配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法
【課題】放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な配線基板を提供すること。
【解決手段】配線パターンが形成された回路基板11と、絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層3と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層8と、第1の絶縁層3と第2の絶縁層8によって挟まれたシート状の、導電性を有するグラファイトシート2とを有し、回路基板11の配線パターンが形成された側に設けられた放熱層20とを備え、放熱層20は、第1の絶縁層3とグラファイトシート2と第2の絶縁層8を貫通し、配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部4と、導電部4とグラファイトシート2の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部5とを有する、配線基板である。
【解決手段】配線パターンが形成された回路基板11と、絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層3と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層8と、第1の絶縁層3と第2の絶縁層8によって挟まれたシート状の、導電性を有するグラファイトシート2とを有し、回路基板11の配線パターンが形成された側に設けられた放熱層20とを備え、放熱層20は、第1の絶縁層3とグラファイトシート2と第2の絶縁層8を貫通し、配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部4と、導電部4とグラファイトシート2の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部5とを有する、配線基板である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ、ノート型パソコンなどの携帯型の電子機器では、小型・高機能化に伴い、電子装置部における高い放熱性能を有することが求められている。
【0003】
一般的に、電子装置では、半導体チップが発生した熱を効率よく放熱するために、半導体チップに放熱器として作用する金属平板や冷却ファンを備えるヒートシンクが取り付けられることが多い。半導体チップで発生した熱が、ヒートシンクに伝達され、さらにその表面から大気中に発散されることによって、放熱が実現されている。
【0004】
図10は、従来の電子装置の断面構成図であり、発熱量の増大に伴う放熱構造を説明する図である。
【0005】
図10に示す電子装置では、回路基板1041上に回路基板電極1042が形成されており、接続用のはんだ1043を介して、半導体部品1044が回路基板1041に実装されている。また、図中、半導体部品1044の放熱対策部品として、半導体部品1044の上側には、ヒートシンク1045が配置されており、ヒートシンク1045の上側には空冷ファン1046が配置されている。このように、半導体の発熱量の増大が進むにつれて、図10に示すようにヒートシンク1045の大型化や空冷ファン1046や水冷システムの設置で対応しなければならなくなる。
【0006】
しかしながら、携帯電話やデジタルカメラ、ノート型パソコンなどの携帯型電子機器ではこのような放熱器に割くスペースには限りがあるので、ヒートシンク1045の大型化には限界がある。また空冷ファン1046や水冷システムの設置・搭載使用に対してはスペースの課題に加え、バッテリーの消耗速度の加速化につながり、実質的には困難である。
【0007】
一方、半導体部品の放熱に関して、熱伝導率の高いグラファイトシートを用いる手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2006−196593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した図10に示す電子装置に対して、上記特許文献1に示すグラファイトシートを用いようとすると、例えば、図中、回路基板1041の下側(面1041b側)にグラファイトシートを配置することが考えられる。
【0010】
しかしながら、グラファイトシートは導電性を有しているためグラファイトシートの下側に電子部品を配置し、多層基板を実現しようとしても、回路基板1041と電気的に接続することが出来ないという問題があった。
【0011】
このように、片面にしか回路部品を配置できないという設計上の制約があるため、電子部品の小型化が実現できなかった。
【0012】
本発明は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔が形成された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記加熱加圧工程によって狭窄された前記貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記加熱加圧工程において、前記貫通孔の一部を構成する前記熱伝導部材の内壁を覆うように前記第1の絶縁層素材及び前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂がまわりこみ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する前記絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0014】
また、第2の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂を充填する充填工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂が充填された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記樹脂が充填された前記第1の貫通孔に、前記第1の貫通孔より径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程により、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0015】
また、第3の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔が形成されている前記熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、加熱及び加圧して放熱層素材を作製する放熱層素材形成工程と、
前記放熱層素材の、前記第1の貫通孔が形成されている部分に、前記第1の貫通孔よりも径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程において、前記加熱及び加圧によって前記第1の貫通孔の内側にまわりこんだ樹脂のうち、前記第2の貫通孔の内側の部分が取り除かれ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0016】
また、第4の本発明は、
前記第2の貫通孔形成工程とともに、前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通する第3の貫通孔を形成する第3の貫通孔形成工程を備え、
前記充填工程は、前記第2の貫通孔とともに、前記第3の貫通孔に前記導電性材料を充填することによって、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁される放熱部素材を形成する工程である、第3の本発明の配線基板の製造方法である。
【0017】
また、第5の本発明は、
前記熱伝導部材は、グラファイト材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0018】
また、第6の本発明は、
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部素材を形成する樹脂は、同じ材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0019】
また、第7の本発明は、
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部を形成する樹脂素材は、それぞれフェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0020】
また、第8の本発明は、
前記導電性材料は、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の導電性材料を含んでいる、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0021】
また、第9の本発明は、
配線パターンが形成された回路基板と、
絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層によって挟まれたシート状の、導電性を有する熱伝導部材とを有し、前記回路基板の前記配線パターンが形成された側に設けられた放熱層とを備え、
前記放熱層は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部と、前記導電部と前記熱伝導部材の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部とを有する、配線基板である。
【0022】
また、第10の本発明は、
配線パターンが形成された別の回路基板を更に備え、
前記別の回路基板は、前記放熱層に、前記回路基板と反対側であって、その配線パターンが形成された面が前記放熱層と対向するよう設けられている、第9の本発明の配線基板である。
【0023】
また、第11の本発明は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記導電性材料によって形成された放熱部を備え、
前記放熱部は、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁されている、第9の本発明の配線基板である。
【0024】
また、第12の本発明は、
第9の本発明の配線基板と、
前記回路基板に実装された電子部品とを備えた、電子装置である。
【0025】
また、第13の本発明は、
