説明

搬送装置

【課題】 ウエハを載置する位置やゲートの向きに係わらずウエハを略真直ぐ入れることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置1は、旋回ベース13と、2つのハンド機構13,14と、2つのハンド用駆動機構30,40とを有する。2つのハンド機構13,14は、旋回ベース13に回動軸線L2,L3を中心に回動可能に夫々設けられ、ハンド駆動機構30,40により個別に回動動可能に構成されている。ハンド機構13,14は、アーム20と、ハンド21と、連動機構26とを有している。アーム21は、回動軸線L2,L3を中心に回動可能に前記旋回リンクに夫々設けられ、ハンド20は、ハンド用軸線L4,L5を中心に回動可能に前記アーム21に夫々設けられている。連動機構26は、アーム20に対する前記ハンド21の減速比が1.55でアーム20と前記ハンド21とを連動させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ及びガラスウエハ等のウエハを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマルチチャンバシステムという半導体処理設備が知られている。このマルチチャンバシステムは、複数の半導体処理室及びロードロック室を備えている。半導体処理室及びロードロック室は、ゲートを介して1つの搬送室に夫々接続されており、搬送室には、搬送装置が配置されている。搬送装置としては、例えば特許文献1に開示されているような2つのハンドを備えた搬送装置が知られている。
【0003】
この搬送装置は、旋回ベースと、2つのアームとを有している。旋回ベースは、旋回駆動手段により回動される。旋回ベースには、2つのアームが回動可能に取り付けられている。2つのアームは、伝動ベルト等を介して1つのアーム駆動手段に接続されている。アーム駆動手段は、伝動ベルトを動かして2つのアームを連動して回動させるように構成されている。このように連動して動く各アームの先端部には、ウエハを保持可能なハンドが形成されている。
【0004】
このように構成された搬送装置は、旋回駆動手段により旋回ベースを回動させながらアーム駆動手段によりアームを回動させることで、ハンドに保持された半導体ウエハを搬送する。このように半導体ウエハを搬送可能な搬送装置は、ロードロック室及び半導体処理室から半導体ウエハを取り、その半導体ウエハを次の半導体処理室の所定の載置位置まで搬送し、その載置位置に載置する。載置位置に搬送された半導体ウエハは、所定のプロセス処理が施され、更に搬送装置により次の載置位置に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−50986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の搬送装置は、その構成上、旋回ベースの旋回中心である旋回軸線を中心に放射線状にしか半導体ウエハを搬送することができない。従って、載置位置が放射状に配置されてゲートが旋回中心に向いている場合、特許文献1に記載の搬送装置により半導体ウエハを搬送しても半導体ウエハやアームがゲートに当たることがない。しかし、載置位置及びゲートの向きは、プロセス処理の内容、半導体処理室の形状及び配置等に応じて変わるため、必ずしもゲートが旋回中心に向いているとは限らない。ゲートが旋回中心に向いていない場合、特許文献1に記載される搬送装置により半導体ウエハを搬送すると、ハンドがゲートに対して斜めに進入し、半導体ウエハやアームがゲートに接触してしまう。半導体処理室のゲートを広くすることで、半導体ウエハ及びアームの接触を避けることができるが、そうすると搬送室の外径寸法が大きくなってしまい半導体処理設備が大型化してしまう。
【0007】
そこで本発明は、ウエハを載置する位置やゲートの向きに係わらずウエハをゲートに略真直ぐ入れることができるような搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の搬送装置は、予め定められた旋回軸線を中心に旋回可能に構成された旋回リンクと、ウエハを夫々保持可能で、前記旋回軸線に並行な2つの回動軸線を中心に夫々回動可能に前記旋回リンクに取り付けられた2つのハンド機構と、前記2つのハンド機構を夫々回動駆動する2つのハンド駆動機構と、を備え、前記ハンド機構は、前記回動軸線を中心に回動可能に前記旋回リンクに取り付けられ、前記ハンド駆動機構により回動されるアームと、前記回動軸線と平行なハンド用軸線を中心に回動可能に前記アームに設けられた前記ウエハを保持するためのハンドと、前記アームの回動に連動して前記ハンドを回動させる連動機構と、を有し、前記連動機構は、前記アームの回動に対する前記ハンドの回動の減速比が1.35以上1.65以下になるように構成されているものである。
【0009】
本発明に従えば、ハンドがアームに回動可能に設けられているので、ハンド機構を屈伸させることができる。これにより、ハンドの可動範囲が広くなる。ハンドとアームとは、連動しており、それらの減速比が1.35以上1.65以下の範囲で設定されている。これにより旋回ベースの回動量を調整しながらアームを回動させることで、ハンドを様々な方向に向け、且つその方向に略直線的に動かすことができる。これにより、ウエハを載置する位置やゲートの向きに係わらずウエハをゲートに略真直ぐ入れることができる。
【0010】
上記発明において、前記連動機構は、前記回動軸線を中心に回動可能に前記旋回リンクに固定された回動軸線側プーリーと、前記ハンド軸線を中心に回動可能に前記アームに設けられたハンド軸線側プーリーと、該ハンド軸線側プーリーと前記回動軸線側プーリーとに巻き掛けられたハンド用ベルトと、を有し、前記ハンドは、前記ハンド軸線側プーリーに固定されていることが好ましい。
【0011】
上記構成に従えば、ハンド駆動機構によりアームを回動させると、回動軸線側プーリーが回動し、更にハンド用ベルトを介してハンド軸線側プーリーが回動する。これにより、ハンド軸線側プーリーに固定されたハンドが回動し、アームとハンドとが連動する。このように2つのプーリーを用いてアームとハンドとが連動するので、2つのプーリー間の変速比を選択するだけでアームとハンドとの減速比を設定でき、減速比を前述の範囲に設定することが容易である。
【0012】
