部品内蔵配線基板及びその製造方法
【課題】内蔵部品をビア導体を介して電気的に接続する際の接続信頼性を高めることが可能な部品内蔵配線基板を提供する。
【解決手段】本発明の部品内蔵配線基板10は、コア基板11に内蔵された板状の部品70と、絶縁層と導体層とが交互に積層されたビルドアップ層12(13)を備えている。部品70は、その両端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成され、主面部の側の絶縁層20(21)には、端子電極の側面部及び主面部と接続されるビア導体60(61)が形成されている。ビア導体60は、下方の端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成され、端子電極の表面部との接続箇所におけるビア径が端子電極の主面部の長さよりも大きい。これにより、ビア導体60と部品70の端子電極との接続面積を拡大し、かつ位置ずれに対する許容度を高めることで、接続信頼性が向上する。
【解決手段】本発明の部品内蔵配線基板10は、コア基板11に内蔵された板状の部品70と、絶縁層と導体層とが交互に積層されたビルドアップ層12(13)を備えている。部品70は、その両端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成され、主面部の側の絶縁層20(21)には、端子電極の側面部及び主面部と接続されるビア導体60(61)が形成されている。ビア導体60は、下方の端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成され、端子電極の表面部との接続箇所におけるビア径が端子電極の主面部の長さよりも大きい。これにより、ビア導体60と部品70の端子電極との接続面積を拡大し、かつ位置ずれに対する許容度を高めることで、接続信頼性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の部品を内蔵した部品内蔵配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コア基板の両側にビルドアップ層を形成して配線基板を構成し、配線基板上にICチップ等を搭載したパッケージが知られている。近年、ICチップの高速化及び端子数の増加により、外部基板から配線基板を経由してICチップに電源を供給する場合、電源電圧の不安定化やノイズの影響によるICチップの誤動作が問題となる。そのため、配線基板に、電源電圧の安定化やノイズ除去の役割を担うコンデンサを等の部品を内蔵する構造が採用されている。例えば、特許文献1には、基材の開口部に電子回路部品を内蔵し、電子回路部品の端子を配線層の電極パッドに半田で接合した構造を有する配線基板が開示されている。このような手法で、例えば、電子回路部品としてチップコンデンサを内蔵し、それを電源電圧の配線に接続した構造を有する配線基板を実現することができる。また、上述したように、コア基板の両側にビルドアップ層を形成した配線基板を用いる場合は、コア基板に形成した収容穴部にチップコンデンサを収容した上で、ビルドアップ層のうちコア基板側の絶縁層の所定位置にビア導体を形成し、チップコンデンサの端子電極の表面と上層の導体層とを電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−289790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、配線基板に内蔵されるチップコンデンサ等の板状の部品は、その長手方向の両端に1対の端子電極を有し、各々の端子電極が部品の側面から表面及び裏面にかけて形成されている。そのため、部品の端子電極に接続される上述のビア導体は、端子電極と積層方向に対向する絶縁層の位置に形成され、ビア導体の下端が端子電極の表面に接する構造となる。しかしながら、部品の小型化の要請から、部品の端子電極は非常に小さいサイズに形成される。一方、ビア導体を高密度な導体パターンに対応させるには小さいビア径で形成する必要があるので、小さいサイズの端子電極に対して小さいビア径のビア導体が接続される構造になる。このような構造を前提とすると、配線基板の製造時に、収容穴部における部品の位置決めに際して僅かな位置ずれが生じたとしても、部品の端子電極とビア導体との間の電気的接続が保てなくなる恐れがある。また、上記の構造によれば、部品の端子電極との十分な接続面積を確保することは困難であり、部品を電源配線に接続する際の直流抵抗が増加する恐れがある。以上のように、上記従来の部品内蔵配線基板では、内蔵される部品にビア導体との間の十分な接続信頼性を確保できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、内蔵された板状の部品をビア導体を介して接続するに際して十分な接続信頼性を確保し得る部品内蔵配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の部品内蔵配線基板は、板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板において、前記部品には、平面視で側面部及び少なくとも一方の主面部を有する端子電極が第1の方向の端部に形成され、前記部品の前記主面部の側には絶縁層と導体層とが交互に積層され、前記部品の前記主面部の側の前記絶縁層には、前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体が形成され、前記第1のビア導体は、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成されるとともに、前記第1の方向において前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0007】
本発明の部品内蔵配線基板によれば、内蔵される板状の部品には、第1の方向の端部に端子電極が形成され、その主面部の側の絶縁層を貫くテーパ状の第1のビア導体が形成され、端子電極と電気的に接続されている。この場合、第1のビア導体は、端子電極の主面部の第1の方向における長さに比べ、同じ高さで見たビア径が大きくなっている。よって、ビア導体の形成する位置を適切に設定すれば、端子電極の主面部のみならず、側面部にもビア導体を接続することができるので、接続面積を十分に拡大して直流抵抗の減少を図ることができる。また、部品内蔵配線基板の製造工程において、部品の位置ずれに対する許容度が大きくなり、接続信頼性の向上が可能となる。
【0008】
本発明の第1のビア導体は、端子電極の側面部及び主面部に接続される限り自在に配置することができるが、例えば、第1のビア導体の中心軸が平面視で端子電極の側面部の直上領域に位置するように配置してもよい。これにより、第1の方向において第1の部品の相対的な位置ずれが生じたとき、ビア導体と端子電極との間の接続面積の減少を比較的小さく抑えることができる。
【0009】
本発明の部品の構造は特に制約されないが、例えば、第1の方向の両側の端部に1対の端子電極を形成した構造を採用することができる。これにより、1対の端子電極に対応して1対の第1のビア導体を容易に設けることができる。このような構造を有する部品としては、例えば、チップコンデンサを用いることができる。
【0010】
本発明の部品の端子電極の主面部は、第1の主面部と、この第1の主面部と積層方向に対向する第2の主面部を含んでいてもよい。この場合、第1及び第2の主面部の両側の絶縁層には、2つの第1のビア導体を積層方向で対称的な配置で形成し、それぞれの第1のビア導体を端子電極の側面部及びそれぞれの主面部に接続することが望ましい。
【0011】
本発明の第1のビア導体の形状と個数は自在に設定できる。例えば、各々の端子電極に対し、第1の方向と異なる第2の方向に並ぶ複数の第1のビア導体を接続することができる。かかる構造の一例として、例えば、第1の方向に直交する方向に並ぶ2個の第1のビア導体を接続することができる。
【0012】
本発明の配線基板の構造は、本発明の特徴を奏する限り特に制約されることはない。例えば、配線基板の絶縁層に、前記部品の前記端子電極と接続されない一又は複数の第2のビア導体を形成し、第1のビア導体のビア径が第2のビア導体のビア径よりも大きくなるように設定してもよい。また例えば、本発明の部品をコア基板に開口された収容穴部に収容する構造を採用することが望ましいが、本発明の部品を樹脂絶縁層に埋め込む構造を採用してもよい。
【0013】
