説明

部品内蔵基板およびその製造方法

【課題】電子部品を内蔵するための開口部を小さくできる部品内蔵基板を提供する。
【解決手段】第1絶縁層3cに第1導電層4c1と層間導通部1c2が形成された第1の基板3Aと、層間導通部1c2と接続される電子部品2と、第2絶縁層3bに第2導電層4b1が形成され、電子部品2を内蔵する位置に開口部6を有する第2の基板2Aと備えた部品内蔵基板10。第2導電層4b1は、平面視枠状の枠状部7b1を有する。開口部6は、枠状部7b1の内側領域8b1全域の第2絶縁層3bを厚さ方向に貫通して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を内蔵した部品内蔵基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高機能化に伴って、機器に組み込まれる電子部品も小型化が進み、電子部品を実装するプリント配線板においても、高密度化、多層化、高速伝送特性の向上が求められている。これらの要求に応えるための技術として、EWLP(Embedded Wafer Level Package)というパッケージ技術がある。
EWLPは、WLCSP(Wafer Level Chip Size Package)などの半導体構成体(電子部品)をプリント配線板に内蔵する技術である。EWLPによれば、実装密度を向上させることができ、半導体素子間の配線長が短縮され、高速伝送特性の向上が可能である。
【0003】
部品内蔵基板としては、電子部品を内蔵する両面配線板の両面側に、それぞれ片面配線板を積層したものがある(特許文献1を参照)。
図13は、部品内蔵基板の一例であり、この部品内蔵基板100は、絶縁樹脂層3の両面に導電層4が形成された両面配線板A102の一方および他方の面に、絶縁樹脂層3の外面側に導電層4が形成された片面配線板A101、A103を積層したものである。両面配線板A102は、絶縁樹脂層3に形成された開口部6に電子部品2を内蔵している。配線板A101〜A103は、接着層5を介して互いに接着され、層間導通部1によって互いに電気的に接続されている。
【0004】
図14および図15は、両面配線板A102の絶縁樹脂層3に開口部6を形成する工程を示すもので、この図に示すように、開口部6は、例えば個片化前の複数の両面配線板A102の絶縁樹脂層3に、レーザ加工やドリル加工などにより形成する。
図16は、開口部6を形成する工程における両面配線板A102の絶縁樹脂層3の平面図であり、図16(A)に2点鎖線示す領域6aをレーザ加工やドリル加工などにより除去することによって、図16(B)に示す開口部6を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−270362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記部品内蔵基板では、開口部6の形成位置にずれが生じて電子部品2の内蔵に支障が生じるおそれがあるため、前記ずれを考慮して開口部6を大きく形成する必要があり、部品内蔵基板の小型化を図るうえで改善が要望されていた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、電子部品を内蔵するための開口部を小さくできる部品内蔵基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、前記層間導通部と接続される電子部品と、第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板であって、前記第2導電層が、平面視枠状の枠状部を有し、前記開口部は、前記枠状部の内側領域全域の前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されている部品内蔵基板を提供する。
前記枠状部は、前記第2絶縁層の両面にそれぞれ形成され、そのうち一方の面側の前記枠状部は、反対面側の前記枠状部に比べて内側領域の面積が大きく、かつ前記一方の面側の内側領域が平面視において前記反対面側の内側領域を包含することが好ましい。
【0008】
本発明は、第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、前記層間導通部と接続される電子部品と、第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板の製造方法であって、前記第2絶縁層に、前記第2導電層からなる平面視枠状の枠状部を形成し、前記枠状部の内側に位置する前記第2絶縁層にレーザ光を照射することにより、レーザ加工によって前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通して前記開口部を形成する工程を含み、前記枠状部の内側の前記第2絶縁層にレーザ光を照射して前記開口部を形成するにあたって、前記レーザ光を、少なくとも前記枠状部の内周縁を含む領域に照射する部品内蔵基板の製造方法を提供する。
