説明

産業用ロボット

【課題】2本のアームを個別に伸縮させることが可能であっても、2本のアームの伸縮動作や本体部に対する回動動作を安定させることが可能な産業用ロボットを提供すること。
【解決手段】第1アーム5は、第1アーム部11と、第1アーム部11に保持される第2アーム部12とを備え、第2アーム6は、第3アーム部13と、第3アーム部13に保持される第4アーム部14とを備えている。ロボット1では、第1アーム5と第2アーム6とを個別に伸縮させることが可能となっている。また、ロボット1では、第1アーム部11の回動中心と第3アーム部13の回動中心とは同軸上に配置されるとともに、第1アーム5と第2アーム6とは、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態で仮想線Lに対して略線対称になるように構成され、第1アーム部11と第3アーム部13と第2アーム部12と第4アーム部14とは、上下方向においてこの順番で配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送対象物を搬送する産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハや液晶ガラス基板等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットとして、搬送対象物を搬送する際に伸縮する2本のアームと、2本のアームのそれぞれの先端側に取り付けられるハンドと、2本のアームを支持する筐体とを備える産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットでは、2本のアームはそれぞれ、平行四節リンク機構を有しており、アームが伸縮すると、この平行四節リンク機構の作用で、ハンドは直線状に移動する。
【0003】
また、この産業用ロボットでは、2本のアームが縮んだときに2個のハンドが上下方向で重なるように、2本のアームが構成されている。ここで、上側に配置されるハンドが取り付けられるアームを第1アームとし、下側に配置されるハンドが取り付けられるアームを第2アームとすると、この産業用ロボットでは、第1アームが伸びている場合には、第2アームを伸ばすことができず、第2アームが伸びている場合には、第1アームを伸ばすことができないように、平行四節リンク機構が構成されている。
【0004】
したがって、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1アームが縮まないと、第2アームに取り付けられるハンドは搬送対象物が収納される収納部に対して搬送対象物の出し入れを行うことができず、第2アームが縮まないと、第1アームに取り付けられるハンドは収納部に対して搬送対象物の出し入れを行うことができない。このように、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、2本のアームの伸縮動作を個別に行うことができない。そのため、特許文献1に記載の産業用ロボットでは、2本のアームを備えているにもかかわらず、収納部に対する搬送対象物の出し入れをアームごと個別に行うことができず、搬送対象物の搬送処理に時間がかかるといった問題がある。
【0005】
そこで、従来、2本のアームを個別に伸縮させて、2本のアームによる収納部に対する搬送対象物の出し入れを個別に行うことが可能な産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献2および3参照)。特許文献2に記載の産業用ロボットは、第1ハンドを支持する第1アームと、第2ハンドを支持する第2アームと、円筒体形状のベース部とを備えている。この産業用ロボットでは、第1アームは、ベース部に設けられた第1旋回支軸と、第1旋回支軸に旋回自在に支持される第1リンクと、第1リンクの駆動端部に設けられた第2旋回支軸と、第2旋回支軸に旋回自在に支持される第2リンクとを備え、第2アームは、ベース部に設けられた第1旋回支軸と、第1旋回支軸に旋回自在に支持される第1リンクと、第1リンクの駆動端部に設けられた第2旋回支軸と、第2旋回支軸に旋回自在に支持される第2リンクとを備えている。
【0006】
特許文献2に記載の産業用ロボットでは、第1アームを伸縮させたときに、第2アームおよび第2ハンドと第1アームの第2リンクとが干渉しないように、第1アームの第1リンクと第2リンクとの間に大きな隙間が形成され、この隙間に第2アームおよび第2ハンドが配置されている。また、この産業用ロボットでは、第1アームの第1リンクと第2アームの第1リンクとでは、その長さや形状が異なり、第1アームの第2リンクと第2アームの第2リンクとでは、その長さや形状が異なっている。
【0007】
特許文献3に記載の産業用ロボットは、旋回アームと中段アームと基板保持アームとからなる第1の多関節アームと、旋回アームと中段アームと基板保持アームとからなる第2の多関節アームとを備えている。この産業用ロボットでは、水平方向から見たときに、第2の多関節アームの旋回アームと、第1の多関節アームの旋回アームとが下側からこの順番で配置されている。また、この産業用ロボットでは、水平方向から見たときに、第1の多関節アームの中段アームと、第2の多関節アームの中段アームとが同じ高さに配置され、また、第1の多関節アームの基板保持アームと、第2の多関節アームの基板保持アームとが同じ高さに配置されている。
【0008】
また、特許文献3に記載の産業用ロボットは、第1の多関節アームを旋回させる第1の旋回駆動部と、第2の多関節アームを旋回させる第2の旋回駆動部と、第1の多関節アームを伸縮させる第1の伸縮駆動部と、第2の多関節アームを伸縮させる第2の伸縮駆動部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−284629号公報
【特許文献2】特開2002−172570号公報
【特許文献3】特開2004−288719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2および3に記載の産業用ロボットでは、2本のアームを個別に伸縮させて、2本のアームによる収納部に対する搬送対象物の出し入れを個別に行うことが可能であるため、搬送対象物の搬送処理の時間を短縮することが可能である。
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載の産業用ロボットでは、第1アームの第1リンクと第2リンクとの間に大きな隙間が形成され、この隙間に第2アームおよび第2ハンドが配置されている。また、この産業用ロボットでは、第1アームの第1リンクと第2アームの第1リンクとでは、その長さや形状が異なり、第1アームの第2リンクと第2アームの第2リンクとでは、その長さや形状が異なっている。そのため、特許文献2に記載の産業用ロボットでは、第1アームと第2アームとの重量のバランスが悪い。
