説明

基板搬送装置、基板搬送モジュール、基板搬送方法及び記憶媒体

【課題】冷機状態、暖機状態の区別なく、運転再開後直ぐに本来の搬送精度で基板の搬送を行うことができ、基板間における処理について高い均一性が得られる基板搬送装置等を提供する。
【解決手段】
基板を保持する保持部13に回転自在にアーム部11、12が連結された関節型の搬送アーム10a、10bを備えた基板搬送装置1a、1bにおいて、加熱手段61a、61bは当該アーム部11、12を加熱し、温度検出手段64a、64bは各アーム部11、12の温度を検出する。そして制御手段7は、基板搬送開始前に前記アーム部11、12を加熱し、温度検出手段64a、64bによる温度検出値が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可し、その後は温度検出値が設定温度範囲内に維持されるように加熱手段61a、61bを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送装置、この基板搬送装置を備えた基板搬送モジュール、基板処理方法及び当該基板処理方法を記憶した記憶媒体に係り、特に基板の搬送される位置の精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示装置等のフラットパネルの製造工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハという)やガラス基板といった基板をキャリアに収納して半導体製造装置(フラットパネルの製造装置も含む)の搬入ポートに搬入し、この装置内の搬送アームによりキャリアから基板を取り出して処理モジュールに搬送することが行われている。この処理モジュールが枚葉式の真空処理モジュールである場合や、レジスト処理等に用いられるスピナーである場合等には、基板のセンターをモジュール内の載置部のセンターに高精度に一致させることが要求されるため、搬送アームの性能の良否は基板の処理結果に影響を及ぼす。
【0003】
例えばマルチチャンバシステムと呼ばれる基板処理装置を例に説明すると、この基板処理装置は、エッチング処理やCVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜処理を行う複数の処理室(処理モジュール)に、これらの処理室に共通の搬送室が接続され、この搬送室内に搬送アームを備えた構造となっている。成膜処理やエッチング処理においては、処理室内の予め決められた位置に精度よくウエハを載置することが要求され、ウエハの載置位置がずれると成膜された膜の厚さやエッチングされた線幅等にウエハ面間でバラツキを生じたりする場合がある。
【0004】
このような課題に対し、特許文献1には、マルチチャンバ等の基板処理装置内にて基板の搬送位置の精度(以下、制御性ともいう)を向上させる技術の一例として、搬送アームを伸ばした状態における移動分解能の低下を抑えて制御性を向上させた関節型の搬送アーム(フロッグレッグ型)が記載されている。また特許文献2には、搬送アームを構成するアーム部内に伝達機構を格納した関節型の搬送アーム(スカラ型)が記載されている。
【特許文献1】特開2000−100888号公報:第0038段落、図1
【特許文献2】特開2000−72248号公報:図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に搬送アームは、モータ等の駆動機構や、プーリやタイミングベルト等の伝達機構を備えている。これらの駆動機構や伝達機構は、熱損失や摩擦等によって熱を発生するため、搬送アームを長時間稼動させると、その温度は停止時と比較して温度の高い状態となる(以下この状態を「暖機状態」という)。
【0006】
一方で搬送アームは例えばメンテナンスや工場の休業の際に稼動が停止され、この停止期間中は既述の熱源からの熱の供給がなくなるため、稼動を開始した直後の搬送アームは暖機状態よりも温度の低い状態となっている(以下この状態を「冷機状態」という)。このような暖機状態、冷機状態の異なる温度条件下で搬送アームを稼動させると、2つの状態の間で搬送アームの停止位置が僅かに、例えばサブミリメートル程度ずれてしまい、基板の搬送位置精度を悪化させてしまうことが知られている。関節型の搬送アームを用いている場合には、このようなずれの生じる原因として例えば搬送アームの回転軸をベアリングで押さえつける圧力が変化したり、伝達機構のタイミングベルトの伸びによりその張力が変化したりすること等によるものではないかと考えられる。
【0007】
こうした搬送アームの温度変化による制御性の悪化を解消するためには、ウエハの処理を行わずに搬送アームだけを稼動させる、いわゆる暖機運転を行い、搬送アームが暖機状態となってからウエハの処理を開始すればよいようにも思われる。しかしながら、一旦冷機状態となった搬送アームを暖機状態へと戻すには例えば数時間程度を要するため、暖機運転を行うことは装置稼働率を大きく低下させてしまう。このため、実際の搬送アームは冷機状態、暖機状態のいずれの状態でも、ある程度良好な制御性を発揮できるようにする必要があり、例えば暖機状態のみに着目すると最適な制御性を発揮しているとはいえなかった。
【0008】
このような問題に対して特許文献1、特許文献2に記載された技術には、暖機状態、冷機状態といった温度変化の影響を考慮して搬送アームの制御性を向上させる技術は何ら記載されていない。
【0009】
