説明

刈取収穫機

【課題】 機体を自動操向操作により走行させながら植立茎稈の刈取作業を行うことが可能でありながら、植立茎稈の刈残し等が発生しない良好な状態で且つ能率よく刈取作業を行うことが可能となる刈取収穫機を提供する。
【解決手段】 対地位置検出手段にて求められる機体の対地位置情報に基づいて機体が作業対象領域内の設定経路に沿って走行するように、機体の向きを変更操作自在な操向操作手段29を制御する制御手段Hが備えられ、その制御手段Hが、設定経路における植立茎稈を刈り取る刈取用経路部分を走行するときに、対茎稈位置検出手段83にて検出される植立茎稈に対する機体の横幅方向の位置が刈取用の適正位置から外れると、対地位置検出手段の検出情報にかかわらず、対茎稈位置検出手段83の検出情報に基づいて機体の横幅方向の位置が適正位置になるように操向操作手段29を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に設けられて前記機体が刈取用の作業行程に沿って走行するに伴って未刈茎稈を刈り取る刈取部と、
前記機体の向きを変更操作自在な操向操作手段と、
基準位置に対する機体の地面上での2次元の位置情報である対地位置情報を検出する対地位置検出手段と、
前記刈取用の作業行程に対応して定めた地面上での2次元の位置情報である経路情報、及び、前記対地位置検出手段にて求められる前記機体の対地位置情報に基づいて、前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するように前記操向操作手段を制御する制御手段とが備えられている刈取収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる刈取収穫機は、作業者が手動で操縦操作することに代えて、圃場において機体を刈取用の作業行程に沿って走行するように自動操向操作しながら植立茎稈の刈取作業を行うことを可能にしたものであるが、このような刈取収穫機において、従来では、次のように構成されたものがあった。
【0003】
すなわち、前記対地位置検出手段が、例えば、GPS衛星からの電波を受信することにより設定時間毎に機体の位置を計測可能なGPS位置情報算出手段及び機体の向き変更の情報等を検出可能な慣性航法装置等を備えて構成され、刈取収穫機を刈取用の作業行程に沿って走行するときは、常に前記対地位置検出手段の検出情報に基づいて操向操作手段を制御する構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開号6−113607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成では、刈取収穫機を刈取用の作業行程に沿って走行するときは、常に前記対地位置検出手段の検出情報に基づいて操向操作手段を制御するものであるから、次のような不利があった。
【0006】
すなわち、上記従来構成における前記刈取用の作業行程に対応して定めた地面上での2次元の位置情報である経路情報は、刈取対象となる圃場における植立茎稈列の位置情報に基づいて予め設定されることになるが、実際の圃場では、植立茎稈は精度よく直列状に定められた経路上に沿って並ぶ状態で植立しているのではなく、例えば、泥土で押されて横方向に位置ずれしたり、あるいは、田植え作業の際に一部の領域だけ機体が横ずれする等の要因によって、植立茎稈が前記経路情報にて定められる経路から位置ずれしていることがある。
【0007】
しかしながら、刈取収穫機においては、前記対地位置検出手段の検出情報に基づいて前記機体が前記経路情報にて定められる経路に沿うように操向操作手段を制御することになるので、刈取作業を行う場合に、植立茎稈に対する機体の横幅方向の位置が適正位置からずれて、刈残しが発生したり、茎稈を踏み倒したりする等、刈取作業を良好に行えないおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、機体を設定経路に沿って走行するように自動操向操作しながら植立茎稈の刈取作業を行うことが可能でありながら、植立茎稈の刈残し等が発生しない良好な状態で刈取作業を行うことが可能となる刈取収穫機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る刈取収穫機は、機体の前部に設けられて前記機体が刈取用の作業行程に沿って走行するに伴って未刈茎稈を刈り取る刈取部と、
前記機体の向きを変更操作自在な操向操作手段と、
基準位置に対する機体の地面上での2次元の位置情報である対地位置情報を検出する対地位置検出手段と、
前記刈取用の作業行程に対応して定めた地面上での2次元の位置情報である経路情報、及び、前記対地位置検出手段にて求められる前記機体の対地位置情報に基づいて、前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するように前記操向操作手段を制御する制御手段とが備えられているものであって、
その第1特徴構成は、前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するときにおける植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向での位置を検出する対茎稈位置検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記対茎稈位置検出手段にて検出される植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向の位置が予め設定された適正範囲から外れると、前記対地位置検出手段の検出情報にかかわらず、前記対茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて機体の横幅方向の位置が前記適正範囲に入るように前記操向操作手段を制御するように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するときに、対茎稈位置検出手段により植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向での位置が検出され、前記制御手段は、前記対茎稈位置検出手段にて検出される植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向の位置が予め設定された適正範囲から外れると、前記対地位置検出手段の検出情報にかかわらず、対茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて機体の横幅方向の位置が前記適正範囲に入るように操向操作手段を制御することになる。
【0011】
又、前記対茎稈位置検出手段にて検出される植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向の位置が適正範囲から外れていなければ、前記対地位置検出手段の検出情報に基づいて操向操作手段を制御するので、機体が設定経路に沿って走行するように良好に操向操作手段を制御することにより、機体を自動操向操作により走行させながら植立茎稈の刈取作業を行うことが可能となる。
【0012】
つまり、植立茎稈と機体との横幅方向の位置を実際に検出しながら、機体の横幅方向の位置が前記適正範囲に入るように操向操作手段を制御するものであるから、植立茎稈の刈残し等が発生しない良好な状態で刈取作業を行うことが可能となる。
【0013】
従って、第1特徴構成によれば、機体を設定経路に沿って走行するように自動操向操作しながら植立茎稈の刈取作業を行うことが可能でありながら、植立茎稈の刈残し等が発生しない良好な状態で刈取作業を行うことが可能となる刈取収穫機を提供できるに至った。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、
前記対茎稈位置検出手段が、
