説明

多層プリント配線基板とその製造方法

【課題】コア層部と、このコア層部の上に形成されたビルドアップ層とを有する多層プリント配線基板において、ビルドアップ層において、熱伝達性と絶縁信頼性とを同時に高めることは難しかった。
【解決手段】表層に第1配線層103が突出してなるコア層108と、このコア層108の上で、前記第1配線層103を埋設する第1絶縁層102と、前記第1配線層103と、前記第1絶縁層102の上に形成された第2配線層104とを接続する金属めっきビア105と、を有する多層プリント配線基板101であって、第1絶縁層102に含まれる芯材112と第1配線層103間に、フィラー114を存在させることによって、第1配線層103の厚みを厚くした場合であっても、芯材112と埋設された第1配線層103との間の距離をフィラー114の粒子径以上とし、ビルドアップ層109の熱伝導性と絶縁信頼性とを同時に高めた多層プリント配線基板101とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の絶縁層を有し、その主平面に形成された複数の配線層と、その配線層間を電気的に接続するビアを備えた多層プリント配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、産業用にとどまらず、広く民生用機器の分野においても、LSI等の半導体チップを高密度に実装できる多層プリント配線基板が強く要望されている。さらには、実装される半導体の高機能化に伴い、半導体からの発熱量が上昇すると共に狭隣接実装も伴い、半導体温度の上昇が深刻な課題となっている。そのため、多層プリント配線基板においても半導体の発熱対策の要望が重要となっており、発熱に対策する高密度配線多層プリント配線基板の必要性が増している。
【0003】
ここで多層プリント配線基板における半導体の発熱対策としては、半導体直下に電気的接続に対応しないサーマルビアの設置などもあるが、一つの有力な対策方法として、配線層に使用する金属導体箔の厚みを厚くすることで、多層プリント配線基板の平面方向の熱伝達性を向上させ、発熱した熱を拡散させる手法が多く用いられる。
【0004】
一方で、高密度配線を実現する多層プリント配線基板では、微細な配線ピッチで形成された複数の配線層間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。その層間接続の方法としては、絶縁層に形成した孔に金属めっき導体や導電性樹脂組成物を形成する方法がある。
【0005】
導電性樹脂組成物を層間接続の手段として用いる多層プリント配線基板においては、未硬化の絶縁性基材(プリプレグ)にレーザー等により孔を形成し、この孔に導電性樹脂組成物を充填し、銅箔等の金属導体箔をプリプレグの両面に積層する。そして、この積層体を加圧しつつ加熱することによって、導電樹脂組成物が硬化し導電性樹脂硬化物として金属導体箔と電気的接続をとるとともに、プリプレグが硬化することで、配線層間の電気的接続(導電性樹脂組成物)を設けている。
【0006】
ここで、導電性樹脂組成物は金属と樹脂とからなっているため、後で述べる金属導体のみで形成される金属めっきビアとは比較して熱伝導率は低く、層間接続における熱の伝達性は低いものとなっている。また、導電性樹脂組成物による層間接続を得る際に同時に絶縁層形成を行なうため、プリプレグの樹脂流動に制約を加える必要性が生じるため、多層形成する際、内層銅箔の厚みに制限が生じてしまうため、内層金属箔による熱の伝達性にも制限が生じる。
【0007】
金属めっきビアを層間接続の手段として用いる多層プリント配線基板においては、両面または片面に所望の配線回路を形成されたコア層において、コア層に未硬化の絶縁性基材(プリプレグ)を介して金属導体箔を加熱及び加圧工程によって一体積層を実施する。その後、所定の位置に炭酸ガスレーザー等により孔を形成し、さらに、液中での化学的および電気的処理による、無電解めっき工程、更には電解めっき工程によって、金属めっき導体を厚く設けて、配線層間の電気的接続(金属めっきビア)を設けている。ここで、金属めっきビアは金属導体のみで形成されるため、導電性樹脂組成物よりも層間接続における熱の伝達性は高く、さらには、プリプレグの加熱及び加圧工程と導体ビア形成が別工程となっているため、樹脂流動に制約を加える必要性がなく、厚い内層金属箔の使用も、導電性樹脂組成物と比較して可能となっている。よって、高密度配線で、かつ半導体の発熱対策を行なうことが可能な多層プリント配線基板としては、より効果的と考えられる。
【0008】
以上のように、従来の一般的な多層プリント配線基板の絶縁層は、熱硬化によって絶縁層を形成する有機樹脂と、機械的強度(曲げ強度、熱膨張抑制、割れ強度など)を得るために含まれている芯材と、難燃性や機械強度の補強のために含まれているフィラーから一般的に構成されている。
【0009】
図8は、従来の多層プリント配線基板におけるビルドアップ層であって、金属めっきビア接続を有するビルドアップ層の拡大模式断面図である。図8は、従来の多層プリント配線基板(番号は付与していない)のビルドアップ層分の拡大断面図である。なおビルドアップ層1の下に形成されているコア層部は図示していない。図8に示すようにコア層部(図示していない)の上に形成されている第1配線層2は、ビルドアップ層1に埋設される。そして、芯材5.有機樹脂6.フィラー7等からなる第1絶縁層(番号は付与していない)と、ビルドアップ層1の上面(あるいは露出面)に形成された第2配線層3との間は、金属めっきビア4によって接続されている。
【0010】
図9は、従来の多層プリント配線基板において、ビルドアップ層に埋め込まれる第1配線層の厚みが厚くなった場合に発生する課題について説明する断面図である。
【0011】
図9に示すように、ビルドアップ層1は、高肉厚の第1配線層2を埋設しており、ビルドアップ層1を構成する絶縁層(番号は付与していない)は、補強材としての芯材5と有機樹脂6とフィラー7を含んでいる。
【0012】
ここで、絶縁層(番号は付与していない)はプリプレグと呼ばれる有機樹脂が未硬化の絶縁性基材状態を加熱し、更に加圧させて形成される。このプリプレグは、溶媒中に有機樹脂とフィラーを分散させたワニスを芯材に含浸塗布させ、乾燥及び半硬化の工程を経て形成されている。その際、ワニス中に気泡が存在したり、芯材とワニスとの濡れ性が不十分であったりすると、芯材と芯材との間(複数繊維の隙間、あるいは織り目の隙間)、あるいは塗布した有機樹脂とフィラー間等にボイド8などの空隙が生じる可能性がある。
【0013】
このボイド8などの空隙がプリプレグを加熱及び加圧によって硬化させて絶縁層を形成した後でも残存する(例えば、外部に露出していない状態で、すなわちクラックとして残存する)可能性もあり、さらに、炭酸ガスレーザーやドリル加工などによって孔加工を行なった際、芯材と硬化された有機樹脂間および芯材自体にクラックが発生する可能性がある。
【0014】
この残存した空隙やクラックそのものは、当然のことながら絶縁性の低化を招くとともに、さらに薬液中での処理を伴う金属めっきビア接続においては、この空隙やクラックに(例えば、ビア孔の側面部分より)めっき薬液が染み込み、絶縁信頼性などに不具合が懸念される。
【0015】
特に、プリプレグの芯材において、その強度的な点とコスト面からガラス繊維を織り込んだ織布構造の芯材を用いた場合、芯材と外部との界面が増えるため、芯材内部まで有機樹脂成分が充填されず、空隙やクラックが残存することが多い。
【0016】
このようなめっき薬液の染み込みの対策として、特許文献1では、プリプレグおよび絶縁体の表層に金属導体箔を積層したCCLにおいて、レーザーによる孔加工を実施したときに生じる孔壁のガラス玉やガラス織布間及びガラス織布自体のクラックに注目している。そしてその発生を低減するために、絶縁層全体にレーザー照射のエネルギーを効率良く伝える手段として、フィラーによる熱の伝達を増加させ、結果、孔加工のダメージを抑制し、めっき液の染み込み性の抑制を行なっていた。
【0017】
