1半導体アーム34aと第2半導体アーム34bとに均等に分配される。出力カプラ35においては、第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光とが位相差に応じて互いに干渉し、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから光信号が出力される。
【0035】
第1半導体アーム34aの長さと第2半導体アーム34bの長さとの間には、製造時に所定の関係が付与されている。しかしながら、製造時に個体差が生じることから、第1半導体アーム34aを通過した光と第2半導体アーム34bを通過した光との位相差は、0〜πまでばらつく可能性があり、この位相差に応じて第1出力光導波路36aと第2出力光導波路36bとに光出力が配分される。したがって、第1半導体アーム34aと第2半導体アーム34bとに印加する電圧を同じに設定しても、個体差に起因して、出力カプラ35において入力される光が全て第1出力光導波路36aから出力される場合から全て第2出力光導波路36bから出力される場合までばらつく可能性がある。したがって、半導体レーザ200の特性を検査する際に光干渉素子300の出力を通して観測する場合、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することは困難である。そこで、本実施例においては、光干渉素子300の個体差に起因するばらつきを回避して、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定する方法について説明する。
【0036】
いずれか一方の半導体アームに逆バイアスを印加して吸収バンド端を長波長側にシフトさせることによって、当該半導体アームに光吸収特性を生じさせることができる。このように、一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせることによって、出力カプラ35における光干渉の影響を回避することができる。この場合、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号の光強度は、光干渉素子300に入力される光強度と相関した強度になる。本実施例においては、一方の半導体アームに十分に光を吸収させることによって、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号の光強度は、光干渉素子300の光出力ピーク値の1/4になる。このため、光干渉素子300に入力される入力光の強度を精度よく測定することができる。なお、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bから出力される光信号には強度差が生じ得る。この強度差の要因として、入力カプラ33、出力カプラ35、第1半導体アーム34a、第2半導体アーム34bなどのロス差が挙げられる。しかしながら、このロスの素子ごとのバラツキは、光干渉素子300の干渉のばらつきに比べて十分に小さいため、無視することができる。
【0037】
半導体アームに十分に光を吸収させるための逆バイアスは、光干渉素子300の材料によって決まる値であることから、素子ごとに逆バイアス値は大きく変わらない。したがって、いずれの素子に対しても、逆バイアス値を一律に設定することができるため、光干渉素子300に対する干渉特性の調整を行わなくてもよい。
【0038】
半導体アームの光吸収が十分でないと、出力カプラにおける干渉により、光出力が揺らぐことがある。本発明を実施する場合、この揺らぎを、出力カプラと結合される光ファイバ出力に許容される範囲に収めることが望まれる。たとえば、光ファイバの出力揺らぎを+/−1dBに収める場合、20dB程度のロスを半導体アームに与える必要がある。また、半導体アームに30dB程度のロスを与えると、光ファイバの出力揺らぎは+/−0.3dB程度にまで抑えることができる。一例として、半導体アームに20dB程度の光吸収を行わせるための逆バイアスは、−8V程度であり、30dB程度の光吸収を行わせるための逆バイアスは、−10V程度である。
【0039】
図4は、第2半導体アーム34bに逆バイアスを印加することによって第2半導体アーム34bに光吸収させた場合の各半導体アームからの出力および光干渉素子300の消光比を示す。図4において、横軸は逆バイアスの印加による第2半導体アーム34bにおけるパワーロスを示し、左側の縦軸は光干渉素子300の出力ピーク値に対する第1半導体アーム34aの出力比および第2半導体アーム34bの出力比を示し、右側の縦軸は光干渉素子300の消光比を示す。
【0040】
図4に示すように、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bからの出力への寄与が等しければ、初期位相差に起因する出力のバラツキは無限大になる。ただし、実際のデバイスでは前述したように入力カプラ33、出力カプラ35、第1半導体アーム34a、第2半導体アーム34bなどのロス差に起因して20dB程度のバラツキ(光出力が1〜1/100までばらつく)となる。第2半導体アーム34bにおける光吸収量を多くすることによって、光干渉素子300の消光比が低下する。第2半導体アーム34bの吸収損を30dB程にした場合には、上記バラツキは+/−0.3dB程度に収まる。以上のことから、一方の半導体アームに十分に光を吸収させることによって、光干渉素子300の光出力のばらつきを十分に小さくすることができる。その結果、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。本実施例においては、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することができる。
【0041】
図5(a)は、第1半導体アーム34aまたは第2半導体アーム34bに逆バイアスを印加した場合の光干渉素子300の光出力パワーの例を示す図である。図5(a)の各線は、第1半導体アーム34aの変調用電極47に逆バイアスを印加した例、第1半導体アーム34aの位相調整用電極46に逆バイアスを印加した例、第2半導体アーム34bの変調用電極47に逆バイアスを印加した例、および第2半導体アーム34bの位相調整用電極46に逆バイアスを印加した例を示す。
【0042】
図5(a)に示すように、逆バイアスの印加に従って光干渉素子300の光出力パワーは変動しつつ低下し、逆バイアス値を大きくするに従って、光干渉素子300の光出力パワーの低下幅は安定する。図5(a)の例では、−10V程度の逆バイアスを印加することによって、光干渉素子300の光出力パワーは、逆バイアスを印加していない状態(−8dB)から6dB程度の低下で安定する(4分の1程度で安定する)。これは、一方の半導体アームでほとんどの光が吸収されたことを意味する。
