説明

電子機器装置

【課題】電子機器装置において、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護する。
【解決手段】電子機器装置1は、第1の規定電圧値以下の電圧が電子機器装置1に供給される減電圧状態になった場合に、マイコン8をリセットさせ、第2の規定電圧値以上の電圧が電子機器装置1に供給される過電圧状態になった場合に、ヒューズ10を溶断させる減電圧/過電圧検出回路11を備える。減電圧/過電圧検出回路11は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧(1次側電圧出力ラインL1から出力された電圧)を監視し、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧に基いて、減電圧状態、及び過電圧状態を検出する。そして、減電圧/過電圧検出回路11は、過電圧状態を検出した場合には、マイコン8をリセットさせ、過電圧状態を検出した場合には、ヒューズ10を溶断させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用AC電源から交流電圧の供給を受けて動作する電子機器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば液晶テレビやDVDレコーダ等の電子機器装置は、商用AC電源から交流電圧の供給を受けて動作するようになっている。また、このような電子機器装置は、マイコンを備えており、マイコンによる制御のもと、動作するようになっている。商用AC電源から電子機器装置に供給される電圧は、送配電異常などで、減電圧状態(例えば、本来供給されるべき定格電圧値の半分の電圧値以下の電圧の状態)になったり、過電圧状態(例えば、本来供給されるべき定格電圧値の2倍の電圧値以上の電圧の状態)になる場合がある。このため、減電圧状態になった場合に、回路を保護するようにした電子機器装置や、過電圧状態になった場合に、回路を保護するようにした電子機器装置がある。減電圧状態になった場合に、回路を保護するようにした電子機器装置としては、図2に示す構成のものが知られている。また、過電圧状態になった場合に、回路を保護するようにした電子機器装置としては、図3に示す構成のものが知られている。
【0003】
図2に示す電子機器装置60は、ACコンセント61が商用AC電源に接続されることにより、商用AC電源から交流電圧が供給され、商用AC電源から供給された交流電圧が、ACコンセント61からヒューズ62を介して整流回路部63に入力される。整流回路部63に入力された交流電圧は、整流回路部63により整流され、整流回路部63により整流された直流電圧は、平滑用のコンデンサ64により平滑化される。平滑用のコンデンサ64により平滑化された電圧が発振回路65に入力されることにより、発振回路65によって電源トランス66が駆動され、電源トランス66の2次側コイルから所定の電圧(1次側コイルに流れる電流の変化及び1次側コイルと2次側コイルとのコイル巻数比に応じた電圧)が出力される。そして、2次側電源回路67により、電源トランス66の2次側コイルから出力される電圧から、マイコン68、及び不図示の負荷(液晶ディスプレイやDVDドライブ等)を動作させるための各電圧値の電圧が生成される。
【0004】
また、電子機器装置60は、リセットIC69からマイコン68に入力される起動制御電圧がハイレベルからローレベルに変化することにより、マイコン68がリセットされる。リセットIC69からマイコン68に入力される起動制御電圧は、リセットIC69に入力されるリセット電圧がグランドレベルのときに、ローレベルになり、リセットIC69に入力されるリセット電圧が所定電圧値以上のときに、ハイレベルになる。
【0005】
そして、電子機器装置60は、減電圧検出回路70によって、減電圧状態になったことを検出し、減電圧状態になった場合に、回路を保護するようになっている。商用AC電源から電子機器装置60に供給される電圧が低下すると、電源トランス66の出力のマイナス成分(2次側コイルから出力される交流電圧のマイナス成分)が小さくなる。減電圧検出回路70は、電源トランス66の出力のマイナス成分を監視し、電源トランス66の出力のマイナス成分が小さくなったことをもって、減電圧状態になったことを検出する。そして、減電圧検出回路70は、減電圧状態になったことを検出したとき(電源トランス66の2次側コイルの出力のマイナス成分が小さくなったとき)に、スイッチング素子T6を導通状態にして、リセットIC69に入力されるリセット電圧をグランドレベルにして、マイコンをリセットさせることにより、回路を保護するようになっている。
【0006】
図3に示す電子機器装置80は、図2に示した電子回路60と同様に、ACコンセント61が商用AC電源に接続されることにより、商用AC電源から交流電圧が供給され、2次側電源回路67により、各電圧値の電圧が生成される。
【0007】
そして、電子機器装置80は、過電圧検出回路90によって、過電圧状態になったことを検出し、過電圧状態になった場合に、回路を保護するようになっている。商用AC電源から電子機器装置80に供給される電圧が上昇すると、平滑用のコンデンサ64により平滑化された電圧が上昇する。過電圧検出回路90は、平滑用のコンデンサ64により平滑化された電圧を監視し、平滑用のコンデンサ64により平滑化された電圧が大きくなったことをもって、過電圧状態になったことを検出する。そして、過電圧検出回路90は、過電圧状態になったことを検出したとき(平滑用のコンデンサ64により平滑化された電圧が大きくなったとき)に、スイッチング素子T8を導通状態にして、ヒューズ62に過電流を流して、ヒューズ62を溶断させることにより、回路を保護するようになっている。
【0008】
一方、電源供給回路の1次側電圧に基いて、減電圧状態及び過電圧状態を検出し、減電圧状態及び過電圧状態を検出したときに、マイコンが電源供給回路を停止させるようにした電子機器装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、車両に搭載されているバッテリ電源から電圧の供給を受けて動作する車載用の電子機器装置において、車両に搭載されているバッテリ電源の減電圧異常及び過電圧異常を検出し、バッテリ電源の減電圧異常及び過電圧異常を検出したときに、負荷回路に対して所定の電源異常対策制御を行うようにした電子機器装置が知られている(例えば特許文献2参照)。また、フライバック方式の電源回路の電圧出力ライン(2次側の電圧出力ライン)から出力される電圧に基いて、減電圧状態及び過電圧状態を検出し、減電圧状態及び過電圧状態を検出したときに、マイコンが電源回路を停止させるようにした電子機器装置が知られている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−219658号公報