しかしながら、半導体の発熱対策として、一定厚みの金属導体箔を有する高密度多層板においては、CCLなどとは異なって、第1絶縁層には一定の厚みのある第1配線層が埋設され、かつ、その反対面に第2配線層が設けられているとともに、さらに高密度配線のために第1絶縁層そのものの厚みも薄くなるため、第1配線層と第2配線層の距離は短くなり、狭ピッチ配線も伴って、金属めっきビアと第1配線層との距離も短くなっている。
【0018】
そのため、第1配線層2と第2配線層3に挟まれる芯材5と、第1、第2配線層2,3との距離が狭くなり、プリプレグを加熱し加圧する工程によって絶縁層を形成する際、流動性が増加した分、絶縁体の有機樹脂が大きく流動してしまい、芯材5が直接、第1配線層2や第2配線層3に接触してしまうという課題が発生する。
【0019】
こうした課題に対して、従来より提案されている特許文献1の提案では充分に対応できない場合がある。
【0020】
以上のように、従来の多層プリント配線基板の場合、表層に形成したビルドアップ層1において、ビルドアップ層1に埋設される第1配線層2の厚みが増加すればするほど、第1配線層2と芯材5とが接触し絶縁信頼性に影響を与える可能性が増加した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第4433651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特許文献1に開示された従来の多層プリント配線基板の場合、ビルドアップ層において、ビルドアップ層に埋め込まれた配線の厚みが高肉厚化した場合、ビルドアップ層を構成する芯材と接触し、あるいは絶縁信頼性が影響を受ける場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明は、コア層と、ビルドアップ層とを有する多層プリント配線基板であって、前記ビルドアップ層は、芯材と有機樹脂とフィラーを含む第1絶縁層と、その第1絶縁層に埋設された第1配線層と、第1絶縁層の第1配線層と接する面と反対側の面に形成された第2配線層と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビアからなる層を、少なくとも1層以上有し、前記第1配線層の厚みが前記第1絶縁層の厚みの25%以上60%以下であり、前記芯材の含有量が、前記第1絶縁層の10vol%以上30vol%以下であり、前記フィラーの含有量が前記第1絶縁層の30vol%以上、60vol%以下であり、前記芯材と第1の配線層の間に前記フィラーが存在し、前記芯材と前記第1配線層との最短距離を前記フィラーの粒子径以上である多層プリント配線基板とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コア層の表層に設けられたビルドアップ層であって、第1配線層を埋設してなるビルドアップ層において、ビルドアップ層に埋設された第1配線層と、ビルドアップ層を構成する芯材との間の接触を抑制することができるので、ビルドアップ層の熱伝導率と、その絶縁信頼性を共に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(A)、(B)は、共に実施の形態1の多層プリント配線基板の模式断面図
【図2】(A)、(B)は、共に実施の形態1の多層プリント配線基板の模式断面図
【図3】ビルドアップ層の一部を模式的に断面で拡大して説明する断面図
【図4】(A)、(B)は、共に多層プリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図5】(A)、(B)は、共に多層プリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図6】(A)、(B)は、共に多層プリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図7】比較例において絶縁性が低下した原因について説明する断面図
【図8】従来の多層プリント配線基板におけるビルドアップ層であって、金属めっきビア接続を有するビルドアップ層の拡大模式断面図
【図9】従来の多層プリント配線基板において、ビルドアップ層に埋め込まれる第1配線層の厚みが厚くなった場合に発生する課題について説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態1)
実施の形態1では、図1を用いて本願発明の多層プリント配線基板の一例について説明する。図1(A)、(B)は、共にコア層とビルドアップ層とを有する実施の形態1で説明する本願発明の多層プリント配線基板の断面図である。
【0027】
図1(A)、(B)に示すように、実施の形態1における多層プリント配線基板101は、コア層108と、コア層108の両面に形成された1層以上のビルドアップ層109とを有する。
【0028】
そしてビルドアップ層109は、第1絶縁層102等からなる1層以上の絶縁層を有し、そのコア層108側に、第1絶縁層102に埋設された第1配線層103と、コア層108側と異なる面に形成された第2配線層104とを有する。そして第1配線層103、第2配線層104の間を電気的に接続する金属めっきビア105を備えている。
【0029】
図1(A)において、多層プリント配線基板101におけるコア層108は、ビルドアップ層109側となる主平面に第1配線層103が形成されている。そしてコア層108は、第2絶縁層106を介して内側に第3配線層110を有し、その配線層間の導通をスルーホールめっき導体107が行なう。
【0030】
図1(B)は、ビルドアップ層109を多層の絶縁層で形成した場合について説明する断面図である。図1(B)に示すように、ビルドアップ層109を構成する絶縁層を複数層としても良い。
【0031】
次に図2(A)、(B)を用いて他の多層プリント配線基板101の応用例について説明する。図2(A)に示すようにコア層108は、ビルドアップ層109に、金属めっきビア105aを、コア層108に金属めっきビア105bを有するものであっても良い。あるいは図2(B)に示すようにビアは、導電性樹脂組成物111を有するものであっても良い。
【0032】
図2(B)に記載される導電性樹脂組成物111は、導電性フィラーと有機樹脂を含んでいる。導電性樹脂組成物111を構成する導電性フィラーは、例えば、金、銀、銅、パラジウムまたはニッケル等の金属粒子や合金粒子を用いることができる。銅は、導電性が高くマイグレーションも少ないため特に好ましい。有機樹脂は、基本的には第1もしくは第2絶縁層に用いる有機樹脂と同様の樹脂を使用することができ、同様の効果が得られる。また常温(例えば、20〜25℃)で液状の樹脂を用いた場合、無溶剤で導電性樹脂組成物111(いわゆる導電ペースト)を作製することができる。
【0033】
前述の図1(A)、(B)、図2(A)、(B)において、第1配線層103、第2配線層104は、電気伝導性材料、例えば金属導体箔115や導電性樹脂組成物111からなる。特に、導電性、熱伝導性および価格面から銅箔を用いることが好ましい。銅箔を用いる場合は、第1絶縁層102と第2絶縁層106との間の接着性を向上させるために、絶縁層と接触する面を粗面化することが望ましい。また銅箔には、絶縁層との接着性向上、更に耐酸化性向上のために、銅箔表面をカップリング処理したものや、銅箔表面に、錫、亜鉛またはニッケルをめっきしたものを使用することは有用である。
【0034】
次に図3を用いて、本願発明のビルドアップ層109において、第1絶縁層102に埋設された第1配線層103と、芯材112との接触を防止する様子を説明する。
【0035】
図3は、ビルドアップ層109の一部を模式的に断面で拡大して説明する断面図である。
【0036】
図3に示すように、実施の形態1の多層プリント配線基板101における第1絶縁層102の両面に形成された第1配線層103、第2配線層104を金属めっきビア105によって接続している。そして第1配線層103は、ビルドアップ層109を構成する第1絶縁層102に埋設されている。第1絶縁層102は、補強材となる芯材112や、有機樹脂113とフィラー114を含んでいる。
【0037】
