説明

プリント配線板および製造方法

【課題】接続信頼性の高いプリント配線板を提供すること。
【解決手段】プリント配線板100は、樹脂層106と、樹脂層106内に位置する繊維基材108とを備える。樹脂層106には、第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる領域を有し、樹脂層106を貫通する開口部116が形成されている。プリント配線板100は、開口部116を埋め込む導体124と、導体124に電気的に接続された内部回路104とを有する。内部回路104は、樹脂層106の第2面に当接するとともに、前記第2面側から前記開口部116の第2面側の開口面を被覆する。内部回路(104)は、導体124とは別体をなす。繊維基材108は、開口部116の側壁から突出した突出部109を有し、突出部109が、導体124内部に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化および軽薄短小化の要求にともなって、電子部品の高密度集積化と高密度実装化が進んでいる。こうした要求に応じて、配線密度がより高く、配線層が複数積層されたプリント配線板が用いられている。プリント配線板は、コア層及びコア層上に複数積層されたビルドアップ層から構成される。このようなプリント配線板としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載のプリント配線板のコア層の製造方法は次の通りである。まず、基材が下方に偏在した基材含有絶縁層を作成し、基材含有絶縁層の片面に金属箔を形成する。金属箔が形成されていない基材含有絶縁層の表面に炭素ガスレーザを照射する。特許文献1では、金属箔からのレーザーの反射光を利用して、ビア下部の側壁から突出する基材を完全に除去する。これにより、ビアの内壁の全面をなめらかにすることができるので、めっき付き回り性を大幅に高めることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−277426号公報
【特許文献2】国際公開第2010/076875号パンフレット
【特許文献3】特開2003−163461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプリント配線板は接続信頼性の向上の点に改善の余地を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、樹脂層と、前記樹脂層内に位置する繊維基材とを備え、前記樹脂層には、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる領域を有し、前記樹脂層を貫通する開口部が形成されており、前記開口部を埋め込む導体と、前記樹脂層の第2面に当接するとともに、前記第2面側から前記開口部の第2面側の開口面を被覆する端子とを有し、前記端子は、前記導体に電気的に接続されるとともに、前記導体とは別体をなし、前記繊維基材は、前記開口部の側壁から突出した突出部を有し、前記突出部が、前記導体内部に位置している、プリント配線板が提供される。
【0007】
ここで、端子は、導体に電気的に接続され、導体と別体をなすものであればよい。たとえば、樹脂層の第二面側に配置された回路や配線層であってもよく、また、パッド等であってもよい。
本発明によれば、繊維基材が開口部の側壁から突出し、この突出部が導体内部に位置している。一方で、繊維基材は、樹脂層内に位置している。これにより、繊維基材により、樹脂層と導体との相対位置のズレを抑制することができる。また、たとえば、第2面から第1面に向かって樹脂層が応力を受けたときでも、繊維基材が導体の位置を固定しているので、導体が開口部から脱離したり、位置ずれしたりすることが抑制される。従って、プリント配線板の接続信頼性を高めることができる。
【0008】
さらには、本発明によれば、上述したプリント配線板の製造方法も提供できる。すなわち、本発明によれば、第1面および第2面を有する樹脂層と、前記樹脂層内に位置する繊維基材と、前記樹脂層の第2面側に配置された端子とを備える積層体を用意する工程と、
前記繊維基材を貫通し、かつ、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる領域を有するとともに前記樹脂層を貫通する開口部を形成する工程と、前記開口部内を導体で埋め込む工程とを含み、開口部を形成する前記工程では、前記第1面から前記第2面に至るまで前記第1面側から前記樹脂層を除去するとともに、前記開口部の第2面側の開口面から前記端子が露出するように、前記開口部を形成し、前記繊維基材の端部が前記開口部の側壁から突出するように、前記開口部を形成し、前記開口部内を導体で埋め込む前記工程では、前記開口部の側壁から突出した前記繊維基材の突出部が前記導体内部に位置するように、前記開口部内を前記導体で埋め込み、前記導体と前記開口部の第2面側の開口面から露出する前記端子とを電気的に接続する前記プリント配線板の製造方法も提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続信頼性に優れたプリント配線板および製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
【図1】第1実施形態に係るプリント配線板の構成を示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】第1実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】第1実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】第1実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】第1実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】第1実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図8】第1実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図9】プリプレグを製造する工程の一例を示す工程断面図である。
【図10】図12(c)に示すプリント配線板の構成を示す断面拡大図である。
【図11】第2実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図12】第2実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図13】第2実施形態の変形例を示す断面図である。
【図14】第3実施形態に係るプリント配線板の構成を示す断面図である。
【図15】第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図16】第3実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図17】第3実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図18】第3実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図19】第3実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図20】第3実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図21】第3実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図22】第4実施形態に係るプリント配線板の構成を示す断面図である。
【図23】第4実施形態に係るプリント配線板の要部を示す断面図である。
【図24】第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図25】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図26】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図27】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図28】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図29】第4実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図30】第4実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図31】第5実施形態に係るプリント配線板の構成を示す断面図である。
【図32】第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図33】第5実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図34】第5実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図35】第5実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図36】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【図37】第4実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図38】第4実施形態におけるプリント配線板の変形例を示す断面図である。
【図39】第4実施形態におけるプリント配線板に用いる積層体の変形例を示す断面図である。
【図40】第4実施形態におけるプリント配線板に用いる積層体の変形例を示す断面図である。
【図41】第4実施形態におけるプリント配線板の製造手順を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、本実施形態のプリント配線板の概要について説明する。
プリント配線板は、図1、10、14、22、31に示すように、
樹脂層106(あるいは106')と、樹脂層106(あるいは106')内に位置する繊維基材108とを備える。
樹脂層106(あるいは106')には、第1面10から第2面20に向かって開口径が小さくなる領域を有し、樹脂層106(あるいは106')を貫通する開口部116が形成されている。
プリント配線板は、開口部116を埋め込む導体124と、導体124に電気的に接続された端子(内部回路)104とを有する。端子104は、樹脂層106(あるいは106')の第2面に当接するとともに、前記第2面側から前記開口部116の第2面側の開口面を被覆して閉鎖する。端子104は、導体124とは一体的に構成されておらず、導体124とは別体をなす。繊維基材108は、開口部116の側壁から突出した突出部109を有し、突出部109が、導体124内部に位置している。
なお、以下の実施形態において、端子は内部回路であるが、端子は配線層であってもよく、また、パッドであってもよい。
プリント配線板の実施形態について、以下に詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
[プリント配線板100]
図1は、第1実施形態に係るプリント配線板100の構成を示す断面図である。
第1実施形態のプリント配線板100は、樹脂層106、繊維基材108及び導体(ビア124)を有する。図1に示すように、樹脂層106は、基板102上に形成される。繊維基材108は、樹脂層106の中央部(厚みの中心位置)よりも第1面10側に偏在している。本実施形態では、繊維基材は、樹脂層106の中央部(厚みの中心位置)よりも第2面20側には配置されていない。また、ビア124(導体)は、図示された開口部116の内部に埋設されている。開口部116は、樹脂層106の厚さ方向に沿った断面において、樹脂層106の第1面10から第2面20に向かって開口径が小さくなるように構成されている。
また、このようなプリント配線板100において、繊維基材108の一部は、樹脂層106中央部よりも第1面10側における開口部116の側壁から突出している。突出した繊維基材108の端部が導体(ビア124)内部に位置している。すなわち、繊維基材108は、ビア124の内部に埋め込まれている突出部109を有する。
【0014】
また、図1に示すM1、M2、D1〜D4及びL1〜L3は次のように定義される。M1は繊維基材108の中心線を示す。M2は樹脂層106の中心線を示す。D1は第1面10から繊維基材108の中心線M1までの距離を示す。D2は第2面20から繊維基材108の中心線M1までの距離を示す。D3は第1面10から第2面20までの距離、すなわち樹脂層106の膜厚を示す。D4は第2面20から樹脂層106の中心線M2までの距離を示す。L1は断面視(樹脂層106の厚さ方向に沿った断面)において開口部の最大の開口径を示す(以下、トップ径と呼称することもある)。L2は断面視(樹脂層106の厚さ方向に沿った断面)において開口部の最小の開口径を示す(以下、ボトム径と呼称することもある)。L3は開口部116の側壁から突出部109の先端までの平均長さを示す。突出部109の長さL3は、例えば、ビア124の断面視におけるSEM画像から算出することができる。
【0015】
以下、プリント配線板100の各構成について詳細に説明する。
【0016】
本実施形態のプリント配線板100は、コア層及びコア層上に形成されたビルドアップ層から構成される。本実施形態では、コア層は基板102に相当する。一方、ビルドアップ層は、基板102上に形成された第1ビルドアップ層128に相当する。第1ビルドアップ層128は、基板102の片面のみに形成されていてもよいが、基板102の両面にそれぞれ形成されていてもよい。また、基板102上の第1ビルドアップ層128の積層数は、1つ以上であれば特に限定されず、2つ以上でもよい。
【0017】
第1ビルドアップ層128は、樹脂層106、繊維基材108及びビア124を少なくとも有する。樹脂層106の全体の膜厚D3は特に限定されないが、好ましくは20μm以上100μm以下であり、より好ましくは30μm以上80μm以下である。微細化した半導体装置を得るためにビルドアップ層の膜厚を低減することがある。このような構造ではビアが開口部から脱離し易くなる。これに対して、本実施形態によれば、このように膜厚D3が薄い場合でも、繊維基材108の一部(突出部109)がビア124の内部に埋設されているので、ビア124の脱離が防止されている。
【0018】
繊維基材108は、樹脂層106の厚みの中心線から、樹脂層106の第1面10側に偏在している。膜厚D3の一部は、第1面10から繊維基材108の中心線M1までの距離D1で構成されており、膜厚D3の残りは、繊維基材108の中心線M1から第2面20までの距離D2で構成される。繊維基材108が偏在するとは、繊維基材108の全体が樹脂層106の中心線M2と第1面10との間に埋設されていること、すなわち距離D1が距離D2より小さいことを意味する。例えば、D2/D1が、好ましくは6/4以上9/1以下であり、より好ましくは7/3以上8/2以下であり、D2/D1が大きいほうがとくに好ましい。また、D2/D1を6/4以上とすることで、樹脂層106の表面における線膨張率を低減できるので、その表面での反りが低減できる。一方で、D2/D1を9/1以下とすることで、開口部116内部へのめっき液の回り込み性を高めることができる。
【0019】
ビア124は下地膜(金属膜)118及びめっき層(金属層)122から構成されている。本実施形態では、ビア124は、開口部116内部を充填する中実のフィルドビアである。ビア124の上部の周囲には導電回路126が形成されている。面内方向において、ビア124は導電回路126と電気的に接続するように構成されていても良いし、離間して電気的に接続しないように構成されていてもよい。一方、ビア124の下部は、基板102の一面上に設けられた内部回路104の一部と接するように設けられている。本実施形態では、ビア124は、内部回路104と不図示の半導体素子とを電気的に接続する外部端子として働く。例えば、第1ビルドアップ層128が複数積層されていた場合には、最下層のビア124は内部回路104と上層回路パターンとを接続する接続ビアとして機能する。ビア124は、単層又は多層の金属膜のいずれで構成されていてもよいが、少なくとも一部の積層金属膜がめっき膜で構成されていることが好ましい。
【0020】
また、導電回路126は、樹脂層106上に形成されており、金属箔層114、下地膜118及びめっき層122から構成される。金属箔層114は、樹脂層106の第1面10に接するように形成されている。導電回路126は、上面視において、矩形形状でもよく、所定方向に延在する回路パターンであってもよい。
【0021】