【特許文献2】特開平7−302392号公報
【特許文献3】実用新案登録第3123106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、電子機器装置において、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に回路を保護するには、上述した図2に示した電子機器装置60における減電圧検出回路70と、図3に示した電子機器装置80における過電圧検出回路90の両方を設けることが考えられる。
【0011】
しかしながら、電子機器装置60における減電圧検出回路70は、電源トランス66の出力のマイナス成分が小さくなったことをもって、減電圧状態になったことを検出するようになっている。このため、電子機器装置60における減電圧検出回路70では、電源トランス66を異なる種類(異なる構造)のものに変更すると、定数設定を変更(減電圧検出回路70を構成する抵抗やダイオード等を変更)しなければ、正確に減電圧状態を検出することができない。また、電源トランス66が同じ種類のものであっても、電源トランス66の個々のバラツキ(個体差)により、減電圧状態の検出にバラツキを生じてしまい、正確に減電圧状態を検出することができない。
【0012】
つまり、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に回路を保護するために、電子機器装置60における減電圧検出回路70と、電子機器装置80における過電圧検出回路90の両方を設けたとしても、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、回路を保護できない虞がある。なお、上述した特許文献1乃至特許文献3に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護することができる電子機器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、本装置に供給された電圧を整流する整流回路部と、整流回路部により整流された電圧を平滑化する平滑用のコンデンサと、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を変圧するトランスと、トランスにより変圧された電圧から生成される電圧によって動作して、本装置の動作を制御するマイコンと、本装置への電圧の供給を遮断するヒューズとを備える電子機器装置において、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を監視する減電圧/過電圧検出回路を備え、減電圧/過電圧検出回路は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧に基いて、定格電圧値よりも小さい第1の規定電圧値以下の電圧が本装置に供給される減電圧状態、及び定格電圧値よりも大きい第2の規定電圧値以上の電圧が本装置に供給される過電圧状態を検出し、減電圧状態を検出した場合には、マイコンをリセットさせ、過電圧状態を検出した場合には、ヒューズを溶断させるものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子機器装置において、減電圧/過電圧検出回路は、減電圧状態及び過電圧状態を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段によって減電圧状態が検出された場合にオン/オフが切り替わる第1のスイッチング素子を有し、該第1のスイッチング素子のオン/オフが切り替わることにより、マイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力するリセット信号生成手段と、電圧検出手段によって過電圧状態が検出された場合にオン/オフが切り替わる第2のスイッチング素子を有し、該第2のスイッチング素子のオン/オフが切り替わることにより、ヒューズを溶断させる過電流を流すヒューズ溶断手段とを備え、電圧検出手段によって減電圧状態が検出された場合、リセット信号生成手段によってマイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力することにより、マイコンをリセットさせ、電圧検出手段によって過電圧状態が検出された場合、ヒューズ溶断手段によってヒューズを溶断させる過電流を流すことにより、ヒューズを溶断させるものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電子機器装置において、電圧検出手段は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を、少なくとも第1の電圧及び第2の電圧に分圧する複数の抵抗を含み、該複数の抵抗によって分圧された第1の電圧に基いて、減電圧状態を検出すると共に、該複数の抵抗によって分圧された第2の電圧に基いて、過電圧状態を検出し、リセット信号生成手段における第1のスイッチング素子のオン/オフは、第1の電圧に基いて切り替わり、ヒューズ溶断手段における第2のスイッチング素子のオン/オフは、第2の電圧に基いて切り替わるものである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3に記載の電子機器装置において、電圧検出手段における複数の抵抗は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインとグランドとの間に直列に接続され、リセット信号生成手段は、第1のスイッチング素子に加え、第3のスイッチング素子と、フォトカプラとを有し、第1のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが複数の抵抗の間に接続され、ドレインが平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインとフォトカプラの発光ダイオードのアノードとの間に接続され、ソースがグランドに接続されており、第3のスイッチング素子は、接合形トランジスタであり、ベースがフォトカプラのフォトトランジスタのコレクタに接続され、