説明

電動パワーステアリング装置

【課題】アシスト開始時間を短かくすることの可能な電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】EPSの備えるマイコンは、イグニッションスイッチがオンされた後、ECUがモータを通電制御する前に、モータまたはモータ駆動回路の故障診断処理を行う。ステアリングホイールとともに回転するモータの角速度が所定値よりも大きい場合(S1:YES)、処理は、故障診断の実施を省略する(S7:YES)。これにより、イグニッションスイッチがオンされてからモータの通電制御を開始するまでの時間が短縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の操舵をモータの駆動力によって補助する電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という)が知られている。
特許文献1に記載のEPSは、イグニッションスイッチがオンされてから操舵補助を開始するまでの間に、モータとその駆動回路の故障の有無を診断する故障診断が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、故障診断をしている最中にモータ駆動回路とモータとの間に設けられたモータリレーをオンしている(特許文献1の明細書の段落「0043」及び図3参照)。このため、運転者がステアリングホイールを操作した場合、ステアリングホイールにギヤを介して連動するモータから誘起電圧が生じると、故障診断の精度が悪化するおそれがある。
そこで、モータリレーをオンした後の故障診断では、モータの角速度を監視し、その角速度が所定値よりも大きいときは故障診断の実施を待ち、所定値よりも小さい場合に故障診断を実施することが考えられる。
しかしながら、誘起電圧が所定値よりも小さくなるまで故障診断の実施を待って故障診断を行うと、イグニッションスイッチがオンされてからEPSがアシストを開始するまでの時間が長くなることが懸念される。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、アシスト開始時間を短かくすることの可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、電動パワーステアリング装置は、モータ、モータ駆動回路、制御装置、イグニッションスイッチ、故障診断手段および角速度検出手段を備える。
モータは、ステアリングホイールの操舵をアシストする。スイッチング素子を有するモータ駆動回路は、電源から供給される電流をスイッチング素子のオンオフによってモータを駆動する駆動電流にしてモータに供給する。制御装置は、モータ駆動回路のスイッチング素子を制御することで、モータを通電制御する。イグニッションスイッチは、制御装置の電源ライン上に設けられる。
イグニッションスイッチがオンされた後、制御装置がモータを通電制御する前に、故障診断手段は、モータまたはモータ駆動回路の故障診断を行う。
角速度検出手段は、ステアリングホイールとともに回転するモータの角速度を検出する。
故障診断手段は、モータの角速度が所定値よりも大きい場合、故障診断の実施を省略する。
運転者がステアリングホイールを操作すると、モータの角速度(rad/s)に従い、モータコイルからモータ駆動回路の配線に誘起電圧が生じる。誘起電圧が大きくなると、例えばモータ駆動回路の有するスイッチング素子のショート故障など、種々の故障診断項目において故障検出が困難になる。そこで、モータの角速度が所定値よりも大きい場合、故障診断の実施を省略する。これにより、イグニッションスイッチがオンされてから制御装置がモータの通電制御を開始するまで時間が短縮される。したがって、EPSのアシスト開始時間を短くすることができる。
また、EPSは、故障診断において、モータの誘起電圧の影響が低減されるので、故障診断の信頼性を高めることができる。
【0006】
請求項2に係る発明によると、電動パワーステアリング装置は、モータの角速度が所定値よりも大きい状態が継続している時間を測定する時間測定手段を備える。
故障診断手段は、モータまたはモータ駆動回路の故障診断を行う複数の故障診断項目を有しており、所定の故障診断項目の診断を開始する前に、時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、次の故障診断項目に移行する。
これにより、所定の故障診断項目の診断に関し、予め設定された所定時間よりも時間が長くかかることを防ぐことができる。
【0007】
請求項3に係る発明によると、故障診断手段は、所定の故障診断項目の診断を開始する前に、時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、モータから生じる誘起電圧の影響を受けるその後の故障診断項目の実施を省略する。
