説明

車両制御システム

【課題】車両の挙動を安定させること。
【解決手段】車両10の旋回状態量に基づいた前輪Wfl,Wfrの転舵角又は前輪Wfl,Wfr及び後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角の制御により車両10の挙動制御を行う車両制御システムにおいて、旋回走行中で且つ前輪Wfl,Wfr及び後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角が制御されており、更に車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域にある場合に、前記前輪Wfl,Wfr及び後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角の制御における後輪Wrl,Wrrの転舵角制御の介入度合いを減少させる又は当該後輪Wrl,Wrrの転舵角制御を停止させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両の挙動を安定させる車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輪の転舵角等の制御により走行中の車両の挙動を安定させる車両制御システムが知られている。例えば、下記の特許文献1には、車両の目標ヨーレートと目標横すべり角とに応じた前輪と後輪の夫々の目標転舵角を算出し、この目標転舵角となるように前輪と後輪を制御することで旋回走行中の車両の挙動を安定させる技術が開示されている。この技術においては、ステアリングホイールの操舵角に基づいて目標ヨーレートが算出され、この目標ヨーレートに基づいて目標横すべり角が算出される。その目標横すべり角は、車両が旋回内側に向かないように制限する為の値である。また、下記の特許文献2には、前輪の転舵角と車速とに基づいて目標前輪横力と目標後輪横力とを設定し、その目標前輪横力と目標後輪横力とに基づき求めた目標後輪転舵角で後輪を制御することで旋回走行中の車両の挙動を安定させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−179841号公報
【特許文献2】特開2010−089724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両制御システムには、車輪の制動力制御により車両挙動とは逆向きのヨーモーメントを発生させると共にエンジンの出力を制御することで旋回走行中の車両の挙動を安定させる車両挙動制御の技術、所謂VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)も存在している。この技術においては、車両の挙動を安定させる為の目標ヨーレートと目標スリップ角が設定され、その目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差、目標スリップ角と実際のスリップ角との偏差に応じた車輪の目標制動力やエンジンの目標出力が設定される。この技術は、例えば、路面の摩擦係数の変化等により車輪がグリップ限界を超えた際に利用でき、その際の車両の挙動を安定させる。
【0005】
ここで、旋回走行中に前輪と後輪の夫々の転舵角が制御されている場合には、車輪がグリップ限界を超えたとしても、目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差、目標スリップ角と実際のスリップ角との偏差が各々小さいので、車輪の制動力制御等による車両挙動制御を介入させにくく、車両挙動の安定化を図りがたい。このことは、例えば、走行軌跡制御(所謂レーンキーピングアシスト制御)の実行時に前輪と後輪の夫々の転舵角が制御されるときにも当て嵌まる。また、前輪と後輪の夫々の転舵角の制御により全ての車輪の横力が均等に使われることで、全ての車輪は、略同時に横力が飽和し、グリップ限界に達する。そして、車両においては、一旦車輪が横力を失うと、制動力制御によって横力を制御することは難しいので、車輪の制動力制御等による車両挙動の安定化を図りがたい。
【0006】
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、車両の挙動を安定させることが可能な車両制御システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為、本発明は、車両の旋回状態量に基づいた前輪の転舵角又は前輪及び後輪の夫々の転舵角の制御により車両の挙動制御を行う車両制御システムにおいて、旋回走行中で且つ前輪及び後輪の夫々の転舵角が制御されており、更に車両の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域にある場合に、前記前輪及び後輪の夫々の転舵角の制御における後輪の転舵角制御の介入度合いを減少させる又は当該後輪の転舵角制御を停止させることを特徴としている。
【0008】
