説明

車両用窓開閉装置

【課題】よりきめの細かい条件設定に基づいて車両の窓の開閉をユーザの要望に応じて実行することができる車両用窓開閉装置を提供すること。
【解決手段】本発明による車両用窓開閉装置1は、車両に備えられた複数のドアにそれぞれ設置された窓5を開閉する開閉手段7と、スマートキー2が一定距離以内に近接したか否かを判定する近接判定手段4と、車両の室内の温度を検出する温度検出手段10と、温度が第一規定値以上であるか否かを判定する温度判定手段9と、車両における雨滴量を検出する雨滴量検出手段8と、雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定する雨滴量判定手段7と、車両が駐車している駐車領域を検出する駐車領域検出手段11と、駐車領域が予め設定された禁止領域以外であるか否かを判定する領域判定手段11を備えるとともに、近接判定手段4が肯定と判定し、温度判定手段9が肯定と判定し、雨滴量判定手段7が肯定と判定し、領域判定手段11が肯定と判定する場合に、開閉手段7が窓5を開けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用されて好適な車両用窓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、ユーザの利便性をより向上させるため、ユーザがスマートキーを所持して車両に接近して、車両側の複数箇所に設置された送信用アンテナにより形成される検出エリアに進入した場合に、車載機の制御に基づいて送信用アンテナにより送信されるリクエスト信号をスマートキーが受信して、スマートキーが認証コードを含むアンサー信号を車載機に向けて送信し、車載機がアンサー信号に含まれる認証コードを認証した場合で、さらに、ユーザが車両のドアに設けられたタッチセンサに指を接触させた場合に、車両のドアのロック及びアンロックを行う所謂スマートエントリーシステムが導入されている。
【0003】
このようなスマートエントリーシステムを応用したシステムとして例えば特許文献1に記載されているようなものがある。このようなシステムにおいては、ドアがアンロックされている状態では車両の前後左右のドアの窓を閉じ、ドアがロックされている時には窓を開放させ、降雨状態では窓の閉じた状態を保持させ、降雨状態ではない場合では窓を開放させること、及び、車室内の温度が予定値以上であれば窓を開け、温度が予定値未満であれば窓を閉じた状態を保持することが提案されている。
【特許文献1】特許第2815367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術においては、上述した制御を主として実行することにより、降車後において窓を閉めることを予め防止して盗難を防止し、降雨状況と車室内の温度の双方を考慮して、高温状態において車室内が高温となっている状況において、ユーザが一旦車室内に入った後、車両のドアの窓を開けて車室内の空気を換気するとともに冷房をオンとして、車室内の温度を予め下げた後に、運転を始めるという、煩わしさをなるべく解消することとしている。
【0005】
ところが、このような特許文献1に記載の従来技術においては、車両が駐車している駐車領域が、ユーザにとって日常において車両の運転を目的としない場合でも頻繁に行き来する領域であるような場合については考慮されておらず、ユーザがスマートキーを所持して車両の運転を目的としないで駐車領域に近寄った場合でも、常に窓の開閉を適宜行う上述したような制御が実行されて、車両のバッテリを無駄に消費するとともに、ユーザにとっても違和感を与えるという問題が生じた。
【0006】
さらに、車両に搭載された空調装置のモードが、前回ユーザが降車した場合においてどのようなモードであったかについても考慮がされておらず、特には降車時に最終的に選択していたモードが内気循環であった場合には、空調装置を構成するダクト内の空気も高温状態となっており、車両に乗り込んだ直後に空調装置から高温の空気が吹き出されてしまうという問題も生じる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、よりきめの細かい条件設定に基づいて車両の窓の開閉をユーザの要望に応じて実行することができる車両用窓開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明に係る第一の車両用窓開閉装置は、
車両に備えられた複数のドアにそれぞれ設置された窓を開閉する開閉手段と、
スマートキーが一定距離以内に近接したか否かを判定する近接判定手段と、
前記車両の室内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度が第一規定値以上であるか否かを判定する温度判定手段と、
前記車両における雨滴量を検出する雨滴量検出手段と、
前記雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定する雨滴量判定手段と、
前記車両が駐車している駐車領域を検出する駐車領域検出手段と、
前記駐車領域が予め設定された禁止領域以外であるか否かを判定する領域判定手段と、