図3に示すように、本実施の形態のビルドアップ層109において、ビルドアップ層109に埋設された第1配線層103と、芯材112との間には、優れた電気絶縁性を有するフィラー114が存在する。そしてこのフィラー114が、第1配線層103と芯材112との間を絶縁する一種の絶縁性のスペーサとして機能することで、第1配線層103と、芯材112との間の接触を防止し、第1絶縁層102の絶縁性を高める。
【0038】
なお図1(A)、(B)、図2(A)、(B)や、後述する図4、図5等において、第1絶縁層102に含まれるフィラー114や芯材112は図示していない。
【0039】
また図3において、第1配線層103の厚みは第1絶縁層102の厚みの25%以上60%以下が望ましい。厚みが25%未満の場合、第1配線層103によるヒートスプレッド効果が影響を受ける場合がある。また60%以上となる場合、第1配線層103のパターニングが特殊となりコストアップする場合がある。また芯材112の含有量が第1絶縁層102の10vol%以上30vol%以下が望ましい。またフィラー114の含有量が前記絶縁層の30vol%以上、60vol%以下が望ましい。更に芯材112と第1配線層103の間にフィラー114を存在させることが望ましく、フィラー114の存在によって、芯材112と第1配線層103との最短距離が前記フィラー114の粒径以上とすることが可能となり、第1配線層103の厚みが厚くなった場合でも、芯材112と第1配線層103との接触を防止できる。このように本願発明において、フィラー114の含有量を高めることで、電気絶縁性を有するフィラー114が芯材112と第1配線層103との接触を防止する(例えば、フィラー114が一種の絶縁スペーサとして寄与する)ためである。なおフィラー114の含有量が絶縁層の30vol%未満の場合、芯材112と第1配線層103との接触防止効果に影響を与える場合がある。また60vol%を超えた場合、第1配線層103の埋込み性に影響を与える場合がある。また第1配線層103の厚みが第1絶縁層102の厚みの25%未満の場合、第1配線層103を介した放熱性(ヒートスプレッド性)に影響がある場合がある。また第1配線層103の厚みが第1絶縁層102の厚みの60%を超えた場合、第1配線層103と芯材112とが接触する可能性がある。また芯材112の、第1絶縁層102に対する含有率が10vol%未満の場合、ビルドアップ層109の強度に影響がある場合がある。また30vol%を超える場合、第1配線層103と芯材112とが接触する可能性がある。
【0040】
またフィラー114による、芯材112と第1配線層103との接触の防止は、芯材112の隙間のみならず、芯材112を構成する複数のガラス繊維の隙間や、芯材112と芯材112を囲む有機樹脂113との隙間等への、めっき液等の侵入の防止効果も得られる。
【0041】
ここで有機樹脂113を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができ、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート樹脂系、メラミン樹脂系及びこれら樹脂の変性系樹脂が挙げられる。また、前記各種樹脂を2種類以上の混合の他、必要に応じて各種硬化剤、硬化促進剤を使用しても良い。エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂等を用いれば、第1絶縁層102等の耐熱性を高めることができる。また、エポキシ樹脂には強度、接着性等の特性も多層プリント配線基板に適している。樹脂に、硬化剤を使用する場合には、とくに限定されないが、例えばエポキシ樹脂に用いる場合には、アミン系やフェノール系の硬化剤を用いることができ、前記硬化剤は、単独で使用しても、複数種を併用することも可能であり、その種類及び量は、限定されるものではなく、適宜決められる。樹脂に、促進剤を使用する場合には、前述した硬化剤と同様に、種々使用することができ、具体的には、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、アミン及びアンモニウム塩等が用いられ、2種以上を併用しても良い。また、ゴムや熱可塑樹脂を添加してもよい。
【0042】
また、有機樹脂113は芯材112への含浸および塗工を容易にするために、溶剤に可溶することが望ましい。
【0043】
第1絶縁層102は、さらに湿潤分散剤、着色剤、カップリング剤または離型剤等を含んでいてもよい。湿潤分散剤を含むと、有機樹脂113中のフィラー114の分散を均一化できる。着色剤により絶縁層を着色すれば、自動認識装置の利用が容易となる。カップリング剤を含むと、有機樹脂113とフィラー114との接着強度が向上し、絶縁層の絶縁性を高めることができる。離型剤を含むと、金型との離型性が向上するため、生産性を向上できる。
【0044】
ここで金属めっきビア105は、電気伝導性を有する物質例えば銅、半田、金などの金属物から選ぶことが可能であり、例えば無電解めっきと電解めっきの組み合わせにより作製される銅によって形成される。なお本願発明において、ビルドアップ層において、これら金属めっきビア105を形成した場合であっても、ビルドアップ層に埋め込まれた配線の厚みが高肉厚化しても、ビルドアップ層を構成する芯材と接触し、めっき時に課題が発生することがない。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した多層プリント配線基板101の製造方法の一例を説明する。
【0046】
多層プリント配線基板101の製造方法の一例を、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0047】
図4(A)、(B)、図5(A)、B)、図6(A)、(B)は、共に多層プリント配線基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0048】
まずコア層108を用意する。その後、コア層108を図4(A)に示すように配置し、その両表面に、硬化後に第1絶縁層を形成する未硬化の絶縁体(プリプレグ119)を配置する。さらに、第1絶縁層102の外表面それぞれに金属導体箔115を配置し、その後、加熱及び加圧を行なうことにより、プリプレグ119を軟化させ第1配線層103を第1絶縁層102に埋設する。その後、加熱及び加圧を続けることで、このプリプレグ119を硬化させて第1絶縁層102とし、所定の成型体116を形成する。加熱や加圧の条件はとくに限定されないが、プリプレグ119(第1絶縁層102)に含まれる有機樹脂113(前述の図3では図示したが、図4では図示していない)が軟化し、更に硬化するための熱量が加えられる必要がある。
【0049】
こうして図4(B)に示すように、これら部材が一体化してなる成型体116を形成する。
【0050】
その後、図5(A)に示すように、層間接続を形成する位置に従って、金属導体箔115を部分的に除去する。その方法としては、成型体116の金属導体箔115の表面にフォトレジスト膜を形成した後、フォトマスクを介してフォトレジスト膜を感光し、現像を行うことでフォトレジストをパターニングする。その後、レジストパターン以外の箔をエッチングし、層間接続を形成する位置の金属導体箔115を部分的に除去し、さらに、不要なフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜の形成には、液状のレジストやフィルムを用いることができる。
【0051】
その後、図5(B)に示すように、その除去を行なった箇所に炭酸ガスレーザーによって層間接続を形成する部分において非貫通孔117を形成する。
【0052】
その後、図6(A)に示すように、金属めっき118を非貫通孔117および金属導体箔115上に施すことで成型体116を形成する。その後、金属めっき118で形成された金属導体箔115との配線厚みが、第1配線層103に求められる厚みとなるようエッチングによるスェップ処理(配線基板特有の処理である)などを必要に応じて行なう。その後、更に処理後の金属導体箔115の表面にフォトレジスト膜を形成する。その後、前述の図5(B)で述べたパターニングと同じ工程を用いて 図6(B)に示すように第2配線層104とする。