略機体横幅方向に沿う復帰位置に復帰付勢され且つ機体前後方向に揺動自在に前記刈取部に枢支された検出体と、前記刈取部に対して位置固定状態で取付けられ且つ植立茎稈との接当による前記検出体の揺動状態を検出する揺動状態検出手段とを備えて構成されている点にある。
【0015】
すなわち、前記対茎稈位置検出手段は、前記分草具にて分草された植立茎稈に対して、略機体横幅方向に沿う復帰位置に復帰付勢された検出体が植立茎稈に接触して、その検出体が後方に揺動するときの後方側への揺動量が植立茎稈列までの離間距離に対応するものであるから、その揺動量を植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置の情報として揺動状態検出手段にて検出するのである。このように植立茎稈との接当により植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を検出する構成であるから、簡単な構造でありながら植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置の情報を迅速に検出することが可能である。
【0016】
従って、第2特徴構成によれば、簡単な構造でありながら植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置の情報を迅速に検出することが可能となる刈取収穫機を提供できるに至った。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記刈取用の作業行程として未刈茎稈群の外周のうちの植付条に沿う条刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う条刈り作業と、前記刈取用の作業行程として未刈茎稈群の外周のうちの前記条刈り用作業行程と交差する横刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う横刈り作業とを交互に繰り返す状態で刈り取りを行うように構成され、
前記対茎稈位置検出手段が、
前記条刈り作業において植立茎稈列に対する前記機体の横幅方向の位置を検出する条刈り用検出部と、前記横刈り作業において植立茎稈列に対する前記機体の横幅方向の位置を検出する横刈り用検出部とを備えて構成されている点にある。
【0018】
すなわち、未刈茎稈群の外周のうちの植付条に沿う条刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う条刈り作業と、未刈茎稈群の外周のうちの前記条刈り用作業行程と交差する横刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う横刈り作業とを交互に繰り返す状態で刈り取りを行う、ことになる。そして、前記条刈り作業においては、前記対茎稈位置検出手段における条刈り用検出部にて、植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を適正に検出することができ、前記横刈り作業においては、前記対茎稈位置検出手段における横刈り用検出部にて、植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を適正に検出することができる。
【0019】
上記したような作業形態はいわゆる回り刈り作業と称され、植立茎稈を刈り取る刈取収穫機の作業形式としては一般的な作業形式であるが、このような一般的な作業形式において、前記条刈り作業と前記横刈り作業のいずれの作業においても植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を適正に検出することができる。
【0020】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、
前記刈取部に、刈取対象となる植立茎稈を複数の茎稈導入経路に振り分け分草する複数の分草具と、機体前後方向に沿って配備されてその前端部に前記分草具が設けられた複数の杆状の刈取部フレームとが備えられ、
前記条刈り用検出部が、前記複数の刈取部フレームのうちの刈幅方向の中間側に位置する前記刈取部フレームにおける前記分草具の機体後方側箇所に設けられ、
前記横刈り用検出部が、前記複数の刈取部フレームのうちの最既刈側に位置する前記刈取部フレームにおける前記分草具の機体後方側箇所に設けられている点にある。
【0021】
すなわち、前記検出体が、機体の前進走行に伴って植立条に並列状態で植えられた茎稈に接当しながら機体後方側に揺動することで、茎稈列と揺動状態検出手段、即ち、刈取部との機体横方向の相対位置関係を検出できる。
【0022】
そして、前記条刈り用検出部は、複数の刈取部フレームのうちの刈幅方向の中間側に位置する刈取部フレームにおける分草具の機体後方側箇所に設けられるから、分草具を支持する刈取部フレームを有効利用して振り分け分草されたのちの植立茎稈に適切に検出作用しながら簡素な構成で支持することができ、又、刈幅方向の中間側に位置する刈取部フレームに設けられるから、左右両側に植立茎稈が存在するので植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を適正に検出することができる。
【0023】
一方、前記横刈り用検出部が、複数の刈取部フレームのうちの最既刈側に位置する刈取部フレームにおける分草具の機体後方側箇所に設けられるから、分草具を支持する刈取部フレームを有効利用して振り分け分草されたのちの植立茎稈に適切に検出作用しながら簡素な構成で支持することができ、又、最既刈側に位置する刈取部フレームに設けられるから、未刈茎稈群の端縁部に対して有効に作用して植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置を適正に検出することができる。
【0024】
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれか1項に加えて、
前記対地位置検出手段が、GPS衛星から送信される電波を受信して機体の位置情報を求めるGPS位置情報算出手段と、前記機体の方位変位情報を検出するジャイロ装置とを備えて構成されている点にある。
【0025】
すなわち、前記対地位置検出手段がGPS位置情報算出手段とジャイロ装置とを備えて構成されるので、前記GPS位置情報算出手段により設定時間間隔で求められる機体の位置情報を前記ジャイロ装置により前記設定時間が経過する間において検出される機体の方位変位情報により補間することにより、極力正確に機体の現在位置及び機体の現在方位を求めることができる。
【0026】
従って、第5特徴構成によれば、正確に求められる機体の位置情報及び機体の方位変位情報に基づいて、設定経路に沿って走行するように操向操作手段を制御することを良好に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る刈取収穫機の実施形態を自脱型のコンバインに適用した場合について説明する。
【0028】
図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1、1で支持された機体の前部に、刈取昇降シリンダ2にて横軸芯P1周りに駆動昇降自在に刈取部3が支持され、機体の前部の右側に運転部4が備えられ、機体の後部の左側に脱穀部5が備えられ、機体の後部の右側にグレンタンク6が備えられて自脱型のコンバインが構成されている。
【0029】
前記刈取部3は、先端部に付設されて植立茎稈の植付け条に沿って刈取走行するときに左右の植立茎稈列の間に入り込み植立茎稈同士を分草する分草具7、倒伏している植立茎稈を引き起こす引き起こし装置8、引き起こした植立茎稈の株元を切断する刈刃9、先端側で刈取茎稈を受け取って脱穀部5のフィードチェーンに受け渡す縦搬送装置10等を備えている。
【0030】