一方、上記課題を解決するために、本発明の部品内蔵配線基板の製造方法は、板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板の製造方法であって、端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成された部品を用意し、基板内に前記部品を配置する部品配置工程と、前記部品の前記主面部の側に絶縁層を形成し、当該絶縁層の所定位置に前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体を、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状の断面形状で形成するビア導体形成工程と、を含み、前記第1のビア導体は、平面視で第1の方向において、前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0014】
本発明の製造方法のうち部品配置工程では、コア基板を用意し、前記コア基板に収容穴部を形成し、前記部品を前記収容穴部に収容するようにしてもよい。これにより、それ以降の工程で、コア基板の両側に絶縁層と導体層とを交互に積層することで、容易にビルドアップ層を形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品内蔵配線基板に内蔵される板状の部品に対し、端子電極に対してビア径の大きい第1のビア導体を形成し、第1のビア導体をテーパ状に形成して端子電極の側面部及び主面部の両方に接続される構造としたので、端子電極の側面部及び主面部を含む広い接続面積を確保することができる。従って、第1のビア導体と端子電極の直流抵抗を低減し、かつ部品の位置ずれに対して大きな許容度を確保し、総合的に接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の配線基板10の概略の断面構造図である。
【図2】図1の配線基板10の構造のうちコンデンサ70と1対のビア導体60の部分を拡大した斜視図の一例を示す図である。
【図3】本実施形態において、コンデンサ70及びビア導体60、61を含む部分の構造を上方から見た平面構造の例を示す図である。
【図4】図3との対比のため、ビア導体60、61をビア径が小さいビア導体40、41で置き換えた場合の平面構造を比較例として示す図である。
【図5】本実施形態において、図2のコンデンサ70と下方のビア導体61を含む部分の断面構造を模式的に示した図である。
【図6】図2のビア導体61に代え、下方のパッド63及び側面の半田64を用いて電気的接続を行う場合の断面構造を比較例として示す図である。
【図7】図3とはビア導体60と形状が異なるビア導体65を用いた第1の変形例を示す図である。
【図8】図3のビア導体60(61)を各端子電極Tに2個ずつ設けた第2の変形例を示す図である。
【図9】本実施形態のコンデンサ70に代わって4端子の部品71を収容穴部11aに収容した第3の変形例を示す図である。
【図10】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第1の断面構造図である。
【図11】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第2の断面構造図である。
【図12】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第3の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明の技術思想を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。
【0018】
まず、本発明を具体化した部品内蔵配線基板の構造について説明する。図1は、本実施形態の部品内蔵配線基板10(以下、単に配線基板10と呼ぶ)の概略の断面構造図を示している。図1に示すように、本実施形態の配線基板10は、例えばガラス繊維を含んだエポキシ樹脂からなるコア基板11と、コア基板11の上面側のビルドアップ層12と、コア基板11の下面側のビルドアップ層13とを含む構造を有している。本実施形態の配線基板10は、その内部に板状の部品であるコンデンサ70が内蔵されるとともに、上部に半導体素子である半導体チップ100が載置されている。コンデンサ70は、両端に1対の端子電極Tを備えており、例えば、半導体チップ100に供給される電源電圧のデカップリング用のチップコンデンサである。この場合、電源電圧を一方の端子電極Tを介してコンデンサ70の正極に接続し、グランド電位を他方の端子電極Tを介してコンデンサ70の負極に接続すればよい。なお、コンデンサ70の具体的な構造については後述する。
【0019】
コア基板11には、中央領域を平面視で矩形状に貫通する収容穴部11aが形成され、この収容穴部11aにチップ状のコンデンサ70が埋め込まれた状態で収容されている。コア基板11には、外周領域を積層方向に貫通する複数のスルーホール導体14が形成され、スルーホール導体14の内部が例えばガラスエポキシ等からなる閉塞体15で埋められている。また、収容穴部11aとコンデンサ70との間隙部には樹脂充填材16が充填されている。樹脂充填材16は、例えば熱硬化性樹脂からなり、コア基板11に対するコンデンサ70の変形を吸収するように作用する。
【0020】
一方のビルドアップ層12は、コア基板11の上部の樹脂絶縁層20と、樹脂絶縁層20の上部の樹脂絶縁層22と、樹脂絶縁層22の上部のソルダーレジスト層24とが積層形成されてなる。樹脂絶縁層20の上面には導体層30が形成され、樹脂絶縁層22の上面には複数の端子パッド32が形成されている。樹脂絶縁層20の外周領域には、スルーホール導体14の上端電極と導体層30との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体40が設けられている。また、樹脂絶縁層20のうち収容穴部11aと対向する領域には、コンデンサ70の各端子電極Tと導体層30との間を積層方向に接続導通し、ビア導体40よりもビア径が大きい1対のビア導体60(本発明の第1のビア導体)が設けられている。なお、ビア導体60の役割及び構造については後述する。さらに、樹脂絶縁層22の所定箇所には、導体層30と複数の端子パッド32との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体42が設けられている。ソルダーレジスト層24は、複数箇所が開口されて複数の端子パッド32が露出し、そこに複数の半田バンプ50が形成されている。各々の半田バンプ50は、配線基板10に載置される半導体チップ100の各パッド101に接続される。
【0021】
また、他方のビルドアップ層13は、コア基板11の下部の樹脂絶縁層21と、樹脂絶縁層21の下部の樹脂絶縁層23と、樹脂絶縁層23の下部のソルダーレジスト層25とが積層形成されてなる。樹脂絶縁層21の下面には導体層31が形成され、樹脂絶縁層23の下面には複数のBGA用パッド33が形成されている。樹脂絶縁層21の外周領域には、スルーホール導体14の下端電極と導体層31との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体41が設けられている。また、樹脂絶縁層21のうち収容穴部11aと対向する領域には、コンデンサ70の各端子電極Tと導体層31との間を積層方向に接続導通し、ビア導体41よりもビア径が大きい1対のビア導体61(本発明の第1のビア導体)が設けられている。これらのビア導体41、61は、上述のビルドアップ層12のビア導体40、60にそれぞれ対応する位置に形成されている。さらに、樹脂絶縁層23の所定箇所には、導体層31と複数のBGA用パッド33との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体43が設けられている。ソルダーレジスト層25は、複数箇所が開口されて複数のBGA用パッド33が露出し、そこに複数の半田ボール51が形成されている。これらの半田ボール51は、外部基材(不図示)と電気的に接続可能な構造を有する。
【0022】
ここで、図2には、図1の配線基板10の構造のうち、コンデンサ70と1対のビア導体60の部分を拡大した斜視図の一例を示している。図2では、理解の容易のため、コンデンサ70の上方の1対のビア導体60を示すものとし、コンデンサ70の下方の1対のビア導体61については図示を省略している。図2に示すように、コンデンサ70は平面視で長方形の長手方向の両端に1対の端子電極Tが設けられ、各々の端子電極Tは、表面部Tt(本発明の第1の主面部)と側面部Tsと裏面部Tb(本発明の第2の主面部)とを含んでいる。
【0023】
各々のビア導体60はテーパ状に形成され、上端側の導体層30の位置の上端面60aで最大のビア径を有し、下方に行くほどビア径が小さくなる。そして、ビア導体60は、端子電極Tの表面部Ttに加えて、側面部Tsと電気的に接続されている。図2の例では、ビア導体60の中心軸が端子電極Tの側面部Tsの中央部と重なるように配置されている。この場合、ビア導体60と端子電極Tとの接続部分は、表面部Ttの半円状の領域と側面部Tsの三角形の領域とを含み、トータルの接続面積を十分に広く確保できる。なお、1対の端子電極T及び1対のビア導体60は、コンデンサ70の長手方向に対して互いに対称的な構造となっている。