【0053】
このような多層化プロセスをさらに繰り返すことにより層間接続とし金属めっきビア105を有する第1絶縁層102に第1配線層103を埋め込んでおり、第1絶縁層102の層間接続として金属めっきビア105を有する多層プリント配線基板101が形成される。
【0054】
なお図4(A)、(B)の工程において、前述の図3で示したように、第1配線層103を第1絶縁層102によって埋設する際に、第1配線層103の厚みが第1絶縁層102の厚みの25%以上60%以下、芯材112の含有量が第1絶縁層102の10vol%以上30vol%以下とすることは有用である。さらにフィラー114の含有量が前記絶縁層の30vol%以上、60vol%以下とすることで、芯材112と第1配線層103の間にフィラー114が存在させられ、芯材112と第1配線層103との最短距離が前記フィラー114の粒径以上とすることが可能となる。その結果、第1配線層103の厚みが厚くなった場合でも、芯材112と第1配線層103との接触を防止できる。更に図6(A)、(B)で説明した金属めっき工程において、めっき液の第1絶縁層102等への侵入を防止し、その信頼性を高める。
【0055】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1や2で説明した多層プリント配線基板101の構成部材等の最適化について、詳しく説明する。
【0056】
多層プリント配線基板101における絶縁性の評価としては、金属めっきビア105とそれと隣接するが金属めっきビア105とは直接導通接続されていない第1配線層103との絶縁信頼性を評価するために、第2配線層104と第1配線層103と金属めっきビア105から形成される第1の層間接続パターンを形成した。さらにその層間接続パターンとは直接導通接続されていないが、最も近接した距離が50μmとなるよう第1配線層103には第1の配線パターンを500個形成した。
【0057】
さらには、第1絶縁層102を挟む配線層間(第1配線層103と第2配線層104間)の絶縁信頼性を評価するために、金属めっきビア105によって直接、導通接続されていない各種、評価用の配線パターン(図示していない)をそれぞれ第1配線層103と第2配線層104に対応するように設けた。
【0058】
ここで、第2および第3の配線パターン(共に信頼性等の評価用の配線パターン)のライン幅は500μm、信頼性を評価する互いのパターンが正接する長さは20cmとなるよう評価パターンを500個形成した。
【0059】
これらの方法によって得られた多層プリント配線基板は、その後、多層プリント配線基板の表層にソルダーレジストさらには最外装の第2配線層104へ金めっき等の表面仕上げ処理を必要に応じて行った。
【0060】
次に、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施の形態の内容により何ら限定して解釈されるものではない。
【0061】
(コア層の形成工程についての説明)
まずコア層の形成工程について詳しく説明する。
【0062】
第2絶縁層として厚み100μmtを有し、その両面に第3配線層として18μmtの銅箔が積層されたCCL(CCLは配線基板特有の名称)を用い、その両面にレジストフィルムを貼り付け、露光及び現像し、エッチングにより配線パターンを形成し、両面配線基板を作製した。その形成された両面配線基板の上下に、半硬化状態の第2絶縁層106の材料を重ね、さらに第1配線層103に相当する銅箔を積層し、加熱プレスを実施した。
【0063】
その後、所定の層間導電の位置にドリルにて貫通孔を作成し、その貫通孔に、無電解めっき、電解めっき工程にて銅めっきを施し、スルーホールめっき導体107を形成した。
【0064】
その後、必要に応じて第1配線層103が所定の膜厚となるように、表層の銅配線層全体へのスェップ処理を行ない、その後、レジストフィルムを貼り付け、露光及び現像し、エッチングにより第1配線層103のパターン形成を行なった。さらには、貫通孔に於いては、エポキシ樹脂にて孔埋めを実施し、コア層108として4層スルーホール基板を形成した。
【0065】
ここで、コア層108に用いた第2絶縁層106において、その厚みは100μmtとし、芯材112としては、ガラス織布(IPC規格2116)を用い、有機樹脂113としては熱硬化型のエポキシ樹脂を用い、フィラー114としては平均粒子径0.8μmの Al(OH)3を用いた。
【0066】
また、第2絶縁層におけるガラス織布と有機樹脂113とフィラー114の体積比率は、48vol%、8vol%、44vol%とした。
【0067】
(ビルドアップ層の形成工程についての説明)
次にビルドアップ層の形成工程について詳しく説明する。
【0068】
この4層スルーホール基板をコア層108として、その両面に、硬化後、第1絶縁層102を形成する半硬化状態の絶縁材料(プリプレグ119)を重ね、さらには第1配線層103に相当する銅箔を積層し、加熱及び加圧工程を実施した。その後レジストフィルムを貼り付け、露光及び現像し、エッチングにより、所定の層間接続位置の銅箔の除去を行ない、その層間接続位置に、炭酸ガスレーザーにて、孔径120μmの非貫通孔を形成した。
【0069】
その非貫通孔に、無電解めっき、電解めっき工程にて銅めっきを施し、金属導体をフィルドビア形状に形成し、金属めっきビア105を得た。
【0070】
その後、必要に応じて第1配線層103が所定の膜厚となるように、表層の銅配線層全体へのスェップ処理を行なった。その後、レジストフィルムを貼り付け、露光及び現像し、エッチングにより配線パターンの形成を実施し、多層プリント配線基板101とした。
【0071】
さらにその両面に、再びプリプレグ119等の材料を重ね、さらに第2配線層104に相当する銅箔を積層した。その後、加熱プレス、レーザー孔加工、めっき工程、配線パターン工程を繰り返し、(実施例1)の4層TH基板をコア層とし、その表層に2段のビルドアップ層109を有する、合計で配線層を8層有する図1(B)の多層プリント配線基板を形成した。
【0072】
ここで、第1絶縁層102および第1配線層103については、以下の実施例および比較例にて示す条件において、それぞれ多層プリント配線基板101の作成を行なった。
【0073】
以下に、(実験1)として、本願発明の実施例1として試作した(実施例1)について説明する。
【0074】
(実験1の説明:実施例1と比較例1、2についての比較実験)
(実施例1)の評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず、第1絶縁層102として、厚みは70μmtとし、芯材112としては、ガラス織布(IPC規格1037)を用い、有機樹脂113としては熱硬化型のエポキシ樹脂を用い、フィラー114としては平均粒子径5μmのAl(OH)3と平均粒子径3μmのMgOを、Al(OH)3:MgO=1:2の割合で複合して用いた。また、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、16vol%、48vol%、36vol%とした。このとき(実施例1)において、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ57vol%となっている。第1配線層103の厚みとしては、積層時に古川電工製銅箔35μmを用い、めっき処理によって厚みが増加するが全面エッチング処理によって調整し、第1配線層103の厚みとして40μmを第1絶縁層102によって埋め込みを行なった。
【0075】
次に、比較例として、(比較例1)〜(比較例3)の評価用の基板を以下のようにして作成した。
【0076】