コレクタがマイコンをリセットさせるためのリセット信号の出力ラインとされ、エミッタがグランドに接続されており、フォトカプラは、その発光ダイオードのアノードが平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインと第1のスイッチング素子のドレインとの間に接続され、該発光ダイオードのカソードがグランドに接続され、そのフォトトランジスタのコレクタが第3のスイッチング素子のベースに接続され、該フォトトランジスタのエミッタがグランドに接続されており、電圧検出手段によって減電圧状態が検出されたときに、複数の抵抗により分圧された第1の電圧によって第1のスイッチング素子が導通しないことにより、フォトカプラのフォトトランジスタを導通させ、第3のスイッチング素子を導通させて、第3のスイッチング素子のコレクタをグランドレベルにして、マイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力するものである。
【0018】
請求項5の発明は、請求項3に記載の電子機器装置において、電圧検出手段における複数の抵抗は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインとグランドとの間に直列に接続され、ヒューズ溶断手段は、第2のスイッチング素子を有し、第2のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが複数の抵抗の間に接続され、ドレインが平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインに接続され、ソースがグランドに接続されており、電圧検出手段によって過電圧圧状態が検出されたときに、複数の抵抗により分圧された第2の電圧によって第2のスイッチング素子が導通することにより、ヒューズを溶断させる過電流を流すものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、減電圧状態になると、減電圧/過電圧検出回路の働きによって、マイコンがリセットされて、回路が保護される。また、過電圧状態になると、減電圧/過電圧検出回路の働きによって、ヒューズが溶断されて、回路が保護される。従って、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、回路を保護することができる。
【0020】
しかも、減電圧/過電圧検出回路は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧に基いて(すなわち、トランスにより変圧される前の電圧に基いて)、減電圧状態、及び過電圧状態を検出しているため、トランスの種類(トランスの構造)やトランスの個々のバラツキ(個体差)に影響されずに、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。すなわち、トランスを異なる種類(異なる構造)のものに変更しても、定数設定の変更(減電圧/過電圧検出回路を構成する抵抗やダイオード等の変更)を必要とせずに、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。また、トランスの個々のバラツキがあったとしても、減電圧状態及び過電圧状態の検出にバラツキを生じることがなく、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。従って、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護することができる。
【0021】
さらに、減電圧/過電圧検出回路における減電圧状態の検出、及び過電圧状態の検出ともに、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧に基いている(すなわち、共通の電圧に基いている)ため、簡易な構成によって、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護する構成を実現することができる。
【0022】
請求項2乃至請求項5の発明によれば、減電圧/過電圧検出回路における減電圧状態の検出及び過電圧状態の検出は、電圧検出手段によって行われる。すなわち、減電圧/過電圧検出回路における減電圧状態の検出のための構成と過電圧状態の検出のための構成が共用されている。このため、簡易な構成によって、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護する構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器装置の構成を示す電気回路図。
【図2】従来の電子機器装置の構成を示す電気回路図。
【図3】別の電子機器装置の構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態による電子機器装置について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による電子機器装置の構成を示す。電子機器装置1は、例えば液晶テレビやDVDレコーダ等の、商用AC電源から交流電圧の供給を受けて動作する装置である。
【0025】
電子機器装置1は、ACコンセント2と、整流回路部3と、平滑用のコンデンサ4と、発振回路5と、電源トランス6と、2次側電源回路7と、マイコン8と、リセットIC9と、ヒューズ10と、減電圧/過電圧検出回路11等を備える。
【0026】
ACコンセント2は、商用AC電源から交流電圧の供給を受けるために、商用AC電源に接続される。ACコンセント2が商用AC電源に接続されることにより、商用AC電源から電子機器装置1に交流電圧が供給される。商用AC電源から電子機器装置1に供給された交流電圧は、ACコンセント2からヒューズ10を介して整流回路部3に入力される。
【0027】
整流回路部3は、ダイオードブリッジ回路であり、ACコンセント2からヒューズ10を介して入力された交流電圧(すなわち、商用AC電源から電子機器装置1に供給された交流電圧)を直流電圧に整流する。平滑用のコンデンサ4は、整流回路部3により整流された直流電圧を平滑化する。整流回路部3及び平滑用のコンデンサ4によって1次側電源回路が構成されている。
【0028】