又、刈取部3には、植立茎稈uの植付け条に沿って機体が走行するときの植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置を検出する対茎稈位置検出手段83が備えられている。そして、この茎稈位置検出手段83は、機体が植立茎稈の植立条に沿って走行しながら刈取作業を行う条刈り形態において使用する条刈り用の検出部としての条刈り用茎稈位置センサ83Aと、植立茎稈の植立条と交差する方向に走行しながら刈取作業を行う横刈り形態において使用する横刈り用の検出部としての横刈り用茎稈位置センサ83Bとからなる。
【0031】
説明を加えると、植立茎稈群は、図16に示すように、所定方向の植立茎稈の間隔が狭い間隔X1であり、所定方向と交差する方向には植立茎稈の間隔が広い間隔X2となるように植付けられている。狭い間隔X1に沿って並ぶ方向が植付条に沿う方向であり、その方向に刈取作業するのが条刈り作業形態である(図16(2)参照)。一方、広い間隔X2に沿って並ぶ方向に刈取作業するのが横刈り作業形態である(図16(1)参照)。
【0032】
そこで、図7に示すように、条刈り用の茎稈位置センサ83Aは、複数の分草具7のうち最未刈側の分草具7よりも1個だけ刈幅方向中央側に寄った位置にある分草具7の後方に設けられ、横刈り用の茎稈位置センサ83Bは、最既刈り側の分草具7の後方に設けられている。そして、各センサ83A、83Bは、夫々、略機体横幅方向に沿う復帰位置に復帰付勢され且つ機体前後方向に揺動自在に前記刈取部に枢支された検出体としてのセンサーバー84と、そのセンサーバー84の後方揺動量を植立茎稈列に対する機体の横幅方向の位置の情報として検出する揺動状態検出手段としてのポテンショメータ85とを備えて構成されている。
【0033】
すなわち、図7に示すように、条刈り用の茎稈位置センサ83Aは、複数の分草具7のうち最未刈側の分草具7よりも1個だけ中央側に寄った位置にある分草具7の後方側のフレーム7aに縦向き回動支点周りに機体後方側に回動自在な左右一対のセンサーバー84が設けられ、この一対のセンサーバー84が、横向き突出状態に復帰付勢される状態で、且つ、植立茎稈uとの接触によって機体後方側に回動するように構成されている。そして、それら一対のセンサーバー84が茎稈との接触によって機体後方側に回動した回動角を各別に検出するポテンショメータ85が設けられている。
【0034】
つまり、機体の走行に伴って、分草具7の左右両側の各経路に導入される茎稈の株元がセンサーバー84に接当して、センサーバー84が茎稈接当位置に応じた回動角で機体後方側に回動し、ポテンショメータ85は回動角を検出することによって、機体前後方向に並ぶ茎稈と各センサーバー84の回動支点位置との横間隔が小になるほど大となる検出信号を出力する。つまり、左右両側のセンサーバー84の回動量が同じであれば左右の茎稈列の中央に位置していることになり、左右の回動量の差により植立茎稈列に対する機体の横ずれを検出することができる。尚、前記回動角は、機体の走行に伴って常時変動することになるが、検出信号としては、回動角の最大値あるいは平均値等を用いることができる。
【0035】
前記横刈り用の茎稈位置センサ83Bは、最既刈り側の分草具7の後方側のフレーム7aに縦向き回動支点周りに機体後方側に回動自在な1個のセンサーバー84が、横向き突出状態に復帰付勢される状態で、且つ、植立茎稈uとの接触によって機体後方側に回動する状態で設けられ、センサーバー84が茎稈との接触によって機体後方側に回動した回動角を検出するポテンショメータ85が設けられている。そして、条刈り用の茎稈位置センサ83Aと同様に、ポテンショメータ85の検出値により植立茎稈列に対する機体の横ずれを検出することができる。
【0036】
次に、動力伝達系を図9に示す。機体に搭載されたエンジンEの出力は、脱穀クラッチモータ11にて入切操作自在な脱穀クラッチ12を介して脱穀部に伝達されるとともに、無段変速装置13を介してミッション部14に伝達され、ミッション部14からの動力は左右両側のクローラ式走行装置1に供給される一方、刈取クラッチモータ15にて入切操作自在な刈取クラッチ16を介して刈取部3にも伝達される構成となっている。前記ミッション部14には、詳述はしないが、一方の走行装置1を他方の走行装置1より低速で駆動する緩旋回状態、一方の走行装置1を停止状態にするブレーキ旋回状態、一方の走行装置1を他方の走行装置1と逆向き状態に駆動する逆転旋回状態の夫々に切り換え自在な周知構成の旋回状態切換機構17が備えられている。この旋回状態切換機構17の切り換え操作は、後述する刈高操向レバー18の機体横幅方向への揺動操作により行われる構成となっている。
【0037】
前記無段変速装置13は、運転部4に備えられた手動操作式の変速レバー19にて手動で変速操作可能に連動連係されている。この変速レバー19は、運転部4における運転座席20の左側箇所に機体前後方向に揺動操作自在に設けられている。つまり、変速レバー19が前後操作範囲の中間部に位置する中立位置にあれば走行停止状態になり、中立位置から前方側に操作されると無段変速装置13が前進方向での走行速度が増速し、変速レバー19が中立位置から後方側に操作されると無段変速装置13が後進方向での走行速度が増速される構成となっている。
【0038】
運転部4の右側箇所には、刈取部3を昇降操作する刈取昇降指令具と機体を左右に旋回操作する旋回操作指令具とに兼用構成された十字操作式の刈高操向レバー18が設けられている。この刈高操向レバー18を後方側に揺動操作すると刈取部3が上昇し、前方側に揺動操作すると刈取部3が下降する構成となっている。
【0039】
すなわち、図8に示すように、前記刈取昇降シリンダ2に対する圧油供給状態を切り換える油圧制御弁21、前記脱穀クラッチモータ11、前記刈取クラッチモータ15等の作動を制御するためのマイクロコンピュータを備えて構成される制御手段としての制御装置Hが備えられ、刈高操向レバー18を後方側に揺動操作するとオンする刈取上昇スイッチ22と、刈高操向レバー18を前方側に揺動操作するとオンする刈取下降スイッチ23とが設けられ、これらのスイッチの情報が制御装置Hに入力される。
【0040】
そして、制御装置Hは、刈取上昇スイッチ22がオンすると刈取昇降シリンダ2が上昇操作するように油圧制御弁21を切り換え、刈取下降スイッチ23がオンすると刈取昇降シリンダ2が下降操作するように油圧制御弁21を切り換えるように制御する。又、手動操作にて入切自在な脱穀入切スイッチ24及び刈取入切スイッチ25が設けられ、制御装置Hは、脱穀入切スイッチ24の操作状態により脱穀クラッチモータ11を切り換え制御し、刈取入切スイッチ25の操作状態により刈取クラッチモータ15を切り換えるように制御する。
【0041】
連係構成について詳述はしないが、前記刈高操向レバー18と前記旋回状態切換機構17とが機械的に連係されており、刈高操向レバー18を左側に揺動操作すると機体が左旋回し、右側に揺動操作すると機体が右旋回するように、且つ、刈高操向レバー18の中立位置からの倒し角が大きくなるほど、前記緩旋回状態、前記ブレーキ旋回状態、及び、前記逆転旋回状態に順次切り換わる、すなわち順次旋回力が大きくなるように旋回状態が切り換わるように構成されている。
【0042】
そして、このコンバインは、変速レバー19及び刈高操向レバー18を運転座席20に着座した運転者により手動で操作する手動操縦状態と、変速レバー19及び刈高操向レバー18を夫々後述するような各別に備えられた駆動操作機構により操作することで予め設定した走行経路に沿って無人で走行可能な自動走行状態とに切り換え可能に構成されている。
【0043】
説明を加えると、図2に示すように、刈高操向レバー18の機体後方側の近傍に位置させて、その刈高操向レバー18を機体横幅方向に操作する操向用の駆動操作機構26が備えられ、前記変速レバー19の機体後方側に位置させて、その変速レバー19を機体前後方向に操作する変速用の駆動操作機構43が備えられている。
【0044】
次に、操向用の駆動操作機構26について説明する。