(比較例1)の評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102に、その厚みは70μmtとし、芯材112としては、ガラス織布(IPC規格1280)を用いた。また有機樹脂113としては熱硬化型のエポキシ樹脂を用い、フィラー114としては平均粒子径5μmのAl(OH)3を用いた。また第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、35vol%、10vol%、55vol%とした。このとき、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ15vol%とした。
【0077】
第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、12μmとした。
【0078】
(比較例2)の評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102は(比較例1)と同じものを用い、第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、(実施例1)の評価用の基板と同じ40μmとした。
【0079】
(比較例3)の評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102において、その厚みは70μmtとし、芯材112のみ(実施例1)とおなじガラス織布(IPC規格1037)を用いた。また有機樹脂113および、フィラー114としては、その成分および芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合は(比較例1)と同じとした。そのとき(比較例3)において、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、16vol%、13vol%、71vol%とした。第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、(実施例1)と同じ40μmとした。
【0080】
以上で作成した、(実施例1)、(比較例1)、(比較例2)の評価用基板において、評価用の第1の層間接続パターン、評価用の第1の配線パターン、および評価用の第2の配線パターンと、評価用の第3の配線パターンの絶縁信頼を評価し、ショートの有無を調べた。
【0081】
更に(実施例1)、(比較例1)、(比較例2)のそれぞれの基板に、半導体の実装を行い、その動作時の温度上昇を、(比較例1)の基板の温度上昇を基準とし、それに対する各基板の温度上昇の割合を比較した。
【0082】
その温度上昇の割合Rは、(比較例1)の基板において、動作初期温度をT0、温度上昇が定常状態に達したときの半導体温度をT1とし、また、各基板の温度上昇が定常状態に達したときの半導体温度をT2としたとき、R=(T2−T0)/(T1−T0)×100(%)で表した。
【0083】
ここで、(実施例1)、(比較例1)、(比較例2)のそれぞれの8層基板のビルドアップ層109に用いた第1絶縁層102と第1配線層103の構成と、絶縁信頼性の評価と半導体温度上昇の評価をまとめると以下の[表1]のようになった。
【0084】
【表1】

【0085】
[表1]において、(比較例1)に示す半導体温度上昇100においては、動作初期温度と同じ外気温T0=25℃において、45分後に半導体温度が90℃まで上昇しており、その動作の保証に懸念が生じるレベルであった。
【0086】
それに対して、(比較例2)のように第1配線層103の厚みを40μmまで厚くすると、(比較例1)比較で、数値は90まで低下しており、つまり半導体温度上昇が10%抑制され、半導体の動作保証に裕度が確保できるレベルであった。
【0087】
しかしながら、(比較例2)では第1配線層103の厚みが第1絶縁層102厚みの約57%を占めるため、芯材112に第1配線層103に体積比率として35vol%占める厚みが50μm前後あるガラス織布(IPC規格1280)を用いていると、後述する図7のように、ガラス織布(芯材112)が第1配線層103および第2配線層104に接触してしまい、絶縁信頼性の低下が発生してしまったため、と考えられた。
【0088】
こうした課題に対して、(比較例3)のように、ガラス織布の体積比率のみを16vol%まで低下させたガラス織布(IPC規格1037)を用いた場合では、発熱対策のために厚くした第1配線層103を用いても、ガラス織布(芯材112)と第1配線層103とが接触しない距離を確保することができる。しかしながら、後述する図7に示すように、第1配線層103を第1絶縁層102に埋め込む際の加熱及び加圧工程において、有機樹脂の流動が発生し、ガラス織布(芯材112)もそれに伴って移動してしまい、第1配線層103と接触してしまう場合があった。その結果、[表1]に示すように、(比較例3)においては、絶縁性が低下したと思われる。
【0089】
次に、比較例3の絶縁性が低下した原因について、図7を用いて考察する。図7は、比較例において絶縁性が低下した原因について説明する断面図である。
【0090】
図7は、特にビルドアップ層の第1絶縁層間の接続を金属めっきビアとした場合であって、第1絶縁層中の芯材の厚みを薄くし、かつ第1配線層の厚みを厚くした場合に発生する課題を説明している。
【0091】
例えば(比較例3)において、図7に示すように、ガラス織布等からなる芯材112が矢印120で示すように、例えば第1配線層103や第2配線層104に接触することで、絶縁性が低下したと考えられる。
【0092】
一方、本願発明の実施の各試作品の場合、前述の図3に示すように、フィラー114が、第1絶縁層102と芯材112との間に、必ず存在するため、第1絶縁層102と芯材112とが互いに接触することを防止し、図7に示すような課題は発生しない。
【0093】
すなわち本願発明の(実施例1)に示すように、ガラス織布の体積比率を16vol%まで低下させ、さらに、かつ、フィラー114を体積比率48vol%まで添加した場合では、前述の図3に示すように、ガラス織布(芯材112)と配線層間が接触しない距離を確保することができる。更に加熱及び加圧工程において有機樹脂113が流動を行なった際も、フィラー114がその流動を阻害するとともに、ガラス織布(芯材112)と第1配線層103との間に挟まることで、ガラス織布(芯材112)と第1配線層103との距離が少なくともフィラー114の粒径以上確保される、その結果とのガラス織布(芯材112)と第1配線層103の接触が回避されて、めっき液等の侵入が抑制され、その絶縁性が確保されることが判る。
【0094】
ここで(実施例1)での、ガラス織布を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ57vol%となっており、この数値はフィラー114をほぼ球状とすると、その充填率は最密充填に近づく。有機樹脂113がフィラー114とフィラー114の間にのみ存在する形に近づいていることが容易に推察でき、この充填状態によって、加熱及び加圧工程におけるガラス織布(芯材112)と配線層との接触の阻害につながっていることも推察可能である。
【0095】
さらには、(実施例1)では、有機樹脂113より熱伝導率の高いフィラー114の添加量が増えることで、第1絶縁層102全体の熱伝導率も向上し、半導体の温度上昇がさらに抑制される効果が見られる。この結果、[表1]に示すように、さらに半導体の温度上昇が抑制でき、かつ絶縁信頼性を確保する多層プリント配線基板が得られることは言うまでもない。
【0096】
次に(実施例1)の構造を元に、更に(実験2)として、本願発明の応用について実験した結果を示す。
【0097】
(実験2の説明:第1絶縁層102の厚みを変化させた場合についての実験結果の一例)
まず第1配線層103の厚みを変化させて、(実施例2)、(実施例3)、(比較例4)、(比較例5)となる評価用の基板を作成した。
【0098】
本願発明の実施例として(実施例2)となる評価用の基板を、本願発明との比較例として(比較例4)、(比較例5)となる評価用の基板を作成した。
【0099】
(実施例2)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102は(比較例1)と同じものを用い、第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、18μmとした。