ここで、前記後輪の転舵角制御の介入度合いを減少させた後、車両の旋回状態量に基づき全ての車輪の内の少なくとも1つの制動力とエンジンの出力とを制御して車両の挙動制御を行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両制御システムにおいては、後輪の転舵角制御の介入度合いを減少させることで、この介入度合いの変更前と比べて、車両の旋回状態量(具体的にはヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなる。また、この車両制御システムにおいては、後輪の転舵角制御を停止させることで、この停止前と比べて、車両の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなる。従って、この車両制御システムにおいては、その偏差に基づき全ての車輪の内の少なくとも1つの制動力とエンジンの出力とを制御し、車両の挙動制御を行うことができるので、後輪の転舵角制御の介入度合いの変更前又は後輪の転舵角制御の停止前よりも効果的に車両の挙動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係る車両制御システムの適用される車両の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係る車両制御システムの演算処理動作の一例を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、制御ゲインのマップデータの一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る車両制御システムの演算処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、本発明に係る車両制御システムの演算処理動作の他の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る車両制御システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施例]
本発明に係る車両制御システムの実施例を図1から図5に基づいて説明する。この車両制御システムの演算処理機能は、図1に示す電子制御装置(ECU)1の一機能として用意されている。
【0013】
最初に、この車両制御システムが適用される車両10の一例について説明する。
【0014】
この車両10には、操舵装置20と、前輪Wfl,Wfrの転舵装置30と、後輪Wrl,Wrrの転舵装置40と、が設けられている。
【0015】
操舵装置20は、運転者が操作するステアリングホイール21と、このステアリングホイール21に連結された回転軸(以下、「ステアリングシャフト」という。)22と、そのステアリングホイール21の操舵角を検出する操舵角検出部23と、を備える。その操舵角検出部23は、例えばステアリングシャフト22の回転移動量又は回転角速度等を検出するものであり、その検出信号を電子制御装置1に送信する。電子制御装置1は、その検出信号に基づいてステアリングホイール21の操舵角を演算する。
【0016】
ここで、この操舵装置20は、ステアリングホイール21と前輪(操舵輪)Wfl,Wfrとの間に機械的な接続が無い所謂ステアバイワイヤ方式のものである。電子制御装置1は、前輪Wfl,Wfrの目標転舵角を演算し、この演算結果を前輪Wfl,Wfrの転舵装置30に送信する。その目標転舵角としては、ステアリングホイール21の操舵角に応じた角度、その操舵角やヨーレート及び車両横加速度等に応じた角度などが設定される。尚、この操舵装置20には、ステアリングホイール21の操舵方向とは逆向きの反力トルクをステアリングシャフト22に加え、ステアリングホイール21を介して運転者に操舵反力を伝える操舵反力発生機構24が設けられている。その操舵反力発生機構24は、例えば電気モータの動力を用いて反力トルクを発生させる。
【0017】
前輪Wfl,Wfrの転舵装置30は、電子制御装置1の指令に基づいて前輪Wfl,Wfrを目標転舵角へと転舵させる。この転舵装置30は、前輪Wfl,Wfrに連結されたシャフト31L,31Rと、電動モータ等の如き動力を発生させるアクチュエータ32と、その動力を転舵力に変換してシャフト31L,31Rに伝える転舵力伝達機構33と、を備える。
【0018】
その転舵力伝達機構33は、例えば、電動モータのロータの内周面に形成された又は当該ロータに取り付けられたボールネジナット、シャフト31L,31Rの外周面に形成された螺旋状のボールネジ部及びこれらボールネジナットとボールネジ部との間に配設された複数のボールで構成されたボールネジ機構である。この種の転舵力伝達機構33は、アクチュエータ32の動力に伴ってボールネジナットが周方向に回転し、その回転方向に応じてシャフト31L,31Rを車両の左方向又は右方向に直動させ、これにより、そのシャフト31L,31Rの両端の前輪Wfl,Wfrを目標転舵角へと転舵させる。
【0019】
更に、この転舵装置30には、前輪Wfl,Wfrの転舵角を検出する転舵角検出部34が設けられている。その転舵角検出部34は、例えばシャフト31L,31Rの車両左右方向への移動量を検出するものであり、その検出信号を電子制御装置1に送信する。電子制御装置1は、その検出信号に基づいて前輪Wfl,Wfrの転舵角を演算する。
【0020】
後輪Wrl,Wrrの転舵装置40は、前輪Wfl,Wfrのものと同様のシャフト41L,41R、アクチュエータ42、転舵力伝達機構43及び転舵角検出部44を備える。この転舵装置40は、電子制御装置1の指令に基づいて後輪Wrl,Wrrを目標転舵角へと転舵させる。後輪Wrl,Wrrの目標転舵角としては、例えば、ステアリングホイール21の操舵角、ヨーレート及び車両横加速度等に応じた角度などが設定される。
【0021】