図2〜図5に示すように、操向用の駆動操作機構26は、運転部4の座席前方側の操作パネル27Aに取付部としての連結具28Aを介してネジ止め固定される枠体28に、操向用電動モータ29(以下、操向用モータという)により回転駆動されるネジ軸30が機体横幅方向に沿う状態で回転自在に支持されており、このネジ軸30に螺合する雌ネジ部31を備えてネジ軸30の回転に伴ってネジ軸30の軸芯方向に沿って移動操作自在なスライド部材32が設けられている。
【0045】
スライド部材32にレバー保持部としての左右一対のレバー保持具33がボルト固定され、この左右一対のレバー保持具33は刈高操向レバー18に左右両側から接当作用する位置に備えられている。一対のレバー保持具33は、取り付け用の板体33Aとその板体33Aに溶接固定された補強用棒体33Bとで構成されている。
【0046】
又、図3に示すように、前記枠体28のネジ軸30の軸芯方向に沿って延びる箇所は断面略U字型に形成され、その断面略U字型の左右両側の上縁部に前記スライド部材32の被案内部32aが接当して、スライド部材32がネジ軸30の軸芯周りでの回動が阻止され且つ軸芯方向に沿って移動自在に案内される構成となっている。従って、枠体28の断面略U字型の左右両側の上縁部により案内部Gが構成されている。
【0047】
このようにしてレバー保持具33を被操作方向としての機体横幅方向に沿って移動させる移動操作部ISが構成され、操向用モータ29を回転駆動することによりネジ軸30が回動操作されるに伴って、スライド部材32に固定されたレバー保持具33により刈高操向レバー18を機体横幅方向に揺動操作可能となる。
【0048】
前記操向用モータ29の出力軸34とネジ軸30とは伝動チェーン35により連動連結されるが、モータ側スプロケット36がネジ軸側スプロケット37よりも大径に形成されており、操向用モータ29として、ワイパーモータ等のように予め減速機構を備えた汎用の安価な電動モータを用いるようにしながらネジ軸30を極力高速で回転させて迅速に操向操作を行えるようにしている。
【0049】
又、枠体28の機体横幅方向中間の機体後方側箇所から上方に向かって一体的に延びる状態で設けられた支持部38に、ネジ軸30の軸芯方向と直交又は略直交する検出用軸芯としての前後軸芯周りで回転自在な検出用回転軸39を有するポテンショメータ40が備えられ、このポテンショメータ40の検出用揺動アーム41の揺動端部と前記スライド部材32に前後軸芯周りで回動自在に支持された中継リンク42の他端部とがピンを介して枢支連結され、スライド部材32のスライド移動に伴ってポテンショメータ40の検出用揺動アーム41が揺動する構成となっており、このポテンショメータ40によりスライド部材32のスライド位置すなわち、刈高操向レバー18の左右揺動操作量を検出することができるように構成されている。
【0050】
図2に示すように、前記操向用モータ29は平面視で運転座席20の機体横幅方向の略中央位置に位置する状態で、且つ、側面視で後方側が上方に向くように斜め姿勢となるように配備されており、運転座席20に運転者が着座する場合に、運転中に足が操向用モータ29に接触したり、乗り降りの際に邪魔にならないようにしている。
【0051】
そして、この操向用の駆動操作機構26は、前記レバー保持部33、前記移動操作部IS、前記操作位置検出部K、及び、前記連結具28Aがユニット状に組み付けられ、前記連結具28Aと操作パネル部27Aとの間の連結及び解除によって、運転部4に着脱可能に装着される構成となっている。
【0052】
次に、前記変速レバー19を操作するための変速用の駆動操作機構43について説明する。
この変速用の駆動操作機構43は、ネジ軸47の軸芯方向が機体前後方向に向く状態で且つ変速レバー19よりも機体後方側に位置する状態で枠体45が運転部4における座席左側の操作パネル部27Bに位置固定状態で取り付けられた状態において、変速用電動モータ(以下、変速用モータという)46が、ネジ軸47の後部側端部の上方側に位置して無端回動体としての伝動チェーン35を介してネジ軸47を回転駆動する形態で枠体45に取り付けられている。
【0053】
すなわち、図2及び図6に示すように、運転部4における運転座席20の左側に位置する操作パネル部27Bに、その左側の操作パネル部27Bに備えられる各種の操作具に干渉しないように上方に位置させる状態で、取付具としての前後一対の縦フレーム44を介して取り付け固定されている。この変速用の駆動操作機構43は、操向用の駆動操作機構26と同じように、前記縦フレーム44に固定された枠体45に変速用電動モータ46によって回転駆動されるネジ軸47が機体前後方向に沿う回転軸芯を備える状態で回転自在に支持されており、このネジ軸47に螺合する雌ネジ部48を備えてネジ軸47の回転に伴ってネジ軸47の軸芯方向に移動操作自在な被操作部としてのスライド部材49が設けられている。そして、前記枠体45には、操向用の駆動操作機構26と同様に、スライド部材49のネジ軸の軸芯周りでの回動を阻止し且つ軸芯方向に沿ってスライド部材49を移動自在に案内する案内部Gが設けられている。
【0054】
そして、このスライド部材49に前後方向に延びる操作ロッド50の後方側端部が連結用板体50Aを介して横軸芯周りで回動自在に枢支連結され、この操作ロッド50の前方側端部が変速レバー19に装着された保持具51に対して横軸芯周りで回動自在に枢支連結されている。
【0055】
このようにして前記被操作方向に沿って移動させる移動操作部ISが構成され、変速用モータ46を回転駆動することにより前記ネジ軸47が回動操作されるに伴って、操作ロッド50を介して変速レバー19が前後方向に揺動操作される構成となっている。
【0056】
前記変速用の駆動操作機構43には、前記操向用の駆動操作機構26と同様な操作位置検出部Kが設けられている。つまり、枠体45の前後方向中間の運転座席側箇所から上方に向かって延びる状態で設けられた支持部52に、ネジ軸30の軸芯方向と直交又は略直交する検出用軸芯としての機体横幅方向に沿う軸芯周りで回転自在な検出用回転軸53を有するポテンショメータ54が備えられ、このポテンショメータ54の検出用揺動アーム55の揺動端部と前記スライド部材49に横軸芯周りで回動自在に支持された中継リンク56の他端部とがピンを介して枢支連結され、スライド部材49のスライド移動に伴ってポテンショメータ54の検出用揺動アーム55が揺動する構成となっており、このポテンショメータ54によりスライド部材49のスライド位置すなわち、変速レバー19の揺動操作量を検出することができるように構成されている。
【0057】
前記変速用の駆動操作機構43は、前記保持具51、前記移動操作部IS、前記操作位置検出部K、及び、前記縦フレーム44がユニット状に組み付けられ、前記縦フレーム44と操作パネル部27Bとの間の連結及び解除によって、運転部4に着脱可能に装着される構成となっている。
【0058】
そして、このコンバインでは、GPS衛星から送信される電波を受信して設定時間間隔で機体の位置情報を求めるGPS位置情報算出手段100と、機体の方位変位情報の一例としての縦軸芯周りでの機体の角速度変位を検出するジャイロ装置57と、前記GPS位置情報算出手段100にて求められる機体の位置情報及びジャイロ装置57にて検出される機体の方位変位情報に基づいて機体が設定経路に沿って走行するように操向制御する操向制御手段101とが備えられている。
【0059】
先ず、GPS位置情報算出手段100について説明する。
作業対象となる圃場の外部における地上側の適宜箇所に、その地点の重力方向に対して水平方向を東西及び南北方向で表した局地水平座標系E(東方向),N(北方向),H(地球中心からの高さ方向)において高精度に位置(上記座標系E,N,Hでの座標値)が判っている地上側の基準位置に設置されて、図11に示すように、少なくとも4個のGPS衛星58からのスペクトラム拡散変調された電波(搬送波信号)を受信するGPS基準局R(以後、単に基準局Rともいう)用のアンテナ59aと、このアンテナ59aの受信信号を処理して搬送波の位相情報を得るGPS受信機59と、そのGPS受信機59からの搬送波位相情報を機体側に向けて送信するための送信アンテナ60aを備えた地上側通信手段としての送受信機60とが設けられている。
