説明

配線基板、半導体パッケージおよび配線基板の製造方法

【課題】
樹脂基板上に導電性ペーストを用いた配線が形成される配線基板においては、導電性ペーストを焼結させる時の熱が樹脂基板に伝熱されてしまい、樹脂基板に耐熱温度の低い材料を使用できない。さらに、焼結時の長時間の加熱により、樹脂基板の反りや機械的特性の劣化などの不具合がある。
また、樹脂基板の反りや機械的特性の劣化を防ぐために、低温で焼結を行うと、導電性ペーストの焼結が不完全で、焼結後の配線において導通の抵抗が高くなる不具合もある。
【解決手段】
配線と樹脂基板の間に、酸化物セラミックスからなる層を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関し、特に導電粒子を含む導電性ペーストを用いて配線が形成される配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型・軽量・薄型化に伴い、配線基板の薄型化や配線の微細化の要求が高まっている。
【0003】
特許文献1に記載されている多層配線板では、金属微粒子を含む導電性ペーストを用いて回路パターンを形成している。すなわち、平均粒子径7nmの銀ナノ粒子が凝集しないように調整された導電性ペーストで、ビアホールを設けたコア基板の表面上に回路パターンを描画すると共に、銀ナノ粒子をビアホールに充填した後、180℃、30分の加熱処理を行うことにより、銀の焼結体よりなる回路パターンを形成する。さらに、回路パターン表面をフォトレジストで覆い、そのフォトレジストの一部にビアホールを形成する。その後、導電性ペーストで回路パターンを描画すると共に、銀ナノ粒子をビアホールに充填した後、180℃、30分の加熱処理という工程を繰り返して、多層配線板を得ることができる。
【0004】
特許文献2に記載されている配線は、ポリイミドなどの高い耐熱性を有するポリマー材料で構成された転写シート表面に、ペースト状銀ナノ粒子分散液で配線の描画を行い、250℃40分の加熱処理を行うことで、銀ナノ粒子の焼結体層からなる配線が形成されている。そして、形成された配線を、有機層を有するセラミック基板上に重ね合わせ、加熱加圧して押しつけることにより、セラミック基板上に転写し、セラミック基板上に配線を有するプリント基板を得ている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−299833号
【特許文献2】特開2004−247572号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている多層配線板は、コア基板上に直接回路パターンを形成し、回路パターンを構成する銀ナノペーストを焼結させる時に加熱処理によって焼結体を形成しているため、焼結時の熱がコア基板に伝熱されてしまい、コア基板に耐熱温度の低い材料を使用できない。また、コア基板として、エポキシ、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂を使用しているが、焼結時の長時間の加熱により、基板の反りや機械的特性の劣化などの不具合がある。さらに、特許文献1に記載されている多層配線基板では、焼結としては低温である180℃で加熱処理を行っている。そのため、隣接する金属微粒子の焼結が不完全で、導通の際の抵抗が高くなるという不具合もある。
【0007】
また、特許文献2によれば、高い耐熱性を有するポリマー材料上構成された転写シート上で、配線を形成させるための焼結を行うため、転写シートは機械的特性が劣化しない。
【0008】
しかしながら、転写シートに用いられている高い耐熱性を有する樹脂を基板の絶縁材料として使用すると、その樹脂自体の調達コストが高くなる。さらに、高い耐熱性を有する樹脂を使用した基板では、その製造時に、高温にて樹脂を硬化させる必要があるので、製造コストも高くなり、歩留まりも悪くなる。よって、基板の絶縁材料として、高い耐熱性を有する樹脂を使用することは、量産に向かないという課題があった。
【0009】
また、絶縁層として高い耐熱性を有しない樹脂を用いた基板の上に特許文献2の転写シートに使用されている高い耐熱性を有する樹脂を設ける事も考えられるが転写シートに使用されている樹脂では断熱性を有しないため、焼結時の熱が転写シートを介して樹脂材料に伝熱され、樹脂材料の機械的特性が劣化し、反りなどの不具合が生じるという課題は依然解決できない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の配線基板は樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の表面に設けられている電極と、からなる樹脂基板と、前記樹脂基板上に設けられた第1の絶縁層と、前記電極上の前記第1の絶縁層に設けられた第1の貫通孔と、前記第1の絶縁層上および前記第1の貫通孔内に設けられた配線と、を有し、前記配線は前記電極と接し、前記配線は隣接した導電粒子が互いに接合した導電体からなり、前記第1の絶縁層は酸化物セラミックスからなること特徴とする。
【0011】
また、前記配線は導電粒子と有機化合物を含有した導電性ペーストを焼結させた焼結体であってもよい。
【0012】
さらに、前記第1の絶縁層はアルミナ、シリカ、スピネル、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、ジルコンからなる群から選択された少なくとも1種の酸化物セラミックスからなっていてもよい。
【0013】
さらに、前記樹脂絶縁層には、前記樹脂基板表面に設けられソルダーレジストとしての機能を有するソルダーレジスト層を含んでいてもよい。
【0014】
さらに、前記第1の絶縁層と前記樹脂基板の間に設けられた第2の絶縁層と、前記電極上の前記第2の絶縁層に設けられた第2の貫通孔と、を有していてもよい。
【0015】
さらに、前記第1の絶縁層は透光性を有する酸化物セラミックスからなり、前記樹脂基板と前記配線の間に金属膜を有し、前記金属膜は前記第1の絶縁層または前記樹脂絶縁層に被覆されていてもよい。
【0016】
さらに、前記配線及び前記第1の絶縁層を被覆する第3の絶縁層を有していてもよい。
【0017】
さらに、前記第3の絶縁層が酸化物セラミックスからなり、前記第3の絶縁層に第3の貫通孔が設けられ、前記第3の絶縁層上および前記第3の貫通孔内に配線が設けられ、前記配線と酸化物セラミックスからなる層が複数積層されていてもよい。
【0018】
さらに、前記第3の絶縁層に第3の貫通孔が設けられ、前記前記第3の貫通孔の内部に外部接続電極が設けられ、前記外部接続電極と前記配線が接していてもよい。
【0019】
さらに、前記外部接続電極上に導体が設けられていてもよい。
【0020】
