説明

半導体装置、ドライバ回路及び半導体装置の製造方法

【課題】トランジスタのしきい値電圧の上昇を抑えつつ、その耐圧を向上することが可能な半導体技術を提供する。
【解決手段】SOI基板4におけるn-型の半導体層3にはpチャネル型のMOSトランジスタ20のソース領域5及びドレイン領域6が形成されている。また、半導体層3内にはn型の不純物領域9が形成されている。不純物領域9は、ソース領域5の直下においてその底部の全領域に渡って形成され、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3の直下にも形成されている。ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3における上面の直下では、不純物領域9における不純物濃度のピーク位置9aは、ソース領域5の最下端5aよりも下方に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、絶縁層及び半導体層がこの順で積層された基板にトランジスタが形成された半導体装置と、当該半導体装置を備えるドライバ回路と、当該半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デバイスの高性能化のために、半導体基板、絶縁層及び半導体層がこの順で積層されたSOI(Silicon On Insulator)基板にMOSトランジスタを形成する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、低電圧で高速動作が可能なMOSトランジスタを有する半導体装置をSOI基板を利用して実現する技術が開示されている。また特許文献2には、低電圧動作が可能であり、かつリーク電流が少ないMOSトランジスタを有する半導体装置をSOI基板を利用して実現する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−87728号公報
【特許文献2】特開2003−197919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、SOI基板にpチャネル型のMOSトランジスタが形成された従来の半導体装置では、装置特性を安定化するために、SOI基板の半導体層に形成されたMOSトランジスタのドレイン領域の電位と、SOI基板の裏面電位、つまりSOI基板が有する半導体基板の電位とが同電位に設定されることがある。このとき、SOI基板の半導体層には絶縁層を介して電界が印加されるため、フィールドプレート効果により、当該半導体層が空乏化されやすくなる。そのため、MOSトランジスタのソース領域とドレイン領域との間にパンチスルーが生じやすくなり、それらの間の耐圧が低下することがある。
【0005】
また、SOI基板の半導体層の不純物濃度よりも高い不純物領域を当該半導体層の上面内に設けて、この不純物領域の上面内にソース領域を形成することによって空乏層の延びを抑制する方法も考えられるが、これでは、MOSトランジスタのチャネル層が形成される領域での不純物濃度が上昇し、MOSトランジスタのしきい値電圧が上昇してしまう。
【0006】
そこで、本発明は上述の問題に鑑みて成されたものであり、半導体基板、絶縁層及び半導体層がこの順で積層された基板に形成されたトランジスタにおいて、しきい値電圧の上昇を抑制しつつ、耐圧を向上することが可能な半導体技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたn型の半導体層と、前記半導体層に形成されたpチャネル型のMOSトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域とを備え、前記MOSトランジスタは、前記半導体層の上面内に互いに離れて形成されたp型のソース領域及びドレイン領域を有し、前記不純物領域は、少なくとも、前記ソース領域の直下において前記ソース領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体層の直下に形成されており、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体層における上面の直下では、前記不純物領域における不純物濃度のピークの位置は、前記ソース領域の最下端よりも下方に設定されている。
【0008】
また、この発明の第1のドライバ回路は、第1電圧と、当該第1電圧よりも低い第2電圧との間でトーテムポール接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、当該出力段からディスプレイパネルに駆動電圧を出力するドライバ回路であって、上述の半導体装置を備え、前記出力段における前記第1電圧側の前記トランジスタには、前記半導体装置における前記MOSトランジスタが使用されている。
【0009】
また、この発明の第1の半導体装置の製造方法は、上述の半導体装置の製造方法であって、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記半導体層に前記MOSトランジスタと前記不純物領域とを形成する工程とを備え、前記工程(b)は、(b−1)n型の不純物を前記半導体層内にその上面から導入することによって、前記不純物領域を、前記半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成する工程と、(b−2)前記半導体層の上面内に前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域を形成する工程とを有する。
【0010】
また、この発明の第2の半導体装置の製造方法は、上述の半導体装置の製造方法であって、前記半導体装置は、前記半導体層に形成されたNPNトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第2不純物領域とをさらに備え、前記NPNトランジスタは、前記半導体層の上面内に形成されたp型のベース領域と、前記ベース領域の上面内に形成されたn型のエミッタ領域と、前記半導体層の上面内に前記ベース領域と離れて形成され、コレクタ電極と電気的に接続されるn型の第3不純物領域とを有し、前記第2不純物領域は、少なくとも前記エミッタ領域及び前記ベース領域の直下に設けられており、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記不純物領域と前記第2不純物領域とを同時に形成する工程と、(c)前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域と、前記NPNトランジスタの前記ベース領域、前記エミッタ領域及び前記第3不純物領域とを形成する工程とを備える。
【0011】
また、この発明の第3の半導体装置の製造方法は、上述の半導体装置の製造方法であって、前記半導体装置は、前記半導体層に形成されたPNPトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第2不純物領域とをさらに備え、前記PNPトランジスタは、前記半導体層の上面内に形成され、ベース電極と電気的に接続されるn型の第3不純物領域と、前記半導体層の上面内に形成されたp型のコレクタ領域と、前記第3不純物領域と前記コレクタ領域との間において前記半導体層の上面内に形成されたp型のエミッタ領域とを有し、前記第2不純物領域は、少なくとも前記エミッタ領域の直下に設けられており、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記不純物領域と前記第2不純物領域とを同時に形成する工程と、(c)前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域と、前記PNPトランジスタの前記第3不純物領域、前記コレクタ領域及び前記エミッタ領域とを形成する工程とを備える。
【0012】
また、この発明の第2の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたn型の半導体層と、前記半導体層に形成されたpチャネル型の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第1不純物領域とを備え、前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタは、前記半導体層の上面内に互いに離れて形成されたp型のエミッタ領域及びp型の第2不純物領域と、前記第2不純物領域と接触して前記半導体層内に形成されたn型のコレクタ領域とを有し、前記第1不純物領域は、少なくとも、前記エミッタ領域の直下において前記エミッタ領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに前記エミッタ領域と前記第2不純物領域との間の前記半導体層の直下に形成されており、前記エミッタ領域と前記第2不純物領域との間の前記半導体層における上面の直下では、前記第1不純物領域における不純物濃度のピークの位置は、前記エミッタ領域の最下端よりも下方に設定されている。
【0013】
また、この発明の第2のドライバ回路は、第1電圧と、当該第1電圧よりも低い第2電圧との間でトーテムポール接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、当該出力段からディスプレイパネルに駆動電圧を出力するドライバ回路であって、上述の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを有する半導体装置を備え、前記出力段における前記第1電圧側の前記トランジスタには、前記半導体装置における前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタが使用されている。
【0014】
また、この発明の第4の半導体装置の製造方法は、上述の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記半導体層に前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと前記第1不純物領域とを形成する工程とを備え、前記工程(b)は、(b−1)n型の不純物を前記半導体層内にその上面から導入することによって、前記第1不純物領域を、前記半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成する工程と、(b−2)前記半導体層の上面内に前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域を形成する工程とを有する。
【0015】
また、この発明の第5の半導体装置の製造方法は、上述の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体装置は、前記半導体層に形成されたNPNトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第3不純物領域とをさらに備え、前記NPNトランジスタは、前記半導体層の上面内に形成されたp型のベース領域と、前記ベース領域の上面内に形成されたn型のエミッタ領域と、前記半導体層の上面内に前記ベース領域と離れて形成され、コレクタ電極と電気的に接続されるn型の第4不純物領域とを有し、前記第3不純物領域は、少なくとも前記NPNトランジスタの前記エミッタ領域及び前記ベース領域の直下に設けられており、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記第1不純物領域と前記第3不純物領域とを同時に形成する工程と、(c)前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域と、前記NPNトランジスタの前記ベース領域、前記エミッタ領域及び前記第4不純物領域とを形成する工程とを備える。
【0016】