発振回路5は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧が入力されることにより、所定の発振周波数で発振し、その発振周波数で電源トランス6を駆動する。電源トランス6は、1次側コイル及び2次側コイルを有する。電源トランス6は、発振回路5が所定の発振周波数で発振して、発振回路5の発振周波数で駆動されることにより、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧を変圧して、その変圧した電圧を出力する。すなわち、電源トランス6は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧が1次側コイルに入力される状態と入力されない状態とに発振回路5の発振周波数で切替えられることにより、2次側コイルから所定の電圧(1次側コイルに流れる電流の変化及び1次側コイルと2次側コイルとのコイル巻数比に応じた電圧)を出力する。
【0029】
2次側電源回路7は、電源トランス6の2次側コイルから出力される電圧、すなわち、電源トランス6により変圧された電圧から、マイコン8、及び不図示の負荷(液晶ディスプレイやDVDドライブ等)を動作させるための各電圧値の電圧を生成する。
【0030】
マイコン8は、2次側電源回路7により生成された電圧、すなわち、電源トランス6により変圧された電圧から生成された電圧によって動作する。マイコン8は、リセットIC9から入力される起動制御電圧がローレベルからハイレベルに変化すると、起動処理を実行し、その後、通常処理を実行する。マイコン8は、通常処理において、2次側電源回路7により生成された電圧によって動作して、電子機器装置1の動作を制御する。
【0031】
また、マイコン8は、リセットIC9から入力される起動制御電圧がハイレベルからローレベルに変化すると、リセット処理を実行する。そして、その後に、リセットIC9から入力される起動制御電圧がローレベルからハイレベルに変化すると、リセット解除して、上記と同様に、起動処理を実行し、その後、通常処理を実行する。
【0032】
リセットIC9は、減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧に応じて、マイコン8に入力する起動制御電圧をハイレベルとローレベルとに切換える。すなわち、リセットIC9は、減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧がグランドレベルのときには、マイコン8に入力する起動制御電圧をローレベルにし、減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧が所定電圧値以上のときには、マイコン8に入力する起動制御電圧をハイレベルにする。
【0033】
つまり、リセットIC9は、減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧がグランドレベルからハイレベルに変化すると、マイコン8に入力する起動制御電圧をローレベルからハイレベルに変化させ、これにより、マイコン8が起動処理を実行する。また、リセットIC9は、減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧がハイレベルからグランドレベルに変化すると、マイコン8に入力する起動制御電圧をハイレベルからローレベルに変化させ、これにより、マイコン8がリセット処理を実行する。減電圧/過電圧検出回路11から出力されるリセット電圧のハイレベルからグランドレベルへの変化が、マイコンをリセットさせるためのリセット信号である。
【0034】
ヒューズ10は、ACコンセント2と整流回路部3との間に接続されており、過電流が流れたときに、その過電流によって溶断される。ヒューズ10は、過電流が流れて溶断されることにより、ACコンセント2から整流回路部3への交流電圧の入力、すなわち、商用AC電源から電子機器装置1への交流電圧の供給を遮断する。
【0035】
減電圧/過電圧検出回路11は、減電圧状態になった場合に、マイコン8をリセットさせ、また、過電圧状態になった場合に、ヒューズ10を溶断させるためのものである。ここで、減電圧状態とは、電子機器装置1に第1の規定電圧値以下の電圧が供給された状態である。第1の規定電圧値は、電子機器装置1に本来供給されるべき定格電圧値よりも小さい電圧値であって、例えば、電子機器装置1に本来供給されるべき定格電圧値の半分の電圧値である。また、過電圧状態とは、電子機器装置1に第2の規定電圧値以上の電圧が供給された状態である。第2の規定電圧値は、電子機器装置1に本来供給されるべき定格電圧値よりも大きい電圧値であって、例えば、電子機器装置1に本来供給されるべき定格電圧値の2倍の電圧値である。
【0036】
まず、減電圧/過電圧検出回路11の概略について説明する。減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21と、リセット信号生成回路22と、ヒューズ溶断回路23とを備える。
【0037】
電圧検出回路21は、減電圧状態及び過電圧状態を検出するためのものであり、複数の抵抗として、第1の抵抗R1と、第2の抵抗R2と、第3の抵抗R3を有する。第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、及び第3の抵抗R3は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧を第1の電圧及び第2の電圧に分圧する。すなわち、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、及び第3の抵抗R3は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧を、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とによって第1の電圧に分圧し、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とによって第2の電圧に分圧する。電圧検出回路21は、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とによって分圧された第1の電圧に基いて、減電圧状態を検出すると共に、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とによって分圧された第2の電圧に基いて、過電圧状態を検出する。
【0038】