上記発明において、前記ハンド駆動機構は、アーム用駆動モータと、前記アーム用駆動モータにより回動されるアーム用出力軸と、前記アーム用出力軸に連動して回動する中間プーリーと、前記アームに固定され、前記回動軸線を中心に回動可能なアーム用プーリーと、前記中間プーリーと前記アーム用プーリーとに巻き掛けられたアーム用ベルトと、を有し、前記2つのハンド駆動機構の夫々の前記中間プーリーは、前記旋回リンクの内部空間に同じ高さで配置されていることが好ましい。
【0013】
上記構成に従えば、アーム用駆動モータが回動すると、アーム用出力軸を介して中間プーリーが回動する。中間プーリーは、アーム用ベルトを介してアーム用プーリーを回動させる。これにより、アーム用プーリーに固定されたアームが回動する。このようにアームを回動させる中間プーリーは、2つのハンド駆動機構に夫々1つずつ備わっており、それらが同じ高さに配置されている。それ故、2つの中間プーリーを上下方向に並べて配置する場合に比べて、搬送装置の高さを低くすることができる。これにより、搬送装置が配置される搬送室の高さを低くし、搬送装置を備える設備の高さを低く抑えることができる。
【0014】
上記発明において、前記2つのハンド駆動機構の夫々のアーム用出力軸のうち一方のアーム用出力軸は筒状に形成され、一方のアーム用出力軸に他方の前記アーム用出力軸が嵌挿されていることが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、2つのアーム用出力軸が旋回軸線に沿って並設され、一方が他方のアーム用出力軸に挿通されている。これにより、2つのアーム用出力軸の接地スペースを低減することができる。
【0016】
上記発明において、前記旋回リンクを旋回駆動する旋回用駆動機構と、
前記旋回用駆動機構及び前記2つのアーム用駆動モータの動作を制御する制御手段とを更に備え、前記制御手段は、前記アーム用駆動モータにより前記アーム及び前記ハンドを回動させて前記ハンド機構を伸張させながら前記旋回用駆動機構により前記旋回リンクを旋回させることで前記ハンドが向いている方向に該ハンドを直線的に移動させるように構成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成に従えば、制御手段により旋回ベースの回動を調整しながらハンド機構の伸張させることで、ハンドが向いている方向に直線的に動かすことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ウエハを載置する位置やゲートの向きに係わらずウエハをゲートに略真直ぐ入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る搬送装置を備える半導体処理設備を示す平面図である。
【図2】図1の搬送装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図1の搬送装置を旋回リンクに垂直な方向に切断したときの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】図1の搬送装置の要部を旋回リンクに平行な方向に切断したときの断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図3に示す搬送装置を部分的に破断して旋回リンクに平行な方向における切断面を示す拡大断面図である。
【図6】第2ハンド機構の動作を示す平面図である。
【図7】半導体処理設備において偏心状に配置された載置位置に第1ハンド機構によりウエハを搬送する前における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図8】図7の状態から第1ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを近づけた時の搬送装置を示す平面図である。
【図9】図8の状態から第1ハンド機構をさらに伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図10】図9の状態から第1ハンド機構をさらに伸ばして部屋にハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図11】図10の状態から第1ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図12】図11の状態から第1ハンド機構をさらに伸ばして載置位置までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図13】半導体処理設備において偏心状に配置された載置位置にあるウエハを第2ハンド機構により取りに行く前における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図14】図13の状態から第2ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを近づけた時の搬送装置を示す平面図である。
【図15】図14の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図16】図15の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして部屋にハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図17】図16の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図18】図17の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図19】半導体処理設備において放射状に配置された載置位置にあるウエハを第2ハンド機構により取りに行く前における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図20】図19の状態から第2ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図21】図20の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図22】図21の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図23】減速比が1.0の時における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図24】図23の状態から第2ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図25】図24の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図26】図21の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして第2ハンド機構がチャンバと接触した時の搬送装置を示す平面図である。