本発明はこのような事情に基づいて行われたものであり、その目的は冷機状態、暖機状態の区別なく、運転再開後直ぐに本来の搬送精度で基板の搬送を行うことができ、基板間における処理について高い均一性が得られる基板搬送装置、この基板搬送装置を備えた基板搬送モジュール、基板処理方法及び当該基板処理方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る基板搬送装置は、基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームを備えた基板搬送装置において、
前記アーム部に設けられ、当該アーム部を加熱する加熱手段と、
前記アーム部の温度を検出する温度検出手段と、
基板搬送開始前に前記アーム部を加熱し、前記温度検出手段による温度検出値が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可し、その後は前記温度検出値が前記設定温度範囲内に維持されるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで前記設定温度範囲の下限値は、前記加熱手段による加熱を行わずに前記搬送アームを長時間動作させた結果、平衡状態となる前記アーム部の温度よりも高い温度に設定し、前記制御手段は、基板搬送前の前記アーム部を加熱する期間中に、基板搬送を行わずに動作する暖機運転を行うように当該搬送アームを制御するように構成することが好ましい。更に前記制御手段は、基板搬送期間中に前記アーム部の温度が前記設定温度範囲を外れた場合には、基板の搬送を停止するように前記搬送アームを制御し、前記アーム部には、当該アーム部の過熱を防止するためのサーモスタットを設けるとよい。
【0012】
また、前記搬送アームが腐食性の成分が飛散している雰囲気で使用される場合には、前記腐食性の成分の付着を抑える効果がある温度範囲に前記設定温度範囲を設定することが好ましく、搬送アームが処理ガスの反応生成物が付着する雰囲気で使用される場合には、前記温度制御部は、前記搬送アームが基板を搬送していないときに、アーム部に付着している付着成分を飛散させるために、当該アーム部を前記設定温度範囲よりも高い温度に加熱するように加熱手段を制御することが好ましい。更にまた、搬送アームが真空雰囲気の搬送室内で使用される場合には、前記温度制御部は、前記搬送室を減圧している段階において、アーム部の水分を蒸発させるために加熱手段を制御して当該アーム部を加熱するように構成することが好適である。
【0013】
次に本発明に係る基板搬送モジュールは前述の特徴を備えた基板搬送装置と、前記搬送アームにより基板の搬送が行われる搬送室と、前記搬送室に設けられ、当該搬送室内の温度を加熱する第2の加熱手段と、前記搬送室内の温度を検出する第2の温度検出手段とを備え、前記制御手段は、基板搬送期間中は前記第2の温度検出手段による温度検出値に基づいて、前記搬送室内の温度を前記設定温度範囲内に保つように前記第2の加熱手段を制御することを特徴とする。
【0014】
続いて他の発明に係る基板搬送装置は、回転自在な搬送基体に、基板を保持する保持部を進退自在に設けて構成されたスライダ型の搬送アームを備えた基板搬送装置において、
前記搬送基体に設けられ、当該搬送基体を加熱する加熱手段と、
前記搬送基体の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による温度検出値が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可し、その後は前記温度検出値が前記設定設定温度範囲内に維持されるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また本発明に係る基板搬送方法は、基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームにより基板を搬送する基板搬送方法において、
前記アーム部の温度を検出する工程と、
基板搬送開始前に前記アーム部を加熱する工程と、
検出された前記アーム部の温度が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可する工程と、
その後、前記アーム部を加熱しながら当該アーム部の温度を前記設定温度範囲内に維持する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
ここで前記設定温度範囲の下限値は、加熱を行わずに前記搬送アームを長時間動作させた結果、平衡状態となる前記アーム部の温度よりも高い温度に設定されていることが好ましく、また基板搬送開始前の前記アーム部を加熱する工程の実行期間中に、基板搬送を行わずに当該搬送アームを動作させる暖機運転を行う工程や、基板搬送期間中に前記アーム部の温度が前記設定温度範囲を外れた場合に、基板の搬送を停止する工程を更に含むとよい。
【0017】
更にまた本発明に係る記憶媒体は、基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームを備えた基板搬送装置に用いられるプログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは上述の特徴を供えた各基板搬送方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、関節型の搬送アームのアーム部あるいはスライダ型の搬送アームの搬送基体に加熱手段を設け、基板搬送装置の運転開始時にアーム部等を加熱して強制的に昇温させ、設定温度範囲内で基板の搬送を行うようにしている。このため、例えば装置の運転を長期間停止して運転を再開したときに、冷機状態、暖機状態の区別がなくなり、運転再開後直ぐに本来の搬送精度で基板の搬送を行うことができる。