これにより、EPSは、アシスト開始時間を短くすることができる。また、EPSは、誘起電圧の影響を受ける故障診断項目に関し、誤診を防ぐことができる。
【0008】
請求項4に係る発明によると、故障診断手段は、所定の故障診断項目を診断前に、時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、モータから生じる誘起電圧の影響を受けるその後の故障診断項目を正常と判定する。
これにより、EPSは、故障診断を終了し、制御装置がモータを通電制御する状態へ移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態によるEPSの構成図。
【図2】本発明の第1実施形態によるEPSの回路図。
【図3】本発明の第1実施形態によるEPSの故障診断のフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態によるEPSの故障診断のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるEPSを図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、EPS1の全体構成を示す。ステアリングホイール2に接続されたステアリングシャフト3に、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ4が取り付けられている。ステアリングシャフト3の先端にはピニオンギヤ5が設けられ、そのピニオンギヤ5はラック軸6に噛み合っている。ラック軸6の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪7が回転可能に連結されている。ステアリングシャフト3の回転運動は、ピニオンギヤ5によってラック軸6の直線運動に変換される。ラック軸6の直線運動の変位に応じた角度で車輪7が操舵される。
EPS1は、モータ8、減速ギヤ9、およびモータ8を駆動制御するECU10を備える。モータ8は、三相ブラシレスモータであり、ステアリングホイール2の操舵をアシストするためのアシストトルクを発生する。このトルクは、減速ギヤ9を経由してステアリングシャフト3に伝達される。
【0011】
ECU10の回路構成を図2に示す。ECU10は、パワー部20と制御部40とから構成される。ECU10は、モータ8の駆動を制御する。
ECU10のパワー部20は、第1コンデンサ21、チョークコイル22および複数のパワーモジュール等を備えている。
【0012】
パワー部20には、ECU10の外部に設けられる電源11から電力が供給される。パワー部20の備える第1コンデンサ21およびチョークコイル22は、フィルタ回路を構成し、電源11を共有する他の装置からECU10に伝わるノイズを低減するとともに、ECU10から電源11を共有する他の装置へ伝わるノイズを低減する。また、チョークコイル22は、電源11と電源リレー29、30との間に直列接続され、電圧変動を減衰する。
【0013】
パワー部20は、2個のパワーモジュールを備えている。電源リレー29、30、インバータ回路23を構成するスイッチング素子31〜36、および、シャント抵抗37等を樹脂等の封止体で覆うことで、一方のパワーモジュールは構成される。
電源リレー29、30は、電界効果トランジスタの一種であるMOSFETである。電源リレー29、30は、スイッチング素子31〜36とチョークコイル22との間に設けられ、異常時にスイッチング素子31〜36を経由してモータ8へ流れる電流を遮断可能である。
【0014】
スイッチング素子31〜36は、電源リレー29、30と同様にMOSFETである。スイッチング素子31〜36は、ゲート電圧により、ソース−ドレイン間がオンオフ制御される。
電源側の3個のスイッチング素子31〜33は、ドレインが電源側に接続され、ソースがスイッチング素子31〜33のそれぞれに対応するグランド側の3個のスイッチング素子34〜36のドレインに接続されている。グランド側の3個のスイッチング素子34〜36のソースは、シャント抵抗37を経由してグランドに接続されている。スイッチング素子31〜33と、それに対応するスイッチング素子34〜36との接続点25〜27は、それぞれモータ8の三相コイルに接続されている。
【0015】
シャント抵抗37は、スイッチング素子34〜36とグランドとの間に接続されている。シャント抵抗37に印加される電圧または電流を検出することにより、モータ8に流れる駆動電流を検出可能である。