【0060】
又、機体側には、前記GPS衛星58からの電波(搬送波信号)を受信するGPS移動局I(以後、単に移動局Iともいう)用のアンテナ61aと、上記アンテナ61aの受信信号を処理して搬送波の位相情報を得るGPS受信機61と、前記地上側の送受信機60からの送信情報を受信するためのアンテナ62aを備えた機体側通信手段としての送受信機62とが設けられている。
【0061】
前記基準局R及び移動局Iの各GPS受信機59,61は、図12に示すように、同様の構成になるものであって、夫々のアンテナ59a,61aで受信した電波信号は、先ず高周波信号処理部63,64に入力して低周波数に変換される。その低周波数変換された信号は、C/Aコード解析部65、66にて衛星番号等が解読されるとともに、搬送波位相計測部67、68において、上記衛星番号に応じて作成されるC/Aコードと相関をとって搬送波が再生され、さらに内蔵した時計69、70にて設定時間間隔で搬送波の位相が計測される。同時に、C/Aコード解析部65、66からの情報に基づいて、航路メッセージ解読部71、72にて衛星位置情報等が判別される。そして、上記各部からの情報は、夫々の制御用のコンピュータ73、74に入力されて各基準局R及び移動局Iにおける搬送波位相情報が求められる。
【0062】
さらに、基準局R側コンピュータ73から出力された基準局Rでの搬送波位相情報が、前記地上側の送受信機60を経て送信アンテナ60aから送信され、機体側のアンテナ61aで受信され、送受信機62を経て移動局I側コンピュータ74に入力され,その移動局I側コンピュータ74において、基準局R及び移動局Iでの両搬送波位相情報に基づいて二重位相差情報が求められる。そして、上記GPS受信機61を利用して、移動局Iでの搬送波位相情報及び前記送受信機62が受信した基準局Rでの搬送波位相情報から求めた二重位相差情報に基づいて、前記基準位置つまり基準局Rに対する移動局Iつまり作業車Vの位置を所定時間間隔の時系列のGPS位置データとして求めるGPS位置情報算出手段100が構成されている。そして、このGPS受信機61で得られたGPS位置データが制御装置Hに入力されている。
【0063】
ここで、二重位相差情報について概略を説明すると、異なる2つの衛星58からの各搬送波信号を2つの受信局(基準局R及び移動局I)夫々で受信して、各衛星58ごとに対応する2つの位相差を求め、さらにこれら2つの位相差の差分をとったものを二重位相差と呼ぶ。これによって各衛星58での送信信号の位相乱れの影響が除去されるとともに、各受信局の位相計測用の時計の同期ずれの影響が除去され、最終的に、衛星側及び受信局側での誤差の影響を少なくした精度のよい位相差情報が得られる。尚、後述の位置ベクトルrを求めるために、実際は、異なる4つの衛星58からの各搬送波信号に基づいて、独立した3つの二重位相差が求められることになる。
【0064】
前記GPS位置情報算出手段100による3つの二重位相差情報に基づく機体の位置検出について具体的に説明する。先ず最初に、コンバインの機体を前記局地水平座標系E,N,Hにおいて高精度に位置座標値が判っている地点に位置させ、移動局側及び基準局側の各GPS受信機59,61の受信情報から前記3つの二重位相差を計算し、基準局R及び機体間の相対位置が判っていることから上記二重位相差情報に含まれる搬送波波長の整数倍の不確定(整数値バイアス)を確定させる。次に、図10に示すように、機体を圃場内の任意の地点に移動させたときの3つの二重位相差情報より、基準局Rから機体への位置ベクトルrが求まり、基準局Rの基準位置と上記求めた位置ベクトルrとから、作業車Vの機体位置が判別される。前記GPS受信情報からの機体位置の検出は、所定時間(100msec)毎に時系列のGPS位置データとして求められる。
【0065】
図8に示すように、コンバインの機体には、上記したようなGPS衛星から送信される電波を受信して設定時間間隔で機体の位置情報を求める構成とは別に、前記機体の方位変位情報の一例としての縦軸芯周りでの機体の角速度変位を検出するジャイロ装置57が備えられている。
【0066】
従って、このコンバインでは、基準位置に対する機体の地面上での2次元の位置情報である対地位置情報を検出する対地位置検出手段が、GPS位置情報算出手段とジャイロ装置とを備えて構成されている。
【0067】
そして、制御装置Hが、GPS位置情報算出手段及びジャイロ装置にて求められる機体の対地位置情報に基づいて機体が設定経路Lに沿って走行するように操向操作手段としての操向用モータ29を制御するように構成され、設定経路における植立茎稈を刈り取る刈取用経路部分を走行するときに、茎稈位置センサ83にて検出される植立茎稈に対する機体の横幅方向の位置が刈取用の適正位置から外れると、GPS位置情報算出手段及びジャイロ装置の検出情報にかかわらず、対茎稈位置センサ83の検出情報に基づいて機体の横幅方向の位置が前記適正位置になるように操向用モータ29を制御するように構成されている。従って、制御装置Hにより操向制御手段101が構成される。
【0068】
前記設定経路Lは、地上側での位置座標(E,N,H座標系)を基準として定めたデータとして設定される。具体的には、作業対象となる圃場において、植立穀稈を植え付ける田植え作業を行うときに、田植え機に運転者が搭乗して手動にて運転操作しながら植え付け作業を行うのであるが、その田植え作業を実行する際に、田植え機に前記GPS位置情報算出手段100と同様なGPS位置情報算出手段を備えておき、前記田植え作業を行うときに田植え機の車体の位置情報を読み込み記憶し、そのような田植え作業に伴い時系列的に求められる複数の位置のデータ群を逐次読み込み記憶する処理を予め行っておく。
そして、その記憶情報を当該コンバインの制御装置Hにより読み込み、制御装置Hがその記憶情報から田植え作業にて植え付けられた植付け領域や走行経路に対応する刈取用の設定経路Lを作成するように構成されている。従って、制御装置Hが設定経路Lを作成する設定経路作成手段102を構成する。そのとき、田植え機による植え付け条数とコンバインの刈取条数が異なる場合には、その条数の違いに応じて経路を適宜補正することになる。
【0069】
前記設定経路について説明すると、図10に示すように、作業開始点stから作業を開始し、未刈穀稈列の端縁に沿って刈取作業を行う1つの作業行程の終端部に至ると、機体を略直交する方向に向きを換えて機体を走行させて次回の刈取作業を行うように、いわゆる回り刈り形態で収穫作業を行うようになっており、このような走行を繰り返して、圃場F内の全ての植立穀稈を刈り取るように圃場の全範囲を走行することになる。刈取作業行程の終端部で旋回走行するときは、直進経路に沿って走行している状態から左側斜め方向に傾斜するように前進走行させて走行停止し、次に、前記直進経路と交差する次の直進経路の手前箇所に位置し且つ機体の前後方向が前記次の直進経路に沿う姿勢になるように後進走行させて走行停止し、その後、次の直進経路に沿って直進走行させる作業行程切換用の旋回走行を行うようになっている。従って、この作業行程切換用の旋回走行では、操向用モータ29の操作による機体の進行方向の向き変更操作だけでなく、変速用モータ46の操作により前進状態と後進状態との切り換えも行われることになる。
【0070】
そして、この圃場で刈取作業を行うときは、モード設定スイッチ76を操作して自動走行モードに設定しておくと、上記したように設定した設定経路Lに沿って自動で走行させることができる。つまり、自動走行モードが指令されると、制御装置Hは、前記GPS位置情報算出手段100にて求められる現在のGPS位置データ、及び、前記ジャイロ装置57により検出される機体の方位の変化情報とに基づいて求められる現在時刻での前記機体の位置を前記地上側での位置座標(E,N,H座標系)を基準とする座標値として求めて、その座標値と走行経路Lを定めたデータとを比較して走行経路Lに対する機体の現在位置を求め、機体の現在位置が設定経路Lに沿って走行するように操向制御する。