【0100】
(実施例3)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102は(比較例1)と同じものを用い、第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、35μmとした。
【0101】
(比較例4)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102は(比較例1)と同じものを用い、第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、12μmとした。
【0102】
(比較例5)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102は(比較例1)と同じものを用い、第1配線層103の厚みを積層時の銅箔厚みとめっき後の全面エッチング処理によって、50μmとした。
【0103】
次に、本願発明の実施例である(実施例1)から(実施例3)、比較例である(比較例4)、(比較例5)となる評価用の基板となる8層基板のビルドアップ層109に用いた第1絶縁層102と第1配線層103の構成と、絶縁信頼性の評価と半導体温度上昇の評価をまとめると、以下の[表2]のようになる。[表2]において、半導体温度上昇の単位は(℃)である。
【0104】
【表2】

【0105】
[表2]より、(比較例4)の第1配線層103の厚みが12μmでは、第1絶縁層102のフィラー114の体積分率を増加させても、半導体温度上昇は95%と5%程度しか抑制できておらず、不十分と考えられる。それに対して、(実施例1)から(実施例3)、のように、第1配線層103の厚みを厚くすると半導体温度の上昇は91%以下とほぼ9%以下の抑制が可能となっている。
【0106】
しかしながら、(比較例5)のように、第1配線層103の厚みが第1絶縁層102の厚みの71%を占めるような場合では、加熱及び加圧工程において、第1配線層103の埋設不良が一部で発生してしまう。さらに半導体部品実装時のリフロー工程において、コア層との密着性を得ることが不可能であった。その結果、絶縁試験および半導体温度上昇の評価を行なうことができなかった(未評価となった)。
【0107】
また(比較例4)は、半導体温度上昇が95℃と高いことより、半導体に対する冷却効果が低いことが判る。
【0108】
[表2]に示すように、本願発明の(実施例1)〜(実施例3)は、絶縁信頼性試験において、ショート発生は「無」であった。また半導体温度上昇も、85℃から91℃であり、半導体の冷却効果があることが確かめられた。
【0109】
更に本願発明の応用範囲を調べるために、実験3として、更に実施例となる(実施例4)、(実施例5)、本願発明の比較例となる(比較例6)、(比較例7)を作成した。
【0110】
(実験3の説明:第1絶縁層102における芯材の割合を変化させた場合の一例)
(実施例1)の構造から、第1絶縁層102における芯材112の割合を変化させて、(実施例4)、(実施例5)、(比較例6)、(比較例7)となる評価用の基板をそれぞれ作成した。
【0111】
(実施例4)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。まず第1配線層103の厚みは(実施例1)と同じとし、第1絶縁層102の厚みおよび有機樹脂113およびフィラー114の成分とガラス織布を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合も(実施例1)と同じとした。さらに第1絶縁層102の芯材112のみ、ガラス織布(IPC規格1027)を用いた。こうして(実施例4)では、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は13vol%、50vol%、37vol%とした。
【0112】
(実施例5)となる評価用の基板は以下のようにして作成した。まず第1配線層103の厚みは(実施例1)と同じとし、第1絶縁層102の厚みおよび有機樹脂113およびフィラー114の成分とガラス織布を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合も(実施例1)と同じとした。また第1絶縁層102の芯材112のみ、ガラス織布(IPC規格1067)を用いた。
【0113】
その結果、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、20vol%、46vol%、34vol%とした。
【0114】
(比較例6)となる評価用の基板は、以下のようにして作成した。第1配線層103の厚みは(実施例1)と同じとし、第1絶縁層102の厚みおよび有機樹脂113およびフィラー114の成分とガラス織布を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合も(実施例1)と同じとした。また第1絶縁層102の芯材112のみ、ガラス織布(IPC規格1010)を用いた。こうして(比較例6)では、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、8vol%、52vol%、40vol%とした。
【0115】
(比較例7)となる評価用の基板は以下のようにして作成した。まず第1配線層103の厚みは(実施例1)と同じとし、第1絶縁層102の厚みおよび有機樹脂113およびフィラー114の成分とガラス織布を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合も(実施例1)と同じとした。また第1絶縁層102の芯材112のみ、ガラス織布(IPC規格1280)を用いた。(比較例7)において、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率は、35vol%、37vol%、28vol%とした。
【0116】
ここで、(実施例1)、(実施例4)、(実施例5)、(比較例6)、(比較例7)となる評価用の基板である、それぞれの8層基板のビルドアップ層109に用いた第1絶縁層102と第1配線層103の構成と、絶縁信頼性の評価と半導体温度上昇の評価をまとめると以下の[表3]のようになる。
【0117】
【表3】

【0118】
[表3]より、いずれの基板においても第1配線層103の厚みを40μmとしていることと、第1絶縁層102のフィラー114の割合を37vol%以上としていることから、半導体の温度上昇は最大でも87%と抑制されている。しかしながら、(比較例7)のように芯材112(ガラス織布)が第1絶縁層102の35vol%も占めるような場合では、フィラー114の充填にも関わらず、絶縁性に不具合が発生してしまっている。
【0119】
また、(比較例6)のように、芯材112(ガラス織布)が第1絶縁層102の8vol%しか存在しない場合では、絶縁信頼性や半導体の温度上昇には問題は見られないが、基材の機械的強度の低下が発生し、部品実装後の冷熱試験:−45℃(30分)⇔125℃(30分)において、はんだ寿命の低下による部品交渉の発生が生じてしまい、使用上の問題が生じている。
【0120】
一方、[表3]に示すように、本願発明の(実施例1)、(実施例4)、(実施例5)は、絶縁信頼性試験において、ショート発生は「無」であった。また半導体温度上昇も、84℃から85℃であり、半導体の冷却効果があることが確かめられた。
【0121】
(実験4の説明:フィラー114の割合を変化させた場合の実験結果の一例)
次に実験4として、(実施例1)の構造から、第1絶縁層102におけるフィラー114の割合を変化させて、本願発明の実施例である(実施例6)、(実施例7)、本願発明の比較例である(比較例8)、(比較例9)となる評価用の基板を作成した。
【0122】
