説明

給湯機

【課題】使用者の入浴間隔が長時間となる場合に、浴槽の浴水を保温するためのエネルギー消費量を大きくすることなく、遅い時間帯に入浴する人に対して浴槽の浴水を適温に準備することのできる給湯機を提供すること。
【解決手段】ふろ自動運転の予約とは別に、遅い時間帯に入浴する人用に、追い焚き開始時刻と、追い焚き後の保温継続時間とをそれぞれ予約可能とする(S1,S2)。追い焚き開始時刻が到来した場合には、追い焚きを自動で実行するとともに、保温を開始する(S3)。保温継続時間の経過後、保温を終了する(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定された温度で浴槽に自動で湯張りを行うとともに、湯張りの終了後は、予め設定された保温継続時間だけ、浴槽の湯を自動で保温する機能を備えた給湯機が広く用いられている。
【0003】
また、下記特許文献1には、保温継続時間を使用者が任意に設定することに代えて、適正な保温継続時間を自動的に決定するようにした技術が開示されている。すなわち、同文献には、浴室に赤外線センサーなどを設けて入浴者を検知することにより、自動湯張り終了後から最終入浴者が使用するまでの時間を毎日検出し、その時間の10日分の平均値に基づいて、適正な保温継続時間を決定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−141976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、何れにせよ、使用者の入浴間隔が長時間となる場合(例えば、一人が夕方に入浴し、もう一人が深夜に入浴するような場合)には、浴槽の湯を長時間保温することになるので、保温のためのエネルギー消費量が大きくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、使用者の入浴間隔が長時間となる場合に、浴槽の浴水を保温するためのエネルギー消費量を大きくすることなく、遅い時間帯に入浴する人に対して浴槽の浴水を適温に準備することのできる給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給湯機は、浴槽に給湯する給湯装置と、浴槽の浴水を昇温可能な昇温手段と、使用者の操作を受け付ける入力装置と、入力装置に入力された使用者からの指令、または予め設定された第1の予約時刻に従って、浴槽に所定温度の浴水を用意する第1の自動運転手段と、第1の自動運転手段によって浴槽に浴水が用意できた後、予め設定された第1の保温継続時間だけ、浴槽の浴水を昇温手段により保温する第1の保温手段と、使用者が第2の予約時刻を設定可能とする第2の予約時刻設定手段と、第2の予約時刻に従って、昇温手段によって浴槽の浴水を昇温する第2の自動運転手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者の入浴間隔が長時間となる場合に、浴槽の浴水を保温するためのエネルギー消費量を大きくすることなく、遅い時間帯に入浴する人に対して浴槽の浴水を適温に準備することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の給湯機の実施の形態1を示す構成図である。
【図2】図1に示す給湯機の制御回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1で実行されるルーチンのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2で実行されるルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の給湯機の実施の形態1を示す構成図である。図1に示す給湯機130は、本発明を貯湯式給湯機に適用した場合の実施の形態を示すものであり、ヒートポンプユニット10と、タンクユニット110と、制御装置120とを備えている。以下、給湯機130の各構成要素について説明する。
【0012】