さらに、前記第1の絶縁層は粒子状の多結晶構造を有する酸化物セラミックスからなり、前記多結晶構造を構成する結晶の粒径は前記第1の絶縁層の厚さ方向に変化し、前記第1の絶縁層上に設けられた前記配線に接する結晶の粒径は、前記樹脂基板に接する結晶の粒径よりも大きくてもよい。
【0021】
本発明の半導体パッケージは、本発明の配線基板に少なくとも1つ以上の半導体装置が搭載されていることを特徴とする。
【0022】
また、前記配線が導体を介して前記半導体装置と導通していてもよい。
【0023】
本発明の配線基板の製造方法は、樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する工程と、前記第1の絶縁層上と前記第1の貫通孔内に、導電性ペーストを配置する工程と、前記導電性ペーストを加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
さらに、樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程と、前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する前記工程とは、前記第1の貫通孔が設けられているセラミックシートを前記樹脂基板に接着する工程であってもよい。
【0025】
さらに、樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程と、前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する前記工程とは、樹脂基板上に酸化物セラミックスからなるペーストの一部を転写する工程であってもよい。
【0026】
さらに、酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程の前に、前記樹脂基板上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜の一部を除去する工程と、を含んでいてもよい。
【0027】
さらに、前記第1の絶縁層を形成する前記工程はエアロゾルデポジション法であってもよい。
【0028】
さらに、前記配線基板に噴射する前記第1の絶縁層の原料微粒子の噴射速度を、段階的に遅くしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、導電性ペーストを加熱し配線を形成させる時に、十分な加熱が可能となるため、電気的な導通が十分に確保できる配線を有する配線基板を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
【0032】
本発明の第1の実施の形態である配線基板について説明する。
【0033】
図1(b)は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図であり、図1(a)は配線基板60を配線50が設けられている面から見た平面図であり、図1(b)は垂直方向の断面図であり、図1(c)は平面方向の断面図である。図2は、配線基板60の電極20近傍の拡大断面図である。
【0034】
図1に示す配線基板60は、樹脂基板30と第1の絶縁層40と配線50とで構成されている。
【0035】
樹脂基板30は、樹脂絶縁層10と樹脂絶縁層10の表面に設けられている電極20とで構成されている。
【0036】
樹脂絶縁層10は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)からなる群から選択された1種又は2種以上の絶縁樹脂により形成されている。
【0037】
また、絶縁樹脂層10の内部には内層配線21が設けられていても良く、それぞれの内層配線21や電極20はビア(図示せず)によって、接続されていてもよい。
【0038】
図2に示されている電極20は、その側面が樹脂絶縁層10に完全に埋め込まれており、電極20の配線50と接する面が、樹脂絶縁層10と第1の絶縁層40が接する面と同一な面となっている。しかしながら、本実施の形態の配線基板60においては、電極20の配線50が接する面が、樹脂絶縁層10と第1の絶縁層40が接する面に同一ではなく、凹んだ面になっていても、凸面になっていても良い。
【0039】
第1の絶縁層40は、酸化物セラミックスからなり、樹脂基板30上に設けられ、電極20上に、第1の貫通孔41を有する。
【0040】
第1の絶縁層40は、熱伝導率の低く、絶縁樹脂よりも耐熱温度が高い、酸化物セラミックスで形成されている。本発明の酸化物セラミックスとは、アルミナ(Al)、シリカ(SiO2)、スピネル(MgAl)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ジルコニア(ZrO)、ジルコン(ZrSiO)、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O)、イットリア−トリア(Y−ThO)、スピネル(MgAl)等のことであり、アルミニウム、珪素、マグネシウム、ジルコニウム、鉛、ランタン、チタン、イットリウム、トリウム、ホウ素、カルシウム、セリウムから選択された1種または2種以上の元素の金属酸化物のことである。また、第1の絶縁層40は1種類の酸化物セラミックスからなっていても良く、2種類以上の酸化物セラミックスが混合されているものであっても良い。
【0041】
配線50は、第1の絶縁層40上および第1の貫通孔41内に設けられており、電極20と接している。
【0042】
図2に示すように、配線50は隣接した導電粒子が互いに接合した導電体であり、有機溶媒と導電粒子を含む導電性ペーストを加熱して焼結させた焼結体である。この配線50は、焼結時の熱により導電粒子の表面が溶融し、隣接する導電粒子の溶融部分が接合した状態で冷却され、溶融部分が固まることにより形成される。また、有機溶媒は焼結時の熱により蒸発する。
【0043】
なお、本願図面に記載されている配線50を形成する導電粒子は、いずれも整列された状態のものが図示されているが、これらは導電粒子を模式的に表したものである。本願発明の配線50を形成する導電粒子は整列されたものに限るものではなく、その配置に規則性が無いものであっても良い。
【0044】
この導電粒子には、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウム、ケイ素の中の少なくとも1種類の金属、または2種類以上の金属からなる合金が用いられる。また、この導電粒子の粒径は1ナノメートルから100ナノメートルである。
【0045】
本実施の形態である配線基板によれば、熱伝導率の低い酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40を樹脂基板30の上に設けているため、導電粒子の焼結体である配線を得るための焼結時の熱が、耐熱温度の低い樹脂基板30に伝わりにくい。よって、配線焼結時の樹脂基板30の温度上昇を抑制することが可能となり、樹脂基板30の温度上昇による劣化が小さい配線基板を得ることが可能となる。