【0012】
また、特許文献3に記載の産業用ロボットでは、第2の多関節アームの旋回アームと、第1の多関節アームの旋回アームとが下側からこの順番で配置されているにもかかわらず、第1の多関節アームの中段アームと、第2の多関節アームの中段アームとが同じ高さに配置されている。そのため、第2の多関節アームの旋回アームと中段アームとの距離が、第1の多関節アームの旋回アームと中段アームとの距離よりも長くなっている。したがって、特許文献3に記載の産業用ロボットでは、第1の多関節アームと第2の多関節アームとの重量のバランスが悪い。
【0013】
このように、特許文献2に記載の産業用ロボットでは、第1アームと第2アームとの重量のバランスが悪く、特許文献3に記載の産業用ロボットでは、第1の多関節アームと第2の多関節アームとの重量のバランスが悪い。そのため、特許文献2に記載の産業用ロボットや特許文献3に記載の産業用ロボットでは、2本のアームの伸縮動作が不安定になりやすく、また、ベース部に対する2本のアームの回動動作が不安定になりやすい。
【0014】
そこで、本発明の課題は、2本のアームを個別に伸縮させることが可能であっても、2本のアームの伸縮動作や本体部に対する2本のアームの回動動作を安定させることが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が収納される収納部からの搬送対象物の搬出および収納部への搬送対象物の搬入を行う産業用ロボットにおいて、搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、その先端側で第1ハンドを回動可能に保持するとともに収納部に対する搬送対象物の出し入れの際に伸縮する第1アームと、その先端側で第2ハンドを回動可能に保持するとともに収納部に対する搬送対象物の出し入れの際に伸縮する第2アームと、第1アームおよび第2アームを伸縮させるための駆動機構と、駆動機構の一部が収納される本体部とを備え、第1アームは、その基端側を中心にして本体部に対して回動可能な第1アーム部と、第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に保持される第2アーム部とを備え、第2アームは、その基端側を中心にして本体部に対して回動可能な第3アーム部と、第3アーム部の先端側にその基端側が回動可能に保持される第4アーム部とを備え、駆動機構は、第1アームの伸縮動作と第2アームの伸縮動作とを個別に行うことが可能となるように構成され、第1アーム部の回動中心と第3アーム部の回動中心とが同軸上に配置され、第1アームと第2アームとは、第1アームおよび第2アームが縮んでいる状態で産業用ロボットの上側から見たときに、第1アーム部および第3アーム部の回動中心を通過する仮想線に対して略線対称になるように構成され、水平方向から見たときに、第1アーム部と第3アーム部と第2アーム部と第4アーム部とは、下側から上側に向かってこの順番で配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の産業用ロボットでは、第1アーム部の回動中心と第3アーム部の回動中心とが同軸上に配置されるとともに、第1アームと第2アームとが、第1アームおよび第2アームが縮んでいる状態で産業用ロボットの上側から見たときに、第1アーム部および第3アーム部の回動中心を通過する仮想線に対して略線対称になるように構成されている。また、水平方向から見たときに、第1アーム部と第3アーム部と第2アーム部と第4アーム部とが、下側から上側に向かってこの順番で配置されている。そのため、本発明では、第1アームと第2アームとの重量のバランスを取りやすくなる。したがって、本発明では、第1アームの伸縮動作と第2アームの伸縮動作とを個別に行うことが可能となるように駆動機構が構成されていても、2本のアームの伸縮動作や本体部に対する2本のアームの回動動作を安定させることが可能になる。また、本形態では、第1アームの構成部品の一部と第2アームの構成部品の一部とを共通化することが可能になり、その結果、産業用ロボットのコストを低減することが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、第2アーム部の先端側に、第1ハンドが回動可能に保持され、第4アーム部の先端側に、第2ハンドが回動可能に保持されている。
【0018】
本発明において、駆動機構は、第1アーム部および第3アーム部の回動中心を軸中心とする第1回動軸と、第1回動軸の外周面を覆うように第1回動軸と同心状に配置される中空状の第2回動軸と、第2回動軸の外周面を覆うように第1回動軸と同心状に配置される中空状の第3回動軸と、第1回動軸を回動させる第1駆動源と、第2回動軸を回動させる第2駆動源と、第3回動軸を回動させる第3駆動源とを備え、第1アームは、中空状に形成される第1アーム部の内部の基端側に配置される第1回動部材と、第1アーム部の内部の先端側に配置される第2回動部材と、第1回動部材から第2回動部材へ動力を伝達するための第1伝達部材とを備え、第2アームは、中空状に形成される第3アーム部の内部の基端側に配置される第3回動部材と、第3アーム部の内部の先端側に配置される第4回動部材と、第3回動部材から第4回動部材へ動力を伝達するための第2伝達部材とを備え、第1回動軸には、第3アーム部の基端側が固定され、第2回動軸には、第1回動部材と第3回動部材とが固定され、第3回動軸には、第1アーム部の基端側が固定され、第2回動部材は、第1アーム部に回動可能に保持されるとともに、第2回動部材には、第2アーム部が固定され、第4回動部材は、第3アーム部に回動可能に保持されるとともに、第4回動部材には、第4アーム部が固定されていることが好ましい。
【0019】
このように構成すると、第1回動軸を回動させることで、第2アームを伸縮させ、第3回動軸を回動させることで、第1アームを伸縮させることが可能になる。すなわち、第1アームと第2アームとを個別に伸縮させることが可能になる。また、このように構成すると、第1回動軸と第2回動軸と第3回動軸とを同時に回動させることで、第1アームおよび第2アームを伸縮させずに本体部に対して一緒に回動させることが可能になる。
【0020】
本発明において、たとえば、第1回動部材、第2回動部材、第3回動部材および第4回動部材は、プーリであり、第1伝達部材および第2伝達部材は、ベルトである。この場合には、ベルトは、たとえば、金属製の平ベルトである。また、この場合には、たとえば、プーリは、歯付きプーリであり、ベルトは、歯付きベルトである。
【0021】
本発明において、産業用ロボットは、第3アーム部を回動可能に支持する第3アーム部軸受を備え、第3アーム部軸受は、第2回動軸に取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、第3アーム部の下側に配置される第1アーム部に第3アーム部軸受が取り付けられている場合と比較して、第3アーム部軸受の周辺の構成を簡素化することが可能になる。したがって、第3アーム部軸受の周辺部分を小型化することが可能になる。