本発明は、第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、前記層間導通部と接続される電子部品と、第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板の製造方法であって、前記第2絶縁層に、前記第2導電層からなる平面視枠状の枠状部を形成し、前記枠状部の内側に位置する前記第2絶縁層を、ウェットエッチングにより厚さ方向に貫通して前記開口部を形成する工程を含む部品内蔵基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開口部が、第2導電層からなる枠状部の内側領域に形成されているので、第2導電層(導電回路)に対する開口部の位置にずれが生じることはない。
従って、開口部の形成位置のずれを考慮して開口部を大きく形成する必要がなく、部品内蔵基板の小型化を図ることができる。
また、開口部は、枠状部の内周縁に沿う形状となるため、開口部の形状(例えば矩形の開口部の角部の形状)はレーザ光のスポット径やドリル径などの影響を受けない。このため、スポット径が大きいレーザ光を用いることにより加工時間の短縮が可能となる。
また、レーザ光のスポット径やドリル径などを考慮する必要ないことから、開口部の大きさや形状について設計の自由度が高められ、部品内蔵基板の小型化を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の部品内蔵基板を示す断面図である。
【図2】図1の部品内蔵基板の枠状部および開口部を示す平面図である。
【図3】図1の部品内蔵基板の製造工程を示す工程図である。
【図4】前図に続く工程図である。
【図5】前図に続く工程図である。
【図6】前図に続く工程図である。
【図7】前図に続く工程図である。
【図8】前図に続く工程図である。
【図9】開口部を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【図10】開口部を形成する工程を模式的に示す平面図である。
【図11】開口部を形成する工程の他の例を模式的に示す断面図である。
【図12】開口部を形成する前の状態の配線板を示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は平面図である。
【図13】従来の部品内蔵基板の一例を示す断面図である。
【図14】前図の部品内蔵基板の製造工程を示す工程図である。
【図15】前図に続く工程図である。
【図16】開口部を形成する工程を示す平面図であり、(A)は開口部を形成する前の状態を示し、(B)は開口部を形成した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の部品内蔵基板の製造方法である部品内蔵基板10を示す断面図である。図2は、部品内蔵基板10の枠状部7および開口部6を示す平面図である。以下、図1における上下位置に基づいて各構成の位置関係を説明することがある。
【0012】
図1に示すように、部品内蔵基板10は、例えば電子部品2を内蔵した積層プリント配線板であって、電子部品2を内蔵した両面配線板2Aの一方および他方の面に、それぞれ片面配線板である配線板1A、3Aを積層したものである。
配線板1A〜3Aは、例えばポリイミドなどからなる絶縁樹脂層3の一方または両方の面に、銅などの導電体からなる導電層4を備え、接着層5を介して互いに接着され、層間導通部1によって互いに電気的に接続されている。
【0013】
上層配線板1Aは、絶縁樹脂層3(3a)の一面3a1側(図1の上面)に導電層4(4a1)が形成されている。絶縁樹脂層3(3a)には、絶縁樹脂層3を貫通して導電層4(4a1)から他面3a2側(図1の下面)に至る1または複数の層間導通部1(1a1)が形成されている。
層間導通部1(1a1)は、下端が両面配線板2Aの一面側(上面)の導電層4(4b1)に達し、これによって、上層配線板1Aの導電層4(4a1)と両面配線板2Aの導電層4(4b1)とを接続している。
上層配線板1Aとしては、例えばポリイミドなどからなる絶縁樹脂層3の一方の面に、銅などの導電体からなる導電層4が設けられた片面銅張積層板(CCL)を使用できる。
【0014】
両面配線板2A(第2の基板)は、絶縁樹脂層3(3b)(第2絶縁層)の一面3b1側(上面)に導電層4(4b1)(第2導電層)が形成され、他面3b2側(下面)に導電層4(4b2)(第2導電層)が形成されている。
絶縁樹脂層3(3b)には、電子部品2を内蔵する位置に開口部6が形成されている。
【0015】
図1および図2に示すように、絶縁樹脂層3(3b)の一面3b1側(上面)の導電層4(4b1)は、平面視枠状の枠状部7b1(反対面側の枠状部)を有する。
枠状部7b1は導電層4(4b1)の一部であり、例えば銅などの導電体からなる層である。導電層4(4b1)の他の部分は導電回路12(配線層)を構成する。
枠状部7b1の外形(平面視形状)は特に限定されず、例えば矩形(正方形、長方形)、円形、不定形などであってよい。図示例の枠状部7b1の外形は矩形(正方形)である。