前記電子部品は、半導体部品である、第12の本発明の電子装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における電子装置の断面構成図
【図2】本発明の実施の形態1における電子装置の導電部近傍を拡大した断面構成図
【図3(a)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(b)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(c)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(d)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(e)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(f)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(g)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図4】(a)〜(c)本発明の実施の形態1の変形例における電子装置の製造方法を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態2における電子装置の断面構成図
【図6】(a)〜(c)本発明の実施の形態2における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(a)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(b)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(c)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(d)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(e)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(f)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(g)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(h)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図8】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態1の変形例における電子装置の断面構成図
【図10】発熱量増大に伴う従来の電子装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる実施の形態について説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付す。
【0029】
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1における電子装置について説明するとともに、本発明の配線基板の一例についても述べる。
【0030】
図1は、本発明にかかる実施の形態1における電子装置1の断面構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における電子装置1には、多層基板14と、多層基板14に実装された発熱部品9と、発熱部品9の上側に配置されたヒートシンク10が設けられている。
【0031】
また、多層基板14は、両面に電極6が形成された第1の回路基板11と、両面に電極7が形成された第2の回路基板12とを備えている。この第1の回路基板11と第2の回路基板12の間には、発熱部品9で発生した熱を放熱するための放熱層20が設けられている。
【0032】
また、放熱層20には、第1の回路基板11の下側に設けられた、絶縁性の樹脂によって形成された第1の絶縁層3と、第2の回路基板12の上側に設けられた、絶縁性の樹脂によって形成された第2の絶縁層8と、第1の絶縁層3と第2の絶縁層8によって挟まれた、熱伝導率の高いグラファイトシート2が設けられている。
【0033】
更に、放熱層20には、上記第1の絶縁層3、グラファイトシート2、及び第2の絶縁層8を貫通する貫通孔に導電性接着剤が充填されることによって形成された導電部4が設けられている。この導電部4は、第1の回路基板11に設けられている電極6と、第2の回路基板12に設けられている電極7とを電気的に接続している。
【0034】
図2は、導電部4近傍の拡大図である。図2に示すように、導電部4とグラファイトシート2が電気的に絶縁されるように、グラファイトシート2に形成されている貫通孔2bの内壁2aと、導電部4の間に絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部5が形成されている。
【0035】
尚、本発明の配線基板の一例は、本実施の形態1の多層基板14に相当する。又、本発明の回路基板の一例は、本実施の形態の第1の回路基板11に相当し、本発明の回路基板に形成された配線パターンは、本実施の形態の第1の回路基板11の第1の絶縁層3側に設けられた複数の電極6に相当する。また、本発明の別の回路基板の一例は、本実施の形態の第2の回路基板12に相当し、本発明の別の回路基板に形成された配線パターンは、本実施の形態の第2の回路基板12の第2の絶縁層8側に設けられた複数の電極7に相当する。また、本発明の熱伝導部材の一例は、本実施の形態のグラファイトシート2に相当する。
【0036】
次に、本実施の形態1の電子装置1の製造方法について説明するとともに、本発明の配線基板の製造方法の一例についても同時に述べる。
【0037】
図3(a)〜(g)は、本実施の形態1の電子装置の製造方法の作製プロセスを説明するための図である。
【0038】
先ず、図3(a)に示すように、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30が、熱伝達効率の高いグラファイトシート2の必要な表面部分に塗布される。本実施例においては、予め保護フィルム15の一面に未硬化の熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜したシートが一対準備される。この塗膜により、最終的に第1の絶縁層3となる第1の絶縁層素材103と、最終的に第2の絶縁層8となる第2の絶縁層素材108が形成される。
【0039】
そして、グラファイトシート2の両面を、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30で覆うようにシートが重ねられ、加圧加熱処理することで、グラファイトシート2の両面に、絶縁性樹脂30を塗膜したシートが貼り合わせられる。このように、グラファイトシート2に第1の絶縁層素材103と第2の絶縁層素材108を貼り付けることで、最終的に放熱層20となる放熱層素材120が形成される。なお、この際、熱硬化性樹脂は完全には硬化していない。また、このように、放熱層素材120を形成する工程が、本発明の配置工程の一例に相当する。
【0040】
また、例えば熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜した保護フィルム15としては、ニッカン工業株式会社製のポリミドフィルム付きカバーレイフィルム(商品名:ニカフレックスCISV)が使用できる。また、上記張り合わせる際の加熱及び加圧条件は、加熱60℃、加圧0.4MPaで30秒間行うことが望ましい。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、保護フィルム15ごと放熱層素材120の所定の位置に複数の第1の貫通孔21が形成される。孔開けはパンチングマシーンやレーザー装置を用いて行うことが出来る。この放熱層素材120に第1の貫通孔を形成する工程が、本発明の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、第1の貫通孔21が形成された放熱層素材120が再度、加圧及び加熱処理される。この加圧及び加熱処理により、軟化した絶縁性樹脂30は、絶縁性樹脂30中に形成された第1の貫通孔21を狭窄する方向に移動するとともに、グラファイトシート2に形成された、第1の貫通孔21の内壁2aを覆うようにぬれ広がる。このぬれ広がりにより、最終的に絶縁部5となる絶縁部素材105が形成される。この際、加圧及び加熱条件が重要となり、圧力や熱が高すぎると第1の貫通孔21が埋まり、低すぎると内壁2aに十分に濡れ広がらない結果となる。本実施例においては、100℃、及び0.4MPaで30秒間、加圧及び加熱が行われることが望ましい。なお、第1の貫通孔21が狭窄された貫通孔が、第2の貫通孔22として図3(c)に示されている。また、第1の貫通孔21が形成された放熱層素材120を再度、加圧及び加熱処理する工程が、本発明の加熱加圧工程の一例に相当する。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、第2の貫通孔22の内部に導電性接着剤40が充填される。導電性接着剤40としては、例えば、藤倉化成製FA−545を用いることが出来、第2の貫通孔22内には、スキージーにより充填することが出来る。尚、第2の貫通孔22に導電性接着剤40を充填することにより、最終的に導電部4となる導電部素材104が形成される。又、第2の貫通孔22の内部に導電性接着剤40を充填する工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。
【0044】
次に、図3(e)に示すように、図3(d)に示す状態の部材の両面から保護フィルム15が剥がされる。この保護フィルム15がはがされた状態の部材が、接着シート23として示されている。
【0045】
次に、図3(f)に示すように、高放熱機能を有する接着シート23の導電性接着剤40の突出している部分が、所定の第1の回路基板11側の電極6及び第2の回路基板12側の電極7と当接するように、第1の回路基板11、接着シート23、及び第2の回路基板12の位置合わせが行われ、積層して載置される。
【0046】
最後に、図3(g)に示すように、加熱及び加圧処理を行い、高放熱機能を有する接着シート23を形成する絶縁性樹脂30と導電性接着剤40を硬化させることで、第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化と、第1の回路基板11と第2の回路基板12の電気的接続が行われ、高放熱機能を有する多層基板14が作製される。尚、上記加熱及び加圧処理により、グラファイトシート2の両面に塗布された絶縁性樹脂30によって、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8が形成され、第2の貫通孔22に充填された導電性接着剤40によって導電部4が形成されることになる。また、このように第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化する工程が、本発明の接合工程の一例に相当する。