【0022】
本発明において、産業用ロボットは、本体部に対する第2回動軸の相対回動位置を検出するための第1位置検出機構と、第2回動軸に対する第1回動軸の相対回動位置を検出するための第2位置検出機構と、第2回動軸に対する第3回動軸の相対回動位置を検出するための第3位置検出機構とを備えることが好ましい。このように構成すると、第1位置検出機構と第2位置検出機構と第3位置検出機構とによって、本体部に対する2本のアームの回動位置や2本のアームの伸縮状態を適切に検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、2本のアームを個別に伸縮させることが可能であっても、2本のアームの伸縮動作や本体部に対する2本のアームの回動動作を安定させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットを示す平面図であり、(A)は第1アームが縮み、第2アームが伸びている状態を示す図、(B)は第1アームおよび第2アームが縮んでいる状態を示す図である。
【図2】図1(B)のE−E方向から産業用ロボットを示す側面図である。
【図3】図1に示す産業用ロボットの動力の伝達機構の概略構成を説明するための概念図である。
【図4】図3のF部の具体的な構成を説明するための断面図である。
【図5】図3に示す駆動機構の概略構成を説明するための断面図である。
【図6】図5の主要部の拡大図である。
【図7】図6のG部の拡大図である。
【図8】図6に示すプーリに形成されるガイド凹部を説明するための図である。
【図9】図1に示す産業用ロボットの概略動作を説明するための図であり、(A)は第1アームが伸び、第2アームが縮んでいる状態を示す図、(B)は第1アームおよび第2アームが伸びている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1を示す平面図であり、(A)は第1アーム5が縮み、第2アーム6が伸びている状態を示す図、(B)は第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態を示す図である。図2は、図1(B)のE−E方向から産業用ロボット1を示す側面図である。図3は、図1に示す産業用ロボット1の動力の伝達機構の概略構成を説明するための概念図である。
【0027】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である薄い円盤状の半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するためのロボットである。このロボット1は、図1、図2に示すように、ウエハ2が搭載される第1ハンド3および第2ハンド4と、第1ハンド3を先端側で回動可能に保持するとともに伸縮可能な第1アーム5と、第2ハンド4を先端側で回動可能に保持するとともに伸縮可能な第2アーム6と、円筒状に形成される本体部7とを備えている。また、このロボット1は、第1アーム5および第2アーム6を伸縮させるための駆動機構8(図3参照)を備えている。
【0028】
ロボット1は、たとえば、半導体製造システム(図示省略)に組み込まれて使用される。具体的には、ロボット1は、半導体製造システムと外部装置(図示省略)との間でウエハ2の受渡しを行う受渡しチャンバーやウエハ2に所定の処理を行う処理チャンバー等のチャンバー10(図1(A)参照)と、ロボット1が配置される移送チャンバー(図示省略)とを備える半導体製造システムに組み込まれて使用される。
【0029】
このロボット1は、チャンバー10からウエハ2を搬出したり、チャンバー10へウエハ2を搬入する。具体的には、第1アーム5および第2アーム6が本体部7に対して伸縮して、チャンバー10に対するウエハ2の出し入れを行う。より具体的には、チャンバー10へウエハ2を搬入する際には、縮んでいた第1アーム5や第2アーム6が伸び、第1ハンド3や第2ハンド4がチャンバー10の内部に入り込む。また、チャンバー10からウエハ2を搬出する際には、チャンバー10の内部に入り込んで伸びていた第1アーム5や第2アーム6が縮み、第1ハンド3や第2ハンド4がチャンバー10から出る。本形態のチャンバー10は、搬送対象物であるウエハ2が収納される収納部である。
【0030】
第1ハンド3および第2ハンド4は、図1に示すように、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されており、二股状になっている第1ハンド3の先端部および第2ハンド4の先端部にウエハ2が搭載される。また、第1ハンド3と第2ハンド4とは略同形状に形成されている。
【0031】
第1アーム5は、第1アーム部11と第2アーム部12とを備えている。第1アーム部11は、その基端側を中心にして本体部7に対して回動可能となっている。第2アーム部12の基端側は、第1アーム部11の先端側に回動可能に保持されている。第2アーム部12の先端側には、第1ハンド3の基端側が回動可能に保持されている。第1アーム部11および第2アーム部12は、中空状に形成されている。
【0032】
第2アーム6は、第3アーム部13と第4アーム部14とを備えている。第3アーム部13は、その基端側を中心にして本体部7に対して回動可能となっている。第4アーム部14の基端側は、第3アーム部13の先端側に回動可能に保持されている。第4アーム部14の先端側には、第2ハンド4の基端側が回動可能に保持されている。第3アーム部13および第4アーム部14は、中空状に形成されている。
【0033】
本形態では、図2に示すように、水平方向から見たときに、第1アーム部11と第3アーム部13と第2アーム部12と第4アーム部14とは、下側から上側に向かってこの順番で配置されている。また、水平方向から見たときに、第1ハンド3および第2ハンド4は、第2アーム部12と第4アーム部14との間に配置されている。具体的には、第2アーム部12の上面側で第1ハンド3が保持され、第4アーム部14の下面側で第2ハンド4が保持されており、水平方向から見たときに、第1ハンド3の上側に第2ハンド4が配置されている。
【0034】
また、第1アーム5は、図3に示すように、第1アーム部11の内部に配置されるプーリ15、16およびベルト17と、第2アーム部12の内部に配置されるプーリ18、19およびベルト20とを備えている。プーリ15は、第1アーム部11の基端側に配置され、プーリ16は、第1アーム部11の先端側に配置されている。ベルト17は、プーリ15、16に架け渡されている。プーリ18は、第2アーム部12の基端側に配置され、プーリ19は、第2アーム部12の先端側に配置されている。ベルト20は、プーリ18、19に架け渡されている。
【0035】