(実施例6)となる評価用の基板は以下のように作成した。まず第1絶縁層102として、厚みおよび芯材112は(実施例1)と同じとした。また有機樹脂113およびフィラー114の組成も(実施例1)と同じとした。一方、フィラー114の充填量を変化させ、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率を、16vol%、34vol%、50vol%とした。
【0123】
このとき、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ40vol%となった。
【0124】
第1配線層103の厚みとしては、(実施例1)と同じく40μmとして、第1絶縁層102によって埋め込みを行なった。
【0125】
(実施例7)となる評価用の基板は以下のように作成した。まず第1絶縁層102として、厚みおよび芯材112は(実施例1)と同じとした。有機樹脂113およびフィラー114の組成も(実施例1)と同じとした。その一方、フィラー114の充填量を変化させ、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率を、16vol%、59vol%、25vol%とした。
【0126】
このとき、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ70vol%となっている。
【0127】
第1配線層103の厚みとしては、(実施例1)と同じく40μmとして、第1絶縁層102によって埋め込みを行なった。
【0128】
(比較例8)となる評価用の基板は、以下のように作成した。まず第1絶縁層102として、厚みおよび芯材112は(実施例1)と同じとし、有機樹脂113およびフィラー114の組成も(実施例1)と同じとした。その一方、フィラー114の充填量を変化させ、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率を、16vol%、25vol%、59vol%とした。
【0129】
このとき、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ30vol%となった。
【0130】
第1配線層103の厚みとしては、(実施例1)と同じく40μmとして、第1絶縁層102によって埋め込みを行なった。
【0131】
(比較例9)となる評価用の基板は以下のようにして作成した。まず第1絶縁層102として、厚みおよび芯材112は(実施例1)と同じとした。また有機樹脂113およびフィラー114の組成も(実施例1)と同じとした、その一方、フィラー114の充填量を変化させ、第1絶縁層102における芯材112(ガラス織布)とフィラー114と有機樹脂113の体積比率を、16vol%、63vol%、21vol%とした。
【0132】
このとき、芯材112(ガラス織布)を除く有機樹脂113とフィラー114の合計に対するフィラー114の割合はおよそ75vol%となった。
【0133】
第1配線層103の厚みとしては、(実施例1)と同じく40μmとして、第1絶縁層102によって埋め込みを行なった。
【0134】
(実施例1)、(実施例6)、(実施例7)、(比較例8)、(比較例9)となる各評価用の基板の、それぞれの8層基板のビルドアップ層109に用いた第1絶縁層102と第1配線層103の構成と、絶縁信頼性の評価と半導体温度上昇の評価をまとめると以下の[表4]のようになる。
【0135】
【表4】

【0136】
[表4]において、いずれの基板においても第1配線層103の厚みを40μmとしていることと、第1絶縁層102のフィラー114の割合を25vol%以上としていることから、半導体の温度上昇は問題がないが、しかしながら、(比較例8)のように第1絶縁層102中のフィラー114の添加量を25vol%まで下げると、絶縁性に不具合が発生した。
【0137】
また、(比較例9)のように、フィラー114の体積比率を63vol%まで増やすと、有機樹脂の含有量が低下しているため、加熱及び加圧工程における有機樹脂の流動性成分が不足した。さらに第1配線層103の埋設不良が一部で発生した。さらに半導体部品実装時のリフロー工程において、コア層との密着性を得ることが不可能であり、絶縁試験および半導体温度上昇の評価にいたることが不可能であった。
【0138】
一方、[表4]に示すように、本願発明の(実施例1)、(実施例6)、(実施例7)は、絶縁信頼性試験において、ショート発生は「無」であった。また半導体温度上昇も、82℃から87℃であり、半導体の冷却効果があることが確かめられた。
【0139】
以上より、芯材112と有機樹脂113とフィラー114を含む第1絶縁層102と、その第1絶縁層102に埋設された第1配線層103と、第1絶縁層102の第1配線層103と接する面と反対側の面に形成された第2配線層104と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビア105からなる層を、少なくとも1層以上有する多層プリント配線基板101とすることが望ましい。さらに前記第1配線層103の厚みが前記第1絶縁層102の厚みの25%以上60%以下であり、前記芯材112の含有量が、前記第1絶縁層102の10vol%以上30vol%以下であることが望ましい。さらに前記フィラー114の含有量が前記第1絶縁層102の30vol%以上、60vol%以下であり、前記芯材112と第1配線層103の間に前記フィラー114が存在することが望ましい。さらに前記芯材112と前記第1配線層103との最短距離を前記フィラー114の粒子径以上としていることとすることで、放熱性に優れた多層プリント配線基板101を提供できる。こうすることで多層プリント配線基板101は、ビルドアップ層109の厚みを薄くし、あるいはビルドアップ層に埋設される第1配線層103の厚みを肉厚とした場合であっても、優れた絶縁信頼性を有しており、更にコア層との密着性や実装部品の衝撃信頼を有している。
【0140】
ここで、芯材112としては、特にガラス織布を用いたときには、フィルム材料などとは異なり織布構造をとるため、芯材112間に空隙があることから、芯材112中の絶縁性の低下が起こりやすく、また、同一体積含有量においても、その厚みが空隙のないフィルム材より厚くなるため、埋設された第1配線層103との接触が起こりやすく、本発明による絶縁性の確保の効果がより有効である。
【0141】
また、フィラー114としては平均粒子径5μmのAl(OH)3と平均粒子径3μmのMgOを用いたが、フィラー114の粒子径は、より大きいほど、芯材112と第1配線層103の間の距離を確保できるが、あまりに大きな粒子では均一な存在が不可能である。さらに第1絶縁層102の平滑性や配線パターニング性などを低下させてしまう。また、粒子径は小さいほど、有機樹脂113の加熱及び加圧工程での流動性を抑制するが、あまりに小さな粒子では存在していても接触の妨げになることが不可能なため、フィラー114の粒子径は第1絶縁層102の厚みの1%以上12%以下であることが望ましい。
【0142】
さらには、複数の粒子径のものを組み合わせることで、大きな粒子の間に小さな粒子が入り込み、充填性の向上を期待できる。さらに芯材112と第1配線層103の間の距離の確保と有機樹脂113の加熱及び加圧工程での流動性の抑制の2つの効果を、より効果的に得ることも可能である。
【0143】
このように、第1配線層103を形成する芯材112、フィラー114を最適化することで、第1配線層103の有機樹脂が半硬化状態のプリプレグ119を用いて、第1配線層103が形成されたコア層上に、加熱及び加圧形成して第1絶縁層102を設けることが可能となる。さらに第1配線層103の埋設と第1絶縁層102の形成とコア層108とビルドアップ層109の密着が同時に形成され、簡易に多層プリント配線基板を得られる。
【0144】