【0047】
上記のように作製された多層基板14に、半導体チップなどの発熱部品9を第1の回路基板11の表面に接続用はんだ13を用いて実装し、更に発熱部品9の上側にヒートシンク10を配置することによって、図1で説明した電子装置1が作製される。
【0048】
本実施の形態1の電子装置1の構成によれば、グラファイトシート2を第1の回路基板11の下側に配置しているため、発熱部品9による発熱を上側のヒートシンク10だけでなく、第1の回路基板11の下側にも放熱することが出来るため、従来の電子装置(図10参照)と比べて、効率良く放熱することが可能となる。そのため、従来設けられていたヒートシンク及び空冷ファンなどの冷却機構を小型化することが出来る。例えば、放熱量によっては、空冷ファンを設けなくてもよくなる場合や、更にヒートシンクを小型化することが出来る場合が生じる。更に放熱量によってはヒートシンクも設けなくてよくなる場合も生じる。
【0049】
また、本実施の形態1では、グラファイトシート2に貫通孔を形成して導電部4を作製し、更に導電部4とグラファイトシート2の間に絶縁部5を設けることにより、第1の回路基板11の下側にグラファイトシート2を設けつつ、第2の回路基板12を配置することが出来るため、従来と比較して、設計上の制約を低減することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、図3(b)、(c)に示すように、加熱及び加圧の数値を調整して、絶縁性樹脂30を第1の貫通孔21の内壁2aに回り込ませることにより、絶縁部5を作製しているため、グラファイトシート2と導電部4の絶縁を簡便に生産性良く形成できる点において優れている。
【0051】
尚、本発明の導電性材料の一例は、本実施の形態の導電性接着剤40に相当しており、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくtも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料を含んでいることが好ましい。
【0052】
尚、本実施の形態1では、第1の絶縁層3を形成する絶縁性樹脂と、第2の絶縁層8を形成する絶縁性樹脂と、絶縁部5を形成する絶縁性樹脂は、全て同じ絶縁性樹脂30が用いられているが、異なる絶縁性樹脂が用いられても良い。これらの絶縁性樹脂としては、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択されることが好ましい。
【0053】
図4(a)、(b)、(c)は、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8と異なる絶縁性材料32を用いて絶縁部5を作製する場合の作製プロセスを説明するための断面構成図である。図4(a)は、図3(b)と同様の状態を示す図である。図4(a)に示すように、放熱層素材120に第1の貫通孔21が形成される。この工程が、本発明の第1の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0054】
そして、図4(b)に示すように、絶縁部5に用いる絶縁性材料32が第1の貫通孔21に充填される。この工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。そして、加熱及び加圧が行われる。この加熱及び加圧が、本発明の加熱加圧工程の一例に相当する。
【0055】
続いて、図4(c)に示すように、第1の貫通孔21よりも小さい径の第2の貫通孔22がパンチング、レーザー等によって形成される。このように第2の貫通孔22を形成する工程が、本発明の第2の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0056】
以上の工程により、絶縁性材料32を用いて、内壁2aを覆うような絶縁部素材105´を作製することが出来る。この絶縁部素材105´から、図3(d)〜(g)の工程を経て、絶縁部5が形成される。
【0057】
また、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8についても異なる絶縁性材料を用いて作製してもよい。この場合、図3(a)の保護フィルム15に塗布する絶縁性樹脂を、第1の絶縁層素材103及び第2の絶縁層素材108で異なるものにすればよい。
【0058】
尚、本発明の熱伝導部材の一例は、本実施の形態のグラファイトシート2に相当するが、グラファイト材料でなく、金属等の熱伝達効率の高い別の材料によって形成されていても良い。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の電子装置について説明するとともに、本発明の配線基板の一例についても説明する。本実施の形態2の電子装置70は、実施の形態1の電子装置と基本的な構成は同じであるが、放熱の効率を向上させるための放熱部が設けられている点が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、本実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0060】
図5は、本実施の形態2の電子装置70の断面構成図である。図5に示すように、本実施の形態2の電子装置70では、実施の形態1の電子装置1と異なり、導電部4と平行に放熱部31が設けられている。この放熱部31は、第1の絶縁層3、グラファイトシート2、及び第2の絶縁層8を貫通した貫通孔に、導電性接着剤40を充填して形成されている。また、放熱部31は、導電部4と異なり、グラファイトシート2と接触し、且つ、第1の回路基板11と第2の回路基板12とは電気的に絶縁されている。
【0061】
次に、本実施の形態2の電子装置70の放熱部31を作製する方法について説明する。尚、放熱部31の作製以外は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0062】
図6(a)、(b)、(c)は、放熱部31を作製する方法を説明するための断面構成図である。図6(a)は、図3(c)と同じ状態を示す図である。図3(a)〜(c)において説明したように、図6(a)に示す状態は、放熱層素材120に第1の貫通孔21を形成し、加圧及び加熱を行い、第2の貫通孔22を作製した後である。その後、図6(b)に示すように第3の貫通孔42が、パンチング、レーザー等によって形成される。続いて、図6(c)に示すように、導電性接着剤40が、第2の貫通孔22とともに第3の貫通孔42にも充填される。この第3の貫通孔42に導電性接着剤40を充填することによって、加熱及び加圧することによって最終的に放熱部31となる放熱部素材131が形成される。後は、図3(e)、(f)、(g)と同様の作製プロセスを経て、第3の貫通孔42に充填された導電性接着剤40が硬化し、放熱部31が形成される。
【0063】
本実施の形態2の電子装置70では、放熱部31において、導電性接着剤40を伝わる熱が、絶縁部5を介さず直接グラファイトシート2の壁面に接触することにより、低損失でグラファイトシート2に熱を伝えることができ、放熱部31が高効率なサーマルビアとしての機能を果たすことが出来る。
【0064】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3の電子装置の製造方法について説明するとともに、本発明の配線基板の製造方法の一例についても同時に述べる。本実施の形態3の電子装置の製造方法は、実施の形態2で説明した電子装置70を製造する方法である。尚、本実施の形態3の電子装置の製造方法は、実施の形態1、2と基本的な構成は同じであるが、絶縁部素材の作製方法が異なっている。尚、実施の形態1、2と同様の構成については、同一の符号が付されている。
【0065】
図7(a)〜(h)は、本実施の形態3の電子装置の製造方法の作製プロセスを説明するための断面構成図である。
【0066】
先ず、図7(a)に示すように、グラファイトシート2の所定の位置に、複数の第1の貫通孔51が開口される。尚、孔開けはパンチングマシーンやレーザー装置を用いて行われる。この工程が、本発明の第1の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30が、熱伝導効率の高いグラファイトシート2の第1の貫通孔51の壁面2aを含む必要な表面部分に塗布される。具体的には、本実施例においては、予め保護フィルム15の一面に未硬化の熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜したシートが一対準備される。この塗膜により、最終的に第1の絶縁層3となる第1の絶縁層素材103と、最終的に第2の絶縁層8となる第2の絶縁層素材108が形成される。
【0068】
そして、グラファイトシート2の両面を、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30で覆うようにシートが重ねられ、加熱・加圧処理することで、グラファイトシート2の両面に、絶縁性樹脂30を塗膜したシートが貼り合わせられる。このように、最終的に放熱層20となる放熱層素材120が形成される。なお、この際、熱硬化性樹脂は完全には硬化していない。又、例えば熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜した保護フィルム15としては、ニッカン工業株式会社製のポリミドフィルム付きカバーレイフィルム(商品名:ニカフレックスCISV)が使用でき、その際の加熱加圧条件は、加熱60℃、加圧0.8MPaで90秒行うことが望ましい。また、このように、放熱層素材120を形成する工程が、本発明の放熱層素材作製工程の一例に相当する。
【0069】
上記加熱・加圧処理によって、図7(c)に示すように、第1の貫通孔51の内壁2aを覆うように、絶縁性樹脂30が回り込む。この絶縁性樹脂30が回り込んだ回り込み部が符号59で示されている。
【0070】
次に、図7(d)に示すように、放熱層素材120の両面に保護フィルム15を貼り合せたシート状部材に、第1の貫通孔51の内側を通過するように、第2の貫通孔52を開けることで、第1の貫通孔51内の不要な絶縁性樹脂30(第2の貫通孔52の内側に存在している部分)が除去され、絶縁部素材105が形成される。
【0071】