ヒートポンプユニット10は、熱源機として機能するものであり、冷媒を圧縮する圧縮機1と、沸上げ用熱交換器3と、膨張弁5と、蒸発器7と、これらを環状に接続する冷媒循環配管9とによって構成された冷凍サイクルシステムをユニットケース2内に備えている。上記冷凍サイクルシステムでは、二酸化炭素等の冷媒が圧縮機1で圧縮されて高温、高圧となった後に沸上げ用熱交換器3で放熱し、膨張弁5で減圧され、蒸発器7で吸熱してガス状態となって圧縮機1に吸入される。冷媒として二酸化炭素を用いる場合、高圧側では該二酸化炭素の臨界圧を超える条件下で運転することが好ましい。
【0013】
一方、タンクユニット110は、貯湯タンク20、給水管路30、貯湯用循環管路40および給湯管路50を有している。
【0014】
貯湯タンク20は、給水管路30から供給される低温水を下層に貯留すると共に、ヒートポンプユニット10で沸き上げられた高温の湯を上層に貯留する積層式の貯湯タンクである。この貯湯タンク20の下部には、給水管路30が接続される水導入口20aと、貯湯用循環管路40の往き管40aが接続される水導出口20bとが設けられている。貯湯タンク20の上部には、貯湯用循環管路40の戻り管40bが接続される温水導入口20cと、給湯管路50が接続される温水導出口20dとが設けられている。貯湯タンク20内は、下層の低温水と上層の高温湯とで常に満杯状態に保たれる。
【0015】
給水管路30は、市水等の低温水を貯湯タンク20、給湯管路50、および所定の給湯先に供給する管路であり、第1給水管部30a、第2給水管部30b、給水管30cおよび減圧弁(図示せず)を有している。第1給水管部30aは、水道等の水源(図示せず)と貯湯タンク20の水導入口20aとを繋ぐ。給水管30cは、第1給水管部30aから分岐し、この第1給水管部30aと後述の電動湯水混合弁45(第1混合弁45a、第2混合弁45b)とを繋ぐ。第2給水管部30bは、第1給水管部30aから分岐し、この第1給水管部30aと所定の給湯先とを繋ぐ。図示の例では、給湯先の例として1つの給湯栓160が示されている。減圧弁は、第1給水管部30aでの第2給水管部30bの分岐箇所よりも下流側に設けられて、水源水圧を所定値以下となるように減じる。図1においては、第1給水管部30aでの低温水の流れ方向を実線の矢印で示している。
【0016】
貯湯用循環管路40は、貯湯タンク20の水導出口20bからヒートポンプユニット10中の沸上げ用熱交換器3を経由して貯湯タンク20の温水導入口20cに達する管路であり、貯湯用送水ポンプ35が設けられた往き管40aと、戻り管40bとを有している。往き管40aは、水導出口20bと沸上げ用熱交換器3とを繋ぐ。戻り管40bは、沸上げ用熱交換器3と温水導入口20cとを繋ぐ。
【0017】
給湯管路50は、貯湯タンク20内から取り出した高温の湯と、給水管路30からの低温水とを第1混合弁45aまたは第2混合弁45bで混合することによって所定温度の温湯とし、その温湯を浴槽150や所定の給湯先(図示の例では給湯栓160)に供給する管路である。給湯管路50は、第1混合弁45aおよび第2混合弁45bの他に、第1〜第3給湯管部50a〜50cを有している。第1給湯管部50aは、貯湯タンク20の温水導出口20dと、第1混合弁45aおよび第2混合弁45bとを繋ぐ。第2給湯管部50bは、第1混合弁45aと、二次側循環管路70の戻り管70bとを繋ぐ。第3給湯管部50cは、第2混合弁45bと、給湯栓160とを繋ぐ。図1においては、給湯栓160からの湯水の流出方向を破線の矢印で示している。
【0018】
一次側循環管路60は、貯湯タンク20の温水導出口20dから追焚き用熱交換器80を経由して貯湯タンク20の下部に達する管路であり、往き管60aと、一次側送水ポンプ55が設けられた戻り管60bとを有している。往き管60aは、貯湯タンク20の温水導出口20dと、追焚き用熱交換器80上部の温水導入口80aとを繋ぐ。戻り管60bは、追焚き用熱交換器80下部の温水導出口80bと、貯湯タンク20の下部とを繋ぐ。図示の例では、第1給湯管部50aでの貯湯タンク20側の所定の区間が、往き管60aでの貯湯タンク側の区間を兼ねている。
【0019】
二次側循環管路70は、浴槽150から追焚き用熱交換器80を経由して再び浴槽150に戻る管路であり、二次側送水ポンプ65が設けられた往き管70aと、戻り管70bとを有している。往き管70aは、浴槽150と、追焚き用熱交換器80下部の浴水導入口80cとを繋ぐ。戻り管70bは、追焚き用熱交換器80上部の浴水導出口80dと、浴槽150とを繋ぐ。また、戻り管70bには、循環した際の浴水150aの浴水温度を検出するふろ湯温センサ104が取り付けられている。