従って基板搬送装置が例えば処理モジュールに基板を搬送する場合には、処理モジュール内の基板の載置位置が基板間にて揃うので、基板間の処理について高い均一性が得られる。このように本発明は、基板の載置位置のわずかなずれによっても処理の均一性に影響を及ぼす半導体製造装置に対して有効な手法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態に係る基板搬送装置について、マルチチャンバ型の基板処理装置4を例に挙げて説明する。図1は、本実施の形態に係る基板処理装置4の平面図であり、図2はその縦断面図である。基板処理装置4は、処理対象のウエハWを所定枚数格納するキャリアCを載置する例えば3個のキャリア載置台41と、大気雰囲気下でウエハWを搬送する第1の搬送室42と、室内を大気雰囲気と予備真空雰囲気とに切り替えてウエハWを待機させるための、例えば左右に2個並んだロードロック室43と、真空雰囲気下でウエハWを搬送する第2の搬送室44と、搬入されたウエハWにプロセス処理を施すための例えば4個の基板処理室45a〜45dと、を備えている。これらの機器は、ウエハWの搬入方向に対して、第1の搬送室42、ロードロック室43、第2の搬送室44、基板処理室45a〜45dの順で並んでおり、隣り合う機器同士はドアG1やゲートバルブG2〜G4を介して気密に接続されている。なお、以下の説明では第1の搬送室42のある向きを手前側として説明する。
【0020】
図2に示すようにキャリア載置台41上に載置されたキャリアCは、第1の搬送室42に対してドアG1を介して接続され、このドアG1はキャリアCの蓋を開閉する役割を果たす。また第1の搬送室42の天井部には室内に大気を送り込むファンとその大気を清浄化するフィルタとからなるファンフィルタユニット42aを備え、これと対向する床部には排気ユニット42bを備えることにより、第1の搬送室42内には清浄空気の下降気流が形成される。第1の搬送室42内にはキャリアCからウエハWを1枚ずつ取り出して、搬送するための、回転、伸縮、昇降及び左右への移動自在な搬送アーム10aが設置されているが、その詳細な構成は後述する。また図1に示した46は、第1の搬送室42の側面に設けられ、ウエハWの位置合わせを行うためのオリエンタを内蔵したアライメント室である。
【0021】
左右2つのロードロック室43は、搬入されたウエハWの載置される載置台43aを備え、各々のロードロック室43を大気雰囲気と真空雰囲気とに切り替えるための図示しない真空ポンプ及びリーク弁と接続されている。
【0022】
第2の搬送室44は、図1に示すようにその平面形状が例えば六角形状に形成され、手前側の2辺は既述のロードロック室43と接続されると共に、残る4辺は基板処理室45a〜45dと接続されている。第2の搬送室44内には、ロードロック室43と各基板処理室45a〜45dとの間で真空雰囲気にてウエハWを搬送するための、回転及び伸縮自在な第2の搬送アーム10bが設置され、また第2の搬送室44は、その内部を真空雰囲気に保つための図示しない真空ポンプと接続されている。
【0023】
基板処理室45a〜45dは例えば、ウエハWの載置される載置台51とプロセスガスの供給されるガスシャワーヘッド52とを備えると共に不図示の真空ポンプと接続され、真空雰囲気下で行われるプロセス処理、例えばエッチングガスによるエッチング処理、成膜ガスによる成膜処理、アッシングガスによるアッシング処理等の行われる処理モジュールとして構成されている。各基板処理室45a〜45dで行われるプロセス処理の内容は、互いに同じであってもよいし、異なる処理を行うように構成してもよい。また、搬送アーム10a、10b、基板処理室45a〜45d等は、基板処理装置4全体の動作を統括制御する制御部7と接続されている。
【0024】
以上の構成により、キャリア載置台41上のキャリアCに格納されたウエハWは、搬送アーム10aによってキャリアCより取り出され第1の搬送室42内を搬送される途中でアライメント室46内にて位置決めをされた後、左右いずれかのロードロック室43に受け渡されて待機する。そしてロードロック室43内が予備真空雰囲気となったら、ウエハWは搬送アーム10bによってロードロック室43より取り出され、第2の搬送室44内を搬送され、いずれかの基板処理室45a〜45dにて所定のプロセス処理を受ける。ここで基板処理室45a〜45dにて異なる連続処理が行われる場合には、ウエハWは第2の搬送室44との間を往復しながら連続処理に必要な基板処理室45a〜45d間を搬送され、必要な処理を終えた後搬入時とは反対の経路(アライメント室46を除く)で搬出され再びキャリアCへと格納される。
【0025】
このように本実施の形態に係る基板処理装置4は、装置内におけるウエハWの搬送する搬送アーム10a、10bを備えているが、これらの搬送アーム10a、10bはモータ等の駆動機構、プーリやタイミングベルトからなる伝達機構を有している。そこで背景技術にて説明したように冷機状態、暖機状態といった装置の温度変化によりウエハWの搬送位置がずれてしまうことを防止するため、本実施の形態に係る搬送アーム10a、10bは、このような温度変化の影響を低減し、精度よくウエハWを搬送するための加熱手段を備えている。
【0026】