同様に、第2アーム6は、第3アーム部13の内部に配置されるプーリ21、22およびベルト23と、第4アーム部14の内部に配置されるプーリ24、25およびベルト26とを備えている。プーリ21は、第3アーム部13の基端側に配置され、プーリ22は、第3アーム部13の先端側に配置されている。ベルト23は、プーリ21、22に架け渡されている。プーリ24は、第4アーム部14の基端側に配置され、プーリ25は、第4アーム部14の先端側に配置されている。ベルト26は、プーリ24、25に架け渡されている。
【0036】
なお、ベルト17、20、23、26は、鋼板等の金属で形成されても良いし、ゴムで形成されても良い。また、ベルト17、20、23、26は、歯付きベルトであっても良いし、歯のない平ベルトやVベルト等であっても良い。ベルト17、20、23、26が平ベルトである場合には、たとえば、ベルト17、20、23、26は、金属で形成される。また、プーリ15、16、18、19、21、22、24、25は、歯付きプーリであっても良いし、歯のない平プーリやVプーリ等であっても良い。
【0037】
駆動機構8は、本体部7の径方向の中心部に配置される第1回動軸としての中実回動軸28と、中実回動軸28の外周面を覆うように中実回動軸28と同心状に配置される第2回動軸としての第1中空回動軸29と、第1中空回動軸29の外周面を覆うように中実回動軸28および第1中空回動軸29と同心状に配置される第3回動軸としての第2中空回動軸30とを備えている。中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30のそれぞれは、後述のように、個別の駆動源に連結されており、互いに相対回転可能となっている。駆動機構8の詳細な構成については後述する。
【0038】
中実回動軸28の上端側には、第3アーム部13の基端側が固定されている。第2中空回動軸30の上端側には、第1アーム部11の基端側が固定されている。すなわち、本形態では、第1アーム部11の回動中心と、第3アーム部13の回動中心とが同軸上に配置されている。第1中空回動軸29の上端側には、プーリ15、21が固定されている。具体的には、プーリ21が上側に配置され、プーリ15が下側に配置されるように、第1中空回動軸29の上端側にプーリ15、21が固定されている。
【0039】
第1アーム部11の先端側の底面には、固定軸31が固定されている。固定軸31の下端側には、プーリ16が回動可能に支持されている。すなわち、プーリ16は、第1アーム部11に回動可能に保持されている。また、固定軸31の上端側には、プーリ18が固定されている。プーリ16には、第2アーム部12が固定されている。具体的には、連結部材32を介してプーリ16に第2アーム部12の基端側が固定されている。
【0040】
第2アーム部12の先端側の底面には、固定軸33が固定されている。固定軸33には、プーリ19が回動可能に支持されている。すなわち、プーリ19は、第2アーム部12に回動可能に保持されている。プーリ19には、第1ハンド3が固定されている。具体的には、連結部材34を介してプーリ19に第1ハンド3の基端側が固定されている。
【0041】
同様に、第3アーム部13の先端側の底面には、固定軸31が固定されている。固定軸31の下端側には、プーリ22が回動可能に支持されている。すなわち、プーリ22は、第3アーム部13に回動可能に保持されている。また、固定軸31の上端側には、プーリ24が固定されている。プーリ22には、第4アーム部14が固定されている。具体的には、連結部材32を介してプーリ22に第4アーム部14の基端側が固定されている。
【0042】
また、同様に、第4アーム部14の先端側の上面には、固定軸33が固定されている。固定軸33には、プーリ25が回動可能に支持されている。すなわち、プーリ25は、第4アーム部14に回動可能に保持されている。プーリ25には、第2ハンド4が固定されている。具体的には、連結部材34を介してプーリ25に第2ハンド4の基端側が固定されている。
【0043】
本形態では、第1アーム部11と第3アーム部13とは略同形状に形成され、第2アーム部12と第4アーム部14とは略同形状に形成されている。すなわち、第1アーム5と第2アーム6とは略同形状に形成されている。また、プーリ15とプーリ21とは同じものであり、プーリ16とプーリ22とは同じものであり、プーリ18とプーリ24とは同じものであり、プーリ19とプーリ25とは同じものである。また、ベルト17とベルト23とは同じものであり、ベルト20とベルト26とは同じものである。
【0044】
また、図1(B)に示すように、第1アーム5と第2アーム6とは、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態でロボット1の上側から見たときに、第1アーム部11および第3アーム部13の回動中心Cを通過する仮想線Lに対して略対称に配置されている。すなわち、第1アーム5と第2アーム6とは、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態でロボット1の上側から見たときに、仮想線Lに対して略線対称になるように構成されている。なお、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態でロボット1の上側から見たときには、第1ハンド3と第2ハンド4とが重なっている。
【0045】
また、本形態では、プーリ15、16のプーリ間ピッチ、プーリ18、19のプーリ間ピッチ、プーリ21、22のプーリ間ピッチおよびプーリ24、25のプーリ間ピッチが等しくなっている。また、プーリ15の径とプーリ16の径との比およびプーリ21の径とプーリ22の径との比が2:1となり、プーリ18の径とプーリ19の径との比およびプーリ24の径とプーリ25の径との比が1:2となっている。
【0046】
そのため、本形態では、後述の第1アーム5の伸縮動作時には、第1ハンド3と第2アーム部12とがなす角度、および、第2アーム部12と第1アーム部11とがなす角度は変化するが、第1ハンド3は、プーリ15の中心(すなわち、本体部7の中心)とプーリ19の中心(すなわち、第1ハンド3の回動中心)とを結んだ仮想直線上(すなわち、仮想線L上)を向きを一定にした状態で移動する。同様に、第2アーム6の伸縮動作時には、第2ハンド4と第4アーム部14とがなす角度、および、第4アーム部14と第3アーム部13とがなす角度は変化するが、第2ハンド4は、プーリ21の中心とプーリ25の中心とを結んだ仮想直線上(すなわち、仮想線L上)を向きを一定にした状態で移動する。
【0047】
なお、本形態のプーリ15は、第1アーム部11の内部の基端側に配置される第1回動部材であり、プーリ16は、第1アーム部11の内部の先端側に配置される第2回動部材である。また、ベルト17は、第1回動部材であるプーリ15から第2回動部材であるプーリ16へ動力を伝達するための第1伝達部材である。また、プーリ21は、第3アーム部13の内部の基端側に配置される第3回動部材であり、プーリ22は、第3アーム部13の内部の先端側に配置される第4回動部材である。また、ベルト23は、第3回動部材であるプーリ21から第4回動部材であるプーリ22へ動力を伝達するための第2伝達部材である。