【0046】
次に、本発明の第1の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0047】
図3(a)および図3(b)は、本実施の形態の半導体パッケージ90の構成を示す図であり、本実施の形態の配線基板60上に半導体装置91を搭載させたものである。図3(a)は、樹脂基板30の第1の絶縁層40に接しない面に設けられた電極20に半導体装置91を搭載したものである。電極20上にハンダなどの導体93を設け、半導体装置91と配線基板60が電気的に導通している。
【0048】
また、図3(b)は配線基板60の第1の絶縁層40上に半導体装置91を搭載したものである。配線50上にハンダなどの導体93を設け、半導体装置91と配線基板60が電気的に導通している。
【0049】
半導体装置91と配線基板60は、種々の方式で電気的に導通させることが可能であり、たとえば、フリップチップ、ワイヤーボンディング、テープボンディングなどがあげられる。
【0050】
半導体装置91は1つであっても複数有っても良く、図3(a)と図3(b)を組み合わせ配線基板60の両面に半導体装置91を搭載したものであっても良い。
【0051】
本実施の形態である半導体パッケージ90によれば、酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40と半導体装置91の熱膨張率が近い値を有することとなる。そのため、周囲の温度変化や半導体装置の動作などによって発生した熱によって、第1の絶縁層40と半導体装置91が熱膨張したとしても、その熱膨張量は近い値となる。よって、この半導体パッケージ90は、高い信頼性を有することが出来る。
【0052】
次に、本発明の第1の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
図4(a)から(f)は、本実施の形態の配線基板60の製造方法を工程順に示す部分断面図である。この断面図は、配線50が接続される電極20付近を拡大した図である。なお、各工程間において、適宜洗浄および熱処理を行う。
【0053】
まず、図4(a)に示すように、表面に電極20を有する樹脂基板30を用意する。
【0054】
次に、図4(b)に示すように、電極20上に第1の貫通孔41を有する第1の絶縁層40を形成させる。たとえば、エアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40を形成する。このとき、電極20上に予めマスク(図示せず)を設けておき、AD法による第1の絶縁層40の形成が完了した後に、マスクを除去することにより、電極20上に第1の貫通孔41が形成されても良い。また、AD法により、樹脂基板30上の全面に第1の絶縁層40を形成した後に、超音波精密加工などの機械加工により電極上に第1の貫通孔41を形成しても良い。
【0055】
次に、図4(c)に示すように、酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40上と、第1の絶縁層40に設けられた第1の貫通孔41内に、導電性ペースト52を塗布する。導電性ペースト52を塗布する方法としては、インクジェット法、ディスペンス法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、インプリント法等を用いる。例えば、インクジェット法によれば、導電性ペーストを塗布可能なヘッドを有する装置を用いて、第1の絶縁層40上、および、第1の絶縁層40に設けられた第1の貫通孔41内に導電性ペースト52を塗布する。塗布された導電性ペースト52は点で描画され、その点を連続して塗布することにより、点を連結させて配線を形成してもよい。
【0056】
次に、図4(d)に示すように、第1の絶縁層40上の導電性ペースト52を加熱して導電粒子を焼結する。導電性ペースト52を塗布した面に対して、電磁波を照射し、その吸収特性を利用し加熱を行う。電磁波の波長を導電性ペースト52の吸収波長に調整して照射すると、導電性ペースト52は温度上昇する。焼結条件としては、温度が200℃から300℃であって、時間は2時間行う。なお、これらの焼結条件は、これに限られるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0057】
図4(e)に示すように、加熱が完了すると、隣接した導電粒子が互いに接合した導電体からなる配線50を有する配線基板60を得ることができる。
【0058】
本実施の形態である配線基板の製造方法によれば、耐熱温度の低い絶縁樹脂を有する樹脂基板上に、熱伝導率の低い酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40を設け、その第1の絶縁層上に導電性ペーストを塗布する。
【0059】
その後、導電性ペーストに加えられる熱は、第1の絶縁層40によって樹脂基板30に伝熱されることが抑制される。よって、樹脂基板30の温度上昇を抑えつつ、導電性ペーストを十分加熱させることが可能となるため、十分な導通が確保された配線を有する配線基板を製造することが可能となる。
【0060】
第1の絶縁層が設けられていない場合、導電性ペーストに加えたれた熱は、樹脂基板に直に伝熱されるため、樹脂基板の温度上昇が顕著となり、樹脂絶縁層の反りや物性劣化を生じさせてしまう。もしくは、樹脂基板の物性劣化を防止するために導電性ペーストの加熱を抑制すると、焼結が不十分となり、配線の導通に不具合が生じる恐れがある。
【0061】
特許文献2に記載されている配線の形成方法によれば、配線は転写シート上に別工程にて作成されている。転写シート上にて焼結された後、配線はセラミック基板上に転写される。しかしながら、配線幅が最大でも数十ミクロンメートルと大変細い配線は、機械的強度が低く、脆いために、転写する際の応力により、断線する可能性が高いという課題があった。
【0062】
本実施の形態である配線基板の製造方法によれば、耐熱温度の低い絶縁樹脂を有する基板上に直接、導電粒子を含む導電性ペーストを塗布して形成した配線を有する配線基板を製造することが可能となるので、転写による断線が生じることはないという効果がある。
【0063】
(第2の実施の形態)
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態である配線基板について説明する。
【0065】
図5は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図であり、図5(a)は概略断面図であり、図5(b)は、配線基板60の電極20近傍の拡大断面図である。
【0066】