【0020】
追焚き用熱交換器80は、一次側循環管路60を流れる湯と、二次側循環管路70を流れる浴水150aとの間で熱交換を行って浴水150aを加熱するものであり、例えば、複数の伝熱プレートが当該追焚き用熱交換器80での高さ方向に積層されたプレート式の水−水熱交換器が好ましく用いられる。一次側循環管路60および二次側循環管路70の各々を接続することができるように、追焚き用熱交換器80の上部には上述した温水導入口80aおよび浴水導出口80dが設けられ、下部には上述した温水導出口80bと浴水導入口80cが設けられている。なお、本実施形態では、一次側循環管路60、二次側循環管路70および追焚き用熱交換器80により、浴水150aを加熱可能な加熱装置が構成される。
【0021】
貯湯タンク20の上部に取り付けられた給湯水温センサ102は、給湯管部50aを流れる湯の温度を検出する。給水管30cに取り付けられた給水水温センサ101は、給水管路30の低温水の温度を検出する。給湯管部50bに取り付けられた混合水温センサ103は、第1混合弁45aで混合された混合湯の温度を検出する。
【0022】
給湯管部50bには、浴槽150への給湯流路を開閉するふろ電磁弁46と、浴槽150への給湯流量を検出するふろ流量センサ105とが取り付けられている。浴槽150に湯を張る場合には、ふろ電磁弁46を開き、ふろ流量センサ105で流量を検出することにより、浴槽150への給湯量を制御することができる。なお、本実施形態では、給湯管路50により、浴槽150に給湯する給湯装置が構成される。
【0023】
タンクユニット110を構成する上述の構成部材のうち、給水管路30、貯湯用循環管路40、給湯管路50の各々は、その一部がユニットケース112の外部にまで延在しており、残りの構成部材は、ユニットケース112に納められている。
【0024】
図2は、上記した給湯機130の制御回路構成を示すブロック図である。制御装置120は、上記のユニットケース112内に配置された制御装置本体120aと、台所や浴室等に配置されて制御装置本体120aに有線接続または無線接続されたリモコン120bとを有している。制御装置本体120aは、ヒートポンプユニット10、リモコン120b、ふろ電磁弁46、第1混合弁45a、第2混合弁45b、一次側送水ポンプ55、二次側送水ポンプ65、給水水温センサ101、給湯水温センサ102、混合水温センサ103、ふろ湯温センサ104およびふろ流量センサ105とそれぞれ接続されている。また、制御装置本体120aは、更に、浴槽150内の浴水150aの水位を検出する図示しない水位センサと接続されており、浴水150aの有無や水位を検出可能になっている。制御装置本体120aは、入力装置としてのリモコン120bから使用者が入力した情報や指令、並びに各センサの信号等に基づいて、給湯機130の各部の動作を制御する。
【0025】
したがって、給湯機130は、リモコン120bから使用者が入力した上述の情報や指令等に基づいて動作する。例えば、リモコン120bから使用者が入力した沸上げ開始時刻になると、制御装置120による制御の下にヒートポンプユニット10および貯湯用送水ポンプ35が起動されて沸上げ運転が開始される。そして、貯湯タンク20に設けられた温度センサ(図示せず)の検出結果から所定温度の湯が貯湯タンク20に所定量貯留されたと判断されるまで、沸上げ運転が継続される。この間、貯湯タンク20下部の水導出口20bから貯湯用循環管路40に低温水が流入し、ヒートポンプユニット10で湯に沸き上げられて貯湯タンク20上部の温水導入口20cから該貯湯タンク20に戻される。
【0026】
また、浴槽150に浴水150aを給湯する際には、制御装置本体120aは、第1混合弁45aの先に接続されているふろ電磁弁46を開いた後、混合水温センサ103による検出温度が、使用者がリモコン120bで設定したふろ温度(以下、「設定ふろ温度」と称する)になるように、第1混合弁45aの開度を制御する。更に、ふろ流量センサ105で流量を検出し、使用者がリモコン120bで設定した所定量の湯が浴槽150に給湯された時点で、ふろ電磁弁46を閉じる。