【0024】
また、図示されない下方の1対のビア導体61は、上方の1対のビア導体60と積層方向に対して対称的な構造となっている。つまり、ビア導体61は、端子電極Tの裏面部Tb及び側面部Tsと電気的に接続されている。ただし、本発明は、上下のビア導体60、61の両方を設ける場合に加えて、上下のビア導体60、61の一方を設ける場合であっても適用することができる。例えば、上方に1対のビア導体60を設けるとともに、下方には1対の端子電極Tの直下に1対のパッドを設け、半田により各端子電極Tを各パッドに接合してもよい。
【0025】
以下、図2のビア導体60、61の寸法条件と本実施形態の構造に基づく効果について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、コンデンサ70及びビア導体60、61を含む部分の構造を上方から見た平面構造の例を示している。また、図4は、図3との対比のため、ビア導体60、61をビア径が小さいビア導体40、41で置き換えた場合の平面構造を比較例として示している。図3及び図4には、便宜上、互いに直交するX方向及びY方向の座標軸を示している。X方向(本発明の第1の方向)は図1の紙面横方向に対応し、Y方向は図1の紙面奥行き方向に対応する。
【0026】
まず、本実施形態においては、図3に示すように、平面視で板状のコンデンサ70が長手方向であるX方向の長さL、かつY方向の幅Wに形成される。コンデンサ70は、例えば、L=1.0mm、W=0.5mmのサイズを有する。また、コンデンサ70のX方向の両端の各端子電極Tは、X方向の長さLt、Y方向の幅Wに形成される。なお、図3では、端子電極Tのうちの表面部Ttが示されている。また、既に述べたようにビア導体60は積層方向にテーパ状に形成され、下方に行くほど円形断面の直径が小さくなる円錐形状を有する。よって、ビア導体60は、上端面60aが最大のビア径R0(直径)を有し、端子電極Tの表面部Ttと同じ高さの部分の断面60bがビア径R0よりも小さいビア径R1(直径)を有する。すなわち、R0>R1の関係を満たす。ここで、図3の例では、図2と同様、端子電極Tに接続されるビア導体60の中心軸C0の位置は、端子電極Tの端部(側面部Tsの位置)に重なり、かつ幅Wの中心に合致している。
【0027】
図3の構造において、ビア導体60の断面60bにおけるビア径R1は、端子電極Tの表面部Ttの長さLtよりも若干大きく設定されている。本実施形態では、ビア導体60と端子電極Tとの間の十分な接続面積を確保すべく、R1>Ltの関係を満たすような寸法条件を特徴としている。このような寸法条件を満たすようにビア導体60のサイズを拡大することにより、ビア導体60と端子電極Tとの間で、端子電極Tの表面部Tt及び側面部Tsの両方に対して十分な接続面積を確保することができる。なお、下方のビア導体61については、端子電極Tの表面部Ttを裏面部Tbに置き代えて同様の寸法条件を設定すればよい。なお、R1>Ltの関係を満たしたとしても、ビア径R1が極端に大きくなり過ぎると、1対のビア導体60が電気的にショートする可能性や、あるいは収容部11aのサイズが大きくなる不利益を招くので、ビア径R1の上限を適切に設定する必要がある。
【0028】
これに対し、図4においては、ビア導体40が積層方向にテーパ状に形成される点は図3と同様であるが、図3のビア導体60に比べて半分程度のサイズを有している。また、ビア導体40の中心軸C1の位置は、端子電極Tの中央部(長さLt及び幅Wのそれぞれの中心)にある。そして、ビア導体40の上端面40aが最大のビア径R2(直径)を有し、端子電極Tの表面部Ttと同じ高さの部分の断面40bはビア径R2よりも小さいビア径R3(直径)を有する(R2>R3)。この場合、図4においては、図3とは異なり、ビア径R3が端子電極Tの表面部Ttの長さLtより小さいため、ビア導体40と表面部Ttとの接続面積が小さい。さらには、ビア導体40が端子電極Tの側面部Tsとは全く接続されない構造であるため、トータルの接続面積はさらに小さくなることがわかる。
【0029】
また、図3及び図4において、コンデンサ70の搭載時にビア導体60、40に対してX方向に相対的な位置ずれが生じた状況を考える。このようなX方向の位置ずれに対し、図4の構造では、ビア導体40と端子電極Tの接続面積は急激に減少するのに対し、図3の構造では、ビア導体60と端子電極Tの接続面積は比較的緩やかな減少にとどまる。これは、上述したようにビア導体60のビア径が大きいことと、ビア導体60が表面部Ttと側面部Tsの両方に接続されることの効果である。以上のように、図3の構造を採用することにより、ビア導体60と端子電極Tの接続面積を増加させて直流抵抗を減少させる効果と、コンデンサ70の位置ずれに対する許容度を高める効果を得ることができる。
【0030】
一方、本実施形態の構造に基づく他の効果について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、図2のコンデンサ70と下方のビア導体61を含む部分の断面構造を模式的に示した図であり、図6との対比のため、上方のビア導体60は図示を省略している。図6は、図5のビア導体61に代え、下方のパッド63及び側面の半田64を用いて電気的接続を行う場合の断面構造を比較例として示した図である。図5及び図6には、便宜上、互いに直交するX方向(図3及び図4と同様)及びZ方向(積層方向)の座標軸を示している。
【0031】
まず、本実施形態においては、既に述べたように、コンデンサ70の端子電極Tに対し、下方に行くほどビア径が大きくなるビア導体61が接続されている。よって、端子電極の側面部Tsを覆うビア導体61は、断面が平坦な側面部61sを有する。これに対し、図6の比較例においては、端子電極Tの直下にパッド63が配置され、パッド63の外縁部と端子電極Tの側面部Tsが半田64により接合される。よって、半田64はフィレット形状であり、断面が内側に凹状の側面部64sを有する。すなわち、図5において、平坦な側面部61sを有するビア導体61に比べ、図6の半田64の側面部64sは上方に行くほど厚みが小さくなる点では同様であるが相対的に薄くなる。その結果、配線基板10の収容穴部11aの付近に加わる曲げ応力に対し、図6に比べて本実施形態の図5の構造の方が有利になり、接続信頼性のさらなる向上が可能となる。
【0032】
以上のように、本発明の特徴的な構造を示したが、上述の構造はいずれも一例であって、次に挙げる変形例に対して本発明を適用することができる。図7は、ビア導体60(61)と端子電極Tの接続面積を増加させる観点から、図3のビア導体60とは形状が異なるビア導体65を用いた第1の変形例を示している。第1の変形例においては、ビア導体65(及び下方のビア導体66)の断面形状が図3のような円形ではなく、端子電極Tの長さLtの方向に対しては図3と同様のサイズであるが、端子電極Tの幅Wの方向に対して拡張された形状を有している。すなわち、図7のビア導体65は、図3のような円形断面ではなく、平面視で円弧と直線を組み合わせた形状の断面を有する(上端面65a、表面部Ttと同じ高さの断面65b)。なお、図7のビア導体65は楕円の断面で形成してもよい。このように、第1の変形例は、図3と比べると、ビア導体65と端子電極Tとの接続面積を一層拡大することができる。
【0033】
また、図8は、ビア導体60(61)と端子電極Tの接続面積を増加させる観点から、図3のビア導体60(61)を各端子電極Tに2個ずつ設けた第2の変形例を示している。第2の変形例においては、各々の端子電極Tに対し、幅W(図3)の方向の一端に1個のビア導体60(及び1個のビア導体61)が配置され、幅Wの方向の他端に1個のビア導体60(及び1個のビア導体61)が配置されている。これら2個のビア導体60の断面形状とサイズは図3と同様であり、その中心軸C0(図3)が、図3と同様、側面部Tsの位置に重なる。このように、第2の変形例では、1個の端子電極Tの上下方向を考慮すると、全部で4個のビア導体60、61を接続することができるので、図3と比べると、接続面積を2倍に拡大することができる。
【0034】
さらに、図9は、本実施形態のコンデンサ70に代わって4端子の部品71を収容穴部11aに収容した第3の変形例を示している。図9の部品71は、平面視で正方形であり、その四辺に4個の端子電極Tが設けられている。図9では、各々の端子電極Tは、半円状の表面部Ttのみが示されているが、下方には図示されない矩形状の側面部Ts及び半円状の裏面部Tbを含んでいる。ビア導体60(61)の断面形状とサイズは図3と同様であり、その中心軸C0(図3)が、図3と同様、各辺の中心における側面部Tsの位置に重なる。なお、第3の変形例において、4端子の部品71は、コンデンサであってもよいが、例えば、フェライトビーズ等の他の部品であってもよい。このように、本発明の配線基板10においては、ビア導体60(61)の構造的な特徴を有する限り、収容穴部11aに内蔵される部品の種類及び端子数は限定されない。