【図27】減速比が1.35の時における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図28】図27の状態から第2ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図29】図28の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図30】図29の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図31】減速比が1.65の時における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図32】図31の状態から第2ハンド機構を伸ばしてゲートにハンドを挿入した時の搬送装置を示す平面図である。
【図33】図32の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図34】図33の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図35】減速比が2.0の時における初期姿勢の搬送装置を示す平面図である。
【図36】図35の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして載置位置近傍までハンドを移動させた時の搬送装置を示す平面図である。
【図37】図37の状態から第2ハンド機構をさらに伸ばして第2ハンド機構がチャンバと接触した時の搬送装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、前述する図面を参照しながら、本発明の実施形態である搬送装置1を備える半導体処理設備2について説明する。なお、実施形態における上下、左右、及び前後等の方向の概念は、説明の便宜上使用するものであって、搬送装置1及び半導体処理設備2に関して、それらの構成の配置及び向き等をその方向に限定することを示唆するものではない。また、以下に説明する搬送装置1は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0021】
[半導体処理設備]
半導体処理設備2は、ウエハ3に熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理及び平坦化処理等の各種プロセス処理を施すための設備である。なお、本発明において、ウエハ3は、例えば半導体ウエハ及びガラスウエハであり、半導体ウエハとしては、例えば、シリコンウエハ、サファイヤ(単結晶アルミナ)ウエハ、その他の各種のウエハ等がある。ガラスウエハとしては、例えば、FPD(Flat Panel Display)用ガラス基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用ガラス基板等がある。
【0022】
半導体処理設備2は、搬送されたウエハ3を待機させておくロードロック室や、ウエハ3に各種プロセス処理を施すための処理室等の部屋4が夫々形成された複数のプロセスチャンバ5を有している。本実施形態において、半導体処理設備2は、7つの部屋4A〜4Gを有しており、7つのプロセスチャンバ5A〜5Gを備えている。これら7つの部屋4A〜4Gは、1つの搬送室6に繋がっている。搬送室6は、搬送チャンバ7内に形成されている。搬送チャンバ7の外形は、平面視で多角形になっており、その辺の数は、半導体処理設備2が有するプロセスチャンバ5の数と同数又はそれ以上の数になっている。本実施形態では、搬送チャンバ7は、略正七角形になっている。
【0023】
搬送チャンバ7の各辺には、ゲート8が形成されると共にプロセスチャンバ7が設けられており、各プロセスチャンバ5内に形成される部屋4A〜4Gは、ゲート8を介して搬送室6に繋がっている。各部屋4A〜4Gは、前述する各種プロセス処理を施す際や待機させる際にウエハ3を載置する載置位置9が予め定められている(2点鎖線参照)。搬送室6と部屋4A〜4Gとを夫々繋ぐゲート8A〜8Gは、このような載置位置9A〜9Gにウエハ3を真直ぐ挿入できるように形成されている。
【0024】
具体的には、ゲート8A〜8Gは、部屋4A〜4Gの奥行き方向(前後方向)に一致しかつ搬送チャンバ7の各辺に直交する方向に開口している。このようにして形成された7つのゲート8A〜8Gのうち5つゲート8A〜8Eは、搬送チャンバ7の重心Gの方に向いているが、残りの2つのゲート8F,8Gは、重心Gと異なる位置Hに向いている。このように重心Gと異なる方向を向いている2つのゲート8F,8Gに夫々接続している2つの部屋4F,4Gの載置位置9F,9Gは、重心Gに対して偏心状に位置することになる。逆に、重心Gに向いている5つのゲート8A〜8Eに夫々接続している5つの部屋4A〜4Eの載置位置9A〜9Eは、重心Gに対して放射状に位置することになる。
【0025】
搬送室6は、平面視で大略円形状(又は正多角形状)になっており、その中心が搬送チャンバ7の重心Gと略一致している。このように形成された搬送室6には、搬送装置1が配置されており、搬送室6の内径は、後述する搬送装置1の旋回リンク12の旋回半径より少しだけ大きく形成されている。搬送装置1は、前述するような偏心状に配置される載置位置9F,9G及び放射状に配置される載置位置9A〜9Eのどちらにもウエハ3を搬送し、またそこからウエハ3を取ることができるように構成されている。以下では、図1乃至図5を参照しつつ搬送装置1の具体的な構成について説明する。
【0026】
<搬送装置>