図8は、図7(c)の第1の貫通孔51近傍を示す断面構成図である。図8の点線部分が、第2の貫通孔52を示しており、回り込み部59のうち、第2の貫通孔52の内側に存在する余分な部分58が、第2の貫通孔52形成時に取り除かれる。そして、回り込み部59から、余分な部分58が除かれた部分によって絶縁部素材105が形成されることになる。この絶縁部素材105は、加熱加圧されることによって、最終的に絶縁部5となるものである。このように、第1の貫通孔51の内側を通過するように、第2の貫通孔52を開ける工程が、本発明の第2の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0072】
この際、必要に応じ、その他の場所にも孔開けを行う。本実施の形態では、第1の貫通孔51に対応する位置に形成された第2の貫通孔52以外に、放熱層素材120の両端に、2つの第3の貫通孔54が形成される。この第3の貫通孔54を形成する工程が、本発明の第3の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0073】
次に、図7(e)に示すように、導電性接着剤40を第2の貫通孔52の内部に充填することにより、最終的に導電部4となる導電部素材104が形成されるとともに、導電性接着剤40を第3の貫通孔54の内部にも充填することにより、最終的に放熱部31となる放熱部素材131が形成される。導電性接着剤40としては、例えば、藤倉化成製FA−545を用いて、スキージーにより充填することが出来る。このように導電性接着剤40を第2の貫通孔52の内部に充填する工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。
【0074】
尚、図7(e)以降については、実施の形態1と同様に、図7(f)に示すように、放熱層素材120から保護フィルム15が剥がされ、接着シート23が形成される。そして、図7(g)に示すように、接着シート23と、第1の回路基板11と、第2の回路基板12が位置合わせされ、積層される。
【0075】
最後に、図7(h)に示すように、積層された第1の回路基板11、接着シート23、及び第2の回路基板12を加熱及び加圧することによって、導電性接着剤40及び絶縁性樹脂30が硬化し、第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12が接合される。
【0076】
ここで、上記加熱及び加圧処理により、グラファイトシート2の両面に塗布された絶縁性樹脂30によって、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8が形成され、第2の貫通孔22に充填された導電性接着剤40によって導電部4が形成され、第3の貫通孔54に充填された導電性接着剤40によって放熱部31が形成されることになる。尚、このように第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化する工程が、本発明の接合工程の一例に相当する。
【0077】
そして、第1の回路基板11の表面に発熱部品9が実装され、更に、その上側にヒートシンク10が配置され、図5に示す電子装置70を作製することが出来る。
【0078】
本実施の形態によれば、実施の形態1において説明した製造方法と比べ、高効率なサーマルビアを同時に形成できるという効果を併せ持つ点に優れる。また、実施の形態2では、パンチング又はレーザーなどによって形成された第1の貫通孔21から、加熱加圧することによって第2の貫通孔22が作製された後に、再度、パンチングなどにより、放熱部31用の第3の貫通孔42を形成する必要があったが、本実施の形態では第2の貫通孔52をパンチング等により作製する際に同時に、放熱用の第3の貫通孔42を作製することが出来るため、工程が簡易であるという利点がある。
【0079】
尚、上述した実施の形態の電子装置1、70では、第2の回路基板12が設けられていたが、図9に示す電子装置60のように、第2の回路基板12が設けられておらず、第2の絶縁層8に設けられた電極7に直接電子部品61が配置されていても良い。要するに、本発明の電子装置によれば、第1の回路基板11の発熱部品9と反対側に、グラファイトシート2を設け、グラファイトシート2の更に下側に自由に電子部品を配置することが出来さえすればよく、設計上の制約を低減させることが出来る。
【0080】
以上のように、上述した実施の形態においては、発熱部品9が発生する熱の多くが、接続用はんだ13を伝わり、高放熱機能を有する多層基板14内の導電性接着剤を介して、グラファイトシート2の面に拡散される。このように、上記実施の形態の電子装置は、半導体の発熱量が増大しても、半導体部品の下面からも熱伝導の高いグラファイトシートを使った効率の良い放熱が行える点で優れたものである。従って、半導体部品等の発熱部品9の上面に設置するヒートシンク10等の放熱部品の大型化や、冷却ファン、水冷システム等の冷却システムの設置、搭載を防ぐことが出来るという効果を有し、高性能で高発熱な半導体部品を必要とする携帯型電子機器における小型、薄型化に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の配線基板及び配線基板の製造方法は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な効果を有し、電子装置等として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1、30、60 電子装置
2 グラファイトシート
3 第1の絶縁樹脂層
4 導電部
5 絶縁部
6、7 電極
8 第2の絶縁層
9 発熱部品
10 ヒートシンク
11 第1の回路基板
12 第2の回路基板
13 接続用はんだ
14 多層基板
20 放熱部
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ、ノート型パソコンなどの携帯型の電子機器では、小型・高機能化に伴い、電子装置部における高い放熱性能を有することが求められている。
【0003】
一般的に、電子装置では、半導体チップが発生した熱を効率よく放熱するために、半導体チップに放熱器として作用する金属平板や冷却ファンを備えるヒートシンクが取り付けられることが多い。半導体チップで発生した熱が、ヒートシンクに伝達され、さらにその表面から大気中に発散されることによって、放熱が実現されている。
【0004】
図10は、従来の電子装置の断面構成図であり、発熱量の増大に伴う放熱構造を説明する図である。
【0005】
図10に示す電子装置では、回路基板1041上に回路基板電極1042が形成されており、接続用のはんだ1043を介して、半導体部品1044が回路基板1041に実装されている。また、図中、半導体部品1044の放熱対策部品として、半導体部品1044の上側には、ヒートシンク1045が配置されており、ヒートシンク1045の上側には空冷ファン1046が配置されている。このように、半導体の発熱量の増大が進むにつれて、図10に示すようにヒートシンク1045の大型化や空冷ファン1046や水冷システムの設置で対応しなければならなくなる。
【0006】
しかしながら、携帯電話やデジタルカメラ、ノート型パソコンなどの携帯型電子機器ではこのような放熱器に割くスペースには限りがあるので、ヒートシンク1045の大型化には限界がある。また空冷ファン1046や水冷システムの設置・搭載使用に対してはスペースの課題に加え、バッテリーの消耗速度の加速化につながり、実質的には困難である。
【0007】
一方、半導体部品の放熱に関して、熱伝導率の高いグラファイトシートを用いる手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2006−196593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した図10に示す電子装置に対して、上記特許文献1に示すグラファイトシートを用いようとすると、例えば、図中、回路基板1041の下側(面1041b側)にグラファイトシートを配置することが考えられる。
【0010】
しかしながら、グラファイトシートは導電性を有しているためグラファイトシートの下側に電子部品を配置し、多層基板を実現しようとしても、回路基板1041と電気的に接続することが出来ないという問題があった。
【0011】
このように、片面にしか回路部品を配置できないという設計上の制約があるため、電子部品の小型化が実現できなかった。
【0012】
本発明は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔が形成された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記加熱加圧工程によって狭窄された前記貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記加熱加圧工程において、前記貫通孔の一部を構成する前記熱伝導部材の内壁を覆うように前記第1の絶縁層素材及び前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂がまわりこみ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する前記絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0014】
また、第2の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂を充填する充填工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂が充填された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記樹脂が充填された前記第1の貫通孔に、前記第1の貫通孔より径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程により、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0015】
また、第3の本発明は、
導電性を有する熱伝導部材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔が形成されている前記熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、加熱及び加圧して放熱層素材を作製する放熱層素材形成工程と、