【0035】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法の概略を説明する。まず、図10に示すように、コア基材11を準備し、その中央領域にルータを用いた穴あけ加工を施すことにより、収容穴部11aとなる貫通孔を予め形成しておく。そして、収容穴部11aの内部にコンデンサ70を収容して周知の手法で仮固定した後、収容穴部11aとコンデンサ70との間隙部に、熱硬化性樹脂からなる樹脂充填材16を充填する。そして、樹脂充填材16を加熱硬化させることで、収容穴部11aの内部でコンデンサ70が固定される。一方、ドリル機を用いた穴あけ加工により、コア基板11の所定位置に貫通孔を形成し、この貫通孔に対して銅めっき施すことによりスルーホール導体14を形成した後、ペーストを印刷充填して硬化することにより閉塞体15を形成する。
【0036】
続いて、図11に示すように、コア基板11上下の各面に、それぞれエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層する。そして、真空下にて加圧加熱することにより絶縁樹脂材料を硬化させ、上面側の樹脂絶縁層20と下面側の樹脂絶縁層21とを形成する。そして、樹脂絶縁層20、21の各表面のうちスルーホール導体14に対向する箇所にレーザ加工を施し、複数のビアホールV1を形成する。一方、コンデンサ70の両端の各端子電極Tに対向する箇所にレーザ加工を施し、2個のビアホールV2を形成する。このとき、レーザの強度分布に従い、各ビアホールV1、V2はテーパ状になる。また、上述したように、ビアホールV2はビアホールV1より大きい径(例えば、2倍)を有するともに、ビアホールV2は端子電極Tの近傍の樹脂充填材16を貫いて形成される。この場合、一般にビアホールの径はレーザ照射時のショット数に依存して定まるので、ビアホールV2のレーザ加工時には、ビアホールV1のレーザ加工時に比べ、2倍程度のショット数に調整する必要がある。
【0037】
続いて、図12に示すように、ビアホールV1、V2の中のスミアを除去するデスミア処理を施した後、ビアホールV1内に銅めっきを施してビア導体40、41を形成するとともに、ビアホールV2内に銅めっきを施してビア導体60、61を形成する。その後、樹脂絶縁層20、21の表面にパターニングを施し、銅で構成される導体層30、31をそれぞれ形成する。次いで、樹脂絶縁層20の上面と樹脂絶縁層21の下面に、それぞれ上述のフィルム状絶縁樹脂材料を積層し、真空下にて加圧加熱することにより絶縁樹脂材料を硬化させ、樹脂絶縁層22、23を形成する。
【0038】
続いて、図1に戻って、樹脂絶縁層22、23に、上述のビア導体40、41と同様の手法で、ビア導体42、43を形成する。その後、樹脂絶縁層22の上部に複数の端子パッド32を形成し、樹脂絶縁層23の下部に複数のBGA用パッド33を形成する。次いで、樹脂絶縁層22の上面と樹脂絶縁層23の下面に、それぞれ感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト層24、25を形成する。その後、ソルダーレジスト層24に開口部をパターニングし、複数の端子パッド32に接続される複数の半田バンプ50を形成する。また、ソルダーレジスト層25に開口部をパターニングし、複数のBGA用パッド33に接続される複数の半田ボール51を形成する。以上の手順により本実施形態の配線基板10が完成する。
【0039】
本実施形態で開示した配線基板10においては、ビア導体40〜43、60、61の内部が導体で埋められたフィルドビアを用いることを前提として説明したが、ビア導体40〜43、60、61の内壁にめっきを施したコンフォーマルビアを用いる場合であっても本発明を適用することができる。
【0040】
また、本実施形態で開示した配線基板10においては、ビア径が小さいビア導体40〜43と、ビア径が大きいビア導体60、61の両方を用いる場合を説明したが、ビア導体40〜43を接続する箇所におけるパターン配置の密度の要求を満たす限り、全てのビア導体40〜43、60、61について、ビア径を大きくしてもよい。さらに、実施形態で開示した配線基板10においては、コア基板11に形成した収容穴部11aに部品を収容する形態を説明したが、例えば、樹脂絶縁層の空きスペースに収容した部品に対して本発明の構造を適用してもよい。
【0041】
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で多様な変更を施すことができる。例えば、本実施形態では、半導体チップ100を載置した配線基板10に対して本発明を適用する場合を説明したが、本発明の構造上の特徴を有する限り、半導体チップ100以外の部品を載置した配線基板10に対して本発明を適用することができる。その他の点についても上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り、上記実施形態に開示した内容には限定されることなく適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…部品内蔵配線基板
11…コア基板
11a…収容穴部
12、13…ビルドアップ層
14…スルーホール導体
15…閉塞体
16…樹脂充填材
20、21、22、23…樹脂絶縁層
24、25…ソルダーレジスト層
30、31…導体層
32…端子パッド
33…BGA用パッド
40、41、42、43、60、61、65、66…ビア導体
50…半田バンプ
51…半田ボール
64…半田
70…コンデンサ
71…部品
100…半導体チップ
T…端子電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の部品を内蔵した部品内蔵配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コア基板の両側にビルドアップ層を形成して配線基板を構成し、配線基板上にICチップ等を搭載したパッケージが知られている。近年、ICチップの高速化及び端子数の増加により、外部基板から配線基板を経由してICチップに電源を供給する場合、電源電圧の不安定化やノイズの影響によるICチップの誤動作が問題となる。そのため、配線基板に、電源電圧の安定化やノイズ除去の役割を担うコンデンサを等の部品を内蔵する構造が採用されている。例えば、特許文献1には、基材の開口部に電子回路部品を内蔵し、電子回路部品の端子を配線層の電極パッドに半田で接合した構造を有する配線基板が開示されている。このような手法で、例えば、電子回路部品としてチップコンデンサを内蔵し、それを電源電圧の配線に接続した構造を有する配線基板を実現することができる。また、上述したように、コア基板の両側にビルドアップ層を形成した配線基板を用いる場合は、コア基板に形成した収容穴部にチップコンデンサを収容した上で、ビルドアップ層のうちコア基板側の絶縁層の所定位置にビア導体を形成し、チップコンデンサの端子電極の表面と上層の導体層とを電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−289790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、配線基板に内蔵されるチップコンデンサ等の板状の部品は、その長手方向の両端に1対の端子電極を有し、各々の端子電極が部品の側面から表面及び裏面にかけて形成されている。そのため、部品の端子電極に接続される上述のビア導体は、端子電極と積層方向に対向する絶縁層の位置に形成され、ビア導体の下端が端子電極の表面に接する構造となる。しかしながら、部品の小型化の要請から、部品の端子電極は非常に小さいサイズに形成される。一方、ビア導体を高密度な導体パターンに対応させるには小さいビア径で形成する必要があるので、小さいサイズの端子電極に対して小さいビア径のビア導体が接続される構造になる。このような構造を前提とすると、配線基板の製造時に、収容穴部における部品の位置決めに際して僅かな位置ずれが生じたとしても、部品の端子電極とビア導体との間の電気的接続が保てなくなる恐れがある。また、上記の構造によれば、部品の端子電極との十分な接続面積を確保することは困難であり、部品を電源配線に接続する際の直流抵抗が増加する恐れがある。以上のように、上記従来の部品内蔵配線基板では、内蔵される部品にビア導体との間の十分な接続信頼性を確保できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、内蔵された板状の部品をビア導体を介して接続するに際して十分な接続信頼性を確保し得る部品内蔵配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の部品内蔵配線基板は、板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板において、前記部品には、平面視で側面部及び少なくとも一方の主面部を有する端子電極が第1の方向の端部に形成され、前記部品の前記主面部の側には絶縁層と導体層とが交互に積層され、前記部品の前記主面部の側の前記絶縁層には、前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体が形成され、前記第1のビア導体は、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成されるとともに、前記第1の方向において前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0007】