搬送装置1は、図2に示すように、固定ベース11と、旋回リンク12と、第1ハンド機構13と、第2ハンド機構14とを備えている。固定ベース11は、大略的に円筒状に形成されており、搬送チャンバ7の底面部に立設されている。固定ベース11内には図3及び4に示すような昇降機構15及び昇降ベース16が収容されている。なお、図3及び図4では固定ベース11の記載が省略されている。昇降機構15は、いわゆるボールねじ機構であり、ボールねじ軸15aとスライダ部15bとを有している。ボールねじ軸15aは、上下方向に延在し、固定ベース11に回動可能に支持されている。ボールねじ軸15aは、図示しない昇降モータにより回動駆動可能に構成されている。また、ボールねじ軸15aには、スライダ部15bが螺合されており、スライダ部15bには、筒状の昇降ベース16が一体的に設けられている。
【0027】
昇降ベース16には、旋回用駆動機構17が設けられている。旋回用駆動機構17は、旋回用モータ18と、旋回軸19とを有している。旋回用モータ18は、図3に示すように昇降ベース16内に該昇降ベース16に固定されて、その出力軸18aに駆動ギヤ18bが取付けられている。駆動ギヤ18bには、旋回軸19に取付けられた従動ギヤ19aが歯合している。旋回軸19は、上下方向に延びる旋回軸線L1を中心に回動可能に昇降ベース16に設けられ、昇降ベース16を突き抜けるように上方に延在している。旋回軸19の下端には、前述の従動ギヤ19aが取付けられ、上端には、旋回リンク12が固定されている。また、旋回軸19は筒状に形成されている。
【0028】
旋回リンク12は、中空の板状部材であり、平面視で大略短冊状に形成されている。旋回リンク12は、左右対称に形成されており、その中心が旋回軸19の軸線と一致するように旋回軸19の上端に固定されている。旋回リンク12の左右両側端部には、第1ハンド機構13と第2ハンド機構14とが左右対称に夫々設けられている。第1ハンド機構13と第2ハンド機構14とは、配置位置が異なるだけで構成等は同一である。以下では、旋回リンク12の右端部に設けられている第1ハンド機構13だけを説明し、旋回リンク12の左端部に設けられている第2ハンド機構14については同一の符合を付して説明を省略する。
【0029】
第1ハンド機構13は、図1及び図2に示すように、アーム20と、ハンド21とを有している。アーム20は、中空の板状部材であり、平面視で大略短冊状に形成されている。アーム20は、図4に示すように長手方向一端部(図4の右端部)の底面に円筒状のアーム用プーリー22が固定されている。旋回リンク12内の左右両側には、上方に延在する回動軸23が形成されており、アーム用プーリー22は、回動軸23に回動可能に装着されている。このように旋回リンク12に取付けられたアーム20は、回動軸23の軸線であって上下方向に延びる回動軸線L2(第2ハンド機構14では、回動軸線L3)を中心に回動可能に構成されている。このように構成されたアーム20の長手方向他端部(図4の左端部)にハンド21が取付けられている。
【0030】
ハンド21は、板状の部材である。ハンド21の先端は、二股状に形成され、ウエハ3を載置して保持できるように構成されている。また、ハンド21の基端側の底面には、円筒状のハンド用プーリー25が固定されている。アーム20内の長手方向他端(図4の左端)側には、上方に延在するハンド用軸24が形成されており、ハンド用プーリー25は、ハンド用軸24に回動可能に装着されている。このようにアーム20に取付けられたハンド21は、ハンド用軸24の軸線であって上下方向に延びるハンド用軸線L4(第2ハンド機構14では、ハンド用軸線L5)を中心に回動可能に構成されている。
【0031】
また、第1ハンド機構13は、ハンド21とアーム20とを連動させる連動機構26を有している。連動機構26は、前述のハンド用プーリー25と、回動軸側プーリー27及びハンド用ベルト28とによって構成される。回動軸側プーリー27は、その軸線が回動軸線L2に一致するように回動軸23に固定されている。回動軸側プーリー27には、ハンド用ベルト28が巻き掛けられている。ハンド用ベルト28は、更にハンド用プーリー25にも巻き掛けられており、回動軸側プーリー27とハンド用プーリー25との間に張架されている。
【0032】
このように構成される第1ハンド機構13を駆動すべく、昇降ベース16には、第1ハンド用駆動機構30が設けられている。第1ハンド用駆動機構30は、図5に示すように第1回動用モータ31と、第1駆動軸32とを有している。第1回動用モータ31は、図5に示すように昇降ベース16内に該昇降ベース16に固定されている。第1回動用モータ31の出力軸31aには、駆動ギヤ31bが取付けられている。駆動ギヤ31bには、第1駆動軸32に取付けられた従動ギヤ32aが歯合している。第1駆動軸32は、既述のように筒状に形成された旋回軸19に挿通されており、その下端及び上端が旋回軸19から上方及び下方に夫々突出している。第1駆動軸32の下端側は、旋回軸線L1を中心に(すなわち、旋回軸10と同軸に)回動可能に昇降ベース16に支持され、下端に前述の従動ギヤ32aが取付けられている。第1駆動軸32の上端側は、旋回軸19に回動可能に支持され、上端に第1伝動ギヤ32bが取付けられている。また、第1駆動軸32は筒状に形成されている。
【0033】
第1伝動ギヤ32bは、円環形状の薄板状に形成され、旋回軸線L1を中心に回動するように旋回リンク12内に配置されている。第1伝動ギヤ32bは、第1中間ギヤ33に歯合している。第1中間ギヤ33は、第1伝動ギヤ32bと同様に薄板状に形成され、旋回リンク12内において該旋回リンク12に回動可能に設けられている。第1中間ギヤ33は、第1伝動ギヤ32bと共に旋回リンク12の長手方向に並べられ、第1伝動ギヤ32bと共に第1ギヤ列34を構成している。第1中間ギヤ33の上部には、第1中間プーリー35が固定されている。第1中間プーリー35には、アーム用ベルト36が巻き掛けられている。アーム用ベルト36は、更にアーム用プーリー22にも巻き掛けられており、第1中間プーリー35とアーム用プーリー22との間に張架されている。
【0034】