【0048】
(第3アーム部の支持構造)
図4は、図3のF部の具体的な構成を説明するための断面図である。
【0049】
上述のように、中実回動軸28の上端側には、第3アーム部13の基端側が固定されており、第3アーム部13は、その基端側を中心にして本体部7に対して回動可能となっている。以下、この第3アーム部13の支持構造について説明する。
【0050】
図4に示すように、第3アーム部13の基端側の上面部分は、第3アーム部13を中実回動軸28に固定するための固定部材37に固定されている。固定部材37には、中実回動軸28の上端部分が挿通される挿通孔が形成されており、この挿通孔の内周面と中実回動軸28の上端部分の外周面との間には、シュパンリング38が配置されている。本形態では、このシュパンリング38によって、中実回動軸28の上端側に固定部材37が固定されている。すなわち、本形態では、第3アーム部13を中実回動軸28に固定するために、固定部材37とシュパンリング38とが利用されている。なお、図4に示すように、抜止め部材39によって、シュパンリング38の上方への抜けが防止されている。
【0051】
また、第3アーム部13は、軸受40に回動可能に支持されている。軸受40は、第1中空回動軸29に取り付けられている。具体的には、軸受40は、軸受保持部材41を介して第1中空回動軸29の上端側に固定されている。すなわち、第1中空回動軸29の上端側に軸受保持部材41が固定されており、軸受40は、軸受保持部材41の外周側に固定されている。本形態の軸受40は、第3アーム部13を回動可能に支持する第3アーム部軸受である。
【0052】
軸受保持部材41には、プーリ15、21も固定されている。具体的には、軸受保持部材41の上端面側にプーリ21が固定され、軸受保持部材41の下端面側にプーリ15が固定されている。また、締付板42および固定ネジ(図示省略)によって、軸受保持部材41にプーリ15、21が固定されている。
【0053】
(駆動機構および位置検出機構の概略構成)
図5は、図3に示す駆動機構8の概略構成を説明するための断面図である。図6は、図5の主要部の拡大図である。図7は、図6のG部の拡大図である。図8は、図6に示すプーリ52に形成されるガイド凹部52aを説明するための図である。
【0054】
駆動機構8は、上述の中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30に加え、中実回動軸28を回動させる第1駆動源として第1モータ44と、第1中空回動軸29を回動させる第2駆動源としての第2モータ(図示省略)と、第2中空回動軸30を回動させる第3駆動源としての第3モータ(図示省略)とを備えている。中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30の上端側の一部を除く駆動機構8の各構成は、本体部7の中に収納されている。
【0055】
また、本体部7の中には、本体部7に対する第1中空回動軸29の相対回動位置を検出するための第1位置検出機構45と、第1中空回動軸29に対する中実回動軸28の相対回動位置を検出するための第2位置検出機構46と、第1中空回動軸29に対する第2中空回動軸30の相対回動位置を検出するための第3位置検出機構47とが配置されている。また、本体部7の中には、中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30を一緒に昇降させるための昇降機構(図示省略)が配置されている。
【0056】
中実回動軸28の下端側には、プーリ48が固定されている。図5に示すように、第1モータ44の出力軸に固定されるプーリ49とプーリ48とには、ベルト50が架け渡されている。第1中空回動軸29の下端側には、プーリ51が固定されている。第2モータの出力軸に固定されるプーリ(図示省略)とプーリ51とには、ベルト(図示省略)が架け渡されている。第2中空回動軸30の下端側には、プーリ52が固定されている。第3モータの出力軸に固定されるプーリ(図示省略)とプーリ52とには、ベルト(図示省略)が架け渡されている。図5に示すように、プーリ48、51、52は、上下方向で重なるように配置されるとともに、下側からこの順番で配置されている。
【0057】
プーリ52の下面には、図7に示すように、上側に向かって窪む凹部52aが形成されている。凹部52aは、図8に示すように、上下方向から見たときの形状がプーリ52の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されている。
【0058】
プーリ51の下面には、図7に示すように、上側に向かって窪む凹部51aが形成されている。凹部51aは、凹部52aと同様に、上下方向から見たときの形状がプーリ51の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されている。また、プーリ51には、図7に示すように、上下方向に貫通する丸孔状の貫通孔51bが形成されている。
【0059】
プーリ48には、図7に示すように、上下方向に貫通する貫通孔48aが形成されている。貫通孔48aは、上下方向から見たときの形状がプーリ48の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されている。また、プーリ48には、上下方向に貫通する丸孔状の貫通孔48bが形成されている。
【0060】
中実回動軸28の外周面と第1中空回動軸29の内周面との間には、軸受53と磁気シール54とが配置されている。第1中空回動軸29の外周面と第2中空回動軸30の内周面との間には、軸受55と磁気シール56とが配置されている。また、本体部7に固定される略円筒状の支持部材57の内周面と第2中空回動軸30の外周面との間には、軸受58と磁気シール59とが配置されている。
【0061】
第1位置検出機構45は、図7に示すように、互いに対向配置される発光素子(図示省略)および受光素子(図示省略)を有する光学式のセンサ60と、検出板61とを備えている。センサ60は、本体部7に固定されるセンサ固定部62に固定されている。検出板61は、センサ60の発光素子から受光素子へ向かう光を遮ることが可能な遮光性の部材で形成されるとともに、センサ60の発光素子から受光素子へ向かう光を遮ることが可能となるように、プーリ51の上面に固定されている。
【0062】