【0016】
枠状部7b1の内側領域8b1の平面視形状(枠状部7b1の内周縁7b1aがなす形状)は、電子部品2に応じた形状とされ、例えば矩形(正方形、長方形)、円形、不定形などであってよい。図示例の内側領域8b1は矩形(正方形)である。枠状部7b1は一定幅の矩形枠状とすることができる。
【0017】
絶縁樹脂層3(3b)には、平面視において枠状部7b1の内側領域8b1に、内側領域8b1と同じ平面視形状の開口部6が形成されている。開口部6は、内側領域8b1全域の絶縁樹脂層3(3b)を厚さ方向に貫通して形成されている。
【0018】
絶縁樹脂層3(3b)の他面3b2側(下面)の導電層4(4b2)は、平面視枠状の枠状部7b2(一方の面側の枠状部)を有する。
枠状部7b2は導電層4(4b2)の一部であり、例えば銅などの導電体からなる層である。導電層4(4b2)の他の部分は導電回路12(配線層)を構成する。
枠状部7b2の外形(平面視形状)は特に限定されず、例えば矩形(正方形、長方形等)、円形、不定形などであってよい。図示例の枠状部7b2の外形は矩形(正方形)である。枠状部7b2の内側領域8b2の平面視形状(枠状部7b2の内周縁7b2aがなす形状)は、例えば矩形(正方形、長方形)、円形、不定形などであってよい。図示例の内側領域8b2は矩形(正方形)である。枠状部7b2は一定幅の矩形枠状とすることができる。
【0019】
図2に示すように、絶縁樹脂層3(3b)の他面3b2側(図1の下面)の内側領域8b2は、一面3b1側(図1の上面)の内側領域8b1に比べて面積が大きく、かつ平面視において内側領域8b1を包含することが望ましい。
枠状部7b2の内周縁7b2aは、平面視において、全周にわたって枠状部7b1の内周縁7b1aよりも外方に位置していることが好ましい。内周縁7b2aは、全周にわたって内周縁7b1aに対して一定の間隔をおいて外方に位置していることが望ましい。
図示例では、内周縁7b2aの4つの辺部は、それぞれ対応する内周縁7b1aの辺部より例えば20〜50μm外方に位置させることができる。内周縁7b2aの辺部の長さは、対応する内周縁7b1aの辺部より例えば30〜150μm長いことが好ましい。
図2に示す例では、枠状部7b2の内側領域8b2は、枠状部7b1の内側領域8b1に比べて面積が大きく、かつ平面視において内側領域8b1を包含するため、枠状部7b2の平面視位置が枠状部7b1に対してずれた場合でも開口部6の寸法に影響が及ばない。このため、開口部6への電子部品2の内蔵に支障が生じることはない。
両面配線板2Aとしては、例えばポリイミドなどからなる絶縁樹脂層3の両面に導電層4が設けられた両面銅張積層板(CCL)を使用できる。
【0020】
図1に示すように、下層配線板3A(第1の基板)は、絶縁樹脂層3(3c)(第1絶縁層)の他面3c2側(下面)(一方の面)に導電層4(4c1)(第1導電層)が形成されている。絶縁樹脂層3(3c)には、絶縁樹脂層3を貫通して導電層4(4c1)から一面3c1側(上面)(他方の面)に至る1または複数の層間導通部1(1c1、1c2)が形成されている。
一部の層間導通部1(1c1)は、上端が両面配線板2Aの他面3b2側(下面)の導電層4(4b2)に達し、これによって、両面配線板2Aの導電層4(4b2)と下層配線板3Aの導電層4(4c1)とを接続している。
他の一部の層間導通部1(1c2)は、上端が電子部品2の導電層4(4d1)に達し、これによって、電子部品2の導電層4(4d1)と下層配線板3Aの導電層4(4c2)とを接続している。
【0021】
電子部品2は、抵抗やコンデンサ等の受動部品であってもよいし、IC、ダイオード、トランジスタ等の能動部品であってもよい。また、半導体素子を有する半導体(ベア)チップやWLCSPであってもよい。
電子部品2の他面2a2側(下面)には導電層4(4d1)が形成されている。
電子部品2は、両面配線板2Aの開口部6内に配置されているため、上層配線板1Aと下層配線板3Aとの間に配置される。
【0022】
接着層5は、プリント配線板の製造分野において公知の各種接着材を使用できる。例えばポリイミド系接着材、エポキシ系接着材などが好適である。
層間導通部1は、例えばニッケル、銀、銅、錫、ビスマス、インジウム、鉛などの金属粒子を含む導電性ペーストを加熱、硬化させたものが好適である。
【0023】
次に、本発明の部品内蔵基板の製造方法の一例を具体的に説明する。
図3に示すように、両面に導電層4Aが形成された絶縁樹脂層3(3b)を用意し、図4に示すように、レーザ加工等により絶縁樹脂層3に貫通孔9を形成する。
図5に示すように、貫通孔9の内面に、絶縁樹脂層3の両面の導電層4を互いに接続するための導電層4(4b3)を電解メッキなどにより形成する。
図6に示すように、導電層4Aにフォトリソグラフィーによるパターニングを施して導電層4を形成する。このとき形成される導電層4は、枠状部7b1、7b2と導電回路12とを含む。