この様に、この車両10においては、前輪Wfl,Wfrと後輪Wrl,Wrrの転舵角を制御することができる。従って、本実施例の車両制御システムにおいては、例えば、前輪Wfl,Wfrの転舵角又は前輪Wfl,Wfr及び後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角を制御することによって、車両10を目標ヨーレートへと制御し、その挙動を安定させることができる。その目標ヨーレートとは、例えば、ステアリングホイール21の急操舵に伴う車両10の挙動不安定化を抑えることが可能なヨーレートのことである。
【0022】
また、この車両制御システムにおいては、車両の自動運転制御(走行軌跡制御)を行うことができる。走行軌跡制御においては、例えば、車両前方の道路の線形情報に基づいて前方の旋回路の曲率半径を推定し、その曲率半径や車速等に基づき設定した目標ヨーレートになるよう車両10の挙動を制御する。その車両前方の道路の線形情報は、車両10に搭載されている撮像装置の画像情報、カーナビゲーションシステムの地図情報等から得ることができる。この車両制御システムにおいては、この挙動制御の際にも、目標ヨーレートになるよう前輪Wfl,Wfrの転舵角又は前輪Wfl,Wfr及び後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角を制御して、車両10の挙動を安定させながら旋回路の自動運転を行うことができる。車室内には、その自動運転制御のオンとオフを運転者が切り替える切替スイッチ51が設けられている。
【0023】
更に、この車両制御システムにおいては、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの内の少なくとも1つの制動力を制御して、車両10の挙動を安定させることもできる。従って、この車両10には、下記の如き制動装置60が設けられている。尚、その車両挙動制御の実行の際には、図示しないエンジンの出力も制御される。
【0024】
制動装置60は、運転者が操作するブレーキペダル61と、このブレーキペダル61に入力されたブレーキ操作に伴う操作圧力(ペダル踏力)を所定の倍力比で倍化させるブレーキブースタ62と、このブレーキブースタ62により倍化されたペダル踏力をブレーキペダル61の操作量に応じたブレーキ液圧(以下、「マスタシリンダ圧」という。)へと変換するマスタシリンダ63と、ブレーキ液を貯留するリザーバタンク64と、を備えている。これらブレーキペダル61やブレーキブースタ62等は、運転者によるブレーキペダル61の操作量に応じたブレーキ液圧を発生させる液圧発生装置として機能する。
【0025】
また、この制動装置60には、マスタシリンダ圧を各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrr毎に調節可能な液圧調節装置(以下、「ブレーキアクチュエータ」という。)65と、このブレーキアクチュエータ65を経たブレーキ液圧(マスタシリンダ圧又はマスタシリンダ圧を調圧したブレーキ液圧)が供給され、夫々の車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに制動力を発生させる制動力発生部66fl,66fr,66rl,66rrと、が設けられている。その制動力発生部66fl,66fr,66rl,66rrは、車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrと一体になって回転する部材に対して摩擦力を加え、これによりWfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転を抑えて制動動作を行う摩擦ブレーキ装置であって、例えばディスクロータやキャリパ等からなる。
【0026】
ブレーキアクチュエータ65は、電子制御装置1の指令に基づいて制御され、制御対象輪(車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの内の少なくとも1本)に目標制動力を発生させるように、この制御対象輪の制動力発生部66fl,66fr,66rl,66rrに対して目標ブレーキ液圧を供給する。
【0027】
例えば、電子制御装置1は、車両10の旋回状態(即ち挙動)が高G旋回領域に入った場合又は旋回状態が高G旋回領域に入る虞のある場合に、車両10の旋回状態を低G旋回領域の範囲内に抑える車両挙動制御を行う。その低G旋回領域とは、車両10が挙動を安定させて旋回走行できる領域のことであり、車両10の旋回状態量としての車両横加速度が所定値以下のときの旋回状態を示す。その旋回状態量とは、旋回走行中の車両10の状態を表す指標値である。ここでは、車両横加速度が大きくなり、所定値を超えたときに高G旋回領域となる。この高G旋回領域とは、車両10を横滑りさせない旋回状態の領域で、且つ、車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrのグリップ限界が近い領域のことである。従って、その所定値は、旋回走行中の車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrがグリップ限界に近いのか否かに応じて決まる値であり、例えば車両10が横滑りを発生させる虞のない最大の車両横加速度に設定すればよい。この所定値は、路面の摩擦係数や車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrのグリップ性能によって変わる値であるので、これらを考慮に入れて或る一定の固定値又は可変値に設定することが好ましい。
【0028】