第2位置検出機構46は、近接センサ63と検出板64とを備えている。近接センサ63は、略円筒状に形成されるセンサ保持部材65を介してプーリ48の貫通孔48bに固定されている。すなわち、近接センサ63は、センサ保持部材65の内周側に固定され、センサ保持部材65は、貫通孔48bの内周側に固定されている。また、近接センサ63は、その上端部分がセンサ保持部材65の上端より上側へわずかに突出するように、センサ保持部材65に固定されている。センサ保持部材65の上端側は、プーリ51の凹部51aの中に配置されている。上述のように、凹部51aは、上下方向から見たときの形状がプーリ51の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されており、凹部51aの中に配置されるセンサ保持部材65の上端側部分は、プーリ51に対するプーリ48の回動範囲を規制するストッパとしての機能を果たしている。
【0063】
検出板64は、たとえば、磁性材料で形成されている。この検出板64は、プーリ51に固定されている。具体的には、検出板64は、プーリ51の凹部51aの底面の一部分に固定されている。より具体的には、第1中空回動軸29に対して、中実回動軸28が所定の基準位置にあるときに、近接センサ63の先端部と検出板64とが所定の隙間を介して対向するように、検出板64は、凹部51aの底面に固定されている。
【0064】
第3位置検出機構47は、近接センサ66と検出板67とを備えている。近接センサ66は、略円筒状に形成されるセンサ保持部材68を介してプーリ51の貫通孔51bに固定されている。すなわち、近接センサ66は、センサ保持部材68の内周側に固定され、センサ保持部材68は、貫通孔51bの内周側に固定されている。また、近接センサ66は、その上端部分がセンサ保持部材68の上端よりも上側へわずかに突出するように、センサ保持部材68に固定されている。センサ保持部材68の上端側は、プーリ52の凹部52aの中に配置されている。上述のように、凹部52aは、上下方向から見たときの形状がプーリ52の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されており、凹部52aの中に配置されるセンサ保持部材68の上端側部分は、プーリ51に対するプーリ52の回動範囲を規制するストッパとしての機能を果たしている。また、センサ保持部材68の下端側は、プーリ48の貫通孔48aの中に挿通されている。なお、上述のように、貫通孔48aは、上下方向から見たときの形状がプーリ48の回転中心を中心とする略円弧状となるように形成されており、プーリ51に対してプーリ48が相対回動しても、プーリ51に固定されるセンサ保持部材68とプーリ48とが接触しないようになっている。
【0065】
検出板67は、たとえば、磁性材料で形成されている。この検出板67は、プーリ52に固定されている。具体的には、検出板67は、プーリ52の凹部52aの底面の一部分に固定されている。より具体的には、第1中空回動軸29に対して、第2中空回動軸30が所定の基準位置にあるときに、近接センサ66の先端部と検出板67とが所定の隙間を介して対向するように、検出板67は、凹部52aの底面に固定されている。
【0066】
後述のように、中実回動軸28と第1中空回動軸29と第2中空回動軸30とが一緒に回動すると、第1アーム5および第2アーム6が伸縮せずに回動中心Cを中心に回動する。本形態では、回動中心Cを中心とする回動方向において第1アーム5と第2アーム6とが所定の原点位置にあることが第1位置検出機構45によって検出される。すなわち、回動中心Cを中心とする回動方向において第1アーム5と第2アーム6とが所定の原点位置にあるときに、検出板61がセンサ60の発光素子から受光素子へ向かう光を遮る。
【0067】
また、後述のように、中実回動軸28が回動すると、第2アーム6が伸縮し、上述のように、第1中空回動軸29に対して、中実回動軸28が所定の基準位置にあるときに、近接センサ63の先端部と検出板64とが所定の隙間を介して対向する。本形態では、たとえば、第2アーム6が縮んでいるときに、近接センサ63の先端部と検出板64とが所定の隙間を介して対向する。すなわち、第2アーム6が縮んでいる状態であることが第2位置検出機構46によって検出される。
【0068】
また、後述のように、第2中空回動軸30が回動すると、第1アーム5が伸縮し、上述のように、第1中空回動軸29に対して、第2中空回動軸30が所定の基準位置にあるときに、近接センサ66の先端部と検出板67とが所定の隙間を介して対向する。本形態では、たとえば、第1アーム5が縮んでいるときに、近接センサ66の先端部と検出板67とが所定の隙間を介して対向する。すなわち、第1アーム5が縮んでいる状態であることが第3位置検出機構47によって検出される。
【0069】
なお、近接センサ63から引き出される配線71の端部および近接センサ66から引き出される配線72の端部は、図5に示すように、ロータリージョイント73に接続されている。ロータリージョイント73は、本体部7に固定される固定部材74に固定されている。
【0070】
(ロボットの概略動作)
図9は、図1に示すロボット1の概略動作を説明するための図であり、(A)は第1アーム5が伸び、第2アーム6が縮んでいる状態を示す図、(B)は第1アーム5および第2アーム6が伸びている状態を示す図である。
【0071】
本形態では、図1(B)に示すように、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態で、第2中空回動軸30が回動すると、図9(A)に示すように、第1アーム5が伸びる。また、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態で、中実回動軸28が回動すると、図1(A)に示すように、第2アーム6が伸びる。
【0072】
また、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態で、中実回動軸28および第2中空回動軸30が回動すると、図9(B)に示すように、第1アーム5および第2アーム6が伸びる。具体的には、第1ハンド3と第2ハンド4とが同じ方向へ移動するように、第1アーム5および第2アーム6が伸びる。また、第1アーム5が伸び、第2アーム6が縮んでいる状態で、中実回動軸28が回動すると、第2アーム6が伸び、第1アーム5が縮み、第2アーム6が伸びている状態で、第2中空回動軸30が回動すると、第1アーム5が伸びる。
【0073】
このように本形態のロボット1では、第1アーム5の伸縮動作と第2アーム6の伸縮動作とを個別に行うことが可能となっている。
【0074】
また、中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30が同じ回動速度で同じ角度だけ回動すると、第1アーム5および第2アーム6が伸縮しない状態で、回動中心Cを中心にして、第1アーム5および第2アーム6が本体部7に対して回動する。すなわち、中実回動軸28、第1中空回動軸29および第2中空回動軸30が同じ回動速度で同じ角度だけ回動すると、ロボット1は旋回動作を行う。なお、本形態では、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態で、ロボット1は旋回動作を行う。