本発明の部品内蔵配線基板によれば、内蔵される板状の部品には、第1の方向の端部に端子電極が形成され、その主面部の側の絶縁層を貫くテーパ状の第1のビア導体が形成され、端子電極と電気的に接続されている。この場合、第1のビア導体は、端子電極の主面部の第1の方向における長さに比べ、同じ高さで見たビア径が大きくなっている。よって、ビア導体の形成する位置を適切に設定すれば、端子電極の主面部のみならず、側面部にもビア導体を接続することができるので、接続面積を十分に拡大して直流抵抗の減少を図ることができる。また、部品内蔵配線基板の製造工程において、部品の位置ずれに対する許容度が大きくなり、接続信頼性の向上が可能となる。
【0008】
本発明の第1のビア導体は、端子電極の側面部及び主面部に接続される限り自在に配置することができるが、例えば、第1のビア導体の中心軸が平面視で端子電極の側面部の直上領域に位置するように配置してもよい。これにより、第1の方向において第1の部品の相対的な位置ずれが生じたとき、ビア導体と端子電極との間の接続面積の減少を比較的小さく抑えることができる。
【0009】
本発明の部品の構造は特に制約されないが、例えば、第1の方向の両側の端部に1対の端子電極を形成した構造を採用することができる。これにより、1対の端子電極に対応して1対の第1のビア導体を容易に設けることができる。このような構造を有する部品としては、例えば、チップコンデンサを用いることができる。
【0010】
本発明の部品の端子電極の主面部は、第1の主面部と、この第1の主面部と積層方向に対向する第2の主面部を含んでいてもよい。この場合、第1及び第2の主面部の両側の絶縁層には、2つの第1のビア導体を積層方向で対称的な配置で形成し、それぞれの第1のビア導体を端子電極の側面部及びそれぞれの主面部に接続することが望ましい。
【0011】
本発明の第1のビア導体の形状と個数は自在に設定できる。例えば、各々の端子電極に対し、第1の方向と異なる第2の方向に並ぶ複数の第1のビア導体を接続することができる。かかる構造の一例として、例えば、第1の方向に直交する方向に並ぶ2個の第1のビア導体を接続することができる。
【0012】
本発明の配線基板の構造は、本発明の特徴を奏する限り特に制約されることはない。例えば、配線基板の絶縁層に、前記部品の前記端子電極と接続されない一又は複数の第2のビア導体を形成し、第1のビア導体のビア径が第2のビア導体のビア径よりも大きくなるように設定してもよい。また例えば、本発明の部品をコア基板に開口された収容穴部に収容する構造を採用することが望ましいが、本発明の部品を樹脂絶縁層に埋め込む構造を採用してもよい。
【0013】
一方、上記課題を解決するために、本発明の部品内蔵配線基板の製造方法は、板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板の製造方法であって、端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成された部品を用意し、基板内に前記部品を配置する部品配置工程と、前記部品の前記主面部の側に絶縁層を形成し、当該絶縁層の所定位置に前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体を、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状の断面形状で形成するビア導体形成工程と、を含み、前記第1のビア導体は、平面視で第1の方向において、前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴としている。
【0014】
本発明の製造方法のうち部品配置工程では、コア基板を用意し、前記コア基板に収容穴部を形成し、前記部品を前記収容穴部に収容するようにしてもよい。これにより、それ以降の工程で、コア基板の両側に絶縁層と導体層とを交互に積層することで、容易にビルドアップ層を形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品内蔵配線基板に内蔵される板状の部品に対し、端子電極に対してビア径の大きい第1のビア導体を形成し、第1のビア導体をテーパ状に形成して端子電極の側面部及び主面部の両方に接続される構造としたので、端子電極の側面部及び主面部を含む広い接続面積を確保することができる。従って、第1のビア導体と端子電極の直流抵抗を低減し、かつ部品の位置ずれに対して大きな許容度を確保し、総合的に接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の配線基板10の概略の断面構造図である。
【図2】図1の配線基板10の構造のうちコンデンサ70と1対のビア導体60の部分を拡大した斜視図の一例を示す図である。
【図3】本実施形態において、コンデンサ70及びビア導体60、61を含む部分の構造を上方から見た平面構造の例を示す図である。
【図4】図3との対比のため、ビア導体60、61をビア径が小さいビア導体40、41で置き換えた場合の平面構造を比較例として示す図である。
【図5】本実施形態において、図2のコンデンサ70と下方のビア導体61を含む部分の断面構造を模式的に示した図である。
【図6】図2のビア導体61に代え、下方のパッド63及び側面の半田64を用いて電気的接続を行う場合の断面構造を比較例として示す図である。
【図7】図3とはビア導体60と形状が異なるビア導体65を用いた第1の変形例を示す図である。
【図8】図3のビア導体60(61)を各端子電極Tに2個ずつ設けた第2の変形例を示す図である。
【図9】本実施形態のコンデンサ70に代わって4端子の部品71を収容穴部11aに収容した第3の変形例を示す図である。
【図10】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第1の断面構造図である。
【図11】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第2の断面構造図である。
【図12】本実施形態の配線基板の製造方法を説明する第3の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明の技術思想を適用した形態の一例であって、本発明が本実施形態の内容により限定されることはない。
【0018】
まず、本発明を具体化した部品内蔵配線基板の構造について説明する。図1は、本実施形態の部品内蔵配線基板10(以下、単に配線基板10と呼ぶ)の概略の断面構造図を示している。図1に示すように、本実施形態の配線基板10は、例えばガラス繊維を含んだエポキシ樹脂からなるコア基板11と、コア基板11の上面側のビルドアップ層12と、コア基板11の下面側のビルドアップ層13とを含む構造を有している。本実施形態の配線基板10は、その内部に板状の部品であるコンデンサ70が内蔵されるとともに、上部に半導体素子である半導体チップ100が載置されている。コンデンサ70は、両端に1対の端子電極Tを備えており、例えば、半導体チップ100に供給される電源電圧のデカップリング用のチップコンデンサである。この場合、電源電圧を一方の端子電極Tを介してコンデンサ70の正極に接続し、グランド電位を他方の端子電極Tを介してコンデンサ70の負極に接続すればよい。なお、コンデンサ70の具体的な構造については後述する。
【0019】
コア基板11には、中央領域を平面視で矩形状に貫通する収容穴部11aが形成され、この収容穴部11aにチップ状のコンデンサ70が埋め込まれた状態で収容されている。コア基板11には、外周領域を積層方向に貫通する複数のスルーホール導体14が形成され、スルーホール導体14の内部が例えばガラスエポキシ等からなる閉塞体15で埋められている。また、収容穴部11aとコンデンサ70との間隙部には樹脂充填材16が充填されている。樹脂充填材16は、例えば熱硬化性樹脂からなり、コア基板11に対するコンデンサ70の変形を吸収するように作用する。
【0020】