この電子制御装置1は、その車両挙動制御を行う際に、ステアリングホイール21の操舵角や車速に応じた車両10の旋回状態量の目標値(車両10の旋回状態を低G旋回領域へと誘う目標値)を設定する。そして、電子制御装置1は、その目標値と実際の旋回状態量との偏差に基づいて、制御対象輪を設定し、その目標値で車両10を走行させる為の制御対象輪の目標制動力とエンジンの目標出力を設定する。電子制御装置1は、その目標制動力と目標出力に基づいてブレーキアクチュエータ65とエンジンを制御する。電子制御装置1は、これらを繰り返してフィードバック制御することで、走行中の車両10の挙動を安定させる。ここで、旋回状態量には、上記の車両横加速度の他に、車両10のヨーモーメント、車両10のヨーレート、車両10のスリップ角等がある。これが為、この車両挙動制御は、そのヨーモーメント等の目標値を設定し、この目標値と実際のヨーモーメント等との偏差に基づいて実行することも可能である。
【0029】
この様に、この車両制御システムにおいては、旋回状態量の目標値と実際の値との偏差に基づいて、旋回状態を低G旋回領域の範囲内に抑える車両挙動制御を行う。ここで、旋回路走行中の自動運転制御時には、前述した様に、前輪Wfl,Wfrと後輪Wrl,Wrrの夫々の転舵角制御(以下、「前後輪転舵角制御」と云う。)が実行されることがあり、ヨーモーメントやヨーレート、スリップ角等が制御されている。これが為、車両挙動制御が前後輪転舵角制御の最中に目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差及び目標スリップ角と実際のスリップ角との偏差に基づき実行される場合には、制御対象輪の制動力制御等によって旋回状態を低G旋回領域の範囲内に抑える必要があるにも拘わらず、その偏差が後輪Wrl,Wrrの転舵角制御(以下、「後輪転舵角制御」と云う。)を行っていないときと比較して小さくなるので、制御対象輪の目標制動力が必要とされるよりも小さく設定され、また、エンジンの目標出力が必要とされるよりも大きく設定される可能性がある。従って、この場合には、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御の実行が難しく、この車両挙動制御を実行できたとしても、旋回状態を低G旋回領域の範囲内に抑えることができない可能性がある。
【0030】
そこで、本実施例の車両制御システムは、旋回路走行中で且つ前後輪転舵角制御の実行中に車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域になった場合、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを最大で当該後輪転舵角制御が介入されなくなるまで減少させる。
【0031】
この前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行により、高G旋回領域の車両10においては、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いが減るにつれて、前輪Wfl,Wfrの転舵角制御(以下、「前輪転舵角制御」と云う。)のみによる旋回特性に近づいていくので、後輪転舵角制御の介入度合いを減少させる前と比べて、車両10の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなっていく。また、高G旋回領域の車両10においては、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させることで、前後輪転舵角制御から前輪転舵角制御に切り替わるので、この切り替わりの前と比べて、車両10の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなる。従って、この車両制御システムにおいては、制御対象輪の制動力制御とエンジンの出力制御とによる車両挙動制御が実行し易くなり、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いが減るほど車両10の挙動安定化への効果が高くなる。
【0032】
この車両制御システムの演算処理動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
電子制御装置1は、例えばステアリングホイール21の実際の操舵角の情報や前輪Wfl,Wfrの実際の転舵角の情報等に基づいて、車両10が旋回走行中であるのか否かを判定する(ステップST5)。この例示では、旋回走行中でなければ、本演算処理を一旦終わらせる。
【0034】
電子制御装置1は、旋回走行中であれば、前後輪転舵角制御の実行中であるのか否かを判定する(ステップST10)。この判定は、例えば、電子制御装置1による前輪Wfl,Wfrの転舵装置30と後輪Wrl,Wrrの転舵装置40への制御指令の内容に基づいて行えばよい。この例示では、前後輪転舵角制御の実行中でなければ、本演算処理を一旦終わらせる。
【0035】
尚、ステップST5とステップST10の夫々の判定は、どちらを先に実行してもよく、また、同時に実行してもよい。
【0036】