【0075】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、中実回動軸28および/または第2中空回動軸30を回動させることで、第1アーム5と第2アーム6とを個別に伸縮させることができる。そのため、第1アーム5と第2アーム6とを個別に伸縮させて、チャンバー10に対するウエハ2の出し入れを個別に行うことができる。たとえば、チャンバー10の中にウエハ2の置き台が上下2段で配置されている場合には、第1アーム5と第2アーム6とによって、2枚のウエハ2を同時にチャンバー10に搬入したり、2枚のウエハ2を同時にチャンバー10から搬出することが可能になる。したがって、ウエハ2の搬送処理時間を短縮することが可能になる。
【0076】
本形態では、第1アーム部11の回動中心と第3アーム部13の回動中心とが同軸上に配置されている。また、本形態では、第1アーム5と第2アーム6とは、第1アーム5および第2アーム6が縮んでいる状態でロボット1の上側から見たときに、仮想線Lに対して略線対称になるように構成されている。さらに、本形態では、水平方向から見たときに、第1アーム部11と第3アーム部13と第2アーム部12と第4アーム部14とは、下側から上側に向かってこの順番で配置されている。また、本形態では、第1アーム5と第2アーム6とは略同形状に形成されている。そのため、本形態では、第1アーム5と第2アーム6との重量のバランスが良い。したがって、本形態では、第1アーム5および第2アーム6の伸縮動作や第1アーム5および第2アーム6の本体部7に対する回動動作を安定させることが可能になる。
【0077】
また、本形態では、第1アーム5と第2アーム6とは略同形状に形成されているため、第1アーム5の構成部品の一部と第2アーム6の構成部品の一部とを共通化することができる。したがって、ロボット1のコストを低減することができる。
【0078】
本形態では、第3アーム部13を回動可能に支持する軸受40が軸受保持部材41を介して第1中空回動軸29の上端側に固定されている。そのため、第1アーム部11に軸受40が取り付けられている場合と比較して、軸受40の周辺の構成を簡素化することが可能になり、軸受40の周辺部分を小型化することが可能になる。
【0079】
本形態では、本体部7の中には、第1位置検出機構45と第2位置検出機構46と第3位置検出機構47とが配置されている。そのため、回動中心Cを中心とする回動方向において第1アーム5と第2アーム6とが所定の原点位置にあること、および、第1アーム5や第2アーム6が縮んでいる状態であることを適切に検出することができる。
【0080】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0081】
上述した形態では、第1アーム5は、回動部材としてのプーリ15、16、18、19および伝達部材としてのベルト17、20を備えている。この他にもたとえば、第1アーム5は、プーリ15、16、18、19およびベルト17、20に代えて、回動部材としてのスプロケットおよび伝達部材としてのチェーンを備えていても良い。この場合には、プーリ15に代えて配置されるスプロケットは、第1アーム部11の内部の基端側に配置される第1回動部材であり、プーリ16に代えて配置されるスプロケットは、第1アーム部11の内部の先端側に配置される第2回動部材である。また、ベルト17に代えて配置されるチェーンは、第1回動部材であるスプロケットから第2回動部材であるスプロケットへ動力を伝達するための第1伝達部材である。
【0082】
同様に、第2アーム6は、回動部材としてのプーリ21、22、24、25および伝達部材としてのベルト23、26を備えているが、第2アーム6は、プーリ21、22、24、25およびベルト23、26に代えて、回動部材としてのスプロケットおよび伝達部材としてのチェーンを備えていても良い。この場合には、プーリ21に代えて配置されるスプロケットは、第3アーム部13の内部の基端側に配置される第3回動部材であり、プーリ22に代えて配置されるスプロケットは、第3アーム部13の内部の先端側に配置される第4回動部材である。また、ベルト23に代えて配置されるチェーンは、第3回動部材であるスプロケットから第4回動部材であるスプロケットへ動力を伝達するための第2伝達部材である。
【0083】
また、第1アーム5は、プーリ15、16、18、19およびベルト17、20に代えて、回動部材および伝達部材としての歯車列を備えていても良い。この場合には、プーリ15に代えて配置される歯車は、第1アーム部11の内部の基端側に配置される第1回動部材であり、プーリ16に代えて配置される歯車は、第1アーム部11の内部の先端側に配置される第2回動部材である。また、プーリ15に代えて配置される歯車とプーリ16に代えて配置される歯車とに間に配置される歯車は、第1回動部材である歯車から第2回動部材である歯車へ動力を伝達するための第1伝達部材である。
【0084】
同様に、第2アーム6は、プーリ21、22、24、25およびベルト23、26に代えて、回動部材および伝達部材としての歯車列を備えていても良い。この場合には、プーリ21に代えて配置される歯車は、第3アーム部13の内部の基端側に配置される第3回動部材であり、プーリ22に代えて配置される歯車は、第3アーム部13の内部の先端側に配置される第4回動部材である。また、プーリ21に代えて配置される歯車とプーリ22に代えて配置される歯車とに間に配置される歯車は、第3回動部材である歯車から第4回動部材である歯車へ動力を伝達するための第2伝達部材である。
【0085】
上述した形態では、第1ハンド3と第2ハンド4とが同じ方向へ移動するように、第1アーム5および第2アーム6が伸びている。この他にもたとえば、第1ハンド3と第2ハンド4とが異なる方向へ移動するように、第1アーム5および第2アーム6が伸びても良い。このように構成すると、たとえば、ロボット1を中心にして放射状に複数のチャンバー10が配置される場合には、第1アーム5と第2アーム6とによって、2個のチャンバー10へウエハ2を同時に搬入したり、2個のチャンバー10からウエハ2を同時に搬出することが可能になる。なお、この場合には、ウエハ2を搬入する2個のチャンバー10の回動中心Cに対する相対角度と、ウエハ2を搬出する2個のチャンバー10の回動中心Cに対する相対角度とが同じである必要がある。
【0086】
上述した形態では、第3アーム部13を回動可能に支持する軸受40が軸受保持部材41を介して第1中空回動軸29の上端側に固定されている。この他にもたとえば、軸受40が第1アーム部11に直接、固定されても良いし、所定の軸受保持部材を介して軸受40が第1アーム部11に固定されても良い。
【0087】