また、フィラー114の種類としては、MgO、Al23、Mg(OH)2、AlOOH、Al(OH)3、BN、SiO2のうち少なくとも1つが含まれることが望ましい。また、複数組み合わせてもよい。難燃性をハロゲン化合物やアンチモン化合物を含まずに得るためには、Mg(OH)2、AlOOH、Al(OH)3などの水酸化物や酸化物の水和物を含むことが望ましい。また特に熱伝導率の高いMgO、Al23、BNを用いることが、熱伝達性を考慮した多層プリント配線基板においてより効果的である。また第1絶縁層102の熱伝導率を1W/mK以上とすることで、より、多層プリント配線基板としての熱伝達性が向上する。また、第1絶縁層102において、熱伝導率、難燃性の確保に加えて機械的強度の確保などを、より低コストで実現するためには、フィラー114の種類を複数選択することと平行して前記の複数の粒子径の選択を併せて考慮することが、より望ましい。
【0145】
また、より高密度配線構造をとるため、ビルドアップ層109に用いられる第1絶縁層102の厚みは100μm以下が望ましい。さらに多層にビルドアップ層に設けた場合には、発熱する半導体部品が実装された最外層および最外層から2層目に、本発明を用いることが好ましい。
【0146】
しかしながら、発熱量の多い半導体部品とともに、サイズの大きな実装部品も併用される場合などには、機械的強度を重要として、実装信頼性を求める場合も生じる。そのような、場合においては、最外層においては、ガラス織布の厚みを制限せず、機械的強度を優先し、最外層から2層目に本発明を用いる構造としてもよい。その際、発熱量の多い半導体部品の直下にサーマルビアを配置して、その発熱量を最外層から本発明の2層目に伝えることで、実装部品の機械的強度と発熱部品の熱伝達性の並立が可能となる。
【0147】
また、本発明の説明においては、図1(A)や(B)に示すコア層に4層スルーホール基板を用いたが、図2(A)に示すように絶縁層間の導通を金属めっき導体によって形成された基板を用いてもよく、さらには、図2(B)に示すように、絶縁層間の導通を導電性樹脂組成物111で形成された基板を用いてもよい。
【0148】
特に、絶縁層間の導通を導電性樹脂組成物111で形成された基板を用いた場合には、全層IVH構造樹脂多層プリント配線基板と呼ばれる、より高密度配線である多層プリント配線基板を安価にリードタイムが短く形成が可能であるが、前述のようにその作成プロセス上の制限からコア層の熱伝達性においては、課題となっていた。
【0149】
以上のように、コア層108に絶縁層間の導通を導電性樹脂組成物111で形成された基板を用いて、本発明のビルドアップ層109を、前述のビルドアップ層の形成工程に述べた手法で付与することで、さらなる高密度配線と熱伝達性の両立する多層プリント配線基板101を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明によれば、発熱量の高い半導体が実装される高密度配線多層プリント配線基板において、高信頼性でかつ、熱伝達性の向上が多層プリント配線基板を実現できる。
【符号の説明】
【0151】
101 多層プリント配線基板
102 第1絶縁層
103 第1配線層
104 第2配線層
105、105a、105b 金属めっきビア
106 第2絶縁層
107 スルーホールめっき導体
108 コア層
109 ビルドアップ層
110 第3配線層
111 導電性樹脂組成物
112 芯材
113 有機樹脂
114 フィラー
115 金属導体箔
116 成型体
117 非貫通孔
118 金属めっき
119 プリプレグ
120 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層と、ビルドアップ層とを有する多層プリント配線基板であって、前記ビルドアップ層は、芯材と有機樹脂とフィラーを含む第1絶縁層と、その第1絶縁層に埋設された第1配線層と、第1絶縁層の第1配線層と接する面と反対側の面に形成された第2配線層と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビアからなる層を、少なくとも1層以上有し、
前記第1配線層の厚みが前記第1絶縁層の厚みの25%以上60%以下であり、前記芯材の含有量が、前記第1絶縁層の10vol%以上30vol%以下であり、前記フィラーの含有量が前記第1絶縁層の30vol%以上、60vol%以下であり、前記芯材と第1配線層の間に前記フィラーが存在し、前記芯材と前記第1配線層との最短距離を前記フィラーの粒子径以上である多層プリント配線基板。
【請求項2】
前記第1絶縁層に含まれる芯材が、ガラス織布であることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項3】
前記第1絶縁層に含まれるフィラーに、粒子径が前記第1絶縁層の厚みの1%以上12%以下のフィラーが含まれている請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層に含まれるフィラーが、MgO、Al23、Mg(OH)2、AlOOH、Al(OH)3、BN、SiO2のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層の厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項6】
芯材と有機樹脂とフィラーを含む第1絶縁層と、その第1絶縁層に埋設された第1配線層と、第1絶縁層の第1配線層と接する面と反対側の面に形成された第2配線層と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビアからなる層が、最外層または最外層から2層目のいずれか一方、あるいは両方に有ることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項7】
芯材と有機樹脂とフィラーを含む第1絶縁層と、その第1絶縁層に埋設された第1配線層と、第1絶縁層の第1配線層と接する面と反対側の面に形成された第2配線層と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビアからなる層が、最外層から2層目に有ることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項8】
前記第1絶縁層の熱伝導率が1.0W/mK以上5.0W/mK以下であることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項9】
芯材と有機樹脂とフィラーを含む第1絶縁層と、その第1絶縁層に埋設された第1配線層と、第1絶縁層の第1配線層と接する面と反対側の面に形成された第2配線層と、前記第1と第2配線層間の導通が金属めっきビアからなるビルドアップ層以外の、コア層の配線層間の電気的接続手段が導電性樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項1記載の多層プリント配線基板。
【請求項10】
表層に第1配線を有するコア層を準備する第1工程と、
前記コア層の両面に、プリプレグおよび金属導体箔を設置し、加熱及び加圧し、前記第1配線層を埋設し、第1絶縁層を形成し、成型体とする第2工程と、
前記成型体にレーザー加工し、孔底に前記第1配線が露出してなる非貫通孔を設ける第3工程と、
前記非貫通孔に無電解めっき、電解めっきのいずれか若しくは両方によって金属めっき膜を形成する第4工程を有する多層プリント配線基板であって、
前記第1配線層の厚みが、前記プリプレグが加圧及び加熱工程で形成された第1絶縁層の厚みの25%以上60%以下であり、
前記プリプレグが芯材と半硬化状態の有機樹脂とフィラーからなり、
前記芯材の含有量が、前記第1絶縁層の10vol%以上30vol%以下であり、前記フィラーの含有量が前記第1絶縁層の30vol%以上、60vol%以下であり、前記芯材と第1の配線層の間に前記フィラーが存在し、前記芯材と前記第1配線層との最短距離を前記フィラーの粒子径以上としていることを特徴とする多層プリント配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89745(P2013−89745A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228571(P2011−228571)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】