第2コンデンサ38は、スイッチング素子31〜33の電源側の配線とグランド側の配線とに接続されている。つまり、第2コンデンサ38は、スイッチング素子31〜36と並列接続されている。第2コンデンサ38は、電荷を蓄えることでスイッチング素子31〜36への電力供給を補助し、また、電流の切り替えにより生じるリップル電流を吸収する。
【0016】
他方のパワーモジュールの有する他方のインバータ回路24には、チョークコイル22から分岐する配線から電力が供給される。他方のパワーモジュールは、上述の一方のパワーモジュールと同様の構成のため、説明を省略する。
【0017】
制御部40は、カスタムIC41、回転角センサ42、マイコン43およびプリドライバ44、45等から構成されている。
カスタムIC41は、レギュレータ46、回転角センサ信号増幅部47および検出電圧増幅部48等を含む半導体集積回路である。
レギュレータ46は、電源11から供給される電力を安定化する安定化回路である。レギュレータ46は、制御部40の各部へ供給される電力の安定化を行う。制御部40の電源回路に設けられたイグニッションスイッチ12がオンされると、電源からレギュレータ46を経由してマイコン43等へ電力が供給される。このため、マイコン43は、安定した所定の電圧(例えば5V)で動作する。
【0018】
回転角センサ信号増幅部47には、回転角センサ42からの信号が入力される。回転角センサ42は、モータ8のシャフトに設けられた磁石の磁界内に設けられ、周囲の磁界の変化を検出し、その検出値をモータ8の回転角度に関する信号として回転角センサ信号増幅部47に伝送する。回転角センサ信号増幅部47は、回転角センサ42から伝送されたモータ8の回転角度に関する信号を増幅し、マイコン43へ出力する。
マイコン43は、回転角センサ42から伝送された信号に基づき、モータの角速度を検出可能である。マイコン43及び回転角センサ42は、特許請求の範囲に記載の「角速度検出手段」に相当する。
検出電圧増幅部48は、シャント抵抗37の両端電圧を検出し、その検出した検出値を増幅し、マイコン43へ出力する。
【0019】
マイコン43は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM等を有する小型のコンピュータである。マイコン43は、ROMに格納された各種プログラムに従い、CPUによって種々の処理が実行される。マイコンは、特許請求の範囲に記載の「制御装置」「時間測定手段」または「故障診断手段」として機能する。
【0020】
マイコン43には、回転角センサ信号増幅部47からモータ8の回転角度に関する信号、検出電圧増幅部48からシャント抵抗37の両端電圧、トルクセンサ4から操舵トルク信号、およびCANから車速情報等が入力される。マイコン43は、これらの信号が入力されると、モータ8の回転角度に基づきプリドライバ44、45を介してインバータ回路23、24を制御する。
また、マイコン43は、検出電圧増幅部48から入力されるシャント抵抗37の両端電圧に基づき、モータ8へ供給する電流を正弦波に近づけるようインバータ回路23、24を制御する。
【0021】
本実施形態では、ECU10は、2系統のモータ駆動回路を備えている。マイコン43は、一方のプリドライバ44により一方のインバータ回路23を制御するのと同様に、他方のプリドライバ45により他方のインバータ回路24を制御する。プリドライバ44およびインバータ回路23は、特許請求の範囲に記載の「モータ駆動回路」に相当する。また、他方のプリドライバ45および他方のインバータ回路24もまた、特許請求の範囲に記載の「モータ駆動回路」に相当する。
【0022】
マイコン43は、回転角センサ42、トルクセンサ4、シャント抵抗37、CANからの車速情報等に基づき、車速に応じてステアリング2の操舵をアシストするように、プリドライバ44、45を介してPWM制御により作り出されたパルス信号を生成する。このパルス信号は、2系統のインバータ回路23、24のスイッチング素子のオンオフの切り替え動作を制御する。これにより、モータ8には、位相の異なる正弦波の駆動電流が供給され、モータのステータコイルに回転磁界が生じる。この回転磁界によりモータ8は回転力を発生し、運転者のステアリング2による操舵がアシストされる。
【0023】
次に、本実施形態によるEPS1が実行する故障診断について、図3のフローチャートを参照して説明する。
故障診断の処理は、イグニッションスイッチ12がオンされた後、ECU10がモータを通電制御する前のイニシャルチェックとして実行される。
まず、ステップS1(以後、「ステップ」を省略し、単にSと表記する)では、ω条件が成立しているか否かを検出する。
ω条件成立とは、モータ8が回転する角速度(rad/s)が所定値よりも大きいことをいう。モータ8の角速度と、モータ8から生じる誘起電圧とは相対関係を有する。そのため、モータ8の角速度を検出することで、誘起電圧を検出することが可能である。