また、この発明の第6の半導体装置の製造方法は、上述の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体装置は、前記半導体層に形成されたPNPトランジスタと、前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第3不純物領域とをさらに備え、前記PNPトランジスタは、前記半導体層の上面内に形成され、ベース電極と電気的に接続されるn型の第4不純物領域と、前記半導体層の上面内に形成されたp型のコレクタ領域と、前記第4不純物領域と前記p型のコレクタ領域との間において前記半導体層の上面内に形成されたp型のエミッタ領域とを有し、前記第3不純物領域は、少なくとも前記PNPトランジスタの前記エミッタ領域の直下に設けられており、(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、(b)前記第1不純物領域と前記第3不純物領域とを同時に形成する工程と、(c)前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域と、前記PNPトランジスタの前記第4不純物領域、前記p型のコレクタ領域及び前記エミッタ領域とを形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
この発明の第1の半導体装置によれば、半導体層よりも不純物濃度が高い不純物領域が、ソース領域の直下において当該ソース領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに、ソース領域とドレイン領域との間の半導体層の直下に形成されている。そのため、装置特性の安定化を図るために、ドレイン領域の電位と半導体基板の電位とが同電位に設定された場合であっても、空乏層がソース領域まで延びにくくなるとともに、ソース領域とドレイン領域との間の半導体層にも延びにくくなる。従って、ソース領域とドレイン領域との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧が向上する。
【0018】
更に、ソース領域とドレイン領域との間の半導体層における上面の直下では、不純物領域における不純物濃度のピークの位置がソース領域の最下端よりも下方に設定されているため、ソース領域とドレイン領域との間のチャネル層が形成される領域でのn型不純物濃度の上昇を抑制することができる。従って、MOSトランジスタのしきい値電圧の上昇を抑えることができる。
【0019】
また、この発明の第1及び第2のドライバ回路によれば、出力段の高電圧側のトランジスタとして、ゲート耐圧が高くかつしきい値電圧が低いトランジスタを使用しているため、当該高電圧側のトランジスタには高いゲート電圧を与えることができるとともに、当該高電圧側のトランジスタの出力電流を大きくすることができる。したがって、出力段の前段の回路から高電圧のゲート電圧が出力される場合であっても、当該ゲート電圧を直接出力段における高電圧側のトランジスタのゲート端子に与えることができ、本ドライバ回路の回路構成を簡素化できるとともに、当該高電圧側のトランジスタの動作速度を向上できる。
【0020】
また、この発明の第1の半導体装置の製造方法によれば、不純物領域は、n型の不純物を半導体層内にその上面から導入することによって、半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成される。そのため、不純物領域を半導体層の上面内に一度形成してから、当該半導体層の上に再度半導体層を形成して、半導体層内に不純物領域を埋め込む場合よりも、製造方法が簡素化でき、プロセスコストを低減できる。
【0021】
また、この発明の第2の半導体装置の製造方法によれば、不純物領域と第2不純物領域とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いMOSトランジスタと、低抵抗のコレクタ領域を有するNPNトランジスタとを形成することができる。
【0022】
また、この発明の第3の半導体装置の製造方法によれば、不純物領域と第2不純物領域とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いMOSトランジスタと、エミッタとコレクタ間の耐圧の高いPNPトランジスタとを形成することができる。
【0023】
また、この発明の第2の半導体装置によれば、半導体層よりも不純物濃度が高い第1不純物領域が、エミッタ領域の直下において当該エミッタ領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに、エミッタ領域と第2不純物領域との間の半導体層の直下に形成されている。そのため、装置特性の安定化を図るために、コレクタ領域の電位と半導体基板の電位とが同電位に設定された場合であっても、空乏層がエミッタ領域まで延びにくくなるとともに、エミッタ領域と第2不純物領域との間の半導体層にも延びにくくなる。従って、エミッタ領域と第2不純物領域との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧が向上する。
【0024】
更に、エミッタ領域と第2不純物領域との間の半導体層における上面の直下では、第1不純物領域における不純物濃度のピークの位置がエミッタ領域の最下端よりも下方に設定されているため、エミッタ領域と第2不純物領域との間のチャネル層が形成される領域でのn型不純物濃度の上昇を抑制することができる。従って、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのしきい値電圧の上昇を抑えることができる。
【0025】
また、この発明の第4の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物領域は、n型の不純物を半導体層内にその上面から導入することによって、半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成される。そのため、第1不純物領域を半導体層の上面内に一度形成してから、当該半導体層の上に再度半導体層を形成して、半導体層内に第1不純物領域を埋め込む場合よりも、製造方法が簡素化でき、プロセスコストを低減できる。
【0026】
また、この発明の第5の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物領域と第3不純物領域とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低い絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、低抵抗のコレクタ領域を有するNPNトランジスタとを形成することができる。
【0027】
また、この発明の第6の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物領域と第3不純物領域とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低い絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、エミッタとコレクタ間の耐圧の高いPNPトランジスタとを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構造を部分的に示す断面図である。図1に示されるように、本実施の形態1に係る半導体装置は、SOI基板4と、当該SOI基板4に形成されたpチャネル型のMOSトランジスタ20とを備えている。SOI基板4は、半導体基板1と、当該半導体基板1上に形成された絶縁層2と、当該絶縁層2上に形成されたn-型の半導体層3とを有している。半導体基板1は例えばシリコン基板であり、絶縁層2は例えばシリコン酸化膜であり、半導体層3は例えばシリコン層である。
【0029】
MOSトランジスタ20はSOI基板4の半導体層3に形成されており、p型のソース領域5及びドレイン領域6を備えている。ソース領域5及びドレイン領域6は、半導体層3の上面内に互いに離れて形成されている。ドレイン領域6は、p型のオフセット領域6aとp型の不純物領域6bとから成る。不純物領域6bは、ソース領域5と離れて形成されており、オフセット領域6aは、不純物領域6bのソース領域5側の端部からソース領域5の方へ延びるように形成されている。
【0030】
ソース領域5の上面内にはp+型の不純物領域7が形成され、ドレイン領域6における不純物領域6bの上面内にはp+型の不純物領域8が形成されている。不純物領域7,8上には、ともに図示しないソース電極及びドレイン電極がそれぞれ形成されている。
【0031】
半導体層3の上面上には、不純物領域7,8の上面を避けて、フィールド酸化膜10が形成されており、そのうちのソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3上に形成されている部分が、MOSトランジスタ20のゲート絶縁膜として機能する。そして、ゲート絶縁膜として機能するフィールド酸化膜10上には、上面視上で、ソース領域5のドレイン領域6側の端部と、オフセット領域6aのソース領域5側の端部とを覆うように、MOSトランジスタ20のゲート電極11が形成されている。フィールド酸化膜10は例えば膜厚200nm以上のシリコン酸化膜であって、ゲート電極11は例えばドープドポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との積層膜である。
【0032】
本実施の形態1に係る半導体装置は、半導体層3内に形成され、当該半導体層3よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域9を更に備えている。不純物領域9は、ソース領域5の直下において当該ソース領域5と離れてその底部の全領域に渡って形成されている。言い換えれば、不純物領域9は、下面視において、ソース領域5の底部の全領域を覆うように形成されている。更に、不純物領域9は、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3の直下にまで延びており、ソース領域5とドレイン領域6との間に形成されるMOSトランジスタ20のチャネル領域の直下に存在する。従って、不純物領域9の全領域において、不純物濃度のピークの位置9a(以後、「濃度ピーク位置9a」と呼ぶ)は、ソース領域5の最下端5aよりも下方に存在する。
【0033】
以上のような構造を備える本実施の形態1に係る半導体装置では、MOSトランジスタ20のソース領域5とドレイン領域6との間には、ソース領域5の方が高電位となるような電圧が印加され、ゲート電極11には負のゲート電位が印加される。更に、装置特性を安定させるために、SOI基板4の裏面の電位、つまり半導体基板1の電位はドレイン領域6の電位と同じ値に設定される。これにより、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3にはチャネル層が形成されてMOSトランジスタ20がオン状態となり、ソース領域5とドレイン領域6との間に電流が流れて、MOSトランジスタ20は半導体スイッチとして機能する。
【0034】
また、本実施の形態1に係る半導体装置では、MOSトランジスタ20のゲート絶縁膜として機能するフィールド酸化膜10の膜厚が200nm以上に設定されているため、ゲート電極11には、絶対値が100V以上の高電位を印加することが可能である。従って、本実施の形態1に係る半導体装置は、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)でのスキャンドライバICで使用することができる。
【0035】
次に、図1に示される本実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について説明する。図2〜9は本実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。図2に示されるように、まずSOI基板4を形成する。ここでのSOI基板4の半導体層3の厚みは、完成後の半導体層3の厚みの半分とする。本例では、完成後の半導体層3の厚みは例えば5μmに設定されるため、ここでの半導体層3の厚みを2.5μmに設定する。また、半導体層3の不純物濃度は、例えば2.0×1015ions/cm3に設定されている。
【0036】
次に図3に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト100を半導体層3上に形成する。そして、レジスト100をマスクに用いて、リン等のn型の不純物200を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入して、マスクに用いたレジスト100を除去する。このとき、例えば、注入エネルギーは50keV程度に設定され、注入量は5.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内には不純物領域9が選択的に形成される。なお、この不純物領域9は、後の熱処理工程において拡散される。