また、第2ハンド機構14を駆動すべく、昇降ベース16には、第2ハンド用駆動機構40が設けられている。第2ハンド用駆動機構40は、図5に示すように第2回動用モータ41と、第2駆動軸42とを有している。第2回動用モータ41は、図5に示すように昇降ベース16内に該昇降ベース16に固定されている。第2回動用モータ41の出力軸41aには、駆動ギヤ41bが取付けられている。駆動ギヤ41bには、第2駆動軸42に取付けられた従動ギヤ42aが歯合している。第2駆動軸42は、上述のように筒状に形成された第1駆動軸32に挿通されており、その下端及び上端が第1駆動軸32から上方及び下方に夫々突出している。第2駆動軸42の下端側は、旋回軸線L1を中心に(すなわち、第1駆動軸32及び旋回軸19と同軸に)回動可能に昇降ベース16に支持され、下端に従動ギヤ42aが取付けられている。第2駆動軸42の上端側は、第1駆動軸32に回動可能に支持され、上端はさらに第1伝動ギヤ32bを貫通している。この上端に第2伝動ギヤ42bが取付けられている。
【0035】
第2伝動ギヤ42bは、薄板状に形成されている。第2伝動ギヤ42bは、旋回リンク12内において、平面視で第1伝動ギヤ32bに重なるように配置され、旋回軸線L1を中心に回動するように構成されている。第2伝動ギヤ42bは、第2中間ギヤ43に歯合している。第2中間ギヤ43は、第2伝動ギヤ42bと同様に薄板状に形成され、旋回リンク12内に該旋回リンク12に回動可能に設けられている。第2中間ギヤ43は、平面視で第2伝動ギヤ42b及び第2中間ギヤ43と共に旋回リンク12の長手方向に並べられており、第2伝動ギヤ42bを挟んで第1中間ギヤ33の反対側に配置されている。第2中間ギヤ43は、第2伝動ギヤ42bと共に第2ギヤ列44を構成している。また、第2中間ギヤ43の上部には、第2中間プーリー45が固定されている。第2中間プーリー45には、アーム用ベルト46が巻き掛けられている。アーム用ベルト46は、更にアーム用プーリー22にも巻き掛けられており、第2中間プーリー45とアーム用プーリー22との間に張架されている。このようにアーム用ベルト46が張架された第2中間プーリー45は、第1中間プーリー35と同じ高さに配置されている。
【0036】
また、搬送装置1は、外部から隔離するように旋回軸19、第1駆動軸32及び第2駆動軸42を被覆する蛇腹状のベローズ51を備えている。ベローズ51は、大略円筒状に形成されている。ベローズ51の中には、旋回軸19、第1駆動軸32及び第2駆動軸42が挿通されており、下端部が昇降ベース16に気密に取付けられている。また、ベローズ51の上端部には、フランジ部52が設けられている。フランジ部52は、大略円板状に形成され、旋回軸19、第1駆動軸32及び第2駆動軸42が貫通している。フランジ部52は、旋回軸19の上端よりに位置しており、旋回リンク12に対向している。
【0037】
このように構成された第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14は、図6の実線で示すような初期姿勢をとる。初期姿勢では、第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14が共に鋭角に屈曲し、ハンド21の先端が略同じ方向(前方)に向いている。このように屈曲する第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14では、アーム20が斜め後方に延在し、そこから前方へと延びるハンド21が互いに略並行、且つ左右に延在する旋回リンク12に略直交するように位置している。このように構成された第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14は、ハンド21にて保持されたウエハ3が互いに当たらないように、アーム20の長さが規定されている。その長さは、ウエハ3を載置する載置位置9に応じて設定され、少なくとも旋回リンク12の長さの半分以下となっている。
【0038】
このように構成された第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14を夫々駆動する第1回動用モータ31及び第2回動用モータ41、並びに旋回リンク12を旋回駆動する旋回用モータ18は、制御器50に制御配線を通じて接続されている。制御手段である制御器50は、予め定められたプログラムに基づいて、旋回用モータ18、第1回動用モータ31及び第2回動用モータ41の駆動を制御する機能を有する。また、制御器50は、図示しない昇降モータに制御配線を通じて接続され、昇降モータの駆動を制御することで昇降ベース16を昇降する機能を有している。更に、制御器50は、第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14のアーム20が初期姿勢より後側に回動しないように第1回動用モータ31及び第2回動用モータ41の駆動を制御している。なお、このような回動の規制は、制御器50だけでなく、回動規制用のピン等を設けて機械的に実施してもよい。以下では、制御器50により第1ハンド機構13の動作を制御した際の搬送装置1の動作について説明する。
【0039】
<搬送装置の動作について>
搬送装置1では、制御器50が初期位置から第1回動用モータ31を動作させて第1駆動軸32を回動させると、第1ギヤ列34を介して第1中間プーリー35が回動する。第1中間プーリー35が回動することで、アーム用ベルト36によりアーム用プーリー22が回動し、第1ハンド機構13のアーム20が回動軸線L2を中心に回動する。アーム20が回動すると、ハンド用プーリー25が回動軸線L2を中心に回動する。このようにハンド用プーリー25が回動軸線L2を中心に回動すると、回動軸側プーリー27が回動軸23に固定されているためハンド用ベルト28がハンド用軸線L4を中心にハンド用プーリー25を回動させる。これにより、第1ハンド機構13のハンド21がハンド用軸線L4を中心に回動する。このように第1ハンド機構13のハンド21は、アーム20に連動して回動する。ハンド21は、アーム20が時計回りに回動すると反時計回りに回動し、逆にアーム20が反時計回りに回動すると時計回りに回動する。従って、第1ハンド機構13は、アーム20を時計回りに回動させると伸張し、逆にアーム20を反時計回りに回動させると屈曲する。
【0040】
また、制御器50が第2回動用モータ41を駆動すると、第1ハンド用駆動機構30と同様に、第2ハンド機構14のアーム20が回動し、アーム20に連動して第2ハンド機構14のハンド21が回動する。このように第2ハンド機構14のアーム20及びハンド21が連動して回動することで、第2ハンド機構14が屈伸する。