【0027】
また、浴水150aの追い焚きまたは保温をする際は、制御装置本体120aは、一次側送水ポンプ55を駆動することで、貯湯タンク20内から取り出した高温の湯を一次側循環管路60内に循環させ、二次側送水ポンプ65を駆動することで、浴水150aを二次側循環管路70内に循環させ、追焚き用熱交換器80にて両者を熱交換させる。その際に、ふろ湯温センサ104で浴水150aの温度を検出し、その検出温度が設定ふろ温度に達した場合に、追い焚きまたは保温を完了する。
【0028】
使用者は、リモコン120bを操作することにより、設定ふろ温度の浴水150aを浴槽150に用意する時刻を予約することができる。リモコン120bで設定されたこの予約時刻を以下「第1の予約時刻」と称する。第1の予約時刻が設定されている場合には、制御装置本体120aは、設定ふろ温度の浴水150aを浴槽150に用意する自動運転(以下、「第1の自動運転」と称する)を、第1の予約時刻から開始するか、または第1の予約時刻までに完了するように前もって開始する。この第1の自動運転においては、浴水150aが無いことが水位センサにより検出されている場合には、上述したようにして浴槽150に給湯し、浴槽150に設定ふろ温度の浴水150aを張る。一方、前日の残り湯などの浴水150aがあることが水位センサにより検出されている場合には、上述したようにして浴水150aを追い焚きし、浴水150aを設定ふろ温度まで加熱する。
【0029】
また、使用者は、リモコン120bに設けられた所定のスイッチ(以下、「ふろ自動スイッチ」と称する)を操作することにより、第1の自動運転を任意の時刻に開始させることができる。すなわち、使用者によりふろ自動スイッチが操作された場合には、制御装置本体120aは、上述した第1の自動運転を実行し、設定ふろ温度の浴水150aを浴槽150に用意する。
【0030】
また、使用者は、第1の自動運転で浴槽150に浴水150aが用意された後に浴水150aの保温を継続する時間(以下、「第1の保温継続時間」と称する)を、リモコン120bを操作することによって設定することができる。制御装置本体120aは、第1の自動運転の後、第1の保温継続時間だけ、上述した保温動作を行って浴水150aを適宜加熱することにより、浴水150aの温度を設定ふろ温度に維持する。そして、第1の保温継続時間が経過した後は、保温動作を停止する。
【0031】
従来、複数の使用者の入浴間隔が長時間となる場合(例えば、一人が夕方に入浴し、もう一人が深夜に入浴するような場合)には、第1の保温継続時間を長い時間に設定する必要があった。このため、浴水150aを保温するためのエネルギー消費量(すなわち、一次側循環管路60に循環されることによって消費される貯湯タンク20の蓄熱量や、一次側送水ポンプ55および二次側送水ポンプ65を駆動するための電力量)、および長時間の保温(浴水を入浴可能な高温としておく)自体での浴水からの放熱エネルギーロスが大きくなるという問題があった。この問題を解決するため、本実施形態では、浴水150aを追い焚きする時刻を使用者が予約できるようにし、その予約された時刻(以下、「追い焚き開始時刻」と称する)に従って、自動で追い焚きを行うようにした。本実施形態では、例えば、一人が夕方に入浴し、もう一人が深夜に入浴する場合には、追い焚き開始時刻を深夜の時間帯に設定するともに、第1の保温継続時間を短い時間に設定するような使い方が好ましい。このように設定すれば、夕方の第1の保温継続時間の間に一人が入浴した後は、深夜の追い焚き開始時刻になるまで、保温が停止されるので、保温のためのエネルギー消費量および長時間の保温(浴水を入浴可能な高温としておく)自体での浴水からの放熱エネルギーロスを節減することができる。また、深夜に設定された追い焚き開始時刻には自動で浴水150aの追い焚きが開始されるので、深夜に入浴する人も、待たずに適温の浴水150aに入ることができる。以下、図3に示すフローチャートに基づいて、詳しく説明する。
【0032】
S1にて、使用者は、追い焚き開始時刻をリモコン120bに入力する。入力された追い焚き開始時刻は、制御装置本体120aに記憶され、S2へ進む。
【0033】