枠状部7b1、7b2は、導電回路12と同様に導電層4の一部であり、導電回路12と同時に形成されるため、導電回路12に対する開口部6の位置にずれが生じることはない。このため、電子部品2の実装位置の精度向上が可能となる。
【0024】
次いで、図7に示すように、レーザ加工により枠状部7b1の内側領域8b1の絶縁樹脂層3(3b)を除去することにより、内側領域8b1と同形状(平面視形状)を有する開口部6を形成する。
以下、この開口部6の形成工程を、図9および図10を参照して詳しく説明する。
図9(A)および図9(B)に示すように、絶縁樹脂層3(3b)の一面3b1側から、レーザ光L1を枠状部7b1の内側領域8b1の絶縁樹脂層3(3b)に照射する。具体的には、レーザ光L1は少なくとも内側領域8b1の周縁部8b1a(図10(A)参照)を含む領域に照射される。この例では、レーザ光L1は、内周縁7b1aに沿って移動させつつ照射される。なお、レーザ光L1は内側領域8b1の全域に一度に照射してもよい。レーザ加工には、炭酸ガスレーザやエキシマレーザなどを使用できる。
【0025】
図9(B)および図10(A)に示すように、レーザ光L1は、少なくとも枠状部7b1の内周縁7b1aを含む領域にも照射することが好ましい。この例では、レーザ光L1の一部は内周縁7b1aを含む部分の枠状部7b1に照射され、他部は内側領域8b1の周縁部8b1aを含む部分の絶縁樹脂層3(3b)に照射される。
レーザ光L1を枠状部7b1の内周縁7b1aを含む領域にも照射することによって、レーザ光L1を内側領域8b1の周縁部8b1aに確実に照射し、内側領域8b1と同じ形状の開口部6を確実に形成することができる。
レーザ光L1は、絶縁樹脂層3のみが加工され、枠状部7b1が損傷を受けないように出力調整されることが好ましい。
レーザ光L1を内周縁7b1aに沿って全周にわたって照射することによって、絶縁樹脂層3(3b)に開口部6を形成することができる。
【0026】
図9(C)および図9(D)に示すように、内周縁7b1aに沿ってレーザ加工を行うことで切り出された絶縁樹脂層3の切出し部分13を除去する。
図9(D)および図10(B)に示すように、レーザ光L1は内側領域8b1の周縁部8b1aを含む領域の絶縁樹脂層3(3b)に照射されるため、内側領域8b1と同じ形状の開口部6を精度よく形成することができる。
開口部6の形成は、個片化した後の絶縁樹脂層3に対して行ってもよいし、個片化される前の絶縁樹脂層3に対して行ってもよい(図14および図15を参照)。
【0027】
図8に示すように、上層配線板1A、両面配線板2A、下層配線板3Aおよび電子部品2をそれぞれ位置合わせして配置し、配線板1A〜3Aおよび電子部品2を一括積層法により積層することによって、図1に示す部品内蔵基板10を得る。
配線板1A〜3Aおよび電子部品2を積層する際には、両面配線板2Aには厚さ方向の大きな力が加えられるが、枠状部7b1、7b2が補強部材として機能するため、接着層5の流動の影響により絶縁樹脂層3(3b)に曲げ変形が生じることはなく、部品内蔵基板10の平坦性を確保できる。
【0028】
部品内蔵基板10では、開口部6が、導電層4からなる枠状部7b1の内側領域8b1に形成されているので、導電層4(導電回路12)に対する開口部6の位置にずれが生じることはない。
従って、開口部6の形成位置のずれを考慮して開口部6を大きく形成する必要がなく、部品内蔵基板10の小型化を図ることができる。
また、開口部6は、枠状部7b1の内周縁7b1aに沿う形状となるため、開口部6の形状(例えば矩形の開口部6の角部の形状)はレーザ光のスポット径やドリル径などの影響を受けない。このため、スポット径が大きいレーザ光L1を用いることにより加工時間の短縮が可能となる。加工時間は、枠状部を形成しない場合に比べて例えば1/3〜1/5程度とすることができる。
また、レーザ光のスポット径やドリル径などを考慮する必要ないことから、開口部6の大きさや形状について設計の自由度が高められ、部品内蔵基板10の小型化を図る上で有利となる。
【0029】
上記製造方法ではレーザ加工によって開口部6を形成したが、開口部6は、他の方法によって形成することもできる。以下、ウェットエッチングによって開口部6を形成する方法の一例を説明する。
図3〜図6に示す方法に従って、導電層4を有する絶縁樹脂層3(3b)(以下、配線板2Bという)を作製する。
図11(A)および図11(B)に示すように、枠状部7b1、7b2の内周縁7b1a、7b2aを含む部分(内周部分14b1、14b2)および内側領域8b1、8b2を残して、絶縁樹脂層3(3b)の面3b1、3b2と導電層4(4b1、4b2)を保護用の被覆樹脂11で覆う。
図11(C)に示すように、配線板2Bを、例えば水酸化カリウムなどを主成分とするエッチング液に接触させることによって、枠状部7b1の内側領域8b1の絶縁樹脂層3(3b)を除去して開口部6を形成する。次いで、図11(D)に示すように、被覆樹脂11を除去する。
エッチングによる開口部6の形成は、個片化される前の絶縁樹脂層3に対して行ってもよい(図14および図15を参照)。個片化の前の絶縁樹脂層3に対して開口部6を形成することによって、複数の開口部6を一度に形成することができ、製造効率を高めることができる。