【0041】
<アーム20の回動に対するハンド21の回動の減速比>
このように屈伸する第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14は、初期姿勢において、各ハンド21及びそこに保持されたウエハ3が互いに当たらないようになっている。このような初期状態から各ハンド機構13,14のアーム20を前側に回動させると、ハンド21は、図6の一点鎖線、点線及び二点鎖線で示すように他方のハンド機構14(又は13)を避けるようにアーム21に連動して動くようになっている。このような退避動作は、回動軸側プーリー27とハンド用プーリー25との変速比(ギヤ比)、つまりアーム20に対するハンド21の減速比を調整することで実現している。減速比は、1.35以上1.65以下の範囲で設定されており、このような減速比になるように回動軸側プーリー27とハンド用プーリー25との変速比(ギヤ比))が設定されている。このような範囲内で減速比を設定すると、退避動作が実現できるだけでなく、後述するようにハンド21及びそこに保持されたウエハ3を略直線的に動かすことができる。このようにハンド21を直線的に動かすことで、ハンド21及びそこに保持されたウエハ3が搬送中にゲート8に干渉することを防ぐことができる。なお、本実施形態において、減速比が例えば、1.55になるように変速比(ギヤ比)が設定されている。以下では、半導体処理設備2における搬送装置1のハンド21の動きについて詳しく説明する。
【0042】
[半導体処理設備におけるハンドの動き]
以下では、搬送チャンバ7の左前方に設けられているプロセスチャンバ5F内の処理室4Fにウエハ3を搬送する場合について、図7乃至図12を参照しつつ説明する。まず、制御器50は、初期姿勢の搬送装置1の旋回リンク12を旋回させ、第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14のハンド21の先端部を搬送先の処理室4F側に向ける(図7参照)。この際、旋回リンク12は、左右方向に延在している。
【0043】
次に、制御器50は、旋回用モータ18を駆動して旋回リンク12を反時計回りに回動させる。旋回リンク12を回動させている間、制御器50は、第1回動用モータ31を駆動して第1ハンド機構13のアーム20及びハンド21を回動させ、第1ハンド機構13を伸張させる。このように、制御器50は、旋回リンク12を回動させながら第1ハンド機構13を伸張させ、ハンド21及びウエハ3を処理室4Fに繋がるゲート8Fの方へと移動させる。この際、制御器50は、ハンド21がゲート8Fに対して略真直ぐになるように(ゲート8Fの開口方向に略一致する方向を向くように)旋回用モータ18及び第1回動用モータ31を制御する。制御器50は、ゲート8Fに近づくと(図8参照)、第1ハンド機構13を伸張させつつ旋回用モータ18の回動速度を落とす。そして、その回動速度を調整しながらハンド21に保持されたウエハ3をゲート8Fに挿入する(図9参照)。この際、ウエハ3がゲート8Fに当たらないように、ハンド21は、ゲート8Fの中心付近に略真直ぐな状態で挿入される。挿入後も、制御器50は、旋回用モータ18の回動速度を調整しながら第1ハンド機構13を伸張させ、ハンド21及びウエハ3を載置位置9Fに向かって略一直線に移動させる(図7〜図12参照)。
【0044】
その後、ウエハ3が処理室4Fの載置位置9Fに達すると、制御器50は、旋回用モータ18及び第1回動用モータ31を停止する。更に、制御器50は、昇降モータを動作させて昇降ベースを下降させ、ウエハ3を載置位置9Fに載置する。載置後、制御器50は、旋回用モータ18を動作させつつ第1ハンド機構13を屈曲させ、移動してきた軌道を辿ってハンド21を後退させていき、搬送装置1を初期姿勢まで戻す。
【0045】
このようにして載置位置9Fに載置されたウエハ3は、第2ハンド機構14のハンド21により取り出される。次に、第2ハンド機構14によりプロセスチャンバ5Fの処理室4Fからウエハ3を取り出す場合について、図13及び図18を参照しつつ説明する。まず、制御器50は、初期姿勢にある搬送装置1(図13参照)の旋回リンク12を時計回りに回動させながら第2ハンド機構14を伸張させる。これにより、ハンド21を処理室4Fに繋がるゲート8Fの方へと移動する(図14参照)。その後、制御器50は、旋回リンク12の回動速度を調整しながらハンド21をゲート8Fに挿入し(図15参照)、挿入後、ハンド21及びウエハ3を搬送路に沿って略一直線に移動させる(図16〜図18参照)。そして、ウエハ3が処理室4Fの載置位置9Fに達すると、制御器50は、旋回用モータ18及び第1回動用モータ31を停止して昇降モータを動作させて昇降ベース16を上昇させ、載置位置9Fにあるウエハ3をハンド21で保持する。保持後、制御器50は、旋回用モータ18を動作させつつ第1ハンド機構13を屈曲させ、移動してきた軌道を辿ってハンド21を後退させていき、搬送装置1を初期姿勢まで戻す。
【0046】
このように搬送装置1は、偏心状に配置された載置位置9Fまで第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14のハンド21を略直線的に移動させることができるので、第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14、並びにそれらに保持されたウエハ3を搬送チャンバ7に接触させることなく、載置位置9Fにウエハ3を載置したり、そこにあるウエハ3を取ったりすることができる。搬送装置1は、図示しないが、同じように偏心状に配置された載置位置9Gにもウエハ3を載置したり、そこあるウエハ3を取ったりすることができる。また、搬送装置1は、載置位置9Fよりも更に奥の方にまでハンド21を略直線的に移動させることができ(図7及び図13の2点鎖線参照)、偏心状に配置された様々な位置に向かって略直線的にハンド21を移動させることができる。
【0047】