S2にて、使用者は、予約追い焚きによって浴水150aを昇温した後に浴水150aの保温を継続する時間(以下、「第2の保温継続時間」と称する)をリモコン120bに入力する。入力された第2の保温継続時間は、制御装置本体120aに記憶され、S3へ進む。
【0034】
S3にて、制御装置本体120aは、時刻を監視し、追い焚き開始時刻になった場合、S4へ進む。そうでなければループする。
【0035】
S4にて、制御装置本体120aは、一次側送水ポンプ55および二次側送水ポンプ65を駆動させることで追い焚きを開始し、浴水150aを設定ふろ温度まで加熱する。浴水150aが設定ふろ温度まで加熱された後は、浴水150aを設定ふろ温度に維持するための保温動作に移行し、S5へ進む。
【0036】
S5にて、制御装置本体120aは、追い焚き後の経過時間が第2の保温継続時間に達したかどうかを判断し、第2の保温継続時間に達した場合にはS6へ進む。そうでなければループする。
【0037】
S6にて、制御装置本体120aは、一次側送水ポンプ55および二次側送水ポンプ65を停止させ、保温動作を終了させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、使用者は、第1の自動運転の予約とは別に、追い焚き開始時刻を予約することができ、その予約した追い焚き開始時刻に自動で追い焚きを実行させることができる。このため、複数の使用者の入浴間隔が長時間となる場合には、遅い時間帯に入浴する人に合わせて追い焚き開始時刻を予約することにより、遅い時間帯に入浴する人が、待たずに適温の浴水150aに入ることができる。また、第1の保温継続時間の終了後、追い焚き開始時刻までの間は、浴水150aの保温動作が停止されるので、保温のためのエネルギー消費量を節減することができる。
【0039】
更に、本実施形態では、上述した予約追い焚きの後に浴水150aを保温する第2の保温継続時間を使用者が予約設定することができる。このため、遅い時間帯に入浴する人の入浴時刻が不確かな場合や、遅い時間帯に複数人が入浴する場合などには、第2の保温継続時間を適当な時間に設定することにより、遅い時間帯において浴水150aを必要な時間だけ保温することができるので、使い勝手が良い。
【0040】
なお、本実施形態において、第1の自動運転を行う第1の予約時刻が設定されていない場合には、使用者がリモコン120bのふろ自動スイッチを操作することによって、第1の自動運転が開始される。従って、この場合には、使用者がふろ自動スイッチを操作した時刻に応じて、第1の保温継続時間の終了時刻も変動する。この場合も、第1の保温継続時間の終了後から追い焚き開始時刻までの間は、浴水150aの保温動作が停止されるので、保温のためのエネルギー消費量を節減することができる。しかしながら、使用者がふろ自動スイッチを操作する時刻が普段の日より遅くなった場合には、第1の保温継続時間の終了前に追い焚き開始時刻が到来するようなことも起こり得る。このような場合には、第1の保温継続時間の時間帯と、第2の保温継続時間の時間帯とが一部重複するので、通常は、第1の自動運転終了後から第2の保温継続時間の終了時刻まで連続して浴水150aの保温動作が実行されることになる。しかしながら、本実施形態では、上記のような場合に、第1の自動運転終了後から追い焚き開始時刻までの間は保温動作を実行せず、第2の保温継続時間の時間帯のみ保温動作を実行するようにしてもよい。使用者が普段の日より遅い時刻にふろ自動スイッチを操作したような場合には、ふろ自動スイッチを操作したその人は、浴槽150に浴水150aが準備でき次第、すぐに入浴する可能性が高いので、浴水150aを保温する必要性が低いと考えられるからである。このようにした場合には、第1の自動運転終了後から追い焚き開始時刻までの間は浴水150aの保温動作が停止されるので、保温のためのエネルギー消費量を節減することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、追い焚き開始時刻を第2の予約時刻として使用者が設定するようにしているが、追い焚きが完了する完了時刻を第2の予約時刻として設定するようにしてもよい。この場合には、制御装置本体120aは、使用者により設定された追い焚き完了時刻までに追い焚きが完了するように、前もって追い焚きを開始するようにすればよい。
【0042】
実施の形態2.