【0037】
次に図4に示されるように、エピタキシャル成長法を用いて半導体層3の厚みを5.0μmまで厚くする。これにより、不純物領域9は半導体層3の上面から露出することなく当該半導体層3内に埋め込まれる。その後、図5に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト110を半導体層3上に形成する。そして、レジスト110をマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入して、マスクに用いたレジスト110を除去する。このとき、例えば、注入エネルギーは100keV程度に設定され、注入量は3.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内にはオフセット領域6aが選択的に形成される。なお、このオフセット領域6aは、後の熱処理工程において拡散される。
【0038】
次に図6に示されるように、半導体層3の上面を選択的に熱酸化して、MOSトランジスタ20のゲート絶縁膜としても機能するフィールド酸化膜10を半導体層3の上面上に形成する。このとき、フィールド酸化膜10の膜厚は例えば500nm程度に設定される。また、このときの熱酸化で、オフセット領域6aと不純物領域9とは拡散され、これによりオフセット領域6aと不純物領域9とは完成する。なお、拡散後の不純物領域9の不純物濃度は5.0×1016/cm3程度となり、半導体層3の不純物濃度よりも高くなる。
【0039】
次に図7に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト120をフィールド酸化膜10上に形成する。そして、レジスト120をマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入して、マスクに用いたレジスト120を除去する。このとき、例えば、注入エネルギーは300keV程度に設定され、注入量は2.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内にはソース領域5とドレイン領域6の不純物領域6bとが選択的に形成される。その後、例えば800℃で30分間程度熱処理を行うことによって、図8に示されるように、ソース領域5と不純物領域6bが拡散して完成する。
【0040】
次に図9に示されるように、フィールド酸化膜10のうち、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3上に位置する領域上に、MOSトランジスタ20のゲート電極11を選択的に形成する。そして、ボロン等のp型の不純物を半導体層3の上面内にイオン注入して、ソース領域5の上面内に不純物領域7を、ドレイン領域6における不純物領域6bの上面内に不純物領域8をそれぞれ形成する。このときの注入エネルギーは例えば50keV程度に設定され、注入量は例えば1.0×1014ions/cm2程度に設定される。その後、800℃程度で熱処理を行って不純物領域7,8を拡散し、図示しない層間絶縁膜、ドレイン電極、ソース電極、メタル配線等を形成する。これにより、図1に示される半導体装置が完成する。
【0041】
以上のように、本実施の形態1に係る半導体装置は、半導体層3よりも不純物濃度が高い不純物領域9が、ソース領域5の直下において当該ソース領域5の底部の全領域に渡って形成されているとともに、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3の直下に形成されている。そのため、装置特性の安定化のために、ドレイン領域6の電位とSOI基板4の裏面電位とが同電位に設定された場合であっても、空乏層がソース領域5まで延びにくくなるとともに、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3にも延びにくくなる。従って、MOSトランジスタ20のソース領域5とドレイン領域6との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧を向上できる。
【0042】
更に、本実施の形態1では、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3における上面の直下では、不純物領域9の濃度ピーク位置9aがソース領域5の最下端5aよりも下方に設定されているため、MOSトランジスタ20のチャネル層が形成される領域でのn型不純物濃度の上昇を抑制することができる。従って、MOSトランジスタ20のしきい値電圧の上昇を抑えることができる。
【0043】
次に、図10〜12に示される半導体装置と比較しながら、本実施の形態1に係る半導体装置の電気的特性について詳細に説明する。なお、図10〜12に示される装置を、それぞれ第1の比較対象装置、第2の比較対象装置、及び第3の比較対象装置と呼ぶ。
【0044】
図10に示されるように、第1の比較対象装置は、本実施の形態1に係る半導体装置において、SOI基板4の替わりにp-型の半導体基板21を備え、かつ不純物領域9が形成されていないものであって、MOSトランジスタ20は半導体基板21に形成されている。半導体基板21の上面内にはn-型の不純物領域23が形成されており、MOSトランジスタ20のソース領域5及びドレイン領域6はこの不純物領域23の上面内に形成されている。また、不純物領域23の底部にはn+型の埋め込み不純物領域22が形成されている。
【0045】
図11に示されるように、第2の比較対象装置は、本実施の形態1に係る半導体装置において不純物領域9が形成されていないものである。
【0046】
図12に示されるように、第3の比較対象装置は、第2の比較対象装置において、半導体層3よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域19を更に備えるものである。不純物領域19は、半導体層3の上面内に形成されており、ソース領域5は不純物領域19の上面内に形成されている。そして、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3における上面の直下では、不純物領域19における不純物濃度のピークの位置19aがソース領域5の最下端5aよりも上方に設定されている。つまり、ソース領域5とドレイン領域6との間には、不純物領域19における不純物濃度のピークが存在している。
【0047】
図13,14は、本実施の形態1に係る半導体装置及び第2の比較対象装置での電位分布をそれぞれ示す断面図である。図13,14では、MOSトランジスタ20のソース領域5及びドレイン領域6にそれぞれ接地電位及び負の電位を印加し、更にドレイン領域6の電位とSOI基板4の裏面電位とを同電位に設定した際の電位分布を示している。なお、図13,14では、図1,11では図示されていないソース電極25、ドレイン電極26及び層間絶縁膜30を図示している。また、図13,14では、構成要素間の寸法比率を変更して図1,11に示される装置をそれぞれ示している。
【0048】
図13の等電位線50に示されるように、本実施の形態1に係る半導体装置では、ドレイン領域6のソース領域5側の端部付近で電界が集中している。これは、不純物領域9を設けることによって空乏層の延びが抑制され、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧が十分に確保されているためである。
【0049】
一方、第2の比較対象装置では、図14の等電位線51に示されるように、ドレイン領域6のソース領域5側の端部付近ではあまり電界が集中していない。これは、フィールドプレート効果により、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3が空乏化されて空乏層がソース領域5まで到達し、MOSトランジスタ20のソース領域5とドレイン領域6との間にパンチスルーが生じているためである。
【0050】
このように、図13,14に示される電位分布からも、本実施の形態1に係る半導体装置では、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧が向上していることが理解できる。
【0051】
図15は、MOSトランジスタ20におけるドレイン電位Vdとドレイン電流Idとの関係を示す図であって、図16は、MOSトランジスタ20におけるゲート電位Vgとドレイン電流Idとの関係を示す図である。図15,16中の黒丸印は第1の比較対象装置のデータを示しており、黒三角印は第2の比較対象装置のデータを示しており、白丸印は第3の比較対象装置のデータを示しており、バツ印は本実施の形態1に係る半導体装置のデータを示している。
【0052】
図15に示されるように、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧は、第1の比較対象装置では約75V、第2の比較対象装置では約25V、第3の比較対象装置では約150Vであるが、本実施の形態1に係る半導体装置では約180Vである。従って、この実験結果からも、本実施の形態1に係る半導体装置では、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧が向上していることが理解できる。
【0053】
また、図16に示されるように、第3の比較対象装置では、不純物領域19を設けたことによりMOSトランジスタ20のチャネル層が形成される領域のn型不純物濃度が高くなり、MOSトランジスタ20のしきい値電圧が約30Vとなっているが、本実施の形態1に係る半導体装置でのしきい値電圧は、第1及び第2の比較対象装置と同等であり、約5Vとなっている。
【0054】
以上のように、本実施の形態1に係る半導体装置では、MOSトランジスタ20のしきい値電圧の上昇を抑えつつ、ソース・ドレイン間の耐圧を向上することができるため、本半導体装置は、PDPのスキャンドライバICのように、ソース・ドレイン間に高い耐圧が要求され、MOSトランジスタのしきい値電圧もできるだけ低い値であることが要求される回路に好適である。
【0055】
なお、図17に示されるように、不純物領域9は、ドレイン領域6の直下には形成されていない方が望ましい。言い換えれば、不純物領域9は、平面視上において、ドレイン領域6と重なって形成されていないことが望ましい。
【0056】
ソース領域5にドレイン領域6よりも高い電位が印加されると、不純物領域9にもドレイン領域6よりも高い電位が印加される。そのため、n型の不純物領域9と、p型のドレイン領域6との間には逆電圧が印加される。従って、図18に示されるように、不純物領域9がドレイン領域6の直下にまで延びている場合には、不純物領域9とドレイン領域6との距離が比較的近くなり、不純物領域9とドレイン領域6との間の耐圧が低下し、その結果、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧が低下する可能性がある。
【0057】
図17に示されるように、不純物領域9がドレイン領域6の直下には形成されていない場合には、不純物領域9とドレイン領域6との距離を十分に確保することができ、不純物領域9とドレイン領域6との間の耐圧低下を確実に抑制できる。よって、MOSトランジスタ20のソース・ドレイン間の耐圧の低下も確実に抑制できる。
【0058】
また、本実施の形態1に係る半導体装置では、不純物領域9は、ソース領域5とは離れてその最下端5aよりも下方に位置しているが、必ずしもその必要は無い。例えば、不純物領域9が図1よりも上方に位置し、ソース領域5の底部が不純物領域9によって取り囲まれてソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3にも不純物領域9が存在する場合であっても、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3における上面の直下において、不純物領域9の濃度ピーク位置9aがソース領域5の最下端5aよりも下方に設定されていれば、第3の比較対象装置よりもMOSトランジスタ20のしきい値電圧の上昇を抑制できる。ただし、本実施の形態1のように、不純物領域9を、ソース領域5とは離れてその最下端5aよりも下方に形成した場合には、ソース領域5とドレイン領域6の間におけるn型不純物濃度の上昇を更に抑制できるため、MOSトランジスタ20のしきい値電圧の上昇を更に抑えることができる。
【0059】
実施の形態2.