モータ8の角速度は、回転角センサ42から伝送された信号により検出可能である。
なお、モータ8の角速度は、上記回転角センサ42の他、種々の手段により検出することができる。例えば、ステアリングホイール2の操舵を検出する図示しない操舵センサによって、モータ8の角速度を検出することが可能である。ステアリングホイール2とモータ8とは減速ギヤ9によって連動しているからである。また、トルクセンサ4を角度センサとして機能させることでモータ8の角速度を検出することも可能である。
【0024】
ω条件が成立していない場合(S1:NO)、第1項目の故障診断を実施する(S2)。ω条件が成立せず、モータ8から生じる誘起電圧が一定の電圧よりも小さければ、種々の故障診断項目において誘起電圧が故障検出に与える影響は無視できる程度に小さいからである。
故障診断項目としては、例えば、スイッチング素子31〜36のショート故障またはオープン故障が挙げられる。スイッチング素子31〜36の故障は、各スイッチング素子31〜36のゲート電圧を制御しつつ、電源側のスイッチング素子31〜33とグランド側のスイッチング素子34〜36との接続点25〜27の電圧を監視することで診断することが可能である。ここで、接続点25〜27はモータ8の三相コイルに接続されているので、モータ8から生じる誘起電圧が一定の電圧よりも大きくなると、スイッチング素子31〜36の故障検出が困難になる。このため、この故障診断項目は、ω条件が成立していない場合に実施される。
なお、モータ8の誘起電圧が影響するその他の故障診断項目として、シャント抵抗37の故障診断、またはモータ配線の接地故障診断などが挙げられる。シャント抵抗37の故障診断では、シャント抵抗37の両端の電位差を検出する。モータ配線の接地故障診断では、接続点25〜27の電圧を検出する。このため、これらの故障診断項目は、モータ8から生じる誘起電圧が故障診断に影響する。
第1項目の故障診断で、故障が検出されない場合(S3:YES)、処理は、第1項目の故障診断項目を「正常」と判定する(S4)。
そして、処理は、次の項目の故障診断へ移行する(S5、S6:YES)。
【0025】
これに対し、S1でω条件が成立している場合(S1:YES)、マイコン43は、ω条件が継続している時間を測定する(S7)。予め設定された所定時間を経過する前にモータ8の角速度が所定値よりも小さくなり、ω条件が成立しなくなれば(S7:NO,S1:NO)、処理は、第1項目の故障診断を実施する(S2)。
一方、S1でω条件が成立している場合(S1:YES)、モータ8の角速度が所定値よりも大きい状態が継続し、ω条件の成立している状態が所定時間を経過すると(S7:YES)、処理は、第1項目の故障診断項目を「正常」と判定する(S4)。
そして、処理は、次の項目の故障診断へ移行する(S5、S6:YES)。
【0026】
このようにして、全X項目の故障診断が終了すると(S6:NO)、ECU10がモータ8を通電制御し、EPS1はステアリングホイール2のアシストを開始する。
一方、複数の故障診断項目のうち、いずれかの検査項目で故障が検出された場合(S3:NO)、処理は、その故障診断項目を「異常」と判定する(S8)。そして、アシストを停止する処理などを実行する。
【0027】
第1実施形態では、モータ8の角速度が所定値よりも大きい場合、個々の故障診断項目の実施を省略することで(S7:YES)、個々の故障診断項目の処理にかかる時間が所定時間よりも長くなることが防がれる。これにより、イグニッションスイッチ12がオンされてから、ステアリングホイール2のアシストを開始するまで時間が短縮される。したがって、EPS1のアシスト開始時間を短くすることができる。
また、第1実施形態では、故障診断処理において、誘起電圧の影響が低減されるので、故障診断の信頼性を高めることができる。
【0028】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるEPSが実行する故障診断について、図4のフローチャートを参照して説明する。以下、複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、いずれかの故障診断項目において、モータ8の角速度が所定値よりも大きい状態が継続し、ω条件が成立している状態が所定時間を経過すると(S7:YES)、その後の故障診断項目をすべて「正常」と判定する(S9)。
なお、故障診断処理は、誘起電圧の影響を受ける故障診断項目のすべてを正常と判定し、誘起電圧の影響を受けることのない故障診断項目のみを実施するようにしてもよい。
このようにして、故障診断処理が終了すると、ECU10がモータ8を通電制御し、EPSはステアリングホイール2のアシストを開始する。