第1の実施の形態との違いは、樹脂基板30の表面に、ソルダーレジストとしての機能を有するソルダーレジスト層11が設けられている点である。
【0067】
ソルダーレジスト層11は、電極20が露出するように設けられており、電極20の周囲はソルダーレジスト層11によって被覆されている。また、電極20の露出面とソルダーレジスト層11の露出面との境界には段差が設けられており、電極20の露出面はソルダーレジスト層11の露出面よりも低い位置に設けられている。
【0068】
なお、電極20は、その一部が樹脂絶縁層10に埋まっていても良く、第1の実施の形態のように電極20の全体が樹脂絶縁層10に埋まっていても良い。
【0069】
第1の絶縁層40に上に設けられた配線は、第1の貫通孔41を通って、電極20と接している。なお、このソルダーレジスト層11は、例えば熱硬化性樹脂であっても良く、例えばエポキシ系樹脂が好適である。
【0070】
ソルダーレジスト層11上には、第1の実施の形態である配線基板と同様に、第1の絶縁層40や配線50が設けられている。
【0071】
本実施の形態である配線基板によれば、樹脂基板30の表面上にソルダーレジスト層11に被覆された配線を形成することが可能となる。このことにより、配線の多層化が可能となる。
【0072】
また、樹脂絶縁層10がソルダーレジスト層11によって被覆されているため、第1の絶縁層40形成時に、樹脂絶縁層10を保護することが可能となる。
【0073】
次に、本発明の第2の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0074】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0075】
本実施の形態である半導体パッケージによれば、図3(c)に示すように、樹脂基板30の電極20上にはんだ等の導体93を設け、そこに半導体装置91を実装する領域を設けることも可能となる。すなわち、一つの配線基板において、通常の実装領域と、導電性ペーストを焼結させた配線50を有する実装領域を形成することが可能となる。
【0076】
次に、本発明の第2の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
【0077】
図6(a)から(f)は、本実施の形態の配線基板60の製造方法を工程順に示す部分断面図である。なお、各工程間において適宜洗浄及び熱処理を行う。
【0078】
まず、図6(a)に示すように、表面が露出された電極20が配置され、さらに樹脂絶縁層10を覆うようにソルダーレジスト層11が形成されている樹脂基板30を用意する。電極20は、その表面が露出していれば良く、その一部が樹脂絶縁層10に埋まっていても、電極20の全体が樹脂絶縁層10に埋まっていても良い。
【0079】
ソルダーレジスト層11は、電極20の少なくとも一部が露出するように形成され、電極20の露出面とソルダーレジスト層11の露出面との境界には段差が設けられており、電極20の露出面はソルダーレジスト層11の露出面よりも低い位置に設けられている。
【0080】
次に、図6(b)および(c)は、樹脂基板30表面に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層40を形成する工程である。あらかじめソルダーレジスト層11には、アンカー効果によるセラミックスペーストとの密着性を高めるため、あらかじめ機械的研磨等により表面を粗くしてもよい。
【0081】
図6(b)に示すように、弾性ゴム等のベース材95に、セラミックスペースト96を厚さが均一になるように印刷したものに対し、ソルダーレジスト層11を接触させる。
【0082】
この時、セラミックペースト96はソルダーレジスト層11が設けられている箇所にのみ転写される。ただし、電極20が十分に露出していれば、電極20の露出面の一部にセラミックペーストが転写されていても良い。
【0083】
ここでセラミックスペーストは、アルミナ、ムライト、コーディエライトなどのセラミックスを含有した耐熱性の高いセラミックスペーストを用いてもよい。
【0084】
次に、図6(c)に示すように、セラミックスペーストを転写後、樹脂絶縁層10およびソルダーレジスト層11の耐熱温度以下の温度で放置し、セラミックスペーストを硬化させ、第1の絶縁層40とした。次に、図6(d)に示すように、第1の絶縁層40上と、第1の絶縁層40に設けられた第1の貫通孔41中に、導電性ペースト52を塗布する。これ以降の工程は、図4(d)以降の工程と同じである。
【0085】
本実施の形態である配線基板の製造方法によれば、第1の実施の形態の配線基板の製造方法の第1の貫通孔41を設けるためのマスクや、機械加工による穴あけ工程を用いなくとも、第1の絶縁層40に第1の貫通孔41を形成することが可能となる。
【0086】
なぜなら、ソルダーレジスト層11と電極20の境界には段差があるので、樹脂基板30をセラミックペースト96に接触させると、ソルダーレジスト層11にのみ、セラミックペースト96が転写されるからである。電極20にはセラミックペースト96が転写されず、その転写されなかった箇所が、第1の貫通孔41となるためである。
【0087】
また、セラミックペースト96の粘度を調整することにより、電極20の表面にセラミックペースト96が転写される時の状態を制御することが可能となる。
【0088】
(第3の実施の形態)
【0089】
次に、本発明の第3の実施の形態である配線基板について説明する。
【0090】
第1の絶縁層40に用いる酸化物セラミックスとして白色または淡色の酸化物セラミックスを用いること以外は、第1の実施の形態の配線基板60と同一である。
【0091】
本実施の形態における白色または淡色の酸化物セラミックスとしては、アルミナ(Al)、シリカ(SiO2)、スピネル(MgAl)、あるいは、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)などのアルミナ−シリカ系複酸化物等が、やや黄色あるいはやや茶色がかった酸化物セラミックスとして、ジルコニア(ZrO)、ジルコン(ZrSiO)などのジルコニア系セラミックス等があげられる。
【0092】
これらの白色または淡色の酸化物セラミックスを第1の絶縁層40に用いることによる、さらなる効果を説明する。焼結体である配線50を形成する時に、焼結前の導電性ペースト52に電磁波を照射して加熱する。この加熱電磁波として例えば、紫外光よりも波長の長い可視光、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、ミリ波などが挙げられる。
【0093】
配線50の焼結時に照射される電磁波は、配線だけではなく、その周囲に存在する第1の絶縁層40にも照射される。その第1の絶縁層40が白色または淡色の酸化物セラミックスであると、電磁波は白色または淡色の酸化物セラミックスに吸収されにくく、酸化物セラミックスによって反射されることとなる。すなわち、電磁波は導電性ペースト52のみを加熱し、その周囲の第1の絶縁層40は加熱されにくくなるので、第1の絶縁層40の下部に存在する樹脂基板30の温度上昇を抑制させることが可能となる。