図19〜21は本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法は、図1に示される半導体装置を、実施の形態1に係る製造方法とは異なる方法で製造するものである。
【0060】
図19に示されるように、まずSOI基板4を形成する。ここでのSOI基板4の半導体層3の厚みは、実施の形態1とは異なり、完成後の半導体層3の厚みと同じに設定され、例えば5μmに設定される。また、半導体層3の不純物濃度は、実施の形態1と同様に、例えば2×1015ions/cm3に設定される。
【0061】
次に図20に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト150を半導体層3上に形成する。そして、レジスト150をマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入して、マスクに用いたレジスト150を除去する。このとき、例えば、注入エネルギーは100keV程度に設定され、注入量は3.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内にはオフセット領域6aが選択的に形成される。なお、このオフセット領域6aは、実施の形態1と同様に、後の熱処理工程において拡散される。
【0062】
次に図21に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト160を半導体層3上に形成する。そして、レジスト160をマスクに用いて、リン等のn型の不純物200を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入して、マスクに用いたレジスト160を除去する。このとき、例えば、注入エネルギーは数MeV程度に設定され、注入量は5.0×1012ions/cm2に設定される。これにより、不純物領域9が、半導体層3から露出しないようにその内部に埋め込まれて形成される。また、後の工程で形成されるソース領域5の拡散深さと、不純物領域9の拡散量とを考慮して、不純物領域9の濃度ピーク位置9aを、半導体層3の上面から0.5μm以上深い位置に設定する。
【0063】
次に、実施の形態1と同様にして、半導体層3の上面を選択的に熱酸化してフィールド酸化膜10を半導体層3の上面上に形成する。これにより、オフセット領域6a及び不純物領域9が拡散して、図6に示される構造が得られる。
【0064】
次に、実施の形態1と同様にして、ソース領域5及びドレイン領域6を形成し(図7,8参照)、更にゲート電極11を形成する(図9参照)。そして、不純物領域7,8、層間絶縁膜及びドレイン電極等を形成することにより、図1に示される半導体装置が完成する。
【0065】
なお、本実施の形態2では、オフセット領域6aを形成した後に不純物領域9を形成したが、それとは逆に、不純物領域9を形成した後にオフセット領域6aを形成しても良い。
【0066】
以上のように、本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法では、不純物領域9は、n型の不純物を半導体層3内にその上面から導入することによって、半導体層3から露出しないようにその内部に埋め込んで形成される。そのため、実施の形態1のように、不純物領域9を半導体層3の上面内に一度形成してから(図3参照)、当該半導体層3の上に再度半導体層3を形成して(図4参照)、半導体層3内に不純物領域9を埋め込む場合よりも、製造方法が簡素化でき、プロセスコストを低減できる。
【0067】
実施の形態3.
図22は、上述の実施の形態1に係る半導体装置を使用したドライバ回路350の構成を示す図である。本実施の形態3に係るドライバ回路350は、図示しないPDP等のディスプレイパネルに対して駆動電圧DVを出力して、当該ディスプレイパネルを駆動する。
【0068】
図22に示されるように、ドライバ回路350は、pチャネル型のMOSトランジスタ301〜303と、nチャネル型のMOSトランジスタ304〜306と、ロジック回路307とを備えている。ドライバ回路350は、図1に示される構造を複数備えており、当該複数の構造における複数のMOSトランジスタ20が、それぞれMOSトランジスタ301〜303に使用されている。つまり、MOSトランジスタ301〜303のそれぞれは、上述のSOI基板4の半導体層3に形成されており、上述のソース領域5及びドレイン領域6を備えている。そして、MOSトランジスタ301〜303が形成されている半導体層3内には、MOSトランジスタ301〜303のそれぞれに対応して上述の不純物領域9が形成されている。したがって、MOSトランジスタ301〜303のそれぞれでは、ゲート耐圧が高い構造でもしきい値電圧が低く、ソース領域5とドレイン領域6との間のパンチスルーの発生が抑制される。
【0069】
一方で、nチャネル型のMOSトランジスタ304〜306のそれぞれは、DMOS(Double diffused MOS)トランジスタであって、例えば、MOSトランジスタ301〜303とともにSOI基板4の半導体層3に形成されている。
【0070】
MOSトランジスタ301〜303のそれぞれのソース端子には、60V以上の高電圧VHが印加され、MOSトランジスタ304〜306のそれぞれのソース端子には高電圧VHよりも低い接地電圧GNDが印加される。MOSトランジスタ301のドレイン端子と、MOSトランジスタ302,303のゲート端子と、MOSトランジスタ304のドレイン端子とは互いに接続されており、MOSトランジスタ301のゲート端子と、MOSトランジスタ302のドレイン端子と、MOSトランジスタ305のドレイン端子とは互いに接続されている。またMOSトランジスタ303のドレイン端子と、MOSトランジスタ306のドレイン端子とは互いに接続されている。そして、ロジック回路307は、MOSトランジスタ304〜306のゲート端子のそれぞれに制御電圧を出力し、MOSトランジスタ304〜306のそれぞれのオン/オフを個別に制御する。
【0071】
以上のような構成を成すドライバ回路350では、高電圧VHと接地電圧GNDとの間でトーテムポール接続されたMOSトランジスタ303,306で出力段310が構成されており、当該出力段310におけるMOSトランジスタ303,306のドレイン端子の電圧が駆動電圧DVとしてディスプレイパネルに出力され、当該ディスプレイパネルが駆動電圧DVによって駆動される。以下に、本ドライバ回路350の動作について詳細に説明する。
【0072】
MOSトランジスタ304〜306のゲート端子に、それぞれLowレベル、Highレベル及びHighレベルの信号がロジック回路307から入力されると、MOSトランジスタ304〜306は、それぞれオフ状態、オン状態及びオン状態となる。そうすると、MOSトランジスタ302,305のドレイン端子の電圧Aは接地電圧GNDとなり、MOSトランジスタ301がオン状態となる。その結果、MOSトランジスタ301,304のドレイン端子の電圧Bは高電圧VHとなり、MOSトランジスタ302がオフ状態となる。電圧Bが高電圧VHとなると、出力段310の高電圧側のMOSトランジスタ303はオフ状態となる。したがって、MOSトランジスタ303,306のドレイン端子の電圧が接地電圧GNDとなり、0Vの駆動電圧DVが例えばPDPにおけるアドレス電極や維持放電電極に印加される。
【0073】
一方で、MOSトランジスタ304〜306のゲート端子に、それぞれHighレベル、Lowレベル及びLowレベルの信号がロジック回路307から入力されると、MOSトランジスタ304〜306は、それぞれオン状態、オフ状態及びオフ状態となる。そうすると、MOSトランジスタ301,304のドレイン端子の電圧Bは接地電圧GNDとなり、MOSトランジスタ302はオン状態となる。その結果、MOSトランジスタ302,305のドレイン端子の電圧Aは高電圧VHとなり、MOSトランジスタ301がオフ状態となる。電圧Bが接地電圧GNDとなると、出力段310の高電圧側のMOSトランジスタ303はオン状態となる。したがって、MOSトランジスタ303,306のドレイン端子の電圧が高電圧VHとなり、60V以上の駆動電圧DVが例えばPDPにおけるアドレス電極や維持放電電極に印加される。
【0074】
以上のように、本実施の形態3に係るドライバ回路350では、出力段310の高電圧側のMOSトランジスタ303には、ゲート耐圧が高くかつしきい値電圧の低いMOSトランジスタ20が使用されている。
【0075】
一方で、本実施の形態3とは異なり、出力段310の高電圧側のMOSトランジスタ303に、一般的にゲート耐圧があまり高くないDMOSトランジスタを使用した場合には、通常、MOSトランジスタ303のゲート端子には、出力段310の前段の回路から出力される60V以上の高電圧VHを直接印加することはできない。したがって、この場合には、MOSトランジスタ303におけるゲート端子とドレイン端子との間にクランプダイオードを挿入する必要があり、回路構成が複雑となる。
【0076】
また、本実施の形態3とは異なり、ドライバ回路350が図12に示される構造を有し、MOSトランジスタ303に図12に示されるMOSトランジスタ20を使用した場合には、MOSトランジスタ303の耐圧は向上するものの、そのしきい値電圧が高いため、MOSトランジスタ303の出力電流を大きくすることが困難である。したがって、図12に示されるMOSトランジスタ20は、ディスプレイパネルに高電圧VHを出力する出力段310のMOSトランジスタ303としては適していない。
【0077】
本実施の形態3では、上述のように、出力段310の高電圧側のMOSトランジスタ303として、ゲート耐圧が高くかつしきい値電圧が低いMOSトランジスタ20を使用しているため、MOSトランジスタ303には高いゲート電圧を与えることができるとともに、MOSトランジスタ303の出力電流を大きくすることができる。したがって、本実施の形態3のように、出力段310の前段の回路から高電圧VHのゲート電圧が出力される場合であっても、当該ゲート電圧を直接MOSトランジスタ303のゲート端子に与えることができ、ドライバ回路350の回路構成を簡素化できるとともに、MOSトランジスタ303の動作速度を向上できる。
【0078】
実施の形態4.