下地膜118は、堆積金属膜又は無電解めっき膜で構成されている。下地膜118は、開口部116の側壁及び開口部116から露出する内部回路104の表面に沿って膜状に延在し、開口部116の側壁及び内部回路104表面を一体的に被覆している。本実施形態では、下地膜118は開口部116の側壁上及び開口部116から露出する内部回路104表面の全面に形成されている。さらに、下地膜118は金属箔層114の側壁上及び上面上に形成されている。下地膜118は、突出部109の先端部まで覆うように形成されていてもよいし、突出部109の一部(ただし、突出部109の先端部は覆わない)のみを覆うように形成されていてもよい。
【0022】
めっき層122は、開口部116の内部全体に埋設された、中実状の導電体である。本実施形態では、開口部116の内面を被覆する下地膜118の内側にめっき層122が充填されている。すなわち、開口部116の内部は下地膜118及びめっき層122のみで構成されている(ただし、下地膜118は必須ではない)。このめっき層122は単層でも多層でもよい。また、めっき層122は、樹脂層106を第1面10側から平面視した際に、開口部116の外側に位置する金属箔層114の上面上に形成されていてもよい。
【0023】
開口部116とは、樹脂層106の第1面10から第2面20に亘って貫通するように形成された空間である。開口部116は、断面視において、第1面10から第2面20に向かって開口径が連続的又は不連続的に小さくなるように構成されており、より好ましくは連続的に小さくなるように構成されている。開口部116は、第1面10から第2面20側に至るまで縮径している。例えば、開口部116の断面形状は、第1面10から第2面20に向かって先細りしたテーパ形状でもよく、複数の段差を側壁に有するシリンダ形状でもよい(ただし、開口部116を構成する樹脂層106の側壁であって第2面20近傍における部分は、ソフトエッチングにより切り欠かれた切り欠き領域を有していてもよい。ここで、ソフトエッチングは、後述する開口部116を形成する手法とは、種類及び工程が異なるものである)。
【0024】
開口部116の一方の開口面は、樹脂層106第1面10と同一面に位置しており、開口部116における最大の開口径L1を有する。一方、開口部116の他方の開口面は、開口部116における最小の開口径L2を有する。本実施形態においては、開口径L1が開口径L2より大きい限りとくに限定されないが、例えば、開口径L1は、開口径L2の1.1倍以上L2の3倍以下が好ましく、1.5倍以上L2の2倍以下がより好ましい。ビアの抵抗値又はビルドアップ層の膜厚を低減するために、開口径L1を開口径L2に比して大きくする構造を採用することがある。このような構造はビアが開口部から脱離し易くなる。これに対して、本実施形態では、ビア124に突出部109が埋設されているので、このような構造においてもビア124の脱離が抑制されている。
開口径L1、開口径L2の大きさは、後述する実施形態も同様である。
このような開口部116の製造方法については、詳しくは後述するが、樹脂層106の第1面10から第2面20に至るまで、第1面10側からのみ樹脂層106を除去して得られたものである。すなわち、開口部116は、第1面10側から第2面20側に向かって樹脂層106の一部を除去することで形成されたものであり、第2面20側から第1面10側に向かって樹脂層106の一部を除去して得られたものではない。この点は後述する実施形態においても同様である。
【0025】
繊維基材108の突出部109は、プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、第1面10と中心線M2との間に位置しており、ビア124の内部に位置するように構成されている。突出部109はビア124と結合している(換言すると、ビア124内に突出部109が嵌入している)。
プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、ビア124を介して対向する突出部109同士は、離間している。上面視において、開口部116内部における突出部109は、リング状に構成されていてもよく、円の外縁に沿って点在するように構成されていてもよい。また、開口内壁の周縁方向において、突出部109の長さの最大値は、全体が均一でも不均一でもよい。例えば、開口内壁の周縁方向において、突出部109が内壁から突出している第1領域と突出部109が内壁から突出していない第2領域とが併設されてもよい。また、第1領域と第2領域とは交互に隣設してもよい。そして、第1領域のうちいずれかの領域の突出部109の長さの最大値が後述の範囲内であることが好ましい。突出部109は、めっき層122に直接接するようにビア124内に埋設されていてもよいが、先端全体が下地膜118に覆われた状態でビア124に埋設されていてもよい。
なお、開口部116の最小径となる部分からは、繊維基材は突出していない。このような構造を採用することで、めっき液の回りこみ性が低下することが防止できる。この構成は、後述する実施形態においても同様である。
【0026】
繊維基材108は、第1面10から中心線M2の間であれば(すなわち、第1面10側に偏在していれば)、複数積層方向に離間して配置されていてもよい。プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、開口部116の1つの側壁面からは、複数の突出部109が突出していてもよいが、接続信頼性とめっき液回り込み性とのバランスに優れるため、1つの突出部109のみが突出しているのが好ましい。
【0027】
突出部109の長さL3/開口部116の最大の開口径L1は、好ましくは1/100以上1/5以下であり、より好ましくは1/20以上1/6以下である。また、突出部109の長さL3は、例えば、好ましくは0.1μm以上30μm以下であり、より好ましくは1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上15μm以下である。突出部109の長さL3を上記範囲内で特定することにより、めっき回り込み性及び接続信頼性のバランスに優れたプリント配線板100を得ることができる。突出部109の長さL3は、平均値でも最大値でもよいが、最大値で特定されることが好ましい。
なお、突出部109の長さとは、突出部109が突出する開口部側壁から突出部109先端までの長さである。
【0028】
また、突出部109の長さL3は、突出部109が開口部116内部のビア124に埋設されている限り特に限定されないが、好ましくは(開口径L1−開口径L2)/2以下であり、より好ましくは(開口径L1−開口径L2)/10以上(開口径L1−開口径L2)/3以下である。長さL3を上記範囲内とすることにより、長さL3が適度であるために、めっき液の回り込み性とともにビア124の接続信頼性を向上させることができる。
これらの突出部109の長さL3、突出部109の長さL3/開口部116の最大の開口径L1、については後述する実施形態も同様である。
【0029】
内部回路104は、銅等の金属層であり、ビア124に電気的に接続される領域を有する。内部回路104は基板102上に配置されている。また、内部回路104は、樹脂層106の第2面20に直接接触しており、内部回路104の一部は、開口部116の開口面を第2面20側から被覆し、内部回路104の開口面から露出する部分に、ビア124が接続される。
【0030】
次に、第1実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。図3〜6は、プリント配線板100の製造工程の手順を示す工程断面図である。
第1実施形態のプリント配線板100の製造方法は、次の工程を含む。コア層(基板102)を形成する工程、非対称プリプレグから構成される積層体110形成工程、及びビア124を形成する工程。以下、各工程について説明する。
【0031】
<コア層形成工程>
まず、一面上に金属箔が張り付けられた基板102を準備する。基板102は、絶縁性の材料により構成されていれば特に限定されないが、たとえば、エポキシ樹脂、ガラス基材−エポキシ樹脂積層板、ガラス基材−ポリイミド樹脂積層板、ガラス基材−テフロン(登録商標)樹脂積層板、ガラス基材−ビスマレイミド・トリアジン樹脂積層板、ガラス基材−シアネート樹脂積層板、ガラス基材−ポリフェニレンエーテル樹脂積層板、ポリエステル樹脂、セラミック、樹脂含浸セラミックのいずれか等により構成することができる。また、基板102として、後述の積層体110を構成するプリプレグを用いても良い。一方、金属箔は、銅、アルミニウム、ニッケルなどの少なくともいずれかの金属元素を含有する金属箔を用いることができる。この中でも、低抵抗な銅箔が好ましい。金属箔は、基板102の両面に形成されていてもよいし、片面のみに形成されていてもよい。
【0032】
次いで、金属箔上に不図示の保護膜を形成する。続いて、保護膜を所定形状にパターニングする。この保護膜を用いて、金属箔を選択的にエッチングする。これにより、図3(a)に示すように、基板102の上に所定のパターン形状を有する内部回路104を形成する。本工程で、保護膜としてはエッチングレジストや感光性レジストなどを用いることができる。
【0033】
<積層体形成工程>
次いで、図3(b)に示すように、積層体110を用意する。積層体110は、特に限定されないが、例えば、繊維基材108入りの樹脂層106の少なくとも一面に金属箔層112が積層されたものを用いることができる。すなわち、積層体110は、繊維基材に樹脂組成物を含浸したプリプレグに金属箔を形成することにより形成される。金属箔としては、例えば、銅箔を用いることが好ましい。積層体110は、単層でもよいが多層構造を有していてもよい。積層体110は、例えば、プリプレグを複数枚重ね合わせたもの等を用いることができる。積層体としては、少なくとも片面にキャリア箔付き極薄金属箔を重ね合わせて加熱加圧成形したもの等を用いることができる。なお、ビルドアップ層は、コア層(基板102)と同じ材料のものを用いてもよいが、繊維基材または樹脂組成物が異なっていてもよい。
【0034】
(プリプレグ)
ここで、プリプレグ(繊維基材108入りの樹脂層106)の製造方法を詳述する。
プリプレグは、繊維基材108に一または二以上の樹脂組成物を含浸させ、その後、半硬化させて得られる、繊維基材108と樹脂層106を備えるシート状の材料である。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、回路基板用の積層板の製造に適しており、好ましい。
【0035】
本実施形態で用いられる樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、とくに限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法、支持基材付き樹脂層をラミネートする方法等が挙げられる。この中でも、繊維基材の両面からフィルム状の樹脂層でラミネートする方法が好ましい。これにより、繊維基材に対する樹脂組成物の含浸量を自在に調節でき、プリプレグの成形性をさらに向上できる。なお、フィルム状の樹脂層をラミネートする場合、真空のラミネート装置等を用いることがより好ましい。
【0036】
ラミネート方法を用いた製造工程について、図9を用いて説明する。図9は、プリプレグの製造工程の一例を示す工程断面図である。
【0037】
まず、材料として、キャリア材料5a、キャリア材料5b、シート状基材4を用意する。また、装置として、真空ラミネート装置、及び熱風乾燥装置2を用意する。キャリア材料5aは、第1樹脂組成物から得られた樹脂層106aで構成される。キャリア材料5bは、第2樹脂組成物から得られた樹脂層106bで構成される。キャリア材料5a、5bは、例えばキャリアフィルムに第1樹脂組成物、第2樹脂組成物の樹脂ワニスを塗工する方法等により得ることができる。シート状基材4としては、例えば、単層又は複数枚重ね合わせた繊維基材を用いることができる。
【0038】
樹脂ワニスに用いられる溶剤は、樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが好ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。なお、第1樹脂組成物、及び第2樹脂組成物の詳細は後述する。
【0039】
次いで、真空ラミネート装置1を用いてキャリア材料5a、シート状基材4及びキャリア材料5bをこの順で接合した接合体を形成する。真空ラミネート装置1は、キャリア材料5aを巻き取ったロール、キャリア材料5bを巻き取ったロール、シート状基材4を巻き取ったロール及び、ラミネートロール7を備える。減圧下で、各ロールから送り出されたシートを、シート状基材4の両面にキャリア材料5a、及びキャリア材料5bを重ね合わせる。重ね合わせた積層体をラミネートロール7で接合する。これにより、キャリア材料5a、シート状基材4及びキャリア材料5bから構成される接合体が得られる。
【0040】
減圧下で接合することにより、シート状基材4の内部または各キャリア材料5a、5bとシート状基材4との接合部位に非充填部分が存在しても、これを減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができる。ゆえに、最終的に得られるプリプレグ3はボイド等の発生がなく、良好な成形状態にすることができる。なぜなら、減圧ボイドまたは真空ボイドは、後述する加熱処理で消し去ることができるからである。このような接合工程には、例えば真空ボックス装置等の他の装置を用いることができる。
【0041】
次いで、熱風乾燥装置2を用いて、接合体を構成する各キャリア材料5a、5bを構成する樹脂組成物の溶融温度以上の温度で加熱処理する。これにより、減圧下での接合工程で発生していた減圧ボイド等を消し去ることができる。熱処理する他の方法は、例えば赤外線加熱装置、加熱ロール装置、平板状の熱盤プレス装置等を用いて実施することができる。
【0042】
以上により非対称なプリプレグ3(図3(b)の樹脂層106および繊維基材108に該当)が得られる。図3(b)に示すように、繊維基材108が樹脂層106の厚さの中心位置から、厚さ方向に偏在している。このようなプリプレグを非対称プリプレグと呼称する。
【0043】
(樹脂組成物)
次いで、プリプレグの製造に用いられる第1樹脂組成物、第2樹脂組成物(これらは異種でも同種でもよいが、同種であることが好ましい。これらを総称して、以下樹脂組成物と称する)を詳述する。樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂、硬化剤、及び充填剤を含有する。以下、各成分について説明する。
【0044】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用してもよい。
【0045】
これらの中から、たとえば、シアネート樹脂(シアネート樹脂のプレポリマーを含む)を用いてもよい。シアネート樹脂を用いることにより、樹脂層の熱膨張係数を小さくすることができる。さらに、シアネート樹脂は、電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等にも優れる。
【0046】
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるものを使用することができる。
【0047】
【化1】

【0048】
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数であり、とくに限定されないが、1以上10以下が好ましく、とくに2以上7以下が好ましい。平均繰り返し単位nを下限値以上とすることにより、ノボラック型シアネート樹脂は耐熱性が低下し、加熱時に低量体が脱離、揮発することを抑制できる。また、平均繰り返し単位nを上限値以下とすることにより、溶融粘度が高くなりすぎ、樹脂層の成形性が低下することを抑制できる。
【0049】
熱硬化性樹脂の含有量は、とくに限定されないが、樹脂組成物全体の合計値に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、とくに20質量%以上40質量%以下が好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を下限値以上とすることにより、樹脂層の製造安定性が向上し、一方、上限値以下とすることにより、強度に優れた樹脂層が得られる。
【0050】
また、樹脂組成物は無機充填材を含むことが好ましい。これにより、積層板を薄型化しても優れた強度を付与することができる。さらに、積層板の低熱膨張化を向上させることができる。
【0051】
無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
【0052】
無機充填材の含有量は、とくに限定されないが、樹脂組成物全体の合計値に対して、20質量%以上80質量%以下が好ましく、とくに30質量%以上70質量%以下が好ましい。含有量が上記範囲内であると、とくに低熱膨張、低吸水とすることができる。
【0053】