電子制御装置1は、旋回走行中で且つ前後輪転舵角制御の実行中である場合、車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域なのか否かを判定する(ステップST15)。ここで、前述した様に、前後輪転舵角制御の実行中には、低G旋回領域であろうと高G旋回領域であろうと、前輪転舵角制御のみの実行中の場合と比較して、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御での車両10の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が小さくなる。これが為、このステップST15では、その偏差に基づいて車両10の旋回状態が高G旋回領域なのか否かの判定を行うことが難しい。そこで、ここでは、これらとは別の旋回状態量に基づいて、車両10の旋回状態が高G旋回領域なのか否かの判定を行う。その別の旋回状態量とは、ヨーレートやスリップ角よりも前後輪転舵角制御の影響を受けない又は受け難い旋回状態量のことであり、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyを用いる。
【0037】
このステップST15においては、検出した実際の車両横加速度Gyの絶対値が所定の閾値Gyth(>0)よりも大きいのか否かを判定することで(|Gy|>Gyth)、車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域なのか否かの判定を行う。この場合には、その絶対値が閾値Gythよりも大きければ、車両10の旋回状態が高G旋回領域であるとの判定を行い、その絶対値が閾値Gyth以下であれば、車両10の旋回状態が低G旋回領域であるとの判定を行う。その閾値Gythは、前述した所定値であり、旋回走行中の車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrがグリップ限界に近いのか否かに応じて決めた値である。
【0038】
また、このステップST15においては、実際の車両横加速度偏差ΔGyが所定の閾値ΔGythよりも大きいのか否かを判定することで(ΔGy>ΔGyth)、車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域なのか否かの判定を行ってもよい。この場合には、車両横加速度偏差ΔGyが閾値ΔGythよりも大きければ、車両10の旋回状態が高G旋回領域であるとの判定を行い、車両横加速度偏差ΔGyが閾値ΔGyth以下であれば、車両10の旋回状態が低G旋回領域であるとの判定を行う。
【0039】
その車両横加速度偏差ΔGyは、検出した実際の車両横加速度Gyの絶対値から目標車両横加速度Gytgt(>0)を減算して求める(ΔGy=|Gy|−Gytgt)。また、目標車両横加速度Gytgtは、車速Vの二乗を旋回路の旋回半径rで除算して求める(Gytgt=V/r)。その旋回半径rの情報は、前述した撮像装置の画像情報やカーナビゲーションシステムの地図情報等から得た走行中の旋回路における線形情報、つまり走行中の旋回路の曲率半径の情報を代用してもよい。但し、厳密には、運転者の操舵操作によって旋回半径rが変化するので、曲率半径で代用できない場合もある。ここで、走行軌跡制御の実行中には、この制御の際に目標としている目標走行軌跡の情報から旋回半径rの情報を精度良く得ることができる。従って、走行軌跡制御の実行中においては、精度の良い目標車両横加速度Gytgtを求めることができるので、車両横加速度偏差ΔGyの演算精度を高めることができる。故に、電子制御装置1には、このステップST15の判定の前に車両10が走行軌跡制御の実行中であるのか否か判定を行わせ、走行軌跡制御を実行していればステップST15へと進ませるようにしてもよい。尚、走行軌跡制御の実行中か否かの判定は、例えば、電子制御装置1による走行軌跡制御の制御指令の有無に基づいて行えばよい。
【0040】
更に、このステップST15の判定は、この技術分野で周知の車両挙動の判定技術を適用してもよい。
【0041】
ここで、車両10の旋回状態が高G旋回領域にある場合、電子制御装置1は、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減少させ(ステップST20)、前後輪転舵角制御を継続させる(ステップST25)。
【0042】
そのステップST20においては、例えば図3に示すマップデータを用いる。そのマップデータは、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyに対する後輪転舵角制御の制御ゲインであり、低G旋回領域であれば「1」となり、高G旋回領域であれば、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyが大きくなるにつれて1よりも小さくなっていく。電子制御装置1は、このステップST20において、その車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyに応じた制御ゲインを後輪転舵角制御の目標制御量(目標転舵角)に乗算し、この目標制御量を小さくすることで、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減少させる。そして、電子制御装置1は、ステップST25に進み、後輪転舵角制御の介入度合いを減らした前後輪転舵角制御を実行する。尚、この例示では、前後輪転舵角制御における前輪転舵角制御の介入度合いについての変更は行わない。
【0043】
一方、ステップST15で車両10の旋回状態が高G旋回領域にないと判定された場合、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御の介入が必要とされていないので、電子制御装置1は、前後輪転舵角制御における前輪転舵角制御や後輪転舵角制御の介入度合いを変えることなくステップST25に進み、実行中の前後輪転舵角制御を継続させる。