図23は本発明の実施の形態4に係る半導体装置の構造を示す断面図である。図23に示されるように、本実施の形態4に係る半導体装置は、上述のSOI基板4を備えている。SOI基板4の半導体層3には、上述のpチャネル型のMOSトランジスタ20と、NPNトランジスタ111と、PNPトランジスタ211とが形成されている。半導体層3には、それを貫通して素子分離絶縁膜300が形成されており、当該素子分離絶縁膜300によって、半導体層3では、MOSトランジスタ20が形成されている領域と、NPNトランジスタ111が形成されている領域と、PNPトランジスタ211が形成されている領域とが電気的に分離されている。素子分離絶縁膜300は例えばシリコン酸化膜から成る。
【0079】
実施の形態1と同様に、MOSトランジスタ20では、ソース領域5の上面内にはp+型の不純物領域7が形成され、ドレイン領域6における不純物領域6bの上面内にはp+型の不純物領域8が形成されている。本実施の形態4に係るドレイン領域6のオフセット領域6aはp-型の不純物領域である。半導体層3の上面内にはソース領域5と隣接してn型の不純物領域12が形成されており、当該不純物領域12の上面内にはn+型の不純物領域13が形成されている。半導体層3において、MOSトランジスタ20が形成されている領域には、上述の不純物領域9が形成されている。本実施の形態4に係る不純物領域9は、ソース領域5及び不純物領域12の直下においてそれらの底部に接触しつつ当該底部の全領域に渡って形成されている。さらに、本実施の形態4に係る不純物領域9は、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3の直下にまで延びており、ソース領域5とドレイン領域6との間に形成されるMOSトランジスタ20のチャネル領域の直下に存在している。そして、実施の形態1と同様に、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3における上面の直下では、不純物領域9における不純物濃度のピークの位置は、ソース領域5の最下端よりも下方に設定されている。
【0080】
NPNトランジスタ111は、コレクタ電極106と電気的に接続されるn型の不純物領域101と、p型のベース領域103と、n+型のエミッタ領域105とを備えている。不純物領域101とベース領域103とは、半導体層3の上面内に互いに離れて形成されており、エミッタ領域105はベース領域103の上面内に形成されている。不純物領域101の上面内にはn+型の不純物領域102が形成されており、ベース領域103の上面内にはエミッタ領域105と離れてp+型の不純物領域104が形成されている。半導体層3において、NPNトランジスタ111が形成されている領域には、半導体層3よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域109が形成されている。不純物領域109は、不純物領域101及びベース領域103の底部に接触しつつ、不純物領域101の直下からベース領域103の直下まで延在しており、不純物領域104の直下にまで達している。したがって、エミッタ領域105の直下には不純物領域109が存在している。
【0081】
PNPトランジスタ211は、ベース電極206と電気的に接続されるn型の不純物領域201と、p+型のエミッタ領域203と、p型のコレクタ領域204とを備えている。不純物領域201及びコレクタ領域204は半導体層3の上面内に互いに離れて形成されており、エミッタ領域203は、不純物領域201とコレクタ領域204との間においてそれらとは離れて半導体層3の上面内に形成されている。不純物領域201の上面内にはn+型の不純物領域202が形成されており、コレクタ領域204の上面内にはp+型の不純物領域205が形成されている。半導体層3において、PNPトランジスタ211が形成されている領域には、半導体層3よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域209が形成されている。不純物領域209は、不純物領域201の底部に接触しつつ、不純物領域201の直下からエミッタ領域203の直下まで延在しており、さらにエミッタ領域203とコレクタ領域204との間の半導体層3の直下にまで延びている。
【0082】
半導体層3の上面上には、不純物領域7,8,13,102,104,202,205の上面と、エミッタ領域105,203の上面とを避けて、上述のフィールド酸化膜10が形成されており、そのうちのソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3上に形成されている部分が、MOSトランジスタ20のゲート絶縁膜として機能する。そして、ゲート絶縁膜として機能するフィールド酸化膜10上には、上面視上で、ソース領域5のドレイン領域6側の端部と、オフセット領域6aのソース領域5側の端部とを覆うように、MOSトランジスタ20の上記ゲート電極11が形成されている。
【0083】
半導体層3の上面上には、フィールド酸化膜10及び素子分離絶縁膜300を覆って層間絶縁膜30が形成されている。層間絶縁膜30は例えばシリコン酸化膜である。層間絶縁膜30内には、不純物領域8に達するドレイン電極26と、不純物領域7,13の両方に達するソース電極25とが形成されている。また層間絶縁膜30内には、不純物領域102に達するコレクタ電極106と、エミッタ領域105に達するエミッタ電極107と、不純物領域104に達するベース電極108とが形成されている。また層間絶縁膜30内には、不純物領域202に達するベース電極206と、エミッタ領域203に達するエミッタ電極207と、不純物領域205に達するコレクタ電極208とが形成されている。そして、ソース電極25、ドレイン電極26、コレクタ電極106,208、エミッタ電極107,207及びベース電極108,206のそれぞれは、層間絶縁膜30を貫通しており、当該層間絶縁膜30の上面上にも設けられている。
【0084】
以上のような構造を備える本実施の形態4に係る半導体装置では、実施の形態1と同様に、MOSトランジスタ20においては、ソース電極25とドレイン電極26との間に所定の電圧が印加されることによって、ソース領域5とドレイン領域6との間には、ソース領域5の方が高電位となるような電圧が印加され、ゲート電極11には負のゲート電位が印加される。これにより、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3にはチャネル層が形成されてMOSトランジスタ20がオン状態となり、ソース領域5とドレイン領域6との間に電流が流れて、MOSトランジスタ20は半導体スイッチとして機能する。
【0085】
また、半導体層3におけるNPNトランジスタ111が形成されている領域と、不純物領域101,109とは、NPNトランジスタ111のコレクタ領域として機能する。コレクタ電極106とエミッタ電極107との間には、コレクタ電極106の方が高電位となるような電圧が印加され、ベース電極108には正のゲート電位が印加される。その結果、コレクタ領域とエミッタ領域105との間には、当該コレクタ領域の方が高電位となるような電圧が印加され、ベース領域103には正のベース電位が印加される。そうすると、図23中の矢印ARに示されるように、エミッタ領域105から、その直下の方向に向かって電子が移動して、ベース領域103を通って当該ベース領域103の直下に移動し、その後、不純物領域101に向かって進行して到達し、コレクタ電極106に達する。これにより、不純物領域101、半導体層3及び不純物領域109で構成されるコレクタ領域と、エミッタ領域105との間に電流が流れて、NPNトランジスタ111は半導体スイッチとして機能する。本実施の形態4では、少なくともエミッタ領域105及びベース領域103の直下において、半導体層3よりも不純物濃度が高い不純物領域109が設けられているため、不純物領域101とエミッタ領域105との間に流れる電子が通る経路の電気的抵抗を低減することができる。よって、低抵抗のコレクタ領域を有するNPNトランジスタ111を実現でき、当該NPNトランジスタ111の出力電流を大きくすることができる。
【0086】
また、半導体層3においてPNPトランジスタ211が形成されている領域と、不純物領域201とは、PNPトランジスタ211のベース領域として機能する。エミッタ電極207とコレクタ電極208との間には、エミッタ電極207の方が高電位となるような電圧が印加され、ベース電極206には負のベース電位が印加される。その結果、エミッタ領域203とコレクタ領域204との間には、当該エミッタ領域203の方が高電位となるような電圧が印加され、不純物領域201と半導体層3とで構成されるベース領域には負のベース電位が印加される。これにより、エミッタ領域203とコレクタ領域204との間に電流が流れて、PNPトランジスタ211は半導体スイッチとして機能する。
【0087】