また、熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂(とくにノボラック型シアネート樹脂)を用いる場合、さらにエポキシ樹脂(実質的にハロゲン原子を含まない)を添加することが好ましい。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。これらの中でも、とくにアリールアルキレン型エポキシ樹脂またはナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性および難燃性をさらに向上させることができる。
【0054】
熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂(とくにノボラック型シアネート樹脂)を用いる場合、さらにフェノール樹脂を添加することができる。フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。これらの中でも、とくにアリールアルキレン型フェノール樹脂が好ましい。これにより、さらに吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
【0055】
このほか、必要に応じて、樹脂組成物にはカップリング剤、硬化促進剤、硬化剤、熱可塑性樹脂、有機充填材などの添加剤を適宜配合することができる。本実施形態で用いられる樹脂組成物は、上記成分を有機溶剤等により溶解および/又は分散させた液状形態で好適に用いることができる。
【0056】
さらに、樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加してもよい。
【0057】
(繊維基材)
本実施形態に用いられる繊維基材としては、とくに限定されないが、ガラスクロス等のガラス繊維基材、ポリベンゾオキサゾール樹脂繊維、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等から選択されるポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等から選択されるポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維の少なくともいずれか1種から構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等のいずれか1種以上を主成分とする紙基材等の有機繊維基材等が挙げられる。これらの中でも、強度、吸水率の点からガラス繊維基材がとくに好ましい。また、ガラスクロスを用いることにより、樹脂層の熱膨張係数をさらに小さくすることができる。
【0058】
ガラス繊維基材を構成するガラスとしては、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等のいずれか1種以上が挙げられる。これらの中でもSガラス、または、Tガラスが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の熱膨張係数を小さくすることができ、それによってプリプレグの熱膨張係数を小さくすることができる。
【0059】
繊維基材の厚みは、通常、繊維基材108の厚みになるといえる。繊維基材108の厚みは、特に限定されないが、5μm以上60μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上35μm以下、さらに好ましくは14μm以上20μm以下である。繊維基材108は、単独の繊維基材から構成されていてもよいが、複数積層された繊維基材から構成されていてもよい。なお、繊維基材を複数枚重ねて使用する場合は、その合計の厚みが上記の範囲を満たせばよい。このような厚みを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上し、とくに反り低減効果が顕著である。
【0060】
また、本実施形態で用いる繊維基材は、1MHzでの誘電率が3.8以上7.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.7以上7.0以下、さらに好ましくは5.4以上6.8以下である。このような誘電率を有するガラス繊維基材を用いることにより、積層板の誘電率をさらに低減でき、高速信号を用いた半導体パッケージに好適である。上記のような線膨張係数、ヤング率及び誘電率を有するガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、NEガラス、またはTガラスなどが好適に用いられる。
【0061】
(積層体110)
次いで、得られた非対称プリプレグの片面又は両面(ここでは、樹脂層106の片面又は両面)に、金属箔層112を配置した構成で加熱加圧して積層する。これにより積層体110を得る。金属箔層112の表面にはキャリア箔が付与されていてもよい。
【0062】
金属箔層112の厚みは、好ましくは1μm以上18μm以下であり、さらに好ましくは2μm以上12μm以下である。金属箔層112の厚みが上記範囲内であると、微細パターンが形成可能であり、目ずれ度を制御することで反りをより低減できる。
【0063】
金属箔層112を構成する金属としては、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等の少なくともいずれか1種以上が挙げられる。また、金属箔層112として、キャリア付電解銅箔等を使用してもよい。
【0064】
<ビア形成工程>
次いで、図3(c)に示すように、基板102の一面上に積層体110を配置する。例えば、加熱加圧により基板102上に積層体110を形成する。本実施形態では、基板102の片面上のみの積層体110を形成しているが、これに限定されず、基板102の両面上に積層体110を形成しても良い。また、本実施形態では、金属箔層112が形成された非対称プリプレグを基板102上に形成しているが、これに限定されず、基板102上に非対称プリプレグを形成した後、この非対称プリプレグ上に金属箔層を形成してもよい。
【0065】
次いで、金属箔層112上に不図示のレジストを形成する。続いて、図4(a)に示すように、レジストをマスクとして、金属箔層112の選択的エッチングを行う。これにより、所定のパターンを有する金属箔層114を形成する。金属箔層114は、例えば、平面視において、所定方向に延在する回路パターンや矩形状のパッドとして機能する。
【0066】
次いで、図4(b)に示すように、レーザー等を用いて、樹脂層106を選択的に除去する。これにより、樹脂層106に開口部116を形成する。本工程において、開口部116は、樹脂層106の第1面10から第2面20まで貫通する貫通孔となるように形成される。開口部116は、第1面10側から一方向に樹脂層106を除去することで形成される。すなわち、第2面20側からは樹脂層106を除去しない。
開口部116の底面(開口面)からは、内部回路104の上面の一部が露出している。また、開口部116の側壁には、繊維基材108の一部(突出部109)が突出している。
【0067】
従来の技術では、めっき液の回りこみ特性を向上させることが望まれていた。また、開口部内部のビアが脱離する課題も知られていなかった。このため、従来では、通常、開口部の側壁はなめらかに形成していた。
【0068】
これに対して、本実施形態のプリント配線板は、繊維基材を、ビアホール上部の側壁から突出させてビア内部に埋設させることにより、開口部内部のビアが脱離することを抑制できるものである。
そこで、本発明者らが検討した結果、樹脂層及び繊維基材の材料やレーザー条件を適切に選択することにより、繊維基材を、ビアホール(開口部)上部側の側壁から突出させることが可能であることが判明した。たとえば、(i)樹脂層中の無機充填材の含有量を低くする、(ii)繊維基材の融点を高くする、又は(iii)樹脂の硬度を低くすることに加えて、(iv)パルス幅を長くする、及び/又は(v)基準エネルギーを高くかつショット数を少なくする等の条件を用いることにより、本実施形態の開口部の上部の側壁から突出する繊維基材の長さを長くすることができる。反対に、たとえば、(i)樹脂層中の無機充填材の含有量を高くする、(ii)繊維基材の融点を低くする、又は(iii)樹脂の硬度を高くすることに加えて、(iv)パルス幅を短くする、及び/又は(v)基準エネルギーを低くかつショット数を多くする等の条件を用いることにより、本実施形態の開口部の上部の側壁から突出する繊維基材の長さを短くすることができる。
その他、レーザーの照射エネルギー、パルス幅、照射回数などを適切に選択することにより、開口部の開口径L1及び開口径L2の大きさを調節することができる。
【0069】
次いで、樹脂層106の開口部116の内部に対して、デスミア処理を行う。デスミア処理は、スミア等を除去して表面を清浄するものである。デスミア処理としては、特に限定されず、有機物分解作用を有する酸化剤溶液等を使用した湿式法、及び対象物となるものに直接酸化作用の強い活性種(プラズマ、ラジカル等)を照射して有機物残渣を除去するプラズマ法等の乾式法等の公知の方法を用いることができる。
【0070】
例えば、薬液によるデスミア処理としては、具体的には、樹脂表面の膨潤処理を施した後、アルカリ処理によりエッチングを行い、続いて中和処理を行う方法等が挙げられる。また、例えば、プラズマ処理によるデスミア処理としては、たとえば数mTorr〜数Torrのガス雰囲気下において数kHz〜数十MHz程度の高周波電源にて放電することにより行われる。なお、使用ガスとしては、たとえば酸素等の反応性ガス、または窒素やアルゴン等の不活性ガスを用いることができる。プラズマにより活性化されたガス成分は、圧力と使用ガスの種類によって、化学的反応、ガス分子そのものの衝突(ボンバリング)による物理的反応、またはこれら両方が生じることによって、ビアホール中の残渣や低分子による表面汚れを除去することができる。プラズマ処理によるクリーニングは、例えば、平行平板方式により行うことができる。
【0071】
プラズマを用いたデスミア処理により、薬液によるクリーニングでは除去しきれないような強固な樹脂組成物の残滓を除去することができる。また、薬液を使用しなくてもよい。薬液を使用しないことにより、たとえば、内部回路104等の配線層や繊維基材108の界面への薬液の染みこみやイオンの入り込みを確実に防ぐことができる。さらに、プラズマを露出した樹脂層106の表面に発生させて、樹脂層106の第1面10の改質を行うことができる。これにより、第1面10と導体膜との密着性を向上することができる。このように樹脂層106の第1面10又は開口部116の内壁の表面の状態に応じて、各種のデスミア処理の手法を適切に採用する。
【0072】
デスミア処理後、図4(c)に示すように、金属箔層114上及び開口部116の底面(開口部116から露出する内部回路104)上及び側壁上に下地膜118を形成する。下地膜118は、イオンプレーティング、スパッタリング、真空蒸着、PVD法(physical vapor deposition)、又はCVD法(chemical vapor deposition)を用いて形成してもよい。また、下地膜118は無電解めっき法を用いて形成してもよい。無電解めっき法の例を説明する。例えば、まず、少なくとも開口部116の底面(内部回路104の上面)及び側壁上に触媒核を付与する。この触媒核としては、特に限定されないが、例えば、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができる。引き続き、この触媒核を核として、無電解めっき処理により薄層の無電解めっき層を形成する。無電解めっきには、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウム等を含むものを用いる事ができる。なお、無電解めっき後に、100〜250℃の加熱処理を施し、めっき被膜を安定化させることが好ましい。120〜180℃の加熱処理が酸化を抑制できる被膜を形成できる点で、特に好ましい。また、無電解めっき層の平均厚さは、次の電気めっきが行うことができる厚さであればよく、例えば、0.1〜1μm程度で十分である。
ここで、前述したように、本実施形態では、突出部109の先端は、下地膜118に被覆されず、下地膜118から突出している。突出部109の先端に下地膜118を形成しないことで、樹脂層106の厚さ方向に沿った断面において、対向する突出部109間が下地膜118で埋め込まれてしまうことを防止できる。
【0073】
次いで、図5(a)に示すように、下地膜118上に所定の開口パターンを有するレジスト層120を形成する。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。レジスト層120としては、特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、液状およびドライフィルムを用いることができる。微細配線形成の場合には、レジスト層120としては、感光性ドライフィルム等を用いることが好ましい。感光性ドライフィルムを用いた一例を説明する。例えば、下地膜118上に感光性ドライフィルムを積層し、非回路形成領域を露光して光硬化させ、未露光部を現像液で溶解、除去する。硬化した感光性ドライフィルムを残存させることにより、レジスト層120を形成する。
【0074】
次いで、図5(b)に示すように、少なくともレジスト層120の開口パターン内部かつ無電解めっき層上に、電気めっき処理により、めっき層122を形成する。めっき処理中、下地膜118は給電層として働く。この下地膜118は開口部116の内壁に形成されている。このため、開口部116の内部にめっき層122が埋設される。電気めっきとしては、特に限定されないが、通常のプリント配線板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅等のめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流す等の方法を使用することができる。めっき層122は単層でもよく多層構造を有していてもよい。めっき層122の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田のいずれか1種以上を用いることができる。
【0075】
次いで、図5(c)に示すように、アルカリ性剥離液や硫酸又は市販のレジスト剥離液等を用いてレジスト層120を除去する。
【0076】
次いで、図6に示すように、めっき層122が形成されている(めっき層122で被覆されている)領域以外の下地膜118および金属箔層114を除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、下地膜118および金属箔層114を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、たとえば硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、ビア124及び導電回路126を形成することができる。ビア124は下地膜118及びめっき層122で構成されることになる。一方、導電回路126は、金属箔層114及び金属層(無電解めっき層の下地膜118及びめっき層122)が積層して構成されることになる。このようにして、積層体110にビア124を形成することにより、第1ビルドアップ層128を形成することができる。
【0077】
以上により、本実施形態のプリント配線板100が得られる。また、第1実施形態で得られたプリント配線板100を内層回路基板として用い、この内層回路基板上にビルドアップ層をさらに形成してもよい。
【0078】
[半導体装置150]
図2は、半導体装置150の構造を示す断面図である。
第1実施形態のプリント配線板100上に不図示の半導体チップを実装して、半導体装置150を得ることができる。図2に示すように、半導体装置150は、プリント配線板100、プリント配線板100上に実装された半導体素子138、及びプリント配線板100と半導体素子138とを電気的に接続するバンプ134を有する。これらのプリント配線板100と半導体素子138との間にはソルダーレジスト層130が形成されている。ソルダーレジスト層130内において、ビア124は配線層132及びバンプ134を介して半導体素子138と電気的に接続している。すなわち、ビア124の上部、配線層132及びバンプ134の周囲にはソルダーレジスト層130が形成されている。一方、半導体素子138は、その周囲にアンダーフィル136が形成されて、パッケージングされている。
【0079】
配線層132は、例えば、サブトラクティブ工法により作製する。また、任意のビルドアップ層を積層して、アディティブ工法により層間接続及び回路形成する工程を繰り返し、プリント配線板を形成してもよい。ソルダーレジスト層130の積層方法としては、とくに限定されないが、積層体110または第1ビルドアップ層128の積層方法と同様の方法であってもよいし、別の方法であってもよい。ソルダーレジスト層130に使用される材料は、とくに限定されないが、積層体110または第1ビルドアップ層128に使われる材料を適宜使用してもよいし、別の材料を使用してもよい。例えば、ソルダーレジスト材料は繊維基材を樹脂組成物に含ませてなるものであることが好ましい。ソルダーレジスト層130の作製方法は、とくに限定されないが、本実施形態における樹脂層106と同様の作製方法であってもよいし、別の作製方法であってもよい。