前記放熱層素材の、前記第1の貫通孔が形成されている部分に、前記第1の貫通孔よりも径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程において、前記加熱及び加圧によって前記第1の貫通孔の内側にまわりこんだ樹脂のうち、前記第2の貫通孔の内側の部分が取り除かれ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法である。
【0016】
また、第4の本発明は、
前記第2の貫通孔形成工程とともに、前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通する第3の貫通孔を形成する第3の貫通孔形成工程を備え、
前記充填工程は、前記第2の貫通孔とともに、前記第3の貫通孔に前記導電性材料を充填することによって、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁される放熱部素材を形成する工程である、第3の本発明の配線基板の製造方法である。
【0017】
また、第5の本発明は、
前記熱伝導部材は、グラファイト材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0018】
また、第6の本発明は、
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部素材を形成する樹脂は、同じ材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0019】
また、第7の本発明は、
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部を形成する樹脂素材は、それぞれフェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料である、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0020】
また、第8の本発明は、
前記導電性材料は、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の導電性材料を含んでいる、第1〜3のいずれかの本発明の配線基板の製造方法である。
【0021】
また、第9の本発明は、
配線パターンが形成された回路基板と、
絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層によって挟まれたシート状の、導電性を有する熱伝導部材とを有し、前記回路基板の前記配線パターンが形成された側に設けられた放熱層とを備え、
前記放熱層は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部と、前記導電部と前記熱伝導部材の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部とを有する、配線基板である。
【0022】
また、第10の本発明は、
配線パターンが形成された別の回路基板を更に備え、
前記別の回路基板は、前記放熱層に、前記回路基板と反対側であって、その配線パターンが形成された面が前記放熱層と対向するよう設けられている、第9の本発明の配線基板である。
【0023】
また、第11の本発明は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記導電性材料によって形成された放熱部を備え、
前記放熱部は、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁されている、第9の本発明の配線基板である。
【0024】
また、第12の本発明は、
第9の本発明の配線基板と、
前記回路基板に実装された電子部品とを備えた、電子装置である。
【0025】
また、第13の本発明は、
前記電子部品は、半導体部品である、第12の本発明の電子装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な配線基板、それを用いた電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における電子装置の断面構成図
【図2】本発明の実施の形態1における電子装置の導電部近傍を拡大した断面構成図
【図3(a)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(b)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(c)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(d)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(e)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(f)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図3(g)】本発明の実施の形態1における電子装置の製造方法を説明するための図
【図4】(a)〜(c)本発明の実施の形態1の変形例における電子装置の製造方法を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態2における電子装置の断面構成図
【図6】(a)〜(c)本発明の実施の形態2における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(a)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(b)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(c)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(d)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(e)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(f)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(g)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図7(h)】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図8】本発明の実施の形態3における電子装置の製造方法を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態1の変形例における電子装置の断面構成図
【図10】発熱量増大に伴う従来の電子装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる実施の形態について説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の参照符号を付す。
【0029】
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1における電子装置について説明するとともに、本発明の配線基板の一例についても述べる。
【0030】
図1は、本発明にかかる実施の形態1における電子装置1の断面構成図である。図1に示すように、本実施の形態1における電子装置1には、多層基板14と、多層基板14に実装された発熱部品9と、発熱部品9の上側に配置されたヒートシンク10が設けられている。
【0031】
また、多層基板14は、両面に電極6が形成された第1の回路基板11と、両面に電極7が形成された第2の回路基板12とを備えている。この第1の回路基板11と第2の回路基板12の間には、発熱部品9で発生した熱を放熱するための放熱層20が設けられている。
【0032】
また、放熱層20には、第1の回路基板11の下側に設けられた、絶縁性の樹脂によって形成された第1の絶縁層3と、第2の回路基板12の上側に設けられた、絶縁性の樹脂によって形成された第2の絶縁層8と、第1の絶縁層3と第2の絶縁層8によって挟まれた、熱伝導率の高いグラファイトシート2が設けられている。
【0033】
更に、放熱層20には、上記第1の絶縁層3、グラファイトシート2、及び第2の絶縁層8を貫通する貫通孔に導電性接着剤が充填されることによって形成された導電部4が設けられている。この導電部4は、第1の回路基板11に設けられている電極6と、第2の回路基板12に設けられている電極7とを電気的に接続している。
【0034】
図2は、導電部4近傍の拡大図である。図2に示すように、導電部4とグラファイトシート2が電気的に絶縁されるように、グラファイトシート2に形成されている貫通孔2bの内壁2aと、導電部4の間に絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部5が形成されている。
【0035】
尚、本発明の配線基板の一例は、本実施の形態1の多層基板14に相当する。又、本発明の回路基板の一例は、本実施の形態の第1の回路基板11に相当し、本発明の回路基板に形成された配線パターンは、本実施の形態の第1の回路基板11の第1の絶縁層3側に設けられた複数の電極6に相当する。また、本発明の別の回路基板の一例は、本実施の形態の第2の回路基板12に相当し、本発明の別の回路基板に形成された配線パターンは、本実施の形態の第2の回路基板12の第2の絶縁層8側に設けられた複数の電極7に相当する。また、本発明の熱伝導部材の一例は、本実施の形態のグラファイトシート2に相当する。
【0036】
次に、本実施の形態1の電子装置1の製造方法について説明するとともに、本発明の配線基板の製造方法の一例についても同時に述べる。
【0037】
図3(a)〜(g)は、本実施の形態1の電子装置の製造方法の作製プロセスを説明するための図である。
【0038】
先ず、図3(a)に示すように、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30が、熱伝達効率の高いグラファイトシート2の必要な表面部分に塗布される。本実施例においては、予め保護フィルム15の一面に未硬化の熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜したシートが一対準備される。この塗膜により、最終的に第1の絶縁層3となる第1の絶縁層素材103と、最終的に第2の絶縁層8となる第2の絶縁層素材108が形成される。
【0039】