一方のビルドアップ層12は、コア基板11の上部の樹脂絶縁層20と、樹脂絶縁層20の上部の樹脂絶縁層22と、樹脂絶縁層22の上部のソルダーレジスト層24とが積層形成されてなる。樹脂絶縁層20の上面には導体層30が形成され、樹脂絶縁層22の上面には複数の端子パッド32が形成されている。樹脂絶縁層20の外周領域には、スルーホール導体14の上端電極と導体層30との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体40が設けられている。また、樹脂絶縁層20のうち収容穴部11aと対向する領域には、コンデンサ70の各端子電極Tと導体層30との間を積層方向に接続導通し、ビア導体40よりもビア径が大きい1対のビア導体60(本発明の第1のビア導体)が設けられている。なお、ビア導体60の役割及び構造については後述する。さらに、樹脂絶縁層22の所定箇所には、導体層30と複数の端子パッド32との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体42が設けられている。ソルダーレジスト層24は、複数箇所が開口されて複数の端子パッド32が露出し、そこに複数の半田バンプ50が形成されている。各々の半田バンプ50は、配線基板10に載置される半導体チップ100の各パッド101に接続される。
【0021】
また、他方のビルドアップ層13は、コア基板11の下部の樹脂絶縁層21と、樹脂絶縁層21の下部の樹脂絶縁層23と、樹脂絶縁層23の下部のソルダーレジスト層25とが積層形成されてなる。樹脂絶縁層21の下面には導体層31が形成され、樹脂絶縁層23の下面には複数のBGA用パッド33が形成されている。樹脂絶縁層21の外周領域には、スルーホール導体14の下端電極と導体層31との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体41が設けられている。また、樹脂絶縁層21のうち収容穴部11aと対向する領域には、コンデンサ70の各端子電極Tと導体層31との間を積層方向に接続導通し、ビア導体41よりもビア径が大きい1対のビア導体61(本発明の第1のビア導体)が設けられている。これらのビア導体41、61は、上述のビルドアップ層12のビア導体40、60にそれぞれ対応する位置に形成されている。さらに、樹脂絶縁層23の所定箇所には、導体層31と複数のBGA用パッド33との間を積層方向に接続導通する複数のビア導体43が設けられている。ソルダーレジスト層25は、複数箇所が開口されて複数のBGA用パッド33が露出し、そこに複数の半田ボール51が形成されている。これらの半田ボール51は、外部基材(不図示)と電気的に接続可能な構造を有する。
【0022】
ここで、図2には、図1の配線基板10の構造のうち、コンデンサ70と1対のビア導体60の部分を拡大した斜視図の一例を示している。図2では、理解の容易のため、コンデンサ70の上方の1対のビア導体60を示すものとし、コンデンサ70の下方の1対のビア導体61については図示を省略している。図2に示すように、コンデンサ70は平面視で長方形の長手方向の両端に1対の端子電極Tが設けられ、各々の端子電極Tは、表面部Tt(本発明の第1の主面部)と側面部Tsと裏面部Tb(本発明の第2の主面部)とを含んでいる。
【0023】
各々のビア導体60はテーパ状に形成され、上端側の導体層30の位置の上端面60aで最大のビア径を有し、下方に行くほどビア径が小さくなる。そして、ビア導体60は、端子電極Tの表面部Ttに加えて、側面部Tsと電気的に接続されている。図2の例では、ビア導体60の中心軸が端子電極Tの側面部Tsの中央部と重なるように配置されている。この場合、ビア導体60と端子電極Tとの接続部分は、表面部Ttの半円状の領域と側面部Tsの三角形の領域とを含み、トータルの接続面積を十分に広く確保できる。なお、1対の端子電極T及び1対のビア導体60は、コンデンサ70の長手方向に対して互いに対称的な構造となっている。
【0024】
また、図示されない下方の1対のビア導体61は、上方の1対のビア導体60と積層方向に対して対称的な構造となっている。つまり、ビア導体61は、端子電極Tの裏面部Tb及び側面部Tsと電気的に接続されている。ただし、本発明は、上下のビア導体60、61の両方を設ける場合に加えて、上下のビア導体60、61の一方を設ける場合であっても適用することができる。例えば、上方に1対のビア導体60を設けるとともに、下方には1対の端子電極Tの直下に1対のパッドを設け、半田により各端子電極Tを各パッドに接合してもよい。
【0025】
以下、図2のビア導体60、61の寸法条件と本実施形態の構造に基づく効果について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、コンデンサ70及びビア導体60、61を含む部分の構造を上方から見た平面構造の例を示している。また、図4は、図3との対比のため、ビア導体60、61をビア径が小さいビア導体40、41で置き換えた場合の平面構造を比較例として示している。図3及び図4には、便宜上、互いに直交するX方向及びY方向の座標軸を示している。X方向(本発明の第1の方向)は図1の紙面横方向に対応し、Y方向は図1の紙面奥行き方向に対応する。
【0026】
まず、本実施形態においては、図3に示すように、平面視で板状のコンデンサ70が長手方向であるX方向の長さL、かつY方向の幅Wに形成される。コンデンサ70は、例えば、L=1.0mm、W=0.5mmのサイズを有する。また、コンデンサ70のX方向の両端の各端子電極Tは、X方向の長さLt、Y方向の幅Wに形成される。なお、図3では、端子電極Tのうちの表面部Ttが示されている。また、既に述べたようにビア導体60は積層方向にテーパ状に形成され、下方に行くほど円形断面の直径が小さくなる円錐形状を有する。よって、ビア導体60は、上端面60aが最大のビア径R0(直径)を有し、端子電極Tの表面部Ttと同じ高さの部分の断面60bがビア径R0よりも小さいビア径R1(直径)を有する。すなわち、R0>R1の関係を満たす。ここで、図3の例では、図2と同様、端子電極Tに接続されるビア導体60の中心軸C0の位置は、端子電極Tの端部(側面部Tsの位置)に重なり、かつ幅Wの中心に合致している。
【0027】
図3の構造において、ビア導体60の断面60bにおけるビア径R1は、端子電極Tの表面部Ttの長さLtよりも若干大きく設定されている。本実施形態では、ビア導体60と端子電極Tとの間の十分な接続面積を確保すべく、R1>Ltの関係を満たすような寸法条件を特徴としている。このような寸法条件を満たすようにビア導体60のサイズを拡大することにより、ビア導体60と端子電極Tとの間で、端子電極Tの表面部Tt及び側面部Tsの両方に対して十分な接続面積を確保することができる。なお、下方のビア導体61については、端子電極Tの表面部Ttを裏面部Tbに置き代えて同様の寸法条件を設定すればよい。なお、R1>Ltの関係を満たしたとしても、ビア径R1が極端に大きくなり過ぎると、1対のビア導体60が電気的にショートする可能性や、あるいは収容部11aのサイズが大きくなる不利益を招くので、ビア径R1の上限を適切に設定する必要がある。
【0028】
これに対し、図4においては、ビア導体40が積層方向にテーパ状に形成される点は図3と同様であるが、図3のビア導体60に比べて半分程度のサイズを有している。また、ビア導体40の中心軸C1の位置は、端子電極Tの中央部(長さLt及び幅Wのそれぞれの中心)にある。そして、ビア導体40の上端面40aが最大のビア径R2(直径)を有し、端子電極Tの表面部Ttと同じ高さの部分の断面40bはビア径R2よりも小さいビア径R3(直径)を有する(R2>R3)。この場合、図4においては、図3とは異なり、ビア径R3が端子電極Tの表面部Ttの長さLtより小さいため、ビア導体40と表面部Ttとの接続面積が小さい。さらには、ビア導体40が端子電極Tの側面部Tsとは全く接続されない構造であるため、トータルの接続面積はさらに小さくなることがわかる。
【0029】
また、図3及び図4において、コンデンサ70の搭載時にビア導体60、40に対してX方向に相対的な位置ずれが生じた状況を考える。このようなX方向の位置ずれに対し、図4の構造では、ビア導体40と端子電極Tの接続面積は急激に減少するのに対し、図3の構造では、ビア導体60と端子電極Tの接続面積は比較的緩やかな減少にとどまる。これは、上述したようにビア導体60のビア径が大きいことと、ビア導体60が表面部Ttと側面部Tsの両方に接続されることの効果である。以上のように、図3の構造を採用することにより、ビア導体60と端子電極Tの接続面積を増加させて直流抵抗を減少させる効果と、コンデンサ70の位置ずれに対する許容度を高める効果を得ることができる。
【0030】
一方、本実施形態の構造に基づく他の効果について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、図2のコンデンサ70と下方のビア導体61を含む部分の断面構造を模式的に示した図であり、図6との対比のため、上方のビア導体60は図示を省略している。図6は、図5のビア導体61に代え、下方のパッド63及び側面の半田64を用いて電気的接続を行う場合の断面構造を比較例として示した図である。図5及び図6には、便宜上、互いに直交するX方向(図3及び図4と同様)及びZ方向(積層方向)の座標軸を示している。