【0080】
第1実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態のプリント配線板100によれば、樹脂層106の第1面10から第2面20に向かって徐々に開口径が小さくなる開口部116にビア124が埋設されている。本発明者らが検討した結果、このような開口部に埋設されたビアは、第2面から第1面方向に向かって樹脂層に加えられた負荷により、樹脂層から抜け出しやすいことが判明した。そこで、さらに検討したところ、ビア124の上部に、繊維基材108の一部(突出部109)が樹脂層106から突出してビア124の内部に食い込むような構造を採用することにより、ビア124の脱離が防止されることを見出した。本実施形態では、繊維基材108が樹脂層106に埋め込まれるとともにビア124の内部に埋設されている。このため、繊維基材108は樹脂層106とビア124との相対位置のズレを抑制することができる。これにより、樹脂層106の膜厚方向に応力が加えられたとしても、繊維基材108がビア124の位置を固定しているので、ビア124が開口部116から脱離することが抑制される。従って、接続信頼性に優れたプリント配線板100が得られる。
【0081】
図1に示されるように、開口部116の断面形状は、下方から上方に向かって裾広がりの構造である。このような構造において下方から上方への応力を受けた場合、次のことが、本発明者らにより明らかとなった。第1に、開口部116の高さが小さくなるほど、開口部116内面とビア124との接触面積が小さくなり、開口部116に埋設されたビア124は脱離し易くなる(第1の場合)。第2に、開口部116の裾の広さ(開口径L2に対する開口径L1の比率)が大きくなるほど、力学的に開口部116に埋設されたビア124は脱離し易くなる(第2の場合)。本実施形態によれば、以上のような第1及び第2の場合においても、突出部109がビア124の位置を固定しているので、ビア124が開口部116から脱離することが抑制される。
【0082】
従来の特許文献2のプリント配線板の製造方法は次の通りである。まず、コア層として、補強材を中間層に有する樹脂層を用意する。樹脂層の上面から中央部に向かってレーザー照射するとともに、下面から中央部に向かってレーザー照射する。これにより、両側から2つの開口部を形成して、両面テーパを有するビアホールを形成する。ビアホールにおいて、これらの開口部が交差する中央部に、補強材が突出している。次いで、このようなビアホールにデスミア処理を行い、めっきにより金属膜を埋設する。
【0083】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記の従来技術には、次の点に改善の余地があることを見出した。まず、特許文献2では、ビアホールの最小の開口径である部分に、補強材が突出している。この部分において、補強材はビアホールの開口を塞いでしまう。このため、ビアホールの下部へのめっき液の回り込み性が低下したり、ビアホールの下部におけるデスミア処理が不十分になり得る。このため、従来のプリント配線板においては、歩留まりが低下していた。また、断面視において、2つの開口部の公差位置と補強材との位置を正確に制御することは困難である。また、平面視において、第1開口部の最小径の開口位置と、第2開口部の最小径の開口位置との位置ズレがおこることがあった。このため、従来のプリント配線板においては、製造マージンが低下するとともに、作業性も低下していた。
【0084】
これに対して、本実施形態によれば、開口部116の側壁のうち、最小の開口径よりも大きい開口径を構成する部分に繊維基材108の突出部109が形成されている。言い換えると、開口径が比較的大きい開口部116の上部に突出部109が形成されている。このため、開口部116の下部へのめっき液が流入することを妨げないし、開口部116の底部に対するデスミア処理も妨げない。従って、歩留まりに優れたプリント配線板100を得ることができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、開口部116は第1面10側から第2面20側に向かって一方向から形成されている。開口部116は、対向する2方向から形成された開口部よりも、簡単な構造となる。また、2つの開口の位置合わせも不要である。また、開口部116の上部側のいずれかの位置で突出部109が偏在していればよいので、製造マージンが高い。従って、本実施形態によれば、製造マージンが高く、製造安定性も高いプリント配線板100を得ることができる。
また、繊維基材108は、プリント配線板の半導体チップ搭載面側に偏在しているため、プリント配線板の半導体チップ側の部分と、半導体チップとの線膨張係数差を小さくすることができる。これにより、半導体チップの剥離等を防止することができる。
【0086】
第1実施形態の変形例について説明する。図7及び図8は、第1実施形態のプリント配線板100の変形例を示す。
図7に示すように、基板102の両面にビルドアップ層が形成されていてもよい。すなわち、基板102の一面上に第1ビルドアップ層128が形成されており、基板102の他面上に第2ビルドアップ層128が形成されていてもよい。各ビルドアップ層は、同種の材料を用いてもよいが、異種の材料を用いても良い。各層において、ビア数や配線数等は適切に設定できる。
【0087】
また、図8に示すように、基板102に貫通孔142が形成されていてもよい。貫通孔142の内壁にはめっき膜144が形成されている。このめっき膜144は、基板102の一面上に形成された配線と他面上に形成された配線とを電気的に接続することができる。例えば、図3(c)に示す工程の後、基板102に貫通孔142を形成する。この後、貫通孔142上にめっき膜144を形成する。この後、図4(a)に示す工程以後と同様にする。これにより、図8に示すプリント配線板が得られる。
【0088】
他の変形例としては、積層体110としては、ビルドアップ層に用いるだけではなく、コア層に用いてもよい。また、第1ビルドアップ層128の面内方向において、少なくとも1つのビア124において突出部109が埋入していればよいが、全てのビア124に突出部109が埋入していることが好ましい。また、ビルドアップ層が多層の場合には、少なくとも1層において、ビア124に突出部109が埋入されていればよいが、各層において、ビア124に突出部109が埋入している事が好ましい。
また、図6に示す導電回路126を形成する工程は、各工程を入れ替えてもよく、例えば、金属箔層114上にレジスト層120を形成し、めっき層122を形成した後、レジスト層120を除去する工程でもよいが、金属箔層114上にめっき層122を形成し、めっき層122上にレジスト層120を形成してエッチングした後、レジスト層120を除去する工程でもよい。
【0089】
(第2実施形態)
図10は、プリント配線板200の一部を拡大した拡大断面図を示す。
第2実施形態のプリント配線板200には、開口部208Aおよび間隙208からなる開口部204Aが形成されており、この開口部204Aに導体(ビア124)が埋め込まれている点を除いて、第1実施形態と同様である。
【0090】
プリント配線板200において、開口部116の最小径となる部分よりも第2面20側の領域において、樹脂層106と内部回路104との間に位置する間隙208が形成されている。この間隙208は、樹脂層106および内部回路104のうち少なくともいずれか一方に形成され、開口部208Aを介して開口部116に連通している。開口部116の周壁あるいは内部回路104の表面を、欠損することで、間隙208が形成される。
そして、第1面10側からの平面視において、間隙208は、開口部116の最小の開口径となる部分を構成する側壁よりも、開口部116外側に位置し、間隙208および開口部116にビア124が充填されている。
【0091】
内部回路104は、樹脂層106の第2面20に直接接触して設けられており、ビア124と電気的に接続するものである。ここで、ビア124上部は、開口部116の最大の開口径L1を有する開口端よりも上部に位置している。ビア124中部は、開口部116の最大の開口径L1を有する開口端から最小の開口径L2を形成する部分までの間に位置している。また、ビア124下部は、開口部116の最小の開口径L2を有する部分より下方に位置している。これらのビア124の上部、中部及び下部は、連続かつ一体に形成されている。この中で、ビア124の下部は脱落防止機能を有している。
【0092】
ビア124は、開口部116の最小の開口径L2を有する部分より下方に、開口径L2よりも大きい横幅(プリント配線板の厚さ方向と直交する方向の幅寸法)の領域を有する。この領域は、開口部204A内に充填された部分で構成されている。すなわち、第1面10側からの平面視において、開口部204Aの側壁は、開口部116の最小の開口径となる部分を構成する側壁よりも、開口部116外側に位置している。
ビア124の下部は、ビア124の上部とは対称ではなく、異なる構造を有する。すなわち、断面視において、ビア124は、最小の開口径L2を有する開口より下方の横幅は、最大の開口径L1を有する開口より上方の横幅より小さいことが好ましい。
【0093】
ビア124は、開口部202の側壁から第2面20に沿って形成されている。ビア124の中部と下部との間には、くびれが形成されている。樹脂層106の側壁は、ビア124のくびれに沿って形成されている。この樹脂層106の断面形状は、鋭角形状である(ここで、鋭角とは、ビア124に沿って形成された開口部202の側壁と第2面20との成す角が鋭角であればよく、その先端の一部が丸みを帯びていてもよい)。
【0094】
開口部202は、開口部116、この開口部116に連通する開口部204Aを含む。開口部202は、断面視において、第1面10から第2面20に向かって開口径が連続的又は不連続的に小さくなるように構成されており、より好ましくは連続的に小さくなるように構成されている。本実施形態では、開口部202の下部の一部において(繊維基材108が形成された位置よりも下方)、開口部116の最小の開口径L2よりも幅広の開口部204Aを有している。
ただし、開口部116の最小開口径となる部分からは、繊維基材は突出しない。
【0095】
開口部204Aは、開口部116から露出する内部回路104の表面を欠くことで形成された開口部208Aと、この開口部208Aに連通し、プリント配線板の厚さ方向と直交する方向に延在する間隙208とを備える。開口部208Aは開口部116側から、内部回路104側にいたるまで径が等しく、円柱形状となっている。
間隙208は、内部回路104の底面204、側壁206及び樹脂層106の第2面20で囲まれて構成されている。本実施形態では、内部回路104の表面を欠くことで、間隙208が形成されている。
間隙208の断面形状は、特に限定されないが、コの字状、U字状等が挙げられる。間隙208は、平面視において、開口部116の最小の開口径L2を有する部分より外側に形成されていればよい。間隙208は、開口部208Aの周縁の一部に形成されていてもよく、開口部208Aの全周囲にリング状に形成されていてもよい。
開口部208Aおよび間隙208内には、ビア124が埋設されている。
間隙208には、ビア124が埋設されていれば特に限定されず、下地膜118及びめっき層122の両方が埋設されていてもよく、下地膜118又はめっき層122のいずれか一方のみが埋設されていてもよい。このようなビア124は、例えば、樹脂層106の第2面20、内部回路104の底面204及び側壁206のそれぞれに接していることが好ましい。このように、第2実施形態においては、ビア124と内部回路104との接触面積が第1実施形態と比較して向上するので、プリント配線板200の耐衝撃性及び耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0096】
第2実施形態では、最小の開口径L2よりも幅広の開口部204Aの内部までビア124が埋設されている。このビア124の下部(開口部204Aに埋設された導体の埋設部)は、開口径L2よりも幅広の横幅を有する。このため、ビア124の下部は、ビア124全体が開口径L2の開口を通過して開口径L1の開口から脱離することを制止する。したがって、ビア124が開口部202から脱離することが抑制される。従って、接続信頼性に優れたプリント配線板200が得られる。
また、ビア124と内部回路104との接触面積は、ビア124が間隙208に埋設されていない場合と比較して増加している。このため、ビア124と内部回路104との接続不良が低減される。従って、本実施形態では、耐ヒートサイクル特性が向上する。
【0097】
次に、第2実施形態のプリント配線板200の製造方法について説明する。
図11〜図12は、第2実施形態のプリント配線板200の製造方法の工程手順を説明する工程断面図である。第2実施形態のプリント配線板200の製造方法は、開口部を形成後、開口部にソフトエッチングする点を除いて、第1実施形態と同じである。第1実施形態と共通する製法は適宜説明を省く。
【0098】
まず、図11(a)に示すように、第1実施形態の図3(a)〜図4(b)の工程を経ることにより、図示された構造体を得る。この構造体において、開口部116の底面(第2面側の開口端)において内部回路104の表面が露出している。次いで、図11(b)に示すように、導電層(内部回路104)の表面をソフトエッチングする。例えば、膜厚0.2〜2μm程度が除去されるようにソフトエッチングする。内部回路104には、深さ方向及び横方向(内部回路104の厚さ方向および厚さ方向に直交する横方向)にえぐられたような開口部204Aが形成されている。ソフトエッチングには、例えば、硫酸と過酸化水素水との混合液からなる薬液を用いることができる。ここで、開口部116と開口部204Aとが連続して構成された空隙部を開口部202とする。また、ソフトエッチングにより、開口部202の内部の樹脂層106の一部が側壁方向にサイドエッチングされていてもよい。
たとえば、図13に示すように、開口部116の第2面20側の領域に、最小開口径となる部分よりも幅広となる部分が形成されていてもよい。この場合、開口部116は、第1面側から第2面側に向かって縮径する開口部116Aと、この開口部116Aに連通する開口部116Bとで構成される。
また、開口部116Bは、開口部116A側から開口部208A側まで径が等しく、開口部116Bは円柱形状となっている。この場合には、開口部116Bの開口部116Aの最小径部分よりも外側に形成された部分が間隙に該当する。
開口部116、間隙208には、ビアが充填されている。
なお、図13に示すような開口部116を形成する場合にも、樹脂層106の第1面から第2面に至るまで、第1面側から樹脂層106を除去する。
さらには、図13において、開口部204Aが形成されていなくてもよい。
【0099】
引き続き、図11(c)に示すように、第1実施形態と同様に、開口部202の底面(内部回路104上)及び側壁上、樹脂層106の第1面10上に下地膜118を形成する。次いで、第1実施形態と同様に、図12(a)に示すように、第1面10上に配置された下地膜118上に、所定のパターンを有するレジスト層120を形成する。次いで、図12(b)に示すように、開口部202の内部及びレジスト層120の離間部を埋め込むようにめっき層122を形成する。次いで、このレジスト層120を除去した後、めっき層122が形成されている領域以外の下地膜118および金属箔層114を除去する。以上により、図12(c)に示すようなプリント配線板200を得ることができる。第2実施形態のプリント配線板200は、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図14〜図19を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
【0101】
[プリント配線板300]
図14は、第3実施形態に係るプリント配線板300の構成を示す断面である。
本実施形態のプリント配線板300は、繊維基材108が樹脂層106の中央部よりも第2面20側に偏在している点で第1実施形態と異なっている。本実施形態では、繊維基材は、樹脂層106の中央部(厚みの中心位置)よりも第1面10側には配置されていない。そして、繊維基材108の一部(突出部109)は、樹脂層106中央部よりも第2面20側における開口部116の側壁から突出している。他の点は第1実施形態と同様である。
【0102】
また、図14に示すL4は、プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、突出部109の先端部から他の突出部109の先端部までの離間距離を示す。
【0103】
以下、プリント配線板300の各構成について詳細に説明する。
【0104】
繊維基材108は、樹脂層106の第2面20側に偏在している。繊維基材108が偏在するとは、繊維基材108の全体が樹脂層106の中心線M2と第2面20との間に埋設されていること、すなわち距離D1が距離D2より大きいことを意味する。例えば、D1/D2が、好ましくは6/4以上9/1以下であり、より好ましくは7/3以上8/2以下である。D1/D2を下限値以上とすることにより、開口部116内部へのめっき液の回り込み性を高めることができる。これにより、製造安定性に優れたプリント配線板が得られる。D1/D2の範囲は後述する実施形態も同様である。