そして、グラファイトシート2の両面を、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30で覆うようにシートが重ねられ、加圧加熱処理することで、グラファイトシート2の両面に、絶縁性樹脂30を塗膜したシートが貼り合わせられる。このように、グラファイトシート2に第1の絶縁層素材103と第2の絶縁層素材108を貼り付けることで、最終的に放熱層20となる放熱層素材120が形成される。なお、この際、熱硬化性樹脂は完全には硬化していない。また、このように、放熱層素材120を形成する工程が、本発明の配置工程の一例に相当する。
【0040】
また、例えば熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜した保護フィルム15としては、ニッカン工業株式会社製のポリミドフィルム付きカバーレイフィルム(商品名:ニカフレックスCISV)が使用できる。また、上記張り合わせる際の加熱及び加圧条件は、加熱60℃、加圧0.4MPaで30秒間行うことが望ましい。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、保護フィルム15ごと放熱層素材120の所定の位置に複数の第1の貫通孔21が形成される。孔開けはパンチングマシーンやレーザー装置を用いて行うことが出来る。この放熱層素材120に第1の貫通孔を形成する工程が、本発明の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、第1の貫通孔21が形成された放熱層素材120が再度、加圧及び加熱処理される。この加圧及び加熱処理により、軟化した絶縁性樹脂30は、絶縁性樹脂30中に形成された第1の貫通孔21を狭窄する方向に移動するとともに、グラファイトシート2に形成された、第1の貫通孔21の内壁2aを覆うようにぬれ広がる。このぬれ広がりにより、最終的に絶縁部5となる絶縁部素材105が形成される。この際、加圧及び加熱条件が重要となり、圧力や熱が高すぎると第1の貫通孔21が埋まり、低すぎると内壁2aに十分に濡れ広がらない結果となる。本実施例においては、100℃、及び0.4MPaで30秒間、加圧及び加熱が行われることが望ましい。なお、第1の貫通孔21が狭窄された貫通孔が、第2の貫通孔22として図3(c)に示されている。また、第1の貫通孔21が形成された放熱層素材120を再度、加圧及び加熱処理する工程が、本発明の加熱加圧工程の一例に相当する。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、第2の貫通孔22の内部に導電性接着剤40が充填される。導電性接着剤40としては、例えば、藤倉化成製FA−545を用いることが出来、第2の貫通孔22内には、スキージーにより充填することが出来る。尚、第2の貫通孔22に導電性接着剤40を充填することにより、最終的に導電部4となる導電部素材104が形成される。又、第2の貫通孔22の内部に導電性接着剤40を充填する工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。
【0044】
次に、図3(e)に示すように、図3(d)に示す状態の部材の両面から保護フィルム15が剥がされる。この保護フィルム15がはがされた状態の部材が、接着シート23として示されている。
【0045】
次に、図3(f)に示すように、高放熱機能を有する接着シート23の導電性接着剤40の突出している部分が、所定の第1の回路基板11側の電極6及び第2の回路基板12側の電極7と当接するように、第1の回路基板11、接着シート23、及び第2の回路基板12の位置合わせが行われ、積層して載置される。
【0046】
最後に、図3(g)に示すように、加熱及び加圧処理を行い、高放熱機能を有する接着シート23を形成する絶縁性樹脂30と導電性接着剤40を硬化させることで、第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化と、第1の回路基板11と第2の回路基板12の電気的接続が行われ、高放熱機能を有する多層基板14が作製される。尚、上記加熱及び加圧処理により、グラファイトシート2の両面に塗布された絶縁性樹脂30によって、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8が形成され、第2の貫通孔22に充填された導電性接着剤40によって導電部4が形成されることになる。また、このように第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化する工程が、本発明の接合工程の一例に相当する。
【0047】
上記のように作製された多層基板14に、半導体チップなどの発熱部品9を第1の回路基板11の表面に接続用はんだ13を用いて実装し、更に発熱部品9の上側にヒートシンク10を配置することによって、図1で説明した電子装置1が作製される。
【0048】
本実施の形態1の電子装置1の構成によれば、グラファイトシート2を第1の回路基板11の下側に配置しているため、発熱部品9による発熱を上側のヒートシンク10だけでなく、第1の回路基板11の下側にも放熱することが出来るため、従来の電子装置(図10参照)と比べて、効率良く放熱することが可能となる。そのため、従来設けられていたヒートシンク及び空冷ファンなどの冷却機構を小型化することが出来る。例えば、放熱量によっては、空冷ファンを設けなくてもよくなる場合や、更にヒートシンクを小型化することが出来る場合が生じる。更に放熱量によってはヒートシンクも設けなくてよくなる場合も生じる。
【0049】
また、本実施の形態1では、グラファイトシート2に貫通孔を形成して導電部4を作製し、更に導電部4とグラファイトシート2の間に絶縁部5を設けることにより、第1の回路基板11の下側にグラファイトシート2を設けつつ、第2の回路基板12を配置することが出来るため、従来と比較して、設計上の制約を低減することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、図3(b)、(c)に示すように、加熱及び加圧の数値を調整して、絶縁性樹脂30を第1の貫通孔21の内壁2aに回り込ませることにより、絶縁部5を作製しているため、グラファイトシート2と導電部4の絶縁を簡便に生産性良く形成できる点において優れている。
【0051】
尚、本発明の導電性材料の一例は、本実施の形態の導電性接着剤40に相当しており、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくtも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料を含んでいることが好ましい。
【0052】
尚、本実施の形態1では、第1の絶縁層3を形成する絶縁性樹脂と、第2の絶縁層8を形成する絶縁性樹脂と、絶縁部5を形成する絶縁性樹脂は、全て同じ絶縁性樹脂30が用いられているが、異なる絶縁性樹脂が用いられても良い。これらの絶縁性樹脂としては、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択されることが好ましい。
【0053】
図4(a)、(b)、(c)は、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8と異なる絶縁性材料32を用いて絶縁部5を作製する場合の作製プロセスを説明するための断面構成図である。図4(a)は、図3(b)と同様の状態を示す図である。図4(a)に示すように、放熱層素材120に第1の貫通孔21が形成される。この工程が、本発明の第1の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0054】
そして、図4(b)に示すように、絶縁部5に用いる絶縁性材料32が第1の貫通孔21に充填される。この工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。そして、加熱及び加圧が行われる。この加熱及び加圧が、本発明の加熱加圧工程の一例に相当する。
【0055】
続いて、図4(c)に示すように、第1の貫通孔21よりも小さい径の第2の貫通孔22がパンチング、レーザー等によって形成される。このように第2の貫通孔22を形成する工程が、本発明の第2の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0056】
以上の工程により、絶縁性材料32を用いて、内壁2aを覆うような絶縁部素材105´を作製することが出来る。この絶縁部素材105´から、図3(d)〜(g)の工程を経て、絶縁部5が形成される。
【0057】
また、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8についても異なる絶縁性材料を用いて作製してもよい。この場合、図3(a)の保護フィルム15に塗布する絶縁性樹脂を、第1の絶縁層素材103及び第2の絶縁層素材108で異なるものにすればよい。
【0058】
尚、本発明の熱伝導部材の一例は、本実施の形態のグラファイトシート2に相当するが、グラファイト材料でなく、金属等の熱伝達効率の高い別の材料によって形成されていても良い。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2の電子装置について説明するとともに、本発明の配線基板の一例についても説明する。本実施の形態2の電子装置70は、実施の形態1の電子装置と基本的な構成は同じであるが、放熱の効率を向上させるための放熱部が設けられている点が異なっている。そのため、本相違点を中心に説明する。尚、本実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付されている。
【0060】
図5は、本実施の形態2の電子装置70の断面構成図である。図5に示すように、本実施の形態2の電子装置70では、実施の形態1の電子装置1と異なり、導電部4と平行に放熱部31が設けられている。この放熱部31は、第1の絶縁層3、グラファイトシート2、及び第2の絶縁層8を貫通した貫通孔に、導電性接着剤40を充填して形成されている。また、放熱部31は、導電部4と異なり、グラファイトシート2と接触し、且つ、第1の回路基板11と第2の回路基板12とは電気的に絶縁されている。
【0061】
次に、本実施の形態2の電子装置70の放熱部31を作製する方法について説明する。尚、放熱部31の作製以外は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0062】