また、搬送装置1は、偏心状に配置される位置だけでなく、放射状に配置された載置位置8A〜8Eにもウエハ3を搬送することができる。その一例として第1ハンド機構13がウエハ3を載置位置8Cに搬送する場合について、図19〜図22に示す。なお、制御器50が実行する制御は、初めにハンド21を向ける方向(図19参照)、旋回用モータ18の回動量、及び第1回動用モータ31の回動量を除いて、第1ハンド機構13のハンド21を載置位置9Fに移動させる際の制御と同じである。このような制御が実行されて移動した第1ハンド機構13のハンド21は、ゲート8Cに略真直ぐに挿入され(図20参照)、そのまま略真直ぐに移動して載置位置9Cに達する(図21及び図22参照)。挿入前においてハンド21の向きを変えることにより、搬送装置1は、同様に載置位置9A,9B,9D,9Eに向かって略真直ぐに移動させることができる。それ故、搬送装置1は、放射状に配置された載置位置9A〜9Eについても、そこまで第1ハンド機構13のハンド21を略直線的に移動させ、そこにウエハ3を載置したり、そこにあるウエハ3を取ったりすることができる。
【0048】
このように、ウエハ3を載置したり、取ったりする2つのハンド機構13,14のハンド21の軌跡は、回動軸側プーリー27とハンド用プーリー25との変速比(ギヤ比)により変えることができる。即ち、ハンド21の軌跡は、アーム20とハンド21との減速比に応じて調整することができる。以下では、減速比を1.0、1.35、1.65及び2.0に夫々設定したときに、第2ハンド機構14のハンド21がどのような動きをして搬送チャンバ7の右側に設けられているプロセスチャンバ5A内の処理室4Aにウエハ3を搬送するか説明する。
【0049】
[異なる減速比の動作に関する対比]
減速比が1.0に設定された場合について説明する。まず、制御器50は、初期姿勢の搬送装置1の旋回リンク12を回動させ、第1ハンド機構13及び第2ハンド機構14のハンド21の先端部を搬送先の処理室4A側に向ける(図23参照)。その後、制御器50は、旋回用モータ18及び第2回動用モータ41を制御して第2ハンド機構14のハンド21を処理室4Aに挿入していく(図24及び図25参照)。第2ハンド機構14のハンド21は、ゲート8Aに挿入された時、略真直ぐな姿勢で挿入されているが、載置位置9Aの方へと進むにつれて徐々にその姿勢がゲート8Aに対して平面視で斜めに傾いていく。そのままハンド21を前進させていくと、やがてハンド21が搬送チャンバ7(正確にはゲート8Aの開口の向かって左側の部分)と接触する(図26参照)。このように、減速比を1.0に設定すると、ゲート8Aに挿入された後、第2ハンド機構14のハンド21は、その姿勢を傾けながら前進するので、搬送チャンバ7と接触してしまう。
【0050】
次に、減速比が1.35に設定された場合について説明する。制御器50は、減速比が1.0に設定された場合と同様の制御を行い、第2ハンド機構14のハンド21を処理室4Aに挿入していく(図27及び図28参照)。ゲート8Aに挿入された第2ハンド機構14のハンド21は、ゲート8Aに挿入した時及び挿入した後もゲート8Aに対して略真直ぐに前進していく(図29参照)。それ故、アーム20、ハンド21及びハンド21に保持されたウエハ3が搬送チャンバ7やプロセスチャンバ5Aに接触することなく、第2ハンド機構14のハンド21を載置位置9Aまで移動させることができる(図30参照)。このように、減速比を1.35に設定すると、第2ハンド機構14のハンド21は、ゲート8Aに対して略真直ぐに前進していき、ハンド21自身やアーム20、更にはウエハ3が搬送チャンバ7に接触することを防ぐことができる。
【0051】
次に、減速比が1.65に設定された場合について説明する。制御器50は、減速比が1.0に設定された場合と同様の制御を行い、第2ハンド機構14のハンド21を処理室4Aに挿入していく(図31及び図32参照)。ゲート8Aに挿入された第2ハンド機構14のハンド21は、減速比が1.35に設定された場合と同様に、ゲート8Aに挿入した時及び挿入した後もゲート8Aに対して略真直ぐに前進する(図33参照)。そして、アーム20、ハンド21及びハンド21に保持されたウエハ3が搬送チャンバ7やプロセスチャンバ5Aに接触することなく、第2ハンド機構14のハンド21が載置位置9Aまで達する(図34参照)。このように、減速比を1.65に設定した場合もまた、第2ハンド機構14のハンド21は、ゲート8Aに対して略真直ぐに前進していき、ハンド21自身やアーム20、更にはウエハ3が搬送チャンバ7に接触することを防ぐことができる。
【0052】
最後に、減速比が2.0に設定された場合について説明する。制御器50は、減速比が1.0に設定された場合と同様の制御を行い、第2ハンド機構14のハンド21を処理室4Aに挿入していく(図35及び図36参照)。ゲートに挿入する際、第2ハンド機構14は、アーム20とハンド21とが屈曲した状態のままハンド21をゲート8Aに挿入する。そのため、ハンド21は、やや傾いた姿勢でゲート8Aに挿入されている。挿入後、ハンド21を載置位置9Aに前進させていくが、減速比が大きいため第2ハンド機構14が十分に伸張せずにゲート8Aに挿入される。それ故、第2ハンド機構14のアーム20とハンド21とが接続されている接続部分がゲート8Aの幅方向に張出してしまう。そのため、ハンド21を載置位置9Aに前進させていくと、やがて前記接続部分が搬送チャンバ7(正確には搬送室6からゲート8Aの開口に向かって右側の部分)と接触する(図37参照)。このように、減速比を2.0に設定すると、第2ハンド機構14は、十分に伸張しないままゲート8Aに挿入されるので、搬送チャンバ7と接触してしまう。
【0053】
なお、図示はしないが、他のプロセスチャンバ5B〜5Gにハンド21を挿入する場合、前述と同様の結果が得られる。つまり、減速比が1.0及び2.0に設定されたとき、第2ハンド機構14が搬送チャンバ7に接触し、減速比が1.35及び1.65に設定されたとき、第2ハンド機構14が搬送チャンバ7に接触することなく載置位置9にたどり着くことができる。また、第1ハンド機構13についても同様である。
【0054】
このように、減速比が1.35及び1.65に設定された場合、ハンド21がゲート8から載置位置9に向かって略真直ぐに移動し、そこに保持するウエハ3を搬送チャンバ7やプロセスチャンバ5に接触させることなく搬送させることができる。全ての範囲について図示しないが、減速比を変えていくと、ハンド21の姿勢は、1.35及び1.65から1.55付近に近づくにつれてより真直ぐになっていく。つまり、減速比は、1.55付近が好ましく、1.35以上1.65以下の範囲で設定されれば、ハンド21がゲート8から載置位置9に向かって略真直ぐに移動し、そこに保持するウエハ3を搬送チャンバ7やプロセスチャンバ5に接触させることなく搬送させることができる。