以下、本実施の形態に係る基板搬送装置1a、1bの詳細な構成及び加熱手段の内容について説明する。既述の第1の搬送室42、第2の搬送室44に夫々設置された搬送アーム10a、10bは、夫々基板搬送装置1a、1bの一部を構成している。基板搬送装置1a、1bは図5に示すように、搬送アーム10a、10bと、その動作制御及び温度制御を行う制御部7とから構成されており、各々の基板搬送装置1a、1bは、その機構が概略共通しているので、以下第2の基板搬送装置1bについて説明する。なお本発明者は、実際には各搬送室内に関節型の搬送アームを2本備えた基板搬送装置を開発しているが、図示及び説明の便宜上、本実施の形態では1本の搬送アームを備えた基板搬送装置1a、1bを例示して説明する。
【0027】
初めに、搬送アーム10bの構成及びその動作について簡単に説明する。図3は、第2の基板搬送装置1bに備わる搬送アーム10bの内部構造を示した縦断側面図であり、図4はその外面形状を示した斜視図である。図3、図4に示すように搬送アーム10bは、ウエハ保持部13aの形成された先端アーム部13に中段アーム部12及び旋回アーム部11を回転自在に連結した、周知の関節型(スカラ型)搬送アームとして構成されている。
【0028】
図3に示すように、旋回アーム部11及び中段アーム部12は、アルミニウム製のケーシング11a、12aを本体として構成され、夫々のケーシング11a、12a内には旋回アーム部11、中段アーム部12、先端アーム部13を夫々連結する支持軸26b、29b、回転軸26a、28が収められている。また、旋回アーム部11の基端側に設けられた回転軸21及び旋回軸22は、第2の搬送室44の床部下方に設けられ、これらの軸21、22を夫々独立に回転させるための、例えばモータからなる駆動機構30と接続されている(図5参照)。また図3中、25a、25bはタイミングベルト、23、24、27、28はプーリであって前述の駆動機構30からの駆動力を伝達する伝達機構としての役割を果たす。
【0029】
以上の構成により、旋回軸22を停止した状態で回転軸21を駆動させると、搬送アーム10bの旋回アーム部11とウエハ保持部13とが同じ方向へと回転する一方で、中段アーム部12はこれらの回転を打ち消す方向へと反対に回転する。その結果これらの動きが組み合わされることにより、図4中に破線で示すようにウエハ保持部13aを前後させる伸縮動作を行う。これに対して回転軸21と旋回軸22とを同じ方向へと駆動させると、ウエハ保持13aを伸縮させずに旋回アーム部11の水平方向への旋回動作を行う。
【0030】
なお、図3に示すように、互いに回転可能なように連結された部材同士の間には、例えばベアリングからなる軸受部20a〜20gが介挿されており、更に軸受部20a、20b、20e、20fは、例えば磁気シールユニットを備え、各ケーシング11a、12a内や駆動機構30の収められたカバー部材31内の大気雰囲気と、第2の搬送室44内の真空雰囲気とが隔離されている。
【0031】
ここで、前述の伸縮動作におけるウエハ保持部13aの停止位置、即ちウエハWの搬送位置は、搬送アーム10bを伸ばす動作を開始してから止まるまでの駆動機構30の駆動量(例えばモータの回転量)で制御され、この駆動量は予め定められた制御温度(例えば40℃)にてウエハWの搬送位置が最適となる(例えば搬送されたウエハWの中心が載置台51の中心に一致する)ように設定されている。
【0032】
このような動作を行う搬送アーム10bに対し、図3の全体図及び拡大図に示すように、各ケーシング11a、12aには例えばシート状の抵抗発熱体からなり各アーム部11、12の温度を予め設定した設定温度範囲(例えば既述の制御温度を基準値とするプラスマイナス1.0℃の温度範囲)内に保つためのヒータ61a、61bが埋め込まれている。各ヒータ61a、61bは接続線62を介して後述する外部の電源部66と接続されている。
【0033】
ここで旋回軸22、旋回アーム部11の先端側の支持軸26bには、夫々の軸の軸方向に形成された空洞部である配線路22a、26cを設けてあり、カバー部材31、回転軸21には貫通孔31a、21aを設けてある。そして、外部の電源部66と接続された接続線62は、これら貫通孔31a、21aを介して回転軸21内に導入され、ここから配線路22aの下方側開口部を経て旋回軸22内を通り、プーリ23の上方に設けられた上方側開口より旋回アーム部11のケーシング11a内へと導入されてヒータ61aに接続される。ここで63aは接続線62とヒータ61aとの間に介設された、例えばバイメタルタイプのサーモスタットであって、その温度が予め設定された停止温度(例えば前記の設定温度範囲の上限値よりも高い50℃)に達したらヒータ61aへの電力の供給を停止して旋回アーム部11の過熱を防止する役割を果たす。
【0034】
更に接続線62は、前述のサーモスタット63aの手前で分岐して、ケーシング11a内を引き回されて、プーリ24の下方に形成された配線路26cの下方側開口部を介して支持軸26b内へ導入され、プーリ27の上面に形成された上方側開口部より中段アーム部12のケーシング12a内へと導入される。ケーシング12aへと導入された接続線62は、サーモスタット63bを介してヒータ61bに接続される。以上の構成により、図5に示すように各アーム部11、12内には、ヒータ61a、61bとサーモスタット63a、63bとが夫々組み合わされて電源部66に並列に接続された回路が形成される。なお図示の便宜上、図3では前述の回路を構成する接続線を1本線にて示してある。
【0035】
ここで、各ヒータ61a、61bから供給された熱は周囲の真空雰囲気へは殆ど逃げないため、本実施の形態では先端アーム部13にヒータ等を設けず、中段アーム部12等の基端側のアームからの熱伝導を利用して間接的に加熱を行う構成となっている。但し、先端アーム部13に独自のヒータや熱電対を設け、加熱を行ってもよいことは勿論である。
【0036】