【0029】
第2実施形態では、いずれかの故障診断項目において、ω条件成立が所定時間以上経過した場合、その後の故障診断項目をすべて正常と判定することで(S9)、故障診断処理にかかる時間が所定時間よりも長くなることが防がれる。これにより、イグニッションスイッチ12がオンされてから、ステアリングホイール2のアシストを開始するまで時間を短くすることができる。
また、EPSは、誘起電圧の影響を受ける故障診断項目に関し、誤診を防ぐことができる。
【0030】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、モータとインバータ回路とが直接接続されたEPSについて説明した。これに対し、本発明は、モータとインバータ回路との間の配線にモータリレーが設けられたEPSに適用してもよい。この場合、故障診断の途中でモータリレーをオンした場合、ω条件の成立により、個々の故障診断項目、誘起電圧の影響を受ける複数の故障診断項目、又はω条件成立後の全ての故障診断項目を省略することで、アシスト開始の時間を短くすることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記複数の実施形態を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ・・・電動パワーステアリング装置(EPS)
2 ・・・ステアリングホイール
8 ・・・モータ
12・・・イグニッションスイッチ
23、24・・・インバータ回路(モータ駆動回路)
31〜36・・・スイッチング素子
43・・・マイコン(制御装置、故障診断手段、角速度検出手段、時間測定手段)
42・・・回転角センサ(角速度検出手段)
44、45・・・プリドライバ(モータ駆動回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの操舵をアシストするモータと、
スイッチング素子を有し、電源から供給される電流を前記スイッチング素子のオンオフによって前記モータを駆動する駆動電流にして前記モータに供給するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路の前記スイッチング素子を制御することで、前記モータを通電制御する制御装置と、
前記制御装置の電源ライン上に設けられたイグニッションスイッチと、
前記イグニッションスイッチがオンされた後、前記制御装置が前記モータを通電制御する前に、前記モータまたは前記モータ駆動回路の故障診断を行う故障診断手段と、
前記ステアリングホイールとともに回転する前記モータの角速度を検出する角速度検出手段と、を備え、
前記故障診断手段は、前記モータの角速度が所定値よりも大きい場合、故障診断の実施を省略することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記モータの角速度が所定値よりも大きい状態が継続している時間を測定する時間測定手段を備え、
前記故障診断手段は、前記モータまたは前記モータ駆動回路の故障診断を行う複数の故障診断項目を有し、所定の故障診断項目の診断を開始する前に、前記時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、次の故障診断項目に移行することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記モータの角速度が所定値よりも大きい状態が継続している時間を測定する時間測定手段を備え、
前記故障診断手段は、前記モータまたは前記モータ駆動回路の故障診断を行う複数の故障診断項目を有し、所定の故障診断項目の診断を開始する前に、前記時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、前記モータから生じる誘起電圧の影響を受ける全ての故障診断項目の実施を省略することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
前記故障診断手段は、所定の故障診断項目の診断を開始する前に、前記時間測定手段により測定した時間が所定時間を経過した場合、前記モータから生じる誘起電圧の影響を受ける全ての故障診断項目を正常と判定することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71526(P2013−71526A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210818(P2011−210818)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】