【0105】
繊維基材108の突出部109は、断面視において、第2面20から中心線M2までの間に位置しており、ビア124の内部に食い込んでいる。言い換えると、突出部109は、第1面10から中心線M2までの間には、配置されていない。突出部109はビア124と結合している(換言すると、ビア124内に突出部109が嵌入している)。
【0106】
また、プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、対向する突出部109の先端間の距離L4/開口径L2が、好ましくは1/5以上9/10以下であり、より好ましくは1/2以上4/5以下である。突出部109の長さL3、突出部109が開口部116内部のビア124に埋設されている限り特に限定されないが、距離L4/開口径L2が上記範囲内となるように特定されていることが好ましい。距離L4/開口径L2を上記範囲内とすることにより、長さL3が適度であるために、めっき液の回り込み性とともにビア124の接続信頼性を向上させることができる。
【0107】
次に、本実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。図16〜19は、プリント配線板300の製造工程の手順を示す工程断面図である。
本実施形態のプリント配線板300の製造方法は、次の工程を含む。コア層(基板102)を形成する工程、非対称プリプレグから構成される積層体110A形成工程、及びビア124を形成する工程。以下、各工程について説明する。
【0108】
<コア層形成工程>
まず、第一実施形態と同様、一面上に金属箔が張り付けられた基板102を準備する。
【0109】
次いで、第一実施形態と同様、金属箔上に不図示の保護膜を形成する。続いて、保護膜を所定形状にパターニングする。この保護膜を用いて、金属箔を選択的にエッチングする。これにより、図16(a)に示すように、基板102の上に所定のパターン形状を有する内部回路104を形成する。本工程で、保護膜としてはエッチングレジストや感光性レジストなどを用いることができる。
【0110】
<積層体形成工程>
次いで、図16(b)に示すように、積層体110Aを用意する。積層体110Aは繊維基材108の位置が樹脂層106の第2面20側に偏在している点のみ、第一実施形態の積層体110と異なる。他の点は、同様である。積層体110Aは、特に限定されないが、例えば、繊維基材入りの樹脂層106の少なくとも一面に金属箔層112が積層されたものを用いることができる。すなわち、積層体110は、基材を含浸したプリプレグに金属箔を形成することにより形成される。金属箔としては、例えば、銅箔を用いることが好ましい。積層体110は、例えば、プリプレグを複数枚重ね合わせたもの等を用いることができる。積層体としては、少なくとも片面にキャリア箔付き極薄金属箔を重ね合わせて加熱加圧成形したもの等を用いることができる。なお、ビルドアップ層の層間絶縁層には、コア層と同じ材料のものを用いてもよいが、基材または樹脂組成物が異なっていてもよい。
【0111】
(プリプレグ)
プリプレグの製造方法は第1実施形態と同様であり、非対称なプリプレグ3が得られる。図16(b)に示すように、樹脂層106は、繊維基材108が樹脂層106の厚さ方向に対して偏在している。このようなプリプレグを非対称プリプレグと呼称する。
【0112】
(積層体110A)
得られた非対称プリプレグ(樹脂層106)の片面又は両面に、金属箔層112を配置した構成で加熱加圧して積層する。これにより積層体110Aを得る。金属箔層112の表面にはキャリア箔が付与されていてもよい。
【0113】
<ビア形成工程>
次いで、図16(c)に示すように、基板102の一面上に積層体110Aを配置する。例えば、加熱加圧により基板102上に積層体110Aを形成する。本実施形態では、基板102の片面上のみの積層体110Aを形成しているが、これに限定されず、基板102の両面上に積層体110Aを形成しても良い。また、本実施形態では、金属箔層112が形成された非対称プリプレグを基板102上に形成しているが、これに限定されず、基板102上に非対称プリプレグを形成した後、この非対称プリプレグ上に金属箔層を形成してもよい。
【0114】
次いで、金属箔層112上に不図示のレジストを形成する。続いて、図17(a)に示すように、レジストをマスクとして、選択的エッチングを行う。これにより、所定のパターンを有する金属箔層114を形成する。
【0115】
次いで、第1実施形態と同様、図17(b)に示すように、レーザー等を用いて、樹脂層106を選択的に除去する。これにより、樹脂層106に開口部116を形成する。本工程において、開口部116は、樹脂層106の第1面10から第2面20まで貫通する貫通孔となるように形成される。開口部116の側壁には、繊維基材108の一部(突出部109)が突出している。
【0116】
次いで、樹脂層106の開口部116の内部に対して、デスミア処理を行う。
【0117】
デスミア処理後、図17(c)に示すように、金属箔層114上及び開口部116の底面上及び側壁上に下地膜118を形成する。下地膜118は、イオンプレーティング、スパッタリング、真空蒸着、PVD法(physical vapor deposition)、又はCVD法(chemical vapor deposition)を用いて形成してもよい。ここでは、第1実施形態と同様、下地膜118は無電解めっき法を用いて形成する。
【0118】
次いで、図18(a)に示すように、下地膜118上に所定の開口パターンを有するレジスト層120を形成する。
【0119】
次いで、図18(b)に示すように、少なくともレジスト層120の開口パターン内部かつ無電解めっき層上に、電気めっき処理により、めっき層122を形成する。めっき処理中、下地膜118は給電層として働く。この下地膜118は開口部116の内壁に形成された薄膜である。一方、めっき層122は、開口部116の内部に埋設された埋設体である。電気めっきとしては、特に限定されないが、通常のプリント配線板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅等のめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流す等の方法を使用することができる。めっき層122は単層でもよく多層構造を有していてもよい。めっき層122の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田などを用いることができる。
【0120】
次いで、図18(c)に示すように、アルカリ性剥離液や硫酸又は市販のレジスト剥離液等を用いてレジスト層120を除去する。
【0121】
次いで、図19に示すように、めっき層122が形成されている領域以外の下地膜118および金属箔層114を除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、下地膜118および金属箔層114を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、たとえば硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、ビア124及び導電回路126を形成することができる。ビア124は下地膜118及びめっき層122で構成されることになる。一方、導電回路126は、金属箔層114及び金属層(無電解めっき層の下地膜118及びめっき層122)が積層して構成されることになる。このようにして、積層体110にビア124を形成することにより、第1ビルドアップ層128を形成することができる。
【0122】
以上により、本実施形態のプリント配線板300が得られる。また、第1実施形態で得られたプリント配線板300を内層回路基板として用い、この内層回路基板上にビルドアップ層をさらに形成してもよい。
【0123】
[半導体装置150]
図15は、プリント配線板300を有する半導体装置の構造を示す断面図である。
本実施形態のプリント配線板300上に不図示の半導体チップを実装して、半導体装置150を得ることができる。図15に示すように、半導体装置は、プリント配線板300、プリント配線板300上に実装された半導体素子138、及びプリント配線板300と半導体素子138とを電気的に接続するバンプ134を有する。これらのプリント配線板300と半導体素子138との間にはソルダーレジスト層130が形成されている。ソルダーレジスト層130内において、ビア124は配線層132及びバンプ134を介して半導体素子138と電気的に接続している。すなわち、ビア124の上部、配線層132及びバンプ134の周囲にはソルダーレジスト層130が形成されている。一方、半導体素子138は、その周囲にアンダーフィル136が形成されて、パッケージングされている。
【0124】
本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
繊維基材108は、基板102側に偏在しているため、樹脂層106の基板102側の領域と基板102との間の線膨張係数の差分を小さくすることができる。これにより、樹脂層106と基板102との接合面近傍での膜剥がれが起きにくくなり、歩留まりに優れたプリント配線板300が得られる。
【0125】
さらに、本実施形態によれば、上面の開口近傍に繊維基材108の突出部109が形成されていない。このため、開口部116の上面開口からめっき液が流入することを妨げない。従って、歩留まりに優れたプリント配線板300を得ることができる。
【0126】
本実施形態の変形例について説明する。図20及び図21は、本実施形態のプリント配線板300の変形例を示す。
図20に示すように、基板102の両面にビルドアップ層が形成されていてもよい。すなわち、基板102の一面上に第1ビルドアップ層128が形成されており、基板102の他面上に第2ビルドアップ層128が形成されていてもよい。各ビルドアップ層は、同種の材料を用いてもよいが、異種の材料を用いても良い。各層において、ビア数や配線数等は適切に設定できる。
【0127】
また、図21に示すように、基板102に貫通孔142が形成されていてもよい。貫通孔142の内壁にはめっき膜144が形成されている。このめっき膜144は、基板102の一面上に形成された配線と他面上に形成された配線とを電気的に接続することができる。例えば、図16(c)に示す工程の後、基板102に貫通孔142を形成する。この後、貫通孔142上にめっき膜144を形成する。この後、図17(a)に示す工程以後と同様にする。これにより、図21に示すプリント配線板が得られる。
【0128】
他の変形例としては、積層体110Aとしては、ビルドアップ層に用いるだけではなく、コア層に用いてもよい。また、第1ビルドアップ層128の面内方向において、少なくとも1つのビア124において突出部109が埋入していればよく、全てのビア124に突出部109が埋入していることが好ましい。また、ビルドアップ層が多層の場合には、少なくとも各層に1以上のビア124に突出部109が埋入されていればよく、全層に亘って全てのビア124に突出部109が埋入している事が好ましい。また、図18に示す導電回路126を形成する工程は、各工程を入れ替えてもよく、例えば、金属箔層114上にレジスト層120を形成し、めっき層122を形成した後、レジスト層120を除去する工程でもよいが、金属箔層114上にめっき層122を形成し、めっき層122上にレジスト層120を形成してエッチングした後、レジスト層120を除去する工程でもよい。
【0129】
(第4実施形態)
図22〜図28を参照して、本実施形態のプリント配線板400について説明する。
図22、23は、第4の実施形態に係るプリント配線板400の構成を示す断面である。
本実施形態のプリント配線板400は、繊維基材108が樹脂層106の中央部よりも第2面20側に偏在している点で第2実施形態と異なっている。そして、繊維基材108の一部(突出部109)は、樹脂層106中央部よりも第2面20側における開口部116の側壁から突出している。他の点は第2実施形態と同様である。
【0130】
また、図22に示すM1、M2、D1〜D4及びL1〜L4は第三実施形態と同様である。
繊維基材108の突出部109は、断面視において、第2面20から中心線M2までの間に位置しており、ビア124の内部に食い込むように構成されている。言い換えると、突出部109は、第1面10から中心線M2までの間であってビア124の内部には形成されない。突出部109はビア124と結合している。突出部109の先端部は、プリント配線板の厚さ方向に沿った断面において、対向する先端部と連続しておらず、離間して構成されている。
【0131】
繊維基材108は、第2面20から中心線M2の間であれば(すなわち、第2面20側に偏在していれば)、複数積層方向に離間して配置されていてもよい。断面視において、開口部116の1つの側壁面からは、複数の突出部109が突出していてもよいが、接続信頼性とめっき液回り込み性とのバランスに優れるため、1つの突出部109のみが突出しているのが好ましい。
【0132】
また、断面視における突出部109の先端部から対向する先端部までのL4/開口径L2が、好ましくは1/5以上9/10以下であり、より好ましくは1/2以上4/5以下である。突出部109の長さL3、突出部109が開口部116内部のビア124に埋設されている限り特に限定されないが、距離L4/開口径L2が上記範囲内となるように特定されていることが好ましい。距離L4/開口径L2を上記範囲内とすることにより、長さL3が適度であるために、めっき液の回り込み性とともにビア124の接続信頼性を向上させることができる。
【0133】
次に、本実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。図25〜28は、プリント配線板400の製造工程の手順を示す工程断面図である。
本実施形態のプリント配線板400の製造方法は、次の工程を含む。コア層(基板102)を形成する工程、非対称プリプレグから構成される積層体110形成工程、及びビア124を形成する工程。以下、各工程について説明する。
【0134】
<コア層形成工程>
まず、第一実施形態と同様、一面上に金属箔が張り付けられた基板102を準備する。
【0135】
次いで、金属箔上に不図示の保護膜を形成する。続いて、保護膜を所定形状にパターニングする。この保護膜を用いて、金属箔を選択的にエッチングする。これにより、図25(a)に示すように、基板102の上に所定のパターン形状を有する内部回路104を形成する。本工程で、保護膜としてはエッチングレジストや感光性レジストなどを用いることができる。
【0136】
<積層体形成工程>
次いで、第3実施形態と同様、図25(b)に示すように、積層体110Aを用意する。
【0137】
<ビア形成工程>
次いで、図25(c)に示すように、基板102の一面上に積層体110Aを配置する。
【0138】
次いで、金属箔層112上に不図示のレジストを形成する。続いて、レジストをマスクとして、選択的エッチングを行う。これにより、所定のパターンを有する金属箔層114を形成する。
【0139】
次いで、図26(a)に示すように、レーザー等を用いて、樹脂層106を選択的に除去する。これにより、樹脂層106に開口部116を形成する。本工程において、開口部116は、樹脂層106の第1面10から第2面20まで貫通する貫通孔となるように形成される。開口部116の底面には、内部回路104の上面の一部が露出している。また、開口部116の側壁には、繊維基材108の一部(突出部109)が突出している。
開口部116は、第1実施形態と同様、第1面10から第2面20にいたるまで、第1面10側から樹脂層を除去することで形成される。
【0140】
次いで、図26(b)に示すように、第2実施形態と同様、内部回路104の表面をソフトエッチングする。例えば、膜厚0.2〜2μm程度が除去されるようにソフトエッチングする。内部回路104には、深さ方向及び横方向にえぐられたような開口部204Aが形成されている。ソフトエッチングには、例えば、硫酸と過酸化水素水との混合液からなる薬液を用いることができる。ここで、開口部116と開口部204Aとが連続して構成された空隙部を開口部202とする。また、ソフトエッチングにより、開口部202の内部の樹脂層106の一部が側壁方向にサイドエッチングされていてもよい。
たとえば、本実施形態においても、第2実施形態と同様、図13に示すような、開口部116の第2面側に、最小開口径となる部分よりも幅広となる部分が形成されていてもよい。この場合、開口部116は、第1面側から第2面側に向かって縮径する開口部116Aと、この開口部116Aに連通する開口部116Bとで構成される。
また、開口部116Bは、開口部116A側から開口部208A側まで径が等しく、開口部116Bは円柱形状となっている。さらには、第2実施形態と同様、図13において、開口部204Aが形成されていなくてもよい。
【0141】
次いで、樹脂層106の開口部202の内部に対して、デスミア処理を行う。
【0142】