またヒータ61a、61bの埋め込まれたケーシング11a、12aの内面には、温度検出手段としての例えば熱電対64a、64bが設置されており、図3中に破線で示した信号線65と接続され、夫々の設置位置におけるケーシング11a、12aの温度を電気信号として出力できる。信号線65は、既述の接続線62と同じ経路を通って搬送アーム10の外へ引き出されている。なお接続線62や信号線65は、回転軸21や旋回軸22等の回転により引っ張られて切れたりしないように、巻き線部を形成したり弛みを持たせたりした状態で搬送アーム10b内に配線されている。
【0037】
以上、搬送アーム10bの詳細な構成及び加熱手段の内容について説明したが、第1の基板搬送装置1aに備わる搬送アーム10aについても概略同様の構成を備えており、伸縮、旋回自在且つ各アーム部11、12の温度を設定温度範囲内に保つことができる。なお第1の基板搬送装置1aにおいて、搬送アーム10aや駆動機構30を支える基台は、昇降及び左右への移動自在に構成されている。
【0038】
図5は、各基板搬送装置1a、1bの加熱及びの動作制御に係る各機器の電気的構成を示したブロック図である。制御部7は、既述のように各基板搬送装置1a、1bを含む基板処理装置4全体の動作を統括制御するほか、電源部66と協働してヒータ61a、61bの温度を調節する機能と、基板処理装置4の立ち上げ操作のシーケンスや各アーム部11、12の加熱状況に応じて、各搬送アーム10a、10bを動作させる機能とを備えた制御手段としての役割を果たす。また電源部66は制御部7からの指示に基づいて各ヒータ61a、61bへの供給電力を調節する役割を果たす。
【0039】
制御部7は、例えば中央演算処理装置(CPU)71と上述の各種作用に関するプログラム(温度制御プログラム72、動作制御プログラム73と記してある)とメモリ74とを備えたコンピュータからなる。この温度制御プログラム72、動作制御プログラム73には当該第1、第2の基板搬送装置1a、1bの作用、つまり、各アーム部11、12の加熱及び搬送アーム10a、10bの動作に係る制御についてのステップ(命令)群が組まれている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0040】
またメモリ74は、例えば書き換え可能なフラッシュメモリ等により構成され、このメモリ74に予め記憶された設定温度範囲がコンピュータに読み出される。ここで、設定温度範囲の下限値は、既述の暖機状態における各アーム部11、12の温度、即ちヒータ61a、61bによる加熱を行わずに搬送アーム10a、10bを長時間動作させた結果、平衡状態となる温度よりも高い温度(例えば30℃)に設定されている。
【0041】
制御部7には、各搬送アーム10a、10bの熱電対64a、64bや駆動機構30、また電源部66を介してヒータ61a、61bが接続されるほか、オペレータにユーザに各種の案内表示をしたり、ソフトスイッチを介してユーザからの指示を受け付けたりする表示操作部75が接続されている。
【0042】
以上に説明した構成に基づいて実行される各基板搬送装置1a、1bの温度制御及び動作制御について、その動作の流れをフローチャートで示した図6を参照しながら説明する。例えば基板処理装置4のメンテナンスや工場の休業を終え、基板処理装置4の立ち上げ操作を開始する場合において(スタート)、第1、第2の基板搬送装置1a、1bを含む基板処理装置4の電源を投入すると(ステップS1)、各搬送アーム10a、10bによりウエハWの搬送される正確な位置を予め記憶する初期化が行われる共に各アーム部11、12の温度制御が開始される。(ステップS2)。
【0043】
これにより、夫々の搬送アーム10a、10bのアーム部11、12を加熱すると共に、ウエハWの搬送を行わないまま各搬送アーム10a、10bの伸縮や旋回動作を繰り返す暖機運転を行い(ステップS3)、熱電対64a、64bの温度検出値が設定温度範囲内となったか否かを確認する(ステップS4)。
【0044】
前記温度検出値が設定温度範囲内まで上昇していない場合には(ステップS4;N)、ウエハWの搬送を禁止したままでアーム部11、12の加熱と暖機運転とを継続し(ステップS3)、前記温度検出値が設定温度範囲内に到達すると(ステップS4;Y)、ウエハWの搬送を許可する。そして例えば基板処理室45a〜45d等にてプロセス処理の準備が完了するのを待って基板処理装置4におけるウエハWの処理を開始し、各搬送アーム10a、10bにおいてもアーム部11、12の加熱を行いながらウエハW搬送を実行する(ステップS5)。
【0045】
各基板搬送装置1a、1bは、所定間隔で各熱電対64a、64bからの温度検出値を確認し(ステップS6)、設定温度の範囲内であれば(ステップS6;Y)、基板処理装置4の計画停止時期に至るまで、そのままアーム部11、12の加熱及びウエハW搬送を継続する(ステップS5)。一方、いずれか一方の搬送アーム10a、10bの熱電対64a、64bからの温度検出値が設定温度範囲を外れた場合には(ステップS6;N)、ウエハWの搬送を停止し(ステップS7)基板処理装置4の稼動を停止し、表示操作部75にて異常発生の旨を報知して(ステップS8)動作を終了する(エンド)。
【0046】
ウエハW搬送の停止後は、オペレータや設備担当者等により、異常発生の原因究明、対策措置が講じられ、再び図6と同様のフローにて基板処理装置4及び各基板搬送装置1a、1bの運転が再開される。また、アーム部11、12の温度が設定温度範囲を外れた際に(ステップS6;N)、例えば急激な温度上昇によりサーモスタット63a、63bのバイメタルが既述の停止温度に達した場合には、当該サーモスタット63a、63bの作動によりヒータ61a、61bへの電力供給が停止される。