【0071】
具体的には、前記操向用モータ29を操作して機体を操向操作するのであるが、このとき、上記したような作業行程切換用の旋回走行を行うときは変速用モータ46を操作して前進走行状態と後進走行状態との切り換えを行うことになる。又、制御装置Hは、このような機体の走行用の制御に加えて、刈取クラッチ16や脱穀クラッチ12の入切操作並びに刈取部3の昇降操作も自動で行うようになっている。
【0072】
前記制御装置Hは、自動走行モードにおいて、機体を直進走行させるときは、GPS位置情報算出手段100により設定時間が経過する毎に求めた機体の位置情報を、設定時間が経過する間にジャイロ装置57にて検出される機体の方位変位情報に基づいて補正することで機体の現在位置を求め、又、GPS位置情報算出手段100により前記設定時間間隔で求めた機体の位置情報により設定時間毎に機体の方位情報を求め、機体の現在位置が設定経路Lに沿う状態で且つ機体の現在方位が設定経路に対応する適正方位になるように操向制御する。
【0073】
そして、このコンバインには、GPS位置情報算出手段100にて求められる機体の位置情報及びジャイロ装置57にて検出される機体の方位変位情報がいずれも適正に検出されている適正検出状態であるか機体の位置情報及び機体の方位変位情報のうち少なくともいずれか一方が適正に得られていない不適正検出状態であるかを判別する検出状態判別手段103と、検出状態判別手段103にて前記適正検出状態であることが判別されているときと前記不適正検出状態であることが判別されているときとで表示内容を異ならせる形態で、且つ、機体外方から表示内容を目視可能な状態で、前記検出状態判別手段103の判別結果を表示する判別状態表示手段78とが備えられている。
【0074】
又、前記GPS位置情報算出手段100が、GPS衛星58から送信される電波を適正に受信している適正受信モード、電波を受信しているものの機体の位置情報が不安定である不安定受信モード及び電波を受信できていない受信不能モードのいずれかに切り換わるように構成され、前記検出状態判別手段103が、GPS位置情報算出手段100が適正受信モードに切り換わると適正検出状態であると判別し、GPS位置情報算出手段100が不安定受信モードあるいは受信不能モードに切り換わると不適正検出状態であると判別するように構成され、前記判別状態表示手段78が、前記適正受信モード、前記不安定受信モード、及び、前記受信不能モードにて互いに異なる表示内容となるように構成されている。
【0075】
前記各モードについて説明を加えると、前記検出状態判別手段103は、4個のGPS衛星58からの電波が全て良好に受信されているときは前記適正受信モードと判別する。この適正受信モードでは、計測誤差が±2cm程度であって高精度で位置を計測できる。
【0076】
又、4個のGPS衛星58のうち、いずれかのものの電波が適正に受信されていない状態、例えば、GPS衛星58からの電波を直接アンテナ61aにて受信する直接受信波と、GPS衛星58からの電波が地面にて一旦反射したのちにアンテナ61aにて受信する間接受信波とがあるような場合には機体の位置情報として2つの検出値が同時に求められる等、動作が不安定になるおそれがある。このような場合には前記検出状態判別手段103が前記不安定受信モードと判別する。この不安定受信モードでは計測誤差が±1m程度であり計測精度が悪いものとなる。
【0077】
前記検出状態判別手段103は、GPS衛星58からの電波が受信できていない場合には前記受信不能モードと判別する。このような状態になるのは、例えば、他の建物等の周囲の障害物によってGPS衛星58からの電波が遮られるような場合がある。このときは機体の位置の計測はできないことになる。
【0078】
又、前記検出状態判別手段103が、操向制御手段101により機体が設定経路Lに沿って直進走行するように操向制御されているときに、ジャイロ装置57にて検出される機体の方位変位量が設定許容量未満である場合には、機体の方位変位情報がいずれも適正に検出されている適正検出状態であると判別し、操向制御手段101により機体が設定経路Lに沿って直進走行するように操向制御されているときに、ジャイロ装置57にて検出される機体の方位変位量が設定許容量を超えている場合には、機体の方位変位情報が適正に得られていない不適正検出状態であると判別するように構成されている。
【0079】
前記判別状態表示手段78は、図1に示すように、機体の運転部を覆うキャビンの上部に立設する状態で備えられ、圃場の外部の畦から目視することが可能なように見やすい2つの表示ランプ79、80にて構成されている。このGPS用の表示ランプ79は、GPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードに切り換わると緑色の表示ランプ79aが点灯し、不安定受信モードに切り換わると黄色の表示ランプ79bが点灯し、前記受信不能モードに切り換わると赤色の表示ランプ79cが点灯するようになっており、異なる表示内容としての表示色が切り換わるように構成されている。又、ジャイロ用の表示ランプ80はジャイロ装置57の検出状態が異常であれば青色に点灯する青色表示ランプにて構成され、検出状態が正常であれば消灯するように構成されている。又、前記検出状態判別手段103は制御装置Hを利用して構成されている。
【0080】
図10に示すように、作業対象となる圃場の外周部には、コンバインが自動走行しているときに、圃場の外部に脱出して機体が暴走することが無いように、機体が圃場から外方に向けて脱出することを検出する光式の機体検出装置81が設けられ、この光式の機体検出装置81は、機体が圃場から後記するレーザー光により作成される境界線を越えて外方に向けて移動しようとすることを検出すると、機体に備えられた非常用受信機82に無線送信によって非常停止信号を送信して、機体を停止させるように構成されている。
【0081】
前記光式の機体検出装置81は、圃場の外周縁に沿ってレーザー光を発光する発光装置81Aが対角に位置する2箇所の角部に夫々設けられ、他の2箇所の角部にレーザー光を受光する受光装置81Bが備えられ、受光装置81Bはレーザー光が受信されなくなると、その受信装置81Bに備えられた無線送信機81Cにより非常用受信機82に無線送信によって非常停止信号を送信する構成となっている。
【0082】
次に、図13〜図17に示すフローチャートに基づいて制御装置Hの制御動作について説明する。尚、畦から作業開始地点stまでは手動操縦により又は他の運搬車両により機体を移動させる。そして、この制御は、圃場の外部にいる管理者が図示しない無線通信装置にて開始を指令することで処理を開始する構成となっている。又、この処理は単位時間(例えば、20msec)毎に繰り返し実行することになる。
【0083】
図13に示すように、制御モードが経路設定モードであれば、上記したような記憶情報に基づく経路設定処理を実行する(ステップ1、2)。自動走行モードでは、先ず作業開始処理を実行する(ステップ3)。すなわち、脱穀クラッチ12及び刈取クラッチ16を入り操作し、変速レバー19を刈取用の前進速度まで変速して刈取部3を下降させ直進走行を開始する。そして、このような直進走行を開始したのちは、直進用走行制御を実行することになる(ステップ4)。
【0084】
次に、図14及び図15を参照しながら直進用走行制御について説明する。
前記GPS位置情報算出手段100による算出されるGPS位置データを設定時間(100msec)が経過する毎に読み込み(ステップ41、42)、前記GPS位置データにより車体の位置を算出する(ステップ43)。又、当該処理を実行する単位時間(20msec)毎にジャイロ装置57の検出情報を読み込み、その検出情報に基づいて前回の検出方位からの車体の方位変位量を算出する(ステップ44、45)。