リセット信号生成回路22は、マイコン8をリセットさせるためのリセット信号を出力するためのものであり、第1のスイッチング素子T1を有する。第1のスイッチング素子T1は、電圧検出回路21において第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とによって分圧された第1の電圧に基いて、オン(ドレイン・ソース間が導通状態)/オフ(ドレイン・ソース間が非導通状態)が切り替わり、電圧検出回路21によって減電圧状態が検出された場合に、オフに切り替わる。リセット信号生成回路22は、電圧検出回路21によって減電圧状態が検出された場合に、第1のスイッチング素子T1がオフに切り替わることにより、マイコン8をリセットさせるためのリセット信号を出力する。
【0039】
ヒューズ溶断回路23は、ヒューズ10を溶断させる過電流を流すためのものであり、第2のスイッチング素子T2を有する。第2のスイッチング素子T2は、電圧検出回路21において第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とによって分圧された第2の電圧に基いて、オン(ドレイン・ソース間が導通状態)/オフ(ドレイン・ソース間が非導通状態)が切り替わり、電圧検出回路21によって過電圧状態が検出された場合に、オンに切り替わる。ヒューズ溶断回路23は、電圧検出回路21によって過電圧状態が検出された場合に、第2のスイッチング素子T2がオンに切り替わることにより、ヒューズ10を溶断させる過電流を流す。
【0040】
つまり、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧を監視して、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧に基いて、減電圧状態及び過電圧状態を検出する。そして、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって減電圧状態が検出された場合には、リセット信号生成回路22によって、マイコン8をリセットさせるためのリセット信号を出力することにより、マイコン8をリセットさせる。また、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって過電圧状態が検出された場合には、ヒューズ溶断回路23によって、ヒューズ10を溶断させる過電流を流すことにより、ヒューズ10を溶断させる。
【0041】
次に、減電圧/過電圧検出回路11の詳細について説明する。減電圧/過電圧検出回路11は、上述のように、電圧検出回路21と、リセット信号生成回路22と、ヒューズ溶断回路23とを備える。電圧検出回路21は、上記第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、及び第3の抵抗R3に加え、ツェナーダイオードD1、D2を有する。リセット信号生成回路22は、上記第1のスイッチング素子T1に加え、第3のスイッチング素子T3と、フォトカプラU1と、抵抗R4、R5、R6、R7とを有する。ヒューズ溶断回路23は、上記第2のスイッチング素子T2に加え、抵抗R8を有する。
【0042】
ツェナーダイオードD1は、カソードが1次側電圧出力ライン(平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧の出力ライン)L1に接続され、アノードがツェナーダイオードD2のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD2は、カソードがツェナーダイオードD1のアノードに接続され、アノードが第1の抵抗R1に接続されている。
【0043】
ツェナーダイオードD1は、カソードが1次側電圧出力ライン(平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧の出力ライン)L1に接続され、アノードがツェナーダイオードD2のカソードに接続されている。ツェナーダイオードD2は、カソードがツェナーダイオードD1のアノードに接続され、アノードが第1の抵抗R1に接続されている。
【0044】
第1の抵抗R1は、一端側がツェナーダイオードD2のアノードに接続され、他端側が第2の抵抗R2に接続されている。すなわち、第1の抵抗R1は、一端側がツェナーダイオードD1、D2を介して1次側電圧出力ラインL1に接続され、他端側が第2の抵抗R2に接続されている。第2の抵抗R2は、一端側が第1の抵抗R1の他端側に接続され、他端側が第3の抵抗R3の一端側に接続されている。第3の抵抗R3は、一端側が第2の抵抗R2の他端側に接続され、他端側がグランドに接続されている。第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第3の抵抗R3の複数の抵抗は、1次側電圧出力ラインL1とグランドとの間に直列に接続されている。
【0045】
第1のスイッチング素子T1は、電界効果トランジスタであり、ゲートが第1の抵抗R1と第2の抵抗R2の間に接続され、ドレインが1次側電圧出力ラインL1とフォトカプラU1の発光ダイオードU11のアノードとの間に接続され、ソースがグランドに接続されている。第1のスイッチング素子T1のドレインと1次側電圧出力ラインL1の間には、抵抗R4が接続されている。第1のスイッチング素子T1のドレインとフォトカプラU1の発光ダイオードU11のアノードの間には、抵抗R5が接続されている。
【0046】
第3のスイッチング素子T3は、接合形トランジスタであり、ベースが抵抗R6を介してフォトカプラU1のフォトトランジスタU12のコレクタに接続され、コレクタがリセット信号出力ライン(マイコン8をリセットさせるためのリセット信号の出力ライン)L2とされ、エミッタがグランドに接続されている。第3のスイッチング素子T3のベースとコレクタの間には、抵抗R7が設けられている。抵抗R7と第3のスイッチング素子T3のベースとの間には、2次側電源回路7により生成された電圧がかかっている。
【0047】
フォトカプラU1は、その発光ダイオードU11のアノードが抵抗R5を介して1次側電圧出力ラインL1と第1のスイッチング素子T1のドレインとの間に接続され、発光ダイオードU11のカソードがグランドに接続され、そのフォトトランジスタU12のコレクタが抵抗R6を介して第3のスイッチング素子T3のベースに接続され、フォトトランジスタU12のエミッタがグランドに接続されている。
【0048】
第2のスイッチング素子T2は、電界効果トランジスタであり、ゲートが第2の抵抗R2と第3の抵抗R3の間に接続され、ドレインが抵抗R8を介して1次側電圧出力ラインL1に接続され、ソースがグランドに接続されている。