デスミア処理後、図26(c)に示すように、金属箔層114上及び開口部202の底面(内部回路104)上及び側壁上に下地膜118を形成する。
【0143】
次いで、図27(a)に示すように、下地膜118上に所定の開口パターンを有するレジスト層120を形成する。
【0144】
次いで、図27(b)に示すように、少なくともレジスト層120の開口パターン内部かつ無電解めっき層上に、電気めっき処理により、めっき層122を形成する。
【0145】
次いで、図27(c)に示すように、アルカリ性剥離液や硫酸又は市販のレジスト剥離液等を用いてレジスト層120を除去する。
【0146】
次いで、図28に示すように、めっき層122が形成されている領域以外の下地膜118および金属箔層114を除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)等を用いることにより、下地膜118および金属箔層114を除去することができる。このようにして、積層体110にビア124を形成することにより、第1ビルドアップ層128を形成することができる。
【0147】
以上により、本実施形態のプリント配線板400が得られる。また、プリント配線板400を内層回路基板として用い、この内層回路基板上にビルドアップ層をさらに形成してもよい。
【0148】
[半導体装置150]
図24は、プリント配線板400を有する半導体装置の構造を示す断面図である。
本実施形態のプリント配線板400上に不図示の半導体チップを実装して、半導体装置を得ることができる。図24に示すように、半導体装置は、プリント配線板400、プリント配線板400上に実装された半導体素子138、及びプリント配線板100と半導体素子138とを電気的に接続するバンプ134を有する。これらのプリント配線板400と半導体素子138との間にはソルダーレジスト層130が形成されている。ソルダーレジスト層130内において、ビア124は配線層132及びバンプ134を介して半導体素子138と電気的に接続している。すなわち、ビア124の上部、配線層132及びバンプ134の周囲にはソルダーレジスト層130が形成されている。一方、半導体素子138は、その周囲にアンダーフィル136が形成されて、パッケージングされている。
【0149】
配線層132は、例えば、サブトラクティブ工法により作製する。また、任意のビルドアップ層を積層して、アディティブ工法により層間接続及び回路形成する工程を繰り返し、プリント配線板を形成してもよい。ソルダーレジスト層130の積層方法としては、とくに限定されないが、積層体110Aまたは第1ビルドアップ層128の積層方法と同様の方法であってもよいし、別の方法であってもよい。ソルダーレジスト層130に使用される材料は、とくに限定されないが、積層体110Aまたは第1ビルドアップ層128に使われる材料を適宜使用してもよいし、別の材料を使用してもよい。例えば、ソルダーレジスト材料は繊維基材を樹脂組成物に含ませてなるものであることが好ましい。ソルダーレジスト層130の作製方法は、とくに限定されないが、本実施形態における樹脂層106と同様の作製方法であってもよいし、別の作製方法であってもよい。
【0150】
本実施形態の作用効果について説明する。
このような本実施形態によれば、第3実施形態および第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0151】
また、第2実施形態と同様に、図13に示したように、ソフトエッチングにより樹脂層106がサイドエッチングされていてもよい。この場合、開口部202の最下部において(繊維基材108の位置よりも下部において)、相対的に線膨張係数が大きい樹脂層106の体積が減少し、相対的に線膨張係数が小さいビア124の体積が増大する。従って、耐ヒートサイクル特性が向上することになる。
【0152】
本実施形態の変形例について説明する。図29及び図30は、本実施形態のプリント配線板400の変形例を示す。
図29に示すように、基板102の両面にビルドアップ層が形成されていてもよい。すなわち、基板102の一面上に第1ビルドアップ層128が形成されており、基板102の他面上に第2ビルドアップ層128が形成されていてもよい。各ビルドアップ層は、同種の材料を用いてもよいが、異種の材料を用いても良い。各層において、ビア数や配線数等は適切に設定できる。
【0153】
また、図30に示すように、基板102に貫通孔142が形成されていてもよい。貫通孔142の内壁にはめっき膜144が形成されている。このめっき膜144は、基板102の一面上に形成された配線と他面上に形成された配線とを電気的に接続することができる。例えば、図25(a)に示す工程の後、基板102に貫通孔142を形成する。この後、貫通孔142上にめっき膜144を形成する。この後、図25(b)に示す工程以後と同様にする。これにより、図30に示すプリント配線板が得られる。
【0154】
他の変形例としては、積層体110Aとしては、ビルドアップ層に用いるだけではなく、コア層に用いてもよい。また、第1ビルドアップ層128の面内方向において、少なくとも1つのビア124において突出部109が埋入していればよく、全てのビア124に突出部109が埋入していることが好ましい。また、ビルドアップ層が多層の場合には、少なくとも各層に1以上のビア124に突出部109が埋入されていればよく、全層に亘って全てのビア124に突出部109が埋入している事が好ましい。また、図26に示す導電回路126を形成する工程は、各工程を入れ替えてもよく、例えば、金属箔層114上にレジスト層120を形成し、めっき層122を形成した後、レジスト層120を除去する工程でもよいが、金属箔層114上にめっき層122を形成し、めっき層122上にレジスト層120を形成してエッチングした後、レジスト層120を除去する工程でもよい。
【0155】
(第5実施形態)
図31〜図41を参照して、本実施形態のプリント配線板500について説明する。
図31は、第5実施形態に係るプリント配線板500の構成を示す断面である。
本実施形態のプリント配線板500の第1ビルドアップ層128は、密着層(第二樹脂層)146を有している。他の点は、第3実施形態と同様である。
より詳細に説明すると、プリント配線板500は、樹脂層(第一樹脂層)106、繊維基材108、導体(ビア124)、端子(内部回路104)、及び密着層146を有する。繊維基材108は、樹脂層106の内部に位置している。第3実施形態と同様、ビア124(導体)は、図示された開口部116の内部に埋設されている。本実施形態では、樹脂層106'は、第一樹脂層である樹脂層106と、第二樹脂層である密着層146とで構成され、開口部116は、樹脂層106に形成された開口部116Aと、密着層146に形成された開口部146Aとで構成される。この開口部146Aと開口部116Aとは連通している。開口部116Aおよび開口部146Aとで一つの開口部116を形成しており、この開口部116は、樹脂層106の第一面側から、密着層146の内部回路104側の面に向けて縮径している。そして、詳しくは、後述するが、この開口部116は、樹脂層106の第1面10側から、密着層146の内部回路104側の面に至るまで、樹脂層106の第1面10側から樹脂層106、密着層146を除去することで得られたものである。
ビア124は、開口部116Aおよび開口部146A内部を一体的に埋め込み、開口部146Aから露出する内部回路104に電気的に接続されている。換言すると、ビア124は、開口部116Aおよび開口部146Aを貫通している。
開口部116は、プリント配線板500の厚さ方向に沿った断面視において、樹脂層106の第1面10から第2面20に向かって開口径が小さくなるように構成されている。導電部(内部回路104)は、樹脂層106の第2面20上に設けられており、導体(ビア124)と電気的に接続する。
密着層146は、繊維基材108と内部回路104との間に設けられていて、熱可塑性成分である熱可塑性樹脂を含有する。密着層146内部には繊維基材は配置されておらず、繊維基材108と内部回路104との間に他の繊維基材は存在しない。また、密着層146は、繊維基材108に含浸されていない。
また、このようなプリント配線板500において、繊維基材108は、開口部116の側壁から突出している。突出した繊維基材108の末端は、導体(ビア124)内部に位置する。すなわち、この繊維基材108は、ビア124の内部に埋め込まれた突出部109を有する。
本実施形態では、上に形成されるとは、直接接した状態で上に形成される態様及び第三部材を介して間接的に上に形成される態様のいずれも含む。また、図31に示すように、繊維基材108は、樹脂層106の内部において、樹脂層106の中央部よりも第2面側に偏在しており、かつ中央部よりも第2面側における開口部の側壁から突出していてもよいが、この態様に限定されずに、樹脂層106の中央部又は第1面10側に偏在してもよい。この中でも、繊維基材108は、樹脂層106の中央部よりも第2面側に偏在していることが好ましい。
【0156】
また、図31に示すM1、M2、D1〜D4及びL1〜L4は前記実施形態と同様であり、これらの好ましい範囲も第3実施形態と同様である。
【0157】
以下、プリント配線板500の構成について詳細に説明する。本実施形態のプリント配線板500は、密着層146を有する点以外は、第3実施形態と同様である。
【0158】
密着層146は、ビア124及び内部回路104の接合領域を除く、繊維基材108と内部回路104との間に形成されている。
密着層146は、突出部の下面を除く繊維基材108の下面全体を覆うように形成されていてもよいが、内部回路104に対応する領域のみにパターン形成されていてもよい。密着層146の膜厚は、たとえば以下のようである。密着層146の膜厚の下限値は、特に限定されないが、例えば、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。一方、密着層146の膜厚の上限値は、特に限定されないが、例えば、20μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。密着層146の膜厚を上記範囲内とすることにより、ビア間の接続信頼性と歩留まりのバランスに優れる。
【0159】
密着層146は、熱可塑性成分として熱可塑性樹脂を含有する。この熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1万以上である。また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量の上限値はたとえば、100万以下である。
なお、詳しくは後述するが繊維基材108と内部回路104との接触を防止するという観点から、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は3万以上であることが好ましく、さらには、9万以上であることが特に好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体などのポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマ−、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエンなどのジエン系エラストマーからなる群のうち、いずれか1種以上を用いることができる。
本実施形態では、密着層146は、熱可塑性成分を含有することにより、プリント配線板の積層工程の中の加熱加圧工程において、熱時変形が容易となる。密着層146は、ベースポリマーとして熱可塑性樹脂を含有していることが好ましく、例えば、全樹脂組成成分の合計値に対して、熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。熱可塑性樹脂の含有量の上限値は特に限定されないが、樹脂成分が前記熱可塑性樹脂のみからなるものであってもよく、樹脂組成成分の合計値に対して90質量%以下であってもよい。
また、密着層146の樹脂組成物成分全体に対する前記熱可塑性樹脂の含有率は、樹脂層106より高く、たとえば、樹脂層106の当該含有率の2倍以上とすることもできる。
このように、密着層146の重量平均分子量が1万以上の熱可塑性樹脂の含有量を樹脂層106よりも高くすることで、密着層146が繊維基材108内部に含浸されにくくなる。このような密着層146が、繊維基材108と内部回路104との間に存在することで、繊維基材108が内部回路104に接触しにくくなる。
さらに、密着層146に含まれる前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が25℃以上、320℃以下であることが好ましい。このような剛直な熱可塑性樹脂を使用することで、密着層146が繊維基材内部に含浸されにくくなる。このような熱可塑性樹脂としては、繰り返し単位中に、芳香環あるいは脂環式炭化水素を有する樹脂が好ましく、たとえば、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂からなる群から1種以上を選択して使用することができる。これらを用いることにより、耐熱性や耐薬品性をさらに高めることができる。
【0160】
次に、本実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。図33〜36は、プリント配線板500の製造工程の手順を示す工程断面図である。
本実施形態のプリント配線板500の製造方法は、次の工程を含む。コア層(基板102)を形成する工程、非対称プリプレグから構成される積層体110形成工程、及びビア124を形成する工程。以下、各工程について説明する。
【0161】
<コア層形成工程>
まず、第3実施形態と同様、一面上に金属箔が張り付けられた基板102を準備する。
【0162】
次いで、第3実施形態と同様、金属箔上に不図示の保護膜を形成する。続いて、保護膜を所定形状にパターニングする。この保護膜を用いて、金属箔を選択的にエッチングする。これにより、図33(a)に示すように、基板102の上に所定のパターン形状を有する内部回路104を形成する。本工程で、保護膜としてはエッチングレジストや感光性レジストなどを用いることができる。
【0163】
<積層体形成工程>
次いで、図33(b)に示すように、積層体110Bを用意する。積層体110Bは、第三実施形態の積層体110Aに、密着層146を加えたものである。他の点は、積層体110Aと同様である。すなわち、積層体110Bは、樹脂層106、繊維基材108、密着層146及び金属箔層112を有する。積層体110Bにおいては、樹脂層106の第1面10上に金属箔層112が積層される。上記金属箔としては、例えば、銅箔を用いることが好ましい。積層体110は、プリプレグを1層有していてもよく、複数層有していてもよい。積層体110Bのビルドアップ層には、コア層と同じ材料のものを用いてもよいが、繊維基材または樹脂組成物が異なっていてもよい。
【0164】
積層体110Bは以下のようにして製造できる。
たとえば、繊維基材108を含浸させた樹脂層106(第1樹脂層106a及び第2樹脂層106b)上に密着層146を直接積層形成する。あるいは、次の手法を採用してもよい。図41に示すように、剥離フィルムS1上に熱可塑性成分を含む密着層146を形成する。例えば、剥離フィルム上に、密着層146を構成する樹脂組成物を含む溶液を塗工して成膜する。次いで、剥離フィルムS2上に樹脂層を形成する。例えば、剥離フィルム上に、樹脂層106を構成する樹脂組成物を含む溶液を塗工して成膜する。これらの密着層146と樹脂層106との間に繊維基材108を配置して剥離フィルム付の密着層146と剥離フィルム付の樹脂層106とを重ねて圧着する。このとき、圧着力等の条件を適宜調整することで樹脂層106内部に繊維基材108を配置し、第1樹脂層106aに密着層146を圧着させることができる。例えば、第1及び第2剥離フィルムとしては、PET等を用いることができるが、これに限定されない。これにより、一括して構造体を形成することができる。
その後、構造体に対して、金属箔層112を配置した構成で加熱加圧して積層する。これにより積層体110Bを得る。
次に、図33(c)に示すように、内部回路104が設けられた基板102と、積層体110Bとを圧着する。
図39は、積層体110Bの一部(金属箔層112を省略した)と、内部回路104と、基板102との積層構造を示す。
本実施形態では、図33(c)に示す積層構造としては、図39(a)に示す積層構造を用いることができる。図39(a)に示す積層構造は、樹脂層106a、繊維基材108、樹脂層106b及び金属箔層114の順で積層した構造を有する。樹脂層106a、106bにより、樹脂層106が構成される。密着層146の膜厚は、図39(a)に示すように、内部回路104の膜厚よりも厚くてもよい。この密着層146の膜厚は、繊維基材108の下層の樹脂層106bの膜厚より厚くてもよい。
なお、図39(a)に示す積層構造において、密着層146の樹脂層106側の表面が平坦であったが、図39(b)、(c)に示すように、密着層146の樹脂層106側の表面が平坦でなくてもよい。