【0055】
このように減速比を1.35以上1.65以下の範囲することで、搬送装置1は、ハンド21をゲート8から載置位置9に向かって略真直ぐに移動させ、そこに保持するウエハ3を搬送チャンバ7やプロセスチャンバ5に接触させることなく搬送させることができる。このように略直線的にハンド21を移動させることができるので、減速比が1.0や2.0に設定された場合に比べて、ゲート8の幅を狭めることができ、搬送チャンバ7及びプロセスチャンバ5の外形寸法を小さくすることができる。
【0056】
また、本実施の形態の搬送装置1によれば、第1中間プーリー35と第2中間プーリー45とが同じ高さに配置されている。それ故、2つの中間プーリー35,45を上下方向に並べて配置する場合に比べて、搬送装置1の高さを低くすることができる。これにより、搬送装置1が配置される搬送室6の高さを低くし、搬送チャンバ7及び半導体処理設備2の高さを低く抑えることができる。
【0057】
更に、搬送装置1によれば、2つの駆動軸32,42及び旋回軸19が旋回軸線L1に沿って並設され、旋回軸19内に駆動軸32,42が挿通されている。さらに、第1駆動軸32内に第2駆動軸42が挿通されている。それ故、旋回軸19の外径を小さくすることができ、旋回軸19及び2つの駆動軸32,42の設置スペースを低減できる。また、旋回軸19を覆うベローズ51の外径を小さくすることができる。これにより、製造コストを低く抑えることができる。
【0058】
[その他の実施形態]
本実施形態では、七角形の搬送チャンバ7を備える半導体処理装置2について説明したが、搬送チャンバ7の形状は、必ずしも前述するような形状に限定されない。搬送チャンバ7は、六角形及び八角形等の多角形、円形や楕円形であってもよく、その形状は問わない。プロセスチャンバ5についても同様である。搬送装置1の旋回ベース13、アーム20及びハンド21についても、上述するような動作が可能であれば形状は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本件発明は、半導体ウエハ及びガラスウエハ等のウエハを搬送するため搬送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送装置
3 ウエハ
12 旋回リンク
13 第1ハンド機構
14 第2ハンド機構
17 旋回用駆動機構
20 アーム
21 ハンド
22 アーム用プーリー
23 回動軸
24 ハンド用軸
25 ハンド用プーリー
26 連動機構
27 回動軸側プーリー
28 ハンド用ベルト
30 第1ハンド用駆動機構
32 第1駆動軸
35 第1中間プーリー
36 アーム用ベルト
40 第2ハンド用駆動機構
45 第2中間プーリー
46 アーム用ベルト
50 制御器
51 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた旋回軸線を中心に旋回可能に構成された旋回リンクと、
ウエハを夫々保持可能で、前記旋回軸線に並行な2つの回動軸線を中心に夫々回動可能に前記旋回リンクに取り付けられた2つのハンド機構と、
前記2つのハンド機構を夫々回動駆動する2つのハンド駆動機構と、を備え、
前記ハンド機構は、前記回動軸線を中心に回動可能に前記旋回リンクに取り付けられ、前記ハンド駆動機構により回動されるアームと、前記回動軸線と平行なハンド用軸線を中心に回動可能に前記アームに設けられた前記ウエハを保持するためのハンドと、前記アームの回動に連動して前記ハンドを回動させる連動機構と、を有し、
前記連動機構は、前記アームの回動に対する前記ハンドの回動の減速比が1.35以上1.65以下になるように構成されている、搬送装置。
【請求項2】
前記連動機構は、前記回動軸線を中心に回動可能に前記旋回リンクに固定された回動軸線側プーリーと、前記ハンド軸線を中心に回動可能に前記アームに設けられたハンド軸線側プーリーと、該ハンド軸線側プーリーと前記回動軸線側プーリーとに巻き掛けられたハンド用ベルトと、を有し、
前記ハンドは、前記ハンド軸線側プーリーに固定されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ハンド駆動機構は、アーム用駆動モータと、前記アーム用駆動モータにより回動されるアーム用出力軸と、前記アーム用出力軸に連動して回動する中間プーリーと、前記アームに固定され、前記回動軸線を中心に回動可能なアーム用プーリーと、前記中間プーリーと前記アーム用プーリーとに巻き掛けられたアーム用ベルトと、を有し、
前記2つのハンド駆動機構の夫々の前記中間プーリーは、前記旋回リンクの内部空間に同じ高さで配置されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記2つのハンド駆動機構の夫々のアーム用出力軸のうち一方のアーム用出力軸は筒状に形成され、一方のアーム用出力軸に他方の前記アーム用出力軸が嵌挿されている、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記旋回リンクを旋回駆動する旋回用駆動機構と、
前記旋回用駆動機構及び前記2つのアーム用駆動モータの動作を制御する制御手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記アーム用駆動モータにより前記アーム及び前記ハンドを回動させて前記ハンド機構を伸張させながら前記旋回用駆動機構により前記旋回リンクを旋回させることで前記ハンドが向いている方向に該ハンドを直線的に移動させるように構成されている、請求項1乃至4の何れか1つに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−161554(P2011−161554A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25836(P2010−25836)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】