本実施の形態4では、MOSトランジスタ20のドレイン領域6の電位と、NPNトランジスタ111のエミッタ領域105の電位と、PNPトランジスタ211のコレクタ領域204の電位とは、互いに同じ値に設定される。そして、装置特性を安定させるために、SOI基板4の裏面の電位、つまり半導体基板1の電位は、ドレイン領域6、エミッタ領域105及びコレクタ領域204の電位と同じ値に設定される。したがって、上述のように、フィールドプレート効果により、空乏層がソース領域5に向かってあるいはソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3に向かって延びようとするが、半導体層3よりも不純物濃度が高い不純物領域9の存在により当該空乏層は延びにくくなる。したがって、MOSトランジスタ20のソース領域5とドレイン領域6との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧を向上できる。また、PNPトランジスタ211においても、空乏層がエミッタ領域203に向かって延びようとするが、本実施の形態4では、少なくともエミッタ領域203の直下に半導体層3よりも不純物濃度が高い不純物領域209が設けられているため、当該空乏層の延びは抑制される。したがって、エミッタ領域203とコレクタ領域204との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧を向上できる。
【0088】
なお、本実施の形態4のように、不純物領域209は不純物領域201と接続される方が好ましい。この場合には、不純物領域209の電位は、ベース電極206に印加されるベース電位とほぼ等しくなる。通常、PNPトランジスタ211がオフ状態のときには、ベース電位と、エミッタ電極207に印加されるエミッタ電位とは同じ値に設定されていることから、PNPトランジスタ211がオフ状態のときには不純物領域209の電位はエミッタ領域203の電位とほぼ等しくなる。その結果、フィールドプレート効果による空乏層の延びをさらに抑制できる。
【0089】
次に図23に示される半導体装置の製造方法について説明する。図24〜33は本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。まず、上述の実施の形態2と同様にしてSOI基板4を形成する。そして図24に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト500を半導体層3上に形成し、当該レジスト500をマスクに用いて、リン等のn型の不純物200を半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは数MeV程度に設定され、注入量は5.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、n型の不純物領域9,109,209が、半導体層3から露出しないようにその内部に埋め込まれて同時に形成される。その後、レジスト500を除去する。なお、不純物領域9,109,209は、後の熱処理工程において拡散される。
【0090】
次に図25に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト510を半導体層3上に形成し、当該レジスト510をマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは100keV程度に設定され、注入量は3.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内にはオフセット領域6aが選択的に形成される。その後、レジスト510を除去する。なお、オフセット領域6aは、後の熱処理工程において拡散される。
【0091】
次に図26に示されるように、半導体層3の上面を選択的に熱酸化してフィールド酸化膜10を半導体層3の上面上に形成する。このときの熱酸化で、オフセット領域6aと不純物領域9,109,209とは拡散される。そして、図27に示されるように、MOSトランジスタ20が形成される領域と、NPNトランジスタ111が形成される領域と、PNPトランジスタ211が形成される領域とを電気的に分離する素子分離絶縁膜300を半導体層3内に形成する。
【0092】
次に図28に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト520を半導体層3上に形成し、当該レジスト520をマスクに用いて、リン等のn型の不純物200を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは600keV程度に設定され、注入量は5.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内には不純物領域12,101,201が形成される。その後、レジスト520を除去する。
【0093】
次に図29に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト530を半導体層3上に形成し、当該レジスト530をマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を、露出している半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは300keV程度に設定され、注入量は2.0×1012ions/cm2程度に設定される。これにより、半導体層3の上面内にはソース領域5、ドレイン領域6の不純物領域6b、ベース領域103及びコレクタ領域204が形成される。その後、レジスト530を除去し、例えば800℃で30分間程度熱処理を行って、ソース領域5、不純物領域6b、ベース領域103及びコレクタ領域204を拡散させる。
【0094】
次に図30に示されるように、フィールド酸化膜10のうち、ソース領域5とドレイン領域6との間の半導体層3上に位置する領域上に、MOSトランジスタ20のゲート電極11を選択的に形成する。そして、図31に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト540を半導体層3上に形成し、当該レジスト540とフィールド酸化膜10とをマスクに用いて、リン等のn型の不純物200を半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは50keV程度に設定され、注入量は2.0×1015ions/cm2程度に設定される。これにより、不純物領域12,101,201の上面内には、それぞれ不純物領域13,102,202が形成され、ベース領域103の上面内にはエミッタ領域105が形成される。その後、レジスト540を除去し、例えば800℃で30分間程度熱処理を行って、不純物領域13,102,202及びエミッタ領域105を拡散させる。
【0095】
次に図32に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト550を半導体層3上に形成し、当該レジスト550とフィールド酸化膜10とをマスクに用いて、ボロン等のp型の不純物210を半導体層3の上面内にイオン注入する。このとき、例えば、注入エネルギーは50keV程度に設定され、注入量は1.0×1014ions/cm2程度に設定される。これにより、ドレイン領域6の不純物領域6bの上面内には不純物領域8が形成され、ソース領域5の上面内には不純物領域7が形成され、ベース領域103の上面内には不純物領域104が形成され、半導体層3の上面内にはエミッタ領域203が形成され、コレクタ領域204の上面内には不純物領域205が形成される。その後、レジスト550を除去し、例えば800℃で30分間程度熱処理を行って、不純物領域7,8,104,205及びエミッタ領域203を拡散させる。
【0096】
次に、層間絶縁膜30を全面に形成し、当該層間絶縁膜30上に所定の開口パターンを有する図示しないレジストを形成する。そして当該レジストをマスクに用いて層間絶縁膜30をエッチングし、マスクに用いたレジストを除去する。これにより、図33に示されるように、層間絶縁膜30内には、それを貫通して、不純物領域8,102,104,202,205、及びエミッタ領域105,203にそれぞれ達する複数のコンタクトホール430が形成されるとともに、不純物領域7,13の両方に達するコンタクトホール430が形成される。その後、複数のコンタクトホール430のそれぞれを充填する金属膜を全面に形成し、当該金属膜をエッチングする。これにより、ソース電極25、ドレイン電極26、コレクタ電極106,208、エミッタ電極107,207及びベース電極108,206が形成され、図23に示される構造が完成する。
【0097】
なお、電極と不純物領域との間のコンタクト抵抗を低減するために、不純物領域7,8,13,102,104,202,205及びエミッタ領域105,203の上面をシリサイド化して、当該上面にコバルトシリサイド等のシリサイドを形成しても良い。
【0098】
以上のように、本実施の形態4に係る半導体装置の製造方法では、不純物領域9と不純物領域109とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いMOSトランジスタ20と、低抵抗のコレクタ領域を有するNPNトランジスタ111とを形成することができる。
【0099】
また、実施の形態4では、不純物領域9と不純物領域209とを同時に形成しているため、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いMOSトランジスタ20と、エミッタとコレクタ間の耐圧の高いPNPトランジスタ211とを形成することができる。
【0100】
なお本実施の形態4では、実施の形態2と同様に、半導体層3の比較的深いところにn型の不純物200を注入することによって、半導体層3の上面から露出しない不純物領域9,109,209を当該半導体層3内に形成しているが、実施の形態1のように、半導体層3を部分的に形成した後に、当該半導体層3の上面付近に不純物領域9,109,209を形成し、その後、エピタキシャル成長等によって半導体層3の残りの部分を形成することによって、半導体層3の上面から露出することなく当該半導体層3内に不純物領域9,109,209を形成しても良い。
【0101】
実施の形態5.