上述した形態では、中実回動軸28に第3アーム部13が固定され、第2中空回動軸30に第1アーム部11が固定されている。この他にもたとえば、中実回動軸28に第1アーム部11が固定され、第2中空回動軸30に第3アーム部13が固定されても良い。
【0088】
上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は円盤状のウエハ2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2以外の円盤状に形成された基板であっても良いし、矩形状等の多角形状に形成された基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(搬送対象物)
3 第1ハンド
4 第2ハンド
5 第1アーム
6 第2アーム
7 本体部
8 駆動機構
10 チャンバー(収納部)
11 第1アーム部
12 第2アーム部
13 第3アーム部
14 第4アーム部
15 プーリ(第1回動部材)
16 プーリ(第2回動部材)
17 ベルト(第1伝達部材)
21 プーリ(第3回動部材)
22 プーリ(第4回動部材)
23 ベルト(第2伝達部材)
28 中実回動軸(第1回動軸)
29 第1中空回動軸(第2回動軸)
30 第2中空回動軸(第3回動軸)
40 軸受(第3アーム部軸受)
44 第1モータ(第1駆動源)
45 第1位置検出機構
46 第2位置検出機構
47 第3位置検出機構
C 回動中心
L 仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が収納される収納部からの前記搬送対象物の搬出および前記収納部への前記搬送対象物の搬入を行う産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、その先端側で前記第1ハンドを回動可能に保持するとともに前記収納部に対する前記搬送対象物の出し入れの際に伸縮する第1アームと、その先端側で前記第2ハンドを回動可能に保持するとともに前記収納部に対する前記搬送対象物の出し入れの際に伸縮する第2アームと、前記第1アームおよび前記第2アームを伸縮させるための駆動機構と、前記駆動機構の一部が収納される本体部とを備え、
前記第1アームは、その基端側を中心にして前記本体部に対して回動可能な第1アーム部と、前記第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に保持される第2アーム部とを備え、
前記第2アームは、その基端側を中心にして前記本体部に対して回動可能な第3アーム部と、前記第3アーム部の先端側にその基端側が回動可能に保持される第4アーム部とを備え、
前記駆動機構は、前記第1アームの伸縮動作と前記第2アームの伸縮動作とを個別に行うことが可能となるように構成され、
前記第1アーム部の回動中心と前記第3アーム部の回動中心とが同軸上に配置され、
前記第1アームと前記第2アームとは、前記第1アームおよび前記第2アームが縮んでいる状態で前記産業用ロボットの上側から見たときに、前記第1アーム部および前記第3アーム部の回動中心を通過する仮想線に対して略線対称になるように構成され、
水平方向から見たときに、前記第1アーム部と前記第3アーム部と前記第2アーム部と前記第4アーム部とは、下側から上側に向かってこの順番で配置されていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記第2アーム部の先端側に、前記第1ハンドが回動可能に保持され、
前記第4アーム部の先端側に、前記第2ハンドが回動可能に保持されていることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記第1アーム部および前記第3アーム部の回動中心を軸中心とする第1回動軸と、前記第1回動軸の外周面を覆うように前記第1回動軸と同心状に配置される中空状の第2回動軸と、前記第2回動軸の外周面を覆うように前記第1回動軸と同心状に配置される中空状の第3回動軸と、前記第1回動軸を回動させる第1駆動源と、前記第2回動軸を回動させる第2駆動源と、前記第3回動軸を回動させる第3駆動源とを備え、
前記第1アームは、中空状に形成される前記第1アーム部の内部の基端側に配置される第1回動部材と、前記第1アーム部の内部の先端側に配置される第2回動部材と、前記第1回動部材から前記第2回動部材へ動力を伝達するための第1伝達部材とを備え、
前記第2アームは、中空状に形成される前記第3アーム部の内部の基端側に配置される第3回動部材と、前記第3アーム部の内部の先端側に配置される第4回動部材と、前記第3回動部材から前記第4回動部材へ動力を伝達するための第2伝達部材とを備え、
前記第1回動軸には、前記第3アーム部の基端側が固定され、
前記第2回動軸には、前記第1回動部材と前記第3回動部材とが固定され、
前記第3回動軸には、前記第1アーム部の基端側が固定され、
前記第2回動部材は、前記第1アーム部に回動可能に保持されるとともに、前記第2回動部材には、前記第2アーム部が固定され、
前記第4回動部材は、前記第3アーム部に回動可能に保持されるとともに、前記第4回動部材には、前記第4アーム部が固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記第1回動部材、前記第2回動部材、前記第3回動部材および前記第4回動部材は、プーリであり、前記第1伝達部材および前記第2伝達部材は、ベルトであることを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記ベルトは、金属製の平ベルトであることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記プーリは、歯付きプーリであり、前記ベルトは、歯付きベルトであることを特徴とする請求項4記載の産業用ロボット。
【請求項7】
前記第3アーム部を回動可能に支持する第3アーム部軸受を備え、
前記第3アーム部軸受は、前記第2回動軸に取り付けられていることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項8】
前記本体部に対する前記第2回動軸の相対回動位置を検出するための第1位置検出機構と、前記第2回動軸に対する前記第1回動軸の相対回動位置を検出するための第2位置検出機構と、前記第2回動軸に対する前記第3回動軸の相対回動位置を検出するための第3位置検出機構とを備えることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の産業用ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−45945(P2011−45945A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194967(P2009−194967)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】