【0085】
次に、茎稈位置センサ83の検出結果から植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置を検出する(ステップ45A)。このとき、機体の走行経路が圃場における植立茎稈の植付条に沿うように走行する条刈り作業形態(図16(1)参照)であれば、前記条刈り用の茎稈位置センサ83Aの検出情報を用い、機体の走行経路が植付条と交差するように走行する横刈り作業形態(図16(2)参照)であれば、前記条刈り用の茎稈位置センサ83Aの検出情報を用いることになる。
【0086】
そして、植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置が適正位置にあれば、ステップ46に移行して、次のような、GPS位置情報算出手段100とジャイロ装置57との検出情報に基づく操向制御を実行する。
【0087】
すなわち、前記ジャイロ装置57の検出情報が異常であるか否かを判別する(ステップ46)。すなわち、直進走行するように操向制御されているとき、具体的には、前記ポテンショメータ40にて検出される刈高操向レバー18の位置が中立位置にあるときに、ジャイロ装置57にて検出される車体の方位変位量が設定許容量未満である場合には、車体の方位変位情報がいずれも適正に検出されている適正検出状態であると判別し、ジャイロ装置57にて検出される車体の方位変位量が設定許容量を超えている場合には、車体の方位変位情報が適正に得られていない不適正検出状態であると判別する。
【0088】
前記ジャイロ装置57が適正な検出状態であるときは、そのときGPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードであれば適正検出状態であると判別してGPS用表示ランプ79の緑色表示ランプ79aを点灯させる(ステップ47、48)。GPS位置情報算出手段100が前記不安定受信モードであれば不適正検出状態であると判別してGPS用表示ランプ79の黄色表示ランプ79bを点灯させる(ステップ49)。GPS位置情報算出手段100が前記受信不能モードであれば不適正検出状態であると判別してGPS用表示ランプ79の赤色表示ランプ79cを点灯させる(ステップ50)。又、前記不適正検出状態が設定時間(0.5秒間)以上継続しているときは、それ以上の走行は危険であるから車体を非常停止させ、赤色表示ランプ79cを点滅表示する(ステップ52、54)。
【0089】
GPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードであれば、設定時間毎に前記GPS位置データにより算出される車体の位置情報とジャイロ装置57の検出情報とに基づいて車体の現在位置を求める(ステップ51)。
【0090】
この位置の求め方について説明を加えると、図17に示すように、前記GPS位置データにより車体の位置を算出する処理は設定時間(100msec)毎に行われ、ジャイロ装置57による方位変位量を算出する処理は単位時間(20msec)毎に行われるが、前記GPS位置データにより求められた車体の位置GP1,GP2‥を基にしてその位置から方位変位量データJD並びにそのときの車速の情報から求められる位置変位量を加味して単位時間毎に現在位置を求めるのである。
説明を加えると、上述したように、前記方位変位量データJDは単位時間(20msec)毎に得られるが、基となる車体の位置GP1,GP2‥は、現在時刻よりも100msec前に計測された位置である。そこで、この位置情報が得られる100msec経過毎に、基となる位置情報(100msec前のデータ)を今回得られた位置データにて補正することで、正確な位置情報を得ることができるようになっている。
尚、車速の情報は、前記変速用の駆動操作機構43におけるポテンショメータ54による変速レバー19の操作位置の情報により求めることができる。
【0091】
上記したようにして求められる車体の現在位置が設定経路L上に位置するように、操向用モータ29を制御する(ステップ55)。例えば、車体の現在位置が設定経路Lから設定量を越えて大きく離間しているときは、前記ブレーキ旋回状態に対応する操作位置を目標位置として刈高操向レバー18を操作するように操向用モータ29を制御し、車体の現在位置が設定経路Lからの離間距離が設定量未満であるときは、前記緩旋回状態に対応する操作位置を目標位置として刈高操向レバー18を操作するように操向用モータ29を制御する。
【0092】
GPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードである状態から前記設定時間よりも短い短時間だけ前記不安定受信モードや前記受信不能モードになっている場合には、そのような前記不安定受信モードや前記受信不能モードになっている間だけ、前記GPS位置データを採用せずに、前記ジャイロ装置57の検出情報により算出される車体の現在方位を最終的な車体の現在方位として、その情報に基づいて車体が設定経路に沿って走行するように操向用モータ29を制御する(ステップ53、55)。
【0093】
ステップ46にて前記ジャイロ装置57が不適正な検出状態であることが判別すると、ジャイロ用表示ランプとしての青色ランプ80を点灯させて異常を表示する(ステップ56)。そして、GPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードであれば緑色表示ランプ79aを点灯させ(ステップ57、58)、ジャイロ装置57のデータを用いないでGPS位置情報のみに基づいて車速の位置を求めて、車体の位置が設定経路Lに沿って走行するように操向用モータ29を制御する(ステップ61、55)。
【0094】
GPS位置情報算出手段100が前記不安定受信モードであれば黄色表示ランプ79bを点灯させ(ステップ59)、GPS位置情報算出手段100が前記受信不能モードであれば赤色表示ランプ79cを点灯させる(ステップ60)。前記不適正検出状態が設定時間(0.5秒間)以上継続しているときは、それ以上の走行は危険であるから車体を非常停止させ、赤色表示ランプ79cを点滅表示する(ステップ62、54)。前記不適正検出状態が設定時間(0.5秒間)より短い間はそのときの状態を維持する(ステップ62)。コンバインではこのような短時間の間に大きく向き変更することは少ないと考えられるから、短時間の間はそのままの操向状態で走行を継続するのである。
【0095】
GPS位置情報算出手段100が前記適正受信モードである状態から前記設定時間よりも短い短時間だけ前記不安定受信モードや前記受信不能モードになっている場合には、そのような前記不安定受信モードや前記受信不能モードになっている間だけ、前記GPS位置データを採用せずに、前記ジャイロ装置57の検出情報により算出される機体の現在方位を最終的な機体の現在方位として、その情報に基づいて機体が設定経路に沿って走行するように操向用モータ29を制御する(ステップ51、55)。
【0096】
そして、ステップ45Bにて茎稈位置検出手段83の検出結果から植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置が適正位置にないことが検出されると、上記したようなGPS位置情報算出手段100とジャイロ装置57との検出情報に基づく制御に代えて、機体の横幅方向の位置が前記適正位置になるように操向用モータ29を制御することになる。つまり、植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置が適正範囲から左方向に位置ずれしているときは、適正範囲に入るように機体の向きを右側に向き変更すべく操向用モータ29を制御し(ステップ61、62)、植立茎稈uに対する機体の横幅方向での位置が適正範囲から右方向に位置ずれしているときは、適正位置に入るように機体の向きを左側に向き変更すべく操向用モータ29を制御する(ステップ63)。