【0094】
次に、本発明の第3の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0095】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0096】
(第4の実施の形態)
【0097】
次に、本発明の第4の実施の形態である配線基板について説明する。
【0098】
図7は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図であり、図7(a)は概略断面図であり、図7(b)は、配線基板60の電極20近傍の拡大断面図である。
【0099】
第1の実施の形態との違いは、樹脂基板30と第1の絶縁層40の間に第2の絶縁層70が設けられている点である。電極20上の第2の絶縁層70には第2の貫通孔71が設けられ、第2の貫通孔71中にも配線50が設けられ、配線50と電極20が接している。
【0100】
この第2の絶縁層70は、第1の絶縁層40を形成するセラミックシートを樹脂基板30に接着するためのものである。具体的には、耐熱性を有するエポキシベースの接着剤や、アルミナやジルコニアベースの接着剤を用いることが出来る。
【0101】
セラミックシートとは、酸化物セラミックスと繊維との複合材料であって、その酸化物セラミックスは既に焼成されているものである。このセラミックシートは、シート状に成形されたものであり、高い平坦度を有するものである。
【0102】
本実施の形態である配線基板によれば、平坦度の高いセラミックシートを用いて第1の絶縁層40が形成されているため、配線50を形成する面の平坦度が高められている配線基板を提供することが可能となる。配線50を形成する面の平坦度が高いと、導電性ペーストを塗布して形成される配線50の線幅が均一となり、その導通が安定する。よって、より微細な配線50を形成することが可能となる。
【0103】
次に、本発明の第4の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0104】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0105】
本実施の形態である配線基板によれば、微細な配線を有する配線基板を用いることができるので、接続電極を多く有する半導体装置を実装することが可能となる。なぜなら、微細な配線を形成することが出来るので、接続電極の数が多くとも、多くの配線の引き回しが可能となるためである。
【0106】
次に、本発明の第4の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
【0107】
図8(a)から(f)は、本実施の形態の配線基板60の製造方法を工程順に示す部分断面図である。なお、各工程間において適宜洗浄及び熱処理を行う。
【0108】
まず、図8(a)に示すように、表面が露出された電極20が配置された樹脂基板30を用意する。電極20は、その表面が露出していれば良く、その一部が樹脂絶縁層10に埋まっていても、電極20の全体が樹脂絶縁層10に埋まっていても良い。
【0109】
次に、図8(b)に示すように、予め電極20の位置に対応するように第1の貫通孔41が設けられたセラミックスシート97を用意し、耐熱性を有するエポキシベースの接着剤や、アルミナやジルコニアベースの接着剤73をセラミックシート97に塗布する。その後、セラミックスシート97と樹脂基板30を位置決めする。
【0110】
次に、図8(c)に示すように、セラミックシート97が接着剤73を介して樹脂基板30に接着されることにより、第1の絶縁層が形成される。
【0111】
次に、図8(d)に示すように、第1の絶縁層40上と、第1の絶縁層40に設けられた第1の貫通孔41および第2の絶縁層70に設けられた第2の貫通孔71に、導電性ペースト52を塗布する。これ以降の工程は、図4(d)以降の工程と同じである。
【0112】
本実施の形態である配線基板の製造方法によれば、平坦度の高いセラミックシート97を用いて第1の絶縁層40を形成するため、第1の絶縁層40の平坦度を高くすることが出来る。第1の絶縁層40の平坦度が高いと、その上に塗布される導電性ペーストの厚さや線幅が均一となり、電気的な導通が安定した配線を有する配線基板を形成することが可能となる。
【0113】
(第5の実施の形態)
【0114】
次に、本発明の第5の実施の形態である配線基板について説明する。
【0115】
図9は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図であり、図9(a)は概略断面図であり、図9(b)は、配線基板60の電極20近傍の拡大断面図である。
【0116】
第1の実施の形態との違いは、樹脂基板30と配線50との間に電磁波を反射する金属膜72を設け、なおかつ、第1の絶縁層40は透光性セラミックスで形成されている点である。その他の構造は第1の実施の形態と同一である。
【0117】
図9(a)および図9(b)において示されている金属膜72は配線50および電極20に接することが無いように、樹脂基板30上の電極20が形成されていない箇所に設けられている。
【0118】
この金属膜72は、電極20および配線50と接していなければよく、金属膜72が樹脂基板30と接していなくてもよい。第1の絶縁層40の内部に設けられていてもよい。
【0119】
金属膜72が第1の絶縁層40の内部に設けられ、樹脂基板30から離れた位置にあれば、照射される電磁波が樹脂基板30から離れた位置で反射され、電磁波によって加熱される第1の絶縁層40が少なくなるため、樹脂基板30の加熱が、より抑制される。
【0120】
金属膜72は、配線50の焼結時に照射される電磁波を反射するものであれば良く、銅、銀、金、ニッケル、アルミニウム、およびパラジウムの中の少なくとも1種類の金属、または2種類以上の金属からなる合金であればよい。また、透光性セラミックスとしては、アルミナ(Al)やPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O)、イットリア−トリア(Y−ThO)、スピネル(MgAl)などの酸化物セラミックスがある。
【0121】
次に、本発明の第5の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0122】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0123】
次に、本発明の第5の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