【0043】
図5(b)は、半導体アームに印加される逆バイアスと、当該半導体アームを通過する光パワーとの関係を示す図である。図5(b)に示すように、逆バイアスを−10V程度印加することによって、当該半導体アームにおいて十分に光を吸収させることができている。
【0044】
続いて、光干渉素子の入力光の特性測定方法の具体例について説明する。図6(a)は、本実施例に係る測定方法のフローを示す。図6(b)は、本実施例に係る測定方法に用いる装置図である。図6(b)に示すように、本実施例に係る測定方法においては、制御装置400、複数のDC電源500、光パワーメータ600などを用いる。制御装置400は、CPU(中央演算装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)などを備える。DC電源500は、電気プローブなどであり、制御装置400からの指示に応じたDC電流を各部に供給する。光パワーメータ600は、第1出力光導波路36aおよび第2出力光導波路36bのいずれか一方からの出力光強度を測定し、その測定結果を制御装置400に与える。
【0045】
図6(a)を参照して、光半導体デバイス100をキャリアに搭載し、温調可能なステージに固定する(ステップS1)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS2)。具体的には、DC電源500を用いて、第1半導体アーム34aおよび第2半導体アーム34bのいずれか一方に逆バイアス電圧を印加する。本実施例においては、第2半導体アーム34bに20dB程度の光吸収が生じるように逆バイアス電圧を印加する。逆バイアス電圧は、位相調整用電極46および変調用電極47のいずれか一方または両方に印加することができる。
【0046】
次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS3)。具体的には、DC電源500を用いて、半導体レーザ200の電極8に所定の駆動電流を注入するとともに、各ヒータ10をそれぞれ所定の温度で発熱させる。また、半導体レーザ200の温度を図示しない温度制御装置(TEC:Thermoelectric cooler)によって、所定の値に制御する。この場合、SG−DFB領域AおよびCSG−DBR領域Bは、共振器部として機能する。それにより、SG−DFB領域AとCSG−DBR領域Bとによって選択された波長により、レーザ発振がなされる。
【0047】
次に、光パワーメータ600を用いて光干渉素子300の第1出力光導波路36aまたは第2出力光導波路36bからの出力光を測定することによって、半導体レーザ200の出力光強度などの特性を測定する(ステップS4)。
【0048】
以上の手順によれば、光干渉素子300の干渉特性の調整を省略することができる。また、光干渉素子300の出力カプラ35における干渉の影響を回避しつつ、半導体レーザ200の特性を測定することができる。それにより、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0049】
なお、光干渉素子300の干渉特性の調整をしてから半導体レーザ200の出力光を測定する場合においては、光干渉素子300の各個体に対して干渉特性の調整をして適切なマッハツェンダ干渉を実現させた状態を得る工程を事前に実施する必要がある。光半導体デバイス100の製造工程においては、光干渉素子300の干渉特性の調整はいずれかの工程において必ず実施されるので、一見してこのク干渉特性の調整をした上で半導体レーザ200の出力光を測定してもデメリットが無いとも思われる。
【0050】
しかしながら、半導体レーザ200の電気的特性はパッケージ封入の前後で変化するので、半導体レーザ200の電気的特性は、パッケージ封入後に実施する必要がある。この場合、光干渉素子300の干渉特性の調整は、光半導体デバイス100をパッケージに封入した後に実施されるものである。したがって、半導体レーザ200の不良が確認された場合、パッケージ封入工程および干渉特性の調整工程が無駄になる。これに対して、本実施例によれば、干渉特性の調整を実施せずに半導体レーザ200の特性を測定することができるため、工数の無駄を省くことができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2においては、パッケージ封入後における半導体レーザ200の波長チューニングを実施する工程を含めた測定方法について説明する。図7は、本実施例に係る測定方法に用いる装置図である。図6(a)と異なる点は、波長メータ700が新たに設けられている点である。図8は、実施例2に係る光干渉素子の入力光の特性測定方法のフローを示す図である。
【0052】
図8に示すように、光半導体デバイス100をキャリアに搭載し、温調可能なステージに固定する(ステップS1)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS2)。次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS3)。次に、光パワーメータ600を用いて光干渉素子300の第1出力光導波路36aまたは第2出力光導波路36bからの出力光を測定することによって、半導体レーザ200の出力光強度などの特性を測定する(ステップS4)。
【0053】
次に、光半導体デバイス100をパッケージに封入し、当該パッケージを温調可能なステージに固定する(ステップS5)。次に、光干渉素子300の一方の半導体アームに光吸収特性を生じさせる(ステップS6)。次に、半導体レーザ200にレーザ発振させる(ステップS7)。次に、波長メータ700を用いて半導体レーザ200の波長チューニングを実施する(ステップS8)。
【0054】
本実施例によれば、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。その結果、半導体レーザ200の特性を精度よく測定することができる。
【0055】
(他の例)
光半導体デバイス100をパッケージに封入した後に、実施例1を実施してもよい。この場合においても、干渉特性の調整を実施する前に半導体レーザ200の特性を測定することができる。したがって、半導体レーザ200が不良であった場合に、干渉特性の調整を実施する工程を省略することができる。
【0056】