を備えるとともに、
前記近接判定手段が肯定と判定し、前記温度判定手段が肯定と判定し、前記雨滴量判定手段が肯定と判定し、前記領域判定手段が肯定と判定する場合に、
前記開閉手段が前記窓を開けることを特徴とする。
【0009】
なお、前記窓はドアに設置されたサイドウィンドウにより構成され、前記開閉手段は前記ドアに設置されたウィンドウレギュレータとボデーECU(Electronic Control Unit)により構成され、前記近接判定手段はスマートエントリーシステムを構成するスマートアンテナと照合ECUにより構成され、前記温度検出手段は温度センサにより構成され、前記温度判定手段はエアコンECUにより構成され、前記雨滴量検出手段は雨滴センサにより構成され、前記雨滴量判定手段はボデーECUにより構成され、前記駐車領域検出手段と前記領域判定手段はナビゲーションECUとGPSアンテナにより構成される。
【0010】
前記第一の車両用窓開閉装置によれば、前記駐車領域がユーザにとって日常的に頻繁に行き来するポイントであって、ユーザの意図によらずにどうしてもスマートエントリーシステムのスマートキーを所持した状態で、前記スマートアンテナの構成する検出エリアに進入してしまう程度に前記車両に接近してしまう場合において、ユーザの意図に反して車両の窓の開動作が行われてしまうことを防止することができる。これにより、ユーザに違和感を与えることを防止することができる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係わる第二の車両用窓開閉装置は、
車両に備えられた複数のドアにそれぞれ設置された窓を開閉する開閉手段と、
スマートキーが一定距離以内に近接したか否かを判定する近接判定手段と、
前記車両の室内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度が第一規定値以上であるか否かを判定する温度判定手段と、
前記車両における雨滴量を検出する雨滴量検出手段と、
前記雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定する雨滴量判定手段と、
前記車両の空調装置の前回の降車時のモードを検出するモード検出手段と、
前記モードを変更するモード変更手段と、
前記ドアの開閉を検出するドア開閉検出手段を備えるとともに、
前記近接判定手段が肯定と判定し、前記温度判定手段が肯定と判定し、前記雨滴量判定手段が肯定と判定し、前記開閉手段が前記窓を開けた後、前記モードが内気循環である場合に、
前記変更手段が前記モードを外気循環に変更して前記空調装置を動作させることを特徴とする。
【0012】
なお、前記窓はドアに設置されたサイドウィンドウにより構成され、前記開閉手段は前記ドアに設置されたウィンドウレギュレータとボデーECUにより構成され、前記近接判定手段はスマートエントリーシステムを構成するスマートアンテナと照合ECUにより構成され、前記温度検出手段は温度センサにより構成され、前記温度判定手段と前記モード検出手段と前記変更手段はエアコンECUにより構成され、前記雨滴量検出手段は雨滴センサにより構成され、前記雨滴量判定手段はボデーECUにより構成され、前記ドア開閉検出手段はボデーECUにより構成される。
【0013】
前記第二の車両用窓開閉装置によれば、前記前回の降車時のモードすなわちラストモードが、内気循環である場合には、ユーザが前記車両の一定距離以内に接近した段階において、前記開閉手段が前記窓を開けるとともに、前記変更手段が前記モードを外気循環に変更して前記空調装置を動作させてブロアをオンとすることができる。このことにより、高温状態において長時間駐車した後の前記車両にユーザが乗り込む前に、予め前記モードを内気循環から外気循環に変更して前記空調装置のブロアをオンとしておくことにより、前記空調装置のダクト内の高温の空気を前記ブロアにより吐き出させておき、前記ユーザが乗り込んだ時に、ユーザが前記ダクト内の高温の空気を吹き付けられて不快に感じることを回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用窓開閉装置によれば、よりきめの細かい条件設定に基づいて車両の窓の開閉をユーザの要望に応じて実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係わる車両用窓開閉装置の一実施形態を示す模式図である。
【0017】
本実施例1に係わる車両用窓開閉装置1は、スマートキー2と、スマートアンテナ3と、照合ECU4と、サイドウィンドウ5と、ウィンドウレギュレータ6と、ボデーECU7と、雨滴センサ8と、エアコンECU9と、温度センサ10と、ナビゲーションECU11と、GPSアンテナ12とを含んで構成される。照合ECU4とボデーECU7、エアコンECU9、ナビゲーションECU11は例えばCAN(Controller Area Network)等の通信規格により相互に接続される。
【0018】