図34は本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構造を示す断面図である。本実施の形態5に係る半導体装置の構造は、上述の図23に示される、MOSトランジスタ20が形成されている領域の構造とほぼ同一であり、図23中の当該構造とは、p+型の不純物領域8の替わりにn+型の不純物領域を備える点だけが異なっている。
【0102】
図34に示されるように、本実施の形態5に係る半導体装置は、上述のSOI基板4と、当該SOI基板4に形成されたpチャネル型の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以後、「IGBT」と呼ぶ)420とを備えている。
【0103】
IGBT420は、SOI基板4の半導体層3に形成されており、p型のエミッタ領域405と、不純物領域406と、n+型のコレクタ領域408とを備えている。エミッタ領域405及び不純物領域406は、半導体層3の上面内に互いに離れて形成されている。不純物領域406はp型の不純物領域406bとp-型のオフセット領域406aとから成る。不純物領域406bは、エミッタ領域405と離れて形成されており、オフセット領域406aは、不純物領域406bのエミッタ領域405側の端部からエミッタ領域405の方へ延びるように形成されている。コレクタ領域408は不純物領域406bの上面内に形成されている。したがって、コレクタ領域408と不純物領域406とは接触している。
【0104】
エミッタ領域405の上面内にはp+型の不純物領域407が形成されている。半導体層3の上面内にはエミッタ領域405と隣接してn型の不純物領域412が形成されている。不純物領域412の上面内にはn+型の不純物領域413が形成されている。
【0105】
半導体層3の上面上には、コレクタ領域408及び不純物領域407,413の上面を避けて、上述のフィールド酸化膜10が形成されており、そのうちのオフセット領域406aとエミッタ領域405との間の半導体層3上に形成されている部分が、IGBT420のゲート絶縁膜として機能する。そして、ゲート絶縁膜として機能するフィールド酸化膜10上には、上面視上で、エミッタ領域405の不純物領域406側の端部と、オフセット領域406aのエミッタ領域405側の端部とを覆うように、IGBT420のゲート電極411が形成されている。ゲート電極411は例えばドープドポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との積層膜である。
【0106】
半導体層3の上面上には、フィールド酸化膜10及びゲート電極411を覆って上述の層間絶縁膜30が形成されている。層間絶縁膜30内には、コレクタ領域408に達するコレクタ電極426と、不純物領域407,413の両方に達するエミッタ電極425とが形成されている。エミッタ電極425及びコレクタ電極426のそれぞれは、層間絶縁膜30を貫通しており、当該層間絶縁膜30の上面上にも設けられている。
【0107】
本実施の形態5に係る半導体装置は、実施の形態1に係る半導体装置と同様に、半導体層3内に形成され、当該半導体層3よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域409をさらに備えている。
【0108】
不純物領域409は、エミッタ領域405の直下において当該エミッタ領域405と接触しつつその底部の全領域に渡って形成されている。更に、不純物領域409は、エミッタ領域405と不純物領域406との間の半導体層3の直下にまで延びており、エミッタ領域405と不純物領域406との間に形成されるIGBT420のチャネル領域の直下に存在する。そして、不純物領域409の全領域において、不純物濃度のピークの位置409aは、エミッタ領域405の最下端405aよりも下方に存在する。
【0109】
以上のような構造を備える本実施の形態5に係る半導体装置では、エミッタ電極425とコレクタ電極426との間に所定の電圧が印加されることによって、エミッタ領域405とコレクタ領域408との間には、エミッタ領域405の方が高電位となるような電圧が印加され、ゲート電極411には負のゲート電位が印加される。更に、装置特性を安定させるために、SOI基板4の裏面の電位、つまり半導体基板1の電位はコレクタ領域408の電位と同じ値に設定される。これにより、エミッタ領域405がソースとして、不純物領域406がドレインとして機能し、エミッタ領域405と不純物領域406との間の半導体層3にはチャネル層が形成され、IGBT420がオン状態となる。その結果、エミッタ領域405とコレクタ領域408との間に電流が流れて、IGBT420は半導体スイッチとして機能する。
【0110】
以上のように、本実施の形態5に係る半導体装置では、半導体層3よりも不純物濃度が高い不純物領域409が、エミッタ領域405の直下において当該エミッタ領域405の底部の全領域に渡って形成されているとともに、エミッタ領域405と不純物領域406との間の半導体層3の直下に形成されている。そのため、装置特性の安定化のために、コレクタ領域408の電位とSOI基板4の裏面電位とが同電位に設定された場合であっても、空乏層がエミッタ領域405まで延びにくくなるとともに、エミッタ領域405と不純物領域406との間の半導体層3にも延びにくくなる。従って、ソースとして機能するエミッタ領域405と、ドレインとして機能する不純物領域406との間のパンチスルーの発生を抑制でき、それらの間の耐圧を向上できる。
【0111】
更に、本実施の形態5では、エミッタ領域405と不純物領域406との間の半導体層3における上面の直下では、不純物領域409の濃度ピークの位置409aがエミッタ領域405の最下端405aよりも下方に設定されているためIGBT420のチャネル層が形成される領域でのn型不純物濃度の上昇を抑制することができる。従って、IGBT420のしきい値電圧の上昇を抑えることができる。
【0112】
なお本実施の形態5では、不純物領域409はエミッタ領域405の底部と接触するように形成されているが、図35に示されるように、不純物領域409はエミッタ領域405とは離れてその最下端405aよりも下方に形成する方が好ましい。この場合には、エミッタ領域405と不純物領域406との間におけるn型不純物濃度の上昇を更に抑制できるため、IGBT420のしきい値電圧の上昇を更に抑えることができる。
【0113】
また本実施の形態5では、不純物領域409は不純物領域406の直下にも存在しているが、図36に示されるように、不純物領域409は、不純物領域406の直下には位置していない方が好ましい。この場合には、不純物領域409と不純物領域406との距離を十分に確保することができるため、不純物領域409と不純物領域406との間の耐圧低下を確実に抑制できる。よって、IGBT420の耐圧低下を確実に抑制できる。
【0114】
また上述の実施の形態3に係るドライバ回路350において、実施の形態1に係る半導体装置を使用する替わりに本実施の形態5に係る半導体装置を使用しても良い。例えば、ドライバ回路350が、図34に示される構造を複数備え、当該複数の構造における複数のpチャネル型のIGBT420をpチャネル型のMOSトランジスタ301〜303の替わりにそれぞれ使用しても良い。これにより、ディスプレイパネルに対して駆動電圧DVを出力する出力段310では、高電圧側のトランジスタとしてIGBT420が使用される。
【0115】
このように、出力段310の高電圧側のトランジスタとして、ゲート耐圧が高くかつしきい値電圧が低いIGBT420を使用することによって、高電圧側のトランジスタに対して高いゲート電圧を与えることができるとともに、当該トランジスタの出力電流を大きくすることができる。したがって、実施の形態3のように出力段310の前段の回路から高電圧VHのゲート電圧が出力される場合であっても、当該ゲート電圧を直接高電圧側のトランジスタのゲート端子に与えることができ、ドライバ回路350の回路構成を簡素化できるとともに、高電圧側のトランジスタの動作速度を向上できる。なお、ドライバ回路350において、nチャネル型のMOSトランジスタ304〜306のそれぞれの替わりにnチャネル型のIGBTを使用しても良い。
【0116】
また、上述の実施の形態4に係る半導体装置において、MOSトランジスタ20が形成されている領域の構造の替わりに本実施の形態5に係る半導体装置を使用し、IGBT420と、NPNトランジスタ111と、PNPトランジスタ211とを備える半導体装置を実現しても良い。このような半導体装置は、実施の形態4に係る半導体装置の製造方法とほぼ同様の製造方法で作製することができる。以下に当該半導体装置の製造方法について図37〜43を参照して説明する。
【0117】
まず、実施の形態4と同様にしてSOI基板4を形成する。そして、図37に示されるように、実施の形態4における不純物領域9,109,209を形成する際の製造方法と同様にn型の不純物200を半導体層3の上面内にイオン注入し、半導体層3から露出しないように当該半導体層3の内部に不純物領域109,209,409を埋め込んで同時に形成する。
【0118】
次に、実施の形態4におけるオフセット領域6aを形成する際の製造方法と同様にしてp型の不純物を半導体層3の上面内にイオン注入し、半導体層3の上面内にオフセット領域406aを形成する。その後、実施の形態4に係る製造方法と同様にしてフィールド酸化膜10を形成する。フィールド酸化膜10を形成する際の熱酸化で、図38に示されるように、オフセット領域406aと不純物領域109,209,409とは拡散される。そして、IGBT420が形成される領域と、NPNトランジスタ111が形成される領域と、PNPトランジスタ211が形成される領域とを電気的に分離する素子分離絶縁膜300を半導体層3内に形成する。
【0119】
次に、実施の形態4における不純物領域12,101,201を形成する際の製造方法と同様にしてn型の不純物を半導体層3の上面内にイオン注入し、半導体層3の上面内に不純物領域101,201,412を形成する。そして、実施の形態4におけるソース領域5、不純物領域6b、ベース領域103及びコレクタ領域204を形成する際の製造方法と同様にp型の不純物を半導体層3の上面内にイオン注入し、エミッタ領域405、不純物領域406b、ベース領域103及びコレクタ領域204を半導体層3の上面内に形成する。その後、ゲート電極11と同様にしてゲート電極411を形成すると、図39に示される構造が得られる。
【0120】
次に図40に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト640を半導体層3上に形成する。そして、レジスト640とフィールド酸化膜10とをマスクに用いて、実施の形態4における不純物領域13,102,202及びエミッタ領域105を形成する際のイオン注入条件にて、リン等のn型の不純物200を半導体層3の上面内にイオン注入する。これにより、不純物領域101,201,412の上面内にはそれぞれ不純物領域102,202,413が形成され、不純物領域6bの上面内にはコレクタ領域408が形成され、ベース領域103の上面内にはエミッタ領域105が形成される。その後、レジスト640を除去し、例えば800℃で30分間程度熱処理を行って、不純物領域102,202,413、コレクタ領域408及びエミッタ領域105を拡散させる。
【0121】
次に図41に示されるように、所定の開口パターンを有するレジスト650を半導体層3上に形成する。そして、レジスト650とフィールド酸化膜10とをマスクに用いて、実施の形態4における不純物領域7,8,104,205及びエミッタ領域203を形成する際のイオン注入条件にて、ボロン等のp型の不純物210を半導体層3の上面内にイオン注入する。これにより、エミッタ領域405の上面内には不純物領域407が形成され、ベース領域103の上面内には不純物領域104が形成され、半導体層3の上面内にはエミッタ領域203が形成され、コレクタ領域204の上面内には不純物領域205が形成される。その後、レジスト650を除去し、例えば800℃で30分間程度熱処理を行って、不純物領域104,205,407及びエミッタ領域203を拡散させる。
【0122】
その後、層間絶縁膜30を形成し、当該層間絶縁間膜30内にコレクタ電極106,208,426、エミッタ電極107,207,425及びベース電極108,206を形成する。
【0123】
以上の製造方法では、n型の不純物を半導体層3内にその上面から導入することによって、不純物領域409を半導体層3から露出しないようにその内部に埋め込んで形成している。したがって、実施の形態1の不純物領域9を形成するときと同様に、不純物領域409を半導体層3の上面内に一度形成してから、当該半導体層3の上に再度半導体層3を形成して、半導体層3内に不純物領域409を埋め込む場合よりも、製造方法が簡素化でき、プロセスコストを低減できる。
【0124】
また、上記の製造方法のように、不純物領域409と不純物領域109とを同時に形成することによって、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いIGBT420と、低抵抗のコレクタ領域を有するNPNトランジスタ111とを形成することができる。
【0125】
また、不純物領域409と不純物領域209とを同時に形成することによって、工程数を増加させることなく、耐圧が高くかつしきい値電圧が低いIGBT420と、エミッタとコレクタ間の耐圧の高いPNPトランジスタ211とを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図10】第1の比較対象装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図11】第2の比較対象装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図12】第3の比較対象装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る半導体装置での電位分布を示す図である。
【図14】第2の比較対象装置での電位分布を示す図である。
【図15】ドレイン電位とドレイン電流との関係を示す図である。