【0097】
次に、刈取作業の対象となる直進走行経路の終点に到達すると、刈取作業を終了し、次の刈取作業対象となる直進走行経路に向けて機体を約90度旋回させる旋回箇所に至ったことを判別すると、旋回用走行制御を実行する(ステップ5〜8)。
【0098】
図16を参照しながら旋回用走行制御について説明する。
この旋回用走行制御においては、GPS位置データは用いないで、ジャイロ装置57の検出情報を読み込み、その検出情報に基づいて前回の検出方位からの機体の方位変位量を算出して機体の現在方位を算出する(ステップ81、82)。そして、その機体の現在方位の情報に基づいて、前回の直進走行経路に対して約90度向き変更した次回の直進走行経路に向かうように上述したような作業行程切換用の旋回走行を実行する(ステップ83)。この旋回走行の際に、前記ジャイロ装置57の検出情報から機体の旋回角速度が予め設定された許容値を超えているときは、操向用モータ29の操作量を設定量ずつ小側に補正することにより、機体の旋回角速度が予め設定された許容値を超えない状態で旋回走行を行うようにしている(ステップ84、85)。
旋回走行が終了した後は、次の直進走行経路に沿って刈取作業を実行するのであり、以降、このような処理を繰り返して設定経路に沿って機体を走行させながら圃場内の刈取作業が全て終了するまで実行することになる。
【0099】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0100】
(1)上記実施形態では、前記対茎稈位置検出手段が、接触式の検出体とその検出体の茎稈との接当のよる揺動状態を検出する揺動状態検出手段とを備える構成を例示したが、例えば、植立茎稈に対する機体の横幅方向での位置の情報として、超音波等を用いて植立茎稈までの距離を検出する非接触式の距離検出センサを用いるものでもよい。
【0101】
(2)上記実施形態では、前記対地位置検出手段が、GPS位置情報算出手段とジャイロ装置とを備えて構成されるものを例示したが、例えば、走行距離を検出する距離センサと地上での絶対方位を検出可能な地磁気センサ等を備えて、それらの情報に基づいて、基準位置に対する機体の地面上での2次元の位置情報である対地位置情報を検出する構成等、種々の形態で実施することができる。
【0102】
(3)上記実施形態では、左右一対のクローラ式走行装置を備えて、左右の走行装置のいずれか一方を減速する等、左右の走行装置の速度差により旋回を行う構成としたが、このような構成に代えて、車輪式の作業車であって、車輪の向きを変化させて操向する作業車であってもよい。
【0103】
(4)上記実施形態では、刈取収穫機としてコンバインを例示したが、コンバインに代えてイグサ収穫機等の他の種類の刈取収穫機にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】コンバインの側面図
【図2】運転部の平面図
【図3】操向用の駆動操作機構の構成を示す側面図
【図4】操向用の駆動操作機構の構成を示す切欠正面図
【図5】操向用の駆動操作機構の構成を示す切欠平面図
【図6】変速用の駆動操作機構の構成を示す側面図
【図7】茎稈位置センサの配設状態を示す平面図
【図8】制御ブロック図
【図9】伝動状態を示す図
【図10】作業車と予定走行経路を示す概略平面図
【図11】作業車及び基準局を示す概略側面図
【図12】GPS受信系の構成を示すブロック図
【図13】制御作動のフローチャート
【図14】制御作動のフローチャート
【図15】制御作動のフローチャート
【図16】制御作動のフローチャート
【図17】検出情報の時間経過に伴う変位を示す図
【図18】刈取作業形態の違いを示す平面図
【符号の説明】
【0105】
7 分草具
29 操向操作手段
57 ジャイロ装置
58 GPS衛星
83 茎稈位置検出手段
83A 条刈り用検出部
83B 横刈り用検出部
84 検出体
85 揺動状態検出手段
100 GPS位置情報算出手段
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に設けられて前記機体が刈取用の作業行程に沿って走行するに伴って未刈茎稈を刈り取る刈取部と、
前記機体の向きを変更操作自在な操向操作手段と、
基準位置に対する機体の地面上での2次元の位置情報である対地位置情報を検出する対地位置検出手段と、
前記刈取用の作業行程に対応して定めた地面上での2次元の位置情報である経路情報、及び、前記対地位置検出手段にて求められる前記機体の対地位置情報に基づいて、前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するように前記操向操作手段を制御する制御手段とが備えられている刈取収穫機であって、
前記機体が前記刈取用の作業行程に沿って走行するときにおける植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向での位置を検出する対茎稈位置検出手段が備えられ、
前記制御手段が、
前記対茎稈位置検出手段にて検出される植立茎稈列に対する前記機体の刈幅方向の位置が予め設定された適正範囲から外れると、前記対地位置検出手段の検出情報にかかわらず、前記対茎稈位置検出手段の検出情報に基づいて機体の横幅方向の位置が前記適正範囲に入るように前記操向操作手段を制御するように構成されている刈取収穫機。
【請求項2】
前記対茎稈位置検出手段が、
略機体横幅方向に沿う復帰位置に復帰付勢され且つ機体前後方向に揺動自在に前記刈取部に枢支された検出体と、前記刈取部に対して位置固定状態で取付けられ且つ植立茎稈との接当による前記検出体の揺動状態を検出する揺動状態検出手段とを備えて構成されている請求項1記載の刈取収穫機。
【請求項3】
前記刈取用の作業行程として未刈茎稈群の外周のうちの植付条に沿う条刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う条刈り作業と、前記刈取用の作業行程として未刈茎稈群の外周のうちの前記条刈り用作業行程と交差する横刈り用作業行程に沿って刈取作業を行う横刈り作業とを交互に繰り返す状態で刈り取りを行うように構成され、
前記対茎稈位置検出手段が、
前記条刈り作業において植立茎稈列に対する前記機体の横幅方向の位置を検出する条刈り用検出部と、前記横刈り作業において植立茎稈列に対する前記機体の横幅方向の位置を検出する横刈り用検出部とを備えて構成されている請求項1又は2記載の刈取収穫機。
【請求項4】
前記刈取部に、刈取対象となる植立茎稈を複数の茎稈導入経路に振り分け分草する複数の分草具と、機体前後方向に沿って配備されてその前端部に前記分草具が設けられた複数の杆状の刈取部フレームとが備えられ、
前記条刈り用検出部が、前記複数の刈取部フレームのうちの刈幅方向の中間側に位置する前記刈取部フレームにおける前記分草具の機体後方側箇所に設けられ、
前記横刈り用検出部が、前記複数の刈取部フレームのうちの最既刈側に位置する前記刈取部フレームにおける前記分草具の機体後方側箇所に設けられている請求項3記載の刈取収穫機。
【請求項5】
前記対地位置検出手段が、
GPS衛星から送信される電波を受信して機体の位置情報を求めるGPS位置情報算出手段と、前記機体の方位変位情報を検出するジャイロ装置とを備えて構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の刈取収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−240181(P2009−240181A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88352(P2008−88352)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】