ここで、照合ECU4とスマートキー2とは以下に示すように双方向通信を行う。スマートアンテナ3は、車両の前後左右すなわち運転席側、助手席側、右後部席側、左後部座席側のドア近傍に四箇所設けられ、それぞれの送信用アンテナを中心として例えば半径Amの検出エリアを形成して、その検出エリアに照合ECU4の制御に基づいて、通信用周波数にてリクエスト信号を送信する。
【0019】
さらに、ユーザの所持しているスマートキー2が検出エリアに位置していて、スマートキー2の送受信回路が送受信用アンテナを介してそのリクエスト信号を受信して、そのリクエスト信号にスマートキー2内部の制御回路が応答して認証コードを含んだアンサー信号を送信した場合には、照合ECU4はそのアンサー信号を、スマートアンテナ3を介して受信するものである。
【0020】
照合ECU4(Electronic Control Unit)は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、近接判定手段を構成する。
【0021】
照合ECU4は、検出エリアに対してスマートアンテナ3を介してリクエスト信号を送信し、スマートキー2が検出エリアに位置していて、スマートキー2の制御回路がそのリクエスト信号に応答して送信した認証コードを含むアンサー信号を受信して、アンサー信号に含まれる認証コードと予め登録されている認証コードと照合して合致している場合は認証を行い、合致していない場合は認証を行わないとともに、認証を行った場合に、ユーザが車両から一定距離以内に近接したと判定し、認証を行わない場合に、ユーザが車両から一定距離以内に近接していないと判定する。
【0022】
サイドウィンドウ5は車両の前後左右のドアにそれぞれ設置される窓であって、ウィンドウレギュレータ6は車両の前後左右のドアの内部に設置されて、サイドウィンドウ5の開閉動作をボデーECU7の制御に基づいて実行するものである。
【0023】
雨滴センサ8は車両の例えばフロントガラスの直下のワイパー近傍に設けられて、車両に滴下する雨滴の雨滴量を検出して、検出結果をボデーECU7に出力する雨滴量検出手段を構成する。
【0024】
ボデーECU7は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、雨滴量検出手段を構成する雨滴センサ8が接続されて検出結果を入力して、雨滴量が第二規定値以下であるかを判定する雨滴量判定手段を構成する。さらに、ボデーECU7はドアが開閉いずれの状態であるかを検出するドア開閉検出手段を構成する。
【0025】
温度センサ10は、車室内のいずれかの箇所に設けられて車室内の温度を検出して、検出結果をエアコンECU9に出力する温度検出手段を構成するものである。
【0026】
エアコンECU9は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、温度センサ10の検出した温度と設定温度に基づいて、車両の空調装置のコンプレッサーやブロアのオンオフ制御を行うとともに、内気循環又は外気循環を含むモードを変更する変更手段を構成するものである。
【0027】
GPSアンテナ12は、地球上空に打ち上げられた複数の衛星の内三個の衛星からの電波を受信するものであって、受信結果をナビゲーションECU11に出力するものである。
【0028】
カーナビゲーションECU11は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、GPSアンテナ12の受信した三個の衛星からの電波をもとに、例えば三角測量の原理で車両の駐車位置を検出する駐車領域検出手段を構成するとともに、駐車領域がユーザにより例えばタッチパネル等により予め設定された禁止領域以外であるか否かを判定する領域判定手段を構成するものである。
【0029】
近接判定手段を構成する照合ECU4が肯定と判定し、温度判定手段を構成するエアコンECU9が肯定と判定し、雨滴量判定手段を構成するボデーECU7が肯定と判定し、領域判定手段を構成するナビゲーションECU11が肯定と判定する場合に、開閉手段を構成するボデーECU7がウィンドウレギュレータ6により窓を構成するサイドウィンドウ5の開動作を行う。
【0030】
以下、本実施例1の車両用窓開閉装置1の制御内容についてフローチャートを用いて説明する。図2は、本発明による車両用窓開閉装置1の制御内容を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS1において、ユーザが車両に近づき、ステップS2において、近接判定手段を構成する照合ECU4が、スマートキー2を所持したユーザが車両に対して一定距離以内に接近したか否かを判定し、肯定である場合にはS3にすすみ、否定である場合にはENDにすすむ。
【0032】
ステップS3において、温度判定手段を構成するエアコンECU9は、車両室内の温度が第一規定値以上であるか否かを判定し、肯定である場合にはステップS4にすすみ、否定である場合には、ENDにすすむ。
【0033】
ステップS4において、雨滴量判定手段を構成するボデーECU7が、雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定し、肯定である場合にはステップS5にすすみ、否定である場合には、ENDにすすむ。