【0124】
図10(a)から(i)は、本実施の形態の配線基板60の製造方法を工程順に示す部分断面図である。なお、各工程間において適宜洗浄及び熱処理を行う。
【0125】
まず、図10(a)に示すように、表面が露出された電極20が配置された樹脂基板30を用意する。電極20は、その表面が露出していれば良く、その一部が樹脂絶縁層10に埋まっていても、電極20の全体が樹脂絶縁層10に埋まっていても良い。
【0126】
次に、図10(b)に示すように、樹脂基板30表面に金属膜72を形成する。例えば、スパッタ法により、金属膜72を形成する。
【0127】
次に、図10(c)に示すように、スクリーン印刷等により、レジスト材99を金属膜72上に塗布、硬化させる。
【0128】
次に、図10(d)に示すように、電極20近傍の金属膜72をエッチングにより除去する。
【0129】
次に、図10(e)に示すように、レジスト材を除去する。
【0130】
次に、図10(f)に示すように、透光性を有するセラミックスからなる第1の絶縁層40を形成する。電磁波吸収率の低い金属酸化物粒子を金属膜形成面に高速で衝突させると、粒子は微細化するとともに、互いに結合し、透光性を有する酸化物セラミックスとなる。
【0131】
例えば、本発明の第1の実施の形態である配線基板の製造方法において説明したエアロゾルデポジション法を用い、金属酸化物粒子の噴射速度を高速にすることにより、透光性を有する酸化物セラミックスを形成することができる。
【0132】
次に、図10(g)に示すように、第1の絶縁層40上と、第1の絶縁層40に設けられた第1の貫通孔41に、導電性ペースト52を塗布する。これ以降の工程は、図4(d)以降に示す工程と同一である。
【0133】
なお、金属膜72は、樹脂基板30上だけではなく、第1の絶縁層40の内部にも形成可能である。例えば、第1の絶縁層40を形成した後、その表面に金属膜72を形成し、さらにその上に、第1の絶縁層40を形成しても良い。
【0134】
本実施の形態である配線基板の製造方法によれば、加熱のために照射される電磁波は、第1の絶縁層40を透過し、金属膜72で反射され外部に放出されるために、電磁波照射による第1の絶縁層40および樹脂基板30の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0135】
また、金属膜72によって反射された電磁波が導電性ペースト52の裏面も加熱することが可能となる。導電性ペースト52は、直接照射される電磁波と反射された電磁波によって、その両面から加熱されるため、隣接する導電粒子の接合が確実になる。よって、信頼性の高い配線50を形成することが可能となる。
【0136】
(第6の実施の形態)
【0137】
次に、本発明の第6の実施の形態である配線基板について説明する。
【0138】
図11は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図である。
【0139】
第1の実施の形態との違いは、第1の絶縁層40と配線50を被覆する第3の絶縁層80が設けられている点である。第3の絶縁層80は、絶縁性を有する材料であれば良く、一般的な配線基板と同様に、エポキシ樹脂やポリイミドなどの有機絶縁材料、あるいは、酸化物セラミックスなどの無機絶縁材料であっても良い。第3の絶縁層80によって配線50を被覆することにより、配線50を保護することが可能となり、信頼性やハンドリング性の良い配線基板60を形成することが可能となる。
【0140】
次に、本発明の第6の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0141】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものである。
【0142】
本実施の形態の配線50は第3の絶縁層80によって被覆されているため、図3(b)のように配線50に半導体デバイス91を搭載することは出来ない。しかしながら、図3(a)に示されているように、第1の絶縁層40が設けられていない面の電極20に半導体デバイス91を搭載することは可能である。
【0143】
半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0144】
次に、本発明の第6の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
【0145】
本実施の形態の製造方法は、配線50の焼結後に、配線50と第1の絶縁層40を覆うように第3の絶縁層80を形成する工程を追加することによって、実現される。第3の絶縁層80は、一般的な絶縁層形成方法と同様に、例えばポリイミドのように熱硬化性の絶縁性樹脂をスプレーコートにより、配線50を覆うように塗布し、加熱硬化させることで形成可能である。
【0146】
また、酸化物セラミックスからなる第3の絶縁層80をエアロゾルデポジション法(AD法)により形成しても良い。この時、AD法によって吹き付けられる酸化物セラミックスの粒子が配線に衝突する際に、衝突のエネルギーが焼結体にも付与されるために、焼結体が加熱される。その加熱により、導電粒子の表面がより多く溶融するので、冷却後の配線50は、より緻密な構造を有し、より比抵抗の小さくい配線を形成することができる。
【0147】
(第7の実施の形態)
【0148】
次に、本発明の第7の実施の形態である配線基板について説明する。
【0149】
図12は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図である。
【0150】
図12に示されるように、配線50は1層に限定されるものではなく、2層あるいはそれ以上の層を有する配線50を形成することができる。
【0151】
配線50は、第4の絶縁層81によって被覆され、第4の絶縁層81には、第4の貫通孔82が形成されている。そして、別の配線50を第4の絶縁層81上と、第4の貫通孔82中に設けることにより、複数の層に配線50を設けることが可能となる。
複数の配線50の下部には、酸化物セラミックスからなる層がそれぞれ積層されることにより、樹脂基板30への熱伝導をより抑制することができる。上層の配線50は、樹脂基板30からの距離が大きくなり、その間には酸化物セラミックスからなる層が複数積層されているため、高温で加熱することができ、比抵抗の低い配線50を得ることができる。
【0152】
第4の絶縁層81は、配線50を焼結する時の熱により劣化しても良いのであれば、酸化物セラミックスでなくともよく、絶縁性を有する材料であればよい。
【0153】
また、図12に示されている配線基板では、最上層の配線は露出しているが、最上層の配線を被覆する絶縁層が有っても良い。
【0154】