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0043】
実施の形態1では、使用者により設定された第2の予約時刻に従って追い焚きを行うことにより、浴水150aを昇温するようにしている。これに対し、本実施形態では、追い焚きの予約に代えて、設定ふろ温度より高い温度の湯を浴槽150に追加供給する動作(以下、「高温さし湯」と称する)の時刻を使用者が予約できるようにし、制御装置本体120aは、使用者により設定された時刻に従って高温さし湯を実行することにより、自動で浴水150aを昇温する。以下、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
S7にて、使用者は、高温さし湯開始時刻(第2の予約時刻)をリモコン120bに入力する。入力された高温さし湯開始時刻は、制御装置本体120aに記憶され、S2へ進む。
【0045】
S2にて、使用者は、予約高温さし湯によって浴水150aが昇温された後に浴水150aの保温を継続する時間(以下、「第2の保温継続時間」と称する)をリモコン120bに入力する。入力された第2の保温継続時間は、制御装置本体120aに記憶され、S3へ進む。
【0046】
S3にて、制御装置本体120aは、時刻を監視し、高温さし湯開始時刻になった場合、S8へ進む。そうでなければループする。
【0047】
S8にて、制御装置本体120aは、ふろ電磁弁46を開くとともに、浴槽150に供給される湯の温度が設定ふろ温度より高温になるように第1混合弁45aの開度を制御することにより、高温さし湯を開始する。そして、給湯量が一定量に達した場合(もしくは、設定ふろ温度への昇温に必要な湯量が給湯された場合)には、S9へ進む。S9にて、ふろ電磁弁46を閉じて高温さし湯を終了し、S10へ進む。
【0048】
S10にて、制御装置本体120aは、ふろ電磁弁46を適宜開閉して高温さし湯を間欠的に行うことにより浴水150aを保温する保温動作を開始する。保温動作を行っている間、S5にて、上記S9以降の経過時間が第2の保温継続時間に達したかどうかを判断し、第2の保温継続時間に達した場合にはS6へ進む。そうでなければループする。S6にて、制御装置本体120aは、ふろ電磁弁46を閉じて、保温のための高温さし湯を終了させる。
【0049】
実施の形態2は、上述した点以外は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【符号の説明】
【0050】
10 ヒートポンプユニット
20 貯湯タンク
30 給水管路
45a 第1混合弁
45b 第2混合弁
46 ふろ電磁弁
50 給湯管路
60 一次側循環管路
70 二次側循環管路
80 追焚き用熱交換器
120 制御装置
120a 制御装置本体
120b リモコン
130 給湯機
150 浴槽
150a 浴水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に給湯する給湯装置と、
前記浴槽の浴水を昇温可能な昇温手段と、
使用者の操作を受け付ける入力装置と、
前記入力装置に入力された使用者からの指令、または予め設定された第1の予約時刻に従って、前記浴槽に所定温度の浴水を用意する第1の自動運転手段と、
前記第1の自動運転手段によって前記浴槽に浴水が用意できた後、予め設定された第1の保温継続時間だけ、前記浴槽の浴水を前記昇温手段により保温する第1の保温手段と、
使用者が第2の予約時刻を設定可能とする第2の予約時刻設定手段と、
前記第2の予約時刻に従って、前記昇温手段によって前記浴槽の浴水を昇温する第2の自動運転手段と、
を備えることを特徴とする給湯機。
【請求項2】
使用者が第2の保温継続時間を設定可能とする第2の保温継続時間設定手段と、
前記第2の自動運転手段によって前記浴槽の浴水が昇温された後に、前記第2の保温継続時間だけ、前記浴槽の浴水を前記昇温手段により保温する第2の保温手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の給湯機。
【請求項3】
前記第1の保温手段は、前記第1の保温継続時間の終了前に前記第2の予約時刻が到来することが予測される場合には、前記保温を実行しないことを特徴とする請求項1または2に記載の給湯機。
【請求項4】
前記昇温手段は、前記浴槽の浴水を加熱装置で加熱することによって昇温することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の給湯機。
【請求項5】
前記昇温手段は、前記給湯装置により前記浴槽に高温の湯を追加供給することによって前記浴槽の浴水を昇温することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191035(P2011−191035A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59446(P2010−59446)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】