【0034】
ステップS5において、領域判定手段を構成するナビゲーションECU11は、車両の駐車領域が予め設定された禁止領域以外か否かを判定し、肯定である場合にはステップS6にすすみ、否定である場合にはENDにすすむ。
【0035】
ステップS7において、開閉手段を構成するボデーECU7は、ウィンドウレギュレータ6に開動作指令を出力して、ウィンドウレギュレータ6の開動作に基づいて、窓を構成するサイドウィンドウ5は開とされる。
【0036】
さらに、ステップS6において、窓が開けられた後に、ステップS7において、ドア開閉検出手段を構成するボデーECU7が、ユーザがドアを開いたか否かを判定し、否定である場合にはステップS8にすすみ、肯定である場合にはENDにすすむ。
【0037】
ステップS8において、近接判定手段を構成する照合ECU4が、ユーザが車両から一定距離以上離れたか否かを判定し、肯定である場合にはステップS9にすすみ、開閉手段を構成するボデーECU7は、ウィンドウレギュレータ6に閉動作指令を出力して、ウィンドウレギュレータ6の閉動作に基づいて、窓を構成するサイドウィンドウ5は閉とされ、否定である場合にはENDにすすむ。
【0038】
以上述べた制御内容により実現される本実施例1の車両用窓開閉装置1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、駐車領域がユーザにとって日常的に頻繁に行き来するポイントであって、ユーザの日常的な行動の範囲内において、どうしてもスマートエントリーシステムのスマートキー2を所持した状態で車両に接近することが不可避であり、スマートアンテナ3の構成する検出エリアに進入してしまう状況が発生しても、ユーザの意図に反して車両の窓の開動作が行われてしまうことを防止することができる。これにより、ユーザに違和感を与えることを防止することができる。
【0039】
なお、本実施例1における図2に示したフローチャートのステップS5を除外すると、図3に示すように、車両用窓開閉装置51はナビゲーションECU11とGPSアンテナ12が不要な構成となり、制御内容も図4のフローチャートのように簡略的なものとなるが、ナビゲーションECU11及びGPSアンテナ12は現在においては汎用的な装備であり、本実施例1の車両用窓開閉装置1は、格別の構成の追加を伴うことなく、よりユーザの要求に合致したフレンドリーな制御内容を実現することができていると言える。
【0040】
上述した実施例1においては、駐車領域が予め設定された禁止領域以外か否かにより、よりきめの細かい条件設定に基づいて窓の開動作を行ったが、空調装置のラストモードすなわち前回走行終了後の降車時において選択していたモードに基づいて、よりきめの細かい条件設定に基づいて窓の開動作及び空調装置の制御を実行することもできる。以下、それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0041】
図5は本発明に係わる車両用窓開閉装置の他の実施形態を示す模式図である。
【0042】
実施例2の車両用窓開閉装置21はシステムの構成要素そのものについては実施例1に示したものと同様であり、図1に比してナビゲーションECU11とGPSアンテナ12を含まないこと以外は同じであるため、共通する構成要素については同一の符号を付して、重複する個々の説明は割愛する。
【0043】
以下、本実施例2の車両用窓開閉装置1の制御内容についてフローチャートを用いて説明する。図6は、本発明による車両用窓開閉装置1の制御内容を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS11において、ユーザが車両に近づき、ステップS12において、近接判定手段を構成する照合ECU4が、スマートキー2を所持したユーザが車両に対して一定距離以内に接近したか否かを判定し、肯定である場合にはS13にすすみ、否定である場合にはENDにすすむ。
【0045】
ステップS13において、温度判定手段を構成するエアコンECU9は、車両室内の温度が第一規定値以上であるか否かを判定し、肯定である場合にはステップS14にすすみ、否定である場合には、ENDにすすむ。
【0046】
ステップS14において、雨滴量判定手段を構成するボデーECU7が、雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定し、肯定である場合にはステップS15にすすみ、否定である場合には、ENDにすすむ。
【0047】
ステップS15において、開閉手段を構成するボデーECU7は、ウィンドウレギュレータ6に開動作指令を出力して、ウィンドウレギュレータ6の開動作に基づいて、窓を構成するサイドウィンドウ5は開とされる。
【0048】
さらに、窓が開けられた後に、ステップS16において、ドア開閉検出手段を構成するボデーECU7が、ユーザがドアを開いたか否かを判定し、否定である場合にはステップS17にすすみ、肯定である場合にはENDにすすむ。
【0049】