【0031】
まず、本実施形態においては、既に述べたように、コンデンサ70の端子電極Tに対し、下方に行くほどビア径が大きくなるビア導体61が接続されている。よって、端子電極の側面部Tsを覆うビア導体61は、断面が平坦な側面部61sを有する。これに対し、図6の比較例においては、端子電極Tの直下にパッド63が配置され、パッド63の外縁部と端子電極Tの側面部Tsが半田64により接合される。よって、半田64はフィレット形状であり、断面が内側に凹状の側面部64sを有する。すなわち、図5において、平坦な側面部61sを有するビア導体61に比べ、図6の半田64の側面部64sは上方に行くほど厚みが小さくなる点では同様であるが相対的に薄くなる。その結果、配線基板10の収容穴部11aの付近に加わる曲げ応力に対し、図6に比べて本実施形態の図5の構造の方が有利になり、接続信頼性のさらなる向上が可能となる。
【0032】
以上のように、本発明の特徴的な構造を示したが、上述の構造はいずれも一例であって、次に挙げる変形例に対して本発明を適用することができる。図7は、ビア導体60(61)と端子電極Tの接続面積を増加させる観点から、図3のビア導体60とは形状が異なるビア導体65を用いた第1の変形例を示している。第1の変形例においては、ビア導体65(及び下方のビア導体66)の断面形状が図3のような円形ではなく、端子電極Tの長さLtの方向に対しては図3と同様のサイズであるが、端子電極Tの幅Wの方向に対して拡張された形状を有している。すなわち、図7のビア導体65は、図3のような円形断面ではなく、平面視で円弧と直線を組み合わせた形状の断面を有する(上端面65a、表面部Ttと同じ高さの断面65b)。なお、図7のビア導体65は楕円の断面で形成してもよい。このように、第1の変形例は、図3と比べると、ビア導体65と端子電極Tとの接続面積を一層拡大することができる。
【0033】
また、図8は、ビア導体60(61)と端子電極Tの接続面積を増加させる観点から、図3のビア導体60(61)を各端子電極Tに2個ずつ設けた第2の変形例を示している。第2の変形例においては、各々の端子電極Tに対し、幅W(図3)の方向の一端に1個のビア導体60(及び1個のビア導体61)が配置され、幅Wの方向の他端に1個のビア導体60(及び1個のビア導体61)が配置されている。これら2個のビア導体60の断面形状とサイズは図3と同様であり、その中心軸C0(図3)が、図3と同様、側面部Tsの位置に重なる。このように、第2の変形例では、1個の端子電極Tの上下方向を考慮すると、全部で4個のビア導体60、61を接続することができるので、図3と比べると、接続面積を2倍に拡大することができる。
【0034】
さらに、図9は、本実施形態のコンデンサ70に代わって4端子の部品71を収容穴部11aに収容した第3の変形例を示している。図9の部品71は、平面視で正方形であり、その四辺に4個の端子電極Tが設けられている。図9では、各々の端子電極Tは、半円状の表面部Ttのみが示されているが、下方には図示されない矩形状の側面部Ts及び半円状の裏面部Tbを含んでいる。ビア導体60(61)の断面形状とサイズは図3と同様であり、その中心軸C0(図3)が、図3と同様、各辺の中心における側面部Tsの位置に重なる。なお、第3の変形例において、4端子の部品71は、コンデンサであってもよいが、例えば、フェライトビーズ等の他の部品であってもよい。このように、本発明の配線基板10においては、ビア導体60(61)の構造的な特徴を有する限り、収容穴部11aに内蔵される部品の種類及び端子数は限定されない。
【0035】
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法の概略を説明する。まず、図10に示すように、コア基材11を準備し、その中央領域にルータを用いた穴あけ加工を施すことにより、収容穴部11aとなる貫通孔を予め形成しておく。そして、収容穴部11aの内部にコンデンサ70を収容して周知の手法で仮固定した後、収容穴部11aとコンデンサ70との間隙部に、熱硬化性樹脂からなる樹脂充填材16を充填する。そして、樹脂充填材16を加熱硬化させることで、収容穴部11aの内部でコンデンサ70が固定される。一方、ドリル機を用いた穴あけ加工により、コア基板11の所定位置に貫通孔を形成し、この貫通孔に対して銅めっき施すことによりスルーホール導体14を形成した後、ペーストを印刷充填して硬化することにより閉塞体15を形成する。
【0036】
続いて、図11に示すように、コア基板11上下の各面に、それぞれエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料を積層する。そして、真空下にて加圧加熱することにより絶縁樹脂材料を硬化させ、上面側の樹脂絶縁層20と下面側の樹脂絶縁層21とを形成する。そして、樹脂絶縁層20、21の各表面のうちスルーホール導体14に対向する箇所にレーザ加工を施し、複数のビアホールV1を形成する。一方、コンデンサ70の両端の各端子電極Tに対向する箇所にレーザ加工を施し、2個のビアホールV2を形成する。このとき、レーザの強度分布に従い、各ビアホールV1、V2はテーパ状になる。また、上述したように、ビアホールV2はビアホールV1より大きい径(例えば、2倍)を有するともに、ビアホールV2は端子電極Tの近傍の樹脂充填材16を貫いて形成される。この場合、一般にビアホールの径はレーザ照射時のショット数に依存して定まるので、ビアホールV2のレーザ加工時には、ビアホールV1のレーザ加工時に比べ、2倍程度のショット数に調整する必要がある。
【0037】
続いて、図12に示すように、ビアホールV1、V2の中のスミアを除去するデスミア処理を施した後、ビアホールV1内に銅めっきを施してビア導体40、41を形成するとともに、ビアホールV2内に銅めっきを施してビア導体60、61を形成する。その後、樹脂絶縁層20、21の表面にパターニングを施し、銅で構成される導体層30、31をそれぞれ形成する。次いで、樹脂絶縁層20の上面と樹脂絶縁層21の下面に、それぞれ上述のフィルム状絶縁樹脂材料を積層し、真空下にて加圧加熱することにより絶縁樹脂材料を硬化させ、樹脂絶縁層22、23を形成する。
【0038】
続いて、図1に戻って、樹脂絶縁層22、23に、上述のビア導体40、41と同様の手法で、ビア導体42、43を形成する。その後、樹脂絶縁層22の上部に複数の端子パッド32を形成し、樹脂絶縁層23の下部に複数のBGA用パッド33を形成する。次いで、樹脂絶縁層22の上面と樹脂絶縁層23の下面に、それぞれ感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト層24、25を形成する。その後、ソルダーレジスト層24に開口部をパターニングし、複数の端子パッド32に接続される複数の半田バンプ50を形成する。また、ソルダーレジスト層25に開口部をパターニングし、複数のBGA用パッド33に接続される複数の半田ボール51を形成する。以上の手順により本実施形態の配線基板10が完成する。
【0039】
本実施形態で開示した配線基板10においては、ビア導体40〜43、60、61の内部が導体で埋められたフィルドビアを用いることを前提として説明したが、ビア導体40〜43、60、61の内壁にめっきを施したコンフォーマルビアを用いる場合であっても本発明を適用することができる。
【0040】
また、本実施形態で開示した配線基板10においては、ビア径が小さいビア導体40〜43と、ビア径が大きいビア導体60、61の両方を用いる場合を説明したが、ビア導体40〜43を接続する箇所におけるパターン配置の密度の要求を満たす限り、全てのビア導体40〜43、60、61について、ビア径を大きくしてもよい。さらに、実施形態で開示した配線基板10においては、コア基板11に形成した収容穴部11aに部品を収容する形態を説明したが、例えば、樹脂絶縁層の空きスペースに収容した部品に対して本発明の構造を適用してもよい。
【0041】
以上、本実施形態に基づき本発明の内容を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で多様な変更を施すことができる。例えば、本実施形態では、半導体チップ100を載置した配線基板10に対して本発明を適用する場合を説明したが、本発明の構造上の特徴を有する限り、半導体チップ100以外の部品を載置した配線基板10に対して本発明を適用することができる。その他の点についても上記実施形態により本発明の内容が限定されるものではなく、本発明の作用効果を得られる限り、上記実施形態に開示した内容には限定されることなく適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…部品内蔵配線基板
11…コア基板