【0047】
本実施の形態によれば以下のような効果がある。本実施の形態に係る基板搬送装置1a、1bは、関節型の搬送アーム10a、10bの各アーム部11、12にヒータ61a、61bを設け、運転開始時にアーム部11、12を加熱して強制的に昇温させ、設定温度範囲内でウエハWの搬送を行うようにしている。このため、例えば各基板搬送装置1a、1bの運転を長期間停止して運転を再開したときに、冷機状態、暖機状態の区別がなくなり、運転再開後直ぐに本来の搬送精度でウエハWの搬送を行うことができる。従って例えば基板処理室45a〜45d内のウエハWの載置位置がウエハW間にて揃うので、ウエハW間の処理について高い均一性が得られる。このように本発明は、例えば実施の形態に示した基板処理装置4のように、ウエハWの載置位置のわずかなずれによっても処理の均一性に影響を及ぼす半導体製造装置対して有効な手法である。
【0048】
また、各アーム部11、12の温度が設定温度範囲を外れたときには、ウエハWの搬送を停止するので、搬送位置のずれたままの状態で処理されるウエハWの数を最小限に抑えることができる。そして、各ヒータ61a、61bには搬送アーム10a、10bの過熱を防止するためのサーモスタット63a、63bを設けてあるので、制御部7による供給電力の調節が間に合わないような急激な温度上昇を生じた場合でも安全にこれらのヒータ61a、61bを停止することができる。
【0049】
更に本実施の形態においては、前記設定温度範囲の下限値を暖機状態におけるアーム部11、12の温度よりも高く設定しているので、抵抗発熱体等の構成の簡素な加熱手段だけで各アーム部11、12の加熱を行うことができる。また搬送アーム10a、10bはこの設定温度範囲内の予め定められた制御温度にてウエハWの搬送位置が最適となるように設定されているため、従来のように冷機状態、暖機状態の異なる温度条件下のいずれでも、ある程度良好な制御性を発揮できるように設定されている場合と比較して、ウエハWの搬送位置精度を高めることができる。
【0050】
また、ウエハWの搬送を開始する前に、各基板搬送装置1a、1bにて暖機運転を行いながらこれらのアーム部11、12の加熱を行うので、温度条件を揃えただけでは調節しきれない他の条件についても従来の暖機状態に近い状態としてウエハWの搬送を開始し、ウエハWの搬送位置をより安定させることができる。更にまた、本実施の形態ではスカラ型の搬送アーム10a、10bを例に挙げて説明したが、これらに替えてフロッグレッグ型の搬送アームを設け、ヒータによる加熱を行いながら動作させてもよいことは勿論である。
【0051】
以上、本実施の形態においては搬送アーム10a、10bを加熱する加熱手段として抵抗発熱体等を用いる場合について例示したが、これに加えて搬送アームに冷却手段を設けるようにしてもよい。例えば、図3に示した旋回アーム部11や中段アーム部12のケーシング11a、12a内にモータを備え、これらによって直接中段アーム部12や先端アーム部13を動作させるタイプの搬送アームがある。このようなタイプの搬送アームは、旋回アーム部11や中段アーム部12の内部にモータからの熱がこもって大幅な温度上昇を引き起こす可能性がある。このため、例えばこれらのモータの表面に圧縮空気を吹き付ける等して冷却する冷却手段を各アーム部11、12内に設置して、搬送アームの加熱と冷却とを組み合わせるように構成してもよい。
【0052】
また実施の形態では、加熱手段であるヒータ61a、61bを搬送アーム10a、10bのみに設けた例を示したが、これに加えて搬送アーム10aの設置されている雰囲気についての加熱を行ってもよい。例えば、既述の第1の基板搬送装置1aと第1の搬送室42とを基板搬送モジュールとして一体に考え、図2に示すファンフィルタユニット42aの出口にエアヒータ等からなる第2の加熱手段を設ける。そして第1の搬送室42内に設けた第2の温度検出手段による室内温度の検出値に基づいて、この第1の搬送室42内の温度を第1の基板搬送装置1aのアーム部11、12と同じ設定温度範囲内に保つように制御部7にて制御する場合等が考えられる。また、図1、図2に示した第2の搬送室44内を真空雰囲気とする替わりに、例えば窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とし、この室内の温度を設定温度範囲内に保つように不活性ガスの供給温度を調節してもよい。搬送アーム10a周囲の温度を設定温度範囲内で安定させることにより、搬送アーム10a自体の加熱を容易にすることができる。
【0053】
また、各搬送アーム10a、10bのアーム部11、12に設けられたヒータ61a、61bは基板搬送装置1a、1bの制御性を高めること以外の目的にも活用できる。例えば第2の搬送室44のように真空雰囲気にてウエハWを搬送するタイプの搬送室では、高真空状態を保つために、搬送室や基板搬送装置の部材表面に吸着している水分子等を予め蒸発させて、これらの機器を例えば100℃前後で加熱するベーキング処理が行われる。従来、このようなベーキング処理は例えばチャンバ本体をカートリッジヒータやシートヒータで暖めることにより数日間かけて行われているが、搬送アーム10a、10bに設けられたヒータ61a、61bを利用して、各アーム部11、12の表面の温度を前記のベーキング処理と同程度の温度まで直接加熱することによりベーキング処理に必要な期間を短縮することができる。なお、この場合には各サーモスタット63a、63bの停止温度は、前記ベーキング処理温度の上限値より高い温度に設定される。
【0054】