ステップS17において、モード検出手段を構成するエアコンECU9により、空調装置の前回の降車時のモードを検出して、エアコンECU9はモードが内気循環であるか否かを判定し、肯定である場合にはステップS18にすすみ、否定である場合にはステップS19にすすむ。
【0050】
ステップS18において、変更手段を構成するエアコンECU9が空調装置のモードを外気循環に変更し、ステップS19においてエアコンECU9は空調装置のブロアをオンとする。
【0051】
ステップS20において、近接判定手段を構成する照合ECU4が、ユーザが車両から一定距離以上離れたか否かを判定し、肯定である場合にはステップS21にすすみ、開閉手段を構成するボデーECU7は、ウィンドウレギュレータ6に閉動作指令を出力して、ウィンドウレギュレータ6の閉動作に基づいて、窓を構成するサイドウィンドウ5は閉とされ、変更手段を構成するエアコンECU9により空調装置のブロアをオフとし、否定である場合にはENDにすすむ。
【0052】
本実施例2によれば、前回の降車時の空調装置のモードすなわちラストモードが、内気循環に選択されている場合には、ユーザが車両に近づいてユーザが一定距離以内に接近した段階において、ボデーECU7によりサイドウィンドウ5を開けるとともに、エアコンECU9がモードを外気循環に変更して空調装置を動作させてブロアをオンとすることができる。
【0053】
つまり、外気温が極めて高い高温状態において長時間駐車した後の車両にユーザが乗り込む前に、予め空調装置のモードを内気循環から外気循環に変更して空調装置のブロアをオンとしておくことにより、空調装置のダクト内の高温の空気をブロアにより吐き出させておき、ユーザが乗り込んだ時に、ユーザがダクト内の高温の空気を吹き付けられて不快に感じることを回避することができる。
【0054】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、よりきめの細かい条件設定に基づいて車両の窓の開閉をユーザの要望に応じて実行することができる車両用窓開閉装置を提供することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る車両用窓開閉装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用窓開閉装置
2 スマートキー
3 スマートアンテナ
4 照合ECU
5 サイドウィンドウ
6 ウィンドウレギュレータ
7 ボデーECU
8 雨滴センサ
9 エアコンECU
10 温度センサ
11 ナビゲーションECU
12 GPSアンテナ
21 車両用窓開閉装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた複数のドアにそれぞれ設置された窓を開閉する開閉手段と、スマートキーが一定距離以内に近接したか否かを判定する近接判定手段と、前記車両の室内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度が第一規定値以上であるか否かを判定する温度判定手段と、前記車両における雨滴量を検出する雨滴量検出手段と、前記雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定する雨滴量判定手段と、前記車両が駐車している駐車領域を検出する駐車領域検出手段と、前記駐車領域が予め設定された禁止領域以外であるか否かを判定する領域判定手段を備えるとともに、前記近接判定手段が肯定と判定し、前記温度判定手段が肯定と判定し、前記雨滴量判定手段が肯定と判定し、前記領域判定手段が肯定と判定する場合に、前記開閉手段が前記窓を開けることを特徴とする車両用窓開閉装置。
【請求項2】
車両に備えられた複数のドアにそれぞれ設置された窓を開閉する開閉手段と、スマートキーが一定距離以内に近接したか否かを判定する近接判定手段と、前記車両の室内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度が第一規定値以上であるか否かを判定する温度判定手段と、前記車両における雨滴量を検出する雨滴量検出手段と、前記雨滴量が第二規定値以下であるか否かを判定する雨滴量判定手段と、前記車両の空調装置の前回の降車時のモードを検出するモード検出手段と、前記モードを変更するモード変更手段と、前記ドアの開閉を検出するドア開閉検出手段を備えるとともに、前記近接判定手段が肯定と判定し、前記温度判定手段が肯定と判定し、前記雨滴量判定手段が肯定と判定し、前記開閉手段が前記窓を開けた後、前記モードが内気循環である場合に、前記変更手段が前記モードを外気循環に変更して前記空調装置を動作させることを特徴とする車両用窓開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−121380(P2010−121380A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297070(P2008−297070)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】