図39(b)及び図39(c)に示す積層構造では、密着層146の膜厚は、内部回路104の膜厚と同一又は薄くなっている。この密着層146の膜厚は、繊維基材108の下層の樹脂層106bの膜厚よりも薄くてもよい。図39(b)及び図39(c)に示す積層構造においては、密着層146は、回路104のパターンに応じた凹凸が形成されることとなる。密着層146は、内部回路104の形状に沿っており、その外表面の形状が、例えば、階段型でもよいし、釣鐘型でもよい。
【0165】
なお、積層体110Bの一部(金属箔層112を省略した)と、基板102と、内部回路104との積層構造としては、図40に示すものも採用できる。
図40(a)に示す積層構造は、樹脂層106a、繊維基材108、密着層146及び樹脂層106bの順番で積層された構造である。樹脂層106a、106bにより、樹脂層106が構成される。
図40(b)に示す積層構造は、樹脂層106a、繊維基材108、樹脂層106b、密着層146及び樹脂層106cの順番で積層された構造である。樹脂層106a、106b、106cにより、樹脂層106が構成される。
図40(c)に示す積層構造は、樹脂層106、繊維基材108及び密着層146の順番で積層された構造である。例えば、図40(a)及び図40(c)に示すように、密着層146は、繊維基材108に接してもよいが、繊維基材108を含浸していないことが好ましい。
このような密着層146は、繊維基材108の下側の全面に形成されることが好ましいが、内部回路104の形成位置に対応する部分に選択的に形成されていてもよい。言い換えると、後述の工程において、積層体110と基板102とを圧着させる工程において、内部回路104と繊維基材108との間に密着層146が配置されていればよい。
【0166】
なお、本実施形態では、基板102の片面上のみの積層体110Bを形成しているが、これに限定されず、基板102の両面上に積層体110Bを形成しても良い。この場合、積層体110Bと基板102との間には、両側ともに密着層146が配置されていることが好ましいが、一面のみに配置されてもよい。また、本実施形態では、密着層146は、積層体110Bの下部に形成していたが、この態様に限定されず、基板102の上面上に形成した状態で、この基板102上に銅箔付きプリプレグを積層してもよい。また、基板102上に、密着層146を有する樹脂層106を配置した後に、この樹脂層106上に金属箔層112を形成してもよい。また、本実施形態では、金属箔層112が形成された非対称プリプレグを基板102上に形成しているが、これに限定されず、基板102上に非対称プリプレグを形成した後、この非対称プリプレグ上に金属箔層を形成してもよい。
【0167】
<ビア形成工程>
次いで、金属箔層112上に不図示のレジストを形成する。続いて、図34(a)に示すように、レジストをマスクとして、選択的エッチングを行う。これにより、所定のパターンを有する金属箔層114を形成する。
【0168】
次いで、図34(b)に示すように、レーザー等を用いて樹脂層106及び密着層146を選択的に除去する。これにより、樹脂層106に開口部116Aを形成するとともに、密着層146に開口部146Aを形成して、開口部116を形成する。本工程において、樹脂層106の第1面10から、密着層146の内部回路104側の面に至るまで第1面10側から、樹脂層106及び密着層146を選択的に除去する。密着層146側から、樹脂層106側に向けて、密着層146や、樹脂層106を除去することはない。
開口部116Aは、樹脂層106の第1面10から第2面20まで貫通する。開口部146Aは、密着層146を貫通する。開口部146Aからは、内部回路104の上面の一部が露出している。また、開口部116の側壁には、繊維基材108の一部(突出部109)が突出している。
【0169】
次いで、第3実施形態と同様、開口部116の内部に対して、デスミア処理を行う。
【0170】
デスミア処理後、第3実施形態と同様、図34(c)に示すように、金属箔層114上、開口部116Aの側壁上、開口部146Aの側壁上、および開口部146Aから露出する内部回路104上に下地膜118を形成する。下地膜118は無電解めっき膜である。
【0171】
次いで、図35(a)に示すように、第三実施形態と同様、下地膜118上に所定の開口パターンを有するレジスト層120を形成する。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。
【0172】
次いで、図35(b)に示すように、第三実施形態と同様、少なくともレジスト層120の開口パターン内部かつ下地膜118上に、電気めっき処理により、めっき層122を形成する。
【0173】
次いで、図35(c)に示すように、第三実施形態と同様、アルカリ性剥離液や硫酸又は市販のレジスト剥離液等を用いてレジスト層120を除去する。
【0174】
次いで、図36に示すように、第三実施形態と同様、めっき層122が形成されている領域以外の下地膜118および金属箔層114を除去する。
【0175】
以上により、本実施形態のプリント配線板500が得られる。また、第5実施形態で得られたプリント配線板500を内層回路基板として用い、この内層回路基板上にビルドアップ層をさらに形成してもよい。
【0176】
[半導体装置150]
図32は、プリント配線板500を有する半導体装置の構造を示す断面図である。
本実施形態のプリント配線板500上に不図示の半導体チップを実装して、半導体装置150を得ることができる。図32に示すように、半導体装置は、プリント配線板500、プリント配線板500上に実装された半導体素子138、及びプリント配線板500と半導体素子138とを電気的に接続するバンプ134を有する。これらのプリント配線板500と半導体素子138との間にはソルダーレジスト層130が形成されている。ソルダーレジスト層130内において、ビア124は配線層132及びバンプ134を介して半導体素子138と電気的に接続している。すなわち、ビア124の上部、配線層132及びバンプ134の周囲にはソルダーレジスト層130が形成されている。一方、半導体素子138は、その周囲にアンダーフィル136が形成されて、パッケージングされている。
【0177】
配線層132は、例えば、サブトラクティブ工法により作製する。また、任意のビルドアップ層を積層して、アディティブ工法により層間接続及び回路形成する工程を繰り返し、プリント配線板を形成してもよい。ソルダーレジスト層130の積層方法としては、とくに限定されないが、積層体110Bまたは第1ビルドアップ層128の積層方法と同様の方法であってもよいし、別の方法であってもよい。ソルダーレジスト層130に使用される材料は、とくに限定されないが、積層体110Bまたは第1ビルドアップ層128に使われる材料を適宜使用してもよいし、別の材料を使用してもよい。例えば、ソルダーレジスト材料は繊維基材を樹脂組成物に含ませてなるものであることが好ましい。ソルダーレジスト層130の作製方法は、とくに限定されないが、本実施形態における樹脂層106と同様の作製方法であってもよいし、別の作製方法であってもよい。
【0178】
本実施形態によれは、第3実施形態と同様の効果を奏することができるうえ、以下の効果を奏することができる。
本実施形態では、密着層146は、重量平均分子量が1万以上の熱可塑性樹脂の含有量が樹脂層106よりも高く、樹脂層106に比べて、繊維基材108内部に含浸されにくい特性を有するものである。重量平均分子量が1万以上の熱可塑性樹脂は、分子鎖が長くなり、かつ、分子鎖間の絡まりが生じやすくなるため、繊維基材108内部に含浸しにくい傾向にある。また、重量平均分子量が1万以上の熱可塑性樹脂は、分子が動きにくいため、加熱された場合であっても、粘度が低くなりにくい。そのため、加熱状態においても、繊維基材108内部に含浸しにくい。このような密着層146が、繊維基材108と内部回路104との間に存在することで、繊維基材108が内部回路104に接触しにくくなる。これにより、プリント配線板500の信頼性を高めることができる。
特に、密着層146の重量平均分子量が1万以上の熱可塑性樹脂の含有量を、樹脂成分全体の20質量%以上とすることで、密着層146が繊維基材108内部に含浸されにくくなる。
通常、内部回路104の厚みは、面内方向においてばらついている。そのため、密着層146が設けられていない場合には、内部回路104に対して、繊維基材108入りの樹脂層を加熱圧着する工程等において、内部回路104の厚みが厚い部分と、繊維基材108とが接触する可能性がある。この場合、内部回路104の金属元素が繊維基材108にマイグレートしてビア間の絶縁信頼性に影響を及ぼすことが懸念される。
これに対して、密着層146を設けることで、繊維基材108が内部回路104に接触しにくくなり、ビア間の絶縁信頼性を確実に確保することができる。
【0179】
本実施形態の変形例について説明する。図37及び図38は、本実施形態のプリント配線板500の変形例を示す。
図37に示すように、基板102の両面にビルドアップ層が形成されていてもよい。すなわち、基板102の一面上に第1ビルドアップ層128が形成されており、基板102の他面上に第2ビルドアップ層128が形成されていてもよい。各ビルドアップ層は、同種の材料を用いてもよいが、異種の材料を用いても良い。各層において、ビア数や配線数等は適切に設定できる。
【0180】
また、図38に示すように、基板102に貫通孔142が形成されていてもよい。貫通孔142の内壁にはめっき膜144が形成されている。このめっき膜144は、基板102の一面上に形成された配線と他面上に形成された配線とを電気的に接続することができる。例えば、図34(a)に示す工程の後、基板102に貫通孔142を形成する。この後、貫通孔142上にめっき膜144を形成する。この後、図34(b)に示す工程以後と同様にする。これにより、図38に示すプリント配線板が得られる。
他の変形例としては、積層体110Bとしては、ビルドアップ層に用いるだけではなく、コア層に用いてもよい。また、第1ビルドアップ層128の面内方向において、少なくとも1つのビア124において突出部109が埋入していればよく、全てのビア124に突出部109が埋入していることが好ましい。また、ビルドアップ層が多層の場合には、少なくとも各層に1以上のビア124に突出部109が埋入されていればよく、全層に亘って全てのビア124に突出部109が埋入している事が好ましい。また、図35に示す導電回路126を形成する工程は、各工程を入れ替えてもよく、例えば、金属箔層114上にレジスト層120を形成し、めっき層122を形成した後、レジスト層120を除去する工程でもよいが、金属箔層114上にめっき層122を形成し、めっき層122上にレジスト層120を形成してエッチングした後、レジスト層120を除去する工程でもよい。
【0181】
なお、当然ながら、上述した実施形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【0182】
なお、本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)樹脂層と、前記樹脂層の内部において、前記樹脂層の中央部よりも第1面側に偏在している、繊維基材と、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる開口部が設けられており、前記開口部に埋め込まれた導体と、を備え、前記繊維基材が、前記中央部よりも前記第1面側における前記開口部の側壁から突出しており、突出した前記繊維基材の端部が、前記導体内部に位置している、プリント配線板。
(2)(1)に記載のプリント配線板であって、断面視において、突出した前記繊維基材の長さは0.1μm以上30μm以下である、プリント配線板。
(3)(1)または(2)に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の前記側壁から先端までの前記突出部の長さ/最大の開口径は1/100以上1/5以下である、プリント配線板。
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記第1面から前記繊維基材の中心線までの距離をD1とし、断面視において、前記第2面から前記繊維基材の中心線までの距離をD2とし、D1/D2が6/4以上9/1以下である、プリント配線板。
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の最大の開口径をL1、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L1は、L2の1.1倍以上L2の3倍以下である、プリント配線板。
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体は、少なくとも無電解めっき膜及び電解めっき膜で構成される金属膜である、プリント配線板。
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記樹脂層がビルドアップ層である、プリント配線板。
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記樹脂層の前記第2面上に設けられており、前記導体と電気的に接続する導電部と、を備え、前記樹脂層と前記導電部との間に形成されており、かつ、断面視において最小の開口径となる前記開口部の前記側壁から外側に向かって形成された間隙に、前記導体が埋め込まれている、プリント配線板。
(9)(8)に記載のプリント配線板であって、前記間隙が、前記導電層の表面をソフトエッチングすることにより形成されている、プリント配線板。
(10)(8)または(9)に記載のプリント配線板であって、前記間隙が、前記開口部の内部の前記樹脂層を側壁方向にサイドエッチングすることにより形成されている、プリント配線板。
(11)(1)から(10)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記繊維基材がTガラスまたはSガラスである、プリント配線板。
(12)樹脂層と、前記樹脂層の内部において、前記樹脂層の中央部よりも第2面側に偏在している、繊維基材と、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる開口部が設けられており、前記開口部に埋め込まれた導体と、を備え、前記繊維基材は、前記中央部よりも前記第2面側における前記開口部の側壁から突出しており、突出した前記繊維基材の端部が、前記導体内部に位置する、プリント配線板。
(13)(12)に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の前記側壁から先端までの前記突出部の長さ/最大の開口径は1/100以上1/5以下である、プリント配線板。
(14)(12)または(13)に記載のプリント配線板であって、断面視において、突出した前記繊維基材の長さは0.1μm以上30μm以下である、プリント配線板。
(15)(12)から(14)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記第1面から前記繊維基材の中心線までの距離をD1とし、断面視において、前記第2面から前記繊維基材の中心線までの距離をD2とし、D1/D2が6/4以上9/1以下である、プリント配線板。
(16)(12)から(15)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の最大の開口径をL1、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、
L1は、L2の1.1倍以上L2の3倍以下である、プリント配線板。
(17)(12)から(16)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体内部には2つの前記突出部が離間して設けられており、2つの前記突出部の距離をL4とし、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L4/L2が1/5以上9/10以下である、プリント配線板。
(18)(12)から(17)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体は、少なくとも無電解めっき膜及び電解めっき膜で構成される金属膜である、プリント配線板。
(19)(12)から(18)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記樹脂層がビルドアップ層である、プリント配線板。
(20)(12)から(19)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記繊維基材がTガラスまたはSガラスである、プリント配線板。
(21)樹脂層と、前記樹脂層の内部において、前記樹脂層の中央部よりも第2面側に偏在している、繊維基材と、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる開口部が設けられており、前記開口部に埋め込まれた導体と、前記樹脂層の前記第2面上に設けられており、前記導体と電気的に接続する導電部と、を備え、前記繊維基材は、前記中央部よりも前記第2面側における前記開口部の側壁から突出しており、突出した前記繊維基材の端部が、前記導体内部に位置しており、前記樹脂層と前記導電部との間に形成されており、かつ、断面視において最小の開口径となる前記開口部の前記側壁から外側に向かって形成された間隙に、前記導体が埋め込まれている、プリント配線板。