11a…収容穴部
12、13…ビルドアップ層
14…スルーホール導体
15…閉塞体
16…樹脂充填材
20、21、22、23…樹脂絶縁層
24、25…ソルダーレジスト層
30、31…導体層
32…端子パッド
33…BGA用パッド
40、41、42、43、60、61、65、66…ビア導体
50…半田バンプ
51…半田ボール
64…半田
70…コンデンサ
71…部品
100…半導体チップ
T…端子電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板において、
前記部品には、平面視で側面部及び少なくとも一方の主面部を有する端子電極が第1の方向の端部に形成され、
前記部品の前記主面部の側には絶縁層と導体層とが交互に積層され、
前記部品の前記主面部の側の前記絶縁層には、前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体が形成され、
前記第1のビア導体は、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成されるとともに、前記第1の方向において前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴とする部品内蔵配線基板。
【請求項2】
前記第1のビア導体の中心軸は、平面視で前記端子電極の前記側面部の直上領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項3】
前記部品には、前記第1の方向の両側の端部に1対の前記端子電極が形成され、
前記絶縁層には、前記1対の前記端子電極のそれぞれの前記側面部及び前記主面部と接続される1対の前記第1のビア導体が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項4】
前記部品は、コンデンサであることを特徴とする請求項3に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項5】
前記端子電極の前記主面部は、第1の主面部と、前記第1の主面部と積層方向に対向する第2の主面部とを含み、
前記部品の前記第1の主面部の側及び前記第2の主面部の側に、前記絶縁層と前記導体層とが交互に積層され、
前記部品の前記第1の主面部の側の前記絶縁層に形成された一方の前記第1のビア導体と、前記部品の前記第2の主面部の側の前記絶縁層に形成された他方の前記第1のビア導体とが、互いに積層方向で対称的な配置で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項6】
前記端子電極に対し、前記第1の方向と異なる第2の方向に並ぶ複数の前記第1のビア導体が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項7】
前記絶縁層には、前記部品の前記端子電極と接続されない一又は複数の第2のビア導体が形成され、前記第1のビア導体の前記ビア径は前記第2のビア導体のビア径よりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項8】
前記部品は、コア基板に開口された収容穴部に収容されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項9】
板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板の製造方法であって、
端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成された部品を用意し、基板内に前記部品を配置する部品配置工程と、
前記部品の前記主面部の側に絶縁層を形成し、当該絶縁層の所定位置に前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体を、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状の断面形状で形成するビア導体形成工程と、
を含み、前記第1のビア導体は、平面視で第1の方向において、前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記部品配置工程では、コア基板を用意し、前記コア基板に収容穴部を形成し、前記部品を前記収容穴部に収容することを特徴とする請求項9に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項1】
板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板において、
前記部品には、平面視で側面部及び少なくとも一方の主面部を有する端子電極が第1の方向の端部に形成され、
前記部品の前記主面部の側には絶縁層と導体層とが交互に積層され、
前記部品の前記主面部の側の前記絶縁層には、前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体が形成され、
前記第1のビア導体は、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状に形成されるとともに、前記第1の方向において前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴とする部品内蔵配線基板。
【請求項2】
前記第1のビア導体の中心軸は、平面視で前記端子電極の前記側面部の直上領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項3】
前記部品には、前記第1の方向の両側の端部に1対の前記端子電極が形成され、
前記絶縁層には、前記1対の前記端子電極のそれぞれの前記側面部及び前記主面部と接続される1対の前記第1のビア導体が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項4】
前記部品は、コンデンサであることを特徴とする請求項3に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項5】
前記端子電極の前記主面部は、第1の主面部と、前記第1の主面部と積層方向に対向する第2の主面部とを含み、
前記部品の前記第1の主面部の側及び前記第2の主面部の側に、前記絶縁層と前記導体層とが交互に積層され、
前記部品の前記第1の主面部の側の前記絶縁層に形成された一方の前記第1のビア導体と、前記部品の前記第2の主面部の側の前記絶縁層に形成された他方の前記第1のビア導体とが、互いに積層方向で対称的な配置で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項6】
前記端子電極に対し、前記第1の方向と異なる第2の方向に並ぶ複数の前記第1のビア導体が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項7】
前記絶縁層には、前記部品の前記端子電極と接続されない一又は複数の第2のビア導体が形成され、前記第1のビア導体の前記ビア径は前記第2のビア導体のビア径よりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項8】
前記部品は、コア基板に開口された収容穴部に収容されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板。
【請求項9】
板状の部品が内蔵されてなる部品内蔵配線基板の製造方法であって、
端部に側面部及び主面部を有する端子電極が形成された部品を用意し、基板内に前記部品を配置する部品配置工程と、
前記部品の前記主面部の側に絶縁層を形成し、当該絶縁層の所定位置に前記端子電極の前記側面部及び前記主面部と接続される第1のビア導体を、積層方向において前記端子電極に近接するほどビア径が小さくなるテーパ状の断面形状で形成するビア導体形成工程と、
を含み、前記第1のビア導体は、平面視で第1の方向において、前記主面部との接続箇所における前記ビア径が前記主面部の長さよりも大きいことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記部品配置工程では、コア基板を用意し、前記コア基板に収容穴部を形成し、前記部品を前記収容穴部に収容することを特徴とする請求項9に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−51336(P2013−51336A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189169(P2011−189169)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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