図6(a)、(b)、(c)は、放熱部31を作製する方法を説明するための断面構成図である。図6(a)は、図3(c)と同じ状態を示す図である。図3(a)〜(c)において説明したように、図6(a)に示す状態は、放熱層素材120に第1の貫通孔21を形成し、加圧及び加熱を行い、第2の貫通孔22を作製した後である。その後、図6(b)に示すように第3の貫通孔42が、パンチング、レーザー等によって形成される。続いて、図6(c)に示すように、導電性接着剤40が、第2の貫通孔22とともに第3の貫通孔42にも充填される。この第3の貫通孔42に導電性接着剤40を充填することによって、加熱及び加圧することによって最終的に放熱部31となる放熱部素材131が形成される。後は、図3(e)、(f)、(g)と同様の作製プロセスを経て、第3の貫通孔42に充填された導電性接着剤40が硬化し、放熱部31が形成される。
【0063】
本実施の形態2の電子装置70では、放熱部31において、導電性接着剤40を伝わる熱が、絶縁部5を介さず直接グラファイトシート2の壁面に接触することにより、低損失でグラファイトシート2に熱を伝えることができ、放熱部31が高効率なサーマルビアとしての機能を果たすことが出来る。
【0064】
(実施の形態3)
次に、本発明にかかる実施の形態3の電子装置の製造方法について説明するとともに、本発明の配線基板の製造方法の一例についても同時に述べる。本実施の形態3の電子装置の製造方法は、実施の形態2で説明した電子装置70を製造する方法である。尚、本実施の形態3の電子装置の製造方法は、実施の形態1、2と基本的な構成は同じであるが、絶縁部素材の作製方法が異なっている。尚、実施の形態1、2と同様の構成については、同一の符号が付されている。
【0065】
図7(a)〜(h)は、本実施の形態3の電子装置の製造方法の作製プロセスを説明するための断面構成図である。
【0066】
先ず、図7(a)に示すように、グラファイトシート2の所定の位置に、複数の第1の貫通孔51が開口される。尚、孔開けはパンチングマシーンやレーザー装置を用いて行われる。この工程が、本発明の第1の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30が、熱伝導効率の高いグラファイトシート2の第1の貫通孔51の壁面2aを含む必要な表面部分に塗布される。具体的には、本実施例においては、予め保護フィルム15の一面に未硬化の熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜したシートが一対準備される。この塗膜により、最終的に第1の絶縁層3となる第1の絶縁層素材103と、最終的に第2の絶縁層8となる第2の絶縁層素材108が形成される。
【0068】
そして、グラファイトシート2の両面を、熱硬化性を有する絶縁性樹脂30で覆うようにシートが重ねられ、加熱・加圧処理することで、グラファイトシート2の両面に、絶縁性樹脂30を塗膜したシートが貼り合わせられる。このように、最終的に放熱層20となる放熱層素材120が形成される。なお、この際、熱硬化性樹脂は完全には硬化していない。又、例えば熱硬化性を有する絶縁性樹脂30を塗膜した保護フィルム15としては、ニッカン工業株式会社製のポリミドフィルム付きカバーレイフィルム(商品名:ニカフレックスCISV)が使用でき、その際の加熱加圧条件は、加熱60℃、加圧0.8MPaで90秒行うことが望ましい。また、このように、放熱層素材120を形成する工程が、本発明の放熱層素材作製工程の一例に相当する。
【0069】
上記加熱・加圧処理によって、図7(c)に示すように、第1の貫通孔51の内壁2aを覆うように、絶縁性樹脂30が回り込む。この絶縁性樹脂30が回り込んだ回り込み部が符号59で示されている。
【0070】
次に、図7(d)に示すように、放熱層素材120の両面に保護フィルム15を貼り合せたシート状部材に、第1の貫通孔51の内側を通過するように、第2の貫通孔52を開けることで、第1の貫通孔51内の不要な絶縁性樹脂30(第2の貫通孔52の内側に存在している部分)が除去され、絶縁部素材105が形成される。
【0071】
図8は、図7(c)の第1の貫通孔51近傍を示す断面構成図である。図8の点線部分が、第2の貫通孔52を示しており、回り込み部59のうち、第2の貫通孔52の内側に存在する余分な部分58が、第2の貫通孔52形成時に取り除かれる。そして、回り込み部59から、余分な部分58が除かれた部分によって絶縁部素材105が形成されることになる。この絶縁部素材105は、加熱加圧されることによって、最終的に絶縁部5となるものである。このように、第1の貫通孔51の内側を通過するように、第2の貫通孔52を開ける工程が、本発明の第2の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0072】
この際、必要に応じ、その他の場所にも孔開けを行う。本実施の形態では、第1の貫通孔51に対応する位置に形成された第2の貫通孔52以外に、放熱層素材120の両端に、2つの第3の貫通孔54が形成される。この第3の貫通孔54を形成する工程が、本発明の第3の貫通孔形成工程の一例に相当する。
【0073】
次に、図7(e)に示すように、導電性接着剤40を第2の貫通孔52の内部に充填することにより、最終的に導電部4となる導電部素材104が形成されるとともに、導電性接着剤40を第3の貫通孔54の内部にも充填することにより、最終的に放熱部31となる放熱部素材131が形成される。導電性接着剤40としては、例えば、藤倉化成製FA−545を用いて、スキージーにより充填することが出来る。このように導電性接着剤40を第2の貫通孔52の内部に充填する工程が、本発明の充填工程の一例に相当する。
【0074】
尚、図7(e)以降については、実施の形態1と同様に、図7(f)に示すように、放熱層素材120から保護フィルム15が剥がされ、接着シート23が形成される。そして、図7(g)に示すように、接着シート23と、第1の回路基板11と、第2の回路基板12が位置合わせされ、積層される。
【0075】
最後に、図7(h)に示すように、積層された第1の回路基板11、接着シート23、及び第2の回路基板12を加熱及び加圧することによって、導電性接着剤40及び絶縁性樹脂30が硬化し、第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12が接合される。
【0076】
ここで、上記加熱及び加圧処理により、グラファイトシート2の両面に塗布された絶縁性樹脂30によって、第1の絶縁層3及び第2の絶縁層8が形成され、第2の貫通孔22に充填された導電性接着剤40によって導電部4が形成され、第3の貫通孔54に充填された導電性接着剤40によって放熱部31が形成されることになる。尚、このように第1の回路基板11と接着シート23と第2の回路基板12の一体化する工程が、本発明の接合工程の一例に相当する。
【0077】
そして、第1の回路基板11の表面に発熱部品9が実装され、更に、その上側にヒートシンク10が配置され、図5に示す電子装置70を作製することが出来る。
【0078】
本実施の形態によれば、実施の形態1において説明した製造方法と比べ、高効率なサーマルビアを同時に形成できるという効果を併せ持つ点に優れる。また、実施の形態2では、パンチング又はレーザーなどによって形成された第1の貫通孔21から、加熱加圧することによって第2の貫通孔22が作製された後に、再度、パンチングなどにより、放熱部31用の第3の貫通孔42を形成する必要があったが、本実施の形態では第2の貫通孔52をパンチング等により作製する際に同時に、放熱用の第3の貫通孔42を作製することが出来るため、工程が簡易であるという利点がある。
【0079】
尚、上述した実施の形態の電子装置1、70では、第2の回路基板12が設けられていたが、図9に示す電子装置60のように、第2の回路基板12が設けられておらず、第2の絶縁層8に設けられた電極7に直接電子部品61が配置されていても良い。要するに、本発明の電子装置によれば、第1の回路基板11の発熱部品9と反対側に、グラファイトシート2を設け、グラファイトシート2の更に下側に自由に電子部品を配置することが出来さえすればよく、設計上の制約を低減させることが出来る。
【0080】
以上のように、上述した実施の形態においては、発熱部品9が発生する熱の多くが、接続用はんだ13を伝わり、高放熱機能を有する多層基板14内の導電性接着剤を介して、グラファイトシート2の面に拡散される。このように、上記実施の形態の電子装置は、半導体の発熱量が増大しても、半導体部品の下面からも熱伝導の高いグラファイトシートを使った効率の良い放熱が行える点で優れたものである。従って、半導体部品等の発熱部品9の上面に設置するヒートシンク10等の放熱部品の大型化や、冷却ファン、水冷システム等の冷却システムの設置、搭載を防ぐことが出来るという効果を有し、高性能で高発熱な半導体部品を必要とする携帯型電子機器における小型、薄型化に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の配線基板及び配線基板の製造方法は、放熱性を向上するとともに、設計上の制約を低減することが可能な効果を有し、電子装置等として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1、30、60 電子装置
2 グラファイトシート
3 第1の絶縁樹脂層
4 導電部
5 絶縁部
6、7 電極
8 第2の絶縁層
9 発熱部品
10 ヒートシンク
11 第1の回路基板
12 第2の回路基板
13 接続用はんだ
14 多層基板
20 放熱部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔が形成された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記加熱加圧工程によって狭窄された前記貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記加熱加圧工程において、前記貫通孔の一部を構成する前記熱伝導部材の内壁を覆うように前記第1の絶縁層素材及び前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂がまわりこみ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する前記絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項2】
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂を充填する充填工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂が充填された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記樹脂が充填された前記第1の貫通孔に、前記第1の貫通孔より径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程により、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項3】