(22)(21)に記載のプリント配線板であって、前記間隙が、前記導電層の表面をソフトエッチングすることにより形成されている、プリント配線板。
(23)(21)または(22)に記載のプリント配線板であって、前記間隙が、前記開口部の内部の前記樹脂層を側壁方向にサイドエッチングすることにより形成されている、プリント配線板。
(24)(21)から(23)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の前記側壁から先端までの前記突出部の長さ/最大の開口径は1/100以上1/5以下である、プリント配線板。
(25)(21)から(24)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、突出した前記繊維基材の長さは0.1μm以上30μm以下である、プリント配線板。
(26)(21)から(25)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記第1面から前記繊維基材の中心線までの距離をD1とし、断面視において、前記第2面から前記繊維基材の中心線までの距離をD2とし、D1/D2が6/4以上9/1以下である、プリント配線板。
(27)(21)から(26)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の最大の開口径をL1、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L1は、L2の1.1倍以上L2の3倍以下である、プリント配線板。
(28)(21)から(27)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体内部には2つの前記突出部が離間して設けられており、2つの前記突出部の距離をL4とし、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L4/L2が1/5以上9/10以下である、プリント配線板。
(29)(21)から(28)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体は、少なくとも無電解めっき膜及び電解めっき膜で構成される金属膜である、プリント配線板。
(30)(21)から(29)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記樹脂層がビルドアップ層である、プリント配線板。
(31)(21)から(30)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記繊維基材がTガラスまたはSガラスである、プリント配線板。
(32)樹脂層と、前記樹脂層の内部に位置する繊維基材と、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる開口部が設けられており、前記開口部に埋め込まれた導体と、前記樹脂層の前記第2面上に設けられており、前記導体と電気的に接続する導電部と、前記繊維基材と前記導電部との間に設けられていて、熱可塑性成分を含む密着層と、を備え、前記繊維基材は、前記開口部の側壁から突出しており、突出した前記繊維基材の端部が、前記導体内部に位置する、プリント配線板。
(33)(32)に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の前記側壁から先端までの前記突出部の長さ/最大の開口径は1/100以上1/5以下である、プリント配線板。
(34)(32)または(33)に記載のプリント配線板であって、断面視において、突出した前記繊維基材の長さは0.1μm以上30μm以下である、プリント配線板。
(35)(32)から(34)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記第1面から前記繊維基材の中心線までの距離をD1とし、断面視において、前記第2面から前記繊維基材の中心線までの距離をD2とし、D1/D2が6/4以上9/1以下である、プリント配線板。
(36)(32)から(35)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、断面視において、前記開口部の最大の開口径をL1、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L1は、L2の1.1倍以上L2の3倍以下である、プリント配線板。
(37)(32)から(36)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体内部には2つの前記突出部が離間して設けられており、2つの前記突出部の距離をL4とし、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、L4/L2が1/5以上9/10以下である、プリント配線板。
(38)(32)から(37)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記導体は、少なくとも無電解めっき膜及び電解めっき膜で構成される金属膜である、プリント配線板。
(39)(32)から(38)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記樹脂層がビルドアップ層である、プリント配線板。
(40)(32)から(39)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記繊維基材がTガラスまたはSガラスである、プリント配線板。
(41)(32)から(40)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記密着層は、前記樹脂層よりも、樹脂成分全体に対する前記熱可塑性成分の含有率が高い、プリント配線板。
(42)(32)から(41)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記密着層は、前記繊維基材を含浸しない、プリント配線板。
(43)(32)から(42)のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、前記繊維基材は、前記樹脂層の内部において、前記樹脂層の中央部よりも第2面側に偏在しており、かつ前記中央部よりも前記第2面側における前記開口部の側壁から突出している、プリント配線板。
(44)第1剥離フィルム上に熱可塑性成分を含む密着層を形成する工程と、第2剥離フィルム上に樹脂層を形成する工程と、前記密着層と前記樹脂層との間に前記繊維基材を配置して前記第1剥離フィルムと前記第2剥離フィルムとを重ねて圧着する工程と、を有する、プリント配線板の製造方法。
この出願は、2011年6月17日に出願された日本特許出願2011−135421、2011−135430、2011−135431、2011−135433を基礎とする優先権を主張し、その開示をすべてここに取り込む。
【符号の説明】
【0183】
1 真空ラミネート装置
2 熱風乾燥装置
3 プリプレグ
4 シート状基材
5a キャリア材料
5b キャリア材料
7 ラミネートロール
10 第1面
20 第2面
100 プリント配線板
102 基板
104 内部回路(端子)
106 樹脂層
106a 樹脂層
106b 樹脂層
106c 樹脂層
108 繊維基材
109 突出部
110 積層体
110A 積層体
110B 積層体
112 金属箔層
114 金属箔層
116 開口部
116A 開口部
116B 開口部
116A 開口部
118 下地膜
120 レジスト層
122 めっき層
124 ビア
124 導体
126 導電回路
128 ビルドアップ層
130 ソルダーレジスト層
132 配線層
134 バンプ
136 アンダーフィル
138 半導体素子
142 貫通孔
144 膜
146A 開口部
146 密着層
150 半導体装置
200 プリント配線板
202 開口部
204A 開口部
204 底面
206 側壁
208A 開口部
208 間隙
300 プリント配線板
400 プリント配線板
500 プリント配線板
S1 剥離フィルム
S2 剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層と、
前記樹脂層内に位置する繊維基材とを備え、
前記樹脂層には、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる領域を有し、前記樹脂層を貫通する開口部が形成されており、
前記開口部を埋め込む導体と、
前記樹脂層の前記第2面に当接するとともに、前記第2面側から前記開口部の第2面側の開口面を被覆する端子とを有し、
前記端子は、前記導体に電気的に接続されるとともに、前記導体とは別体をなし、
前記繊維基材は、前記開口部の側壁から突出した突出部を有し、
前記突出部が、前記導体内部に位置している、プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記導体は、中実であるプリント配線板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリント配線板において、
前記開口部は、前記樹脂層の第1面および第2面間を貫通しており、
前記開口部は、前記第1面から前記第2面に至るまで前記第1面側から前記樹脂層を除去して得られたものであるプリント配線板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント配線板において、
前記開口部の最小径となる部分を構成する側壁からは、繊維基材が突出していないプリント配線板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、
前記導体は、中実であり、
前記導体は、前記開口部の前記第2面側の開口面から露出する前記端子表面および前記開口部の側壁を一体的に被覆する金属膜と、
前記金属膜の内側に充填された金属層とを備えるプリント配線板。
【請求項6】
請求項5に記載のプリント配線板において、
前記金属膜は無電解めっき膜であり、
前記金属層は、電解めっき膜であるプリント配線板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線板において、
前記繊維基材は、前記樹脂層の中央部よりも第1面側に偏在しているプリント配線板。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント配線板において、
前記繊維基材は、前記樹脂層の中央部よりも第2面側に偏在している、プリント配線板。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のプリント配線板において、
前記開口部の最小径となる部分よりも前記第2面側の領域において、前記樹脂層および前記端子のうち少なくともいずれか一方に、前記開口部に連通する間隙が形成され、
前記第1面側からの平面視において、前記間隙は、前記開口部の最小の開口径となる部分を構成する側壁よりも、前記開口部外側に位置し、
前記間隙および前記開口部に前記導体が充填されたプリント配線板。
【請求項10】
請求項9に記載のプリント配線板であって、
前記間隙が、前記端子の表面を厚さ方向および厚さ方向に直交する横方向にエッチングするソフトエッチングを行うことにより、形成されている、プリント配線板。
【請求項11】
請求項9または10に記載のプリント配線板であって、
前記間隙が、前記開口部を取り囲む前記樹脂層の側壁をサイドエッチングすることにより形成されている、プリント配線板。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記樹脂層は、前記繊維基材が内部に配置された第一樹脂層と、前記端子と前記繊維基材との間に設けられ、熱可塑性樹脂を含む第二樹脂層とを備え、
前記第二樹脂層は、重量平均分子量が1万以上である前記熱可塑性樹脂を、前記第一樹脂層よりも多く含むプリント配線板。
【請求項13】
請求項12に記載のプリント配線板において、
前記第二樹脂層は、重量平均分子量が1万以上である前記熱可塑性樹脂を、前記第二樹脂層の樹脂成分全体の20質量%以上含むプリント配線板。
【請求項14】
請求項12または13に記載のプリント配線板において、
前記熱可塑性樹脂は、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびフェノキシ樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂で構成されるプリント配線板。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかに記載のプリント配線板において、
前記第二樹脂層は、前記繊維基材に含浸されていないプリント配線板。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記繊維基材の前記突出部の長さは0.1μm以上30μm以下である、プリント配線板。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のプリント配線板であって、
前記開口部の前記側壁から先端までの前記突出部の長さ/前記開口部の最大の開口径は1/100以上1/5以下である、プリント配線板。
【請求項18】
請求項8に記載のプリント配線板であって、
前記樹脂層の厚み方向に沿った断面視において、前記第1面から前記繊維基材の中心線までの距離をD1とし、
前記樹脂層の厚み方向に沿った断面視において、前記第2面から前記繊維基材の中心線までの距離をD2とし、
D1/D2が6/4以上9/1以下である、プリント配線板。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、
前記開口部の最大の開口径をL1、前記開口部の最小の開口径をL2としたとき、
L1は、L2の1.1倍以上L2の3倍以下である、プリント配線板。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、
前記樹脂層がビルドアップ層である、プリント配線板。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載のプリント配線板であって、
前記繊維基材がTガラスまたはSガラスである、プリント配線板。
【請求項22】
第1面および第2面を有する樹脂層と、前記樹脂層内に位置する繊維基材と、前記樹脂層の第2面側に配置された端子とを備える積層体を用意する工程と、
前記繊維基材を貫通し、かつ、前記樹脂層の第1面から第2面に向かって開口径が小さくなる領域を有するとともに前記樹脂層を貫通する開口部を形成する工程と、
前記開口部内を導体で埋め込む工程とを含み、
開口部を形成する前記工程では、前記第1面から前記第2面に至るまで前記第1面側から前記樹脂層を除去するとともに、前記開口部の第2面側の開口面から前記端子が露出するように、前記開口部を形成し、
前記繊維基材の端部が前記開口部の側壁から突出するように、前記開口部を形成し、
前記開口部内を導体で埋め込む前記工程では、
前記開口部の側壁から突出した前記繊維基材の突出部が前記導体内部に位置するように、前記開口部内を前記導体で埋め込み、前記導体と前記開口部の第2面側の開口面から露出する前記端子とを電気的に接続するプリント配線板の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載のプリント配線板の製造方法において、
積層体を用意する前記工程では、
第1剥離フィルム上に第一樹脂層を形成する工程と、
重量平均分子量が1万以上である熱可塑性樹脂を、第一樹脂層よりも多く含む第二樹脂層を第2剥離フィルム上に形成する工程と、
前記第二樹脂層と前記第一樹脂層との間に前記繊維基材を配置して前記第1剥離フィルム付の第一樹脂層と前記第2剥離フィルム付の第二樹脂層とを重ねて圧着する工程と、
前記第1剥離フィルムを前記第一樹脂層から剥離し、前記第2剥離フィルムを前記二樹脂層から剥離して、前記第一樹脂層、前記繊維基材、前記第二樹脂層で構成される構造体を得る工程と、
前記構造体の前記第二樹脂層に当接する前記端子を設け、前記積層体を得る工程とを含み、
開口部を形成する前記工程では、前記第一樹脂層、前記繊維基材および前記第二樹脂層を貫通する開口部を形成するプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2013−21306(P2013−21306A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133421(P2012−133421)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】