【0044】
この様に、この図2の例示の車両制御システムにおいては、旋回走行中で且つ前後輪転舵角制御の実行中であり、更に車両10の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域になっている場合に、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減らして前後輪転舵角制御を実行する。これが為、車両10においては、後輪転舵角制御の介入度合いを減少させる前と比べて、前後輪転舵角制御中の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなっていく。更に、この車両10においては、前輪Wfl,Wfr又は後輪Wrl,Wrrの内の何れか一方の横力が先に飽和することになるので、残りの車輪に対して制動力制御を行うことで、ヨーモーメントや減速度を発生させることができる。従って、この車両制御システムにおいては、例えば路面摩擦係数の変化(低下)等により前後輪転舵角制御で車両10の挙動の安定化を図りにくくなったときに、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御が実行し易くなり、後輪転舵角制御の介入度合いの変更前よりも車両10の挙動安定化への効果を高めることができる。特に、高G旋回領域では、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyが大きくなるほど、車両10の挙動が安定しにくくなるので、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御の介入が必要とされる。この例示では、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyが大きくなるほど後輪転舵角制御の介入度合いを減らし、前後輪転舵角制御中の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差を大きくしていくことができる。従って、この車両制御システムにおいては、旋回状態(つまり車両横加速度Gyや車両横加速度偏差ΔGy)に応じた制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御を実行でき、高精度に車両10の挙動を安定させる事ができる。
【0045】
電子制御装置1は、以上示した演算処理動作を繰り返し実行する。従って、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いは、旋回状態量(車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGy)の変化に伴い変更される。尚、この例示では図3に示す様に制御ゲインが0にならないが、この車両制御システムは、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyが大きくなるにつれて制御ゲインが何れ0になり、下記の例示の如く後輪転舵角制御が停止されるように構成してもよい。
【0046】
次に、この車両制御システムの演算処理動作の別形態を図4のフローチャートを用いて説明する。尚、ここでは、前述した図2の例示と共通する演算処理工程についての説明を省略する。
【0047】
この例示の電子制御装置1は、ステップST5,ST10,ST15を経て、旋回走行中で且つ前後輪転舵角制御の実行中であり、更に車両10の旋回状態が高G旋回領域になっている場合に、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させ(ステップST21)、前後輪転舵角制御から前輪転舵角制御へと切り替える(ステップST26)。これが為、車両10においては、後輪転舵角制御の介入度合いを減少させる前と比べて、前後輪転舵角制御中の旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差が大きくなる。特に、この例示では、高G旋回領域であれば、旋回状態(車両横加速度Gyや車両横加速度偏差ΔGy)に拘わらず前輪転舵角制御に切り替えるので、その旋回状態に応じた適切な旋回状態量(ヨーレートとスリップ角)の目標値と実際の値との偏差の情報を得ることができる。更に、この車両10においても、前輪Wfl,Wfr又は後輪Wrl,Wrrの内の何れか一方の横力が先に飽和することになるので、残りの車輪に対して制動力制御を行うことで、ヨーモーメントや減速度を発生させることができる。従って、この車両制御システムにおいては、前後輪転舵角制御で車両10の挙動の安定化を図りにくくなったときに、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御が実行し易くなり、後輪転舵角制御の停止前よりも車両10の挙動安定化への効果を高めることができる。
【0048】