【0049】
電子機器装置1に供給される電圧が低下すると、1次側電圧出力ラインL1から出力される電圧が低下し、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧、すなわち、第1のスイッチング素子T1のゲート電位が低下する。また、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧、すなわち、第2のスイッチング素子T2のゲート電位も低下する。
【0050】
また、電子機器装置1に供給される電圧が上昇すると、1次側電圧出力ラインL1から出力される電圧が上昇し、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧、すなわち、第1のスイッチング素子T1のゲート電位が上昇する。また、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧、すなわち、第2のスイッチング素子T2のゲート電位も上昇する。
【0051】
第1のスイッチング素子T1、及び第2のスイッチング素子T2は、各々、ゲート電位が閾値電圧より大きいときに導通状態(ドレイン・ソース間が導通状態)になり、ゲート電位が閾値電圧以下のときに非導通状態(ドレイン・ソース間が非導通状態)になる。
【0052】
第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第3の抵抗R3の抵抗値は、電子機器装置1に供給される電圧が第1の規定電圧値以下のとき(減電圧状態のとき)に、第1のスイッチング素子T1のゲート電位(第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧)が閾値電圧以下になる(電子機器装置1に供給される電圧が第1の規定電圧値より大きいときに、第1のスイッチング素子T1のゲート電位が閾値電圧より大きくなる)ように設定されている。また、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第3の抵抗R3の抵抗値は、電子機器装置1に供給される電圧が第2の規定電圧値以上のとき(過電圧状態のとき)に、第2のスイッチング素子T2のゲート電位(第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧)が閾値電圧より大きくなる(電子機器装置1に供給される電圧が第2の規定電圧値より小さいときに、第2のスイッチング素子T2のゲート電位が閾値電圧以下になる)ように設定されている。
【0053】
このような構成の減電圧/過電圧検出回路11において、電子機器装置1に通常の電圧(本来供給されるべき定格電圧値の電圧であって、第1の規定電圧値より大きく、第2の規定電圧値より小さい電圧)が供給されている場合には、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧、すなわち、第1のスイッチング素子T1のゲート電位が閾値電圧より大きくなり、第1のスイッチング素子T1が導通状態になる。また、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧、すなわち、第2のスイッチング素子T2のゲート電位が閾値電圧以下になり、第2のスイッチング素子T2が非導通状態になる。
【0054】
そして、第1のスイッチング素子T1が導通状態になることにより、1次側電圧出力ラインL1から抵抗R4、第1のスイッチング素子T1のドレイン・ソース間を経由してグランドに電流が流れる。これにより、フォトカプラU1の発光ダイオードU11に電流が流れず、フォトカプラU1がオフになり(発光ダイオードU11が発光せず、フォトトランジスタU12が非導通状態になり)、第3のスイッチング素子T3が非導通状態になり、リセット信号出力ラインL2(第3のスイッチング素子T2のコレクタ)から出力される電圧がハイレベルになる。
【0055】
また、第2のスイッチング素子T2が非導通状態になることにより、1次側電圧出力ラインL1から抵抗R8、第2のスイッチング素子T2のドレイン・ソース間を経由してグランドに電流が流れない。
【0056】
ここで、電子機器装置1に供給される電圧が第1の規定電圧値以下になると(減電圧状態になると)、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧、すなわち、第1のスイッチング素子T1のゲート電位が閾値電圧以下になり、第1のスイッチング素子T1が非導通状態になる(第2のスイッチング素子T2は、非導通状態に維持される)。
【0057】
そして、第1のスイッチング素子T1が非導通状態になることにより、1次側電圧出力ラインL1から抵抗R4、抵抗R5、フォトカプラU1の発光ダイオードU11を経由してグランドに電流が流れる。これにより、フォトカプラU1がオンになり(発光ダイオードU11が発光して、フォトトランジスタU12が導通状態になり)、第3のスイッチング素子T3が導通状態になり、リセット信号出力ラインL2から出力される電圧がハイレベルからグランドレベルになる。すなわち、リセット信号出力ラインL2からマイコンをリセットさせるためのリセット信号が出力される。これにより、リセットIC9からマイコン8に入力される起動制御電圧がハイレベルからローレベルに変化し、マイコン8がリセット処理を実行する。
【0058】
すなわち、電圧検出回路21は、電子機器装置1に第1の規定電圧値以下の電圧が供給されたときに、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とによって分圧された第1の電圧が閾値電圧以下になることにより、減電圧状態を検出する。そして、リセット信号生成回路22は、電圧検出回路21によって減電圧状態が検出されたときに、第2の抵抗R2及び第3の抵抗R3の合成抵抗と第1の抵抗R1とにより分圧された第1の電圧によって第1のスイッチング素子T1が導通しないことにより、フォトカプラU1のフォトトランジスタU12を導通させ、第3のスイッチング素子T3を導通させて、リセット信号出力ラインL2から出力する電圧をグランドレベルにして、リセット信号出力ラインL2からマイコン8をリセットさせるためのリセット信号を出力して、マイコン8をリセットさせる。
【0059】
また、電子機器装置1に供給される電圧が第2の規定電圧値以上になると(過電圧状態になると)、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧、すなわち、第2のスイッチング素子T2のゲート電位が閾値電圧より大きくなり、第2のスイッチング素子T2が導通状態になる(第1のスイッチング素子T1は、導通状態に維持される)。