本実施の形態である半導体パッケージによれば、配線50を多層化できることにより、配線の引き回しが容易となり、接続電極を多く有する半導体装置を実装することが可能となる。よって、高密度実装が可能となる。
【0155】
次に、本発明の第7の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0156】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0157】
(第8の実施の形態)
【0158】
次に、本発明の第8の実施の形態である配線基板について説明する。
【0159】
図13(a)および図13(b)は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図である。
【0160】
本実施の形態では、最上層の配線50を覆う第5の絶縁層83に第5の貫通孔84を設け、配線50の一部を露出させる。露出された配線上にNi/Auめっき等による表面処理を行い、これを外部接続電極92としても良い。また、図13(b)に示すように、外部接続電極92上にハンダなどの導体93を搭載することで、一般的な、実装部品と同様に取り扱うことが可能となる。
【0161】
次に、本発明の第8の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0162】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0163】
例えば、外部接続電極92にはんだ等の導体を設けることにより、半導体装置を搭載させることが可能である。
【0164】
半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0165】
(第9の実施の形態)
【0166】
次に、本発明の第9の実施の形態である配線基板について説明する。
【0167】
図14(a)は、本実施の形態の配線基板60の構成を示す図であり、配線基板60の電極20近傍の拡大断面を模式的に表した図である。
【0168】
第1の実施の形態との違いは、第1の絶縁層を構成する結晶粒子98の径が均一でなく、層の厚さ方向に変化する点である。樹脂基板30に近い層の結晶粒子98の径は数十ナノメートル程度の緻密な構造を形成し、次第に結晶粒子98の径は大きくなり、配線と接する層の結晶粒子98の径は数百ナノメートルら数マイクロメートル程度の粗い構造としている点である。その他の構造は第1の実施の形態と同一である。
【0169】
本実施の形態における特有の効果について、図14(b)および図14(c)を用いて説明する。図14(b)および(c)は、配線50と第1の絶縁層40が接する部分を模式的に表し、拡大した図である。まず、第1の絶縁層40の樹脂基板30と接する層は、樹脂基板30との密着性を高めるために、数十ナノメートル程度の比較的小さい結晶粒径を有した方が良い。一方、第1の絶縁層40の配線50と接する層は、数百ナノメートルから数ミクロンメートル程度の比較的大きな結晶粒径を有した方がよい。
【0170】
なぜなら、図14(b)に示すように、配線50は粒子状の導電体が接合したものであるので、その配線50と接する第1の絶縁層40の粒径が大きい方が、配線50が第1の絶縁層40の凸凹に入り込み易くなる。その結果、配線50と第1の絶縁層40の密着強度が高まる効果が得られる。
【0171】
一方、図14(c)に示すように、配線50と接する第1の絶縁層40の結晶粒径が小さいと、配線50は、第1の絶縁層40の凸凹に入り込みにくくなる。この場合、配線50と第1の絶縁層40の間には、一つの点で接しているのみであり、両者の間には比較的大きな隙間が生じるため、配線50と第1の絶縁層40の密着強度が弱くなる。
本実施の形態のように、配線50と第1の絶縁層40の密着強度が強くなることにより、焼結後、配線50が第1の絶縁層から剥がれ落ちることを防止することが可能となる。
次に、本発明の第9の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージについて説明する。
【0172】
本実施の形態の半導体パッケージは、本実施の形態の配線基板上に半導体装置を搭載させたものであり、半導体装置の搭載面や半導体装置の数、半導体装置の接続方法等については第1の実施の形態の半導体パッケージと同じである。
【0173】
次に、本発明の第9の実施の形態である配線基板の製造方法について説明する。
【0174】
樹脂基板30の表面上に、エアロゾルデポジション法を用いて第1の絶縁層40を形成する際、衝突させる粒子の速度を、積層初期は速く、段階的に遅くすることにより、積層初期の結晶粒径は数十ナノメートル程度の緻密な構造を形成し、次第に結晶粒径は大きくなり、積層後期の結晶粒径は数百ナノメートルから数マイクロメートル程度の粗い構造とする。以降は、第1の実施の形態と同様に、配線を積層していく。
【0175】
本発明の配線基板、半導体パッケージおよび配線基板の製造方法は、上記実施の形態に基づいて説明されているが、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施の形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の第1の実施の形態である配線基板の平面図および断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態である配線基板の拡大図
【図3】本発明の第1の実施の形態の配線基板を用いた半導体パッケージの断面図
【図4】本発明の第1の実施の形態である配線基板の製造方法の部分断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態である配線基板の断面図および拡大図
【図6】本発明の第2の実施の形態である配線基板の製造方法の部分断面図
【図7】本発明の第4の実施の形態である配線基板の断面図および拡大図
【図8】本発明の第3の実施の形態である配線基板の製造方法の部分断面図
【図9】本発明の第5の実施の形態である配線基板の断面図および拡大図
【図10】本発明の第4の実施の形態である配線基板の製造方法の部分断面図
【図11】本発明の第6の実施の形態である配線基板の断面図
【図12】本発明の第7の実施の形態である配線基板の断面図
【図13】本発明の第8の実施の形態である配線基板の断面図
【図14】本発明の第9の実施の形態である配線基板の断面図および部分拡大図
【符号の説明】
【0177】
10 樹脂絶縁層
11 ソルダーレジスト層
20 電極
21 内層配線
30 樹脂基板
40 第1の絶縁層
41 第1の貫通孔
50 配線
52 導電性ペースト
60 配線基板
70 第2の絶縁層
71 第2の貫通孔
72 金属膜
73 接着剤
80 第3の絶縁層
81 第4の絶縁層
82 第4の貫通孔
83 第5の絶縁層