【0030】
この方法では、エッチングによって、枠状部7b1の内側の絶縁樹脂層3(3b)を除去することによって開口部6を形成するので、容易な操作で、開口部6を精度よく形成することができる。
【0031】
次に、ウェットエッチングによって開口部6を形成する方法の他の例を、図12を参照して説明する。
図12は、開口部6を形成する前の状態の配線板2Bを示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は平面図である。
この方法は、導電層4A(図5参照)にパターニングを施して導電層4を形成する際に、内側領域8b1、8b2の導電層を全て除去するのではなく、図12に示すように、内側領域8b1、8b2の周縁部のみの導電層を除去し、内側領域8b1、8b2の中央部分に導電層4B1、4B2を残した状態として、図11(B)〜図11(D)に示す工程に従って、開口部6を形成する。
この方法では、導電層4B1、4B2が補強部材として機能するため、絶縁樹脂層3(3b)に変形が生じにくいことから、開口部6を精度よく形成することができる。
【0032】
なお、図1等に示す部品内蔵基板10は、配線板1A〜3Aを積層したものであるが、本発明で製造される部品内蔵基板は、これら以外の他の配線板を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1、1c2・・・層間導通部、2・・・電子部品、2A・・・両面配線板(第2の基板)、3・・・絶縁樹脂層(絶縁層)、3b・・・絶縁樹脂層(第2絶縁層)、3c・・・絶縁樹脂層(第1絶縁層)、3A・・・下層配線板(第1の基板)、4・・・導電層、4b1、4b2・・・導電層(第2導電層)、4c1・・・導電層(第1導電層)、6・・・開口部、7b1・・・枠状部(反対面側の枠状部)、7b1a・・・内周縁、7b2・・・枠状部(一方の面側の枠状部)、8、8b1、8b2・・・内側領域、10・・・部品内蔵基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、
前記層間導通部と接続される電子部品と、
第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板であって、
前記第2導電層が、平面視枠状の枠状部を有し、
前記開口部は、前記枠状部の内側領域全域の前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されていることを特徴とする部品内蔵基板。
【請求項2】
前記枠状部は、前記第2絶縁層の両面にそれぞれ形成され、そのうち一方の面側の前記枠状部は、反対面側の前記枠状部に比べて内側領域の面積が大きく、かつ前記一方の面側の内側領域が平面視において前記反対面側の内側領域を包含することを特徴とする請求項1記載の部品内蔵基板。
【請求項3】
第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、
前記層間導通部と接続される電子部品と、
第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板の製造方法であって、
前記第2絶縁層に、前記第2導電層からなる平面視枠状の枠状部を形成し、前記枠状部の内側に位置する前記第2絶縁層にレーザ光を照射することにより、レーザ加工によって前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通して前記開口部を形成する工程を含み、
前記枠状部の内側の前記第2絶縁層にレーザ光を照射して前記開口部を形成するにあたって、前記レーザ光を、少なくとも前記枠状部の内周縁を含む領域に照射することを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
第1絶縁層の一方の面に第1導電層が形成され、前記第1絶縁層を貫通し前記第1導電層から他方の面に至る層間導通部を有する第1の基板と、
前記層間導通部と接続される電子部品と、
第2絶縁層に第2導電層が形成され、前記第2絶縁層の前記電子部品を内蔵する位置に開口部が形成された第2の基板と、を少なくとも備えた部品内蔵基板の製造方法であって、
前記第2絶縁層に、前記第2導電層からなる平面視枠状の枠状部を形成し、前記枠状部の内側に位置する前記第2絶縁層を、ウェットエッチングにより厚さ方向に貫通して前記開口部を形成する工程を含むことを特徴とする部品内蔵基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−55109(P2013−55109A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190527(P2011−190527)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】