更にまた、例えば基板処理室45a〜45d内では腐食性の成分を使用したり、処理ガスが大気中の水分や人体から放出される微量のアンモニア等と反応して腐食性の成分を生じたりすることがある。このような場合には、例えば基板処理室45a〜45d内にてウエハW表面に吸着したこれらの成分が搬出経路の途中でウエハWから搬送室42、44内に飛散して、各アーム部11、12等の表面を腐食させてしまうことがある。そこで既述の設定温度範囲を、これら腐食性の成分の付着を抑える効果のある温度範囲に設定して搬送アーム10a、10bを使用することにより、その腐食を防止してもよい。
【0055】
また処理ガス等を由来とする反応生成物(既述の腐食性の成分を含む)が付着する雰囲気にて搬送アーム10a、10bを使用する場合には、ウエハWを搬送していない期間中に、既述の設定温度範囲よりも高く、付着成分を飛散させることの可能な温度まで各アーム部11、12を加熱するように構成してもよい。この場合にも各サーモスタット63a、63bの停止温度は、付着成分を飛散させる温度より高い温度に設定される。
【0056】
これまで説明してきた実施の形態では、マルチチャンバ型の基板処理装置4等に適用される関節型の搬送アーム10a、10bを備えた基板搬送装置1a、1bの例について説明したが、本発明の適用される搬送アームは関節型に限定されない。例えば、ウエハWやフラットパネルに対してレジスト膜の塗布、現像を行う塗布、現像装置等の基板処理装置では、図7(a)に示すようなタイプのスライド型基板搬送装置8を備えている。
【0057】
このスライド型基板搬送装置8は、例えば回転自在な搬送基体81と、この搬送基体81に進退自在に設けられた3枚の基板保持部82a〜82cとから構成される搬送アーム80を備え、夫々の基板保持部82a〜82cは例えば図7(b)の縦断面図に示すように、搬送基体81内のボールネジ83上を移動する移動体84に連結部材85を介して取り付けられている。そしてボールネジ83に取り付けられたモータ86を駆動させることにより基板保持部82a〜82cをスライドさせて、ウエハW上にレジスト液や現像液を塗布したり、これら処理液の塗布されたウエハWに加熱処理を施したりする処理モジュールへとウエハWを搬送することができる。なお、図7(b)では図示の便宜上1本の基板保持部82a及びその駆動機構のみを示してある。
【0058】
このようなスライド型基板搬送装置8においても例えばボールネジ83と移動体84との間の摩擦熱によりボールネジ83を構成するシャフトが伸びたりして冷機状態、暖機状態の状態変化を生じる。こうした状態変化によりウエハWの搬送位置がずれると、レジスト膜の膜厚や現像状態にウエハW間でバラツキを生じる場合があるため、図7(b)に示すように、例えば搬送基体81を構成するケーシング内に加熱手段としてのヒータ61aや温度検出手段としての熱電対64aを埋め込み、制御部7等と接続して、ウエハWの搬送を開始する前に搬送基体81を加熱し、ウエハWの搬送期間中には、その温度を設定温度範囲内に保つように構成するとよい。なお図7(b)では図3、図5と同じ構成のものには同じ符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】前記基板処理装置の縦断面図である。
【図3】前記基板処理装置内に備わる第1の基板搬送装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図4】前記第1の基板搬送装置に備わる多関節アームの斜視図である。
【図5】実施の形態に係る基板搬送装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図6】前記搬送アームの温度制御及び動作制御に係る動作の流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るスライド型基板搬送装置の斜視図及び縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
W ウエハ
1a 第1の基板搬送装置
1b 第2の基板搬送装置
4 基板処理装置
7 制御部
8 スライド型基板搬送装置
10a、10b
搬送アーム
11 旋回アーム部
11a ケーシング
12 中段アーム部
12a ケーシング
13 先端アーム部
13a ウエハ保持部
20a〜20g
軸受部
21 回転軸
21a 貫通孔
22 旋回軸
22a 配線路
23、24 プーリ
25a、25b
タイミングベルト
26a 回転軸
26b 支持軸
26c 配線路
27、28 プーリ
29 回転軸
29b 支持軸
30 駆動機構
31 カバー部材
31a 貫通孔
41 キャリア載置台
42 第1の搬送室
42a ファンフィルタユニット
42b 排気ユニット
43 ロードロック室
43a 載置台
44 第2の搬送室
45a〜45d
基板処理室
46 アライメント室
51 載置台
52 ガスシャワーヘッド
61a、61b
ヒータ
62 接続線
63a、63b
サーモスタット
64a、64b
熱電対
65 信号線
66 電源部
71 中央演算処理装置(CPU)
72 温度制御プログラム
73 動作制御プログラム
74 メモリ
75 表示操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームを備えた基板搬送装置において、
前記アーム部に設けられ、当該アーム部を加熱する加熱手段と、
前記アーム部の温度を検出する温度検出手段と、