ところで、この車両制御システムにおいては、前述した様な前後輪の転舵角介入比率変更制御が走行路軌跡制御の実行中に行われる場合もある。そして、この車両制御システムにおいては、運転者による切替スイッチ51の操作が行われたときや走行路軌跡制御の制御停止条件が成立したときに、実行中の走行路軌跡制御を終了させる。これに伴い、この車両制御システムは、運転者の操舵操作による旋回状態も加味した上で車両10の挙動を制御することになる。ここでは、前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行中に走行路軌跡制御が停止した場合、車両10の旋回状態が低G旋回領域であれば、減少させた後輪転舵角制御の介入度合いを元に戻して通常の前後輪転舵角制御(つまり前輪転舵角制御と後輪転舵角制御の夫々の制御ゲインを1にした前後輪転舵角制御)を実行させることで、運転者の操舵操作に応じた車両10の挙動安定化を図ることができる。一方、車両10の旋回状態が高G旋回領域のときには、前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させる。
【0049】
具体的に、電子制御装置1は、図5のフローチャートに示す様に、前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行中であるのか否かを判定する(ステップST30)。この判定は、例えば、電子制御装置1による後輪Wrl,Wrrの転舵装置40への制御指令の内容に基づいて行えばよい。この例示では、前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行中でなければ、本演算処理を一旦終わらせる。
【0050】
電子制御装置1は、前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行中であれば、走行路軌跡制御が停止したのか否かを判定する(ステップST35)。例えば、電子制御装置1への切替スイッチ51からの入力信号や電子制御装置1による走行路軌跡制御の制御指令の内容に基づいて行えばよい。
【0051】
電子制御装置1は、前後輪の転舵角介入比率変更制御の実行中に走行路軌跡制御が停止した場合、車両10の旋回状態が高G旋回領域なのか否かを判定する(ステップST40)。この判定は、前述したステップST15と同様にして行えばよい。
【0052】
この電子制御装置1は、車両10の旋回状態が高G旋回領域である場合、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させる(ステップST45)。
【0053】
その際には、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御が前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減少させたものであれば、その介入度合いを維持したまま制御を続ける。これにより、この車両制御システムにおいては、車両挙動の制御形態の変化を抑えることができるので、運転者に違和感を与えずに済む。ここで、電子制御装置1には、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyに応じた後輪転舵角制御の介入度合いを改めて演算させ、今までとは別の演算結果が得られたならば新たな介入度合いに変更して制御を継続させてもよい。これにより、この車両制御システムにおいては、運転者の操舵操作に伴い車両10の旋回状態に変化が現れたとしても、その変化に応じた後輪転舵角制御の介入度合いが改めて設定されるので、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御を運転者の操舵操作に応じたものとして実行することができ、運転者の意図に沿った車両挙動の安定化を図ることができる。尚、この電子制御装置1には、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させることで、前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させてもよい。
【0054】
更に、このステップST45においては、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御が前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させたものであれば、後輪転舵角制御を停止させたまま制御を続けてもよい。これにより、この車両制御システムにおいては、運転者の操舵操作に伴い車両10の旋回状態に変化が現れたとしても、その変化に応じた制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御を行うことができるので、運転者の意図に沿った車両挙動の安定化を図ることができる。ここで、電子制御装置1には、車両横加速度Gy又は車両横加速度偏差ΔGyに応じた後輪転舵角制御の介入度合いを演算させ、前輪転舵角制御から後輪転舵角制御の介入度合いを通常よりも減少させた前後輪転舵角制御へと切り替えさせてもよい。この様にしても、この車両制御システムにおいては、運転者の操舵操作に応じた制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御を行うことができ、運転者の意図に沿った車両挙動の安定化を図ることができる。
【0055】
尚、この例示では、ステップST35で走行路軌跡制御が実行中であると判定された場合、そのステップST45に進み、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させる。
【0056】