【0060】
そして、第2のスイッチング素子T2が導通状態になることにより、1次側電圧出力ラインL1から抵抗R8、第2のスイッチング素子T2のドレイン・ソース間を経由してグランドに電流が流れる。これにより、ヒューズ10に過電流が流れて、ヒューズ10が溶断される。
【0061】
すなわち、電圧検出回路21は、電子機器装置1に第2の規定電圧値以上の電圧が供給されたときに、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧が閾値電圧以下になることにより、過電圧状態を検出する。そして、ヒューズ溶断回路23は、電圧検出回路21によって過電圧状態が検出されたときに、第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2の合成抵抗と第3の抵抗R3とにより分圧された第2の電圧によって第2のスイッチング素子T2が導通することにより、ヒューズ10を溶断させる過電流を流して、ヒューズ10を溶断させる。
【0062】
このように、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧(1次側電圧出力ラインL1から出力された電圧)を監視して、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧に基いて、減電圧状態及び過電圧状態を検出する。そして、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって減電圧状態が検出された場合には、リセット信号生成回路22によって、マイコン8をリセットさせるためのリセット信号を出力することにより、マイコン8をリセットさせる。また、減電圧/過電圧検出回路11は、電圧検出回路21によって過電圧状態が検出された場合には、ヒューズ溶断回路23によって、ヒューズ10を溶断させる過電流を流すことにより、ヒューズ10を溶断させる。
【0063】
このような構成の電子機器装置1によれば、減電圧状態になると(第1の規定電圧値以下の電圧が供給されると)、減電圧/過電圧検出回路11の働きによって、マイコン8がリセットされて、電子機器装置1の回路が保護される。また、過電圧状態になると(第2の規定電圧値以上の電圧が入力されると)、減電圧/過電圧検出回路11の働きによって、ヒューズ10が溶断されて、電子機器装置1の回路が保護される。従って、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、電子機器装置1の回路を保護することができる。
【0064】
しかも、減電圧/過電圧検出回路11は、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧に基いて(すなわち、電源トランス6により変圧される前の電圧に基いて)、減電圧状態、及び過電圧状態を検出しているため、電源トランス6の種類(電源トランス6の構造)や電源トランス6の個々のバラツキ(個体差)に影響されずに、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。すなわち、電源トランス6を異なる種類(異なる構造)のものに変更しても、定数設定の変更(減電圧/過電圧検出回路11を構成する抵抗やダイオード等の変更)を必要とせずに、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。また、電源トランス6の個々のバラツキがあったとしても、減電圧状態及び過電圧状態の検出にバラツキを生じることがなく、正確に減電圧状態及び過電圧状態を検出することができる。従って、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護することができる。
【0065】
さらに、減電圧/過電圧検出回路11における減電圧状態の検出、及び過電圧状態の検出ともに、平滑用のコンデンサ4により平滑化された電圧に基いている(すなわち、共通の電圧に基いている)ため、簡易な構成によって、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護する構成を実現することができる。
【0066】
また、減電圧/過電圧検出回路11における減電圧状態の検出及び過電圧状態の検出は、電圧検出回路21によって行われる。すなわち、減電圧/過電圧検出回路11における減電圧状態の検出のための構成と過電圧状態の検出のための構成が共用されている。このため、簡易な構成によって、減電圧状態になった場合及び過電圧状態になった場合に、より確実に回路を保護する構成を実現することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、減電圧/過電圧検出回路は、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を監視し、平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧に基いて、減電圧状態及び過電圧状態を検出して、マイコンをリセットさせ、ヒューズを溶断させる構成であれば、他の構成であってもよい。また、本発明は、液晶テレビやDVDレコーダに限られず、マイコンを備え、商用AC電源から交流電圧の供給を受けて動作する電子機器であれば、どのような電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 電子機器装置
2 ACコンセント
3 整流回路部
4 平滑用のコンデンサ
5 発振回路
6 電源トランス
7 2次側電源回路
8 マイコン
9 リセットIC
10 ヒューズ
11 減電圧/過電圧検出回路
21 電圧検出回路
22 リセット信号生成回路
23 ヒューズ溶断回路
R1 第1の抵抗
R2 第2の抵抗
R3 第3の抵抗
T1 第1のスイッチング素子
T2 第2のスイッチング素子
T3 第3のスイッチング素子
U1 フォトカプラ
U11 フォトカプラの発光ダイオード
U12 フォトカプラのフォトトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本装置に供給された電圧を整流する整流回路部と、前記整流回路部により整流された電圧を平滑化する平滑用のコンデンサと、前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を変圧するトランスと、前記トランスにより変圧された電圧から生成される電圧によって動作して、本装置の動作を制御するマイコンと、本装置への電圧の供給を遮断するヒューズとを備える電子機器装置において、