84 第5の貫通孔
90 半導体パッケージ
91 半導体装置
92 外部接続電極
93 導体
95 ベース材
96 セラミックスペースト
97 セラミックスシート
98 結晶粒子
99 レジスト材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の表面に設けられている電極と、からなる樹脂基板と、
前記樹脂基板上に設けられた第1の絶縁層と、
前記電極上の前記第1の絶縁層に設けられた第1の貫通孔と、
前記第1の絶縁層上および前記第1の貫通孔内に設けられた配線と、を有し、
前記配線は前記電極と接し、
前記配線は隣接した導電粒子が互いに接合した導電体からなり、
前記第1の絶縁層は酸化物セラミックスからなる
こと特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記配線は導電粒子と有機化合物を含有した導電性ペーストを焼結させた焼結体である
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1の絶縁層はアルミナ、シリカ、スピネル、ムライト、コーディエライト、ジルコニア、ジルコンからなる群から選択された少なくとも1種の酸化物セラミックスからなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の配線基板。
【請求項4】
前記樹脂絶縁層には、前記樹脂基板表面に設けられソルダーレジストとしての機能を有するソルダーレジスト層を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1の絶縁層と前記樹脂基板の間に設けられた第2の絶縁層と、
前記電極上の前記第2の絶縁層に設けられた第2の貫通孔と、を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1の絶縁層は透光性を有する酸化物セラミックスからなり、
前記樹脂基板と前記配線の間に金属膜を有し、
前記金属膜は前記第1の絶縁層または前記樹脂絶縁層に被覆されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の配線基板。
【請求項7】
前記配線及び前記第1の絶縁層を被覆する第3の絶縁層を有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の配線基板。
【請求項8】
前記第3の絶縁層が酸化物セラミックスからなり、
前記第3の絶縁層に第3の貫通孔が設けられ、
前記第3の絶縁層上および前記第3の貫通孔内に配線が設けられ、
前記配線と酸化物セラミックスからなる層が複数積層されている
ことを特徴とする請求項7に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第3の絶縁層に第3の貫通孔が設けられ、
前記前記第3の貫通孔の内部に外部接続電極が設けられ、
前記外部接続電極と前記配線が接していることを特徴とする請求項7に記載の配線基板。
【請求項10】
前記外部接続電極上に導体が設けられている
ことを特徴とする請求項9に記載の配線基板。
【請求項11】
前記第1の絶縁層は粒子状の多結晶構造を有する酸化物セラミックスからなり、
前記多結晶構造を構成する結晶の粒径は前記第1の絶縁層の厚さ方向に変化し、
前記第1の絶縁層上に設けられた前記配線に接する結晶の粒径は、前記樹脂基板に接する結晶の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の配線基板。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の配線基板に
少なくとも1つ以上の半導体装置が搭載されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項13】
前記配線が導体を介して前記半導体装置と導通している
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体パッケージ。
【請求項14】
配線基板の製造方法であって、
樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上と前記第1の貫通孔内に、導電性ペーストを配置する工程と、
前記導電性ペーストを加熱する工程と、
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の配線基板の製造方法であって、
樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程と、
前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する前記工程とは、
前記第1の貫通孔が設けられているセラミックシートを前記樹脂基板に接着する工程であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項16】
請求項14に記載の配線基板の製造方法であって、
樹脂基板上に酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程と、
前記第1の絶縁層に第1の貫通孔を形成する前記工程とは、
樹脂基板上に酸化物セラミックスからなるペーストの一部を転写する工程である
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項17】
請求項14に記載の配線基板の製造方法であって、
酸化物セラミックスからなる第1の絶縁層を形成する前記工程の前に、
前記樹脂基板上に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜の一部を除去する工程と、
を含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項18】
請求項14または17に記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1の絶縁層を形成する前記工程はエアロゾルデポジション法である
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の配線基板の製造方法であって、
前記配線基板に噴射する前記第1の絶縁層の原料微粒子の噴射速度を、
段階的に遅くすることを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−146408(P2011−146408A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85403(P2008−85403)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】