一方、電子制御装置1は、車両10の旋回状態が低G旋回領域である場合、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを回復させ(ステップST50)、通常の前後輪転舵角制御を実行させる(ステップST55)。この場合には、制御対象輪の制動力制御等による車両挙動制御の介入が必要とされていないからである。これにより、この車両制御システムにおいては、運転者の操舵操作に応じた前後輪転舵角制御の実行が可能になり、運転者の意図に沿った車両挙動の安定化を図ることができる。ここで、そのステップST50においては、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御が後輪転舵角制御の介入度合いを減少させたものであれば、制御ゲインを1に設定し、また、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御が後輪転舵角制御を停止させたものであれば、0に設定されている制御ゲインを1に変えることで、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを回復させる。
【0057】
ここで、前述した図2及び4の各例示においては、車両10の旋回状態が高G旋回領域である場合に、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減少させたり、また、その後輪転舵角制御を停止させたりしている。本実施例の車両制御システムは、これに替えて、低G旋回領域にある車両10の旋回状態が高G旋回領域に近づくにつれて、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを減少させ、車両10の旋回状態がこれ以外の低G旋回領域であれば、実行中の前後輪転舵角制御を継続させてもよい。その際には、車両10の旋回状態が高G旋回領域になったときに、後輪転舵角制御の介入度合いを更に減少させてもよい。また、本実施例の車両制御システムは、低G旋回領域にある車両10の旋回状態が高G旋回領域に近くなった場合、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させ、車両10の旋回状態がこれ以外の低G旋回領域である場合、実行中の前後輪転舵角制御を継続させてもよい。このときには、車両10の旋回状態が高G旋回領域になった場合にも、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御を停止させておく。
【0058】
更に、前述した図5の例示においては、車両10の旋回状態が高G旋回領域である場合に、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させている。本実施例の車両制御システムは、これに替えて、低G旋回領域にある車両10の旋回状態が高G旋回領域に近ければ、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させ、車両10の旋回状態がこれ以外の低G旋回領域であれば、前後輪転舵角制御における後輪転舵角制御の介入度合いを回復させてもよい。このときには、車両10の旋回状態が高G旋回領域になった場合にも、実行中の前後輪の転舵角介入比率変更制御を継続させておく。
【0059】
尚、低G旋回領域における高G旋回領域の近くとは、低G旋回領域における高G旋回領域との境界に相当する領域のことであり、例えば、低G旋回領域との判定結果ではあるが、旋回状態量の演算誤差や検出誤差を考慮した際に高G旋回領域と判定される可能性のある領域が該当する。また、例えば、車両10の旋回状態が高G旋回領域になる前に後輪転舵角制御の介入度合いの減少等を行っておくことで、車両10の旋回状態が高G旋回領域になったときの車両挙動の安定化制御の応答性を良くすることができる。この様な応答性の向上を求める場合、低G旋回領域における高G旋回領域の近くとは、低G旋回領域における高G旋回領域との境界に相当する領域であって、その応答性の向上代を考慮に入れた領域を設定すればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 電子制御装置
10 車両
20 操舵装置
23 操舵角検出部
30,40 転舵装置
32,42 アクチュエータ
51 切替スイッチ
60 制動装置
65 ブレーキアクチュエータ
66fl,66fr,66rl,66rr 制動力発生部
Wfl,Wfr,Wrl,Wrr 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の旋回状態量に基づいた前輪の転舵角又は前輪及び後輪の夫々の転舵角の制御により車両の挙動制御を行う車両制御システムにおいて、
旋回走行中で且つ前輪及び後輪の夫々の転舵角が制御されており、更に車両の旋回状態が所定よりも大きい高G旋回領域にある場合に、前記前輪及び後輪の夫々の転舵角の制御における後輪の転舵角制御の介入度合いを減少させる又は当該後輪の転舵角制御を停止させることを特徴とした車両制御システム。
【請求項2】
前記後輪の転舵角制御の介入度合いを減少させた後、車両の旋回状態量に基づき全ての車輪の内の少なくとも1つの制動力とエンジンの出力とを制御して車両の挙動制御を行うことを特徴とした請求項1記載の車両制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−91380(P2013−91380A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233862(P2011−233862)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】