前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を監視する減電圧/過電圧検出回路を備え、
前記減電圧/過電圧検出回路は、前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧に基いて、定格電圧値よりも小さい第1の規定電圧値以下の電圧が本装置に供給される減電圧状態、及び前記定格電圧値よりも大きい第2の規定電圧値以上の電圧が本装置に供給される過電圧状態を検出し、前記減電圧状態を検出した場合には、前記マイコンをリセットさせ、前記過電圧状態を検出した場合には、前記ヒューズを溶断させることを特徴とする、電子機器装置。
【請求項2】
前記減電圧/過電圧検出回路は、
前記減電圧状態及び前記過電圧状態を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって前記減電圧状態が検出された場合にオン/オフが切り替わる第1のスイッチング素子を有し、該第1のスイッチング素子のオン/オフが切り替わることにより、前記マイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力するリセット信号生成手段と、
前記電圧検出手段によって前記過電圧状態が検出された場合にオン/オフが切り替わる第2のスイッチング素子を有し、該第2のスイッチング素子のオン/オフが切り替わることにより、前記ヒューズを溶断させる過電流を流すヒューズ溶断手段とを備え、
前記電圧検出手段によって前記減電圧状態が検出された場合、前記リセット信号生成手段によって前記マイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力することにより、前記マイコンをリセットさせ、
前記電圧検出手段によって前記過電圧状態が検出された場合、前記ヒューズ溶断手段によって前記ヒューズを溶断させる過電流を流すことにより、前記ヒューズを溶断させることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記電圧検出手段は、前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧を、少なくとも第1の電圧及び第2の電圧に分圧する複数の抵抗を含み、該複数の抵抗によって分圧された前記第1の電圧に基いて、前記減電圧状態を検出すると共に、該複数の抵抗によって分圧された前記第2の電圧に基いて、前記過電圧状態を検出し、
前記リセット信号生成手段における前記第1のスイッチング素子のオン/オフは、前記第1の電圧に基いて切り替わり、
前記ヒューズ溶断手段における前記第2のスイッチング素子のオン/オフは、前記第2の電圧に基いて切り替わることを特徴とする、請求項2に記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記電圧検出手段における前記複数の抵抗は、前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインとグランドとの間に直列に接続され、
前記リセット信号生成手段は、
前記第1のスイッチング素子に加え、第3のスイッチング素子と、フォトカプラとを有し、
前記第1のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが前記複数の抵抗の間に接続され、ドレインが前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインと前記フォトカプラの発光ダイオードのアノードとの間に接続され、ソースがグランドに接続されており、
前記第3のスイッチング素子は、接合形トランジスタであり、ベースが前記フォトカプラのフォトトランジスタのコレクタに接続され、コレクタが前記マイコンをリセットさせるためのリセット信号の出力ラインとされ、エミッタがグランドに接続されており、
前記フォトカプラは、その発光ダイオードのアノードが前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインと前記第1のスイッチング素子のドレインとの間に接続され、該発光ダイオードのカソードがグランドに接続され、そのフォトトランジスタのコレクタが前記第3のスイッチング素子のベースに接続され、該フォトトランジスタのエミッタがグランドに接続されており、
前記電圧検出手段によって前記減電圧状態が検出されたときに、前記複数の抵抗により分圧された前記第1の電圧によって前記第1のスイッチング素子が導通しないことにより、前記フォトカプラのフォトトランジスタを導通させ、前記第3のスイッチング素子を導通させて、前記第3のスイッチング素子のコレクタをグランドレベルにして、前記マイコンをリセットさせるためのリセット信号を出力することを特徴とする、請求項3に記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記電圧検出手段における前記複数の抵抗は、前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインとグランドとの間に直列に接続され、
前記ヒューズ溶断手段は、
前記第2のスイッチング素子を有し、
前記第2のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが前記複数の抵抗の間に接続され、ドレインが前記平滑用のコンデンサにより平滑化された電圧の出力ラインに接続され、ソースがグランドに接続されており、
前記電圧検出手段によって前記過電圧圧状態が検出されたときに、前記複数の抵抗により分圧された前記第2の電圧によって前記第2のスイッチング素子が導通することにより、前記ヒューズを溶断させる過電流を流すことを特徴とする、請求項3に記載の電子機器装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−66282(P2013−66282A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202909(P2011−202909)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】