【図16】ゲート電位とドレイン電流との関係を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構造を部分的に示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3に係るドライバ回路の構成を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図25】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図26】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図27】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図28】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図29】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図30】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図31】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図32】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図33】本発明の実施の形態4に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図34】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図35】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の変形例の構造を示す断面図である。
【図36】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の変形例の構造を示す断面図である。
【図37】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図38】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図39】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図40】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図41】本発明の実施の形態5に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
【0127】
1 半導体基板、2 絶縁層、3 半導体層、5 ソース領域、5a,305a 最下端、6 ドレイン領域、9,101,109,201,209,406,409 不純物領域、9a,409a 濃度ピークの位置、20 MOSトランジスタ、103 ベース領域、105,203,405 エミッタ領域、106 コレクタ電極、111 NPNトランジスタ、200 n型不純物、206 ベース電極、211 PNPトランジスタ、303,306 MOSトランジスタ、310 出力段、350 ドライバ回路、408 コレクタ領域、420 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されたn型の半導体層と、
前記半導体層に形成されたpチャネル型のMOSトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の不純物領域と
を備え、
前記MOSトランジスタは、前記半導体層の上面内に互いに離れて形成されたp型のソース領域及びドレイン領域を有し、
前記不純物領域は、少なくとも、前記ソース領域の直下において前記ソース領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体層の直下に形成されており、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記半導体層における上面の直下では、前記不純物領域における不純物濃度のピークの位置は、前記ソース領域の最下端よりも下方に設定されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記不純物領域は、前記ソース領域とは離れて前記最下端よりも下方に位置している、半導体装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の半導体装置であって、
前記不純物領域は、前記ドレイン領域の直下には位置していない、半導体装置。
【請求項4】
第1電圧と、当該第1電圧よりも低い第2電圧との間でトーテムポール接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、当該出力段からディスプレイパネルに駆動電圧を出力するドライバ回路であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の半導体装置を備え、
前記出力段における前記第1電圧側の前記トランジスタには、前記半導体装置における前記MOSトランジスタが使用されている、ドライバ回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記半導体層に前記MOSトランジスタと前記不純物領域とを形成する工程と
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)n型の不純物を前記半導体層内にその上面から導入することによって、前記不純物領域を、前記半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成する工程と、
(b−2)前記半導体層の上面内に前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域を形成する工程と
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は、
前記半導体層に形成されたNPNトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第2不純物領域と
をさらに備え、
前記NPNトランジスタは、
前記半導体層の上面内に形成されたp型のベース領域と、
前記ベース領域の上面内に形成されたn型のエミッタ領域と、
前記半導体層の上面内に前記ベース領域と離れて形成され、コレクタ電極と電気的に接続されるn型の第3不純物領域と
を有し、
前記第2不純物領域は、少なくとも前記エミッタ領域及び前記ベース領域の直下に設けられており、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記不純物領域と前記第2不純物領域とを同時に形成する工程と、
(c)前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域と、前記NPNトランジスタの前記ベース領域、前記エミッタ領域及び前記第3不純物領域とを形成する工程と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は、
前記半導体層に形成されたPNPトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第2不純物領域と
をさらに備え、
前記PNPトランジスタは、
前記半導体層の上面内に形成され、ベース電極と電気的に接続されるn型の第3不純物領域と、
前記半導体層の上面内に形成されたp型のコレクタ領域と、
前記第3不純物領域と前記コレクタ領域との間において前記半導体層の上面内に形成されたp型のエミッタ領域と
を有し、
前記第2不純物領域は、少なくとも前記エミッタ領域の直下に設けられており、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記不純物領域と前記第2不純物領域とを同時に形成する工程と、
(c)前記MOSトランジスタの前記ドレイン領域及び前記ソース領域と、前記PNPトランジスタの前記第3不純物領域、前記コレクタ領域及び前記エミッタ領域とを形成する工程と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されたn型の半導体層と、
前記半導体層に形成されたpチャネル型の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第1不純物領域と
を備え、
前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタは、前記半導体層の上面内に互いに離れて形成されたp型のエミッタ領域及びp型の第2不純物領域と、前記第2不純物領域と接触して前記半導体層内に形成されたn型のコレクタ領域とを有し、
前記第1不純物領域は、少なくとも、前記エミッタ領域の直下において前記エミッタ領域の底部の全領域に渡って形成されているとともに前記エミッタ領域と前記第2不純物領域との間の前記半導体層の直下に形成されており、
前記エミッタ領域と前記第2不純物領域との間の前記半導体層における上面の直下では、前記第1不純物領域における不純物濃度のピークの位置は、前記エミッタ領域の最下端よりも下方に設定されている、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置であって、
前記第1不純物領域は、前記エミッタ領域とは離れて前記最下端よりも下方に位置している、半導体装置。
【請求項10】
請求項8及び請求項9のいずれか一つに記載の半導体装置であって、
前記第1不純物領域は、前記第2不純物領域の直下には位置していない、半導体装置。
【請求項11】
第1電圧と、当該第1電圧よりも低い第2電圧との間でトーテムポール接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、当該出力段からディスプレイパネルに駆動電圧を出力するドライバ回路であって、
請求項8乃至請求項10のいずれか一つに記載の半導体装置を備え、
前記出力段における前記第1電圧側の前記トランジスタには、前記半導体装置における前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタが使用されている、ドライバ回路。
【請求項12】
請求項8乃至請求項10のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記半導体層に前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタと前記第1不純物領域とを形成する工程と
を備え、
前記工程(b)は、
(b−1)n型の不純物を前記半導体層内にその上面から導入することによって、前記第1不純物領域を、前記半導体層から露出しないようにその内部に埋め込んで形成する工程と、
(b−2)前記半導体層の上面内に、前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域を形成する工程と
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8乃至請求項10のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は、
前記半導体層に形成されたNPNトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第3不純物領域と
をさらに備え、
前記NPNトランジスタは、
前記半導体層の上面内に形成されたp型のベース領域と、
前記ベース領域の上面内に形成されたn型のエミッタ領域と、
前記半導体層の上面内に前記ベース領域と離れて形成され、コレクタ電極と電気的に接続されるn型の第4不純物領域と
を有し、
前記第3不純物領域は、少なくとも前記NPNトランジスタの前記エミッタ領域及び前記ベース領域の直下に設けられており、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記第1不純物領域と前記第3不純物領域とを同時に形成する工程と、
(c)前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域と、前記NPNトランジスタの前記ベース領域、前記エミッタ領域及び前記第4不純物領域とを形成する工程と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8乃至請求項10のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置は、
前記半導体層に形成されたPNPトランジスタと、
前記半導体層内に形成され、前記半導体層よりも不純物濃度が高いn型の第3不純物領域と
をさらに備え、
前記PNPトランジスタは、
前記半導体層の上面内に形成され、ベース電極と電気的に接続されるn型の第4不純物領域と、
前記半導体層の上面内に形成されたp型のコレクタ領域と、
前記第4不純物領域と前記p型のコレクタ領域との間において前記半導体層の上面内に形成されたp型のエミッタ領域と
を有し、
前記第3不純物領域は、少なくとも前記PNPトランジスタの前記エミッタ領域の直下に設けられており、
(a)前記半導体基板、前記絶縁層及び前記半導体層から成るSOI基板を準備する工程と、
(b)前記第1不純物領域と前記第3不純物領域とを同時に形成する工程と、
(c)前記絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの前記エミッタ領域、前記コレクタ領域及び前記第2不純物領域と、前記PNPトランジスタの前記第4不純物領域、前記p型のコレクタ領域及び前記エミッタ領域とを形成する工程と
を備える、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2006−261639(P2006−261639A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374306(P2005−374306)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】