基板搬送開始前に前記アーム部を加熱し、前記温度検出手段による温度検出値が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可し、その後は前記温度検出値が前記設定温度範囲内に維持されるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記設定温度範囲の下限値は、前記加熱手段による加熱を行わずに前記搬送アームを長時間動作させた結果、平衡状態となる前記アーム部の温度よりも高い温度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、基板搬送前の前記アーム部を加熱する期間中に、基板搬送を行わずに動作する暖機運転を行うように当該搬送アームを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、基板搬送期間中に前記アーム部の温度が前記設定温度範囲を外れた場合には、基板の搬送を停止するように前記搬送アームを制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記アーム部には、当該アーム部の過熱を防止するためのサーモスタットが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記搬送アームは、腐食性の成分が飛散している雰囲気で使用され、
前記設定温度範囲は、前記腐食性の成分の付着を抑える効果がある温度範囲であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記搬送アームは、処理ガスの反応生成物が付着する雰囲気で使用され、
前記温度制御部は、前記搬送アームが基板を搬送していないときに、アーム部に付着している付着成分を飛散させるために、当該アーム部を前記設定温度範囲よりも高い温度に加熱するように加熱手段を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記搬送アームは、真空雰囲気の搬送室内で使用され、
前記温度制御部は、前記搬送室を減圧している段階において、アーム部の水分を蒸発させるために加熱手段を制御して当該アーム部を加熱することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の基板搬送装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一つに記載の基板搬送装置と、
前記搬送アームにより基板の搬送が行われる搬送室と、
前記搬送室に設けられ、当該搬送室内の温度を加熱する第2の加熱手段と、
前記搬送室内の温度を検出する第2の温度検出手段と、を備え、
前記制御手段は、基板搬送期間中は前記第2の温度検出手段による温度検出値に基づいて、前記搬送室内の温度を前記設定温度範囲内に保つように前記第2の加熱手段を制御することを特徴とする基板搬送モジュール。
【請求項10】
回転自在な搬送基体に、基板を保持する保持部を進退自在に設けて構成されたスライダ型の搬送アームを備えた基板搬送装置において、
前記搬送基体に設けられ、当該搬送基体を加熱する加熱手段と、
前記搬送基体の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段による温度検出値が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可し、その後は前記温度検出値が前記設定設定温度範囲内に維持されるように前記加熱手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項11】
基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームにより基板を搬送する基板搬送方法において、
前記アーム部の温度を検出する工程と、
基板搬送開始前に前記アーム部を加熱する工程と、
検出された前記アーム部の温度が予め設定した設定温度範囲まで上昇した後に基板の搬送を許可する工程と、
その後、前記アーム部を加熱しながら当該アーム部の温度を前記設定温度範囲内に維持する工程と、を含むことを特徴とする基板搬送方法。
【請求項12】
前記設定温度範囲の下限値は、加熱を行わずに前記搬送アームを長時間動作させた結果、平衡状態となる前記アーム部の温度よりも高い温度に設定されていることを特徴とする請求項11に記載の基板搬送方法。
【請求項13】
基板搬送開始前の前記アーム部を加熱する工程の実行期間中に、基板搬送を行わずに当該搬送アームを動作させる暖機運転を行う工程を更に含むことを特徴とする請求項11または12に記載の基板搬送方法。
【請求項14】
基板搬送期間中に前記アーム部の温度が前記設定温度範囲を外れた場合には、基板の搬送を停止する工程を更に含むことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一つに記載の基板搬送方法。
【請求項15】
基板を保持する保持部に回転自在にアーム部が連結された関節型の搬送アームを備えた基板搬送装置に用いられるプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項11ないし14のいずれか一つに記載された基板搬送方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−235836(P2008−235836A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77500(P2007−77500)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】