導電性を有する熱伝導部材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔が形成されている前記熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、加熱及び加圧して放熱層素材を作製する放熱層素材形成工程と、
前記放熱層素材の、前記第1の貫通孔が形成されている部分に、前記第1の貫通孔よりも径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程において、前記加熱及び加圧によって前記第1の貫通孔の内側にまわりこんだ樹脂のうち、前記第2の貫通孔の内側の部分が取り除かれ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2の貫通孔形成工程とともに、前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通する第3の貫通孔を形成する第3の貫通孔形成工程を備え、
前記充填工程は、前記第2の貫通孔とともに、前記第3の貫通孔に前記導電性材料を充填することによって、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁される放熱部素材を形成する工程である、請求項3記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、グラファイト材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部素材を形成する樹脂は、同じ材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部を形成する樹脂素材は、それぞれフェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記導電性材料は、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の導電性材料を含んでいる、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
配線パターンが形成された回路基板と、
絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層によって挟まれたシート状の、導電性を有する熱伝導部材とを有し、前記回路基板の前記配線パターンが形成された側に設けられた放熱層とを備え、
前記放熱層は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部と、前記導電部と前記熱伝導部材の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部とを有する、配線基板。
【請求項10】
配線パターンが形成された別の回路基板を更に備え、
前記別の回路基板は、前記放熱層に、前記回路基板と反対側であって、その配線パターンが形成された面が前記放熱層と対向するよう設けられている、請求項9記載の配線基板。
【請求項11】
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記導電性材料によって形成された放熱部を備え、
前記放熱部は、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁されている、請求項9記載の配線基板。
【請求項12】
請求項9記載の配線基板と、
前記回路基板に実装された電子部品とを備えた、電子装置。
【請求項13】
前記電子部品は、半導体部品である、請求項12記載の電子装置。
【請求項1】
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔が形成された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記加熱加圧工程によって狭窄された前記貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記加熱加圧工程において、前記貫通孔の一部を構成する前記熱伝導部材の内壁を覆うように前記第1の絶縁層素材及び前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂がまわりこみ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する前記絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項2】
導電性を有する熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、放熱層素材を作製する配置工程と、
前記放熱層素材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂を充填する充填工程と、
前記第1の貫通孔に絶縁性の樹脂が充填された前記放熱層素材を加熱及び加圧する加熱加圧工程と、
前記樹脂が充填された前記第1の貫通孔に、前記第1の貫通孔より径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程により、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項3】
導電性を有する熱伝導部材に第1の貫通孔を形成する第1の貫通孔形成工程と、
前記第1の貫通孔が形成されている前記熱伝導部材の両面に、第1の絶縁層素材と第2の絶縁層素材を配置し、加熱及び加圧して放熱層素材を作製する放熱層素材形成工程と、
前記放熱層素材の、前記第1の貫通孔が形成されている部分に、前記第1の貫通孔よりも径の小さい第2の貫通孔を形成する第2の貫通孔形成工程と、
前記第2の貫通孔に導電性材料を充填し、導電部素材を形成する充填工程と、
前記導電部素材が形成された前記放熱層素材と、回路基板を接合する接合工程とを備え、
前記第2の貫通孔形成工程において、前記加熱及び加圧によって前記第1の貫通孔の内側にまわりこんだ樹脂のうち、前記第2の貫通孔の内側の部分が取り除かれ、前記熱伝導部材と前記導電部素材の間を絶縁する絶縁部素材が形成される、配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2の貫通孔形成工程とともに、前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通する第3の貫通孔を形成する第3の貫通孔形成工程を備え、
前記充填工程は、前記第2の貫通孔とともに、前記第3の貫通孔に前記導電性材料を充填することによって、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁される放熱部素材を形成する工程である、請求項3記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、グラファイト材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部素材を形成する樹脂は、同じ材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の絶縁層素材を形成する樹脂、前記第2の絶縁層素材を形成する樹脂、及び前記絶縁部を形成する樹脂素材は、それぞれフェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記導電性材料は、フェノール、ユリア、ポリエレタン、及びエポキシの中から選択される少なくとも1種類の樹脂材料と、金、銀、銅、ニッケル、カーボンの中から選択される少なくとも1種類の導電性材料を含んでいる、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
配線パターンが形成された回路基板と、
絶縁性の樹脂で形成された第1の絶縁層と、絶縁性の樹脂で形成された第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層によって挟まれたシート状の、導電性を有する熱伝導部材とを有し、前記回路基板の前記配線パターンが形成された側に設けられた放熱層とを備え、
前記放熱層は、
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記配線パターンの全部又は一部と電気的に接続され、導電性材料によって形成された導電部と、前記導電部と前記熱伝導部材の間を絶縁するために、絶縁性の樹脂によって形成された絶縁部とを有する、配線基板。
【請求項10】
配線パターンが形成された別の回路基板を更に備え、
前記別の回路基板は、前記放熱層に、前記回路基板と反対側であって、その配線パターンが形成された面が前記放熱層と対向するよう設けられている、請求項9記載の配線基板。
【請求項11】
前記第1の絶縁層と前記熱伝導部材と前記第2の絶縁層を貫通し、前記導電性材料によって形成された放熱部を備え、
前記放熱部は、前記熱伝導部材と接触し、前記回路基板と電気的に絶縁されている、請求項9記載の配線基板。
【請求項12】
請求項9記載の配線基板と、
前記回路基板に実装された電子部品とを備えた、電子装置。
【請求項13】
前記電子部品は、半導体部品である、請求項12記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図3(e)】
【図3(f)】
【図3(g)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図7(f)】
【図7(g)】
【図7(h)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
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【図3(c)】
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【図3(e)】
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【図7(h)】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−166029(P2011−166029A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29352(P2010−29352)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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