上記各実施例においては、半導体レーザ200と光干渉素子300とを集積化してあるが、これに限られない。例えば、半導体レーザ200と光干渉素子300とが互いに独立したチップであってもよい。この場合においても、パッケージに実装するなどして半導体レーザ200と光干渉素子300との位置関係が固定された後では、半導体レーザ200の光干渉素子300経由後の出力光の測定しかできないため、上記各実施例の効果が得られる。
【0057】
また、半導体レーザ200と光干渉素子300との位置関係が固定されていなくても、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0058】
また、上記各実施例においては、2本の半導体アームを有する光干渉素子について説明したが、3本以上の半導体アームを有する光干渉素子についても本発明を適用することができる。具体的には、複数の半導体アームのうち1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせ、出力カプラから出力される入力光の特性を測定することによって、光干渉素子300の干渉特性の調整を行うことなく、光干渉素子300に入力される入力光の特性を精度よく測定することができる。
【0059】
また、上記各実施例においては、光干渉素子としてマッハツェンダ変調器を用いたが、入力カプラと複数の半導体アームと出力カプラとを備える光干渉であれば本発明を適用することができる。例えば、光周波数ダブラなどに本発明を適用することができる。また、上記各実施例においては、入力カプラおよび出力カプラとして2×2MMIを用いているが、1×2MMI(2×1MMI)などを用いてもよい。または、入力カプラおよび出力カプラとして方向性結合器などを用いてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
33 入力カプラ
34a 第1半導体アーム
34b 第2半導体アーム
35 出力カプラ
46 位相調整用電極
47 変調用電極
100 光半導体デバイス
200 半導体レーザ
300 光干渉素子
400 制御装置
500 DC電源
600 光パワーメータ
700 波長メータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、
前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項2】
前記光干渉素子は、マッハツェンダ変調器であることを特徴とする請求項1記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項3】
前記第1ステップにおいて、前記半導体アームに逆バイアスを印加することで、光吸収特性を生じさせることを特徴とする請求項1または2記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項4】
前記半導体アームは、位相制御部と、変調制御部とを有し、
前記第1ステップにおいて、前記逆バイアスは、前記位相制御部および前記変調制御部のいずれかあるいは両方に印加されることを特徴とする請求項3記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項5】
前記光干渉素子の入力カプラには、半導体レーザの出力が接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項6】
前記光干渉素子は、前記半導体レーザと共通の半導体基板上に設けられてなることを特徴とする請求項5記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項7】
前記半導体レーザは、波長可変半導体レーザであることを特徴とする請求項6記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項8】
前記第1ステップにおける光吸収率を20dB以上とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項1】
入力カプラと、前記入力カプラに接続された複数の半導体アームと、前記半導体アームの出力を干渉させる出力カプラと、を備える光干渉素子の入力光の特性測定方法であって、
前記複数の半導体アームのうち、1つを除く他のすべての半導体アームに光吸収特性を生じさせる制御を行う第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記出力カプラから出力される前記入力光の特性を測定する第2ステップと、を含むことを特徴とする光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項2】
前記光干渉素子は、マッハツェンダ変調器であることを特徴とする請求項1記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項3】
前記第1ステップにおいて、前記半導体アームに逆バイアスを印加することで、光吸収特性を生じさせることを特徴とする請求項1または2記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項4】
前記半導体アームは、位相制御部と、変調制御部とを有し、
前記第1ステップにおいて、前記逆バイアスは、前記位相制御部および前記変調制御部のいずれかあるいは両方に印加されることを特徴とする請求項3記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項5】
前記光干渉素子の入力カプラには、半導体レーザの出力が接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項6】
前記光干渉素子は、前記半導体レーザと共通の半導体基板上に設けられてなることを特徴とする請求項5記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項7】
前記半導体レーザは、波長可変半導体レーザであることを特徴とする請求項6記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【請求項8】
前記第1ステップにおける光吸収率を20dB以上とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光干渉素子の入力光の特性測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−50429(P2013−50429A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189922(P2011−189922)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]